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JP2020107411A - 微細パタンを有するセパレータ、捲回体および非水電解質電池とその製造方法 - Google Patents

微細パタンを有するセパレータ、捲回体および非水電解質電池とその製造方法 Download PDF

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JP2020107411A JP2018242500A JP2018242500A JP2020107411A JP 2020107411 A JP2020107411 A JP 2020107411A JP 2018242500 A JP2018242500 A JP 2018242500A JP 2018242500 A JP2018242500 A JP 2018242500A JP 2020107411 A JP2020107411 A JP 2020107411A
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Abstract

【課題】芯材の引き抜きによるセパ捲回体の変形を防止することができる、セパレータを提供する。【解決手段】非水電解質電池に用いられ、かつ、片面11を内側にして捲回可能なセパレータ10であって、摩擦力が900gf以下となる少なくとも一つの低摩擦領域12を有し、片面11の面積に占める低摩擦領域12の面積の割合が、0.01%以上10%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、微細パタンを有するセパレータ、捲回体および非水電解質電池とその製造方法
等に関する。
近年の電子技術の発展又は環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが用いられている。電気化学デバイスの代表例である非水電解質電池、特にチウムイオン二次電池は、従来、主として小型機器用電源として用いられていたが、近年では、大型機器用電源、例えば、ハイブリッド自動車用電源又は電気自動車用電源としても着目されている。
非水電解質電池の内部には、正極、セパレータ、及び負極の積層体又はかかる積層体を捲回した捲回物(以下「捲回型の電極体」と称する場合がある)が収容されている。このうちセパレータは、正負極間の直接的な接触を防ぎ、かつ、微多孔膜中に保持した非水電解質を通じてイオンを透過させる機能を有する。なお、セパレータは、捲回体(以下「セパ捲回体」と称する場合がある)の状態で使用、保管、及び輸送等されることが多い。
ここで、非水電解質電池用のセパレータの少なくとも片面に、所定の目的に基づいた凹凸形状を設けることが提案されている。(例えば、特許文献1〜5参照)。
特開2016−184710号公報 特開2013−211192号公報 特許第4529903号 特開平5−151951号公報 国際公開第2008/053898号
捲回型の電極体又はセパ捲回体を作製するとき、積層体又はセパレータは張力を加えられながら捲回されるため、捲回数が増加するほど、積層体又はセパレータによって芯材が圧縮され易く、積層体又はセパレータと芯材との間の摩擦力が高められ易い。特に近年、電池の高容量化又は電池製造工程の効率化等の観点から、積層体又はセパレータの長尺化が望まれる場合が多く、捲回数も増加傾向にあるため摩擦力が高められ易い状況にある。
摩擦力が過度に高いと、捲回後の必要なタイミングで芯材を引き抜くとき、その引き抜き方向に積層体又はセパレータが共に引っ張られ、その結果、捲回型の電極体又はセパ捲回体がたけのこ状に突出(変形)してしまう場合がある。このような変形は、非水電解質電池の製造上の大きなロスを発生させる可能性が高い。
上記の状況の中、特許文献1〜5では、芯材の引き抜きによる捲回型の電極体又はセパ捲回体の変形を防止する観点について、検討がなされていなかった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、芯材の引き抜きによる捲回型の電極体又はセパ捲回体の変形を防止することができる、セパレータを提供することを目的とする。また、本発明は、かかるセパレータを含む捲回体、及び非水電解質電池とその製造方法等を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を行い、以下の要件を具備することにより上記課題を解決できることを見出して本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
非水電解質電池に用いられ、かつ、片面を内側にして捲回可能なセパレータであって、
摩擦力が900gf以下となる少なくとも一つの低摩擦領域を有し、
前記片面の面積に占める前記低摩擦領域の面積の割合が、0.01%以上10%以下である、セパレータ。
[2]
前記低摩擦領域における摩擦力が300gf以上である、[1]に記載のセパレータ。
[3]
前記セパレータは、前記低摩擦領域の周囲に、摩擦力が900gfを超える高摩擦領域を有し、
前記低摩擦領域の摩擦力と高摩擦領域と摩擦力との差が10gf以上600gf以下である、[1]又は[2]に記載のセパレータ。
[4]
前記低摩擦領域は、前記セパレータの前記流れ方向(MD)の長さを基準として、前記セパレータの前記流れ方向(MD)の端部から10%以内の端部領域を含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のセパレータ。
[5]
前記低摩擦領域は、前記片面を内側にして前記セパレータを捲回したときに最内に位置する最内領域を含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のセパレータ。
[6]
前記低摩擦領域が凹凸領域で構成されている、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のセパレータ。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載のセパレータを繰り返し単位として捲回した、捲回体。
[8]
正極、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のセパレータ、及び負極が積層された積層体又は前記積層体を捲回した捲回物と、非水電解質とを含む、非水電解質電池。
[9]
非水電解質電池に用いられ、かつ、片面を内側にして捲回可能なセパレータを製造する方法であって、
原反を用意する工程;及び、
摩擦力が900gf以下となる少なくとも一つの低摩擦領域を、前記原反の片面の面積に占める前記低摩擦領域の面積の割合が0.01%以上10%以下となるように物理的に形成し、前記セパレータを製造する工程を含む、セパレータの製造方法。
[10]
[9]に記載の方法によって製造した前記セパレータを用いて非水電解質電池を製造する工程を含む、非水電解質電池の製造方法。
[11]
非水電解質電池に用いられ、かつ、片面を内側にして捲回可能なセパレータを製造するための製造装置であって、
摩擦力が900gf以下となる少なくとも一つの低摩擦領域を、原反の片面の面積に占める前記低摩擦領域の面積の割合が0.01%以上10%以下となるように物理的に形成し、前記セパレータを製造する、セパレータの製造装置。
[12]
請求項11に記載の装置を備え、前記セパレータを用いて非水電解質電池を製造する、非水電解質電池の製造装置。
本発明によれば、低摩擦領域が最内に位置するようにセパレータを捲回することで、セパレータと芯材とが隣接する領域に低摩擦領域を位置させることができる。このため、たとえ捲回数が増加しても、セパレータと芯材との摩擦力を比較的低い範囲に維持することができ、これにより、捲回後に芯材を容易に引き抜くことができ、その結果、芯材の引き抜きによるセパ捲回体の変形を防止することができる。しかも、本発明によれば、低摩擦領域の面積の割合が上記の範囲に抑えられているので、芯材よりも外側(各層同士が対向する領域)においては、各層同士の好適な摩擦を確保でき、これによっても、芯材の引き抜きによるセパ捲回体の変形を防止することができる。
また、本発明によれば、上記のセパレータを用いて捲回型の電極体を作製することで、たとえセパ捲回体からの芯材の引き抜きを予定しない場合であっても、その捲回型の電極体から芯材を引く抜くときには、捲回型の電極体の変形を防止することができる。
更に、本発明によれば、かかるセパレータを備えた、捲回体(セパ捲回体)、及び非水電解質電池とその製造方法等を提供することもできる。
本発明の一態様に係るセパレータの上面、及び側面の構成例を示す図。 本発明の一態様に係るセパ捲回体の断面の構成例を示す図。 本発明の一態様に係るセパレータを捲回するときの構成例を示す図。 本発明の一態様に係るセパレータの製造方法の一例を示すフロー図。 本発明の一態様に係るセパレータの製造装置の構成例を示す図。 本発明の一態様に係る非水電解質電池の製造装置の構成例を示す図。 本発明の他の態様に係るセパレータの一例について説明するための図。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という。)について説明する。以下の実施形態は、本発明の一態様であり、本発明を以下の実施形態のみに限定する趣旨ではない。従って、以下の実施形態は、本発明の要旨の範囲内で適宜変形して実施可能である。本明細書での「〜」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を上限値、及び下限値として含む意味である。図面に示される構成、例えば、縮尺、形状、及び長さ等は、発明を詳細に説明する関係上、誇張して示されている場合がある。
〔実施形態1〕
実施形態1は、非水電解質電池に用いられるセパレータである。セパレータは、基材と、基材の少なくとも片面に設けられるパタンとを備えている。この種のパタンは、マイクロメートル単位の長軸の長さを有するため、微細パタンとも呼ばれる。パタンは、主面の全部に設けられてもよく、主面の一部のみに設けられてもよい。また、互いに対向する主面の一方のみにパタンが設けられる態様と、主面の両方にパタンが設けられる態様とのいずれも、本発明の範囲に含まれる。基材が複数のパタンを含む場合、それらのパタンは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
本明細書での「主面」とは、基材の表面のうち、少なくとも3辺を有し、かつ最大面積を有する面を意味する。すなわち、本明細書での「主面」とは、非水電解質電池に組み込まれたときに正極又は負極と対向する面を意味する。
以下、実施形態1に関連する各種の要素について順次説明する。
〔基材(原反)〕
基材としては、イオンの透過性が高く、かつ、正極と負極とを電気的に隔離する機能を有するもの、例えば、非水電解質電池に用いられる既知の微多孔膜を使用可能である。
具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、及びポリウレタン等のように、電池中の非水電解質に対して安定であり、かつ電気化学的に安定な材料で構成された微多孔膜又は不織布等を基材として用いることができる。
また、基材としては、好ましくは80℃以上(より好ましくは100℃以上)で、かつ好ましくは180℃以下(より好ましくは150℃以下)の温度において、その孔が閉塞する機能(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましい。従って、基材には、融解温度、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度範囲が、好ましくは80℃以上(より好ましくは100℃以上)、好ましくは180℃以下(より好ましくは150℃以下)であるポリオレフィンを含む微多孔膜又は不織布を用いることがより好ましい。この場合、基材となる微多孔膜又は不織布は、例えば、PEのみで構成されていてもよく、PPのみで構成されていてもよく、更には2種類以上の材料を含んでいてもよい。
なお、基材は、単数に限られず、複数の層を含むことができる。従って、基材は、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体(PP/PE/PP三層積層体等)、PE製の微多孔膜とポリイミド製の微多孔膜との積層体等でもよい。
基材の代表例としては、ポリオレフィン微多孔膜、及びポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面に無機層を備えたもの等が挙げられる。
(ポリオレフィン微多孔膜)
ポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィン樹脂を含んで構成される。ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等のホモポリマー、並びにこれらのコポリマー、多段ポリマー等を用いることができる。より具体的には、特に限定されないが、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、ポリブテン、及びエチレンプロピレンラバー等が挙げられる。
なかでも、非水電解質電池への用途を想定した場合、ポリオレフィン樹脂としては、低融点、かつ高強度である、高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂が好ましい。
また、ポリプロピレンと、ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂とを併用することがより好ましい。このようなポリオレフィン樹脂を用いることにより、セパレータの耐熱性がより向上する傾向にある。なお、ポリプロピレンの立体構造としては、特に限定されないが、例えば、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、及びアタクティックポリプロピレンが挙げられる。
ポリプロピレンの含有量としては、ポリオレフィン樹脂100質量%に対して、1〜35質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、4〜10質量%が更に好ましい。ポリプロピレンの含有量が上記の範囲内であることにより、より高い耐熱性とより良好なシャッダウン機能とを両立できる傾向にある。
ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、上記のものが挙げられ、なかでも、ポリエチレン、ポリブテン、及びエチレン−プロピレンランダムコポリマー等が好ましい。特に、シャットダウン特性の観点から、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び超高分子量ポリエチレン等がより好ましい。また、強度の観点から、JIS K 7112に従って測定した密度が0.93g/cm3以上であるポリエチレンも好ましい。
なお、ポリオレフィン樹脂は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂の含有量としては、基材100質量%に対して、50質量%以上100質量%以下が好ましく、60質量%以上100質量%以下がより好ましく、70質量%以上100質量%以下が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂の含有量が上記の範囲内であることにより、非水電解質電池用セパレータとして用いた場合のシャットダウン性能がより向上する傾向にある。
ポリオレフィン樹脂の粘度平均分子量としては、3万以上1200万以下が好ましく、5万以上200万以下がより好ましく、10万以上100万以下が更に好ましい。粘度平均分子量が3万以上であることにより、溶融成形時のメルトテンションが大きくなり基材の成形性が良好になると共に、ポリマー同士の絡み合いにより基材がより高強度となる傾向にある。一方、粘度平均分子量が1200万以下であることにより、均一に溶融混練をすることが容易となり、シートの成形性、特に厚み安定性に優れる傾向にある。更に、粘度平均分子量が100万以下であることにより、温度上昇時に孔を閉塞し易く良好なシャットダウン機能が得られる傾向にある。なお、例えば、粘度平均分子量100万未満のポリオレフィンを単独で用いる代わりに、粘度平均分子量200万のポリオレフィンと粘度平均分子量27万のポリオレフィンの混合物であって、その粘度平均分子量が100万未満となるポリオレフィン樹脂混合物を用いてもよい。
基材は、任意の添加剤を含有することができる。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂以外のポリマー;無機粒子;樹脂微粒子;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。
基材に無機粒子、及び/又は樹脂微粒子を含有させる場合には、上記のポリオレフィン微多孔膜中に、無機粒子、及び/又は樹脂微粒子を含有させればよい。
無機粒子としては、好ましくは、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、SiO2−MgO(ケイ酸マグネシウム)、SiO2−CaO(ケイ酸カルシウム)、ハイドロタルサイト、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ランタン、炭酸セリウム、塩基性チタン酸塩、塩基性ケイチタン酸塩、塩基性酢酸銅、塩基性硫酸鉛、層状複水酸化物(Mg−Alタイプ、Mg−Feタイプ、Ni−Feタイプ、Li−Alタイプ)、層状複水酸化物−アルミナシリカゲル複合体、ベーマイト、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、ヘマタイト、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の陰イオン吸着材、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム、アパタイト、非塩基性チタン酸塩、ニオブ酸塩、ニオブ・チタン酸塩等の陽イオン吸着材、ゼオライト、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、石膏、硫酸バリウム等の炭酸塩、及び硫酸塩、アルミナ三水和物(ATH)、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、ジルコニア、及びイットリア等の酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、及び窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス、シリコンカーバイド、カオリナイト、タルク、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、アメサイト、ベントナイト等の層状シリケート、アスベスト、ケイ藻土、ガラス繊維、合成層状シリケート、例えば、雲母又はフルオロ雲母、及びホウ酸亜鉛から成る群から選択される。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
樹脂微粒子としては、耐熱性、及び電気絶縁性を有し、非水電解質に対して安定であり、かつ非水電解質電池の作動電圧範囲において酸化還元され難い、電気化学的に安定な樹脂で構成されることが好ましい。このような樹脂微粒子を形成するための樹脂としては、スチレン樹脂(ポリスチレン等)、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド等)、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン等)、及びこれらの誘導体から成る群から選ばれる少なくとも1種の樹脂の架橋体、尿素樹脂、並びにポリウレタン等が例示できる。樹脂微粒子は、上記で例示された樹脂を1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、樹脂微粒子は、必要に応じて、樹脂に添加されることができる既知の添加剤、例えば、酸化防止剤等を含有してもよい。
無機粒子又は樹脂微粒子の形態としては、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、及び塊状等のいずれの形態であってもよい。上記形態を有する無機粒子又は樹脂微粒子は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。透過性向上の観点からは複数の面から成る多面体状が好ましい。
無機粒子又は樹脂微粒子の粒子径としては、その平均粒子径(D50)が、0.1μm〜4.0μmであることが好ましく、0.2μm〜3.5μmであることがより好ましく、0.4μm〜3.0μmであることが更に好ましい。このような範囲内に平均粒子径を調整することで高温での熱収縮がより抑制される傾向にある。
これらの添加剤の合計含有量としては、基材100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が更に好ましい。合計含有量の下限値は、特に制限されるものではなく、例えば、基材100質量部に対して、0質量部を超えることができる。
少なくとも片面に無機層を備えるポリオレフィン微多孔膜も、本発明が想定する基材の範囲に含まれる。このような基材を用いた場合、少なくとも片面に無機の被覆層が形成されたセパレータが構成される。
ポリオレフィン微多孔膜の、パタンが形成される面に無機層が設けられてもよく、パタンが形成される面とは反対側の面に無機層が設けられていてもよい。また、パタンが形成される面のうち、パタンに重なるように無機層が設けられてもよく、パタンに重ならないように無機層が設けられてもよい。
ただ、ポリオレフィン微多孔膜に無機層が設けられる場合、その無機層は、パタンが形成される面のうちパタンに重ならないように設けられることが好ましく、パタンが形成される面とは反対側の面に設けられることがより好ましい。
(無機層)
無機層としては、特に限定されないが、例えば、無機フィラーと樹脂製バインダを含むものが挙げられる。
このうち、無機フィラーとしては、上記で無機粒子として例示したものを好ましく用いることができる。なかでも、電気化学的安定性、及び微多孔膜の耐熱特性を向上させる観点から、アルミナ、ベーマイト等の酸化アルミニウム化合物;又はカオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト等のイオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物が好ましい。酸化アルミニウム化合物としては、水酸化酸化アルミニウムが好ましい。イオン交換能を持たないケイ酸アルミニウム化合物としては、安価で入手も容易なため、カオリン鉱物で主に構成されているカオリンが好ましい。カオリンには湿式カオリン、及びこれを焼成処理した焼成カオリンがあるが、焼成カオリンは焼成処理の際に結晶水が放出されるのに加え、不純物が除去されるので、電気化学的安定性の点で特に好ましい。
無機フィラーの形状としては、特に限定されないが、例えば、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、及び塊状等が挙げられ、上記形状を有する無機フィラーを複数種組み合わせて用いてもよい。なかでも、複数の面からなる多面体状、柱状、紡錘状が好ましい。このような無機フィラーを用いることにより、透過性がより向上する傾向にある。
無機フィラーの含有量としては、無機層100質量%に対して、50質量%以上100質量%未満が好ましく、70質量%以上99.99質量%以下がより好ましく、80質量%以上99.9質量%以下が更に好ましく、90質量%以上99質量%以下が特に好ましい。無機フィラーの含有量が上記の範囲内であることにより、無機フィラーの結着性、耐熱性、及び多層の微多孔膜とした場合における透過性等がより向上する傾向にある。
樹脂製バインダとしては、特に限定されないが、非水電解質に対して不溶であり、かつリチウムイオン二次電池の使用範囲で電気化学的に安定なものを用いることが好ましい。このような樹脂製バインダとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム;スチレン−ブタジエン共重合体、及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類;エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエステル等の融点、及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂等が挙げられる。
樹脂製バインダとしてポリビニルアルコールを用いる場合、そのケン化度は、85%以上100%以下が好ましく、90%以上100%以下がより好ましく、95%以上100%以下が更に好ましく、99%以上100%以下が特に好ましい。PVAのケン化度が85%以上であることにより、セパレータの短絡する温度(ショート温度)が向上し、より良好な安全性能が得られる傾向にある。
ポリビニルアルコールの重合度としては、200以上5,000以下が好ましく、300以上4,000以下がより好ましく、500以上3,500以下が更に好ましい。重合度が200以上であることにより、少量のポリビニルアルコールで焼成カオリン等の無機フィラーを無機層に強固に結着でき、無機層の力学的強度を維持しながら基材の透気度増加を抑えることができる傾向にある。また、重合度が5,000以下であることにより、塗布液を調製する際のゲル化等を防止できる傾向にある。
樹脂製バインダとしては、樹脂製ラテックスバインダが好ましい。樹脂製ラテックスバインダを用いることにより、イオン透過性が低下し難く、高出力特性が得られ易い傾向にある。加えて、異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い傾向にある。
樹脂製ラテックスバインダとしては、特に限定されないが、例えば、電気化学的安定性と結着性を向上させる観点から、脂肪族共役ジエン系単量体、不飽和カルボン酸単量体、並びに、脂肪族共役ジエン系単量体、及び/又は不飽和カルボン酸単量体と脂肪族共役ジエン系単量体、及び/又は不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを乳化重合して得られるものが好ましい。乳化重合の方法としては、特に制限はなく、既知の方法を用いることができる。単量体、及びその他の成分の添加方法については特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れも採用することができ、また、一段重合、二段重合又は多段階重合等の何れも採用することができる。
脂肪族共役ジエン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換、及び側鎖共役ヘキサジエン類等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。上記のなかでも、特に1,3−ブタジエンが好ましい。
不飽和カルボン酸単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノ又はジカルボン酸(無水物)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。上記のなかでも、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
脂肪族共役ジエン系単量体、及び/又は不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド単量体等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
なかでも、特に不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。上記のなかでも、特にメチルメタクリレートが好ましい。
なお、これらの単量体に加えて様々な品質、及び物性を改良するために、上記以外の単量体成分を更に用いることもできる。
樹脂製バインダの平均粒径としては、50〜800nmが好ましく、60〜700nmがより好ましく、80〜500nmが更に好ましい。樹脂製バインダの平均粒径が50nm以上であることにより、無機層をポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面に積層した際、イオン透過性が低下し難く、高出力特性が得られ易い傾向にある。加えて、異常発熱時の温度上昇が速い場合においても、円滑なシャットダウン特性を示し、高い安全性が得られ易い傾向にある。樹脂製バインダの平均粒径が800nm以下であることにより、良好な結着性を発現し、多層の微多孔膜とした場合に熱収縮が良好となり安全性に優れる傾向にある。なお、樹脂製バインダの平均粒径は、重合時間、重合温度、原料組成比、原料投入順序、pH等を調整することで制御することが可能である。
無機層の層厚としては、1〜50μmが好ましく、1.5〜20μmがより好ましく、2〜10μmが更に好ましく、3〜10μmがより更に好ましく、3〜7μmが特に好ましい。無機層の層厚が1μm以上であることにより、基材の耐熱性、及び絶縁性がより向上する傾向にある。また、無機層の層厚が50μm以下であることにより、電池容量と透過性がより向上する傾向にある。
無機層の層密度としては、0.5〜2.0g/cm3が好ましく、0.7〜1.5g/cm3がより好ましい。無機層の層密度が0.5g/cm3以上であることにより、高温での熱収縮率が良好となる傾向にある。また、無機層の層密度が2.0g/cm3以下であることにより、透気度がより低下する傾向にある。
〔セパレータ〕
セパレータは、上記の基材を含んで構成される。セパレータの空孔率は、非水電解質の保持量を確保してイオン透過性を良好にするために、セパレータの乾燥した状態で、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。一方、セパレータの強度の確保と内部短絡の防止の観点から、セパレータの空孔率は、セパレータの乾燥した状態で、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。なお、セパレータの空孔率Po(%)は、上記で説明された凹又は凸形状のパタンの高さを含むセパレータの厚み、面積当たりの質量、及び構成成分の密度から、下記式:
Po={1−(m/t)/(Σai・ρi)}×100
{式中、aiは、全体の質量を1としたときの成分iの比率であり、ρiは、成分iの密度(g/cm3)であり、mは、セパレータの単位面積当たりの質量(g/cm2)であり、かつtは、セパレータの厚み(cm)である。}
を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
また、セパレータの透気度は、10秒/100cc以上500秒/100cc以下であることが好ましく、より好ましくは20秒/100cc以上450秒/100cc以下であり、更に好ましくは30秒/100cc以上450秒/100cc以下である。透気度が10秒/100cc以上であることにより、セパレータを非水電解質電池に用いた際の自己放電がより少なくなる傾向にある。また、透気度が500秒/100cc以下であることにより、より良好な充放電特性が得られる傾向にある。
セパレータは、その少なくとも片面に、有機の被覆層が形成されていてもよい。すなわち、セパレータは、所望により、接着層を含んで構成されてもよい。接着層は熱可塑性ポリマーを含む。接着層のセパレータにおける位置については、セパレータの表面に形成されていれば特に限定されない。接着層は、セパレータの少なくとも片面の全部に配置されてもよく、一部のみに配置されてもよい。接着層において、熱可塑性ポリマーを含む部分と熱可塑性ポリマーを含まない部分とが海島状に存在していてもよい。ただ、接着層は、パタンを有する主面とは反対側の主面に形成されていることが好ましい。
〔低摩擦領域(微細パタン)〕
図1は、片面11を内側にして捲回可能な、上記のセパレータ10の構成例を示している。図中、セパレータ10の流れ方向MDと、流れ方向MDに垂直な垂直方向TDとが、矢印によって表されている。セパレータ10は、摩擦力が900gf以下となる少なくとも一つの低摩擦領域12を有し、その片面11の面積に占める低摩擦領域12の面積の割合(100×低摩擦領域12の面積/片面11の面積)は、0.01%以上10%以下である。
図1に示すセパレータ10を芯材Cにより捲回することで、セパ捲回体1が得られる。図2は、得られたセパ捲回体1を、芯材Cの軸心方向(セパ捲回体1の径方向)に沿って切断したときに現れる断面の構成例を示している。なお、セパレータ10を芯材Cにより捲回する、とは、芯材Cの外面に沿ってセパレータ10を巻き付ける、という意味である。このため、理論上、セパ捲回体1の軸心は、芯材Cの軸心とはほぼ一致する。
図1に示すセパレータ10(セパレータ10に形成されるパタン領域)を繰り返し単位として捲回することによっても、セパ捲回体1を作製することができる。ここで言う、繰り返し単位として捲回、には、セパレータ10に形成されるパタン領域を繰り返し単位として有するセパレータ(すなわち、セパレータ10に形成されるパタン領域が、流れ方向MDに繰り返し配置された長尺のセパレータ)を捲回することのみならず、互いに独立した図1に示すセパレータ10を複数回に亘って捲回することも含む。すなわち、芯材Cに捲回されるセパレータ10は、その全てが連続している必要はなく、一部が不連続であってもよい。セパレータ10に形成されるパタン領域を繰り返し単位として捲回する場合、この繰り返し数は限定されず、また、複数の異なる繰り返し単位が組合されても構わない。芯材Cについては、後述するように、既知のものを使用可能であるため、図1〜図2を含めて各図に表される芯材Cの構成(形状又は大きさ等)はあくまで一例に過ぎない。
実施形態1によれば、低摩擦領域12が最内に位置するようにセパレータ10を捲回することで、セパレータ10と芯材Cとが隣接する領域に低摩擦領域12を位置させることができる。このため、たとえ捲回数が増加しても、セパレータ10と芯材Cとの間の摩擦力(図2中、矢印F1参照)を比較的低い範囲に維持することができ、低摩擦領域を有しない場合と比較して、芯材Cの引き抜きに要する力(図2中、矢印F0参照)を低下させることができる。よって、実施形態1によれば、捲回後に芯材Cを容易に引き抜くことができ、その結果、芯材Cの引き抜きによるセパ捲回体1の変形を防止することができる。
しかも、実施形態1によれば、低摩擦領域12の面積の割合が上記の範囲に抑えられているので、芯材Cよりも外側の領域(各層同士が対向する領域)において、各層同士の好適な摩擦を確保できる。よって、セパレータ10が低摩擦領域12を有するとしても、芯材Cの引き抜きに抵抗する抗力(図2中、矢印F2参照)を好適に確保でき、これによっても、芯材Cの引き抜きによるセパ捲回体1の変形を防止することができる。
後述するように、セパレータ10を用いて、正極、セパレータ、及び負極の積層体が巻回された捲回物(捲回型の電極体)を構成することもできる。捲回型の電極体の最内を構成するセパレータ(すなわち、芯材Cの外周に接するセパレータ)としてセパレータ10を用いることで、捲回型の電極体から芯材Cを引き抜く場合も、上記に準じた理由により、芯材Cの引き抜きによる捲回型の電極体の変形を防止することができる。
セパレータは、例えば、片面11における、セパレータ10の流れ方向MDの長さLを二等分する仮想線VL(図1中、一点鎖線)を挟んだ少なくとも一方の領域11aに、上記の低摩擦領域12を有する。
仮想線VLは、垂直方向TDに沿った直線であり、セパレータ10の流れ方向MDの長さLを二等分する。このうち、長さLは、例えば、セパレータ10の流れ方向MDの両端に位置する各辺の、垂直方向TDの各中点同士を結んだ線分の長さによって与えられる。仮想線VLを挟んだ一方(図1中、左側の領域)は、一方の領域11aとされ、他方(図1中、右側の領域)は、他方の領域11bとされている。
低摩擦領域12は、少なくとも一方の領域11aに設けられている。実施形態1では、低摩擦領域12が一方の領域11aに偏在するように(一方の領域11aにおける低摩擦領域の面積が、他方の領域11bにおける低摩擦領域の面積よりも大きくなるように)、セパレータ10を形成した。より具体的には、低摩擦領域12を、一方の領域11aのみに設け、他方の領域11bには設けないようにした。このような構成によれば、各層同士が対向する領域に位置する低摩擦領域12の割合を抑えることができる。その結果、芯材Cの引き抜きに抵抗する抗力(図中、矢印F2参照)を好適に確保し易くなり、ひいては、芯材Cの引き抜きによるセパ捲回体1の変形を防止し易くなる。
ただ、本発明は上記の例に限定されず、一方の領域11aと他方の領域11bとの両方に低摩擦領域12が設けられてもよく、このとき、両者で低摩擦領域12の面積が等しくされてもよい。一方の領域11aと他方の領域11bとの両者に低摩擦領域12が設けられる場合、低摩擦領域12の配置は、仮想線VLを挟んで対称でも非対称でもよい。
低摩擦領域12における摩擦力の上限は、870gf以下が好ましく、850gf以下がより好ましく、820gf以下が更に好ましい。上限が上記の値であることにより、捲回後に芯材Cを容易に引き抜き易くなり、その結果、芯材Cの引き抜きによるセパ捲回体1の変形を防止し易くなる。
一方、低摩擦領域12の摩擦力の下限は、400gf以上が好ましく、500gf以上がより好ましく、600gf以上が更に好ましい。下限が上記の値であることにより、セパレータ10と芯材Cとの必要最低限の摩擦力を確保し易くなり、これにより、例えば、セパ捲回体1から芯材Cが意図せず脱落してしまうことを回避し易くなる。
低摩擦領域12は、複数の凹形状のパタン13が集合した、凹凸領域(パタン領域)で構成されている。低摩擦領域12が上記のパタン領域として構成されることで、低摩擦領域12が最内に位置するようにセパレータ10を芯材Cに捲回したとき、セパレータ10と芯材Cとの接触面積を小さくすることができるため、セパレータ10と芯材Cとの間の摩擦力を比較的低い範囲に維持することができる。
パタン13の形状、数、及び配列等は、本発明の範囲において限定されない。パタン13は、単数であってもよく、また、ライン・アンド・スペース状であってもよい。図1では、低摩擦領域12におけるパタン13は、所定のピッチで規則正しく格子状に配置されているが、この例に限定されず、格子状とライン・アンド・スペース状とを組み合わせたパタン配置であってもよい。また、片面11に低摩擦領域12が複数設けられる場合、各々の低摩擦領域12におけるパタン構造又はパタン配置は、同一であってもよいし異なってもよい。
ただ、パタン13は凹形状であることが好ましい。仮に凸形状のパタンが形成されると、その凸形状の高さの分だけ、捲回したときに隙間が生じ易くなる。よって、凹形状のパタン13であれば、より高密度にセパレータ10を捲回し易くなる。
片面11の面積に占める低摩擦領域12の面積の割合(100×低摩擦領域12の面積/片面11の面積)の下限は、0.50%以上が好ましく、1.00%以上がより好ましく、2.00%以上が更に好ましい。下限が上記の値であることにより、低摩擦領域12が最内に位置するようにセパレータ10を芯材Cに捲回したとき、セパレータ10と芯材Cとの接触面積を十分に小さくすることができため、セパレータ10と芯材Cとの間の摩擦力を比較的低い範囲に十分に維持することができる。
一方、この割合の上限は、8.0%以下であることが好ましく、7.0%以下であることがより好ましく、6.0%以下であることが更に好ましい。上限が上記の値であることにより、各層同士が対向する領域に位置する低摩擦領域2の割合を十分に抑えることができる。
上記の通り、低摩擦領域12は、凹形状のパタン領域として構成されている。パタン領域以外の領域には、凹形状のパタン13は形成されていない。このため、パタン領域以外の領域が、低摩擦領域12よりも摩擦力の大きい、高摩擦領域14として構成されている。このように、本実施形態では、低摩擦領域12の周囲に高摩擦領域14が位置する構成、言い換えれば、低摩擦領域12が高摩擦領域14によって挟まれている構成が実現されている。
なお、本明細書中、「摩擦力」は、セパレータ10と芯材Cとの間の摩擦力である。従って、低摩擦領域12の摩擦力は、例えば、低摩擦領域12が最内に位置するようにセパレータ10を芯材Cに捲回してセパ捲回体を作製し、このセパ捲回体から芯材Cを軸芯方向に引き抜くときに生じる摩擦力である。また、高摩擦領域14の摩擦力は、例えば、高摩擦領域14が最内に位置するようにセパレータ10を芯材Cに捲回してセパ捲回体を作製し、このセパ捲回体から芯材Cを軸芯方向に引き抜くときに生じる摩擦力である。芯材Cは、後述するように従来既知のものを好適に用いることができる。摩擦力は、そのような従来既知の芯材Cを用いて、後述する手法により測定可能である。
ここで、セパレータ10は、低摩擦領域12の周囲に、摩擦力が900gfを超える高摩擦領域14を有し、低摩擦領域12の摩擦力と高摩擦領域14の摩擦力との差が10gf以上600gf以下であることが好ましい。このような構成によれば、低摩擦領域12の摩擦力と高摩擦領域14の摩擦力との差を有意に確保することができる。よって、たとえ捲回数が増加しても、捲回後に芯材Cを容易に引き抜き易くなり、かつ、芯材Cの引き抜きによるセパ捲回体1の変形を防止し易くなる。
高摩擦領域14の摩擦力の下限は、910gf以上が好ましく、930gf以上がより好ましく、940gf以上が更に好ましい。下限が上記の値であることにより、各層同士が対向する領域において、各層同士の好適な摩擦を確保し易くなる。
一方、高摩擦領域14の摩擦力の上限は、1000gf以下が好ましく、970gf以下がより好ましく、960gf以下が更に好ましい。上限が上記の値であることにより、摩擦力が過度に高められるのに起因してセパ捲回体からセパレータ10を好適に引き出すのが困難になる事態を回避し易くなる。
低摩擦領域12の摩擦力と高摩擦領域14の摩擦力との差の下限は、30gf以上が好ましく、40gf以上がより好ましく、50gf以上が更に好ましい。下限が上記の範囲であることにより、低摩擦領域12の摩擦力と高摩擦領域14の摩擦力との差を有意に確保することができ、その結果、本発明による効果が得られ易くなる。
低摩擦領域12の摩擦力と高摩擦領域14の摩擦力との差の上限は、500gf以下が好ましく、400gf以下がより好ましく、300gf以下が更に好ましい。上限が上記の範囲であることにより、低摩擦領域12の摩擦力が過度に小さくなる状況又は高摩擦領域14の摩擦力が過度に大きくなる状況を回避することができ、その結果、本発明による効果が得られ易くなる。
図1中、セパレータの流れ方向MDにおける、一方の領域11aの端部が、一方の端部15aとして、他方の領域11bの端部が、他方の端部15bとして表されている。
低摩擦領域12は、セパレータ10の流れ方向MDの長さLを基準として、セパレータ10の流れ方向MDの一方の端部15aから10%以内の端部領域16を含むことが好ましい。つまり、セパレータ10の一方の端部15aから、流れ方向MDに沿って0.1×L以内の領域が端部領域16とされ、この端部領域16に、低摩擦領域12の少なくとも一部が含まれることが好ましい。
中でも、端部領域16は、一方の端部15aから9%以内の領域であることが好ましく、7%以内の領域であることがより好ましく、5%以内の領域であることが好ましい。端部領域16が上記の範囲であることにより、低摩擦領域14が最内に位置するようにセパレータ10を芯材Cに捲回してセパ捲回体を作製し易くなる。
一方、端部領域16は、一方の端部15aから1%以上の領域であることが好ましく、2%以上の領域であることがより好ましく、3%以上の領域であることが好ましい。端部領域16が上記の範囲であることにより、端部領域16と低摩擦領域12とを重複させ易くなり、また、端部領域16において十分な面積の低摩擦領域12を形成し易くなる。
特に、端部領域16の少なくとも半分が低摩擦領域12に含まれることが好ましく、端部領域16の全てが低摩擦領域12に含まれることが好ましい。別の観点からは、低摩擦領域12の少なくとも半分が端部領域16に含まれることも好ましく、低摩擦領域12の全てが端部領域16に含まれることも好ましい。
図3は、片面11を内側にしてセパレータ10を捲回するときの構成例を示す斜視図である。図中、一方の端部15aから開始してセパレータ10を芯材Cに巻回したとき、芯材Cの外周に接する領域(すなわち、セパ捲回体1の最内)が、最内領域17として表されている。低摩擦領域12は、片面11を内側にしてセパレータ10を捲回したときに最内に位置する最内領域17を含むことが好ましい。このような構成によれば、セパレータ10を芯材Cに捲回するとき、低摩擦領域12を最内に確実に位置させることができる。
特に、最内領域17の少なくとも半分が低摩擦領域12に含まれることが好ましく、最内領域17の全てが低摩擦領域12に含まれることが好ましい。別の観点からは、低摩擦領域12の少なくとも半分が最内領域17に含まれることも好ましく、低摩擦領域12の全てが最内領域17に含まれることも好ましい。
なお、図1〜図3では、セパレータ10の一対の長辺が流れ方向MDに沿っており、セパレータ10の一対の短辺が垂直方向TDに沿っている構成を例に挙げて説明した。ただ、セパレータの製造条件等によっては、セパレータ10の一対の短辺が垂直方向TDに沿い、セパレータ10の一対の長辺が流れ方向MDに沿う場合があり、この場合でも本発明は適用可能である。
(摩擦力の測定手法)
まず、低摩擦領域の摩擦力の測定手法について説明する。はじめに、測定対象となるセパレータを、約45mm幅にスリットし捲回する。得られた捲回体からセパレータを引き出し、芯材Cは直径3mmで、中心を通るように半分に分けられる構造をしており、中心のクリップ部(ノッチ部)を、その引き出したセパレータに挟み込む。このとき、芯材Cの外周に低摩擦領域を接触させるようにする。また、必要に応じて、セパレータの自由端側の不要な部分をカットする。その後、芯材Cに対して捲回体側から350gfの引っ張り力を付与しながら、芯材Cを回転させる。このとき、自由端となっている端部側を解放させ、芯材Cによる捲回に巻き込ませる。
芯材Cを回転し続け、セパ捲回体の直径が約10mmとなったところで、セパレータを切断すると共に、捲回が解除されないようにセパ捲回体の周囲にテープを張る。その後、セパ捲回体を上下からクランプ部材で挟み込み、このセパ捲回体から芯材Cの半分を引き抜く。このとき、芯材Cの引き抜きに要する力の最大値を測定し、この最大値が、セパレータと芯材Cとの間の摩擦力となる。測定は、複数回(例えば5回)行って、低摩擦領域の摩擦力としてその平均値を採用することができる。芯材Cの材質はSUS304であり、表面はNo.2Bで仕上げられたものを用いる。
高摩擦領域の摩擦力を測定するには、芯材Cに設けられたクリップ部(ノッチ部)をセパレータに挟み込むとき、芯材Cの外周に、高摩擦領域のみを接触させるようにして、以降は上記と同様に測定すればよい。同様に、測定は、複数回(例えば5回)行って、高摩擦領域の摩擦力としてその平均値を採用することができる。
なお、ここではセパ捲回体を用いて説明したが、捲回型の電極体を用いるときも、上記と同様の手法によって摩擦力を測定することができる。
〔セパレータの製造方法〕
図4は、本実施形態に係る、セパレータの製造方法(以下、単に「本実施形態に係る製造方法」と略する場合がある)の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る製造方法は、非水電解質電池に用いられ、かつ、片面を内側にして捲回可能なセパレータを製造する方法であり、基材(原反)を用意する工程S10と、原反の片面の面積に低摩擦領域を物理的に形成する工程S20とを含む。
(基材を用意する工程S10)
工程S10は、基材を製造する工程を含むことができる。基材を製造する方法としては、ポリオレフィン樹脂等を含む組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう。)と可塑剤とを溶融混練してシート状に成形した後、場合により延伸した後、可塑剤を抽出することにより多孔化させる方法;樹脂組成物を溶融混練して高ドロー比で押出した後、熱処理と延伸によって樹脂結晶界面を剥離させることにより多孔化させる方法;樹脂組成物と無機充填材とを溶融混練してシート状に成形した後、延伸によって樹脂と無機充填材との界面を剥離させることにより多孔化させる方法;樹脂組成物の溶解後、樹脂に対する貧溶媒に浸漬させ樹脂を凝固させると同時に溶剤を除去することにより多孔化させる方法等が行われる。
基材が無機層を有する場合において、無機層の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、微多孔膜の少なくとも片面に、無機フィラーと樹脂製バインダとを含む塗布液を塗布して無機層を形成する方法を挙げることができる。
無機フィラーと樹脂製バインダとを塗布液の溶媒に分散させる方法については、特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。
塗布液を基材に塗布する方法については、特に限定されないが、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。
塗布後に塗布膜から溶媒を除去する方法については、微多孔膜に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はなく、例えば、微多孔膜を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法又は低温で減圧乾燥する方法等が挙げられる。微多孔膜の流れ方向MD方向の収縮応力を制御する観点から、乾燥温度、及び巻取り張力等を適宜調整することが好ましい。
塗布液を基材に塗布する方法については、特に限定されないが、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、転写法等が挙げられる。より具体的には、基材にロールを用いて塗工し乾燥することで微細パタンを形成することができる。
なお、上記の工程S10について、基材を製造する工程を含む例を説明したが、工程S10において基材を製造することは必須ではない。工程S10では、次の工程S20に使用可能な基材を用意できればよく、従って、製造後の基材を他から確保するようにしてもよい。
(低摩擦領域を形成する工程S20)
低摩擦領域を物理的に形成する工程S20では、上記の工程S10で用意した原反を用いる。摩擦力が900gf以下となる少なくとも一つの低摩擦領域を原反に対して物理的に形成し、セパレータを製造する。このとき、原反の片面の面積に占める低摩擦領域の面積の割合が0.01%以上10%以下となるように、低摩擦領域を形成する。低摩擦領域は、例えば、原反の流れ方向MDの長さを二等分する仮想線を挟んだ少なくとも一方の領域に形成することができる。
本実施形態に係る製造方法は、上記の通り、凹形状のパタン領域(低摩擦領域)を物理的に形成する。これによれば、例えば、セパレータの表面を化学的に処理することによってセパレータの摩擦力を低減させる場合と異なり、化学物質が残存するおそれが生じない。従って、セパレータを用いて非水電解質電池を構成したとき、そのような化学物質に起因して電池特性に悪影響が生じる事態を回避することができる。
低摩擦領域を物理的に形成する手法としては、所定のロール(例えば、所定のエンボス加工ロール、及び所定の弾性バックアップロール)を用いる手法;所定のプレート(例えば、所定のエンボス加工プレート、及び所定の弾性バックアッププレート)を用いる手法等が挙げられる。
ロールを用いる手法と、プレートを用いる手法とのいずれも、セパレータに対して押圧力を付与することで、セパレータに低摩擦領域を形成することができる。例えば、ロールを用いる場合、エンボス加工ロールと弾性バックアップロールとの間にセパレータを通過させることで、低摩擦領域を形成することができる。また、プレートを用いる場合、エンボス加工プレートと弾性バックアッププレートとでセパレータをプレスすることで、低摩擦領域を形成することができる。
ただ、低摩擦領域を物理的に形成する手法は上記の例に限定されず、例えば、セパレータに押圧力を付与するための形成部材はロール又はプレートに限定されない。低摩擦領域を形成するのに、ロールを用いる手法とプレートを用いる手法とを組み合わせてもよい。
エンボス加工ロール又はエンボス加工プレートの凹凸に対応して、セパレータに凹形状のパタン領域(低摩擦領域)が形成される。従って、ロール又はプレートの凹凸構造を変更することにより、片面の面積に占める低摩擦領域の面積の割合を調節可能である。ロール又はプレートにおける、凸形状の密度が高ければ高いほど、セパレータに形成される凹形状のパタンの密度が高くなる。
また、ロール又はプレートにより、セパレータに対して押圧力を付与している間だけ、セパレータに凹形状のパタン領域(低摩擦領域)が形成されることになる。従って、例えば、セパレータに対して昇降可能なロール又はプレートであれば、その昇降のタイミングを調節することによっても、片面の面積に占める低摩擦領域の面積の割合を調節可能である。セパレータに対して押圧力を付与している期間が長いほど、また、セパレータに対して押圧力を付与している頻度が高いほど、セパレータに形成される低摩擦領域の割合が大きくなる。
また、ロール又はプレートによりセパレータに付与する押圧力に応じて、セパレータに形成される凹形状のパタンの形状を調節でき、ひいては、低摩擦領域の構造を調節可能になる。セパレータに対する押圧力が大きいほど、セパレータに形成される凹形状のパタンが広く、かつ、深く形成され易い。
また、流れ方向MD又は垂直方向TDに移動可能なロール又はエンボスであれば、セパレータに対する低摩擦領域の形成位置をも調整可能である。
更に、ロール又はプレートによりセパレータに押圧力を付与していないときの、セパレータの流れ速度が大きいほど、互いに隣り合う低摩擦領域間の距離が長くなる。つまり、かかるセパレータの流れ速度が大きいほど、セパレータに形成されるパタン領域の、繰り返し単位が長くなる。
上記より、低摩擦領域を形成する工程S20は、例えば、ロール又はプレートによってセパレータに押圧力を付与する工程S25の前に、ロール又はプレートの位置を調節する工程(低摩擦領域の形成位置を調節する工程S21)と、ロール又はプレートによりセパレータに付与する、低摩擦領域を形成するための押圧力を調節する工程S22と、ロール又はプレートの昇降タイミングを調節し、低摩擦領域の形成割合を調節する工程S23と、セパレータの流れ速度を調節する工程S24とを含むことが好ましい。
このような工程S21〜工程S24を含むことで、所望の割合又は構成を有する低摩擦領域をセパレータに対して精度よく形成し易くなる。ただ、工程S21〜工程S24の各々は省略可能であり、また、これらの順番は上記に限定されず適宜入れ替え可能である。
セパレータは、工程S20のいずれの箇所で切断されてもよい。所定の長さに切断されたセパレータに低摩擦領域を形成するようにしてもよく、一方、所定の繰り返し単位に従って低摩擦両機を形成した後に切断し、各セパレータを作製してもよい。また、セパレータは、工程S20の後、切断されず、再び捲回されてもよい。
低摩擦領域を所定の繰り返し単位で有するセパ捲回体は、その状態で使用、保管、及び輸送等が可能である。低摩擦領域を所定の繰り返し単位で有するセパ捲回体をいったん作製してしまえば、次回再び低摩擦領域を形成する手間を省くことができるため、所望のセパレータを容易に提供することができるようになる。
なお、工程S20の後は、例えば、得られたセパレータを用いて、非水電解質電池を製造する工程S30を行うことができる。
〔セパレータの製造装置〕
図5は、本実施形態に係る、セパレータの製造装置(以下、単に「本実施形態に係る製造装置」と略する場合がある)100の構成例を示す模式図である。本実施形態に係る製造装置100は、上記のセパレータを製造するための装置である。かかる製造装置100は、摩擦力が900gf以下となる少なくとも一つの低摩擦領域を、原反に対して物理的に形成する。低摩擦領域は、例えば、原反の流れ方向MDの長さを二等分する仮想線を挟んだ少なくとも一方の領域に形成することができる。
製造装置100は、低摩擦領域形成部110を備えて構成されている。低摩擦領域形成部110は、セパレータに低摩擦領域を物理的に形成する形成部120と、形成部120の動作を制御する制御部200と、を備えて構成されている。
このうち、形成部120は、セパレータに対して、低摩擦領域を形成するための押圧力を付与するための部材を用いることができ、例えば、上記のロール又はプレートを用いることができる。図5では、形成部120として、エンボス加工ロール121、及び弾性バックアップロール122が表されている。
制御部200は、マイクロコンピュータを中心に構成されており、マイクロコンピュータによるプログラムの実行によって各部(各回路)が実現されている。制御部200には、種々の制御プログラム又はデータ情報が予め記憶されたROM(メモリ)、各部による制御結果が記憶される記憶部、及び各種の制御時間を計測するためのタイマカウンタ等が設けられている。
また、制御部200の入力側には、図示しないものの、各種のセンサ類が接続されている。センサ類としては、例えば、セパレータの流れ速度を検出するための速度センサ、セパレータに対する形成部120の位置又は高さを検出するための位置センサ又は高さセンサ、及びセパレータに対する形成部120の押圧力を検出するための圧力センサ等が挙げられる。
制御部200は、セパ捲回体を作製するための総合的な制御を行う。
例えば、制御部200は、上記のセンサ類から入力される情報に基づき、形成部120をセパレータに対して昇降させるタイミングを演算する。また、制御部200は、上記のセンサ類から入力される情報に基づき、形成部120をセパレータに押圧するときの押圧力を演算する。また、制御部200は、上記のセンサ類から入力される情報に基づき、形成部120の流れ方向MD又は垂直方向TDの移動量を演算する。更に、制御部200は、上記のセンサ類から入力される情報に基づき、セパレータの流れ速度を演算する。
そして、制御部200は、上記のセンサ類から入力される情報、及び上記の演算結果等に基づき、形成部120によりセパレータに押圧力を付与し、低摩擦領域を形成する。
本実施形態に係る製造装置100により、セパ捲回体1は以下の通りに作製される。
まず、セパレータを捲回した捲回体(セパレータ供給部130)からセパレータが引き出され、引き出されたセパレータが芯材Cに接続される。芯材Cは、スピンドル部140に回転可能に支持されており、制御部200によって芯材Cの回転が制御される。芯材Cによってセパレータが捲回される。
また、制御部200により所定の切断部(図示せず)の動作が制御され、セパレータ供給部130とスピンドル部140との間でセパレータが切断される。セパレータは、芯材Cが回転している最中に切断されてもよいし、芯材Cの回転が停止した後に切断されてもよい。
ここで、制御部200は、上記のセンサ類から入力される情報に基づき、形成部120の動作を制御して、セパレータに低摩擦領域を形成する。特に、本実施形態に係る製造装置100では、片面の面積に占める低摩擦領域の面積の割合が、0.01%以上10%以下となるように、低摩擦領域を形成する。これにより、スピンドル部140において得られるセパ捲回体1からは、芯材Cは容易に引き抜くことができ、かつ、芯材Cの引き抜きによるセパ捲回体の変形を防止することができる。
制御部200は、セパレータ供給部130から引き出されたセパレータが芯材Cに接続される前に低摩擦領域を形成してもよく、引き出されたセパレータが芯材Cに接続された後に低摩擦領域を形成してもよい。
本実施形態において、セパレータに付与される押圧力(例えば、エンボス加工ロール121と弾性バックアップロール122とにより挟まれるセパレータの圧力)は、例えば、0.1MPa以上10MPa以下である。また、セパレータに対してロール又はプレートが昇降するストローク量は、例えば、30mm以内である。また、セパレータの流れ速度は、例えば、20m/min以内である。
これらの条件を満たすことで、より好適に、低摩擦領域をセパレータに形成できるようになる。
上記の通り、セパ捲回体は、図1に示すセパレータ10(セパレータ10に形成されるパタン領域)を繰り返し単位として有することができる。
実施形態1の応用例として、正極、セパレータ10、及び負極の積層体を捲回した捲回物(捲回型の電極体)を作製することもできる。捲回型の電極体の最内を構成するセパレータ(すなわち、芯材Cの外周に接するセパレータ)として、上記のセパレータ10を用いることで、捲回型の電極体から芯材Cを引き抜く場合も、上記に準じた理由により、芯材Cの引き抜きによる捲回型の電極体の変形を防止することができる。
〔実施形態2〕
実施形態2は、セパ捲回体である。かかるセパ捲回体は、上記の低摩擦領域を形成したセパレータを、芯材により捲回することで得ることができる。セパ捲回体は、上記のセパレータ(セパレータに形成されるパタン領域)を繰り返し単位とし、これを捲回することによっても得ることができる。
芯材の直径は、通常使用可能な直径であれば良いため、特に限定されないが、2インチ以上が好ましく、より好ましくは3インチ以上、更に好ましくは6インチ以上である。セパ捲回体の生産性の観点から、芯材の直径は、10インチ以下に設定することができる。
芯材の材質は特に限定されない。紙、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及び塩化ビニル樹脂のいずれかを含んでよい。なかでも樹脂であることが好ましく、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及び塩化ビニル樹脂のいずれかを含んでよい。
セパレータの巻長は、特に限定されないが、電池を作製する場合の生産性の観点から、300m以上が好ましく、より好ましくは400m以上、更に好ましくは500m以上である。セパレータの巻長は、ロールの生産性の観点から、5000m以下であることができる。
また、芯材の断面形状は限定されず、真円状、扁平状、及び矩形状の何れでもよい。
〔実施形態3〕
実施形態3は、正極、上記のセパレータ、及び負極が積層された積層体又はその積層体を捲回した捲回物(捲回型の電極体)と、非水電解質とを含む、非水電解質電池である。非水電解質電池の形態としては、スチール缶、アルミニウム缶等を外装缶として用いた筒形(例えば、角筒形、円筒形等)等が挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体として用いて、非水電解質電池を構成することもできる。非水電解質電池の代表例として、リチウムイオン二次電池が挙げられる。
〔正極〕
正極は、正極活物質と、導電材と、結着材と、集電体とを含むことが好ましい。
正極に含まれ得る正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵、及び放出可能な既知のものを用いることができる。なかでも、正極活物質としては、リチウムを含む材料が好ましい。正極活物質としては、例えば、
下記一般式(1):
Figure 2020107411
{式中、Mは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<x≦1.3、0.2<y<0.8、かつ3.5<z<4.5である。}
で表される酸化物;
下記一般式(2):
Figure 2020107411
{式中、Mは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<x≦1.3、0.8<y<1.2、かつ1.8<z<2.2である。}
で表される層状酸化物;
下記一般式(3):
Figure 2020107411
{式中、Maは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、かつ0.2≦x≦0.7である。}
で表されるスピネル型酸化物;
下記一般式(4):
Figure 2020107411
{式中、Mcは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。}で表される酸化物と下記一般式(5):
Figure 2020107411
{式中、Mdは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。}で表される酸化物との複合酸化物であって、下記一般式(6):
Figure 2020107411
{式中、Mc及びMdは、それぞれ上記式(4)及び(5)におけるMc及びMdと同義であり、かつ0.1≦z≦0.9である。}
で表される、Liが過剰な層状の酸化物正極活物質;
下記一般式(7):
Figure 2020107411
{式中、Mbは、Mn、及びCoから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、かつ0≦y≦1.0である。}
で表されるオリビン型正極活物質;及び
下記一般式(8):
Figure 2020107411
{式中、Meは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。}で表される化合物が挙げられる。これらの正極活物質は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
なお、正極を形成するために、本技術分野で既知の導電材、結着材、及び集電体を用いてもよい。
また、正極の正極合剤層において、正極活物質の含有量を87質量%〜99質量%に調整し、導電助剤の含有量を0.5質量%〜10質量%に調整し、かつ/又はバインダの含有量を0.5質量%〜10質量%に調整することが好ましい。
〔負極〕
負極は、負極活物質と、結着材と、集電体とを含むことが好ましい。
負極に含まれ得る負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵、及び放出可能な既知の物質を用いることができる。このような負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛粉末、メソフェーズ炭素繊維、及びメソフェーズ小球体等の炭素材料;並びに金属、合金、酸化物、及び窒化物が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
負極に含まれ得る結着材としては、負極活物質、負極に含まれ得る導電材、及び負極に含まれ得る集電体のうち少なくとも2つを結着できる既知の材料を用いることができる。このような結着材としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンの架橋ゴムラテックス、アクリル系ラテックス、及びポリフッ化ビニリデンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
負極に含まれ得る集電体としては、特に限定されないが、例えば、銅、ニッケル、及びステンレス等の金属箔;エキスパンドメタル;パンチメタル;発泡メタル;カーボンクロス;並びにカーボンペーパーが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、負極に係る負極合剤層においては、負極活物質の含有量を88質量%〜99質量%に調整し、かつ/又はバインダの含有量を0.5質量%〜12質量%に調整することが好ましく、導電助剤を用いる場合には、導電助剤の含有量を0.5質量%〜12質量%に調整することが好ましい。
〔非水電解質〕
非水電解質としては、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液(非水電解液)が用いられる。リチウム塩としては、特に限定されず、既知のものを用いることができる。このようなリチウム塩としては、特に限定されないが、例えば、LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、Li2SiF6、LiOSO2k2k+1〔式中、kは1〜8の整数である〕、LiN(SO2k2k+12〔式中、kは1〜8の整数である〕、LiPFn(Ck2k+16-n〔式中、nは1〜5の整数であり、かつkは1〜8の整数である〕、LiPF4(C24)、及びLiPF2(C242が挙げられる。これらのなかでも、LiPF6が好ましい。LiPF6を用いることにより、高温時においても電池特性、及び安全性により優れる傾向にある。これらのリチウム塩は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
非水電解質に用いられる非水溶媒としては、特に限定されず、既知のものを用いることができる。非水溶媒としては、例えば、非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、及び4,5−ジフルオロエチレンカーボネート等の環状カーボネート;γープチロラクトン、及びγーバレロラクトン等のラクトン;スルホラン等の環状スルホン;テトラヒドロフラン、及びジオキサン等の環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、及びメチルトリフルオロエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;アセトニトリル等のニトリル;ジメチルエーテル等の鎖状エーテル;プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル;並びにジメトキシエタン等の鎖状エーテルカーボネート化合物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
非水電解質は、必要に応じて、その他の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、上記に例示した以外のリチウム塩、不飽和結合含有カーボネート、ハロゲン原子含有カーボネート、カルボン酸無水物、硫黄原子含有化合物(例えば、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸エステル、スルフィト、スルフェート、スルホン酸無水物等)、ニトリル基含有化合物等が挙げられる。
その他の添加剤の具体例は、以下のとおりである:
リチウム塩:例えば、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート等;
不飽和結合含有カーボネート:例えば、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等;
ハロゲン原子含有カーボネート:例えば、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等;
カルボン酸無水物:例えば、無水酢酸、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等;
硫黄原子含有化合物:例えば、エチレンスルフィト、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブタンスルトン、エチレンスルフェート、ビニレンスルフェート等;
ニトリル基含有化合物:例えば、スクシノニトリル等。
非水電解質が、上記で説明された他の添加剤を含むことにより、電池のサイクル特性がより向上する傾向にある。
なかでも、電池のサイクル特性を更に向上させるという観点から、ジフルオロリン酸リチウム、及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群から選択される少なくとも1種が好ましい。ジフルオロリン酸リチウム、及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群から選択される少なくとも1種の添加剤の含有量は、非水電解質100質量%に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましい。この含有量が0.001質量%以上であると、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命がより向上する傾向にある。また、この含有量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。この含有量が3質量%以下であると、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性がより向上する傾向にある。
非水電解質中のその他の添加剤の含有量は、例えば、31P−NMR、19F−NMR等のNMR測定により確認することができる。
非水電解質中のリチウム塩の濃度は、0.5mol/L〜6.0mol/Lであることが好ましい。非水電解質の低粘度化の観点から、非水電解質中のリチウム塩の濃度は、0.9mol/L〜1.25mol/Lであることがより好ましい。リチウム塩の非水電解質中の濃度は目的に応じて選択することができる。
なお、非水電解質は、液体電解質であってもよく、固体電解質であってもよい。
〔実施形態4〕
実施形態4は、上記の低摩擦領域を形成したセパレータを用いた、非水電解質電池の製造装置、及び製造方法である。非水電解質電池を製造するには、所定の容器に、上記の通りに製造した捲回型の電極体を収容させ、電解液を注液すればよい。
ここで、捲回型の電極体を作製するのに、本発明に係るセパレータの製造方法又は製造装置を応用することができる。図6は、本実施形態に係る、非水電解質電池の製造装置600の構成例を示す模式図である。この製造装置600は、実施形態1に係る、セパレータの製造装置100を含んで構成されている。
非水電解質電池の製造装置600では、セパレータ、正極板、及び負極板を、各々の供給部(セパレータ供給部130、正極板供給部300、及び負極板供給部400)から芯材Cに向けて供給しつつ、芯材Cを回転させてセパレータ、正極板、及び負極板を巻き取ることで、捲回型の電極体500を製造する。セパレータは、正極板、及び負極板の間の直接的な接触を防ぐよう、各電極の間に配されて捲回される。なお、セパレータ供給部130、正極板供給部300、及び負極板供給部400の各々は、例えば、セパレータ、正極板、及び負極板を各々捲回したロールを用いることができる。
捲回型の電極体の最内にセパレータ10が位置するように、セパレータ、正極板、セパレータ、及び負極板がこの順に配されて捲回される。そして、その捲回型の電極体500の最内を構成するセパレータに対して、上記の低摩擦領域が形成される。捲回型の電極体500の最内を構成するセパレータと芯材Cとの間に、セパレータに押圧力を付与するための形成部120(ロール又はプレート等)が配されて、かかる形成部120の動作が制御部200によって制御され、セパレータに所望の低摩擦領域が形成される。
図6では、図5の例と同様、形成部120として、エンボス加工ロール121、及び弾性バックアップロール122が表されている。捲回型の電極体500の最内を構成するセパレータが流れるラインに、エンボス加工ロール121、及び弾性バックアップロール122が配されている。具体的に、セパレータにおける、芯材Cに接触する側に、エンボス加工ロール121が配され、芯材Cに接触する側とは反対側に、弾性バックアップロール122が配されている。セパレータの、芯材Cに対向する面(電極に対向しない面)に低摩擦領域が形成され、その低摩擦領域が、芯材Cの外周に接するようにして、セパレータ、電極(例えば正極)、セパレータ、電極(例えば負極)の順に芯材Cに巻回される。
捲回型の電極体500の最内を構成するためのセパレータ供給部130として、低摩擦領域が予め形成されたセパ捲回体(例えば、上記のセパ捲回体1)を用いてもよい。この場合、捲回型の電極体500を作製するときに低摩擦領域を付与する手間が省かれる。
一方、捲回型の電極体500の作製時に、その最内を構成するセパレータに対して低摩擦領域を形成してもよい。この場合、捲回型の電極体500の最内を構成するセパレータを引き出す時の直進性を確保し易くなる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明は、上記の実施形態1〜4に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
例えば、本発明は、リチウムイオン二次電池を代表例とする非水電解質電池をはじめ、各種の蓄電デバイスに適用可能である。また、本発明は、携帯電子機器用の電源といった、比較的小型の蓄電デバイスはもちろん、住宅用蓄電システム等の電力貯蔵分野、及び電動車両分野等における電源といった、比較的大型の蓄電デバイスにも適用可能である。更に、本発明に係るセパレータは、リチウムイオンキャパシタにも適用可能である。
図7(a)〜(b)は、本発明に係る他の実施形態について説明するための図である。
図7(a)は、図1で説明したセパレータ10を繰り返し単位とした、長尺のセパレータ10Aである(図中、点線により、繰り返し単位としてのセパレータ10は表されている)。各セパレータ10は、低摩擦領域12が上記の割合で形成されており、その低摩擦領域12の周囲には、高摩擦領域13が配されている。実施形態1と同様、低摩擦領域12は、凹形状のパタン13が集合した、凹凸領域(パタン領域)として構成されている。このような長尺のセパレータ10Aを捲回することによっても、本発明に係るセパ捲回体が得られる。
上記の通り、パタンは、片面11のみに形成されてもよく、片面11とは反対側の面にも形成されてもよい。図7(b)は、低摩擦領域12が形成された片面11とは反対側の面に、凸形状のパタン18が形成されたセパレータ10Bである。実施形態1で説明したような、凹形状のパタン(低摩擦領域12)が形成される片面11とは反対側の面が平面状のセパレータ10のみならず、図7(b)に示されるような、低摩擦領域12が形成される片面11とは反対側の面に所定のパタンが形成されるセパレータも、本発明の範囲に含まれる。
1 セパ捲回体
10,10A,10B セパレータ
11 片面
11a 一方の領域
11b 他方の領域
12 低摩擦領域
13 パタン(凹形状のパタン)
14 高摩擦領域
15a 一方の端部
15b 他方の端部
16 端部領域
17 最内領域
100 セパレータの製造装置
110 低摩擦領域形成部
120 形成部
121 エンボス加工ロール
122 弾性バックアップロール
130 セパレータ供給部
140 スピンドル部
200 制御部
300 正極板供給部
400 負極板供給部
500 捲回型の電極体
600 非水電解質電池の製造装置
MD 流れ方向
VL 仮想線

Claims (12)

  1. 非水電解質電池に用いられ、かつ、片面を内側にして捲回可能なセパレータであって、
    摩擦力が900gf以下となる少なくとも一つの低摩擦領域を有し、
    前記片面の面積に占める前記低摩擦領域の面積の割合が、0.01%以上10%以下である、セパレータ。
  2. 前記低摩擦領域における摩擦力が300gf以上である、請求項1に記載のセパレータ。
  3. 前記セパレータは、前記低摩擦領域の周囲に、摩擦力が900gfを超える高摩擦領域を有し、
    前記低摩擦領域の摩擦力と高摩擦領域と摩擦力との差が10gf以上600gf以下である、請求項1又は請求項2に記載のセパレータ。
  4. 前記低摩擦領域は、前記セパレータの前記流れ方向(MD)の長さを基準として、前記セパレータの前記流れ方向(MD)の端部から10%以内の端部領域を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセパレータ。
  5. 前記低摩擦領域は、前記片面を内側にして前記セパレータを捲回したときに最内に位置する最内領域を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のセパレータ。
  6. 前記低摩擦領域が凹凸領域で構成されている、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のセパレータ。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のセパレータを繰り返し単位として捲回した、捲回体。
  8. 正極、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のセパレータ、及び負極が積層された積層体又は前記積層体を捲回した捲回物と、非水電解質とを含む、非水電解質電池。
  9. 非水電解質電池に用いられ、かつ、片面を内側にして捲回可能なセパレータを製造する方法であって、
    原反を用意する工程;及び、
    摩擦力が900gf以下となる少なくとも一つの低摩擦領域を、前記原反の片面の面積に占める前記低摩擦領域の面積の割合が0.01%以上10%以下となるように物理的に形成し、前記セパレータを製造する工程を含む、セパレータの製造方法。
  10. 請求項9に記載の方法によって製造した前記セパレータを用いて非水電解質電池を製造する工程を含む、非水電解質電池の製造方法。
  11. 非水電解質電池に用いられ、かつ、片面を内側にして捲回可能なセパレータを製造するための製造装置であって、
    摩擦力が900gf以下となる少なくとも一つの低摩擦領域を、原反の片面の面積に占める前記低摩擦領域の面積の割合が0.01%以上10%以下となるように物理的に形成し、前記セパレータを製造する、セパレータの製造装置。
  12. 請求項11に記載の装置を備え、前記セパレータを用いて非水電解質電池を製造する、非水電解質電池の製造装置。
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