以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、部品認識カメラの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図2における上下方向)が示される。
まず図1、図2を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。なお図2は、図1における部品実装装置1の一部を模式的に示している。部品実装装置1は、部品供給部から供給された部品を基板に装着する部品実装作業を実行する機能を有する。基台1aの中央には、基板搬送機構2がX軸に沿って配置されている。基板搬送機構2は、上流側から搬送された基板3を、実装作業位置に搬入して位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流側に搬出する。
基板搬送機構2の両側(Y軸の前後方向)には、部品供給部4が配置されている。それぞれの部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX軸に沿って並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品Dを格納するポケットが形成された部品テープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、以下に説明する実装ヘッドによって部品Dが取り出される部品供給位置5aに部品Dを供給する。
図1、図2において、基台1a上面においてX軸における両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル6がY軸に沿って配置されている。Y軸テーブル6には、同様にリニア駆動機構を備えたビーム7が、Y軸に沿って移動自在に結合されている。ビーム7はX軸に沿って配置されている。ビーム7には、実装ヘッド8がX軸に沿って移動自在に装着されている。実装ヘッド8は、部品Dを吸着保持して昇降可能な吸着ユニット8aを備えている。吸着ユニット8aのそれぞれの下端部には、部品Dを吸着保持するノズル8bが装着されている。
図1において、Y軸テーブル6およびビーム7は、実装ヘッド8をX軸およびY軸に沿って移動させるヘッド移動機構9を構成する。ヘッド移動機構9および実装ヘッド8は、部品供給部4に配置されたテープフィーダ5の部品供給位置5aから部品Dをノズル8bによって吸着して取り出して、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の実装位置に装着する実装ターンを実行する。すなわち、Y軸テーブル6、ビーム7および実装ヘッド8は、テープフィーダ5の部品供給位置5aに供給される部品Dをノズル8bで保持して基板3に装着する部品実装手段を構成する。
図1、図2において、部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ20が配置されている。部品供給部4から部品Dを取り出した実装ヘッド8が部品認識カメラ20の上方を移動する際に、部品認識カメラ20は実装ヘッド8に保持された状態の部品Dを撮像して部品Dの保持姿勢を認識する。実装ヘッド8が取り付けられたプレート7aには基板認識カメラ10が取り付けられている。基板認識カメラ10は、実装ヘッド8と一体的に移動する。
実装ヘッド8が移動することにより、基板認識カメラ10は基板搬送機構2に位置決めされた基板3の上方に移動し、基板3に設けられた基板マーク3aを撮像して基板3の位置を認識する。実装ヘッド8による基板3への部品実装動作においては、部品認識カメラ20による部品Dの認識結果と、基板認識カメラ10による基板位置の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
図2において、部品供給部4にはフィーダベース11aに予め複数のテープフィーダ5が装着された状態の台車11がセットされる。台車11には、部品Dを保持した部品テープ12を巻回状態で収納するテープリール13が保持されている。テープリール13から引き出された部品テープ12は、テープフィーダ5によって部品供給位置5aまでピッチ送りされる。
図1において、部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル14が設置されている。タッチパネル14は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う。
次に図3を参照して、部品認識カメラ20の構成の概要について説明する。図3は、部品認識カメラ20の筐体21を透視した部品認識カメラ20の内部を模式的に示している。部品認識カメラ20には、X軸に沿って直線に並ぶ複数(ここでは4個)の第1カメラユニット22が設置されている。複数の第1カメラユニット22は、第1カメラ群G1を構成する。また、部品認識カメラ20には、X軸に沿って直線に並ぶ複数(ここでは4個)の第2カメラユニット23が設置されている。複数の第2カメラユニット23は、第2カメラ群G2を構成する。
第1カメラ群G1と第2カメラ群G2は、Y軸に沿って隣接する位置に配置されている。また、第1カメラ群G1の第1カメラユニット22と第2カメラ群G2の第2カメラユニット23は、X軸方向の位置が互い違いになるように配置(千鳥配置)されている。すなわち、X軸方向において、隣接する2個の第1カメラユニット22の境界の位置に第2カメラユニット23の中央が位置するように配置されている。同様に、隣接する2個の第2カメラユニット23の境界の位置に第1カメラユニット22の中央が位置するように配置されている。第1カメラユニット22と第2カメラユニット23の一部が交互に配置された所定の位置の上方には、複数のマーク25が形成された透明板24が配置されている。
次に図4~図7を参照して、部品認識カメラ20の構成の詳細について説明する。図5~図7は、便宜上、第1カメラユニット22の筐体22aと第2カメラユニット23の筐体23aの記載を省略して、部品認識カメラ20の内部の構成要素の位置関係を分かりやすく表示している。
図6(b)、図6(c)において、透明板24は、部品認識カメラ20の筐体21の上部21aを切り欠いて形成された開口部21bの上に配置されている。透明板24は、光を透過する板状のガラスなどで形成されている。図6(a)において、透明板24のY軸方向の中央部には、第1カメラユニット22および第2カメラユニット23がノズル8bに保持された部品Dを撮像する際にカメラの光軸が通過する部品撮像視野24aが設定されている。透明板24には、X軸に沿って直列に並ぶ複数のマーク25が、部品撮像視野24aを挟んでY軸方向に2列配置されている。すなわち、複数のマーク25は、第1カメラユニット22および第2カメラユニット23による部品Dの撮像を妨害しない位置に配置されている。
次に図4(a)、図7(a)を参照して、第1カメラユニット22の光学系について説明する。図4(a)は、第1カメラユニット22の筐体22aを透視した第1カメラユニット22の内部を模式的に示している。図7(a)には、便宜上、部品認識カメラ20の内部に第1カメラユニット22に関連する構成のみ表示している。第1カメラユニット22は、筐体22aの内部に2次元CMOSセンサなどの撮像素子を有する第1撮像部22bと、撮像対象の部品Dと第1撮像部22bとの間に位置する第1レンズ22cを有している。
第1カメラユニット22は、光軸22dを上方に向けて設置されており、撮像対象の部品Dを下方から撮像する。第1レンズ22cの上方であって、第1カメラユニット22による撮像を妨害しない位置には、第1照明部26が設置されている。第1照明部26は、複数のLEDチップなどを備えて構成されており、撮像対象物(部品Dなど)、または、透明板24のマーク25を照らす光26aを下方から照射する。
次に図4(b)、図7(b)を参照して、第2カメラユニット23の光学系について説明する。図4(b)は、第2カメラユニット23の筐体23aを透視した第2カメラユニット23の内部を模式的に示している。図7(b)には、便宜上、部品認識カメラ20の内部に第2カメラユニット23に関連する構成のみ表示している。第2カメラユニット23は、筐体23aの内部に2次元CMOSセンサなどの撮像素子を有する第2撮像部23bと、撮像対象の部品Dと第2撮像部23bとの間に位置する第2レンズ23cを有している。
第2カメラユニット23は、光軸23dを上方に向けて設置されている。第2カメラユニット23において、透明板24の下方には、第1の鏡27が配置されている。第1の鏡27からY軸に沿う位置であって、第2レンズ23cの上方には、第2の鏡28が配置されている。第2カメラユニット23の光軸23dは、第2の鏡28によって第1の鏡27の方向に屈折される。さらに、光軸23dは、第1の鏡27によって上方に屈折される。
このように、光軸23dが第2の鏡28と第1の鏡27によって屈折されることにより、第2カメラユニット23は、撮像対象の部品Dを下方から撮像する。すなわち、第1の鏡27と第2の鏡28(鏡)は、ノズル8bに保持された部品Dの像を第2カメラユニット23(第2カメラ群のカメラ)に導く光軸屈折部Rを構成する。また、部品認識カメラ20において、第1の鏡27と第2の鏡28は、第2カメラ群G2のカメラ(第2カメラユニット23)毎に配置されている(図5、図6参照)。
図7(b)において、第2レンズ23cの上方であって、第2カメラユニット23による撮像を妨害しない位置には、第2照明部29が設置されている。第2照明部29は、複数のLEDチップなどを備えて構成されており、撮像対象物(部品Dなど)、または、透明板24のマーク25を照らす光29aを照射する。第2照明部29から照射された光29aは、第2の鏡28と第1の鏡27によって屈折されることにより、撮像対象物(部品Dなど)、または、透明板24のマーク25を下方から照らす。
図7(a)、図7(b)において、部品認識カメラ20(部品撮像装置)がノズル8bに保持された部品Dを撮像する際は、第1照明部26および第2照明部29から光26a,29aを照射している状態で、部品Dを保持しているノズル8bをY軸に沿って移動させる(矢印a)。第1カメラユニット22および第2カメラユニット23は、部品Dが透明板24の部品撮像視野24aの上方を通過する際に、部品Dを下方から撮像(スキャン撮像)する。
ここで図8を参照して、第1カメラユニット22の光学系の他の実施例について説明する。第1カメラユニット22の光学系の他の実施例は、第1レンズ22cの上方にハーフミラー30が配置されているところが前述の第1カメラユニット22の光学系とは異なる。第1カメラユニット22の光軸22dはハーフミラー30を透過し、第1カメラユニット22は撮像対象の部品Dを下方から撮像する。
ハーフミラー30からY軸に沿う位置には、第3照明部31が設置されている。第3照明部31は、複数のLEDチップなどを備えて構成されており、撮像対象物(部品Dなど)、または、透明板24のマーク25を照らす光31aを横向きに照射する。第3照明部31から照射された光31aは、ハーフミラー30によって上方に屈折されることにより、撮像対象物(部品Dなど)、または、透明板24のマーク25を下方から照らす。このように、部品認識カメラ20は、複数のカメラ(第1カメラユニット22、第2カメラユニット23)毎に配置され、ノズル8bが保持する部品Dおよび透明板24のマーク25を照らす照明部(第1照明部26、第2照明部29、第3照明部31)を備えている。
次に図9を参照して、部品認識カメラ20の撮像視野について説明する。図9では、第1カメラ群G1の4個の第1カメラユニット22をX軸方向の左側から順に第1カメラユニット22A~第1カメラユニット22Dと称する。また、第2カメラ群G2の4個の第2カメラユニット23をX軸方向の左側から順に第1カメラユニット23A~第1カメラユニット23Dと称する。
図9(a)、図9(b)において、X軸方向において隣接する第1カメラユニット22Aと第1カメラユニット22Bの境界の位置に第2カメラユニット23AのX軸方向の中心が位置している。また、X軸方向において隣接する第2カメラユニット23Aと第2カメラユニット23Bの境界の位置に第1カメラユニット23BのX軸方向の中心が位置している。以下同様に、第1カメラユニット22A~22Dと第2カメラユニット23A~23Dが設置されている。
これによって、部品撮像視野24a(図9(b)中にドットのハッチングを付している)を含む透明板24には、X軸方向の左側から第1カメラユニット22Aの撮像視野A1、第2カメラユニット23Aの撮像視野A2、第1カメラユニット22Bの撮像視野A3、第2カメラユニット23Bの撮像視野A4のように、第1カメラユニット22A~22Dの撮像視野A1,A3,A5,A7と第2カメラユニット23A~23Dの撮像視野A2,A4,A6,A8が交互に配置される。
図9(b)において、第1カメラユニット22A~22Dの撮像視野A1,A3,A5,A7のX軸方向の幅LX1およびY軸方向の幅LY1は、第2カメラユニット23A~23Dの撮像視野A2,A4,A6,A8のX軸方向の幅LX2およびY軸方向の幅LY2と同じである。また、X軸方向において、第2カメラユニット23Aの撮像視野A2は、左右に隣接する第1カメラユニット22Aの撮像視野A1と第1カメラユニット22Bの撮像視野A3と接している。すなわち、第1カメラユニット22A~22Dの撮像視野A1,A3,A5,A7と第2カメラユニット23A~23Dの撮像視野A2,A4,A6,A8は、一の方向(X軸方向)に交互に接して並ぶように配置されている。
第1カメラユニット22A~22Dの第1レンズ22cおよび第1撮像部22bと第2カメラユニット23A~23Dの第2レンズ23cおよび第2撮像部23bは、主光線と光軸22d,23dが平行であるテレセントリック光学系である。すなわち、第1カメラ群G1の複数のカメラ(第1カメラユニット22A~22D)および第2カメラ群G2の複数のカメラ(第2カメラユニット23A~23D)は、テレセントリック光学系を有している。
または、複数のカメラ(第1カメラユニット22A~22D、第2カメラユニット23A~23D)は、主光線と光軸22d,23dがほぼ平行で画角が小さい(狭い)光学系である。このように、部品認識カメラ20は、画角が小さい光学系のカメラ(第1カメラユニット22A~22D、第2カメラユニット23A~23D)を一の方向(X軸方向)に撮像視野A1~A8が交互に並ぶように配置することで、径の大きなレンズを用いることなく一の方向に長い部品撮像視野24aを実現している。
上記のように、部品認識カメラ20は、一の方向(X軸方向)に直列に並び、部品Dを撮像する複数のカメラ(第1カメラユニット22A~22D)から成る第1カメラ群G1と、第1カメラ群G1と並行に一の方向に直列に並び、部品Dを撮像する複数のカメラ(第2カメラユニット23A~23D)から成る第2カメラ群G2と、第1カメラ群G1のカメラの撮像視野A1,A3,A5,A7と、第2カメラ群のカメラの撮像視野A2,A4,A6,A8を、直列に並べる光軸屈折部Rと、を備える、部品撮像装置である。また、部品認識カメラ20は、第1カメラ群G1のカメラと、第2カメラ群G2のカメラは、撮像視野A1~A8が交互に並ぶように配置されている。
次に、図10を参照して、第2の部品認識カメラ32(以下、単に「部品認識カメラ32」と称する)について説明する。部品認識カメラ32は、第1レンズ33bおよび第1撮像部33aを有するX軸方向に並ぶ4個の第1カメラユニット33A~33Dと、第2レンズ34bおよび第2撮像部34aを有するX軸方向に並ぶ4個の第2カメラユニット34A~34Dを備えている。部品認識カメラ32の第1カメラユニット33A~33Dおよび第2カメラユニット34A~34Dの画角は、図9の例よりも大きい(広い)ところが部品認識カメラ20とは異なっている。以下、部品認識カメラ20と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図10(a)、図10(b)において、第1カメラユニット33A~33Dの撮像視野B1,B3,B5,B7のX軸方向の幅LX3および第2カメラユニット34A~34Dの撮像視野B2,B4,B6,B8のX軸方向の幅LX4は、図9(b)の撮像視野A1~A8のX軸方向の幅LX1,LX2よりも大きい。これにより、部品認識カメラ32は、第1カメラユニット33A~33Dおよび第2カメラユニット34A~34Dの隣接する撮像視野B1~B8の一部が一の方向(X軸方向)で相互に重なっている。
部品認識カメラ32は、撮像視野B1~B8の一部が相互に重ねることで、後述するように部品認識カメラ32の発熱や製造に起因して第1カメラユニット33A~33Dまたは第2カメラユニット34A~34Dの光軸33c,34cにずれが発生しても、隣接する撮像視野B1~B8の間(一の方向に長い部品撮像視野24a)に隙間が生じることが防止できる。
次に図11を参照して、部品認識カメラ20(部品撮像装置)を備える部品実装装置1の制御系の構成について説明する。なお、第2の部品認識カメラ32(部品撮像装置)を備える部品実装装置1の制御系の構成も同様であり、詳細な説明は省略する。部品実装装置1は、制御部40、基板搬送機構2、テープフィーダ5、実装ヘッド8、ヘッド移動機構9、部品認識カメラ20、基板認識カメラ10、タッチパネル14を備えている。制御部40は、実装動作処理部41、部品撮像処理部42、画像処理部43、吸着部品位置算出部44、マーク撮像処理部45、位置ずれ量算出部46、実装記憶部47を備えている。実装記憶部47は記憶装置であり、実装データ48、部品撮像結果49、実装補正値50、マーク撮像結果51、撮像視野位置ずれ量52などが記憶されている。
実装データ48には、基板3の種類(基板種)毎に、基板3のサイズ、実装される部品Dの種類と実装位置(XY座標)、実装ヘッド8の種類など、部品実装作業に必要な情報が記憶されている。実装動作処理部41は、実装データ48に基づいて部品実装装置1の各部を制御して、テープフィーダ5が供給する部品Dを実装ヘッド8のノズル8bで保持して、後述する実装補正値50に基づいてノズル8bの位置(X軸方向、Y軸方向)を補正して、実装作業位置に保持された基板3の実装位置に部品Dを実装する部品実装作業を制御する。
図11において、部品撮像処理部42は、部品実装作業においてヘッド移動機構9と部品認識カメラ20を制御して、ノズル8bに部品Dを保持した実装ヘッド8を部品認識カメラ20の上方で移動させながらノズル8bが保持している部品Dを撮像(スキャン撮像)させる。その際、部品撮像処理部42は、第1照明部26と第2照明部29で部品Dを照らしながら、第1カメラユニット22と第2カメラユニット23で部品Dを撮像させる。部品Dの撮像結果は、画像処理部43により画像処理された後に部品撮像結果49として実装記憶部47に記憶される。吸着部品位置算出部44は、記憶された部品撮像結果49に基づいて、ノズル8bの中心(吸着位置)から見た部品Dの中心の位置を算出して、実装補正値50として実装記憶部47に記憶させる。
ここで、図12、図13を参照して、図9に示す部品認識カメラ20または部品認識カメラ32(部品撮像装置)による部品Dの撮像について詳細に説明する。図12は図9に示す撮像視野A1~A8を有する部品認識カメラ20による撮像の例を、図13は図10に示す撮像視野B1~B8を有する部品認識カメラ32による撮像の例を示している。図12は、小型の部品D1を保持するノズル8bを16本有する実装ヘッド8(以下、「16ノズル実装ヘッド」と称する。)を使用する例を示している。16ノズル実装ヘッドは、X軸に沿って直列に並ぶ8本のノズル8bをY軸方向に前後に2列有している。X軸に並ぶノズル8bのピッチ(間隔)は、部品認識カメラ20の撮像視野A1~A8の中心(光軸22d,23d)のX軸方向のピッチと同一となるように設計されている。
図12(b)において、部品撮像処理部42は、まず、16ノズル実装ヘッドのX軸方向の左端のノズル8bの中心が撮像視野A1の中心を通過する位置まで移動させる。次いで、部品撮像処理部42は、16ノズル実装ヘッドをY軸に沿って移動させながら(矢印b)、前側の8本のノズル8bがそれぞれ保持する部品D1をスキャン撮像する。次いで、部品撮像処理部42は、16ノズル実装ヘッドをY軸に沿って移動させながら(矢印b)、後側の8本のノズル8bがそれぞれ保持する部品D1をスキャン撮像する。画像処理部43は、後述する撮像視野位置ずれ量52に基づいて各カメラによる部品D1の撮像結果を補正して、部品撮像結果49として実装記憶部47に記憶させる。
この例では、撮像する部品D1の位置に対応して複数のカメラ(第1カメラユニット22A~22D、第2カメラユニット23A~23D)が配置されているため、各カメラの撮像視野A1~A8で複数のノズル8bが保持する部品D1を一度に撮像することができる。例えば、16ノズル実装ヘッドのX軸方向の左端のノズル8bが保持する部品D1は、撮像視野A1を通過する際に第1カメラユニット22Aによって撮像される。撮像視野A1~A8の中央付近はレンズ(第1レンズ22c、第2レンズ23c)の歪みが小さいため、ノズル8bが保持する部品D1のノズル8bの付近をより正確に撮像(認識)することができる。
図13は、大型の部品D2を保持するノズル8bを4本有する実装ヘッド8(以下、「4ノズル実装ヘッド」と称する。)を使用する例を示している。4ノズル実装ヘッドは、X軸に沿って直列に並ぶ4本のノズル8bを有している。X軸に並ぶノズル8bのピッチ(間隔)は、部品認識カメラ32の撮像視野B1~B8の中心(光軸33c,34c)のX軸方向のピッチの2倍となるように設計されている。
図13(b)において、部品撮像処理部42は、まず、4ノズル実装ヘッドのX軸方向の左端のノズル8bの中心が撮像視野B1の中心と撮像視野B2の中心の中間点を通過する位置まで移動させる。次いで、部品撮像処理部42は、4ノズル実装ヘッドをY軸に沿って移動させながら(矢印c)、4本のノズル8bがそれぞれ保持する部品D2をスキャン撮像する。画像処理部43は、撮像視野位置ずれ量52に基づいて各カメラによる部品D2の撮像結果を補正し、さらに結合して、部品撮像結果49として実装記憶部47に記憶させる。
この例では、4ノズル実装ヘッドのX軸方向の左端のノズル8bが保持する部品D2は、撮像視野B1と撮像視野B2を通過する際に第1カメラユニット33Aと第2カメラユニット34Aによって撮像される。すなわち、部品認識カメラ32は、第1カメラ群G1のカメラ(第1カメラユニット33A)と第2カメラ群G2のカメラ(第2カメラユニット34A)で、一の部品D2を撮像する。第1カメラユニット33Aと第2カメラユニット34Aによる撮像結果は、画像処理部43によって撮像視野位置ずれ量52に基づいてそれぞれ補正された後に結合されて部品D2が写る1つの画像に合成されて、部品撮像結果49として記憶される(図15参照)。
このように、部品認識カメラ32(部品撮像装置)は、複数のノズル8bが保持する部品D2を一度に撮像することができる。また、部品D2より大きな部品を撮像する場合は、その部品が通過する撮像視野のカメラの画像に基づいて、その部品が認識される。例えば、撮像視野B1~B4を跨いで通過する大きさの部品は、第1カメラ群G1の2個の第1カメラユニット33A,33Bと第2カメラ群G2の2個の第2カメラユニット34A,34Bが撮像した4つの撮像結果を画像処理(補正、結合)して1つの部品の画像が作成される。
図11において、マーク撮像処理部45は、撮像視野の補正の際に、第1照明部26と第2照明部29により1枚の透明板24の部品撮像視野24aの外に設けられたマーク25を照らしながら、第1カメラユニット22と第2カメラユニット23でマーク25を撮像(静止撮像)させる。また、マーク撮像処理部45は、マーク25の撮像結果を複数のカメラ(第1カメラユニット22A~22D、第2カメラユニット23A~23D)毎にマーク撮像結果51として実装記憶部47に記憶させる。位置ずれ量算出部46は、記憶されたマーク撮像結果51に基づいて、複数のカメラの撮像視野の理想状態からの位置ずれ量を算出する。算出された位置ずれ量は、撮像視野位置ずれ量52として実装記憶部47に記憶される。
ここで図14を参照して、撮像視野の補正の際の部品認識カメラ32によるマーク25の撮像について説明する。なお、部品認識カメラ20によるマーク25を使用する撮像視野の補正方法も部品認識カメラ32と同様であり、説明は省略する。部品認識カメラ32の第1カメラユニット33A~33Dと第2カメラユニット34A~34Dは、部品実装作業においてノズル8bに保持された部品の撮像を繰り返し実行する過程において、撮像素子の発熱や照明部(第1照明部26、第2照明部29)の発熱に起因して、部品認識カメラ32の筐体や各ユニットの筐体などに経時的な歪が発生することがある。
マーク25は、第1カメラユニット33A~33Dと第2カメラユニット34A~34Dの歪を打ち消すための撮像視野位置ずれ量52を取得するために、1枚の透明板24における複数のカメラ(第1カメラユニット33A~33D、第2カメラユニット34A~34D)の撮像視野B1~B8内で、かつ、複数のカメラが部品を撮像する際の撮像範囲(部品撮像視野24a)の外に設けられている。透明板24は、複数のカメラと撮像対象となるノズル8bが保持する部品との間に配置されている。
図14(a)は、図9に示す撮像視野B1~B8を有する部品認識カメラ32において、マーク撮像処理部45が第1カメラユニット33Aにマーク25を静止撮像させた撮像画像60である。すなわち、撮像画像60は、第1カメラユニット33Aの撮像視野B1の範囲の画像である。図14(b)は、マーク撮像処理部45が第2カメラユニット34Aにマーク25を静止撮像させた撮像画像61である。すなわち、撮像画像61は、第2カメラユニット34Aの撮像視野B2の範囲の画像である。
この例では、複数のカメラ(第1カメラユニット33A~33D、第2カメラユニット34A~34D)の撮像視野B1~B8の範囲内に、部品認識カメラ32に歪がない状態でそれぞれ4個のマーク25が写るように配置されている。すなわち、透明板24には、複数のカメラの撮像視野B1~B8のそれぞれに、少なくとも2個のマーク25が設けられている。図14(a)、図14(b)において、点線で示す4個の円は理想状態のマーク25の位置を示している。実線で示す4個の円(または、円の一部)は第1カメラユニット33Aと第2カメラユニット34Aが撮像したマーク25を示している。歪により光軸33c、34cがずれているため撮像されたマーク25の位置は、理想状態からずれている。
図14(a)において、撮像視野B1に写る4個のマーク25を、左上から時計回りに順番にマーク25A~25Dと称する。撮像画像60の中心60cは、第1カメラユニット33Aの撮像視野B1の中心である。また、図14(b)において、撮像視野B1に写る4個のマーク25を、左上から時計回りに順番にマーク25E~25Hと称する。撮像画像61の中心61cは、第2カメラユニット34Aの撮像視野B2の中心である。
ここで、図14(a)を参照して、位置ずれ量算出部46による、第1カメラユニット33Aがマーク25A~25Dを撮像した撮像画像60(撮像結果)に基づいて、第1カメラユニット33Aの撮像視野B1の位置ずれ量を算出する撮像視野位置ずれ量算出処理について説明する。撮像視野位置ずれ量算出処理では、まず位置ずれ量算出部46は、撮像画像60を画像処理して、マーク25A~25Dの中心の位置を抽出する。この例では、マーク25Bは、一部が撮像視野B1からはみ出しているため、中心の位置が抽出できない。
位置ずれ量算出部46は、中心の位置が抽出できた3個のマーク25A,25C,25Dの中から2個のマーク25Aとマーク25Dを選択する。次いで位置ずれ量算出部46は、撮像画像60の中心60c(撮像視野B1の中心)を原点とする選択したマーク25Aの中心の位置(XA,YA)と、マーク25Dの中心の位置(XD,YD)を算出する。
図14(a)において、次いで位置ずれ量算出部46は、算出されたマーク25Aの中心の位置(XA,YA)、マーク25Dの中心の位置(XD,YD)、および理想状態のマーク25Aの中心の位置(XA0,YA0)、マーク25Dの中心の位置(XD0,YD0)から、4個のマーク25A~25Dの重心K1の位置の撮像画像60の中心60c(撮像視野B1の中心)からの位置ずれ量(ΔXK1,ΔYK1)とZ軸を回転軸とするθ方向のずれ量ΔθK1を算出する。位置ずれ量算出部46は、算出した重心K1の位置ずれ量(ΔXK1,ΔYK1)とθ方向のずれ量ΔθK1を撮像視野位置ずれ量52として実装記憶部47に記憶させる。なお、理想状態の4個のマーク25A~25Dの重心K1は、撮像画像60の中心60c(撮像視野B1の中心)と一致する。
図14(b)において、第2カメラユニット34Aの場合、位置ずれ量算出部46は、中心の位置が抽出できた4個のマーク25E~25Hの中から2個のマーク25Eとマーク25Fを選択して、4個のマーク25E~25Hの重心K2の位置の位置ずれ量(ΔXK2,ΔYK2)とθ方向のずれ量ΔθK2を算出している。このように、位置ずれ量算出部46は、第2カメラユニット34A(複数のカメラのうちの一のカメラ)の撮像視野B2に写る少なくとも2個のマーク25E,25Fの中心の位置から撮像視野位置ずれ量52(一のカメラの撮像視野の位置ずれ量)を算出している。2個のマーク25E,25Fの中心の位置を使用することで、重心K2の位置ずれ量(ΔXK2,ΔYK2)に加えて、θ方向のずれ量ΔθK2も算出することができる。
マーク撮像処理部45による部品認識カメラ32が有する複数のカメラ(第1カメラユニット33A~33D、第2カメラユニット34A~34D)によるマーク25の静止撮像と、位置ずれ量算出部46による撮像視野位置ずれ量52の算出、すなわち、撮像視野B1~B8の補正は、部品実装作業の空き時間に実行される。例えば、実装ヘッド8によるテープフィーダ5からの部品Dの取り出しや基板3への部品Dの実装の間など、実装ヘッド8が部品認識カメラ32の上方にない空き時間に実行される。
すなわち、空き時間にマーク撮像処理部45がマーク25を撮像し、位置ずれ量算出部46が最新の撮像視野位置ずれ量52を算出して実装記憶部47のデータが更新される。これにより、部品実装作業の効率を落とすことなく部品Dを撮像するカメラ(部品認識カメラ32の複数のカメラ)の光軸33c,34cのずれ(撮像視野位置ずれ量52)を補正して、部品Dを高精度に実装位置に装着することができる。なお、ノズル8bが保持した部品Dを撮像する際に、同時にマーク25も撮像して撮像視野B1~B8の位置ずれ量を算出してもよい。
次に図15を参照して、画像処理部43による撮像結果の画像処理について説明する。図15は、図13に示す4ノズル実装ヘッドのX軸方向の左端のノズル8bが保持する部品D2を第1カメラユニット33Aと第2カメラユニット34Aが撮像した撮像結果を画像処理部43が画像処理した結合画像62である。ここでは、ノズル8bの中心と部品D2の中心の位置は一致している、すなわち、ノズル8bに対する部品D2の吸着位置の位置ずれはゼロとする。また、第1カメラユニット33Aと第2カメラユニット34Aは、図14(a)と図14(b)に示すように、光軸33c,34cが撮像視野位置ずれ量52だけずれているとする。
図15において、結合画像62の左側は、部品D2が撮像視野B1を通過する際に第1カメラユニット33Aによってスキャン撮像された撮像結果を、画像処理部43が撮像視野位置ずれ量52(ΔXK1,ΔYK1,ΔθK1)に基づいて補正したものである。また、結合画像62の右側は、部品D2が撮像視野B2を通過する際に第2カメラユニット34Aによってスキャン撮像された撮像結果を、画像処理部43が撮像視野位置ずれ量52(ΔXK2,ΔYK2,ΔθK2)に基づいて補正したものである。
結合画像62に左側に点線で示す図形63は、第1カメラユニット33Aによって撮像された撮像結果を撮像視野位置ずれ量52で補正しない場合の部品D2の画像を示している。また、結合画像62の右に点線で示す図形64は、第2カメラユニット34Aによって撮像された撮像結果を撮像視野位置ずれ量52で補正しない場合の部品D2の画像を示している。画像処理部43が撮像視野位置ずれ量52に基づいて光軸33c,34cのずれを補正した後に結合することで、結合画像62の中にノズル8bが保持する部品D2の歪みがない画像を得ることができる。この例では、結合画像62の中心62cとノズル8bの中心、および、部品D2の中心は一致している。
画像処理部43は、結合画像62を部品撮像結果49として実装記憶部47に記憶させる。吸着部品位置算出部44は、記憶された部品撮像結果49(結合画像62)に基づいて、ノズル8bの中心(吸着位置)から見た部品D2の中心の位置を算出する。このように、隣接する複数の撮像視野B1,B2を跨ぐ部品D2の場合、マーク25の撮像視野B1,B2における位置ずれ量(撮像視野位置ずれ量52)に基づいて光軸33c,34cのずれが補正された、歪のない部品D2の画像から部品D2の吸着位置が算出される。このように、1枚の透明板24に精度よく設けられたマーク25を用いて光軸22d,23dのずれを補正することで、部品D2の実装精度を向上させることができる。
上記のように、直列に撮像視野B1~B8が並び、部品D2を撮像する複数のカメラ(第1カメラユニット33A~33D、第2カメラユニット34A~34D)と、複数のカメラの撮像視野B1~B8内で、かつ、複数のカメラが部品D2を撮像する際の撮像範囲(部品撮像視野24a)の外に設けられたマーク25を有する部品認識カメラ32と、複数のカメラがそれぞれマーク25を撮像した撮像結果(マーク撮像結果51)に基づいて、複数のカメラの撮像視野B1~B8の位置ずれ量(撮像視野位置ずれ量52)を算出する位置ずれ量算出部46は、部品D2を撮像するカメラの光軸33c,34cのずれを補正することができる部品撮像装置を構成する。
次に、図16、図17を参照して、他の光軸屈折部R1(以下、単に「光軸屈折部R1」と称する。)を有する部品認識カメラ70の構成について説明する。以下、部品認識カメラ20と同じ構成要素には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。部品認識カメラ70の筐体71内部には、複数の第1カメラユニット22により構成される第1カメラ群G1と複数の第2カメラユニット23による構成される第2カメラ群G2が配置されている。
複数の第2カメラユニット23の光軸23dは、第2カメラユニット23の上方に配置された第2の鏡73によって透明板24の下方に配置された第1の鏡72の方向に屈折される。さらに、光軸23dは、第1の鏡72によって上方に屈折される。第1の鏡72と第2の鏡73は、それぞれX軸方向に伸びる1枚の鏡であり、複数の第2カメラユニット23で共用される。また、第1の鏡72は、複数の第1カメラユニット22の光軸22dが透過するハーフミラーであり、複数の第1カメラユニット22で共用される。
図16、図17において、第1の鏡72からY軸に沿う位置には、第3照明部31が設置されている。第3照明部31から照射された光31aは、第1の鏡72によって上方に屈折される。このように、第1の鏡72と第2の鏡73(鏡)は、ノズル8bに保持された部品Dの像を第2カメラユニット23(第2カメラ群のカメラ)に導く光軸屈折部R1を構成する。また、第1の鏡72と第2の鏡73は、それぞれ第2カメラ群G2の複数のカメラ(第2カメラユニット23)で共通に使用される1枚の鏡である。