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JP2705946B2 - 耐ssc性の優れた高張力鋼板の製造法 - Google Patents

耐ssc性の優れた高張力鋼板の製造法

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Publication number
JP2705946B2
JP2705946B2 JP63156717A JP15671788A JP2705946B2 JP 2705946 B2 JP2705946 B2 JP 2705946B2 JP 63156717 A JP63156717 A JP 63156717A JP 15671788 A JP15671788 A JP 15671788A JP 2705946 B2 JP2705946 B2 JP 2705946B2
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JP
Japan
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steel
less
strength
ssc resistance
steel sheet
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JP63156717A
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義之 渡部
潔 西岡
博 為広
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=15633797&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2705946(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、特に耐SSC性に優れた引張強さ60Kgf/mm2
の高張力鋼の製造法に関する。
(従来の技術) アンモニア、LPGなどの貯蔵タンクや石油、天然ガス
輸送用のラインパイプでは、硫化水素(H2S)によるSSC
(硫化物応力腐食割れ)が大きな問題となっている。SS
Cは、湿潤な硫化水素環境下の腐食反応で生じた水素に
よる水素脆性割れの一種と考えられている。
鋼のSSC感受性は、化学成分やミクロ組織、非金属介
在物の有無などによって異なるが、特に硬さの影響が大
きく、ビッカース硬さHv248(HRC22)以下ではSSCは起
こらないとされている。しかし、従来のHT60は特開昭59
−126716号公報で示すように、B添加鋼の焼入れ・焼戻
し(QT)処理によって製造されており、Bの焼入れ性向
上効果を利用しているために、小入熱溶接熱影響部(HA
Z)の硬さが高く、SSC感受性が増大するという欠点を有
していた。
またB無添加のHT60もC量をはじめ添加元素や製造法
が適切でなく、母材、HAZの耐SSC性は著しく劣ってい
た。このため新知見に基づく画期的なHT60の開発が強く
望まれていた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は耐SSC性に優れた高張力鋼を安価に製造する
方法を提供するもので、本発明法で製造した鋼は低入熱
溶接時においてもHAZ硬さを低く抑えることが可能とな
り、きわめて優れた耐SSC性を示す。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨は、重量%でC:0.02〜0.06%、Si:0.6%
以下、Mn:1.0〜1.6%、P:0.20%以下、S:0.006%以下、
Al:0.001〜0.060%、Mo:0.05〜0.40%、Nb:0.01〜0.05
%、Ti:0.005〜0.030%、N:0.006%以下、必要に応じて
V:0.01〜0.10%、Cr:0.05〜0.50%、Ni:0.05〜1.0%、C
u:0.05〜1.0%、Ca:0.001〜0.006%の一種またはV−C
r、Cr−Ni、Ni−Cu、V−Ca、V−Cr−Cu、Cr−Ni−C
u、V−Cr−Ni−Cuの組合せを含有し、残部が鉄および
不可避的不純物からなる実質的にBを含有しない鋼を連
続鋳造法によってスラブとし、再加熱なしの直送圧延
(HCR、DR)ないしはスラブ冷却後これを1050〜1250℃
の温度で再加熱し、800〜900℃未満の温度で圧延を終了
してただちに焼入れた後Ac1点以下の温度で焼戻し処理
する。
(作用) 以下、本発明について説明する。
発明者らの研究によれば、母材強度および耐SSC性に
影響を及ぼすとされるHAZ硬さは鋼の焼入れ性に大きく
依存し、HAZ硬さの低減と母材の高張力化とを同時にバ
ランスよく達成するためには、焼入れ性のみに着目した
鋼成分の適正化だけでは不十分である。
一方、Bフリー・低C化によって焼入れ性を下げるこ
とは、HAZ硬さ低減の見地からきわめて有効である。そ
こで焼入れ性を下げるためBフリー・低Cをベースとし
てHAZ硬さを抑え、母材強度の不足分はNb(必要に応じ
V)添加による析出硬化現象を活用することによって補
う方法を発明した。
析出硬化は鋼中に析出物を微細に分散させることによ
ってその効果を発揮する。そのため溶鋼の凝固冷却中に
微細析出したNbの析出物が粗大化することのないよう適
切な再加熱、圧延、冷却、熱処理条件を付与する必要が
ある。
この析出硬化の活用は、圧延後の直接焼入れによって
可能となったものであり、その理由については後述す
る。またこの直接焼入れ・焼戻し処理を施すことによっ
て組織の均一化がはかられ、耐硫化水素割れ性の面から
も好ましいものとなる。
しかし、たとえNbの析出物が鋼中に微細に分散してい
ても基本成分が適当でないと、HAZ硬さと母材の高張力
化とのバランスのよい達成は困難である。
以下、この点について説明する。
Cは焼入れ性に最も顕著に効くものであるが、下限0.
02%は母材および溶接部の強度確保ならびにNbなどの添
加時に、これらの効果を発揮させるための最小量であ
る。しかしC量が多過ぎると焼入れ性が上がり、HAZ硬
さを上昇させるため上限を0.06%とした。
Siは脱酸上鋼に含まれる元素であるが、多く添加する
と溶接性、HAZ靭性が劣化するため、上限を0.6%に限定
した。鋼の脱酸はAlのみでも十分可能であり、焼入れ性
の観点から0.25%以下が望ましい。
Mnは強度、靭性を確保する上で不可欠な元素であり、
その下限は1.0%である。しかしMn量が多過ぎると焼入
れ姓が上昇して溶接性、HAZ靭性を劣化させるだけでな
く、スラブの中心偏析を助長するので上限を1.6%とし
た。
本発明鋼において不純物であるP、Sをそれぞれ0.02
0%以下、0.006%以下とした理由は、母材、溶接部の低
温靭性をより一層向上させるためである。P量の低減は
HAZにおける粒界破壊を減少させ、またS量の低減は粒
界フェライトの生成を抑制する傾向がある。最も好まし
いP、S量は、それぞれ0.01%、0.002%以下である。
Alは一般に脱酸上鋼に含まれる元素であり、最低0.00
1%の添加含有が必要である。しかし、Alが0.060%を超
えるとHAZ靭性のみならず溶接金属の靭性も著しく劣化
させるためその上限を0.060%とした。
Moは母材の強度、靭性をともに向上させる。特に本発
明鋼においては強度確保上不可欠の元素であり、その下
限は0.05%である。しかし添加量が多過ぎると母材、溶
接部の靭性、溶接性の劣化を招き好ましくない。そのた
め上限を0.40%とした。
Nbは本発明鋼において必須元素であり、焼入れ性低下
に伴う強度不足分を析出硬化として補う上で、最低0.01
%が必要である。しかしNbは同時にHAZ硬さ上昇も伴う
ためその上限を0.05%とした。
Tiは母材およびHAZ靭性向上のために必須であり、そ
の下限を0.005%とした。上限は過剰のTiによるTiCの析
出を防止するため0.030%とした。
次にV、Cr、Ni、Cu、Caを添加する理由について説明
する。
基本となる成分に、さらにこれらの元素を添加する主
たる目的は、本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく強
度、靭性など特性の向上をはかるためである。したがっ
てその添加量は自ずから制限されるべき性質のものであ
る。
VはNbと同様析出硬化に寄与するものであるが、Nbに
比べて母材強度の強化代は小さいため0.01%以下では効
果が少なく、上限は0.10%まで許容できる。またVはHA
Z硬さをほとんど変化させないためNbとの複合添加が望
ましい。
Crは母材、溶接部の強度を高めるが、多過ぎると溶接
性や接合部の靭性を劣化させるため上限を0.50%とし
た。下限は材質上への効果が得られるための最小量とす
べきで0.05%である。これは次のNi、Cuについても同様
である。
Niは溶接性、HAZ靭性に悪影響を及ぼすことなく、母
材の強度、靭性を向上させるが、過剰な添加は溶接性に
好ましくないため上限を1.0%とした。
CuはNiとほぼ同様の効果とともに耐食性、耐水素誘起
割れ性などにも効果があるが、1.0%を超えると熱間圧
延時にCu−クラックが発生し製造困難となる。このため
上限を1.0%とした。
Caは硫化物(MnS)の形態を制御し、低温靭性を向上
(シャルピー吸収エネルギーを増加)させるほか、耐水
素誘起割れ性の改善にも効果を発揮する。しかしCa量0.
001%以下では実用上効果がなく、また0.006%を超えて
添加するとCaO、CaSが多量に生成して大型介在物とな
り、鋼の靭性のみならず清浄度も害し、さらには溶接性
にも悪影響を与える。このため添加量の範囲を0.001〜
0.006%に制限した。
鋼の成分を上記のように限定しても、製造法が適切で
なければ析出硬化を利用した母材強度の確保およびHAZ
硬さの低減を達成することはできない。このため製造条
件についても限定する必要がある。
まず、この鋼は工業的には連続鋳造法で製造すること
が必須である。この理由は、連続鋳造法では溶鋼の凝固
冷却速度が速く、スラブ中に微細なNbの析出物が多量に
得られるためである。大型鋼塊による造塊−分塊法で
は、Nbの析出物をスラブ中に微細分散させることは難し
い。
連続鋳造法の場合、スラブ厚によって冷却速度が異な
るが、その厚みは350mm以下が望ましい。さらにスラブ
の再加熱温度を1250℃以下とする必要がある。なぜなら
これ以上の温度で再加熱すると析出物が粗大化して、析
出硬化現象を期待できないためである。
なお本発明においては、スラブの再加熱は必ずしも実
施する必要はなく、ホットチャージ圧延やダイレクト圧
延を行っても全く問題はない。
次にスラブ再加熱後の圧延・熱処理条件の限定理由に
ついて述べる。
圧延終了温度が800℃以下になると、MnS系介在物が残
存した場合に延伸しやすいこと、圧延中にフェライトを
加工する危険性が生ずることなどから800℃以上でなけ
ればならない。しかしあまり高温で圧延を終了した場
合、圧延により細粒化したオーステナイト粒が再び成長
し、鋼の焼入れ性が上昇するためその上限を900℃未満
とした。
また圧延終了後ただちに焼入れする理由は、従来法に
したがい空冷した場合、空冷中にNbの析出物が粗大化し
てしまい、空冷のままの強度はもとよりこれを再加熱し
て焼入れ・焼戻しを行ってもその加熱時にNbが固溶しな
いため、析出物を微細化できず高強度が得られない。
すなわち圧延後の直接焼入れは組織の微細化をはかる
とともに、析出物の粗大化を防止するために不可欠のも
のであり、これを焼戻すことによって析出物が微細に分
散し、同時に焼入れ後に得られる微細組織の焼戻しによ
って、高張力、高靭性を確保することができる。
(実施例) 表1は本発明を実施するにあたって使用に供した鋼の
化学組成である。また表2は各々の鋼に対する製造条件
と母材特性及びHAZ硬さとを示したものである。
比較鋼において鋼16はNbが添加されていないため強度
が不足している。また鋼17は直接焼き入れを行っていな
いために析出硬化を活用できておらず、強度が不足して
いる。さらに鋼18ではC量が多過ぎる上にBを含有する
ため、HAZ硬さを低く抑えることができていない。
これに対して本発明法で製造した鋼板(本発明鋼)は
母材強度とHAZ硬さとをバランスよく達成できている。
また本発明鋼は、4点曲げ応力を付加して行ったが、割
れは全く認められなかった。
(発明の効果) 本発明により、母材の高張力化とHAZ硬さの低減とを
同時に達成する鋼を大量かつ安価に製造することが可能
になった。その結果、硫化水素雰囲気にさらされるLP
G、ガス貯蔵用球形タンクなどの溶接鋼構造物の安全性
を大きく向上させることができた。
本発明は、厚板ミルに適用することが最も好ましい
が、ホットコイル、形鋼などにも適用可能である。ま
た、この方法で製造した厚鋼板は圧力容器、海洋構造
物、ラインパイプなど厳しい環境下で使用される溶接鋼
構造物を用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 為広 博 千葉県君津市君津1 新日本製鐵株式会 社君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭59−159932(JP,A) 特開 昭62−86122(JP,A) 特開 昭60−169517(JP,A) 特開 昭55−73848(JP,A) 特開 昭63−7328(JP,A) 特開 昭59−80752(JP,A) 特開 平1−96329(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C :0.02〜0.06% Si:0.6%以下 Mn:1.0〜1.6% P :0.020%以下 S :0.006%以下 Al:0.001〜0.060% Mo:0.05〜0.40% Nb:0.01〜0.05% Ti:0.005〜0.030% N :0.006%以下 残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造法
    によってスラブとし、再加熱なしの直送圧延ないしはス
    ラブ冷却後これを1050〜1250℃の温度で再加熱し、800
    〜900℃未満の温度で圧延を終了してただちに焼入れし
    た後Ac1点以下の温度で焼戻し処理することを特徴とす
    る耐SSC性の優れた高張力鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】重量%で、 C :0.02〜0.06% Si:0.6%以下 Mn:1.0〜1.6% P :0.020%以下 S :0.006%以下 Al:0.001〜0.060% Mo:0.05〜0.40% Nb:0.01〜0.05% Ti:0.005〜0.030% N :0.006%以下 更に V :0.01〜0.10% Cr:0.05〜0.50% Ni:0.05〜1.0% Cu:0.05〜1.0% Ca:0.001〜0.006% の一種またはV−Cr,Cr−Ni,Ni−Cu,V−Ca,V−Cr−Cu,C
    r−Ni−Cu,V−Cr−Ni−Cuの組合せ 残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を用いること
    を特徴とする請求項1に記載する耐SSC性の優れた高張
    力鋼板の製造法。
JP63156717A 1988-06-27 1988-06-27 耐ssc性の優れた高張力鋼板の製造法 Expired - Lifetime JP2705946B2 (ja)

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