JP2021021139A - 耐摩耗鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)母材の基地相をマルテンサイトとし、旧オーステナイト粒の板厚方向粒径dLに対する圧延方向粒径dZの比(dZ/dL)を8.0以上とすることにより、耐摩耗性と曲げ加工性を両立することができる。
(2)(1)の鋼組織とするためには、Nbを添加してオーステナイト未再結晶温度域を拡げ、熱延鋼帯プロセスにおいて未再結晶域で圧下比4.0以上の仕上圧延を行い、ランナウト冷却設備を用いて加速冷却してコイルに巻取る。次いで、このコイルを高い圧延荷重と前方−後方張力をかける調質圧延を行うことにより、板厚6mm未満の耐摩耗鋼板を製造できる。
[1]質量%で、C:0.18〜0.22%、Si:0.01〜0.45%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.020%以下、S:0.008%以下、Al:0.010〜0.100%、Nb:0.010〜0.030%、Ti:0.005〜0.025%、B:0.0004〜0.0020%を含み、かつ(1)式で示すCeq値が0.48%以下であり、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
マルテンサイトの面積率が90%以上であり、旧オーステナイト粒の板厚方向粒径dLに対する圧延方向粒径dZの比(dZ/dL)が8.0以上である組織を有し、ブリネル硬さで400HBW5/750以上の硬さを有する耐摩耗鋼板。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(1)
上記式(1)において、元素記号は各元素の含有量(質量%)を意味する。ただし、含有しない元素は0%とする。
[2]前記成分組成が、質量%で、Cu:0.05〜0.50%、Ni:0.05〜0.50%、Cr:0.05〜1.00%、Mo:0.05〜0.50%、V:0.005〜0.080%のうちから選ばれる1種または2種以上をさらに含有する[1]に記載の耐摩耗鋼板。
[3]前記成分組成が、質量%で、Ca:0.0005〜0.0020%、REM:0.0005〜0.0020%のうちから選ばれる1種または2種をさらに含有する[1]または[2]に記載の耐摩耗鋼板。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の成分組成を有する鋼スラブを1180〜1300℃に加熱し、加熱された鋼スラブに、仕上圧延温度980〜850℃において、圧下比(仕上圧延機入側厚/仕上圧延機出側厚)が4.0以上の仕上圧延を行い、Ar3変態点以上の温度から冷却を開始し、800〜300℃の間における平均冷却速度が50℃/s以上の条件で加速冷却し、巻取温度250℃以下で巻取り、調質圧延を行う耐摩耗鋼板の製造方法。
まず、本発明の耐摩耗鋼板の成分組成について説明する。特に断らない限り、各成分の含有量を表す「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、鋼の硬度を増加させ、耐摩耗性を確保するために有用な元素である。所望の表面硬さを確保するためには、0.18%以上必要である。一方、過度の添加は溶接性や低温靭性を劣化させるため、0.22%以下とする。好ましくは、0.20%以下とする。
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶し母材の強度を増加させる。その効果を得るためには、0.01%以上必要である。好ましくは、0.10%以上とする。また、0.45%を超える含有は、スケール性の欠陥の原因となって、母材の表面品質を低下させるため、Siの含有は0.45%以下とする。好ましくは、0.40%以下とする。
Mnは、固溶して母材の硬度を増加させる作用を有する元素である。また、安価であるため、高価な他の合金元素の含有を最小限に抑えるためにも有効である。本発明では、所望の硬さを確保するために、0.30%以上の含有を必要とする。好ましくは、0.60%以上とする。一方、2.00%を超える含有は、母材の靱性や遅れ破壊特性を著しく低下させるため、2.00%以下とする。好ましくは、1.60%以下とする。
Pは、不純物元素であり、母材の靭性を劣化させる。0.020%を超えて含有すると、上記した悪影響が顕著となるため、P量は0.020%以下とする。好ましくは、0.015%以下である。一方、P含有量はできる限り低くすることが望ましいため、P含有量の下限は特に限定されないが、通常、Pは不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であるため、工業的には0%超であってよい。また、過度の低減は精錬コストの高騰を招くため、P含有量は0.005%以上とすることが好ましい。
Sは、不純物元素であり、鋼中ではMnS等の硫化物系介在物として存在し、母材および溶接部の靱性を劣化させるとともに、鋼スラブの板厚中央部に多量に偏在して欠陥を発生しやすくする。このような傾向は、0.008%を超える含有で顕著となる。このため、S量は0.008%以下とする。好ましくは、0.005%以下である。一方、S含有量はできる限り低くすることが望ましいため、S含有量の下限は特に限定されないが、通常、Sは不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であるため、工業的には0%超であってよい。また、過度の低減は精錬コストの高騰を招くため、S含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、鋼の溶鋼脱酸プロセスにおいては、脱酸剤として、もっとも汎用的に使われる。このような効果を得るためには、0.010%以上必要である。一方、0.100%を超える含有は、酸化物系介在物が増加して母材の靱性が低下する。好ましくは、0.060%以下とする。
Nbは未再結晶域を拡大し、熱延工程でオーステナイト粒を展伸させ、曲げ加工性を改善する効果を有する重要な元素である。また、NbはNb系炭化物として微細に析出することにより母材組織が微細化するため、靭性を改善する効果も有する。これらの効果を得るためには、0.010%以上の含有が必要である。一方、0.030%を超える含有は、粗大なNb系炭化物が増加し、母材靭性を劣化させる。そのため、0.030%以下とする。好ましくは、0.025%以下とする。
Tiは、窒化物形成傾向が強く、Nを固定して固溶Nを低減する作用を有する元素である。そのため、Tiの含有により、母材および溶接部の靭性を向上させることができる。また、TiとBの両者を含有することで、TiがNを固定することによってBNの析出が抑制され、その結果、Bの焼入れ性向上効果が助長される。これらの効果を得るために、Tiは0.005%以上とする。好ましくは、0.008%以上とする。一方で、Tiが0.025%を超えると、TiCが多量に析出し、母材靭性を低下させる。そのため、Tiは0.025%以下とする。好ましくは、0.015%以下とする。
Bは、微量の含有でも焼入れ性を著しく向上させる作用を有する元素である。したがって、Bを含有することによりマルテンサイトの形成を助長し、所望の耐摩耗性を得ることができる。このような効果を得るために、Bを0.0004%以上とする。一方、0.0020%を超える含有は、粒界等に偏析し、ホウ化物などの介在物を形成して破壊の起点になるなど母材の靱性が劣化する。このため、0.0020%以下とする。好ましくは、0.0015%以下とする。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(1)
上記式(1)において、元素記号は各元素の含有量(質量%)を意味する。ただし、含有しない元素は0%とする。
Cuは、焼入れ性を向上させる作用を有する元素であり、母材硬度を向上させるために任意に添加することができる。Cuを添加する場合、このような効果を得るためにはCu含有量を0.05%以上とする。一方、Cu含有量が0.50%を超えると合金コストの上昇を招く。このため、Cuを添加する場合、Cu含有量を0.50%以下とする。
Niは、Cuと同様に焼入れ性を向上させる作用を有する元素であり、母材硬度を向上させるために任意に添加することができる。Niを添加する場合、このような効果を得るためにNi含有量を0.05%以上とする。一方、Ni含有量が0.50%を超えると合金コストの上昇を招く。このため、Niを添加する場合、Ni含有量を0.50%以下とする。
Crは、Cuと同様に焼入れ性を向上させる作用を有する元素であり、母材硬度を向上させるために任意に添加することができる。Crを添加する場合、このような効果を得るためにCr含有量を、0.05%以上とする。一方、Cr含有量が1.00%を超えると合金コストの上昇を招く。このため、Crを添加する場合、Cr含有量を1.00%以下とする。
Moは、Cuと同様に焼入れ性を向上させる作用を有する元素であり、母材硬度を向上させるために任意に添加することができる。Moを添加する場合、このような効果を得るためにMo含有量を0.05%以上とする。一方、Mo含有量が0.50%を超えると合金コストの上昇を招く。このため、Moを添加する場合、Mo含有量を0.50%以下とする。
Vは、Cuと同様に焼入れ性を向上させる作用を有する元素であり、母材硬度を向上させるために任意に添加することができる。Vを添加する場合、このような効果を得るためにV含有量を、0.005%以上とする。一方、V含有量が0.080%を超えると合金コストの上昇を招く。このため、Vを添加する場合、V含有量を0.080%以下とする。
Caは、Sと結合し、圧延方向に長く伸びるMnS等の形成を抑制する作用を有する元素である。したがって、Caを添加することにより、硫化物系介在物が球状を呈するように形態制御し、母材の靭性等を向上させることができる。このような効果を得るために、Caを添加する場合、Ca含有量を0.0005%以上とする。一方、Ca含有量が0.0020%を超えると、介在物増加により母材靭性が劣化する。そのため、Caを添加する場合、Ca含有量は0.0020%以下とする。
REM(希土類金属)は、Caと同様、Sと結合し、圧延方向に長く伸びるMnS等の形成を抑制する作用を有する元素である。したがって、Caを添加することにより、硫化物系介在物が球状を呈するように形態制御し、母材の靭性等を向上させることができる。このような効果を得るために、REMを添加する場合、REM含有量を0.0005%以上とする。一方、REM含有量が0.0020%を超えると、介在物増加により母材靭性が劣化する。そのため、REMを添加する場合、REM含有量は0.0020%以下とする。
次に、本発明の耐摩耗鋼板の組織について説明する。本発明の耐摩耗鋼板は、マルテンサイトの面積率が90%以上であり、旧オーステナイト粒の板厚方向粒径dLに対する圧延方向粒径dZの比(dZ/dL)が8.0以上である組織を有する。なお、本発明における組織の面積分率は、鋼板の板厚tの1/2位置(1/2t位置)における値を指すものとする。組織の測定は、鋼板の圧延方向に平行な断面をエッチングし、1/2t位置を観察することにより行う。より具体的には、実施例に記載した方法で面積率およびdZ/dLを求めることができる。
本発明においては、マルテンサイトの面積率を90%以上とする。マルテンサイトの面積率が90%未満であると、鋼板の基地組織の硬度が低下するため、耐摩耗性が劣化する。加えて、低靭性である上部ベイナイト組織が増加し、靭性が劣化する。そのため、マルテンサイトの面積率を90%以上とする。
曲げ加工性を改善するためには、旧オーステナイト粒の板厚方向粒径dLに対する圧延方向粒径dZの比(dZ/dL)を8.0以上とする。dZ/dLとすることにより、特に圧延方向と直角方向の曲げ加工性が向上する。なお、ここでいう板厚方向粒径とは、板厚方向のフェレ径であり、圧延方向粒径とは圧延方向のフェレ径を示している。すなわち、圧延方向粒径を板厚方向粒径の8.0倍以上とする。
ブリネル硬さ:400HBW5/750以上
本発明の耐摩耗鋼板は、ブリネル硬さで400HBW5/750以上の硬さを有する。鋼板の耐摩耗性は、鋼板の表層部における硬度を高めることにより向上させることができる。本発明において、硬度がブリネル硬さで400HBW未満では、十分な耐摩耗性を得ることができない。そのため、硬度がブリネル硬さで400HBW以上とする。好ましくは、425HBW以上とする。一方、曲げ加工性を考慮すると、その上限を490HBW以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、475HBW以下とする。なお、本発明における硬度は、耐摩耗鋼板の表面から0.5mmの深さの位置におけるブリネル硬さを指すものとする。また、ブリネル硬さは、直径5.0mmのタングステン硬球を使用し、荷重750kgfで測定した値(HBW5/750)とする。より具体的には、実施例に記載した方法で測定することができる。
次に、本発明の耐摩耗鋼板の製造方法について説明する。本発明の耐摩耗鋼板は、上述した成分組成を有する鋼スラブを、加熱し、熱間圧延した後に、加速冷却しコイルに巻取り、調質圧延を行うことによって製造することができる。なお、特にことわらない限り、各温度は板厚中心部の温度とする。
鋼素材の製造方法はとくに限定されないが、例えば、上記した組成を有する溶鋼を常法により溶製し、鋳造して製造することができる。溶製は、転炉、電気炉、誘導炉等、任意の方法により行うことができる。また、鋳造は、生産性の観点から連続鋳造法で行うことが好ましいが、造塊−分解圧延法により行うこともできる。鋼素材としては、例えば、鋼スラブを用いることができる。
得られた鋼スラブは、熱間圧延に先立って加熱温度に加熱される。加熱は、鋳造などの方法によって得た鋼素材を一旦冷却した後に行ってもよく、また、得られた鋼素材を冷却することなく直接、加熱に供することもできる。加熱温度は、1180〜1300℃とする。Nbによる未再結晶域拡大効果を得るためには、圧延前にNbを固溶させておく必要がある。そのためには、加熱温度を1180℃以上とする。加熱温度が1180℃未満の場合、Nbによる未再結晶域拡大効果が得られないばかりか、Nb系析出物が粗大化して母材靭性が劣化する。一方、加熱温度が1300℃を超えると鋼スラブの酸化が顕著となり、酸化によるロスが増大するだけでなく、酸化スケールに起因する表面疵が発生する。そのため、1180〜1300℃の範囲とする。
次いで、加熱された鋼スラブを熱間圧延により熱延鋼板とする。
旧オーステナイト粒の板厚方向粒径に対する圧延方向粒径の比(dZ/dL)を8.0以上とするために、仕上圧延温度を980℃以下とする。仕上圧延温度が980℃を超えると、dZ/dLを8.0以上とすることができず、所望の曲げ加工性を得ることができない。また、次工程の冷却時にAr3変態点以上の温度域から加速冷却を開始するために、仕上圧延温度を850℃以上とする。
dZ/dLを8.0以上とするために、仕上圧延機での圧下比を4.0以上の圧延を実施する。仕上圧延の圧下比が4.0未満の場合、dZ/dLを8.0以上とすることができず、所望の曲げ加工性を得られない。
次いで、得られた熱延鋼板を加速冷却し、コイルに巻き取る。この加速冷却処理は、製造工期短縮や製造コストの高騰を避ける理由で、熱延鋼帯製造プロセスにおいて圧延終了後から巻取りまでの間、ランナウトテーブル上で鋼板を水冷で加速冷却するランナウト冷却とすることが好ましい。
フェライト生成する前に冷却開始するために、冷却開始温度をAr3変態点以上とする。なお、Ar3変態点は、例えば、次の(2)式で求めることができる。
Ar3(℃)=910−273×C−74×Mn−57×Ni−16×Cr−9×Mo−5×Cu・・・(2)
ただし、(2)式中の各元素記号は、各元素の含有量(質量%)であり、含有されていない元素は0%とする。
加速冷却後のマルテンサイト面積率を90%以上とし、所望の母材硬度と均一な鋼板形状を得るために、加速冷却時、800〜300℃間の平均冷却速度を50℃/s以上とする。平均冷却速度が50℃/s未満の場合、フェライトやベイナイトが生成して所望の母材硬度が得られない。また、冷却が不均一となり、鋼板に波形状の歪が発生する。このような歪が発生した場合、次工程のスキンパスによる調質圧延でも形状矯正ができなくなる。したがって、高硬度と形状改善のためには、平均冷却速度を50℃/s以上とする。一方、平均冷却速度は95℃/s以下とすることが好ましい。平均冷却速度が95℃/s以下であれば、鋼板が形状悪化することなく、平坦度に優れた耐摩耗鋼板を得ることができる。
冷却停止温度は250℃以下とし、この温度でコイルに巻取る。冷却停止温度(巻取温度)が250℃より高いと、マルテンサイトの面積率を十分に高めることができず、鋼板の硬度が低下する。冷却停止温度は、200℃以下とすることが好ましい。
コイルに巻取った鋼板は、冷却歪による鋼板形状(平坦度)不良を矯正する目的で、調質圧延を行う。調質圧延は、圧延機とテンションレベラーを備えた設備を用い、圧延荷重700トン以上、前方−後方張力20トン以上、伸び率0.10%以上で行うことが好ましい。
各鋼板から硬さ測定用試験片を採取し、JIS Z 2243(1998)の規定に準拠してブリネル硬さを測定した。測定は、耐摩耗鋼板表面に存在するスケールおよび脱炭層の影響を除くため、鋼板表面から0.5mmの深さまでの領域を研削除去したのちに実施した。したがって、測定された硬度は、鋼板表面から0.5mmの深さの面における表面硬度である。なお、測定に際しては、直径5.0mmのタングステン硬球を使用し、荷重は750kgfとした。また、測定位置は、鋼板の幅方向中央とし、各5箇所測定し算術平均を求めた。
各鋼板の板幅中央部から、JIS Z 2202の規定に準拠してVノッチ試験片を採取した。Vノッチ試験片を用い、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、−40℃におけるシャルピー吸収エネルギー(vE−40℃)を求め、靭性を評価した。板厚3.2mm以上の鋼板は、試験片サイズ2.5mm厚×10mm×50mmの試験片を使用した。また、板厚2.5mm以下の鋼板は、板厚×10mm×55mmの試験片(JISに規定はない試験片であるが、JIS通りの試験片が採取できないため、板厚×10mm断面とした)を使用した。試験片は3本とし、得られた吸収エネルギー値の算術平均を求めた。vE−40℃は、10J以上を合格とした。
各鋼板の幅方向中央部からサンプルを採取した。JIS Z 3154「重ね継手溶接割れ試験方法」に準拠し、溶接部の割れの有無を調査した。なお、下板には対象材をもちい、上板には板厚19mmのSS400を用いた。溶接方法はガスシールドアーク溶接とし、溶接入熱10〜11kJ/cmで試験ビードを置いた。
マルテンサイトの面積率
各鋼板の幅方向中央部からサンプルを採取した。サンプルを30mm角に切断し、圧延方向に平行な断面が観察面となるように樹脂に埋込み、表面を鏡面研磨し、さらにナイタールエッチングした後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、板厚中央部を倍率2000倍で撮影した。撮影された像を、画像解析装置を用いて解析することによってマルテンサイトの面積分率を求めた。
各鋼板の幅方向中央部からサンプルを採取し、サンプルを30mm角に切断した後、圧延方向に平行な断面が観察面となるように樹脂に埋込み、鏡面研磨しエッチングした後、SEMを用いて板厚中央部を圧延方向に沿って撮影した。撮影された像を、画像解析装置を用いて解析することによって、dZ/dLを求めた。
得られた鋼板から、幅40mm×長さ(圧延方向)200mmの曲げ試験片を採取し、JIS Z 2248の規定に準拠して、曲げ半径2.5t(tは板厚)で180°曲げ試験を行い、割れの有無を確認し、曲げ性を評価した。
調質圧延後、リコイル設備にて、鋼板幅×圧延方向長さ6メートルのシート状にした後、JIS G3193に記載される方法で水糸を用いて、大きさ3mm以上の歪の個数を計測した。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.18〜0.22%、Si:0.01〜0.45%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.020%以下、S:0.008%以下、Al:0.010〜0.100%、Nb:0.010〜0.030%、Ti:0.005〜0.025%、B:0.0004〜0.0020%を含み、かつ(1)式で示すCeq値が0.48%以下であり、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
マルテンサイトの面積率が90%以上であり、旧オーステナイト粒の板厚方向粒径dLに対する圧延方向粒径dZの比(dZ/dL)が8.0以上である組織を有し、ブリネル硬さで400HBW5/750以上の硬さを有する耐摩耗鋼板。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(1)
上記式(1)において、元素記号は各元素の含有量(質量%)を意味する。ただし、含有しない元素は0%とする。 - 前記成分組成が、質量%で、Cu:0.05〜0.50%、Ni:0.05〜0.50%、Cr:0.05〜1.00%、Mo:0.05〜0.50%、V:0.005〜0.080%のうちから選ばれる1種または2種以上をさらに含有する請求項1に記載の耐摩耗鋼板。
- 前記成分組成が、質量%で、Ca:0.0005〜0.0020%、REM:0.0005〜0.0020%のうちから選ばれる1種または2種をさらに含有する請求項1または2に記載の耐摩耗鋼板。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成分組成を有する鋼スラブを1180〜1300℃に加熱し、加熱された鋼スラブに、仕上圧延温度980〜850℃において、圧下比(仕上圧延機入側厚/仕上圧延機出側厚)が4.0以上の仕上圧延を行い、Ar3変態点以上の温度から冷却を開始し、800〜300℃の間における平均冷却速度が50℃/s以上の条件で加速冷却し、巻取温度250℃以下で巻取り、調質圧延を行う耐摩耗鋼板の製造方法。
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