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JP2669525B2 - 迅速凝固経路により製造されるクロム含有アルミニウム合金 - Google Patents

迅速凝固経路により製造されるクロム含有アルミニウム合金

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JP2669525B2
JP2669525B2 JP62506187A JP50618787A JP2669525B2 JP 2669525 B2 JP2669525 B2 JP 2669525B2 JP 62506187 A JP62506187 A JP 62506187A JP 50618787 A JP50618787 A JP 50618787A JP 2669525 B2 JP2669525 B2 JP 2669525B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は迅速凝固速度(RSR)経路により製造され
る、アルミニウムを主成分とし、クロムを含有する合金
に係る。 従来の高力加工インゴットアルミニウム合金は、該合
金の高い強度が依存する沈澱の粗粒化により、約150℃
以上の温度の熱安定性に制限があった。この沈澱の粗粒
化は、通常使用されている合金元素(例えば亜鉛、銅、
マグネシウム、ケイ素及び最近ではリチウム)のアルミ
ニウム中における拡散率が高く且つ平衡固溶解度が相当
の程度であることと、これらの比較的高い温度では沈澱
/マトリックス界面の界面エネルギーが顕著であること
が相俟って生じるものである。 高力加工インゴットアルミニウム合金の高温安定性を
改良するために他の合金元素を採用することが望ましい
が、上記以外の元素は最大平衡固溶解度が制限されるの
で、このような案は実現されていない。このような固溶
解度の制限の結果として、従来のインゴット経路では凝
固後に粗粒状の脆性の金属間化合物が形成される。 既知のインゴット経路の材料よりも良好な高温安定性
を有する高力アルミニウム合金が得られるならば望まし
いことである。RSR経路は平衡固溶解度の制限をなくす
ので、合金元素の枠を拡大する一方策となり、体積分率
が高く且つ適当な元素又は金属間化合物がより良好に分
散されたアルミニウムを主成分とする合金を製造するこ
とができる。このような金属間化合物の微細な分散系が
同様に均一に分布されるので、インゴット経路で材料を
製造する場合はこれらの合金元素が偏析する際に望まし
くない脆化を伴うが、このような事態を避けることがで
きる。更に、適当な元素により形成される金属間化合物
は融点が高く、これは該当温度での固体アルミニウム中
の低拡散性及び固溶解度に結び付けられるので、粗粒化
に対して高い耐性を備え得る(熱安定性が増加する)。 種々のRSR経路が確立されている。RSR経路の共通点
は、液相又は気相、通常は液相から合金を高い冷却速度
で冷却することである。H Jones著Rapid Solidificatio
n of Metals and Alloys(The Institution of Metallu
rgists刊論文集第8号)及び他の多くの文献には、溶
射、チル法及び溶接法のようなRSR法がある程度詳しく
記載されている。種々のRSR経路は冷却速度の調節に関
する能力が相互に異なる。分散の微細度及び固溶解度の
拡大は溶融物からの冷却速度に依存する。 従来の研究者は、熱安定性の改良に結び付けられる良
好な強度を有するアルミニウム合金を製造するためにRS
R法を使用しようと試みた。従来研究されている2元合
金としては、アルミニウム−鉄、アルミニウム−クロ
ム、アルミニウム−マンガン及びアルミニウム−ジルコ
ニウムがある。米国特許第4347076号は、鉄、クロム、
ニッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、チタン、
ジルコニウム、モリブデン、タングステン及びホウ素の
1種以上を5/16重量%配合したアルミニウムの範囲内で
広い範囲の組成を開示しているが、これらの組み合わせ
のうちでアルミニウム−鉄をベースとする組成以外のも
のはほとんどない。 広く研究されているアルミニウム−鉄の系に基づく開
発の2つの欠点は、偏析がなく及び/又は固溶範囲の広
い固溶体を生成するために必要な迅速凝固条件が標準迅
速凝固処理の限界に近付くこと、及びこれらの固溶体内
の微細規模の分解は固溶体を最も固い条件にし、団結
(consolidation)が非常に困難になることである。 これらの制限の両方を軽減することにより加工性を助
長する必要性から、合金開発の別のベースとしてアルミ
ニウム−ジルコニウム、アルミニウム−クロム及びアル
ミニウム−マンガン系及びそれらの組み合わせの可能性
が検討されるようになった。これらの系はいずれも迅速
凝固のチル−キャスティング条件下でも固溶開度の拡大
を示し始め、固溶範囲の拡大した固溶体は固体状態での
分解に対して著しく耐性である。こうして迅速凝固条件
下で固溶範囲の広い固溶体を生成することができ、より
低い圧力で十分な団結が得られる。この後、従来の加工
合金と同様に適当な熱又は熱機械的処理により、材料の
強度を十分に引き出すことができる。クロム及びジルコ
ニウムのような添加物はアルミニウム格子中の拡散率が
著しく低いので、必要な時効温度は、ジルコニウム、ク
ロム及びマンガンに結び付けられるケイ素の添加に基づ
く従来の時効硬化合金の温度(例えば160℃)よりも著
しく高い(例えば400℃)。この研究の結果、英国特許
第2146352号のアルミニウム−クロム−ジルコニウム−
マンガン合金が開発されるに至った。 近年、Xにジルコニウム以外の元素を使用するアルミ
ニウム−クロム−X系を検討するべく種々の試みが試さ
れている。記録されている組成には、アルミニウム−5
重量%クロム−1重量%X(Xはケイ素、マンガン、
鉄、コバルト、ニッケル、銅及びジルコニウムであ
る)、並びにアルミニウム−3.5重量%クロム−1重量
%X(Xはケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、ニ
ッケル及びジルコニウムである)がある。これらの実験
は市販できるような合金を開発するには至っていない。 本発明の目的は、商業上主要な対象であった従来技術
のRSRアルミニウム合金に関連して(150〜200℃の温度
範囲で)強度及び構造安定性の改良された組み合わせを
有する、RSR経路により製造されるアルミニウムを主成
分とする合金を考案することである。本発明の利点は、
Al−1.5Cr−5Zr−1.4Mn、Al−8Fe−4Ce、及びAl−8Fe−
2Mo(全割合は重量%である)の参考従来技術合金に比
較して判断される。これらの合金の一般的な特性は従来
技術の文献に報告されているので、本明細書中には言及
しない。本発明の第2の目的は、現在のエンジンで使用
されているチタンをベースとする材料に代わり、ガスタ
ービンエンジン用の圧縮機羽根材料として使用するのに
適当な特性の組み合わせを有するようなアルミニウムを
ベースとするRSR合金を製造することである。 本発明は迅速凝固法により形成されるアルミニウム合
金に係り、該合金は主に、クロム1〜7重量%、X6重量
%まで、ジルコニウム0〜4重量%、アルミニウム残部
(場合によっては不可避不純物も含有する)から構成さ
れ、ここでXはニオブ、モリブデン、ハフニウム、タン
タル、及びタングステンから成る耐熱金属元素の群から
選択される元素の1種以上であり、 a.Xは1重量%以上の量を配合されるか、又は b.Xは1重量%よりやや少量を配合されるが、その場
合、クロム、X及びジルコニウム(配合される場合)の
合計量は5重量%以上とする。 以下の文中で示す全組成は重量%で表した割合ある。
本発明の合金は上記参考組成物と同等の室温引張強さを
有するのみならず、長時間高温に露呈後(スプラットレ
ベルの)微小硬度の測定により、熱安定性の改良を示
す。 好ましくは合金は少なくとも4%のクロムを含有す
る。合金中にジルコニウムが存在する場合、その含有量
は好ましくは0.5〜3.5%の範囲である。 上限で合金成分を有する組成(過飽和度の高い合金)
として本発明の合金を製造するためには、十分高い冷却
速度に達する十分なRSR法を使用する必要がある。実験
室の標本にはスプラットクエンチングを使用したが、工
業規模の作業にはガス噴霧又はプレーナフローキャステ
ィング(planar flow casting)のような方法が好適で
ある。 本発明の好適な亜種を以下に挙げる。 (a)アルミニウム−1/7クロム−ハフニウム6まで (b)アルミニウム−4/5クロム−2/5ハフニウム (c)アルミニウム−1/7クロム−1/6ニオブ、モリブデ
ン又はタングステン−0.5/3.5ジルコニウム。 本発明の合金の例を以下の第1〜3表に挙げる。これ
らの表は、本発明の合金を前出の従来技術の参考組成と
して製造した材料に比較するものである。第1表及び第
2表に示す材料は、H Jonesの上記文献の11及び12頁に
記載されている2本ピストン法によりアルゴン雰囲気中
で製造されたRSRスプラット形の材料である。この方法
によると、標本を浮遊させ、誘導加熱し、重力下で液体
を落下させ、2本の衝撃ピストンの間でチル冷却する。
スプラットは典型的には厚さ50mmである。 第1表は、1種の耐熱金属を含有し且つジルコニウム
を含有しない合金の微小硬度の維持を示す。既知の組成
と比較した。 全例の微小硬度は基本的なAl−5Cr系よりも向上して
いる。微小硬度のピーク値は、この最大値を生じるよう
に熱処理を選択するので、最も重要である。 組成Al−5Cr−5.3Hfは161±9kgmm-2で最良のピーク値
を示す。これは、Al−Fe+Mo又はCe以外の基本的3元組
成を有する全比較組成合金よりも優れている。もっと
も、Al−Fe合金はスプラット形成時の状態でピーク値を
示し、微小硬度はそれ以後低下し、あらゆる加工は冷温
で行わなければならないことを考慮すると、機械加工等
は困難になる。 第2表は、ジルコニウム及びクロムの添加に基づく本
発明の4元合金を、Al−4.6Cr−1.7Zr−1.2Mn(重量
%)の組成を有する従来技術の合金に比較したものであ
る。ニオブ又はタングステンを有する合金は最良のピー
ク値を有しており、タングテン合金は特に比較データに
対する実質的な改良を示す。 第3表に示した材料は、高圧アルゴン噴霧により20μ
mの平均粒子寸法に作成したRSR粉末から製造した。粉
末を円筒に入れ、押出成形温度(300℃)で4時間真空
室で脱ガスした。次に円筒を密閉し、16.1の縮小比で材
料を円形の棒状に押出成形した。 第3表は、高い微小硬度ピーク値を有する合金例の引
張特性を示す。これらの合金は従来技術の参考組成であ
るAl−5Cr−1.5Zrに比較すると非常に有利であることが
認められる。 X=Taの合金については表中に明記しなかったが、同
等に改良された結果が得られるものと予想される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 プラツト,チヤールズ・ロバート イギリス国、ウエールズ、ウエスト・グ ラモーガン、ニース、ブリノツチ、イラ イアース・ドライブ・4 (72)発明者 ガーデイナー,ロバート・ウイリアム イギリス国、サリー、パーンハム、ヒー ス・エンド、ザ・クレツセント・32 (72)発明者 レストール,ジエームス・エドワード イギリス国、サリー・ジー・ユー・15・ 1・デイー・エヌ、キヤンベリー、カル バン・クローズ・24 (56)参考文献 特開 昭59−116352(JP,A) 特開 昭57−116741(JP,A) 特開 昭62−250146(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.迅速凝固により形成され、改良された高温安定性を
    有する高強度アルミニウム合金であって、クロム1〜7
    重量%、X6重量%まで、及びアルミニウム残部から構成
    され、ここでXはニオブ、モリブデン、ハフニウム、タ
    ンタル、及びタングステンから成る耐熱金属元素の群か
    ら選択される元素の1種以上であることを特徴とする前
    記合金。 2.Xが1重量%以上である請求項1に記載のアルミニ
    ウム合金。 3.クロムとXの合計量が5重量%以上である請求項1
    又は2に記載のアルミニウム合金。 4.少なくとも4重量%のクロムを含有していることを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアルミニ
    ウム合金。 5.Xが前記耐熱金属元素群から選択された1種の元素
    であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記
    載のアルミニウム合金。 6.クロム1〜7重量%、ハフニウム6重量%まで、ア
    ルミニウム残部の組成から構成されることを特徴とする
    請求項1乃至5のいずれかに記載のアルミニウム合金。 7.クロム4〜5重量%、ハフニウム2〜5重量%、残
    部アルミニウムの組成から構成されることを特徴とする
    請求項6に記載のアルミニウム合金。 8.クロム5重量%、ハフニウム5重量%、残部アルミ
    ニウムの公称組成を有することを特徴とする請求項1に
    記載のアルミニウム合金。 9.迅速凝固により形成され、改良された高温安定性を
    有する高強度アルミニウム合金であって、クロム1〜7
    重量%、X6重量%まで、ジルコニウム4重量%まで、及
    びアルミニウム残部から構成され、ここでXはニオブ、
    モリブデン、ハフニウム、タンタル、及びタングステン
    から成る耐熱金属元素の群から選択される元素の1種以
    上であることを特徴とする前記合金。 10.Xが1重量%以上である請求項9に記載のアルミ
    ニウム合金。 11.クロム、X及びジルコニウムの合計量が5重量%
    以上であることを特徴とする請求項9又は10に記載のア
    ルミニウム合金。 12.少なくとも4重量%のクロムを含有していること
    を特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載のアルミ
    ニウム合金。 13.Xが前記耐熱金属元素群から選択された1種の元
    素であることを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに
    記載のアルミニウム合金。 14.0.5〜3.5重量%のジルコニウムを含有しているこ
    とを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載のアル
    ミニウム合金。 15.クロム1〜7重量%、ハフニウム6重量%まで、
    の組成を有することを特徴とする請求項9乃至14のいず
    れかに記載のアルミニウム合金。 16.クロム4〜5重量%、ハフニウム2〜5重量%の
    組成を有することを特徴とする請求項15に記載のアルミ
    ニウム合金。 17.クロム1〜7重量%、X1〜6重量%(Xはニオブ
    又はモリブデン又はタングステンである)、ジルコニウ
    ム0.5〜3.5重量%、残部アルミニウムの組成から構成さ
    れることを特徴とする請求項9に記載のアルミニウム合
    金。 18.クロム4〜7重量%、X1〜2重量%、ジルコニウ
    ム1〜3重量%、残部アルミニウムの組成から構成され
    ることを特徴とする請求項17に記載のアルミニウム合
    金。 19.クロム5重量%、ハフニウム5重量%の公称組成
    を有することを特徴とする請求項9に記載のアルミニウ
    ム合金。 20.クロム5重量%、ジルコニウム1.5〜2重量%、X
    1〜1.5重量%(Xはニオブ又はタングステンである)、
    残部アルミニウムの公称組成を有することを特徴とする
    請求項9に記載のアルミニウム合金。
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