JP2023056413A - 改装建具 - Google Patents
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Abstract
【課題】既設枠の状態に影響されずに新設枠の施工性を向上できるとともに、断熱性能を向上できる改装建具を提供すること。【解決手段】建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具であって、四周を組んで構成された新設枠と、新設枠の外周に四周を組んで取り付けられた状態で既設枠の内周側に取り付けられるアタッチメント枠と、を備える。アタッチメント枠は、アタッチメント上枠、アタッチメント下枠及び一対のアタッチメント縦枠によって構成され、そのうちの少なくともアタッチメント上枠及びアタッチメント下枠は、それぞれ室外側枠部と室内側枠部とに見込方向に分割されているとともに、室外側枠部と室内側枠部との間を樹脂ブリッジ材によって連結することによって構成される。【選択図】図2
Description
本開示は、改装建具に関する。
従来、建物の開口部をリフォーム等で改装する方法として開口部に新たな建具を設置するカバー工法が採用されている。このカバー工法によって改装された改装建具では、建物の開口部に取り付けられた既設枠に対して、その内周側に新設枠が取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の改装建具においては、建物の開口部に取り付けられている既設枠の内周側に対して、新設枠を直接取り付けている。
特許文献1に記載の改装建具は、既設枠の内周側に新設枠を直接取り付けているため、新設枠の取り付け状態が、既設枠の歪み等の影響を受け易く、施工性を向上させる余地がある。さらに、改装建具においては、断熱性能を向上させることも求められる。そのため、従来の改装建具では、既設枠の状態に影響されずに新設枠を施工性良く取り付けるとともに、断熱性能を向上させる、という課題がある。
本開示は、既設枠の状態に影響されずに新設枠の施工性を向上できるとともに、断熱性能を向上できる改装建具を提供することを目的とする。
本開示は、建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具であって、四周を組んで構成された新設枠と、前記新設枠の外周に四周を組んで取り付けられた状態で前記既設枠の内周側に取り付けられるアタッチメント枠と、を備え、前記アタッチメント枠は、アタッチメント上枠、アタッチメント下枠及び一対のアタッチメント縦枠によって構成され、前記アタッチメント上枠、前記アタッチメント下枠及び前記一対のアタッチメント縦枠のうちの少なくとも前記アタッチメント上枠及び前記アタッチメント下枠は、それぞれ室外側枠部と室内側枠部とに見込方向に分割されているとともに、前記室外側枠部と前記室内側枠部との間を樹脂ブリッジ材によって連結することによって構成される、改装建具に関する。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。本実施形態に係る改装建具1は、建物100に固定されている既設枠6を建物100に取り付けたままの状態で、新たな部材を新設して形成するリフォーム用の改装建具1である。
本明細書において、「見付方向」とは、建物100の壁に形成された開口部に納められた改装建具1における障子10の面材の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。図面において、改装建具1の室外側を室外側X1とし、改装建具1の室内側を室内側X2とする。改装建具1の横方向を「左右方向」という。
本実施形態に係る改装建具1は、建物100の開口部に納められた引違い窓タイプの改装サッシである。改装建具1は、建物100の開口部に設けられた既設枠6に取り付けられる。
改装建具1は、図1~図7に示すように、新設枠2と、新設枠2の外周に取り付けられた状態で既設枠6の内側に取り付けられるアタッチメント枠3と、室内側化粧部材41,42,43(カバー部材)と、室外側化粧カバー51,52,53と、新設枠2内にスライド可能に納められる障子10、10と、を備える。既設枠6は、建物100の開口部に設けられている。新設枠2は、アタッチメント枠3が外周に取り付けられた状態で、既設枠6の内側に取り付けられる。アタッチメント枠3は、既設枠6と新設枠2との間に配置される。
まず、既設枠6の構成について説明する。既設枠6は、図2及び図3に示すように、建物100の開口部の内側に設けられ、矩形に組まれた枠状に形成されている。既設枠6は、既設上枠61と、既設下枠62と、左右の既設縦枠63と、を備える。
既設上枠61は、図2に示すように、建物100の開口部の上部側に取り付けられており、下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール611、612を有する。既設上枠61の室内側X2の部分は、建物100(躯体)に固定されている。
既設下枠62は、建物100の開口部の下部側に取り付けられており、上方に向けて立設される既設障子用のガイドレール621、622を有する。既設下枠62の室内側X2の部分は、建物100(躯体)に固定されている。
既設縦枠63は、図3に示すように、建物100の開口部の室外側X1の左右縦部側にそれぞれ取り付けられている。既設縦枠63の室内側X2の部分は、建物100(躯体)に固定されている。
新設枠2は、図8及び図9に示すように、アタッチメント枠3が外周に取り付けられた状態で、既設枠6に取り付けられる。新設枠2は、四周を組んで構成され、既設枠6の内周側にアタッチメント枠3を介して取り付けられる。
新設枠2は、新設上枠21と、新設下枠22と、左右の新設縦枠23と、を備える。新設枠2は、四周を組んだ状態において、新設上枠21、新設下枠22及び左右の新設縦枠23が組み合う部分でネジ固定されている。アタッチメント枠3は、アタッチメント上枠31と、アタッチメント下枠32と、左右のアタッチメント縦枠33と、を備える。
新設上枠21は、アタッチメント枠3が外周に取り付けられた新設枠2が既設枠6に取り付けられた状態において、図2に示すように、アタッチメント上枠31を間に挟んで、既設上枠61の内周側(下面側)に取り付けられる。新設上枠21は、例えば、金属材料や樹脂材料により形成され、下方に向けて立設される障子10,10の上部側のガイドレール211、212を有する。新設上枠21の室内側X2には、樹脂アングル部材213が設けられる。樹脂アングル部材213は、額縁部材101との間に間隔を有して配置される。
新設上枠21は、室外側枠部21Aと室内側枠部21Bとに見込み方向に2分割され、室外側枠部21Aと室内側枠部21Bとの間が、樹脂ブリッジ材214によって一体に連結された構造を有する。樹脂ブリッジ材214によって、新設上枠21における室内外方向の熱の伝達が遮断される。そのため、新設上枠21は、断熱性に優れる。
新設下枠22は、アタッチメント枠3が外周に取り付けられた新設枠2が既設枠6に取り付けられた状態において、図2に示すように、アタッチメント下枠32を間に挟んで、既設下枠62の内周側に取り付けられる。新設下枠22は、例えば、金属材料や樹脂材料により形成され、上方に向けて立設される障子10,10の下部側のガイドレール221,222を有する。新設下枠22の室内側X2には、樹脂アングル部材223が設けられる。樹脂アングル部材223は、額縁部材101との間に間隔を有して配置される。
新設下枠22は、室外側枠部22Aと室内側枠部22Bとに見込み方向に2分割され、室外側枠部22Aと室内側枠部22Bとの間が、樹脂ブリッジ材224によって一体に連結された構造を有する。樹脂ブリッジ材224によって、新設下枠22における室内外方向の熱の伝達が遮断される。そのため、新設下枠22は、断熱性に優れる。
新設縦枠23は、アタッチメント枠3が外周に取り付けられた新設枠2が既設枠6に取り付けられた状態において、図3に示すように、アタッチメント縦枠33を間に挟んで、既設縦枠63の内周側に取り付けられる。新設縦枠23は、例えば、金属材料や樹脂材料により形成される。新設縦枠23の室内側X2には、樹脂アングル部材233が設けられる。樹脂アングル部材233は、額縁部材101との間に間隔を有して配置される。
以上の新設枠2(新設上枠21、新設下枠22及び左右の新設縦枠23)は、アタッチメント枠3(アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び左右のアタッチメント縦枠33)が外周において四周を組んで設けられた状態で、既設枠6(既設上枠61、既設下枠62及び左右の既設縦枠63)の内周側に取り付けられる。
アタッチメント枠3は、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられる。アタッチメント枠3は、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられた状態で、既設枠6の内周側に取り付けられる。
アタッチメント枠3は、図8及び図9に示すように、アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び一対のアタッチメント縦枠33が四周に配置されて矩形に組んで構成される。アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び左右のアタッチメント縦枠33は、それぞれ、例えば、アルミニウム材料で形成される。
アタッチメント上枠31は、アタッチメント枠3の上部に配置され、左右方向(横方向)に延びる。アタッチメント下枠32は、アタッチメント枠3の下部側に配置され、左右方向(横方向)に延びる。アタッチメント縦枠33は、アタッチメント枠3の左右方向の端部側に配置され、上下方向に延びる。
アタッチメント枠3は、図8及び図9に示すように、アタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32の長手方向の端部の外側に、アタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32の長手方向の端部を覆うように、アタッチメント縦枠33の長手方向の端部が配置される、いわゆる縦勝ち構造により構成される。
アタッチメント枠3は、既設枠6の内周側に取り付けられた状態においては、新設枠2と既設枠6との間に配置される。アタッチメント上枠31は、図10に示すように、新設上枠21の上面に載置された後、図2及び図15に示すように、アタッチメント上枠31から新設上枠21に亘って貫通する固定ネジ31a、及び新設上枠21からアタッチメント上枠31に亘って貫通する固定ネジ31bによって、新設上枠21に固定される。アタッチメント下枠32は、図11に示すように、新設下枠22に引っ掛けた状態で取り付けられた後、図2に示すように、アタッチメント下枠32から新設下枠22に亘って貫通する固定ネジ32a,32bによって、新設下枠22に固定される。アタッチメント縦枠33は、図12及び図13に示すように、新設縦枠23に引っ掛けた状態で取り付けられる。
アタッチメント枠3は、アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び一対のアタッチメント縦枠33が、新設枠2の外周に取り付けられた状態で、アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び一対のアタッチメント縦枠33において、いずれか2つの枠の組み付け部分において、互いにネジ固定される。具体的には、ネジにより、一対のアタッチメント縦枠33それぞれの上端部及び下端部をアタッチメント上枠31の長手方向の両端部にそれぞれ固定するとともに、ネジにより、一対のアタッチメント縦枠33のそれぞれの上端部及び下端部をアタッチメント下枠32の長手方向の両端部にそれぞれ固定する。
アタッチメント上枠31は、図2及び図10に示すように、室外側枠部31Aと室内側枠部31Bとに見込方向に2分割され、室外側枠部31Aと室内側枠部31Bとの間が、樹脂ブリッジ材311によって一体に連結された構造を有する。樹脂ブリッジ材311によって、アタッチメント上枠31を介した室内外方向の熱の伝達が遮断される。そのため、アタッチメント上枠31は、断熱性に優れる。
図2、図10及び図15に示すように、アタッチメント上枠31の室外側枠部31Aは、室外側上方向延在板部312(見付方向延在板部)と、室内外方向延在部313と、第1中空部314と、ネジ固定部315と、L字状引っ掛け片316aと、室外側下方当接片316bと、を有する。アタッチメント上枠31の室内側枠部31Bは、第2中空部317と、室内側水平延出板318と、を有する。第1中空部314の上面314aと第2中空部317の上面317aとは同一高さに配置され、平坦な同一平面を形成する。
室外側上方向延在板部312は、室内外方向延在部313の室外側X1の端部から上方に延出する板状に形成される。室外側上方向延在板部312は、室外側X1に配置され、上方向(見付方向の上方向)に延びる。室外側上方向延在板部312の室外側X1の面の下方側には、上下に離れて配置される一対の係合突起312aが形成される。一対の係合突起312aには、室外側化粧カバー51の一対の係合突起51aが係合して取り付けられる。
室内外方向延在部313は、室外側上方向延在板部312の下端部から室内側X2に向けて延びている。室内外方向延在部313は、室外側X1から雨等の水が浸入した際の水溜部として機能する。第1中空部314は、室外側枠部310Aの最も室内側X2に配置される。図10及び図15に示すように、第1中空部314の上面314aは、室内外方向延在部313よりも上方に配置される。ネジ固定部315は、室内外方向延在部313と第1中空部314との間に配置される。ネジ固定部315は、アタッチメント上枠31を新設上枠21の外周側に固定するための固定ネジ31aを、アタッチメント上枠31の上方から新設上枠21に向けて貫通させる土台となる部位であり、アタッチメント上枠31の長手方向に沿って延びている。
ネジ固定部315は、第1中空部314の上面314aよりも下方に配置されるが、室内外方向延在部313の底面よりも上方に配置される。そのため、仮に、室外側X1から室内外方向延在部313上に水が浸入しても、水は、底面がネジ固定部315よりも下位に配置される室内外方向延在部313上に留まり、ネジ固定部315上には浸入しない。これによって、ネジ固定部315を貫通する固定ネジ31aを伝って、アタッチメント上枠31から新設上枠21側に漏水するおそれはなく、アタッチメント上枠31の防水性が向上する。室内外方向延在部313上の水は、室内外方向延在部313の端部からアタッチメント縦枠33の内部に排水される。
L字状引っ掛け片316aは、室内外方向延在部313の下面に配置され、新設上枠21に向けて下方に突出するとともに室内側X2に向けてL字状に屈曲した形状を有する。L字状引っ掛け片316aは、新設上枠21を引っ掛けて取り付ける場合の取付部となる部位である。このL字状引っ掛け片316aを利用した新設上枠21の取付け構造については後段で説明する。
室外側下方当接片316bは、L字状引っ掛け片316aの下端部に一体に設けられ、室外側X1に向けて突出している。室外側下方当接片316bは、見込方向に所定の幅を有する板状に形成され、新設上枠21の室外側の上面21aの傾斜に沿って、室外側に向けて僅かに下り傾斜している。室外側下方当接片316bは、新設上枠21の上面21aとの間に、樹脂あるいはゴム等からなるパッキン部材319aを介して、新設上枠21の上面21aに載置される。アタッチメント上枠31は、室外側下方当接片316bが新設上枠21の上面21aに載置された状態で、ネジ固定部315を貫通する固定ネジ31aと、新設上枠21から第2中空部317に向けて貫通する固定ネジ31bとによって、新設上枠21に固定される。室外側下方当接片316bは、見込方向に所定の幅を有する板状に形成されるため、アタッチメント上枠31の室外側X1を新設上枠21の室外側X1の上面21aに安定して取り付けることができる。
アタッチメント上枠31の樹脂ブリッジ材311は、図14及び図15に示すように、アタッチメント上枠31の第1中空部314と第2中空部317との互いに対向する側面314b,317bに亘って設けられる。具体的には、側面314b,317bには、それぞれアタッチメント上枠31の長手方向に延びる複数の溝部314c,317cが、上下方向に平行に設けられている。樹脂ブリッジ材311は、それぞれ室外側枠部31A、室内側枠部31Bの長手方向に沿う複数の長尺の帯板状ブリッジ部311a,311bによって構成される。帯板状ブリッジ部311a,311bの幅方向の両端部が、それぞれ溝部314c,317cに亘って嵌合することによって、室外側枠部31Aと室内側枠部31Bとが一体に連結される。
樹脂ブリッジ材311が複数の帯板状ブリッジ部によって構成されることによって、アタッチメント上枠31の室外側枠部31A及び室内側枠部31Bの上下方向の厚みに応じて、帯板状ブリッジ部の数、間隔、厚みを適宜調整することが可能である。すなわち、同一形状の帯板状ブリッジ部の数、間隔、厚みを適宜調整することによって、異なる厚みのアタッチメント上枠にも容易に対応することができる。
アタッチメント上枠31における樹脂ブリッジ材311の下面側には、室外側枠部31Aと室内側枠部31Bとに亘って、樹脂あるいはゴム等からなるパッキン部材319bが配置され、新設上枠21を介して室外側枠部31Aと室内側枠部31Bとが熱的に接続されることを防止している。さらに、図10に示すように、アタッチメント上枠31が新設上枠21に重ねられた状態において、アタッチメント上枠31の室外側枠部31Aは、新設上枠21の室外側枠部21Aに重ねられ、アタッチメント上枠31の室内側枠部31Bは、新設上枠21の室内側枠部21Bに重ねられる。そのため、新設上枠21及びアタッチメント上枠31の互いの室外側枠部21A,31A及び室内側枠部21B,31Bを介して室内外方向に熱が伝達されることがない。
アタッチメント上枠31の室外側枠部31Aと室内側枠部31Bとの上面は、第1中空部314の上面314aと第2中空部317の上面317aとによって形成される。これら上面314a,317aは同一高さの平坦面を構成する。本実施形態においては、アタッチメント上枠31の外周側は、図10に示すように、室内側X2から室外側X1に向かって、第1中空部314の上面314a及び第2中空部317の上面317aの上部側の空間から室外側上方向延在板部312の手前の空間までと、室外側上方向延在板部312の手前の空間から上方側に向かう空間とにより、仮想線(二点鎖線)で示すように、L字状空間S1が形成される。L字状空間S1は、アタッチメント上枠31の外周側において、室外側上方向延在板部312の室内側X2の面及び第1中空部314の上面314a、第2中空部317の上面317aに沿って形成される。
これにより、L字状空間S1の中に既設上枠61を収めることができるため、新設枠2を取り付けたアタッチメント枠3を既設枠6に容易に取り付けることができる。特に、本実施形態においては、第1中空部314の上面314a及び第2中空部317の上面317aがアタッチメント上枠31の室内外方向に沿って形成されるため、様々な形状の既設枠6に対応して、取り付ける際の邪魔にならないように、新設上枠21を取り付けたアタッチメント上枠31を既設上枠61に取り付けることができる。
室内側水平延出板318は、アタッチメント上枠31の最も室内側X2の端部に配置される。室内側水平延出板318は、第2中空部317の上面317aの室内側X2の端部から室内側X2に向けて水平方向に延出する。室内側水平延出板318は、第2中空部317の上面317aと同一面上に配置され、アタッチメント上枠31の長手方向の全域に亘って平面状に形成される。
室内側水平延出板318は、図2に示すように、アタッチメント枠3を建物100(躯体)に固定する場合に、取付ネジ34が貫通して配置される。これにより、室内側水平延出板318は、取付ネジ34によって建物100(躯体)に固定される。室内側水平延出板318と額縁部材101との間に隙間が形成される場合には、スペーサ部材341が配置される。スペーサ部材341は、複数枚のシートにより構成され、室内側水平延出板318と額縁部材101との間の隙間の大きさに応じて、隙間を埋めるためのシートの厚みが設定される。
アタッチメント下枠32は、図2及び図10に示すように、室外側枠部32Aと室内側枠部32Bとに見込方向に2分割され、室外側枠部32Aと室内側枠部32Bとの間が、樹脂ブリッジ材321によって一体に連結された構造を有する。樹脂ブリッジ材321によって、アタッチメント下枠32を介した室内外方向の熱の伝達が遮断され、断熱性能が向上する。
図2及び図11に示すように、アタッチメント下枠32の室外側枠部32Aは、室外側下方向延在板部322(見付方向延在板部)と、室内外方向延在部323と、室内側上方向延在板部324と、を有する。アタッチメント下枠32の室内側枠部32Bは、中空部325と、L字状引っ掛け片326と、室内側上方向延出板327と、室内側水平延出板328と、を有する。
室外側下方向延在板部322は、室内外方向延在部323の室外側X1の端部から下方に延出する板状に形成される。室外側下方向延在板部322は、室外側X1に配置され、下方向(見付方向の下方向)に延びる。室外側下方向延在板部322の室外側X1の面の上方側には、上下に離れて配置される一対の係合突起322aが形成される。一対の係合突起322aには、室外側化粧カバー52の一対の係合突起52aが係合して取り付けられる。
室内外方向延在部323は、室外側下方向延在板部322の下端部から室内側X2に向けて延びている。室内外方向延在部323は、アタッチメント下枠32を新設下枠22の外周側に固定するための固定ネジ32aを、アタッチメント下枠32の下方から新設下枠22に向けて貫通させる部位であり、アタッチメント下枠32の長手方向に沿って延びている。室内側上方向延在板部324は、室内外方向延在部323の室内側X2の端部から上方向に延び、室内側X2側に配置される室内側枠部32Bの中空部325の室外側X1の側面325aに対向している。
アタッチメント下枠32の樹脂ブリッジ材321は、図18に示すように、室外側枠部32Aの室内側上方向延在板部324と室内側枠部32Bの中空部325の室外側X1の側面325aとに亘って設けられる。具体的には、室内側上方向延在板部324の室内側X2の側面324aと中空部325の室外側X1の側面325aとには、それぞれアタッチメント下枠32の長手方向に延びる複数の溝部324b,325bが、上下方向に平行に設けられている。樹脂ブリッジ材321は、それぞれ室外側枠部32A、室内側枠部32Bの長手方向に沿う複数の長尺の帯板状ブリッジ部321a,321bによって構成される。帯板状ブリッジ部321a,321bの幅方向の両端部が、それぞれ溝部324b,325bに亘って嵌合することによって、室外側枠部32Aと室内側枠部32Bとが一体に連結される。
樹脂ブリッジ材321が複数の帯板状ブリッジ部によって構成されることによって、アタッチメント下枠32の室外側枠部32A及び室内側枠部32Bの上下方向の厚みに応じて、帯板状ブリッジ部の数、間隔、厚みを適宜調整することが可能である。すなわち、同一形状の帯板状ブリッジ部の数、間隔、厚みを適宜調整することによって、異なる厚みのアタッチメント下枠にも容易に対応することができる。
アタッチメント下枠32における樹脂ブリッジ材321の上面側には、室外側枠部32Aと室内側枠部32Bとに亘って、樹脂あるいはゴム等からなるパッキン部材329が配置され、新設下枠22を介して室外側枠部32Aと室内側枠部32Bとが熱的に接続されることを防止している。さらに、図11に示すように、アタッチメント下枠32が新設下枠22に重ねられた状態において、アタッチメント下枠32の室外側枠部32Aは、新設下枠22の室外側枠部22Aに重ねられ、アタッチメント下枠32の室内側枠部32Bは、新設下枠22の室内側枠部22Bに重ねられる。そのため、新設下枠22及びアタッチメント下枠32の互いの室外側枠部22A,32A及び室内側枠部22B,32Bを介して室内外方向に熱が伝達されることがない。
アタッチメント下枠32の下面は、新設枠2を取り付けたアタッチメント枠3を既設枠6の内周側に取り付ける場合に、既設枠6の内周側に当たらないように平面状に形成される。本実施形態においては、アタッチメント下枠32の外周側は、図11に示すように、室内側X2から室外側X1に向かって、室外側下方向延在板部322の手前の空間までと、室外側下方向延在板部322の手前の空間から下方側に向かう空間とによって、仮想線(二点鎖線)で示すように、L字状空間S2が形成される。L字状空間S2は、アタッチメント下枠32の外周側において、室外側下方向延在板部322の室内側X2の面及びアタッチメント下枠32の下面に沿って形成される。
これにより、L字状空間S2の中に既設下枠62を収めることができるため、新設枠2を取り付けたアタッチメント枠3を既設枠6に容易に取り付けることができる。特に、本実施形態においては、図2に示すように、アタッチメント下枠32の下面がアタッチメント下枠32の室内外方向に沿って形成されるため、様々な形状の既設枠6に対応して、取り付ける際の邪魔にならないように、新設下枠22を取り付けたアタッチメント下枠32を既設下枠62に取り付けることができる。新設枠2を取り付けたアタッチメント枠3を既設枠6に取り付ける場合には、下端側が上端側よりも既設枠6側に位置するように傾けた状態で取り付けるため、既設下枠62がL字状空間S2に入ってから、アタッチメント枠3の全体を既設枠6に取り付ける。そのため、既設下枠62の中にL字状空間S2を収めることで、新設枠2を取り付けたアタッチメント枠3を既設枠6に容易に取り付けることができる。
L字状引っ掛け片326は、室内外方向延在部323の上面に配置され、新設下枠22に向けて上方に突出するとともに室外側X1に向けてL字状に屈曲した形状を有する。L字状引っ掛け片326は、図11に示すように、新設下枠22を取り付ける際に、新設下枠22の室外側X1に下方に突出する引っ掛け片225に引っ掛けることによって、室外側X1において新設下枠22に係合する。この状態で、アタッチメント下枠32の室外側X1は、図2に示すように、新設下枠22から室内外方向延在部323を貫通する固定ネジ32aによって固定される。
室内側上方向延出板327は、アタッチメント下枠32の最も室内側X2の端部に配置される。室内側上方向延出板327は、中空部325の上面の室内側X2の端部から上方に向けて延出し、アタッチメント下枠32の長手方向の全域に亘って平面状に形成される。室内側上方向延出板327は、図2及び図11に示すように、アタッチメント下枠32が新設下枠22に取り付けられた状態において、新設下枠22の室内側X2の端部から下方に延出する室内側下方向延出板226の室内側X2の側面に当接する。この状態で、アタッチメント下枠32の室内側X2は、図2に示すように、アタッチメント下枠32の室内側上方向延出板327から新設下枠22の室内側下方向延出板226を、室内側X2から室外側X1に向けて横方向に貫通する固定ネジ32bによって固定される。
室内側水平延出板328は、アタッチメント下枠32の最も室内側X2の端部に配置される。室内側水平延出板328は、中空部325の下面の室内側X2の端部から室内側X2に向けて水平方向に延出し、アタッチメント下枠32の長手方向の全域に亘って平面状に形成される。室内側水平延出板328は、図2に示すように、アタッチメント枠3を建物100(躯体)に固定する場合に、取付ネジ35が貫通して配置される。これにより、室内側水平延出板328は、取付ネジ35によって建物100(躯体)に固定される。
アタッチメント縦枠33は、アタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32の長手方向の端部の外側にアタッチメント縦枠33の長手方向の端部が配置される、いわゆる縦勝ち構造で配置される。アタッチメント縦枠33は、図3、図12及び図13に示すように、中空部331と、室外側左右方向延在板部332(見付方向延在板部)と、室内側室内方向延出部333(延出板)と、室内側側方延出部334と、引っ掛け片335と、を有する。
アタッチメント縦枠33の中空部331は、室内外方向に延びる細長い長方形の中空状に形成される。中空部331の左右方向の外側の面には、外周側平面331aが形成される。外周側平面331aは、アタッチメント縦枠33におけるアタッチメント枠3の外周側に形成される。外周側平面331aは、既設縦枠63に対向するとともに、室内外方向及び上下方向に延びる平面状に形成される。外周側平面331aは、アタッチメント縦枠33の長手方向の全域に亘って形成されるとともに、左右方向の外側を向いて形成されている。
外周側平面331aは、新設枠2を取り付けたアタッチメント枠3を既設枠6の内周側に取り付ける場合に、既設枠6の内周側に当たらないように平面状に形成される。本実施形態においては、アタッチメント縦枠33の外周側は、図12及び図13に示すように、室内側X2から室外側X1に向かって、外周側平面331aの左右方向の外側の空間と室外側左右方向延在板部332の室内側の空間とにより、仮想線(二点鎖線)で示すように、L字状空間S3が形成される。L字状空間S3は、アタッチメント縦枠33の外周側において、室外側左右方向延在板部332の室内側X2の面及び外周側平面331aに沿って形成される。
これにより、L字状空間S3の中に既設縦枠63を収めることができるため、新設枠2を取り付けたアタッチメント枠3を既設枠6に容易に取り付けることができる。特に、本実施形態においては、図3に示すように、外周側平面331aがアタッチメント縦枠33の室内外方向に沿って形成されるため、様々な形状の既設枠6に対応して、取り付ける際の邪魔にならないように、新設縦枠23を取り付けたアタッチメント縦枠33を既設縦枠63に取り付けることができる。
室内側室内方向延出部333は、図3に示すように、中空部331の左右方向の外側の端部であって室内側X2の端部から室内側X2に向けて延出する。室内側平面333aは、アタッチメント縦枠33の長手方向の全域に亘って平面状に形成される。
室内側室内方向延出部333は、アタッチメント枠3を建物100(躯体)に固定する場合に、取付ネジ36が貫通して配置される。これにより、室内側室内方向延出部333は、取付ネジ36により、建物100(躯体)に固定される。室内側室内方向延出部333と額縁部材101との間に隙間が形成される場合には、スペーサ部材361が配置される。スペーサ部材361は、複数のシートにより構成され、室内側室内方向延出部333と額縁部材101との間の隙間の大きさに応じて、隙間を埋めるためのシートの厚みが設定される。
中空部331の室外側X1の面には、左右に離れて配置される一対の係合突起331bが形成される。一対の係合突起331bには、室外側化粧カバー53の一対の係合突起53aが係合して取り付けられる。
室外側左右方向延在板部332は、中空部331の室外側X1の端部から左右方向の外側に延出する板状に形成される。室外側左右方向延在板部332は、室外側X1に配置され、左右方向(見付方向)に延びる。室内側側方延出部334は、中空部331の室内側X2の端部から左右方向の内側に延出する。
引っ掛け片335は、中空部331の室外側X1の左右方向の内側の端部から室外側X1に向けて突出する。引っ掛け片335は、アタッチメント縦枠33を新設縦枠23に取り付ける場合に、図12及び図13に示すように、新設縦枠23の室外側X1の端部に設けられる引っ掛け片231に引っ掛けられる。なお、アタッチメント縦枠33を新設縦枠23に固定する構造としては、引っ掛ける構造ではなく、ネジ固定等で締結する構造としてもよい。
室内側化粧部材41,42,43は、図2及び図3に示すように、新設枠2の樹脂アングル部材213,223,233に、それぞれ取り付けられるカバー部材である。室内側化粧部材41,42,43は、新設枠2及びアタッチメント枠3によって形成される最も室内側X2に面する室内側面f1,f2,f3を覆う。室内側化粧部材41,42,43と額縁部材101の内周面との境目は、額縁部材101に固定される断面がL字の見切り材45によって遮蔽されている。
室内側化粧部材41,42,43は、カバー本体46と、カバー取付部47と、を有する。室内側化粧部材41,42,43は、それぞれ、カバー取付部47が、新設枠2の樹脂アングル部材213,223,233にそれぞれに取り付けられる。樹脂アングル部材213,223,233に取り付けられた状態のカバー本体46は、新設枠2及びアタッチメント枠3の室内側面f1,f2,f3との間に、所定の空間部S11,S12,S13を有する。空間部S11,S12,S13は、それぞれ室内側化粧部材41,42,43の長手方向に沿って延在する。
カバー本体46と室内側面f1,f2,f3との間の空間部S11,S12,S13には、第1の断熱材46aがそれぞれ収容される。第1の断熱材46aは、樹脂、具体的には押出法ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレン、ウレタン樹脂、あるいはゴムからなり、空間部S11,S12,S13の長手方向の全域に亘って収容される。空間部S11,S12,S13に第1の断熱材46aが収容されることによって、改装建具1の室外側X1から室内側X2への熱の伝達が抑制され、改装建具1の断熱性能が向上する。
室内側化粧部材41,42,43のカバー本体46は、それぞれカバー本体46の長手方向に延在するカバー本体中空部461を有する。カバー本体中空部461は、断面矩形状に形成され、室内側化粧部材41,42,43のそれぞれ内周側且つ室内側X2の角部に配置される。カバー本体中空部461は、それぞれ室内側化粧部材41,42,43の長手方向に沿って延在する。
カバー本体中空部461の内部には、第2の断熱材46bがそれぞれ充填される。第2の断熱材46bは、例えば、樹脂、具体的には押出法ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレン、ウレタン樹脂、あるいはゴムからなり、カバー本体中空部461の長手方向の全域に亘って充填される。カバー本体中空部461に第2の断熱材46bが充填されることによって、改装建具1の室外側X1から室内側X2への熱の伝達がさらに抑制され、改装建具1の断熱性能がさらに向上する。室内側化粧部材41,42,43のカバー本体46には、第1の断熱材46aだけが設けられていてもよいし、第2の断熱材46bだけが設けられていてもよい。
本実施形態の改装建具1の施工方法において、第1の断熱材46aは、室内側化粧部材41,42,43を取り付ける前に、新設枠2及びアタッチメント枠3の室内側面f1,f2,f3に沿うように配置される。第2の断熱材46bは、室内側化粧部材41,42,43の製造工場等において、カバー本体中空部461の内部に予め充填される。室内側化粧部材41,42,43は、第1の断熱材46aが空間部S11,S12,S13に配置された後、改装建具1の室内側X2から新設枠2の樹脂アングル部材213,223,233に装着され、それぞれネジ48によって取り付けられる。これによって、改装建具1の室内側X2に断熱機能をさらに付加することができ、改装建具1の断熱性能を容易に向上させることができる。
次に、アタッチメント上枠31を新設上枠に引っ掛けて取り付ける場合について説明する。図16及び図17に示す新設上枠20は、装飾窓用の新設上枠を示す。この新設上枠20は、室外側X1に、アタッチメント上枠31のL字状引っ掛け片316aに対して係合可能な引っ掛け片215を有する。引っ掛け片215は、室外側X1に向けて突出している。
引っ掛け片215を有する新設上枠20にアタッチメント上枠31を取り付ける場合、室外側X1において、新設上枠20の引っ掛け片215にアタッチメント上枠31のL字状引っ掛け片316aを引っ掛けて取り付ける。即ち、引っ掛け片を有しない新設上枠21の場合では、アタッチメント上枠31は、L字状引っ掛け片316aの下端部に設けられる室外側下方当接片316bを新設上枠21の室外側X1の上面21aに載置させて取り付ける。引っ掛け片215を有する新設上枠20の場合では、アタッチメント上枠31は、L字状引っ掛け片316aを新設上枠20の引っ掛け片215室外側X1の上面21aに載置させて取り付ける。
このように、本実施形態のアタッチメント上枠31は、新設上枠が引っ掛け片を有しないタイプ及び引っ掛け片を有するタイプのいずれの場合にも共通に使用することができ、いずれの新設上枠に対しても同等の取り付け強度を確保することができる。室外側下方当接片316bは、L字状引っ掛け片316aの下端部に一体に設けられるため、アタッチメント上枠31の構造を簡素化することができる。
図2に示すように、新設枠2の外周側に取り付けられたアタッチメント枠3におけるアタッチメント下枠32と既設下枠62との間には、新設枠2及びアタッチメント枠3の荷重を受けるための補強部材7が設けられる。補強部材7は、例えば、硬質樹脂、セラミックス、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)、金属等の耐荷重性を有する材料によって形成され、見込方向に所定の幅を有する板状に形成される。補強部材7は、アタッチメント下枠32の長手方向に沿って延びる長尺部材であってもよいし、アタッチメント下枠32の長手方向に間隔をおいて複数配置される短尺部材であってもよい。
本実施形態のアタッチメント下枠32の下面には、図11に示すように、既設下枠62に面する室外側枠部32Aから室内側枠部32Bの中途部にかけて、平坦面320a,320bが形成される。室内側枠部32B側の平坦面320bの室内側X2の端部には、下方に向けて屈曲した段部320cが形成される。室外側枠部32Aの下面には、室内側X2に向けてL字状に屈曲した係合片320dが設けられる。室内側枠部32Bの段部320cの下端には、室外側X1に向けて延びる係合片320eが設けられる。補強部材7は、平坦面320a,320b及び係合片320d,320eによって囲まれるスペースに配置され、係合片320d,320eに係合している。これによって、補強部材7は、アタッチメント下枠32の外周面側に配置される。
図2に示すように、補強部材7の室外側X1の端部は、室外側枠部32Aの平坦面320aと、既設下枠62のガイドレール622との間に配置される。ガイドレール622は、室外側枠部32Aの下方に配置され、既設下枠62から上方に向けて突出する突出片である。補強部材7の室内側X2の端部は、室内側枠部32Bの平坦面320bと、額縁部材101との間に配置される。これによって、特にアタッチメント下枠32に掛かる新設枠2及びアタッチメント枠3の全体の荷重を、補強部材7によって下から支持することができる。さらに、本実施形態の補強部材7は、室外側X1において既設下枠62のガイドレール622上に載置され、室内側X2において額縁部材101上に載置されるため、新設枠2及びアタッチメント枠3の全体の荷重を安定して支持することができる。
補強部材7は、アタッチメント下枠32において樹脂ブリッジ材321を介して連結される室外側枠部32Aと室内側枠部32Bとに亘って、樹脂ブリッジ材321の下方を覆うように配置されるため、上からの荷重に対して比較的脆弱な樹脂ブリッジ材321の部位を補強することができる。しかも、補強部材7が熱伝導性の低い非金属材料によって形成される場合には、補強部材7を介して、室外側枠部32Aと室内側枠部32Bとの間で熱が伝達されるおそれはない。補強部材7が金属材料を含む場合は、図18に示すように、少なくともアタッチメント下枠32に当接する上面側に、樹脂あるいはゴム等の熱伝導性の低い非金属材料からなる断熱層71を設けることが望ましい。
補強部材7は、アタッチメント下枠32の補強部材収容スペースS30に収容された状態で、図2に示すように、室内側枠部32Bの平坦面320bに対してネジ7aによって固定される。補強部材7は、新設下枠22に取り付ける前のアタッチメント下枠32に予め取り付けておくことができるため、改装建具1を組み付ける際の作業性が向上する。但し、本実施形態のアタッチメント下枠32は、係合片320d,320eに補強部材7を係合させているため、必ずしも補強部材7をネジ7aによって固定しなくてもよい。補強部材7は、アタッチメント下枠32に対して両面テープ等によって接着されてもよい。
図2、図11及び図18に示すように、新設下枠22の室外側枠部22Aの下面側には、室外側X1から室内側X2に向けて下り傾斜する傾斜面227を有する。傾斜面227は、新設下枠22の室外側枠部22Aに設けられる第1中空部228の下面且つ室内側X2に配置され、室内側X2に向けて下り傾斜する突出片によって形成される。
この新設下枠22の傾斜面227の下方に対応するアタッチメント下枠32の室内外方向延在部323の上面には、スペーサ部材8が設けられる。スペーサ部材8は、例えば、樹脂材料によってブロック状に形成され、アタッチメント下枠32が新設下枠22に取り付けられた際に、傾斜面227に当接するとともに傾斜面227の傾斜に沿って室内側X2に向けて下り傾斜した上面81を有する。スペーサ部材8は、アタッチメント下枠32の長手方向に沿って延びる長尺部材であってもよいし、アタッチメント下枠32の長手方向に沿って間隔を置いて複数配置される短尺部材であってもよい。
スペーサ部材8は、図18に示すように、室外側X1の端部に下方に向けて突出する突起部82を有する。突起部82は、アタッチメント下枠32の室外側枠部32Aの室内外方向延在部323の上面に設けられる溝部323aに挿入されて係合し、室内外方向延在部323に取り付けられる。これによって、スペーサ部材8は、新設下枠22に取り付ける前のアタッチメント下枠32に予め取り付けておくことができるため、改装建具1を組み付ける際の作業性が向上する。本実施形態の溝部323aは、アタッチメント下枠32の長手方向に沿って延びるタッピングホールによって形成されている。
アタッチメント下枠32が新設下枠22の外周面側に取り付けられると、図18に示すように、新設下枠22の傾斜面227が、アタッチメント下枠32のスペーサ部材8の上面81に当接して載置される。このとき、スペーサ部材8に向かう荷重F1は、新設下枠22の傾斜面227とスペーサ部材8の上面81との当接によって室内側X2に向かう。そのため、アタッチメント下枠32は、新設枠2の荷重を可及的に室内側X2で受け止めることができる。
図2に示すように、新設下枠22の室内側下方向延出板226に、アタッチメント下枠32の室内側上方向延出板327を貫通する固定ネジ32bが、室内側X2から室外側X1に向けてねじ込まれる際、新設下枠22に対して、図18に示すように、室内側X2から室外側X1に向かう力F2が作用し、新設下枠22が室外側X1に移動しようとする。このとき、新設下枠22の傾斜面227とスペーサ部材8の上面81とは、室内側X2から室外側X1に向けて上り傾斜となるため、新設下枠22が室外側X1に移動することを効果的に抑止することができる。
スペーサ部材8は、図2及び図18に示すように、補強部材7の上方に配置されている。これによれば、スペーサ部材8を介してアタッチメント下枠32に掛かる荷重F1を、アタッチメント下枠32の下面側で補強部材7によって安定的に支持することができる。しかも、本実施形態の補強部材7は、既設下枠62のガイドレール622上に載置され、スペーサ部材8は、このガイドレール622の真上に配置される。そのため、スペーサ部材8を介してアタッチメント下枠32に掛かる荷重F1を、補強部材7によってより一層安定的に支持することができる。
本実施形態に係る改装建具1によれば、以下の効果を奏する。即ち、建物100の開口部に設けられた既設枠6に取り付けられる改装建具1であって、四周を組んで構成された新設枠2と、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられた状態で既設枠6の内周側に取り付けられるアタッチメント枠3と、を備える。アタッチメント枠3は、アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び一対のアタッチメント縦枠33によって構成される。アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び一対のアタッチメント縦枠33のうちの少なくともアタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32は、それぞれ室外側枠部31A,32Aと室内側枠部31B,32Bとに見込方向に分割されているとともに、室外側枠部31A,32Aと室内側枠部31B,32Bとの間を樹脂ブリッジ材311,321によって連結することによって構成される。これによれば、新設枠2の外周に取り付けられるアタッチメント枠3によって、既設枠6の状態に影響されずに新設枠2を取り付けることができるため、新設枠2の施工性を向上することができる。しかも、少なくともアタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32は、室外側枠部31A,32Aと室内側枠部31B,32Bとの間を樹脂ブリッジ材311,321によって連結することによって構成されるため、アタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32を介して室内外方向の熱の伝達が遮断され、改装建具1の断熱性能を向上することができる。
本実施形態において、室外側枠部31A,32A及び室内側枠部31B,32Bは、互いに対向して配置される側面324a,325aをそれぞれ有し、樹脂ブリッジ材311,321は、室外側枠部31A,32A及び室内側枠部31B,32Bの長手方向に沿って延びる帯板状ブリッジ部311a,311b、321a,321bが、側面324a,325a間に亘って、室外側枠部31A,32A及び室内側枠部31B,32Bの厚み方向に複数設けられることによって構成される。これによれば、アタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32の上下方向の厚みに応じて、帯板状ブリッジ部311a,311b、321a,321bの数を適宜調整することが可能であり、異なる厚みのアタッチメント上枠及びアタッチメント下枠にも容易に対応することができる。
本実施形態において、室外側枠部31A,32A及び室内側枠部31B,32Bの少なくともいずれか一方は、中空部を有する。具体的には、アタッチメント上枠31において、室外側枠部31Aは第1中空部314を有し、室内側枠部31Bは第2中空部317を有する。アタッチメント下枠32の室内側枠部32Bは中空部325を有する。これによれば、アタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32は、樹脂ブリッジ材311,321による断熱効果に加えて、中空部(第1中空部314,第2中空部317、中空部325)による断熱効果及び強度を発揮するため、断熱性能及び強度に優れる。
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、アタッチメント枠3において、樹脂ブリッジ材は、アタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32のみに設けたが、一対のアタッチメント縦枠33にも同様に設けてもよい。
前記実施形態においては、改装建具1を引違い窓タイプの改装サッシに適用した場合について説明したが、これに限定されない。改装建具を、例えば、回転軸を中心に戸体が回転して開閉する開閉式の改装建具や、縦辷り出し式の改装建具に適用してもよい。また、改装建具を、例えば、枠に対して開閉しないで固定して取り付けられるFIX式の改装建具に適用してもよい。
1 改装建具、 2 新設枠、 3 アタッチメント枠、 6 既設枠、 31 アタッチメント上枠、 32 アタッチメント下枠、 33 アタッチメント縦枠、 31A,32A 室外側枠部、 31B,32B 室内側枠部、 311,321 樹脂ブリッジ材、 311a,311b、321a,321b 帯板状ブリッジ部、 314 第1中空部, 317 第2中空部, 325 中空部、 314b,317b、324a,325a 側面、 100 建物
Claims (3)
- 建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具であって、
四周を組んで構成された新設枠と、
前記新設枠の外周に四周を組んで取り付けられた状態で前記既設枠の内周側に取り付けられるアタッチメント枠と、を備え、
前記アタッチメント枠は、アタッチメント上枠、アタッチメント下枠及び一対のアタッチメント縦枠によって構成され、
前記アタッチメント上枠、前記アタッチメント下枠及び前記一対のアタッチメント縦枠のうちの少なくとも前記アタッチメント上枠及び前記アタッチメント下枠は、それぞれ室外側枠部と室内側枠部とに見込方向に分割されているとともに、前記室外側枠部と前記室内側枠部との間を樹脂ブリッジ材によって連結することによって構成される、改装建具。 - 前記室外側枠部及び前記室内側枠部は、互いに対向して配置される側面をそれぞれ有し、
前記樹脂ブリッジ材は、前記室外側枠部及び前記室内側枠部の長手方向に沿って延びる帯板状ブリッジ部が、前記側面間に亘って、前記室外側枠部及び前記室内側枠部の厚み方向に複数設けられることによって構成される、請求項1に記載の改装建具。 - 前記室外側枠部及び前記室内側枠部の少なくともいずれか一方は、中空部を有する、請求項1又は2に記載の改装建具。
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JP2021165772A JP2023056413A (ja) | 2021-10-07 | 2021-10-07 | 改装建具 |
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JP2021165772A Pending JP2023056413A (ja) | 2021-10-07 | 2021-10-07 | 改装建具 |
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2021
- 2021-10-07 JP JP2021165772A patent/JP2023056413A/ja active Pending
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