JP2773282B2 - ミシン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は予め記憶手段に縫製順序に従って記憶され
た複数の模様データを順次読出し、その模様データに基
づいて加工布保持手段及び針を相対移動させながら針を
上下動させることによって形成される多数の縫目により
加工布に模様を順次形成するミシンに関する。

［従来の技術］ 従来、この種のミシンでは、縫製順序に従って記憶さ
れた複数の模様データが記憶手段から順次読出され、そ
の模様データに従って複数の縫目模様が形成される。そ
して、縫製動作中に糸切れや針折れ等の異常事態が発生
しない限り、模様データの読出しを終了するまでは、縫
製が継続して行われるようになっている。

［発明が解決しようとする課題］ そのため、例えば第５図に示す３つの縫目模様「ab
c」の形成に際し、模様「ａ」又は模様「ａ」，「ｂ」
までを加工布保持手段上の生地Ｗに形成した段階で縫製
を中断した後、生地Ｗ上に別の布片Ｐをセットしてその
布片Ｐ上に残りの模様「ｂ」，「ｃ」又は「ｃ」のみを
形成するというような、縫製作業を行うことができず、
作業者の広範な要望に答えることができないという問題
があった。

この発明は上記の問題を解消するためになされたもの
であって、その目的は複数の模様を所定の縫製順序に従
って縫製する際に、特定の模様までの縫製を行った段階
で、縫製を中断することができ、中断後には前記特定模
様の次の模様データに従って縫製を確実に再開すること
が可能なミシンを提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために、この発明では、記憶手
段に記憶された複数の模様データの内、任意の２つの連
続する模様データ間に縫製動作の中断を指示する中断指
令データを縫製に先立って予め記憶させる入力手段と、
縫製開始信号の入力に基づいて、前記記憶手段から前記
データを順次読出してミシンの運転を制御し、前記記憶
手段に予め記憶された前記中断指令データに応答してミ
シンの運転を中断する第一制御手段と、ミシンの運転の
中断後にミシンの運転を再開する再開指令信号を発生す
るための再開指令信号発生手段と、前記再開指令信号に
応答し、前記模様データに基づくミシンの運転を再開す
る第二制御手段とを設けている。

［作用］ 入力手段は、記憶手段に縫製順序に従って記憶された
複数の模様データの内、任意の２つの連続する模様デー
タ間に縫製動作の中断を指示する中断指令データを記憶
させる。第一制御手段は前記記憶手段から前記データを
順次読出してミシンの運転を制御し、中断指令データに
応答してミシンの運転を中断する。再開指令信号発生手
段はミシンの運転の中断後にミシンの運転を再開する再
開指令信号を発生し、第二制御手段はその再開指令信号
に応答して模様データに基づくミシンの運転を再開す
る。

［実施例］ 以下、この発明を具体化した一実施例を図面に従って
詳細に説明する。

第２図に示すように、ミシンのテーブル１上にはミシ
ンモータ２を備えたミシン本体３が装着され、そのアー
ム部3aに上下動可能に支持された針４と、ベッド部3b内
に設けられた図示しない糸輪捕捉器とによって縫目を形
成するための縫目形成装置５が構成されている。テーブ
ル１上にはＸ方向及びＹ方向へ移動可能な布保持枠６が
配設され、その布保持枠６上に加工布としての生地Ｗを
配置して布押え枠７を嵌合することにより、生地Ｗが針
４と対応する位置で張設保持される。そして、加工布保
持手段を構成する両枠6,7が図示しないＸ方向及びＹ方
向駆動モータ等からなる加工布送り装置８の作動によっ
て針４に対しＸ方向及びＹ方向へ相対移動されることに
より、生地Ｗ上に文字や図形等の縫目模様が形成され
る。

テーブル１上には入力手段及び再開指令信号発生手段
を構成するキーボード11が配設され、その上面には各種
の縫目模様に対応する模様データを選択するための選択
キー，縫製を開始したり、中断後に再開したりするため
の縫製開始キー等の多数のキーが配列されている。又、
テーブル１上には選択された縫目模様等を表示するため
の表示装置12が配設されている。

第１図に示すように、第一，第二制御手段を構成する
中央処理装置（CPU）13はミシン全体の作動を制御する
プログラムを記憶したROMからなるプログラムメモリ14
と、模様データ等を記憶するRAMからなる作業用メモリ1
5とを備えている。磁気ディスク駆動装置からなる外部
記憶装置16は、各種の文字や図形等の縫目模様を形成す
るための、針と加工布保持手段6,7との相対位置を示す
多数の位置データを各縫目模様毎に記憶し、入出力イン
ターフェース17を介してCPU13に接続されている。

又、前記CPU13にはキーボード11が入出力インターフ
ェース17を介して接続され、キーボード11上のキー操作
によって縫目模様が選択された時、CPU13はその縫目模
様の模様データを外部記憶装置16から読み出して、作業
用メモリ15にその選択順序、即ち縫製順序に従って記憶
する。又、前記キー操作によって中断モードが設定され
た状態で、中断指令データが入力された時、CPU13はそ
のデータを任意の２つの連続する模様データ間において
作業用メモリ15に記憶する。更に、CPU13は作業用メモ
リ15のデータ及びプログラムメモリ14のプログラムに従
って前記縫目形成装置5,加工布送り装置８及び表示装置
12の作動を制御する。

さて、上記のように構成されたミシンを使用して、例
えば、第５図に示すように、「ａ」，「ｂ」，「ｃ」の
単位縫目模様を組み合わせて、「abc」の縫目模様を形
成する場合について説明する。第３図（ａ），（ｂ）に
示すフローチャートのステップS1（以下、単にS1と記
す、他のステップも同様）で、キーボード11上のキー操
作により、「ａ」，「ｂ」，「ｃ」の単位縫目模様を選
択すると、CPU13はそれらの模様データを外部記憶装置1
6から読み出し、その選択順序に従って作業用メモリ15
に順次記憶する（S2）。又、CPU13は縫目模様の選択順
序に従って表示装置12に表示させると共に、最初に選択
された縫目模様「ａ」の下方にカーソルＣを点灯させ、
かつ中断モードを設定するための催促表示を行う（S
3）。

そこで、S4にてキーボード11上の中断指令キーを操作
すると、CPU13は中断モードを設定する。引き続き、CPU
13はカーソル移動キーの操作を待ち、その操作時には表
示装置12に表示された縫目模様群の下方にて各模様毎に
カーソルＣを移動させる（S5,S6）。

次に、CPU13はS7で、任意の２つの連続する模様デー
タ間にて縫製の中断を指示するための中断指令データの
入力を待ち、第４図（ａ）に示すように、例えばカーソ
ルＣによって縫目模様「ａ」が指示された状態で、中断
指令データがキー操作によって入力されると、CPU13は
そのデータが連続する縫目模様「ａ」及び「ｂ」の模様
データ間に位置するように、作業用メモリ15に記憶させ
る（S8）。又、それと同時にCPU13は縫製中断位置を示
す記号Ｍを第４図（ｂ）に示すように表示装置12上の
「ａ」，「ｂ」間に表示させる（S9）。

次に、CPU13はS10にて中断モードが所定のキー操作に
よって解除されたか否かを判定し、解除された場合には
先の各ステップS3に復帰して、そのS3からS9までの処理
を繰り返す。一方、解除されない場合に、CPU13はS11に
て縫製開始キーの入力を待つ。縫製開始キーの操作によ
って縫製開始信号が入力されると、CPU13は作業用メモ
リ15から模様データ及び中断指令データを縫製順序に従
って順次読出す（S12）。そして、CPU13は読出された最
初の模様データに従ってミシンを運転し、第５図に示す
ように生地Ｗ上に縫目模様「ａ」を形成する（S13）。

前記縫目模様「ａ」の縫製が終了し、中断指令データ
が読出されると、S14の判定に基づき、CPU13はミシンの
運転を一時的に停止して、縫製動作を中断する（S1
5）。そこで、第５図に示すように布片Ｐが前記縫目模
様「ａ」に近接してセットされた後、S16において縫製
開始キーが操作されると、キーボード11から再開指令信
号が発生し、その信号がCPU13に入力される。これに応
答してCPU13はプログラムをS12に復帰させ、次の模様デ
ータに従ってミシンの運転を再開する。そして、CPU13
はS12からS17までの処理を繰り返し、作業用メモリ15に
記憶された残りの模様データに対応する縫目模様「bc」
を布片Ｐ上に形成して縫製を完了する。

上記のようにこの実施例では、複数の模様「ａ」，
「ｂ」，「ｃ」を所定の縫製順序に従って縫製する際
に、特定の模様「ａ」までの縫製を行った段階で、縫製
を中断することができ、中断後には前記特定模様「ａ」
の次の模様データに従って縫製を確実に再開することが
できる。よって縫製途中に別の片布Ｐを生地Ｗ上にセッ
トして、その布片Ｐ上に先に形成した縫目模様「ａ」に
関連する縫目模様「bc」を形成するというような、作業
者の要望に対して柔軟に対応することができる。

尚、この発明は前記実施例に限定されるものではな
く、例えば作業用メモリ15に記憶された複数の模様デー
タの間に複数の中断指令データを記憶させるようにする
ことも可能である。

［発明の効果］ 以上詳述したように、この発明は複数の模様を所定の
縫製順序に従って縫製する際に、特定の模様までの縫製
を行った段階で、縫製を中断することができると共に、
中断後には前記特定模様の次の模様データに従って縫製
を確実に再開することができ、よって作業者の広範な要
望に対して柔軟に対応することができる。しかも、上記
の縫製の中断は縫製に先立って予め設定されるものであ
り、縫製途中において自動的に中断されるため、作業者
が中断のタイミングをみながら縫製途中で中断操作する
必要がなく、確実に所望の位置で縫製を中断することが
できるという優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明を具体化したミシンの制御装置を示す
ブロック図、第２図はミシンの外観を示す斜視図、第３
図（ａ）〜（ｃ）はフローチャート、第４図（ａ），
（ｂ）は表示装置の表示状態を示す説明図、第５図は縫
製状態を示す説明図である。 ４……針、６……布保持枠、７……布押え枠（6,7によ
って加工布保持手段が構成されている）、11……入力手
段及び再開指令信号発生手段としてのキーボード、13…
…第一，第二制御手段としてのCPU、15……記憶手段と
しての作業用メモリ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】予め記憶手段に縫製順序に従って記憶され
   た複数の模様データを順次読出し、その模様データに基
   づいて加工布保持手段及び針を相対移動させながら針を
   上下動させることによって形成される多数の縫目により
   加工布に模様を順次形成するミシンにおいて、 前記記憶手段に記憶された複数の模様データの内、任意
   の２つの連続する模様データ間に縫製動作の中断を指示
   する中断指令データを縫製に先立って予め記憶させる入
   力手段と、 縫製開始信号の入力に基づいて、前記記憶手段から前記
   データを順次読出してミシンの運転を制御し、前記記憶
   手段に予め記憶された前記中断指令データに応答してミ
   シンの運転を中断する第一制御手段と、 ミシンの運転の中断後にミシンの運転を再開する再開指
   令信号を発生するための再開指令信号発生手段と、 前記再開指令信号に応答し、前記模様データに基づくミ
   シンの運転を再開する第二制御手段と を備えたことを特徴とするミシン。