JP2715240B2 - 放射性ヨウ素標識脂肪酸−シクロデキストリン複合体およびこれを含有するイメージング剤 - Google Patents
放射性ヨウ素標識脂肪酸−シクロデキストリン複合体およびこれを含有するイメージング剤Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イメージング剤として
利用可能な、放射性ヨウ素標識脂肪酸とシクロデキスト
リンまたはその誘導体の複合体に関する。
利用可能な、放射性ヨウ素標識脂肪酸とシクロデキスト
リンまたはその誘導体の複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、放射性同位元素で標識された物質
を生体内に投与し、当該物質の発する放射線をシンチカ
メラで検出してその物質の生体内での分布、挙動を非侵
襲的に画像として表現することが行われており、様々な
疾病の早期発見や病態を解明するために利用されてい
る。 この、放射性同位元素で標識された物質は、イメ
ージング剤と呼ばれ、それぞれの目的に適したものが開
発されている。
を生体内に投与し、当該物質の発する放射線をシンチカ
メラで検出してその物質の生体内での分布、挙動を非侵
襲的に画像として表現することが行われており、様々な
疾病の早期発見や病態を解明するために利用されてい
る。 この、放射性同位元素で標識された物質は、イメ
ージング剤と呼ばれ、それぞれの目的に適したものが開
発されている。
【0003】ところで、心筋のエネルギー源は、空腹時
にはその60%以上を脂肪酸代謝に依存している。 そ
こで、心臓病による心筋の障害や病態を把握するために
は、脂肪酸摂取または脂肪酸代謝機能の変化からとらえ
ることが必要であり、正確に心筋の障害や病態を把握す
るためのイメージング剤となる放射性同位元素で標識し
た脂肪酸の開発が極めて重要となってくる。
にはその60%以上を脂肪酸代謝に依存している。 そ
こで、心臓病による心筋の障害や病態を把握するために
は、脂肪酸摂取または脂肪酸代謝機能の変化からとらえ
ることが必要であり、正確に心筋の障害や病態を把握す
るためのイメージング剤となる放射性同位元素で標識し
た脂肪酸の開発が極めて重要となってくる。
【0004】心筋用のイメージング剤としては、198
1年に、 Feinendegen ら(Eur. J.Nucl. Med. 6:191-2
00;1981)が、17−[123I]ヨードヘキサデカン酸
を、また、1983年には Dudczak ら(The Journal o
f Nuclar Medicine andAllied Sciences. 27:267-279;1
983)が、15−(p−[123I]ヨードフェニル)ペン
タデカン酸を、更に、1986年には同じく Dudczak
ら(Eur. J.Nucl. Med. 12:S45-46;1986)が、15−
(p−[123I]ヨードフェニル)−3−メチルペンタ
デカン酸をそれぞれ臨床応用し、心筋障害の程度や病態
を把握するのに極めて有用な情報を多数得ている。
1年に、 Feinendegen ら(Eur. J.Nucl. Med. 6:191-2
00;1981)が、17−[123I]ヨードヘキサデカン酸
を、また、1983年には Dudczak ら(The Journal o
f Nuclar Medicine andAllied Sciences. 27:267-279;1
983)が、15−(p−[123I]ヨードフェニル)ペン
タデカン酸を、更に、1986年には同じく Dudczak
ら(Eur. J.Nucl. Med. 12:S45-46;1986)が、15−
(p−[123I]ヨードフェニル)−3−メチルペンタ
デカン酸をそれぞれ臨床応用し、心筋障害の程度や病態
を把握するのに極めて有用な情報を多数得ている。
【0005】しかし、このような放射性ヨウ素標識脂肪
酸(以下、「標識脂肪酸」と略称する)は脂溶性が高い
ため、注射により投与するイメージング剤として利用す
るためには、溶解補助剤を用い、溶解性を高める必要が
あった。
酸(以下、「標識脂肪酸」と略称する)は脂溶性が高い
ため、注射により投与するイメージング剤として利用す
るためには、溶解補助剤を用い、溶解性を高める必要が
あった。
【0006】現在、標識脂肪酸の溶解性を高める手段と
しては、少量のエタノールに溶解した脂肪酸に界面活性
剤であるポリソルベート(ツィーン)類を加える Ercan
らの方法(Int. J. Appl. Radiat. Isot. 34: 1519-15
24; 1983)と少量のエタノールに溶解した脂肪酸に人血
清アルブミン(HSA)を加えて製する Dudczakらの方
法(The Journal of Nuclar Medicine and Allied Scie
nces. 27: 267-279;1983)の2種類が主に用いられてい
る。
しては、少量のエタノールに溶解した脂肪酸に界面活性
剤であるポリソルベート(ツィーン)類を加える Ercan
らの方法(Int. J. Appl. Radiat. Isot. 34: 1519-15
24; 1983)と少量のエタノールに溶解した脂肪酸に人血
清アルブミン(HSA)を加えて製する Dudczakらの方
法(The Journal of Nuclar Medicine and Allied Scie
nces. 27: 267-279;1983)の2種類が主に用いられてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来方法で溶
解補助剤として用いられるポリソルベートやエタノール
のような刺激性のある物質を心臓に疾患を持つ患者に投
与することは、しばしば臨床の場で問題となっていた。
例えば、エタノールを含有する放射性医薬品であるヨ
ウ化メチルノルコレステノール(131I)注射液は、血
管迷走神経反応による失神またはショック、顔面または
皮膚紅潮、アレルギーによる血圧の上昇、軽度の呼吸困
難、胸部圧迫感などの副作用の発生が報告されており、
標識脂肪酸でもポリソルベートやエタノールを用いない
手段の開発が強く求められているが、現在までそのよう
な方法は知られていない。
解補助剤として用いられるポリソルベートやエタノール
のような刺激性のある物質を心臓に疾患を持つ患者に投
与することは、しばしば臨床の場で問題となっていた。
例えば、エタノールを含有する放射性医薬品であるヨ
ウ化メチルノルコレステノール(131I)注射液は、血
管迷走神経反応による失神またはショック、顔面または
皮膚紅潮、アレルギーによる血圧の上昇、軽度の呼吸困
難、胸部圧迫感などの副作用の発生が報告されており、
標識脂肪酸でもポリソルベートやエタノールを用いない
手段の開発が強く求められているが、現在までそのよう
な方法は知られていない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決すべく鋭意検討を行った結果、標識脂肪酸とシク
ロデキストリンを組合せ用いれば、エタノールやポリソ
ルベート等の溶解補助剤なしで生体に投与することがで
き、イメージング剤として有効に利用しうることを見出
し、本発明を完成した。
を解決すべく鋭意検討を行った結果、標識脂肪酸とシク
ロデキストリンを組合せ用いれば、エタノールやポリソ
ルベート等の溶解補助剤なしで生体に投与することがで
き、イメージング剤として有効に利用しうることを見出
し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は標識脂肪酸とシクロデ
キストリンの複合体およびこれを有効成分とするイメー
ジング剤を提供するものである。
キストリンの複合体およびこれを有効成分とするイメー
ジング剤を提供するものである。
【0010】本発明の標識脂肪酸としては、ヨウ素導入
脂肪酸、例えば、15−(p−ヨードフェニル)−9−
メチルペンタデカン酸(9MPA)、15−(p−ヨー
ドフェニル)−ペンタデカン酸(IPPA)、15−
(o−ヨードフェニル)−ペンタデカン酸(OPP
A)、15−(p−ヨードフェニル)−3−メチルペン
タデカン酸(BMIPP)及び16−ヨード−3−メチ
ルヘキサデカン酸(IMHA)等のヨウ素を放射性ヨウ
素で交換した脂肪酸が挙げられる。
脂肪酸、例えば、15−(p−ヨードフェニル)−9−
メチルペンタデカン酸(9MPA)、15−(p−ヨー
ドフェニル)−ペンタデカン酸(IPPA)、15−
(o−ヨードフェニル)−ペンタデカン酸(OPP
A)、15−(p−ヨードフェニル)−3−メチルペン
タデカン酸(BMIPP)及び16−ヨード−3−メチ
ルヘキサデカン酸(IMHA)等のヨウ素を放射性ヨウ
素で交換した脂肪酸が挙げられる。
【0011】これらのヨウ素導入脂肪酸は、いずれも公
知であり、容易に合成できる化合物であるので、この化
合物のヨウ素を公知の同位体交換反応により放射性ヨウ
素と交換し、標識することにより容易に標識脂肪酸を製
造することができる。
知であり、容易に合成できる化合物であるので、この化
合物のヨウ素を公知の同位体交換反応により放射性ヨウ
素と交換し、標識することにより容易に標識脂肪酸を製
造することができる。
【0012】また、シクロデキストリンとしては、α−
シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シ
クロデキストリン及びそれらの適当な誘導体が挙げら
れ、ジメチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプ
ロピル−α−シクロデキストリン及びヒドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリン等が例示される。
シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シ
クロデキストリン及びそれらの適当な誘導体が挙げら
れ、ジメチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプ
ロピル−α−シクロデキストリン及びヒドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリン等が例示される。
【0013】本発明の標識脂肪酸−シクロデキストリン
複合体を調製するには、例えば、標識脂肪酸1モルに対
しシクロデキストリンをモル比で1〜10,000、好
ましくは1〜10の割合で加え、pH8.0程度のトリ
ス塩酸緩衝液(0.9%の塩化ナトリウムを含有する)
に溶解することにより得ることができる。
複合体を調製するには、例えば、標識脂肪酸1モルに対
しシクロデキストリンをモル比で1〜10,000、好
ましくは1〜10の割合で加え、pH8.0程度のトリ
ス塩酸緩衝液(0.9%の塩化ナトリウムを含有する)
に溶解することにより得ることができる。
【0014】目的とする標識脂肪酸−シクロデキストリ
ン複合体が水溶液中で形成されていることは、シクロデ
キストリン添加による脂肪酸の紫外吸収スペクトルや円
二光性スペクトルの分析により知ることができる。
ン複合体が水溶液中で形成されていることは、シクロデ
キストリン添加による脂肪酸の紫外吸収スペクトルや円
二光性スペクトルの分析により知ることができる。
【0015】上記の様にして得られる標識脂肪酸−シク
ロデキストリン複合体は、それ自身で高い水溶性を有
し、生体内への投与においてポリソルベートやエタノー
ル等の溶解補助剤を必要としない。
ロデキストリン複合体は、それ自身で高い水溶性を有
し、生体内への投与においてポリソルベートやエタノー
ル等の溶解補助剤を必要としない。
【0016】例えば、15−(p−ヨードフェニル)−
9−メチルペンタデカン酸(9MPA)にヒドロキシプ
ロピル−α−シクロデキストリンを加えることにより形
成される複合体は、9MPAの約1500倍高い溶解性
を示し、また、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキス
トリンとで形成される複合体は約600倍高い溶解性を
示した。
9−メチルペンタデカン酸(9MPA)にヒドロキシプ
ロピル−α−シクロデキストリンを加えることにより形
成される複合体は、9MPAの約1500倍高い溶解性
を示し、また、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキス
トリンとで形成される複合体は約600倍高い溶解性を
示した。
【0017】そしてまた、本発明の標識脂肪酸−シクロ
デキストリン複合体は極めて安全性の高いものであっ
た。 例えば、15−(p−ヨードフェニル)−9−メ
チルペンタデカン酸とヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリンの複合体は、臨床常用量の2,000倍を
ビーグル犬の静脈内に投与しても毒性が認められなかっ
た。
デキストリン複合体は極めて安全性の高いものであっ
た。 例えば、15−(p−ヨードフェニル)−9−メ
チルペンタデカン酸とヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリンの複合体は、臨床常用量の2,000倍を
ビーグル犬の静脈内に投与しても毒性が認められなかっ
た。
【0018】更に、ラットで試験した結果では、標識脂
肪酸をシクロデキストリンとの複合体にすることによっ
て、標識脂肪酸自体の生体内分布の特徴を失うことはな
かった。 むしろガンマカメラによるイヌのダイナミッ
クイメージでは目的臓器である心筋周辺の臓器(肝臓な
ど)の取り込みが低減し、画質の向上が認められた。
肪酸をシクロデキストリンとの複合体にすることによっ
て、標識脂肪酸自体の生体内分布の特徴を失うことはな
かった。 むしろガンマカメラによるイヌのダイナミッ
クイメージでは目的臓器である心筋周辺の臓器(肝臓な
ど)の取り込みが低減し、画質の向上が認められた。
【0019】かくして得られた本発明の標識脂肪酸−シ
クロデキストリン複合体は、常法に従い各種剤形に製剤
化され、イメージング剤とすることができる。
クロデキストリン複合体は、常法に従い各種剤形に製剤
化され、イメージング剤とすることができる。
【0020】例えば、注射等の非経口剤により投与する
剤形のイメージング剤を調製する場合は、公知の非経口
用医薬担体、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液(0.
9%塩化ナトリウムを含む)またはトリス緩衝液(0.
9%塩化ナトリウムを含む)等に標識脂肪酸−シクロデ
キストリン複合体を溶解させ、これをアンプル等に充
填、密封すればよい。
剤形のイメージング剤を調製する場合は、公知の非経口
用医薬担体、例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液(0.
9%塩化ナトリウムを含む)またはトリス緩衝液(0.
9%塩化ナトリウムを含む)等に標識脂肪酸−シクロデ
キストリン複合体を溶解させ、これをアンプル等に充
填、密封すればよい。
【0021】また、経口タイプのイメージング剤を調製
するには、標識脂肪酸−シクロデキストリン複合体を公
知の経口用医薬担体と組み合わせれば良く、粉剤、顆粒
剤、錠剤、カプセル剤等や、内服液剤等とすることがで
きる。 更に、坐剤等の形状とすることも可能である。
するには、標識脂肪酸−シクロデキストリン複合体を公
知の経口用医薬担体と組み合わせれば良く、粉剤、顆粒
剤、錠剤、カプセル剤等や、内服液剤等とすることがで
きる。 更に、坐剤等の形状とすることも可能である。
【0022】
【発明の効果】本発明の標識脂肪酸−シクロデキストリ
ン複合体は、血管迷走神経反応による失神またはショッ
ク、顔面または皮膚紅潮、アレルギーによる血圧の上
昇、軽度の呼吸困難、胸部圧迫感などの副作用の原因と
なるポリソルベートまたはエタノールなどの刺激性物質
を含んでいないので、極めて安全性の高いものである。
ン複合体は、血管迷走神経反応による失神またはショッ
ク、顔面または皮膚紅潮、アレルギーによる血圧の上
昇、軽度の呼吸困難、胸部圧迫感などの副作用の原因と
なるポリソルベートまたはエタノールなどの刺激性物質
を含んでいないので、極めて安全性の高いものである。
【0023】従って、本発明の標識脂肪酸−シクロデキ
ストリン複合体は、心筋梗塞等の各種心疾患を始め、脂
肪酸が関与する疾病、腸での脂肪酸の吸収能等、脂肪酸
摂取または脂肪酸代謝機能の変化から把握される疾病、
生体機能低下等を早期に診断、発見できるイメージング
剤として有効に使用することができるものである。
ストリン複合体は、心筋梗塞等の各種心疾患を始め、脂
肪酸が関与する疾病、腸での脂肪酸の吸収能等、脂肪酸
摂取または脂肪酸代謝機能の変化から把握される疾病、
生体機能低下等を早期に診断、発見できるイメージング
剤として有効に使用することができるものである。
【0024】
【実施例】以下、実施例および試験例により本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれら実施例等になんら制
約されるものではない。
体的に説明するが、本発明はこれら実施例等になんら制
約されるものではない。
【0025】実 施 例 1 15−(p−ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカ
ン酸/ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン複
合体の調製およびその確認: (1)15−(p−ヨードフェニル)−9−メチルペン
タデカン酸20mgとヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリン2gを、pH8.0の20mM トリス塩酸
緩衝液(0.9%塩化ナトリウムを含む)100ml中
に加えた。 これを50〜60℃で加熱しながら超音波
をかけ、完全に溶解させて15−(p−ヨードフェニ
ル)−9−メチルペンタデカン酸とヒドロキシプロピル
−β−シクロデキストリンとの複合体を調製した。
ン酸/ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン複
合体の調製およびその確認: (1)15−(p−ヨードフェニル)−9−メチルペン
タデカン酸20mgとヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリン2gを、pH8.0の20mM トリス塩酸
緩衝液(0.9%塩化ナトリウムを含む)100ml中
に加えた。 これを50〜60℃で加熱しながら超音波
をかけ、完全に溶解させて15−(p−ヨードフェニ
ル)−9−メチルペンタデカン酸とヒドロキシプロピル
−β−シクロデキストリンとの複合体を調製した。
【0026】(2)紫外吸収スペクトルによる分析 エタノール5%(V/V)を含有する20mM トリス塩酸
緩衝液(pH8.0、0.9%塩化ナトリウムを含む)中
に15−(p−ヨードフェニル)−9−メチルペンタデ
カン酸(1×10-4M)のみを溶解したもの(単独試
料)、当該化合物とヒドロキシプロピル−β−シクロデ
キストリン(1×10-2M)の複合体を溶解したもの
(複合体試料)および15−(p−ヨードフェニル)−
9−メチルペンタデカン酸をエタノールに溶解したもの
(エタノール溶解試料)のそれぞれについて紫外吸収ス
ペクトルを測定した。測定機器は、日立(株)製 紫外
可視吸光光度計 U−3200型を用いた。
緩衝液(pH8.0、0.9%塩化ナトリウムを含む)中
に15−(p−ヨードフェニル)−9−メチルペンタデ
カン酸(1×10-4M)のみを溶解したもの(単独試
料)、当該化合物とヒドロキシプロピル−β−シクロデ
キストリン(1×10-2M)の複合体を溶解したもの
(複合体試料)および15−(p−ヨードフェニル)−
9−メチルペンタデカン酸をエタノールに溶解したもの
(エタノール溶解試料)のそれぞれについて紫外吸収ス
ペクトルを測定した。測定機器は、日立(株)製 紫外
可視吸光光度計 U−3200型を用いた。
【0027】この結果は図1の通りであるが、これから
明らかなように、15−(p−ヨードフェニル)−9−
メチルペンタデカン酸の紫外吸収スペクトルは、ヒドロ
キシプロピル−β−シクロデキストリン添加により大き
く変化し、特に230nm付近の吸光度の増大と短波長
側へのシフトが観察され、15−(p−ヨードフェニ
ル)−9−メチルペンタデカン酸とヒドロキシプロピル
−β−シクロデキストリンの強い相互作用が示された。
明らかなように、15−(p−ヨードフェニル)−9−
メチルペンタデカン酸の紫外吸収スペクトルは、ヒドロ
キシプロピル−β−シクロデキストリン添加により大き
く変化し、特に230nm付近の吸光度の増大と短波長
側へのシフトが観察され、15−(p−ヨードフェニ
ル)−9−メチルペンタデカン酸とヒドロキシプロピル
−β−シクロデキストリンの強い相互作用が示された。
【0028】(3)円二色性スペクトルによる分析 エタノール5%(V/V)を含有する20mM トリス塩酸
緩衝液(pH8.0、0.9%塩化ナトリウムを含む)中
に15−(p−ヨードフェニル)−9−メチルペンタデ
カン酸(1×10-4M)のみを溶解したもの(単独試
料)、当該化合物とヒドロキシプロピル−β−シクロデ
キストリン(1×10-2M)の複合体を溶解したもの
(複合体試料)について、円二色性スペクトルを測定し
た。測定機器は、日本分光(株)製 円二光性自記分光
光度計 DP J600型を用いた。
緩衝液(pH8.0、0.9%塩化ナトリウムを含む)中
に15−(p−ヨードフェニル)−9−メチルペンタデ
カン酸(1×10-4M)のみを溶解したもの(単独試
料)、当該化合物とヒドロキシプロピル−β−シクロデ
キストリン(1×10-2M)の複合体を溶解したもの
(複合体試料)について、円二色性スペクトルを測定し
た。測定機器は、日本分光(株)製 円二光性自記分光
光度計 DP J600型を用いた。
【0029】この結果は図2の通りであるが、これから
明らかなように230nm付近に正のコットン効果が誘
起され、15−(p−ヨードフェニル)−9−メチルペ
ンタデカン酸がヒドロキシプロピル−β−シクロデキス
トリンに包接される可能性が示された。
明らかなように230nm付近に正のコットン効果が誘
起され、15−(p−ヨードフェニル)−9−メチルペ
ンタデカン酸がヒドロキシプロピル−β−シクロデキス
トリンに包接される可能性が示された。
【0030】実 施 例 2 溶解度法による複合体形成の確認:15−(p−ヨード
フェニル)−9−メチルペンタデカン酸10mgを正確
に秤量し、これを各種濃度のヒドロキシプロピル−β−
シクロデキストリンを含有する20mM トリス緩衝液
(pH8.0、0.9%塩化ナトリウムを含む)溶液5m
l中に加え、振盪1日、2日および3日後に0.1N水
酸化ナトリウムを用いてpH8.0に調製した。 更に2
時間振盪した後、0.1N水酸化ナトリウムを用いてp
H8.0に調製し、この溶液を濾過した。 この濾液につ
いて、存在する15−(p−ヨードフェニル)−9−メ
チルペンタデカン酸量(シクロデキストリンとの複合体
形成量を含む)をHPLC(ポンプ:日立(株)製 L
−6000型、検出器(UV):日立(株)L−400
0型 、測定波長:254nm、移動相:テトラヒドロ
フラン−水−アセトニトリル−酢酸(50:34:1
5:1)、カラム:μボンダスフェア 5μ C18−1
00オングストローム(3.9mm×15cm))によ
り定量し、その溶解度を求めた。
フェニル)−9−メチルペンタデカン酸10mgを正確
に秤量し、これを各種濃度のヒドロキシプロピル−β−
シクロデキストリンを含有する20mM トリス緩衝液
(pH8.0、0.9%塩化ナトリウムを含む)溶液5m
l中に加え、振盪1日、2日および3日後に0.1N水
酸化ナトリウムを用いてpH8.0に調製した。 更に2
時間振盪した後、0.1N水酸化ナトリウムを用いてp
H8.0に調製し、この溶液を濾過した。 この濾液につ
いて、存在する15−(p−ヨードフェニル)−9−メ
チルペンタデカン酸量(シクロデキストリンとの複合体
形成量を含む)をHPLC(ポンプ:日立(株)製 L
−6000型、検出器(UV):日立(株)L−400
0型 、測定波長:254nm、移動相:テトラヒドロ
フラン−水−アセトニトリル−酢酸(50:34:1
5:1)、カラム:μボンダスフェア 5μ C18−1
00オングストローム(3.9mm×15cm))によ
り定量し、その溶解度を求めた。
【0031】得られた15−(p−ヨードフェニル)−
9−メチルペンタデカン酸の溶解度をヒドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリンの添加濃度に対してプロッ
トし、これらの関係を溶解度相図(図3)に示した。
9−メチルペンタデカン酸の溶解度をヒドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリンの添加濃度に対してプロッ
トし、これらの関係を溶解度相図(図3)に示した。
【0032】この図から明らかなように、15−(p−
ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸の溶解度
はヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン添加濃
度の増加につれて上昇し、高い水溶性を有する複合体形
成が示された。 この溶解度相図の解析により、15−
(p−ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸と
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンは1:1
及び1:2の複合体を形成し、1:1、つまり
ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸の溶解度
はヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン添加濃
度の増加につれて上昇し、高い水溶性を有する複合体形
成が示された。 この溶解度相図の解析により、15−
(p−ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸と
ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンは1:1
及び1:2の複合体を形成し、1:1、つまり
【式1】 の安定度定数は、2,600M-1であり、また1:2、
つまり
つまり
【式2】 の安定度定数は、2,500M-1と推定された。この安
定度定数は、複合体形成に伴なう定数であり、値が大き
いほど生成した複合体が安定に存在していることにな
る。
定度定数は、複合体形成に伴なう定数であり、値が大き
いほど生成した複合体が安定に存在していることにな
る。
【0033】実 施 例 3 15−(p−ヨードフェニル)ペンタデカン酸/ヒドロ
キシプロピル−β−シクロデキストリン複合体の調製: (1)15−(p−ヨードフェニル)ペンタデカン酸2
0mgとヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
2gをpH8.0の20mM トリス塩酸緩衝液(0.1
%塩化ナトリウムを含む)100mlに加えた。 これ
を50〜60℃で加熱しながら超音波をかけ、完全に溶
解させて、15−(p−ヨードフェニル)ペンタデカン
酸とヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンとの
複合体を調製した。 (2)紫外吸収スペクトルによる分析 エタノール5%(V/V)を含有する20mM トリス塩酸
緩衝液(pH8.0、0.9塩化ナトリウムを含む)中に
15−(p−ヨードフェニル)ペンタデカン酸(1×1
0-4M)のみを溶解したもの(単独試料)、当該化合物
とヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(1×
10-2M)の複合体を溶解したもの(複合体試料)およ
び15−(p−ヨードフェニル)ペンタデカン酸をエタ
ノールに溶解したもの(エタノール溶解試料)のそれぞ
れについて紫外吸収スペクトルを測定した。測定機器
は、日本分光(株)製分光光度計Ubest−50型を
用いた。
キシプロピル−β−シクロデキストリン複合体の調製: (1)15−(p−ヨードフェニル)ペンタデカン酸2
0mgとヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
2gをpH8.0の20mM トリス塩酸緩衝液(0.1
%塩化ナトリウムを含む)100mlに加えた。 これ
を50〜60℃で加熱しながら超音波をかけ、完全に溶
解させて、15−(p−ヨードフェニル)ペンタデカン
酸とヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンとの
複合体を調製した。 (2)紫外吸収スペクトルによる分析 エタノール5%(V/V)を含有する20mM トリス塩酸
緩衝液(pH8.0、0.9塩化ナトリウムを含む)中に
15−(p−ヨードフェニル)ペンタデカン酸(1×1
0-4M)のみを溶解したもの(単独試料)、当該化合物
とヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(1×
10-2M)の複合体を溶解したもの(複合体試料)およ
び15−(p−ヨードフェニル)ペンタデカン酸をエタ
ノールに溶解したもの(エタノール溶解試料)のそれぞ
れについて紫外吸収スペクトルを測定した。測定機器
は、日本分光(株)製分光光度計Ubest−50型を
用いた。
【0034】この結果は図4のとおりであるが、15−
(p−ヨードフェニル)ペンタデカン酸の紫外吸収スペ
クトルは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリ
ン添加により大きく変化し、特に230nm付近の吸光
度の増大と短波長側へのシフトが観察される15−(p
−ヨードフェニル)ペンタデカン酸とヒドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリンの強い相互作用が示され
た。
(p−ヨードフェニル)ペンタデカン酸の紫外吸収スペ
クトルは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリ
ン添加により大きく変化し、特に230nm付近の吸光
度の増大と短波長側へのシフトが観察される15−(p
−ヨードフェニル)ペンタデカン酸とヒドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリンの強い相互作用が示され
た。
【0035】実 施 例 4 15−(o−ヨードフェニル)ペンタデカン酸/ヒドロ
キシプロピル−β−シクロデキストリン複合体の調製: (1)15−(o−ヨードフェニル)ペンタデカン酸2
0mgとヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
2gを、pH8.0の20mM トリス塩酸緩衝液(0.
9%塩化ナトリウムを含む)100mlに加えた。 こ
れを50〜60℃で加熱しながら超音波をかけて完全に
溶解させ、15−(o−ヨードフェニル)ペンタデカン
酸とヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンとの
複合体を調製した。
キシプロピル−β−シクロデキストリン複合体の調製: (1)15−(o−ヨードフェニル)ペンタデカン酸2
0mgとヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
2gを、pH8.0の20mM トリス塩酸緩衝液(0.
9%塩化ナトリウムを含む)100mlに加えた。 こ
れを50〜60℃で加熱しながら超音波をかけて完全に
溶解させ、15−(o−ヨードフェニル)ペンタデカン
酸とヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンとの
複合体を調製した。
【0036】(2)紫外吸収スペクトルによる分析 エタノール5%(V/V)を含有する20mM トリス塩酸
緩衝液(pH8.0、0.9塩化ナトリウムを含む)中に
15−(o−ヨードフェニル)ペンタデカン酸(1×1
0-4M)のみを溶解したもの(単独試料)、当該化合物
とヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(1×
10-2M)の複合体を溶解したもの(複合体試料)およ
び15−(o−ヨードフェニル)ペンタデカン酸をエタ
ノールに溶解したもの(エタノール溶解試料)のそれぞ
れについて紫外吸収スペクトルを測定した。測定機器
は、日本分光(株)製分光光度計Ubest−50型を
用いた。
緩衝液(pH8.0、0.9塩化ナトリウムを含む)中に
15−(o−ヨードフェニル)ペンタデカン酸(1×1
0-4M)のみを溶解したもの(単独試料)、当該化合物
とヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(1×
10-2M)の複合体を溶解したもの(複合体試料)およ
び15−(o−ヨードフェニル)ペンタデカン酸をエタ
ノールに溶解したもの(エタノール溶解試料)のそれぞ
れについて紫外吸収スペクトルを測定した。測定機器
は、日本分光(株)製分光光度計Ubest−50型を
用いた。
【0037】この結果は図5のとおりであるが、15−
(o−ヨードフェニル)ペンタデカン酸の紫外吸収スペ
クトルは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリ
ン添加により大きく変化し、特に232nm付近の吸光
度の減少と短波長側へのシフトが観察され、15−(o
−ヨードフェニル)ペンタデカン酸とヒドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリンの強い相互作用が示され
た。
(o−ヨードフェニル)ペンタデカン酸の紫外吸収スペ
クトルは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリ
ン添加により大きく変化し、特に232nm付近の吸光
度の減少と短波長側へのシフトが観察され、15−(o
−ヨードフェニル)ペンタデカン酸とヒドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリンの強い相互作用が示され
た。
【0038】実 施 例 5 15−(p−ヨードフェニル)−3−メチルペンタデカ
ン酸/ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン複
合体の調製: (1)15−(p−ヨードフェニル)−3−メチルペン
タデカン酸20mgとヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリン2gを、pH8.0の20mM トリス塩酸
緩衝液(0.9%塩化ナトリウムを含む)100mlに
加えた。 これを50〜60℃で加熱しながら超音波を
かけて完全に溶解させ、15−(p−ヨードフェニル)
−3−メチルペンタデカン酸とヒドロキシプロピル−β
−シクロデキストリンとの複合体を調製した。
ン酸/ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン複
合体の調製: (1)15−(p−ヨードフェニル)−3−メチルペン
タデカン酸20mgとヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリン2gを、pH8.0の20mM トリス塩酸
緩衝液(0.9%塩化ナトリウムを含む)100mlに
加えた。 これを50〜60℃で加熱しながら超音波を
かけて完全に溶解させ、15−(p−ヨードフェニル)
−3−メチルペンタデカン酸とヒドロキシプロピル−β
−シクロデキストリンとの複合体を調製した。
【0039】(2)紫外吸収スペクトルによる分析 エタノール5%(V/V)を含有する20mM トリス塩酸
緩衝液(pH8.0、0.9塩化ナトリウムを含む)中に
15−(p−ヨードフェニル)−3−メチルペンタデカ
ン酸(1×10-4M)のみを溶解したもの(単独試
料)、当該化合物とヒドロキシプロピル−β−シクロデ
キストリン(1×10-2M)の複合体を溶解したもの
(複合体試料)および15−(p−ヨードフェニル)−
3−メチルペンタデカン酸をエタノールに溶解したもの
(エタノール溶解試料)のそれぞれについて紫外吸収ス
ペクトルを測定した。測定機器は、日本分光(株)製分
光光度計Ubest−50型を用いた。
緩衝液(pH8.0、0.9塩化ナトリウムを含む)中に
15−(p−ヨードフェニル)−3−メチルペンタデカ
ン酸(1×10-4M)のみを溶解したもの(単独試
料)、当該化合物とヒドロキシプロピル−β−シクロデ
キストリン(1×10-2M)の複合体を溶解したもの
(複合体試料)および15−(p−ヨードフェニル)−
3−メチルペンタデカン酸をエタノールに溶解したもの
(エタノール溶解試料)のそれぞれについて紫外吸収ス
ペクトルを測定した。測定機器は、日本分光(株)製分
光光度計Ubest−50型を用いた。
【0040】この結果は図6のとおりであるが、15−
(p−ヨードフェニル)−3−メチルペンタデカン酸の
紫外吸収スペクトルは、ヒドロキシプロピル−β−シク
ロデキストリン添加により大きく変化し、特に232n
m付近の吸光度の増大と短波長側へのシフトが観察さ
れ、15−(p−ヨードフェニル)−3−メチルペンタ
デカン酸とヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリ
ンの強い相互作用が示された。
(p−ヨードフェニル)−3−メチルペンタデカン酸の
紫外吸収スペクトルは、ヒドロキシプロピル−β−シク
ロデキストリン添加により大きく変化し、特に232n
m付近の吸光度の増大と短波長側へのシフトが観察さ
れ、15−(p−ヨードフェニル)−3−メチルペンタ
デカン酸とヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリ
ンの強い相互作用が示された。
【0041】実 施 例 6 15−(p−[123I]ヨードフェニル)−9−メチル
ペンタデカン酸/ヒドロキシプロピル−β−シクロデキ
ストリン複合体の調製:15−(p−[123I]ヨード
フェニル)−9−メチルペンタデカン酸3mgにヒドロ
キシプロピル−β−シクロデキストリンを300mg加
え、更にpH8.0に調製した20mM トリス塩酸緩衝
液(0.9%塩化ナトリウムを含む)を15ml加え
た。 激しく撹拌して完全に溶解させた後、0.22μm
のフィルターで無菌濾過し、15−(p−[123I]ヨ
ードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸/ヒドロキ
シプロピル−β−シクロデキストリン複合体の注射剤を
得た。
ペンタデカン酸/ヒドロキシプロピル−β−シクロデキ
ストリン複合体の調製:15−(p−[123I]ヨード
フェニル)−9−メチルペンタデカン酸3mgにヒドロ
キシプロピル−β−シクロデキストリンを300mg加
え、更にpH8.0に調製した20mM トリス塩酸緩衝
液(0.9%塩化ナトリウムを含む)を15ml加え
た。 激しく撹拌して完全に溶解させた後、0.22μm
のフィルターで無菌濾過し、15−(p−[123I]ヨ
ードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸/ヒドロキ
シプロピル−β−シクロデキストリン複合体の注射剤を
得た。
【0042】試 験 例 1 ラット体内における、標識脂肪酸−シクロデキストリン
の分布試験:実施例6により得られた、15−(p−[
123I]ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸
−シクロデキストリン複合体の注射剤(本発明イメージ
ング剤)と4%HSA及び少量のエタノールで可溶化し
た15−(p−[123I]ヨードフェニル)−9−メチ
ルペンタデカン酸(比較イメージング剤)を用い、これ
らのラット体内での分布を比較した。
の分布試験:実施例6により得られた、15−(p−[
123I]ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸
−シクロデキストリン複合体の注射剤(本発明イメージ
ング剤)と4%HSA及び少量のエタノールで可溶化し
た15−(p−[123I]ヨードフェニル)−9−メチ
ルペンタデカン酸(比較イメージング剤)を用い、これ
らのラット体内での分布を比較した。
【0043】この試験は、12時間絶食した体重180
〜200gのウィスター(Wistar)ラットを、本発明イ
メージング剤投与群と比較イメージング剤投与群の2群
(各群15匹)とし、これらラットをペントバルビター
ル麻酔下、大腿静脈からそれぞれのイメージング剤を投
与し、各ラットにおける15−(p−[123I]ヨード
フェニル)−9−メチルペンタデカン酸の臓器分布を調
べることにより行った。
〜200gのウィスター(Wistar)ラットを、本発明イ
メージング剤投与群と比較イメージング剤投与群の2群
(各群15匹)とし、これらラットをペントバルビター
ル麻酔下、大腿静脈からそれぞれのイメージング剤を投
与し、各ラットにおける15−(p−[123I]ヨード
フェニル)−9−メチルペンタデカン酸の臓器分布を調
べることにより行った。
【0044】具体的には、イメージング剤投与5、2
0、40分後に各群それぞれ5匹づつのラットを取り出
し、頸動脈を切り脱血させた後、心臓、肝臓、腎臓及び
甲状腺を取り出し、各臓器への15−(p−[123I]
ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸集積量
を、投与した放射能に対する単位臓器当りに集積した放
射能の割合(% Dose/g)を測定した(各臓器につい
て5匹の平均値±S.D.として求めた)。
0、40分後に各群それぞれ5匹づつのラットを取り出
し、頸動脈を切り脱血させた後、心臓、肝臓、腎臓及び
甲状腺を取り出し、各臓器への15−(p−[123I]
ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸集積量
を、投与した放射能に対する単位臓器当りに集積した放
射能の割合(% Dose/g)を測定した(各臓器につい
て5匹の平均値±S.D.として求めた)。
【0045】放射能測定において、血液を含む各臓器は
ガンマカウンター(パッカード社製卓上型ミナキシガン
マカウンターオートガンマー5530)で放射能を計測
した。 また、甲状腺については、投与した放射能に対
する臓器当りに集積した放射能の割合(% Dose) を求
めた。
ガンマカウンター(パッカード社製卓上型ミナキシガン
マカウンターオートガンマー5530)で放射能を計測
した。 また、甲状腺については、投与した放射能に対
する臓器当りに集積した放射能の割合(% Dose) を求
めた。
【0046】本発明イメージング剤についての結果を表
1に、比較イメージング剤についての結果を表2に示し
た。
1に、比較イメージング剤についての結果を表2に示し
た。
【0047】
【0048】
【0049】この結果から、本発明の標識脂肪酸−シク
ロデキストリン複合体は、従来の4%HSA及び少量の
エタノールで可溶化した標識脂肪酸と同様のラット体内
分布を示すので、イメージング剤として使用できること
が明らかになった。
ロデキストリン複合体は、従来の4%HSA及び少量の
エタノールで可溶化した標識脂肪酸と同様のラット体内
分布を示すので、イメージング剤として使用できること
が明らかになった。
【0050】試 験 例 2 イヌによるイメージング試験:実施例6により得られ
た、15−(p−[123I]ヨードフェニル)−9−メ
チルペンタデカン酸−シクロデキストリン複合体の注射
剤(本発明イメージング剤)を投与したイヌのイメージ
ングを、4%HSA及び少量のエタノールで可溶化した
15−(p−[123I]ヨードフェニル)−9−メチル
ペンタデカン酸(比較イメージング剤)を用いた場合と
比較した。
た、15−(p−[123I]ヨードフェニル)−9−メ
チルペンタデカン酸−シクロデキストリン複合体の注射
剤(本発明イメージング剤)を投与したイヌのイメージ
ングを、4%HSA及び少量のエタノールで可溶化した
15−(p−[123I]ヨードフェニル)−9−メチル
ペンタデカン酸(比較イメージング剤)を用いた場合と
比較した。
【0051】この試験は、ペントバルビタールで麻酔、
体重10kgのビーグル犬のサフェナ静脈から本発明イ
メージング剤を投与したのち、ダイナミックイメージ
(2分間、15フレーム)を収集した。 使用機器は、
低エネルギー用平行型コリメータをアロカ社製オメガ5
00ガンマカメラに装着し、ピークエネルギー159k
eV、ウインド幅±10%にて画像データを収集した。
データ解析は、オンラインによって接続された昭和情報
社製MICAS2000により行ない、シンチグラム像
を作成した。
体重10kgのビーグル犬のサフェナ静脈から本発明イ
メージング剤を投与したのち、ダイナミックイメージ
(2分間、15フレーム)を収集した。 使用機器は、
低エネルギー用平行型コリメータをアロカ社製オメガ5
00ガンマカメラに装着し、ピークエネルギー159k
eV、ウインド幅±10%にて画像データを収集した。
データ解析は、オンラインによって接続された昭和情報
社製MICAS2000により行ない、シンチグラム像
を作成した。
【0052】比較イメージング剤についても同様の試験
を行なった。得られた時間−心臓対肝臓放射能比曲線を
図7に示すが、これから本発明イメージング剤の方が心
臓対肝臓比が向上しており、より明瞭な心筋シンチグラ
フが得られることが明らかになった。
を行なった。得られた時間−心臓対肝臓放射能比曲線を
図7に示すが、これから本発明イメージング剤の方が心
臓対肝臓比が向上しており、より明瞭な心筋シンチグラ
フが得られることが明らかになった。
【図1】 実施例1(2)の紫外吸収スペクトルを示す
図面である。
図面である。
【図2】 実施例1(3)の円二色性スペクトルを示す
図面である。
図面である。
【図3】 実施例2の溶解度を示す図面である。
【図4】 実施例3の紫外吸収スペクトルを示す図面で
ある。
ある。
【図5】 実施例4の紫外吸収スペクトルを示す図面で
ある。
ある。
【図6】 実施例5の紫外吸収スペクトルを示す図面で
ある。
ある。
【図7】 イメージング剤を犬に投与した時の時間−心
臓対肝臓放射能比曲線を示す図面である。 以 上
臓対肝臓放射能比曲線を示す図面である。 以 上
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−87532(JP,A) 特開 昭58−59926(JP,A) 特開 昭57−4914(JP,A) 特開 昭59−46228(JP,A) 特開 昭63−27440(JP,A) 特開 昭58−116423(JP,A) 特表 昭60−502006(JP,A) 瀬崎仁編 「ドラッグデリバリーシス テム」 (1986) 南光堂 P.73−79
Claims (12)
- 【請求項1】 放射性ヨウ素標識脂肪酸とシクロデキス
トリンの複合体。 - 【請求項2】 放射性ヨウ素標識脂肪酸が、15−(p
−ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸、15
−(p−ヨードフェニル)−ペンタデカン酸、15−
(o−ヨードフェニル)−ペンタデカン酸、15−(p
−ヨードフェニル)−3−メチルペンタデカン酸及び1
6−ヨード−3−メチルヘキサデカン酸よりなる群から
選択されたものである請求項第1項記載の複合体。 - 【請求項3】 放射性ヨウ素が、122I、123I、125I
及び131Iよりなる群から選択されたものである請求項
第1項または第2項記載の複合体。 - 【請求項4】 シクロデキストリンが、α−、β−及び
γ−シクロデキストリンよりなる群から選択されたもの
である請求項第1項ないし第3項のいずれかの項記載の
複合体。 - 【請求項5】 シクロデキストリンが、ヒドロキシプロ
ピル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シク
ロデキストリン、ヒドロキシプロピル−α−シクロデキ
ストリン及びジメチル−β−シクロデキストリンよりな
る群から選択されたものである請求項第1項ないし第4
項のいずれかの項記載の複合体。 - 【請求項6】 放射性ヨウ素標識15−(p−ヨードフ
ェニル)−9−メチルペンタデカン酸−ヒドロキシプロ
ピル−β−シクロデキストリン複合体。 - 【請求項7】 放射性ヨウ素標識脂肪酸とシクロデキス
トリンの複合体を含有するイメージング剤。 - 【請求項8】 放射性ヨウ素標識脂肪酸が、15−(p
−ヨードフェニル)−9−メチルペンタデカン酸、15
−(p−ヨードフェニル)−ペンタデカン酸、15−
(o−ヨードフェニル)−ペンタデカン酸、15−(p
−ヨードフェニル)−3−メチルペンタデカン酸及び1
6−ヨード−3−メチルヘキサデカン酸よりなる群から
選択されたものである請求項第7項記載のイメージング
剤。 - 【請求項9】 放射性ヨウ素が、122I、123I、125I
及び131Iよりなる群から選択されたものである請求項
第7項または第8項記載のイメージング剤。 - 【請求項10】 シクロデキストリンが、α−、β−及
びγ−シクロデキストリンよりなる群から選択されたも
のである請求項第7項ないし第9項のいずれかの項記載
のイメージング剤。 - 【請求項11】 シクロデキストリンが、ヒドロシキプ
ロピル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シ
クロデキストリン、ヒドロキシプロピル−α−シクロデ
キストリン及びジメチル−β−シクロデキストリンより
なる群から選択されたものである請求項第7項ないし第
10項のいずれかの項記載のイメージング剤。 - 【請求項12】 注射剤である請求項第7項ないし第1
1項のいずれかの項記載のイメージング剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5139001A JP2715240B2 (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | 放射性ヨウ素標識脂肪酸−シクロデキストリン複合体およびこれを含有するイメージング剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5139001A JP2715240B2 (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | 放射性ヨウ素標識脂肪酸−シクロデキストリン複合体およびこれを含有するイメージング剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06321812A JPH06321812A (ja) | 1994-11-22 |
JP2715240B2 true JP2715240B2 (ja) | 1998-02-18 |
Family
ID=15235163
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5139001A Expired - Fee Related JP2715240B2 (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | 放射性ヨウ素標識脂肪酸−シクロデキストリン複合体およびこれを含有するイメージング剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2715240B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2726765B1 (fr) * | 1994-11-14 | 1996-12-20 | Cis Bio Int | Compositions radiopharmaceutiques comprenant un complexe d'inclusion d'une cyclodextrine et d'un acide gras radiohalogene |
KR100358855B1 (ko) * | 2000-02-29 | 2002-10-31 | 광주과학기술원 | 사이클로덱스트린 또는 그 유도체와 조영제의 포접 착체형성 방법 |
KR100362080B1 (ko) * | 2000-03-29 | 2002-11-23 | 광주과학기술원 | 고리 올리고당과 그들의 유도체를 이용한 조영제의 새로운포접 착체 |
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