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JP2021099134A - 焼結含油軸受およびその製造方法 - Google Patents

焼結含油軸受およびその製造方法 Download PDF

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亮一 宮崎
Ryoichi Miyazaki
亮一 宮崎
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Abstract

【課題】低温環境下において、鳴き音の発生が抑えられる焼結含油軸受を提供する。【解決手段】全体組成が、質量比で、銅:10%以上59%以下、錫:0.5%以上3.0%以下、を含み、残部が鉄と不可避不純物からなる鉄系焼結合金であって、軸受内周面の気孔面積率が20%以上50%以下であり、気孔総数が800個/mm2以上であり、および、気孔分布が、円相当径で100μmを超える気孔の数が気孔総数の0.5%を超え1.0%以下、円相当径で80μmを超え100μm以下である気孔の数が気孔総数の1.5%以下、円相当径で60μmを超え80μm以下である気孔の数が気孔総数の1.0%以下、円相当径で40μmを超え60μm以下である気孔の数が気孔総数の3.0%以下、および円相当径で40μm以下の気孔が気孔総数の残部である、焼結含油軸受を用いる。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、焼結含油軸受およびその製造方法に関し、特に、自動車等に電装される電動機用の焼結含油軸受およびその製造方法に関する。
焼結含油軸受は、多孔質焼結体により軸受本体を形成し、焼結体の気孔中に潤滑油を含浸したものであり、無給油で長時間使用できる利点を有する。この利点により、焼結含油軸受は、各種軸受装置に適用されており、自動車の製造分野においても各種電装用モータの軸受等に適用が進んでいる。これらの電装用モータは自動車の室内に配置されるため、軸と軸受内周面が金属接触して摺動する際に発生する騒音、いわゆる鳴き音が発生すると耳障りとなるため、鳴き音の発生防止のための各種手段が検討されている。
特許文献1および2は、例えば、零下20℃あるいは零下30℃に至るような寒冷地環境で使用しても鳴き音が発生しない焼結含油軸受を提供するもので、有効多孔率が高いながらも通気度が低いという相反する特性を焼結含油軸受に付与することで、鳴き音の発生を防止したものである。すなわち、通気度は潤滑油の滲み出し性および摺動面の油圧に影響し、通気度が高いものは、寒冷地環境での摺動の際に鳴き音が発生し易い。一方、通気度を高めるために焼結含油軸受の密度を高くすると気孔の数が減少し、その結果、有効多孔率が減少して、その分、含油能力が低下する。したがって、含油能力を高めるために有効多孔率を増加させると通気度は増加する。このように、通気度と有効多孔率は二律背反の関係にあり、有効多孔率(含油能力)を高くするとともに通気度を低下させることは困難とされている。
上記課題に対し、特許文献1及び2では、鉄粉末として多孔質の還元鉄粉末を用いることで、焼結含油軸受の鉄相に微細気孔を多数配置して有効多孔率を高くし、これにより、通気度を低く抑制しつつ有効多孔率を高めることで、相反する通気度と有効多孔率の問題を解決し、寒冷地環境で使用しても鳴き音が発生しない焼結含油軸受を提供している。
しかしながら、上記焼結含油軸受を自動車の窓開閉用のパワーウインド用モータの軸受として使用すると、常温環境下でも鳴き音が発生する問題がある。パワーウインドは短時間のみの作動であり、しかも間欠的に運転されるものであるから、充分な量の潤滑油が供給されて軸と軸受の内周面との間に強固な油膜が形成される以前に運転が停止され、そのため常に軸と軸受の内周面との間の油膜形成が不充分になってしまう問題がある。特許文献3に開示の技術では、焼結含油軸受の粒子間気孔において、中程度の気孔を配置するとともに大きな粒子間気孔の数を抑制することによって焼結含油軸受の通気度が小さく抑制されたまま、潤滑油の供給のための気孔が配置され、その結果、運転開始時から充分な量の潤滑油が供給され、軸と焼結含油軸受内周面との間に強固な油膜を形成することができる。
特開2003−120674号公報 特開2005−082867号公報 特許第6011805号公報
しかしながら、自動車の窓開閉用のパワーウインド用モータの軸受として使用する際、特許文献3の焼結含油軸受は、常温環境下での使用による鳴き音の発生を抑制することができるが、寒冷地環境等の低温環境下での使用では鳴き音の発生を十分に抑制することができない場合がある。
本発明の実施形態は、鳴き音の発生が抑えられる焼結含油軸受と、そのような焼結含油軸受の製造方法を提供することを目的とする。
焼結含油軸受の「気孔」は、次の2種の気孔からなる。すなわち、一般の焼結合金が有する、粉末粒子間の隙間として形成される気孔(以下、「粒子間気孔」と称す)と、海綿状の多孔質鉄粉末により形成される焼結合金の鉄相(鉄部)内に分散する微細気孔(以下、「微細気孔」と称す)である。粒子間気孔は比較的大きな気孔であり、焼結含油軸受の通気度に与える影響が大きい。一方、微細気孔は、一部連通するものの多数は連通しておらず、焼結含油軸受の通気度に与える影響は小さい。
鳴き音の発生を抑制するためには、軸と、軸が摺動する軸受内周面とを金属接触させず良好な摺動状態とする必要があり、このため、軸と軸受内周面との間に適切な油膜を形成し、油膜の圧力で軸を保持して金属接触を抑制する必要がある。一般に、潤滑油の供給のためには通気度を高くして、潤滑油の供給を円滑に行うことが行われるが、軸と軸受内周面との間の油膜の形成の観点からは、軸受の通気度が高いと潤滑油の漏洩が生じ、適切な油膜が形成されなくなる。
また、低温環境下では潤滑油の粘度が増大するため、軸と軸受内周面との間の潤滑油が減少し、適切な油膜が形成されず、軸と軸受内周面とが金属接触することがある。
そこで本発明者は、低温環境下においても適切な油膜が形成されるように粒子間気孔の大きさに着目し、適度な大きさの粒子間気孔を配置すれば、低温環境下においても軸受の通気度を小さく抑制したまま運転開始時に不足する潤滑油が供給され、運転開始時から良好な油膜を形成できるとの予測のもとに鋭意研究を重ねるとともに、微細気孔および粒子間気孔を含む大きめの気孔の数について検討を重ねた結果、本発明を完成するに至る。
本発明の一実施形態は、焼結含油軸受において、大きめの気孔として、気孔径が円相当径で100μmを超える粒子間気孔の数を気孔総数の0.5%を超え1.0%以下であるように配置するとともに、中程度の大きさの気孔として、気孔径が円相当径で80μmを超え100μm以下(以下、「80〜100μm」と記載することもある)である粒子間気孔の数を気孔総数の1.5%以下、気孔径が円相当径で60μmを超え80μm以下(以下、「60〜80μm」と記載することもある)である粒子間気孔の数が気孔総数の1.0%以下、気孔径が円相当径で40μmを超え60μm以下(以下、「40〜60μm」と記載することもある)である粒子間気孔の数が気孔総数の3.0%以下に調整する。このように粒子間気孔を含む大きめの気孔を所定割合で配置するとともに中程度の大きさの粒子間気孔の数を抑制することにより、低温環境下においても軸受の通気度を小さく抑制したまま、潤滑油の供給のための気孔が配置され、その結果、運転開始時から充分な量の潤滑油が供給され、軸と軸受内周面との間に強固な油膜を形成することができる。
本発明の実施形態の例を以下に挙げる。本発明は以下の実施形態に限定されない。
<1> 全体組成が、質量比で、銅:10%以上59%以下、錫:0.5%以上3.0%以下、を含み、残部が鉄と不可避不純物からなる鉄系焼結合金であって、軸受内周面の気孔面積率が20%以上50%以下であり、気孔総数が800個/mm以上であり、および気孔分布が、円相当径で100μmを超える気孔の数が気孔総数の0.5%を超え1.0%以下、円相当径で80μmを超え100μm以下である気孔の数が気孔総数の1.5%以下、円相当径で60μmを超え80μm以下である気孔の数が気孔総数の1.0%以下、円相当径で40μmを超え60μm以下である気孔の数が気孔総数の3.0%以下、および円相当径で40μm以下の気孔が気孔総数の残部である、焼結含油軸受。
<2> 全体組成に、亜鉛およびニッケルからなる群より選択される少なくとも1種を、5質量%以下含む、<1>に記載の焼結含油軸受。
<3> 黒鉛、二硫化モリブデン、硫化マンガン、および弗化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の固体潤滑剤成分が、前記鉄系焼結合金100質量部に対して0.2質量部以上2質量部以下であり、前記鉄系焼結合金の気孔中に分散する、<1>または<2>に記載の焼結含油軸受。
<4> 鉄粉末に、銅粉末と、錫粉末および銅錫合金粉末からなる群より選択される少なくとも1種の粉末とを混合した原料粉末を用い、前記原料粉末を圧縮成形して密度が5.5Mg/m以上6.8Mg/m以下の範囲である成形体を成形し、得られた成形体を焼結する焼結含油軸受の製造方法であって、前記原料粉末の組成が、質量比で、銅:10%以上59%以下、錫:0.5%以上3.0%以下、を含み、残部が鉄と不可避不純物からなり、前記鉄粉末として、表面から内部にわたり微細孔を有する海綿状で、気体吸着法による比表面積が110m/kg以上500m/kg以下であり、140メッシュ篩上の粉末が14%以上29%以下、140メッシュ篩下かつ325メッシュ篩上の粉末が45%以上64%以下、325メッシュ篩下の粉末が残部である粒度分布を有する多孔質鉄粉Aと、内部に気孔を有する中空状で、気体吸着法による比表面積が80m/kg以上110m/kg以下であり、90メッシュ篩上の粉末が5%を超え10%未満、90メッシュ篩下かつ140メッシュ篩上の粉末が20%以上35%以下、140メッシュ篩下の粉末が残部である粒度分布を有し、前記90メッシュ篩上の粉末の内部に50μm以上の気孔を有する粉末が該粉末に対して50%以上80%未満含まれ、かつ前記90メッシュ篩下かつ140メッシュ篩上の粉末の内部に40μm以上60μm以下の気孔を有する粉末が該粉末に対して50%以上80%未満含まれる多孔質鉄粉Bとからなる多孔質粉末であり、前記多孔質鉄粉末Aが多孔質鉄粉末に占める割合が、80%以上95%以下である鉄粉末を用い、前記錫粉末および前記銅錫合金粉末からなる群より選択される少なくとも1種の粉末として325メッシュ篩下の粉末を用い、前記銅錫合金粉末による銅以外の銅粉末として、100メッシュ篩下の箔状銅粉末、もしくは、前記原料粉末全量に対して2質量%以上の100メッシュ篩下の箔状銅粉末を含み残部が200メッシュ篩下の電解銅粉末を用い、前記焼結における焼結温度が760℃以上810℃以下である、焼結含油軸受の製造方法。
<5> 前記原料粉末に、亜鉛およびニッケルからなる群より選択される少なくとも1種を、5質量%以下となるよう銅亜鉛合金粉末および銅ニッケル合金粉末からなる群より選択される少なくとも1種を添加する、<4>に記載の焼結含油軸受の製造方法。
<6> 前記原料粉末100質量部に対し、0.2質量部以上2質量部以下の黒鉛粉末、二硫化モリブデン粉末、硫化マンガン粉末、および弗化カルシウム粉末からなる群より選択される少なくとも1種の固体潤滑剤成分粉末を添加する、<4>または<5>に記載の焼結含油軸受の製造方法。
なお、本明細書等において、nnnメッシュ篩下の粉末とは目開きがnnnメッシュの篩を通過する大きさの粉末を意味し、mmmメッシュ篩上の粉末とは目開きがmmmメッシュの篩を通過しない大きさの粉末を意味する。例えば、140メッシュ篩下かつ325メッシュ篩上の粉末とは、目開きが140メッシュの篩を通過し、目開きが325メッシュの篩を通過しない大きさの粉末を意味する。
本発明の実施形態によれば、低温環境下においても鳴き音の発生が抑えられる焼結含油軸受を提供することができる。
(1)焼結含油軸受
(1−1)焼結合金の組成
焼結含油軸受を構成する焼結合金としては、全体組成が、質量比で、銅:10%以上59%以下、錫:0.5%以上3.0%以下、を含み、残部が鉄と不可避不純物からなり、鉄相、銅合金(Cu−Sn合金)相、および気孔(粒子間気孔および微細気孔)からなる金属組織を呈する鉄銅系焼結合金を用いる。
鉄は後述する多孔質鉄粉末の形態で付与され、鉄相を形成して軸受の強度の向上に寄与するとともに、鉄相内に分散する微細気孔により有効多孔率を高くして含油能力を高くする。
銅は、軟質な銅系合金(Cu−Sn)相を形成し、軸とのなじみ性の改善および焼き付きの抑制に寄与する。全体組成中の銅の量が10質量%以上であると、前述の効果を有し、全体組成中の銅の量が59質量以下であると、鉄相内に分散する微細気孔を十分確保できる。この結果、有効多孔率を高くして含油能力を十分確保できる。これらのことから、全体組成中の銅の量を10質量%以上59質量%以下とする。
錫は、銅と共晶液相を発生して焼結を促進する作用、および銅と合金化して銅系合金相を強化して銅系合金相の耐摩耗性を向上する作用を有する。全体組成中の錫の量が0.5質量%に満たないと、前述の作用が乏しい。一方、全体組成中の錫の量が3.0質量%を超えると、銅系合金相の硬さが増加しすぎて軸とのなじみ性が損なわれることとなる。これらのことから、全体組成中の錫の量を0.5質量%以上3.0質量%以下とする。
亜鉛及びニッケルは、銅合金相を強化して銅合金相の耐摩耗性の向上に寄与する作用を有するので、亜鉛及びニッケルの少なくとも1種を焼結合金の成分として有していてもよい。ただし、これらの元素の量が過大になると、軸の摩耗が増加し易くなる。このため、亜鉛及びニッケルの少なくとも1種を成分として有する場合は、亜鉛およびはニッケルの総量を全体組成の5質量%以下とする。
(1−2)気孔の面積率
軸受内周面の気孔面積率は、20%以上50%以下とする。軸受内周面の気孔面積率が20%に満たないと、気孔の数が少なく充分な潤滑効果が得られない。一方、軸受内周面の気孔面積率が50%を超えると、焼結含油軸受の強度の低下が著しくなる。
(1−3)気孔総数
焼結含油軸受の内周面に露出する気孔(粒子間気孔および微細気孔)の総数は、乏しいと有効多孔率が少なくなって含油能力が乏しくなるとともに、潤滑油の供給能力が乏しくなるため、気孔の総数を800個/mm以上とする。
(1−4)気孔分布
焼結含油軸受の内周面に露出する気孔総数の大部分は微細気孔であり、この微細気孔により有効多孔率を高くして含油能力を高くしている。一方、通気度を小さくしようとするあまり粒子間気孔まで小さくすると、潤滑油の供給能力が低下して充分な量の潤滑油が供給できず、適切な油膜の形成が損なわれる。このため、大きめの気孔を所定割合で配置するとともに中程度の大きさの粒子間気孔の数を抑制することにより、通気度の増加を抑制したまま潤滑油の供給能力を向上させ、低温環境下においても鳴き音の発生を抑制することができる。
大きめの気孔としては、円相当径で100μmを超える粒子間気孔の数を気孔総数の0.5%を超え1.0%以下であるよう配置する。本明細書等において、「円相当径」とは、一つの気孔の面積を、同じ面積の一つの円の面積とした場合の円の直径のことをいう。円相当径で100μmを超える粒子間気孔の数が気孔総数の0.5%以下であると、大きめの気孔の数が乏しく、低温環境下において潤滑油の供給能力の改善が果たされなくなる。一方、円相当径で100μmを超える粒子間気孔の数が気孔総数の1.0%を超えると、連通する気孔の数が増加して焼結含油軸受の通気度が増加し、低温環境下において潤滑油の漏洩が生じ、かえって騒音レベルが増加する。
また、前述のように大きめの気孔を配置しても、中程度の大きさの気孔が存在すると、焼結含油軸受の通気度が過度に増加するため、円相当径で80〜100μmである粒子間気孔の数が気孔総数の1.5%以下とし、さらに円相当径で60〜80μmである粒子間気孔の数が気孔総数の1.0%以下、および円相当径で40〜60μmである粒子間気孔の数が気孔総数の3.0%以下とする。
なお、円相当径で40μm以下である粒子間気孔は、気孔総数のうち前述の残部として形成され、焼結含油軸受の含油能力に寄与する。
(1−5)通気度
焼結含油軸受の通気度は、摺動音と密接な関係があり、通気度と騒音レベルの関係は二次関数に近似していて通気度が高いと騒音レベルも高くなる。このため、焼結含油軸受の通気度は30×10−11cm以下であることが好ましい。一方、焼結含油軸受の通気度は、潤滑油の供給能力に影響し、通気度が1×10−11cmに満たないと、潤滑油の供給が阻害されて良好な摺動特性が発揮できなくなる。これらのことから、焼結含油軸受の通気度は、1×10−11cm以上30×10−11cm以下であることが好ましい。
(2)焼結含油軸受の製造方法
(2−1)原料粉末
原料粉末は、多数の微細孔を有する海綿状の多孔質鉄粉末に、銅粉末、および錫粉末と銅錫合金粉末のうちの少なくとも一種の粉末を添加して混合した混合粉末を用いる。
(2−2)多孔質鉄粉末A
鉄粉末は、二種類の鉄粉末を混合して用いる。このうちの一種は、例えば、表面から内部にわたり多数の微細孔を有する海綿状で気体吸着法(BET法−ISO 9277)による比表面積が110m/kg以上500m/kg以下の多孔質鉄粉末Aを用いることができる。当該多孔質鉄粉末Aの微細孔が焼結含油軸受の微細気孔を形成する。ここで、気体吸着法による比表面積が110m/kgに満たない鉄粉末は微細孔が少なく、鉄粉末により得られる焼結合金の鉄相の微細気孔が少なくなって、焼結含油軸受の含油能力が著しく低下する。一方、比表面積が500m/kgを超える鉄粉末は微粉の量が多くなり易く、粒子間気孔が閉鎖気孔として形成され易くなり、潤滑油供給能力が著しく低下する。本発明の実施形態に用いることができる多孔質鉄粉末Aとしては、例えば、ヘガネス社製商品名LD80(比表面積が約200m/kg)、商品名P100(比表面積が約175m/kg)、および商品名R12(比表面積が約225m/kg)等が挙げられる。
多孔質鉄粉末Aは、微細な粉末ばかりであると鉄相の微細気孔を有効に形成することが難しくなる。一方、粗大な粉末ばかりであると、粗大な粉末どうしがブリッジングを生じて、これが大きな粒子間気孔を形成し、焼結含油軸受の通気度の増加を招く。このため、多孔質鉄粉末Aは、ある程度の大きさのものを適当量含む粒度分布とする必要がある。この観点より、多孔質鉄粉末Aの粒度分布を、140メッシュ篩上の粉末が14%以上29%以下、140メッシュ篩下かつ325メッシュ篩上の粉末が45%以上64%以下、325メッシュ篩下の粉末が残部となる粒度分布とする。これらの粒度分布のうち、いずれかが逸脱すると上記の微細気孔を得ることが難しくなる。なお、前述のとおり粗大な粉末はブリッジングの発生要因となるため、80メッシュ篩上の粉末は1%未満とすることが好ましい。
(2−3)多孔質鉄粉末B
粗大な粉末どうしがブリッジングを生じて大きな粒子間気孔を形成されるため、90メッシュ篩上の粉末が5%を超え10%未満となる粒度分布とすることにより、円相当径で100μmを超える粒子間気孔の数を気孔総数の0.5%を超え1.0%以下に調整する。
また、鉄粉末として前述の多孔質鉄粉末Aのみを用いた場合、中程度の気孔は、原料粉末を成形したときの原料粉末間の隙間が焼結後に形成される粒子間気孔のみであり、中程度の気孔の数が少なく、通気度が過少となり、潤滑油の供給能力が低下する。このため、内部にある程度の大きさの気孔を有する中空状で、気体吸着法による比表面積が80m/kg以上110m/kg以下の多孔質鉄粉末Bを用い、当該多孔質鉄粉末Bの内部に存在するある程度の大きさの気孔により、焼結含油軸受の中程度の大きさの気孔を形成する。
気体吸着法による多孔質鉄粉末Bの比表面積が80m/kgに満たない場合は、鉄粉末はある程度の大きさの気孔が少なく、この鉄粉末により得られる焼結合金の中程度の気孔の数が少なくなって、通気度が低下する。また、多孔質鉄粉末Bの比表面積が110m/kgを超える場合も、微細気孔が増加してある程度の大きさの気孔の数が少なくなって通気度が低下する。なお、多孔質鉄粉末Bの内部のある程度の大きさの気孔は、一部で多孔質鉄粉末Bの表面と連通する開放気孔として形成される。本発明の実施形態に用いることができる多孔質鉄粉末Bとして、例えば、DOWA IPクリエイション株式会社製商品名DHC−250(比表面積が約100m/kg)等が挙げられる。
多孔質鉄粉末Bは、内部に存在するある程度の大きさの気孔により中程度の大きさの気孔を形成する必要があることから、微細な粉末ばかりであると中程度の大きさの気孔の形成が難しくなる。一方、粗大な粉末ばかりであると、粗大な粉末どうしがブリッジングを生じて、これが粗大な粒子間気孔を形成し、焼結含油軸受の通気度の増加を招く。このため、多孔質鉄粉末Bについても、ある程度の大きさのものを適当量含む粒度分布とする必要がある。
このため多孔質鉄粉末Bは、90メッシュ篩上の粉末が5%を超え10%以下、90メッシュ篩下かつ140メッシュ篩上の粉末が20%以上35%以下、140メッシュ篩下の粉末が残部となる粒度分布として構成する。また、90メッシュ篩上の粉末は、内部に50μm以上の気孔を有する粉末が50%以上80%未満、90メッシュ篩下かつ140メッシュ篩上の粉末は、内部に40μm以上60μm以下の気孔を有する粉末が50%以上80%未満含まれるようにする。多孔質鉄粉末Bをこのように構成することで、焼結後に得られる焼結合金の大きめの気孔および中程度の気孔を上記範囲に調整することができる。これらの粒度分布および粉末に含まれる気孔の大きさのうち、いずれかが逸脱すると上記の粒度分布の大きめの気孔および中程度の気孔を得ることが難しくなる。
なお、多孔質鉄粉末Aと同じく、多孔質鉄粉末Bにおいても、80メッシュ篩上の粉末のような粗大な粉末はブリッジングの発生要因となるため、80メッシュ篩上の粉末は1%未満とすることが好ましい。
(2−4)多孔質鉄粉末Aと多孔質鉄粉末Bの割合
多孔質鉄粉末Aが鉄粉末全体(多孔質鉄粉末Aと多孔質鉄粉末Bの合計量)に占める割合が質量比で80%以上であると、微細気孔の数を十分確保でき、含油能力が向上する。また、多孔質鉄粉末Aが鉄粉末全体に占める割合が質量比で95%以下であると、中程度の大きさの気孔の数を十分確保でき、通気度が向上する。この結果、潤滑油の供給能力が向上する。このため、多孔質鉄粉末Aが鉄粉末全体に占める割合を質量比で80%以上95%以下とし、当該範囲で多孔質鉄粉末Aと多孔質鉄粉末Bを添加したものを鉄粉末として用いる。
(2−5)銅粉末
原料粉末の組成における銅の量は、前述した理由により10質量%以上59質量%以下とする。原料粉末中の銅の量は、後述する銅錫合金粉末を用いる場合の銅錫合金粉末による銅以外は、銅粉末として付与する。
当該銅粉末は、全量を箔状銅粉末として付与することができる。箔状銅粉末の形態で銅粉末を付与すると、箔状の銅粉末が多孔質鉄粉末の周囲をくるむように配置されるため、添加量の割に軸受内周面に露出する銅量を多くしたり、僅かではあるが存在する多孔質粉末内部の連通孔をブロックして通気度を低くすることができる。一方、箔状銅粉末は、通常用いられる電解銅粉末に比して高価であるため、銅粉末添加量が多い場合には、銅粉末の一部を電解銅粉末の形態で付与することがコスト上好ましい。しかし、この場合でも、箔状銅粉末を用いると上記の効果が得られるので、箔状銅粉末の添加量は原料粉末全体に対し少なくとも2質量%以上を用いることが好ましい。
なお、銅粉末の一部は錫とCu−Sn共晶液相を発生して焼結を促進させるが、銅粉末として大きいものを用いると、粗大な流出孔が形成されて通気度が増加するおそれがある。このため、箔状銅粉末の場合は粒度が100メッシュ篩下のものを用いるとよく、電解銅粉末を用いる場合には、粒度が200メッシュ篩下のものを用いるとよい。
(2−6)錫粉末および銅錫合金粉末のうち少なくとも1種の粉末
錫は、錫粉末および銅錫合金粉末のうち少なくとも1種の粉末の形態で付与される。上記のように全体組成中の錫の量は0.5質量%以上3質量%以下であるため、錫粉末および銅錫合金粉末のうち少なくとも1種の粉末は、原料粉末の組成において錫の量が0.5質量%以上3質量%以下となるよう添加する。
錫はCu−Sn共晶液相を発生して焼結を促進する作用、および銅と合金化して銅系合金相を強化して銅系合金相の耐摩耗性を向上する作用を有するが、これらの作用を焼結合金に均一に及ぼすため、錫粉末および銅錫合金粉末のうち少なくとも1種の粉末は、325メッシュ篩下の微細な粉末を用いるとよい。また、本発明の実施形態においては、銅錫合金粉末により中程度の大きさの粒子間気孔を形成するが、錫粉末および銅錫合金粉末のうち少なくとも1種の粉末をある程度の大きさの粉末とすると、これらの粉末からも流出孔として中程度の大きさの粒子間気孔が形成されるため、気孔分布の制御が難しくなる。この点からも、上記のように、錫粉末および銅錫合金粉末のうち少なくとも1種の粉末は、325メッシュ篩下の微細な粉末を用いるとよい。
なお、銅錫合金粉末を用いる場合、焼結温度で液相を発生する必要があり、このため銅錫合金粉末としては、錫の量が50質量%以上の銅錫合金粉末を用いることが好ましい。
焼結合金の成分として亜鉛およびニッケルの少なくとも1種を付与する場合、亜鉛を単味粉末の形態で付与すると焼結時に揮発し易く、またニッケルを単味粉末の形態で付与すると銅合金相に拡散し難い。このため、亜鉛およびニッケルの少なくとも1種を付与する場合、いずれの場合も銅合金粉末の形態で付与するとよい。前述のように、亜鉛およびニッケルの少なくとも1種を付与する場合、亜鉛およびニッケルの少なくとも1種の量(総量)は5質量%以下であるため、銅亜鉛合金粉末および銅ニッケル合金粉末の少なくとも1種の粉末は、原料粉末の組成において、亜鉛およびニッケルの少なくとも1種の量(総量)が5質量%以下となるよう添加する。また、これらの銅合金粉末を用いる場合、これらの銅合金粉末に含有される銅の量の分だけ上記の銅粉末の添加量を調整する必要がある。
(2−7)成形
前述の原料粉末は、通常の焼結含油軸受を製造する場合と同様に、成形体の外周形状を造形する型孔を有するダイと、成形体の下端面形状を造形する下パンチと、成形体の内周形状を造形するコアロッドとにより形成されるダイキャビティに充填され、成形体の上端面形状を造形する上パンチと該下パンチとにより圧縮成形されて略円筒形の成形体に成形される。このとき成形体密度は、通常の焼結含油軸受の成形体密度と同様に、5.5Mg/m以上6.8Mg/m以下の範囲に成形される。しかしながら、本発明の実施形態に用いることができる原料粉末においては、鉄粉末として前述の多孔質鉄粉末を用いており、通常のアトマイズ鉄粉末に比べて見掛け密度が低いことから、通常の焼結含油軸受の成形体に比して、粉末粒子間の隙間は小さく形成される。
(2−8)焼結
得られた成形体は、通常の焼結含油軸受を製造する場合と同様に、非酸化性雰囲気中で加熱して焼結するとよい。焼結温度が760℃に満たないと、焼結が進行せず焼結体の強度が低下する。その一方で、焼結温度が810℃を超えると、Cu−Sn共晶液相の発生量が過多となって銅錫合金粉末により形成した粒子間気孔にCu−Sn共晶液相が滲出し、所望の気孔分布を得ることが難しくなる。このため、焼結における焼結温度を760℃以上810℃以下とする。
(3)その他の実施形態
前述の焼結含油軸受において、従来の焼結含油軸受と同様に、黒鉛、二硫化モリブデン、硫化マンガン、弗化カルシウムのうち少なくとも1種の固体潤滑剤成分を付与してもよい。これらの固体潤滑剤成分を用いると、軸と摺動する際の摩擦係数を低減できる。これらの固体潤滑剤成分は焼結合金の鉄相や銅合金相と反応せず、粒子間気孔の内部に分散する。これらの固体潤滑剤成分を用いる場合、鉄系焼結合金100質量部に対して0.2質量部未満では効果が乏しく、2質量部を超えると軸受の強度の低下が顕著となる。このため、固体潤滑剤成分を用いる場合、固体潤滑剤成分の総量は、鉄系焼結合金100質量部に対して0.2質量部以上2質量部以下の範囲とする。このような固体潤滑剤成分を用いる場合、上記の原料粉末100質量部に対し0.2質量部以上2質量部以下の固体潤滑剤成分の粉末を添加すればよい。
前述の焼結含油軸受の製造方法においては、従来の焼結含油軸受と同様に、焼結後の焼結体に、軸受の寸法を強制するサイジング等の再圧縮処理を行うことができる。また、特公昭63−067047号公報等に記載のような軸受内周面へのテーパ付与を行う再圧縮処理についても行うことができる。
原料粉末として次の(1)乃至(5)の粉末を用意した。
(1)多孔質鉄粉末A:比表面積:200m/kg、140メッシュ篩上:19.2%、140メッシュ篩下かつ325メッシュ篩上:54.7%、および325メッシュ篩下:26.1%の粒度分布
(2)多孔質鉄粉末B
(b−1):比表面積:100m/kg、90メッシュ篩上:5.5%、90メッシュ篩下かつ140メッシュ篩上:32.0%、および140メッシュ篩下:62.5%の粒度分布、90メッシュ篩上の粉末の内部の50μm以上の気孔を有する粉末の該粉末に対する割合:70%、90メッシュ篩下かつ140メッシュ篩上の粉末の内部の40μm以上60μm未満の気孔を有する粉末の該粉末に対する割合:70%
(3)電解銅粉末:200メッシュ篩下の粉末が90質量%
(4)箔状銅粉末:100メッシュ篩下の粉末が90質量%
(5)錫粉末:325メッシュ篩下
上述の多孔質鉄粉末Aと多孔質鉄粉末Bとの割合(質量%)を多孔質鉄粉末A:多孔質鉄粉末B=90:10とし、当該鉄粉末に上記の電解銅粉末5質量%、箔状銅粉末6質量%、および錫粉末1質量%を添加し、これらの粉末の合計100質量部に対し成形潤滑剤であるステアリン酸亜鉛粉末0.5質量部を添加して混合し原料粉末を用意した。
得られた原料粉末を用いて成形体密度6.6Mg/mの成形体試料を作製し、得られた成形体試料を分解アンモニアガス雰囲気中、790℃に加熱して焼結を行い、外径10.30mm、内径7.31mmおよび高さ6.63mmの円筒形焼結体試料を作製した後、得られた円筒形焼結体試料を同一の再圧金型を用い、同一の圧力で再圧縮して外径10.22mm、内径7.32mmおよび高さ6.50mmに加工して、試料番号1の焼結体試料を作製した。
また、表1に記載の比率を使用した以外は試料番号01の焼結体試料と同様の操作で、試料番号2−6の焼結体試料を作製した。試料番号1で使用していない表1に記載の多孔質鉄粉末B(b−2)は以下に表されるものである。
(b−2):比表面積:100m/kg、90メッシュ篩上の粉末の内部の50μm以上の気孔を有する粉末の該粉末に対する割合:80%、90メッシュ篩下かつ140メッシュ篩上の粉末の内部の40μm以上60μm未満の気孔を有する粉末の該粉末に対する割合:65%
これらの焼結体試料について、軸方向に切断し、光学顕微鏡により内周面を観察するとともに、画像分析ソフトウエア(イノテック株式会社製 Quick Grain Standard Video)を用いて、気孔の面積、気孔の総数、および各気孔の円相当径およびその分布を調査するとともに、各気孔分布の範囲に属する気孔数が気孔総数に占める割合について調査した。これらの結果を表1に併せて示す。
さらに、これらの焼結体試料について、潤滑油として商品名アンデロール465(アンデロールジャパン製)を真空含浸して焼結含油軸受試料とし、電動機のモータシャフトの軸受として装着して該電動機を低温(−45℃)で運転したときの摩擦係数を測定した。この摩擦係数測定結果についても、表1に併せて示す。なお、電動機は、シャフトが直径7.29mmで、滑り速度が101m/分、PV値が110MPa・m/分である。
Figure 2021099134
なお、表1中の「−#nnn」はnnnメッシュ篩下、「+#mmm」はmmmメッシュ篩上の粉末を意味する。
表1の試料番号1−6の結果より、円相当径で100μmを超える粒子間気孔の数が気孔総数の0.5%を超え1.0%以下である試料1及び試料2において、低温での摩擦係数が小さくなることが確認された。また、原料粉末として90メッシュ篩上の粉末の内部に50μm以上の気孔を有する粉末が該粉末に対して50%以上80%未満含まれる多孔質鉄粉B(b−1)のなかで、90メッシュ篩上の粉末が5%を超え10%未満である粉末を用いる試料1及び試料2において、低温での摩擦係数が小さくなることが確認された。
本発明の実施形態の焼結含油軸受は、低温環境下においても自動車のパワーウインド用モータの軸受のような、間欠的かつ短時間使用される電装用モータの軸受に好適である。

Claims (6)

  1. 全体組成が、質量比で、銅:10%以上59%以下、錫:0.5%以上3.0%以下、を含み、残部が鉄と不可避不純物からなる鉄系焼結合金であって、
    軸受内周面の気孔面積率が20%以上50%以下であり、
    気孔総数が800個/mm以上であり、および
    気孔分布が、
    円相当径で100μmを超える気孔の数が気孔総数の0.5%を超え1.0%以下、
    円相当径で80μmを超え100μm以下である気孔の数が気孔総数の1.5%以下、
    円相当径で60μmを超え80μm以下である気孔の数が気孔総数の1.0%以下、
    円相当径で40μmを超え60μm以下である気孔の数が気孔総数の3.0%以下、および
    円相当径で40μm以下の気孔が気孔総数の残部である、焼結含油軸受。
  2. 全体組成に、亜鉛およびニッケルからなる群より選択される少なくとも1種を、5質量%以下含む、請求項1に記載の焼結含油軸受。
  3. 黒鉛、二硫化モリブデン、硫化マンガン、および弗化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の固体潤滑剤成分が、前記鉄系焼結合金100質量部に対して0.2質量部以上2質量部以下であり、前記鉄系焼結合金の気孔中に分散する、請求項1または2に記載の焼結含油軸受。
  4. 鉄粉末に、銅粉末と、錫粉末および銅錫合金粉末からなる群より選択される少なくとも1種の粉末とを混合した原料粉末を用い、前記原料粉末を圧縮成形して密度が5.5Mg/m以上6.8Mg/m以下の範囲である成形体を成形し、得られた成形体を焼結する焼結含油軸受の製造方法であって、
    前記原料粉末の組成が、質量比で、銅:10%以上59%以下、錫:0.5%以上3.0%以下、を含み、残部が鉄と不可避不純物からなり、
    前記鉄粉末として、
    表面から内部にわたり微細孔を有する海綿状で、気体吸着法による比表面積が110m/kg以上500m/kg以下であり、140メッシュ篩上の粉末が14%以上29%以下、140メッシュ篩下かつ325メッシュ篩上の粉末が45%以上64%以下、325メッシュ篩下の粉末が残部である粒度分布を有する多孔質鉄粉Aと、
    内部に気孔を有する中空状で、気体吸着法による比表面積が80m/kg以上110m/kg以下であり、90メッシュ篩上の粉末が5%を超え10%未満、90メッシュ篩下かつ140メッシュ篩上の粉末が20%以上35%以下、140メッシュ篩下の粉末が残部である粒度分布を有し、前記90メッシュ篩上の粉末の内部に50μm以上の気孔を有する粉末が該粉末に対して50%以上80%未満含まれ、かつ前記90メッシュ篩下かつ140メッシュ篩上の粉末の内部に40μm以上60μm以下の気孔を有する粉末が該粉末に対して50%以上80%未満含まれる多孔質鉄粉Bとからなる多孔質粉末であり、
    前記多孔質鉄粉末Aが多孔質鉄粉末に占める割合が、80%以上95%以下である鉄粉末を用い、
    前記錫粉末および前記銅錫合金粉末からなる群より選択される少なくとも1種の粉末として325メッシュ篩下の粉末を用い、
    前記銅錫合金粉末による銅以外の銅粉末として、100メッシュ篩下の箔状銅粉末、もしくは、前記原料粉末全量に対して2質量%以上の100メッシュ篩下の箔状銅粉末を含み残部が200メッシュ篩下の電解銅粉末を用い、
    前記焼結における焼結温度が760℃以上810℃以下である、焼結含油軸受の製造方法。
  5. 前記原料粉末に、亜鉛およびニッケルからなる群より選択される少なくとも1種を、5質量%以下となるよう銅亜鉛合金粉末および銅ニッケル合金粉末からなる群より選択される少なくとも1種を添加する、請求項4に記載の焼結含油軸受の製造方法。
  6. 前記原料粉末100質量部に対し、0.2質量部以上2質量部以下の黒鉛粉末、二硫化モリブデン粉末、硫化マンガン粉末、および弗化カルシウム粉末からなる群より選択される少なくとも1種の固体潤滑剤成分粉末を添加する、請求項4または5に記載の焼結含油軸受の製造方法。
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WO2023048082A1 (ja) * 2021-09-23 2023-03-30 Ntn株式会社 フィルタおよびフィルタ組立体

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