以下、この発明に基づいた実施の形態における薬剤供給装置の構造について、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る薬剤供給装置を示す斜視図である。薬剤供給装置100は、筐体110を備える。図1には、薬剤供給装置100から筐体110の一部を除いた状態が示されている。
薬剤供給装置100は、薬剤を収容した容器を供給する。容器の形状は、チューブ状である。薬剤供給装置100は、薬剤が充填されたチューブ容器を供給する。
薬剤供給装置100は、カセット支持部600と、容器取出部700と、を備える。カセット支持部600は、図1では図示を省略されている複数のカセット200を支持する。複数のチューブ容器が、複数のカセット200の各々に収納される。容器取出部700は、複数のカセット200の各々に対応する位置に移動し、複数のカセット200の各々からチューブ容器を取り出す。
カセット支持部600は、複数のカセット200が仮想面に沿って並ぶように、複数のカセット200を支持する。本実施の形態では、仮想面は、水平面に垂直な平面である。より詳しくは、仮想面は、筐体110の前面と平行な、筐体110内に位置する垂直面である。仮想面にその前端が揃うように複数のカセット200が、水平な左右方向および鉛直な上下方向に並ぶ。
容器取出部700は、ヘッド部720と、ヘッド部720を移動させるヘッド部移動部710と、を備える。ヘッド部720は、カセット200からチューブ容器を取り出す。ヘッド部720は、カセット支持部600よりも手前側に位置する。ヘッド部移動部710は、ヘッド部720を、仮想面に沿って上下左右に移動させる。これによってヘッド部移動部710は、ヘッド部720を、複数のカセット200の各々に対応する位置に移動させる。
ヘッド部移動部710は、一例として、XキャリッジとYキャリッジとを含む。Yキャリッジは、サーボモータ、このサーボモータで駆動され上下方向に延びるボールネジ、上下方向に延びる縦ガイドなどを含む。Xキャリッジは、縦ガイドに上下方向に案内されるキャリッジ本体、サーボモータ、このサーボモータで駆動される横方向に延びるボールネジなどを含む。
容器取出部700は、カセット200から取り出したチューブ容器を、図示しないトレイに受け渡す。トレイは、容器取出部700の下方に位置する。トレイは、トレイ搬送部によって筐体110に設けられたトレイ搬送孔112を通って搬送される。
図2は、カセットを示す、斜め上方から見た斜視図である。図3は、カセットを異なる角度で斜め上方から見た斜視図である。カセット200は、複数のチューブ容器が前後方向に並ぶように、複数のチューブ容器を収納する。ここで前後方向とは、仮想面に交差する方向である。本実施の形態では、前後方向は、仮想面に垂直な方向である。図2では、前方向Frと後方向Rrとを、それぞれ矢印で示している。
カセット200は、カセット本体230と、開口部210と、閉塞部220と、を備える。カセット本体230は、前後方向に並ぶ複数のチューブ容器を収納する。開口部210は、カセット本体230の底面に形成される。開口部210は、下方に開口している。この開口部210を通して、カセット本体230からチューブ容器が下方に取り出される。閉塞部220は、開口部210を開放および閉塞する。
カセット本体230は、カセット底部231と、カセット底部231から立ち上がるカセット周壁部233と、を備える。カセット底部231とカセット周壁部233とによって、チューブ容器を収納する収納部235が形成される。カセット本体230は、上方に開放しており、カセット本体230には、作業者により上方からチューブ容器が補充される。
カセット本体230には、複数のチューブ容器を前後方向に案内する容器案内部が設けられる。容器案内部は、チューブ容器の寸法に応じて調整可能である。容器案内部は、左側案内部241と、右側案内部243と、下側案内部245と、上側案内部246と、を備える。左側案内部241は、複数のチューブ容器の左側に位置する。右側案内部243は、複数のチューブ容器の右側に位置する。下側案内部245は、複数のチューブ容器の下側に位置する。上側案内部246は、複数のチューブ容器の上側に位置する。
上記の右側および左側とは、図1に示す筐体110にカセット200が収納された状態における、薬剤供給装置100に正対する作業者の右側および左側を示す。すなわち、前方から後方へカセット200を見たときの右側および左側が、上記の右側および左側である。図2では、右方向Rと左方向Lとを、それぞれ矢印で示している。
左側案内部241と右側案内部243との距離は、チューブ容器の寸法に応じて調整可能である。左側案内部241は、カセット本体230と一体に形成される。右側案内部243は、カセット本体230に対して、左右方向の位置を調整可能である。右側案内部243は、カセット本体230とは別体で形成され、カセット本体230に取り付けられる。
より詳しくは、右側案内部243は仕切板であり、カセット本体230には左右方向に並ぶ複数の溝248Aと複数の嵌合孔248Bとが形成されている。右側案内部243は、複数の溝248Aおよび複数の嵌合孔248Bのうちのいずれか一つに嵌め合わされる。右側案内部243を嵌め合わせる溝248Aおよび嵌合孔248Bを変えることで、右側案内部243のカセット本体230への取付位置を変えることができ、これにより、右側案内部243の左右方向の位置を調整することができる。
下側案内部245は、カセット本体230のカセット底部231の一部および閉塞部220の一部によって構成される。上側案内部246は、カセット本体230および閉塞部220とは別体で形成され、カセット本体230に取り付けられる。上側案内部246は、チューブ容器の上方への移動を規制する規制部を構成している。上側案内部246は、たとえば、水平方向に延びる押え板246Aと垂直方向に延びる取付板246Bで構成されている。
下側案内部245と上側案内部246との距離は、チューブ容器の寸法に応じて調整可能である。より詳しくは、上側案内部246は、右側案内部243とも別体で形成され、右側案内部243を介してカセット本体230に取り付けられる。上側案内部246は、カセット本体230の収納部に対する上下方向および前後方向の位置を調整可能に構成されている。
右側案内部243には、複数の長穴244が形成されている。カセット本体230に取り付けられた右側案内部243は上下方向および前後方向に延在しており、複数の長穴244は各々、前方へ向かうにつれて下方へ向かうように斜めに延びている。取付板246Bには、丸穴が形成されている。取付板246Bの丸穴および右側案内部243の長穴244を貫通してボルト246Cがナット246Dに螺合されることにより、取付板246Bが右側案内部243に取り付けられる。ボルト246Cの長穴244への固定位置を変えることで、取付板246Bの右側案内部243への取付位置を変えることができ、これにより、上側案内部246の収納部235に対する上下方向および前後方向の位置を調整することができる。
開口部210は、カセット本体230の収納部235における前方寄りの部分に形成される。この開口部210を通して、収納部235から、複数のチューブ容器のうちの先頭のチューブ容器が取り出される。より詳しくは、開口部210は、カセット本体230のカセット底部231における前方寄りの部分に形成される。この開口部210を通して、収納部235から、複数のチューブ容器のうち最も前方のチューブ容器が下方に放出される。
閉塞部220は、開口部210に対して前後方向に移動可能である。図2,3に示す閉塞部220は、開口部210を閉塞する閉塞位置に配置されている。閉塞部220は、閉塞位置から、開口部210に対して後方に相対移動を行なうことによって、開口部210を開放する開口位置に移動する。
カセット200は、被保持部247を備える。被保持部247は、カセット本体230に形成されている。より詳しくは、被保持部247は、カセット本体230の前端部に形成される。複数の溝248Aは、被保持部247に形成されている。被保持部247が容器取出部700(図1)によって保持されることにより、カセット200は前後方向に移動する。
カセット200は、送り部310を備える。送り部310は、複数のチューブ容器をカセット200内において前方向Frに送るとともに、複数のチューブ容器の後方向Rrへの移動を阻止する。送り部310が複数のチューブ容器をカセット200内において前方向Frに送ることによって、カセット200内において、複数のチューブ容器が前方に詰められる。
送り部310は、可動部320と、抵抗部360と、移動制限部380と、を備える。可動部320は、カセット200に設けられ、詳しくはカセット本体230に設けられる。可動部320は、複数のチューブ容器のうち最後尾のチューブ容器の後方に位置する。可動部320は、カセット本体230に対して、前後方向に移動可能である。抵抗部360は、カセット200とともに前後方向に移動しようとする可動部320に抵抗を与える。
移動制限部380は、カセット200に対する可動部の移動を制限する。移動制限部380は、可動部320がカセット本体230に対して前方に移動することを許容し、かつ、可動部320がカセット本体230に対して後方に移動することを阻止する。移動制限部380と可動部320との間には、前後方向の遊びが設けられる。
可動部320には、固定板321が固定されている。可動部320には上方に開口するねじ穴が形成されており、固定板321には複数の貫通孔が形成されている。ねじ部材323が、固定板321の貫通孔を貫通して、可動部320に形成されたねじ穴に螺合されることにより、固定板321は可動部320にねじ固定されている。
突出部322は、固定板321と一体に設けられている。突出部322は、固定板321から前方に突出している。突出部322の前端は、送り部310を構成する各部材のうち、最も前方に位置する部分を構成している。
可動部320には、前後方向に並ぶ2つのねじ穴が形成されている。固定板321には、ねじ穴と同間隔で前後方向に並ぶねじ穴と同数(実施の形態では2つ)の貫通孔の組が、複数組(実施の形態では2組)形成されている。複数組の貫通孔の組のうちいずれか1つの組の貫通孔をねじ部材323が貫通して、固定板321は可動部320に固定される。ねじ部材323が貫通する貫通孔の組を選択的に変更することにより、可動部320に対する固定板321の取付位置が変更可能である。これによって、固定板321および突出部322の左右方向における設置位置を、変更可能である。突出部322は、左右方向における複数の位置に設置可能である。
図4は、チューブ容器を斜め上方から見た斜視図である。図5は、チューブ容器の平面図である。図4,5に示すチューブ容器1の内部には、軟膏などの半固形の薬剤が充填されている。
チューブ容器1は、胴部2と、胴部2の一方端に設けられた肩部3と、胴部2の他方端に設けられた底部4とを有している。肩部3は、チューブ容器1の長手方向(図5における左右方向)において、円環状の形状を有している。胴部2は、チューブ容器1に薬剤が充填されている状態で、少なくとも肩部3の近傍の一部分において、略円筒状の形状を有している。底部4は、扁平な形状を有している。図4,5に示すように、底部4は、チューブ容器1の末端に設けられている。
肩部3には、中空円筒状の口部5が、肩部3と同心に取り付けられている。有頂筒形状のキャップ6が、口部5に着脱可能に装着されている。たとえば、口部5の外周面に雄ねじ形状が形成され、キャップ6の内周面に雌ねじ形状が形成されることにより、互いに着脱可能な口部5およびキャップ6を実現可能である。キャップ6が口部5に装着された状態で、口部5はキャップ6によって覆われているため外部からは視認できない。そのため図5では、口部5は破線で図示されている。
胴部2とキャップ6とは、筒状の筒形状部を構成している。図4,5に示すキャップ6は、胴部2よりも小径に設けられている。したがって実施の形態の胴部2は、筒形状部のうち最も径の大きい最大径部分を構成している。
中空円筒状の口部5は、軸方向における一方の端部である固定端(図5においては右側)と、他方の端部である開放端(図5においては左側)とを有している。固定端は、肩部3に連設されている。口部5は、開放端に開口を有している。キャップ6が口部5に装着された状態で、口部5の外周面の少なくとも一部と開放端とは、キャップ6によって覆われている。キャップ6は、口部5に形成された開口を封止しており、チューブ容器1の内容物(薬剤)をチューブ容器1内に気密に保持している。キャップ6を口部5から取り外した状態で胴部2を押すことにより、チューブ容器1の内容物が口部5の開口を通過して外部へ取り出される。
図6は、チューブ容器が収納されたカセットの平面図である。図7は、図6中に示すVII−VII線に沿うカセットの断面図である。図6,7に示すカセット200には、複数(図6,7に示す例では4つ)のチューブ容器1が収納されている。複数のチューブ容器1は、収納部235内に、複数のチューブ容器1が前後方向に並ぶように、収納されている。複数のチューブ容器1は、その各々が倒れた状態で、かつ、長手方向が前後方向に直交する状態で、収納部235内に収納されている。
図6,7に示す4つのチューブ容器1は、カセット200の底面のうち閉塞部220に搭載されている。カセット200にさらに多くの、すなわち5つ以上のチューブ容器1が収納される場合には、チューブ容器1は、閉塞部220のみならず、カセット底部231にも搭載される。
図6に示すように、前後方向に並ぶ4つのチューブ容器1のうち、最も後方のチューブ容器1の胴部2に、突出部322の前端が当接している。突出部322は、上述した最大径部分を構成する胴部2に当接してチューブ容器1を後方から前方へ押す、実施の形態の当接部としての機能を有している。
突出部322が固定板321から突出する高さは、チューブ容器1の長手方向に直交する平面における、底部4の最大差し渡し長さからチューブ容器1の筒形状部の最大径部分の直径を減じた差を、さらに二で割った値よりも、大きいことが好ましい。このようにすれば、突出部322を、確実に最大径部分に当接させて当接部として機能させることが可能である。
上側案内部246は、図7に明確に示すように、右側案内部243の前方の端部にまで延びていない。右側案内部243の前端と、上側案内部246との間には、上側案内部246が設けられていないカット部249が形成されている。前後方向に並ぶ複数のチューブ容器1のうち、最も前方の先頭のチューブ容器1は、その全体の上方にカット部249があり、上側案内部246によって上方が覆われていない。上側案内部246は、カット部249が形成されていることにより、複数のチューブ容器1のうち先頭のチューブ容器1の上方への移動を許容する。
上側案内部246の前端は、上方から見て、先頭から2番目のチューブ容器1に重畳している。上側案内部246は、複数のチューブ容器1のうち先頭から2番目以降のチューブ容器1の上方に存在している。より詳しくは、上側案内部246は、先頭から2番目以降のチューブ容器1の、キャップ6の全体と胴部2の一部との上方に存在している。キャップ6および胴部2の一部は、平面視において、上側案内部246によって覆われているため視認できない。そのため図6では、キャップ6および胴部2の一部は破線で図示されている。
上側案内部246は、実施の形態のチューブ容器1における上述した最大径部分の移動経路を、上から覆っている。これにより上側案内部246は、先頭から2番目以降のチューブ容器1の上方への移動を規制している。先頭から2番目以降のチューブ容器1は、上方へ移動しようとした場合には上側案内部246と干渉する。したがって、先頭から2番目以降のチューブ容器1は、上側案内部246の押え板246Aとチューブ容器1との間の隙間(図7参照)分以上は、上方へ移動できない構成とされている。
図5に示されるように、胴部2の最大径部分よりも底部4の方が、チューブ容器1の長手方向に直交する方向における最大差し渡し長さ(図5においては図中の上下方向寸法)が大きい。図6に示すように、チューブ容器1のうち、底部4の移動経路は、上側案内部246によって覆われない構成とされている。
図7および図2,3に示すように、閉塞部220の前端部には突起部224が設けられている。突起部224は、閉塞部220の前端部よりも上方に突起している。
突起部224は、図7に示すように、断面形状が直角三角形状である。直角三角形の直角を形成する二辺のうちの一方が閉塞部220の上面に接触し、他方が前方に向くように、突起部224は閉塞部220に取り付けられている。直角三角形の斜辺は、後方および上方に向いている。突起部224は、後方から前方へ向かって上方に傾斜する斜面225を有しており、斜面225の断面形状が上記の直角三角形の斜辺を構成している。
突起部224が閉塞部220から上方に突起する高さは、チューブ容器1の胴部2の外径の半分よりも小さい。図7に示す断面に示されるチューブ容器1(胴部2)は円筒形状の外形を有しており、断面形状において中心Cを有している。突起部224が閉塞部220から上方に突起する高さは、閉塞部220と中心Cとの最短距離よりも小さい。突起部224が閉塞部220から上方に突起する高さは、閉塞部220とチューブ容器1の重心との距離よりも小さい。
突起部224は、閉塞部220と一体に、開口部210に対して後方に相対移動を行なう。右側案内部243の下縁の前方側には、突起部224との干渉を回避するための切欠き226が形成されている。右側案内部243は、突起部224が切欠き226の内部を通って右側案内部243に対して前後方向に相対移動することを、許容している。
突起部224は、閉塞部220の前端部に、固定ねじ227を用いて固定されている。固定ねじ227を取り外すことにより、突起部224は、閉塞部220から取り外すことが可能である。突起部224は、閉塞部220の前端部に対して着脱可能に構成されている。閉塞部220に装着された状態で、突起部224は、閉塞部と一体に移動可能である。
次に、薬剤供給装置100からのチューブ容器1の取出動作について説明する。図8は、チューブ容器の取出動作の開始前の状態を説明するための模式図である。容器取出部700(図1)は、図8および図9〜11に示す容器受け部751を有している。カセット200から取り出されたチューブ容器1は、容器受け部751によって受けられる。取出動作の開始前には、図8に示すように、カセット200は、カセット支持部600によって支持されており、上下方向に見て容器受け部751と重畳しない位置に配置されている。カセット200は、その全体が容器受け部751よりも後方に配置されている。
カセット200内において、開口部210は閉塞部220によって閉塞されている。カセット200の収納部235に収納されている4つのチューブ容器1が、閉塞部220に搭載されている。4つのチューブ容器1のうち、先頭(最も前方)のチューブ容器1をチューブ容器1Aとも称し、先頭から2番目のチューブ容器1をチューブ容器1Bとも称する。
薬剤供給装置は、処方情報に基づいて、チューブ容器1を取り出す。処方情報に基づいてチューブ容器1が選択されると、ヘッド部移動部710は、当該チューブ容器1が収納されているカセット200の位置にヘッド部720を移動させる。
ヘッド部720は、カセット200の位置に移動されると、第1〜第4工程を順に実行する。第1工程では、ヘッド部720は、カセット200(被保持部247)を保持しにいく。第2工程では、ヘッド部720は、カセット200からチューブ容器1を取り出す。このとき、ヘッド部720は、カセット200をカセット支持部600から前方に突き出させる。第3工程では、ヘッド部720は、カセット200をカセット支持部600に戻す。第4工程では、ヘッド部720は、カセット200を解放する。カセット200からチューブ容器1を連続して取り出す場合、ヘッド部720は、第2工程と第3工程とを交互に繰り返して実行する。
図9は、チューブ容器の取出動作を説明するための第1の模式図である。カセット200がカセット支持部600から前方へ移動する過程で、ヘッド部720に設けられた図示しない当たり部に閉塞部220の前端部が当たることにより、閉塞部220および突起部224の前方向Frへの移動が妨げられる。閉塞部220および突起部224は一体に、開口部210に対して後方向Rrへ相対移動を行なう。これによって、開口部210の開放が始まる。
送り部310を構成している可動部320は、カセット200とともに前方へ移動する。送り部310によって前方向Frへ送られるチューブ容器1は、閉塞部220および突起部224に対して、相対移動する。
先頭のチューブ容器1Aの下方に突起部224が移動し、先頭のチューブ容器1Aは突起部224に乗り上げて上方へ移動する。突起部224が斜面225を有していることにより、チューブ容器1Aの突起部224への乗り上げが容易とされている。上側案内部246がカセット200の前端部になくカット部249が形成されていることにより、先頭のチューブ容器1Aは上方へ移動することが許容されている。
カット部249の前後方向の長さは、チューブ容器1のうち上述した最大径部分の直径よりも大きく、当該直径の2倍よりも小さく設定される。たとえば、カット部249の前後方向の長さを、上記直径の1倍超1.5倍以下としてもよい。カット部249の前後方向の長さを、上記直径と、移動制限部380と可動部320との間に設けられる前後方向の遊びの寸法と、の和以上としてもよい。
チューブ容器1は、充填される薬剤の量に応じて、その寸法が異なる。最大径部分の直径の異なる複数種類のチューブ容器1に対し、図2,3を参照して説明した通り、上側案内部246の収納部235に対する前後方向の位置を調整することで、チューブ容器1の最大径部分の直径に対するカット部249の前後方向の長さを適切に調節することができる。
図10は、チューブ容器の取出動作を説明するための第2の模式図である。カセット200がさらに前方向Frへ移動し、閉塞部220および突起部224が開口部210に対して後方向Rrへさらに相対移動することにより、先頭のチューブ容器1Aの最大径部分の直径よりも大きく開口部210が開放される。先頭のチューブ容器1Aは、突起部224を乗り越えて前方向Frへ移動し、開口部210を通して、容器受け部751に落下する。このようにして、カセット200から先頭のチューブ容器1Aが下方に取り出される。
図11は、チューブ容器の取出動作を説明するための第3の模式図である。先頭から2番目のチューブ容器1Bは、突起部224および上側案内部246によって、前方向Frへの移動を規制される。より詳しくは、図11に示すように、先頭から2番目のチューブ容器1Bが突起部224に乗り上げて上方へ移動しようとしても、上方に存在している上側案内部246にチューブ容器1Bが衝突して、チューブ容器1Bは上方へ移動することができない。これによって、カセット本体230に収納されている複数のチューブ容器1のうち、先頭のチューブ容器1Aのみが確実に落下し、かつ、先頭から2番目以降のチューブ容器1が不意に落下しない構成とされている。
図7を参照して説明した通り、上側案内部246の押え板246Aとチューブ容器1との間には、隙間が形成されている。この隙間は、前方へ移動するチューブ容器1が上側案内部246と下側案内部245との間に挟まれて摩擦力が過大になることを回避するために、設けられている。他方、チューブ容器1の上下方向の寸法に対して隙間が大きすぎると、突起部224および上側案内部246による先頭から2番目以降のチューブ容器1の移動を規制する作用が十分に得られない場合がある。そのため、最大径部分の直径の異なる複数種類のチューブ容器1に対し、図2,3を参照して説明した通り、上側案内部246の収納部235に対する上下方向の位置を調整することで、上記の隙間の寸法を適切に調節することができる。
カセット200が後方向Rrに移動してカセット支持部600に戻されるとき、閉塞部220がヘッド部720によって保持されたままの状態で、カセット本体230が移動することによって、開口部210が閉塞される。開口部210の全体が閉じられた後に、ヘッド部720による閉塞部220の保持が解除される。この後、閉塞部220および突起部224を含むカセット200の全体が、後方向Rrにさらに移動して、所定位置に到達すると停止する。
カセット200がカセット支持部600に戻されるとき、カセット200とともに後方に移動しようとする可動部320には、抵抗部360によって抵抗が与えられる。そのため、可動部320は、カセット本体230に対して前方に移動しようとする。しかも、カセット本体230に対する可動部320の前方への移動は、移動制限部380によって許容されている。したがって、可動部320は、カセット本体230とともには移動せず、カセット本体230に対して前方に移動する。その結果、カセット200内に残っているチューブ容器1が前方に送られる。
このチューブ容器1の前方への送りの際に、突出部322が胴部2に当接しており、突出部322が胴部2を後方から押すことで、チューブ容器1を前方へ移動させている。径の小さいキャップ6または扁平な形状の底部4ではなく、チューブ容器1の筒形状部の最大径部分を成す胴部2に突出部322が当接する構成であるので、前方へ移動するチューブ容器1を整列させてスムーズに移動させることができる。これにより、次回のチューブ容器1の取り出しの際にも、先頭のチューブ容器1Aのみを確実に取り出すことが可能とされている。
しかも、チューブ容器1の胴部2の移動経路の少なくとも一部は、上側案内部246によって上から覆われている。これにより、チューブ容器1が上方にずれて整列が乱れることを抑制できるので、前方へ移動するチューブ容器1をより確実に整列させて移動させることができる。
一方、チューブ容器1の底部4の移動経路は、上側案内部246によって覆われていない。実施の形態のチューブ容器1のように、胴部2の直径よりも底部4の最大差し渡し長さが大きい場合には、底部4の移動経路を規制しないように上側案内部246を配置することで、チューブ容器1の回転が上側案内部246によって妨げられることを回避できる。したがって、前方へ移動するチューブ容器1を、よりスムーズに移動させることができる。
図12は、第1の変形例に係る、チューブ容器が収納されたカセットの平面図である。図6と図12とを比較して、第1の変形例では、チューブ容器1が左右反転してカセット200に収納されている。図6に示す構成では、チューブ容器1は、キャップ6が右方に向いて右側案内部243に対向し、底部4が左方に向いて左側案内部241に対向するように、配置されている。これに対し、図12に示す構成では、チューブ容器1は、キャップ6が左方に向いて左側案内部241に対向し、底部4が右方に向いて右側案内部243に対向するように、配置されている。
第1の変形例において、固定板321の可動部320への取付位置は、図6に示す取付位置から変更されている。図12に示す固定板321および突出部322は、図6と比較して、左方に設置されている。これにより、左右反転して収納されたチューブ容器1に対しても、突出部322を適切に位置合わせすることで、突出部322が胴部2に当接してチューブ容器1を後方から前方へ押すことが可能とされている。
なお図12に示す構成では、右側案内部243に上側案内部246は取り付けられていない。上述したボルト246Cおよびナット246Dの螺合を全て解除することにより、上側案内部246が右側案内部243から取り外されている。これは、上側案内部246を設けると、チューブ容器1の底部4が上側案内部246によって覆われることになり、上述したようにチューブ容器1の回転移動が妨げられる可能性があるためである。
図13は、第2の変形例に係る、チューブ容器が収納されたカセットの平面図である。これまでの説明においては、突出部322がチューブ容器1に当接する当接部としての機能を有していたが、送り部310の他の部分が当接部として機能してもよい。図13に示す構成では、可動部320に固定板321は取り付けられていない。上述したねじ部材323を全て取り外すことにより、固定板321を可動部320から取り外すことが可能である。
図13に示すように、突出部322ではない送り部310の他の部分が胴部2に当接する構成としても、チューブ容器1のうち筒形状部の最大径部分に送り部310が当接した状態でチューブ容器1を後方から前方へ押すことにより、上述した取出動作に従って、チューブ容器1を1つずつ取り出すことができる。
上記実施の形態においては、チューブ容器1のうち胴部2が最大径部分を構成しており、突出部322または送り部310の他の部分が胴部2に当接しているが、キャップ6の外径が胴部2の直径と等しい場合には、送り部310はキャップ6に当接してもよく、またはキャップ6と胴部2との両方に送り部310が当接してもよい。送り部310は、胴部2およびキャップ6のうち、径のより大きい最大径部分に当接する当接部を有していればよい。
また上記実施の形態においては、カセット200に設けられた開口部210から物品を落下させることで、チューブ容器1をカセット200から取り出している。チューブ容器1の取出し方法はこれに限らず、たとえば、カセット支持部600よりも前方にカセット200の前方寄りの部分を突き出させ、吸着や把持などの手段で物品を保持して、カセット200の上方にチューブ容器1を取り出してもよい。この場合、カセット200に開口部を設ける必要はない。
開口部をカセット200の下面ではなく前面に設けて、チューブ容器1をカセット200の前面側に押し出すことで、チューブ容器1を取り出すようにしてもよい。
また上記実施の形態においては、カセット200の収納部235に複数のチューブ容器1が収納される例について説明したが、カセットを有さずに装置本体の内部の収納空間に収納された複数のチューブ容器を1つずつ取り出す薬剤供給装置に、実施の形態の思想に基づく当接部を適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。