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JP2019138499A - 空気調和装置 - Google Patents

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JP2019138499A JP2018019858A JP2018019858A JP2019138499A JP 2019138499 A JP2019138499 A JP 2019138499A JP 2018019858 A JP2018019858 A JP 2018019858A JP 2018019858 A JP2018019858 A JP 2018019858A JP 2019138499 A JP2019138499 A JP 2019138499A
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Abstract

【課題】小能力比であるときに低外気温度であっても、圧縮機の圧縮機構部が潤滑不良とならない空気調和装置を提供する。【解決手段】能力比Dが閾能力比Dt以下でありかつ外気温度Toが閾外気温度Tot以下であれば、CPU210は、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとを取り込み、取り込んだ吐出圧力Pdから取り込んだ吸入圧力Psを減じて圧力差ΔPを算出する。圧力差ΔPが第1圧力差P1以上第2圧力差P2未満であれば、CPU210は、現在の圧縮機回転数Rcを維持する。圧力差ΔPが第1圧力差P1未満であれば、CPU210は、能力相応回転数Rcpに加算回転数ΔRcを加算した回転数とする。能力比Dが閾能力比Dt未満である、あるいは、取り込んだ外気温度Toが閾外気温度Tot超である、あるいは、圧力差ΔPが第2圧力差P2であれば、CPU210は、圧縮機回転数Rcを能力相応回転数Rcpとする。【選択図】図2

Description

本発明は、空気調和装置に関わり、特に低外気温度時に冷房運転を行う際の圧縮機の制御に関する。
従来、1台の室外機に複数台の室内機が冷媒配管で接続され、全ての室内機が同時に冷房運転あるいは暖房運転を行う空気調和装置では、各室内機で要求される冷房能力あるいは暖房能力に応じて、圧縮機の回転数が決定される。例えば、特許文献1には、暖房運転時に、予め外気温度と冷媒配管の長さと各室内機で要求される暖房能力とに応じて決定されている目標高圧となるように、圧縮機の回転数を制御する空気調和装置が記載されている。
特開平4−187930号公報
ところで、上述したような空気調和装置の全ての室内機が、サーバールームなどの通年で冷房運転を行う必要がある部屋に配置される場合がある。このような空気調和装置が冬季に冷房運転を行う際に、外気温度が低く(例えば−5℃以下)、かつ、冷房運転を行う室内機の台数が少ない場合は、以下のような問題が起こる恐れがある。
外気温度が低い場合は、外気温度が高い場合と比べて、冷房運転時に凝縮器として機能する室外熱交換器で発揮される凝縮能力が大きくなる。凝縮能力が大きくなると、冷媒回路における高圧側の冷媒圧力が低くなって冷媒回路における低圧側の冷媒圧力との圧力差が小さくなる。圧力差が小さくなると、冷媒回路における冷媒循環量が低下するので、圧縮機に吸入される冷媒量も減少する。そして、圧縮機に吸入される冷媒量が減少すれば、冷媒回路における高圧側の冷媒圧力がさらに低くなる。
また、外気温度が低いことに起因して高圧側の冷媒圧力が低くなる状況で、冷房運転を行う室内機の台数が少ない場合は、冷房運転を行う室内機の台数が多い場合と比べて、冷房運転を行う室内機で必要とされる冷媒量が少ない。このため、圧縮機の回転数が低くされて冷媒回路における冷媒循環量が少なくなるので、冷媒回路における高圧側の冷媒圧力がさらに低くなる。
以上説明したように、外気温度が低い環境下で冷房運転を行う室内機の台数が少ない場合は、外気温度が高い場合や冷房運転を行う室内機の台数が多い場合と比べて、冷媒回路における高圧側の冷媒圧力が低くなることで、高圧側の冷媒圧力と低圧側の冷媒圧力との圧力差が小さくなる。
圧縮機が高圧容器型の圧縮機である場合は、冷凍機油を溜めている圧縮機の密閉容器の下部が冷媒回路の高圧側と連通しており、また、圧縮機の圧縮機構部が冷媒回路の低圧側と連通している。従って、高圧側の冷媒圧力と低圧側の冷媒圧力との圧力差が小さくなれば、圧縮機の密閉容器の下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差も小さくなる。そして、圧縮機が、密閉容器の下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差を利用して、冷凍機油を密閉容器の下部から圧縮機構部へと供給する所謂差圧給油式のものである場合は、上述した圧力差が小さいと圧縮機の圧縮機構部の潤滑に十分な量の冷凍機油を密閉容器の下部から圧縮機構部へと吸い上げることができず、圧縮機の圧縮機構部が潤滑不良となって圧縮機構部の摩耗や焼き付きが発生する恐れがあった。
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、低外気温度で少数の室内機を冷房運転する場合であっても、圧縮機の圧縮機構部が潤滑不良とならない空気調和装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の空気調和装置は、圧縮機と室外熱交換器と外気温度を検出する外気温度検出手段と圧縮機の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と圧縮機の吸入圧力を検出する吸入圧力検出手段とを有する室外機と、室内熱交換器を有する複数台の室内機と、圧縮機の駆動制御を行う制御手段とを有する。制御手段は、室外熱交換器を凝縮器として機能させるとともに、各室内熱交換器を蒸発器として機能させる冷房運転を行うとき、外気温度検出手段で検出した外気温度が予め定められた閾外気温度以下である場合は、吐出圧力検出手段で検出した吐出圧力、あるいは、吐出圧力から吸入圧力検出手段で検出した吸入圧力を減じた圧力差のいずれか一方に基づいて、冷房運転中の圧縮機の回転数を決定する。
上記のように構成した本発明の空気調和装置は、外気温度が閾外気温度以下である場合は、吐出圧力、あるいは、吐出圧力から吸入圧力を減じた圧力差のいずれか一方に基づいて、冷房運転中の圧縮機の回転数を決定する。これにより、低外気温度で少数の室内機を冷房運転する場合であっても、圧縮機の圧縮機構部が潤滑不良となることを防止できる。
本発明の実施形態における空気調和装置の説明図であり、(A)は冷媒回路図、(B)は室外機制御手段のブロック図である。 本発明の実施形態における、回転数制御テーブルである。 本発明の実施形態における、加算回転数テーブルである。 本発明の実施形態における、冷房運転時の圧縮機の制御を行う際の処理を示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態における、回転数制御テーブルである。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、定格能力が80kWである1台の室外機に定格能力が2kWである40台の室内機が並列に接続され、全ての室内機で同時に冷房運転あるいは暖房運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1(A)に示すように、本実施形態における空気調和装置1は、1台の室外機2と、室外機2に液管8およびガス管9で並列に接続された40台の室内機5(図1(A)では、これらのうちの2台のみを描画している)とを備えている。より詳細には、室外機2の閉鎖弁25と各室内機5の液管接続部53とが液管8で接続されている。また、室外機2の閉鎖弁26と各室内機5のガス管接続部54とがガス管9で接続されている。このように、室外機2と40台の室内機5とが液管8およびガス管9で接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が形成されている。
<室外機の構成>
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、液管8が接続された閉鎖弁25と、ガス管9が接続された閉鎖弁26と、アキュムレータ27と、室外ファン28と、室外機制御手段200とを備えている。そして、室外ファン28と室外機制御手段200とを除くこれら各装置が、以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路20を形成している。
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる高圧容器型の能力可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は、後述する四方弁22のポートaと吐出管41で接続されており、また、圧縮機21の冷媒吸入側は、アキュムレータ27の冷媒流出側と吸入管42で接続されている。
圧縮機21の図示しない密閉容器の下部には、圧縮機21の密閉容器の上部に配置される図示しない圧縮機構部に供給されて圧縮機構部の潤滑性を保つための冷凍機油が滞留している。この冷凍機油は、圧縮機21の密閉容器の下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差によって、密閉容器の下部から圧縮機構部に供給される。圧縮機21の密閉容器の下部が上述した冷媒吐出側であり、吐出管41を介して冷媒回路10の高圧側に連通している。また、圧縮機21の圧縮機構部が上述した冷媒吸入側であり、吸入管42を介して冷媒回路10の低圧側に連通している。
四方弁22は、冷媒回路10における冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側と吐出管41で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管43で接続されている。ポートcは、アキュムレータ27の冷媒流入側と冷媒配管46で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管45で接続されている。
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン28の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。上述したように、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と四方弁22のポートbとが冷媒配管43で接続されている。また、室外熱交換器23の他方の冷媒出入口と閉鎖弁25とが室外機液管44で接続されている。室外熱交換器23は、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は凝縮器として機能し、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は蒸発器として機能する。
室外膨張弁24は、室外機液管44に設けられている。室外膨張弁24は図示しないパルスモータにより駆動される電子膨張弁であり、パルスモータに与えられるパルス数によって開度が調整されることで、室外熱交換器23に流入する冷媒量、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒量が調整される。室外膨張弁24の開度は、空気調和装置1が暖房運転を行っている場合は、後述する吐出温度センサ33で検出した圧縮機21の吐出温度に応じてその開度が調整され、冷房運転を行っている場合はその開度が全開とされる。
アキュムレータ27は、前述したように、冷媒流入側が四方弁22のポートcと冷媒配管46で接続されるとともに、冷媒流出側が圧縮機21の冷媒吸入側と吸入管42で接続されている。アキュムレータ27は、冷媒配管46からアキュムレータ28の内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離してガス冷媒のみを圧縮機21に吸入させる。
室外ファン28は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン28は、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1に示すように、吐出管41には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力センサ31と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。冷媒配管46におけるアキュムレータ28の冷媒流入口近傍には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力である吸入圧力を検出する吸入圧力センサ32と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸込温度センサ34とが設けられている。尚、吐出圧力センサ31が本発明の吐出圧力検出手段であり、吸入圧力センサ32が本発明の吸入圧力検出手段である。
室外機液管44における室外熱交換器23と室外膨張弁24との間には、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度を検出するための熱交温度センサ35が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ36が備えられている。尚、外気温度センサ36が、本発明の外気温度検出手段である。
また、室外機2には、本発明の制御手段である室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納された制御基板に搭載されており、図1(B)に示すように、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240とを備えている。
記憶部220は、例えばフラッシュメモリで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン28の駆動状態、各室内機5から送信される運転情報(運転/停止情報、冷房/暖房等の運転モード等を含む)や室外機2の定格能力および各室内機5の定格能力を記憶する。通信部230は、各室内機5との通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
CPU210は、センサ入力部240を介して各種センサでの検出値を定期的(例えば、30秒毎)に取り込むとともに、各室内機5から送信される運転情報を含む信号が通信部230を介して入力される。CPU210は、これら入力された各種情報に基づいて、室外膨張弁24の開度調整、圧縮機21や室外ファン28の駆動制御を行う。
<各室内機の構成>
次に、40台の室内機5について説明する。40台の室内機5は全て同じ構成を有しており、室内熱交換器51と、室内膨張弁52と、液管接続部53と、ガス管接続部54と、室内ファン55とを備えている。そして、室内ファン55を除くこれら各構成装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路50を構成している。
尚、前述したように、本実施形態では、室外機2に室内機5が40台接続され、各室内機5の定格能力が全て同じ定格能力:2kWとしているが、室内機5の台数や各室内機5の定格能力が異なっていてもよく、室内機5の定格能力の合計値が室外機2の定格能力を超えなければよい。
室内熱交換器51は、冷媒と、後述する室内ファン55の回転により図示しない吸込口から室内機5の内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものである。室内熱交換器51の一方の冷媒出入口と液管接続部53とが室内機液管71で接続され、他方の冷媒出入口とガス管接続部54aとが室内機ガス管72で接続されている。室内熱交換器51は、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部53やガス管接続部54は、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
室内膨張弁52は、室内機液管71に設けられている。室内膨張弁52は電子膨張弁であり、室内熱交換器51が蒸発器として機能する場合すなわち室内機5が冷房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51の冷媒出口(ガス管接続部54側)での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように調整される。また、室内膨張弁52は、室内熱交換器51が凝縮器として機能する場合すなわち室内機5が暖房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51の冷媒出口(液管接続部53側)での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように調整される。ここで、目標冷媒過熱度や目標冷媒過冷却度とは、室内機5で十分な冷房能力あるいは暖房能力を発揮するのに必要な冷媒過熱度および冷媒過冷却度である。
室内ファン55は樹脂材で形成されており、室内熱交換器51の近傍に配置されている。室内ファン55は、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5の内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器51において冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ放出する。
以上説明した構成の他に、室内機5には各種のセンサが設けられている。室内機液管71における室内熱交換器51と室内膨張弁52との間には、室内熱交換器51に流入あるいは室内熱交換器51から流出する冷媒の温度を検出する液側温度センサ61が設けられている。室内機ガス管72には、室内熱交換器51から流出あるいは室内熱交換器51に流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ62が設けられている。室内機5の図示しない吸込口付近には、室内機5の内部に流入する室内空気の温度、すなわち吸込温度を検出する吸込温度センサ63が備えられている。
<冷媒回路の動作>
次に、本実施形態における空気調和装置1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、図1(A)を用いて説明する。尚、以下の説明では、空気調和装置1が冷房運転を行う場合について説明し、暖房運転を行う場合については詳細な説明を省略する。また、図1における矢印は冷房運転時の冷媒の流れを示している。
図1に示すように、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は、四方弁22が実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するように、また、ポートcとポートdとが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10は、各室内熱交換器51が蒸発器として機能するとともに、室外熱交換器23が凝縮器として機能する冷房サイクルとなる。
上記のような冷媒回路10の状態で圧縮機21が駆動すると、圧縮機21から吐出された冷媒は、吐出管41を流れて四方弁22に流入し、四方弁22から冷媒配管43を介して室外熱交換器23へと流入する。
室外熱交換器23へと流入した冷媒は、室外ファン28の回転によって室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23から室外機液管44へと流出した冷媒は、開度が全開とされている室外膨張弁24を通過し、閉鎖弁25を介して液管8に流出する。
液管8を流れる冷媒は、液管接続部53を介して各室内機5に分流する。各室内機5に流入した冷媒は各室内機液管71を流れ、室内熱交換器51の各々の冷媒出口での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように開度が調整された各室内膨張弁52を通過する際に減圧される。
各室内機液管71から各室内熱交換器51に流入した冷媒は、各室内ファン55の回転により各室内機5の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。このように、各室内熱交換器51が蒸発器として機能し、各室内熱交換器51で冷媒と熱交換を行って冷却された室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、40台の室内機5が設置された室内の冷房が行われる。
各室内熱交換器51から各室内機ガス管72に流出した冷媒は、各ガス管接続部54を介してガス管9に流出する。ガス管9で合流し閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管45、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ27、吸入管42の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
尚、空気調和装置1が暖房運転を行う場合、四方弁22が破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdが連通するよう、また、ポートbとポートcが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10は、各室内熱交換器51が凝縮器として機能するとともに、室外熱交換器23が蒸発器として機能する暖房サイクルとなる。
<圧縮機の回転数制御について>
次に、図1乃至図4を用いて、本実施形態の空気調和装置1が、40台の室内機5が全てサーバールームなどの通年で冷房運転を行う必要がある部屋に設置された場合の、圧縮機21の回転数制御について説明する。
本実施形態の空気調和装置1が上記のように設置されて通年で冷房運転を行う場合に、外気温度が所定の外気温度(以降、閾外気温度と記載する)以下であり、かつ、10台の室内5のうち冷房運転を行う室内機の台数が少ない場合は、以下に記載する問題が起こる恐れがある。
外気温度が低い場合は、外気温度が高い場合と比べて、冷房運転時に凝縮器として機能する室外熱交換器23で発揮される凝縮能力が大きくなる。凝縮能力が大きくなると、冷媒回路10における高圧側の冷媒圧力が低くなって冷媒回路10における低圧側の冷媒圧力との圧力差が小さくなる。圧力差が小さくなると、冷媒回路10における冷媒循環量が低下するので、圧縮機21に吸入される冷媒量も減少する。そして、圧縮機21に吸入される冷媒量が減少すれば、冷媒回路10における高圧側の冷媒圧力がさらに低くなる。
また、外気温度が低いことに起因して高圧側の冷媒圧力が低くなる状況で、冷房運転を行う室内機5の台数が少ない場合は、冷房運転を行う室内機5の台数が多い場合と比べて、冷房運転を行う室内機5で必要とされる冷媒量が少ない。このため、圧縮機21の回転数が低くされて冷媒回路10における冷媒循環量が少なくなるので、冷媒回路における高圧側の冷媒圧力がさらに低くなる。
以上説明したように、外気温度が低い環境下で冷房運転を行う室内機5の台数が少ない場合は、外気温度が高い場合や冷房運転を行う室内機5の台数が多い場合と比べて、冷媒回路10における高圧側の冷媒圧力が低くなることで、高圧側の冷媒圧力と低圧側の冷媒圧力との圧力差が小さくなる。
前述したように、圧縮機21は高圧容器型であり、かつ、密閉容器の下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差を利用して、冷凍機油を密閉容器の下部から圧縮機構部へと供給する所謂差圧給油式のものである。そして、冷凍機油を溜めている圧縮機21の密閉容器の下部が冷媒回路10の高圧側と連通しており、また、圧縮機21の圧縮機構部が冷媒回路10の低圧側と連通している。従って、高圧側の冷媒圧力と低圧側の冷媒圧力との圧力差が小さくなれば、圧縮機21の密閉容器の下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差も小さくなって、圧縮機21の圧縮機構部の潤滑に十分な量の冷凍機油を密閉容器の下部から圧縮機構部へと吸い上げることができず、圧縮機21の圧縮機構部が潤滑不良となって圧縮機構部の摩耗や焼き付きが発生する恐れがある。
そこで、本実施形態の空気調和装置1では、冷房運転時に外気温度が閾外気温度以下であり、かつ、冷房運転を行う室内機5の台数が少ない場合は、以下に説明する図2に示す回転数制御テーブル200および図3に示す加算回転数テーブル300に基づいて、圧縮機21の回転数制御を行う。
以下の説明では、まず、図2と図3とを用いて回転数制御テーブル200と加算回転数テーブル300について説明し、次に、図4を用いて上記各テーブルを用いて冷房運転時に圧縮機21の回転数を制御する際に室外機制御手段200のCPU210が行う処理について説明する。
尚、以下の説明では、外気温度をTo、閾外気温度をTotとする。ここで、閾外気温度Totは、予め試験などを行って定められて記憶部220に記憶されているものであり、外気温度Toが閾外気温度をTot以下の環境下で空気調和装置1が冷房運転を行えば、冷媒回路10における高圧側の冷媒圧力が低くなって冷媒回路10における低圧側の冷媒圧力との圧力差が小さくなることで、圧縮機21の密閉容器の下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差が小さくなって圧縮機構部の潤滑不良となる可能性があるものである。尚、一例として閾外気温度をTotは−5℃である。
また、室外機2の定格能力である室外機定格能力をAo、各室内機5の定格能力である室内機定格能力をAi、室内機5のうちの冷房運転を行っている室内機で使用者により要求されている冷房能力をAr、冷房運転を行っている室内機の室内機定格能力Aiの合計値を室外機定格能力Aoで除した能力比をD、閾能力比をDtとする。
ここで、能力比Dとは、冷房運転を行っている室内機5の台数を簡易的に表すものである。すなわち、能力比Dが大きい値であれば、冷房運転を行っている室内機の室内機定格能力Aiの合計値が大きいつまりは冷房運転を行っている室内機5の台数が多いことを示し、能力比Dが小さい値であれば、冷房運転を行っている室内機の室内機定格能力Aiの合計値が小さいつまりは冷房運転を行っている室内機5の台数が少ないことを示す。
また、閾能力比Dtは、予め試験などを行って求められて記憶部220に記憶されているものであり、上述した能力比Dが閾能力比Dt以下となる冷房運転を行っている室内機5の台数であれば、圧縮機21の密閉容器の下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差が小さくなって圧縮機構部の潤滑不良が発生する可能性が高くなることが判明しているものである。尚、一例として閾能力比Dtは、冷房運転を行っている室内機5が2台の場合、つまり、冷房運転を行っている室内機5の室内機定格能力Aiの合計値が4kWであるときの能力比Dt=4kW/80kW=0.05である。
また、吐出圧力センサ31で検出する圧縮機21の吐出圧力(冷媒回路10の高圧側の冷媒圧力に相当)をPd、吸入圧力センサ32で検出する圧縮機21の吸入圧力(冷媒回路10の低圧側の冷媒圧力に相当)をPs、吸入圧力Psの性能上の下限値である吸入圧力下限値をPsmin、吸入圧力Psの閾吸入圧力をPst、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの圧力差(Pd−Ps)をΔP、圧力差ΔPのうちの第1圧力差をP1、圧力差ΔPの第2圧力差をP2(ただし、P1<P2)とする。尚、第1圧力差P1および第2圧力差P2の各々については、後に詳細に説明する。
また、圧縮機21の回転数をRc、冷房要求能力Arを発揮するのに必要な圧縮機21の回転数である能力相応回転数をRcp、外気温度Toが閾外気温度Tot以下かつ能力比Dが閾能力比Dt以下である場合の圧縮機21の起動時回転数をRct、圧縮機21の回転数Rcに加える加算回転数をΔRc、第1加算回転数をRc1、第2加算回転数をRc2(ただし、Rc1<Rc2)とする。ここで、起動時回転数Rctは、予め試験などを行って求められて室外機制御手段200の記憶部220に記憶されているものであり、起動時回転数Rctで圧縮機21を起動すれば、圧縮機21で潤滑不良が発生しないことが判明している回転数である。尚、一例として起動時回転数Rctは30rpsである。尚、第1加算回転数Rc1および第2加算回転数Rc2の各々については、後に詳細に説明する。
<回転数制御テーブル>
図2に示す回転数制御テーブル200は、予め試験を行って定められて、室外機制御手段200の記憶部220に記憶されている。この回転数制御テーブル200では、一外気温度Toの閾外気温度Totを前述した−5℃、第1圧力差P1を0.7MPa、第2圧力差P2を0.9MPaとしている。
そして、回転数制御テーブル200では、外気温度Toが−5℃超であるときは、圧力差ΔPに関わらず圧縮機回転数Rcを能力相応回転数Rcpとしている。能力比Dが閾能力比Dt以下であるときに外気温度Toが閾外気温度Tot超である場合は、外気温度Toが閾外気温度Tot以下である場合と比べて、凝縮器として機能する室外熱交換器23で凝縮能力が小さくなって凝縮圧力が高くなるため、圧縮機21の回転数が低くされても圧力差ΔPが小さくならない。そこで、回転数制御テーブル200では、外気温度Toが閾外気温度Tot超である場合は、圧縮機回転数Rcがどのような回転数となっても圧力差ΔPが確保できる、つまりは、圧縮機構部に十分な量の冷凍機油が供給できる、圧縮機21の密閉容器の下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差が確保できると考えて、圧縮機回転数Rcを能力相応回転数Rcとしている。
一方、外気温度Toが−5℃以下であるときは、圧力差ΔPが0.7MPa未満である場合の圧縮機回転数Rcを、能力相応回転数Rcpに後述する加算回転数テーブル300に定められた加算回転数ΔRcを加算した回転数としている。また、圧力差ΔPが0.7MPa以上0.9MPa未満である場合の圧縮機回転数Rcを、現在の圧縮機回転数Rcに維持としている。また、圧力差ΔPが0.9MPa以上である場合の圧縮機回転数Rcを能力相応回転数Rcpとしている。
能力比Dが閾能力比Dt以下であるときに外気温度Toが閾外気温度Tot以下である場合は、凝縮器として機能する室外熱交換器23で凝縮能力が大きくなって凝縮圧力が低くなるために圧力差ΔPが小さくなる。このとき、圧縮機21の回転数を低くして冷媒回路10における冷媒循環量を少なくすれば、さらに凝縮圧力が低くなって圧力差ΔPが小さくなるので、圧縮機21の圧縮機構部の潤滑に十分な量の冷凍機油を圧縮機構部に供給することができなくなる可能性が高い。そこで、回転数制御テーブル200では、圧力差ΔPに応じて圧縮機回転数Rcを定めており、圧力差ΔPが第1圧力差P1(=0.7MPa)未満であるときは、圧力差ΔPを大きくするために、圧縮機回転数Rcを能力相応回転数Rcpに加算回転数ΔRcを加算した回転数としている。また、圧力差ΔPが第1圧力差P1以上第2圧力差P2(=0.9MPa)未満である場合は、圧力差ΔPが低下して第1圧力差P1未満とならないように、圧縮機回転数Rcを現在の圧縮機回転数Rcに維持する。そして、圧力差ΔPが第2圧力差P2以上である場合は、圧縮機回転数Rcを上昇させても圧力差ΔPが低下して第1圧力差未満となる可能性が低いので、圧縮機回転数Rcを能力相応回転数Rcpとしている。
<回転数加算テーブル>
図3に示す加算回転数テーブル300は、予め試験を行って定められて、室外機制御手段200の記憶部220に記憶されている。この加算回転数テーブル300では、一例として吸入圧力下限値Psminを0.2MPa、閾吸入圧力Pstを0.5MPa、第1加算回転数Rc1を5rps、第2加算回転数Rc2を8rpsとしている。
前述したように、空気調和装置1で冷房運転を行うときに外気温度Toが閾外気温度Tot以下であり、かつ、能力比Dが閾能力比Dt以下である場合は、回転数制御テーブル200を用いて圧縮機回転数Rcを制御する。そして、回転数制御テーブル200では、外気温度Toが閾外気温度Totでありかつ圧力差ΔPが0.7MPa未満であるときの圧縮機回転数Rcを、現在の圧縮機回転数Rcに加算回転数ΔRcを加算した回転数とする。
上記のように、加算回転数ΔRcを加算して圧縮機回転数Rcを上昇させるときに、吸入圧力Psが低くて吸入圧力下限値Psminに近い値である場合は、加算回転数ΔRcが大きな値であれば吸入圧力Psが吸入圧力下限値Psminを下回る恐れがある。そこで、本実施形態の空気調和装置1では、回転数制御テーブル200を用いて圧縮機回転数Rcを制御しているときに、吸入圧力センサ51で検出した吸入圧力Psを用い、加算回転数テーブル300を参照して検出した吸入圧力Psに応じた加算回転数ΔRcを決定している。
具体的には、加算回転数テーブル300では、吸入圧力Psが閾吸入圧力Pst(=0.5MPa)以上である場合、つまり、吸入圧力Psが圧縮機回転数Rcの上昇によって低下したときに吸入圧力下限値Psminを下回る可能性が低い場合は、加算回転数ΔRcを第2加算回転数(=8rps)としている。一方、吸入圧力Psが0.2MPa以上0.5MPa未満である場合、つまり、吸入圧力Psが圧縮機回転数Rcの上昇によって低下したときに吸入圧力下限値Psminを下回る可能性が高い場合は、加算回転数ΔRcを第2加算回転数より低い第1加算回転数(=5rps)としている。
<冷房運転時の圧縮機回転数制御に関わる処理の流れ>
次に、図4を用いて、空気調和装置1が冷房運転を行う際の、圧縮機21の回転数制御に関わる処理の流れについて説明する。図4に示すのは、冷房運転時に圧縮機21の回転数制御において、室外機制御手段200のCPU210が行う処理を示すフローチャートである。図4において、STは処理のステップを表し、これに続く数字はステップの番号を表している。尚、図4では、本発明に関わる処理のみに言及しており、暖房運転時の空気調和装置1の制御などのその他の制御に係る処理については、記載と説明を省略する。
空気調和装置1が冷房運転を行うとき、CPU210は、冷房運転を行っている室内機5から、室内機定格能力Aiと使用者が要求する冷房要求能力Arとを通信部230を介して取り込む(ST1)。尚、室内機定格能力Aiについては、事前にCPU210が通信部を介して全ての室内機5の室内機定格能力Aiを取り込んで記憶部220に記憶しておき、冷房運転を行っている室内機5に対応する室内機定格能力Aiを記憶部220から読み出すようにしてもよい。
次に、CPU210は、記憶部220に予め記憶されている室外機2の室外機定格能力Aoを読み出す(ST2)。
次に、CPU210は、ST1で取り込んだ冷房要求能力Arを用いて、能力相応回転数Rcpを決定する(ST3)。図示は省略するが、記憶部220には、冷房要求能力Arに対応させて能力相応回転数Rcpを定めたテーブルが記憶されており、CPU210は、このテーブルを参照して取り込んだ冷房要求能力Arに応じた能力相応回転数Rcpを決定する。
次に、CPU210は、圧縮機21を記憶部220に記憶している起動時回転数Rctで起動する(ST4)。前述したように、起動時回転数Rctは、予め試験などを行って求められて室外機制御手段200の記憶部220に記憶されているものであり、起動時回転数Rctで圧縮機21を起動すれば、圧縮機21で潤滑不良が発生しないことが判明している回転数である。
次に、CPU210は、能力比Dが閾能力比Dt以下であるか否かを判断する(ST5)。具体的には、CPU210は、ST1で取り込んだ室内機定格能力Aiの合計値をST2で読み出した室外機定格能力Aoで除して能力比Dを求め、求めた能力比Dと記憶部220に記憶している閾能力比Dtとを比較する。
能力比Dが閾能力比Dt以下でなければ(ST5−No)、CPU210は、ST12に処理を進める。能力比Dが閾能力比Dt以下であれば(ST5−Yes)、CPU210は、外気温度センサ36で検出した外気温度Toをセンサ入力部240を介して取り込み(ST6)、取り込んだ外気温度Toが記憶部220に記憶している閾外気温度Tot以下であるか否かを判断する(ST7)。
取り込んだ外気温度Toが閾外気温度Tot以下でなければ(ST7−No)、CPU210は、ST12に処理を進める。取り込んだ外気温度Toが閾外気温度Tot以下であれば(ST7−Yes)、CPU210は、吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力Pdと、吸入圧力センサ32で検出した吸入圧力Psとを、センサ入力部240を介して取り込み(ST8)、取り込んだ吐出圧力Pdから取り込んだ吸入圧力Psを減じて圧力差ΔPを算出する(ST9)。
次に、CPU210は、ST9で算出した圧力差ΔPが第1圧力差P1未満であるか否かを判断する(ST10)。圧力差ΔPが第1圧力差P1未満でなければ(ST10−No)、CPU210は、圧力差ΔPが第1圧力差P1以上第2圧力差未満であるか否かを判断する(ST11)。尚、第1圧力差P1および第2圧力差P2は、それぞれ回転数制御テーブル200に定められているものである。
圧力差ΔPが第1圧力差P1以上第2圧力差P2未満でなければ(ST11−No)、つまり、圧力差ΔPが第2圧力差P2以上であれば、CPU210は、圧縮機回転数RcをST3で決定した能力相応回転数Rcpとして(ST12)、ST8に処理を戻す。
ST11において、圧力差ΔPが第1圧力差P1以上第2圧力差P2未満であれば(ST11−Yes)、CPU210は、現在の圧縮機回転数Rcを維持し(ST15)、ST5に処理を戻す。
ST10において、圧力差ΔPが第1圧力差P1未満であれば(ST10−Yes)、CPU210は、記憶部220に記憶している加算回転数テーブル300を参照し、ST8で取り込んだ吸入圧力Psに応じた加算回転数ΔRcを決定し(ST13)、圧縮機回転数Rcを、ST3で決定した能力相応回転数Rcpに加算回転数ST13で決定したΔRcを加算した回転数として(ST14)、ST5に処理を戻す。
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1では、外気温度Toが閾外気温度Tot以下であり、かつ、能力比Dが閾能力比Dt以下である環境下で冷房運転を行うときに、圧縮機回転数テーブル200および回転数加算テーブル300を用いて、圧縮機21の回転数を制御する。これにより、圧力差ΔPが小さくなって圧縮機21の密閉容器下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差が小さくなることで、圧縮機21の内部で圧縮機構部に冷凍機油が供給されにくい状態となった場合でも、圧縮機21の回転数を制御して適切な量の冷凍機油が圧縮機21の圧縮機構部に供給されるようにするので、圧縮機21の圧縮機構部が潤滑不良となることを防ぐことができる。
次に、図5を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態における回転数制御テーブル200に代えて、室外機制御手段200の記憶部220に図5に示す回転数制御テーブル200aを記憶している点が、第1の実施形態と異なる。尚、この回転数制御テーブルが異なる点を除いて、冷媒回路10の構成や図4を用いて説明した冷房運転時の圧縮機21の回転数制御などは、第1の実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。
<回転数制御テーブル>
図5に示す回転数制御テーブル200aは、予め試験を行って定められて、室外機制御手段200の記憶部220に記憶されている。この回転数制御テーブル200aでは、第1の実施形態で説明した図2の回転数制御テーブル200における圧力差ΔPが吐出圧力Pdに変更されており、外気温度Toが閾外気温度Tot以下である場合に、吐出圧力Pdを第1吐出圧力Pd1と第2吐出圧力Pd2(ただし、Pd1<Pd2)で区分しこの区分に応じて圧縮機回転数Rcを定めている。
回転数制御テーブル200aでは、一例として、第1吐出圧力Pd1を0.9MPa、第2吐出圧力Pd2を1.1MPaとしている。これら第1吐出圧力Pd1と第2吐出圧力Pd2とは、第1の実施形態で説明した吸入圧力Psの下限値である吸入圧力下限値Psminに、回転数制御テーブル200における第1圧力差P1および第1圧力差P2を加算したものである。具体的には、第1吐出圧力Pd1:0.9MPa=吸入圧力下限値Psmin:0.2MPa+第1圧力差P1:0.7MPaであり、第2吐出圧力Pd2:1.1MPa=吸入圧力下限値Psmin:0.2MPa+第2圧力差P2:0.9MPaである。また、外気温度Toの閾外気温度Totは、圧縮機回転数テーブル200と同じく−5℃である。
圧縮機回転数テーブル200aでは、外気温度Toが−5℃超であるときは、吐出圧力Pdに関わらず圧縮機回転数Rcを能力相応回転数Rcpとしている。能力比Dが閾能力比Dt以下であるときに外気温度Toが閾外気温度Tot超である場合は、外気温度Toが閾外気温度Tot(=−5℃)以下である場合と比べて、凝縮器として機能する室外熱交換器23で凝縮能力が小さくなって凝縮圧力が高くなるため、圧縮機21の回転数が低くされても吐出圧力Pdが低くならない、つまり、圧力差ΔPが小さくならず、圧縮機21の圧縮機構部の潤滑に十分な量の冷凍機油が圧縮機構部に供給される状態であると考えられる。そこで、回転数制御テーブル200aでは、外気温度To閾外気温度Tot超である場合は、圧縮機回転数Rcがどのような回転数となっても圧縮機構部に十分な量の冷凍機油が供給できる圧力差ΔPが確保できる、つまりは、圧縮機構部に十分な量の冷凍機油が供給できる、圧縮機21の密閉容器の下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差が確保できると考えて、圧縮機回転数Rcを能力相応回転数Rcとしている。
一方、外気温度Toが−5℃以下であるときは、吐出圧力Pdが0.9MPa未満での圧縮機回転数Rcを、能力相応回転数Rcpに加算回転数テーブル300に定められた加算回転数ΔRcを加算した回転数としている。また、吐出圧力Pdが0.9MPa以上1.1MPa未満である場合の圧縮機回転数Rcを現在の圧縮機回転数Rcに維持としている。また、吐出圧力Pdが1.1MPa以上である場合の圧縮機回転数Rcを能力相応回転数Rcpとしている。
能力比が閾能力比以下であるときに外気温度Toが閾外気温度Tot以下である場合は、凝縮器として機能する室外熱交換器23で凝縮能力が大きくなって凝縮圧力が低くなるために圧力差ΔPが小さくなる。このとき、圧縮機21の回転数を低くして冷媒回路10における冷媒循環量を少なくすれば、さらに凝縮圧力が低くなって圧力差ΔPが小さくなるので、圧縮機21の圧縮機構部の潤滑に十分な量の冷凍機油を圧縮機構部に供給することができなくなる可能性が高い。そこで、回転数制御テーブル200aでは、吐出圧力Pdに応じて圧縮機回転数Rcを定めており、吐出圧力Pdが第1吐出圧力Pd1(=0.9MPa)未満であるときは、圧力差ΔPを大きくするために、能力相応回転数Rcpに加算回転数ΔRcを加算した回転数としている。また、吐出圧力Pdが第1吐出圧力Pd1以上第2吐出圧力Pd2(=1.1MPa)未満である場合は、圧力差ΔPが低下して第1圧力差未満とならないように、圧縮機回転数Rcを現在の圧縮機回転数Rcに維持する。そして、吐出圧力Pdが第2吐出圧力Pd2以上である場合は、圧縮機回転数Rcを上昇させても圧力差ΔPが低下して第1圧力差未満となる可能性が低いため圧縮機回転数Rcを能力相応回転数Rcpとしている。
以上説明した回転数制御テーブル200aと図3に示す加算回転数テーブル300とを用いて、空気調和装置1が冷房運転を行うときの圧縮機21の回転数制御が行われる。尚、本実施形態でCPU210が冷房運転時の圧縮機21の回転数制御を行うときの処理の流れでは、第1の実施形態で説明した図4に示すフローチャートのうち、ST9の処理が不要になるとともに、ST10およびST11の判断が圧力差ΔPに代えて吐出圧力Pdでなされる。これらST9〜ST11の処理以外は、前述したように第1の実施形態で説明した処理と同じである。
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1では、外気温度Toが閾外気温度Tot以下であり、かつ、能力比Dが閾能力比Dt以下である環境下で冷房運転を行うときに、圧縮機回転数テーブル200aおよび回転数加算テーブル300を用いて、圧縮機21の回転数を制御する。これにより、第1の実施形態と同様に、圧力差ΔPが小さくなって圧縮機21の密閉容器下部の圧力と圧縮機構部の圧力との圧力差が小さくなることで、圧縮機21の内部で圧縮機構部に冷凍機油が供給されにくい状態となった場合でも、圧縮機21の回転数を制御して適切な量の冷凍機油が圧縮機21の圧縮機構部に供給されるようにするので、圧縮機21の圧縮機構部が潤滑不良となることを防ぐことができる。
1 空気調和装置
2 室外機
6a〜6e 切換ユニット
8a〜8e 室内機
21 圧縮機
50 吐出圧力センサ
51 吸入圧力センサ
58 外気温度センサ
100 制御手段
110 CPU
Ai 室内機定格能力
Ao 室外機定格能力
Ar 冷房要求能力
D 能力比
Dt 閾能力比
Pd 吐出圧力
Pd1 第1吐出圧力
Pd2 第2吐出圧力
Ps 吸入圧力
Psmin 吸入圧力下限値
Pst 閾吸入圧力
P1 第1圧力差
P2 第2圧力差
ΔP 圧力差
Rc 圧縮機回転数
Rcp 能力相応回転数
Rct 起動時回転数
ΔRc 加算回転数
To 外気温度
Tot 閾外気温度

Claims (4)

  1. 圧縮機と、室外熱交換器と、外気温度を検出する外気温度検出手段と、前記圧縮機の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段と、前記圧縮機の吸入圧力を検出する吸入圧力検出手段とを有する室外機と、
    室内熱交換器を有する複数台の室内機と、
    前記圧縮機の駆動制御を行う制御手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、
    前記室外熱交換器を凝縮器として機能させるとともに、前記各室内熱交換器を蒸発器として機能させる冷房運転を行うとき、
    前記外気温度検出手段で検出した前記外気温度が予め定められた閾外気温度以下である場合は、
    前記吐出圧力検出手段で検出した前記吐出圧力、あるいは、同吐出圧力から前記吸入圧力検出手段で検出した前記吸入圧力を減じた圧力差のいずれか一方に応じて、前記冷房運転中の前記圧縮機の回転数を決定する、
    ことを特徴とする空気調和装置。
  2. 前記吐出圧力が予め定められた第1吐出圧力未満である場合は、前記圧縮機の回転数を前記冷房運転を行っている室内機で要求される冷房能力に応じた回転数である能力相応回転数に所定の加算回転数を加算した回転数とし、
    前記吐出圧力が前記第1吐出圧力より大きい予め定められた第2吐出圧力以上である場合は、前記圧縮機の回転数を前記能力相応回転数とし、
    前記吐出圧力が前記第1吐出圧力以上前記第2吐出圧力未満である場合は、前記圧縮機の回転数を現在の回転数に維持する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
  3. 前記圧力差が予め定められた第1圧力差未満である場合は、前記圧縮機の回転数を前記冷房運転を行っている室内機で要求される冷房能力に応じた回転数である能力相応回転数に所定の加算回転数を加算した回転数とし、
    前記圧力差が前記第1圧力差より大きい予め定められた第2圧力差以上である場合は、前記圧縮機の回転数を前記能力相応回転数とし、
    前記圧力差が前記第1圧力差以上前記第2圧力差未満である場合は、前記圧縮機の回転数を現在の回転数に維持する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
  4. 前記所定の加算回転数は、前記吸入圧力に応じて定められ、
    前記吸入圧力が小さい場合の加算回転数は、前記吸入圧力が大きい場合の加算回転数よりも小さい値とされている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の空気調和装置。
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