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JP2019199056A - 液体噴射装置及びその駆動方法 - Google Patents

液体噴射装置及びその駆動方法 Download PDF

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JP2019199056A
JP2019199056A JP2018095956A JP2018095956A JP2019199056A JP 2019199056 A JP2019199056 A JP 2019199056A JP 2018095956 A JP2018095956 A JP 2018095956A JP 2018095956 A JP2018095956 A JP 2018095956A JP 2019199056 A JP2019199056 A JP 2019199056A
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俊幸 山縣
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俊幸 山縣
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Abstract

【課題】圧電体層のヒステリシス曲線のシフトを低減して、液体の吐出特性の変化を抑制すると共に、液体の無駄な吐出を抑制した液体噴射装置を提供する。【解決手段】圧電体層と圧電体層を挟む2つの電極とを有する圧電アクチュエーターと、圧電アクチュエーターを駆動する駆動信号を出力する制御部と、を具備する液体噴射装置であって、制御部は、駆動信号として、液体噴射装置の駆動時に圧電アクチュエーターに供給する第1の駆動信号と、液体噴射装置の待機時に圧電アクチュエーターに供給する第2の駆動信号と、を出力し、第1の駆動信号によって、圧電アクチュエーターに駆動電圧を印加し、第2の駆動信号によって、圧電アクチュエーターに駆動電圧とは逆方向の電位である一定電圧を印加し、一定電圧を印加する時間TLは、第1の駆動信号の吐出周期よりも長く、一定電圧により印加される電界強度の絶対値は、圧電体層の抗電界の絶対値よりも大きい。【選択図】図7

Description

本発明は、圧電素子の駆動によりノズルから液体を噴射する液体噴射装置及びその駆動方法に関する。
液体噴射装置に用いられる圧電素子は、電気機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した誘電材料からなる圧電体層を2つの電極で挟んで構成されたものがある。
液体噴射装置の代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズルと連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室内のインクに圧力変動を生じさせてノズルからインク滴を吐出させるインクジェット式記録装置がある。
このようなインクジェット式記録装置に用いられる圧電素子は、繰り返し駆動することにより圧電体層の分極方向が電界印加方向に沿うように一部固定される、いわゆる疲労減少が発生し、圧電体層の分極−電界におけるヒステリシス特性を示すヒステリシス曲線が電界の負方向にシフトし、圧電体層の変位量が低下してしまうという問題がある。
このため、圧電素子に印刷時に印加する駆動電位とは逆電位を印加することにより、圧電体層の疲労減少を低減し、ヒステリシス曲線のシフトを抑制した液体噴射装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2等参照)。
特開2009−071113号公報 特開2016−144289号公報
しかしながら、特許文献1では、圧電素子に圧電体層の抗電界を下回る逆電圧を印加しているため、ヒステリシス曲線のシフトを抑制することができないという問題がある。
また、特許文献2では、逆電圧の印加中に誤吐出が発生する虞があり、インクの無駄な消費が増大してしまうという問題がある。
そして、ヒステリシス曲線のシフトが発生した場合、インク滴が同じ重量で吐出されるように駆動電圧を大きく変化させなくてはならず、制御が複雑になってしまうという問題がある。
なお、このような問題はインクジェット式記録装置に限定されず、インク以外の液体を噴射する液体噴射装置においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、圧電体層のヒステリシス曲線のシフトを低減して、液体の吐出特性の変化を抑制すると共に、液体の無駄な吐出を抑制した液体噴射装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室内に液体に圧力変化を生じさせる圧電アクチュエーターであって、圧電体層と当該圧電体層を挟む2つの電極とを有する圧電アクチュエーターと、前記圧電アクチュエーターを駆動する駆動信号を出力する制御部と、を具備する液体噴射装置であって、前記制御部は、前記駆動信号として、前記液体噴射装置の駆動時に前記圧電アクチュエーターに供給する第1の駆動信号と、前記液体噴射装置の待機時に前記圧電アクチュエーターに供給する第2の駆動信号と、を出力し、前記第1の駆動信号によって、前記圧電アクチュエーターに駆動電圧を印加し、前記第2の駆動信号によって、前記圧電アクチュエーターに前記駆動電圧とは逆方向の電位である一定電圧を前記圧電アクチュエーターに印加し、前記一定電圧を印加する時間は、前記第1の駆動信号の吐出周期よりも長く、前記一定電圧により印加される電界強度の絶対値は、前記圧電体層の抗電界の絶対値よりも大きいことを特徴とする液体噴射装置にある。
また、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室内に液体に圧力変化を生じさせる圧電アクチュエーターであって、圧電体層と当該圧電体層を挟む2つの電極とを有する圧電アクチュエーターと、を具備する液体噴射装置の駆動方法であって、前記圧電アクチュエーターを駆動する駆動信号として、前記液体噴射装置の駆動時に前記圧電アクチュエーターに供給する第1の駆動信号と、前記液体噴射装置の待機時に前記圧電アクチュエーターに供給する第2の駆動信号と、を出力し、前記第1の駆動信号によって、前記圧電アクチュエーターに駆動電圧を印加し、前記第2の駆動信号によって、前記圧電アクチュエーターに前記駆動電圧とは逆方向の電位である一定電圧を印加し、前記一定電圧を印加する時間は、前記第1の駆動信号の吐出周期よりも長く、前記一定電圧により印加される電界強度の絶対値は、前記圧電体層の抗電界の絶対値よりも大きいことを特徴とする液体噴射装置の駆動方法にある。
本発明の実施形態1に係る記録装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録装置の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態1に係る第1の駆動信号を示す駆動波形である。 本発明の実施形態1に係るヒステリシス特性を示すグラフである。 本発明の実施形態1に係る第2の駆動信号を示す駆動波形である。 本発明の実施形態1に係る駆動方法を説明するフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係る第2の駆動信号を示す駆動波形である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置Iは、液体としてインクをインク滴として噴射するインクジェット式記録ヘッド1(以下、単に記録ヘッド1とも言う)を具備する。記録ヘッド1は、キャリッジ3に搭載され、キャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向に移動可能に設けられている。また、キャリッジ3には、液体供給手段を構成するインクカートリッジ2が着脱可能に設けられている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って往復移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、インクが着弾される紙などの被噴射媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラー8に限られずベルトやドラム等であってもよい。本実施形態では、記録シートSの搬送方向を第1の方向Xと称し、キャリッジ3のキャリッジ軸5に沿った移動方向を第2の方向Yと称する。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に交差する方向を本実施形態では、第3の方向Zと称する。なお、本実施形態では、各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
このようなインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1に対して記録シートSを第1の方向Xに搬送し、キャリッジ3を記録シートSに対して第2の方向Yに往復移動させながら、記録ヘッド1からインク滴を噴射させることで記録シートSの略全面に亘って印刷が実行される。
ここで、このようなインクジェット式記録装置に搭載される記録ヘッド1の一例について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図3は、第2の方向に沿った記録ヘッドの断面図である。また、本実施形態では、記録ヘッドの各方向について、インクジェット式記録装置Iに搭載された際の方向、すなわち、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zに基づいて説明する。もちろん、記録ヘッド1のインクジェット式記録装置I内の配置は以下に示すものに限定されるものではない。
図2及び図3に示すように、本実施形態の記録ヘッド1を構成する流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には振動板50が形成されている。振動板50は、二酸化シリコン層や酸化ジルコニウム層から選択される単一層又は積層であってもよい。
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12が第1の方向Xに沿って並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の第1の方向Xの外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板のマニホールド部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の第3の方向Zの一方面には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。本実施形態では、ノズル21は、第2の方向Yが同じ位置となるように、第1の方向Xに複数並設されており、第1の方向Xに並設されたノズル21によってノズル列が構成されている。なお、ノズル21の配置は特にこれに限定されず、例えば、第1の方向Xに並設されたノズル21において、1つ置きに第2の方向Yがずれた位置に配置した、所謂、千鳥配置としてもよい。もちろん、ノズル列は、第2の方向Yや第1の方向Xと第2の方向Yとの両方に交差する方向などに複数列形成されていてもよい。
このようなノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。また、ノズルプレート20のノズル21が開口する流路形成基板10とは反対側の面が、本実施形態の液体噴射面23となっている。
一方、このような流路形成基板10の第3の方向Zにおいてノズルプレート20とは反対側の面には、上述のように振動板50が形成され、この振動板50上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが、成膜及びリソグラフィー法によって積層されて圧電アクチュエーター300を構成している。本実施形態では、圧電アクチュエーター300が圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせる駆動素子となっている。ここで、圧電アクチュエーター300は、圧電素子ともいい、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を圧電アクチュエーター300の共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。なお、上述した例では、振動板50、第1電極60が、振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、振動板50を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
また、このような各圧電アクチュエーター300の第2電極80には、リード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電アクチュエーター300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、マニホールド100の少なくとも一部を構成するマニホールド部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このマニホールド部31は、本実施形態では、保護基板30を第3の方向Zに貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成している。
また、保護基板30の圧電アクチュエーター300に対向する領域には、圧電アクチュエーター300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電アクチュエーター保持部32が設けられている。圧電アクチュエーター保持部32は、圧電アクチュエーター300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を第3の方向Zに貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電アクチュエーター300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30の流路形成基板10とは反対側の面には、圧電アクチュエーター300を駆動するための駆動回路120が設けられている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤー等の導電性ワイヤーからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30の駆動回路120が設けられた面には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってマニホールド部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態の記録ヘッド1では、図1に示すインクカートリッジ2からインクを取り込み、マニホールド100からノズル21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの駆動信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、振動板50及び圧電アクチュエーター300をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル21からインク滴が吐出する。
また、図1及び図4に示すように、インクジェット式記録装置Iは、制御装置200を具備する。ここで、本実施形態の電気的構成について図4を参照して説明する。なお、図4は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録装置の電気的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、インクジェット式記録装置Iは、プリンターコントローラー210と、プリントエンジン220と、を備えている。
プリンターコントローラー210は、インクジェット式記録装置Iの全体の制御をする要素であり、本実施形態では、インクジェット式記録装置Iに設けられた制御装置200内に設けられている。
プリンターコントローラー210は、外部インターフェース211(以下、外部I/F211と言う)と、各種データを一時的に記憶するRAM212と、制御プログラム等を記憶したROM213と、CPU等を含んで構成した制御処理部214と、クロック信号を発生する発振回路215と、記録ヘッド1へ供給するための駆動信号を発生する駆動信号生成回路216と、バイアス電圧を生成する電源生成回路217と、駆動信号や印刷データに基づいて展開されたドットパターンデータ(別名ビットマップデータとも言う)等をプリントエンジン220に送信する内部インターフェース218(以下、内部I/F218と言う)とを備えている。
外部I/F211は、例えば、キャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成される印刷データを、ホストコンピューター等の外部装置230から受信する。また、この外部I/F211を通じてビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、外部装置230に対して出力される。
RAM212は、受信バッファー212A、中間バッファー212B、出力バッファー212C及び図示しないワークメモリーとして機能する。そして、受信バッファー212Aは外部I/F211によって受信された印刷データを一時的に記憶し、中間バッファー212Bは制御処理部214が変換した中間コードデータを記憶し、出力バッファー212Cはドットパターンデータを記憶する。なお、このドットパターンデータは、階調データをデコード(翻訳)することにより得られる印字データによって構成してある。
また、ROM213には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ、グラフィック関数等を記憶させてある。
制御処理部214は、受信バッファー212A内の印刷データを読み出すと共に、この印刷データを変換して得た中間コードデータを中間バッファー212Bに記憶させる。また、中間バッファー212Bから読み出した中間コードデータを解析し、ROM213に記憶させているフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して、中間コードデータをドットパターンデータに展開する。そして、制御処理部214は、必要な装飾処理を施した後に、この展開したドットパターンデータを出力バッファー212Cに記憶させる。
そして、記録ヘッド1に1行分のドットパターンデータが得られたならば、この1行分のドットパターンデータは、内部I/F218を通じて記録ヘッド1に出力される。また、出力バッファー212Cから1行分のドットパターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデータは中間バッファー212Bから消去され、次の中間コードデータについての展開処理が行われる。
駆動信号生成回路216は、外部から供給された電源に基づいて詳しくは後述する第1の共通駆動信号COM1及び第2の共通駆動信号COM2を生成する。
また、電源生成回路217は、外部から供給された電源に基づいて圧電アクチュエーター300の共通電極である第1電極60に供給する詳しくは後述するバイアス電圧vbsや第2のバイアス電圧vbs2を生成する。
プリントエンジン220は、記録ヘッド1と、紙送り機構221と、キャリッジ機構222とを含んで構成してある。紙送り機構221は、搬送ローラー8とこの搬送ローラー8を駆動する図示しないモーター等から構成してあり、記録シートSを記録ヘッド1の記録動作に連動させて順次送り出す。即ち、この紙送り機構221は、記録シートSを第1の方向Xに相対移動させる。キャリッジ機構222は、キャリッジ3と、キャリッジ3をキャリッジ軸5に沿って第2の方向Yに移動させる駆動モーター6やタイミングベルト7とを具備する。
記録ヘッド1は、シフトレジスター122、ラッチ回路123、レベルシフター124、スイッチ125を有する駆動回路120と、圧電アクチュエーター300と、を備えている。シフトレジスター122、ラッチ回路123、レベルシフター124、スイッチ125及び圧電アクチュエーター300は、特に図示していないが、それぞれ、記録ヘッド1のノズル21毎に設けられたシフトレジスター素子、ラッチ素子、レベルシフター素子、スイッチ素子、圧電アクチュエーター300から構成してあり、シフトレジスター122、ラッチ回路123、レベルシフター124、スイッチ125及び圧電アクチュエーター300の順で電気的に接続してある。これらのシフトレジスター122、ラッチ回路123、レベルシフター124及びスイッチ125は、駆動信号生成回路216が発生した共通駆動信号から印加パルスを生成する。ここで、印加パルスとは実際に圧電アクチュエーター300に印加されるものである。
なお、本実施形態では、プリンターコントローラー210と駆動回路120とが特許請求の範囲の制御部に相当する。
ここで、駆動信号生成回路216が発生した共通駆動信号を示す駆動波形について説明する。なお、図5は、バイアス電圧、第1の共通駆動信号及び第1の駆動信号を示す駆動波形である。
図5に示すように、本実施形態の第1の共通駆動信号COM1は、発振回路215から発信されるクロック信号により規定される単位周期T毎に駆動信号生成回路216から繰り返し生成される。単位周期Tは、吐出周期T又は記録周期Tとも言い、記録シートSに印刷する画像等の1画素分に対応する。本実施形態では、第1の共通駆動信号COM1は、ノズル21からインク滴が吐出されるように圧電アクチュエーター300を駆動する吐出パルスDPを1記録周期T内に有する信号であり、記録周期T毎に繰り返し発生される。
そして、印刷中において記録シートSの記録領域に1行分(1ラスター分)のドットパターンを形成するとき、各ノズル21に対応する圧電アクチュエーター300には、第1の共通駆動信号COM1の吐出パルスDPが選択的に印加される。すなわち、各ノズル21に対応する圧電アクチュエーター300毎にヘッド制御信号及び第1の共通駆動信号COM1から印加パルスを生成し、印加パルスを圧電アクチュエーター300に印加する。このような印加パルスは、圧電アクチュエーター300の活性部毎の個別電極である第2電極80に供給される。また、圧電アクチュエーター300の複数の活性部の共通電極である第1電極60には、バイアス電圧(vbs)が供給される。このため、印加パルスによって圧電アクチュエーター300の個別電極である第2電極80に印加される電圧は、第1電極60に印加されるバイアス電圧(vbs)を基準電位として表される。
図5に示す例では、第1電極60には、バイアス電圧vbsが供給されることで、第1電極60は32.5Vの電位に維持される。
第2電極80には、所定の中間電位と、約30.0Vの最小電位と、約65.0Vの最大電位とを有する駆動波形で示される吐出パルスDPが供給される。
そして、第1電極60の電位を基準とした第2電極80の電位差、すなわち、第2電極80の電位−第1電極60の電位が圧電体層70の駆動電圧Vとなる。このような駆動電圧Vの時間に伴うプロファイルが、圧電アクチュエーター300に供給される第1の駆動信号250となる。
ここで、第1の駆動信号250は、中間電位Vmから第1電位V(ここでは−2.5V)まで印加して圧力発生室12の容積を基準容積から膨張させる第1膨張要素P1と、第1膨張要素P1によって膨張した圧力発生室12の容積を一定時間維持する第1膨張維持要素P2と、第1電位Vから第2電位V(ここでは32.5V)を印加して圧力発生室12の容積を収縮させる第1収縮要素P3と、第1収縮要素P3によって収縮した圧力発生室12の容積を一定時間維持する第1収縮維持要素P4と、第2電位Vの収縮状態から中間電位Vmの基準容積まで圧力発生室12を復帰させる第1復帰要素P5と、を具備する。すなわち、第1の駆動信号における圧電アクチュエーター300の駆動電圧Vは、最小電圧が第1電位Vの−2.5V、最大電圧が第2電位Vの32.5Vである。
このような第1の駆動信号250が圧電アクチュエーター300に供給されると、第1膨張要素P1によって圧電アクチュエーター300が圧力発生室12の容積を膨張させる方向に変形して、ノズル21内のメニスカスが圧力発生室12側に引き込まれると共に、圧力発生室12にはマニホールド100側からインクが供給される。そして、圧力発生室12の膨張状態は、第1膨張維持要素P2で維持される。その後、第1収縮要素P3が供給されて圧力発生室12は膨張容積から第2電位Vに対応する収縮容積まで急激に収縮され、圧力発生室12内のインクが加圧されてノズル21からインク滴が吐出される。圧力発生室12の収縮状態は、第1収縮維持要素P4で維持され、この間にインク滴の吐出によって減少した圧力発生室12内のインク圧力は、その固有振動によって再び上昇する。この上昇タイミングに合わせて第1復帰要素P5が供給されて、圧力発生室12が基準容積まで復帰し、圧力発生室12内の圧力変動が吸収される。
このような第1の駆動信号250は、ドットパターンデータを構成する印字データ(SI)に基づいて、吐出周期T毎にインク滴を吐出するノズル21に対応する圧電アクチュエーター300に選択的に供給されてインク滴が吐出される。また、印刷中において、インク滴を吐出しないノズル21に対応する圧電アクチュエーター300には、第1の駆動信号250の供給は遮断されるものの、圧電アクチュエーター300は、直前の電位を保持するので、直前の変位状態、すなわち、中間電位Vmが維持される。すなわち、第1の駆動信号250が供給されるインクジェット式記録装置Iの駆動時とは、印刷時のことである。
ここで、圧電体層70は、誘電材料からなり、分極(P)−電界(E)におけるヒステリシス特性を有することが知られている。すなわち、圧電体層70に印加する電界を変化させると、図6に示すように、抗電界Ecを境として分極の正負が反転するヒステリシス特性を有する曲線、すなわち、ヒステリシス曲線260が描かれる。
このため、圧電アクチュエーター300には、分極の正負が反転しないように電圧を印加するのが好ましい。したがって、圧電体層70の圧電特性を最大限に生かすように、圧電アクチュエーター300に印加される第1の駆動信号250の最小電圧は、抗電界Ecとなる電圧よりもわずかに高い電圧を最小電圧とし、飽和分極電圧よりもわずかに低い電圧を最大電圧として設定するのが好ましい。
このように第1の駆動信号250によって抗電界Ecを越えた電界が圧電体層70に繰り返し印加されると、圧電体層70の分極方向が電界印加方向に沿うように一部固定される、いわゆる疲労現象が発生し、圧電体層70の分極−電界におけるヒステリシス特性を示すヒステリシス曲線260が電界の負方向にシフトしたヒステリシス曲線261に変化し、同じ第1の駆動信号で圧電体層70に電界を印加しても圧電アクチュエーター300の変位量が低下してしまう。すなわち、初期状態の圧電アクチュエーター300を第1の駆動信号250で駆動すると、例えば、第1収縮要素P3では、圧電アクチュエーター300に印加される駆動電圧を第1電位Vから第2電位Vに変化させることで、第1電位Vの分極と第2電位Vの分極との差である分極量ΔPで示される変位が圧電アクチュエーター300で行われる。そして、繰り返し駆動した圧電アクチュエーター300を同じ第1の駆動信号250で駆動すると、例えば、第1収縮要素P3では、負の電界方向にシフトしたヒステリシス曲線261となっていることから、分極量ΔPよりも小さな分極量ΔP′で示される変位が行われるに過ぎない。
このため、制御処理部214は、インクジェット式記録装置Iが待機状態になった際に、第1電極60と第2電極80との間に、第1の駆動信号250の駆動電圧Vとは逆方向の電位である一定電圧を圧電アクチュエーター300に印加する。これにより、第1の駆動信号250で繰り返し駆動することによって負の電界方向にシフトしたヒステリシス曲線261を、元のヒステリシス曲線260に近づくように圧電アクチュエーター300を駆動して、同じ第1の駆動信号250で駆動しても圧電アクチュエーター300の変位低下を抑制することができる。
このような圧電アクチュエーター300に印加する一定電圧は、駆動信号生成回路216が詳しくは後述する第2の駆動信号を圧電アクチュエーター300に供給することで実施することができる。
ここで、逆方向の電位を圧電アクチュエーター300に印加するとは、第1の駆動信号250によって第2電極80から第1電極60に向かう電位方向の駆動電圧Vが印加される場合、第1の駆動信号250による駆動電圧Vとは逆方向、すなわち、第1電極60から第2電極80に向かう電位方向の電圧が印加されることを言う。本実施形態では、第2電極80から第1電極60に向かう電位方向を正とし、第1電極60から第2電極80に向かう電位方向を負と称する。
また、圧電アクチュエーター300に印加する一定電圧とは、第1の駆動信号250の吐出周期Tよりも長い時間TLで、変化のない一定の電圧が圧電アクチュエーター300に印加することを言う。例えば、吐出周期Tよりも長い時間であっても、電圧が一定ではないもの、すなわち、電圧が変化するものは含まない。また、一定の電圧であっても、吐出周期Tよりも短い時間のものは含まない。
さらに、圧電アクチュエーター300に印加する一定電圧によって圧電体層70に印加される電界強度の絶対値は、圧電体層70の抗電界Ecの絶対値よりも大きい。このように一定電圧によって圧電体層70に印加される電界強度の絶対値を抗電界よりも大きくすることで、圧電アクチュエーター300を第1の駆動信号250によって繰り返し駆動することで生じた分極の固定による疲労現象を効果的に回復することができる。
このような一定電圧は、図7に示す第2の駆動信号251によって圧電アクチュエーター300に印加される。ここで、第2の駆動信号251は、本実施形態では、駆動信号生成回路216によって生成されて個別電極である第2電極80に供給される第2の共通駆動信号COM2と、共通電極である第1電極60に供給されるバイアス電圧とによって生成される。
図7に示す例では、第1電極60には、第1の駆動信号250を生成するためのバイアス電圧vbsよりも高いバイアス電圧(以下、第2のバイアス電圧vbs2と称する)が供給される。本実施形態では、第1電極60は、第2のバイアス電圧vbs2によって65.0Vの電位が維持される。
第2電極80には、約30.0Vの最小電位と、約65.0Vの最大電位とを有する駆動波形で示される第2の共通駆動信号COM2が供給される。すなわち、第2の共通駆動信号COM2の最小電位と最大電位は、第1の共通駆動信号COM1の最小電位と最大電位と同じである。
そして、第1電極60の電位を基準とした第2電極80の電位差、すなわち、第2電極80の電位−第1電極60の電位が圧電体層70の駆動電圧となる。この駆動電圧の時間に伴うプロファイルが、圧電アクチュエーター300の第2の駆動信号251となる。
第2の駆動信号251は、第1電極60に供給される電位が、第2電極80に供給される電位よりも高いことから、圧電体層70には第1電極60から第2電極80に向かう電圧による電界を印加することができる。すなわち、第2の共通駆動信号COM2の最小電位及び最大電位を、第1の共通駆動信号COM1の最小電位及び最大電位と同じにして、バイアス電圧vbsを第2のバイアス電圧vbs2に変化させることで、第1の駆動信号250によって印加される駆動電圧Vとは逆方向の電位の一定電圧を圧電アクチュエーター300に印加することができる。
具体的には、第2の駆動信号251は、図7に示すように、0Vから第3電位V(−35V)まで印加して圧力発生室12の容積を0Vの容積から収縮させる第2収縮要素P11と、第3電位Vを一定時間維持する第2収縮維持要素P12と、第3電位Vの膨張状態から0Vの容積まで復帰させる第2復帰要素P13と、を具備する。本実施形態では、第2収縮維持要素P12によって、圧電アクチュエーター300には一定電圧が印加される。すなわち、本実施形態の圧電アクチュエーター300に印加する一定電圧は、第2収縮維持要素P12の第3電位Vと、第2収縮維持要素P12の時間TLとによって規定される。
すなわち、圧電アクチュエーター300には、第1の駆動信号250によって最大+32.5Vの電圧、すなわち、第2電極80から第1電極60に向かう32.5Vの電圧が印加されるのに対し、第2の駆動信号251によって最大−35.0Vの一定電圧、すなわち、第1電極60から第2電極80に向かう35.0Vの一定電圧が印加される。
ここで、第1の駆動信号250によって圧電アクチュエーター300の分極の固定による疲労現象の発生は、分極の大きさと時間との積によって決まる。すなわち、図5に示す第1の駆動信号250の図中斜線で示す積分値で決定される。このような第1の駆動信号250を繰り返し駆動することによって発生する疲労現象を一定電圧によって回復させるためには、図7に示す第2の駆動信号251の図中斜線で示す積分値が第1の駆動信号250の積分値と同じ値となるように、第2の駆動信号251の一定電圧の電圧値と時間TLとを設定すればよい。
つまり、印刷時に第1の駆動信号250によって圧電アクチュエーター300に駆動電圧Vを印加した際の圧電体層70の分極(P)と時間との積と、第2の駆動信号251によって圧電アクチュエーター300に一定電圧を印加した際の圧電体層70の分極(P)と時間との積との和が0(ゼロ)となるように第2の駆動信号251を決定すればよい。
なお、一定電圧の電圧値を抗電界Ecの絶対値よりも大きな電界強度の絶対値で、且つ圧電体層70の耐電圧よりも低い電圧となるように予め設定したら、制御処理部214は、第1の駆動信号250による圧電アクチュエーター300の駆動によって圧電アクチュエーター300に印加される駆動電圧Vを印加した時間に基づいて、圧電体層70の疲労現象が解消するように、すなわち、第1の駆動信号250によって圧電アクチュエーター300に駆動電圧Vを印加した際の圧電体層70の分極(P)と時間との積と、圧電アクチュエーター300に一定電圧を印加した際の圧電体層70の分極(P)と時間との積との和が0(ゼロ)となるよう一定電圧の時間TLを制御すればよい。
ちなみに、第1の駆動信号250は、印刷中にインク滴を吐出するノズル21に対応する圧電アクチュエーター300のみに供給されるため、印刷中にインク滴を吐出しないノズル21に対応する圧電アクチュエーター300には、第1の駆動信号250は供給されない。しかしながら、上述したようにインク滴を吐出しないノズル21に対応する圧電アクチュエーター300には中間電位Vmが印加される。また、図5に示すように、第1の駆動信号250によって、32.5Vの最大電位と−2.5Vの最小電位とが印加されるため、印刷中には、各圧電アクチュエーター300には、平均して中間電位Vmが印加されるとみなすこともできる。すなわち、第2の駆動信号251の斜線で示す積分値の代わりに、中間電位Vmと印刷時間との積を用いて、制御処理部214は、第2の駆動信号251の積分値が、第1の駆動信号250の中間電位Vmと印刷時間との積と同じ値となるように、圧電アクチュエーター300に一定電圧を印加するようにしてもよい。これにより、インク滴を吐出したノズル21のみに供給される第1の駆動信号250の積分値を積算する必要がなく、制御を簡略化することができる。
さらに、圧電アクチュエーター300に電圧を印加しない場合であっても、圧電体層70は、図6のヒステリシス曲線260が示すように、残留分極によって分極が一部固定する疲労現象が発生する。すなわち、印刷待機時には、第1電極60にバイアス電圧vbsが供給され、第2電極80には、バイアス電圧vbsと同じ電位が供給され、第1電極60と第2電極80とが同電位となることから、圧電アクチュエーター300の圧電体層70には電界が印加されない。また、インクジェット式記録装置Iの電源切断時にも、第1電極60及び第2電極80には電位が供給されないことから、圧電体層70には電界が印加されない。このため、制御処理部214は、上述した印刷時の第1の駆動信号250の積分値、又は、中間電位Vmと印刷時間との積に加えて、さらに印刷待機時やインクジェット式記録装置Iの電源切断時などの圧電体層70に電界が印加されない時間を計測し、この圧電体層70に電界が印加されていない時間と残留分極との積に基づいて第2の駆動信号251の一定電圧の電圧値と時間とを決定するのが好ましい。すなわち、印刷時の第1の駆動信号250による圧電体層70の分極と時間との積、又は、中間電位Vmによる圧電体層70の分極と印刷時間との積と、圧電体層70に電界が印加されていない時間と残留分極との積と、第2の駆動信号251の一定電圧による圧電体層70の分極と時間との積とが0(ゼロ)に近づくように、一定電圧の電圧値及び時間を決定すればよい。これにより、圧電体層70に電界を印加しないことによる疲労現象も低減することができ、圧電アクチュエーター300の時間経過に伴う変位低下を抑制することができる。
なお、一定電圧の電圧値を抗電界Ecの絶対値よりも大きな電界強度の絶対値で、且つ圧電体層70の耐電圧よりも低い電圧となるように予め設定したら、制御処理部214は、第1の駆動信号250による圧電アクチュエーター300の駆動によって圧電アクチュエーター300に印加される駆動電圧Vを印加した時間と、圧電アクチュエーター300に電圧を印加していない時間とに基づいて、圧電体層70の疲労現象が解消するように、すなわち、第1の駆動信号250によって圧電アクチュエーター300に駆動電圧Vを印加した際の圧電体層70の分極(P)と時間との積と、圧電アクチュエーター300に電圧を印加しない場合の圧電体層70の残留分極と時間との積と、圧電アクチュエーター300に一定電圧を印加した際の圧電体層70の分極(P)と時間との積との和が0(ゼロ)となるよう一定電圧の時間TLを制御すればよい。
なお、第2の駆動信号251によって一定電圧を印加する時間TLは、上述のように第1の駆動信号250の吐出周期Tよりも長い時間である。このように一定電圧を吐出周期Tよりも長い時間TLで圧電アクチュエーター300に印加することで、圧電アクチュエーター300がノズル21からインク滴が吐出される程度に圧力発生室12内のインクを急峻に加減圧するのを抑制して、ノズル21からインク滴が吐出されるのを抑制することができる。
また、一定電圧により圧電体層70に印加される電界強度の絶対値は、圧電体層70の抗電界の絶対値よりも大きい。このように一定電圧によって圧電体層70に印加される電界強度の絶対値を抗電界よりも大きくすることで、圧電アクチュエーター300を第1の駆動信号250によって繰り返し駆動することで生じた分極の固定による疲労現象を効果的に回復することができる。すなわち、抗電界よりも小さい電界強度となる一定電圧を圧電アクチュエーター300に印加しても、分極の回転伸縮が十分に行われず、第1の駆動信号250によって分極方向が一部固定される疲労現象を十分に回復することができない。
また、圧電アクチュエーター300に印加する一定電圧を高くすれば、それだけ圧電体層70の分極強度が大きくなるため、一定電圧を印加する時間を短くすることができる。すなわち、第2の駆動信号の積分値が、印刷時に印加した第1の駆動信号の積分値と同じ値になれば良いため、一定電圧が低ければ長い時間TLを印加し、一定電圧が高ければ短い時間TLを印加すればよい。ただし、一定電圧は、高すぎると圧電体層70が破壊されてしまうため、一定電圧は、圧電体層70の耐電圧よりも低い電圧であるのが好ましい。これにより、第2の駆動信号によって圧電アクチュエーター300に一定電圧を印加することによる圧電体層70の破壊を抑制することができる。
さらに、第2の駆動信号251の第2復帰要素P13の傾斜角度、すなわち、第2の駆動信号251を表す駆動波形において単位時間当たりの電圧の変化量を表す傾斜角度は、第1の駆動信号250を示す駆動波形の最大の傾斜角度、本実施形態では、第1収縮要素P3の傾斜角度よりも小さいことが好ましい。すなわち、第2の駆動信号251における圧電アクチュエーター300に印加する単位時間当たりの電圧の変化率は、第1の駆動信号250における圧電アクチュエーター300に印加する単位時間当たりの電圧の最大変化率よりも低いことが好ましい。このように、第2の駆動信号251における圧電アクチュエーター300に印加する単位時間当たりの電圧の変化率を、第1の駆動信号250における圧電アクチュエーター300に印加する単位時間当たりの電圧の最大変化率よりも低くすることで、第2の駆動信号251を圧電アクチュエーター300に供給して圧力発生室12内を加圧した際にノズル21からインク滴が吐出されないように圧電アクチュエーター300を徐々に変形させることができる。したがって、第2の駆動信号を圧電アクチュエーター300に供給することによるインク滴の吐出を確実に抑制することができる。
なお、このような圧電アクチュエーター300への第2の駆動信号251の供給による一定電圧の印加は、例えば、インクジェット式記録装置Iの待機時に行われる。ここで、インクジェット式記録装置Iの待機時とは、インクジェット式記録装置Iの電源が投入されており、印刷を待機している印刷待機中や、節電モード中などが挙げられる。また、インクジェット式記録装置Iの電源が切断されるタイミングで、圧電アクチュエーター300への第2の駆動信号251の供給を行うようにしてもよい。すなわち、ユーザーの操作によって電源切断の指令が送信されたら、インクジェット式記録装置Iの電源を切断する前に、第2の駆動信号251を供給して圧電アクチュエーター300に一定電圧を印加するようにすればよい。このようにインクジェット式記録装置Iの電源を切断する前に第2の駆動信号251を圧電アクチュエーター300に供給することで、印刷待機中に第2の駆動信号251を供給する場合に比べて、次の印刷が始まるまでにタイムラグが発生するのを抑制することができる。もちろん、印刷待機中に第2の駆動信号251を供給している最中に、次の印刷指令が送信されたら、第2の駆動信号251の供給を中断すれば、次の印刷が始まるまでにタイムラグが発生するのを抑制することができる。
さらに、第2の駆動信号251の圧電アクチュエーター300への供給は、例えば、第1の駆動信号250による分極と時間との積、又は中間電位Vmによる分極と印刷時間との積が、予め設定した閾値を超えた場合に実施するようにしてもよい。また、印刷時間に対する分極と時間との積との関係を予め把握してあれば、印刷時間をカウントし、印刷時間の積算値が閾値を超えた場合に、第2の駆動信号251を圧電アクチュエーター300に供給するようにしてもよい。
ここで、このようなインクジェット式記録装置の駆動方法について図8を参照して説明する。なお、図8は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の駆動方法の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、ステップS1で、制御処理部214は、印刷、すなわち、第1の駆動信号250によって駆動電圧Vが印加された時間を測定する。
次いで、ステップS2で、制御処理部214は、第1の駆動信号250によって駆動電圧Vを印加した時間が閾値を超えたか判定する。ステップS2で、制御処理部214が、第1の駆動信号250による駆動電圧Vを印加した時間が閾値を超えたと判定した場合には(ステップS2;Yes)、ステップS3で印刷実行中か判定し、印刷実行中ではないと判定したら(ステップS3;No)、ステップS4で、制御処理部214は、圧電アクチュエーター300に第2の駆動信号251を供給して一定電圧を印加する。ステップS4で、圧電アクチュエーター300に第2の駆動信号251によって一定電圧を印加する時間は、ステップS1で測定した第1の駆動信号250による駆動電圧と駆動電圧を印加する時間との積に基づいて決定される。
なお、ステップS2で、制御処理部214が第1の駆動信号250によって駆動電圧Vを印加する時間が閾値を超えていないと判定した場合には(ステップS2;No)、制御処理部214が第1の駆動信号250によって駆動電圧Vを印加した時間が閾値を超えるまで測定を継続する。
また、ステップS2では、制御処理部214は、印刷時間を測定し、印刷時間が閾値を超えたか否かを判定するようにしてもよい。もちろん、ステップS2では、第1の駆動信号250を供給して駆動電圧で圧電アクチュエーター300を駆動した際の分極と時間との積を算出し、この算出結果が閾値を超えたか判定してもよい。
また、ステップS3で、印刷実行中か判定し、印刷実行中と判定したら(ステップS3;Yes)、印刷が終了するまで待機する。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置Iは、液体であるインクを噴射するノズル21と、ノズル21に連通する圧力発生室12と、圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせる圧電アクチュエーター300であって、圧電体層70と当該圧電体層70を挟む2つの電極である第1電極60及び第2電極80とを有する圧電アクチュエーター300と、圧電アクチュエーター300を駆動する駆動信号を出力する制御部と、を具備し、制御部は、駆動信号として、インクジェット式記録装置Iの駆動時に圧電アクチュエーター300に供給する第1の駆動信号250と、インクジェット式記録装置Iの待機時に圧電アクチュエーター300に供給する第2の駆動信号251と、を出力し、第1の駆動信号250によって、圧電アクチュエーター300に駆動電圧Vを印加し、第2の駆動信号251によって、圧電アクチュエーター300に駆動電圧Vとは逆方向の電位である一定電圧を印加し、一定電圧を印加する時間TLは、第1の駆動信号250の吐出周期Tよりも長く、一定電圧により印加される電界強度の絶対値は、圧電体層70の抗電界の絶対値よりも大きい。
このように、第1の駆動信号250を印加することによって圧電体層70の分極の一部が固定される疲労現象が生じても、インクジェット式記録装置Iの待機時に、圧電アクチュエーター300に第1の駆動信号250による駆動電圧Vとは逆方向の電位となる一定電圧を印加することにより、圧電体層70の疲労現象を抑制することができる。したがって、第1の駆動信号250で圧電アクチュエーター300を駆動した際の変位量の低下を長期間に亘って抑制することができ、安定したインク滴の吐出を行わせることができる。
また、一定電圧を第1の駆動信号250の吐出周期Tよりも長い時間TLだけ圧電アクチュエーター300に印加することで、圧電アクチュエーター300の急峻な変形による圧力発生室12内のインクの急峻な圧力変化を抑制することができ、第2の駆動信号251で圧電アクチュエーター300を駆動することによるノズル21からインク滴の吐出を抑制して、インクの無駄な消費を低減することができる。
さらに、一定電圧により圧電体層70に印加される電界強度の絶対値を、圧電体層70の抗電界の絶対値よりも大きくすることで、圧電アクチュエーター300を第1の駆動信号250によって繰り返し駆動することで生じた分極の固定による疲労現象を効果的に回復することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置Iでは、第2の駆動信号251を表す電位と時間との関係を示す駆動波形は、圧力発生室12の容積を収縮させる収縮要素である第2収縮要素P11を具備し、第2収縮要素P11は、傾斜していることが好ましい。これにより、圧力発生室12内のインクの急峻な圧力変化を抑制して、ノズル21からインク滴が吐出されるのを抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置Iでは、収縮要素である第2収縮要素P11は、第1の駆動信号250を表す駆動波形の最大傾斜である第1収縮要素P3の傾斜角度よりも小さい傾きであることが好ましい。これによれば、第2の駆動信号251によって圧電アクチュエーター300を駆動することにより、ノズル21からインク滴が吐出されるのをさらに低減することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置Iでは、制御部は、圧電アクチュエーター300の一方の電極である第2電極80に第1の共通駆動信号COM1を供給すると共に、他方の電極である第1電極60にバイアス電圧vbsを供給することによって第1の駆動信号250を形成し、制御部は、圧電アクチュエーター300の第1電極60に供給するバイアス電圧を変化させて第2のバイアス電圧vbs2とすることで、第1の駆動信号250の駆動電圧Vとは逆方向の電位の一定電圧を印加する第2の駆動信号251を形成することが好ましい。このようにバイアス電圧を変化させるだけで、逆方向の電位となる一定電圧を圧電アクチュエーター300に印加することができるため、制御を簡略化することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置Iでは、制御部は、第1の駆動信号250によって圧電アクチュエーター300に駆動電圧Vを印加した時間に基づいて、圧電アクチュエーター300に一定電圧を印加する時間TLを制御することが好ましい。これによれば、一定電圧を印加する時間TLを制御するだけで疲労現象を解消することができるので、制御を簡略化することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置Iでは、制御部は、第1の駆動信号250によって圧電アクチュエーター300に駆動電圧Vを印加した時間と、圧電アクチュエーター300に電圧を印加していない時間と、に基づいて一定電圧を印加する時間TLを制御することが好ましい。これによれば、圧電体層70の残留分極による疲労現象も解消することができると共に、一定電圧を印加する時間TLを制御するだけで疲労現象を解消することができるので、制御を簡略化することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した一実施形態では、第2の駆動信号251を圧電アクチュエーター300に印加するにあたって、第2のバイアス電圧vbs2を第2の駆動信号251よりも高い電圧とすることで、圧電アクチュエーター300に負となる電圧を印加するようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、図9に示すように、バイアス電圧vbsは、第1の駆動信号を生成する場合と同じ電圧(ここでは32.5V)とし、第2の共通駆動信号COM2の最大電位をバイアス電圧vbs以下とする。すなわち、本実施形態では、第2の共通駆動信号COM2の最大電位を約32.5Vとし、最小電位を約−2.5Vとする。このようなバイアス電圧vbsと第2の共通駆動信号COM2とが圧電アクチュエーター300の第1電極60及び第2電極80のそれぞれに供給されることで、圧電アクチュエーター300に第1の駆動信号250とは逆方向の電位となる一定電圧を印加する第2の駆動信号251を形成することができる。ちなみに、図9に示すバイアス電圧vbsと第2の共通駆動信号COM2とによって形成した第2の駆動信号251は、図7に示す第2のバイアス電圧vbs2と第2の共通駆動信号COM2とによって形成した第2の駆動信号251と同じ駆動波形となる。
もちろん、上述した図7に示す、バイアス電圧vbsよりも高い第2のバイアス電圧vbs2と、第1の共通駆動信号COM1よりも低く、第2のバイアス電圧vbs2よりも低い第2の共通駆動信号COM2とによって第2の駆動信号を形成して、圧電アクチュエーター300に第1の駆動信号による駆動電圧とは逆方向の電位となる一定電圧を印加するようにしてもよい。すなわち、第2の駆動信号251は、個別電極である第2電極80に印加する電位に比べて、共通電極である第1電極60に印加する電位を高くすることで、圧電アクチュエーター300に第1電極60から第2電極80に向かう、第1の駆動信号250の駆動電圧とは逆方向である負方向の電圧を印加することができる。
また、上述した一実施形形態では、圧電アクチュエーター300の第1電極60を複数の活性部に共通する共通電極として基準電位(vbs、vbs2)を供給し、第2電極80を活性部の各々に独立した個別電極として駆動信号を供給するようにしたが、特にこれに限定されず、第1電極60を個別電極として駆動信号を供給し、第2電極80を共通電極として基準電位を供給するようにしてもよい。
また、上述した一実施形態では、第1の駆動信号250を形成する第1の共通駆動信号COM1として、吐出周期Tに吐出パルスDPのみを有する構成を例示したが、特にこれに限定されず、吐出周期Tに吐出されるインク滴の量が異なる複数の吐出パルスを有するものであってもよい。また、吐出周期Tにインク滴を吐出しない微振動駆動を行わせる微振動駆動パルスがあってもよい。何れの場合であっても、第1の駆動信号250によって駆動電圧が印加されることによる圧電体層70の分極と時間との積が0(ゼロ)となるように定電圧を印加すればよい。
また、上述したインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向である第2の方向Yに移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向である第1の方向Xに移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記実施の形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。
I…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、1…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、2…インクカートリッジ、3…キャリッジ、4…装置本体、5…キャリッジ軸、6…駆動モーター、7…タイミングベルト、8…搬送ローラー、10…流路形成基板、12…圧力発生室、13…連通部、14…インク供給路、15…連通路、20…ノズルプレート、21…ノズル、23…液体噴射面、30…保護基板、31…マニホールド部、32…圧電アクチュエーター保持部、33…貫通孔、35…接着剤、40…コンプライアンス基板、41…封止膜、42…固定板、43…開口部、50…振動板、60…第1電極、70…圧電体層、80…第2電極、90…リード電極、100…マニホールド、120…駆動回路、121…接続配線、122…シフトレジスター、123…ラッチ回路、124…レベルシフター、125…スイッチ、200…制御装置、210…プリンターコントローラー、211…外部インターフェース(外部I/F)、212A…受信バッファー、212B…中間バッファー、212C…出力バッファー、214…制御処理部、215…発振回路、216…駆動信号生成回路、217…電源生成回路、218…内部インターフェース(内部I/F)、220…プリントエンジン、221…紙送り機構、222…キャリッジ機構、230…外部装置、250…第1の駆動信号、251…第2の駆動信号、260、261…ヒステリシス曲線、300…圧電アクチュエーター、COM1…第1の共通駆動信号、COM2…第2の共通駆動信号、DP…吐出パルス、Ec…抗電界、P1…第1膨張要素、P2…第1膨張維持要素、P3…第1収縮要素、P4…第1収縮維持要素、P5…第1復帰要素、P11…第2収縮要素、P12…第2収縮維持要素、P13…第2復帰要素、S…記録シート、T…単位周期(吐出周期、記録周期)、TL…時間、V…駆動電圧、Vm…中間電位、V…第1電位、V…第2電位、V…第3電位、vbs…バイアス電圧、vbs2…第2のバイアス電圧、X…第1の方向、Y…第2の方向、Z…第3の方向

Claims (7)

  1. 液体を噴射するノズルと、
    前記ノズルに連通する圧力発生室と、
    前記圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる圧電アクチュエーターであって、圧電体層と当該圧電体層を挟む2つの電極とを有する圧電アクチュエーターと、
    前記圧電アクチュエーターを駆動する駆動信号を出力する制御部と、
    を具備する液体噴射装置であって、
    前記制御部は、前記駆動信号として、前記液体噴射装置の駆動時に前記圧電アクチュエーターに供給する第1の駆動信号と、前記液体噴射装置の待機時に前記圧電アクチュエーターに供給する第2の駆動信号と、を出力し、
    前記第1の駆動信号によって、前記圧電アクチュエーターに駆動電圧を印加し、
    前記第2の駆動信号によって、前記圧電アクチュエーターに前記駆動電圧とは逆方向の電位である一定電圧を印加し、
    前記一定電圧を印加する時間は、前記第1の駆動信号の吐出周期よりも長く、
    前記一定電圧により印加される電界強度の絶対値は、前記圧電体層の抗電界の絶対値よりも大きいことを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記第2の駆動信号を表す電位と時間との関係を示す駆動波形は、前記圧力発生室の容積を収縮させる収縮要素を具備し、
    前記収縮要素は、傾斜していることを特徴とする請求項1記載の液体噴射装置。
  3. 前記収縮要素は、前記第1の駆動信号を表す駆動波形の最大傾斜よりも小さい傾きであることを特徴とする請求項2記載の液体噴射装置。
  4. 前記制御部は、前記圧電アクチュエーターの一方の前記電極に第1の共通駆動信号を供給すると共に、他方の前記電極にバイアス電圧を供給することによって前記第1の駆動信号を形成し、
    前記制御部は、前記圧電アクチュエーターの他方の前記電極に供給する前記バイアス電圧を変化させることで、前記第1の駆動信号の前記駆動電圧とは逆方向の電位の前記一定電圧を印加する前記第2の駆動信号を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  5. 前記制御部は、前記第1の駆動信号によって前記圧電アクチュエーターに前記駆動電圧を印加した時間に基づいて、前記圧電アクチュエーターに前記一定電圧を印加する時間を制御することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  6. 前記制御部は、前記第1の駆動信号によって前記圧電アクチュエーターに前記駆動電圧を印加した時間と、前記圧電アクチュエーターに電圧を印加していない時間と、に基づいて前記一定電圧を印加する時間を制御することを特徴とする請求項5記載の液体噴射装置。
  7. 液体を噴射するノズルと、
    前記ノズルに連通する圧力発生室と、
    前記圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる圧電アクチュエーターであって、圧電体層と当該圧電体層を挟む2つの電極とを有する圧電アクチュエーターと、
    を具備する液体噴射装置の駆動方法であって、
    前記圧電アクチュエーターを駆動する駆動信号として、前記液体噴射装置の駆動時に前記圧電アクチュエーターに供給する第1の駆動信号と、前記液体噴射装置の待機時に前記圧電アクチュエーターに供給する第2の駆動信号と、を出力し、
    前記第1の駆動信号によって、前記圧電アクチュエーターに駆動電圧を印加し、
    前記第2の駆動信号によって、前記圧電アクチュエーターに前記駆動電圧とは逆方向の電位である一定電圧を印加し、
    前記一定電圧を印加する時間は、前記第1の駆動信号の吐出周期よりも長く、
    前記一定電圧により印加される電界強度の絶対値は、前記圧電体層の抗電界の絶対値よりも大きいことを特徴とする液体噴射装置の駆動方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023112559A1 (ja) * 2021-12-15 2023-06-22 パナソニックIpマネジメント株式会社 インク吐出装置およびインク吐出制御方法

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