JP2695599B2 - ポリウレタンレンズの製造方法 - Google Patents
ポリウレタンレンズの製造方法Info
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Description
造方法に関する。
ル化合物を反応させて得られるポリウレタンレンズの製
造において、例えば架橋度を上げるために2官能のチオ
ール基を有するポリチオール化合物とともにペンタエリ
スリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ペン
タエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネー
ト)などの4官能のポリチオール化合物を用いているこ
とは特開昭63−130614号公報などによって知ら
れている。またポリチオール化合物のポリイソシアネー
ト化合物との反応速度はポリチオール化合物ごとに異な
るということも知られている。このような2種以上のポ
リチオール化合物を用いて光学歪のないポリウレタンレ
ンズを製造する方法としてはポリイソシアネート化合物
との反応速度が大きいポリチオール化合物に重合条件を
合せて、初期重合温度を低温にして、重合温度を時間を
かけて徐々に上昇させて重合する方法が一般的である。
シアネート化合物との反応速度が大きいポリチオール化
合物に重合条件を合せて初期重合温度を低温にし、重合
温度を時間をかけて徐々に上昇させて重合する方法は重
合時間が長くなり製造上効率が悪くなるという問題があ
る。また例えばポリイソシアネート化合物との反応速度
が大きいポリチオール化合物として知られるペンタエリ
スリトールテトラキス(メルカプトアセテート)(以
下、PETMAと記す)を用いて中心厚、周縁厚が大き
いレンズを作製する場合には、PETMAの量が多くな
ると、ポリイソシアネート化合物との反応による反応熱
が高くなり、重合熱の熱制御たけでは光学歪及び脈理の
発生を防ぐのは困難であることから、量産時に重合炉当
りのレンズ数量が制限されてしまう不都合があった。
されたもので、その目的は、ポリイソシアネート化合物
とポリチオール化合物とからポリウレタンレンズを製造
する場合における重合時間を短くでき、かつ中心厚、周
縁厚が大きいプラスチックレンズを製造する場合におい
ても光学歪及び脈理が生じないレンズを生産性よく得る
ことができる、ポリウレタンレンズの製造方法を提供す
ることにある。
(イ)工程および(ロ)工程を含むことを特徴とするポ
リウレタンレンズの製造方法によって達成された。
たはこのポリイソシアネート化合物との反応速度が異な
る2種以上のポリチオール化合物を用意し、前記ポリイ
ソシアネート化合物に、一般式(I) (R1 )c −Sn−X4-c (I) (式中、R1 はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基を表し、Xは弗素原子、塩素原子、臭素原子を表
し、cは1〜3の整数である。)で表わされるアルキル
錫ハライド化合物を添加する工程。
ソシアネート化合物および2種以上のポリチオール化合
物を一般式(I)のアルキル錫ハライド化合物とともに
混合し、反応させてポリウレタンレンズを得る工程。(但し、前記2種以上のポリチオール化合物が、下記の
一般式(II) (R 2 ) a −C(CH 2 OCOCH 2 SH) b (II) (式中、R 2 はメチル基、エチル基を表し、aは0〜1
の整数、bは3〜4の整数を表し、a+b=4であ
る。)で表されるポリチオール化合物および下記の式
(III)
く。)
のであり、前者の(イ)工程は、ポリイソシアネート化
合物またはこのポリイソシアネート化合物との反応速度
が異なる2種以上のポリチオール化合物を用意し、前記
ポリイソシアネート化合物に、一般式(I) (R1 )c −Sn−X4-c (I) (式中、R1 はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基を表し、Xは弗素原子、塩素原子、臭素原子を表
し、cは1〜3の整数である。)で表わされるアルキル
錫ハライド化合物を添加する工程である。
ネート化合物に一般式(I)で示されるアルキル錫ハラ
イド化合物を添加することを要する。その理由は、ポリ
イソシアネート化合物とポリチオール化合物との混合後
に一般式(I)のアルキル錫ハライド化合物を添加する
と、中心厚、周縁厚が大きいポリウレタンレンズを製造
した場合、光学歪が生じるのに対し、混合前のポリイソ
シアネート化合物にアルキル錫ハライド化合物を添加す
ると、上記のような問題が抑えられるからである。ま
た、ポリチオール化合物にアルキル錫ハライド化合物は
溶解しにくいのに対して、ポリイソシアネート化合物に
アルキル錫ハライド化合物は容易に溶解するため作業上
のスピードアップが望める。
ト化合物は特に限定されるものでなく、特開昭60−1
99016号公報、特開昭57−136601号公報、
特開昭63−46213号公報、特開平1−30220
2号公報などに開示されたポリイソシアネート化合物を
適宜用いることができる。
て、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘ
キサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シ
クロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネート
メチル)ビシクロヘプタン、キシリレンジイソシアネー
ト、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジン
エステルトリイソシアネート、トリス(イソシアネート
メチル)シクロヘキサン、メシチレントリイソシアネー
ト、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ヘキサメチ
レントリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物
及びそれらの化合物のアロファネート変性体、ビュレッ
ト変性体、イソシアヌレート変性体、ポリオール又はポ
リチオールとのアダクト変性体が挙げられ、単独で用い
てもよいし、必要に応じて2種以上の混合物としてもよ
い。その他公知のイソシアネート化合物を用いることが
できるが、主成分となるイソシアネート化合物は2官能
以上のものでなければならない。公知の芳香環を分子内
にもつ脂肪族イソシアネート化合物にCl又はBr等の
ハロゲン原子を導入してもよい。特に好ましいポリイソ
シアネート化合物としては、ビス(イソシアネートメチ
ル)シクロヘキサン、ビス(イソシアネートメチル)ビ
シクロヘプタン、キシリレンジイソシアネート、メシチ
レントリイソシアネート等が挙げられる。
ール化合物の組み合せとしては、例えば以下のものが挙
げられる。
速度が大きいことが知られている特開昭60−1990
16号公報に開示されたポリチオール化合物(S1 )
と、ポリイソシアネート化合物との反応速度が比較的穏
やかなことが知られている特開昭63−46213号公
報に開示されたポリチオール化合物(S2 )との組み合
せ。
ールビス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプ
ロパントリス−(メルカプトアセテート)、ペンタエリ
スリトールテトラキス−(メルカプトアセテート)が挙
げられる。
スリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)、
トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネ
ート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトプロ
ピオネート)、ジクロロネオペンチルグリコールビス
(メルカプトプロピオネート)、ジブロモネオペンチル
グリコールビス(メルカプトプロピオネート)が挙げら
れる。
速度が大きい、一般式(II) (R 2 ) a −C(CH 2 OCOCH 2 SH) b (II) (式中、R 2 はメチル基、エチル基を表し、aは0〜1
の整数、cは3〜4の整数を表し、a+b=4であ
る。) または式(III)
アネート化合物との反応速度が比較的穏やかな特開平3
−236386号公報に開示されているポリチオール化
合物(S4)との組み合せ。
れる化合物としては、例えばトリメチロールプロパント
リス−(メルカプトアセテート)、トリメチロールエタ
ントリス−(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリ
トールテトラキス−(メルカプトアセテート)等が挙げ
られる。
は、ジペンタエリスリトールヘキサキス−(メルカプト
アセテート)である。
ルジチアン等が挙げられる。なお、本発明において、前
記2種以上のポリチオール化合物が、上記一般式(II)
のポリチオール化合物と上記一般式(III)のポリチオ
ール化合物とを共に含む場合は除かれる。
物との反応速度が異なる2種以上のポリチオール化合物
間の添加割合は特に限定されない。ポリイソシアネート
化合物との反応速度が大きいと知られている前述した一
般式(II)、式(III)のポリチオール化合物を全量の2
0モル%以上添加することも可能である。
リイソシアネート化合物との反応速度が異なるかどうか
は、例えば次のような方法によって判定できる。
物として、m−キシリレンジイソシアネートを選び、こ
れに1種のポリチオール化合物をm−キシリレンジイソ
シアネートとポリチオール化合物との混合比−NCO基
/−SH基が1.0となるように混合し、20℃におけ
る混合終了直後の混合物の粘度値と、混合後2時間後の
混合物の粘度値を測定して粘度の変化量を求める。
前記(i)と同様にして粘度の変化量を求める。
ピックアップし、この2種のポリチオール化合物につい
ての粘度の変化量を比較し、その差が100cps以上
のとき、この2種のポリチオール化合物はポリイソシア
ネート化合物との反応速度が異なるものとする。
シアネート化合物に、一般式(I)で表わされるアルキ
ル錫ハライド化合物を添加することにより、アルキル錫
ハライド化合物が容易に溶解し、中心厚、周縁厚の大き
いプラスチックレンズを製造するために使用モノマー量
が多くなる場合にも光学歪及び脈理が極めて少なくな
り、また精密な温度を必要とせず重合時間の短縮が可能
で、一つの重合炉に数百枚から数千枚のレンズを重合す
ることが可能となるという顕著な効果が得られることを
見い出した。
としては、例えばモノメチル錫トリクロリド、ジメチル
錫ジクロリド、トリメチル錫クロリド、ジブチル錫ジク
ロリド、トリブチル錫クロリド、トリブチル錫フロリ
ド、ジメチル錫ジブロミド等が挙げられる。使用量は、
用いるモノマーの種類や重合温度にも左右されるが、一
般にはモノマー混合物中に10〜10000ppm好ま
しくは50〜8000ppmの範囲になるように添加す
る。10〜10000ppmの範囲を外れると重合速度
の調整がむずかしくなり、光学歪や脈理が多くなり光学
用途に適さない。アルキル錫ハライド化合物の添加は0
℃〜室温の如く比較的低温で行なうのが好ましい。
アルキル錫ハライド化合物の添加により前述の効果が奏
せられるのであり、このアルキル錫ハライド化合物の代
りに、従来、ポリウレタンレンズの製造分野において、
触媒として同等的に取扱われているジブチルチンジラウ
レートなどのハロゲン非含有錫化合物を用いても本発明
の効果を達成することはできない。
ち、ポリイソシアネート化合物との反応速度が低いポリ
チオール化合物にもアルキル錫ハライド化合物を添加す
ることもできる。
物性を得るために、ポリイソシアネート化合物とポリチ
オール化合物の混合比は、−NCO基/−SH基モル比
が0.9〜1.2、特に好ましくは0.95〜1.10
の比率の範囲が好ましい。
剤、酸化防止剤などの添加剤を必要に応じて加えてもよ
い。
る。
ポリイソシアネート化合物および2種以上のポリチオー
ル化合物を一般式(I)のアルキル錫ハライド化合物と
ともに混合し、反応させてポリウレタンレンズを得る工
程である。
なった混合物をガラスまたは金属製のモールドと樹脂製
のガスケットを組合せたモールド型に注入して行なうの
が好ましい。モールドと成形レンズ樹脂との離型性を良
くするために、モールドを離型剤処理したり、モノマー
に離型剤を添加してもよい。重合時間、重合温度は、使
用するモノマーの種類にもよるが、一般に3〜96時
間、0〜130℃である。
4重量部に15℃の室温でジメチルチンジクロリド(以
下、DMTDClと記す)0.01重量部を混合撹拌し
た。
カプトアセテート)(以下、PETMAと記す)54重
量部およびジメルカプトメチルジチアン(以下DMMD
と記す)53重量部、ジブトキシエチルアシッドフォス
フェート及びブトキシエチルアシッドフォスフェートの
混合物0.10重量部を添加して十分混合した。なお、
モデル的に別途測定したPETMAのXDI混合直後の
混合物(−NCO基/−SH基=1.0)の粘度値およ
び2時間後の粘度値はそれぞれ45cpsおよび450
cpsであり、粘度の変化量(ΔV1 )は415cps
であった。またDMMDのXDI混合直後の混合物(−
NCO基/−SH基=1.0)の粘度値および2時間後
の粘度値はそれぞれ12cpsおよび13cpsであ
り、粘度の変化量(ΔV2 )は1cpsであった。従っ
てΔV1 とΔV2 との差は414cpsであり、PET
MAとDMMDはXDIとの反応速度が異なると判定さ
れた。次に混合物を5mmHg下で脱気した後、ガラス
型とポリウレタン系のガスケットよりなる成形型中に注
入し、しばらく放置して、120℃まで12時間かけて
昇温し、120℃にて3時間加熱した後、成形型からレ
ンズを取り出した。なお、鋳型(成形型)は、上型曲率
600mm、下型曲率120mmのガラス型を用い、レ
ンズの中心厚が5mm、径が75mmになるように鋳型
を組んだ。なお本実施例では一つの重合炉で200枚の
レンズを重合した。得られたレンズの評価結果を表1及
び表2に示す。
たすべてのポリウレタンレンズはくもりがなく、脈理、
光学歪がないものであった。
る。
折率計2Tを用いて20℃にて測定した。 透明性: 得られたレンズを暗所にて蛍光灯下で目視観
察し、レンズの曇り及び不透明物質の析出がないものを
(○)とし、明らかにあるものを(×)とした。 耐熱性: リガク社製TMA装置により測定した。加圧
ピンは径0.5mmのものを使用し、TMA(ペネトレ
ーション法)により昇温速度10℃/min、加重10
gの条件で、得られたチャートピーク温度により評価し
た。 耐候性: サンシャインカーボンア−クランプを装備し
たウェザーメーターにレンズをセットし200時間経過
したところで、試験前との色相を比較した。評価基準
は、ほとんど変化なしを(○)とし、わずかに黄変を
(△)、黄変を(×)とした。なお(△)の評価はわず
かに黄変しているものの実用上何ら支障のないものをい
う。 光学歪: ストレインスコープによる目視観察を行なっ
た。歪みが無いものを(○)とし、歪みが多いものを
(×)とした。 脈理: シュリーレン法による目視観察を行なった。脈
理がほとんどないものを(○)とし、脈理が多いものを
(×)とした。
リチオール化合物の組成を変えた以外はすべて実施例1
と同様に行い、ポリウレタンレンズを得た。2種のポリ
チオール化合物の粘度変化量ΔV1 とΔV2 との差(|
ΔV1 −ΔV2|)も表1,2に示した。表1,表2に
示すように、得られたすべてのポリウレタンレンズはく
もり、脈理、光学歪が生じないものであった。
ライド化合物の代りにジブチルチンラウレートを用いた
以外はすべて実施例1と同様にしてポリウレタンレンズ
を作製した。表3に示すように得られたポリウレタンレ
ンズは光学歪、脈理が大きく生じた。
MTDClを加えた以外はすべて実施例1と同様にして
プラスチックレンズを作製した。表3に示すように、本
比較例で得られたポリウレタンレンズは光学歪、脈理が
多く見られた。
によれば、中心厚、周縁厚が大きくても光学歪みの発生
が極めて少ないポリウレタンレンズを量産することがで
きる。
Claims (4)
- 【請求項1】 下記(イ)工程および(ロ)工程を含む
ことを特徴とするポリウレタンレンズの製造方法。 (イ)工程:ポリイソシアネート化合物およびこのポリ
イソシアネート化合物との反応速度が異なる2種以上の
ポリチオール化合物を用意し、前記ポリイソシアネート
化合物に、 一般式(I) (R1)c−Sn−X4-c (I) (式中、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基を表し、Xは弗素原子、塩素原子、臭素原子を表
し、cは1〜3の整数である。)で表わされるアルキル
錫ハライド化合物を添加する工程。 (ロ)工程:前記(イ)工程の後、ポリイソシアネート
化合物および2種以上のポリチオール化合物を一般式
(I)のアルキル錫ハライド化合物とともに混合し、反
応させてポリウレタンレンズを得る工程。◎(但し、前記2種以上のポリチオール化合物が、下記の
一般式(II) (R 2 ) a −C(CH 2 OCOCH 2 SH) b (II) (式中、R 2 はメチル基、エチル基を表し、aは0〜1
の整数、bは3〜4の整数を表し、a+b=4であ
る。)で表されるポリチオール化合物および下記の式
(III) 【化1】 で表されるポリチオール化合物を共に含む場合を除
く。) - 【請求項2】 前記2種以上のポリチオール化合物のう
ち、1種のポリチオール化合物は、一般式(II)または
式(III)で表わされるポリチオール化合物であり、他の
ポリチオール化合物は、ポリイソシアネート化合物との
反応速度が一般式(II)または式(III)で表わされる前
記ポリチオール化合物と異なるポリチオール化合物であ
ることを特徴とする請求項1記載のポリウレタンレンズ
の製造方法。 - 【請求項3】 2種以上のポリチオール化合物のうち、
ポリイソシアネート化合物との反応速度が低いポリチオ
ール化合物にもアルキル錫ハライド化合物を添加するこ
とを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 【請求項4】 ポリチオール化合物として2,5−ジメ
ルカプトメチル−1,4−ジチアンとペンタエリスリト
ールテトラキス(チオグリコレート)を用い、ポリイソ
シアネート化合物として1,3−ビス(イソシアナート
メチル)シクロヘキサンを用いることを特徴とする請求
項1に記載の方法。
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