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JP2019127994A - 免震支持装置 - Google Patents

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JP2019127994A
JP2019127994A JP2018009969A JP2018009969A JP2019127994A JP 2019127994 A JP2019127994 A JP 2019127994A JP 2018009969 A JP2018009969 A JP 2018009969A JP 2018009969 A JP2018009969 A JP 2018009969A JP 2019127994 A JP2019127994 A JP 2019127994A
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JP2018009969A
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河内山 修
Osamu Kochiyama
修 河内山
崇仁 仲村
Takahito Nakamura
崇仁 仲村
雄一 岩崎
Yuichi Iwasaki
雄一 岩崎
健太 長弘
Kenta Nagahiro
健太 長弘
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Oiles Industry Co Ltd
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Oiles Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】安定な免震特性を得ることができ、加えて耐久性及び免震効果並びに製造性に特に優れた免震支持装置を提供すること。【解決手段】免震支持装置1は、建物等の上部の構造物に取付けられる円盤状の上板2及び基礎等の下部の構造物に取付けられる円盤状の下板3、上板2及び下板3間において交互に積層されていると共に互いに同心に配された複数枚の円環状の剛性層4及び弾性層5、上板2の下面6及び下板3の上面7並びに剛性層4及び弾性層5の夫々の内周面8及び9で規定されている中空部10並びに内周面で剛性層4の円筒状の外周面11に加硫接着されていると共に弾性層5の円筒状の外周面12と一体となった筒状の被覆層13を有した積層体14と、中空部10に配された鉛プラグ15とを具備している。【選択図】図1

Description

本発明は、二つの構造物間に配されて両構造物間の相対的な水平振動のエネルギを吸収し、構造物へ入力される振動加速度を低減するための装置、特に地震エネルギを減衰して地震入力加速度を低減し、建築物、橋梁等の構造物の損壊を防止する免震支持装置に関する。
交互に積層された剛性層及び弾性層並びにこれら剛性層及び弾性層の内周面で規定された中空部を有する積層体と、この積層体の中空部に配された鉛プラグとを具備している免震支持装置であって、構造物の鉛直荷重を積層体及び鉛プラグで支持すると共に地震に起因する積層体の積層方向の一端に対しての構造物の水平方向の振動を鉛プラグの塑性変形(剪断変形)で減衰させる一方、同じく地震に起因する積層体の積層方向の一端の水平方向の振動の構造物への伝達を積層体の弾性変形(剪断弾性変形)で抑制するようになっている免震支持装置は、知られている。
そして、交互に積層された剛性層及び弾性層を含む積層体と、上面に上部の構造物が固定される一方、下面に積層体の上面が固定される上板と、下面に下部の構造物が固定される一方、上面に積層体の下面が固定される下板とを有した免震支持装置では、上部の構造物に対する下部の構造物の相対的な水平変位において、上板及び下板の夫々に近接した積層体の部分(フィレット部)に座屈の原因になり得る応力集中が生じやすく、斯かる応力集中を解消するベく、上板及び下板の夫々に近接した剛性層の外径をその他の剛性層の外径よりも大きくした免震支持装置が提案されている。
特開平11−141180号公報 特開2009−8181号公報 特開2014−47926号公報
ところで、座屈の原因になり得る応力集中を解消し得る免震支持装置において、振動減衰効果を得るべく、積層体の中空部に鉛が圧入、充填される場合、圧入、充填されて積層体の剛性層及び弾性層の内周面に取り囲まれた鉛プラグは、弾性層の弾性により部分的に押し戻されることになるが、この押し戻しにより鉛プラグには内圧が発生する。
この発生した鉛プラグの内圧が弾性層の剛性との関連で充分でないと、免震支持装置の免震動作において、鉛プラグの外周面と剛性層及び弾性層の内周面との間に隙間が生じて、鉛プラグで効果的に振動を減衰させることができなくなる虞が生じる。
斯かる問題は、鉛プラグにおいて顕著に生じるのであるが、斯かる鉛プラグに限らず、塑性変形で振動エネルギを吸収する鉛、錫又は非鉛系低融点合金等の減衰材料からなる振動減衰体でも生じ得る。
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、積層体における少なくとも上板又は下板に近接した積層体の部分での応力集中を解消することができる上に、積層体の中空部に配された振動減衰体を隙間なしに拘束し得る結果、応力集中の解消と振動減衰体の拘束との相乗効果で、安定な免震特性を得ることができ、加えて積層体の弾性層及び振動減衰体の疲労を回避することができ、耐久性及び免震効果並びに製造性に特に優れた免震支持装置を提供することにある。
本発明の免震支持装置は、上板及び下板、上板及び下板間において交互に積層された剛性層及び弾性層並びに当該上板の下面及び下板の上面並びに剛性層及び弾性層の夫々の内周面で規定されている中空部を夫々有している積層体と、この積層体の中空部に配された振動減衰体とを具備していると共に上板に加わる剛性層及び弾性層の積層方向の荷重を積層体及び振動減衰体を介して下板で支持するようになっており、剛性層は、少なくとも一つの上部剛性層と、少なくとも一つの下部剛性層と、積層方向における少なくとも一つの上部剛性層及び少なくとも一つの下部剛性層間で積層方向に並んで配された複数の中間部剛性層とを具備しており、少なくとも一つの上部剛性層及び少なくとも一つの下部剛性層のうちの少なくとも一方は、複数の中間部剛性層の夫々の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有しており、支持する積層方向の荷重に基づく振動減衰体からの上板への面圧Prと積層体の当該荷重に対する受圧面での当該荷重に基づく面圧P0との比Pr/P0が1.00以上(比Pr/P0≧1.00)となるように、振動減衰体が中空部に配されてなる。
本発明は、支持する構造物から上板に加えられた荷重(鉛直荷重)で弾性層が積層方向(鉛直方向)において圧縮されて中空部の高さ(積層方向の長さ)が低くなると、振動減衰体が弾性層の内周面を押圧して部分的に弾性層に積層方向に直交する方向(水平方向、即ち、剪断方向)に張り出し、この張り出し、言い換えると、振動減衰体による弾性層の内周面への押圧に起因する弾性層の弾性反力に基づく振動減衰体に生じる内圧であって振動減衰体からの上板への面圧Prと積層体の当該荷重に対する受圧面での当該荷重に基づく面圧P0との比Pr/P0が一定の関係となるように、振動減衰体が中空部に配されてなる免震支持装置では、中空部に配された振動減衰体を隙間なしに拘束し得るという知見に基づいてなされたものである。
斯かる知見に基づく本発明の免震支持装置では、比Pr/P0が1.00以上(比Pr/P0≧1.00)、好ましくは、1.00を超える(比Pr/P0>1.00)ように、より好ましくは、1.09以上(比Pr/P0≧1.09)、更により好ましくは、2.02以上(比Pr/P0≧2.02)、最も好ましくは、2.50以上(比Pr/P0≧2.50)となるように、振動減衰体が中空部に好ましくは密に配されていると、積層方向に直交する方向の積層体の剪断弾性変形においても、中空部に配された振動減衰体を隙間なしに剛性層及び弾性層並びに上板及び下板で拘束し得る結果、安定な免震特性を得ることができ、加えて弾性層及び振動減衰体の疲労を回避することができ、耐久性及び免震効果並びに製造性に特に優れた免震支持装置を提供することができる。
本発明において、振動減衰体からの上板への面圧Prは、構造物からの荷重の大きさと中空部への振動減衰体の充填の程度と弾性層の弾性率又は剛性率の高低とによって増減し、比Pr/P0が1.00以上である免震支持装置では、振動減衰体が弾性層に適切に食い込んで、当該弾性層の内周面は凹面になる。
ところで、比Pr/P0が1.00よりも小さい免震支持装置では、中空部を規定する上板の下面、下板の上面並びに剛性層及び弾性層の夫々の内周面と、これらに接する振動減衰体の外周面、上面及び下面との間に隙間が生じ易くなり、したがって免震支持装置の作動中に、容易に剛性層及び弾性層並びに上板及び下板と振動減衰体との間に隙間が生じ、不安定な免震特性を示すことになる。これは、振動減衰体が上板及び下板並びに積層体に少なくとも剪断方向(水平方向)において隙間なしに拘束されず、振動減衰体に剪断変形以外の変形を生じることによるものと推測される。
一方、比Pr/P0が一定以上大きい免震支持装置、具体的には、比Pr/P0が5.90よりも大きい免震支持装置では、振動減衰体が大きく弾性層に食い込んで、弾性層の内周面が過度に凹面になり、この部位の近傍での弾性層と剛性層との間の剪断応力が大きくなり過ぎ、弾性層の劣化を早め、弾性層の耐久性が劣ることになり、また、比Pr/P0が斯かる5.90よりも大きい免震支持装置を得るには、振動減衰体の中空部への圧入を極めて大きくしなければならず、免震支持装置の製造が困難であることも判った。
そして、中空部に配された振動減衰体を隙間なしに剛性層及び弾性層並びに上板及び下板で拘束し得て、安定な免震特性を得ることができ、加えて弾性層及び振動減衰体の疲労を回避することができ、耐久性及び免震効果並びに製造性に特に優れた免震支持装置を得ることのできる比Pr/P0は、本発明の免震支持装置で免震支持する建築物及び橋梁での各荷重で好ましい範囲が存在するが、比Pr/P0≧1.00であって、比Pr/P0≦5.90である免震支持装置は、小さな振動入力では、高い剛性を示し、大きな振動入力では、低い剛性を示す機能、いわゆるトリガ機能を有する上に、大振幅の地震動に特に好ましく対応し得、しかも、製造性に極めて優れる。
加えて、本発明では、少なくとも一つの上部剛性層及び少なくとも一つの下部剛性層のうちの少なくとも一方は、複数の中間部剛性層の夫々の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有しているために、比Pr/P0が1.00以上(比Pr/P0≧1.00)となるように振動減衰体が中空部に配されることにより更に生じ易くなる積層体における少なくとも上板又は下板に近接した部分(フィレット部)での応力集中を解消することができる。
本発明による好ましい例では、複数の中間部剛性層のうちで積層方向において少なくとも一つの上部剛性層及び少なくとも一つの下部剛性層のうちの少なくとも一方に隣接する隣接中間部剛性層は、複数の中間部剛性層のうちで積層方向において当該隣接中間部剛性層よりも中央側に位置する中央側中間部剛性層の外周面と積層方向に直交する方向において同一位置に又は当該中央側中間部剛性層の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有している。
本発明では、剛性層は、少なくとも一つの上部剛性層に対して積層方向において並んで配されていると共に当該少なくとも一つの上部剛性層の外周面と積層方向に直交する方向において同一位置に位置した外周面を有する少なくとも一つの他の上部剛性層を更に具備していてもよい。
本発明ではまた、剛性層は、少なくとも一つの上部剛性層を含んで互いに対して積層方向に並んで配されている複数の上部剛性層を具備していてもよく、この場合、複数の上部剛性層のうちで積層方向において上板に最も近接して配置された最上部剛性層は、当該最上部剛性層を除く上部剛性層の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有しており、斯かる免震支持装置によれば、積層体の水平方向変形時においても複数の上部剛性層に塑性変形が生じにくく、これにより、水平方向の剛性を安定させることができ、フィレット部の応力集中に基づく座屈等を生じさせる虞を更になくし得る。
本発明の他の好ましい例では、剛性層は、少なくとも一つの下部剛性層に対して積層方向において並んで配されていると共に当該少なくとも一つの下部剛性層の外周面と積層方向に直交する方向において同一位置に位置した外周面を有する少なくとも一つの他の下部剛性層を更に具備している。
更に、本発明では、剛性層は、少なくとも一つの下部剛性層を含んで互いに対して積層方向に並んで配されている複数の下部剛性層を具備していてもよく、この場合、複数の下部剛性層のうちで積層方向において下板に最も近接して配置された最下部剛性層は、当該最下部剛性層を除く下部剛性層の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有しており、斯かる免震支持装置によれば、積層体の水平方向変形時においても複数の下部剛性層に塑性変形が生じにくく、これにより、水平方向の剛性を安定させることができ、フィレット部の応力集中に基づく座屈等を生じさせる虞をなくし得る。
本発明の剛性層において、外側に配される各外周面は、上板に積層方向の荷重が加えられた状態での各弾性層の積層方向の厚みを相互に等しいとすると、好ましい例では、当該厚みの3倍以上外側に位置されるが、本発明は、これに限定されず、最低で、当該厚みの0.5倍程度外側に位置されていればよい。
本発明の免震支持装置では、積層体は、円筒状、四角、五角及び六角等の角筒状又は楕円筒状の外周面を有する剛性層の当該外周面に接着、好ましくは、加硫接着されていると共に剛性層の外周面に対応して同じく円筒状、四角、五角及び六角等の角筒状又は楕円筒状の外周面を有する弾性層の当該外周面と一体となった筒状の被覆層を更に具備していてもよく、この場合、被覆層のうちの上部剛性層及び下部剛性層のうちの少なくとも一方を覆っている被覆部は、当該被覆層のうちの中間部剛性層を覆っている被覆部の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有していてもよく、斯かる被覆部の外周面は、好ましい例では、筒状であり、各剛性層の外周面が円筒状であると、同じく円筒状であり、上部剛性層及び下部剛性層のうちの少なくとも一方を覆っている被覆部と中間部剛性層を覆っている被覆部とは、断面円弧凹面をもった円環状の外周面を有した被覆部で一体的に連接されているとよい。
本発明において、振動減衰体は、好ましい例では、塑性変形で振動エネルギを吸収する減衰材料からなり、斯かる減衰材料は、鉛、錫又は非鉛系低融点合金(例えば、錫−亜鉛系合金、錫−ビスマス系合金及び錫−インジウム系合金より選ばれる錫含有合金であって、具体的には、錫42〜43重量%及びビスマス57〜58重量%を含む錫−ビスマス合金等)からなっていてもよい。
本発明において、振動減衰体は、好ましい例では、中空部に剛性層及び弾性層並びに上板及び下板に対して隙間なしに配されており、本発明の免震支持装置は、下板に対しての上板の積層方向に直交する方向の振動を振動減衰体の塑性変形で減衰させる一方、下板の積層方向に直交する方向の振動の上板への伝達を積層体の剪断弾性変形で抑制するようになっている。
本発明において、上板及び積層方向において最上位の剛性層に関して、好ましい例では、上板は、貫通孔を有した上フランジ板と、この貫通孔において上フランジ板に固着された上閉塞板とを具備しており、振動減衰体の積層方向の上面は、上閉塞板の積層方向の下面に隙間なしに接触しており、振動減衰体の積層方向の上端部の外周面は、貫通孔を規定する上フランジ板の内周面に隙間なしに接触しており、他の好ましい例では、上板は、下面にキー溝を有した上フランジ板と、このキー溝において上フランジ板に嵌着されていると共に上フランジ板の下面から部分的に突出したキーとを具備しており、上部剛性層は、複数の中間部剛性層よりも厚肉であって上面に上フランジ板の下面から部分的に突出したキーが嵌着されている他のキー溝を有した10mm〜50mm程度の積層方向の厚みを有している上部厚肉鋼板からなっていてもよく、この場合、積層方向において上フランジ板と上部厚肉鋼板との間に弾性層が介在されることなしに、上部厚肉鋼板は、その上面で上フランジ板の下面に直接接触していてもよい。
本発明において、下板及び積層方向において最下位の剛性層に関して、好ましい例では、下板は、貫通孔を有した下フランジ板と、この貫通孔において下フランジ板に固着された下閉塞板とを具備しており、振動減衰体の積層方向の下面は、下閉塞板の積層方向の上面に隙間なしに接触しており、振動減衰体の積層方向の下端部の外周面は、貫通孔を規定する下フランジ板の内周面に隙間なしに接触しており、他の好ましい例では、下板は、上面にキー溝を有した下フランジ板と、このキー溝において下フランジ板に嵌着されている共に下フランジ板の上面から部分的に突出したキーとを具備しており、下部剛性層は、複数の中間部剛性層よりも厚肉であって下面に下フランジ板の上面から部分的に突出したキーが嵌着されている他のキー溝を有した10mm〜50mm程度の積層方向の厚みを有している下部厚肉鋼板からなっていてもよく、この場合、積層方向において下フランジ板と下部厚肉鋼板との間に弾性層が介在されることなしに、下部厚肉鋼板は、その下面で下フランジ板の上面に直接接触していてもよい。
本発明では、上フランジ板及び下フランジ板は、外縁が円形若しくは楕円形であっても、これに代えて、外縁が矩形若しくは方形又は五角形を含む多角形であってもよく、上フランジ板及び上閉塞板並びに下フランジ板及び下閉塞板は、好ましい例では、鋼板からなる。
本発明では、弾性層の素材としては、天然ゴム、シリコーンゴム、高減衰ゴム、ウレタンゴム又はクロロプレンゴム等を挙げることができるが、好ましくは天然ゴムであり、弾性層の各層は、好ましくは、無負荷状態(支持する積層方向の荷重が上板に加えられていない状態)において1mm〜30mm程度の積層方向の厚みを有しているが、これに限定されず、また、上板が貫通孔を有した上フランジ板とこの貫通孔において上フランジ板に固着された上閉塞板とを具備している好ましい例では、積層方向において最上位の弾性層は、その積層方向における上面で上フランジ板の積層方向における下面に接着、好ましくは加硫接着されており、下板が貫通孔を有した下フランジ板と、この貫通孔において下フランジ板に固着された下閉塞板とを具備している好ましい例では、最下位の弾性層は、その積層方向における下面で下フランジ板の積層方向における上面に接着、好ましくは加硫接着されており、一方、剛性層の素材としては、鋼板、炭素繊維、ガラス繊維若しくはアラミド繊維等の繊維補強合成樹脂板又は繊維補強硬質ゴム板等を挙げることができ、剛性層の各層は、1mm〜6mm程度の積層方向の厚みを有していても、また、最上位及び最下位の剛性層は、10mm〜50mm程度の積層方向の厚みを有していてもよいが、これらに限定されず、加えて、剛性層及び弾性層は、その枚数においても特に限定されず、支持する構造物の荷重、剪断変形量(水平方向歪量)、弾性層の弾性率、予測される構造物への振動加速度の大きさ及び振動周期の観点から、安定な免震特性を得るべく、剛性層及び弾性層の枚数を決定すればよい。
また、本発明では、振動減衰体は、円柱状が好ましいが、他の形状のもの、例えば楕円状又は方形状であってもよく、中空部は、一つでもよいが、これに代えて、免震支持装置は、複数の中空部を有していてもよく、この複数の中空部にそれぞれ振動減衰体を配して免震支持装置を構成してもよい。なお、これら複数の中空部の夫々に関して、比Pr/P0が同一である必要はなく、比Pr/P0がそれぞれ異なっていてもよく、また、これら複数の中空部の夫々に関して比Pr/P0が上記の通り、1.00以上であることが好ましいが、複数の中空部の一部に関してのみ比Pr/P0が1.00以上であってもよい。
本発明によれば、積層体における少なくとも上板又は下板に近接した部分での応力集中を解消することができる上に、積層体の中空部に配された振動減衰体を隙間なしに拘束し得る結果、応力集中の解消と振動減衰体の拘束との相乗効果で、安定な免震特性を得ることができ、加えて積層体の弾性層及び振動減衰体の疲労を回避することができ、耐久性及び免震効果並びに製造性に特に優れた免震支持装置を提供し得る。
図1は、本発明の好ましい実施の形態の一具体例の図2のI−I線矢視断面説明図である。 図2は、図1に示す例の一部断面平面説明図である。 図3は、図1に示す例の一部拡大断面説明図ある。 図4は、図1に示す例の一部拡大断面説明図である。 図5は、図1に示す例の動作説明図である。 図6は、比Pr/P0が1.00未満の免震支持装置の水平変位と水平応力との履歴特性の説明図である。 図7は、本発明の好ましい具体例の水平変位と水平応力との履歴特性の説明図である。 図8は、本発明の好ましい実施の形態の他の具体例の一部断面拡大説明図である。
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい具体例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
図1から図4において、本例の免震支持装置1は、建物等の上部の構造物に取付けられる円盤状の上板2及び基礎等の下部の構造物に取付けられる円盤状の下板3、上板2及び下板3間において交互に積層されていると共に互いに同心に配された複数枚の円環状の剛性層4及び弾性層5、上板2の下面6及び下板3の上面7並びに剛性層4及び弾性層5の夫々の内周面8及び9で規定されている中空部10並びに内周面で剛性層4の円筒状の外周面11に加硫接着されていると共に弾性層5の円筒状の外周面12と一体となった筒状の被覆層13を有した積層体14と、中空部10に配された振動減衰体としての鉛プラグ15とを具備している。
上板2は、円環状の上面20及び円筒状の外周面21に加えて、当該外周面21に沿って配された複数の貫通孔22及び中央に配された貫通孔23を夫々有した円環状の上フランジ板24と、貫通孔23において上フランジ板24に嵌合されていると共に複数の螺子25により上フランジ板24に固定された上閉塞板26とを具備しており、貫通孔23は、上フランジ板24の円筒状の内周面27によって規定された孔28と、孔28に連通すると共に円環状の段部面29を介して内周面27に連接した内周面30によって規定された円形の孔31とを具備しており、上閉塞板26は、円筒状の外周面32で内周面27に、円環状の下面33で段部面29に夫々接触していると共に孔31よりも大径の孔28に嵌合された円盤状の大径上閉塞部34と、大径上閉塞部34よりも小径であって、円筒状の外周面35で内周面30に接触していると共に孔31に嵌合された円盤状の小径上閉塞部36とを一体的に具備しており、下面6は、平坦な円環状の上面37を有した上フランジ板24の平坦な円環状の下面38と、上面37に対して面一に配されていると共に上面37と協働して上面20を構成する平坦な円形の上面39を有した大径上閉塞部34に一体な小径上閉塞部36の平坦な円形の下面40とからなり、而して、剛性層4及び弾性層5の積層方向、即ち鉛直方向Vにおける中空部10の鉛直方向Vにおける上端部は、内周面30及び下面40によって規定されており、斯かる上端部には、鉛直方向Vにおける鉛プラグ15の上端部が配されており、鉛プラグ15の上端部の上面及び円筒状の側面を含む外面は、内周面30及び下面40に隙間なしに接触している。
上板2と同様に形成された下板3は、円環状の下面50及び円筒状の外周面51に加えて、当該外周面51に沿って配された複数の貫通孔52及び中央に配された貫通孔53を夫々有した円環状の下フランジ板54と、貫通孔53において下フランジ板54に嵌合されていると共に複数の螺子55により下フランジ板54に固定された下閉塞板56とを具備しており、貫通孔53は、下フランジ板54の円筒状の内周面57によって規定された孔58と、孔58に連通すると共に円環状の段部面59を介して内周面57に連接した内周面60によって規定された円形の孔61とを具備しており、下閉塞板56は、円筒状の外周面62で内周面57に、円環状の上面63で段部面59に夫々接触していると共に孔61よりも大径の孔58に嵌合された円盤状の大径下閉塞部64と、大径下閉塞部64よりも小径であって、円筒状の外周面65で内周面60に接触していると共に孔61に嵌合された円盤状の小径下閉塞部66とを一体的に具備しており、上面7は、平坦な円環状の下面67を有した下フランジ板54の平坦な円環状の上面68と、下面67に対して面一に配されていると共に下面67と協働して下面50を構成する平坦な円形の下面69を有した大径下閉塞部64に一体な小径下閉塞部66の平坦な円形の上面70とからなり、而して、鉛直方向Vにおける中空部10の鉛直方向Vにおける下端部は、内周面60及び上面70によって規定されており、斯かる下端部には、鉛直方向Vにおける鉛プラグ15の下端部が配されており、鉛プラグ15の下端部の下面及び円筒状の側面を含む外面は、内周面60及び上面70に隙間なしに接触している。
中心81をもって互いに同心をもって積層されていると共に円筒状の内周面8に加えて円筒状の外周面11を有した複数の剛性層4は、鉛直方向Vにおいて上板2に近接して且つ鉛直方向Vに並んで配された二枚の上部剛性層82及び83と、鉛直方向Vにおいて下板3に近接して且つ鉛直方向Vに並んで配された二枚の下部剛性層84及び85と、鉛直方向Vにおける上部剛性層83及び下部剛性層85間で鉛直方向Vに並んで配された複数の中間部剛性層86とを具備していると共に鉛直方向Vにおいて互いに等しい厚み(肉厚)t1と鉛直方向Vにおいて弾性層5の互いに等しい厚み(肉厚)t2となる互いに等しい間隔Dとをもって配されており、斯かる複数の剛性層4において、複数の中間部剛性層86は、上部剛性層83に鉛直方向Vにおいて隣接する隣接中間部剛性層87と、下部剛性層85に鉛直方向Vにおいて隣接する隣接中間部剛性層88と、鉛直方向Vにおいて隣接中間部剛性層87及び88間に配された複数の中央側中間部剛性層89とを具備している。
上部剛性層82及び83の夫々の外周面11は、隣接中間部剛性層87の外周面11よりも鉛直方向Vに直交する方向である水平方向Hにおいて3×tr(但し、trは、上板2に鉛直方向Vの荷重Wが加えられた状態での各弾性層5の積層方向の厚み)以上外側、換言すると、隣接中間部剛性層87の外周面11よりも3×tr以上径方向の外側に配されており、下部剛性層84及び85の夫々の外周面11もまた、隣接中間部剛性層88の外周面11よりも水平方向Hにおいて3×tr以上外側、換言すると、隣接中間部剛性層88の外周面11よりも3×tr以上径方向の外側に配されており、少なくとも一つの一の上部剛性層としての上部剛性層82は、少なくとも一つの一の下部剛性層としての下部剛性層84の外周面11の径と同径の外周面11を有しており、少なくとも一つの他の一の上部剛性層としての上部剛性層83は、少なくとも一つの他の一の下部剛性層としての下部剛性層85の外周面11の径と同径の外周面11を有しており、上部剛性層82及び下部剛性層84の夫々の外周面11は、上部剛性層83及び下部剛性層85の夫々の外周面11よりも水平方向Hにおいて3×tr以上外側、換言すると、上部剛性層83及び下部剛性層85の夫々の外周面11よりも3×tr以上径方向の外側に配されており、中央側中間部剛性層89の夫々の外周面11は、水平方向Hにおいて、換言すると、径方向において互いに同一位置に配されており、水平方向Hにおいて、換言すると、径方向において互いに同一位置に配された隣接中間部剛性層87及び88の夫々の外周面11は、中央側中間部剛性層89の夫々の外周面11と水平方向Hにおいて、換言すると、径方向において互いに同一位置に配されており、上部剛性層82及び83において上板2に最も近接して配置された最上部剛性層である上部剛性層82は、上部剛性層82を除く残る上部剛性層83の外周面11よりも水平方向Hにおいて3×tr以上外側、換言すると、上部剛性層83の外周面11よりも3×tr以上径方向の外側に配された外周面11を有しており、下部剛性層84及び85において下板3に最も近接して配置された最下部剛性層である下部剛性層84は、下部剛性層84を除く残る下部剛性層85の外周面11よりも水平方向Hにおいて外側、換言すると、下部剛性層85の外周面11よりも3×tr以上径方向の外側に配されている外周面11を有している。
而して、複数の剛性層4において、上部剛性層82及び83並びに下部剛性層84及び85の夫々は、複数の中間部剛性層86のうちの上部剛性層83及び下部剛性層85の夫々に鉛直方向Vにおいて隣接する隣接中間部剛性層87及び88の夫々の外周面11よりも水平方向Hにおいて外側に配された外周面11を有しており、隣接中間部剛性層87及び88の夫々は、鉛直方向Vにおいて当該隣接中間部剛性層87及び88よりも中央側に位置する複数の中間部剛性層86のうちの中央側中間部剛性層89の外周面11と水平方向Hにおいて同一位置に配された外周面11を有しており、複数の中間部剛性層86は、上部剛性層83と下部剛性層85との間に鉛直方向Vに並んで配されており、最上部剛性層である上部剛性層82は、残る上部剛性層83の外周面11よりも水平方向Hにおいて外側に配された外周面11を有しており、最下部剛性層である下部剛性層84は、残る下部剛性層85の外周面11よりも水平方向Hにおいて外側に配された外周面11を有している。
天然ゴム製の円環状のゴム板からなる複数の弾性層5において、上部剛性層82の外周面11と面一に配された外周面12を有していると共に鉛直方向Vにおいて上フランジ板24に隣接する最上部の弾性層91は、鉛直方向Vにおけるその上面92で当該上フランジ板24の下面38に、鉛直方向Vにおけるその下面93で鉛直方向Vにおいて隣接する上部剛性層82の上面94に夫々加硫接着されており、下部剛性層84の外周面11と面一に配された外周面12を有していると共に鉛直方向Vにおいて下フランジ板54に隣接する最下部の弾性層95は、鉛直方向Vにおけるその下面96で当該下フランジ板54の円環状の上面68に、鉛直方向Vにおけるその上面97で鉛直方向Vにおいて隣接する下部剛性層84の下面98に夫々加硫接着されており、上部剛性層82の外周面11よりも水平方向Hにおいて内側に配されている一方、上部剛性層83の外周面11と面一に配された外周面12を有していると共に鉛直方向Vにおいて上部剛性層82及び83間に配された弾性層99は、鉛直方向Vにおけるその上面100及び下面101の夫々で上部剛性層82及び83の下面102及び上面103に夫々加硫接着されており、下部剛性層84の外周面11よりも水平方向Hにおいて内側に配されている一方、下部剛性層85の外周面11と面一に配された外周面12を有していると共に鉛直方向Vにおいて下部剛性層84及び85間に配された弾性層104は、鉛直方向Vにおけるその下面105及び上面106の夫々で下部剛性層84及び85の上面107及び下面108に夫々加硫接着されており、上部剛性層83及び下部剛性層85の夫々の外周面11よりも水平方向Hにおいて内側に配されている一方、複数の中間部剛性層86の夫々の外周面11と面一に配された外周面12を有していると共に鉛直方向Vにおいて上部剛性層83及び下部剛性層85間に配された複数の弾性層109は、鉛直方向Vにおけるその上面110及び下面111の夫々で上部剛性層83及び中間部剛性層86の夫々の下面112及び下部剛性層85及び中間部剛性層86の夫々の上面113の夫々に夫々加硫接着されている。
被覆層13は、上部剛性層82及び83の外周面11並びに弾性層91及び99の外周面12を覆っている被覆部121と、下部剛性層84及び85の外周面11並びに弾性層95及び104の外周面12を覆っている被覆部122と、鉛直方向Vにおける上部剛性層83及び下部剛性層85間の中間部剛性層86の外周面11並びに複数の弾性層109の外周面12を覆っていると共に円筒状の外周面123を有した円筒状の被覆部124とを一体的に具備しており、被覆部121及び122の夫々は、外周面123よりも水平方向Hにおいて外側、換言すると、外周面123よりも径方向の外側に配された円筒状の外周面125を有しており、被覆部121及び122の夫々と被覆部124とは、断面円弧凹面をもった筒状の外周面126を有した被覆部127で一体的に連接されている。
内周面30及び下面40、内周面60及び上面70並びに内周面8及び9で規定されていると共に水平方向Hにおいて積層体14の中央に配された中空部10に内周面30及び下面40、内周面60及び上面70並びに内周面8及び9に対して隙間なしに圧入、充填されて配されている円柱状鉛からなる鉛プラグ15は、その塑性変形で下板3に対しての上板2の水平方向Hの振動を減衰させると共に積層体14と協働して上板2を介して上部の構造物からの鉛直方向Vの荷重(鉛直方向Vの下向きの力)Wを支持するようになっており、斯かる鉛プラグ15は、支持する上部の構造物からの鉛直方向Vの荷重Wが上板2に加えられていない状態(無荷重下)でも、弾性層5の弾性力に抗して弾性層5に向って水平方向Hに張り出して弾性層5に若干食い込み、弾性層5の内周面9を凹面131にする結果、内周面8及び9を含む積層体14の内周面132は、当該弾性層5の内周面9の位置で凹面131になっている一方、剛性層4の位置で凸面133になっており、支持する上部の構造物からの鉛直方向Vの荷重Wが上板2に加えられた状態(荷重下)では、弾性層5が鉛直方向Vにおいて圧縮されて弾性層5の厚みt2に相当する間隔Dが2.5mmよりも小さく、即ち厚みtrの値となって免震支持装置1の高さhが低くなる結果、中空部10に圧入、充填された鉛プラグ15は、弾性層5の弾性力に抗して当該弾性層5により水平方向Hに張り出して弾性層5に食い込み、弾性層5の内周面9をより大きく水平方向(剪断方向)Hに凹んだ凹面131にする。
鉛プラグ15は、支持する上部の構造物からの鉛直方向Vの荷重Wが上板2に加えられた状態での鉛プラグ15からの小径上閉塞部36の下面40への反力(鉛直方向Vの上向きの力)Frによる面圧Pr(=Fr/(小径上閉塞部36の下面40の面積)N/m、但しNはニュートン、以下、同じ)と積層体14の当該荷重Wに対する受圧面での当該荷重Wに基づく面圧P0(=W/(積層体14の荷重Wに対する受圧面積)N/m)との比Pr/P0が1.00以上になるように、中空部10に密に配されている。本例においては、積層体14の荷重Wに対する受圧面積は、剛性層4において鉛直方向Vに関して共通の受圧面となる中間部剛性層86の上面113の面積となる。
以上の免震支持装置1は、下フランジ板54が貫通孔52に挿入されたアンカーボルトを介して下部の構造物に、上フランジ板24が貫通孔22に挿入されたアンカーボルトを介して上部の構造物に夫々固定されて下部の構造物及び上部の構造物間に配され、上部の構造物の荷重Wを上面20で受けて、上面20に加わる鉛直方向Vの荷重Wを積層体14及び鉛プラグ15で支持すると共に下板3に対しての上板2の水平方向Hの振動エネルギを鉛プラグ15の塑性変形で吸収して当該上板2の水平方向Hの振動を減衰させる一方、下板3の水平方向Hの振動の上板2への伝達を積層体14の水平方向Hの剪断弾性変形及び鉛プラグ15の水平方向Hの塑性変形で抑制するようになっている。
免震支持装置1を製造する場合には、まず、下フランジ板54と下フランジ板54に固定された下閉塞板56とを具備した下板3上に、弾性層5となる円環状の厚さt2=2.5mmの複数枚のゴム板と剛性層4となる円環状の厚さt1=1.6mmの複数枚の鋼板とを交互に積層した後に、積層された下板3並びにゴム板及び鋼板の上に上フランジ板24を載せると共に、これらゴム板及び鋼板の外周面を覆って被覆層13となる厚さ2mm程度のゴムシートを当該ゴム板及び鋼板に捲き付け、型内における加圧下での加硫接着等によりこれらを相互に固定し、その後、鉛プラグ15を中空部10に形成すべく、中空部10に鉛を貫通孔23を介して圧入する。鉛の圧入は、鉛プラグ15が中空部10において積層体14に対して隙間なしに拘束されるように、鉛を貫通孔23を介して中空部10に油圧ラム等により押し込んで行い、鉛の圧入後、中空部10に圧入された鉛を上閉塞板26で中空部10に更に押し込むようにして貫通孔23に上閉塞板26を配して螺子25を介して上閉塞板26を上フランジ板24に固定する。
製造された免震支持装置1が比Pr/P0が1.00以上であることを確認するために、言い換えると、比Pr/P0が1.00以上である免震支持装置1を製造するために、上閉塞板26に相当すると共に細孔を有した仮の上閉塞板を準備し、この仮の上閉塞板の下面にロードセル(圧力センサ)を取付け、このロードセルからのリード線を仮の上閉塞板の細孔から導出し、斯かる仮の上閉塞板を螺子25を介して上フランジ板24に固定した上板2に本免震支持装置1で支持する予定の荷重Wを加えた状態でこの導出されたリード線の電気信号を測定して、この測定した電気信号から面圧Prを検出し、この検出した面圧Prと面圧P0とから比Pr/P0を求め、比Pr/P0が1.00以上である場合には、上板2への荷重Wの負荷を解除して仮の上閉塞板を上フランジ板24から取り外し、仮の上閉塞板を本来の上閉塞板26に取り換え、螺子25を介して本来の上閉塞板26を上フランジ板24に固定し、比Pr/P0が1.00よりも小さい場合には、上板2への荷重Wの負荷を解除して仮の上閉塞板を上フランジ板24から取り外し、中空部10に貫通孔23を介して追加の鉛を圧入する。追加の鉛の中空部10への圧入は、追加の鉛を中空部10の上部に油圧ラム等により押し込んで行う。追加の鉛の中空部10への圧入後、ロードセル付の仮の上閉塞板を螺子25を介して上フランジ板24に再び固定し、上記と同様にして比Pr/P0を求め、比Pr/P0が1.00以上である場合には、上記と同様にして仮の上閉塞板に代えて本来の上閉塞板26を上フランジ板24に螺子25を介して固定する一方、比Pr/P0が1.00よりも小さい場合には、比Pr/P0が1.00以上になるまで、以上の追加の鉛の中空部10への圧入を繰り返す。
なお、比Pr/P0が1.00以上になる場合には、無荷重(W=0)で弾性層5の内周面9が凹面131に変形しなくてもよい。
こうして製造された免震支持装置1では、比Pr/P0が1.00以上であるために、中空部10に配された鉛プラグ15を隙間なしに弾性層5及び剛性層4並びに上板2及び下板3で拘束し得る結果、安定な免震特性を得ることができ、加えて弾性層5及び鉛プラグ15の疲労を回避することができ、特に優れた耐久性及び免震効果並びに製造性を得ることができる。
以上の免震支持装置1は、地震等が生じて下部の構造物が上部の構造物に対して水平方向Hに振動し、図5に示すように、積層体14が水平方向Hにおいて方向H1に剪断弾性変形し、これにより上部の構造物を下部の構造物の水平方向Hの振動に対して免震し、しかも、鉛プラグ15に塑性変形を生じさせて、鉛プラグ15の塑性変形で下部の構造物に対する上部の構造物の振動エネルギを吸収して、当該振動を減衰させる。積層体14が水平方向Hに関して剪断弾性変形すると、下部剛性層85は、下部剛性層84に対して水平方向H1に水平変位し、隣接中間部剛性層88は、下部剛性層85に対して水平方向H1に水平変位し、複数の中間部剛性層86の相互は、上部剛性層83に向かうに連れて段階的に水平方向H1に水平変位し、同様にして、上部剛性層83は、隣接中間部剛性層87に対して水平方向H1に水平変位し、そして、上部剛性層82は、上部剛性層83に対して水平方向H1に水平変位する。この水平変位において、下部剛性層84は、下部剛性層85の外周面11よりも中心81から径方向の外側に配されている外周面11を有しているので、言い換えると、下部剛性層84は、下部剛性層85の径よりも大きな径を有しているので、下部剛性層85を支え、そして、下部剛性層84及び85は、中間部剛性層86の外周面11よりも中心81から径方向の外側に配されている外周面11を有しているので、言い換えると、下部剛性層84及び85は、中間部剛性層86の径よりも大きな径を有しているので、中間部剛性層86、主に隣接中間部剛性層88を支える結果、積層体14の下板3に近接した圧縮側の部分(フィレット部)に応力集中を生じさせ難くして座屈の虞をなくし得る一方、装置を大型化させることなく当該装置が本来有する免震機能を発揮させることができる。上部剛性層82並びに上部剛性層82及び83もまた、上部剛性層83及び中間部剛性層86との関係おいて、斯かる水平変位で下部剛性層84及び85と同様に作用して、積層体14の上板2に近接した圧縮側の部分(フィレット部)に応力集中を生じさせ難くして座屈の虞をなくし得る一方、装置を大型化させることなく当該装置が本来有する免震機能を発揮させることができる。
そして、比Pr/P0が1.00未満の免震支持装置では、概略、図6に示すような履歴特性になり、比Pr/P0が1.00以上の免震支持装置1では、概略、図7に示すような履歴特性になることを確認したが、斯かる履歴特性から明らかであるように、比Pr/P0が1.00未満の免震支持装置では、矢印で示す凹みが生じて不安定な免震特性となる上に、トリガ機能を好ましく得ることができないことを推認できる一方、比Pr/P0が1.00以上の免震支持装置1では、凹みがなくなって安定な免震特性となる上に、トリガ機能を有し、大振幅の地震に対して好ましく対応し得ることを推認できる。なお、比Pr/P0が2.00以上であると、上記の安定な免震特性、トリガ機能の向上、大振幅の地震に対しての対応性が顕著に生じることを推認し得た。そして、比Pr/P0が5.90以下であれば、製造において中空部10への鉛の圧入が容易であり、それほど困難を伴わないことが判明した。また、比Pr/P0が5.90を超えるように、中空部10へ鉛を圧入しようとしたが、弾性層5の内周面15の損壊なしに、これを行うことは困難であることも判明した。
上記の例では、剛性層4は、外周面11を有した上部剛性層83と、上部剛性層83の外周面11よりも中心81から見て径方向の外側に位置した外周面11を有した上部剛性層82と、外周面11を有した下部剛性層85と、下部剛性層85の外周面11よりも中心81から見て径方向の外側に位置した外周面11を有した上部剛性層84とを具備しているが、斯かる剛性層4に代えて、例えば図8に示すように、外周面11を有した下部剛性層84と、下部剛性層84の外周面11と中心81から見て径方向の同一位置に位置した外周面11を有すると共に下部剛性層84に対して鉛直方向Vに並んで配された下部剛性層85とを具備していてもよく、同様に、外周面11を有した上部剛性層82と、上部剛性層82の外周面11と中心81から見て径方向の同一位置に位置した外周面11を有すると共に上部剛性層82に対して鉛直方向Vに並んで配された上部剛性層83とを具備していてもよい。
型内における加圧下での加硫接着による積層体14の形成において、被覆層13となるゴムシートを用いることなしに、弾性層5の外周縁の張り出しで円筒状の被覆層13が形成されるようにしてもよい。
1 免震支持装置
2 上板
3 下板
4 剛性層
5 弾性層
6 下面
7 上面
8、9 内周面
10 中空部
11 外周面
12 外周面
13 被覆層
14 積層体
15 鉛プラグ

Claims (9)

  1. 上板及び下板、上板及び下板間において交互に積層された剛性層及び弾性層並びに当該上板の下面及び下板の上面並びに剛性層及び弾性層の夫々の内周面で規定されている中空部を夫々有している積層体と、この積層体の中空部に配された振動減衰体とを具備していると共に上板に加わる剛性層及び弾性層の積層方向の荷重を積層体及び振動減衰体を介して下板で支持するようになっており、剛性層は、少なくとも一つの上部剛性層と、少なくとも一つの下部剛性層と、積層方向における少なくとも一つの上部剛性層及び少なくとも一つの下部剛性層間で積層方向に並んで配された複数の中間部剛性層とを具備しており、少なくとも一つの上部剛性層及び少なくとも一つの下部剛性層のうちの少なくとも一方は、複数の中間部剛性層の夫々の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有しており、支持する積層方向の荷重に基づく振動減衰体からの上板への面圧Prと積層体の当該荷重に対する受圧面での当該荷重に基づく面圧P0との比Pr/P0が1.00以上となるように、振動減衰体が中空部に配されてなる免震支持装置。
  2. 複数の中間部剛性層のうちで積層方向において少なくとも一つの上部剛性層及び少なくとも一つの下部剛性層のうちの少なくとも一方に隣接する隣接中間部剛性層は、複数の中間部剛性層のうちで積層方向において当該隣接中間部剛性層よりも中央側に位置する中央側中間部剛性層の外周面と積層方向に直交する方向において同一位置に又は当該中央側中間部剛性層の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有している請求項1に記載の免震支持装置。
  3. 剛性層は、少なくとも一つの上部剛性層に対して積層方向において並んで配されていると共に当該少なくとも一つの上部剛性層の外周面と積層方向に直交する方向において同一位置に位置した外周面を有する少なくとも一つの他の上部剛性層を更に具備している請求項1又は2に記載の免震支持装置。
  4. 剛性層は、少なくとも一つの上部剛性層を含んで互いに対して積層方向に並んで配されている複数の上部剛性層を具備しており、複数の上部剛性層のうちで積層方向において上板に最も近接して配置された最上部剛性層は、当該最上部剛性層を除く上部剛性層の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有している請求項1又は2に記載の免震支持装置。
  5. 剛性層は、少なくとも一つの下部剛性層に対して積層方向において並んで配されていると共に当該少なくとも一つの下部剛性層の外周面と積層方向に直交する方向において同一位置に位置した外周面を有する少なくとも一つの他の下部剛性層を更に具備している請求項1から4のいずれか一項に記載の免震支持装置。
  6. 剛性層は、少なくとも一つの下部剛性層を含んで互いに対して積層方向に並んで配されている複数の下部剛性層を具備しており、複数の下部剛性層のうちで積層方向において下板に最も近接して配置された最下部剛性層は、当該最下部剛性層を除く下部剛性層の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有している請求項1から4のいずれか一項に記載の免震支持装置。
  7. 積層体は、剛性層の外周面に接着されていると共に弾性層の外周面と一体となった筒状の被覆層を更に具備しており、被覆層のうちの上部剛性層及び下部剛性層のうちの少なくとも一方を覆っている被覆部は、当該被覆層のうちの中間部剛性層を覆っている被覆部の外周面よりも積層方向に直交する方向において外側に位置した外周面を有している請求項1から6のいずれか一項に記載の免震支持装置。
  8. 振動減衰体は、中空部に剛性層及び弾性層並びに上板及び下板に対して隙間なしに配されている請求項1から7のいずれか一項に記載の免震支持装置。
  9. 下板に対しての上板の積層方向に直交する方向の振動を振動減衰体の塑性変形で減衰させる一方、下板の積層方向に直交する方向の振動の上板への伝達を積層体の剪断弾性変形で抑制するようになっている請求項1から8のいずれか一項に記載の免震支持装置。
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