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JP2024080613A - レンズ、レンズ成形型、及びレンズ成形型の製造装置 - Google Patents

レンズ、レンズ成形型、及びレンズ成形型の製造装置 Download PDF

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JP2024080613A
JP2024080613A JP2023184328A JP2023184328A JP2024080613A JP 2024080613 A JP2024080613 A JP 2024080613A JP 2023184328 A JP2023184328 A JP 2023184328A JP 2023184328 A JP2023184328 A JP 2023184328A JP 2024080613 A JP2024080613 A JP 2024080613A
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JP2023184328A
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Inventor
賢治 山中
Kenji Yamanaka
裕樹 和田
Hiroki Wada
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Hoya Corp
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Hoya Corp
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

【課題】位置決めの精度に優れると共に生産性の高いレンズを提供する。【解決手段】ガラスのプレス成形品であり、第1光学面(12)と第2光学面(13)を有する光学機能部(11)と、コバ部(14)に設けられ第1光学面側から第2光学面側に進むにつれて曲率半径が大きくなる円錐台形状の位置基準面(16)と、コバ部に設けられて位置基準面の外縁(Q3)よりも光軸直交方向の内側に位置する体積吸収部(19)と、を備え、光軸に垂直な面(P)に対する位置基準面の角度θ、第1光学面の外縁(Q1)から位置基準面の内縁(Q2)までの光軸に垂直な方向の距離w、第1光学面の外縁から位置基準面の内縁までの光軸に平行な方向の距離dが、0°<θ<45°のときに条件(1)及び条件(2)を満たすレンズ。(1)d<w(2)d<w・tanθ【選択図】図2

Description

本発明は、レンズ、レンズ成形型、及びレンズ成形型の製造装置に関する。
一般的なレンズは、光学面(レンズ面)を有する光学機能部の周縁にコバ部を有し、コバ部が鏡筒やレンズ枠などの保持部材に取り付けられる。光学系に対するレンズの位置は、光軸方向の位置と、光軸に垂直な方向(以下、光軸直交方向と呼ぶ)の位置と、光学系の光軸に対する傾きとで管理される。例えば、コバ部が、光軸方向の前後少なくとも一方に、光軸に対して垂直な平面を有しており、この平面を基準として光軸方向のレンズ位置を定める。また、コバ部が、光軸を囲む円筒状の外周面を有しており、この外周面を基準として光軸直交方向のレンズ位置を定める。
近年は、スマートフォンなどの携帯型の電子機器に搭載される撮像手段の小型化が著しく、撮像手段を構成するレンズを小型且つ軽量にすることが求められている。
また、ガラス製のレンズを効率的に製造するために、母材であるガラスプリフォームを成形型でプレス成形してガラスモールドレンズを製造する方法が知られている(例えば、特許文献1-4)。
特開2005-325022号公報 特開2015-147715号公報 特開2017-065957号公報 特開2022-107530号公報
レンズの小型化及び軽量化に関して、コバ部を薄型化することが望まれている。しかし、以下のような理由によって、ガラスレンズにおけるコバ部の形状や構造の自由度には制約があり、コバ部を薄型化することが難しかった。
ガラスモールドレンズでは、ガラスプリフォームの容量や供給位置、成形型の内部空間(型空間)の体積などに関する各種の誤差を吸収するために、コバ部に体積吸収部を設定している。体積吸収部は形状のばらつきを許容する部分であるため、コバ部のうち体積吸収部の領域は、保持部材に対するレンズの位置決めには使用できない。コバ部においてレンズの位置決めに使用する面積が十分に確保されないと、レンズの位置精度やレンズの安定性が悪くなる。従って、コバ部には、精度の高い位置決めを実現できる寸法を持たせた上で、さらに成形時の誤差吸収を行う体積吸収部の寸法を加える必要があり、コバ部の小型化が制約されていた。
また、従来のガラスモールドレンズの製造では、成形型の構造的な制約によって、コバ部の外周面を、光軸方向に長い形状にすると共に高精度に形成することが難しかった。
さらに、ガラスモールドレンズを成形するための成形型の生産性を考慮した場合、従来のガラスモールドレンズ用の成形型は、光学面を形成する部分と、コバ部の外周面を形成する部分とで、面の向きが大きく異なっており、同じ加工用ツール(例えば、研削砥石)で連続的に形成することが難しかった。すると、成形型の製造に際して加工用ツールの付け替えを要し、成形型の各部の精度にばらつきが生じやすいという問題や、効率の良い加工を実現しにくいという問題が生じていた。
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、位置決めの精度に優れると共に生産性の高いレンズを提供することを目的とする。また、本発明は、このようなレンズを効率良く生産できるレンズ成形型及びレンズ成形型の製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、ガラスのプレス成形品であるレンズにおいて、光軸方向の一方に向く凸面である第1光学面と、光軸方向の他方に向く第2光学面と、を有する光学機能部と、前記光学機能部の外側のコバ部に設けられ、光軸方向で前記第1光学面側から前記第2光学面側に進むにつれて曲率半径が大きくなる円錐台形状の位置基準面と、前記コバ部に設けられ、前記位置基準面の外縁よりも光軸直交方向の内側に位置し、プレス成形に伴う形状誤差を許容する体積吸収部と、を備え、光軸に垂直な面に対する前記位置基準面の角度θ、前記第1光学面の外縁から前記位置基準面の内縁までの光軸に垂直な方向の距離w、前記第1光学面の外縁から前記位置基準面の内縁までの光軸に平行な方向の距離dが、0°<θ<45°のときに下記条件(1)及び条件(2)を満たすことを特徴とする。
(1)d<w
(2)d<w・tanθ
また、本発明は、ガラスのプレス成形品であるレンズにおいて、光軸方向の一方に向く凸面である第1光学面と、光軸方向の他方に向く第2光学面と、を有する光学機能部と、前記光学機能部の外側のコバ部に設けられ、光軸方向で前記第1光学面側から前記第2光学面側に進むにつれて曲率半径が大きくなる円錐台形状の位置基準面と、前記コバ部に設けられ、前記位置基準面の外縁よりも光軸直交方向の内側に位置し、プレス成形に伴う形状誤差を許容する体積吸収部と、を備え、光軸に垂直な面に対する前記位置基準面の角度θ、前記第1光学面の外縁から前記位置基準面の内縁までの光軸に垂直な方向の距離w、前記第1光学面の外縁から前記位置基準面の内縁までの光軸に平行な距離d、前記第1光学面の近軸曲率半径Rが、45°≦θ<90°のときに下記条件(3)及び条件(4)を満たすことを特徴とする。
(3)w・tan(θ-45°)<d<w<w・tanθ
(4)d>1.1R・sin(θ-45°)
前記位置基準面は、前記コバ部の外周部に設けられ、前記コバ部は、前記位置基準面よりも光軸直交方向の内側に、光軸方向で前記第1光学面側から前記第2光学面側に進むにつれて曲率半径が大きくなる又は曲率半径が同等である曲面を有し、前記位置基準面を外周面とし前記曲面を内周面とするフランジ部の端部に前記体積吸収部が設けられることが好ましい。
前記曲面は、光軸方向で前記第1光学面側から前記第2光学面側に進むにつれて前記曲率半径が大きくなる円錐台形状の内側テーパ面とすることができる。この場合、前記位置基準面は、前記内側テーパ面よりも、光軸に垂直な面に対する傾き角が大きいことが好ましい。
前記曲面は、光軸方向で前記第1光学面側から前記第2光学面側に進むにつれて前記曲率半径が大きくなり、且つ、光軸を含む断面内で、凹状に湾曲する形状を有する曲面であってもよい。
前記第1光学面と前記位置基準面との間に中間面を有し、前記中間面は、光軸を含む断面内で、前記第1光学面の前記外縁と前記位置基準面の前記内縁を結んだ線分と、前記第1光学面の前記外縁から光軸直交方向に延びる直線と、前記位置基準面を延長した直線と、に囲まれる領域に位置することが好ましい。
また、本発明は、上記レンズを成形するレンズ成形型であって、前記第1光学面に対応する形状の光学面形成面と、前記位置基準面に対応する形状の位置基準面形成面とを有する型部材を備えることを特徴とする。
また、本発明は、上記レンズ成形型を製造する製造装置であって、円筒状であり、中心軸を中心とする回転によって、前記型部材の前記光学面形成面と前記位置基準面形成面の両方を形成する砥石を備え、前記レンズの前記第1光学面の近軸曲率半径Rと、前記砥石の端面の径φgとが、下記条件(5)を満たすことを特徴とする。
(5)φg≦0.8×√2×R
本発明のレンズによれば、各条件を満たすことによって、位置基準面による優れた位置決め精度を実現できると共に、優れた生産性を得ることができる。また、本発明のレンズ成形型と、レンズ成形型の製造装置によって、上記レンズを効率的に生産することができる。
本実施形態のレンズの断面図である。 レンズの一部を拡大した断面図である。 本実施形態のレンズをプレス成形する成形型の断面図である。 成形型の下型を加工する砥石を示す断面図である。 砥石によって下型の光学面形成面を加工する状態の断面図である。 砥石による下型の加工条件について説明する図である。 砥石による下型の加工条件について説明する図である。 レンズのフランジ部の変形例を示す断面図である。 レンズのフランジ部の変形例を示す断面図である。 レンズのフランジ部の変形例を示す断面図である。
図1に示すレンズ10は、後述する成形型30によってガラス材料(ガラスプリフォーム)をプレス加工して形成したガラスモールドレンズである。図2は、レンズ10の一部を拡大したものである。レンズ10の光軸Aに沿う方向を光軸方向とし、光軸Aに対して垂直な方向を光軸直交方向とする。光軸直交方向は、レンズ10の径方向と呼ぶこともできる。
図1及び図2は、光軸Aを含む断面におけるレンズ10の形状を示している。なお、光軸Aを含む断面とは、光軸Aと平行であり、且つ、当該断面内に光軸Aが位置する断面を意味する。レンズ10は、光軸Aを中心とする周方向に一様な形状が続く回転対称性を有しており、レンズ10の周方向のいずれの位置でも、光軸Aを含む断面内でのレンズ10の形状は、概ね同じ形状になる(但し、後述する体積吸収部19における誤差吸収用の形状のばらつきなどは除く)。
レンズ10は、光学機能部11を有している。光学機能部11には、第1光学面12と第2光学面13が形成されている。第1光学面12は、光軸方向の一方である第1の方向A1に向く凸面である。第2光学面13は、光軸方向の他方である第2の方向A2に向く凸面である。本実施形態のレンズ10は、第1光学面12と第2光学面13がそれぞれ非球面の非球面レンズである。第1光学面12の外縁(光軸直交方向の周縁部)を光学面外縁Q1とする。
レンズ10は、光学機能部11の外側にコバ部14を有している。コバ部14は、光学機能部11を囲む基部14aと、基部14aの外側に位置するフランジ部14bと、を有する。基部14aは、光学機能部11から概ね光軸直交方向に向けて延びる環状をなしている。フランジ部14bは、基部14aに対して第2の方向A2へ突出し、光軸方向に対して所定の傾きを有するテーパ形状の環状部である。
コバ部14は、第1の方向A1に向く側の外面として、第1光学面12の外側に位置する中間面15と、中間面15の外側に位置する位置基準面16と、を有している。また、コバ部14は、第2の方向A2に向く側の外面として、第2光学面13の外側に位置する平坦面17と、平坦面17の外側に位置する内側テーパ面18と、を有している。中間面15と平坦面17が基部14aの外面を構成している。また、位置基準面16がフランジ部14bの外周面を構成し、内側テーパ面18がフランジ部14bの内周面を構成している。
位置基準面16は、コバ部14の外周部に位置しており、光軸Aを中心とする円錐台形状(円錐台の側面)である。光軸方向で第2の方向A2(第1光学面12側から第2光学面13側)に進むにつれて、位置基準面16の径が大きくなる。つまり、位置基準面16は、光軸方向で第2の方向A2に進むにつれて、曲率半径(光軸Aを中心として位置基準面16を通る円の曲率半径)が大きくなる曲面である。位置基準面16のうち、中間面15との境界部分を位置基準面内縁Q2とし、位置基準面内縁Q2とは反対側の外縁部(光軸直交方向の周縁部)を位置基準面外縁Q3とする。位置基準面外縁Q3は、レンズ10における光軸直交方向の最外縁に位置する。
中間面15は、第1光学面12の光学面外縁Q1と、位置基準面16の位置基準面内縁Q2とを接続する面である。本実施形態の中間面15は、光学面外縁Q1から光軸直交方向に延びる環状の平坦面15aと、平坦面15aから位置基準面内縁Q2まで延びるテーパ面15bと、によって構成されている。テーパ面15bは、光軸Aを中心とする円錐台形状(円錐台の側面)であり、第2の方向A2(第1光学面12側から第2光学面13側)に進むにつれてテーパ面15bの径が大きくなる。つまり、テーパ面15bは、光軸方向で第2の方向A2に進むにつれて、曲率半径(光軸Aを中心としてテーパ面15bを通る円の曲率半径)が大きくなる曲面である。光軸Aに対するテーパ面15bの傾斜角は、光軸Aに対する位置基準面16の傾斜角よりも大きい。中間面15の形状に関する条件については後述する。
平坦面17は、光軸Aに対して垂直な平面である。内側テーパ面18は、光軸Aを中心とする円錐台形状(円錐台の側面)であり、光軸方向で第2の方向A2(第1光学面12側から第2光学面13側)に進むにつれて内側テーパ面18の径が大きくなる。つまり、内側テーパ面18は、光軸方向で第2の方向A2に進むにつれて、曲率半径(光軸Aを中心として内側テーパ面18を通る円の曲率半径)が大きくなる曲面である。内側テーパ面18は、位置基準面16と略平行な面である。
鏡筒やレンズ枠のような保持部材(図示略)にレンズ10を組み付ける際に、保持部材が備える位置決め部(図示略)に対して位置基準面16を当接させる。位置基準面16は光軸方向と光軸直交方向の両方に対して傾斜する面であるため、位置基準面16を保持部材の位置決め部に当接させると、光軸方向及び光軸直交方向でのレンズ10の位置を定めることができる。また、位置基準面16を保持部材の位置決め部に当接させると、保持部材に対する光軸Aの向き(レンズ10の傾き)も定まる。位置基準面16は、コバ部14の外周部に位置しており、光軸Aから離れた位置で位置決めを行うため、レンズ10の位置及び向きを高精度に定めることができる。
コバ部14はさらに、位置基準面16と内側テーパ面18の間、すなわちフランジ部14bの端部に体積吸収部19を有する。体積吸収部19は、後述する成形型30によってレンズ10を成形する際に、誤差を吸収するための部分である。
コバ部14において、レンズ10の位置決め機能を有する位置基準面16をテーパ形状のフランジ部14bの外周面に設け、成形時の誤差吸収機能を有する体積吸収部19をテーパ形状のフランジ部14bの端部に設けたことにより、位置基準面16の大きさが体積吸収部19による制約を受けない。その結果、位置基準面16を用いたレンズ10の位置決めの精度を向上させることができる。また、コバ部14の小型化や薄型化を図ることができる。
本実施形態のレンズ10とは異なるレンズとして、光軸直交方向に延びる光軸直交平面と、光軸Aを中心とする円筒状の外周面とをコバ部が備えており、コバ部の光軸直交平面によって光軸方向の位置決めを行い、コバ部の外周面によって光軸直交方向の位置決めを行うタイプのレンズが広く用いられている。このタイプのレンズでは、コバ部における光軸直交平面と外周面との境界部分に、コーナーR部として体積吸収部を設定することが多い。体積吸収部は、誤差の程度によって形状が異なる部分であるため、レンズの位置決めに使用できない。つまり、体積吸収部の分だけ、レンズ位置決め用の光軸直交平面や外周面の実効面積が小さくなる構造である。そのため、所要の位置決め性能を得るために、体積吸収部による実効面積の減少分を見込んで、光軸方向や光軸直交方向でのコバ部の寸法を大きく設定する必要がある。
これに対して、本実施形態のレンズ10では、コバ部14において、位置決めに用いる位置基準面16の延長上(フランジ部14bの外周面)ではなく、フランジ部14bの端部に体積吸収部19を設けている。そして、体積吸収部19は、光軸直交方向において位置基準面16の位置基準面外縁Q3よりも内側に位置し、光軸方向において位置基準面16の裏側に位置している。
この構成によれば、体積吸収部19によって位置基準面16の実効面積が小さくならず、且つ、体積吸収部19を設けるためにコバ部14が光軸直交方向に大型化することもない。また、体積吸収部19をフランジ部14bの端部に集約することにより、フランジ部14bの端部側への膨らみの程度の変化によって成形時の誤差吸収を行えるので、コバ部14の厚み(中間面15と平坦面17の間隔、位置基準面16と内側テーパ面18の間隔)の方向に誤差吸収用の余裕を持たせる必要が無く、コバ部14の薄型化を実現できる。その結果、位置基準面16による位置決め性能を損なうことなく、体積吸収部19を備えたコバ部14をコンパクトに構成することができる。
コバ部14の基部14aは、光軸方向の両側に、光軸Aに対して垂直な平面である平坦面15aと平坦面17とを有している。図3のように成形型30によってレンズ10を成形する際に、平坦面15aは、後述する下型32のプレス面34の一部である平坦面36aの形状が転写されて形成され、平坦面17は、後述する上型33のプレス面38の一部である平坦面40の形状が転写されて形成される。平坦面15aと平坦面17がそれぞれ光軸Aに対して垂直な平面であると、平坦面15aと平坦面17の平行度を調べることで、平坦面15aの内側に位置する第1光学面12と平坦面17の内側に位置する第2光学面13の光軸の傾きを評価することができる。
また、平坦面15aが光軸Aに対して垂直な平面であると、後述する下型32のプレス面34において、平坦面15aを形成する平坦面36aを基準として、第1光学面12を形成する光学面形成面35(図3参照)の深さを測定することが可能であり、下型32において光学面形成面35が有する体積を高精度に管理することができる。同様に、平坦面17が光軸Aに対して垂直な平面であると、後述する上型33のプレス面38において、平坦面17を形成する平坦面40を基準として、第2光学面13を形成する光学面形成面39(図3参照)の深さを測定することが可能であり、上型33において光学面形成面39が有する体積を高精度に管理することができる。
従って、コバ部14の基部14aに、光軸Aに対して垂直な平面である平坦面15aと平坦面17とを備えることによって、レンズ10の第1光学面12と第2光学面13における光学的な精度を向上させる効果が得られる。
光学部品としてのレンズ10には以上のような利点がある。また、レンズ10の位置基準面16を、光軸Aに対して傾斜するテーパ面としたことにより、第1光学面12と位置基準面16の角度差が小さくなっている。これにより、レンズ10をプレス成形するための型部材(後述する下型32)において、第1光学面12を形成する部分と、位置基準面16を形成する部分とを、共通の加工用ツールで製造しやすくなっている。具体的には、上記構成のレンズ10において下記の条件を満たすことによって、レンズ10の生産性を向上させることができる。
図2に示すように、光軸Aに垂直な面Pに対する位置基準面16の角度をθとする。位置基準面16は、光軸方向で第2の方向A2に進むにつれて曲率半径が大きくなるテーパ面であるため、0°<θ<90°である。光学面外縁Q1から位置基準面内縁Q2までの、光軸Aに垂直な方向の距離をwとする。光学面外縁Q1から位置基準面内縁Q2までの、光軸Aに平行な方向の距離をdとする。第1光学面12の近軸曲率半径をRとする。
レンズ10は、0°<θ<45°のときに、下記条件(1)及び(2)を満たす。
(1)d<w
(2)d<w・tanθ
レンズ10は、45°≦θ<90°のときに、下記条件(3)及び(4)を満たす。
(3)w・tan(θ-45°)<d<w<w・tanθ
(4)d>1.1R・sin(θ-45°)
図2に示すように、レンズ10の中間面15は、光軸Aを含む断面内において、光学面外縁Q1と位置基準面内縁Q2を結んだ線分Laと、光軸Aに垂直な垂直線Lbと、位置基準面16を延長した延長線Lcと、によって囲まれる三角形状の領域に含まれる面であることが望ましい。平坦面15aは垂直線Lbに沿う面であり、テーパ面15bは線分Laと延長線Lcとの間に位置する面であり、中間面15は当該条件を満たしている。
なお、第1光学面12と位置基準面16の間の中間面は、図示の中間面15の形状には限定されない。例えば、中間面15のように平坦面15aとテーパ面15bに区分けされた構成ではなく、上記領域内で線分Laの傾きに近い形状の連続した面として中間面を構成することもできる。
レンズ10に関する上記の各条件の根拠について、レンズ10を成形する成形型30と、成形型30を製造する製造装置との関係を含めて詳しく説明する。
図3は成形型30を示している。成形型30は、胴型31と下型32と上型33とによって構成されている。胴型31は概ね円筒形状であり、円筒面である内周面31aによって囲まれる内部空間を有する。成形型30の中心軸Bは、内周面31aの中心を通って上下方向に延びる軸線であり、成形型30を用いて成形されるレンズ10の光軸Aに対応する。
下型32は、胴型31の内部空間に対して下方から挿入される挿入部32aと、挿入部32aの下部に設けられて挿入部32aよりも大径の大径部32bと、を有する。下型32の挿入部32aは、大径部32bが胴型31の下端面に当て付くまで挿入可能である。上型33は、胴型31の内部空間に対して上方から挿入される。下型32の挿入部32aの外周面と上型33の外周面は、胴型31の内周面31aに対して、上下方向に摺動が可能であり、中心軸Bと垂直な方向には移動が規制される。つまり、下型32と上型33の中心が中心軸Bに一致するように調芯された状態で、胴型31に対して下型32と上型33が上下方向に移動可能である。
下型32は、挿入部32aの上端にプレス面34を有する。プレス面34は、凹型の光学面形成面35と、光学面形成面35の周囲に位置する中間面36と、中間面36の周囲に位置するテーパ面37と、を備えている。プレス面34は、下型32の上端面に対して凹んだ形状に設定されている。
上型33の下端にプレス面38を有する。プレス面38は、凹型の光学面形成面39と、光学面形成面39の周囲に位置する平坦面40と、平坦面40の周囲に位置するテーパ面41と、を備えている。
成形型30を用いてレンズ10を成形する際には、レンズ10の母材となるガラスからなるガラスプリフォームを下型32のプレス面34に載せる。光学面形成面35の凹み形状によって、ガラスプリフォームが中心軸B上の位置に保持される。下型32は、大径部32bを胴型31の下端面に当接させたプレス移動端に保持される。挿入部32aが胴型31から離脱しないように、下型32が下方から支持される。
ガラスプリフォームをガラス転移温度を超えるまで加熱して軟化させ、胴型31に挿入した上型33を下方に向けて押圧する。下降する上型33のプレス面38と、下降が規制された下型32のプレス面34との間でガラスプリフォームがプレスされ、ガラスプリフォームが変形する。
上型33を図3に示すプレス移動端まで下降させると、ガラスプリフォームは下型32と上型33の間の型空間に対応した形状になり、プレス面34とプレス面38の面形状がそれぞれ転写されたレンズ10として成形される。そして、所定の温度まで冷却してから成形型30を分解することによって、成形後のレンズ10を取り出すことができる。
下型32の光学面形成面35によってレンズ10の第1光学面12が形成され、下型32の中間面36によってレンズ10の中間面15が形成され、下型32のテーパ面37によってレンズ10の位置基準面16が形成される。
光学面形成面35は、凸面である第1光学面12に対応する凹面(非球面)である。
中間面36は、中間面15の平坦面15aに対応する平坦面36aと、テーパ面15bに対応するテーパ面36bと、を有している。平坦面36aは、中心軸Bに対して垂直な平面である。テーパ面36bは、中心軸Bを中心とする円錐台形状(円錐台の側面)であり、下型32の挿入部32aの先端側(上方)に進むにつれてテーパ面36bの径が大きくなる。
テーパ面37は中心軸Bを中心とする円錐台形状(円錐台の側面)であり、下型32の挿入部32aの先端側(上方)に進むにつれてテーパ面37の径が大きくなる。
上型33の光学面形成面39によってレンズ10の第2光学面13が形成され、上型33の平坦面40によってレンズ10の平坦面17が形成され、上型33のテーパ面41によってレンズ10の内側テーパ面18が形成される。
光学面形成面39は、凸面である第2光学面13に対応する凹面(非球面)である。
平坦面40は、中心軸Bに対して垂直な平面である。
テーパ面41は中心軸Bを中心とする円錐台形状(円錐台の側面)であり、上型33の先端側(下方)に進むにつれてテーパ面41の径が小さくなる。
成形型30を用いてレンズ10を製造する際には、ガラスプリフォームの容量誤差、成形型30の内部の型空間の体積誤差、ガラスプリフォームの供給位置の偏り、などの各種誤差が発生する。
図3に示す下型32と上型33のそれぞれのプレス移動端において、プレス面34とプレス面38の周縁部には隙間42がある。隙間42の箇所では、成形時のガラスプリフォームの形状変化が許容されており、上記の各種誤差に応じてレンズ10の形状が変動する。この隙間42に対応した形状のばらつきを許容した部分が、レンズ10のコバ部14における体積吸収部19である。従って、図1及び図2に示す体積吸収部19の形状は一例であり、誤差の程度によって体積吸収部19の形状が異なる。そして、体積吸収部19を備えることによって、レンズ10の他の部分を高精度に形成することができる。
下型32や上型33は、レンズ成形時の高温環境下で十分な耐久性を備えるように、例えばセラミックス又は超硬合金を材料として構成される。図4は、レンズ成形型を製造する製造装置によって下型32のプレス面34を形成する工程を示しており、製造装置を構成する砥石50を用いた研削加工によってプレス面34を形成している。
砥石50は円筒形状であり、当該円筒形状の中心軸である回転軸Cを中心とする回転が可能である。製造装置では、回転軸Cの角度を変更することができる。砥石50は、端面50aと側面50bの境界の角部分を加工点Sとして下型32に接触させて、回転軸Cを中心とする回転をしながら研削加工を行う。
図4及び図5に示すように、砥石50を用いた研削加工でプレス面34の光学面形成面35を形成する場合、加工点Sに接する位置における光学面形成面35の法線Kに対して、回転軸Cを45°傾けるのが一般的である。このような方法で研削加工を行う場合、砥石50の径である砥石径φg(回転軸Cに対して垂直な方向の端面50aの直径)は、下記の条件(5)を満たすことが好ましい。Rは、上述したレンズ10の第1光学面12の近軸曲率半径であり、光学面形成面35の形状が転写されて第1光学面12になることから、光学面形成面35を形成する砥石50の寸法条件に含まれている。
(5)φg≦0.8×√2×R
条件(5)を満たすことにより、加工点S以外の箇所で砥石50が下型32に干渉することなく、光学面形成面35を加工できる。なお、砥石径φgが小さくなるほど、下型32の他の部分への砥石50の干渉は生じにくくなるが、その一方で、光学面形成面35の形状誤差が生じやすくなるため、条件(5)の範囲内においてできるだけ大きい砥石径φgを適用することが望ましい。本実施形態では、φg=1.1Rの砥石50を用いるものとする。
下型32のプレス面34は、光学面形成面35と中間面36とテーパ面37を含んでいる。このうち、特に厳密な精度が要求されるのが光学面形成面35とテーパ面37である。光学面形成面35は第1光学面12を形成する部分であり、光学面形成面35の面精度がレンズ10の光学性能に直結する。テーパ面37は位置基準面16を形成する部分であり、テーパ面37の面精度がレンズ10の位置精度に大きく影響する。
ここで、光学面形成面35とテーパ面37を同じ砥石50を用いて形成すると、様々な利点がある。まず、プレス面34の製造に際して、形成箇所毎の加工用ツールの交換が不要であり、生産効率が向上する。また、同じ砥石50を使用して形成するので、光学面形成面35とテーパ面37を含むプレス面34の全体的な精度管理を行いやすい。
その一方で、同じ砥石50によってプレス面34の各部を形成する場合、砥石50が加工点S以外の箇所で下型32に干渉する可能性を考慮する必要がある。特に、中心軸Bが通る中心部分が最も深く、中心軸Bから遠い外周側が浅い形状のプレス面34において、中心側の光学面形成面35を形成してから外周側のテーパ面37を形成する場合に、テーパ面37を形成する段階で、砥石50が光学面形成面35に接触しないようにすることが求められる。
図5から図7は、下型32のプレス面34と砥石50を拡大した断面図(中心軸Bを含む断面)である。なお、図5から図7では、完成した状態のプレス面34の形状を表しているが、実際には、砥石50による加工が段階的に行われることによって、プレス面34の各部が順次仕上げられる。例えば、プレス面34の中央側から周縁側に向けて加工を進める場合、図5に示す光学面形成面35の加工段階では、中間面36やテーパ面37は完成していない。
レンズ10の第1光学面12、中間面15、位置基準面16は、下型32のプレス面34の形状を転写したものであるため、下型32に関する条件の説明においても、上述したレンズ10の条件と共通の要素(w、d、θ、R、La、Lb、Ld)を用いて説明する。また、下型32に関する説明での中心軸Bは、レンズ10に反映させた場合の光軸Aと同義である。
プレス面34において、光学面形成面35の外縁を光学面形成面外縁Q11とする。また、テーパ面37のうち、中間面36(テーパ面36b)との境界部分をテーパ面内縁Q12とし、テーパ面内縁Q12とは反対側の外縁部をテーパ面外縁Q13とする。光学面形成面外縁Q11はレンズ10の光学面外縁Q1に対応する箇所であり、テーパ面内縁Q12はレンズ10の位置基準面内縁Q2に対応する箇所であり、テーパ面外縁Q13はレンズ10の位置基準面外縁Q3に対応する箇所である。
光学面形成面外縁Q11からテーパ面内縁Q12までの、中心軸B(光軸A)に垂直な距離をwとする。光学面形成面外縁Q11からテーパ面内縁Q12までの、中心軸B(光軸A)に平行な距離をdとする。光学面形成面外縁Q11とテーパ面内縁Q12を結んだ線分Laと、中心軸B(光軸A)に垂直な垂直線Lbとのなす角度をψとする。テーパ面37と垂直線Lbとのなす角度をθとする。
図5から図7に示す断面(中心軸Bを含む断面)において、下型32の中間面36は、線分Laと、垂直線Lbと、テーパ面37を延長した延長線Lcと、によって囲まれる三角形状の領域に含まれる面である。平坦面36aは垂直線Lbに沿う面であり、テーパ面36bは線分Laと延長線Lcとの間に位置する面であり、中間面36は当該条件を満たしている。そして、中間面36に対応するレンズ10の中間面15(平坦面15a、テーパ面15b)も、当該三角形状の領域に含まれる面である。
中間面36とは異なり、上記領域の外側を通る面によって光学面形成面35とテーパ面37が接続されると、光学面形成面35とテーパ面37の間の形状加工が複雑になったり(例えば、砥石50以外の加工ツールを用いる必要が生じる)、砥石50と下型32の干渉が発生しやすくなったりする。
ここで、下型32のプレス面34は、下記条件(6)及び(7)を満たすことが望ましい。
(6)ψ<45°
(7)ψ<θ
中間面36の設定領域の一辺である線分Laの傾きについて、条件(6)及び条件(7)を満たすことにより、テーパ面37を砥石50で形成する際に、砥石50が中間面36の部分に干渉することを防止できる。条件(6)から外れたψ≧45°の場合や、条件(7)から外れたψ≧θの場合は、砥石50と下型32(中間面36)に干渉するか否かの判定が複雑になってしまう。
続いて、テーパ面37の傾きについて、0°<θ<45°の場合(図6)と、45°≦θ<90°の場合(図7)との2通りについて説明する。いずれの場合も、砥石50によってテーパ面37を形成する際には、成形型30の中心軸Bを含む断面内で、テーパ面37の仕上がり形状に対して砥石50の側面50b(回転軸C)を45°傾けた状態で加工を行うものとする。
図6及び図7に示すように、テーパ面内縁Q12からテーパ面外縁Q13までの範囲でテーパ面37を形成する場合、砥石50が下型32に接触する加工点Sがテーパ面内縁Q12であるときに、砥石50の端面50aが最も下方(光学面形成面35の近く)に位置していて、下型32との干渉が生じやすい状況である。従って、少なくとも加工点Sの位置がテーパ面内縁Q12である場合における、加工点S以外の箇所での砥石50と下型32の干渉の有無を確認すればよい。
[0°<θ<45°の場合]
図6に示すように、0°<θ<45°の場合は、テーパ面37の仕上がり形状に対して砥石50の回転軸C(側面50b)を45°傾けると、加工点Sがテーパ面内縁Q12に位置する状態で、砥石50の端面50aのうち加工点Sから最も遠い最遠点Tが、加工点Sよりも上方(中心軸Bに沿う方向でプレス面34から離れる方向)に位置する。つまり、砥石50の端面50aが、加工点Sを基端としてプレス面34から離れる方向に傾いた状態になる。そして、テーパ面内縁Q12からテーパ面外縁Q13までの範囲で砥石50によってテーパ面37を加工する間は、端面50aにおいて常に加工点Sが最も低い位置にあって、砥石50が加工点S以外の部分で下型32に接触するおそれがない。従って、0°<θ<45°の場合は、少なくとも上記の条件(6)及び(7)を満たしていればよい。
[45°≦θ<90°の場合]
図7に示すように、45°≦θ<90°の場合は、テーパ面37の仕上がり形状に対して砥石50の回転軸C(側面50b)を45°傾けると、加工点Sがテーパ面内縁Q12に位置する状態で、砥石50の端面50aのうち加工点Sから最も遠い最遠点Tが、加工点Sよりも下方(中心軸Bに沿う方向でプレス面34に近づく方向)に位置する。つまり、砥石50の端面50aが、加工点Sを基端としてプレス面34に近づく方向に傾いた状態になる。ここで、最遠点Tが下型32(特に、光学面形成面35)に干渉しないように、下記の条件を設定する。
テーパ面37の仕上がり形状に対して砥石50の回転軸Cを45°傾けた場合、砥石50の端面50aと、中心軸Bに垂直な垂直線Lbとのなす角は、θ-45°となる。中心軸Bに沿う方向(光軸方向)での加工点Sと最遠点Tの距離χは、χ=φg・sin(θ-45°)となる。
ここで、下記条件(8)を満たすことにより、加工点Sがテーパ面内縁Q12に位置する状態で、最遠点Tが下型32に接触せず、砥石50と下型32の干渉を回避することができる。
(8)d>χ
条件(8)を満たさずにd≦χである場合は、中心軸Bに沿う方向(光軸方向)での最遠点Tの位置が光学面形成面外縁Q11よりも低くなる(下型32側に近づく)ため、砥石50が下型32の光学面形成面35などに干渉するおそれがある。
また、45°≦θ<90°のときは、加工点Sがテーパ面内縁Q12に位置する状態で、加工点Sの近傍での砥石50と下型32との干渉についても考慮する必要がある。加工点Sの近傍では、砥石50の端面50aと線分Laとの間にクリアランスがあれば、砥石50が下型32(特に、中間面36)に干渉しない。
ここで、下記条件(9)を満たすことにより、加工点Sの近傍で、砥石50の端面50aと線分Laとの間に逃げ角があり、端面50aが下型32(特に、中間面36)に干渉することを防止できる。
(9)θ-45°<ψ
以上に述べた各条件をまとめると、次のようになる。0°<θ<45°のときは、条件(6)のψ<45°及び条件(7)のψ<θを満たせばよい。条件(6)から、上述した条件(1)のd<wが導かれる。条件(7)から、上述した条件(2)のd<w・tanθが導かれる。
従って、0°<θ<45°のときに、条件(1)のd<w、且つ、条件(2)のd<w・tanθ、を満たすことによって、光学面形成面35とテーパ面37とを含む下型32のプレス面34を、共通の砥石50を用いて形成することができる。そして、下型32のプレス面34の形状が転写されたレンズ10においても、条件(1)と条件(2)の両方を満たす形状となる。
45°≦θ<90°のときは、条件(6)のψ<45°と条件(7)のψ<θに加えて、条件(9)のθ-45°<ψが加味される。これらの条件から、θ-45°<ψ<45°<θとなり、上述した条件(3)のw・tan(θ-45°)<d<w<w・tanθ、が導かれる。
また、45°≦θ<90°のときは、砥石50の砥石径φgについて、条件(5)のφg≦0.8×√2×Rに基づいてφg=1.1Rを採用した場合に、条件(8)のd>χから、上述した条件(4)のd>1.1R・sin(θ-45°)、が導かれる。
従って、45°≦θ<90°のときに、条件(3)のw・tan(θ-45°)<d<w<w・tanθ1、且つ、条件(4)のd>1.1R・sin(θ-45°)、を満たすことによって、光学面形成面35とテーパ面37とを含む下型32のプレス面34を、共通の砥石50を用いて形成することができる。そして、下型32のプレス面34の形状が転写されたレンズ10においても、条件(3)と条件(4)の両方を満たす形状となる。
以上のように、本実施形態は、光軸方向及び光軸直交方向に対して傾斜するテーパ形状の位置基準面16を用いて位置決めするタイプのレンズ10と、当該レンズ10をプレス成形する成形型30(下型32)について、上記の各条件を満たすことによって、光学面形成面35とテーパ面37を含むプレス面34を同じ砥石50を用いて形成することを可能にしている。これにより、下型32を効率良く製造することができ、成形型30を用いて成形されるレンズ10の生産性向上に寄与することができる。
なお、本発明に係るレンズは、上記実施形態には限定されず、発明の要旨の範囲内で変更が可能である。例えば、図1及び図2に示すレンズ10は、フランジ部14bの外周面を構成する位置基準面16と、フランジ部14bの内周面を構成する内側テーパ面18とが略平行であるが、この構成には限定されない。
図8は、レンズ10のコバ部14におけるフランジ部14bの変形例を示している。図8に示すフランジ部14bは、位置基準面16よりも光軸直交方向の内側に位置する内周面として、光軸Aを中心とする円錐台形状の内側テーパ面20を有している。上記実施形態の内側テーパ面18と同様に、内側テーパ面20は、光軸方向で第2の方向A2(第1光学面12側から第2光学面13側)に進むにつれて、曲率半径(光軸Aを中心として内側テーパ面20を通る円の曲率半径)が大きくなる曲面である。
上記実施形態とは異なる点として、内側テーパ面20は位置基準面16と平行ではなく、光軸Aに垂直な面Pに対する位置基準面16の傾き角θ1と、光軸Aに垂直な面Pに対する内側テーパ面20の傾き角θ2とが、θ1>θ2の関係である。つまり、フランジ部14bは、基部14aにつながる内縁側から、体積吸収部19のある外縁(先端)側へ進むにつれて、位置基準面16と内側テーパ面20との間隔である厚みが小さくなる先細形状になっている。このようにフランジ部14bを構成することにより、成形型30でレンズ10をプレス成形した後の離型時に、上型33へのレンズ10の貼り付きを抑制して、離型性を向上させる効果が得られる。
図9は、レンズ10のコバ部14におけるフランジ部14bの別の変形例を示している。図9に示すフランジ部14bは、位置基準面16よりも光軸直交方向の内側に位置する内周面を構成する内側曲面21を有している。上記の内側テーパ面18や内側テーパ面20と同様に、内側曲面21は、光軸方向で第2の方向A2(第1光学面12側から第2光学面13側)に進むにつれて、曲率半径(光軸Aを中心として内側曲面21を通る円の曲率半径)が大きくなる曲面である。
図9に示すように、内側曲面21はさらに、光軸Aを含む断面内で、凹状に湾曲する形状を有する曲面である。そして、内側曲面21は、平坦面17との間に段差や屈曲箇所を有しておらず、内側曲面21と平坦面17とが滑らかに接続している。
図9に示す内側曲面21とは異なり、図1に示すフランジ部14bの内側テーパ面18と、図8に示すフランジ部14bの内側テーパ面20は、いずれも、光軸Aを中心とする円錐台形状の曲面(円錐台の側面)であり、光軸Aを含む断面内では直線形状である。
内側曲面21は、光軸Aを含む断面内で、曲率半径が一定の円弧形状でもよいし、曲率半径が一定ではない非円弧状の湾曲形状でもよい。光軸Aを含む断面内で曲率半径が一定の円弧形状である場合の内側曲面21は、凹状のトロイダル面となる。
コバ部14のフランジ部14bが内側曲面21を有している構成では、内側曲面21と平坦面17とが、途中に段差や屈曲箇所を含まずに滑らかに接続する構成である。そのため、平坦面17と内側曲面21との境界部分、つまり基部14aとフランジ部14bとの境界部分に負荷が集中しにくく、レンズ10の強度確保において有利となる。また、ガラスプリフォームをプレス加工してレンズ10を製造する際に、基部14aからフランジ部14bまで円滑にガラスを流動させやすくなり、レンズ10の成形精度を向上させる効果が得られる。
また、成形型(上型)のプレス面において、平坦面17を形成するための領域と、内側曲面21を形成するための領域との間に段差や屈曲箇所が無いため、成形型(上型)のプレス面を製造する際に、研削砥石などの加工用ツールを滑らかな移動軌跡で移動させて、精度良く効率的な製造を行うことができる。
さらに、内側曲面21が、光軸Aを含む断面内で曲率半径が一定の円弧形状である場合には、成形型(上型)のプレス面のうち内側曲面21を形成するための領域を製造する際に、加工用ツールの移動軌跡や動作方向がシンプルになり、成形型の製造効率を向上させることができる。
図10は、レンズ10のコバ部14におけるフランジ部14bのさらに別の変形例を示している。図10に示すフランジ部14bは、位置基準面16よりも光軸直交方向の内側に位置する内周面を構成する内側曲面22を有している。内側曲面22は、上記の内側テーパ面18や内側テーパ面20や内側曲面21とは異なり、光軸Aと略平行であり、光軸Aを中心とする円筒面である。つまり、内側曲面22は、光軸方向で第2の方向A2(第1光学面12側から第2光学面13側)に進むにつれて、曲率半径(光軸Aを中心として内側曲面22を通る円の曲率半径)が変化せず、光軸方向のいずれの位置でも曲率半径が同等である曲面である。
このような形状の内側曲面22は、光軸直交方向の位置基準として用いることも可能である。例えば、レンズ10を含む光学系において、レンズ10以外の光学要素(他のレンズや、レンズ位置を定めるスペーサなど)を配置する場合に、レンズ10の内側曲面22に他の光学要素を当接させて光軸直交方向での位置を定めることができる。レンズ10が位置基準面16を介して保持部材(図示略)に対して位置決めされるので、当該他の光学要素は、レンズ10を介して位置決めされる関係となる。
上記実施形態及び変形例に示したように、フランジ部14bのうち位置基準面16よりも光軸直交方向の内側に位置する内周面の構成例は、大きく分けて、光軸方向で第2の方向A2(第1光学面12側から第2光学面13側)に進むにつれて曲率半径が大きくなる曲面(内側テーパ面18、内側テーパ面20、内側曲面21)と、光軸方向で第2の方向A2(第1光学面12側から第2光学面13側)に進むにつれて曲率半径が同等である曲面(内側曲面22)と、を含んでいる。このように、フランジ部14bの内周面は様々な構成を選択することが可能であり、重視する条件に応じて最適な形状を適用するとよい。なお、図8から図10に示す各変形例のレンズ10は、上記実施形態のレンズ10(図1及び図2)に関して特定した各条件を満たしている。
上記実施形態のレンズ10は、第1光学面12と第2光学面13がそれぞれ非球面の非球面レンズであるが、本発明によるレンズは非球面レンズに限定されるものではなく、球面レンズに適用することも可能である。また、第2光学面13については、凸面ではなく凹面であってもよい。
本発明の実施の形態は上記実施形態やその変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
10 :レンズ
11 :光学機能部
12 :第1光学面
13 :第2光学面
14 :コバ部
14a :基部
14b :フランジ部
15 :中間面
15a :平坦面
15b :テーパ面
16 :位置基準面
17 :平坦面
18 :内側テーパ面
19 :体積吸収部
20 :内側テーパ面
30 :成形型(レンズ成形型)
31 :胴型
32 :下型(型部材)
33 :上型
34 :プレス面
35 :光学面形成面
36 :中間面
36a :平坦面
36b :テーパ面
37 :テーパ面
38 :プレス面
39 :光学面形成面
40 :平坦面
41 :テーパ面
42 :隙間
50 :砥石(レンズ成形型の製造装置)
50a :砥石の端面
A :光軸
B :成形型の中心軸
C :砥石の回転軸
Q1 :光学面外縁
Q2 :位置基準面内縁
Q3 :位置基準面外縁
Q11 :光学面形成面外縁
Q12 :テーパ面内縁
Q13 :テーパ面外縁
S :加工点
T :最遠点
φg :砥石径

Claims (9)

  1. ガラスのプレス成形品であるレンズにおいて、
    光軸方向の一方に向く凸面である第1光学面と、光軸方向の他方に向く第2光学面と、を有する光学機能部と、
    前記光学機能部の外側のコバ部に設けられ、光軸方向で前記第1光学面側から前記第2光学面側に進むにつれて曲率半径が大きくなる円錐台形状の位置基準面と、
    前記コバ部に設けられ、前記位置基準面の外縁よりも光軸直交方向の内側に位置し、プレス成形に伴う形状誤差を許容する体積吸収部と、を備え、
    光軸に垂直な面に対する前記位置基準面の角度θ、前記第1光学面の外縁から前記位置基準面の内縁までの光軸に垂直な方向の距離w、前記第1光学面の外縁から前記位置基準面の内縁までの光軸に平行な方向の距離dが、0°<θ<45°のときに下記条件(1)及び条件(2)を満たすことを特徴とするレンズ。
    (1)d<w
    (2)d<w・tanθ
  2. ガラスのプレス成形品であるレンズにおいて、
    光軸方向の一方に向く凸面である第1光学面と、光軸方向の他方に向く第2光学面と、を有する光学機能部と、
    前記光学機能部の外側のコバ部に設けられ、光軸方向で前記第1光学面側から前記第2光学面側に進むにつれて曲率半径が大きくなる円錐台形状の位置基準面と、
    前記コバ部に設けられ、前記位置基準面の外縁よりも光軸直交方向の内側に位置し、プレス成形に伴う形状誤差を許容する体積吸収部と、を備え、
    光軸に垂直な面に対する前記位置基準面の角度θ、前記第1光学面の外縁から前記位置基準面の内縁までの光軸に垂直な方向の距離w、前記第1光学面の外縁から前記位置基準面の内縁までの光軸に平行な距離d、前記第1光学面の近軸曲率半径Rが、45°≦θ<90°のときに下記条件(3)及び条件(4)を満たすことを特徴とするレンズ。
    (3)w・tan(θ-45°)<d<w<w・tanθ
    (4)d>1.1R・sin(θ-45°)
  3. 前記位置基準面は、前記コバ部の外周部に設けられ、
    前記コバ部は、前記位置基準面よりも光軸直交方向の内側に、光軸方向で前記第1光学面側から前記第2光学面側に進むにつれて曲率半径が大きくなる又は曲率半径が同等である曲面を有し、
    前記位置基準面を外周面とし前記曲面を内周面とするフランジ部の端部に前記体積吸収部が設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレンズ。
  4. 前記曲面は、光軸方向で前記第1光学面側から前記第2光学面側に進むにつれて前記曲率半径が大きくなる円錐台形状の内側テーパ面であることを特徴とする、請求項3に記載のレンズ。
  5. 前記位置基準面は、前記内側テーパ面よりも、光軸に垂直な面に対する傾き角が大きいことを特徴とする、請求項4に記載のレンズ。
  6. 前記曲面は、光軸方向で前記第1光学面側から前記第2光学面側に進むにつれて前記曲率半径が大きくなり、且つ、光軸を含む断面内で、凹状に湾曲する形状を有する曲面であることを特徴とする、請求項3に記載のレンズ。
  7. 前記第1光学面と前記位置基準面との間に中間面を有し、
    前記中間面は、光軸を含む断面内で、前記第1光学面の前記外縁と前記位置基準面の前記内縁を結んだ線分と、前記第1光学面の前記外縁から光軸直交方向に延びる直線と、前記位置基準面を延長した直線と、に囲まれる領域に位置することを特徴とする、請求項1又は2に記載のレンズ。
  8. 請求項1又は2に記載のレンズを成形するレンズ成形型であって、
    前記第1光学面に対応する形状の光学面形成面と、前記位置基準面に対応する形状の位置基準面形成面とを有する型部材を備えることを特徴とするレンズ成形型。
  9. 請求項8のレンズ成形型を製造する製造装置であって、
    円筒状であり、中心軸を中心とする回転によって、前記型部材の前記光学面形成面と前記位置基準面形成面の両方を形成する砥石を備え、
    前記レンズの前記第1光学面の近軸曲率半径Rと、前記砥石の端面の径φgとが、下記条件(5)を満たすことを特徴とするレンズ成形型の製造装置。
    (5)φg≦0.8×√2×R
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