JP2731050B2 - ペースト式ニッケル極およびアルカリ蓄電池 - Google Patents
ペースト式ニッケル極およびアルカリ蓄電池Info
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- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
およびこのペースト式ニッケル極とカドミウム、亜鉛、
水素吸蔵合金等を含む負極とを備えたアルカリ蓄電池に
関するものである。
は、例えばカーボニルニッケルをパンチドメタル上に焼
結成形した基板に硝酸ニッケル等のニッケル塩を水溶液
の形で充填後、アルカリ液中で水酸化ニッケルに転化し
た、いわゆる焼結式が主流であった。焼結式の利点とし
て、基板であるカーボニルニッケルの焼結体が孔径数〜
10μmの非常に微細な細孔構造であるため、元来不導
体である水酸化ニッケルの集電能力に優れていることが
挙げられる。反面ニッケル極全体に占める基板体積の比
率が20%程度必要であり、その分活物質の充填量が制
限されてしまい、ニッケル極としての容量密度が450
mAh/cc程度しか得られないという欠点があった。
スト式ニッケル極が提案されている。ペースト式ニッケ
ル極は孔径100〜500μmのスポンジ状あるいはフ
ェルト状金属多孔体を基板とし、この基板の孔に粉末状
水酸化ニッケルを適当な溶媒やバインダーでペースト状
に調製したものを充填し、乾燥、加圧して得られるもの
である。また、ニッケル極全体に占める基板の体積比率
を10%未満に低下させることができるため、活物質の
充填量を増加することが可能となり、同容量密度に換算
すると600mAh/cc程度まで向上することができ
る。このペースト式ニッケル極に使用される前記粉末状
水酸化ニッケルは原理的には焼結式と同様に硝酸ニッケ
ル、硫酸ニッケル等のニッケル塩の水溶液を過剰の苛性
ソーダや苛性カリ等のアルカリ水溶液と、直径1〜数1
0ミクロンの粒子を生成させるように反応させ、沈澱物
を水洗、乾燥して得られるものが一般的である。
法にて作製したペースト式ニッケル極には数々の問題点
が存在する。とりわけ、充放電を行った際の水酸化ニッ
ケルの利用率が小さいという問題、充放電サイクルによ
る活物質の膨潤が著しく顕著なものである問題が挙げら
れる。このような問題を生ずる原因として基板の集電性
能の差が挙げられる。前記の通り焼結式基板の孔径が数
〜10μmであるのに対し、ペースト式の基板であるス
ポンジ状及びフェルト状金属多孔体は100〜500μ
mと数十倍も大きい。すなわち反応の際の活物質中の電
荷移動距離が長くなってしまい、抵抗による分極が大き
くなる傾向にある。分極の大きい電極における欠点とし
て放電電圧の低下ならびに充電中に不可逆な充電生成物
を生ずることが挙げられる。この不可逆な充電生成物は
一般にγ−NiOOHとして知られており、正常なニッ
ケル極の充電生成物であるβ−NiOOHと比較して放
電されにくく、また結晶がC軸方向に伸びた形態のため
活物質の膨潤を生じ易いことが知られている。すなわち
焼結方式とペースト方式を比較すると水酸化ニッケルと
して同じものを使用した場合、基板の集電能力の違いに
起因してペースト方式は利用率低下や活物質の膨潤をお
こし易い欠点があり、その原因は不可逆な充電生成物で
あるγ−NiOOHの生成が大きく関与していると言う
ことができる。
いても広く知られていたコバルト化合物の添加をペース
ト方式に、例えば特公昭57−5344、特公昭60−
60449に示される様に金属コバルト、特開昭61−
138458に示される様に一酸化コバルトといった導
電性に優れた形態のコバルトを配合することで、分極を
抑制する試みが広く行われている。また特開平1−26
0762、特開平2−30061に示される様に水酸化
ニッケルの結晶中にカドミウムまたは亜鉛等を共晶状態
にして添加する試みも同様に行われている。しかしなが
ら何れの方法も上記問題に対して充分な対策とは言え
ず、例えば利用率に関しても焼結式が95%以上である
のに対しペースト式では90%前後が限界であり、サイ
クル寿命に関しても焼結式が500サイクル以上である
のに対しペースト式が300サイクル前後と劣っている
のが現状で、これらの問題がペースト式ニッケル極の普
及を妨げる大きな障害となっていた。
になされたもので、高利用率でかつ長寿命のペースト式
ニッケル極を提供しようとするものである。本発明は、
高利用率でかつ長寿命のペースト式ニッケル極を備えた
アルカリ蓄電池を提供しようとするものである。
ニッケル極は、金属多孔体を有する基板に、水酸化ニッ
ケル(Ni(OH) 2 )を主体とする活物質を含むペー
ストを充填してなるペースト式ニッケル極において、前
記水酸化ニッケルは、加熱することによる脱水反応(N
i(OH) 2 →NiO+H 2 O)が270℃以下で起こ
るものであることを特徴とするものである。本発明に係
わるアルカリ蓄電池は、金属多孔体を有する基板に、水
酸化ニッケル(Ni(OH) 2 )を主体とする活物質を
含むペーストを充填してなるペースト式ニッケル極を備
えたアルカリ蓄電池において、前記水酸化ニッケルは、
加熱することによる脱水反応(Ni(OH) 2 →NiO
+H 2 O)が270℃以下で起こるものであることを特
徴とするものである。
ジ状ニッケルやフェルト状ニッケルのような三次元構造
を有するものを挙げることができる。前記水酸化ニッケ
ルの製造方法としては硝酸ニッケルや硫酸ニッケル等の
ニッケル塩の水溶液と苛性ソーダや苛性カリ等のアルカ
リ水溶液との中和反応で得られるが、反応雰囲気のpH
を調節することにより、同じ水酸化ニッケルでもNi
(OH)2 →NiOへの脱水反応をおこす温度の異なる
結晶を得ることができる。
から選択された金属元素を共晶状態で添加、および金属
コバルト、コバルト酸化物(例えば、一酸化コバルト、
水酸化コバルト)を添加することにより性能が向上す
る。
結晶性の大小により、γ−NiOOHの生成度合いが異
なる傾向にある。それは充電時の反応でNi(OH)2
結晶は電解液界面のプロトン移動の自由度が結晶化の大
小により異なり、結晶性の小さいものの方がプロトン移
動の自由度は高い傾向にあり、反面プロトン移動の不自
由なものほどγ−NiOOHを生成しやすい傾向にある
ことから、全体的には結晶性の大きなNi(OH)2は
γ−NiOOHを生成しやすいと言うことができる。
は数々の方法があるが、発明者は特に熱重量分析を行っ
た際250〜290℃付近に見られるNi(OH)2→
NiOへの脱水反応温度と、γ−NiOOHの生成比率
との間に高い相関性を見いだして本発明を作成した。充
電時にβ−NiOOH+γ−NiOOH量に対するγ−
NiOOHの比率が小さいほど、ニッケル極の利用率は
高く、また活物質の膨潤度合いが小さいため、サイクル
寿命が大きい傾向にある。
する。まず主活物質である水酸化ニッケルを下記の方法
で調整した。反応雰囲気のpHが一定に管理された環境
下で硫酸ニッケル水溶液と苛性ソーダ水溶液を順次投入
し、結晶成長、水洗、乾燥を経て、粒径1〜30μmの
水酸化ニッケルを作製した。反応雰囲気のpH値を4種
類にさせることにより結晶性の異なるNi(OH)2を
4種類得ることができた。
A)にかけ、Ni(OH)2→NiOへの脱水温度を測
定したところ、低い順に260、270、280、29
0℃であった。チャートの一例を図1に示す。この水酸
化ニッケル100重量部に対して一酸化コバルト10重
量部、カルボキシメチルセルロース0.3重量部を水3
0重量部と共に混練してペースト状に調製後、このペー
ストを孔径300μmのスポンジ状ニッケル多孔体に充
填し、乾燥、加圧、リード溶接を経て、本発明のペース
ト式ニッケル極を作製した。
ドミウム極、ナイロン製セパレータと共に捲回して電池
缶に挿入し、AAサイズのニッケルカドミウム蓄電池を
作製し、0.3C充電/1C充電の充放電サイクルを5
00サイクル行った。その時のサイクル数に対するニッ
ケル極理論容量に対する利用率の推多を図2に示す。
態で分解し、ニッケル極を取り出し粉砕処理してX線回
折(XRD−Cu,Kα)を測定し、2θで13°付近
に見られるγ−NiOOHのピーク高さ(P−γ)と、
19°付近に見られるβ−NiOOHのピーク高さ(P
−β)を測定し、(P−γ)/{(P−γ)+(P−
β)}の値から全体中のγ−NiOOHの比率を算出し
た。上記脱水反応温度に対するγ−NiOOHの比率を
図3に示す。
270℃の水酸化ニッケルを使用したニッケル極の場
合、利用率が95%と高く、かつ500サイクルを経て
も利用率の変化がほとんど見られない。図3のγ−Ni
OOH比率も20%未満と小さい傾向にある。これに対
し、280、290℃のものは利用率が最高でも90%
であり、しかもサイクル中の低下が著しく300サイク
ル付近で初期の50%未満に低下している。これに対応
してγ−NiOOH比率は40%〜80%と非常に高い
傾向にあり、活物質膨潤による電解液の偏在を起こして
いた。
化コバルトを使用したが、代用として金属コバルトや水
酸化コバルト等のコバルト酸化物を使用しても同様な効
果が得られる。またここでは詳細な結果を示さないが、
水酸化ニッケルにカドミウムまたは亜鉛を3〜7重量%
共晶添加したペースト式ニッケル極においては700サ
イクルの経過後も利用率の変化は見られず、良好な特性
を示した。
酸化ニッケルの利用率が高く、かつ長寿命なペースト式
ニッケル極およびかかるペースト式ニッケル極を備えた
アルカリ蓄電池を提供することができ、その工業的価値
は大である。
ある。
イクルとニッケル極の活物質の利用率との関係図であ
る。
ル後のγ−NiOOHの生成比率を示した図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 金属多孔体を有する基板に、水酸化ニッ
ケル(Ni(OH)2 )を主体とする活物質を含むペー
ストを充填してなるペースト式ニッケル極において、前記 水酸化ニッケルは、加熱することによる脱水反応
(Ni(OH)2 →NiO+H2 O)が270℃以下で
起こるものであることを特徴とするペースト式ニッケル
極。 - 【請求項2】 前記水酸化ニッケルは、カドミウムもし
くは亜鉛が共晶されていることを特徴とする請求項1記
載のペースト式ニッケル極。 - 【請求項3】 前記ペーストには、前記水酸化ニッケル
と共晶していない金属コバルトもしくはコバルト酸化物
が存在していることを特徴とする請求項1記載のペース
ト式ニッケル極。 - 【請求項4】 金属多孔体を有する基板に、水酸化ニッ
ケル(Ni(OH) 2 )を主体とする活物質を含むペー
ストを充填してなるペースト式ニッケル極を備えたアル
カリ蓄電池において、 前記水酸化ニッケルは、加熱することによる脱水反応
(Ni(OH) 2 →NiO+H 2 O)が270℃以下で
起こるものであることを特徴とするアルカリ蓄電池。 - 【請求項5】 前記水酸化ニッケルは、カドミウムもし
くは亜鉛が共晶されていることを特徴とする請求項4記
載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項6】 前記ペーストには、前記水酸化ニッケル
と共晶していない金属コバルトもしくはコバルト酸化物
が存在していることを特徴とする請求項4記載のアルカ
リ蓄電池。
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---|---|---|---|
JP3187098A JP2731050B2 (ja) | 1991-04-25 | 1991-04-25 | ペースト式ニッケル極およびアルカリ蓄電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP3187098A JP2731050B2 (ja) | 1991-04-25 | 1991-04-25 | ペースト式ニッケル極およびアルカリ蓄電池 |
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---|---|---|---|
JP09236057A Division JP3112660B2 (ja) | 1997-09-01 | 1997-09-01 | ペースト式ニッケル極の製造方法及びアルカリ蓄電池の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04328255A JPH04328255A (ja) | 1992-11-17 |
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ID=16200074
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP3187098A Expired - Lifetime JP2731050B2 (ja) | 1991-04-25 | 1991-04-25 | ペースト式ニッケル極およびアルカリ蓄電池 |
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Family Cites Families (3)
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JPS63152866A (ja) * | 1986-12-16 | 1988-06-25 | Yuasa Battery Co Ltd | 蓄電池用ニツケル活物質及びその製造法 |
JPH0724218B2 (ja) * | 1988-04-11 | 1995-03-15 | 株式会社ユアサコーポレーション | アルカリ電池用ニッケル電極及びこれを用いた電池 |
JPH0777129B2 (ja) * | 1988-07-19 | 1995-08-16 | 株式会社ユアサコーポレーション | ニッケル電極用活物質及びその製造方法、ニッケル電極及びそれを用いたアルカリ電池の製造方法 |
-
1991
- 1991-04-25 JP JP3187098A patent/JP2731050B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04328255A (ja) | 1992-11-17 |
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