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JP2022107467A - 主筋周囲補強筋を用いたrc部材 - Google Patents

主筋周囲補強筋を用いたrc部材 Download PDF

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JP2022107467A
JP2022107467A JP2021002436A JP2021002436A JP2022107467A JP 2022107467 A JP2022107467 A JP 2022107467A JP 2021002436 A JP2021002436 A JP 2021002436A JP 2021002436 A JP2021002436 A JP 2021002436A JP 2022107467 A JP2022107467 A JP 2022107467A
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啓太 坂本
Keita Sakamoto
隆英 阿部
Takahide Abe
雅春 久保田
Masaharu Kubota
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Tobishima Corp
Kumagai Gumi Co Ltd
Tekken Corp
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Tobishima Corp
Kumagai Gumi Co Ltd
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Abstract

【課題】主筋とコンクリートとの拘束力を高めて主筋周辺のコンクリートの付着割裂破壊を抑制する主筋周囲補強筋を用いたRC部材を提供する。【解決手段】長手方向に延在する複数の主筋13と主筋を内在させるコンクリート15とを有する梁部材10または柱部材であるRC部材1において、複数の主筋は少なくとも主筋に垂直なRC部材の矩形断面内で対向する2辺のそれぞれの近傍に整列して配置され、少なくとも一方の辺の最近傍に整列された1列の主筋に沿うように1列の主筋の近傍に設けられる第1辺13aと、第1辺に対向し主筋から所定の距離離隔したコンクリート中に位置する第2辺13bとを含み、少なくとも1列の主筋と1列の主筋に隣接するコンクリートとを囲むように配置される主筋周囲補強筋がRC部材の材端部近傍から主筋の軸方向の所定の範囲に設けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、主筋周囲補強筋を用いたRC部材に関し、特にRC部材の外周近傍の主筋と、主筋から内周側に隣接するコンクリートとを取り囲むように主筋周囲補強筋を設けることにより、主筋とコンクリートとの拘束力を高めて主筋周辺のコンクリートの付着割裂破壊を抑制する主筋周囲補強筋を用いたRC部材に関する。
RC部材は鉄筋とコンクリートとを組み合わせて一体化し、軸方向の引張り応力を鉄筋で、圧縮応力を主にコンクリートで負担することにより、全体として曲げ強度を有する。このようなRC部材を柱や梁として鉄筋コンクリート造の建物を建築した場合、地震などにより周期的な外力が加わると、柱と梁の境界部分近傍などに高い曲げ応力が発生する。地震などによる周期的な揺れの間、RC部材の断面内では曲げに伴う引張軸力と圧縮軸力とが交互に作用する。
近年では鉄筋コンクリート造の建物も高層化が進み、より強度を向上するため、高層の建物では主筋の径を太径にしたり高強度鉄筋を採用したりする対応が増えてきている。このような場合、地震などの揺れに対して主筋近傍のコンクリートに付着割裂破壊が発生しやすくなることが知られている。そこで、こうした付着割裂破壊を防止するための技術も開発されている。
特許文献1には、主筋の一部に、コンクリートとの付着絶縁部を設けた鉄筋コンクリート柱、梁の配筋構造が開示されている。特許文献1においては、部材の一部にグリースや粘土等を塗布した上に、保護材を捲装してコンクリートとの付着絶縁部を設けた主筋と、付着絶縁部を設けない主筋とを組み合わせることで付着割裂破壊を防止し、復元力特性のスリップ現象を防止している。
しかし、特許文献1のように主筋の一部に付着絶縁部を設けるのみでは圧縮コンクリートの対処が不足しており、圧縮鉄筋の座屈が生じやすいという問題が残る。また特許文献1のような従来技術では、所定の主筋に対して絶縁処理を施す必要があり、施工前の準備工程が増加し、工程の調整が必要となるという課題もある。
そこで、事前に絶縁処理を施すような準備作業が必要なく、また引張側主筋、圧縮側主筋の周りの付着割裂破壊を防止するとともに、圧縮側主筋の座屈を防止して、より大きな履歴ループを描く復元力特性を有するRC部材の提供が望まれる。
実開平4-114908号公報
本発明は、上記従来のRC部材における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、RC部材の外周近傍の主筋と、主筋から内周側に隣接するコンクリートとを取り囲むように主筋周囲補強筋を設けることにより、主筋とコンクリートとの拘束力を高めて主筋周辺のコンクリートの付着割裂破壊を抑制する主筋周囲補強筋を用いたRC部材を提供することにある。
上記目的を達成するためになされた本発明による主筋周囲補強筋を用いたRC部材は、長手方向に延在する複数の主筋と主筋を内在させるコンクリートとを有する梁部材または柱部材であるRC部材において、前記複数の主筋は少なくとも前記主筋に垂直な前記RC部材の矩形断面内で対向する2辺のそれぞれの近傍に整列して配置され、少なくとも一方の辺の最近傍に整列された1列の主筋に沿うように前記1列の主筋の近傍に設けられる第1辺と、第1辺に対向し前記1列の主筋から所定の距離離隔したコンクリート中に位置する第2辺とを含み、少なくとも前記1列の主筋と前記1列の主筋に隣接するコンクリートとを囲むように配置される主筋周囲補強筋が前記RC部材の長手方向端部から主筋の軸方向の所定の範囲に設けられることを特徴とする。
前記RC部材に設置する前記主筋周囲補強筋の前記RC部材の断面における内側方向の長さは10cm以上、前記RC部材のせい寸法の1/2未満であることが好ましい。
前記主筋周囲補強筋を設置する前記主筋の軸方向の所定の範囲は前記長手方向端部から前記RC部材のせい寸法の1/2以上、前記RC部材の全長の1/2以下であることが好ましい。
前記RC部材は長手方向に沿って前記複数の主筋の全体を囲むように配置される複数のせん断補強筋をさらに備え、前記主筋周囲補強筋は、隣接する前記せん断補強筋の間に1つ以上設置されることが好ましい。
本発明に係る主筋周囲補強筋を用いたRC部材によれば、高い応力が発生しやすい外周部の引張側主筋及び圧縮側主筋の周辺に主筋周囲補強筋を設置することにより、主筋と主筋周りのコンクリートとの拘束力が高められるので、主筋周辺のコンクリートの付着割裂破壊を抑制することができる。
本発明に係る主筋周囲補強筋を用いたRC部材によれば、主筋周囲補強筋を設置することにより付着割裂破壊が抑制され、RC部材の材端部に生じる曲げひび割れを分散させることが可能となり、また1本あたりのひび割れ幅を抑制することが可能となる。その結果、ひび割れ面同士の離間距離が小さくなり、早期にひび割れが閉じることで、引張軸力から圧縮軸力へ転じる際の履歴ループをより大きく描く復元力特性が得られる。
また、本発明に係る主筋周囲補強筋を用いたRC部材によれば、圧縮側主筋の周囲のコンクリートは、主筋周囲補強筋により強固に拘束されるので、大変形時の圧縮鉄筋の座屈を防止することが可能となる。
上記の様な各種効果により、本発明に係る主筋周囲補強筋を用いたRC部材は、地震エネルギーの吸収性能が向上し、ひび割れ損傷レベルを低減することができ、大地震後も継続的な使用が可能となる。
本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材である梁部材の構造を概略的に示す図である。 本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材である梁部材の平面視の構造を概略的に示す図である。 本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材である梁部材の応用例を概略的に示す図である。 本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材である柱部材の構造を概略的に示す図である。 本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材と従来部材の破壊形式の違いを例示的に示す図である。 本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材と従来部材の復元力特性比較を例示的に示す図である。
次に、本発明に係る主筋周囲補強筋を用いたRC部材を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材である梁部材の構造を概略的に示す図である。図1(a)は梁部材を側方から見た図であり、図1(b)は図1(a)の梁断面を示す図である。また、図2は、本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材である梁部材の平面視の構造を概略的に示す図である。以下図1及び図2を参照して第1の実施形態である梁部材について説明する。尚、図1、2は説明のために内部の構造を表すように示した図面であり厳密な意味での断面図ではない。
図1(a)を参照すると、本発明の第1の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材1は、2本の柱部材20の間に長さL、梁せい寸法Dの梁部材10が架け渡された構造を有する。図1(a)では一方の柱部材20の近傍の梁部材10のみを示し、他方の柱部材20及び他方の柱部材20に延長される梁部材10は省略して示す。
本発明の実施形態による梁部材10は、梁部材10の長手方向に延在する複数の主筋11、主筋11を内在させるコンクリート15、複数の主筋11の周りを全体的に取り囲む複数のせん断補強筋12、及び複数の主筋11の周りを部分的に取り囲む複数の主筋周囲補強筋13を有する。本発明の実施形態による梁部材10は、特に幅や高さ寸法の制約はないが、実施形態では幅は400~800mm、高さ方向の梁せい寸法Dは500~2000mmである。一実施形態では標準幅として500mm、標準の梁せいとして850mmのものを使用する。
一般に梁部材10は、建物への地震などの外力に対して、上向きに凸形状又は下向きに凸形状となるような曲げモーメントを受け易く、上面又は下面に強い引張り応力又は圧縮応力が発生する。そこで主筋11はコンクリート15の破壊を低減するよう主に上面又は下面近傍に配置される。
本発明の実施形態による複数の主筋11も、図1(b)に示すように梁部材10の断面内で対向する2辺、即ち図1(b)中の上辺と下辺のそれぞれの近傍に整列して配置される。図1(b)では上辺近傍に上辺に沿って5本が1列に配置され、下辺近傍に下辺に沿って5本が1列に配置された形態を示すが、これは一つの実施形態に過ぎず、実施形態によっては主筋11の本数、間隔、列数などの配置はこれに限らない。また主筋11の太さとしては一般的には直径19mmから35mmの範囲のものが使用される。実施形態では標準形として直径29mmのものを使用する。
主筋11は梁部材10の全長にわたりコンクリート15に内包される形で連なり、主に梁部材10の長手方向に発生する引張り応力を負担してコンクリート15に必要以上の引張り応力が加わらないようにするとともに、梁部材10の端部から柱部材20の中まで延伸し、梁部材10と柱部材20との接合強度の確保に寄与する。尚、図1、2では柱部材20の内部の主筋や補強筋は省略して示している。
梁部材10には、梁部材10の長さ方向に対して直交する鉛直方向に剪断力が加わるが、主応力としては鉛直方向から45度傾いた方向に引っ張り又は圧縮応力が加わることになる。そこでこの引張り応力によるコンクリート15の破断を防止するためにせん断補強筋12が設置される。せん断補強筋12は、図1(b)に示すように主筋11の配列全体の周囲を取り囲むように形成され、梁部材10の長さ方向に対しては全長にわたり所定の間隔をもって配置される。せん断補強筋12は、梁部材10が曲げ変形を受ける際、主筋11が外周に向かって広がるように変形して外周部のコンクリート15を破壊するのを防止する役割も果たす。実施形態ではせん断補強筋12の太さは10~16mmであり、一実施形態では標準径として直径13mmのものを使用する。
従来技術における梁部材10は、上記の様な主筋11とせん断補強筋12との組み合わせにより構成されている。しかし、地震などにより大規模な揺れが発生すると柱と梁の境界部分近傍などに繰返しの高い曲げ応力が発生し、主筋11近傍のコンクリート15に付着割裂破壊が発生しやすくなることが知られている。付着割裂破壊については図5を参照して後述するが、付着割裂破壊が発生すると、その部分の主筋11はコンクリート15による拘束がなくなり自由に変形しやすくなるため、圧縮側の曲げ応力を受けた際に座屈を生じ、結果的に梁部材10に大きなダメージを受ける要因となる。現在の建築基準では、建物としては地震などによる大規模な揺れを一度経験しても倒壊・崩壊しない強度を有することが求められている。そこで梁部材10に大きなダメージを受けても建物の倒壊・崩壊に至らなければ、建築基準には適合することになる。
しかし、大きな地震ほど大きな余震も想定され、余震によって倒壊・崩壊のリスクがあるとなればその建物は安心して利用できない。本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材1は、1回目の大きな揺れに対しても大きなダメージが入るのを防止し、建物として繰り返しの揺れにも耐えうるように補強を施したRC部材を提供するものである。そのために、柱と梁の境界部分近傍など付着割裂破壊の発生しやすい部分に主筋周囲補強筋13を集中的に配置し、付着割裂破壊及びそれに伴う主筋11の座屈を防止するものである。
主筋周囲補強筋13は、図1(b)に示すように、梁部材10の少なくとも上辺または下辺の最近傍に整列された1列の主筋11に沿うように、1列の主筋11の近傍に設けられる第1辺13aと、第1辺13aに対向し主筋11から所定の距離離隔したコンクリート15中に位置する第2辺13bとを含み、少なくとも1列の主筋11とその1列の主筋11に隣接するコンクリート15とを囲むように略四角形状に形成される。このように主筋周囲補強筋13は、梁部材10の断面全体を補強するせん断補強筋12とは異なり、最も高い曲げ応力を受ける上辺又は下辺近傍の主筋11と主筋11の周りのコンクリート15とを併せて囲むように設置することで主筋11の周りのコンクリート15の付着割裂破壊を防止する。実施形態では、主筋周囲補強筋13の太さは10~16mmであり、一実施形態では標準径として直径10mmのものを使用する。
図1(b)では梁部材10の上辺及び下辺のいずれにも主筋周囲補強筋13を設けた実施形態を示す。またここでは主筋11は梁部材10の上辺及び下辺のいずれも1列ずつが配置されるように示したが、梁部材10によってはこうした上辺または下辺の最近傍に整列された1列の主筋11の内側にさらに1列または複数列の主筋11を配置することもあり得る。この場合、主筋周囲補強筋13は上辺または下辺の最近傍に整列された1列の主筋11のみを取り囲むように設置してもよいし、他の主筋11の列も含んで取り囲むように設置してもよい。他の主筋11の列も含んで取り囲むように設置する場合、他の主筋11は最外周の主筋11の列より太い主筋11でもよく、その場合梁部材10の幅方向の中央に位置するように設置することで、付着割裂破壊を抑制する効果を向上することができる。また、他の主筋11の列も含んで取り囲むように設置する場合、他の主筋11の列の更に内側のコンクリート15も含めて取り囲むように主筋周囲補強筋13を設置することが好ましい。
梁部材10に設置する主筋周囲補強筋13の高さ方向の長さdは10cm以上、梁せい寸法Dの1/2未満であることが好ましい。一実施形態では標準的な長さdとして、梁せい寸法Dの1/4のものを使用する。また、梁部材10の長さ方向に対しては、柱部材20と梁部材10の境界である梁端部17から所定の距離xの材端部14に集中的に配置する。所定の距離xは梁端部17から梁せい寸法Dの1/2以上、梁部材10の全長Lの1/2以下であることが好ましい。より詳細には実施形態では梁部材10の全長Lは、梁せい寸法Dに対してL/2Dが1~4となるように形成し、標準的にはL/2Dが3となるように形成するが、L/2Dが2以下の相対的に短い梁部材10の場合は、所定の距離xは梁端部17から梁部材10の全長Lの1/2とするのが好ましい。
梁部材10の長手方向には材端部14を含め、せん断補強筋12が所定のピッチで配置されるが、主筋周囲補強筋13は隣接するせん断補強筋12の間に1つ以上、即ち主筋周囲補強筋13を設置するピッチは、せん断補強筋12を設置するピッチ以下となるように配置する。具体的に実施形態では、主筋周囲補強筋13を設置するピッチは50~200mmであり、一実施形態では標準ピッチとして67mmを採用する。
RC部材を製作する際、主筋11やせん断補強筋12などの鉄筋を予め組み合わせて設置した後、コンクリート15を打ち込むが、この間、主筋11やせん断補強筋12が適正な位置を維持するために、段取り筋を使用してそれぞれの鉄筋を固定する。本発明の実施形態による梁部材10においても主筋11、せん断補強筋12に加え、主筋周囲補強筋13も図には示さない段取り筋を使用してそれぞれの鉄筋を所定の位置に固定する。図1(a)に示すように、せん断補強筋12の間に複数列の主筋周囲補強筋13を設置する場合、一つ一つの主筋周囲補強筋13を段取り筋で固定するのは手間がかかるので、複数列の主筋周囲補強筋13を、例えば四角く巻き回したコイル状のように予め一体に成形しておいてもよい。また予め上辺側、下辺側の主筋周囲補強筋13を例えば呂の字のようにつないだ構造としてもよい。このように予め複数の主筋周囲補強筋13を連結した形で形成することで段取り筋による固定を効率化することができる。
図3は、本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材である梁部材の応用例を概略的に示す図である。
図3(a)は、図1(b)に示す梁断面の上辺及び下辺の主筋11列の中心に位置する主筋11同士をつなぐようにさらに補強筋16が配置されたものである。このように梁に加わる荷重に応じて適宜補強筋16と組み合わせてもよい。
梁部材10は一般的にはせん断荷重を受ける鉛直方向に長く設けるが、梁部材10は高さに比べて幅が広い構造もあり得る。図3(b)はこのような幅の方が広い形状の梁部材10の例である。このように高さに比べて幅の広い梁部材10でも、鉛直方向への曲げモーメントを受ける場合に発生する最大曲げ応力は、梁部材10の上面又は下面に発生するので、主筋11は上面及び下面に沿って配置される。主筋周囲補強筋13も上面の主筋11列、下面の主筋11列に対し、それぞれ主筋11と主筋11から内側に広がるコンクリート15を包含するように配置される。
図3(c)は、梁部材10が単独ではなく上方階のスラブ30と組み合わされた構造を有する場合の構造例を示す。図3(c)の例では、梁部材10の下辺側は図1(b)の梁断面と同一の構造であるが、上辺側はスラブ30と組み合わされたことにより、その構造が下辺側と相違している。梁部材10の上辺側では上辺に沿って配列された梁部材10の主筋11の上側と下側に、主筋11と直交するようにスラブ30のスラブ主筋31が梁部材10を貫通する形で配置されており、梁部材10の左右両側に張り出したスラブ30には、主筋11と平行する方向にスラブ30のスラブ補強筋32が複数配置されている。またスラブ30の上面と梁部材10の上面が同一平面となるように構成されている。この例では主筋11の上下を通過するスラブ主筋31が、主筋周囲補強筋13と同様の役割を果たすことが期待され、上辺側の主筋周囲補強筋13は省略されている。水平方向に隣接するスラブ主筋31のピッチが広く、付着割裂破壊の防止効果が十分に見込めない場合などは、スラブ主筋31及びせん断補強筋12の間の空いた空間に、主筋周囲補強筋13をさらに設置して梁部材10の性能向上を図ってもよい。
図3(c)は梁部材10の上面がスラブ30の上面と揃うような構造であるが、スラブ30が梁部材10の上面と下面の間を横切るように設置される構造もあり得る。例えばスラブ30が梁部材10の高さ方向の中心付近を横切るように設置され、スラブ主筋31と梁部材10の主筋11とが離隔し、スラブ主筋31に主筋11の周りの付着割裂破壊の防止効果が十分に見込めない場合は主筋周囲補強筋13を設置して主筋11の周りを補強する。
図4は、本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材である柱部材の構造を概略的に示す図である。図4(a)は柱部材の正面図であり、図4(b)は図4(a)を水平方向に切断した柱断面である。図4も説明のために内部の構造を表すように示した図面であり厳密な意味での断面図ではない。
図4を参照すると本発明の第2の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材2は、地面又は建物の任意の階の床面50から立ち上がる高さHの四角柱状の柱部材20の構造を有する。高さHは床面50から天井までの高さである。図4では天井部及び天井につながる柱部材20の上方部分は省略して示す。
本発明の実施形態による柱部材20は、柱部材20の長手方向に延在する複数の主筋21、主筋21を内在させるコンクリート25、複数の主筋21の周りを取り囲む複数のせん断補強筋22、及び複数の主筋21の周りを部分的に取り囲む複数の主筋周囲補強筋23を有する。
柱部材20の場合、一般に水平断面形状が正方形又は正方形に近い形状を有し、建物の揺れの方向により、曲げ応力の最大値が生ずる面が変わる可能性があり、主筋21は特定の2平面に限らず、柱部材20の水平断面の外周4辺に沿って整列して配置される。
図4の実施形態では、重複するコーナーの主筋21を除き、柱部材20の各辺には5本ずつの主筋21が各辺に沿って1列に配列される。このため一つの辺に向かってみた場合、両端の主筋21を含め7本ずつの主筋21が配置される構造となっている。図4は一つの実施形態に過ぎず、実施形態によっては主筋21の本数、間隔、列数などの配置はこれに限らない。
柱部材20の水平断面の4辺の近傍にそれぞれ配列された主筋21の全体を囲むようにせん断補強筋22が設けられる。せん断補強筋22は、地震などの外力を受けた際、柱部材20が受ける水平方向の剪断力に伴うコンクリート25に加わる引張り応力を軽減するとともに、主筋21が外周に向かって広がるように変形して外周部のコンクリート25を破壊するのを防止する役割も果たす。せん断補強筋22は、柱部材20の長手方向に沿って所定間隔で複数が配置される。
主筋周囲補強筋23は、図4(b)に示すように、柱部材20の水平断面の外周4辺のそれぞれに整列された主筋21ごとに設けられる。この場合も主筋周囲補強筋23は、外周4辺の最近傍に整列された1列の主筋21に沿うように、1列の主筋21の近傍に設けられる第1辺23aと、第1辺23aに対向し1列の主筋21から所定の距離離隔したコンクリート25中に位置する第2辺23bとを含み、少なくとも1列の主筋21とその1列の主筋21に隣接するコンクリート25とを囲むように略四角形状に形成される。
柱部材20の場合、4つのコーナーにある主筋21は隣接する2辺にそれぞれ設置された主筋周囲補強筋23により重複して囲まれることになる。
柱部材20に設置する主筋周囲補強筋23は、柱部材20と床面50との境界である柱端部26から所定の距離zの材端部24に集中的に配置する。所定の距離zは柱端部26から柱せい寸法Dの1/2以上、柱部材20の全高Hの1/2以下であることが好ましい。また図4(b)のdで示す主筋周囲補強筋23の主筋21列を取り囲む高さ、即ち柱部材20の断面における内側方向の長さは10cm以上、柱せい寸法Dの1/2未満であることが好ましい。
図5は、本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材1と従来部材の破壊形式の違いを例示的に示す図である。図5(a)は主筋周囲補強筋13を含まない従来構造の梁部材10、図5(b)は本発明の実施形態による梁部材10の材端部14における下向きの凸形状の曲げ変形時の側面の破壊状況を模式的に示すものである。
図5を参照すると、従来構造の梁部材10では下辺側の主筋11の周りのコンクリート15が主筋11に沿って破壊する付着割裂破壊42が生じ、また曲げひび割れ41が梁部材10の上辺に向かって長く発生する。これに対し本発明の実施形態による梁部材10では主筋周囲補強筋13により、主筋11周りのコンクリート15が拘束され主筋11から剥がれることが抑制されるため、付着割裂破壊42の発生を防ぐことができる。また曲げひび割れ41は従来構造の梁部材10に比べ分散され、1本当たりのひび割れ幅が抑制される。これによりひび割れ面同士の離間距離が小さくなり、早期にひび割れが閉じることで、次の図6に示すように引張り軸力から圧縮軸力に転じる際の復元力特性のスリップ現象が改善される。
図6は、本発明の実施形態による主筋周囲補強筋を用いたRC部材と従来部材の復元力特性比較を例示的に示す図である。図中実線で示すのが本発明の実施形態による梁部材10の復元力特性であり、破線で示すのが従来構造の梁部材10の復元力特性である。復元力特性は、正側負側に交互に曲げが作用した際の、部材が負担する荷重と変形の関係で示され、一般的に紡錘形の履歴ループを描く。この履歴ループで囲われる面積が大きい方が、エネルギー吸収が大きいことを示す。
図5で示したように、従来構造の梁部材10では長く幅の広いひび割れが生じるため、荷重の増加に対して変位が大きく発生しやすい。これに対し、本発明の実施形態による梁部材10ではひび割れ幅が小さく、圧縮荷重に転じた際にも早くひびが閉じるので、荷重の増加に対して変位が抑制される。図6のグラフにおいて、実施形態による梁部材10は従来構造の梁部材10に比べ履歴ループで囲われた面積、即ちエネルギー吸収が約30%改善されている。その分地震応答の増大を抑制し建物の耐震性を向上させることができる。
以上で説明してきたように、本発明による主筋周囲補強筋を用いたRC部材によれば、主筋の周辺に主筋周囲補強筋を設置することにより、主筋と主筋周りのコンクリートとの拘束力を高め、付着割裂破壊及び曲げひび割れの幅を抑制して主筋の座屈によるRC部材のダメージを低減することができ、結果的にRC部材を使用した建物の耐震性を改善することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。
1、2 主筋周囲補強筋を用いたRC部材
10 梁部材
11、21 主筋
12、22 せん断補強筋
13、23 主筋周囲補強筋
14、24 材端部
15、25 コンクリート
16 補強筋
17 梁端部
20 柱部材
26 柱端部
30 スラブ
31 スラブ主筋
32 スラブ補強筋
41 曲げひび割れ
42 付着割裂破壊
50 床面

Claims (4)

  1. 長手方向に延在する複数の主筋と主筋を内在させるコンクリートとを有する梁部材または柱部材であるRC部材において、
    前記複数の主筋は少なくとも前記主筋に垂直な前記RC部材の矩形断面内で対向する2辺のそれぞれの近傍に整列して配置され、
    少なくとも一方の辺の最近傍に整列された1列の主筋に沿うように前記1列の主筋の近傍に設けられる第1辺と、第1辺に対向し前記1列の主筋から所定の距離離隔したコンクリート中に位置する第2辺とを含み、少なくとも前記1列の主筋と前記1列の主筋に隣接するコンクリートとを囲むように配置される主筋周囲補強筋が前記RC部材の長手方向端部から主筋の軸方向の所定の範囲に設けられることを特徴とする主筋周囲補強筋を用いたRC部材。
  2. 前記RC部材に設置する前記主筋周囲補強筋の前記RC部材の断面における内側方向の長さは10cm以上、前記RC部材のせい寸法の1/2未満であることを特徴とする請求項1に記載の主筋周囲補強筋を用いたRC部材。
  3. 前記主筋周囲補強筋を設置する前記主筋の軸方向の所定の範囲は前記長手方向端部から前記RC部材のせい寸法の1/2以上、前記RC部材の全長の1/2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の主筋周囲補強筋を用いたRC部材。
  4. 前記RC部材は長手方向に沿って前記複数の主筋の全体を囲むように配置される複数のせん断補強筋をさらに備え、前記主筋周囲補強筋は、隣接する前記せん断補強筋の間に1つ以上設置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の主筋周囲補強筋を用いたRC部材。
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