以下、この発明に基づいた実施の形態における物品供給装置の構造について、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る物品供給装置を示す斜視図である。物品供給装置100は、筐体110を備える。図1には、物品供給装置100から筐体110の一部を除いた状態が示されている。
物品供給装置100は、物品を供給する。物品は、一定の形状および一定の寸法を有している。物品は、たとえば、薬剤を収容した収容体である。より詳しくは、物品は、たとえば、薬剤を収容した容器である。容器の形状は、たとえば、円筒形状、箱状、またはチューブ状であってもよい。物品は容器に限定されない。物品は、たとえば、複数のPTP(Press Through Package)包装シートを結束したものであってもよい。
物品供給装置100は、カセット支持部600と、物品取出部700と、を備える。カセット支持部600は、図1では図示を省略されている複数のカセット200を支持する。複数の物品が、複数のカセット200の各々に収納される。物品取出部700は、複数のカセット200の各々に対応する位置に移動し、複数のカセット200の各々から物品を取り出す。
カセット支持部600は、複数のカセット200が仮想面に沿って並ぶように、複数のカセット200を支持する。本実施の形態では、仮想面は、水平面に垂直な平面である。より詳しくは、仮想面は、筐体110の前面と平行な、筐体110内に位置する垂直面である。仮想面にその前端が揃うように複数のカセット200が、水平な左右方向および鉛直な上下方向に並ぶ。
物品取出部700は、ヘッド部720と、ヘッド部720を移動させるヘッド部移動部710と、を備える。ヘッド部720は、カセット200から物品を取り出す。ヘッド部720は、カセット支持部600よりも手前側に位置する。ヘッド部移動部710は、ヘッド部720を、仮想面に沿って上下左右に移動させる。これによってヘッド部移動部710は、ヘッド部720を、複数のカセット200の各々に対応する位置に移動させる。
ヘッド部移動部710は、一例として、XキャリッジとYキャリッジとを含む。Yキャリッジは、サーボモータ、このサーボモータで駆動され上下方向に延びるボールネジ、上下方向に延びる縦ガイドなどを含む。Xキャリッジは、縦ガイドに上下方向に案内されるキャリッジ本体、サーボモータ、このサーボモータで駆動される横方向に延びるボールネジなどを含む。
物品取出部700は、カセット200から取り出した物品を、図示しないトレイに受け渡す。トレイは、物品取出部700の下方に位置する。トレイは、トレイ搬送部によって筐体110に設けられたトレイ搬送孔112を通って搬送される。
図2は、カセットを示す、斜め上方から見た斜視図である。図3は、カセットを異なる角度で斜め上方から見た斜視図である。カセット200は、複数の物品が前後方向に並ぶように、複数の物品を収納する。ここで前後方向とは、仮想面に交差する方向である。本実施の形態では、前後方向は、仮想面に垂直な方向である。図2,3では、前方向Frと後方向Rrとを、それぞれ矢印で示している。
カセット200は、カセット本体230と、開口部210と、閉塞部220と、を備える。カセット本体230は、前後方向に並ぶ複数の物品を収納する。開口部210は、カセット本体230の底面に形成される。開口部210は、下方に開口している。この開口部210を通して、カセット本体230から物品が下方に取り出される。閉塞部220は、開口部210を開放および閉塞する。
カセット本体230は、カセット底部231と、カセット底部231から立ち上がるカセット周壁部233と、を備える。カセット底部231とカセット周壁部233とによって、物品を収納する収納部235が形成される。カセット本体230は、上方に開放しており、カセット本体230には、作業者により上方から物品が補充される。
カセット本体230には、複数の物品を前後方向に案内する物品案内部が設けられる。物品案内部は、物品の寸法に応じて調整可能である。物品案内部は、左側案内部241と、右側案内部243と、下側案内部245と、上側案内部246と、を備える。左側案内部241は、複数の物品の左側に位置する。右側案内部243は、複数の物品の右側に位置する。下側案内部245は、複数の物品の下側に位置する。上側案内部246は、複数の物品の上側に位置する。上記の右側および左側とは、図1に示す筐体110にカセット200が収納された状態における、物品供給装置100に正対する作業者の右側および左側を示す。すなわち、前方から後方へカセット200を見たときの右側および左側が、上記の右側および左側である。
左側案内部241と右側案内部243との距離は、物品の寸法に応じて調整可能である。左側案内部241は、カセット本体230と一体に形成される。右側案内部243は、カセット本体230に対して、左右方向の位置を調整可能である。右側案内部243は、カセット本体230とは別体で形成され、カセット本体230に取り付けられる。
より詳しくは、右側案内部243は仕切板であり、カセット本体230には左右方向に並ぶ複数の溝248Aと複数の嵌合孔248Bとが形成されている。右側案内部243は、複数の溝248Aおよび複数の嵌合孔248Bのうちのいずれか一つに嵌め合わされる。右側案内部243を嵌め合わせる溝248Aおよび嵌合孔248Bを変えることで、右側案内部243のカセット本体230への取付位置を変えることができ、これにより、右側案内部243の左右方向の位置を調整することができる。
下側案内部245は、カセット本体230のカセット底部231の一部および閉塞部220の一部によって構成される。上側案内部246は、カセット本体230および閉塞部220とは別体で形成され、カセット本体230に取り付けられる。上側案内部246は、物品の上方への移動を規制する規制部を構成している。上側案内部246は、たとえば、水平方向に延びる押え板246Aと垂直方向に延びる取付板246Bで構成されている。
下側案内部245と上側案内部246との距離は、物品の寸法に応じて調整可能である。より詳しくは、上側案内部246は、右側案内部243とも別体で形成され、右側案内部243を介してカセット本体230に取り付けられる。上側案内部246は、カセット本体230の収納部に対する上下方向および前後方向の位置を調整可能に構成されている。
右側案内部243には、複数の長穴244が形成されている。カセット本体230に取り付けられた右側案内部243は上下方向および前後方向に延在しており、複数の長穴244は各々、前方へ向かうにつれて下方へ向かうように斜めに延びている。取付板246Bには、丸穴が形成されている。取付板246Bの丸穴および右側案内部243の長穴244を貫通してボルト246Cが図示しないナットに螺合されることにより、取付板246Bが右側案内部243に取り付けられる。ボルト246Cの長穴244への固定位置を変えることで、取付板246Bの右側案内部243への取付位置を変えることができ、これにより、上側案内部246の収納部235に対する上下方向および前後方向の位置を調整することができる。
開口部210は、カセット本体230の収納部235における前方寄りの部分に形成される。この開口部210を通して、収納部235から、複数の物品のうちの先頭の物品が取り出される。より詳しくは、開口部210は、カセット本体230のカセット底部231における前方寄りの部分に形成される。この開口部210を通して、収納部235から、複数の物品のうち先頭の物品が下方に放出される。
閉塞部220は、開口部210に対して前後方向に移動可能である。図2,3に示す閉塞部220は、開口部210を閉塞する閉塞位置に配置されている。閉塞部220は、閉塞位置から、開口部210に対して後方に相対移動を行なうことによって、開口部210を開放する開口位置に移動する。
カセット200は、第1被保持部247を備える。第1被保持部247は、カセット本体230に形成されている。より詳しくは、第1被保持部247は、カセット本体230の前端部に形成される。複数の溝248Aは、第1被保持部247に形成されている。
図4は、物品が収納されたカセットを斜め上方から見た斜視図である。図4には、図2と同じ角度から見たカセット200が図示されており、図2に示すカセット200には物品が収納されていないのに対し、図4に示すカセット200には複数(図4に示す例では4つ)の物品Aが収納されている点で異なっている。
複数の物品Aは、収納部235内に、複数の物品Aが前後方向に並ぶように、収納されている。複数の物品Aは、各々円筒形状の外形を有している。複数の物品Aは、円筒が倒れた状態で、かつ、円筒の軸方向が前後方向に直交する状態で、収納部235内に収納されている。
図4に示す4つの物品Aは、カセット200の底面のうち閉塞部220に搭載されている。カセット200にさらに多くの、すなわち5つ以上の物品Aが収納される場合には、物品Aは、閉塞部220のみならず、カセット底部231にも搭載される。
図2、図3および図4に示されるように、カセット200には、送り部310が設けられる。送り部310は、複数の物品Aをカセット200内において前方向Frに送るとともに、複数の物品Aの後方向Rrへの移動を阻止する。送り部310が複数の物品Aをカセット200内において前方向Frに送ることによって、カセット200内において、複数の物品Aが前方に詰められる。
送り部310は、可動部320と、抵抗部360と、移動制限部380と、を備える。可動部320は、カセット200に設けられ、詳しくはカセット本体230に設けられる。可動部320は、複数の物品Aのうち最後尾の物品Aの後方に位置する。可動部320は、カセット本体230に対して、前後方向に移動可能である。抵抗部360は、カセット200とともに前後方向に移動しようとする可動部320に抵抗を与える。
移動制限部380は、カセット200に対する可動部の移動を制限する。移動制限部380は、可動部320がカセット本体230に対して前方に移動することを許容し、かつ、可動部320がカセット本体230に対して後方に移動することを阻止する。移動制限部380と可動部320との間には、前後方向の遊びが設けられる。
図5は、図4中に示すV-V線に沿うカセットの断面図である。図2および図5に示すように、閉塞部220の前端部に突起部224が設けられている。突起部224は、閉塞部220の前端部よりも上方に突起している。
突起部224は、図5に示すように、断面形状が直角三角形状である。直角三角形の直角を形成する二辺のうちの一方が閉塞部220の上面に接触し、他方が前方に向くように、突起部224は閉塞部220に取り付けられている。直角三角形の斜辺は、後方および上方に向いている。突起部224は、後方から前方へ向かって上方に傾斜する斜面225を有しており、斜面225の断面形状が上記の直角三角形の斜辺を構成している。
突起部224が閉塞部220から上方に突起する高さは、物品Aの外径の半分よりも小さい。図4,5に示す物品Aは円筒形状の外形を有しており、図5に示す断面形状において中心Cを有している。突起部224が閉塞部220から上方に突起する高さは、閉塞部220と中心Cとの最短距離よりも小さい。突起部224が閉塞部220から上方に突起する高さは、閉塞部220と物品Aの重心との距離よりも小さい。
突起部224は、閉塞部220と一体に、開口部210に対して後方に相対移動を行なう。右側案内部243の下縁の前方側には、突起部224との干渉を回避するための切欠き226が形成されている。右側案内部243は、突起部224が切欠き226の内部を通って右側案内部243に対して前後方向に相対移動することを、許容している。
上側案内部246は、図5に明確に示すように、右側案内部243の前方の端部にまで延びていない。右側案内部243の前端と、上側案内部246との間には、上側案内部246が設けられていないカット部249が形成されている。前後方向に並ぶ複数の物品Aのうち、最も前方の先頭の物品Aは、その全体の上方にカット部249があり、上側案内部246によって上方が覆われていない。上側案内部246の前端は、上方から見て、先頭から2番目の物品Aに重畳している。
上側案内部246は、カット部249が形成されていることにより、複数の物品Aのうち先頭の物品Aの上方への移動を許容する。上側案内部246は、複数の物品Aのうち先頭から2番目以降の物品Aの上方に存在していることにより、先頭から2番目以降の物品Aの上方への移動を規制している。先頭から2番目以降の物品Aは、上方へ移動しようとした場合には上側案内部246と干渉する。したがって、先頭から2番目以降の物品Aは、上側案内部246の押え板246Aと物品Aとの間の隙間分以上は、上方へ移動できない構成とされている。
図6は、閉塞部および突起部を拡大して示す断面図である。図6に示すように、突起部224は、閉塞部220の前端部に、固定ねじ227を用いて固定されている。固定ねじ227を取り外すことにより、突起部224は、閉塞部220から取り外すことが可能である。突起部224は、閉塞部220の前端部に対して着脱可能に構成されている。閉塞部220に装着された状態で、突起部224は、閉塞部と一体に移動可能である。
図7は、カセット支持部の一部を拡大して示す斜視図である。カセット支持部600は、カセット200を前後方向に移動可能に支持する。
カセット支持部600は、棚部610と、カセット案内部620と、を備える。棚部610は、カセット200を下方から支持する。カセット案内部620は、カセット200を前後方向に案内する。カセット案内部620は、棚部610に取り付けられる。カセット案内部620は、左側カセット案内部630と、右側カセット案内部640と、を備える。左側カセット案内部630は、カセット200の左側に位置する。右側カセット案内部640は、カセット200の右側に位置する。
互いに左右に隣り合う2つのカセット200,200の間には、左側のカセットを案内する右側カセット案内部640と、右側のカセットを案内する左側カセット案内部630と、が存在する。これらの右側カセット案内部640および左側カセット案内部630は一体に形成される。
図8は、物品取出部のヘッド部を示す斜視図である。ヘッド部720は、基台721と、カセット移動部731と、物品受け部751と、を備える。基台721は、ヘッド部移動部710によって上下左右に移動される。カセット移動部731は、基台721に設けられる。カセット移動部731は、カセット200を移動させる。物品受け部751は、基台721に設けられる。物品受け部751は、カセット200から取り出された物品を受ける。
カセット移動部731は、可動台733と、可動台駆動部735と、第1保持部741と、を備える。可動台733は、基台721に対して、前後方向に移動可能である。可動台駆動部735は、可動台733を基台に対して前後方向に移動させる。第1保持部741は、可動台733に設けられる。第1保持部741は、カセット本体230の第1被保持部247を保持する。
可動台駆動部735は、モータ736と、ピニオン737と、ラック738と、を備える。モータ736は、可動台733に設けられる。モータ736は、出力軸を備える。ピニオン737は、モータの出力軸に固定される。ラック738は、ピニオン737に噛み合う。ラック738は、基台721に設けられる。ラック738は、前後方向に延びる。
第1保持部741は、フック部743と、フック部駆動部745と、を備える。フック部743は、第1被保持部247に引っ掛かる。フック部駆動部745は、フック部743を第1姿勢と第2姿勢とに切り換える。第1姿勢は、フック部743が第1被保持部247に引っ掛かるような姿勢(上方に移動した姿勢)である。第2姿勢は、フック部743が第1被保持部から離れるような姿勢(下方に移動した姿勢)である。フック部駆動部745は、たとえば、ロータリソレノイドである。
物品受け部751は、底部753と、底部753から立ち上がる周壁部755と、を備える。底部753と周壁部755とによって、物品を受ける受け空間が形成される。底部753は、開放可能である。物品受け部751は、上方に開放している。物品受け部751には、カセットから取り出された物品が、上方から入る。
図9は、第2保持部を示す断面図である。第2被保持部221は、閉塞部220の前端部に形成される。第2被保持部221は、磁性体で形成される。ヘッド部720は、閉塞部220の第2被保持部221を保持する第2保持部761をさらに備える。第2保持部761は、基台721に対して不動である。第2保持部761は、物品受け部751の周壁部755における後方側の部分の上部に設けられる。第2保持部761は、磁力によって第2被保持部221を保持する。
第2保持部761は、当たり部763と、案内部765と、磁石767と、を備える。当たり部763には、第2被保持部221の前端部が当たる。当たり部763は、磁性体で形成される。案内部765は、当たり部763の後方に位置する。案内部765は、第2被保持部221の前端部を当たり部763に案内する。磁石767は、案内部765の内部に収容される。磁石767は、当たり部763に隣接する。磁石767は、第2被保持部221を磁力によって吸着する。
第2保持部761が第2被保持部221を保持するとき、当たり部763と、第2被保持部221と、永久磁石である磁石767とによって、磁気回路が形成される。これによって、第2被保持部221の前端部が、磁力によって、当たり部763に引き寄せられる。したがって、第2被保持部221が、第2保持部761によって確実に保持される。
次に、物品の取出動作について説明する。図10は、物品取出部のヘッド部による物品の取出動作の開始前の状態を説明するための模式図である。取出動作の開始前には、図10に示すように、カセット200は、カセット支持部600によって支持されており、上下方向に見てヘッド部720の物品受け部751と重畳しない位置に配置されている。カセット200は、その全体が物品受け部751よりも後方に配置されている。
カセット200内において、開口部210は閉塞部220によって閉塞されている。カセット200の収納部235に収納されている4つの物品Aが、閉塞部220に搭載されている。4つの物品Aのうち、先頭(最も前方)の物品Aを物品A1とも称し、先頭から2番目の物品Aを物品A2とも称する。
物品供給装置は、処方情報に基づいて、物品Aを取り出す。処方情報に基づいて物品Aが選択されると、ヘッド部移動部710は、当該物品Aが収納されているカセット200の位置にヘッド部720を移動させる。このとき、ヘッド部720の可動台733は、基準位置に維持され、ヘッド部720のフック部743は、第1姿勢に維持されている。可動台733が基準位置にあるとき、フック部743の前後方向の位置と、物品受け部751の周壁部755における前方側の部分の前後方向の位置とが、ほぼ同一となる。
ヘッド部720は、カセット200の位置に移動されると、第1~第4工程を順に実行する。第1工程では、ヘッド部720は、カセット200を保持しにいく。第2工程では、ヘッド部720は、カセット200から物品Aを取り出す。このとき、ヘッド部720は、カセット200をカセット支持部600から突き出させる。第3工程では、ヘッド部720は、カセット200をカセット支持部600に戻す。第4工程では、ヘッド部720は、カセット200を解放する。カセット200から物品Aを連続して取り出す場合、ヘッド部720は、第2工程と第3工程とを交互に繰り返して実行する。
第1工程では、可動台駆動部735が、可動台733を、基準位置からカセット200に向けて後方向Rrへ移動させる。可動台733が第1移動位置に到達すると、フック部駆動部745が、フック部743を、第1姿勢から第2姿勢に切り換える。第1移動位置は、フック部743が、物品受け部751とカセット200との間に位置し、かつ、フック部743が、物品受け部751およびカセット200のいずれにも干渉しないような位置である。
この後、可動台駆動部735が、可動台733を、それまでの方向と同一の後方向Rrにさらに移動させる。可動台733が第2移動位置に到達すると、可動台駆動部735が、可動台733を停止させ、フック部駆動部745が、フック部743を、第2姿勢から第1姿勢に切り換える。これによって、フック部743が第1被保持部247に引っ掛かる。
第2工程では、可動台駆動部735が、可動台733を、それまでの方向とは反対の前方向Frに移動させる。これによって、カセット200が、カセット支持部600から前方に突き出される。
図11は、物品取出部のヘッド部による物品の取出動作を説明するための第1の模式図である。カセット200が第1突出位置を通過するとき、閉塞部220の第2被保持部221が、第2保持部761によって保持される。第2保持部761は、閉塞部220の前方への移動を規制する。閉塞部220の前端部が第2保持部761の当たり部763に当たることにより、閉塞部220および突起部224の前方向Frへの移動が妨げられる。
閉塞部220の第2被保持部221が第2保持部761によって保持されたままの状態で、カセット200が移動されることによって、閉塞部220および突起部224は一体に開口部210に対して後方向Rrへ相対移動を行なう。これによって、開口部210の開放が始まる。先頭の物品A1の下方に突起部224が移動し、先頭の物品A1は突起部224に乗り上げて上方へ移動する。突起部224が斜面225を有していることにより、物品A1の突起部224への乗り上げが容易とされている。上側案内部246がカセット200の前端部になくカット部249が形成されていることにより、先頭の物品A1は上方へ移動することが許容されている。
カット部249の前後方向の長さは、物品Aの前後方向における最大差し渡し長さよりも大きく、当該最大差し渡し長さの2倍よりも小さく設定される。たとえば、カット部249の前後方向の長さを、上記最大差し渡し長さの1倍超1.5倍以下としてもよい。カット部249の前後方向の長さを、上記最大差し渡し長さと、移動制限部380と可動部320との間に設けられる前後方向の遊びの寸法と、の和以上としてもよい。
前後方向における最大差し渡し長さの異なる複数種類の物品Aに対し、図2,3を参照して説明した通り、上側案内部246の収納部235に対する前後方向の位置を調整することで、物品Aの最大差し渡し長さに対するカット部249の前後方向の長さを適切に調節することができる。
図12は、物品取出部のヘッド部による物品の取出動作を説明するための第2の模式図である。カセット200がさらに前方向Frへ移動し、閉塞部220および突起部224が開口部210に対して後方向Rrへさらに相対移動することにより、先頭の物品A1の前後方向長さよりも大きく開口部210が開放される。先頭の物品A1は、突起部224を乗り越えて前方向Frへ移動し、開口部210を通して、物品受け部751に落下する。このようにして、カセット200から先頭の物品A1が下方に取り出される。
図13は、物品取出部のヘッド部による物品の取出動作を説明するための第3の模式図である。カセット200が第2突出位置に到達すると、可動台駆動部735が、可動台733を停止させる。第2突出位置は、物品Aの寸法に応じて設定される。このとき、先頭から2番目の物品A2は、突起部224および上側案内部246によって前方向Frへの移動を規制される。より詳しくは、図13に示すように、先頭から2番目の物品A2が突起部224に乗り上げて上方へ移動しようとしても、上方に存在している上側案内部246に物品A2が衝突して、物品A2は上方へ移動することができない。これによって、カセット本体230に収納されている複数の物品Aのうち、先頭の物品A1のみが確実に落下し、かつ、先頭から2番目以降の物品が不意に落下しない構成とされている。
図5を参照して説明した通り、上側案内部246の押え板246Aと物品Aとの間には、隙間が形成されている。この隙間は、前方へ移動する物品Aが上側案内部246と下側案内部245との間に挟まれて摩擦力が過大になることを回避するために、設けられている。他方、物品Aの上下方向の寸法に対して隙間が大きすぎると、突起部224および上側案内部246による先頭から2番目以降の物品の移動を規制する作用が十分に得られない場合がある。そのため、上下方向の寸法の異なる複数種類の物品Aに対し、図2,3を参照して説明した通り、上側案内部246の収納部235に対する上下方向の位置を調整することで、上記の隙間の寸法を適切に調節することができる。
カセット200が前方に移動されるとき、カセット200とともに前方に移動しようとする可動部320には、抵抗部360によって抵抗が与えられる。そのため、可動部320は、カセット本体230に対して後方に移動しようとする。しかし、カセット本体230に対する可動部320の後方への移動は、移動制限部380によって阻止されている。したがって、可動部320は、カセット本体230とともに前方に移動する。
しかも、このとき、可動部320は、カセット200に対してわずかに、後方に移動する。可動部320と移動制限部380との間には、前後方向の遊びが設けられているからである。カセット200に対して可動部320がわずかに後方に移動することによって、可動部320が複数の物品Aを前方に押す力が解除される。これによって、カセット本体230および物品Aを相互に密着させる力が解除される。したがって、先頭の物品Aとカセット本体230のカセット周壁部233との間の摩擦力が小さくなり、また、先頭の物品A1と2番目の物品A2との間の摩擦力が小さくなる。その結果、先頭の物品A1が、カセット200から確実に落下する。
第3工程では、可動台駆動部735が、可動台733を、それまでの方向とは反対の後方向Rrに移動させる。これによって、カセット200が、カセット支持部600に戻される。このとき、閉塞部220の第2被保持部221が第2保持部761によって保持されたままの状態で、カセット本体230が後方に移動されることによって、開口部210が閉塞される。
カセット本体230が第1突出位置を通過するとき、第2保持部761による第2被保持部221の保持が解除される。この後、可動台駆動部735が、可動台733を、それまでの方向と同一の後方向Rrにさらに移動させる。可動台733が第2移動位置に到達すると、可動台駆動部735が、可動台733を停止させる。
カセット200がカセット支持部600に戻されるとき、カセット200とともに後方に移動しようとする可動部320には、抵抗部360によって抵抗が与えられる。そのため、可動部320は、カセット本体230に対して前方に移動しようとする。しかも、カセット本体230に対する可動部320の前方への移動は、移動制限部380によって許容されている。したがって、可動部320は、カセット本体230とともには移動せず、カセット本体230に対して前方に移動する。その結果、カセット200内に残っている物品Aが前方に送られる。
第4工程では、フック部駆動部745が、フック部743を、第1姿勢から第2姿勢に切り換える。これによって、フック部743が第1被保持部247から離れる。この後、可動台駆動部735が、可動台733を、それまでの方向とは反対の方向に移動させる。可動台733が第1移動位置に到達すると、フック部駆動部745が、フック部743を第2姿勢から第1姿勢に切り換える。
この後、可動台駆動部735が、可動台733を、それまでの方向と同一の後方向Rrにさらに移動させる。可動台733が基準位置に到達すると、可動台駆動部735が、可動台733を停止させる。
上記実施の形態においては、突起部224が閉塞部220の前端部に設けられているが、突起部224は、閉塞部220の第2被保持部221と係合する第2保持部761、たとえば当たり部763に設けることもできる。物品取出部700の構成の簡略化および小型化、ならびに突起部224の着脱の容易性を考慮すると、実施の形態で説明した閉塞部220に突起部224を設ける構成が、より好ましい。
また上記実施の形態においては、カセット200の収納部235に複数の物品が収納される例について説明したが、カセットを有さずに装置本体の内部の収納空間に収納された複数の物品を1つずつ取り出す物品供給装置に、実施の形態の思想に基づく突起部および規制部を適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。