以下、実施形態による電力変換装置およびこれを用いた電動パワーステアリング装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態という場合、複数の実施形態を包括する。本実施形態の電力変換装置は、回転電機としてのモータ80とともに、車両のステアリング操作をアシストする電動パワーステアリング装置8に用いられる。まず、電動パワーステアリング装置8について説明する。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置8は、ステアリングシステム90に用いられる。ステアリングシステム90は、車両に搭載されており、ステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、トルクセンサ94、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98および電動パワーステアリング装置8を備える。
ステアリングホイール91は、操舵部材であり、ステアリングシャフト92に接続されている。ステアリングホイール91を運転者が操作することによって入力されるトルクを操舵トルクとする。ステアリングシャフト92は、ピニオンギア96が先端に設けられている。
トルクセンサ94は、操舵トルクを検出可能である。検出した操舵トルクは、モータ制御装置1の制御部60に出力される。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97は、ダイロッド等を介して一対の車輪98がラック軸97の両端に連結されている。
電動パワーステアリング装置8は、減速ギア89、回転電機としてのモータ80、回転角センサ84および電力変換装置としてのモータ制御装置1を備える。本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「コラムアシストタイプ」である。また、電動パワーステアリング装置8は、モータ80の回転をラック軸97に伝える所謂「ラックアシストタイプ」としてもよい。
減速ギア89は、モータ80の回転を減速してステアリングシャフト92に伝える。電源としてのバッテリ9から電力がモータ80に供給され、モータ80が駆動する。モータ80により、減速ギア89が正逆回転する。また、モータ80により、運転者によるステアリングホイール91の操舵を補助するトルクが出力される。
回転角センサ84は、例えば、レゾルバであり、モータ80の電気角θを検出可能である。検出された電気角θは、制御部60に出力される。また、回転角センサ84は、電気角θに基づいて、モータ80の回転角速度ωを演算可能である。
(第1実施形態)
図2に示すように、モータ80は、3相の交流モータであり、ブラシレスモータである。モータ80は、2組の巻線組81、82を有する。一方の巻線組を第1巻線組81とする。他方の巻線組を第2巻線組82とする。
第1巻線組81は、巻線としての第1U相コイル811、第1V相コイル812および第1W相コイル813を含む。第1コイル811−813は、一端が第1インバータ11と接続されており、他端が結線されている。
第2巻線組82は、巻線としての第2U相コイル821、第2V相コイル822および第2W相コイル823を含む。第2コイル821−823は、一端が第2インバータ12と接続されており、他端が結線されている。第1コイル811−813または第2コイル821−823に印加される電圧の平均値を中性点電圧とする。
モータ制御装置1は、第1インバータ11、第2インバータ12、コンデンサ29、電流検出部としてのシャント抵抗21−23、電流取得部としてのAD変換器51−53および制御部60を備える。モータ制御装置1は、モータ80の軸方向の一方側に設けられている。また、モータ80とモータ制御装置1とは、一体である。モータ制御装置1では、インバータ11、12の数は、巻線組81、82の数と同数設けられている。
第1インバータ11は、第1巻線組81に対応して設けられており、3相インバータである。第1インバータ11は、複数の第1スイッチング素子111−116を有する。高電位側スイッチング素子としての第1スイッチング素子111−113は、高電位側に接続されている。低電位側スイッチング素子としての第1スイッチング素子114−116は、低電位側に接続されている。
対になるU相の第1スイッチング素子111、114の接続点は、第1U相コイル811に接続されている。対になるV相の第1スイッチング素子112、115の接続点は、第1V相コイル812に接続されている。対になるW相の第1スイッチング素子113、116の接続点は、第1W相コイル813に接続されている。
第2インバータ12は、第2巻線組82に対応して設けられており、3相インバータである。第2インバータ12は、複数の第2スイッチング素子121−126を有する。高電位側スイッチング素子としての第2スイッチング素子121−123は、高電位側に接続されている。低電位側スイッチング素子としての第2スイッチング素子124−126は、低電位側に接続されている。
対になるU相の第2スイッチング素子121、124の接続点は、第2U相コイル821に接続されている。対になるV相の第2スイッチング素子122、125の接続点は、第2V相コイル822に接続されている。対になるW相の第2スイッチング素子123、126の接続点は、第2W相コイル823に接続されている。スイッチング素子111−116、121−126は、MOSFETである。なお、スイッチング素子111−116、121−126は、IGBTであってもよい。
また、インバータ11、12は、バッテリ9と並列に接続されている。対応して設けられる巻線組81、82およびインバータ11、12の組み合わせを系統とする。第1巻線組81および第1インバータ11の組み合わせを第1系統とする。第2巻線組82および第2インバータ12の組み合わせを第2系統とする。
コンデンサ29は、バッテリ9と並列に接続されている。また、コンデンサ29は、バッテリ9からのノーマルモードノイズを抑制する機能およびバッテリ9からの電圧の変動を平滑化する機能を有する。
シャント抵抗21−23は、低電位側のインバータ11、12とバッテリ9の負極との間に設けられている。また、シャント抵抗21−23は、複数のインバータ11、12およびバッテリ9の共通経路にそれぞれ設けられている。シャント抵抗21−23に接続されているインバータ11、12の数をインバータ数Niとする。
シャント抵抗21−23は、複数のインバータ11、12およびバッテリ9の共通配線であるグランドラインLg1−Lg3に流れる電流を検出可能である。第1実施形態において、シャント抵抗21−23の数は、第1巻線組81および第2巻線組82の相数と同数であり、3である。
第1シャント抵抗21は、第1スイッチング素子114、第2スイッチング素子124およびバッテリ9の負極に共通する第1グランドラインLg1に設けられている。第1シャント抵抗21により、第1グランドラインLg1に流れる電流、すなわち、第1U相コイル811または第2U相コイル821に流れる電流が検出される。第1シャント抵抗21の両端電圧は、第1増幅回路41により増幅され、第1AD変換器51へ出力される。
第2シャント抵抗22は、第1スイッチング素子115、第2スイッチング素子125およびバッテリ9の負極に共通する第2グランドラインLg2に設けられている。第2シャント抵抗22により、第2グランドラインLg2に流れる電流、すなわち、第1V相コイル812または第2V相コイル822に流れる電流が検出される。第2シャント抵抗22の両端電圧は、第2増幅回路42により増幅され、第2AD変換器52へ出力される。
第3シャント抵抗23は、第1スイッチング素子116、第2スイッチング素子126およびバッテリ9の負極に共通する第3グランドラインLg3に設けられている。第3シャント抵抗23により、第3グランドラインLg3に流れる電流、すなわち、第1W相コイル813または第2W相コイル823に流れる電流が検出される。第3シャント抵抗23の両端電圧は、第3増幅回路43により増幅され、第3AD変換器53へ出力される。
AD変換器51−53は、所定のサンプリング間隔で、シャント抵抗21−23が検出した電流値をそれぞれサンプルホールドする。AD変換器51−53は、制御部60の制御周期Tc毎に、シャント抵抗21−23が検出した電流値を複数回取得する。AD変換された電流は、制御部60へ出力される。図において、第1AD変換器51をAD1と記載する。第2AD変換器52をAD2と記載する。第3AD変換器53をAD3と記載する。
制御部60は、マイコンを主体として構成されており、CPU、読み出し可能な非一時的有形記録媒体、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
制御部60は、操舵トルク、電気角θおよびAD変換した電流に基づく電流フィードバック制御を行う。制御部60が制御を行う1区間を制御周期Tcとする。制御部60は、スイッチング素子111−116、121−126のオンオフ作動をPWM制御によって制御周期Tc毎に行う。
図3に示すように、制御部60は、相電流演算部61、3相2相変換部62、減算器63、64、制御器65、デューティ変換部70、基準信号生成部66および三角波比較部67を有する。
相電流演算部61は、AD変換器51−53が取得した電流からU相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iwを演算する。以下適宜、U相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを3相電流Iu、Iv、Iwという。また、第1系統におけるU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを第1U相電流Iu1、第1V相電流Iv1および第1W相電流Iw1とそれぞれ適宜記載する。第2系統におけるU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを第2U相電流Iu2、第2V相電流Iv2および第2W相電流Iw2とそれぞれ適宜記載する。
3相2相変換部62は、電気角θに基づき、3相電流Iu、Iv、Iwをdq変換する。また、3相2相変換部62は、dq変換により、d軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqを演算する。
減算器63は、d軸電流指令値とd軸電流検出値Idとの偏差ΔIdを演算する。
減算器64は、q軸電流指令値とq軸電流検出値Iqとの偏差ΔIqを演算する。
制御器65は、偏差ΔId、ΔIqが0に収束するように、PI演算等により、第1コイル811−813および第2コイル821−823に印加される電圧に係る電圧指令値としてのd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを演算する。
デューティ変換部70は、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqに基づき、後述のデューティ指令値Du、Dv、Dw[%]を演算する。
基準信号生成部66は、デューティ指令値Du、Dv、Dwに対応する搬送波またはキャリアである基準信号Pを生成可能である。基準信号Pは、三角波信号であり、第1系統および第2系統それぞれに対して、生成される。第1系統に対応する基準信号Pを第1基準信号P1とする。第2系統に対応する基準信号Pを第2基準信号P2とする。
三角波比較部67は、デューティ指令値Du、Dv、Dwと基準信号Pとを比較し、スイッチング素子111−116、121−126のオンオフを切り替える信号である制御信号を生成する。生成された制御信号が駆動回路28を経由してインバータ11、12に伝達され、制御部60は、スイッチング素子111−116、121−126のオンオフを制御する。
次に、制御部60のPWM制御について説明する。
図4に示すように、デューティ指令値Du、Dv、Dwと基準信号Pとが比較され、スイッチング素子111−116、121−126のオンオフ信号が生成される。図において、U相デューティ指令値Duを実線で示す。V相デューティ指令値Dvを破線で示す。W相デューティ指令値Dwを一点鎖線で示す。また、デューティ指令値Du、Dv、Dwおよび基準信号Pは0−100%の範囲とする。なお、デューティ指令値Du、Dv、Dwおよび基準信号Pの範囲は、任意に設定される。以下、第1スイッチング素子111−116の場合において、説明する。
基準信号Pがデューティ指令値Du、Dv、Dwを上回る区間において、第1スイッチング素子111−113がオフとなり、対応する第1スイッチング素子114−116がオンとなる。また、基準信号Pがデューティ指令値Du、Dv、Dwを下回る区間において、第1スイッチング素子111−113がオンとなり、対応する第1スイッチング素子114−116がオフとなる。
図5に示すように、例えば、一区間K1では、基準信号Pは、V相デューティ指令値Dvよりも下に位置し、U相デューティ指令値DuおよびW相デューティ指令値Dwよりも上に位置している。このとき、V相については、第1スイッチング素子112がオンとなり、第1スイッチング素子115がオフとなる。U相およびW相については、第1スイッチング素子111、113がオフとなり、第1スイッチング素子114、116がオンとなる。
図6に示すように、スイッチング素子111−116、121−126のオンオフの組み合わせは、V0−V7電圧ベクトルの8種類ある。低電位側の第1スイッチング素子114−116が全オンであるとき、または、低電位側の第2スイッチング素子124−126が全オンであるときを、V0電圧ベクトルとする。V0電圧ベクトルであるとき、第1インバータ11または第2インバータ12からシャント抵抗21−23に電流がそれぞれ流れる。
高電位側の第1スイッチング素子111−113が全オンであるとき、または、高電位側の第2スイッチング素子121−123が全オンであるときを、V7電圧ベクトルとする。V7電圧ベクトルであるとき、第1インバータ11または第2インバータ12からシャント抵抗21−23に電流が流れない。V0電圧ベクトルおよびV7電圧ベクトルを無効電圧ベクトルとする。無効電圧ベクトルのとき、線間電圧はゼロであり、モータ80に電圧は、印加されない。
V1電圧ベクトル、V3電圧ベクトルおよびV5電圧ベクトルを奇数電圧ベクトルとする。奇数電圧ベクトルのとき、高電位側の第1スイッチング素子111−113が1つオンされており、低電位側の第1スイッチング素子114−116が2つオンされている。または、奇数電圧ベクトルのとき、高電位側の第2スイッチング素子121−123が1つオンされており、低電位側の第2スイッチング素子124−126が2つオンされている。
V2電圧ベクトル、V4電圧ベクトルおよびV6電圧ベクトルを偶数電圧ベクトルとする。偶数電圧ベクトルのとき、高電位側の第1スイッチング素子111−113が2つオンされており、低電位側の第1スイッチング素子114−116が1つオンされている。または、偶数電圧ベクトルのとき、高電位側の第2スイッチング素子121−123が2つオンされており、低電位側の第2スイッチング素子124−126が1つオンされている。
V1−V6電圧ベクトルを有効電圧ベクトルとする。有効電圧ベクトルでは、高電位側の第1スイッチング素子111−113がオンの相と低電位側の第1スイッチング素子114−116がオンの相との間の相間に電圧が発生し、モータ80に電圧が印加される。または、有効電圧ベクトルでは、高電位側の第2スイッチング素子121−123がオンの相と低電位側の第2スイッチング素子124−126がオンの相との間の相間に電圧が発生し、モータ80に電圧が印加される。
従来、特許文献1、2に記載されているように、複数のインバータで回転電機としてのモータを通電する電力変換装置が知られている。この電力変換装置では、複数の各インバータに電流検出部としてのシャント抵抗が設けられている。各インバータにシャント抵抗が設けられるとき、インバータの数に応じて、シャント抵抗の数が増加する。シャント抵抗の数が増加するとき、シャント抵抗による損失が増加する。シャント抵抗による損失が増加すると、モータの効率が低下する。そこで、本実施形態の電力変換装置としてのモータ制御装置1では、複数のインバータ11、12がモータ80に通電する場合において、モータ80の効率が向上する。
基準信号Pの1周期の区間を基準信号周期Tpとする。基準信号周期Tpは、基準信号Pの谷から基準信号Pの谷までの区間、または、基準信号Pの山から基準信号Pの山までの区間である。制御周期Tcは、基準信号周期Tpにインバータ数Niを乗算した区間以上となるように、設定されている。
第1実施形態では、インバータ数Niが2である。制御周期Tcは、基準信号周期Tpの2倍以上である。第1実施形態では、制御周期Tcは、基準信号周期Tpの4倍とする。第1実施形態では、制御周期Tcを前半期間および後半期間の半分に分けている。
また、第1実施形態では、基準信号生成部66は、第2基準信号P2の位相が第1基準信号P1の位相に対して反転するように、基準信号Pを生成する。基準信号生成部66は、第2基準信号P2の位相が第1基準信号P1の位相に対して180度ずれるように、基準信号Pを生成する。
図7に示すように、デューティ変換部70は、電圧振幅演算部71、電圧指令値補正部72、2相3相変換部73および電流検出タイミング調整演算部74を有する。
電圧振幅演算部71は、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqに基づいて、以下関係式(1)を用いて、電圧振幅Vomを演算する。演算された電圧振幅Vomは、電圧指令値補正部72および電流検出タイミング調整演算部74に出力される。
電圧指令値補正部72は、d軸電圧指令値Vd、q軸電圧指令値Vqおよび電圧振幅Vomに基づいて、前半dq軸電圧指令値Vd_a、Vq_aおよび後半dq軸電圧指令値Vd_b、Vq_bを演算する。電圧振幅Vomの閾値を第1振幅閾値Vom_th1とする。第1振幅閾値Vom_th1は、後述のデューティ指令値Du、Dv、Dwの最大値と最小値との差に基づいて設定される。
図8のフローチャートを参照して、電圧指令値補正部72の演算について説明する。フローチャートにおいて、記号「S」は、ステップを意味する。
ステップ101において、電圧指令値補正部72は、電圧振幅Vomが第1振幅閾値Vom_th1よりも大きいか否かを判定する。電圧振幅Vomが第1振幅閾値Vom_th1よりも大きいとき、処理は、ステップ102に移行する。電圧振幅Vomが第1振幅閾値Vom_th1以下であるとき、処理は、ステップ103に移行する。
ステップ102において、電圧指令値補正部72は、以下関係式(2−1)−(2−4)を用いて、前半dq軸電圧指令値Vd_a、Vq_aおよび後半dq軸電圧指令値Vd_b、Vq_bを演算する。電圧指令値補正部72は、前半dq軸電圧指令値Vd_a、Vq_aおよび後半dq軸電圧指令値Vd_b、Vq_bの平均が電圧振幅Vomとなるように、演算している。なお、V_maxは、電圧振幅Vomの最も大きい値を示しており、シャント抵抗21−23による電流検出に必要なスイッチング素子111−116、121−126のオン時間または駆動回路28の特性に基づいて、設定される。
Vd_a=V_max/Vom×Vd ・・・(2−1)
Vq_a=V_max/Vom×Vq ・・・(2−2)
Vd_b=2×Vom−Vd_a ・・・(2−3)
Vq_b=2×Vom−Vq_a ・・・(2−4)
ステップ103において、電圧指令値補正部72は、以下関係式(3−1)−(3−4)を用いて、前半dq軸電圧指令値Vd_a、Vq_aおよび後半dq軸電圧指令値Vd_b、Vq_bを演算する。電圧指令値補正部72は、前半d軸電圧指令値Vd_aおよび後半d軸電圧指令値Vd_bがd軸電圧指令値Vdとなるように、演算する。電圧指令値補正部72は、前半q軸電圧指令値Vq_aおよび後半q軸電圧指令値Vq_bがq軸電圧指令値Vqとなるように、演算する。
Vd_a=Vd ・・・(3−1)
Vq_a=Vq ・・・(3−2)
Vd_b=Vd ・・・(3−3)
Vq_b=Vq ・・・(3−4)
2相3相変換部73は、前半dq軸電圧指令値Vd_a、Vq_aおよび後半dq軸電圧指令値Vd_b、Vq_bを電気角θに基づいて逆dq変換する。また、2相3相変換部72は、逆dq変換により、前半電圧指令値Vu_a、Vv_a、Vw_aおよび後半電圧指令値Vu_b、Vv_b、Vw_bを演算する。
電流検出タイミング調整演算部74は、制御周期TcにおいてAD変換器51−53の取得回数の半数以上において、半数以上のインバータ11、12が無効電圧ベクトルとなるように、中性点電圧を変更する。また、電流検出タイミング調整演算部74は、全てのインバータ11、12に対して、それぞれのインバータ11、12に流れた電流を含む電流値を、制御周期Tcにおいて少なくとも1回、AD変換器51−53が取得可能となるように、中性点電圧を変更する。電流検出タイミング調整演算部74により、AD変換器51−53は、全てのインバータ11、12に関する電流値を取得可能である。
なお、AD変換器51−53の取得回数が奇数であるとき、AD変換器51−53の取得回数を2で割ったときの商をAD変換器51−53の取得回数の半数とする。例えば、AD変換器51−53の取得回数が7回であるとき、AD変換器51−53の取得回数の半数は、3である。同様に、インバータ数Niが奇数であるとき、インバータ数Niを2で割ったときの商をインバータ数Niの半数とする。例えば、インバータ数Niが3であるとき、インバータ数Niの半数は、1である。
また、中性点電圧を変更しても、第1コイル811−813および第2コイル821−823に印加される線間電圧は変化しない。電流検出タイミング調整演算部74は、中性点電圧を変更し、前半デューティ指令値Du_a、Dv_a、Dw_a、および、後半デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを演算する。
図9および図10のフローチャートを参照して、電流検出タイミング調整演算部74の演算について説明する。
ステップ201において、電流検出タイミング調整演算部74は、電圧振幅Vomが第2振幅閾値Vom_th2以下であるかを判定する。第2振幅閾値Vom_th2は、第1振幅閾値Vom_th1の半分以下となるように、設定されている。電圧振幅Vomが第2振幅閾値Vom_th2以下であるとき、処理は、ステップ202に移行する。電圧振幅Vomが第2振幅閾値Vom_th2を超えるとき、処理は、ステップ206に移行する。
ステップ202では、前半期間において、電流検出タイミング調整演算部74は、第1系統および第2系統の最も小さい相のデューティがデューティ第1下限値x11となるように変調する。以下、最も小さい相のデューティが所定の値となるように変調する変調方法を下べた変調という。本実施形態では、デューティ第1下限値x11を7%とする。
また、後半期間において、電流検出タイミング調整演算部74は、第1系統および第2系統の最も大きい相のデューティがデューティ第1上限値x21となるように変調する。以下、最も大きい相のデューティが所定の値となるように変調する変調方法を「上べた変調」という。本実施形態では、デューティ第1上限値x21を93%とする。
ステップ203において、電流検出タイミング調整演算部74は、前半電圧指令値Vu_a、Vv_a、Vw_aおよび後半電圧指令値Vu_b、Vv_b、Vw_bに換算係数kを乗算する。本実施形態では、例えば、換算係数kを0.12の逆数とする。電流検出タイミング調整演算部74は、以下関係式(4−1)−(4−6)を満たすように、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_at、および、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btを演算する。
Du_at=Vu_a×k ・・・(4−1)
Dv_at=Vv_a×k ・・・(4−2)
Dw_at=Vw_a×k ・・・(4−3)
Du_bt=Vu_b×k ・・・(4−4)
Dv_bt=Vv_b×k ・・・(4−5)
Dw_bt=Vw_b×k ・・・(4−6)
ステップ204において、電流検出タイミング調整演算部74は、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_atの中で、最も小さい値を前半最小値MinD_aとする。また、電流検出タイミング調整演算部74は、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btの中で、最も大きい値を後半最大値MaxD_bとする。
ステップ205において、電流検出タイミング調整演算部74は、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_at、前半最小値MinD_aおよびデューティ第1下限値x11に基づいて、前半デューティ指令値Du_a、Dv_a、Dw_aを演算する。電流検出タイミング調整演算部74は、以下関係式(5−1)−(5−3)を満たすように、前半デューティ指令値Du_a、Dv_a、Dw_aを演算する。
また、電流検出タイミング調整演算部74は、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_bt、後半最大値MaxD_bおよびデューティ第1上限値x21に基づいて、後半デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを演算する。電流検出タイミング調整演算部74は、以下関係式(5−4)−(5−6)を満たすように、後半デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを演算する。
Du_a=Du_at−MinD_a+x11 ・・・(5−1)
Dv_a=Dv_at−MinD_a+x11 ・・・(5−2)
Dw_a=Dw_at−MinD_a+x11 ・・・(5−3)
Du_b=Du_bt−MaxD_b+x21 ・・・(5−4)
Dv_b=Dv_bt−MaxD_b+x21 ・・・(5−5)
Dw_b=Dw_bt−MaxD_b+x21 ・・・(5−6)
図11に示すように、例えば、前半期間において、電流検出タイミング調整演算部74は、第1系統および第2系統の最も小さいデューティであるW相の前半デューティ指令値Dw_aがデューティ第1下限値x11となるように、下べた変調する。これにより、前半期間の時刻e11から時刻e12までの期間において、第1系統では、V0電圧ベクトルが確保される。第2系統では、V7電圧ベクトルが確保される。このとき、第2系統からの電流は流れず、第1系統からの電流がシャント抵抗21−23に流れる。時刻e11からe12までの期間において、AD変換器51−53は、シャント抵抗21−23が各電流値を取得する。このとき、AD変換器51−53は、第1系統の各相に流れる電流を取得する。
また、前半期間の時刻e13から時刻e14までの期間において、第1系統では、V7電圧ベクトルが確保される。第2系統では、V0電圧ベクトルが確保される。このとき、第1系統からの電流は流れず、第2系統からの電流がシャント抵抗21−23に流れる。時刻e13から時刻e14までの期間において、AD変換器51−53は、シャント抵抗21−23から各電流値を取得する。このとき、AD変換器51−53は、第2系統の各相に流れる電流を取得する。
後半期間において、電流検出タイミング調整演算部74は、第1系統および第2系統の最も大きいデューティであるV相のデューティが最も大きい相のデューティがデューティ第1上限値x21となるように、上べた変調する。これにより、後半期間の時刻e15から時刻e16までの期間において、第1系統および第2系統の両系統では、V7電圧ベクトルが確保される。このとき、第1系統および第2系統からシャント抵抗21−23に電流は流れない。時刻e15から時刻e16までの期間において、AD変換器51−53は、シャント抵抗21−23から各電流値を取得する。これにより、取得した電流値のゼロ点を調整できる。
図9に戻って、ステップ206において、電流検出タイミング調整演算部74は、電圧振幅Vomが第1振幅閾値Vom_th1以下であるかを判定する。電圧振幅Vomが第1振幅閾値Vom_th1以下であるとき、すなわち、Vom_th2<Vom≦Vom_th1であるとき、処理は、ステップ207に移行する。電圧振幅Vomが第1振幅閾値Vom_th1を超えるとき、処理は、ステップ211に移行する。
ステップ207において、前半期間および後半期間において、電流検出タイミング調整演算部74は、第1系統および第2系統の最も小さい相のデューティがデューティ第1下限値x11となるように、下べた変調する。
ステップ208において、電流検出タイミング調整演算部74は、関係式(4−1)−(4−6)を満たすように、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_at、および、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btを演算する。
ステップ209において、電流検出タイミング調整演算部74は、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_atの中で、最も小さい値を前半最小値MinD_aとする。また、電流検出タイミング調整演算部74は、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btの中で、最も小さい値を後半最小値MinD_bとする。
ステップ210において、電流検出タイミング調整演算部74は、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_at、前半最小値MinD_aおよびデューティ第1下限値x11に基づいて、前半デューティ指令値Du_a、Dv_a、Dw_aを演算する。電流検出タイミング調整演算部74は、以下関係式(6−1)−(6−3)を満たすように、前半デューティ指令値Du_a、Dv_a、Dw_aを演算する。
また、電流検出タイミング調整演算部74は、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_bt、後半最小値MinD_bおよびデューティ第1下限値x11に基づいて、後半デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを演算する。電流検出タイミング調整演算部74は、以下関係式(6−4)−(6−6)を満たすように、後半デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを演算する。
Du_a=Du_at−MinD_a+x11 ・・・(6−1)
Dv_a=Dv_at−MinD_a+x11 ・・・(6−2)
Dw_a=Dw_at−MinD_a+x11 ・・・(6−3)
Du_b=Du_bt−MinD_b+x11 ・・・(6−4)
Dv_b=Dv_bt−MinD_b+x11 ・・・(6−5)
Dw_b=Dw_bt−MinD_b+x11 ・・・(6−6)
図12に示すように、例えば、前半期間および後半期間において、電流検出タイミング調整演算部74は、W相の前半デューティ指令値Dw_aおよび後半デューティ指令値Dw_bがデューティ第1下限値x11となるように、下べた変調する。なお、W相の前半デューティ指令値Dw_aおよび後半デューティ指令値Dw_bは、第1系統および第2系統の最も小さいデューティとする。
時刻e21から時刻e22までの期間において、第1系統では、V0電圧ベクトルが確保される。第2系統では、V7電圧ベクトルが確保される。このとき、第2系統からの電流は流れず、第1系統からの電流がシャント抵抗21−23に流れる。時刻e21から時刻e22までの期間において、AD変換器51−53は、シャント抵抗21−23から各電流値を取得する。このとき、AD変換器51−53は、第1系統の各相に流れる電流を取得する。
時刻e23から時刻e24までの期間において、第1系統では、V7電圧ベクトルが確保される。第2系統では、V0電圧ベクトルが確保される。このとき、第1系統からの電流は流れず、第2系統からの電流がシャント抵抗21−23に流れる。時刻e23から時刻e24までの期間において、AD変換器51−53は、シャント抵抗21−23から各電流値を取得する。このとき、AD変換器51−53は、第2系統の各相に流れる電流を取得する。
図10に戻って、ステップ211において、前半期間および後半期間において、電流検出タイミング調整演算部74は、第1系統および第2系統の最も大きい相のデューティがデューティ第2上限値x22となるように、上べた変調する。デューティ第2上限値x22は、デューティ第1上限値x21より大きく設定される値である。本実施形態では、デューティ第2上限値x22を100%とする。
ステップ212において、電流検出タイミング調整演算部74は、関係式(4−1)−(4−6)を満たすように、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_at、および、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btを演算する。
ステップ213において、電流検出タイミング調整演算部74は、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_atの中で、最も大きい値を前半最大値MaxD_aとする。また、電流検出タイミング調整演算部74は、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btの中で、最も大きい値を後半最大値MaxD_bとする。
ステップ214において、電流検出タイミング調整演算部74は、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_at、前半最大値MaxD_aおよびデューティ第2上限値x22に基づいて、前半デューティ指令値Du_a、Dv_a、Dw_aを演算する。電流検出タイミング調整演算部74は、以下関係式(7−1)−(7−3)を満たすように、前半デューティ指令値Du_a、Dv_a、Dw_aを演算する。
また、電流検出タイミング調整演算部74は、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_bt、後半最大値MaxD_bおよびデューティ第2上限値x22に基づいて、後半デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを演算する。電流検出タイミング調整演算部74は、以下関係式(7−4)−(7−6)を満たすように、後半デューティ指令値Du_b、Dv_b、Dw_bを演算する。
Du_a=Du_at−MaxD_a+x22 ・・・(7−1)
Dv_a=Dv_at−MaxD_a+x22 ・・・(7−2)
Dw_a=Dw_at−MaxD_a+x22 ・・・(7−3)
Du_b=Du_bt−MaxD_b+x22 ・・・(7−4)
Dv_b=Dv_bt−MaxD_b+x22 ・・・(7−5)
Dw_b=Dw_bt−MaxD_b+x22 ・・・(7−6)
図13に示すように、例えば、前半期間および後半期間において、電流検出タイミング調整演算部74は、V相の前半デューティ指令値Dv_aおよび後半デューティ指令値Dv_bがデューティ第2上限値x22となるように、上べた変調する。なお、V相の前半デューティ指令値Dv_aおよび後半デューティ指令値Dv_bは、第1系統および第2系統の最も大きい相のデューティとする。
時刻e31からe33までの期間において、第2系統では、V7電圧ベクトルが確保される。時刻e31からe33までの期間において、第1系統では、V3電圧ベクトルが確保される。すなわち、第1系統では、奇数電圧ベクトルが確保される。低電位側の第1スイッチング素子114−116が2つオンすることから、3相の電流の和が0になることを利用して3相の電流を取得する。
時刻e32において、第2系統からの電流は流れず、第1系統からの電流がシャント抵抗21−23に流れる。時刻e32において、AD変換器51−53は、シャント抵抗21−23から各電流値を取得する。このとき、AD変換器51−53は、第1系統の低電位側の第1スイッチング素子114−116がオンしている相に流れる電流を取得する。そして、残りの相の電流を3相の電流の和が0になることを利用して3相の電流を演算する。
時刻e34からe36までの期間において、第1系統では、V7電圧ベクトルが確保される。時刻e34からe36までの期間において、第2系統では、V3電圧ベクトルが確保される。すなわち、第2系統では、奇数電圧ベクトルが確保される。低電位側の第2スイッチング素子124−126が2つオンすることから、3相の電流の和が0になることを利用して3相の電流を取得する。
時刻e35において、第1系統からの電流は流れず、第2系統からの電流がシャント抵抗21−23に流れる。時刻e35において、AD変換器51−53は、シャント抵抗21−23から各電流値を取得する。このとき、AD変換器51−53は、第2系統の低電位側の第2スイッチング素子124−126がオンしている相に流れる電流を取得する。そして、残りの相の電流を3相の電流の和が0になることを利用して3相の電流を演算する。
また、後半期間において、電流検出タイミング調整演算部74は、後半デューティ指令値Dw_bがデューティ第2下限値x12となるように、下べた変調してもよい。なお、後半デューティ指令値Dw_bは、第1系統および第2系統の最も小さい相のデューティとする。これにより、モータ80に係る電圧をさらに大きくできる。デューティ第2下限値x12は、デューティ第1下限値x11よりも小さく設定される値である。本実施形態では、デューティ第2下限値x12を0%とする。
このように、電流検出タイミング調整演算部74の中性点電圧操作により、第1系統および第2系統に流れる電流をそれぞれ取得可能なタイミングが調整される。第1実施形態では、AD変換器51−53の取得回数は、2または3である。AD変換器51−53の取得回数の半数は、1である。インバータ数Niの半数は、1である。AD変換器51−53が電流値を1回以上において、1つ以上のインバータ11、12が無効電圧ベクトルとなっている。また、AD変換器51−53は、いずれのインバータ11、12に流れた電流を含む電流値を制御周期Tcにおいて、1回取得している。
また、第1系統で、V0電圧ベクトルが確保され、第2系統で、V7電圧ベクトルが確保されたときに、第1AD変換器51が取得した電流値を第1U相検出値ADU1とする。同様に、第2AD変換器52が取得した電流値を第1V相検出値ADV1とする。第3AD変換器53が取得した電流値を第1W相検出値ADW1とする。
さらに、第1系統で、V7電圧ベクトルが確保され、第2系統で、V0電圧ベクトルが確保されたときに、第1AD変換器51が取得した電流値を第2U相検出値ADU2とする。同様に、第2AD変換器52が取得した電流値を第2V相検出値ADV2とする。第3AD変換器53が取得した電流値を第2W相検出値ADW2とする。
第1系統および第2系統の両系統において、V7電圧ベクトルが確保されたときに、第1AD変換器51が取得した電流値を第3U相検出値ADU3とする。同様に、第2AD変換器52が取得した電流値を第3V相検出値ADV3とする。第3AD変換器53が取得した電流値を第3W相検出値ADW3とする。相電流演算部61は、これらの検出値から3相電流Iu、Iv、Iwを演算する。
図14のフローチャートを参照して、相電流演算部61の演算について説明する。
ステップ301において、相電流演算部61は、電圧振幅Vomが第2振幅閾値Vom_th2以下であるかを判定する。電圧振幅Vomが第2振幅閾値Vom_th2以下であるとき、処理は、ステップ302に移行する。電圧振幅Vomが第2振幅閾値Vom_th2を超えるとき、処理は、ステップ303に移行する。
ステップ302において、相電流演算部61は、以下関係式(8−1)−(8−3)となるように、第3U相検出値ADU3に基づいて、U相オフセット値Iu_oftを演算する。相電流演算部61は、第3V相検出値ADV3に基づいて、V相オフセット値Iv_oftを演算する。相電流演算部61は、第3W相検出値ADW3に基づいて、W相オフセット値Iw_oftを演算する。制御周期Tcにおけるn番目のU相オフセット値Iu_oft、V相オフセット値Iv_oftおよびW相オフセット値Iw_oftをIu_oft(n)、Iv_oft(n)およびIw_oft(n)とする。なお、nは、自然数である。初期状態におけるU相オフセット値Iu_oft、V相オフセット値Iv_oftおよびW相オフセット値Iw_oftを、Iu_oft(0)、Iv_oft(0)およびIw_oft(0)とする。Iu_oft(0)、Iv_oft(0)およびIw_oft(0)は、任意の値に設定される。
Iu_oft(n)=(Iu_oft(n−1)+ADU3)/2 ・・・(8−1)
Iv_oft(n)=(Iv_oft(n−1)+ADV3)/2 ・・・(8−2)
Iw_oft(n)=(Iw_oft(n−1)+ADW3)/2 ・・・(8−3)
ステップ303において、相電流演算部61は、以下関係式(8−4)−(8−6)で表すように、U相オフセット値Iu_oft、V相オフセット値Iv_oftおよびW相オフセット値Iw_oftを演算する。
Iu_oft(n)=Iu_oft(n−1) ・・・(8−4)
Iv_oft(n)=Iv_oft(n−1) ・・・(8−5)
Iw_oft(n)=Iw_oft(n−1) ・・・(8−6)
ステップ304において、相電流演算部61は、以下関係式(9−1)−(9−6)となるように、第1U相電流Iu1、第1V相電流Iv1、第1W相電流Iw1、第2U相電流Iu2、第2V相電流Iv2および第2W相電流Iw2を演算する。
Iu1=ADU1−Iu_oft(n) ・・・(9−1)
Iv1=ADV1−Iv_oft(n) ・・・(9−2)
Iw1=ADW1−Iw_oft(n) ・・・(9−3)
Iu2=ADU2−Iu_oft(n) ・・・(9−4)
Iv2=ADV2−Iv_oft(n) ・・・(9−5)
Iw2=ADW2−Iw_oft(n) ・・・(9−6)
[1]電流検出タイミング調整演算部74の調整により、複数のインバータ11、12がモータ80に通電する場合において、シャント抵抗21−23の数が削減されつつ、AD変換器51−53は、モータ80の各巻線に流れる電流を取得可能になる。シャント抵抗21−23の数を低減できるため、シャント抵抗21−23による損失を低減でき、モータ80の効率が向上する。
[2]基準信号生成部66は、第2基準信号P2の位相が第1基準信号P1の位相に対して反転するように、基準信号Pを生成する。これにより、電流検出タイミング調整演算部74は、制御周期TcにおいてAD変換器51−53の取得回数の半数以上において、半数以上のインバータ11、12が無効電圧ベクトルとなるように、中性点電圧を変更しやすくなる。
[3]第3U相検出値ADU3、第3V相検出値ADV3および第3W相検出値ADW3を用いて、相電流演算部61は、3相電流Iu、Iv、Iwを演算する。これにより、取得した電流値のゼロ点が調整される。このため、3相電流Iu、Iv、Iwの正確度が向上する。
[4]電流検出タイミング調整演算部74は、制御周期Tcにおいて、一方のインバータ11、12がV7電圧ベクトルとなるように、中性点電圧を調整する。また、電流検出タイミング調整演算部74は、他方のインバータ11、12における低電位側のスイッチング素子114−116、124−126の2つ以上がオンとなるように、中性点電圧を調整する。これにより、制御周期Tcにおいて、モータ80に係る電圧を比較的大きくできる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、1つの電流検出部を備えており、基準信号生成部の処理、制御部のデューティ変換部の構成および処理が異なる点を除き、第1実施形態と同様である。
図15に示すように、第2実施形態のモータ制御装置2は、電流検出部として、1つのシャント抵抗24を備えている。シャント抵抗24は、複数のインバータ11、12およびバッテリ9の共通配線であるグランドラインLgに流れる電流、すなわち、第1コイル811−813または第2コイル821−823のそれぞれに流れる電流を検出可能である。また、モータ制御装置2は、シャント抵抗24に対応する増幅回路44およびAD変換器54をさらに備える。
第2実施形態においても、制御周期Tcは、基準信号周期Tpの4倍とする。また、第2実施形態では、基準信号生成部66は、第2基準信号P2の位相が第1基準信号P1の位相に対して同位相となるように、基準信号Pを生成する。さらに、基準信号周期Tpを前半期間および後半期間の半分に分けている。
図16に示すように、第2実施形態のデューティ変換部270は、電圧指令値演算部としての2相3相変換部271、デューティ換算部272、電流検出期間確保演算部273および電流検出タイミング調整演算部274を有する。
2相3相変換部271は、dq軸電圧指令値Vd、Vqを電気角θに基づいて逆dq変換する。また、2相3相変換部271は、逆dq変換により、電圧指令値Vu、Vv、Vwを演算する。
デューティ換算部272は、電圧指令値Vu、Vv、Vwをデューティ換算値Du_r、Dv_r、Dw_rに換算する。
電流検出期間確保演算部273は、第1系統または第2系統に流れる電流をそれぞれ取得可能な期間を確保可能となるように、デューティ換算値Du_r、Dv_r、Dw_rを補正する。この補正のため、電流検出期間確保演算部273は、最大補正値C_max、中間補正値C_mid、最小補正値C_minを演算する。電流検出期間確保演算部273は、最大補正値C_max、中間補正値C_mid、最小補正値C_minに基づき、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_at、および、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btを演算する。
デューティ換算値Du_r、Dv_r、Dw_rのうち、大きいものから順に、MaxD_r、MidD_r、MinD_rとする。最大補正値C_maxは、MaxD_rに対応する補正値である。中間補正値C_midは、MidD_rに対応する補正値である。最小補正値C_minは、MinD_rに対応する補正値である。
図17のフローチャートを参照して、第2実施形態の電流検出期間確保演算部273の演算について説明する。
ステップ401において、電流検出期間確保演算部273は、デューティ換算値Du_r、Dv_r、Dw_rを比較し、デューティ換算値Du_r、Dv_r、Dw_rの大小関係を判定する。電流検出期間確保演算部273は、MaxD_r、MidD_r、MinD_rを決定する。
奇数電圧ベクトルに対応するデューティの差を奇数電圧デューティDoとする。偶数電圧ベクトルに対応するデューティの差を偶数電圧デューティDeとする。有効電圧ベクトルに対応するデューティの差を有効電圧デューティDaとする。有効電圧ベクトルにおいて、電流が検出可能なデューティ差のうちの下限値である電流検出デューティ下限値Dmとする。
ステップ402において、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(10−1)−(10−3)となるように、奇数電圧デューティDo、偶数電圧デューティDeおよび有効電圧デューティDaを演算する。
ステップ403において、電流検出期間確保演算部273は、最小補正値C_minをゼロとする。
Do=MaxD_r−MidD_r ・・・(10−1)
De=MidD_r−MinD_r ・・・(10−2)
Da=MaxD_r−MinD_r ・・・(10−3)
ステップ404において、電流検出期間確保演算部273は、偶数電圧デューティDeが電流検出デューティ下限値Dmから偶数電圧デューティDeを減算した値(Dm−De)未満であるか否かを判定する。偶数電圧デューティDeが電流検出デューティ下限値Dmから偶数電圧デューティDeを減算した値(Dm−De)未満であるとき、処理は、ステップ405に移行する。偶数電圧デューティDeが電流検出デューティ下限値Dmから偶数電圧デューティDeを減算した値(Dm−De)以上であるとき、処理は、ステップ406に移行する。
ステップ405において、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(11)となるように、中間補正値C_midを演算する。電流検出期間確保演算部273は、中間補正値C_midを、電流検出デューティ下限値Dmから偶数電圧デューティDeを減算した値とする。
C_mid=Dm−De ・・・(11)
ステップ406において、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(12)となるように、中間補正値C_midを演算する。電流検出期間確保演算部273は、中間補正値C_midを、偶数電圧デューティDeとする。
C_mid=De ・・・(12)
ステップ407において、電流検出期間確保演算部273は、有効電圧デューティDaが電流検出デューティ下限値Dmから有効電圧デューティDaを減算した値(Dm−Da)未満であるか否かを判定する。有効電圧デューティDaが電流検出デューティ下限値Dmから有効電圧デューティDaを減算した値(Dm−Da)未満であるとき、処理は、ステップ408に移行する。有効電圧デューティDaが電流検出デューティ下限値Dmから有効電圧デューティDaを減算した値(Dm−Da)以上であるとき、処理は、ステップ409に移行する。
ステップ408において、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(13)となるように、最大補正値C_maxを演算する。電流検出期間確保演算部273は、最大補正値C_maxを、電流検出デューティ下限値Dmから有効電圧デューティDaを減算した値(Dm−Da)に−1を乗算した値とする。
C_max=−(Dm−Da) ・・・(13)
ステップ409において、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(14)となるように、最大補正値C_maxを演算する。電流検出期間確保演算部273は、最大補正値C_maxを、有効電圧デューティDaに−1を乗算した値とする。
C_max=−Da ・・・(14)
ステップ410において、電流検出期間確保演算部273は、最大補正値C_max、中間補正値C_mid、最小補正値C_minに基づき、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_atを演算する。また、電流検出期間確保演算部273は、最大補正値C_max、中間補正値C_mid、最小補正値C_minに基づき、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btを演算する。
例えば、U相デューティ換算値Du_rがMaxD_rであるとする。V相デューティ換算値Dv_rがMid_rであるとする。W相デューティ換算値Dw_rがMinD_rであるとする。このとき、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(15−1)−(15−3)となるように、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_atを演算する。また、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(15−4)−(15−6)となるように、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btを演算する。
Du_at=Du_r+C_max ・・・(15−1)
Dv_at=Dv_r+C_mid ・・・(15−2)
Dw_at=Dw_r+C_min ・・・(15−3)
Du_bt=Du_r−C_max ・・・(15−4)
Dv_bt=Dv_r−C_mid ・・・(15−5)
Dw_bt=Dw_r−C_min ・・・(15−6)
電流検出期間確保演算部273は、第1系統および第2系統のそれぞれに対して、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_atおよび後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btを演算する。
第1系統における各一時値を第1前半デューティ一時値Du1_at、Dv1_at、Dw1_atおよび第1後半デューティ一時値Du1_bt、Dv1_bt、Dw1_btとする。第2系統における各一時値を第2前半デューティ一時値Du2_at、Dv2_at、Dw2_atおよび第2後半デューティ一時値Du2_bt、Dv2_bt、Dw2_btとする。
第2実施形態では、電流検出期間確保演算部273により、電流を検出する期間が確保される。AD変換器54がシャント抵抗24から電流値を取得するタイミングが所定間隔となるように、電流検出タイミング調整演算部274は、有効電圧ベクトルとなるタイミングを調整する。
図18および図19のフローチャートを参照して、第2実施形態の電流検出タイミング調整演算部274の演算について説明する。
ステップ501において、電流検出タイミング調整演算部274は、第1前半デューティ一時値Du1_at、Dv1_at、Dw1_atの中で、最も小さい値を第1前半最小値MinD1_aとする。電流検出タイミング調整演算部274は、第1前半デューティ一時値Du1_at、Dv1_at、Dw1_atの中で、最も大きい値を第1前半最大値MaxD1_aとする。
ステップ502において、電流検出タイミング調整演算部274は、第1後半デューティ一時値Du1_bt、Dv1_bt、Dw1_btの中で最も小さい値を第1後半最小値MinD1_bとする。第1後半デューティ一時値Du1_bt、Dv1_bt、Dw1_btの中で最も大きい値を第1後半最大値MaxD1_bとする。
ステップ503において、電流検出タイミング調整演算部274は、制御周期Tcにおける4周期分の基準信号周期Tpに対して、第1系統における前半デューティ指令値および後半デューティ指令値をそれぞれ演算する。
1周期目における第1系統の前半デューティ指令値を第11前半デューティ指令値Du11_a、Dv11_a、Dw11_aとする。1周期目における第1系統の後半デューティ指令値を第11後半デューティ指令値Du11_bとする。2周期目における第1系統の前半デューティ指令値を第12前半デューティ指令値Du12_a、Dv12_a、Dw12_aとする。2周期目における第1系統の後半デューティ指令値を第12後半デューティ指令値Du12_b、Dv12_b、Dw12_bとする。3周期目における第1系統の前半デューティ指令値を第13前半デューティ指令値Du13_a、Dv13_a、Dw13_aとする。3周期目における第1系統の後半デューティ指令値を第13後半デューティ指令値Du13_b、Dv13_b、Dw13_bとする。4周期目における第1系統の前半デューティ指令値を第14前半デューティ指令値Du14_a、Dv14_a、Dw14_aとする。4周期目における第1系統の後半デューティ指令値を第14後半デューティ指令値Du14_b、Dv14_b、Dw14_bとする。
ステップ504において、電流検出タイミング調整演算部274は、第2前半デューティ一時値Du2_at、Dv2_at、Dw2_atの中で、最も小さい値を第2前半最小値MinD2_aとする。電流検出タイミング調整演算部274は、第2前半デューティ一時値Du2_at、Dv2_at、Dw2_atの中で、最も大きい値を第2前半最大値MaxD2_aとする。
ステップ505において、電流検出タイミング調整演算部274は、第2後半デューティ一時値Du2_bt、Dv2_bt、Dw2_btの中で最も小さい値を第2後半最小値MinD2_bとする。第2後半デューティ一時値Du2_bt、Dv2_bt、Dw2_btの中で最も大きい値を第2後半最大値MaxD2_bとする。
ステップ506において、電流検出タイミング調整演算部274は、制御周期Tcにおける4周期分の基準信号周期Tpに対して、第2系統における前半デューティ指令値および後半デューティ指令値をそれぞれ演算する。
1周期目における第2系統の前半デューティ指令値を第21前半デューティ指令値Du21_a、Dv21_a、Dw21_aとする。1周期目における第2系統の後半デューティ指令値を第21後半デューティ指令値Du21_b、Dv21_b、Dw21_bとする。2周期目における第2系統の前半デューティ指令値を第22前半デューティ指令値Du22_a、Dv22_a、Dw22_aとする。2周期目における第2系統の後半デューティ指令値を第22後半デューティ指令値Du22_b、Dv22_b、Dw22_bとする。3周期目における第2系統の前半デューティ指令値を第23前半デューティ指令値Du23_a、Dv23_a、Dw23_aとする。3周期目における第2系統の後半デューティ指令値を第23後半デューティ指令値Du23_b、Dv23_b、Dw23_bとする。4周期目における第2系統の前半デューティ指令値を第24前半デューティ指令値Du24_a、Dv24_a、Dw24_aとする。4周期目における第2系統の後半デューティ指令値を第24後半デューティ指令値Du24_b、Dv24_b、Dw24_bとする。
図20に示すように、例えば、第1前半W相デューティ一時値Dw1_atが第1前半最小値MinD1_aであるとする。第1前半V相デューティ一時値Dv1_atが第1前半最大値MaxD1_aであるとする。第1後半V相デューティ一時値Dv1_btが第1後半最小値MinD1_bであるとする。第1後半W相デューティ一時値Dw1_btが第1後半最大値MaxD1_bであるとする。
第2前半W相デューティ一時値Dw2_atが第2前半最小値MinD2_aであるとする。第2前半V相デューティ一時値Dv2_atが第2前半最大値MaxD2_aであるとする。第2後半V相デューティ一時値Dv2_btが第2後半最小値MinD2_bであるとする。第2後半W相デューティ一時値Dw2_btが第2後半最大値MaxD2_bであるとする。
時刻e41から時刻e45までの期間では、第2系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e42から時刻e43までの期間では、第1系統において、V3電圧ベクトルが確保される。時刻e43から時刻e44までの期間では、第1系統において、V5電圧ベクトルが確保される。
時刻e42から時刻e43までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第1V相コイル812に流れる電流の値を取得する。時刻e42から時刻e43までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第1電流値I1とする。
時刻e43から時刻e44までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第1W相コイル813に流れる電流の値を取得する。時刻e43から時刻e44までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第2電流値I2とする。
時刻e46から時刻e50までの期間では、第1系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e47から時刻e48までの期間では、第2系統において、V3電圧ベクトルが確保される。時刻e48から時刻e49までの期間では、第2系統において、V5電圧ベクトルが確保される。
時刻e47から時刻e48までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第2V相コイル822に流れる電流の値を取得する。時刻e47から時刻e48までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第3電流値I3とする。
時刻e48から時刻e49までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第2W相コイル823に流れる電流の値を取得する。時刻e48から時刻e49までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第4電流値I4とする。
時刻e51から時刻e52までの期間では、第1系統および第2系統の両系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e51から時刻e52までの期間において、AD変換器54が電流を取得することで、取得した電流値のゼロ点を調整できる。時刻e51から時刻e52までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第5電流値I5とする。
この場合において、相電流演算部61は、第1−第5電流値I1−I5およびキルヒホッフの法則に基づき、第1U相電流Iu1、第1V相電流Iv1、第1W相電流Iw1、第2U相電流Iu2、第2V相電流Iv2および第2W相電流Iw2を演算する。相電流演算部61は、以下関係式(16−1)−(16−6)となるように、第1U相電流Iu1、第1V相電流Iv1、第1W相電流Iw1、第2U相電流Iu2、第2V相電流Iv2および第2W相電流Iw2を演算する。
Iv1=I1−I5 ・・・(16−1)
Iw1=I2−I5 ・・・(16−2)
Iu1=−Iv1−Iw1 ・・・(16−3)
Iv2=I3−I5 ・・・(16−4)
Iw2=I4−I5 ・・・(16−5)
Iu2=−Iv2−Iw2 ・・・(16−6)
このように、第2実施形態においても、第1実施形態の[1]と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、制御周期Tcを基準信号周期Tpの4倍以上とすることによって、それぞれの電流を取得可能な期間が確保されやすくなる。
さらに、第5電流値I5を用いて、相電流演算部61は、3相電流Iu、Iv、Iwを演算する。これにより、取得した電流値のゼロ点が調整される。このため、3相電流Iu、Iv、Iwの正確度がより向上する。
(第3実施形態)
第3実施形態では、電流検出期間確保演算部および電流検出タイミング調整演算部の処理が異なる点を除き、第2実施形態と同様である。
図21のフローチャートを参照して、第3実施形態の電流検出期間確保演算部273の演算について説明する。ステップ601およびステップ602は、第2実施形態のステップ401およびステップ402と同様である。
ステップ603において、電流検出期間確保演算部273は、奇数電圧デューティDoが電流検出デューティ下限値Dm未満、かつ、偶数電圧デューティDeが電流検出デューティ下限値Dm未満であるか否かを判定する。奇数電圧デューティDoが電流検出デューティ下限値Dm未満、かつ、偶数電圧デューティDeが電流検出デューティ下限値Dm未満であるとき、処理は、ステップ604に移行する。奇数電圧デューティDoが電流検出デューティ下限値Dm以上、または、偶数電圧デューティDeが電流検出デューティ下限値Dm以上であるとき、処理は、ステップ605に移行する。
ステップ604において、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(17−1)−(17−3)となるように、最大補正値C_max、中間補正値C_midおよび最小補正値C_minを演算する。
C_max=−Dm+Do ・・・(17−1)
C_mid=0 ・・・(17−2)
C_min=−Dm+De ・・・(17−3)
ステップ605において、電流検出期間確保演算部273は、奇数電圧デューティDoが電流検出デューティ下限値Dm未満であるか否かを再度判定する。奇数電圧デューティDoが電流検出デューティ下限値Dm未満であるとき、処理は、ステップ606に移行する。奇数電圧デューティDoが電流検出デューティ下限値Dm以上であるとき、処理は、ステップ607に移行する。
ステップ606において、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(18−1)−(18−3)となるように、最大補正値C_max、中間補正値C_midおよび最小補正値C_minを演算する。
C_max=−(Dm−Do)×0.5 ・・・(18−1)
C_mid=(Dm−Do)×0.5 ・・・(18−2)
C_min=0 ・・・(18−3)
ステップ607において、電流検出期間確保演算部273は、偶数電圧デューティDeが電流検出デューティ下限値Dm未満であるか否かを再度判定する。偶数電圧デューティDeが電流検出デューティ下限値Dm未満であるとき、処理は、ステップ608に移行する。偶数電圧デューティDeが電流検出デューティ下限値Dm以上であるとき、処理は、ステップ609に移行する。
ステップ608において、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(19−1)−(19−3)となるように、最大補正値C_max、中間補正値C_midおよび最小補正値C_minを演算する。
C_max=0 ・・・(19−1)
C_mid=(Dm−De)×0.5 ・・・(19−2)
C_min=−(Dm−De)×0.5 ・・・(19−3)
ステップ609において、電流検出期間確保演算部273は、以下関係式(20−1)−(20−3)となるように、最大補正値C_max、中間補正値C_midおよび最小補正値C_minを演算する。
C_max=0 ・・・(20−1)
C_mid=0 ・・・(20−2)
C_min=0 ・・・(20−3)
ステップ610において、電流検出期間確保演算部273は、最大補正値C_max、中間補正値C_mid、最小補正値C_minに基づき、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_atを演算する。また、電流検出期間確保演算部273は、最大補正値C_max、中間補正値C_mid、最小補正値C_minに基づき、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btを演算する。
例えば、U相デューティ換算値Du_rがMaxD_rであるとする。V相デューティ換算値Dv_rがMid_rであるとする。W相デューティ換算値Dw_rがMinD_rであるとする。このとき、第2実施形態と同様に、電流検出期間確保演算部273は、関係式(15−1)−(15−3)となるように、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_atを演算する。また、電流検出期間確保演算部273は、関係式(15−4)−(15−6)となるように、後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btを演算する。
第2実施形態と同様に、電流検出期間確保演算部273は、第1系統および第2系統のそれぞれに対して、前半デューティ一時値Du_at、Dv_at、Dw_atおよび後半デューティ一時値Du_bt、Dv_bt、Dw_btを演算する。
第3実施形態でも、第2実施形態と同様に、電流検出タイミング調整演算部274は、AD変換器54がシャント抵抗24から電流値を取得するタイミングが所定間隔となるように、有効電圧ベクトルが発生するタイミングを調整する。
図22および図23のフローチャートを参照して、第3実施形態の電流検出タイミング調整演算部274の演算について説明する。ステップ701およびステップ702は、第2実施形態のステップ501およびステップ502と同様である。
ステップ703において、電流検出タイミング調整演算部274は、4周期分の基準信号周期Tpに対して、第1系統における前半デューティ指令値および後半デューティ指令値をそれぞれ演算する。ステップ704およびステップ705は、第2実施形態のステップ504およびステップ505と同様である。
ステップ706において、電流検出タイミング調整演算部274は、4周期分の基準信号周期Tpに対して、第2系統における前半デューティ指令値および後半デューティ指令値をそれぞれ演算する。
図24に示すように、例えば、第1前半W相デューティ一時値Dw1_atが第1前半最小値MinD1_aであるとする。第1前半V相デューティ一時値Dv1_atが第1前半最大値MaxD1_aであるとする。第1後半W相デューティ一時値Dw1_btが第1後半最小値MinD1_bであるとする。第1後半U相デューティ一時値Du1_btが第1後半最大値MaxD1_bであるとする。
第2前半W相デューティ一時値Dw2_atが第2前半最小値MinD2_aであるとする。第2前半V相デューティ一時値Dv2_atが第2前半最大値MaxD2_aであるとする。第2後半W相デューティ一時値Dw2_btが第2後半最小値MinD2_bであるとする。第2後半U相デューティ一時値Du2_btが第2後半最大値MaxD2_bであるとする。
時刻e61から時刻e62までの期間では、第1系統および第2系統の両系統において、V3電圧ベクトルが確保される。時刻e61から時刻e62までの期間でAD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第1V相コイル812および第2V相コイル822に流れる電流の値を取得する。時刻e61から時刻e62までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第6電流値I6とする。
時刻e63から時刻e65までの期間では、第1系統において、V7電圧ベクトルが確保される。時刻e64から時刻e65までの期間では、第2系統において、V5電圧ベクトルが確保される。時刻e64から時刻e65までの期間で、AD変換器54は、第2W相コイル823に流れる電流の値をシャント抵抗24から取得する。時刻e64から時刻e65までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第7電流値I7とする。
時刻e66から時刻e69までの期間では、第1系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e67から時刻68までの期間では、第2系統において、V3電圧ベクトルが確保される。時刻e67から時刻68までの期間で、AD変換器54は、第2V相コイル822に流れる電流の値をシャント抵抗24から取得する。時刻e67から時刻68までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第8電流値I8とする。
時刻e70から時刻e71までの期間では、第1系統および第2系統の両系統において、V5電圧ベクトルが確保される。AD変換器54は、第1W相コイル813および第2W相コイル823に流れる電流の値をシャント抵抗24から取得する。時刻e70から時刻e71までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第9電流値I9とする。
時刻e72から時刻e73までの期間では、第1系統および第2系統の両系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e72から時刻e73までの期間において、AD変換器54が電流を取得することで、取得した電流値のゼロ点を調整できる。時刻e72から時刻e73までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第10電流値I10とする。なお、第6−第9電流値I6−I9は、以下関係式(21−1)−(21−4)のように、表される。
I6=Iv1+Iv2 ・・・(21−1)
I7=Iw2 ・・・(21−2)
I8=Iv2 ・・・(21−3)
I9=Iw1+Iw2 ・・・(21−4)
相電流演算部61は、第6−第10電流I6−I10およびキルヒホッフの法則に基づき、第1U相電流Iu1、第1V相電流Iv1、第1W相電流Iw1、第2U相電流Iu2、第2V相電流Iv2および第2W相電流Iw2を演算する。相電流演算部61は、以下関係式(22−1)−(22−6)となるように、第1U相電流Iu1、第1V相電流Iv1、第1W相電流Iw1、第2U相電流Iu2、第2V相電流Iv2および第2W相電流Iw2を演算する。このように、第3実施形態においても、第2実施形態と同様の効果を奏する。
Iv1=I6−I8−I10 ・・・(22−1)
Iw1=I9−I7−I10 ・・・(22−2)
Iu1=−Iv1−Iw1 ・・・(22−3)
Iv2=I8−I10 ・・・(22−4)
Iw2=I7−I10 ・・・(22−5)
Iu2=−Iv2−Iw2 ・・・(22−6)
(他の実施形態)
[i]第1実施形態において、第2実施形態および第3実施形態と同様に、基準信号周期Tpを前半期間および後半期間の半分に分けてもよい。
[ii]電流検出部は、高電位側の複数のインバータとバッテリの正極との間に設けられてもよい。
[iii]基準信号Pは、三角波信号に限定されず、鋸波等であってもよい。
[iv]本実施形態では、回転電機は、電動パワーステアリング装置に適用される。回転電機は、例えば車載用の電動モータであって、電動ファン、オイルポンプ、ウォーターポンプ等に用いられてもよい。回転電機は、車載用以外の電動モータであってもよい。
[v]回転電機と回転電機制御装置とは一体に設けられていることに限定されず、回転電機と回転電機制御装置とは別々に設けられてもよい。
[vi]基準信号生成部は、系統の数に応じて、設けられてもよく、各基準信号生成部が、第1基準信号P1および第2基準信号P2を生成してもよい。
[vii]巻線組81、82は、2組であり、インバータ11、12は、巻線組に対応して2つ設けられており、2組の巻線組81、82および2つのインバータ11、12が2つ設けられてもよい。
[viii]回転電機は、3相の交流モータに限らず、4相以上の多相の交流モータであってもよい。回転電機は、3組以上であってもよい。系統の数が3つ以上の複数の系統であってもよい。
図25に示すように、系統の数が3つであるとき、モータ80は、第3巻線組83をさらに備える。モータ制御装置3は、第3インバータ13をさらに備える。第2実施形態と同様に、モータ制御装置3は、シャント抵抗24、増幅回路44およびAD変換器54を備える。
第3巻線組83は、巻線としての第3U相コイル831、第3V相コイル832および第3W相コイル833を有する。第3コイル831−833は、一端が第3インバータ13と接続され、他端が結線されている。
第3インバータ13は、第3巻線組83に対応して設けられており、3相インバータである。第3インバータ13は、複数の第3スイッチング素子131−136を有する。高電位側スイッチング素子としての第3スイッチング素子131−133は、高電位側に接続されている。低電位側スイッチング素子としての第3スイッチング素子134−136は、低電位側に接続されている。
シャント抵抗24は、複数のインバータ11−13およびバッテリ9の共通配線であるグランドラインLgに流れる電流、すなわち、コイル811−813、821−823、831−833にそれぞれ流れる電流を検出可能である。
第3巻線組83および第3インバータ13の組み合わせを第3系統とする。第3系統におけるU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを第3U相電流Iu3、第3V相電流Iv3および第3W相電流Iw3と適宜記載する。
基準信号Pは、第1系統、第2系統および第3系統に対して、それぞれ生成される。第3系統に対応する基準信号Pを第3基準信号P3とする。基準信号生成部66は、第1基準信号P1の位相、第2基準信号P2の位相および第3基準信号P3の位相が同位相となるように、基準信号Pを生成する。第3系統における各一時値を第3前半デューティ一時値Du3_at、Dv3_at、Dw3_atおよび第3後半デューティ一時値Du3_bt、Dv3_bt、Dw3_btとする。
第2実施形態と同様に、電流検出タイミング調整演算部274は、第3前半デューティ一時値Du3_at、Dv3_at、Dw3_atの中で、最も小さい値を第3前半最小値MinD3_aとする。電流検出タイミング調整演算部274は、第3前半デューティ一時値Du3_at、Dv3_at、Dw3_atの中で、最も大きい値を第3前半最大値MaxD3_aとする。
また、電流検出タイミング調整演算部274は、第3後半デューティ一時値Du3_bt、Dv3_bt、Dw3_btの中で最も小さい値を第3後半最小値MinD3_bとする。第3後半デューティ一時値Du3_bt、Dv3_bt、Dw3_btの中で最も大きい値を第3後半最大値MaxD3_bとする。
1周期目における第3系統の前半デューティ指令値を第31前半デューティ指令値Du31_a、Dv31_a、Dw31_aとする。1周期目における第3系統の後半デューティ指令値を第31後半デューティ指令値Du31_b、Dv31_b、Dw31_bとする。2周期目における第3系統の前半デューティ指令値を第32前半デューティ指令値Du32_a、Dv32_a、Dw32_aとする。2周期目における第3系統の後半デューティ指令値を第32後半デューティ指令値Du32_b、Dv32_b、Dw32_bとする。3周期目における第3系統の前半デューティ指令値を第33前半デューティ指令値Du33_a、Dv33_a、Dw33_aとする。3周期目における第3系統の後半デューティ指令値を第33後半デューティ指令値Du33_b、Dv33_b、Dw33_bとする。4周期目における第3系統の前半デューティ指令値を第34前半デューティ指令値Du34_a、Dv34_a、Dw34_aとする。4周期目における第3系統の後半デューティ指令値を第34後半デューティ指令値Du34_b、Dv34_b、Dw34_bとする。これらの第3系統のデューティ指令値は、第2実施形態または第3実施形態と同様に、演算される。
図26に示すように、例えば、第1前半W相デューティ一時値Dw1_atが第1前半最小値MinD1_aであるとする。第1前半V相デューティ一時値Dv1_atが第1前半最大値MaxD1_aであるとする。第1後半V相デューティ一時値Dv1_btが第1後半最小値MinD1_bであるとする。第1後半W相デューティ一時値Dw1_btが第1後半最大値MaxD1_bであるとする。
第2前半W相デューティ一時値Dw2_atが第2前半最小値MinD2_aであるとする。第2前半V相デューティ一時値Dv2_atが第2前半最大値MaxD2_aであるとする。第2後半V相デューティ一時値Dv2_btが第2後半最小値MinD2_bであるとする。第2後半W相デューティ一時値Dw2_btが第2後半最大値MaxD2_bであるとする。
第3前半W相デューティ一時値Dw3_atが第3前半最小値MinD3_aであるとする。第3前半V相デューティ一時値Dv3_atが第3前半最大値MaxD3_aであるとする。第3後半V相デューティ一時値Dv3_btが第3後半最小値MinD3_bであるとする。第3後半W相デューティ一時値Dw3_btが第3後半最大値MaxD3_bであるとする。
電流検出タイミング調整演算部274は、1つの系統が有効電圧ベクトルであり、残りの系統が無効電圧ベクトルとなるように、中性点電圧を操作する。図26において、記載を明確にするため、第1系統、第2系統および第3系統において、U相に係るデューティを実線で記載している。同様に、V相に係るデューティを破線で記載している。W相に係るデューティを一点鎖線で記載している。なお、デューティ指令値Du、Dv、Dwの表示を省略している。
この場合、時刻e81から時刻e85までの期間では、第2系統および第3系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e82から時刻e83までの期間では、第1系統において、V3電圧ベクトルが確保される。時刻e83から時刻e84までの期間では、第1系統において、V5電圧ベクトルが確保される。
時刻e82から時刻e83までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第1V相コイル812に流れる電流の値を取得する。時刻e82から時刻e83までの期間にAD変換器54が取得した電流値を第11電流値I11とする。
時刻e83から時刻e84までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第1W相コイル813に流れる電流の値を取得する。時刻e83から時刻e44までの期間にAD変換器54が取得した電流値を第12電流値I12とする。
時刻e86から時刻e90までの期間では、第1系統および第3系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e87から時刻e88までの期間では、第2系統において、V3電圧ベクトルが確保される。時刻e88から時刻e89までの期間では、第2系統において、V5電圧ベクトルが確保される。
時刻e87から時刻e88までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第2V相コイル822に流れる電流の値を取得する。時刻e87から時刻e88までの期間にAD変換器54が取得した電流値を第13電流値I13とする。
時刻e88から時刻e89までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第2W相コイル823に流れる電流の値を取得する。時刻e88から時刻e89までの期間にAD変換器54が取得した電流値を第14電流値I14とする。
時刻e91から時刻e95までの期間では、第1系統および第2系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e92から時刻e93までの期間では、第3系統において、V3電圧ベクトルが確保される。時刻e93から時刻e94までの期間では、第3系統において、V5電圧ベクトルが確保される。
時刻e92から時刻e93までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第3V相コイル832に流れる電流の値を取得する。時刻e92から時刻e93までの期間にAD変換器54が取得した電流値を第15電流値I15とする。
時刻e93から時刻e94までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第3W相コイル833に流れる電流の値を取得する。時刻e93から時刻e94までの期間にAD変換器54が取得した電流値を第16電流値I16とする。
時刻e96から時刻e97までの期間では、第1系統、第2系統および第3系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e96から時刻e97までの期間において、AD変換器54が電流を取得することで、取得した電流値のゼロ点を調整できる。時刻e96から時刻e97までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第17電流値I17とする。
この場合において、相電流演算部61は、第11−第17電流I11−I17およびキルヒホッフの法則に基づき、U相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを演算する。相電流演算部61は、以下関係式(23−1)−(23−9)となるように、U相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを演算する。このように、系統の数が3つ以上の複数の系統であってもよい。
Iv1=I11−I17 ・・・(23−1)
Iw1=I12−I17 ・・・(23−2)
Iu1=−Iv1−Iw1 ・・・(23−3)
Iv2=I13−I17 ・・・(23−4)
Iw2=I14−I17 ・・・(23−5)
Iu2=−Iv2−Iw2 ・・・(23−6)
Iv3=I15−I17 ・・・(23−7)
Iw3=I16−I17 ・・・(23−8)
Iu3=−Iv3−Iw3 ・・・(23−9)
また、上記の場合において、第3実施形態のように、電流検出タイミング調整演算部274は、AD変換器54の取得回数の半分以上において、1つの系統が無効電圧ベクトルであり、残りの系統が有効電圧ベクトルとなるように、中性点電圧を操作してもよい。
図27に示すように、例えば、第1前半W相デューティ一時値Dw1_atが第1前半最小値MinD1_aであるとする。第1前半V相デューティ一時値Dv1_atが第1前半最大値MaxD1_aであるとする。第1後半W相デューティ一時値Dw1_btが第1後半最小値MinD1_bであるとする。第1後半U相デューティ一時値Du1_btが第1後半最大値MaxD1_bであるとする。図27において、記載を明確にするため、第1系統、第2系統および第3系統において、U相に係るデューティを実線で記載している。同様に、V相に係るデューティを破線で記載している。W相に係るデューティを一点鎖線で記載している。なお、デューティ指令値Du、Dv、Dwの表示を省略している。
第2前半W相デューティ一時値Dw2_atが第2前半最小値MinD2_aであるとする。第2前半V相デューティ一時値Dv2_atが第2前半最大値MaxD2_aであるとする。第2後半W相デューティ一時値Dw2_btが第2後半最小値MinD2_bであるとする。第2後半U相デューティ一時値Du2_btが第2後半最大値MaxD2_bであるとする。
第3前半W相デューティ一時値Dw3_atが第3前半最小値MinD3_aであるとする。第3前半V相デューティ一時値Dv3_atが第3前半最大値MaxD3_aであるとする。第3後半W相デューティ一時値Dw3_btが第3後半最小値MinD3_bであるとする。第3後半U相デューティ一時値Du3_btが第3後半最大値MaxD3_bであるとする。
時刻e101から時刻e102までの期間では、第1系統、第2系統および第3系統において、V3電圧ベクトルが確保される。時刻e101から時刻e102までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第1V相コイル812、第2V相コイル822および第3V相コイル832に流れる電流の値を取得する。時刻e101から時刻e102までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第18電流値I18とする。
時刻e103から時刻e105までの期間では、第1系統において、V7電圧ベクトルが確保される。時刻e104から時刻e105までの期間では、第2系統および第3系統において、V5電圧ベクトルが確保される。時刻e104から時刻e105までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第2W相コイル823および第3W相コイル833に流れる電流の値を取得する。時刻e104から時刻e105までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第19電流値I19とする。
時刻e106から時刻e109までの期間では、第1系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e107から時刻e108までの期間では、第2系統および第3系統において、V3電圧ベクトルが確保される。時刻e107から時刻e108までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第2V相コイル822および第3V相コイル832に流れる電流の値を取得する。時刻e108から時刻e109までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第20電流値I20とする。
時刻e110から時刻e111までの期間では、第1系統、第2系統および第3系統において、V5電圧ベクトルが確保される。時刻e110から時刻e111までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第1W相コイル813、第2W相コイル823および第3W相コイル833に流れる電流の値を取得する。時刻e110から時刻e111までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第21電流値I21とする。
時刻e112から時刻e114までの期間では、第1系統および第3系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e113から時刻e114までの期間では、第2系統において、V3電圧ベクトルが確保される。時刻e113から時刻e114までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第2V相コイル822に流れる電流の値を取得する。時刻e113から時刻e114までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第22電流値I22とする。
時刻e115から時刻e117までの期間では、第1系統および第3系統において、V7電圧ベクトルが確保される。時刻e116から時刻e117までの期間では、第2系統において、V5電圧ベクトルが確保される。時刻e116から時刻e117までの期間で、AD変換器54は、シャント抵抗24から電流値を取得する。このとき、AD変換器54は、第2W相コイル823に流れる電流の値を取得する。時刻e116から時刻e117までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第23電流値I23とする。
時刻e118から時刻e119までの期間では、第1系統、第2系統および第3系統において、V0電圧ベクトルが確保される。時刻e118から時刻e119までの期間において、AD変換器54が電流を取得することで、取得した電流値のゼロ点を調整できる。時刻e118から時刻e119までの期間で、AD変換器54が取得した電流値を第24電流値I24とする。なお、第18−第23電流値I18−I23は、以下関係式(24−1)−(24−6)のように、表される。
I18=Iv1+Iv2+Iv3 ・・・(24−1)
I19=Iw2+Iw3 ・・・(24−2)
I20=Iv2+Iv3 ・・・(24−3)
I21=Iw1+Iw2+Iw3 ・・・(24−4)
I22=Iv2 ・・・(24−5)
I23=Iw2 ・・・(24−6)
この場合、相電流演算部61は、第18−第24電流I18−I24およびキルヒホッフの法則に基づき、U相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを演算する。相電流演算部61は、以下関係式(25−1)−(25−9)となるように、U相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを演算する。このように、系統の数が3つ以上の複数の系統であってもよい。
Iv1=I18−I20−I24 ・・・(25−1)
Iw1=I21−I19−I24 ・・・(25−2)
Iu1=−Iv1−Iw1 ・・・(25−3)
Iv2=I22−I24 ・・・(25−4)
Iw2=I23−I24 ・・・(25−5)
Iu2=−Iv2−Iw2 ・・・(25−6)
Iv3=I20−I22−I24 ・・・(25−7)
Iw3=I19−I23−I24 ・・・(25−8)
Iu3=−Iv3−Iw3 ・・・(25−9)
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。