JP2021155499A - 樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、臭素系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定性の低下を招いたり、成形加工時における成形機のスクリューや成形金型の腐食を招いたりすることがある。また、リン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物はポリカーボネート樹脂の特徴である高い透明性を阻害したり、耐衝撃性、耐熱性の低下を招いたりするため、その用途が制限されることがある。
しかしながら、オルガノポリシロキサンは、単独の添加では大きな難燃効果を持つものは極めて少なく、比較的効果が認められたものでも電気電子機器関係の厳しい難燃基準を満たすには多量に添加する必要があり、その結果、プラスチックスの成形性、混練性および他の必要特性に悪影響が生じ、またコスト的にも不利であるため、実用的ではないものが多かった。
かかる状況のもと、本出願人は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対し、(B)金属塩系難燃剤を0質量部以上0.2質量部以下、およびオルガノポリシロキサンを0.05質量部以上3質量部未満含有し、オルガノポリシロキサンは分子量分布(Mw/Mn)が1.01〜1.4であることを特徴とする樹脂組成物が開示している。また、かかる樹脂組成物が、難燃性に優れることを開示している。
本発明はかかる課題を解決することを目的とするものであって、熱可塑性樹脂とオルガノポリシロキサンを含む新規樹脂組成物であって、難燃性に優れた樹脂組成物、および、成形品を提供することを目的とする。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>熱可塑性樹脂と、ホスファゼン化合物と、分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下であるオルガノポリシロキサンを含み、前記ホスファゼン化合物の含有量を[α]、前記オルガノポリシロキサンの含有量を[β]としたときに、[α]/[β]が2.3以上500以下である、樹脂組成物。
<2>前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂を含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記ホスファゼン化合物が、下記式(P1)で表される化合物を含む、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
式(P1)
<4>前記オルガノポリシロキサンが下記式(1)で表される化合物を含む、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(1)
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q(O1/2R7)E1(O1/2H)E2
(式(1)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または有機基であり、R7は有機基であり、M、D、TおよびQは、それぞれ独立に、0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。またE1≧0、E2≧0かつ0<E1+E2≦4であり、0≦D/(T+Q)≦0.4である。)
<5>前記式(1)において、0.30≦M≦0.60を満たす、<4>に記載の樹脂組成物。
<6>前記式(1)において、D=0である、<4>または<5>に記載の樹脂組成物。
<7>前記オルガノポリシロキサンが、オルガノオキシ基を該オルガノポリシロキサンに含まれる全有機基に対して0.01〜10mol%の範囲で含む、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8>前記オルガノポリシロキサンが、オルガノオキシ基を該オルガノポリシロキサンに含まれる全有機基に対して0.01〜5mol%の範囲で含む、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9>前記オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が500以上2000以下である、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<10><1>〜<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、25℃におけるものとする。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。本明細書では、置換および無置換を記していない表記は、無置換の方が好ましい。
なお、本明細書における「質量部」とは成分の相対量を示し、「質量%」とは成分の絶対量を示す。
このような構成とすることにより、難燃性を高くすることができる。特に、オルガノポリシロキサンを配合し、そのメリットを生かしつつ、難燃性を高くすることができる。この難燃性発現のメカニズムは、狭分子量分を有するオルガノポリシロキサンの接炎部への迅速な移行と、さらにその際にオルガノポリシロキサン‐ホスファゼンの相互作用によってホスファゼンも接炎部に移行することによると推定される。すなわち、接炎部でのオルガノポリシロキサンとホスファゼンの濃度が高くなることで、迅速に炭化層が形成されることで、高い難燃性を発現すると推測される。また、このような構成にすることにより、可塑化効果によって熱可塑性樹脂の流動性が向上し、薄肉部の成形性や大型部材の成形性と向上すると推定される。このメカニズムは狭分子量分布をもつオルガノポリシロキサンとホスファゼンが熱可塑性樹脂組成物内に均一に分散することで、熱可塑性樹脂の主鎖の絡み合いが低減されるためであると推定される。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む。本実施形態で用いる熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等が挙られる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。本実施期形態では、ポリカーボネート樹脂を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂の90質量%以上(好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上)がポリカーボネート樹脂であることがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、その種類に制限はない。
ポリカーボネート樹脂は、一般式:−[−O−X−O−C(=O)−]−で表わされる、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。なお、式中、Xは、一般には炭化水素基であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、および脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。また、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。
エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;
式(A1)
式(A2)
XA2におけるRA3およびRA4は、XA1におけるRA3およびRA4と同義であり、好ましい範囲も同様である。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。界面重合法の詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0031〜0038の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。溶融エステル交換法の詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0039〜0044の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
ポリカーボネート樹脂は、構造粘性指数Nが所定範囲にあるポリカーボネート樹脂を一定割合以上含有することが好ましい。
構造粘性指数Nとは、溶融体の流動特性を評価する指標である。通常、ポリカーボネート樹脂の溶融特性は、数式:γ=a・σNにより表示することができる。なお、式中、γ:剪断速度、a:定数、σ:応力、N:構造粘性指数を表す。
分岐ポリカーボネート樹脂の製造方法は、国際公開第2020/013127号の段落0050〜0054の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
なお、本実施形態の樹脂組成物においては、粘度平均分子量の異なる2種以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよい。
特に、本実施形態の樹脂組成物では、高分子量ポリカーボネート樹脂は、上述の式(A1)で表される構成単位を全構成単位の50mol%以上含むポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートオリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
構造粘性指数Aが大きいポリカーボネート樹脂を得る方法は、特開2014−74109号公報の段落0056〜0061の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、特に、ポリカーボネート樹脂を樹脂組成物の70質量%以上の割合で含むことが好ましく、75質量%以上の割合で含むことが好ましく、80質量%以上の割合で含むことが一層好ましい。上限値としては、例えば、99質量%以下であり、95質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、ホスファゼン化合物を含む。
ホスファゼン化合物は、分子中に−P=N−結合を有する有機化合物である限り特に定めるものではないが、下記式(P1)で表される化合物、下記式(P2)で表される化合物、ならびに、下記式(P1)で表される化合物および下記式(P2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋ホスファゼン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、下記式(P1)で表される化合物を含むことがより好ましい。
複数のRP1およびRP2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
複数のRP3、RP4、RP5およびRP6は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
また、架橋フェノキシホスファゼン化合物中のフェニレン基の含有量は、式(P1)で表される化合物および/または式(P2)で表される化合物中の全フェニル基およびフェニレン基数の合計を基準として、通常50〜99.9%、好ましくは70〜90%である。また、前記架橋フェノキシホスファゼン化合物は、その分子内にフリーの水酸基を有しない化合物であることが特に好ましい。
また、本実施形態の樹脂組成物において、ホスファゼン化合物の含有量は、樹脂組成物中、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることが一層好ましく、7質量%以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、難燃性がより向上する傾向にある。また、ホスファゼン化合物の含有量は、樹脂組成物中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが一層好ましく、12質量%以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の機械的特性の低下をより効果的に抑制できる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、ホスファゼン化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下であるオルガノポリシロキサンを含む。このようなオルガノポリシロキサンを含むことにより、オルガノポリシロキサンの燃焼部への移行と炭化層形成が迅速になり、難燃性により優れる傾向にある。
オルガノポリシロキサンは、通常、ケイ素原子が酸素を介して他のケイ素原子と結合した部分を持つ構造に有機基が付加している高分子物質である。オルガノポリシロキサンは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、式(1)で表される化合物や、その混合物が挙げられる。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q(O1/2R7)E1(O1/2H)E2
(式(1)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または有機基であり、R7は有機基であり、M、D、TおよびQは、それぞれ独立に、0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。またE1≧0、E2≧0かつ0<E1+E2≦4であり、0≦D/(T+Q)≦0.4である。)
本実施形態の樹脂組成物は、オルガノポリシロキサンを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、前記ホスファゼン化合物の含有量を[α]、前記オルガノポリシロキサンの含有量を[β]としたときに、両者の質量比率である[α]/[β]が2.3以上500以下である。なお、[α]および[β]はそれぞれ質量部である。
[α]、[β]および[α]/[β]の計算方法を、後述する実施例1を挙げて説明をすると、実施例1のホスファゼン化合物の含有量は11質量部であるから[α]は11であり、オルガノポリシロキサンの含有量は0.5質量部であるから[β]は0.5である。よって、[α]/[β]=11/0.5=22である。
前記[α]/[β]の下限値は、3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることがさらに好ましく、9以上であることが一層好ましく、10以上であることがより一層好ましい。また、前記[α]/[β]の上限値は、400以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、200以下であることがさらに好ましく、100以下であることが一層好ましく、50以下であることがより一層好ましく、30以下であることがさらに一層好ましく、25以下であることが特に一層好ましい。前記範囲とすることにより、難燃性の観点と強度の観点から好ましい。
前記上限値以上とすることにより、難燃性向上のメカニズムは狭分子量分を有するオルガノポリシロキサンの燃焼部への迅速な移行と、さらにその際にオルガノポリシロキサン‐ホスファゼンの相互作用によってホスファゼンも燃焼部に移行することにより、燃焼部でのオルガノポリシロキサンおよびホスファゼンの濃度が高くなることで、迅速に炭化層が形成され、高い難燃性を発現することであると推定される。また、このような構成にすることにより、可塑化効果によって熱可塑性樹脂の流動性が向上し、薄肉部の成形性や大型部材の成形性と向上することができると推定される。このメカニズムは狭分子量分布をもつオルガノポリシロキサンとホスファゼンが熱可塑性樹脂組成物内に均一に分散することで、熱可塑性樹脂の主鎖の絡み合いが低減されるためであると推定される。その際、前記下限値以上の場合、オルガノポリシロキサン-ホスファゼンの組み合わせによる適切な可塑化効果により、成型加工性に優れた流動性を有する樹脂組成物をより得られる傾向にある。また、前記上限値以下とすることにより、オルガノポリシロキサン-ホスファゼンの相互作用による燃焼部への移行性効果を十分に発揮でき、高い難燃性向上効果がより得られる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。他成分の例を挙げると、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
具体的には、紫外線吸収剤、安定剤、離型剤、含フッ素樹脂、光拡散剤、エラストマー、染料、顔料、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。本実施形態の樹脂組成物は、紫外線吸収剤、安定剤および離型剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、ホスファゼン化合物以外の難燃剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。ホスファゼン化合物以外の難燃剤としては、熱可塑性樹脂に含まれる難燃剤を広く用いることができる。また、本実施形態の樹脂組成物は、ホスファゼン化合物以外の難燃剤を実質的に含まない構成とすることもできる。実質的に含まないとは、他の難燃剤がホスファゼン化合物の含有量の10質量%以下であることをいい、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
本実施形態の樹脂組成物は、さらに紫外線吸収剤を含有することも好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本実施形態の樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
これらの詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0097〜0104の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を含有することが好ましく、安定剤としてはリン系安定剤やフェノール系安定剤が好ましい。
フェノール系安定剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
これらの詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0105〜0111の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤(滑剤)を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
これらの詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0112〜0121の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物を製造する方法に制限はなく、公知の樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、熱可塑性樹脂、ホスファゼン化合物およびオルガノポリシロキサン、ならびに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解または分散させ、その溶液または分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
本実施形態の樹脂組成物は、透明性に優れていることが好ましい。例えば、本実施形態の樹脂組成物は、3mmの厚さに成形したときのHAZEが3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.7%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが一層好ましい。前記HAZEの下限値は特に定めるものではなく、0%が理想であるが、0.01%以上が実際的である。
HZAEの値は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃性に優れているが、例えば、0.8mm厚さの試験片に成形したときのUL−94試験に従った難燃性がV−1を達成することが好ましい。また、本実施形態の樹脂組成物は、例えば、1.0mm厚さの試験片に成形したときのUL−94試験に従った難燃性がV−0を達成することが好ましい。
難燃性は後述する実施例に記載の方法に従って測定される。
本実施形態の成形品は、本実施形態の樹脂組成物から形成されたものである。
成形品を製造する方法は、樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられ、また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることもできる。
これらのなかでも、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などの射出成形法が好ましい。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
オルガノポリシロキサンとしては、以下の製造例1、2、および3で製造したオルガノポリシロキサン(C1)、(C2)および(C3)を使用した。また、比較用のオルガノポリシロキサンとしては、以下の比較製造例1および2で製造したオルガノポリシロキサン(CX1)および(CX2)を使用した。
製造例および比較製造例で製造したオルガノポリシロキサンの評価は下記の方法で行った。
生成したオルガノポリシロキサンを約50mg秤量し、これらを重アセトンまたは重ジクロロメタン約1gに溶解させ1H−NMR測定用サンプルを調製した。400MHz 1H−NMRにてRelaxation Delayを20秒で測定した、各成分のシグナル強度と内部標準のシグナル強度との比率、および秤量値からフェニル基、メチル基、およびオルガノオキシ基の割合を算出した。
NMRの測定装置は、日本電子株式会社製AL−400を用いた。
重クロロホルムにTris(2,4−pentanedionate)chromiumIIIが0.5質量%になるよう添加し、29Si−NMR測定用溶媒を得た。測定対象のオルガノポリシロキサンを約1.5g秤量し、上記29Si−NMR測定用溶媒を2.5mL添加して溶解させ、直径10mmのテフロン(登録商標)製NMR試料管に入れた。下記の装置および測地条件で測定し、シグナルの強度比から上記式(1)中のM、D、TおよびQの値を算出した。
装置:日本電子株式会社製JNM−ECS400、TUNABLE(10)、Siフリー、AT10プローブ
測定条件:Relaxation Delay/15秒、SCAN回数/1024回、測定モード/非ゲーテッドデカップルパルス法(NNE)、スピン/なし、測定温度/25℃
各オルガノポリシロキサンの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として示した。試料は約10質量%のテトラヒドロフラン溶液を用い、測定前に0.45μmのフィルターで濾過したものを用いた。
装置:TOSOH HL−8220 GPC(東ソー株式会社製)
カラム:KF−G、KF−402.5HQ、KF−402HQ、KF−401HQ(いずれも昭和電工株式会社製)、カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン、流量0.3mL/分
ヘキサメチルジシロキサン(NuSil Technology社製)
フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−103)
ポリテトラメトキシシラン(三菱ケミカル株式会社製 MS−51)
ジメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−22)
トルエン(キシダ化学株式会社製)
メタノール(キシダ化学株式会社製)
ヘプタン(キシダ化学株式会社製)
1N塩酸(キシダ化学株式会社製)
1N水酸化カリウム水溶液(キシダ化学株式会社製)
オルガノポリシロキサン(C1)の原料として、ヘキサメチルジシロキサン105質量部、フェニルトリメトキシシラン225質量部、ポリテトラメトキシシラン11.9質量部、溶媒としてトルエン141質量部、メタノール141質量部、触媒として1N塩酸75.0質量部とメタノール75.0質量部の混合物を使用し、30℃で7時間加水分解縮合を行った。1N水酸化カリウム水溶液を154質量部加えた後、さらに30℃で30分間反応させた。脱塩水による洗浄後、溶媒および未反応の化合物を留去し、常温で液状のオルガノポリシロキサン(C1)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(C1)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は848、重量平均分子量(Mw)は918、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。また、1H−NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は26.4mol%、メチル基の量は70.9mol%、メトキシ基の量は2.7mol%であり、29Si−NMR測定の結果、上記式(1)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0.452、D=0、T=0.492、Q=0.056であり、D/(T+Q)=0となった。
オルガノポリシロキサン(C2)の原料として、ヘキサメチルジシロキサン122質量部、フェニルトリメトキシシラン130質量部、メチルトリメトキシシラン89.2質量部、ポリテトラメトキシシラン13.8質量部、溶媒としてトルエン143質量部、メタノール143質量部、触媒として1N塩酸86.7質量部とメタノール86.7質量部の混合物を使用し、30℃で7時間加水分解縮合を行った。1N水酸化カリウム水溶液を178質量部加えた後、さらに30℃で30分間反応させた。脱塩水による洗浄後、溶媒および未反応の化合物を留去し、常温で液状のオルガノポリシロキサン(C2)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(C2)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は896、重量平均分子量(Mw)は1010、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。また、1H−NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は14.8mol%、メチル基の量は83.5mol%、メトキシ基の量は1.7mol%であり、29Si−NMR測定の結果、上記式(1)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0.415、D=0、T=0.535、Q=0.050であり、D/(T+Q)=0となった。
オルガノポリシロキサン(C3)の原料として、ヘキサメチルジシロキサン375質量部、フェニルトリメトキシシラン1587質量部、溶媒としてトルエン406質量部、メタノール406質量部、触媒として1N塩酸315質量部を使用し、40℃で7時間加水分解縮合を行った。2N水酸化カリウム水溶液を286質量部加えた後、さらに40℃で1時間反応させた。脱塩水による洗浄後、溶媒および未反応の化合物を留去し、常温で液状のオルガノポリシロキサン(C3)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(C1)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は850、重量平均分子量(Mw)は928、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。また、1H−NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は27.5mol%、メチル基の量は70.3mol%、メトキシ基の量は2.2mol%であり、29Si−NMR測定の結果、上記式(1)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0.459、D=0、T=0.541、Q=0であり、D/(T+Q)=0となった。
<比較製造例1(オルガノポリシロキサン(CX1)の製造)>
オルガノポリシロキサン(CX1)の原料として、ジメチルジメトキシシラン100質量部、フェニルトリメトキシシラン385質量部、溶媒としてトルエン323質量部、メタノール162質量部、触媒として1N塩酸46.8質量部を使用し、30℃で7時間加水分解縮合を行った。ヘプタン500質量部を添加した後、水相を除去し、溶媒および未反応の化合物を留去することで、常温で液状のオルガノポリシロキサン(CX1)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(CX1)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は803、重量平均分子量(Mw)は1390、分子量分布(Mw/Mn)は1.73であった。また、1H−NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は32.7mol%、メチル基の量は27.7mol%、メトキシ基の量は39.6mol%であり、29Si−NMR測定の結果、上記式(1)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0、D=0.304、T=0.696、Q=0であり、D/(T+Q)=0.44となった。
オルガノポリシロキサン(CX2)の原料として、ジメチルジメトキシシラン100質量部、フェニルトリメトキシシラン330質量部、溶媒としてトルエン287質量部、メタノール143質量部、触媒として1N塩酸41.5質量部を使用し、30℃で7時間加水分解縮合を行った。ヘプタン500部を添加した後、水相を除去し、溶媒および未反応の化合物を留去することで、常温で液状のオルガノポリシロキサン(CX2)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(CX2)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は838、重量平均分子量(Mw)は1250、分子量分布(Mw/Mn)は1.49であった。また、1H−NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は33.1mol%、メチル基の量は34.0mol%、メトキシ基の量は32.9mol%であり、29Si−NMR測定の結果、上記式(1)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0、D=0.328、T=0.672、Q=0であり、D/(T+Q)=0.49となった。
実施例1
ポリカーボネート樹脂A1を50質量部、ポリカーボネート樹脂A2を27質量部、ポリカーボネート樹脂A4を23質量部、オルガノポリシロキサンC3を0.5質量部、ホスファゼン化合物B1を11質量部、安定剤E1を0.03質量部、離型剤F1を0.1質量部、および離型剤F2を0.1質量部、を配合し、タンブラーミキサーで均一に混合して、混合物を得た。この混合物を、2軸押出機(東芝機械社製「TEM26SX」)に供給し、スクリュー回転数100rpm、吐出量25kg/時、バレル温度280℃の条件で混練し、押出ノズル先端からストランド状に押し出した。押出物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてカットしてペレット化し、樹脂組成物のペレット(樹脂ペレット)を得た。
実施例1の組成にさらに紫外線吸収剤D1を0.3質量部加えたこと以外は、実施例1と同様に樹脂ペレットを製造した。
実施例3
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3の含有量を1質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
実施例4
実施例2の組成のホスファゼン化合物B1の含有量を8質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。実施例5
実施例2の組成にさらに安定剤E5を0.05質量部加えたこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
実施例6
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンC1に変更したこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
実施例7
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンC2に変更したこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
実施例2の組成から、オルガノポリシロキサンC3を除いたこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
比較例2
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3の含有量を0.01質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
比較例3
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3の含有量を5質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様に樹脂ペレットの製造を試みたが、押出できずペレットを得られなかった。
比較例4
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンCX1に変更したこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
比較例5
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンCX2に変更したこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
得られた樹脂組成物(ペレット)を120℃で4時間乾燥した後、射出成形機により、シリンダー温度300℃、金型温度80℃で、111mm×36mm×厚さが2mmと3mmの2段プレートを成形し、この2段プレートの3mm厚部分のHaze(単位:%)を、濁度計を用いて測定した。
射出成形機は、住友重機械工業社製「SE−50DUZ」を、濁度計は、日本電色工業社製「NDH−2000型」を用いた。
上記で得られたペレット(ペレット)を120℃で4時間乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製「SE−100」)により、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で、125mm×13mm×厚さ0.8mmの燃焼試験用試験片を成形した。
得られた燃焼試験用試験片について、燃焼性UL−94に基づき垂直燃焼試験を行った。燃焼性結果は良好な順からV−0、V−1、V−2とし、規格外のものをNGと分類した。
実施例8
実施例2のポリカーボネート樹脂A4をポリカーボネート樹脂A3に変更したこと以外は実施例2と同様にペレットを製造した。
実施例9
実施例8のオルガノポリシロキサンC3の含有量を1質量部に変更したこと以外は、実施例8と同様に樹脂ペレットを製造した。
比較例6
実施例8のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンCX1に変更したこと以外は実施例8と同様に樹脂ペレットを製造した。
比較例7
実施例8のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンCX2に変更したこと以外は実施例8と同様に樹脂ペレットを製造した。
得られた樹脂組成物(ペレット)を120℃で4時間乾燥した後、射出成形機により、シリンダー温度300℃、金型温度80℃で、111mm×36mm×厚さが2mmと3mmの2段プレートを成形し、この2段プレートの1.0mm厚部分のHaze(単位:%)を、濁度計を用いて測定した。
射出成形機は、住友重機械工業社製「SE−50DUZ」を、濁度計は、日本電色工業社製「NDH−2000型」を用いた。
上記で得られたペレット(ペレット)を120℃で4時間乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製「SE−100」)により、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で、125mm×13mm×厚さ1.0mmの燃焼試験用試験片を成形した。
得られた燃焼試験用試験片について、燃焼性UL−94に基づき垂直燃焼試験を行った。燃焼性結果は良好な順からV−0、V−1、V−2とし、規格外のものをNGと分類した。
これに対し、オルガノポリシロキサンを含まない場合、または、含んでいても、ホスファゼン化合物の含有量[α]/オルガノポリシロキサンの含有量[β]が500を超える場合(比較例1、2)、難燃性が不十分であった。また、ホスファゼン化合物の含有量[α]/オルガノポリシロキサンの含有量[β]が2.3未満の場合(比較例3)、押出ができなかった。
一方、オルガノポリシロキサンの分子量分布が1.4以上である場合(比較例4〜7)、難燃性が劣ってしまった。
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂と、ホスファゼン化合物と、分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下であるオルガノポリシロキサンを含み、
前記ホスファゼン化合物の含有量を[α]、前記オルガノポリシロキサンの含有量を[β]としたときに、[α]/[β]が2.3以上500以下である、樹脂組成物。 - 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記オルガノポリシロキサンが下記式(1)で表される化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
式(1)
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q(O1/2R7)E1(O1/2H)E2
(式(1)中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または有機基であり、R7は有機基であり、M、D、TおよびQは、それぞれ独立に、0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。またE1≧0、E2≧0かつ0<E1+E2≦4であり、0≦D/(T+Q)≦0.4である。) - 前記式(1)において、0.30≦M≦0.60を満たす、請求項4に記載の樹脂組成物。
- 前記式(1)において、D=0である、請求項4または5に記載の樹脂組成物。
- 前記オルガノポリシロキサンが、オルガノオキシ基を該オルガノポリシロキサンに含まれる全有機基に対して0.01〜10mol%の範囲で含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記オルガノポリシロキサンが、オルガノオキシ基を該オルガノポリシロキサンに含まれる全有機基に対して0.01〜5mol%の範囲で含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が500以上2000以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
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