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JP2024142338A - レンズ及びレンズの製造方法 - Google Patents

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JP2024142338A
JP2024142338A JP2023054436A JP2023054436A JP2024142338A JP 2024142338 A JP2024142338 A JP 2024142338A JP 2023054436 A JP2023054436 A JP 2023054436A JP 2023054436 A JP2023054436 A JP 2023054436A JP 2024142338 A JP2024142338 A JP 2024142338A
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裕樹 和田
賢治 山中
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Hoya Corp
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Hoya Corp
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Abstract

【課題】光学性能、位置決め精度、取り扱いやすさ、生産性などに優れるレンズを提供する。【解決手段】ガラスで構成されて光軸方向の両側に光学面(11、12)を有する光学機能部(10)と、光学機能部のガラスとは異なる材質からなり、光学機能部の外側を囲むコバ部(20)と、を備え、コバ部は、光軸方向に進むにつれて径が変化するテーパ面(22、25、52)と、テーパ面の外径側に位置して光軸に対して略垂直な外側平坦面(23、26、53)と、を少なくとも光軸方向の片側に備えているレンズ。【選択図】図1

Description

本発明は、レンズ及びレンズの製造方法に関する。
近年、スマートフォンなどの携帯型の電子機器への撮像手段の搭載が広く普及しており、撮像手段を小型で高性能なものにしたいという要求が高くなっている。そして、撮像手段を構成するレンズについては、光学的な性能が高いことや、レンズを保持する保持部材に対して高精度に位置決めできることなどを満たしつつ、できるだけ小型且つ軽量にすることが求められている。
一般的に、レンズは、光学面(レンズ面)を有して光学的に機能する本体部分の周縁にコバ部を有し、コバ部を介してレンズ位置が定められる。例えば、鏡筒の内部に設けたレンズ保持部にコバ部を当接させたり、光学系を構成する他のレンズやスペーサに対してコバ部を当接させたりして、レンズの位置決めを行う。また、コバ部は、レンズの搬送時や光学装置への組み込み時に保持する部分として用いられる。このように、コバ部は様々な役割を有しており、優れた形状精度及び強度を備えることや、保持の際などの取り扱い性に優れることが求められる。
レンズの位置は、光軸方向の位置と、光軸に垂直な方向(以下、光軸直交方向と呼ぶ)の位置と、光学系の光軸に対する傾きとで管理される。例えば、コバ部が光軸直交方向に延在する平面を有しており、この平面を基準として光軸方向のレンズ位置を定める。また、コバ部が光軸を囲む円筒状の外周面を有しており、この外周面を基準として光軸直交方向のレンズ位置を定める。
また、光学素子とその外側の保持枠とを一体化し、光軸に対して平行でも垂直でもない傾斜形状の外周壁を保持枠が備えている複合光学素子(レンズ)が知られている(例えば、特許文献1の図9から図13)。このような傾斜形状の外周壁を基準として、光軸方向と光軸直交方向の両方における複合光学素子の位置を管理することが可能である。
特開2006-285109号公報
コバ部における光軸直交方向に延在する平面によって光軸方向の位置決めを行い、コバ部における外周面によって光軸直交方向の位置決めを行うタイプのレンズでは、高精度な位置決めが難しい場合があった。例えば、この種のレンズをプレス成形で製造する場合、光軸方向の前後の面(光学面、コバ部における光軸直交方向に延在する平面、など)をスライド型の端面を用いて形成し、コバ部の外周面を胴型(内部にスライド型を可動に支持する筒型の部材)の内周面を用いて形成する。すると、スライド型によって形状が管理される光学面の光軸に対して、胴型によって形状が管理されるコバ部の外周面の偏心誤差が発生しやすく、コバ部の外周面を基準として高精度にレンズの位置決めを行うことが難しくなる。
また、コバ部を含む全体をガラスのプレス成形で形成するガラスモールドレンズでは、ガラスプリフォームの容量や供給位置、成形型の内部空間の体積などに関する各種の誤差を吸収するために、コバ部に体積吸収部を設定している。体積吸収部は、上記の各種誤差に応じた形状のばらつきを許容する部分であり、レンズの位置決めに使用することができない。そのため、体積吸収部の影響で、コバ部において位置決めに使用可能な面積が限定されて、レンズを高精度に位置決めしにくくなる。
また、ガラスモールドレンズでは、厚みが小さく、角度変化が急峻な部分において、割れや破損が生じやすいため、コバ部の形状自由度が低いという問題があった。特に、薄型でありながら位置決めの精度に優れるコバ部を得ることが難しかった。
特許文献1の図9から図13に記載された複合光学素子では、光学素子素材の外側に金属製の保持枠を設け、保持枠の外周壁が備える傾斜面を介して複合光学素子の位置決めを行う。金属製の保持枠は、ガラスモールドレンズの一部としてガラスで形成されるコバ部に比べて、薄型化しやすく、形状の自由度が高いという特徴がある。また、保持枠の外周壁の傾斜面によって、光軸方向と光軸直交方向の両方の位置決めを行うことができ、シンプルな構造で精度の高い位置決めを実現しやすい。
しかしながら、特許文献1の図9から図13に記載された複合光学素子の保持枠は、光学素子の周縁部を受ける底壁と、底壁から外側に広がる傾斜形状の外周壁とによって構成されたカップ型の形状であり、複合光学素子を鏡筒に組み込む前の段階で取り扱いにくいという問題がある。例えば、複合光学素子を搬送や位置決めする際に、傾斜形状の外周壁や、外周壁の内側に位置する底壁は、工具による保持を行いにくく、複合光学素子の向きや位置の調整を行なわせることが難しい。
また、このような底壁と外周壁とを有する保持枠は、保持枠自体の製造にプレス加工を用いることが想定され、プレス加工に伴う各種誤差の吸収を考慮する必要がある。しかし、特許文献1に開示される構造では、光学素子を保持する底壁と、複合光学素子の位置決めに用いる外周壁のいずれにおいても、それぞれに高い形状精度が求められるため、誤差を吸収するための変形を底壁や外周壁において許容できない。そのため、保持枠を効率良く高精度に製造することが難しいという問題がある。
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、光学性能、位置決め精度、取り扱いやすさ、生産性などが総合的に優れるレンズを提供することを目的とする。また、本発明は、このようなレンズを簡単且つ高精度に製造できるレンズの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様のレンズは、ガラスで構成されて光軸方向の両側に光学面を有する光学機能部と、前記光学機能部の前記ガラスとは異なる材質からなり、前記光学機能部の外側を囲むコバ部と、を備え、前記コバ部は、光軸方向に進むにつれて径が変化するテーパ面と、前記テーパ面の外径側に位置して光軸に対して略垂直な外側平坦面と、を少なくとも光軸方向の片側に備えていることを特徴とする。
前記コバ部は金属製であることが好ましい。
前記コバ部は、光軸方向の両側に前記テーパ面を備えており、光軸方向の一方の側の前記テーパ面は、外径側に進むにつれて前記コバ部の厚みを小さくする方向に傾斜し、光軸方向の他方の側の前記テーパ面は、外径側に進むにつれて前記コバ部の厚みを大きくする方向に傾斜するように構成するとよい。
あるいは、前記コバ部は、光軸方向の片側のみに前記テーパ面を備えており、前記テーパ面は、外径側に進むにつれて前記コバ部の厚みを小さくする方向に傾斜するように構成するとよい。
前記コバ部はさらに、前記テーパ面の内径側に位置して光軸に対して略垂直な内側平坦面を備えることが好ましい。
前記テーパ面の光軸方向の高さは0.1mm以上であることが好ましい。
前記コバ部における前記テーパ面よりも外径側の部分の光軸方向の厚みが0.15mm以上であることが好ましい。
前記コバ部における前記テーパ面よりも内径側の部分の光軸方向の厚みtinと、前記テーパ面よりも外径側の部分の光軸方向の厚みtoutが、0.7≦tin/tout≦1.3を満たすことが好ましい。
前記光学機能部はガラスのプレス成形品であって、前記光学機能部は、プレス成形に伴う形状誤差を許容する体積吸収部を前記光学面の周囲に有することが好ましい。
本発明の一態様のレンズの製造方法は、前記光学機能部の母材であるガラスプリフォームと、前記コバ部の母材である環状部材とを、上型と下型の間に保持し、前記上型と前記下型を接近させて前記ガラスプリフォームと前記環状部材を押圧するプレス加工によって、前記光学面と前記テーパ面と前記外側平坦面とを形成すると共に、前記光学機能部と前記コバ部を互いに固定させることを特徴とする。
本発明によれば、光学性能、位置決め精度、取り扱いやすさ、生産性などに優れるレンズを得ることができる。また、このようなレンズを簡単且つ高精度に製造することができる。
本実施形態のレンズの断面図である。 レンズの一部を拡大した断面図である。 レンズの正面図である。 レンズを製造する成形型の構成を示す断面図である。 成形型によるプレス成形でレンズを製造する工程を説明する図である。 成形型によるプレス成形でレンズを製造する工程を説明する図である。 成形型を構成する下型を製造する工程を示す図である。 レンズの変形例を示す断面図である。
図1から図3は、本発明を適用した実施形態に係るレンズ1を示している。レンズ1の光軸X1に沿う方向を光軸方向とし、光軸X1に対して垂直な方向を光軸直交方向とする。光軸直交方向は、レンズ1の径方向と呼ぶこともできる。図1は光軸X1を含む断面位置でレンズ1を示した断面図であり、図2は図1の一部を拡大した図である。図3は、光軸X1に沿ってレンズ1を見た正面図である。
レンズ1は、ガラスで構成された光学機能部10と、光学機能部10の外側を環状に囲むコバ部20と、によって構成されている。コバ部20は光学機能部10を構成するガラスとは異なる材質からなり、本実施形態のコバ部20は金属製である。コバ部20を構成する金属の軟化温度は、光学機能部10を構成するガラスのガラス転移温度と同等以上である。
光学機能部10は、光軸方向の両側に光学面(レンズ面)を有する。本実施形態のレンズ1は、光学機能部10の両側の第1光学面11と第2光学面12がいずれも凸面である両凸レンズである。光軸方向のうち第1光学面11が向く側を第1の方向Xaとし、第2光学面12が向く側を第2の方向Xbとする。
レンズ1は、光学機能部10における第1光学面11と第2光学面12がそれぞれ非球面の非球面レンズである。なお、本発明によるレンズは非球面レンズに限定されるものではなく、球面レンズに適用することも可能である。
光学機能部10は、第1光学面11と第2光学面12の互いの外縁部分を接続する外周面13を有している。外周面13は光軸X1を中心とする円筒状の面である。図2に示すように、光学機能部10は、第1光学面11と外周面13の境界部分に体積吸収部14を備え、第2光学面12と外周面13の境界部分に体積吸収部15を備えている。体積吸収部14と体積吸収部15は、後述するレンズ1の成形時の誤差の影響を吸収するための部分である。
体積吸収部14は、第1光学面11を設計上のレンズ面形状のまま延長して外周面13と交差させた場合の角形状よりも内側を通るコーナーR形状(角丸形状)になるように、第1光学面11と外周面13の境界部分を接続したものである。体積吸収部15は、第2光学面12を設計上のレンズ面形状のまま延長して外周面13と交差させた場合の角形状よりも内側を通るコーナーR形状(角丸形状)になるように、第2光学面12と外周面13の境界部分を接続したものである。なお、図1に示す体積吸収部14や体積吸収部15の形状は一例であり、成形時の誤差の程度によって体積吸収部14や体積吸収部15の形状は異なるものになる。
コバ部20は、光軸方向の一方の側である第1の方向Xa側に、内側平坦面21と第1テーパ面22と外側平坦面23とを有する。内側平坦面21が最も径方向の内側(第1光学面11寄りの位置)に位置し、内側平坦面21の外側に第1テーパ面22を備え、外側平坦面23が最も径方向の外側に位置している。
また、コバ部20は、光軸方向の他方の側である第2の方向Xb側に、内側平坦面24と第2テーパ面25と外側平坦面26とを有する。内側平坦面24が最も径方向の内側(第2光学面12寄りの位置)に位置し、内側平坦面24の外側に第2テーパ面25を備え、外側平坦面26が最も径方向の外側に位置している。
内側平坦面21、外側平坦面23、内側平坦面24、外側平坦面26はそれぞれ、光軸X1に対して略垂直な平面であり、光軸X1を中心とした環状の範囲に設けられている(図3参照)。第1テーパ面22と第2テーパ面25はそれぞれ、光軸方向で第2の方向Xbに進むにつれて径が大きくなる(第1の方向Xaに進むにつれて径が小さくなる)円錐台形状の面である。
コバ部20は、内側平坦面21と内側平坦面24の互いの内縁部分を接続する内周面27と、外側平坦面23と外側平坦面26の互いの外縁部分を接続する外周面28と、を有している。内周面27と外周面28はそれぞれ、光軸X1を中心とする円筒状の面である。コバ部20の内周面27が光学機能部10の外周面13に対して固定されている。コバ部20の外周面28は、レンズ1における最外縁を構成する面である。内周面27付近や外周面28付近は、コバ部20を成形する際の誤差を吸収する(形状誤差を許容する)体積吸収部として用いることが可能である。後述するように、外周面28付近を体積吸収部として用いることが好ましい。
コバ部20のうち、内側平坦面21と内側平坦面24を含む領域を内側平坦部20aとし、第1テーパ面22と第2テーパ面25を含む領域を中間テーパ部20bとし、外側平坦面23と外側平坦面26を含む領域を外側平坦部20cとする。コバ部20は、中間テーパ部20bを挟んで、内側平坦部20aと外側平坦部20cが光軸方向に部分的にずれた構成になっている。
第1テーパ面22は、外径側に進むにつれてコバ部20の光軸方向の厚みを小さくさせる方向(内側平坦面21に対して外側平坦面23を第2の方向Xbに凹ませる方向)に傾斜する面である。第2テーパ面25は、外径側に進むにつれてコバ部20の光軸方向の厚みを大きくさせる方向(内側平坦面24に対して外側平坦面26を第2の方向Xbに突出させる方向)に傾斜する面である。従って、中間テーパ部20bを挟んで、内側平坦部20aに対して外側平坦部20cが第2の方向Xb側にずれた配置となる。
第1テーパ面22と第2テーパ面25は、光軸X1に対する傾斜角が略同じである。図2に示すように、光軸方向における第1テーパ面22の高さdtp1(内側平坦面21と外側平坦面23との間の光軸方向の距離)と、光軸方向における第2テーパ面25の高さdtp2(内側平坦面24と外側平坦面26との間の光軸方向の距離)は、dtp1<dtp2の関係にある。従って、内側平坦部20aの光軸方向の厚みtin(内側平坦面21と内側平坦面24の間隔)よりも、外側平坦部20cの光軸方向の厚みtout(外側平坦面23と外側平坦面26の間隔)の方が大きい。
図3に示すように、コバ部20に情報表示部29を設けてもよい。情報表示部29の例として、レンズ1の周方向の方位など示す基準マーク、製品のシリアル番号、レンズ1のスペックなどの情報を含む二次元コード、などが適用可能である。金属製のコバ部20は情報表示部29を設けやすく、情報表示部29の視認性も高めやすい。図3の例では、情報表示部29を設ける位置として外側平坦部20cの外側平坦面23を選択している。この構成によれば、第1テーパ面22や第2テーパ面25を用いたレンズ1の位置決めに影響を及ぼさずに、視認性の高い位置に情報表示部29を設けることができる。なお、情報表示部を設ける位置は図示の例に限定されるものではなく、例えば、内側平坦面21、内側平坦面24、外側平坦面26、外周面28などに情報表示部を設けてもよい。
図4は、レンズ1を製造するための成形型40の構成を示している。成形型40は、胴型41と下型42と上型43とによって構成されている。胴型41は円筒形状であり、円筒面である内周面41aによって囲まれる内部空間を有する。成形型40の中心軸X2は、内周面41aの中心を通って上下方向に延びる軸線である。胴型41は、胴型下端面41bを下端に有し、胴型上端面41cを上端に有する。胴型下端面41bと胴型上端面41cはそれぞれ、中心軸X2に対して略垂直な面である。胴型41の内部空間は、上下方向に貫通して胴型下端面41bと胴型上端面41cの内側領域で開口している。
下型42は、胴型41の内部空間に対して下方から挿入される挿入部42aと、挿入部42aの下部に設けられて挿入部42aよりも大径の大径部42bとを有する。上型43は、胴型41の内部空間に対して上方から挿入される挿入部43aと、挿入部43aの上部に設けられて挿入部43aよりも大径の大径部43bとを有する。挿入部42aと挿入部43aのそれぞれの外周面は、胴型41の内周面41aに対して、上下方向に摺動が可能であり、中心軸X2と垂直な方向には移動が規制される。つまり、下型42と上型43の中心軸が中心軸X2に一致するように調芯された状態で、胴型41に対して下型42と上型43が上下方向に移動可能である。
下型42は、挿入部42aの上端に光学形成面44を有する。光学形成面44は、中心軸X2上の中心が最も深く、外径側に向けて浅くなる凹型の面である。挿入部42aの上端にはさらに、光学形成面44の周囲にコバ部形成面45が形成されている。コバ部形成面45は、光学形成面44に近い径方向の内側から外側へ向けて順に、内側平坦面45aと、テーパ面45bと、外側平坦面45cと、を有している。内側平坦面45aと外側平坦面45cは中心軸X2に対して略垂直な面であり、中心軸X2を中心とする環状の範囲に設けられている。外側平坦面45cは内側平坦面45aよりも上方に位置する。テーパ面45bは、中心軸X2を中心とする円錐台形状の面であり、テーパ面45bの一方の端部(小径側の端部)が内側平坦面45aに接続し、テーパ面45bの他方の端部(大径側の端部)が外側平坦面45cに接続している。
上型43は、挿入部43aの下端に光学形成面46を有する。光学形成面46は、中心軸X2上の中心が最も深く、外径側に向けて浅くなる凹型の面である。挿入部43aの下端にはさらに、光学形成面46の周囲にコバ部形成面47が形成されている。コバ部形成面47は、光学形成面46に近い径方向の内側から外側へ向けて順に、内側平坦面47aと、テーパ面47bと、外側平坦面47cと、を有している。内側平坦面47aと外側平坦面47cは中心軸X2に対して略垂直な面であり、中心軸X2を中心とする環状の範囲に設けられている。外側平坦面47cは内側平坦面47aよりも上方に位置する。テーパ面47bは、中心軸X2を中心とする円錐台形状の面であり、テーパ面47bの一方の端部(小径側の端部)が内側平坦面47aに接続し、テーパ面47bの他方の端部(大径側の端部)が外側平坦面47cに接続している。
プレス成形でレンズ1を形成する際に、胴型41に対して下型42の挿入部42aと上型43の挿入部43aがそれぞれ最も挿入される位置を、下型42や上型43におけるプレス移動端と呼ぶ。図4に示すように、下型42と上型43がそれぞれのプレス移動端に達した状態で、光学形成面44と光学形成面46、コバ部形成面45とコバ部形成面47がそれぞれ上下方向に所定の間隔を空けて対向し、下型42と上型43の間に型空間Sが形成される。型空間Sは、下型42の光学形成面44及びコバ部形成面45と、上型43の光学形成面46及びコバ部形成面47と、胴型41の内周面41aと、によって囲まれる空間である。
一例として、大径部42bが胴型下端面41bに当て付く位置を、下型42におけるプレス移動端とすることができる。また、大径部43bが胴型上端面41cに当て付く位置を、上型43におけるプレス移動端とすることができる。あるいは、上型43において、大径部43bが胴型上端面41cに当て付くこと以外の構成によって、プレス移動端を定めてもよい。
図5及び図6は、成形型40を用いてレンズ1を製造する工程を示している。成形型40の内部に、光学機能部10の母材となるガラスプリフォーム30と、コバ部20の母材となる環状部材31とを配置して、成形型40によるプレス成形を行うことによってレンズ1を製造する。
図5に示すように、ガラスプリフォーム30は球体形状のガラスで構成されており、環状部材31は円環形状の金属で構成されている。環状部材31は、成形型40の中心軸X2に対して略垂直な環状の平坦面32及び平坦面33と、平坦面32及び平坦面33の互いの内縁部分を接続する円筒状の内周面34と、平坦面32及び平坦面33の互いの外縁部分を接続する円筒状の外周面35と、を有している。
成形型40を用いてレンズ1を製造する際には、図5に示すように、ガラスプリフォーム30及び環状部材31を下型42と上型43の間に保持する。環状部材31は、平坦面32をコバ部形成面45の外側平坦面45cに載せ、外周面35を胴型41の内周面41aに対向させた状態で保持される。平坦面32を外側平坦面45cに載せることで、中心軸X2に沿う方向での環状部材31の位置が定まる。また、外周面35の外径の大きさと、内周面41aの内径の大きさとが適宜定められており、外周面35と内周面41aによって、中心軸X2に対して垂直な方向における環状部材31の位置が定まる。環状部材31における内周面34から外周面35までの径方向の幅は、下型42の外側平坦面45cの径方向の幅よりも大きく、環状部材31は、外側平坦面45cよりも内径側(中心軸X2に近い位置)に張り出した状態で保持される。
仮に、コバ部が外側平坦部20cに相当する部位を備えていない構成であり、下型42が外側平坦面45cに相当する部位を備えていない構成であると、環状部材31のような母材をテーパ面45bに載せて保持する状態になる。すると、母材の傾きによるセッティング不良が生じるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、コバ部20が外側平坦部20cを備え、外側平坦部20cの外側平坦面23を形成するための外側平坦面45cを下型42が備えている。これにより、下型42の外側平坦面45cを光軸方向の基準とし、胴型41の内周面41aを光軸直交方向の基準として、環状部材31を高精度に成形型40内に配置することができ、成形型40に対する環状部材31のセッティングが容易になる。
プレス加工前の平坦面32から平坦面33までの環状部材31の厚みは、下型42と上型43がそれぞれプレス移動端にあるときのコバ部形成面45とコバ部形成面47の間隔よりも大きく設定されている。従って、下型42と上型43を互いのプレス移動端まで接近移動させる際に、コバ部形成面45とコバ部形成面47による押圧力を受けて環状部材31が変形して径方向に延展する。
ガラスプリフォーム30は、下型42の光学形成面44に載せられる。光学形成面44の凹み形状によって、ガラスプリフォーム30が中心軸X2上の位置に保持される。下型42は、大径部42bを胴型下端面41bに当接させたプレス移動端に保持され、挿入部42aが胴型41から離脱しないように下型42が下方から支持される。なお、光学形成面44上へのガラスプリフォーム30の供給は、胴型41から挿入部42aを下方に抜いた状態で行ってもよいし、胴型41に挿入部42aを挿入した状態で胴型41の上端側から行ってもよい。
図5のようにガラスプリフォーム30と環状部材31を成形型40の内部に配置したら、ガラスプリフォーム30のガラス転移温度を超えるまで加熱してガラスプリフォーム30を軟化させる。そして、図示を省略するプレス装置を用いて、挿入部43aを胴型41に挿入した状態の上型43を下方に向けて押圧する。下降する上型43の光学形成面46と、下降が規制された下型42の光学形成面44との間でガラスプリフォーム30がプレスされて変形する。ガラスプリフォーム30は、中心軸X2に沿う方向で厚みを小さくしながら外径側に延展する。
上型43の下降が進んでガラスプリフォーム30がある程度変形すると、下降するコバ部形成面47が上方から環状部材31の平坦面33に接触し、コバ部形成面45とコバ部形成面47の間で環状部材31が押圧されて変形する。このとき、環状部材31は、中心軸X2に沿う方向で厚みを小さくしながら内径側に延展する。その際に、平坦面32側の形状がコバ部形成面45に沿う形状に変化して、内側平坦面45aに対応した形状の内側平坦面21と、テーパ面45bに対応した形状の第1テーパ面22と、外側平坦面45cに対応した形状の外側平坦面23が形成される。また、平坦面33側の形状がコバ部形成面47に沿う形状に変化して、内側平坦面47aに対応した形状の内側平坦面24と、テーパ面47bに対応した形状の第2テーパ面25と、外側平坦面47cに対応した形状の外側平坦面26が形成される。
上型43を図6に示すプレス移動端まで下降させると、ガラスプリフォーム30が環状部材31の内側領域で下型42と上型43によってプレスされた結果、光軸方向の両側に光学形成面44と光学形成面46の形状が転写された第1光学面11と第2光学面12を有する光学機能部10になる。また、環状部材31が下型42と上型43によってプレスされた結果、光軸方向の両側にコバ部形成面45とコバ部形成面47の形状が転写されたコバ部20になる。さらに、外径側に向けて延展されたガラスプリフォーム30と内径側に向けて延展された環状部材31が互いに密着した結果、光学機能部10の外周面13とコバ部20の内周面27が密着固定される。コバ部20の内周面27は、内径側に延展した環状部材31の内周面34を元にして構成されており、光軸X1を中心とする略円筒形状である。光学機能部10の外周面13は、コバ部20の内周面27に対応した略円筒形状になる。コバ部20の外周面28は、胴型41の内周面41aに沿う略円筒形状になる。
なお、成形型40を構成する材質よりも熱膨張率が大きい金属によって環状部材31(コバ部20)を構成し、ガラスプリフォーム30を軟化させるために加熱する前の状態で、環状部材31が成形型40の内側に僅かなクリアランスをもって配置されてもよい。この場合、加熱で環状部材31が膨張し、熱膨張率の差を利用して環状部材31が成形型40に密着する。胴型41の内周面41aの中心軸X2と成形後のレンズ1の光軸X1とが高精度で合致するように成形型40を構成しておくことで、加熱によって膨張する環状部材31が等方的に内周面41aに密着して、胴型41に対する偏心精度が向上し、環状部材31から形成されるコバ部20の中心位置を高精度に光学機能部10と同軸化させたレンズ1を得ることができる。
以上のプレス成形が完了した後で、所定の温度まで冷却してから成形型40を分解することによって、成形後のレンズ1を取り出す。このようにして、ガラスのプレス成形品である光学機能部10と金属製のコバ部20とからなるハイブリッド構造のレンズ1が形成される。
成形型40を用いたレンズ1の製造では、プレス加工の1回のストロークによって、ガラスプリフォーム30からの光学機能部10の形成と、環状部材31からのコバ部20の形成と、光学機能部10とコバ部20の一体化(固定)とを全て行うので、非常に効率良くレンズ1を製造することができる。
また、レンズ1の成形の際には、成形型40の内部でのガラスプリフォーム30の流動性に留意する必要がある。成形型40の型空間Sは、光学形成面44と光学形成面46の間の中央部分ではスペースが広く、コバ部形成面45とコバ部形成面47の間の周縁部分ではスペースが狭くなっている。
狭い空間にガラスプリフォームを延展させるには、ガラスプリフォームを低粘度化させる必要があり、低粘度化させるにはガラスプリフォームを成形時に高温にする必要がある。すると、成形後の熱収縮の影響が大きくなり、光学面の精度や外観品質が悪化する可能性がある。特に、コバ部を光軸方向で薄型化させるほど、コバ部を形成するための空間が狭くなってガラスプリフォームを延展させにくくなり、成形時におけるガラスプリフォームのより一層の低粘度化(すなわち高い温度への加熱)が必要になる。
しかし、本実施形態の成形型40では、成形型40の型空間Sのうち、外周側が環状部材31(成形後のコバ部20)によって囲まれており、成形時に型空間Sの外周側の狭い空間にガラスプリフォーム30を延展させる必要がない。従って、外観や面精度において高品質を要求される光学有効エリア(光学形成面44や光学形成面46によって形成される第1光学面11や第2光学面12)内のガラスプリフォーム30の延展を、比較的低い温度(ガラスプリフォーム30のガラス転移温度に近い値)で実現することができ、光学機能部10における外観や面精度の高品質化に有利となる。
さらに、光学機能部10には割れやすい突出部分や屈曲部分が無いので、成形型40で光学機能部10を成形する際に、割れを抑制するための離型膜の設置やガラスプリフォーム30の特殊な表面処理などの対策が不要である(あるいは対策を軽減できる)。その結果、離型膜や表面処理を起因とする光学機能部10の外面の曇りや面精度の不安定化が発生せず、この点においても、光学機能部10における外観や面精度の高品質化に有利となる。
成形型の上型や下型によってガラスプリフォームを押圧する際に、ガラスプリフォームの外周部が上方や下方に向かって湾曲して、ガラスプリフォームの外周部が内周側よりも先に上型や下型の光学形成面に接触する場合がある。このような場合、ガラスプリフォームと光学形成面との間に気体が封入され、いわゆるガストラップが発生してしまう。ガストラップはレンズの形状不良の原因になる。ガストラップを回避するためには、ガラスプリフォームの曲率半径を、上型や下型の光学形成面の曲率半径よりも所定以上小さくする必要がある。
本実施形態のレンズ1では、レンズ1のコバ部20を金属製とすることにより、光学機能部10の形成に用いるガラスプリフォーム30を少量にして材料を節約することができる。また、ガラスプリフォーム30が少量であると曲率半径を小さくできるので、曲率半径が大きいガラスプリフォームからレンズの光学面を作成するよりも、プレス時のガストラップの発生リスクが軽減される。
成形型40を用いてレンズ1を製造する際には、ガラスプリフォーム30の容量誤差、成形型40の型空間Sの体積誤差、ガラスプリフォーム30の供給位置の偏り、などの各種誤差が発生する。レンズ1における体積吸収部14と体積吸収部15は、このような各種誤差に応じた形状のばらつきを許容する部分である。そして、光学機能部10の外周角部に体積吸収部14と体積吸収部15を備えることによって、光学機能部10の他の部分にプレス成形時の誤差の影響が及ぶのを防いで、第1光学面11及び第2光学面12を高精度に形成することができる。
体積吸収部14と体積吸収部15は、光学機能部10から急峻に突出したり凹んだりする形状ではなく、第1光学面11及び第2光学面12と外周面13とを滑らかに接続するコーナーR形状であるため、体積吸収部14や体積吸収部15を起因とする光学機能部10の割れや破損が生じにくい。
レンズ1は光学機器の光学系の構成要素として用いられる。一例として、図示を省略する鏡筒にレンズ1が取り付けられて、レンズ1が鏡筒内の他のレンズ(単数のレンズでも複数のレンズでもよい)と共に撮像装置の撮像光学系を構成する。このような光学系を構成する際には、レンズ1を所定の位置に定めて鏡筒に取り付ける必要がある。レンズ1においてはコバ部20が位置決め用の機能を備えている。
なお、レンズ1の位置決めとは、鏡筒のような保持部材に対して位置を定めること、他のレンズに対して相対的な位置関係を定めること、レンズ以外の光学要素に対して相対的な位置関係を定めること、を全て含む。例えば、鏡筒の内部に設けたレンズ保持面、鏡筒の内部に取り付けられた他のレンズの位置決め面、レンズ1と他のレンズとの間に挿入されるスペーサ、などに対して、コバ部20の所定箇所を当接させることによって、光学系におけるレンズ1の位置を定める。
レンズ1の位置は、光軸方向の位置、光軸直交方向の位置(偏心)、光学系の光軸に対する光軸X1の角度(傾き)、などの要素で管理される。レンズ1は、コバ部20のうち第1テーパ面22と第2テーパ面25の少なくとも一方を位置決め面として用いることができる。第1テーパ面22と第2テーパ面25はいずれも光軸X1を中心とする円錐台形状の面であり、光軸方向の成分と光軸直交方向の成分を含んでいる。そのため、第1テーパ面22や第2テーパ面25を位置決め面として適用すると、光軸方向と光軸直交方向の双方でレンズ1の位置を定めることができ、光学系の光軸に対する光軸X1の角度も定めることができる。このように、複数の方向の位置決めを担う第1テーパ面22や第2テーパ面25をコバ部20が備えることによって、レンズ1の位置を簡単且つ高精度に管理しやすくなる。
例えば、本実施形態のレンズ1のコバ部20とは異なり、光軸直交方向に延在する前後一対の平面と、光軸を中心とする円筒状の外周面と、のみによって外面を構成したコバ部の場合、コバ部の平面によって光軸方向の位置決めを行い、コバ部の外周面によって光軸直交方向の位置決めを行う。このようなレンズを成形型のプレス成形で製造する場合、下型や上型によってコバ部の平面を成形し、胴型の内周面によってコバ部の外周面を成形するのが一般的である。つまり、光軸方向の位置決め用の面(平面)を成形するための型部材(下型、上型)と、光軸直交方向の位置決め用の面(外周面)を成形するための型部材(胴型)とが、別々の部材になる。すると、これらの別々の型部材の間に存在する精度誤差(個々の型部材の精度誤差や、複数の型部材を組み合わせる際の精度誤差)がコバ部の各面の形状精度に影響を及ぼし、コバ部を用いて光軸方向と光軸直交方向の両方を高精度に位置決めすることの難度が高くなってしまう。一例として、胴型の中心軸に対して上型や下型の中心軸が偏心した状態でレンズのプレス成形が行われ、当該レンズの光軸とコバ部の外周面の中心軸とがずれる可能性がある。このようなレンズを鏡筒に組み付けると、光学系の設計上の光軸位置(鏡筒の中心軸)に対してレンズの光軸が光軸直交方向にずれて、レンズの組み付け誤差による光学性能の悪化が生じるおそれがある。
これに対して、本実施形態のレンズ1では、下型42のテーパ面45b(コバ部形成面45)を用いて成形される第1テーパ面22によって、光軸方向の位置決めと光軸直交方向の位置決めを行うことができる。下型42は光学形成面44を備えており、光学形成面44によって形成される第1光学面11の精度と、テーパ面45bによって形成される第1テーパ面22の精度が、同じ型部材である下型42を基準として管理される。
同様に、上型43のテーパ面47b(コバ部形成面47)を用いて成形される第2テーパ面25によって、光軸方向の位置決めと光軸直交方向の位置決めを行うことができる。上型43は光学形成面46を備えており、光学形成面46によって形成される第2光学面12の精度と、テーパ面47bによって形成される第2テーパ面25の精度が、同じ型部材である上型43を基準として管理される。
このように、成形型40において、光学面の形成に関与する面(光学形成面44、光学形成面46)と、光軸方向の位置決め面及び光軸直交方向の位置決め面の形成に関与する面(テーパ面45b、テーパ面47b)とを、複数の型部材に分散せずに得ることができ、その結果として、成形型40を用いて製造されたレンズ1の位置決めの精度が向上する。
成形型40によって環状部材31をプレスしてコバ部20を成形する際には、環状部材31の体積誤差、下型42のコバ部形成面45や上型43のコバ部形成面47の位置精度や形状の誤差、などの要素が影響を及ぼす可能性がある。本実施形態のコバ部20では、第1テーパ面22や第2テーパ面25を、鏡筒や他の光学部材(他のレンズやスペーサ)に対して位置決めする位置決め面として用いることにより、外周面28が位置決めの役割を持たないようにして、外周面28付近の形状精度に関する要求を緩和することができる。従って、外周面28を含む外側平坦部20cを、コバ部20を成形する際の誤差を吸収する体積吸収部として用いることが可能である。
例えば、設計上の体積の基準値よりも実際に成形されたコバ部20の体積が大きい場合には、下型42及び上型43が胴型41の内周面41aに接する箇所に面取りを設けたり、胴型41の内周面41aに体積吸収用の凹部を設けたりすることによって、コバ部20の体積の余剰部分を吸収できる。延性が高く非脆性である金属素材によってコバ部20が形成されていると、このような余剰部分が外周面28付近で微小にはみ出る場合でも、余剰部分の割れや破損を生じずに形状を維持することができる。
設計上の体積の基準値よりも実際に成形されたコバ部20の体積が小さい場合には、コバ部20の外周面28が胴型41の内周面41aに接触せず(あるいは内周面41aの一部だけに接触し)、コバ部20の外周部分のうち内周面41aに接触しない部分において自由曲面となる。
このように、コバ部20の体積に応じた外側平坦部20c(特に外周面28付近)の形状変化を許容することによって、プレス成形の際のコバ部20の誤差吸収を行うことができる。
また、本実施形態のレンズ1とは異なり、光学機能部とコバ部の全体をガラスで形成したガラスモールドレンズにおいて、第1テーパ面22や第2テーパ面25のようなテーパ面を形成する場合、テーパ面の周囲で急峻な角度変化が存在すると、ガラスに割れや亀裂が生じやすくなる。
これに対して、本実施形態のレンズ1は、光学機能部10を構成するガラスよりも延性が高く非脆性である金属素材によってコバ部20を構成しており、第1テーパ面22や第2テーパ面25の周辺にある程度急峻な角度変化がある場合でも、当該箇所での割れや亀裂などの損傷が生じにくい。また、金属製のコバ部20は、ある程度の外力に対しては弾性変形によって形状の復元が可能であるため、コバ部20を薄型化しても割れや回復不能な変形が発生するリスクが少ない。つまり、コバ部20の形状の自由度が高い。その結果、単純な円環形状ではなく中間テーパ部20bの両側に屈曲形状を含んだコバ部20を有するレンズ1を効率良く製造することができる。
さらに、金属製のコバ部20は光を透過させないので、レンズ1における第1光学面11及び第2光学面12の外側を通る有害光を遮断する遮光効果を得ることができる。コバ部20による遮光性を高めるために、コバ部20の外面(内周面27を含む)に黒化処理などを行ってもよい。
光学機能部10については、レンズ1の位置決め機能を備えず、第1光学面11及び第2光学面12をシンプルな外周形状(外周面13、体積吸収部14及び体積吸収部15)で接続した構造である。そのため、コバ部を含む全体をガラスで一体成形したガラスモールドレンズとは異なり、光学機能部10では、面の角度が急峻に変化する突出部分や屈曲部分が存在せず、割れや破損のリスクが抑えられ、強度的に有利である。
また、本実施形態のレンズ1は、光学機能部10が体積吸収部14及び体積吸収部15を備えており、ガラスプリフォーム30から光学機能部10を成形する際のガラスのプレス加工に関する誤差吸収は、体積吸収部14及び体積吸収部15で行われる。言い換えれば、ガラスのプレス加工に関する誤差吸収が光学機能部10で完結するように構成されている。そして、コバ部20はガラスのプレス加工に関する誤差吸収用の部位を備えておらず、コバ部20における位置決め用の面の大きさや形状が制約されにくいため、位置決め機能に適した寸法や形状をコバ部20に持たせて、コバ部20を用いたレンズ1の位置決め精度を向上させることができる。
コバ部において厚みが極端に異なる部分を含んでいると、プレス加工時の成形性が悪くなったり、厚みが小さい部分で強度が不足したりするおそれがある。本実施形態のレンズ1では、光軸方向の一方の側の第1テーパ面22は、外径側に進むにつれてコバ部20の厚みを小さくする方向に傾斜し、光軸方向の他方の側の第2テーパ面25は、外径側に進むにつれてコバ部20の厚みを大きくする方向に傾斜している。コバ部において光軸方向の両側にテーパ面を備える場合、本実施形態の第1テーパ面22と第2テーパ面25のように傾斜方向を揃えた関係にすることで、中間テーパ部20bの両側に位置する内側平坦部20aの厚み(tin)と外側平坦部20cの厚み(tout)が大きく変化することを防止できる。
コバ部20は、第1テーパ面22及び第2テーパ面25を有する中間テーパ部20bの内径側に、内側平坦部20aを備えている。内側平坦部20aにおける内側平坦面21や内側平坦面24を、レンズ1の位置決めに用いることも可能である。内側平坦面21と内側平坦面24は光軸X1に対して略垂直な面であり、これらの面を位置決め面として用いることによって、光軸方向でのレンズ1の位置決めを行うことができる。例えば、第1テーパ面22や第2テーパ面25を別のレンズの位置決め面に当接させて位置合わせすると共に、内側平坦面21や内側平坦面24をスペーサに当接させて、スペーサを介してさらに別のレンズとの光軸方向の間隔を設定することができる。
内側平坦面21は、下型42の内側平坦面45a(コバ部形成面45)で成形される。つまり、内側平坦面21と第1テーパ面22はいずれも下型42という共通の型部材によって成形される。そのため、内側平坦面21と第1テーパ面22を別々の型部材で形成する場合に比べて、内側平坦面21と第1テーパ面22の相対的な精度誤差が発生しにくく、内側平坦面21と第1テーパ面22を併用したレンズ1の位置決めを高精度に行うことができる。
内側平坦面24は、上型43の内側平坦面47a(コバ部形成面47)で成形される。つまり、内側平坦面24と第2テーパ面25はいずれも上型43という共通の型部材によって成形される。そのため、内側平坦面24と第2テーパ面25を別々の型部材で形成する場合に比べて、内側平坦面24と第2テーパ面25の相対的な精度誤差が発生しにくく、内側平坦面24と第2テーパ面25を併用したレンズ1の位置決めを高精度に行うことができる。
光軸直交方向に延在する内側平坦面21や内側平坦面24を備えた内側平坦部20aは、コバ部20に対する光学機能部10の位置ずれを評価する基準部位として用いることができる。つまり、光学機能部10の外側に中間テーパ部20bのような傾斜構造が隣接する構成する場合に比べて、光学機能部10を囲む位置に内側平坦部20aを備えた構成は、光学機能部10とコバ部20の相対的な位置関係を管理しやすくなる。
また、光学機能部10の外側を囲んでコバ部20の内側平坦部20aを備えたレンズ1の構成によれば、成形型40でレンズ1を成形する際に、光学機能部10のプレス精度を向上させる効果が得られる。図6に示すように、下型42の内側平坦面45aと上型43の内側平坦面47aは成形型40のプレス方向に対して正対する面(中心軸X2に対して略垂直な面)であり、内側平坦面45aと内側平坦面47aの間で内側平坦部20aをプレス成形する際に、押圧力を周囲に逃さずに内側平坦部20aを高精度に保持しながらプレス加工が行われる。上下からの押圧力によって、内側平坦部20aが位置ずれせずに強固に拘束された状態で加工を行うため、内側平坦部20aの内径側に位置する光学機能部10をプレス成形するための押圧力が外径側に抜けることが抑制される。その結果、光学形成面44と光学形成面46の形状を確実にガラスプリフォーム30に転写して、光学機能部10の第1光学面11と第2光学面12を高精度に成形することができる。
特に、光学機能部における光軸方向の両側の光学面の有効径の差(面径差)が大きいレンズをプレス成形する場合、有効径が大きい側の光学面の周縁領域(有効径の差がある部分)でプレス時の押圧力が抜けやすい(押圧力がかかりにくい)傾向がある。このような場合に、コバ部20の内側平坦部20aに相当する構造を備えることによって、有効径が大きい側の光学面の周縁領域に対してプレス時の押圧力をかかりやすくして転写性を向上させ、光学機能部の形状誤差を改善することができる。
コバ部20は、第1テーパ面22及び第2テーパ面25を有する中間テーパ部20bの外径側に、外側平坦面23と外側平坦面26を有する外側平坦部20cを備えている。外側平坦部20cは、レンズ1の最外周に設けられており、レンズ1の搬送時や取り付け時に工具などで保持する際の保持対象として適している。また、光軸直交方向に延在した構成の外側平坦部20cは、工具などで保持しやすいことに加えて、保持状態でレンズ1の向きや位置をコントロールしやすい利点がある。さらに、鏡筒などに対してレンズ1を取り付ける際に、外側平坦部20cを基準に暫定的な位置決め(仮の保持)を行うことが可能である。
外側平坦部20cは、情報表示部29(図3参照)を配置する部位としても適している。コバ部20で最も外径側に位置する外側平坦部20cは、情報表示部29の識別を行いやすい部位である。また、外側平坦部20cのうちでも特に外側平坦面23は、内側平坦面21に対して光軸方向(第2の方向Xb)に低くなった面であるため、情報表示部29が外側平坦面23から光軸方向(第1の方向Xa)に突出する構造であってもコバ部20全体の外形寸法には影響を及ぼしにくく、コバ部20の大型化を防ぐことができる。
上記のように、光学機能部10における体積吸収部14や体積吸収部15と同様に、コバ部20をプレス成形する際に発生する誤差を吸収する体積吸収部として、外側平坦部20cを適用することが可能である。中間テーパ部20bや内側平坦部20aを用いてレンズ1の位置決めを行う場合、外側平坦部20cについては位置決め用の高い精度が要求されないので、外側平坦部20cの形状の自由度(形状誤差の許容量)が大きくなる。そのため、外側平坦部20cをコバ部20における体積吸収部として機能させることができる。特に、中間テーパ部20bが備える第1テーパ面22や第2テーパ面25は、光軸方向及び光軸直交方向の両方の位置決めに対応しているため、外側平坦部20cにおける外側平坦面23と外側平坦面26と外周面28のいずれについても、位置決め用の機能を持たせないことが可能であり、外側平坦部20cを体積吸収部として機能させやすくなっている。
以上のように、本実施形態のレンズ1には様々な利点がある。まず、光学機能部10は、光学的に機能する部分である第1光学面11及び第2光学面12を含む領域と、コバ部20に対して固定される外周面13と、光学機能部10のプレス成形時の誤差を吸収するための体積吸収部14及び体積吸収部15だけを備えており、レンズ1の位置を定める機能を備えない。そのため、光学的な性能にフォーカスして光学機能部10を構成することができ、光学機能部10の設計や製造のしやすさが向上する。
光学機能部10の形状的な条件として、単にレンズ位置を定める機能を備えないというだけではなく、既存のガラスモールドレンズにおけるコバ部に類する形状を含んでいない。そのため、第1光学面11や第2光学面12や外周面13に対して急峻に角度が変化する部分が存在せず、割れや亀裂などのリスクを低減して高精度に光学機能部10の成形を行うことができる。
レンズ1の位置を定める機能については、コバ部20が担っている。コバ部20は、第1テーパ面22や第2テーパ面25を用いて、光軸方向及び光軸直交方向の両方の位置決めを高精度に行うことができる。
コバ部20において、中間テーパ部20bの内径側に内側平坦部20aを備えることによって、プレス成形時の押圧力を適切に管理し、外径側への押圧力の抜けを防いで光学機能部10を高精度に形成させることができる。また、内側平坦部20aを基準として、光学機能部10とコバ部20の位置関係を高精度に管理することができる。さらに、内側平坦部20aの内側平坦面45aや内側平坦面47aをレンズ1の位置決めに用いることも可能である。
コバ部20において、中間テーパ部20bの外径側に備えた外側平坦部20cは、レンズ1の保持や、レンズ1の暫定的な位置決めに用いることができ、レンズ1を鏡筒などに組み付ける際の作業性の向上に寄与する。また、外側平坦部20cを、情報表示部29の形成箇所として用いることができる。さらに、外側平坦部20cを、コバ部20のプレス成形時の誤差吸収用の体積吸収部として用いることも可能である。外側平坦部20cによって誤差吸収を行うことで、レンズ1の位置決めに関与する中間テーパ部20bや、光学機能部10に固定される内側平坦部20aを、高精度に形成することができる。
金属素材で形成されるコバ部20は、ガラスモールドレンズの一部として光学機能部と一体的にガラスで形成されるコバ部に比べて、薄型化しやすいことや、形状の自由度が高いという利点がある。コバ部20についてはさらに以下の各条件を満たすことが好ましい。
(1)dtp1≧0.1mm、dtp2≧0.1mm
(2)0.7≦tin/tout≦1.3
(3)tout≧0.15mm
条件(1)は、光軸方向における第1テーパ面22の高さdtp1や第2テーパ面25の高さdtp2の下限値を規定したものである。条件(1)を満たすことによって、第1テーパ面22や第2テーパ面25の面精度を確保して、第1テーパ面22や第2テーパ面25を介したレンズ1の位置決めの精度を向上させることができる。条件(1)を満たさないテーパ面の場合、面形状を適切に管理できなかったり、面積が小さすぎて位置決めの際に十分な安定性が得られなかったりして、位置決め用の面としての精度要件を満たさなくなるおそれがある。
条件(2)は、中間テーパ部20bの両側に位置する内側平坦部20aの光軸方向の厚みtinと外側平坦部20cの光軸方向の厚みtoutとが、過大に(±30%以上)異ならないことを示している。条件(2)を満たすことによって、成形型40によるコバ部20の成形性や、成形後のコバ部20の各面の形状精度を向上させることができる。
図1及び図2に示す本実施形態のレンズ1はtin<toutであるため、条件(2)のうち0.7≦tin/toutを満たすように構成するとよい。本実施形態のレンズ1とは逆にtin>toutであってもよく、この場合には、条件(2)のうちtin/tout≦1.3を満たすように構成するとよい。
条件(3)は、外側平坦部20cの光軸方向の厚みtoutの下限値を規定したものである。外側平坦部20cを薄くしすぎると強度の確保や形状精度の管理が難しくなる。条件(3)を満たすことで、十分な強度を確保して高い形状精度を備えた外側平坦部20cを得ることができる。
図7は、成形型40を構成する下型42のプレス面を加工装置によって形成する工程を示している。下型42や上型43は、レンズ成形時の高温環境下で十分な耐久性を備えるように、例えばセラミックス又は超硬合金を材料として構成されている。加工装置は、砥石60を用いた研削加工によって下型42のプレス面を形成する。なお、図7では下型42のプレス面の完成形状を示しているが、加工装置による加工では、砥石60を用いてプレス面の各部分を順次形成していく。
砥石60は円筒形状であり、円形状の端面61と円筒状の側面62を有している。砥石60は円筒形状の中心軸である回転軸X3を中心とする回転が可能であり、加工装置では回転軸X3の角度を変更することができる。砥石60は、端面61と側面62の境界の角部分を加工点Kとして下型42に接触させて、回転軸X3を中心として回転しながら研削加工を行う。
図4に示すように、下型42のプレス面は、光学形成面44とコバ部形成面45によって構成されている。光学形成面44は、中心軸X2上の中心部分が最も深く外周側に向けて浅くなる凹型の面である。コバ部形成面45のうち内側平坦面45aと外側平坦面45cは、中心軸X2に対して略垂直な面である。コバ部形成面45のテーパ面45bは、中心軸X2を中心とする円錐台形状の面であり、径方向の内側から外側に進むにつれて高くなる傾斜を有する。つまり、下型42のプレス面は、平坦な内側平坦面45aと外側平坦面45cを一部に備えつつ、全体的には光学形成面44とテーパ面45bによって構成されたすり鉢型の形状になっている。
このようなすり鉢型の下型42のプレス面を、砥石60による研削加工で形成する。一例として、加工点Kに接する位置における光学形成面44の法線Nに対して回転軸X3を45°傾けて、砥石60を回転させる。そして、中心軸X2に対するテーパ面45bの傾斜角、光学形成面44の外縁からテーパ面45bの内縁までの光軸直交方向の距離、砥石60の直径、などに関して適切な条件設定を行うことにより、光学形成面44とコバ部形成面45の両方を共通の砥石60によって形成することができる。適切な条件設定とは、光学形成面44とコバ部形成面45を形成する際に、砥石60が加工点Kのみで下型42に接触し、加工点K以外の箇所では砥石60と下型42が干渉しないことを満たすものである。
光学形成面44とコバ部形成面45の両方を共通の砥石60によって形成することによって、これらの面を異なる加工ツールを用いて形成する場合に比べて、加工ツールごとの誤差の影響を排除できるため、光学形成面44とコバ部形成面45の相対的な形状精度を向上させることができる。従って、光学形成面44とコバ部形成面45の形状が転写されるレンズ1の光学機能部10(第1光学面11)とコバ部20(内側平坦面21、第1テーパ面22、外側平坦面23)との相対的な形状精度を向上させることができる。レンズ1において、光学機能部10とコバ部20の相対的な形状精度が優れていると、コバ部20を用いて行うレンズ1の位置決め精度を向上させることができる。
また、共通の砥石60で光学形成面44とコバ部形成面45を連続して形成することにより、加工ツールの交換を要さずに下型42を効率良く製造することができ、成形型40を用いて成形されるレンズ1の生産性向上に寄与することができる。
上型43のプレス面についても、下型42の場合と同様の加工装置によって製造される。下型42との違いとして、上型43のコバ部形成面47のテーパ面47bは、中心軸X2側に向くすり鉢形状ではなく、上型43の挿入部43aの外周側に開かれた形状であるため、回転する円柱状の砥石によってテーパ面47bを形成する際に、光学形成面46に対する砥石の干渉が基本的に生じない。従って、複雑な条件を課すことなく、共通の砥石によって光学形成面46とコバ部形成面47の両方を形成することができる。
以上のように、本実施形態のレンズ1は、ガラス製の光学機能部10と、光学機能部10のガラスとは異なる材質(金属製)からなるコバ部20とを組み合わせて構成したことにより、光学機能部10における光学性能の高さ及び強度の確保と、コバ部20の形状自由度の高さとを両立させることができる。また、コバ部20に第1テーパ面22や第2テーパ面25を備えることで、コバ部20を基準としたレンズ1の位置決め精度を向上させることができる。さらに、コバ部20が第1テーパ面22や第2テーパ面25の外径側に外側平坦面23や外側平坦面26を備えることによって、レンズ1の取り扱い性が向上し、レンズ1を光学機器に組み込む際の作業性などが向上する。
図8は、レンズ1の変形例を示している。この変形例のレンズ1は、コバ部50の構成が上記実施形態のコバ部20と異なっている。コバ部50のうち、光軸方向の一方の側である第1の方向Xa側には、内径側から順に、内側平坦面51、テーパ面52、外側平坦面53を備えている。これらの各面については、上記実施形態の内側平坦面21、第1テーパ面22、外側平坦面23と同様の構成及び配置である。コバ部50のうち、光軸方向の他方の側である第2の方向Xb側は、テーパ面を備えずに光軸直交方向に延在する平坦面54のみで構成されている。コバ部50の径方向において、内周面55からテーパ面52までの範囲が内側平坦部50aであり、テーパ面52の形成範囲が中間テーパ部50bであり、テーパ面52から外周面56までの範囲が外側平坦部50cである。このように、本発明のレンズにおけるコバ部は、光軸方向の片側のみにテーパ面を有する構成であってもよい。
テーパ面52の光軸方向の高さdtp1については、先に述べた条件(1)、すなわちdtp1≧0.1mmを満たすことが好ましい。また、内側平坦部50aの光軸方向の厚みtin(内側平坦面51と平坦面54の間隔)と、外側平坦部50cの光軸方向の厚みtout(外側平坦面53と平坦面54の間隔)の関係は、先に述べた条件(2)、すなわち0.7≦tin/tout≦1.3を満たすことが好ましい。
コバ部の光軸方向の片側のみにテーパ面を有する場合、図8に示すテーパ面52のように、レンズ1の外径側に進むにつれて光軸方向でのコバ部50の厚みを小さくさせる方向に傾斜することが好ましい。これにより、コバ部50の容積を小さくしてレンズ1の小型化に寄与することができる。但し、テーパ面52(中間テーパ部50b)よりも外径側の領域である外側平坦部50cの厚みtoutを薄くしすぎると強度や形状精度の確保が難しくなるため、上記実施形態と同様に、先に述べた条件(3)、すなわちtout≧0.15mmを満たすことが好ましい。
以上、図示の実施形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態のレンズ1は第1光学面11と第2光学面12の両方とも凸面であるが、少なくとも一方の光学面が凹面や平面であるレンズに適用することも可能である。
なお、本発明を適用するレンズにおいて、外径側に進むにつれてコバ部の厚みを小さくする方向に傾斜するテーパ面(第1テーパ面22、テーパ面52)の内径側に位置する光学面(第1光学面11)については、凸面であることが好ましい。当該光学面を成形するための型部材(下型42)の光学形成面(光学形成面44)が凹面となるため、型部材の製造時に、型部材側のテーパ面(テーパ面45b)を形成する加工ツール(砥石60)が型部材の光学形成面に対して干渉することを防ぎ、光学形成面とコバ部形成面(コバ部形成面45)を共通の加工ツール(砥石60)を用いて加工しやすくなる。
上記実施形態では、レンズ1の光軸X1に対する第1テーパ面22の傾斜角と第2テーパ面25の傾斜角が略同一であるが、コバ部が備える光軸方向の両側のテーパ面の傾斜角が互いに異なっていてもよい。
上記実施形態のレンズ1を製造する方法では、成形型40の中心軸X2に対して略垂直な平坦面32及び平坦面33と、一対の平坦面32及び平坦面33を接続する筒状の内周面34及び外周面35と、を有するシンプルな円環形状の環状部材31を用いているが、テーパ面(第1テーパ面22、第2テーパ面25、テーパ面52)の元となる形状を予め備えている環状部材を成形型40の内部に保持してからプレス加工を行うことも可能である。
上記実施形態のレンズ1を製造する方法では、成形型40の内部に球体形状のガラスプリフォーム30を配置して加工を行っているが、光学機能部の母材であるガラスプリフォームは球体形状に限定されるものではない。
上記実施形態のレンズ1では、コバ部20の材質を金属としたが、本発明を適用するレンズのコバ部の材質として金属以外を選択することも可能である。例えば、光学機能部を構成するガラスとは異なるガラスでコバ部を構成してもよい。この場合、コバ部を構成するガラスのガラス転移温度が、光学機能部を構成するガラスのガラス転移温度よりも高いものを選択するとよい。
あるいは、コバ部をセラミックスで構成してもよい。この場合、コバ部を構成するセラミックスの熱膨張率は、成形型を構成する材質の熱膨張率を上回っていることが好ましい。これにより、レンズの光学機能部を成形する際に、セラミックス製のコバ部が膨張して成形型に密着して、胴型に対する偏心精度が向上し、コバ部と光学機能部を高精度に同軸化させたレンズを得ることができる。
上記実施形態のコバ部20は、光軸X1を中心とする周方向に向けて一様な形状が連続する構成であるが、周方向の一部でコバ部の形状が異なっていてもよい。例えば、コバ部の一部に、テーパ面以外の凹部や切り欠きが存在してもよい。
本発明の実施の形態は上記実施形態やその変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
1 :レンズ
10 :光学機能部
11 :第1光学面
12 :第2光学面
13 :外周面
14 :体積吸収部
15 :体積吸収部
20 :コバ部
20a :内側平坦部
20b :中間テーパ部
20c :外側平坦部
21 :内側平坦面
22 :第1テーパ面
23 :外側平坦面
24 :内側平坦面
25 :第2テーパ面
26 :外側平坦面
27 :内周面
28 :外周面
29 :情報表示部
30 :ガラスプリフォーム
31 :環状部材
32 :平坦面
33 :平坦面
34 :内周面
35 :外周面
40 :成形型
41 :胴型
41a :内周面
42 :下型
42a :挿入部
42b :大径部
43 :上型
43a :挿入部
43b :大径部
44 :光学形成面
45 :コバ部形成面
45a :内側平坦面
45b :テーパ面
45c :外側平坦面
46 :光学形成面
47 :コバ部形成面
47a :内側平坦面
47b :テーパ面
47c :外側平坦面
50 :コバ部
50a :内側平坦部
50b :中間テーパ部
50c :外側平坦部
51 :内側平坦面
52 :テーパ面
53 :外側平坦面
54 :平坦面
55 :内周面
56 :外周面
60 :砥石
K :加工点
S :型空間
X1 :光軸
X2 :成形型の中心軸
X3 :回転軸
Xa :第1の方向
Xb :第2の方向

Claims (10)

  1. ガラスで構成されて光軸方向の両側に光学面を有する光学機能部と、
    前記光学機能部の前記ガラスとは異なる材質からなり、前記光学機能部の外側を囲むコバ部と、
    を備え、
    前記コバ部は、
    光軸方向に進むにつれて径が変化するテーパ面と、
    前記テーパ面の外径側に位置して光軸に対して略垂直な外側平坦面と、
    を少なくとも光軸方向の片側に備えていることを特徴とするレンズ。
  2. 前記コバ部は金属製であることを特徴とする、請求項1に記載のレンズ。
  3. 前記コバ部は、光軸方向の両側に前記テーパ面を備えており、
    光軸方向の一方の側の前記テーパ面は、外径側に進むにつれて前記コバ部の厚みを小さくする方向に傾斜し、
    光軸方向の他方の側の前記テーパ面は、外径側に進むにつれて前記コバ部の厚みを大きくする方向に傾斜することを特徴とする、請求項1又は2に記載のレンズ。
  4. 前記コバ部は、光軸方向の片側のみに前記テーパ面を備えており、
    前記テーパ面は、外径側に進むにつれて前記コバ部の厚みを小さくする方向に傾斜することを特徴とする、請求項1又は2に記載のレンズ。
  5. 前記コバ部はさらに、前記テーパ面の内径側に位置して光軸に対して略垂直な内側平坦面を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレンズ。
  6. 前記テーパ面の光軸方向の高さは0.1mm以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレンズ。
  7. 前記コバ部における前記テーパ面よりも外径側の部分の光軸方向の厚みが0.15mm以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレンズ。
  8. 前記コバ部における前記テーパ面よりも内径側の部分の光軸方向の厚みtinと、前記テーパ面よりも外径側の部分の光軸方向の厚みtoutが、0.7≦tin/tout≦1.3を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載のレンズ。
  9. 前記光学機能部はガラスのプレス成形品であって、前記光学機能部は、プレス成形に伴う形状誤差を許容する体積吸収部を前記光学面の周囲に有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のレンズ。
  10. 請求項1又は2に記載のレンズを製造するレンズの製造方法であって、
    前記光学機能部の母材であるガラスプリフォームと、前記コバ部の母材である環状部材とを、上型と下型の間に保持し、
    前記上型と前記下型を接近させて前記ガラスプリフォームと前記環状部材を押圧するプレス加工によって、前記光学面と前記テーパ面と前記外側平坦面とを形成すると共に、前記光学機能部と前記コバ部を互いに固定させることを特徴とするレンズの製造方法。
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