次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1、図2、図3を参照して、半導体チップなどのチップを基板のボンディング位置に接合する機能を有するボンディング装置1の構成を説明する。図1において、ボンディング装置1は、チップ供給部2、基板保持部3、ボンディング機構4およびこれらの各部を制御する制御部5を備えている。
チップ供給部2はボンディング対象の部品であるチップを供給する機能を有している。図2に示すように、チップ供給部2は第1のXYテーブル10の上面に配置された供給ステージ11を備えている。供給ステージ11の上面にはウェハシート13が展張状態で保持されており、ウェハシート13の上面には個片に分割された状態のチップ14が、バンプが形成された能動面を上向きにした姿勢で貼着されている。第1のXYテーブル10を駆動することにより供給ステージ11はX方向、Y方向に移動し、取出対象の任意のチップ14を取出し位置[P1]に位置させることができる。
図1に示すように、ピックアップヘッド駆動部16から延出したアーム部の先端にはピックアップヘッド15が結合されている。ピックアップヘッド駆動部16を駆動することにより、ピックアップヘッド15は供給ステージ11の上方のチップ14の取出し位置[P1]とボンディング機構4への受渡位置ピックアップ位置[P2]との間で移動する。チップ14のピックアップにおいては、ウェハシート13の下面側に配置されたエジェクタ12を作動させることにより、ピックアップ対象のチップ14がウェハシート13から剥離される。剥離されたチップ14は、ピックアップヘッド15によって能動面を上向きにした姿勢で保持される。
取出し位置[P1]にてチップ14を保持したピックアップヘッド15は上昇して、ボンディング機構4のボンディングヘッド26によるピックアップ位置[P2]まで移動する(矢印c)。この移動途中でピックアップヘッド15を上下反転させる(矢印d)ことにより、ピックアップヘッド15はピックアップ位置[P2]にてチップ14を能動面を下向きにした姿勢で保持した状態となる。ピックアップヘッド15およびピックアップヘッド駆動部16は、取出し位置[P1]にてチップ供給部2から取り出したチップ14を光学ヘッド30によるピックアップ位置[P2]に移送するチップ移送部17を構成する。
次に、基板保持部3の構成を説明する。図1,図2に示すように、第2のXYテーブル20の上面には、ボンディング対象の基板22を保持した基板保持ステージ21が配置されている。第2のXYテーブル20を駆動することにより基板保持ステージ21はX方向、Y方向に移動する。これにより、基板22に設定されたボンディング位置22a(図6参照)を作業位置[P3]に位置させることができる。このようにして作業位置[P3]に位置合わせされたボンディング位置22aに対して、以下に説明するボンディング機構4のボンディングツール29によってチップ14がボンディングされる。
ボンディング機構4の構成を説明する。図1、図2に示すように、チップ供給部2および基板保持部3の上方には、Y軸フレーム23がY方向に水平に配置されている。Y軸フレーム23には2列のガイドレール25を備えたリニアモータ24が側面に沿って配置されている。ガイドレール25は基板保持ステージ21(ステージ)の上方で水平に延びている。ガイドレール25には、スライダ25a(図3)を介して第1の移動ベース26aがガイドレール25に沿って移動可能に装着されている。さらにガイドレール25には、第1の移動ベース26aとは独立してガイドレール25に沿って移動可能な第2の移動ベース30aが装着されている。
第1の移動ベース26aにはボンディングヘッド26が装着されている。ボンディングヘッド26は、ボンディングツール駆動部27により駆動されるボンディングツール保持部28によって、ボンディングツール29を保持した構成となっている。ボンディングツール29にチップ14を保持した状態でボンディングツール駆動部27を駆動することにより、ボンディングツール29は下降して、保持したチップ14を基板22のボンディング位置22aに接合する(図6参照)。すなわち本実施の形態に示すボンディング装置1では、ボンディングツール29がチップ14を保持し、チップ14と対向するように基板22が載置された基板保持ステージ21の方向にボンディングツール29を下降させて、チップ14を基板22のボンディング位置22aに接合する作業を行う。
第2の移動ベース30aには、光源ボックス31が装着されている。図2に示すように、光源ボックス31の下部から下方に延出したアーム部31aには、可動導光体である可動プリズム32a(図7参照)を内蔵した可動光学ユニット32が結合されている。ここでアーム部31aはボンディングヘッド26側へ屈曲して設けられており、可動プリズム32aは、光学ヘッド30の中心に対してボンディングヘッド26側にオフセットした形態となっている。
リニアモータ24を駆動することにより、第1の移動ベース26aおよび第2の移動ベース30aはガイドレール25に沿って移動し、これによりボンディングヘッド26および光学ヘッド30はY方向に移動する。したがってリニアモータ24およびガイドレール25は、ボンディングヘッド26および光学ヘッド30を移動させる移動手段となっている。
すなわちこの移動手段は、ボンディングヘッド26をボンディングツール29がチップ14をピックアップするピックアップ位置[P2]とチップ14のボンディングを行う作業位置[P3]との間を移動させ、可動プリズム32aを内蔵した可動光学ユニット32を作業位置[P3]に出し入れさせるために光学ヘッド30を移動させる。
そして光学ヘッド30を移動させることにより、ボンディング位置22aの上方に位置するチップ14と基板22との間の空間に、可動光学ユニット32に内蔵された可動導光体である可動プリズム32aを進退させる機能を有している。このように、ボンディングヘッド26および光学ヘッド30を同一の移動手段によって動作させる構成とすることにより、ボンディング装置の機構を簡素化して設備コストを低減することが可能となっている。
図3に示すように、Y軸フレーム23およびリニアモータ24の下面には、図4に示す撮像ユニット34が、撮像部移動手段である撮像部移動機構35のベース部35aを介してX方向、Y方向に移動自在に装着されている。撮像ユニット34は、カメラを個別に備えた4つの撮像部を有している。さらにリニアモータ24の下面には、図8,図9に示す上左プリズム45(第1の導光体)、上右プリズム46(第3の導光体)、下左プリズム47(第2の導光体)、下右プリズム48(第4の導光体)を内蔵した固定光学ユニット33が配置されている。本実施の形態においては、撮像ユニット34を可動光学ユニット32およびチップ14と基板22との間に進退する可動光学ユニット32と組み合わせることにより、チップ14と基板22とを撮像ユニット34によって撮像するようにしている。
図2,図3に示すように、Y軸フレーム23の上部には、作業位置[P3]を両側から挟む配置で1対のスポット照明36が配置されている。スポット照明36はY軸フレーム23から延出した保持ブラケット36aの先端部に保持されて、照射方向を作業位置[P3]に位置する可動光学ユニット32に向けた姿勢で配置されている。スポット照明36から照射された照明光は、可動光学ユニット32内の可動プリズム32aに入射し、基板22のボンディング位置22aに照射される(図12参照)。すなわちスポット照明36は、上方から基板22に照明用の光を照射する照明手段となっている。
次に図4,図5を参照して、撮像ユニット34および撮像ユニット34を移動させる撮像部移動機構35の構造を説明する。図4は図3に示す撮像ユニット34の下面を示しており、図5は図4におけるA−A断面を示している。図4に示すベース部35aは矩形状のベースプレートであり、Y軸フレーム23、リニアモータ24の下面に装着される(図3参照)。すなわち本実施の形態においては、撮像ユニット34を構成する第1の撮像手段、第2の撮像手段(図8における説明参照)を、ボンディングヘッド26および光学ヘッド30を移動させる移動手段であるリニアモータ24またはこの移動手段を支持するY軸フレーム23の下面に装着する構成となっている。
撮像部移動機構35の構成を説明する。ベース部35aのY方向の両端部にX方向に配列された1対のガイドレール37には、略矩形状のX方向移動テーブル35Xに固定されたスライダ37aがスライド自在に嵌着されている。X方向移動テーブル35XのY方向の一方側の端部に設けられた延出部には、X軸ナット部材39Xが配置されている。X軸ナット部材39Xには、撮像ユニットX軸モータ34Xによって回転駆動される送りねじ39Xaが螺合している。撮像ユニットX軸モータ34Xを正逆駆動することにより、X方向移動テーブル35XはX方向に往復移動する。撮像ユニットX軸モータ34X、X軸ナット部材39Xおよび送りねじ39Xaは、撮像部移動機構35に含まれる第1の移動機構を構成する。
X方向移動テーブル35Xに配置された1対のガイドレール38には、第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2に固定された複数のスライダ38aがスライド自在に嵌着されている。第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2のそれぞれにおいて、X方向の一方側の端部に設けられた延出部には、それぞれ第1Y軸ナット部材39Y1、第2Y軸ナット部材39Y2が配置されている。第1Y軸ナット部材39Y1、第2Y軸ナット部材39Y2には、撮像ユニットY軸モータ34Yによって回転駆動される送りねじ39Yaが螺合している。
ここで送りねじ39Yaに形成された送り溝は、第1Y軸ナット部材39Y1に螺合する範囲と第2Y軸ナット部材39Y2に螺合する範囲とで、ピッチ方向が逆になっている。撮像ユニットY軸モータ34Yを正逆駆動することにより、第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2は、Y方向に相互に接近または離隔する方向に移動する。撮像ユニットY軸モータ34Y、第1Y軸ナット部材39Y1、第2Y軸ナット部材39Y2、送りねじ39Yaは、撮像部移動機構35に含まれる第2の移動機構を構成する。
上記構成において、第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2は、X方向移動テーブル35Xに固定して配置されていることから、上述の第1の移動機構を駆動することにより、第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2は同一方向に同一距離移動する。また上述の第2の移動機構を駆動することにより、第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2を、反対方向に同一距離移動させることができる。
第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2には、それぞれ撮像ユニット34を構成する上左撮像部41(第1の撮像部)、上右撮像部43(第3の撮像部)および下左撮像部42(第2の撮像部)、下右撮像部44(第4の撮像部)がX方向に配列されている。
ここで撮像ユニット34を構成する撮像部の構成について説明する。これらの撮像部は、円筒形状の鏡筒部の両端部に入射部およびカメラを装着し、入射部およびカメラの中間に位置する鏡筒部の側面に同軸照明を配置した構成となっている。この構成において、入射部に垂直方向に入射した撮像対象の象は鏡筒部内を水平方向に透過してカメラに入射し、これにより撮像対象の画像が取得される。このとき、同軸照明による照明光がハーフミラーによって撮像光軸に沿って撮像対象に向う方向に照射され、同軸方向から撮像対象に入射する。
具体的には、第1の撮像部である上左撮像部41は、上左鏡筒部41a、上左同軸照明41b、第1のカメラである上左カメラ41cおよび上左入射部41dを有しており、第3の撮像部である上右撮像部43は、上右鏡筒部43a、上右同軸照明43b、第3のカメラである上右カメラ43cおよび上右入射部43dを有している。同様に、第2の撮像部である下左撮像部42は、下左鏡筒部42a、下左同軸照明42b、第2のカメラである下左カメラ42cおよび下左入射部42dを有しており、下右撮像部44は鏡筒部44a、下右同軸照明44b、第4のカメラである下右カメラ44cおよび下右入射部44dを有している。
図5における上左撮像部41、上右撮像部43の例に示すように、上左鏡筒部41a、上右鏡筒部43aは、第1Y方向移動テーブル35Y1の下面に結合された保持ブラケット41e、43eによって保持されている。上左入射部41d、上右入射部43dの上方には、ベース部35aに固定された固定光学ユニット33が位置している。固定光学ユニット33は、収納部33aの内部に上左プリズム45、上右プリズム46、下左プリズム47、下右プリズム48を内蔵した構成となっている。上左プリズム45、上右プリズム46、下左プリズム47、下右プリズム48は、入射縁部45a、46a、47a、48aから入射した像を内部で反射して出射縁部45b、46b、47b、48bから下方へ出射させる機能を有している(図8参照)。
固定光学ユニット33は、以下に説明する可動光学ユニット32によって取り込まれたチップ14およびボンディング位置22aの上下2視野画像を、左右2つのチップ画像、左右2つのボンディング位置画像に区分して前述の4つの撮像部に伝達する機能を有する。すなわち上左入射部41d、下左入射部42d、上右入射部43d、下右入射部44dが、それぞれ図8に示す出射縁部45b、47b、46b、48bの下方に位置するように、上左撮像部41、下左撮像部42、上右撮像部43、下右撮像部44が位置合わせされる。この位置合わせは、前述の撮像部移動機構35の機能を用いて行われる。
すなわち、撮像部移動手段である撮像部移動機構35は、上左撮像部41(第1の撮像部)と下左撮像部42(第2の撮像部)と上右撮像部43(第3の撮像部)と下右撮像部44(第4の撮像部)とを、上左プリズム45(第1の導光体)と下左プリズム47(第2の導光体)と上右プリズム46(第3の導光体)と下右プリズム48(第4の導光体)に対して相対的に移動させる。これにより、上左入射部41d、下左入射部42d、上右入射部43d、下右入射部44dは、出射縁部45b、47b、46b、48bに位置合わせされる。
図6は、ボンディング装置1において実行されるボンディング作業における上下2方向認識およびそれに引き続いて実行されるボンディング動作を示している。すなわちボンディング動作の実行に先立って、図6(a)に示すように、チップ14を保持したボンディングツール29をボンディング位置22aの上方に位置させ、ボンディング位置22aとチップ14との間に可動光学ユニット32を進出させる。
ここで、可動光学ユニット32は、光学ヘッド30の中心に対してボンディングヘッド26側にオフセットした形態となっていることから、光学ヘッド30とボンディングヘッド26との干渉を生じること無く、ボンディング位置22aとチップ14との間に可動光学ユニット32を位置させることが可能となっている。撮像ユニット34によるチップ14およびボンディング位置22aの撮像および位置認識はこの状態で行われる。可動光学ユニット32に入射したチップ14およびボンディング位置22aの象は、上方に固定された固定光学ユニット33を介して撮像ユニット34に入射する(図8参照)。
1つのチップ14を対象とした撮像および位置認識が終えると、図6(b)に示すように、光学ヘッド30を退避方向(矢印e)に移動させる。これにより可動光学ユニット32はボンディング位置22aとチップ14との間から退避し(矢印f)、ボンディング位置22aとチップ14との間の空間はフリーな状態となる。そしてこの状態で、ボンディングツール駆動部27を駆動してボンディングツール29を下降させる(矢印g)ことにより、ボンディングヘッド26はボンディングツール29に保持したチップ14を基板22のボンディング位置22aに接合する。
このとき、上述の位置認識結果を反映させてチップ14のボンディング位置22aに対する位置合わせが行われる。この位置認識においては、チップ14の装着直前にチップ14とボンディング位置22aを同時に撮像してこれらの相対的な位置ずれを検出するようにしている。これにより、位置ずれ状態を高精度で検出することが可能となり、高精度のボンディング結果を確保することができる。
次に図7を参照して、可動光学ユニット32に内蔵された可動プリズム32aの構成および機能を説明する。上述のように可動光学ユニット32はチップ14と基板22との間に進退自在となっている。可動プリズム32aは、基板22のボンディング位置22aの上方に位置するチップ14と基板22の間に位置した際に、チップ14の像およびボンディング位置22aの像を、上方に位置する固定光学ユニット33に伝達する機能を有する。
図7において、可動プリズム32aは透光性部材よりなる多面反射プリズムであり、対をなす略菱形形状の第1のブロック体53(第1導光体)および第2のブロック体54(第2導光体)の鋭角側端部を、直方体形状の反射体50を介して結合したプリズム体を主体としている。反射体50は、直角三角柱形状の第1導光体51および第2導光体52の斜辺面を合わせて結合した構成となっており、結合面の上面および下面は光を反射する反射面(第1反射面71、第5反射面75)として機能する。第1のブロック体53、第2のブロック体54の左右端に設けられた斜辺面は、部材内部の光を反射する反射面(第2反射面72、第3反射面73、第6反射面76、第7反射面77)として機能する。
第1導光体51の上面および第2導光体52の下面は、それぞれ撮像対象の像を入射させる第1の入射口61、第2の入射口62となっている。可動プリズム32aをチップ14と基板22との間に位置させる際には、反射体50がチップ14と基板22との間に位置するように位置合わせする。この状態では、第1の入射口61、第2の入射口62はそれぞれチップ14および基板22のボンディング位置22a(図6参照)に対向する位置にある。
第1のブロック体53および第2のブロック体54の右側の端部の外側面には、それぞれ直角三角柱形状の第5導光体55、第6導光体56が、一方の直角面を第1のブロック体53、第2のブロック体54の上面と面一にした姿勢で設けられている。第5導光体55、第6導光体56の斜辺面は、第1のブロック体53、第2のブロック体54側から入射する光を上方に反射する反射面(第4反射面74、第8反射面78)として機能する。そして第5導光体55、第6導光体56の上面は、反射された光を出射させる第1の出射口63、第2の出射口64となっている。ここでは、第1の出射口63、第2の出射口64は、第1の入射口61、第2の入射口62から水平方向に離間した位置に設けられている。
さらに、第1のブロック体53および第2のブロック体54の左側の端部の外側面には、それぞれ直角三角柱形状の第7導光体57、第8導光体58が、一方の直角面を第1のブロック体53、第2のブロック体54の下面と面一にした姿勢で設けられている。第7導光体57、第8導光体58は、前述のスポット照明36から照射された照明光をボンディング位置22aに導く機能を有する。
チップ14とボンディング位置22aの撮像における可動プリズム32aの機能の詳細を説明する。可動プリズム32aがチップ14と基板22との間に位置した際には、チップ14の像をチップ14に対向する第1の入射口61から入射させるとともに、ボンディング位置22aの象をボンディング位置22aと対向する第2の入射口62から入射させる。
次いで、第1の入射口61から入射したチップ14の像を、反射体50の第1反射面71によって第1の水平方向(矢印h1)に反射する。これとともに、第2の入射口62から入射したボンディング位置22aの像を、反射体50の第5反射面75によって第1の水平方向とは反対の第2の水平方向(矢印h2)に反射する(図9(b)も参照)。
次に、第1の水平方向に反射されたチップ14の像を、複数のチップ像反射面(第2反射面72、第3反射面73および第4反射面74)によって順次反射して第1の出射口63に導く。これとともに、第2の水平方向に反射されたボンディング位置22aの像を、複数の基板像反射面(第6反射面76、第7反射面77および第8反射面78)によって順次反射して第2の出射口64に導く。
第1のブロック体53に設けられた上述の複数のチップ像反射面は、第1の出射口63の真下に配置され、水平に入射したチップ14の像を真上に反射する第1の最終反射面(第4反射面74)と、第1反射面71によって水平方向に反射されたチップ14の像を第1の最終反射面に導く、少なくとも一つの第1の直立反射面(第2反射面72、第3反射面73)とを含む形態となっている。
また第2のブロック体54に設けられた上述の基板像反射面は、第2の出射口64の真下に配置され、水平に入射したボンディング位置22aの像を真上に反射する第2の最終反射面(第8反射面78)と、第5反射面75によって水平方向に反射されたボンディング位置22aの像を第2の最終反射面に導く、少なくとも一つの第2の直立反射面(第6反射面76、第7反射面77)とを含む形態となっている。
上記構成を有する可動プリズム32aにおいて、第1のブロック体53と第2のブロック体54、第1の最終反射面(第4反射面74)と第2の最終反射面(第8反射面78)、並びに第1の直立反射面(第2反射面72、第3反射面73)と第2の直立反射面(第6反射面76、第7反射面77)とは、反射体50の中心を通過して第1の水平方向(矢印h1)と第2の水平方向(矢印h2)と水平面内で直交する直線(中心線CL)を基準に線対称になっている。
上記の可動プリズム32aの機能を総括すると、可動プリズム32aは、ボンディング位置22aの上方に位置するチップ14と基板22との間に位置した際に、チップ14の像をチップ14に対向する第1の入射口61から入射させ第1の入射口61から水平方向に離間した第1の出射口63から上方に出射させる。これともに可動プリズム32aは、基板22のボンディング位置22aの像をボンディング位置22aと対向する第2の入射口62から入射させ第2の入射口62から水平方向に離間した第2の出射口64から上方に出射させる機能を有する。
このように、ボンディングツール29に保持されたチップ14と基板22のボンディング位置22aとの間に進退させて上下2視野の認識を同時に行うために用いられる可動導光体として、本実施の形態に示すような構成の可動プリズム32aを用いることにより、以下に述べるような効果を得る。まず、可動プリズム32aは、第1のブロック体53、第2のブロック体54などのプリズムを組み合わせて構成されていることから、可動光学ユニット32の全体形状における厚み寸法を極力小さくできるとともに、重量の軽量化が可能となっている。
したがって、図6(a)に示す撮像動作において、チップ14を保持したボンディングツール29を待機させる待機高さを極力低く設定することが可能となっている。これにより、図6(b)に示すボンディング動作において、ボンディングツール29が昇降するボンディング動作ストロークを小さくすることが可能となり、動作タクトタイムが短縮されている。加えて可動光学ユニット32を進退させる進退動作において、重量の軽量化が図られていることから高速動作が可能になり、動作タクトタイムの更なる短縮が実現される。
なお、本実施の形態では、可動導光体として多面反射プリズムを用いた可動プリズム32aを用いる例を示しているが、本発明は可動プリズム32aには限定されない。すなわち、上述の機能を実現可能な構成であれば、ミラーなどの反射体やレンズなどの光学要素を組み込んで可動導光体を構成するようにしてもよい。
また本実施の形態では、第1の入射口61、第2の入射口62から水平方向に離間した位置に、第1の出射口63、第2の出射口64を配置する構成を採用しているが、本発明はこのような構成には限定されない。すなわち、第1の入射口61、第2の入射口62から取り込まれたチップ14の像、ボンディング位置22aの像を、上左撮像部41(第1の撮像部)と下左撮像部42(第2の撮像部)と上右撮像部43(第3の撮像部)と下右撮像部44(第4の撮像部)とに伝達可能なように、可動プリズム32aと固定光学ユニット33および撮像ユニット34との取合い部が設定されていればよい。
次に上述構成の可動プリズム32aと固定光学ユニット33との組み合わせを使用して、撮像ユニット34によってチップ14とボンディング位置22aを撮像する際の撮像視野および撮像経路について、図8、図9を参照して説明する。図8において、可動プリズム32aの反射体50の上方に示す上左画像UL、上右画像URは、撮像対象となるチップ14の画像を示しており、反射体50の下方に示す下左画像DL、下右画像DRは、撮像対象となるボンディング位置22aの画像を示している。なお太線の破線にて示すC1〜C11は、チップ14の像が撮像ユニット34に導かれる撮像の経路を示しており、また太線の一点鎖線にて示すB1〜B11は、ボンディング位置22aの像が撮像ユニット34に導かれる撮像の経路を示している。
ここで、上左画像ULは、チップ14の像の一部(左半分)である第1の部分像に該当し、上右画像URはチップ14の像の第1の部分像とは異なる一部(右半分)である第3の部分像に該当する。また下左画像DLは、ボンディング位置22aの像の第1の部分像に対応する一部(左半分)である第2の部分像に該当し、下右画像DRはボンディング位置22aの像の第3の部分像に対応する一部(右半分)である第4の部分像に該当する。ここで、「対応する」とは、これらの部分像を取得する際の撮像視野が上下に重なった状態であることを意味している。
チップ14 の上左画像UL、上右画像URは、反射体50の上面の第1の入射口61に入射し(経路C1)、第1のブロック体53内を導かれて第5導光体55の上面の第1の出射口63から上方へ出射する(経路C5)。ボンディング位置22aの下左画像DL、下右画像DRは、反射体50の下面の第2の入射口62に入射し(経路B1)、第2のブロック体54内を導かれて第6導光体56の上面の第2の出射口64から上方へ出射する(経路B5)。
図9(a)に示すように、第1のブロック体53内では、反射体50から入射したチップ14の像(経路C2)は、第2反射面72に入射してX方向に反射され(経路C3)、さらに第3反射面73に入射してY方向に反射される(経路C4)。次いで第5導光体55の第4反射面74に入射して上方に反射され(図9(b))、第1の出射口63に至る。また第2のブロック体54内では、反射体50から入射したボンディング位置22aの像(経路B2)は第6反射面76に入射してX方向に反射され(経路B3)、さらに第7反射面77に入射してY方向に反射される(経路B4)。次いで第6導光体56の第8反射面78に入射して上方に反射され(図9(b))、第2の出射口64に至る。
第5導光体55の上方には、上左プリズム45の入射縁部45a、上右プリズム46の入射縁部46aが位置しており、第6導光体56の上方には、下左プリズム47の入射縁部47a、下右プリズム48の入射縁部48aが位置している(図8参照)。ここで上左プリズム45、上右プリズム46は、入射縁部45a、入射縁部46aが、第5導光体55の上面の第1の出射口63を左右方向に2つに区分した第1の左出射口63L、第1の右出射口63Rの上方にそれぞれ位置するように配置されている。また下左プリズム47、下右プリズム48は、入射縁部47a、入射縁部48aが、第6導光体56の上面の第2の出射口64を左右方向に2つに区分した第2の左出射口64L、第2の右出射口64Rの上方にそれぞれ位置するように配置されている。
このような構成により、チップ14の像、ボンディング位置22aの像を左右2つに区分した4つの部分像のそれぞれを、撮像ユニット34を構成する4つの撮像部によって取り込むことができるようになっている。すなわち第1の出射口63から出射されたチップ14の像のうち、第1の左出射口63Lから出射される上左画像UL、第1の右出射口63Rから出射される上右画像URは、上左プリズム45の入射縁部45a、上右プリズム46の入射縁部46aにそれぞれ入射する(経路C6,C7)。
そして上左プリズム45の入射縁部45a、上右プリズム46の入射縁部46aにそれぞれ入射した上左画像UL、上右画像URは、上左プリズム45、上右プリズム46内でそれぞれ出射縁部45b、出射縁部46b側に反射され(図9に示す経路C8、C10参照)、ここで下方に反射されて上左撮像部41、上右撮像部43に入射する(経路C9、C11)。
また第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像のうち、第2の左出射口64Lから出射される下左画像DL、第2の右出射口64Rから出射される下右画像DRは、下左プリズム47の入射縁部47a、下右プリズム48の入射縁部48aにそれぞれ入射する(経路B6,B7)。そして下左プリズム47の入射縁部47a、下右プリズム48の入射縁部48aにそれぞれ入射した下左画像DL、下右画像DRは、下左プリズム47、下右プリズム48内でそれぞれ出射縁部47b、出射縁部48b側に反射され(図9に示す経路B8、B10参照)、ここで下方に反射されて下左撮像部42、下右撮像部44に入射する(経路B9、B11)。
上記構成において、上左撮像部41は、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の一部である第1の部分像(上左画像UL)を撮像し、下左撮像部42は第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第1の部分像(上左画像UL)に対応する一部である第2の部分像(下左画像DL)を撮像する。また上右撮像部43は、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の第1の部分像(上左画像UL)とは異なる一部である第3の部分像(上右画像UR)を撮像し、下右撮像部44は、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第3の部分像(上右画像UR)に対応する一部である第4の部分像(DR)を撮像する。
さらに詳細に述べると、ボンディング装置1が備えた固定光学ユニット33は、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の一部である第1の部分像(上左画像UL)を入射させ出射させる第1の導光体(上左プリズム45)と、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の一部である第2の部分像(下左画像DL)を入射させ出射させる第2の導光体(下左プリズム47)と、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の第1の部分像(上左画像UL)とは異なる一部である第3の部分像(上右画像UR)を入射させ出射させる第3の導光体(上右プリズム46)と、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第2の部分像(下左画像DL)とは異なる一部である第4の部分像(下右画像DR)を入射させ出射させる第4の導光体(下右プリズム48)とを備えている。
そして上左撮像部41は第1の導光体(上左プリズム45)から出射された第1の部分像(上左画像UL)を撮像し、下左撮像部42は、第2の導光体(下左プリズム47)から出射された第2の部分像(下左画像DL)を撮像する。また上右撮像部43は、第3の導光体(上右プリズム46)から出射された第3の部分像(上右画像UR)を撮像し、下右撮像部44は、第4の導光体(下右プリズム48)から出射された第4の部分像(下右画像DR)を撮像する。
上述構成の撮像ユニット34によるチップ14 とボンディング位置22aの撮像において、撮像対象のチップ14、ボンディング位置22aの形状、サイズ、認識点の位置などによって撮像視野の位置を調整する必要が生じる場合がある。このような場合には、撮像部移動機構35によって、上左撮像部41、下左撮像部42、上右撮像部43、下右撮像部44を、上左プリズム45、下左プリズム47、上右プリズム46、下右プリズム48に対して相対的に移動させることにより、各撮像部の撮像視野の位置を調整する。
ここで、図8に示すように、チップ14における上左撮像部41の視野(上左画像UL)とボンディング位置22aにおける下左撮像部42の視野(下左画像DL)は上下に重なった位置関係にある。また同様に、チップ14における上右撮像部43の視野(上右画像UR)とボンディング位置22aにおける下右撮像部44の視野(下右画像DR)は上下に重なった位置関係にある。
前述のように、撮像部移動機構35の構成において、上左撮像部41と下左撮像部42と上右撮像部43と下右撮像部44とは、第1の移動機構によってX方向には同一方向に同一距離だけ移動する。そして第2の移動機構によって、上左撮像部41と上右撮像部43とを同一方向に同一距離移動させるとともに、下左撮像部42と下右撮像部44とを、上左撮像部41と上右撮像部43とは反対方向に同一距離だけ移動させることができるようになっている。
上左撮像部41、上右撮像部43、下左撮像部42、下右撮像部44をこのような条件で移動させることにより、撮像部移動機構35は、上左撮像部41の視野と下左撮像部42の視野が重なった状態と上右撮像部43の視野と下右撮像部44の視野が重なった状態とを維持しながら、上左撮像部41と下左撮像部42と上右撮像部43と下右撮像部44とを移動させることができる。これにより、チップ14とボンディング位置22aの上下2つの撮像対象のそれぞれを区分した4つの部分像の位置関係を正しく維持した状態で、各撮像部の撮像視野の位置を調整することが可能となっている。
上述のチップ14とボンディング位置22aの撮像に用いられる構成要素を、撮像対象毎に区分すると、上左プリズム45と上左撮像部41との第1の組み合わせ、または上右プリズム46と上右撮像部43との第3の組み合わせは、可動プリズム32aの第1の出射口63から出射されたチップ14の像を撮像する第1の撮像手段を構成する。また下左プリズム47と下左撮像部42との第2の組み合わせ、または下右プリズム48と下右撮像部44との第4の組み合わせは、可動プリズム32aの第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像を撮像する第2の撮像手段を構成する。
なお、第1の撮像手段、第2の撮像手段において、それぞれの2つの組み合わせのうちのいずれか一方のみを用いてもよく、また双方を用いてもよい。一方の組み合わせのみを用いる場合とは、例えば第1の撮像手段として第1の組み合わせを用い、第2の撮像手段として第2の組み合わせを用いる場合のように、撮像視野の片側の部分像のみを撮像する場合を云う。
すなわちボンディング対象が小型のチップ14であってボンディング動作時の認識が、チップ中心の一点認識で足りるような場合には、片側の撮像部のみを用いる。これに対し、ボンディング対象が大型のチップ14であってボンディング動作時の認識において、チップの対角位置などの2点を認識することが必要な場合には、前述の2つの組み合わせの双方を用いるようにする。すなわち、チップ14、ボンディング位置22aの双方のそれぞれを、2つの撮像部によって撮像する。このように、本実施の形態に示すボンディング装置1では、小型のチップから大型のチップまで多品種のチップに対応可能であり、汎用性に優れたボンディング装置が実現されている。
そして上述の第1の撮像手段によって撮像されたチップ14の像と、第2の撮像手段によって撮像されたボンディング位置22aの像に基づいて、チップ14とボンディング位置22aとの相対的な位置ずれが、画像認識により検出される。この画像認識による位置ずれ検出は、制御部5が備えた画像認識部93(図13)の処理機能によって実行される。したがって制御部5の画像認識部93は、チップ14の像と、ボンディング位置22aの像に基づいて、チップ14とボンディング位置22aとの相対的な位置ずれを検出する検出手段となっている。
このようにして検出手段によって検出されたチップ14とボンディング位置22aとの相対的な位置ずれに基づいて、制御部5のアライメント処理部92(図13)が第2のXYテーブル20を制御することにより、チップ14を保持したボンディングツール29と基板22を保持した基板保持ステージ21とを相対的に移動させて、チップ14とボンディング位置22aとを位置合わせするアライメント処理が行われる。したがって制御部5のアライメント処理部92は、ボンディングツール29と基板保持ステージ21とを相対的に移動させるアライメント手段を構成する。
ボンディング装置1における撮像手段の定義は複数の定義が可能であり、以下に示すような定義を用いてもよい。すなわち上左プリズム45と上左撮像部41との組み合わせを、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の一部である第1の部分像(上左画像UL)を撮像する第1の撮像手段と定義し、下左プリズム47と下左撮像部42との組み合わせを、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第1の部分像(上左画像UL)に対応する一部である第2の部分像(下左画像DL)を撮像する第2の撮像手段と定義する。
また上右プリズム46と上右撮像部43との組み合わせを、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の第1の部分像(上左画像UL)とは異なる一部である第3の部分像(上右画像UR)を撮像する第3の撮像手段と定義し、下右プリズム48と下右撮像部44との組み合わせを、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第3の部分像(上右画像UR)に対応する一部である第4の部分像(下右画像DR)を撮像する第4の撮像手段と定義する。
そして上述の第1の撮像手段によって撮像された第1の部分像(上左画像UL)と、第2の撮像手段によって撮像された第2の部分像(下左画像DL)と、第3の撮像手段によって撮像された第3の部分像(上右画像UR)と、第4の撮像手段によって撮像された第4の部分像(下右画像DR)と、に基づいて、チップ14とボンディング位置22aの相対的な位置ずれが、前述の検出手段によって検出される。そしてこのようにして検出手段によって検出されたチップ14とボンディング位置22aとの相対的な位置ずれに基づいて、前述のアライメント手段によってボンディングツール29と基板保持ステージ21とを相対的に移動させることにより、チップ14とボンディング位置22aとを位置合わせするアライメント処理が行われる。
次に図10を参照して、光学ヘッド30の構成を説明する。図10において、ガイドレール25(図2参照)に沿って移動する第2の移動ベース30aには、光源ボックス31が装着されている。第2の移動ベース30aは、図2にて説明する移動手段によってY方向に移動する。光源ボックス31には、図11に示す上側照明部85、下側照明部86を構成する上側光源81および下側光源82が収納されている。
上側光源81、下側光源82からは、それぞれ複数の光ファイバを結束して構成された上側光ファイバケーブル83、下側光ファイバケーブル84が延出している。上側光ファイバケーブル83、下側光ファイバケーブル84は、アーム部31aの内部を経由して可動光学ユニット32に接続されている。上側光源81、下側光源82を作動させることにより、上側光ファイバケーブル83、下側光ファイバケーブル84を介して可動光学ユニット32の内部において照明光が照射される。
図11は、可動光学ユニット32の内部に収納された可動プリズム32aおよび可動プリズム32aが備えた上側照明部85、下側照明部86を示している。可動導光体である可動プリズム32aの上面側には、上側照明部85が設けられており、可動プリズム32aの下面側には、下側照明部86が設けられている。上側照明部85、下側照明部86は、いずれも前述の移動手段(リニアモータ24およびガイドレール25)によって可動プリズム32aとともに移動する。上側照明部85は、可動プリズム32aがチップ14と基板22との間に位置する際に、チップ14を照明する。また下側照明部86は、可動プリズム32aがチップ14と基板22との間に位置する際に、基板22を照明する。
上側光ファイバケーブル83、下側光ファイバケーブル84は、可動光学ユニット32の内部において光ファイバの結束を解かれて終端部が平らに成形され、端面が線状にそろえられた照射部83a、84aを形成する。上側光ファイバケーブル83、下側光ファイバケーブル84を構成する光ファイバの先端面が開口した端面は、それぞれ上側光源81、下側光源82が発光し上側光ファイバケーブル83、下側光ファイバケーブル84により導光された照明光を、反射体50の上面および下面において照射する上側発光部83b、下側発光部84bとなっている。
すなわち上側照明部85は、上側光源81と複数の光ファイバの束であり上側光源81の光をチップ14へ導く上側光ファイバケーブル83とを有し、下側照明部86は、下側光源82と複数の光ファイバの束であり下側光源82の光を基板22へ導く下側光ファイバケーブル84とを有する構成となっている。
そして上側光ファイバケーブル83を構成する複数の光ファイバの端面が反射体50の上面の第1の入射口61を取り囲むように、上側光ファイバケーブル83の終端部が平らに成形されて照射部83aとなっている。また下側光ファイバケーブル84を構成する複数の光ファイバの端面が反射体50の下面の第2の入射口62を取り囲むように下側光ファイバケーブル84の終端部が平らに成形されて照射部84aとなっている。
可動プリズム32aを形成する第1のブロック体53、第2のブロック体54の外側面において、反射体50を挟む位置には、それぞれ三角柱状の導光体である第7導光体57、第8導光体58が、外側方に延出して可動プリズム32aと一体に設けられている。可動プリズム32aを挟んで設けられた第7導光体57、第8導光体58は、可動プリズム32aがチップ14と基板22との間に位置した際、上方に設けられた照明手段である1対のスポット照明36(図2,図3参照)により異なる2方向から下方へ照射された照明光を、基板22のボンディング位置22aに導く集光部として機能する。
図12は、ボンディングツール29に保持されたチップ14と基板22との間に可動光学ユニット32を位置させて、チップ14と基板22とを撮像する際のチップ14および基板22の照明状態を示している。まずスポット照明36を作動させることにより、可動光学ユニット32を挟む両側の上方から照明光が第7導光体57、第8導光体58に対して斜め上方向の異なる2方向から照射される(矢印i,j)。照射された照明光は第7導光体57、第8導光体58によって集光されて、基板22の上面のボンディング位置22aに入射して照明する。
また上側照明部85、下側照明部86を作動させることにより、上側光源81、下側光源82から、照明光が上側光ファイバケーブル83、下側光ファイバケーブル84を介して照射部83a、84aに導光される。そしてこの照明光は、上側発光部83b、下側発光部84bからそれぞれチップ14、基板22に対して間接照明光として照射される(矢印k、矢印m)。さらに、各撮像部に備えられた同軸照明からの照明光が撮像部位に対して照射される。
すなわち上左撮像部41や上右撮像部43の同軸照明からの照明光は、反射体50の第1導光体51に入射して(矢印n)、第1反射面71(図7参照)によって上方に反射されてチップ14に同軸方向から入射する(矢印o)。また下左撮像部42や下右撮像部44の同軸照明からの照明光は、反射体50の第2導光体52に入射して(矢印p)、第5反射面75(図7参照)によって下方に反射されて基板22に同軸方向から入射する(矢印q)。
このように本実施の形態のボンディング装置1においては、図7に示す構成の可動プリズム32aを内蔵した可動光学ユニット32をチップ14と基板22との間に位置させて上下2方向の撮像を行う方式において、以下に述べる複数の照明手段を備えるようにしている。
まず、撮像ユニット34の各撮像部が備えた同軸照明によってチップ14と基板22に照明光を同軸方向から照射する。そしてチップ14と基板22を周囲から照明する間接照明として、可動プリズム32aの上側および下側に配置され光ファイバケーブルによって導かれた照明光を照射する上側照明部85、下側照明部86を備えている。さらに加えて、上方に設けられた1対のスポット照明36により下方へ照射された照明光を第7導光体57、第8導光体58によって集光して、基板22の上面のボンディング位置22aを照明するようにしている。このように複数の照明手段を備えることにより、ボンディング対象の基板22に基板押さえ部材など正常な照明を妨げる干渉物が存在する場合にあっても、良好な撮像のために必要な適正な照明条件を満たすことができる。
次に図13を参照して、制御系の構成を説明する。図13において、制御部5は内部処理機能部としてのボンディング動作制御部91、アライメント処理部92、画像認識部93、視野位置設定部94および記憶部95を備えている。また制御部5には、リニアモータ24、第1のXYテーブル10、第2のXYテーブル20、ボンディングヘッド26、ピックアップヘッド15、撮像ユニットX軸モータ34X、撮像ユニットY軸モータ34Y、上左カメラ41c、下左カメラ42c、上右カメラ43c、下右カメラ44c、上側光源81、下側光源82、スポット照明36、上左同軸照明41b、下左同軸照明42b、上右同軸照明43b、下右同軸照明44bおよびタッチパネル96が接続されている。タッチパネル96は、画像認識部93による認識画面や制御部5への操作入力やデータ入力用の操作画面などを表示する。
ボンディング動作制御部91は、リニアモータ24、第1のXYテーブル10、第2のXYテーブル20、ボンディングヘッド26、ピックアップヘッド15を制御することにより、ピックアップヘッド15によってチップ供給部2から取り出したチップ14をボンディングヘッド26によって基板22にボンディングするボンディング動作を制御する。
画像認識部93は、上左カメラ41c、下左カメラ42c、上右カメラ43c、下右カメラ44cによってチップ14とボンディング位置22aを撮像して得られた画像を認識処理することにより、チップ14とボンディング位置22aとの位置ずれを検出する。すなわち画像認識部93はチップ14とボンディング位置22aとの相対的な位置ずれを検出する検出手段となっている。上左カメラ41c、下左カメラ42c、上右カメラ43c、下右カメラ44cによる撮像時には、画像認識部93が備えた照明制御機能によって上側光源81、下側光源82、スポット照明36、上左同軸照明41b、下左同軸照明42b、上右同軸照明43b、下右同軸照明44bの点灯が制御される。
視野位置設定部94は、撮像ユニットX軸モータ34X、撮像ユニットY軸モータ34Yの駆動を制御することにより、撮像ユニット34を移動させる。これにより、上左撮像部41、下左撮像部42、上右撮像部43、下右撮像部44の撮像視野の位置が撮像対象に応じて設定される。記憶部95はボンディング動作制御部91によるボンディング動作の制御に用いられるボンディングデータや、画像認識部93による認識処理に用いられる認識データ、さらに視野位置設定部94による視野位置の設定に用いられる撮像視野データなどのデータを記憶する。
上記説明したように、本実施の形態では、ボンディングツール29に保持したチップ14を基板22のボンディング位置22aに接合するボンディング装置1を、チップ14と基板22との間に進出した際に、チップ14の像、ボンディング位置22aの像をそれぞれ第1の入射口61、第2の入射口62から入射させ、第1の出射口63、第2の出射口64から上方に出射させる機能を有する可動導光体と、出射されたチップの像、ボンディング位置の像を、2回反射ミラーとして機能する4つのプリズムを備えた固定光学ユニット33を介して4つの撮像部によって撮像する撮像ユニット34とを備える構成とし、可動導光体として薄型の多面反射プリズムより成る可動プリズム32aを用いるようにしている。これにより、ボンディング作業において高い位置精度を確保しながら高生産性を実現することができる。
そして固定光学ユニット33により、第1の出射口63から出射されたチップ14の上左画像UL、上右画像UR、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aのチップ14の下左画像DL、下右画像DRを、4つのプリズムによって下方に反射する。反射されたこれらの画像を撮像ユニット34の4つの撮像部に入射させて撮像する構成において、4つの撮像部を撮像部移動手段によって固定光学ユニット33の4つのプリズムに対して相対的に移動させることにより、4つの撮像部による撮像視野の位置を調整する。これにより、サイズや認識点の位置が異なる多品種のチップ14を対象とすることができる。
上述構成のボンディング装置1のボンディング機構4において、共通のリニアモータ24によって駆動されてガイドレール25に沿って移動する第1の移動ベース26a、第2の移動ベース30aに、ボンディングツール29を備えたボンディングヘッド26および可動光学ユニット32を備えた光学ヘッド30とを装着する。光学ヘッド30を移動させて可動光学ユニット32をチップ14と基板22との間に位置させた状態で、撮像ユニット34によってチップ14の像とボンディング位置22aの像を撮像する。これにより、ボンディング装置の機構を簡素化して設備コストを低減することが可能となっている。
上述の可動光学ユニット32が備えた可動プリズム32aには、上側光源からの照明光を上側光ファイバケーブル83によって照射部83aに導いて上側発光部83bから照射してチップ14を照明する上側照明部85と、下側光源からの照明光を下側光ファイバケーブル84によって照射部84aに導いて下側発光部84bから照射して基板22のボンディング位置22a照明する下側照明部86とが設けられている。この構成により、チップ14およびボンディング位置22aを適正な照明条件で照明し、高精度の位置認識を行うことが可能となっている。
さらに本実施の形態に示すボンディング装置1においては、ボンディング機構4のY軸フレーム23に配置された1対のスポット照明36からの照明光を、チップ14と基板22との間に位置した可動光学ユニット32に照射し、照射光を可動プリズム32aの側面に設けられた第7の導光体57,第8の導光体58によって集光して基板22のボンディング位置に導くようにしている。これにより、基板22上に干渉物が存在する場合にあっても、基板22のボンディング位置22aを適正な照明条件で照明することができる。
なお、本実施の形態に示すボンディング装置1では、1対のスポット照明36がY軸フレーム23に配置されているが、Y軸フレーム23とは異なる部材に配置されてもよい。