JP2547681B2 - 自動裁断機における裁断支持面用ブラシ取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、編地や織地等のシート
材を所望の形状に裁断する自動裁断機における裁断支持
面用ブラシ取付構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば特開平３ー２６４９６号公
報に記載のような自動裁断機においては、裁断するシー
ト材を保持する各々剛毛体（ブラシ）はエンドレス走行
体の走行方向に並設した長尺の受体上に着脱自在に取り
付けられている。

【０００３】この取り付け構造は、上記した各々受体の
長手方向の両側に沿って係合壁が設けられ、この係合壁
に係合する係合突部を各剛毛体の長手方向の下部両側に
設け、各剛毛体は受体の端部、すなわち、エンドレス走
行体の走行方向と直行する方向から上記受体の係合壁間
に順次挿入し、剛毛体の両係合突部を受体側の係合壁に
係合させて取り付けていた。また、劣化した剛毛体を交
換する場合は、受体の端部側から端部側に位置する剛毛
体から順番に引き抜くようにして取り外し、新しい剛毛
体を上記同様にして取り付けていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の剛毛体（ブラシ）の取り付け構造では、受
体に取り付けられた剛毛体は端から順番にしか着脱する
ことができず、例えば多数の剛毛体によって形成された
裁断支持面の中央部分の一部の剛毛体が損傷したために
取替えねばならなくなった場合、上記したように受体の
端から順番に先ず損傷していない他の剛毛体を取り外
し、その後に損傷している剛毛体を抜き取り、再び新し
い剛毛体と共に抜き取った損傷していない剛毛体を受体
の端から順番に取り付けて行かねばならなかった。その
ため、しばらくの間、裁断作業を中断しなければならず
作業効率の点で問題があった。

【０００５】また、上記の従来の構造とは異なり、剛毛
体を両端方向に移動させることができずに、剛毛体をそ
の箇所でのみ着脱できる取り付け構造の自動裁断機で
は、例えば上記したように多数の剛毛体に形成された裁
断支持面の中央部分の一部の剛毛体が損傷したために取
替えねばならなくなった場合、その箇所の損傷した剛毛
体を上方に抜き取って新しい剛毛体と取り替えることが
できるため、取替えは手際よく迅速にできる。しかしな
がら、取り替えた剛毛は新しいがその周囲の剛毛は今ま
での使用により傷んでいるため、取り替えた剛毛体の箇
所とその周辺では剛毛体による裁断支持面の損傷状態が
均一ではなかった。また、上記裁断機では剛毛体を両端
方向に移動させることができないため、他の使用中の剛
毛体を抜き取った箇所によせることはできず、もし、抜
き取った箇所に使用中の剛毛体を取り付けるとなると、
他の使用中の剛毛体を抜き取って、損傷した剛毛体を抜
き取った箇所に取り付け、抜き取った他の使用中の剛毛
体の箇所には他の使用中の剛毛体を抜き取って取り付け
るといった作業を順次繰り返して行わないと、剛毛体に
よる裁断支持面を均一に保持することができなかった。
このことは剛毛の損傷状態をある程度均一に保って良好
な裁断支持面を維持すると言った観点からは問題であっ
た。

【０００６】本発明は上記のような点に鑑みて開発され
たものであり、その目的とする処は、裁断支持面を形成
する各々ブラシの任意の位置での着脱を容易に行うこと
ができるようにすると共に、ブラシ取付台に取り付ける
各々ブラシを摺動可能として、各々ブラシを順送りして
ブラシ取付台に間を詰めて取り付けられるようにするこ
ともできる自動裁断機における裁断支持面用ブラシ取付
け構造を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記目
的を有効に達するために次のような構成にしてある。す
なわち、通気孔を形成してなるブラシ取付台に、このブ
ラシ取付台の通気孔に連通する通気孔を形成した多数の
ブラシを設けて、これらブラシの剛毛部の先端による裁
断支持面を形成し、且つ上記ブラシ取付台の下方に、裁
断支持面上に載置されるシート材を上記各通気孔を介し
て吸引する吸引機構を設け、さらに上記裁断支持面の上
方に、任意の位置に移動可能としたカッター装置を設
け、このカッター装置の移動によって上記裁断支持面上
に載置されたシート材を任意の形状に裁断できるように
した自動裁断機において、自動裁断機本体の両側に駆動
装置によって回動するエンドレスチェーンを設けると共
に、この両エンドレスチェーンに懸架するようにして多
数のブラシ取付台を並設し、且つ各々ブラシ取付台に係
止突起を該ブラシ取付台の両側方向に沿って連続的に且
つ上記エンドレスチェーンの回動方向に所定間隔を以て
対を成すように形成し、さらに上記ブラシの下部に、上
記ブラシ取付台の連続する対を成す係止突起に着脱自在
に且つ摺動自在に係合する柔軟性を有する係合突起を形
成し、各々ブラシをブラシ取付台の任意の位置で係合突
起を歪ませて上下方向に着脱でき、且つブラシ取付台の
両側方向に摺動できるようにした構成にしてある。

【０００６】

【作用】上記構成により、裁断支持面用のブラシ取付台
の係止突起に、ブラシの係合突起を歪ませて係止すると
共に、このブラシを両側方向に摺動させて、順次複数の
ブラシを各ブラシ取付台に取付ける。このようにして各
々ブラシ取付台に設けた多数のブラシによって裁断支持
面を形成する。また、裁断作業によってブラシの剛毛部
が傷んだ場合は、その剛毛部の傷んだブラシを上方に持
ち上げることにより、ブラシ取付台の係止突起に係合し
ていたブラシの柔軟性を有する係合突起は復元可能に歪
んで係止状態を解除され、フラシ取付台から取り外すこ
とができる。そして他のブラシを摺動させて間を詰める
と共に、新しいブラシをブラシ取付台の端に係止する。
このようにすることによって取り外したブラシの箇所に
新しいブラシが設けられて、他の箇所のブラシの剛毛部
の傷みに比べ、その箇所だけが新しいといったことを避
けることができる。したがって、裁断頻度の多い箇所の
複数のブラシの剛毛部の傷み状態をある程度均一にする
ことができる。勿論、取り除いたブラシの箇所に新しい
ブラシを入れてもよい。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１〜図４に基づい
て説明する。１は一実施例の自動裁断機であり、この自
動裁断機１は、自動裁断機本体２の両側にエンドレスチ
ェーン３が配設され、この両エンドレスチェーン３に懸
架するようにして多数の裁断支持面用のブラシ取付台４
が並設してある。各々ブラシ取付台４は駆動装置（図示
省略）の駆動によるエンドレスチェーン３の回動によっ
て移動する。 また、各々裁断支持面用のブラシ取付台
４には、複数の裁断支持面用のブラシ５が設けてあり、
裁断するシート材を載置する裁断支持面６は、各々ブラ
シ５の剛毛部５ａによって形成されている。

【０００８】更に上記ブラシ取付台４及びブラシ５には
多数の通気孔７が穿設されている。また、この裁断支持
面６上に載置されるシート材を吸引する吸引装置（図示
省略）が上記ブラシ取付台４の下方に設けられ、且つブ
ラシ取付台４の前端または後端に沿って昇降可能に配設
された昇降遮断板８が上記エンドレスチェーン３の停止
時に、自動裁断機本体２の上部両側の所定箇所に配設し
た昇降装置９によって上昇させることができるようにし
てある。この昇降遮蔽板８によってエンドレスチェーン
３上の複数のブラシ取付台４のブラシ５を１ブロックと
して前後を空気遮断できるようにしてある。そして上記
吸引装置を作動させることによって、ブロック内の裁断
支持面６上に載置されるシート材を吸引して支持できる
ようにしてある。

【０００９】しかして、上記裁断支持面６の上方には、
両端（左右）方向に移動可能としたカッター装置１０
が、前後方向に移動可能とした横架支持体１１に支持さ
れて設けられている。カッター装置１０は駆動装置（図
示省略）によって横架支持体１１上を左右に移動する。
また横架支持体１１も上記裁断支持面６上を前後方向に
駆動装置（図示省略）によって移動できるようにしてあ
る。またカッター装置１０には上下動するカッター刃が
設けられ、このカッター装置１０の左右方向への移動
と、横架支持体１１の前後方向への移動によって、カッ
ター装置１０は裁断支持面６の任意の位置に移動して裁
断支持面６上に載置されたシート材を任意の形状に裁断
できるようにしてある。

【００１０】上記のような構成の自動裁断機１にあっ
て、本発明に係る裁断支持面用のブラシ取付け構造につ
いて、更に前記ブラシ取付台４及び裁断支持面用のブラ
シ５の構成について説明する。先ずブラシ取付台４は、
その両端を前記自動裁断機２の両側に設けたエンドレス
チェーン３に載設できるようにした長尺形状物であっ
て、多数の通気孔１２を穿設してある。またブラシ取付
台４の上部長手方向には、所定間隔を以て二列に多数の
裁断支持面用のブラシ５を係止できるようにしてある。
そのために、図示のような係止突起１３が各列１４の長
手方向の両側に上方に突出するように形成してある。こ
の係止突起１３は、横方向に膨出し外面を滑らかに形成
した凸部１３ａを有している。また下部中央は、止め螺
子１５によってこのブラシ取付台４の端をエンドレスチ
ェーン３の一リンクに設けたアタッチメントに固定でき
るようにしてある。更にブラシ取付台４の両端の下部両
側近傍には補助ローラ１６をブラケット１７を介してこ
の取付台４の下面に取り付けられるようにしてある。上
記裁断支持面用のブラシ取付台４は、エンドレスチェー
ン３の連接する各リンクに設けたアタッチメントにそれ
ぞれ並設される。

【００１１】一方、上記ブラシ取付台４に取り付ける裁
断支持面用のブラシ５は、図２に示すように、多数の通
気孔７を有する共に上部に多数の剛毛部５ａを有し、更
に下部には前記ブラシ取付台４の係止突起１３の凸部１
３ａに着脱自在に係止できるような係合突起１８が下面
の四隅近傍に夫々対峙するようにして突設してある。こ
の係合突起１８は全体に柔軟性を横方向に有し、上記係
止突起１３の凸部１３ａの下部に係合できるような外面
滑らかな凸部１８ａを有している。そしてブラシ取付台
４の係止突起１３の凸部１３ａと、ブラシ５の係合突起
１８の凸部１８ａとは、その当接面同士が滑らかに接
し、ブラシ取付台４上をブラシ５が摺動できるようにし
てある。また、ブラシ５を上方に引き抜くことによっ
て、柔軟性のあるブラシ５の係合突起１８は、ブラシ取
付台４の係止突起１３の凸部１３ａに沿って横方向に撓
み、ブラシ５とブラシ取付台４との係止関係は解除され
ることになる。また、ブラシ５をブラシ取付台４に取り
つける場合は、このブラシ５の係合突起１８をブラシ取
付台４の係止突起１３に上方から係合させていくことに
より、柔軟性のあるブラシ５の係合突起１８は、ブラシ
取付台４の係止突起１３の凸部１３ａに沿って横方向に
撓み、最後に凸部１３ａと凸部１８ａとが係合してブラ
シ５はブラシ取付台４に係止されることになる。

【００１２】上記構成のブラシ取付台４及びブラシ５に
より、ブラシ取付台４の所定間隔を以て対峙する各列１
４の係止突起１３に、各裁断支持面用のブラシ５の係合
突起１８を係合させ、各列１４に順次摺動させて複数の
ブラシ５を係止する。このようにしてエンドレスチェー
ン３に並設した多数のブラシ取付台５に設けた多数のブ
ラシ５によって裁断支持面を形成する。

【００１３】そして、裁断作業によってブラシ５の剛毛
部５ａが傷んだ場合は、その傷んだブラシ５を、係止状
態を解除するように上方に持ち上げて取付台４から取り
外す。そして、他のブラシ５を摺動させてブラシ取付台
４のその列１４のブラシ間を詰めると共に、新しいブラ
シ５をブラシ取付台４の端に係合させて係止する。この
ようにすることによって、取り外したブラシ５の箇所に
新しいブラシ５が設けられるのではなく、既設のブラシ
５を順送り的に移動させて、ブラシ５を取り除いた周囲
のブラシ５の剛毛部５ａの傷みと余り傷みかたが変わら
ないようにし、その箇所だけが剛毛部５ａが新しいとい
ったことを避け、裁断頻度の多い箇所（ブラシ交換頻度
も多い箇所）の複数のブラシ５の剛毛部５ａの傷み状態
がある程度均一な状態にすることができる。

【００１４】尚、上記実施例は、エンドレスチェーンに
懸架するようにして多数のブラシ取付台を並設した所謂
コンベア方式の自動裁断機を例示したが、自動裁断機本
体の架台上部に多数のブラシ取付台を並設固定した、所
謂固定式の自動裁断機であってもよい。また、一つの大
きなブラシ取付台であって、自動裁断機本体の架台上部
にこのブラシ取付台を載設し、このブラシ取付台に多数
のブラシを設ける構成でもよい。

【００１５】

【発明の効果】以上、上記説明でも明らかなように本発
明では、エンドレスチェーンに併設された多数のブラシ
取付台に着脱自在に裁断支持面用のブラシを取りつける
ことができ、また、剛毛部が傷んだブラシを他のブラシ
を移動させることなくブラシ取付台のその箇所から取り
除くことができる。更にブラシ取付台に取りつけた各々
ブラシは摺動させることができるので、上記のように剛
毛部が傷んだブラシを取り除いた後にその箇所に新しい
ブラシを取り付けるといったことをせずに、既設のブラ
シを摺動させて間を詰め、新しいブラシはブラシ取付台
の端に設けるようにすれば、剛毛部の傷んだブラシを取
り除いた箇所では周囲のブラシの剛毛部の傷みと不均一
になるといったことを避けることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施例の自動裁断機の斜視図で
ある。

【図２】本発明に係る一実施例のブラシ取付台と裁断支
持面用のブラシと係合関係を示す一部切欠側面図であ
る。

【図３】本発明に係るブラシ取付台とブラシとの自動裁
断機への配設状態を示す要部側面図である。

【図４】本発明に係るブラシ取付台とブラシとの自動裁
断機への配設状態を示す要部正面図である。

【符号の説明】

１・・・自動裁断機、２・・・自動裁断機本体、３・・
・エンドレスチェーン、４・・・ブラシ取付台、５・・
・ブラシ、６・・・裁断支持面、７・・・通気孔、１０
・・・カッター装置、１１・・・横架支持体、１３・・
・係止突起、１８・・・係合突起、

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 通気孔を形成してなるブラシ取付台に、
   このブラシ取付台の通気孔に連通する通気孔を形成した
   多数のブラシを設けて、これらブラシの剛毛部の先端に
   よる裁断支持面を形成し、且つ上記ブラシ取付台の下方
   に、裁断支持面上に載置されるシート材を上記各通気孔
   を介して吸引する吸引機構を設け、さらに上記裁断支持
   面の上方に、任意の位置に移動可能としたカッター装置
   を設け、このカッター装置の移動によって上記裁断支持
   面上に載置されたシート材を任意の形状に裁断できるよ
   うにした自動裁断機において、自動裁断機本体の両側に
   駆動装置によって回動するエンドレスチェーンを設ける
   と共に、この両エンドレスチェーンに懸架するようにし
   て多数のブラシ取付台を並設し、且つ各々ブラシ取付台
   に係止突起を該ブラシ取付台の両側方向に沿って連続的
   に且つ上記エンドレスチェーンの回動方向に所定間隔を
   以て対を成すように形成し、さらに上記ブラシの下部
   に、上記ブラシ取付台の連続する対を成す係止突起に着
   脱自在に且つ摺動自在に係合する柔軟性を有する係合突
   起を形成し、各々ブラシをブラシ取付台の任意の位置で
   係合突起を歪ませて上下方向に着脱でき、且つブラシ取
   付台の両側方向に摺動できるようにしたことを特徴とす
   る自動裁断機における裁断支持面用ブラシ取付け構造。