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JP2021038337A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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JP2021038337A
JP2021038337A JP2019161520A JP2019161520A JP2021038337A JP 2021038337 A JP2021038337 A JP 2021038337A JP 2019161520 A JP2019161520 A JP 2019161520A JP 2019161520 A JP2019161520 A JP 2019161520A JP 2021038337 A JP2021038337 A JP 2021038337A
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智輝 平田
Tomoki Hirata
智輝 平田
歩海 松島
Ayumi Matsushima
歩海 松島
剛 永見
Takeshi Nagami
剛 永見
芳範 河村
Yoshinori Kawamura
芳範 河村
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Taoka Chemical Co Ltd
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Taoka Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】接着強度が改善された、柔軟性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物の提供。【解決手段】柔軟性エポキシ樹脂、分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物および硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、柔軟性エポキシ樹脂、特定のチオール化合物および硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物に関する。
従来より、エポキシ樹脂はその硬化物が機械的特性、電気的特性、熱的特性、耐薬品性および接着性等の点で優れた性能を有することから、塗料、電気電子用絶縁材料、接着剤等の幅広い用途に利用されている。
しかし、エポキシ樹脂を用いた組成物は、上記のような特長を持つ反面、その硬化物は柔軟性に乏しく非常に脆いという欠点がある。これは硬化物が多少の歪みにより破壊されることを意味しており、種々の用途において非常に問題となる。例えば、エポキシ樹脂組成物を自動車、家電及びその他電気部品等の接着や封止に使用する場合、硬化物が脆いと機械的振動や熱による膨張収縮によりひび割れが発生し、金属部の腐食や性能低下の原因となり好ましくない。
そこで、エポキシ樹脂を硬化させて得られる硬化物に柔軟性を付与し、脆さを改善するべく、柔軟性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
特開昭63−265915号公報 特開2007−23134号公報
しかしながら、本願出願人らが柔軟性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物の接着性を評価したところ、接着強度を向上させる必要があることが判明した。
本発明は、接着強度が改善された、柔軟性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく検討した結果、柔軟性エポキシ樹脂、分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物および硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物によれば、前記課題を解決できることを見出した。具体的には、本発明は以下の発明を含む。
〔1〕柔軟性エポキシ樹脂、分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物、及び硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。
〔2〕前記分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物が、ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(2−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート及びトリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔3〕前記分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物の、エステル基及びチオール基が各々3個以上である、〔1〕又は〔2〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔4〕前記硬化剤が、エポキシ樹脂アミンアダクト化合物、エポキシ樹脂イミダゾールアダクト化合物、変性脂肪族ポリアミン化合物およびジシアンジアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
本発明によれば、柔軟性エポキシ樹脂を含む樹脂組成物であって、接着強度が大幅に改善されたエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、公知の柔軟性エポキシ樹脂組成物から得られる硬化物に比し、柔軟性をより向上させることが可能となる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、柔軟性エポキシ樹脂、分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物、及び硬化剤を含むことを特徴とする。以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について詳述する。
[柔軟性エポキシ樹脂]
本発明で用いられる柔軟性エポキシ樹脂とは、硬化させた際に可撓性を発現するエポキシ樹脂のことであり、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されるエポキシ樹脂等が挙げられる。また、柔軟性エポキシ樹脂の具体的な構造としては、例えば、(a)2以上のエポキシ基、(b)2以上の−CH−を主骨格に含む二価の非芳香族炭化水素基、及び(c)二価の芳香族基を主骨格に含む二価の芳香族含有炭化水素基を含むエポキシ化合物またはそれらの重合体が挙げられる。なお、前記主骨格とは、(a)の2以上のエポキシ基を両末端に有する骨格のうち、最も鎖の長い骨格を言う。
(a)2以上のエポキシ基におけるエポキシ基とは、以下の式で表される一価の基である。
Figure 2021038337
(b)2以上の−CH−を主骨格に含む二価の非芳香族炭化水素基
二価の非芳香族炭化水素基において、主骨格に含まれる−CH−の数は、2以上が好ましく、より好ましくは3以上、さらに好ましくは、4以上、特に好ましくは、5〜30、殊更好ましくは、6〜20である。
当該2以上の−CH−は、直接結合していてもよいし、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、二重結合で結合された2つの炭素、三重結合で結合された2つの炭素、チオエーテル結合を介して結合していてもよい。
2以上の−CH−を主骨格に含む二価の非芳香族炭化水素基としては、例えば、アルキレン基及びアルキレンオキシ基が挙げられ、これらは、置換基を有していても有していなくてもよい。
ここで置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基及びオキソ基から選択される基が挙げられる。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
置換基として用いられるアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜14、さらに好ましくは1〜12、さらにより好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜3である。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基が挙げられる。後述するように、置換基として用いられるアルキル基は、さらに置換基(二次置換基)を有していてもよい。斯かる二次置換基を有するアルキル基としては、例えば、ハロゲン原子で置換されたアルキル基が挙げられ、具体的には、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、テトラフルオロエチル基、テトラクロロエチル基等が挙げられる。
置換基として用いられるシクロアルキル基の炭素原子数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜6である。該シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
置換基として用いられるアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1〜20、好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6である。該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、及びデシルオキシ基が挙げられる。
置換基として用いられるシクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜6である。該シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
置換基として用いられるアミノ基は、直鎖状又は分岐状の脂肪族、又は芳香族のいずれであってもよい。該アミノ基の炭素原子数は、好ましくは1〜20、好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6である。該アミノ基としては、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、イソプロピルアミノ基、アミノブトキシ基、sec−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、アミノペンチル基、アミノヘキシル基、アミノヘプチル基、アミノオクチル基、アミノノニル基、及びアミノデシル基、アミノフェニル基などが挙げられる。
置換基として用いられるシリル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該シリル基の炭素原子数は、好ましくは1〜20、好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6である。該シリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、イソプロピルシリル基、ブトキシシリル基、sec−ブチルシリル基、イソブチルシリル基、tert−ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、ヘプチルシリル基、オクチルシリル基、ノニルシリル基、及びデシルシリル基が挙げられる。
置換基として用いられるアシル基は、式:−C(=O)−Rで表される基(式中、Rはアルキル基)をいう。Rで表されるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アシル基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜13、さらに好ましくは2〜7である。該アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、及びピバロイル基が挙げられる。
置換基として用いられるアシルオキシ基は、式:−O−C(=O)−Rで表される基(式中、Rはアルキル基)をいう。Rで表されるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アシルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜13、さらに好ましくは2〜7である。該アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、及びピバロイルオキシ基が挙げられる。
2以上の−CH−を主骨格に含む二価の非芳香族炭化水素基は、2以上の−CH−のほかにさらにシクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、シクロアルキニレン基、アルカポリエニレン基、アルカジイニレン基、アルカトリイニレン基等、メチレン基以外の非芳香族系の二価の基を含んでいてもよい。
2以上の−CH−を主骨格に含む二価の非芳香族炭化水素基としては、例えば、置換基を有していても有していなくてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、または置換基を有していても有していなくてもよい炭素数2〜20のアルキレンオキシ基が好ましい。なお、ここで、上記炭素数は、置換基を含む場合は、置換基の炭素数を除外した数である。
アルキレンオキシ基は、例えば、以下の式で示される構造の1つ以上を有していてもよい。
(b1)−O−CH(−CH)−(O−(CH−O−CH(−CH)−、
(b2)−(O−(CH−、
(b3)−(O−CH−CH(−CH))−、
(b4)−O−CH−CH(−OH)−CH−(O−(CH)−O−CH−CH(−OH)−CH−、
(b5)−(O−(CH−O−CH−CH(−OH)−、及び
(b6)−(O−CH−CH(−CH))−O−CH−CH(−OH)−
ここで、p、r、u及びwは、1〜20の整数、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは1〜6の整数、更に好ましくは1〜3の整数である。ここで、q、s、t、v、y及びzは、1〜20の整数、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは1〜6の整数、更に好ましくは1〜3の整数である。
(c)二価の芳香族基を主骨格に含む二価の芳香族含有炭化水素基
二価の芳香族基を主骨格に含む二価の芳香族含有炭化水素基において、芳香族基は、例えば、フェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基、ビフェニル基であってもよい。フェニレン基は、オルト、メタ、又はパラのフェニレン基であってもよい。二価の芳香族含有炭化水素基中に、当該芳香族基を2以上含んでいてもよい。2以上の芳香族基含む場合、当該芳香族基は直接結合していてもよいし、アルキレン基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、二重結合で結合された2つの炭素、三重結合で結合された2つの炭素等を介して結合していてもよい。特に好ましい二価の芳香族含有炭化水素基としては、
Figure 2021038337
及び
Figure 2021038337
を挙げることができる。
本発明のエポキシ化合物は、主骨格が環状ではなく鎖状であることが好ましい。エポキシ化合物全体として鎖状であれば、主骨格中に、二価の芳香族基のような二価の環状基を一部に含んでもよい。また、主骨格を構成する基が上述したような置換基を有していてもよい。エポキシ化合物の重合体とは、当該エポキシ化合物が重合して、例えば分子量500〜1500程度の重合体となったものを言う。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、柔軟性エポキシ樹脂として、以下の式(1)又は式(2)で示される構造で表されるエポキシ化合物またはそれらの重合体を含有していることが好ましい。
Figure 2021038337

Figure 2021038337
式(1)及び(2)中、X、X及びXで表される2以上の−CH−を主骨格に含む二価の非芳香族炭化水素基である。ここで、2以上の−CH−を主骨格に含む二価の非芳香族炭化水素基の定義は上述したとおりである。式(1)中のn個のXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。式(2)中のm個のX、m個のXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。X、X及びXは、上述の(b1)〜(b6)から選択される基であってもよい。
式(1)及び(2)中、Ar、Ar及びArは、互いに同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していても有していなくてもよい、二価の芳香族基を主骨格に含む二価の芳香族含有炭化水素基である。二価の芳香族基を主骨格に含む二価の芳香族含有炭化水素基の定義は上述したとおりである。
式(1)及び(2)中、nおよびmは、それぞれ独立に1〜20の整数、好ましくは1〜10の整数である。
さらに、式(2)のエポキシ樹脂は、以下の式(2)’で表される構造を有していてもよい。
Figure 2021038337
式(2)’中のX3−6及びAr3−4の定義は、上述したXやArの定義と同様である。式(2)’中のX、X、m’個のX、m’個のXは、互いに同一であっても異なっていてもよい。X及びX3−6は、上述の(b1)〜(b6)から選択される基であってもよい。m’は1〜20の整数、好ましくは1〜10の整数である。
本発明で用いられる柔軟性エポキシ樹脂またはそれらの重合体の構造としては、例えば、以下の構造(kは1〜20の整数、好ましくは1〜5の整数)が挙げられる。
Figure 2021038337
また、例えば、以下の構造(hはそれぞれ0〜20の整数、好ましくは0〜5の整数であり、i、jはそれぞれ独立に1〜20の整数、好ましくは1〜5の整数である)が挙げられる。
Figure 2021038337
本発明において用いられる柔軟性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、200〜1000g/eq、好ましくは300〜600g/eqである。エポキシ当量が200以上であれば揮発性が少なく、低粘度とならず、取り扱い易い粘度となるので好適である。また、エポキシ樹脂のエポキシ当量が1000g/eq以下であれば、高粘度とならず、取り扱いの面で好適である。ここで、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量であり、例えば、JIS K 7236(2009)に準拠して測定することができる。
本発明で用いられる柔軟性エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、DIC社製EXA−4850−150、EXA−4816、及びEXA−4822;ADEKA社製EP−4000S、EP−4000SS、EP−4003S、EP−4010S、及びEP−4011S;新日本理化社製BEO−60E及びBPO−20E;三菱ケミカル社製YL7175−500、YL7175−1000、YL7410、及びYX−7105;並びに阪本薬品工業社製SR−FXB等が例示される。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[他のエポキシ樹脂]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記柔軟性エポキシ樹脂以外の他のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。他のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、カテコール、レゾルシン等の多価フェノールまたはグリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコールとエピハロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル、p−オキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸とエピハロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル、フタル酸、テレフタル酸等のポリカルボン酸とエピハロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエステル、4,4−ジアミノジフェニルメタン、m−アミノフェノール、4−アミノフェノール等とエピハロヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が例示される。これらエポキシ樹脂の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びビフェニル型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一般的に入手可能な他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型(以下BPA型と略す場合もある)エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「jER828EL」、「jER827」、「jER1001」)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「jER807」)、液状ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(新日鉄化学社製「ZX1059」)、水素添加された構造のエポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX8000」)、ジシクロペンタジエン型多官能性エポキシ樹脂(DIC社製「HP7200」)、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製「PB−3600」)、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000H」、「NC3000L」、三菱ケミカル社製「YX4000」)などが挙げられる。
また、他のエポキシ樹脂を併用する際の量は、上記柔軟性エポキシ樹脂100重量部に対し、通常0.1〜50重量部、好ましくは5〜35重量部である。他のエポキシ樹脂を0.1〜50重量部使用することで、接着強度をより向上させることができる。
[分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物]
分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物としては、具体的には、ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(2−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート及びトリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート等の、ポリオールとメルカプト有機酸のエステル化反応によって得られるチオール化合物等を例示することができる。これら分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物の中でも、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の柔軟性をより向上させることができることから、分子内にエステル基及びチオール基を各々3個以上有する化合物が好ましく、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(2−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート及びトリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレートがより好ましく、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)及びトリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレートが更に好ましい。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において用いられる分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物の量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂(柔軟性エポキシ樹脂および他のエポキシ樹脂の合計量)100重量部に対し、通常1〜100重量部、好ましくは10〜90重量部、より好ましくは20〜70重量部、更に好ましくは30〜60重量部である。
[硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる硬化剤としては、エポキシ樹脂用の硬化剤として一般的に用いられているものを用いることができるが、中でも、エポキシ樹脂組成物の取扱い性の観点から、潜在性硬化剤を好適に用いることができる。なお、本発明において潜在性硬化剤とは、室温(25℃)では上述のエポキシ樹脂に不溶の固体で、加熱することにより可溶化し、エポキシ樹脂の硬化剤として機能する化合物のことであり、室温で固体のイミダゾール化合物、エポキシ樹脂アミンアダクト化合物、エポキシ樹脂イミダゾールアダクト化合物、変性脂肪族ポリアミン化合物、ジシアンジアミド等が例示される。これら潜在性硬化剤の中でも、エポキシ樹脂アミンアダクト化合物、エポキシ樹脂イミダゾールアダクト化合物、変性脂肪族ポリアミン化合物及びジシアンジアミドが好ましい。前記室温で固体のイミダゾール化合物としては、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2′−メチルイミダゾリル−(1)′)−エチル−S−トリアジン・イソシアヌール酸付加物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール−トリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール−トリメリテート、N−(2−メチルイミダゾリル−1−エチル)−尿素、N,N′−(2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル)−アジボイルジアミド等が例示される。前記エポキシ樹脂アミンアダクト化合物としては、味の素ファインテクノ社製アミキュアMY−24、アミキュアMY−R、特開昭和57−100127号公報に示されたアダクト系化合物等が例示される。前記エポキシ樹脂イミダゾールアダクト化合物としては、味の素ファインテクノ社製アミキュアPN−23、アミキュアPN−R、エアープロダクト ジャパン社製サンマイドLH−210等が例示される。前記変性脂肪族ポリアミン化合物としては、T&K TOKA社製フジキュアーFXE−1000、フジキュアーFXR−1121等が例示される。これら硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において用いられる硬化剤の量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂100重量部に対し、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜60重量部、より好ましくは5〜30重量部である。
<その他添加剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに反応性希釈剤、溶剤、添加剤(例えば、硬化促進剤、無機充填剤、難燃剤、サイジング剤、カップリング剤、着色剤、チクソトロピー剤、安定剤、帯電防止剤など)等を含んでいてもよい。
<本発明のエポキシ樹脂の調製方法>
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製には、通常のエポキシ樹脂組成物の調製方法と同様に一般的な撹拌混合装置と混合条件が適用される。例えば、柔軟性エポキシ樹脂、分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物及び硬化剤、並びに必要に応じて他のエポキシ樹脂、反応性希釈剤、溶剤及び添加剤等を均一になるまで充分に混合して本発明のエポキシ樹脂組成物を調製することができる。その際、使用される装置としては、ミキシングロール、ディゾルバ、プラネタリミキサ、ニーダ、押出機等が例示される。混合条件としてはエポキシ樹脂等を溶解および/または低粘度化し、撹拌混合効率を向上させるために加熱してもよい。また、摩擦発熱、反応発熱等を除去するために必要に応じて冷却してもよい。
<本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物>
続いて、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物の製造法及び該硬化物について詳述する。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物は、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を、金型に流し込み注型した後、熱により硬化させることによって得ることができる。熱により硬化させる場合、硬化温度は使用する硬化剤やエポキシ樹脂の種類等によって異なるが、通常25〜250℃、好ましくは80〜200℃、より好ましくは80〜150℃である。また、熱により硬化させる際、高温で一気に硬化させてもよいが、例えば、初期硬化を行った後、引き続いて後硬化を行う等、段階的に昇温し硬化させてもよい。その際、例えば、初期硬化は80〜150℃、後硬化は100℃〜230℃で実施してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物は、公知の柔軟性エポキシ樹脂組成物から得られる硬化物に比し、接着強度が改善されており、更に、後述する実施例に示す通り、柔軟性も向上していることから、例えば、自動車、家電及びその他電気部品等の接着剤や封止剤として好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において各測定値は、次の方法、測定条件に従った。
[接着強度試験]
各実施例、比較例及び参考例で得られたエポキシ樹脂組成物を、被着体である鋼板(JIS3100 C1100P:1.6×25×100mm)に塗布し、150℃で60分硬化させて試験片を作成した。作成した試験片を25℃の室内で放冷させ、JIS K 6850における引張剪断接着強さの測定方法に準拠して、鋼−鋼引張剪断接着強さを測定した。
<実施例1〜16、比較例1及び参考例1>
表1の配合組成(重量部)となるよう、各々プラスチック容器に材料を量り取り、ディスパー(TOKUSHU KIKA社製ROBO MIX)を用いて十分混合した後、脱泡し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物について、上記測定方法に従って鋼−鋼引張剪断接着強さを測定した。結果を表1に示す。なお、使用した各材料の詳細は以下の通り。
・EXA−4850−150:DIC社製、ビニルエーテル変性ビスフェノール型エポキシ樹脂
・EXA−4816:DIC社製、脂肪族鎖変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂
・DER331:ダウ・ケミカル社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
・アミキュアPN−23:味の素ファインテクノ社製、エポキシ樹脂イミダゾールアダクト化合物
・フジキュア−FXR−1121:T&K TOKA社製、変性脂肪族ポリアミン化合物
・フジキュア−FXE−1000:T&K TOKA社製、変性脂肪族ポリアミン化合物
・TEMPIC:SC有機化学社製、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート
・TMMP:SC有機化学社製、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)
・PEMP:SC有機化学社製、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
・BD1:昭和電工社製、ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン
・アエロジル200:日本アエロジル社製、微粉末シリカ
Figure 2021038337
[柔軟性確認試験]
各実施例、比較例及び参考例で得られたエポキシ樹脂組成物を各々型に流し込み、150℃で180分硬化させ、硬化物を作成した。得られた硬化物を加工し、3号ダンベル型試験片(厚さ3mm)を作製した。テンシロン万能材料試験機((株)オリエンテック製)を用いて、上記試験片について、JIS K 7161の測定方法に準じて、引張試験[引張速度:5mm/min、ロードFS:5kN、チャック間距離(標線間距離):60mm]を行い、硬化物の引張破断伸度を測定した。結果を表2に示す。
<実施例17〜20、比較例2及び参考例2>
表2の配合組成(重量部)となるよう、各々プラスチック容器に材料を量り取り、ディスパー(TOKUSHU KIKA社製ROBO MIX)を用いて十分混合した後、脱泡し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物について、上記測定方法に従って引張破断伸度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2021038337

Claims (5)

  1. 柔軟性エポキシ樹脂、分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物、及び硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物が、ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(2−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート及びトリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記分子内にエステル基及びチオール基を各々2個以上有する化合物の、エステル基及びチオール基が各々3個以上である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記硬化剤が、エポキシ樹脂アミンアダクト化合物、エポキシ樹脂イミダゾールアダクト化合物、変性脂肪族ポリアミン化合物及びジシアンジアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3いずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113956444A (zh) * 2021-11-10 2022-01-21 广州飞思合成材料有限公司 一种环氧固化剂及其制备方法
WO2022064972A1 (ja) * 2020-09-25 2022-03-31 株式会社スリーボンド エポキシ樹脂組成物および硬化物

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