JPH0762199B2 - A1基合金 - Google Patents
A1基合金Info
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- JPH0762199B2 JPH0762199B2 JP62111982A JP11198287A JPH0762199B2 JP H0762199 B2 JPH0762199 B2 JP H0762199B2 JP 62111982 A JP62111982 A JP 62111982A JP 11198287 A JP11198287 A JP 11198287A JP H0762199 B2 JPH0762199 B2 JP H0762199B2
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- alloys
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、粉末冶金法によって製造されるAl−Cr系合金
に関するものであり、詳細にはAl−Cr系合金においてCr
の添加量を規定すると共に、更にTi及びFeを必要量添加
することにより耐熱性、塑性加工性、靱性及び強度の調
和のとれた合金を提供するものである。
に関するものであり、詳細にはAl−Cr系合金においてCr
の添加量を規定すると共に、更にTi及びFeを必要量添加
することにより耐熱性、塑性加工性、靱性及び強度の調
和のとれた合金を提供するものである。
[従来の技術] Al合金は軽量で塑性加工性が良好であるなど優れた特徴
を有しており、自動車や航空機等の軽量化要求が厳しい
産業分野において、Feに代わり得る材料として用途の拡
大が期待されている。例えば自動車産業分野において
は、とくにコンロッドなどの高温雰囲気下で可動する部
分を軽量化しエンジンの高性能化を図ろうとする動きが
あり、従来の鉄に代わり得る軽量で且つ高強度な材料の
出現が待ち望まれている。
を有しており、自動車や航空機等の軽量化要求が厳しい
産業分野において、Feに代わり得る材料として用途の拡
大が期待されている。例えば自動車産業分野において
は、とくにコンロッドなどの高温雰囲気下で可動する部
分を軽量化しエンジンの高性能化を図ろうとする動きが
あり、従来の鉄に代わり得る軽量で且つ高強度な材料の
出現が待ち望まれている。
しかしながら、各種のエンジン部品など高温雰囲気下で
一定の強度が要求される部品には、従来型の溶解鋳造Al
合金(I/M合金;ingot metallurgy)を適用することは困
難であった。たとえば従来型I/M合金のうち最も耐熱強
度が高いとされる2000系合金の場合、その強度は主とし
て主要添加元素であるCuおよびMgの析出相によってもた
らされており、析出相の粗大化を招く150℃以上の温度
域においては急激な軟化が起こるためもはや強度部材と
しての使用が困難となる。
一定の強度が要求される部品には、従来型の溶解鋳造Al
合金(I/M合金;ingot metallurgy)を適用することは困
難であった。たとえば従来型I/M合金のうち最も耐熱強
度が高いとされる2000系合金の場合、その強度は主とし
て主要添加元素であるCuおよびMgの析出相によってもた
らされており、析出相の粗大化を招く150℃以上の温度
域においては急激な軟化が起こるためもはや強度部材と
しての使用が困難となる。
こうした事情の下で各産業分野の要求に応えるため、近
年急冷凝固法を適用した各種のAl基合金が開発されてき
た。即ちFe,Cr,Mn,Ni,Ti,Zr,V等の金属元素を含む溶融A
l合金を粉末等の微小体に急冷凝固させ、これを粉末冶
金法により塊状に固化させれば、上記金属元素を含む高
温でも安定な化合物がAlマトリックス中に微細に分散さ
れるため、高温強度の著しい改善が期待できるのであ
る。
年急冷凝固法を適用した各種のAl基合金が開発されてき
た。即ちFe,Cr,Mn,Ni,Ti,Zr,V等の金属元素を含む溶融A
l合金を粉末等の微小体に急冷凝固させ、これを粉末冶
金法により塊状に固化させれば、上記金属元素を含む高
温でも安定な化合物がAlマトリックス中に微細に分散さ
れるため、高温強度の著しい改善が期待できるのであ
る。
このような急冷粉末冶金合金としては、これまで主とし
てAl−Fe系をベースとしたものが盛んに研究されてお
り、Al−Fe−Ce合金などすぐれた耐熱強度を有する合金
が開発されている。またとくに最近においては、たとえ
ばL.Katgermanらの報告(P/M Aerospace Materials 12
−14Nov.1984)にあるようにAl−Cr系をベースとする合
金の優れた耐熱性が注目を集めるにいたっている。
てAl−Fe系をベースとしたものが盛んに研究されてお
り、Al−Fe−Ce合金などすぐれた耐熱強度を有する合金
が開発されている。またとくに最近においては、たとえ
ばL.Katgermanらの報告(P/M Aerospace Materials 12
−14Nov.1984)にあるようにAl−Cr系をベースとする合
金の優れた耐熱性が注目を集めるにいたっている。
[発明が解決しようとする課題] Al−Crをベースとする合金としては、米国特許第403379
3号や特開昭59−116352号に開示されたものを挙げるこ
とができ、これらは各々優れた特徴を有している。
3号や特開昭59−116352号に開示されたものを挙げるこ
とができ、これらは各々優れた特徴を有している。
しかしながら実用材料として考えた場合、要求される特
性は耐熱性のみならず、塑性加工性が良好でまた靱世及
び強度が高いことが重要である。例えばコンロッド等複
雑形状の部品にこれらの合金を適用しようとした場合、
熱間鍛造加工が可能であることはコスト上の観点から必
要条件であるし、同時に一定の応力集中を不可避的に受
けることから切り欠き感受性は低いほど好ましい。
性は耐熱性のみならず、塑性加工性が良好でまた靱世及
び強度が高いことが重要である。例えばコンロッド等複
雑形状の部品にこれらの合金を適用しようとした場合、
熱間鍛造加工が可能であることはコスト上の観点から必
要条件であるし、同時に一定の応力集中を不可避的に受
けることから切り欠き感受性は低いほど好ましい。
これ迄に研究開発が行なわれてきた合金はこのような実
用上不可欠な諸特性を同時に兼ね備えるまでには至って
おらず、上述の諸特性のバランスのとれた合金を開発す
ることは極めて意義の深いことである。そこで本発明者
等はAl−Crベース合金の高い耐熱性に着目し、この系を
基本に各種添加元素の種類および添加量について検討を
行ない本発明を完成するに至ったものである。
用上不可欠な諸特性を同時に兼ね備えるまでには至って
おらず、上述の諸特性のバランスのとれた合金を開発す
ることは極めて意義の深いことである。そこで本発明者
等はAl−Crベース合金の高い耐熱性に着目し、この系を
基本に各種添加元素の種類および添加量について検討を
行ない本発明を完成するに至ったものである。
[課題を解決するための手段] 本発明に係る耐熱性、塑性加工性、靱性に優れ高強度な
Al基合金とは、粉末冶金法により製造されるAl基合金で
あって、Cr:5〜10%、Ti:0.5〜3%、及びFe:1%超2.5
%未満を含み、残部Al及び不可避不純物から構成され、
且つ条件式Cr+Fe+Ti≦10.5%及びCr+1.2Fe+0.6Ti≦
10%を満足するところにその要旨が存在するものであ
る。さらに条件式Cr+2.4Fe+1.2Ti≧10%を満足させる
ことによって、より一層高い強度を有するAl基合金を得
ることができる。
Al基合金とは、粉末冶金法により製造されるAl基合金で
あって、Cr:5〜10%、Ti:0.5〜3%、及びFe:1%超2.5
%未満を含み、残部Al及び不可避不純物から構成され、
且つ条件式Cr+Fe+Ti≦10.5%及びCr+1.2Fe+0.6Ti≦
10%を満足するところにその要旨が存在するものであ
る。さらに条件式Cr+2.4Fe+1.2Ti≧10%を満足させる
ことによって、より一層高い強度を有するAl基合金を得
ることができる。
[作用] 本発明は基本的にはAlに対するCrの耐熱性付与効果に着
目し、これを利用するものであるが、Ti及びFeを添加し
てこれらの特性を高めるとともに、それらの配合量を適
正に調整することにより塑性加工性、靱性の良好なAl基
合金を提供したものである。
目し、これを利用するものであるが、Ti及びFeを添加し
てこれらの特性を高めるとともに、それらの配合量を適
正に調整することにより塑性加工性、靱性の良好なAl基
合金を提供したものである。
尚本発明に係るAl基合金は、前述の説明からも明らかな
様に粉末冶金法で製造されることを前提とするものであ
って、粉末冶金法の採用により特有の作用効果を発揮す
るものである。
様に粉末冶金法で製造されることを前提とするものであ
って、粉末冶金法の採用により特有の作用効果を発揮す
るものである。
即ち本発明Al合金はAlマトリックス中に合金元素が微細
分散されたものである必要があるが、溶解鋳造法では冷
却速度が緩やかである為微細分散組織の形成は困難であ
る。これに対し粉末冶金法は溶融Al合金を急冷凝固して
微細な粉末、箔片、フレーク、リボン等を製造し、これ
らを材料として所望形状の塊状Al合金に固化成形する方
法であり、急冷凝固法を採用するので金属間化合物がマ
トリックス中に微細分散した組織を得ることができる。
分散されたものである必要があるが、溶解鋳造法では冷
却速度が緩やかである為微細分散組織の形成は困難であ
る。これに対し粉末冶金法は溶融Al合金を急冷凝固して
微細な粉末、箔片、フレーク、リボン等を製造し、これ
らを材料として所望形状の塊状Al合金に固化成形する方
法であり、急冷凝固法を採用するので金属間化合物がマ
トリックス中に微細分散した組織を得ることができる。
ただし合金元素が高温条件下で拡散性の大きい元素であ
ると、たとえ急冷凝固法を採用して微細組織の粉末材料
を形成しても焼結時あるいは高温使用環境下においては
合金元素が拡散してミクロ組織の粗大化を招き、高温強
度等が低下する。従って高温Alマトリックス中での拡散
性が小さい合金元素を選択することが必要であり、Crを
はじめとしてTi及びFeもこうした観点から選択されてい
る。しかるにこれらの合金元素の多量添加は加工性等を
阻害するのでそのマイナス面も考慮する必要があり、合
金元素の選択並びにその添加量の設計はこれらの観点か
ら総合的に決定されている。
ると、たとえ急冷凝固法を採用して微細組織の粉末材料
を形成しても焼結時あるいは高温使用環境下においては
合金元素が拡散してミクロ組織の粗大化を招き、高温強
度等が低下する。従って高温Alマトリックス中での拡散
性が小さい合金元素を選択することが必要であり、Crを
はじめとしてTi及びFeもこうした観点から選択されてい
る。しかるにこれらの合金元素の多量添加は加工性等を
阻害するのでそのマイナス面も考慮する必要があり、合
金元素の選択並びにその添加量の設計はこれらの観点か
ら総合的に決定されている。
一方急冷凝固時の冷却速度に関しても粗大化合物の晶出
を防止する配慮が必要であり、冷却速度は103K/sec以上
に設定することが望まれる。これは上記各元素の平衡固
溶限が極めて小さく、上記冷却速度未満で冷却した場合
著しく粗大な化合物の晶出を招き、目的とする微細分散
金属組織を得ることができないからである。尚103K/sec
以上の冷却速度を得る手段については特に制限はない
が、いずれにせよAl合金溶湯を熱容量の小さな微細固体
として凝固させる必要があり、該微細凝固体を塊状固体
とするには粉末冶金の手法が必要となることから本発明
Al基合金は粉末冶金法で製造されたものであることを必
須要件としている。尚103K/sec以上の冷却速度を得る具
体的手段としてはロール法やアトマイズ法が例示され
る。又アトマイズ法の実施に当たってはその種類や条件
について何ら制限を受けないが、アトマイズ粉末材表面
の酸化の抑制することによって成形性をより一層向上せ
しめることができるので、アトマイズ用流体として不活
性ガスを用いることが推奨される。但し液体アトマイズ
や空気アトマイズ等の適用も勿論可能である。
を防止する配慮が必要であり、冷却速度は103K/sec以上
に設定することが望まれる。これは上記各元素の平衡固
溶限が極めて小さく、上記冷却速度未満で冷却した場合
著しく粗大な化合物の晶出を招き、目的とする微細分散
金属組織を得ることができないからである。尚103K/sec
以上の冷却速度を得る手段については特に制限はない
が、いずれにせよAl合金溶湯を熱容量の小さな微細固体
として凝固させる必要があり、該微細凝固体を塊状固体
とするには粉末冶金の手法が必要となることから本発明
Al基合金は粉末冶金法で製造されたものであることを必
須要件としている。尚103K/sec以上の冷却速度を得る具
体的手段としてはロール法やアトマイズ法が例示され
る。又アトマイズ法の実施に当たってはその種類や条件
について何ら制限を受けないが、アトマイズ粉末材表面
の酸化の抑制することによって成形性をより一層向上せ
しめることができるので、アトマイズ用流体として不活
性ガスを用いることが推奨される。但し液体アトマイズ
や空気アトマイズ等の適用も勿論可能である。
以下本発明Al基合金における各元素の作用および数値限
定の理由について説明する。
定の理由について説明する。
Cr;5〜10% CrはAl中における拡散速度が小さい元素である。従って
急冷凝固法によってAlマトリックス中に強制的に固溶さ
れたCr乃至微細分散されたAl−Cr化合物は、常温におい
ては勿論のこと、高温においても凝集、粗大化されにく
く、従って高温下における強度低下を防ぐ効果が著し
い。この効果を期する為には、少なくとも5%以上の添
加が必要であるが、10%を超えて添加すると如何に急冷
凝固に依ったといえども、粗大な晶出物の形成を防止で
きず、期待される効果が得られないばかりか、むしろ塑
性加工性、靱性の低下を招く。
急冷凝固法によってAlマトリックス中に強制的に固溶さ
れたCr乃至微細分散されたAl−Cr化合物は、常温におい
ては勿論のこと、高温においても凝集、粗大化されにく
く、従って高温下における強度低下を防ぐ効果が著し
い。この効果を期する為には、少なくとも5%以上の添
加が必要であるが、10%を超えて添加すると如何に急冷
凝固に依ったといえども、粗大な晶出物の形成を防止で
きず、期待される効果が得られないばかりか、むしろ塑
性加工性、靱性の低下を招く。
Ti;0.5〜3% TiはCrとの共存下において、Al合金の常温ならびに高温
下における強度を高める効果を有する。この効果は後述
するFeの効果に比べて小さく、Ti量が0.5%を越える領
域において顕著化する。また同時にTiはその添加量の増
大に伴う合金の靱性低下が緩やかであり、耐熱性向上の
効果に比べ靱性を阻害することが少ない。
下における強度を高める効果を有する。この効果は後述
するFeの効果に比べて小さく、Ti量が0.5%を越える領
域において顕著化する。また同時にTiはその添加量の増
大に伴う合金の靱性低下が緩やかであり、耐熱性向上の
効果に比べ靱性を阻害することが少ない。
しかしながらTiは高融点金属のため合金の液相線を著し
く高める作用を有し、3%を越える添加を行おうとする
と、溶解温度が著しく高温となりAlの著しい酸化、るつ
ぼ等の耐火物と合金の反応などの問題点を招き製造に困
難を来す。
く高める作用を有し、3%を越える添加を行おうとする
と、溶解温度が著しく高温となりAlの著しい酸化、るつ
ぼ等の耐火物と合金の反応などの問題点を招き製造に困
難を来す。
Fe;1%超2.5%未満 FeはCrとの共存下において、Al合金の常温ならびに高温
下における強度を著しく高める効果を有する。この効果
は前述したTiの効果に比べて大きいが、同時にFeは合金
の靱性を低下させる作用を有する。従って、本発明では
Feを1%超2.5%未満含有させることとするが、より好
ましくは1%超2.0%以下である。
下における強度を著しく高める効果を有する。この効果
は前述したTiの効果に比べて大きいが、同時にFeは合金
の靱性を低下させる作用を有する。従って、本発明では
Feを1%超2.5%未満含有させることとするが、より好
ましくは1%超2.0%以下である。
残部;Alおよび不可避不純物 本発明に係る合金の製造に用いるAl地金は、Al地金とし
て市販される純度97%以上(再生地金を含む)のもので
あればその如何を問わないが、純度99%以上の1次地金
を用いることが好ましい。
て市販される純度97%以上(再生地金を含む)のもので
あればその如何を問わないが、純度99%以上の1次地金
を用いることが好ましい。
Cr+Fe+Tiの合計;10.5(好ましくは10)以下 本発明の合金において上式の合計が10.5を越えると、塑
性加工に重要な伸びおよび絞りが著しく低下する。した
がって塑性加工性が要求される場合、上式の合計が10.5
を越えない範囲で配合を設定することが必要である。ま
た上式の合計が10.5の場合には伸びおよび絞り値がばら
つくため、これを防ぐ意味で上式の合計は10以下である
ことが望ましい。
性加工に重要な伸びおよび絞りが著しく低下する。した
がって塑性加工性が要求される場合、上式の合計が10.5
を越えない範囲で配合を設定することが必要である。ま
た上式の合計が10.5の場合には伸びおよび絞り値がばら
つくため、これを防ぐ意味で上式の合計は10以下である
ことが望ましい。
Cr+1.2Fe+0.6Tiの合計;10以下 本発明の合金において上式の合計が10を越えると、合金
の靱性が著しく低下する。したがって靱性が要求される
場合、上式の合計が10を越えない範囲で配合を設定する
ことが必要である。
の靱性が著しく低下する。したがって靱性が要求される
場合、上式の合計が10を越えない範囲で配合を設定する
ことが必要である。
本発明に係るAl基合金は、上記構成要件を満足すること
によって、優れた耐熱性、塑性加工性、靱性を発揮する
と共に、強度としては従来の構造用合金並以上の常温強
度、具体的には30Kg/mm2以上を示すものであるが、さら
に常温強度を従来の高力合金並以上(具体的には40Kg/m
m2以上)にしたい場合には、Cr+2.4Fe+1.2Ti≧10% を満足する様に、Cr,Fe,Ti量を設定すれば良い。
によって、優れた耐熱性、塑性加工性、靱性を発揮する
と共に、強度としては従来の構造用合金並以上の常温強
度、具体的には30Kg/mm2以上を示すものであるが、さら
に常温強度を従来の高力合金並以上(具体的には40Kg/m
m2以上)にしたい場合には、Cr+2.4Fe+1.2Ti≧10% を満足する様に、Cr,Fe,Ti量を設定すれば良い。
[実施例] 以下実施例に基づき本発明に係るAl基合金についてさら
に詳細に説明する。
に詳細に説明する。
第1表に掲げる各組成(残部Alおよび不可避不純物)の
合金を大気炉で溶製し、この溶湯を窒素雰囲気中でアト
アイズして微細な合金粉末を得た。尚No.15,16で示す合
金は従来のI/M材である。これら合金粉末を、回収後篩
分法により200メッシュアンダー(74μm以下)に分級
して粒度分布を調整した。この際の粉末の平均粒度は30
〜40μmであった。
合金を大気炉で溶製し、この溶湯を窒素雰囲気中でアト
アイズして微細な合金粉末を得た。尚No.15,16で示す合
金は従来のI/M材である。これら合金粉末を、回収後篩
分法により200メッシュアンダー(74μm以下)に分級
して粒度分布を調整した。この際の粉末の平均粒度は30
〜40μmであった。
次に粒度調整された粉末を5052合金製の缶(外径70mm;
長さ200mm)中に充填し、缶の一端に設けられた脱気孔
より真空ポンプで缶内を吸引脱気しつつ350℃の雰囲気
中で約2時間の加熱を行なった。尚この脱気処理終了時
の到達真空度は約1×10-3Torrであった。
長さ200mm)中に充填し、缶の一端に設けられた脱気孔
より真空ポンプで缶内を吸引脱気しつつ350℃の雰囲気
中で約2時間の加熱を行なった。尚この脱気処理終了時
の到達真空度は約1×10-3Torrであった。
脱気処理の完了した粉末をさらに缶ごと480℃の雰囲気
中で2時間加熱し静水圧押出法により、押出比約20で熱
間押出加工して実質的に緻密な押出丸棒(外径15.5mm)
を得た。
中で2時間加熱し静水圧押出法により、押出比約20で熱
間押出加工して実質的に緻密な押出丸棒(外径15.5mm)
を得た。
このようにして得られた丸棒について以下に示す各種の
引張試験を実施した。
引張試験を実施した。
1)常温引張試験 試験片形状……平行部径6mm×平行部長さ36mm(標点間
距離30mm) 試験方法……ASTM B557Mによる 2)切欠引張試験 試験片形状……試験部長さ30mm、バレル径12.7mm ノッチ部谷径8.96mm ノッチ角60゜ ノッチ先端R0.018mm以下 試験方法、条件……ASTM E602による 3)高温引張試験 試験片形状……平行部径6mm×平径部長さ36mm 試験方法……試験温度300℃ 保持時間20分間 その他の条件 ASTM E21による 以上の方法ならびに条件により得られた各種引張試験の
結果を第1表に併記する。
距離30mm) 試験方法……ASTM B557Mによる 2)切欠引張試験 試験片形状……試験部長さ30mm、バレル径12.7mm ノッチ部谷径8.96mm ノッチ角60゜ ノッチ先端R0.018mm以下 試験方法、条件……ASTM E602による 3)高温引張試験 試験片形状……平行部径6mm×平径部長さ36mm 試験方法……試験温度300℃ 保持時間20分間 その他の条件 ASTM E21による 以上の方法ならびに条件により得られた各種引張試験の
結果を第1表に併記する。
尚、表中においてσ0.2は耐力、σBは引張強さ、δは
伸び、ψは絞りを示す。またσNTS/σ0.2は、切欠引張
強度と常温耐力の比であり、該σNTS/σ0.2値は引張荷
重に対する切欠感受性の程度(値が小さいほど切欠感受
性は高い)を示すと同時に、靱性評価のパラメータの1
つとしてはしばしば採用されており、通常σNTS/σ0.2
値は1以上が要求されている。
伸び、ψは絞りを示す。またσNTS/σ0.2は、切欠引張
強度と常温耐力の比であり、該σNTS/σ0.2値は引張荷
重に対する切欠感受性の程度(値が小さいほど切欠感受
性は高い)を示すと同時に、靱性評価のパラメータの1
つとしてはしばしば採用されており、通常σNTS/σ0.2
値は1以上が要求されている。
No.1〜6は本発明の条件をすべて満足する実施例であ
り、従来のI/M材(No.15,16)と比較して優れた特性を
示し、耐熱性、塑性加工性、靱性、強度のいずれも優れ
ていることが分かる。
り、従来のI/M材(No.15,16)と比較して優れた特性を
示し、耐熱性、塑性加工性、靱性、強度のいずれも優れ
ていることが分かる。
No.7はFeを含有していないAl−6Cr−1Ti合金であり、N
o.8,9はこれにFeを添加した合金であり、常温強度なら
びに高温強度を比較すると第1図が得られた。この図よ
りFeの添加による強度および耐熱性向上の効果が明らか
に認められる。但し、No.8,9は、パラメータの[Cr+
1.2Fe+0.6Ti]量が10を越えており、σNTS/σ0.2の値
が1未満であり、靱性が低い。No.10〜14はパラメータ
の[Cr+Fe+Ti]量が本発明範囲外であり、伸び
(δ)及び絞り(ψ)の値が小さく、塑性加工性に乏し
い。第2図は第1表のデータに基づいてパラメータの
[Cr+Fe+Ti]量と常温引張試験における伸び(δ)、
絞り(ψ)の関係をプロットしたものであるが、[Cr+
Fe+Ti]量が10.5を越える領域においては伸び及び絞り
が夫々極端に低下いており、[Cr+Fe+Ti]量が10.5以
下に設定すべきことが分かる。
o.8,9はこれにFeを添加した合金であり、常温強度なら
びに高温強度を比較すると第1図が得られた。この図よ
りFeの添加による強度および耐熱性向上の効果が明らか
に認められる。但し、No.8,9は、パラメータの[Cr+
1.2Fe+0.6Ti]量が10を越えており、σNTS/σ0.2の値
が1未満であり、靱性が低い。No.10〜14はパラメータ
の[Cr+Fe+Ti]量が本発明範囲外であり、伸び
(δ)及び絞り(ψ)の値が小さく、塑性加工性に乏し
い。第2図は第1表のデータに基づいてパラメータの
[Cr+Fe+Ti]量と常温引張試験における伸び(δ)、
絞り(ψ)の関係をプロットしたものであるが、[Cr+
Fe+Ti]量が10.5を越える領域においては伸び及び絞り
が夫々極端に低下いており、[Cr+Fe+Ti]量が10.5以
下に設定すべきことが分かる。
また第3図は、パラメータの[Cr+1.2Fe+0.6Ti]量
とσNTS/σ0.2値をプロットしたグラフであり、σNTS/
σ0.2値は[Cr+1.2Fe+0.6Ti]量に対しほぼ直線的に
変化しており、σNTS/σ0.2値が1以上となるように
(即ち切欠による応力集中下においても強度低下がほと
んど起こらないように)するためには[Cr+1.2Fe+0.6
Ti]量を10以下にすべきことが分かる。
とσNTS/σ0.2値をプロットしたグラフであり、σNTS/
σ0.2値は[Cr+1.2Fe+0.6Ti]量に対しほぼ直線的に
変化しており、σNTS/σ0.2値が1以上となるように
(即ち切欠による応力集中下においても強度低下がほと
んど起こらないように)するためには[Cr+1.2Fe+0.6
Ti]量を10以下にすべきことが分かる。
更に第1表のデータを解析した結果、常温ならびに高温
強度は、パラメータの[Cr+2.4Fe+1.2Ti]量に対し
ほぼ直線的に変化することが判明した(第4図参照)。
尚、構造材として多用される5000系合金の常温強度は約
30Kg/mm2前後であるが、本発明合金No.1〜6はいずれも
上記5000径合金より常温強度が高いことが分かる。また
従来耐熱系の高力材として多用される2000系合金の常温
強度が約40Kg/mm2前後であることを考慮すれば、第4図
から[Cr+2.4Fe+1.2Ti]量を10以上にすることが好ま
しいと言える。尚第1表において、300℃における強度
を比較すれば、本発明の合金はいずれも2000系合金の2
倍以上の高温強度を有しており、その優位性が確認され
る。
強度は、パラメータの[Cr+2.4Fe+1.2Ti]量に対し
ほぼ直線的に変化することが判明した(第4図参照)。
尚、構造材として多用される5000系合金の常温強度は約
30Kg/mm2前後であるが、本発明合金No.1〜6はいずれも
上記5000径合金より常温強度が高いことが分かる。また
従来耐熱系の高力材として多用される2000系合金の常温
強度が約40Kg/mm2前後であることを考慮すれば、第4図
から[Cr+2.4Fe+1.2Ti]量を10以上にすることが好ま
しいと言える。尚第1表において、300℃における強度
を比較すれば、本発明の合金はいずれも2000系合金の2
倍以上の高温強度を有しており、その優位性が確認され
る。
上記の関係式をまとめると第2表のようになる。
[発明の効果] 本発明は以上の様に構成されており、以下の効果を得る
ことができる。
ことができる。
(1)塑性加工性や靱性等が良好であり、且つ常温強度
並びに高温強度の優れたAl基合金を得ることができる。
並びに高温強度の優れたAl基合金を得ることができる。
(2)自動車分野ではエンジン部品の軽量化が促進さ
れ、燃費向上、出力の向上等の効果を得ることができ
る。
れ、燃費向上、出力の向上等の効果を得ることができ
る。
(3)航空機分野では外板、脚部(特にホイール)やエ
ンジン部品等の軽量化が促進され、燃費向上、出力向上
等の効果を得ることができる。
ンジン部品等の軽量化が促進され、燃費向上、出力向上
等の効果を得ることができる。
(4)高温雰囲気下で使用される各種機械部品、電気製
品用部品等の軽量化並びに高強度化を達成することがで
きる。
品用部品等の軽量化並びに高強度化を達成することがで
きる。
第1図はAl−6Cr−1Ti合金においてFeの添加が常温強度
及び高温強度に及ぼす影響を示すグラフ、第2図は本発
明合金におけるCr+Fe+Ti量と伸び及び絞りの相関を示
すグラフ、第3図は本発明合金におけるCr+1.2Fe+0.6
Ti量と靱性の相関を示すグラフ、第4図は本発明合金に
おけるCr+2.4Fe+1.2Ti量と常温強度並びに高温強度の
相関を示すグラフである。
及び高温強度に及ぼす影響を示すグラフ、第2図は本発
明合金におけるCr+Fe+Ti量と伸び及び絞りの相関を示
すグラフ、第3図は本発明合金におけるCr+1.2Fe+0.6
Ti量と靱性の相関を示すグラフ、第4図は本発明合金に
おけるCr+2.4Fe+1.2Ti量と常温強度並びに高温強度の
相関を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭35−301(JP,B1) 特公 昭40−4129(JP,B1)
Claims (2)
- 【請求項1】粉末冶金法により製造されるAl基合金であ
って、Cr:5〜10%(重量%の意味、以下同じ)、Ti:0.5
〜3%、及びFe:1%超2.5%未満を含み、残部Al及び不
可避不純物から構成され、且つ条件式Cr+Fe+Ti≦10.5
%(但し条件式における各元素は夫々%値を示す、以下
同じ)及びCr+1.2Fe+0.6Ti≦10%を満足することを特
徴とする耐熱性、塑性加工性、靱性に優れ高強度なAl基
合金。 - 【請求項2】条件式Cr+2.4Fe+1.2Ti≧10%を満足する
特許請求の範囲第1項に記載のAl基合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62111982A JPH0762199B2 (ja) | 1987-05-07 | 1987-05-07 | A1基合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62111982A JPH0762199B2 (ja) | 1987-05-07 | 1987-05-07 | A1基合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63277738A JPS63277738A (ja) | 1988-11-15 |
JPH0762199B2 true JPH0762199B2 (ja) | 1995-07-05 |
Family
ID=14574986
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62111982A Expired - Lifetime JPH0762199B2 (ja) | 1987-05-07 | 1987-05-07 | A1基合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0762199B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01147038A (ja) * | 1987-12-02 | 1989-06-08 | Honda Motor Co Ltd | 粉末冶金用耐熱Al合金 |
JP4704722B2 (ja) * | 2004-10-08 | 2011-06-22 | 株式会社神戸製鋼所 | 耐磨耗性と加工性とに優れた耐熱性Al基合金 |
JP4704720B2 (ja) * | 2004-10-08 | 2011-06-22 | 株式会社神戸製鋼所 | 高温疲労特性に優れた耐熱性Al基合金 |
JP4704723B2 (ja) * | 2004-10-08 | 2011-06-22 | 株式会社神戸製鋼所 | 高温疲労特性と制振性に優れた耐熱性Al基合金 |
WO2006040938A1 (ja) * | 2004-10-08 | 2006-04-20 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | 高温疲労特性、制振性、耐摩耗性、及び加工性に優れた耐熱性Al基合金 |
JP4704721B2 (ja) * | 2004-10-08 | 2011-06-22 | 株式会社神戸製鋼所 | 高温疲労特性に優れた耐熱性Al基合金 |
JP5010196B2 (ja) * | 2006-07-18 | 2012-08-29 | 株式会社神戸製鋼所 | 耐熱アルミ合金製の形材の製造方法、耐熱アルミ合金製の形材及び耐熱アルミ合金製の形材の成形装置 |
-
1987
- 1987-05-07 JP JP62111982A patent/JPH0762199B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63277738A (ja) | 1988-11-15 |
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