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JP2023111449A - 3dプリンタを用いて熱可塑性樹脂から形成される造形物の製造方法、及びそれにより得られた研磨パッド - Google Patents

3dプリンタを用いて熱可塑性樹脂から形成される造形物の製造方法、及びそれにより得られた研磨パッド Download PDF

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JP2023111449A
JP2023111449A JP2022013314A JP2022013314A JP2023111449A JP 2023111449 A JP2023111449 A JP 2023111449A JP 2022013314 A JP2022013314 A JP 2022013314A JP 2022013314 A JP2022013314 A JP 2022013314A JP 2023111449 A JP2023111449 A JP 2023111449A
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manufacturing
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polishing
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JP2022013314A
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充 加藤
Mitsuru Kato
尚 杉岡
Takashi Sugioka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】3Dプリンタを用いた熱可塑性樹脂の造形において、異物の混入を防止し得る、造形物の製造方法を提供する。【解決手段】3Dプリンタを用いて、熱可塑性樹脂を溶融させてノズルから吐出し、固化させて、造形物を得る製造方法において、熱可塑性樹脂が3Dプリンタ内で溶融してから、ノズルから吐出するまでの間にフィルターを通過することを特長とする、造形物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、3Dプリンタを用いて熱可塑性樹脂から形成される造形物の製造方法、及びそれにより得られた研磨パッドに関する。
近年、3D CADや3D CGといった3次元データの設計図に基づいて、樹脂素材を3次元的に造形する技術として、所謂、3Dプリント技術が用いられている。
3Dプリント技術を採用した機器として、3Dプリンタが一般にも普及してきている。例えば、3Dプリンタを用いて熱可塑性樹脂の造形物を造形する場合、従来のように、特定の造形物に合わせた成形機(例えば、特定の形状を成形するための金型や鋳型など)を用いることなく、樹脂造形物を造形することが可能である。
3Dプリント技術を用いて樹脂素材を造形する造形方法の例として、熱可塑性樹脂を加熱溶融してノズルから押出し、造形台上に1層ずつ積層しながら造形物を造形する熱溶解積層方式(FDM(Fused Deposition Modeling))が知られている。
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸樹脂に対して、特定の成分を特定量配合してなる熱融解積層方式三次元造形用素材、並びに、当該素材を成形してなる熱融解積層方式3Dプリント機器用フィラメント、粒子又はペレット、並びに、当該フィラメント、粒子又はペレットを造形してなる造形物が記載されている。
また、特許文献2には、合成繊維が複数本集束されて構成された長尺状の繊維集束体にて形成されており、前記複数の合成繊維の内の少なくとも一部の繊維が機能性添加剤を含むことを特徴とする造形材料を用い、3Dプリンタを用いて三次元造形物を得る製造方法が記載されている。
また、3Dプリント技術を用いて樹脂素材を造形する造形方法の他の例としては、光硬化型の液体樹脂に対して、紫外線等のエネルギー線を照射し、1層ごとに硬化性樹脂を硬化させながら三次元造形物を造形する光造形方式(SLA(Stereo Lithography Apparatus))が知られている。
例えば、特許文献3には、放射源により硬化する硬化性樹脂を用いて三次元物体を製造するための付加製造装置であって、フィルタユニットを備えた付加製造装置が記載されている。
また、その他の三次元造形方法として、インクジェットプリンタのインクをエネルギー硬化性樹脂に置換し、インクヘッドから噴射後にエネルギー線で硬化させながら樹脂硬化物を積層するインクジェット方式といった方法なども知られている。
国際公開第2015/037574号 国際公開第2016/129613号 特表2018-521888号公報
3Dプリント技術を用いることで、例えば、押出成形法や射出成形法等の従来法よりも樹脂材料ロスの低減等が可能となり、コスト削減や資源の有効活用といったメリットが得られる。
一方、例えば、従来法とは異なり、3Dプリンタを用いて熱可塑性樹脂を造形する場合には、異物の混入等が生じる虞がある。得られた造形物に異物が混入すると、造形物の品質低下や、用途によっては造形物を使用できないといったデメリットが生じる。しかしながら、これまで、3Dプリンタを用いた熱可塑性樹脂の造形方法における異物除去の方法については十分に検討がなされていなかった。
例えば、前述した特許文献1及び2には、3Dプリンタの造形に適した熱可塑性樹脂が開示されているが、3Dプリンタによる造形時に、樹脂中の異物を除去することについては開示されていない。
また、特許文献3は、光などの放射により硬化する硬化性樹脂を用いた造形において、液状の熱硬化性樹脂を循環させながらフィルターを通過させて大きな粒子の混入を防ぐものであり、当該方法は、加熱によりノズルからの吐出の直前に溶融させる必要がある熱可塑性樹脂を用いた造形方法には適用することができない。
そこで本発明は、3Dプリンタを用いた熱可塑性樹脂の造形において、異物の混入を防止し得る、造形物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の発明を包含する。
[1] 3Dプリンタを用いて、熱可塑性樹脂を溶融させてノズルから吐出し、固化させて、造形物を得る製造方法において、熱可塑性樹脂が3Dプリンタ内で溶融してから、ノズルから吐出するまでの間にフィルターを通過することを特長とする、造形物の製造方法。
[2] 前記フィルターが金属製のフィルターである、前記[1]に記載の造形物の製造方法。
[3] 前記熱可塑性樹脂がポリウレタンである、前記[1]又は[2]に記載の造形物の製造方法。
[4] 前記熱可塑性樹脂がペレット状の形態で3Dプリンタに供給される、前記[1]~[3]のいずれか1つに記載の造形物の製造方法。
[5] ペレット状の熱可塑性樹脂とともに、露点温度が-30℃以下の乾燥窒素又は露点温度が-30℃以下の乾燥空気が3Dプリンタに供給される、前記[4]に記載の造形物の製造方法。
[6] 前記造形物が、厚みが1.0~10mmのシートである、前記[1]~[5]のいずれか1つに記載の造形物の製造方法。
[7] 前記造形物が、研磨パッド用の研磨層である、前記[1]~[6]のいずれか1つに記載の造形物の製造方法。
[8] 前記[7]に記載の造形物の製造方法を用いて得られた研磨層を有する、研磨パッド。
本発明によれば、3Dプリンタを用いた熱可塑性樹脂の造形において、異物の混入を防止し得る、造形物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態の一例に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施態様は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下の記載に限定されない。
本明細書における記載事項を任意に選択した態様又は任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
本明細書において、好ましいとする規定は任意に選択でき、好ましいとする規定同士の組み合わせはより好ましいといえる。
本明細書において、特に言及しない限り、数値範囲として「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。例えば、数値範囲として単に「10~90」と記載する場合、10以上90以下の範囲を表す。
本明細書において、数値範囲(各成分の含有量、各成分から算出される値及び各物性等)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、同一事項に対する「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
また、数値範囲について、例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」との記載に基づいて、上限値は特に規定せずに下限値側だけ「10以上」又は「30以上」と規定することもでき、同様に、下限値は特に規定せずに上限値側だけ「90以下」又は「60以下」と規定することもできる。
前記同様、例えば、同一事項に対する「好ましくは10以上、より好ましくは30以上」の記載と「好ましくは90以下、より好ましくは60以下」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10以上60以下」とすることもできる。また、前記同様、下限値側だけ「10以上」又は「30以上」と規定することもでき、同様に、上限値側だけ「90以下」又は「60以下」と規定することもできる。
[造形物の製造方法]
本発明の一態様である造形物の製造方法は、3Dプリンタを用いて、熱可塑性樹脂を溶融させてノズルから吐出し、固化させて、造形物を得る製造方法において、熱可塑性樹脂が3Dプリンタ内で溶融してから、ノズルから吐出するまでの間にフィルターを通過することを特長とする。
また、前記造形物の製造方法は、3Dプリンタを用いて、熱可塑性樹脂を溶融させてノズルから吐出し、固化させることを繰り返して複数の層を積層させて、造形物を得る製造方法において、熱可塑性樹脂が3Dプリンタ内で溶融してから、ノズルから吐出するまでの間にフィルターを通過することを特長とすることが好ましい。
以下、本発明の一態様である造形物の製造方法で用いられる各構成要件等について説明する。
<3Dプリンタ>
3Dプリンタとは、3D CADや3D CGといった3次元データの設計図に基づいて、原料を3次元的に造形する3Dプリント技術を用いて、立体造形することができる機器である。本発明で用い得る前記3Dプリンタとしては、少なくとも、熱可塑性樹脂を溶融させてノズルから吐出し、固化させて、造形物を得ることができる機器であればよく、特に制限はないが、例えば、前述した熱可塑性樹脂を加熱溶融してノズルから押出し、造形台上に1層ずつ積層しながら造形物を造形する熱溶解積層方式(以下、単に「FDM方式」ともいう。)により、前記造形物を造形可能な3Dプリンタを用いることが好ましい。
前記3Dプリンタは、前記ノズルを単一で備えたものであってもよく、または、複数備えたものであってもよい。前記ノズルとしては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、ノズル先端の穴径が、好ましくは0.1~10mm、より好ましくは0.3~7.0mm、更に好ましくは0.5~3.0mmのノズルを用いることができる。
また、前記ノズルは、移動しながら、前記溶融状態の熱可塑性樹脂を吐出するものであってもよい。前記ノズルから吐出された前記熱可塑性樹脂は、例えば、フィラメント状やドロップ状に吐出され、前記ノズルが移動することにより、ノズル下部に設けられた造形台上に、予め3Dデータの設計図に基づいて指摘されている位置に溶融物が配置される。そして、造形台上に、前記溶融物の固化物によって造形された造形物が、単層として配置されることで造形物が造形されるか、又は、前記溶融物の固化物によって造形された造形物が下層から順に上層に向かって1層ずつ積層されていくことで、造形物が造形される。
また、前記造形物の製造方法の一態様としては、前記ノズルは固定したまま、ノズルから吐出される熱可塑性樹脂が配置される造形台の方を移動させながら造形物を造形してもよく、又は、前記ノズルと造形台の両方を移動させながら造形物を造形してもよい。
また、前記熱可塑性樹脂の前記固化は、冷却による方法、光照射や熱硬化による方法等が挙げられ、冷却によるものであることが好ましい。
前記冷却の方法に特に制限はなく、自然冷却であってもよく、または、造形台の冷却や造形物に冷風を吹き付ける等の方法により強制的に冷却する方法であってもよいが、自然冷却であることが好ましい。
<フィルター>
前記フィルターとしては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、例えば、金属製、熱可塑性樹脂製、又は、熱硬化性樹脂製のフィルターが使用できる。これらの中でも、溶融した熱可塑性樹脂の温度がより高温であっても使用できること及び耐久性の観点などから、金属製のフィルターであることが好ましい。
前記金属製のフィルターの例としては、ステンレス製の金網(メッシュ)フィルター等が挙げられる。
また、前記フィルターのろ過精度は、造形物への異物混入をより効果的に防止する観点から、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、20μm以下であることがより更に好ましく、15μm以下であることがより更に好ましい。
ここで、前記「フィルターのろ過精度」とは、「公称ろ過精度」を指し、例えば、「ろ過精度15μm以下」とは、粒子径15μm以上の粒子を95%以上除去できるフィルターであることを表す。
また、前記フィルターとしては、造形物への混入を防止したい異物の種類及び生産性の観点等から適宜選択することができ、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、前記フィルターの一態様として、例えば、好ましくは、縦及び横のメッシュサイズが、それぞれ独立に20~2800メッシュであり、かつ、縦及び横の線径が、それぞれ独立に20~200μmであるフィルター;より好ましくは、縦及び横のメッシュサイズが、それぞれ独立に100~2500メッシュであり、かつ、縦及び横の線径が、それぞれ独立に20~100μmであるフィルター;を使用することができる。
前記フィルターは、熱可塑性樹脂が3Dプリンタ内で溶融してから、ノズルから吐出するまでの間に設置され、その設置箇所は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はない。例えば、前記フィルターの設置箇所は、3Dプリンタ内での溶融後に生成又は混入した異物も除去できるなど、造形物への異物混入をより効果的に防止する観点から、前記ノズル内の樹脂の流路に設置されることが好ましい。
<熱可塑性樹脂>
前記熱可塑性樹脂としては、3Dプリンタ内で溶融可能であってノズルからの吐出が可能なものであれば特に制限はないが、例えば、ポリウレタン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、又は、エチレン、α-オレフィン類、環状オレフィン類、酢酸ビニル、スチレン等から選ばれる2種以上から重合される共重合体などのポリオレフィン系樹脂;オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO);ポリ塩化ビニル;ポリ酢酸ビニル;ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン共重合体等のスチレン系樹脂;メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン等から選ばれる1種以上から重合される共重合体などのアクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド、芳香族ポリアミド等のポリアミド;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;ポリカーボネート;シリコーンゴム等のシリコーン系エラストマー;ポリ乳酸;天然ゴム;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、又は、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体から選ばれる1種以上と、スチレン、エチレン、プロピレン、各種ブテン、スチレン、アクリロニトリル等のビニル系単量体から選ばれる1種以上との共重合体であるジエン系ゴム;アクリル酸エステルを主単量体とする共重合体であるアクリル酸アルキルエステル系ゴム(アクリルゴム);ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;フッ素系熱可塑性エラストマー;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
(熱可塑性ポリウレタン)
前記造形物の製造方法の一態様としては、前記熱可塑性樹脂がポリウレタンであることが好ましい。前記ポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタンともいう。以下、本明細書において、特に言及しない限り、前記造形物の製造方法において用いられる「ポリウレタン」とは、熱可塑性ポリウレタンの意味で用いられる。
前記ポリウレタンとしては、本発明の効果が奏される限り、特に制限はないが、例えば、当該ポリウレタンの製造容易性の観点から、ポリオールに由来する構造単位、及びポリイソシアネートに由来する構造単位、及び、鎖伸長剤に由来する構造単位を少なくとも含むものが好ましく、ポリオールに由来する構造単位、ポリイソシアネートに由来する構造単位及び鎖伸長剤に由来する構造単位のみからなることがより好ましい。
前記ポリウレタンにおける全構造単位に対する、ポリオールに由来する構造単位、ポリイソシアネートに由来する構造単位、及び鎖伸長剤に由来する構造単位の合計含有量としては、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上であり、より更に好ましくは95質量%以上であり、より更に好ましくは100質量%である。
〔ポリオール〕
前記ポリオールの例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等のポリエーテルジオール;ポリエステルジオール;ポリカーボネートジオール;などの高分子ジオールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
これらの中でも、入手容易性及び反応性に優れる観点から、ポリエーテルジオール及びポリエステルジオールからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、前記造形物を後述する研磨パッドの研磨層として用いる場合、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールから選ばれるポリエーテルジオール;ポリ(ノナメチレンアジペート)、ポリ(2-メチル-1,8-オクタメチレンアジペート)、ポリ(2-メチル-1,8-オクタメチレン-co-ノナメチレンアジペート)、ポリ(メチルペンタンアジペート)から選ばれるポリエステルジオール;又は、それらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが親水性に優れる点からより好ましい。
ポリオールの数平均分子量は、好ましくは450~3,000、より好ましくは500~2,700、更に好ましくは550~2,400、より更に好ましくは650~1,400、より更に好ましくは800~1,200である。ポリオールの数平均分子量が前記範囲内であると、前記造形物を後述する研磨層として用いる場合、剛性、硬度及び親水性等の特性が良好な研磨層が得られやすいため好ましい。なお、ポリオールの数平均分子量は、JIS K 1557-1:2007に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出された数平均分子量を意味する。
{ポリエーテルジオール}
ポリエーテルジオールの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、グリセリンベースポリアルキレンエーテルグリコール等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
これらの中でも、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)が好ましい。
{ポリエステルジオール}
ポリエステルジオールとしては、例えば、ジカルボン酸又はそのエステルや無水物等のエステル形成性誘導体と、低分子ジオールとを、直接エステル化反応又はエステル交換反応させることにより得られるポリエステルジオールなどが挙げられる。
ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、2-メチルコハク酸、2-メチルアジピン酸、3-メチルアジピン酸、3-メチルペンタン二酸、2-メチルオクタン二酸、3,8-ジメチルデカン二酸、3,7-ジメチルデカン二酸等の炭素数2~12の脂肪族ジカルボン酸;トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14~48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)等の脂肪族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
低分子ジオールの例としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中でも、炭素数6~12のジオールが好ましく、炭素数8~10のジオールがより好ましく、炭素数9のジオールが更に好ましい。
{ポリカーボネートジオール}
ポリカーボネートジオールとしては、低分子ジオールと、カーボネート化合物との反応により得られるものが挙げられる。ポリカーボネートジオールを製造するための低分子ジオールの例としては、先に例示した低分子ジオールが挙げられる。
ポリカーボネートジオールを製造するためのカーボネート化合物の例としては、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルカーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられ、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネート等が挙げられ、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート等が挙げられる。
〔ポリイソシアネート〕
前記ポリイソシアネートとしては、通常の熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられるポリイソシアネートであれば、特に制限はなく、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロへキセン等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネート;2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;などを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
これらの中でも、前記造形物を後述する研磨パッドの研磨層として用いる場合、得られる研磨層の耐摩耗性を向上させる観点から、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。
〔鎖伸長剤〕
前記鎖伸長剤としては、通常のポリウレタンの製造に従来から使用されている鎖伸長剤のいずれを使用してもよい。具体的には、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物を使用することが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール(BD)、1,5-ペンタンジオール(PD)、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール(1,4-シクロヘキサンジメタノール等)、ビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレート、1,9-ノナンジオール(ND)、m-キシリレングリコール、p-キシリレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール類;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルペンタメチレンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、ヒドラジン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、3,4-ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、2,6-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノクロロベンゼン、1,2-ジアミノアントラキノン、1,4-ジアミノアントラキノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノビベンジル、2,2’-ジアミノ-1,1’-ビナフタレン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン等の1,n-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン(nは3~10)、1,2-ビス[2-(4-アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-ジアミノベンズアニリド等のジアミン類;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
これらの中でも、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール(BD)、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール(PD)及び1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
前記ポリウレタンの重合に用いられる単量体のポリオール、ポリイソシアネート、鎖伸長剤の各成分の配合比率は、目的とする耐摩耗性等の物性を考慮して適宜選択される。例えば、ポリウレタンの機械的強度、耐摩耗性、熱可塑性ポリウレタンの生産性、保存安定性により優れる観点から、ポリオール及び鎖伸長剤に含まれる活性水素原子1モルに対して、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基が0.80~1.30モルとなる比率が好ましく、0.85~1.20モルとなる比率がより好ましく、0.90~1.10モルとなる比率が更に好ましく、0.95~1.05モルとなる比率がより更に好ましい。前記比率が0.80以上である場合には、ポリウレタンから形成される造形物の機械的強度及び耐摩耗性がより向上する傾向があり、1.30モル以下である場合には、前記ポリウレタンの生産性、保存安定性がより向上する傾向があるため好ましい。
ポリオールとポリイソシアネートと鎖伸長剤との質量比としては、〔ポリオールの量/(ポリイソシアネートと鎖伸長剤の合計量)〕が、好ましくは10/90~50/50、より好ましくは15/85~45/55、更に好ましくは20/80~40/60である。
〔ポリウレタンの製造方法〕
前記ポリウレタンは、前述の原料を用いて公知のプレポリマー法又はワンショット法を用いたウレタン化反応によって重合することにより得られる。より具体的には、実質的に溶剤の不存在下で、前述した各成分を所定の比率で配合して単軸又は多軸スクリュー型押出機を用いて溶融混合しながら溶融重合により製造する方法(連続溶融重合法);溶剤存在下でプレポリマー法により重合にて製造する方法等が挙げられる。
前記ポリウレタンのポリイソシアネートのイソシアネート基に由来する窒素含有割合は好ましくは4.0~8.0質量%、より好ましくは4.5~7.5質量%、更に好ましくは5.0~7.0質量%である。
なお、前記窒素含有割合は、『(熱可塑性ポリウレタン中に含まれるポリイソシアネートに由来する構造単位の質量割合)×((ポリイソシアネート1分子に含まれるイソシアネート基中に存在する窒素原子の総質量)/(ポリイソシアネート1分子の質量))×100』を意味し、例えば、以下に記載の方法にしたがって測定することもできる。
はじめに、元素分析法により下記の条件で全窒素含有量を算出する。
・装置:パーキンエルマー社製 全自動元素分析装置2400シリーズII型(オートサンプラー標準装備)C・H・N・S/O分析装置
・電気炉温度:975℃
・試料量:2mg
・助燃剤:なし
・試料容器:錫箔(助燃効果あり、1枚使用)
・検量線作成用標準物質:スルファニルアミド
次に、下記の条件でNMRの測定によりポリイソシアネートに由来する窒素原子及び鎖伸長剤に由来する窒素原子を検出する。
・装置:日本電子製核磁気共鳴装置 Lambda500
・測定条件:共鳴周波数;1H 500MHz/プローブ;TH5FG2
・溶媒:DMSO-d6 濃度;5wt%/vol
・測定温度:80℃
・積算回数:64s
そして、元素分析法及びNMRの結果から、ポリイソシアネートのイソシアネート基に由来する窒素含有割合を算出する。
<その他添加剤>
前記熱可塑性樹脂には、必要に応じて、架橋剤、軟化剤、粘着付与剤、老化防止剤、発泡剤、加工助剤、密着性付与剤、結晶核剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、離型剤、増粘剤、酸化防止剤、導電剤等の添加剤を含有してもよい。
前記熱可塑性樹脂がその他添加剤を含む場合、前記熱可塑性樹脂中の添加剤の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である。
また、前記熱可塑性樹脂を3Dプリンタに供給する際の形態としては、特に制限はないが、例えば、粉末状、ペレット状、ストランド状等の形態が挙げられる。前記造形方法の一態様においては、前記熱可塑性樹脂をペレット状の形態で3Dプリンタに供給されることが好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂を3Dプリンタに供給する際、ペレット状の熱可塑性樹脂とともに、露点温度が-30℃以下の乾燥窒素又は露点温度が-30℃以下の乾燥空気を3Dプリンタに供給することが好ましい。当該方法を用いてペレット状の熱可塑性樹脂を供給することで、3Dプリンタ内における前記熱可塑性樹脂の吸湿による発泡、ボイド形成、変色、分解等による造形不良や造形物の物性低下をより低減できる観点、また、樹脂の劣化による異物の発生を抑制できるなど、造形物への異物混入をより効果的に防止できる観点からも好ましい。このような観点から、前記乾燥窒素及び乾燥空気の露点温度は、それぞれ独立に、より好ましくは-40℃以下、更に好ましくは-50℃以下である。
また、同様の観点から、前記熱可塑性樹脂中の水分率をより低減させることが望ましく、前記熱可塑性樹脂を3Dプリンタに供給する前に、除湿乾燥を行っておくことが好ましい。
<前記製造方法により得られる造形物>
前記製造方法により得られる造形物(以下、単に「造形物」とも称する。)は、熱可塑性樹脂により造形される造形物であれば、特に制限はない。
前記造形物の一態様としては、例えば、シート、立体造形物、中空構造の立体造形物等が挙げられ、これらの中では、シートが好ましい。
前記シートの厚みは、シートの用途により、適宜設定することが可能であるが、前記シートの一態様として、好ましくは0.5~15mm、より好ましくは1.0~10mm、更に好ましくは1.5~5.0mmである。
前記製造方法により得られるシートの用途は、特に制限はないが、後述する研磨パッドに用いられる研磨層であることが好ましい。すなわち、前記造形物が、研磨パッド用の研磨層であることが好ましい。
また、前記製造方法により得られる造形物は、例えば、前記造形物を後述する研磨パッドに用いられる研磨層として用いる場合に、スクラッチの発生等をより防止できる観点から、使用される熱可塑性樹脂から形成される造形物よりも高い硬度を有する無機フィラー等の充填物を実質的に含有しないことが好ましい。なお、実質的に前記充填物を含有しないとは、前記造形物の全量100質量%中、前記充填物の含有量が1.0質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、更に好ましくは0.005質量%以下、より更に好ましくは0.0001質量%以下であることを意味する。
[研磨パッド]
本発明の一態様である研磨パッドは、本発明の一態様である前記造形物の製造方法を用いて得られた研磨層を有する。
前記研磨パッドが有する研磨層は、前記製造方法により得られるシートをそのまま用いてもよく、前記製造方法により得られるシートを、更に、切断、切削、研削及び打ち抜きからなる群より選ばれる1種以上の方法を用いて所望の研磨層の形状に加工したシートを用いてもよい。
また、前記研磨層は、前記熱可塑性樹脂として、ポリウレタンを用いて形成される研磨層であることがより好ましく、ポリウレタンの発泡体及び非発泡体のいずれであってもよいが、非発泡体であることが更に好ましい。前記研磨層がポリウレタンの非発泡体であると、当該研磨層を有する研磨パッドの研磨均一性がより高くなり、発泡の分布によるばらつきや発泡内の凝集物に起因するディフェクトの発生をより抑制することができ、もって研磨特性が変動しにくく安定した研磨が実現し易くなる。
また、前記研磨層用熱可塑性ポリウレタンを用いて形成される研磨層の密度は、好ましくは0.75g/cm以上、より好ましくは0.85g/cm以上、更に好ましくは1.0g/cm以上、より更に好ましくは1.1g/cm以上である。前記密度が前記下限値以上であると研磨層として適度な柔軟性を有するようになる。また、研磨層用熱可塑性ポリウレタンを用いて形成される研磨層は、非発泡の研磨層用熱可塑性ポリウレタンを用いて形成される研磨層であると、より高い剛性と材料の均質さにより研磨安定性に優れる点から好ましい。
前記研磨層の形状は、特に制限はないが、例えば、平面視した際、円形等の形状が挙げられる。そして、前記研磨層の形状は、前述のとおり、例えば、前記造形物の製造方法により造形する際に、3Dデータによって予め設計し、3Dプリンタによる造形時に直接造形してもよく、又は、前述のとおり、前記製造方法により得られた造形物を、更に、切断
、切削、研削及び打ち抜きからなる群より選ばれる1種以上の加工等により、適宜、調製することができる。
前記研磨層の厚さは特に限定されないが、好ましくは0.5~5.0mm、より好ましくは1.0~3.0mm、更に好ましくは1.2~2.5mmである。研磨層の厚さが前記範囲内であると生産性や取り扱い性が向上すると共に、研磨性能の安定性も向上する観点から好ましい。
また、前記研磨層の研磨面には、同心円状、格子状、螺旋状、放射状等の所定のパターンで溝や穴のような凹部が形成されることが好ましい。このような凹部は、研磨面にスラリーを均一かつ充分に供給するとともに、研磨傷(スクラッチ)発生の原因となる研磨屑の排出や、研磨層の吸着によるウェハ破損の防止に役立つ。例えば、同心円状又は螺旋状に溝を形成する場合、溝間の間隔(ピッチ)は、好ましくは1.0~50mm、より好ましくは1.5~30mm、更に好ましくは2.0~15mmである。また、溝の幅は、好ましくは0.1~3.0mm、より好ましくは0.2~2.0mmである。また、溝の深さは研磨層の厚さ未満であって、好ましくは0.2~1.8mm、より好ましくは0.4~1.5mmである。また、溝の断面形状としては、例えば、長方形、台形、三角形、半円形等の形状が目的に応じて適宜選択される。
前記研磨面上の凹部は、例えば、前記造形物の製造方法により造形する際に、3Dデータによって予め設計し、3Dプリンタによる造形時に直接造形してもよい。または、前記造形物の製造方法により得られた造形物に対して、研削加工やレーザー加工、又は、金型等を用いて転写する、加熱された型でスタンプするなどの方法により形成してもよい。
前記研磨層の硬度は、JIS K 7311:1995により測定されるD硬度の値が、好ましくは45以上、より好ましくは50以上、更に好ましくは55以上であり、そして、好ましくは90以下、より好ましくは85以下、更に好ましくは80以下である。
前記研磨パッドは、前記本発明の一態様である造形物の製造方法を用いて得られた研磨層のみからなるものであってもよく、また、研磨層の研磨面ではない側の面にクッション層を積層した積層体であってもよい。
前記クッション層としては、研磨層の硬度より低い硬度を有する層であることが好ましい。クッション層の硬度が研磨層の硬度よりも低い場合には、被研磨面の局所的な凹凸には硬質の研磨層が追従し、被研磨基材全体の反りやうねりに対してはクッション層が追従し易くなるために、よりグローバル平坦性(ウェハ基板の大きな周期の凹凸が低減している状態)とローカル平坦性(局所的な凹凸が低減している状態)とのバランスに優れた研磨が可能になるため好ましい。
また、前記クッション層の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、0.3~5.0mmであることが好ましい。
前記クッション層として用いられる素材の例としては、不織布にポリウレタンを含浸させた複合体(例えば、「Suba400」(ニッタ・ハース株式会社製));天然ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム等のゴム;ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー;発泡プラスチック;ポリウレタン等が挙げられる。
これらの中でも、クッション層として好ましい柔軟性が得られやすい点から、発泡構造を有するポリウレタンが特に好ましい。
なお、クッション層に係る説明における前記ポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタン及び熱硬化性ポリウレタンの両方を含む。
前記研磨層と前記クッション層は、例えば、両面テープを用いて互いに積層してもよく、接着剤層を介して互いに積層してもよい。また、前記造形物の製造方法により研磨層を造形する際に、クッション層上又は他の中間層(例えば、接着剤層)上に、直接、前記研磨層の全部又は一部を造形する方法によって積層してもよい。
前記研磨パッドは、前記造形物の製造方法を用いて得られる研磨層を有するため、研磨層中の異物の混入を効果的に防止することができる。そのため、前記造形物の製造方法を用いて得られた研磨層を有する研磨パッドを用いることで、無機異物などの混入による研磨傷(スクラッチ)の発生を効果的に防止することができる。
したがって、例えば、半導体ウェハの表面を平坦化するための研磨方法に用いられる研磨パッドとして、好適に使用することができ、CMP(化学的機械的研磨;Chemical Mechanical Polishing(Planarization))による研磨方法により、半導体ウェハの表面を平坦化するための研磨方法に用いられる研磨パッドとして、より好適に使用することができる。なお、前記CMPとは、被研磨物の表面に対して、砥粒及び反応液を含むスラリーを供給しながら研磨パッドで被研磨物を高精度に研磨する方法であり、シリコンウェハ等の各種半導体材料等の研磨に好適な方法として知られている。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[製造例1]
数平均分子量850のポリテトラメチレンエーテルグリコール[略号:PTMG]、1,4-ブタンジオール[略号:BD]、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート[略号:MDI]を、PTMG:BD:MDI=32.5:15.6:51.9(質量比)となる割合で用い、同軸で回転する二軸押出機に定量ポンプで連続的に供給して、連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタンを製造した。そして、重合された熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状に水中に連続的に押し出した後、ペレタイザーで細断して熱可塑性ポリウレタンのペレットを得た。このペレットを70℃で20時間除湿乾燥した後、防湿袋に密封した。
[製造例2]
製造例1で得られた熱可塑性ポリウレタンのペレット100質量部に対し、石灰石を物理的に粉砕・分級して製造された重質炭酸カルシウム(表面処理無し、メジアン径25μm)を混入異物のモデルとして0.01質量部の割合で添加し、ドライブレンドして、熱可塑性ポリウレタン組成物のペレットを得た。次いで、70℃で20時間除湿乾燥した後、防湿袋に密封した。
[製造例3]
製造例1で得られた熱可塑性ポリウレタンのペレット100質量部に対し、粉砕したシリカ粉末を高温の火炎中で溶融して球状化させた球状シリカ(表面処理無し、メジアン径40μm)を混入異物のモデルとして0.02質量部の割合で添加し、ドライブレンドして、熱可塑性ポリウレタン組成物のペレットを得た。次いで、70℃で20時間除湿乾燥した後、防湿袋に密封した。
[参考例1]
熱溶解積層方式の3Dプリンタ(ノズルの先端穴径1mm)に対し、露点温度-60℃の乾燥空気とともに、製造例1で得られた熱可塑性ポリウレタンのペレットを供給し、厚み3mm、20cm角のシートを得た。得られたシート中に含まれるカルシウム及びケイ素原子の含有量を後述する方法を用いて分析したが、いずれも定量下限値未満であった。
[実施例1]
前記熱溶解積層方式の3Dプリンタに対し、ノズル(先端穴径1mm)内の樹脂の流路に、ろ過精度が10μmのステンレス製金網(綾畳織、縦メッシュ270、横メッシュ2000、縦線径40μm、横線径28μm)を取り付け、露点温度-60℃の乾燥空気とともに、製造例2で得られた熱可塑性ポリウレタン組成物のペレットを供給し、厚み3mm、20cm角のシートを得た。得られたシート中に含まれるカルシウム及びケイ素原子の含有量を後述する方法を用いて分析したが、いずれも定量下限値未満であった。
[実施例2]
熱溶解積層方式の3Dプリンタに対し、ノズル(先端穴径2mm)内の樹脂の流路に、ろ過精度が15μmのステンレス製金網(綾畳織、縦メッシュ200、横メッシュ2000、縦線径50μm、横線径28μm)を取り付け、露点温度-60℃の乾燥空気とともに、製造例3で得られた熱可塑性ポリウレタン組成物のペレットを供給し、厚み2mm、40cm角のシートを得た。得られたシート中に含まれるカルシウム及びケイ素原子の含有量を後述する方法を用いて分析したが、いずれも定量下限値未満であった。
得られたシートを直径38cm、厚み1.5mmの円盤に切削加工して研磨層を作製し、研磨面となる面に、幅0.5mm、深さ0.8mm、ピッチ3.5mmの螺旋溝を形成した。次いで、研磨面とは反対側の面である裏面側に両面テープ(積水化学工業株式会社製「#5605HG」)を貼り、研磨パッドを製造した。
得られた研磨パッドを株式会社エム・エー・ティ製の研磨装置「MAT-BC15」に装着した。そして、株式会社アライドマテリアル製のダイヤモンドドレッサー(ダイヤモンド番手#100、台金直径19cm)を用い、ドレッサー回転数140rpm、研磨パッド回転数100rpm、ドレッサー荷重5Nの条件で、150mL/分の速度で純水を流しながらダイヤモンドドレッサーを用いて、研磨パッド表面を60分間コンディショニングした。次に、株式会社フジミインコーポレーテッド製の研磨スラリー「PL7105」100質量部に対して、純水200質量部及び30質量%過酸化水素水10質量部を混合した液を準備した。そして、プラテン回転数100rpm、ヘッド回転数99rpm、研磨圧力30kPaの条件において、100mL/分の速度で研磨スラリーを研磨パッドの研磨面に供給しながら、初期膜厚1500nmの銅膜を表面に有する直径100mmのシリコンウェハを60秒間研磨した。研磨したウェハの被研磨面について、株式会社キーエンス製のレーザー顕微鏡「VKX-200」を用いて対物レンズ倍率1000倍でランダムに100ヶ所観察して、スクラッチの有無を確認した。その結果、スクラッチは確認されなかった。
[比較例1]
実施例1において、3Dプリンタのノズル内に金網を取り付けないこと以外は、実施例1と同様にして、厚み3mm、20cm角のシートを得た。得られたシート中に含まれるカルシウム及びケイ素原子の含有量を後述する方法を用いて分析した結果、カルシウム原子が34ppm(μg/g)含まれていた。ケイ素原子は定量下限値未満であった。
[比較例2]
実施例2において、3Dプリンタのノズル内に金網を取り付けないこと以外は、実施例2と同様にして、厚み2mm、40cm角のシートを得た。得られたシート中に含まれるカルシウム及びケイ素原子の含有量を後述する方法を用いて分析した結果、カルシウム原子は定量下限値未満であったが、ケイ素原子は82ppm(μg/g)含まれていた。
得られたシートを実施例2と同様に加工して研磨パッドを製造し、実施例2と同様にして研磨を行った。研磨したウェハについて株式会社キーエンス製レーザー顕微鏡「VKX-200」を用いて対物レンズ倍率1000倍でランダムに100ヶ所観察して、スクラッチの有無を確認したところ、複数のスクラッチが確認された。
<シート中のカルシウム及びケイ素原子の含有量>
実施例及び比較例で得られた各シートを裁断してから硝酸、硫酸を加えて加熱することで試料を分解した後、この分解液を用いて、ICP質量分析によりカルシウム原子の含有量を、また、フレームレス原子吸光法によりケイ素原子の含有量を測定した。なお、定量下限値(検出限界)は、カルシウムは1ppm(μg/g)、ケイ素は10ppm(μg/g)である。
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2のそれぞれの比較から分かるように、3Dプリンタでの造形時にノズルからの吐出前に、フィルターとして金網を通過させた実施例1及び2では、得られた造形物中に異物の混入が無い。また、実施例2と比較例2の比較から、3Dプリンタでフィルターを用いて造形したシートから得られた研磨層では、研磨時にスクラッチを引き起こす異物の混入が無いことが分かる。
前記造形物の製造方法を用いることで、3Dプリンタを用いる造形方法において、熱可塑性樹脂から造形される造形物中の異物の混入を効果的に防止することができる。そのため、特に、異物の混入防止が要求される造形物、例えば、半導体デバイスの製造時に用いる研磨パッド用の研磨層を造形する場合に好適に使用することができる。例えば、前記造形物の製造方法を用いて得られた研磨層を有する研磨パッドを用いることで、無機異物などの混入による研磨傷(スクラッチ)の発生を効果的に防止することができる。

Claims (8)

  1. 3Dプリンタを用いて、熱可塑性樹脂を溶融させてノズルから吐出し、固化させて、造形物を得る製造方法において、熱可塑性樹脂が3Dプリンタ内で溶融してから、ノズルから吐出するまでの間にフィルターを通過することを特長とする、造形物の製造方法。
  2. 前記フィルターが金属製のフィルターである、請求項1に記載の造形物の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂がポリウレタンである、請求項1又は2に記載の造形物の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂がペレット状の形態で3Dプリンタに供給される、請求項1~3のいずれか1項に記載の造形物の製造方法。
  5. ペレット状の熱可塑性樹脂とともに、露点温度が-30℃以下の乾燥窒素又は露点温度が-30℃以下の乾燥空気が3Dプリンタに供給される、請求項4に記載の造形物の製造方法。
  6. 前記造形物が、厚みが1.0~10mmのシートである、請求項1~5のいずれか1項に記載の造形物の製造方法。
  7. 前記造形物が、研磨パッド用の研磨層である、請求項1~6のいずれか1項に記載の造形物の製造方法。
  8. 請求項7に記載の造形物の製造方法を用いて得られた研磨層を有する、研磨パッド。
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