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JP5392361B2 - 車両および車両の制御方法 - Google Patents

車両および車両の制御方法 Download PDF

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JP5392361B2 JP2012009094A JP2012009094A JP5392361B2 JP 5392361 B2 JP5392361 B2 JP 5392361B2 JP 2012009094 A JP2012009094 A JP 2012009094A JP 2012009094 A JP2012009094 A JP 2012009094A JP 5392361 B2 JP5392361 B2 JP 5392361B2
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Description

本発明は、パルス幅変調(Pulse Width Modulation、以下「PWM」ともいう)制御によって制御される交流のモータを備えた車両に関する。
電気自動車やハイブリッド自動車、燃料電池自動車等の電動車両に搭載されるモータの出力トルクは、PWM制御によって制御されるのが一般的である。このPWM制御では、搬送波信号(キャリア信号)と電圧指令との電圧比較に基づいてインバータのスイッチング素子をオンオフさせることによって、パルス幅変調電圧をインバータからモータに印加させる。
特開平2−179297号公報(特許文献1)には、モータの異常が生じた場合に、PWM制御によるインバータの制御周期および制御周波数を変化させることで、モータの相電流のリップル周波数を変化させてモータで生じる電磁音を変化させ、その電磁音の変化によってモータの異常をユーザに報知する技術が開示されている。
特開平2−179297号公報 特開2007−221894号公報 特開2011−30352号公報 特開2008−109719号公報
ところで、PWM制御によって制御される交流のモータを備えた車両において、モータの相電流を周期的に変化させることでモータから音を意図的に発生させることが可能であるが、この際に駆動輪のスリップなどによってモータの回転速度が急変すると、モータの相電流が許容値を超える過電流状態となるおそれがある。しかしながら、特許文献1には、このような課題およびその解決手法について何ら言及されていない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、PWM制御によって制御される交流のモータを備えた車両において、モータから報知音を発生させつつ、モータの過電流を抑制することである。
この発明に係る車両は、交流のモータと、モータをパルス幅変調制御によって制御する制御装置とを備える。制御装置は、モータの電圧指令値に変動値を周期的に加えることでモータの相電流を変動させてモータから音を発生させる際、電圧指令値と変動値との合計が予め定められた許容範囲内に収まるように変動値を調整する。
好ましくは、制御装置は、電圧指令値と変動値との合計の最大値が許容範囲の上限値以下になりかつ電圧指令値と変動値との合計の最小値が許容範囲の下限値以上になるように、変動値を調整する。
好ましくは、制御装置は、電圧指令値が許容範囲の上限値よりも大きい場合または電圧指令値が許容範囲の下限値よりも小さい場合、変動値を零とする。
好ましくは、モータは、車両の車輪に連結される。電圧指令値は、車輪のスリップに応じて変動する値である。
好ましくは、電圧指令値は、相電流を2相変換して得られるd軸電流およびq軸電流をそれぞれの目標値に近づけるための電流フィードバック制御によって得られるd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値の少なくとも一方である。
この発明の別の局面に係る車両の制御方法は、パルス幅変調制御によって制御される交流のモータを備えた車両の制御方法であって、モータの電圧指令値を設定するステップと、電圧指令値に変動値を周期的に加えることでモータの相電流を変動させてモータから音を発生させるステップとを含む。モータから音を発生させるステップは、電圧指令値と変動値との合計が許容範囲内に収まるように変動値を調整するステップを含む。
本発明によれば、PWM制御によって制御される交流のモータを備えた車両において、モータから報知音を発生させつつ、モータの過電流を抑制することができる。
車両の全体構成図である。 モータのPWM制御の態様を模式的に示す図である。 制御装置の機能ブロック図である。 変動値ΔVの調整手法の一例を説明するための図(その1)である。 変動値ΔVの調整手法の一例を説明するための図(その2)である。 制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、本発明の実施の形態による車両1の全体構成図である。車両1は、電動車両(ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等の電気エネルギによって得られた駆動力で走行する自動車)である。
車両1は、直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC0,C1と、コンバータ12と、インバータ14と、モータM1と、制御装置30とを備える。
モータM1は、交流モータであって、代表的には3相(U相、V相、W相)の永久磁石型同期モータである。モータM1は、主として車両1を走行させるための駆動力を発生する走行用モータとして機能するものであってもよいし、主として走行用モータを駆動させるための電力を発生するジェネレータとして機能するものであってもよい。
直流電源Bは、代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電装置により構成される。直流電源Bが出力する直流電圧Vbおよび入出力される直流電流Ibは、電圧センサ10および電流センサ11によってそれぞれ検出される。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および正極線6の間に接続され、システムリレーSR2は、直流電源Bの負極端子および負極線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。
コンバータ12は、リアクトルLA1と、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。スイッチング素子Q1およびQ2は、正極線7および負極線5の間に直列に接続される。リアクトルLA1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと正極線6の間に接続される。また、平滑コンデンサC0は、正極線7および負極線5の間に接続される。
コンバータ12は、基本的には、各スイッチング周期内でスイッチング素子Q1およびQ2が相補的かつ交互にオンオフするように制御される。コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bが出力する直流電圧Vbを直流電圧VHへ昇圧する。また、コンバータ12は、降圧動作時には、直流電圧VHを直流電圧Vbに降圧する。スイッチング素子Q1およびQ2のオンオフは、制御装置30からの制御信号S1およびS2によって制御される。
平滑コンデンサC0は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわち、直流電圧VHを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。
インバータ14は、正極線7および負極線5の間に並列に設けられる、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17とから成る。各相上下アームは、正極線7および負極線5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、ダイオードD3〜D8がそれぞれ逆並列に接続されている。各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の中間点には、モータM1の各相コイルの他端が接続される。スイッチング素子Q3〜Q8のオンオフは、制御装置30からの制御信号S3〜S8によって制御される。
インバータ14は、モータM1をモータとして機能させる場合には、制御装置30からの制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、平滑コンデンサC0から供給される直流電圧を交流電圧に変換してモータM1を駆動する。一方、モータM1をジェネレータとして機能させる場合には、制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作によりモータM1が回生発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を平滑コンデンサC0を介してコンバータ12へ供給する。
電流センサ24は、モータM1に流れる相電流(U相電流iu,V相電流iv,W相電流iw)を検出し、その検出結果を制御装置30へ出力する。なお、U相電流iu,V相電流iv,W相電流iwの瞬時値の和は零であるので、図1に示すように電流センサ24はたとえばV相電流ivおよびW相電流iwを検出するように配置すれば足りる。
レゾルバ25は、モータM1のロータ回転角θを検出し、その検出した回転角θを制御装置30へ出力する。制御装置30では、回転角θに基づきモータM1の回転速度を算出できる。
制御装置30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵した電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成され、当該メモリに記憶された情報およびプログラムに基づいて所定の演算処理を実行することによって、車両1の各機器の動作を制御する。
代表的な機能として、制御装置30は、トルク指令値Trqcomおよび各センサの検出結果に基づいて、モータM1がトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するように、コンバータ12およびインバータ14の動作を制御する。すなわち、コンバータ12およびインバータ14を上記のように制御するための制御信号S1〜S8を生成して、コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
図2は、モータM1(インバータ14)のPWM制御の態様を模式的に示す図である。図2に示すように、PWM制御では、キャリア信号CRと相電圧指令値170(後述の相電圧指令値Vu,Vv,Vwに相当)との電圧比較を各相ごとに行なった結果でインバータ14の各相のスイッチング素子のオンオフを制御することによって、疑似正弦波電圧としてのパルス幅変調電圧180をモータM1の各相に印加させる。なお、キャリア信号CRは、三角波やのこぎり波によって構成することができる。図2では、三角波を例示する。
以上のような構成を有する車両1において、制御装置30は、モータM1のPWM制御を行なう際、後述のd軸電圧指令値Vdに所定周期で変動値ΔVを加えることによってモータM1の相電流を意図的に変動させて車両1の接近を歩行者などに報知するための音(以下「報知音」という)をモータM1から発生させる。
ところが、たとえばモータM1に連結された駆動輪が路面に対してスリップしたりあるいはグリップしたりする(スリップが解消したりする)ことによってモータM1の回転速度が急変すると、後述するように、d軸電圧指令値Vdそのものも大きく変動する。このようにd軸電圧指令値Vdが大きく変動する状態で報知音を発生させるためにd軸電圧指令値Vdに変動値ΔVを加えると、d軸電圧指令値Vdと変動値ΔVとの合計が許容範囲を超えてしまい、モータM1に過電流が発生するおそれがある。
このような問題に鑑み、本実施の形態による制御装置30は、モータM1から報知音を発生させるためにd軸電圧指令値Vdに変動値ΔVを加える際、d軸電圧指令値Vdと変動値ΔVとの合計がモータM1の過電流を抑制可能な許容範囲内に収まるように変動値ΔVを調整する。これにより、モータM1から報知音を発生させつつ、モータM1の過電流を抑制することができる。この点が本実施の形態の最も特徴的な点である。
図3は、PWM制御に関する部分の制御装置30の機能ブロック図である。図3に示した各機能ブロックは、ハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
PWM制御は、制御装置30に含まれるPWM制御部200によって行なわれる。
PWM制御部200は、電流指令生成部210と、座標変換部220,250と、電圧指令生成部240と、報知音発生処理部241と、PWM変調部260とを含む。
電流指令生成部210は、予め作成されたマップ等に従って、トルク指令値Trqcomに対応するd軸電流指令値Idcomおよびq軸電流指令値Iqcomを生成する。
座標変換部220は、レゾルバ25によって検出されるロータ回転角θを用いた座標変換(U,V,W相の3相→d,q軸の2相)により、電流センサ24によって検出されたV相電流ivおよびW相電流iwをd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換(2相変換)する。
電圧指令生成部240には、d軸電流指令値Idcomとd軸電流Idとの偏差ΔId(ΔId=Idcom−Id)およびq軸電流指令値Iqcomとq軸電流Iqとの偏差ΔIq(ΔIq=Iqcom−Iq)が入力される。
電圧指令生成部240は、d軸電流Idおよびq軸電流Iqをそれぞれd軸電流指令値Idcomおよびq軸電流指令値Iqcomに近づけるための電流フィードバック制御を行なうことにより、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを算出する。具体的には、電圧指令生成部240は、偏差ΔId,ΔIqのそれぞれについてPI(比例積分)制御などを行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じて電流フィードバック後のd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを生成する。なお、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqは、後述するU相電圧指令Vu、V相電圧指令Vv、W相電圧指令Vwをd,q軸に変換(2相変換)した電圧値に相当する。
電圧指令生成部240は、d軸電圧指令値Vdを報知音発生処理部241に出力するとともに、q軸電圧指令値Vqを座標変換部250に出力する。
報知音発生処理部241は、モータM1から報知音を発生させるための処理(以下「報知音発生処理」ともいう)をd軸電圧指令値Vdに対して施した値を、報知音発生処理後のd軸電圧指令値Vdaに設定する。具体的には、報知音発生処理部241は、d軸電圧指令値Vdに所定周期で変動値ΔVを加えた値を報知音発生処理後のd軸電圧指令値Vdaに設定し、報知音発生処理後のd軸電圧指令値Vdaを座標変換部250に出力する。
報知音発生処理部241は、報知音発生処理を行なう際、報知音発生処理後のd軸電圧指令値Vda(=d軸電圧指令値Vdと変動値ΔVとの合計)がモータM1の過電流を抑制可能な許容範囲内に収まるように、変動値ΔVを調整する。上述したように、この点が本実施の形態の最も特徴的な点である。報知音発生処理部241による変動値ΔVの調整手法については後に詳述に例示する。
なお、報知音発生処理を施す対象は、必ずしも「d軸電圧指令値Vd」に限定されるものではなく、たとえば「d軸電圧指令値Vd」に代えてあるいは加えて「q軸電圧指令値Vq」としてもよい。また、報知音発生処理は、必ずしも常時行なう必要はない。たとえば、車両1がエンジンおよび走行用モータを備えるハイブリッド自動車である場合、エンジン音が生じないエンジン停止中(走行用モータでの走行中)に報知音発生処理を行ない、エンジン作動中は報知音発生処理を行なわないようにしてもよい。
座標変換部250は、ロータ回転角θを用いた座標変換(d,q軸の2相→U,V,W相の3相)によって、d軸電圧指令値Vdaおよびq軸電圧指令値VqをU相電圧指令Vu、V相電圧指令Vv、W相電圧指令Vwに変換(3相変換)する。
PWM変調部260は、キャリア信号CRと座標変換部250からの各相電圧指令値Vu,Vv,Vw(図2の相電圧指令値170に相当)との電圧比較に従って、インバータ14の制御信号S3〜S8を生成する。制御信号S3〜S8に従ってインバータ14の各相上下アーム素子のオンオフを制御することによって、モータM1の各相に、図2のパルス幅変調電圧180に相当する疑似正弦波電圧が印加される。これにより、モータM1に各相電流iu,iv,iwが流れる。
図4,5は、報知音発生処理部241による変動値ΔVの調整手法の一例を説明するための図である。なお、図4,5においては、d軸電圧指令値Vdaの許容範囲が±αボルト(許容上限値=+α、許容下限値=−α)に設定され、モータM1の相電流の許容範囲が±βアンペア(許容上限値=+β、許容下限値=−β)に設定される場合が示されている。
上述のように、報知音発生処理部241は、電流フィードバック後のd軸電圧指令値Vdに変動値ΔV(図4,5に示す例では±ΔVの擬似正弦波状の変動値)を所定周期で加えた値を報知音発生処理後のd軸電圧指令値Vdaとすることで、モータM1の相電流を変動させてモータM1から報知音を発生させる。この際、報知音発生処理部241は、d軸電圧指令値VdaがモータM1の過電流を抑制可能な許容範囲(−αから+αまでの予め定められた範囲)内に収まるように、より具体的には報知音発生処理時のd軸電圧指令値Vdaの最大値(=Vd+ΔV)が許容上限値(=+α)以下になりかつ報知音発生処理時のd軸電圧指令値Vdaの最小値(=Vd−ΔV)が許容下限値(=−α)以上になるように、変動値ΔVを設定する。
図4に示すように、電流フィードバック後のd軸電圧指令値Vdがほぼ0ボルトに安定している場合、報知音発生処理部241は、変動値ΔVをほぼ「α」に設定する。その結果、報知音発生処理時のd軸電圧指令値Vdaの最大値(=Vd+ΔV)および最小値(=Vd−ΔV)は、それぞれ許容上限値(=+α)および許容下限値(=−α)とほぼ一致する。これにより、d軸電圧指令値Vdaを許容範囲内に収めつつ、d軸電圧指令値Vdaの変動量をほぼ最大にまで拡げることができる。その結果、図4に示すように、モータM1の相電流が許容上限値(=+β)未満の範囲で大きく変動され、より大きな報知音をモータM1から発生させることができる。
一方、走行路面に対する駆動輪のスリップあるいはグリップなどでモータM1の回転速度が急変する場合には、モータM1の逆起電力によってモータM1の相電流が変化するためd軸電流Idおよび偏差ΔIdも順次変化する。これにより、図5に示すように、d軸電圧指令値Vdも大きく変動する(なお、図5には、例示的に、Vdが0ボルトよりも増加している場合が例示されている)。この場合、変動値ΔVを「α」のまま維持すると、報知音発生処理時のd軸電圧指令値Vdaの最大値(=Vd+α)が許容上限値(=+α)を超えてしまい、相電流が許容上限値(=+β)を超える過電流状態となってしまうことが想定される(図5の一点鎖線参照)。そこで、報知音発生処理部241は、d軸電圧指令値Vdaが許容範囲内に収まるように、変動値ΔVを「α−|Vd|」として報知音発生処理によるd軸電圧指令値Vdaの増加幅をαよりも小さくする。これにより、スリップ中は非スリップ中よりも変動値ΔVに起因する相電流の変動幅が小さくなり相電流が許容範囲(−βから+βまでの範囲)内に収まるようになる。その結果、報知音はやや小さくなるが、モータM1の過電流を回避することができる。
なお、電流フィードバック後のd軸電圧指令値Vdそのものが許容上限値(=+α)よりも大きい場合あるいは許容下限値(=−α)よりも小さい場合、報知音発生処理部241は、変動値ΔVを0に設定する。この際、Vdそのものを許容範囲内に収まるように補正してもよい。
図6は、上述の報知音発生処理部241の機能を実現するための制御装置30の処理手順を示すフローチャートである。
ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10にて、制御装置30は、電流フィードバック後のd軸電圧指令値Vdを取得する。
S11にて、制御装置30は、電流フィードバック後のd軸電圧指令値Vdを変動させるタイミングであるか否か(前回の±ΔV変動から所定周期が経過したか否か)を判定する。
Vdを変動させるタイミングではない場合(S11にてNO)、制御装置30は、処理をS16に移し、VdをそのままVdaに設定する。
一方、Vdを変動させるタイミングである場合(S11にてYES)、制御装置30は、S12にてVdが許容範囲内であるか否か(−α≦Vd≦αであるか否か)を判定する。
Vdが許容範囲内である場合(S12にてYES)、制御装置30は、Vd±ΔVが許容範囲内に収まるように(−α≦Vd±ΔV≦αとなるように)、変動値ΔV(より詳しくはΔVの絶対値)をα−|Vd|に設定(調整)する。
一方、Vdが許容範囲の上限値(=+α)よりも大きい場合またはVdが許容範囲の下限値(=−α)よりも小さい場合、変動値ΔVを0に設定する。なお、この際、Vdそのものを許容範囲内に収まるように補正してもよい。
S13あるいはS14の処理後、制御装置30は、処理をS15に移し、Vd±ΔVをVdaに設定する。
以上のように、本実施の形態による制御装置30は、モータM1から報知音を発生させるためにd軸電圧指令値Vdに変動値ΔV(より詳しくは±ΔVの擬似正弦波状の変動値)を周期的に加える。この際、制御装置30は、d軸電圧指令値Vdと変動値ΔVとの合計(=Vd±ΔV)がモータM1の過電流を抑制可能な許容範囲(−αから+αまでの範囲)内に収まるように、変動値ΔVを調整する。これにより、モータM1から報知音を発生させつつ、モータM1の過電流を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、5 負極線、6,7 正極線、10,13 電圧センサ、11,24 電流センサ、12 コンバータ、14 インバータ、15〜17 各相上下アーム、25 レゾルバ、30 制御装置、170 相電圧指令値、180 パルス幅変調電圧、200 PWM制御部、210 電流指令生成部、220,250 座標変換部、240 電圧指令生成部、241 報知音発生処理部、260 PWM変調部、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、D1〜D8 ダイオード、LA1 リアクトル、M1 モータ、Q1〜Q8 スイッチング素子、SR1,SR2 システムリレー。

Claims (5)

  1. 交流のモータと、
    前記モータをパルス幅変調制御によって制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記モータの電圧指令値に変動値を周期的に加えることで前記モータの相電流を変動させて前記モータから音を発生させる際、前記電圧指令値と前記変動値との合計が予め定められた許容範囲内に収まるように前記変動値を調整し、
    前記モータは、車両の車輪に連結され、
    前記電圧指令値は、前記車輪のスリップに応じて変動する値である、車両。
  2. 前記制御装置は、前記電圧指令値と前記変動値との合計の最大値が前記許容範囲の上限値以下になりかつ前記電圧指令値と前記変動値との合計の最小値が前記許容範囲の下限値以上になるように、前記変動値を調整する、請求項1に記載の車両。
  3. 前記制御装置は、前記電圧指令値が前記許容範囲の上限値よりも大きい場合または前記電圧指令値が前記許容範囲の下限値よりも小さい場合、前記変動値を零とする、請求項2に記載の車両。
  4. 前記電圧指令値は、前記相電流を2相変換して得られるd軸電流およびq軸電流をそれぞれの目標値に近づけるための電流フィードバック制御によって得られるd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値の少なくとも一方である、請求項1に記載の車両。
  5. パルス幅変調制御によって制御される交流のモータを備えた車両の制御方法であって、
    前記モータの電圧指令値を設定するステップと、
    前記電圧指令値に変動値を周期的に加えることで前記モータの相電流を変動させて前記モータから音を発生させるステップとを含み、
    前記モータから音を発生させるステップは、前記電圧指令値と前記変動値との合計が許容範囲内に収まるように前記変動値を調整するステップを含み、
    前記モータは、前記車両の車輪に連結され、
    前記電圧指令値は、前記車輪のスリップに応じて変動する値である、車両の制御方法。
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