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JP2024134220A - アニオン変性ミクロフィブリルセルロース - Google Patents

アニオン変性ミクロフィブリルセルロース Download PDF

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JP2024134220A
JP2024134220A JP2023044417A JP2023044417A JP2024134220A JP 2024134220 A JP2024134220 A JP 2024134220A JP 2023044417 A JP2023044417 A JP 2023044417A JP 2023044417 A JP2023044417 A JP 2023044417A JP 2024134220 A JP2024134220 A JP 2024134220A
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咲子 中田
丈史 中谷
雅人 高山
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Nippon Paper Industries Co Ltd
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Nippon Paper Industries Co Ltd
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Abstract

【課題】セルロースナノファイバーよりも解繊の程度の低いフィブリル化された化学変性セルロース繊維(ミクロフィブリルセルロース)において、新規な特徴を有するミクロフィブリルセルロース提供する。【解決手段】(A)2次元複屈折評価システム顕微鏡で波長543nmで取得される位相差マップ画像から得られる平均位相差が10.0nm以下であり、平均位相差のばらつき(標準偏差)が15.0nm以下であり、(B)平均繊維幅が1.0~28.0μmの範囲内であり、かつ(C)長さ加重繊維長分布における0~0.2mmの範囲にある繊維比率が80.0%以上であるアニオン変性MFC。【選択図】なし

Description

本発明は、アニオン変性ミクロフィブリルセルロースに関する。
セルロース分子鎖にカルボキシル基やカルボキシメチル基などのアニオン基を導入し、機械的に処理(解繊)すると、平均繊維幅が500nm未満となるようなナノスケールの繊維幅を有するセルロースナノファイバーへと変換することができることが知られている。特に繊維径が4nm前後のセルロースナノファイバーは、植物の細胞壁におけるセルロース束の基本単位であるシングルミクロフィブリルに相当するものである。このようなセルロースナノファイバーは、高いチキソトロピー性や保水性を有し、様々な分野で利用され得るが、非常に微細であるため、用途によっては使いづらい場合もある。例えば、製紙用添加剤としてセルロースナノファイバーを用いる場合には、少量であると、ワイヤーをすり抜けやすく歩留まりが悪い、紙の強度が出にくい、などの問題が生じる可能性がある。また、セルロースナノファイバーは、製造コストが高い。これに対し、本出願人は、セルロースナノファイバーよりも解繊の程度が低い、フィブリル化された化学変性セルロース繊維を提供した(特許文献1)。
一方、木材パルプ原料の解繊の程度を客観的に定量評価するシステムとして、光学位相差分布解析を利用する方法が近年提案された(非特許文献1)。このシステムは、既定断面の石英流路に解繊パルプの水懸濁液を注入して解繊パルプ懸濁液の光学位相差をマッピング画像化するものであり、位相差画像の観測画角における平均位相差とそのばらつき(標準偏差)とが、解繊度を直接かつ定量的に反映するというものである。
国際公開第2020/195671号
セルロースナノファイバーよりも解繊の程度の低いフィブリル化された化学変性セルロース繊維(ミクロフィブリルセルロース)において、新規な特徴を有するミクロフィブリルセルロース提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、光学位相差分布解析により得られる平均位相差とそのばらつき(標準偏差)が特定の範囲内であり、また、平均繊維幅と、長さ加重繊維長分布における0~0.2mmの範囲にある繊維比率が特定の範囲内であるアニオン変性ミクロフィブリルセルロースを製造した。ミクロフィブリルセルロースは解繊の程度が低いため、ミクロンオーダーの繊維からナノファイバーに近い繊維まで、大小さまざまなサイズの繊維が混在した状態となっているところ、従来の繊維の寸法情報を直接的に導出する手法ではこのような繊維の混在状態をあらわすことはできなかった。これに対し、光学位相差分布解析により得られる平均位相差とそのばらつき(標準偏差)を用いることにより、このような繊維の混在状態の程度(繊維分布)も踏まえた解繊度が導出されることを見出した。本発明で得られるアニオン変性ミクロフィブリルセルロースは、このような繊維分布を踏まえ、未解繊に近い繊維の比率が少なく、サブミクロン程度まで微細化が進んだ繊維を多く含有し、さらに繊維サイズのバラツキが少ないものであり、繊維分布の調整がなされていない従来のミクロフィブリルセルロースに比べて、均一性や分散安定性、チキソトロピー性の発現、粘性の発揮などに優れることを見出し、本発明を完成させた。
本発明としては、以下に限定されないが、次のものが挙げられる。
[1]下記条件(A)~(C)を満たすアニオン変性ミクロフィブリルセルロース:
(A)2次元複屈折評価システム顕微鏡で波長543nmで取得される位相差マップ画像から得られる平均位相差が10.0nm以下であり、平均位相差のばらつき(標準偏差)が15.0nm以下であること、
(B)平均繊維幅が1.0~28.0μmの範囲であること、及び
(C)長さ加重繊維長分布における、0~0.2mmの範囲にある繊維比率が80.0%以上であること。
[2]平均位相差が8.0nm以下である、[1]に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[3]平均位相差が2.0nm以上である、[1]又は[2]に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[4]平均位相差が3.0nm以上である、[1]又は[2]に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[5]1質量%の固形分濃度の水分散体とした際の波長660nmの光の透過率が60.0%以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[6](D)クリル値が2.0超4.0未満の範囲であること、をさらに満たす、[1]~[5]のいずれか1つに記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[7](E)クリル値が2.0以下の範囲であること、をさらに満たす、[1]~[5]のいずれか1つに記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
[8][1]~[7]のいずれか1つに記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロースを含む、水分散体。
本発明のアニオン変性ミクロフィブリルセルロースは、未解繊に近い繊維の比率が少なく、サブミクロン程度まで微細化が進んだ繊維を多く含有し、さらに繊維サイズのバラツキが少ないという特徴を有する。このようなアニオン変性ミクロフィブリルセルロースは、そうした繊維分布の調整がなされていない従来のミクロフィブリルセルロースに比べて、均一性や分散安定性、チキソトロピー性の発現、粘性の発揮等に優れる。
<アニオン変性ミクロフィブリルセルロース>
アニオン変性ミクロフィブリルセルロース(以下、「ミクロフィブリルセルロース」を「MFC」と呼ぶ。)は、アニオン変性を施したセルロース繊維(「アニオン変性セルロース」と呼ぶ。)をリファイナーなどを用いて適度に叩解又は解繊してフィブリル化することにより得られる繊維である。アニオン変性MFCは、適度に叩解又は解繊されることにより、表面にセルロースのミクロフィブリルの毛羽立ちが見られる繊維や、サブミクロンオーダーの繊維幅まで解繊された繊維など、大小様々な繊維を含む。アニオン変性MFCは、ナノスケールの繊維幅(例えば平均繊維幅が1μm未満)となるまで高度に解繊されたアニオン変性セルロースナノファイバー(以下、「セルロースナノファイバー」を「CNF」と呼ぶ。)とは異なり、繊維幅がミクロンオーダーの繊維も含む。また、アニオン変性MFCは、アニオン変性されていないMFCと比べて、アニオン変性が施されていることにより、解繊しやすく、また保水性が高い、チキソトロピー性が高い、などの特徴を有する。
<アニオン変性>
本発明のアニオン変性MFCを製造する際には、まず、原料となるセルロース繊維をアニオン変性してアニオン変性セルロースとする。アニオン変性の種類としては、これらに限定されないが、例えば、セルロース鎖にカルボキシル基を導入する酸化(カルボキシル化ともいう。)、セルロース鎖にカルボキシメチル基(以下、「カルボキシメチル」を「CM」と呼ぶ。)などのカルボキシアルキル基をエーテル結合させるカルボキシアルキル化、セルロース鎖にリン酸基を導入するリン酸エステル化などを挙げることができる。中でも、酸化(カルボキシル化)及びカルボキシアルキル化がより好ましい。
アニオン変性セルロースは、カルボキシル基、CM基、リン酸基などのアニオン基が、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどの金属イオンを対イオンとして有する形態(この形態を「塩型のアニオン変性セルロース」と呼ぶ。)とる場合もあり、本明細書でアニオン変性セルロースという場合には、塩型のアニオン変性セルロースも含む。また、アニオン変性MFCという場合には、塩型のアニオン変性MFCも含む。塩型のアニオン変性セルロースに対し、アニオン基がプロトンを対イオンとして有している場合を「水素型のアニオン変性セルロース」と呼ぶ。
本発明のアニオン変性MFCを製造する際に用いられるアニオン変性セルロースは、水に分散した際にもセルロースの繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるものである。すなわち、アニオン変性セルロースの水分散体を電子顕微鏡等で観察すると、繊維状の物質を観察することができ、また、X線回折で測定すると、セルロースI型結晶のピークを観測することができるものである。
アニオン変性セルロースを得るための原料となるセルロースとしては、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))産生物に由来するものが挙げられる。植物由来のものとしては、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、針葉樹溶解パルプ、広葉樹溶解パルプ、再生パルプ、古紙等)が挙げられる。また、上述のセルロース原料を粉砕処理したセルロースパウダーを使用してもよい。セルロース原料として、これらのいずれかまたは組合せを使用してもよいが、好ましくは植物または微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維であり、さらに好ましくは木質系パルプである。
セルロースI型結晶のピークを有するアニオン変性セルロースを得るためには、セルロースI型の結晶化度が高いセルロースを原料として用いることが好ましい。セルロース原料のセルロースI型の結晶化度は、好ましくは、70%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。セルロースI型の結晶化度の測定方法は後述する。
<アニオン変性-酸化>
アニオン変性の一例として、セルロース鎖にカルボキシル基を導入する酸化(カルボキシル化)を挙げることができる。本明細書では、カルボキシル化されたセルロースを「酸化セルロース」と呼ぶ。酸化セルロースとしては、市販のものを用いてもよいし、上記のセルロース原料を公知の方法で酸化することにより製造してもよい。カルボキシル基の量は酸化セルロースの絶乾質量に対して、0.1~2.5mmol/gが好ましく、0.6mmol/g~2.5mmol/gがさらに好ましく、1.0mmol/g~2.0mmol/gがさらに好ましい。
酸化セルロースのカルボキシル基量は、以下の方法で測定することができる:
酸化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出する:
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース〕=a〔ml〕×0.05/酸化セルロース質量〔g〕。
フィブリル化する前の酸化セルロースにおけるカルボキシル基量と、フィブリル化した後の酸化セルロース(酸化MFC)におけるカルボキシル基量とは、通常同じである。
酸化の方法の一例として、セルロース原料を、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(-COOH)またはカルボキシレート基(-COO)とを有するセルロース原料(酸化セルロース)を得ることができる。反応時のセルロース原料の濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
N-オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N-オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であればいずれの化合物も使用できる。例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル(TEMPO)およびその誘導体(例えば4-ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。N-オキシル化合物の使用量は、セルロース原料を酸化できる触媒量であればよく、特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.01~10mmolが好ましく、0.01~1mmolがより好ましく、0.05~0.5mmolがさらに好ましい。また、反応系に対し0.1~4mmol/L程度がよい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.1~100mmolが好ましく、0.1~10mmolがより好ましく、0.5~5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムは好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロース原料に対して、0.5~500mmolが好ましく、0.5~50mmolがより好ましく、1~25mmolがさらに好ましく、3~10mmolが最も好ましい。また、例えば、N-オキシル化合物1molに対して1~40molが好ましい。
セルロース原料の酸化工程は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は4~40℃が好ましく、また15~30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース鎖中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを8~12、好ましくは10~11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5~6時間、例えば、0.5~4時間程度である。
また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
酸化の方法の別の例として、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、グルコピラノース環の少なくとも2位および6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50~250g/mであることが好ましく、50~220g/mであることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100質量部とした際に、0.1~30質量部であることが好ましく、5~30質量部であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0~50℃であることが好ましく、20~50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1~360分程度であり、30~360分程度が好ましい。オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロース原料が過度に酸化および分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶剤中に溶解して酸化剤溶液を作製し、溶液中にセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
酸化セルロースにおけるカルボキシル基の量は、上記した酸化剤の添加量、反応時間等の反応条件をコントロールすることで調整することができる。
<アニオン変性-カルボキシアルキル化>
アニオン変性の一例として、セルロース鎖にCM基などのカルボキシアルキル基をエーテル結合させるカルボキシアルキル化を挙げることができる。本明細書では、カルボキシアルキル化されたセルロースを「カルボキシアルキル化セルロース」と呼ぶ。また、カルボキシメチル化されたセルロースを「CM化セルロース」と呼ぶ。カルボキシアルキル化セルロースとしては、市販のものを用いてもよいし、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシアルキル化することにより製造してもよい。セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度は0.01~0.50であることが好ましい。上限は好ましくは0.40以下である。カルボキシアルキル置換度が0.50を超えると水への溶解が起こりやすくなり、水中で繊維形態を維持できなくなる。カルボキシアルキル化による効果を得るためには、一定程度の置換度を有することは必要であり、例えば、置換度が0.02より小さいと、用途によっては、カルボキシアルキル基を導入したことによる利点が得られない場合がある。したがって、カルボキシアルキル置換度は、0.02以上であることが好ましく、0.05以上であることが更に好ましく、0.10以上であることが更に好ましく、0.15以上であることが更に好ましく、0.20以上であることがさらに好ましく、0.25以上であることがさらに好ましい。カルボキシアルキル置換度は、反応させるカルボキシアルキル化剤の添加量、マーセル化剤の量、水と有機溶媒の組成比率をコントロールすること等によって調整することができる。
本明細書において無水グルコース単位とは、セルロースを構成する個々の無水グルコース(グルコース残基)を意味する。また、カルボキシアルキル置換度(エーテル化度ともいう。)とは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基のうちカルボキシアルキルエーテルに置換されているものの割合(1つのグルコース残基当たりのカルボキシアルキルエーテルの数)を示す。なお、カルボキシアルキル置換度はDSと略すことがある。
カルボキシアルキル置換度の測定方法は以下の通りである:
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振盪して、塩型のカルボキシアルキル化セルロースを水素型のカルボキシアルキル化セルロースに変換する。水素型のカルボキシアルキル化セルロース(絶乾)を1.5~2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLで湿潤し、0.1N-NaOHを100mL加え、室温で3時間振盪する。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N-HSOで過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシアルキル置換度(DS)を算出する。
A=[(100×F’-0.1N-HSO(mL)×F)×0.1]/(水素型カルボキシアルキル化セルロースの絶乾質量(g))
カルボキシアルキル置換度(DS)=0.162×A/(1-0.058×A)
F’:0.1N-HSOのファクター
F:0.1N-NaOHのファクター。
フィブリル化する前のカルボキシアルキル化セルロースにおけるDSと、フィブリル化した後のカルボキシアルキル化セルロース(カルボキシアルキル化MFC)におけるDSとは、通常同じである。
カルボキシアルキル化セルロースを製造する方法の一例として、CM化セルロースの製造例を以下で説明する。
まず、セルロース原料と、溶媒及びマーセル化剤とを混合し、反応温度0~70℃、好ましくは10~60℃、かつ反応時間15分~8時間、好ましくは30分~7時間、セルロース原料のマーセル化を行う。次いで、CM化剤をグルコース残基当たり0.05~10.0倍モル添加し、反応温度30~90℃、好ましくは40~80℃、かつ反応時間30分~10時間、好ましくは1時間~4時間、CM化を行う。
溶媒としては、3~20質量倍の水または有機溶媒あるいはこれらの混合物を用いることができ、有機溶媒としては、これらに限定されないが、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等のアルコールや、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン、ならびに、ジオキサン、ジエチルエーテル、ベンゼン、ジクロロメタンなどを挙げることができる。これらのうち、水との相溶性が優れることから、炭素数1~4の一価アルコールが好ましく、炭素数1~3の一価アルコールがさらに好ましい。マーセル化剤としては、セルロース原料の無水グルコース残基当たり0.5~20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用することが好ましい。CM化剤としては、モノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸イソプロピルなどが挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさという点でモノクロロ酢酸、またはモノクロロ酢酸ナトリウムが好ましい。CM化剤の使用量は特に限定されないが、セルロースの無水グルコース単位当たり、0.5~1.5モルの範囲で添加することが好ましい。上記範囲の下限はより好ましくは0.6モル以上、さらに好ましくは0.7モル以上であり、上限はより好ましくは1.3モル以下、さらに好ましくは1.1モル以下である。CM化剤は、これに限定されないが、例えば、5~80質量%、より好ましくは30~60質量%の水溶液として反応器に添加してもよいし、水等の溶媒に溶解させずに粉末状態で添加してもよい。
マーセル化剤とCM化剤のモル比(マーセル化剤/CM化剤)は、CM化剤としてモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムを使用する場合では、0.90~2.45が一般的に採用される。その理由は、0.90未満であるとCM化反応が不十分となる可能性があり、未反応のモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムが残って無駄が生じる可能性があること、及び2.45を超えると過剰のマーセル化剤とモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムによる副反応が進行してグリコール酸アルカリ金属塩が生成する恐れがあるため、不経済となる可能性があることにある。
セルロース原料のCM化を行う際には、通常、マーセル化とCM化の両方を水を主とする溶媒下で行う方法(水媒法)と、マーセル化とCM化の両方を水と有機溶媒との混合溶媒下で行う方法(溶媒法)とがあるが、本発明では、マーセル化の際には水を主とする溶媒を用い、CM化の際には有機溶媒と水との混合溶媒を使用してもよい。そのようにすることにより、セルロースの結晶化度を50%以上に維持した場合にも、CM基が局所的ではなく均一に導入されたCM化セルロースを経済的に得ることができる。
溶媒に水を主として用いる(水を主とする溶媒)とは、水を50質量%より高い割合で含む溶媒をいう。水を主とする溶媒中の水は、好ましくは55質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上である。特に好ましくは水を主とする溶媒は、水が100質量%(すなわち、水)である。マーセル化時の水の割合が多いほど、CM基がセルロースにより均一に導入されるという利点が得られる。水を主とする溶媒中の水以外の(水と混合して用いられる)溶媒としては、前述した有機溶媒を用いることができる。水を主とする溶媒中の有機溶媒の量は、好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。
CM化剤を添加するのと同時に、あるいはCM化剤の添加の前または直後に、反応器に有機溶媒または有機溶媒の水溶液を適宜添加し、又は減圧などによりマーセル化処理時の水以外の有機溶媒等を適宜削減して、水と有機溶媒との混合溶媒を形成し、この水と有機溶媒との混合溶媒下で、CM化反応を進行させることが好ましい。有機溶媒の添加または削減のタイミングは、マーセル化反応の終了後からCM化剤を添加した直後までの間であればよく、特に限定されないが、例えば、CM化剤を添加する前後30分以内が好ましい。
CM化の際の混合溶媒中の有機溶媒の割合は、水と有機溶媒との総和に対して有機溶媒が20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、45質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。有機溶媒の割合が高いほど、均一なCM基の置換が起こりやすいことにより、得られるCM化セルロースの品質が安定する。有機溶媒の割合の上限は限定されず、例えば、99質量%以下であってよい。添加する有機溶媒のコストを考慮すると、好ましくは90質量%以下であり、更に好ましくは85質量%以下であり、更に好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは70質量%以下である。
CM化の際の反応媒(セルロースを含まない、水と有機溶媒等との混合溶媒)は、マーセル化の際の反応媒よりも、水の割合が少ない(言い換えれば、有機溶媒の割合が多い)ことが好ましい。本範囲を満たすことで、得られるCM化セルロースの結晶化度を維持しやすくなる。また、CM化の際の反応媒が、マーセル化の際の反応媒よりも水の割合が少ない(有機溶媒の割合が多い)場合、マーセル化反応からCM化反応に移行する際に、マーセル化反応終了後の反応系に所望の量の有機溶媒を添加するという簡便な手段でCM化反応用の混合溶媒を形成させることができるという利点も得られる。
<アニオン変性-リン酸エステル化>
アニオン変性の一例として、セルロース鎖にリン酸基を導入するリン酸エステル化を挙げることができる。本明細書では、リン酸エステル化されたセルロースを「リン酸エステル化セルロース」と呼ぶ。リン酸エステル化セルロースとしては、市販のものを用いてもよいし、上記のセルロース原料を公知の方法でリン酸エステル化することにより製造してもよい。リン酸エステル化セルロースのグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001以上0.40未満であることが好ましい。フィブリル化する前のリン酸エステル化セルロースにおけるリン酸基置換度と、フィブリル化した後のリン酸エステル化セルロース(リン酸エステル化MFC)におけるリン酸基置換度とは、通常、同じである。
リン酸エステル化の方法としては、セルロース原料にリン酸基を有する化合物の粉末や水溶液を混合する方法、セルロース原料のスラリーにリン酸基を有する化合物の水溶液を添加する方法等が挙げられる。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらの1種、あるいは2種以上を併用してセルロース原料にリン酸基を導入することができる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましい。特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。また、反応を均一に進行できかつリン酸基導入の効率が高くなることから前記リン酸基を有する化合物は水溶液として用いることが望ましい。リン酸基を有する化合物の水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましいが、繊維の加水分解を抑える観点からpH3~7が好ましい。
リン酸エステル化セルロースの製造方法の具体例として、以下の方法を挙げることができる。固形分濃度0.1~10質量%のセルロース原料の懸濁液に、リン酸基を有する化合物を撹拌しながら添加してセルロースにリン酸基を導入する。セルロース原料を100質量部とした際に、リン酸基を有する化合物の添加量はリン元素量として、0.2~500質量部であることが好ましく、1~400質量部であることがより好ましい。
得られたリン酸エステル化セルロースの懸濁液を脱水した後、セルロースの加水分解を抑える観点から、100~170℃で加熱処理することが好ましい。さらに、加熱処理の際に水が含まれている間は130℃以下、好ましくは110℃以下で加熱し、水が除かれた後は、100~170℃で加熱処理することが好ましい。
<フィブリル化>
例えば上記の方法で得られたアニオン変性セルロースを、適度に叩解又は解繊しすることにより、フィブリル化されたアニオン変性セルロース(アニオン変性ミクロフィブリルセルロース、アニオン変性MFC)を得ることができる。フィブリル化における叩解又は解繊は、ディスク型、コニカル型、又はシリンダー型等のリファイナー、高速解繊機、せん断型撹拌機、コロイドミル、高圧噴射分散機、キャビテーション、ビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザーなどの装置を用いて、湿式で(すなわち、水等を分散媒とする分散体の形態で)行うことが好ましいが、特にこれらの装置に限定されず、湿式にて機械的な解繊力を付与する装置であればいずれを用いてもよい。
湿式でフィブリル化を行う際には、アニオン変性セルロースの分散体を準備する。フィブリル化に供するアニオン変性セルロースの分散体における固形分濃度は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。濃度の上限としては、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。分散媒は水であることが好ましい。
フィブリル化に供するアニオン変性セルロースの分散体におけるpHは、7.0以下が好ましく、6.0以下がより好ましく、5.0以下がさらに好ましい。pHの下限は特に限定されず、通常は2.0以上であり、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは3.5以上である。pHの調整は、分散体に塩酸等の酸を添加することにより行うことができる。
なお、フィブリル化に供するための分散体を調製する前に、上述の方法で得られたアニオン変性セルロースを予め乾燥させ、粉砕してもよい。次いで、乾式粉砕したアニオン変性セルロースを分散媒に分散し、フィブリル化(湿式)に供してもよい。原料の乾式粉砕に用いる装置は特に限定されず、ハンマーミル、ピンミル等の衝撃式ミル、ボールミル、タワーミル等の媒体ミル、ジェットミル等を例示することができる。
フィブリル化は、後述する通り、得られるMFCにおいて、(A)2次元複屈折評価システム顕微鏡で波長543nmで取得される位相差マップ画像から得られる平均位相差が10.0nm以下であり、平均位相差のばらつき(標準偏差)が15.0nm以下であり、(B)平均繊維幅が1.0~28.0μmの範囲内であり、かつ(C)長さ加重繊維長分布における0~0.2mmの範囲にある繊維比率が80.0%以上となるような範囲で行う。このようなアニオン変性MFCを得るためには、フィブリル化を行う際の濃度や処理流量を調整し、さらには処理速度(固形kg/分)を調整することが好ましい。処理流量は10~1000L/分が好ましく、50~600L/分がより好ましく、80~400L/分がさらに好ましい。リファイナーでの叩解処理では80~280L/分がさらに好ましく、トップファイナーなどの高速解繊機での処理では150~400L/分がさらに好ましい。処理速度は固形0.2~20kg/分であることが好ましく、固形0.5~15kg/分であることがより好ましく、固形1.0~10kg/分であることがさらに好ましい。
<平均位相差とその標準偏差>
本発明のアニオン変性MFCは、2次元複屈折評価システム顕微鏡で波長543nmで取得される位相差マップ画像から得られる平均位相差(以下、単に「平均位相差」と呼ぶ。)が10.0nm以下である。より好ましくは8.0nm以下である。下限値は特に限定されないが、好ましくは2.0nm以上であり、さらに好ましくは3.0nm以上である。また本発明のアニオン変性MFCは、2次元複屈折評価システム顕微鏡で波長543nmで取得される位相差マップ画像から得られる位相差分布の標準偏差は15.0nm以下である。より好ましくは12.0nm以下、さらに好ましくは10.0nm以下である。この平均位相差とその標準偏差は、非特許文献1で説明されているように、セルロースの解繊度の指標となるものである。平均位相差とその標準偏差がこの範囲になる程度のフィブリル化を行うことにより、フィブリル化が進行したサブミクロン領域の繊維を適切なバランスで有するといった特徴が得られる。そのため、繊維分布の調整がなされていない従来のMFCに比べて、均一性や分散安定性、チキソトロピー性の発現、粘性の発揮等に優れる。
本発明において、平均位相差は、以下の方法で測定することができる:
イオン交換水を用い、3000rpmで1分間攪拌しながら、アニオン変性MFCの0.2質量%の水分散体を調製する。2次元複屈折評価システム顕微鏡(製品名:WPA-micro、フォトニックラティス社製)の観察ステージ上に、内部流路の断面寸法が1mm×1mmである石英流路を水平に設置し、調製した水分散体を石英流路内にシリンジで流し込み充填させる。流路外側の石英ガラス部分でベースラインを取得した後、観察視野を流路が中央になるように戻し、2倍、5倍、又は20倍の対物レンズを必要に応じて選択し、543nmの波長で、位相差マップ画像を取得する。得られた位相差マップ画像から、WPA-View分析ソフトウェア(バージョン2.4.9.5、フォトニックラティス社製)を用い平均位相差と標準偏差を求める。なお、サンプルごとに各倍率にて位相差マップ画像は5枚以上を取得し、5枚以上の画像について平均位相差と標準偏差をそれぞれ求め、それらの平均値を該当サンプルの平均位相差と標準偏差として得る。
<平均繊維幅>
本発明のアニオン変性MFCは、平均繊維幅が1.0~28.0μmである。より好ましくは2.0~26.0μm、さらに好ましくは4.0~24.0μmである。平均繊維幅がこの範囲になる程度の適度なフィブリル化を行うことにより、未解繊に近い繊維の比率が少なく、サブミクロン程度まで微細化が進んだ繊維を多く含有するMFCが得られる。このようなMFCは、チキソトロピー性の発現、粘性の発揮等に優れる。
本発明において、平均繊維幅は、以下の方法で測定することができる:
アニオン変性MFCを固形分で0.1g含むように希釈した水分散体300mLを画像解析型繊維分析装置(製品名:L&W Fiber Tester Plus、ABB社製)に供し、300秒間測定を行い、length-weighted fiber width(長さ加重平均繊維幅)を求める(n=2)。なお測定条件を定めるSample type画面にて、Fines LimitのMax値を0、Length class1のMin値を0に設定した上で測定を行う。
<0~0.2mm長さの範囲にある繊維比率>
本発明のアニオン変性MFCは、長さ加重繊維長分布において、0~0.2mmの範囲にある繊維比率(以下、単に「繊維比率」又は「0~0.2mm長さの繊維比率」と呼ぶ。)が、80.0%以上である。より好ましくは85.0%以上、さらに好ましくは90.0%以上である。上限は特に限定されず、100.0%以下である。上記の繊維比率がこの範囲になる程度のフィブリル化を調整することにより、本発明の効果を適切に得ることができる。
本発明において、上記繊維比率は、以下の方法で測定することができる:
アニオン変性MFCを固形分で0.1g含むように希釈した水分散体300mLを画像解析型繊維分析装置(製品名:L&W Fiber Tester Plus、ABB社製)に供し、300秒間測定を行い、L1(0~0.1mm長さの繊維比率に100をかけた値として表示される)とL2(0.1~0.2mm長さの繊維比率に100をかけた値として表示される)から、0~0.2mmの範囲にある繊維比率を求める。なお測定条件を定めるSample type画面にて、Fines LimitのMax値を0、Length class1のMin値を0に設定した上で測定を行う。
<透明度>
本発明のアニオン変性MFCは、1質量%の固形分濃度の水分散体とした際の波長660nmの光の透過率(以下、「透明度」と呼ぶ。)が、60.0%以下であることが好ましく、50.0%以下がさらに好ましく、45.0%以下がさらに好ましい。下限は特に限定されず、0.0%以上でよい。透明度がこのような範囲であると、フィブリル化の程度が適度であり、本発明の効果が得られやすい。本発明において、透明度は、以下の方法で測定することができる:
アニオン変性MFCの水分散体(固形分濃度1質量%)を調製し、UV-VIS分光光度計 UV-1800(島津製作所社製)を用い、光路長10mmの角型セルを用いて波長660nmの光の透過率を測定する。
<クリル値>
クリル値とは、サブミクロンオーダー程度の繊維(クリル)の量を相対的な数値として表したものであり、以下の方法で測定される値である。本発明のアニオン変性MFCは、クリル値が、2.0より大きく4.0未満の範囲であると、サブミクロン領域の繊維が多いので、チキソトロピー性に優れる点から好ましい。また、クリル値が、0.0以上2.0以下の範囲であると、粘度が低く作業性に優れる点から好ましい。本発明においてクリル値は、以下の方法で測定することができる:
アニオン変性MFCを固形分で0.1g含む水分散体を300mLを調製し、画像解析型繊維分析装置(製品名:L&W Fiber Tester Plus、ABB社製)に供し、300秒間測定を行い、得られるクリル値を採用する。
<その他>
本発明のアニオン変性MFCは、BET比表面積が好ましくは100m/g以上であり、さらに好ましくは110m/g以上である。BET比表面積が大きいと、フィブリル化の程度が適度であり、本発明の効果が得られやすい。BET比表面積は、窒素ガス吸着法(JIS Z 8830)を参考に以下の方法により測定できる:
(1)アニオン変性MFCの約2質量%のスラリー(分散媒:水)を、固形分が約0.1gとなるように取り分け遠心分離の容器に入れ、100mLのエタノールを加える。
(2)攪拌子を入れ、500rpmで30分以上攪拌する。
(3)撹拌子を取り出し、遠心分離機で、7000G、30分、30℃の条件でアニオン変性MFCを沈降させる。
(4)アニオン変性MFCをできるだけ除去しないようにしながら、上澄みを除去する。
(5)エタノールを100mL加え、撹拌子を加え、(2)の条件で攪拌、(3)の条件で遠心分離、(4)の条件で上澄み除去を行い、これを3回繰り返す。
(6)(5)の溶媒をエタノールからt-ブタノールに変え、t-ブタノールの融点以上の室温下で、(5)と同様にして撹拌、遠心分離、上澄み除去を3回繰り返す。
(7)最後の溶媒除去後、t-ブタノールを30mL加え、軽く混ぜた後ナスフラスコに移し、氷浴を用いて凍結させる。
(8)冷凍庫で30分以上冷却する。
(9)凍結乾燥機に取り付け、3日間凍結乾燥する。
(10)BET比表面積の測定を行う(前処理条件:窒素気流下105℃2時間、相対圧0.01~0.30、サンプル量30mg程度)。
本発明のアニオン変性MFCにおけるセルロースの結晶化度は、結晶I型が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。セルロースの結晶性は、アニオン変性の度合によって制御できる。セルロースI型の結晶化度の上限は特に限定されない。現実的には90%程度が上限となると考えられる。
アニオン変性MFCのセルロースI型の結晶化度の測定方法は、以下の通りである:
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(製品名:LabX XRD-6000、島津製作所社製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°~30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度。
本発明のアニオン変性MFCは、水を分散媒とした際に、固形分濃度1質量%以上程度で、一般には半透明から白色のゲル、またはクリーム状、ペースト状となる。
アニオン変性MFCは、製造後に得られる分散体の状態であってもよいが、必要に応じて乾燥してもよく、また水に再分散してもよい。乾燥方法は何ら限定されないが、例えば凍結乾燥法、噴霧乾燥法、棚段式乾燥法、ドラム乾燥法、ベルト乾燥法、ガラス板等に薄く伸展し乾燥する方法、流動床乾燥法、マイクロウェーブ乾燥法、起熱ファン式減圧乾燥法などの既知の方法を使用できる。乾燥後に必要に応じて、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等で粉砕しても良い。また、水への再分散の方法も特に限定されず、既知の分散装置を使用することができる。
<用途>
本発明のアニオン変性MFCは、繊維状態の調整がなされていない従来のMFCに比べて、分散性、チキソトロピー性の発現、粘性の発揮等に優れているから、様々な用途に用いた際にも少量の添加にて所望の効果を発揮しやすくなると期待される。また、解繊の程度が強すぎず、サブミクロン領域の適度な繊維径を保持していることから、繊維の強度を必要とする用途や、繊維の高い歩留まりが要求される用途に特に最適に用いることができると考えられる。しかし、それら以外の用途に用いてもよい。アニオン変性MFCが用いられる分野は限定されず、一般的に添加剤が用いられる様々な分野、例えば、食品、飼料化粧品、医薬、製紙、各種化学用品、塗料、スプレー、農薬、土木、建築、電子材料、難燃剤、家庭雑貨、接着剤、洗浄剤、芳香剤、潤滑用組成物などで、増粘剤、ゲル化剤、糊剤、食品添加剤、賦形剤、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、製紙用添加剤、研磨剤、ゴム・プラスチック用配合材料、保水剤、保形剤、泥水調整剤、ろ過助剤、溢泥防止剤などとして使用することができると考えられる。
食品用としては、例えば、これらに限定されないが、食品用の保水性付与剤、保形性付与剤、粘度調整剤、乳化安定剤、分散安定剤等として用いることができる。使用できる食品としては、例えば、これらに限定されないが、飲料(ココア、繊維・果肉入りジュース、しるこ、甘酒、乳酸菌飲料、フルーツ牛乳など)、スープ類(コーンスープ、ラーメンスープ、味噌汁、コンソメなど)、たれ類、ドレッシング、ケチャップ、マヨネーズ、ジャム、ヨーグルト、ホイップクリーム、乾物類(乾燥加工食品、インスタントラーメン、パスタ麺など)、グルテンフリーパスタ、アイスクリーム、モナカ、シャーベット、ポリジュース、菓子類(グミ、ソフトキャンディ、ゼリー、クッキーなど)、メレンゲ、パン、グルテンフリーパン、フィリング、ホットケーキ、練り物、可食性フィルムなどが挙げられる。
食品に添加する場合の添加量は、期待される効果によって適宜選択することができるが、例えば食品の全質量に対し、0.1~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がさらに好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
医薬品用としては、例えば、これらに限定されないが、医薬品用の保水性付与剤、保形性付与剤、粘度調整剤、乳化安定剤、分散安定剤等として用いることができる。使用できる医薬品としては、例えば、これらに限定されないが、錠剤、軟膏、絆創膏、パップ剤、ハンドクリーム、練歯磨などが挙げられる。
医薬品に添加する場合の添加量は、期待される効果によって適宜選択することができるが、例えば医薬品の全質量に対し、0.1~30質量%が好ましく、0.5~20質量%がさらに好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
化粧品用としては、例えば、これらに限定されないが、化粧品用の保水性付与剤、保形性付与剤、粘度調整剤、乳化安定剤、分散安定剤等として用いることができる。使用できる化粧品としては、例えば、これらに限定されないが、フェイスパウダー、ファンデーション、スクラブ洗顔剤、パック、洗顔フォーム、洗顔クリーム、ヘアムース、シャンプー、ソープ、ローション、ヘアカラー、ヘアブリーチ、マスカラ、アイライナー、ネイル、制汗剤などが挙げられる。
化粧品に添加する場合の添加量は、期待される効果によって適宜選択することができるが、例えば化粧品の全質量に対し、0.1~30質量%が好ましく、0.5~20質量%がさらに好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
飼料用としては、例えば、これらに限定されないが、飼料用の保水性付与剤、保形性付与剤、粘度調整剤、乳化安定剤、分散安定剤等として用いることができる。使用できる飼料としては、例えば、これらに限定されないが、家畜や養殖魚用のモイストペレット、エクスパンジョンペレット、牛用代用乳などが挙げられる。
飼料に添加する場合の添加量は、期待される効果によって適宜選択することができるが、例えば飼料の全質量に対し、0.1~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がさらに好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
製紙用としては、例えば、これらに限定されないが、製紙用の保水性付与剤、保形性付与剤、粘度調整剤、乳化安定剤、分散安定剤が挙げられる。また、例えば、表面サイズ剤、歩留まり向上剤、紙力増強剤、コーティング剤、嵩高紙用添加剤などの製紙用薬品として用いることができる。
製紙用薬品として用いる場合、添加量は期待される効果によって適宜選択することができるが、例えば製紙用薬品の全質量に対し、0.1~30質量%が好ましく、0.5~20質量%がさらに好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
塗料用としては、例えば、これらに限定されないが、塗料用の保水性付与剤、保形性付与剤、粘度調整剤、乳化安定剤、分散安定剤等として用いることができる。使用できる塗料としては、例えば、これらに限定されないが、艶消し塗料、建築用塗料、自動車用塗料などが挙げられる。
塗料に添加する場合の添加量は、期待される効果によって適宜選択することができるが、例えば塗料の全質量に対し、0.1~30質量%が好ましく、0.5~20質量%がさらに好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例をあげてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、部および%は質量部および質量%を示す。
(実施例1)
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)を、TEMPO(Sigma Aldrich社製)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムが消費され系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化パルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.4mmol/gであった。
上記の工程で得られた酸化パルプを水で2.5%(w/v)に調整し、7МPaのキャビテーション噴流装置で処理濃度や処理流量を前述の範囲に調整のうえ10回処理して、酸化MFCを得た。得られた酸化MFCの物性値を表1に示す。
(実施例2)
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%:日本製紙株式会社製)40kg(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社製)312g(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム4112g(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液4000Lに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応混合物に塩酸を添加してpH2に調整した後、脱水と水での希釈を繰り返してパルプを十分に水洗し、最終的にパルプ固形分濃度が20質量%となるまで酸化パルプを得た。パルプ収率は90%であり、カルボキシル基量は1.41mmol/gであった。
得られた酸化パルプを水道水に分散し、水酸化ナトリウムを加えて攪拌することにより、pH7.7、固形分濃度1.1質量%の酸化パルプの水分散液を得た。
得られた酸化パルプの水分散液3000kgをモノフロー式のダブルディスクリファイナー(相川鉄工株式会社製 AWN20)を用い、刃高さや刃幅、クリアランスなどを機械的な接触が起こりにくくなるように適宜調整し、循環率77%の条件で部分循環を行いながら処理濃度や処理流量を前述の範囲に調整のうえ70分間循環運転し、叩解処理して、酸化パルプを酸化MFCとした。得られた酸化MFCの物性値を表1に示す。
(実施例3)
実施例2と同様にして得られた酸化パルプをイオン交換水に分散し、固形分濃度4.95質量%の酸化パルプの水分散液を得た。
水分散液に、酸化パルプ絶乾1gに対し0.6gの5%水酸化ナトリウム水溶液と0.14gの35%過酸化水素水を加えたのち、十分に攪拌した。攪拌後30分間静置することにより、過酸化水素処理酸化パルプを得た。得られた過酸化水素処理酸化パルプ水分散液72Lを14インチラボリファイナー(相川鉄工株式会社製)を用いて処理濃度や処理流量を前述の範囲に調整のうえ29分間循環処理し、酸化MFCを調製した。得られた酸化MFCの物性値を表1に示す。
(実施例4)
実施例2と同様にして得られた酸化パルプをイオン交換水に分散し、水酸化ナトリウムを加えて攪拌することにより、pH8.6、固形分濃度2.0質量%の酸化パルプの水分散液を得た。
得られた酸化パルプ水分散液80Lを14インチラボリファイナー(相川鉄工株式会社製)を用いて処理濃度や処理流量を前述の範囲に調整のうえ16分間循環処理し、酸化MFCを調製した。得られた酸化MFCの物性値を表1に示す。
(実施例5)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーに、水130部と、水酸化ナトリウム20部を水100部に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙株式会社製、LBKP)を100℃で60分間乾燥した際の乾燥質量で100部仕込んだ。30℃で90分間撹拌、混合し、マーセル化されたセルロース原料を調製した。更に撹拌しつつイソプロパノール(IPA)250部と、モノクロロ酢酸ナトリウム60部を添加し、30分間撹拌した後、70℃に昇温して90分間CM化反応をさせた。CM化反応時の反応媒中のIPAの濃度は、55%である。反応終了後、酢酸で中和し、CM置換度0.34、セルロースI型の結晶化度65%のCM化セルロース(ナトリウム塩)を得た。
得られたCM化セルロースをイオン交換水に分散し、水酸化ナトリウムを加えて攪拌することにより、pH7.5、固形分濃度4.0質量%のCM化セルロースの水分散液を得た。
得られたCM化セルロースの水分散液72LをB-50型トップファイナー(相川鉄工株式会社製)を用いて処理濃度や処理流量を前述の範囲に調整のうえ12分間循環処理し、CM化MFCを調製した。得られたCM化MFCの物性値を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られた酸化パルプをイオン交換水に分散し、水酸化ナトリウムを加えて攪拌することにより、pH8.8、固形分濃度4.72質量%の酸化パルプの水分散液を得た。得られた酸化パルプの物性値を表1に示す。
(比較例2)
比較例1で得られた酸化パルプ水分散液80Lを14インチラボリファイナー(相川鉄工株式会社製)を用いて14分間循環処理し、酸化MFCを調製した。得られた酸化MFCの物性値を表1に示す。
本発明により、(A)2次元複屈折評価システム顕微鏡で波長543nmで取得される位相差マップ画像から得られる平均位相差が10.0nm以下であり、平均位相差のばらつき(標準偏差)が15.0nm以下であり、(B)平均繊維幅が1.0~28.0μmの範囲内であり、かつ(C)長さ加重繊維長分布における0~0.2mmの範囲にある繊維比率が80.0%以上となるアニオン変性MFCが提供される。

Claims (8)

  1. 下記条件(A)~(C)を満たすアニオン変性ミクロフィブリルセルロース:
    (A)2次元複屈折評価システム顕微鏡で波長543nmで取得される位相差マップ画像から得られる平均位相差が10.0nm以下であり、平均位相差のばらつき(標準偏差)が15.0nm以下であること、
    (B)平均繊維幅が1.0~28.0μmの範囲であること、及び
    (C)長さ加重繊維長分布における、0~0.2mmの範囲にある繊維比率が80.0%以上であること。
  2. 平均位相差が8.0nm以下である、請求項1に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
  3. 平均位相差が2.0nm以上である、請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
  4. 平均位相差が3.0nm以上である、請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
  5. 1質量%の固形分濃度の水分散体とした際の波長660nmの光の透過率が60.0%以下である、請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
  6. (D)クリル値が2.0超4.0未満の範囲であること、
    をさらに満たす、請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
  7. (E)クリル値が2.0以下の範囲であること、
    をさらに満たす、請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロース。
  8. 請求項1又は2に記載のアニオン変性ミクロフィブリルセルロースを含む、水分散体。


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