JP2020067514A - 近赤外線センサ用カバー - Google Patents
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Abstract
Description
このうち(1)については、近赤外線センサ用カバーを有色とすれば、近赤外線センサを外側から隠すことが可能である。また、当該近赤外線センサ用カバーに有色の部分を2以上設け、当該2以上の有色の部分によって意匠を表示することで、近赤外線センサ用カバーに優れた意匠性を付与することもできると考えられる。
また、このうち(2)については、近赤外線透過率の高い材料を用いて、十分な近赤外線透過率を発揮するように、近赤外線センサ用カバーを構成すれば良いと考えられる。
特許文献1に紹介されている近赤外センサ用カバーは、透明樹脂層およびミラーコート層の各々が近赤外線透過率の十分に高い層であれば、上記の要件(2)を満足すると考えられる。また、当該近赤外線センサ用カバーは、ミラーコート層により近赤外線センサ用カバーに金属光沢が付与されることで、上記の要件(1)を満足すると考えられる。
透明基材層の裏面に、有色の第1の近赤外線透過塗料を材料とする第1層を形成する工程と、
UVレーザーにより前記第1層の一部を剥離して、前記第1層の残部と前記透明基材層とを有する意匠表示部を形成する工程と、
前記意匠表示部の裏面に、第1の近赤外線透過塗料とは異なる有色の第2の近赤外線透過塗料を材料とする第2層を形成する工程とを有し、
前記透明基材層、前記第1層および前記第2層の各々を、波長800〜1000nmの近赤外線透過率が、直射光のみで50%以上となるように形成し、
前記UVレーザーの照射エネルギーを単位面積1mm2あたり0.18mJ以上0.9mJ以下とする、近赤外線センサ用カバーの製造方法である。
本発明の製造方法では、透明基材層の裏面に有色の第1の近赤外線透過塗料を材料とする第1層を形成し、当該第1層の一部をUVレーザーにより剥離して、第1層の残部と透明基材層とを有する意匠表示部を形成し、さらに、当該意匠表示部の裏面に、有色の第2の近赤外線透過塗料を材料とする第2層を形成する。当該第2の近赤外線透過塗料は、第1の近赤外線透過塗料とは異なる塗料である。
以下、必要に応じて、本発明の近赤外線センサ用カバーにおける第1層の残部を、意匠部と称する。
第1層の部分的な剥離はUVレーザーによって行われるため、例えばマスキング等の方法に比べて、第1層の残部すなわち意匠部の形状を微細に入り組んだ形状にできる。つまり、このため、本発明の製造方法によると意匠性に優れる近赤外線センサ用カバーを製造できる。
上記した近赤外線センサ用カバーにおける各層の近赤外線透過率が、直射光のみで50%以上あれば、近赤外線センサ用カバーを透過する際の近赤外線の減衰が過大にならず、センシングに十分な量の近赤外線が検知部に戻ると考えられるためである。
第1層形成工程において、第1層が形成される透明基材層は、透明材料で構成される。
また例えば、本発明の近赤外線センサ用カバーを車両のフロントグリルに配設する場合には、本発明の近赤外線センサ用カバーは、近赤外センサよりも車両進行方向の前側に配置され、近赤外線センサを前側から覆う。そして透明基材層は、意匠層および第2層よりも当該後側に配置され、意匠層および第2層は透明基材層を通して車両の前側から視認される。
なお、透明基材層が多層構造である場合には、透明基材層の近赤外線透過率とは、多層構造をなす当該透明基材層全体の近赤外線透過率を意味する。
このため、第1層の厚さには、好ましい範囲が存在する。当該第1層の厚さの好ましい範囲としては、25〜35μm、20〜30μmの各範囲が挙げられる。
UVレーザーは、第1層の一部に照射される。当該第1層の一部はUVレーザーの照射によって変性して、剥離する。第1層の他の一部である意匠部は、このときUVレーザーが照射されず、その結果、剥離せずに残る。UVレーザーの照射により剥離した部分と、意匠部との境界は、グラデーションがかかったように見える。このことは、本発明の近赤外線センサ用カバーの意匠部が、優れた意匠性を発揮する一要因である。
また、UVレーザーの1パルスあたりのレーザーパワー(W)は、{UVレーザーの出力(W)}×{第1層のUV透過率(%)}で算出できる。なお、ここでいうUVレーザーの出力(W)は、使用するUVレーザー装置および必要に応じて当該UVレーザー装置の運転モードに応じた数値となる。
また、単位面積あたりの照射時間(秒)は、{照射径の面積(mm2)}/{移動速度(mm/秒)×ピッチ(mm)}で算出できる。
なお、ここでいう照射径の面積(mm)は、UVレーザーのスポット径を意味する。
また、ここでいうピッチ(mm)}は、UVレーザーの照射間隔を意味する。
なお、第1層および意匠部は一層構造であっても良いし、2以上の層を有する多層構造であっても良い。より具体的には、意匠部は色の異なる2以上の層を有しても良い。この場合、本発明の近赤外線センサ用カバーに、より複雑な色彩と意匠とが付与される。
この場合、剥離工程は2回以上行っても良い。例えば、透明基材層の裏面に第1層(I)を形成し、第1の剥離工程を行い、UVレーザーの照射を受けなかった第1層(I)の裏面、および、透明基材層の裏面のうち第1層(I)が剥離された部分に、第1層(I)とは異なる色の第1層(II)を形成しても良い。そして、第1層(I)と第1層(II)とが積層された部分や、第1層(II)が単独で存在する部分に対して、第2の剥離工程を行えばよい。こうすることで、透明基材層の裏面に形成された第1層には、第1層(I)のみからなる部分、第1層(I)と第1層(II)からなる部分、第1層(II)のみからなる部分の3種が形成され得る。この場合には、意匠部によって表示できる意匠のバリエーションが増大する。
第2層形成工程では、意匠部の裏面、および、透明基材層のうち意匠部の形成されていない部分の裏面に、第2層が形成される。透明基材層は透明であるため、意匠表示部を表側から見ると、隙間をもって断続的に設けられている意匠部と、当該意匠部の隙間にある第2層と、が透明基材層を通して視認される。
実施例の近赤外線センサ用カバーの製造方法で製造する近赤外線センサ用カバーは、車両のフロントグリルに配設されるものである。当該近赤外線センサ用カバーを、実施例の近赤外線センサ用カバーと称する。
図1は実施例の近赤外線センサ用カバーを車両のフロントグリルに配設した様子を模式的に表す説明図である。図2は実施例の近赤外線センサ用カバーを図1中のA−A位置で切断した様子を模式的に表す説明図である。図3〜図5は、実施例の近赤外線センサ用カバーの製造方法を模式的に説明する説明図である。詳しくは、図3は第1層形成工程を表し、図4は剥離工程を表し、図5は第2層形成工程を表す。図6は剥離工程におけるUVレーザーの照射が十分でなく、剥離残渣が生じた様子を模式的に説明する説明図である。以下、上、下、左、右、前、後とは、図1に示す上、下、左、右、前、後を意味し、幅方向とは図1に示す左右方向を意味する。より詳しくは、前は車両進行方向における前に相当し、後は車両進行方向における後に相当し、幅方向は車幅方向に相当する。更に、表とは前を意味し、裏とは後を意味する。
透明基材層2は、表面2aを前に、裏面2bを後ろに向ける。透明基材層2は、透明樹脂層20、および、透明樹脂層20の表面に形成されているハードコート層21で構成される2層構造をなす。意匠部3は、透明基材層2の裏面2b側に部分的に形成された黒色の層であり、透明基材層2の裏面2bには、意匠部3の形成されている部分と意匠部3の形成されていない部分とが存在する。第2層4は、有色の層であり、意匠部3の裏面3bと、透明基材層2の裏面2bのうち意匠部3の形成されていない部分25bと、に連続的に形成されている。
先ず、透明樹脂の一種でありポリカーボネートを材料として、型成形することで、透明樹脂層20を形成した。次いで、透明樹脂層20の表面に、アクリル−ウレタン系のハードコート用塗料を塗装することで、ハードコート層21を形成し、透明樹脂層20とハードコート層21とを有する透明基材層2(図3参照)を製造した。透明基材層2の近赤外線透過率は、直射光のみで90%であった。
上記の第1層形成工程で得た透明基材層2と第1層30との複合体(図3参照)に対し、裏側、すなわち、第1層30側からUVレーザーを照射した。このとき、UVレーザーの焦点を第1層30に合わせ、かつ、UVレーザーの照射エネルギーを、第1層30の単位面積あたり0.18mJ以上0.9mJ以下となるよう調整した。
意匠部3の近赤外線透過率は、直射光のみで88%であった。また、意匠部3の厚さは20〜30μmであった。
以上の剥離工程によって、透明基材層2と意匠部3とを有する意匠表示部15が得られた。
図5に示すように、剥離工程で得られた意匠表示部15の裏面15bに、第2の近赤外線透過塗料を塗装することで、意匠部3の裏面3b、および、透明基材層2のうち意匠部3が形成されていない部分25の裏面25bに第2層4を形成した。第2の近赤外線透過塗料としては、アクリル−ウレタン系の基材と着色顔料とを含む塗料を用いた。第2層4の近赤外線透過率は、直射光のみで72%であった。また、第2層4の厚さは20〜30μmであった。
透明基材層と、当該透明基材層の裏面に形成された第1層と、を有する同じテストピースを3個準備した。当該テストピースにおける透明基材層はポリカーボネート製であり、第1層は実施例と同じ第1の近赤外線透過塗料製である。透明基材層の厚さは2mmであり、第1層の厚さは30μmであった。
剥離工程におけるUVレーザーの照射エネルギーが第1層の単位面積あたり0.18mJであった第1のテストピースでは、剥離工程におけるUVレーザーの照射が十分でなく、図6に示すように、剥離残渣50が生じた結果、近赤外線透過率が50%と比較的低い値に留まったものと推測される。また、剥離工程におけるUVレーザーの照射エネルギーが第1層の単位面積あたり0.18mJに満たないと、剥離工程におけるUVレーザーの照射エネルギーが更に不足して、テストピースの近赤外線透過率がより小さくなると推測される。
2b:透明基材層の裏面 3:意匠部(第1層の残部)
30:第1層 4:第2層
15:意匠表示部 15b:意匠表示部の裏面
Claims (3)
- 透明基材層の裏面に、有色の第1の近赤外線透過塗料を材料とする1層を形成する工程と、
UVレーザーにより前記第1層の一部を剥離して、前記第1層の残部と前記透明基材層とを有する意匠表示部を形成する工程と、
前記意匠表示部の裏面に、第1の近赤外線透過塗料とは異なる有色の第2の近赤外線透過塗料を材料とする第2層を形成する工程とを有し、
前記透明基材層、前記第1層および前記第2層の各々を、波長800〜1000nmの近赤外線透過率が、直射光のみで50%以上となるように形成し、
前記UVレーザーの照射エネルギーを単位面積1mm2あたり0.18mJ以上0.9mJ以下とする、近赤外線センサ用カバーの製造方法。 - 前記透明基材層、前記第1層および前記第2層の各々を、波長800〜1000nmの近赤外線透過率が、直射光のみで75%以上となるように形成する、請求項1に記載の近赤外線センサ用カバーの製造方法。
- 前記第1の近赤外線透過塗料は、アクリルウレタン系の塗料である請求項1または請求項2に記載の近赤外線センサ用カバーの製造方法。
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