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JP2019144614A - 前払給与方法、前払給与装置および前払給与システム - Google Patents

前払給与方法、前払給与装置および前払給与システム Download PDF

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Abstract

【課題】 前払給与サービス会社、導入企業および従業員の利便性を向上させ、月額給与を最大化する前払給与方法、前払給与装置および前払給与システムを提供する。【解決手段】 前払給与サービスを導入企業および前記導入企業の従業員に提供するための前払給与方法において、前記従業員の勤怠情報を取得し、前記勤怠情報に基づいて前記従業員の前払許容金額を算定する前払許容金額算定ステップS13と、前記従業員の従業員端末に対して前記前払許容金額の情報を出力する前払許容金額出力ステップS16と、前記前払許容金額を就労国の通貨で算定した就労国通貨前払許容金額の情報とともに前記前払許容金額を外貨で算定した外貨前払許容金額の情報を前記従業員端末に表示する前払許容金額表示ステップS17を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、従業員に対して給与を支払うための前払給与方法、前払給与装置および前払給与システムに関する。
従来、企業から従業員への給与の支払いは、所定の支払日に月額給与として支払われる場合が多い。このような場合、企業は月額給与を銀行等の金融機関に振込依頼することで、金融機関を介して企業から従業員へと給与の支払いが行われる。
近年では企業の従業員(企業に雇用され、業務に従事している者)の雇用形態は多様性を増している。従業員は例えば、正社員の他、契約社員、パート社員、派遣労働者、アルバイトなどといった雇用形態で企業に就労している。そのような中、所定の支払日前に、既に労働した量に応じてその労働の対価を要求し、月額給与の一部を前もって受け取る、いわゆる給与の前払い(日払いや週払いも含む)の需要が増加してきた。その結果、例えば給与支払い方法を日払いにすることで企業の求人応募者が増加するといったことや、従業員の就労満足度が向上し、就業定着率が上昇するといった事例も生じている。すなわち給与の前払い制度の有無は、従業員側だけでなく、従業員を採用する企業側にとっても重要な問題となっている。
しかし前払給与の銀行振込は自動で行われず企業の給与担当者が行っていたため、振込業務に多大な負担が生じていた。このように企業が前払いに関する全ての管理を行うことは煩雑であるため、効率的かつ容易に給与の前払いを行うことができる、前払給与サービスを導入する企業が増加している。
前払給与サービス会社によってサービス導入企業へと提供される前払給与サービスは、専用ATMカード型と振込型とに分けることができる。専用ATMカード型の前払給与サービスは、例えば特許技術1の技術を活用して、前払給与サービス会社等がサービス導入企業の従業員に対して前払出金専用ATMカードを支給するもので、サービス導入企業の従業員は専用ATMカードを現金入出金装置(ATM等)に挿入して前払出金指示をするものである。
振込型の前払給与サービスは、前払給与サービス会社が給与振込みを代行するものである。例えば、従業員の前払指示に応じて企業が従業員に給与を前払いする際に、企業の代わりに前払給与サービス会社が該従業員の給与の口座へ振込み手続きを行う。このような振込型の前払給与サービスとして非特許文献1が開示されている。
特許4847510号広報
"前払給与サービス「前給」"、[online]、[平成30年1月31日検索]<URL:http://www.tominbank.co.jp/for_hojin/maekyu/>
しかし専用ATMカード型の前払給与サービスとした場合、(1)従業員は専用ATMカードが発行されるまでの間や、紛失後にカードが再発行されるまでの間は、前払給与サービスによる出金ができなくなる可能性がある。また仮に(2)現金入出金装置に前払許容金額(従業員が既に労働した量に応じた前払いが可能な金額)が表示されない場合、現金入出金装置から出金指示を行う際に、従業員は前払許容金額をその他の手段によって把握するより他なく、手間が増える。場合によっては、前払許容金額を把握できない事態となり、現金入出金装置に対して前払許容金額以上の払出指示をしてしまうといった問題も生じ得る。
また非特許文献1のように振込型の前払給与サービスとした場合であっても、(3)前払給与サービス会社とサービス導入企業との間で、従業員データ、勤怠データを連携する際に負担が大きくなっていた。
例えば、企業担当者の振込業務を前払給与サービス会社が代わりに行う際には、企業より共有されたインターネットバンキングのIDにて、企業に代わって、手作業にて銀行振込を実施するので前払給与サービス会社の負担も増えていた。
また、サービス導入企業が有する勤怠データを、前払給与サービス会社の前払給与システムにアップロードするには、サービス導入企業の所定の勤怠管理システムから勤怠データをcsvダウンロードして、手作業で列を入れ替えたり、削除したり、項目名を変更したりした上で、前払給与システムに勤怠データをアップロードしており、工数が膨大になっていた。
加えて従来の前払給与サービスは、例えば日本企業に外国人労働者が就労する場合、本人にとっての自国の通貨が、就労国の日本企業においては外国の通貨にあたるため前払給与を受けやすいものとはなっていなかった。例えば日本企業に就労する中国人の場合で言えば、(4)日本円で給与を受け取る場合、人民元で給与を受け取る場合と比べてその使用や口座管理が不便な場合がある。また(5)人民元で給与を受け取るにしても、為替レートの変動に応じて人民元に換算した時の金銭価値は日々変動するため、給与を受け取る時期によって人民元換算時の月額給与が変動する。したがって前払いの時期によっては損をしている場合もある。例えば、本来の月額給与支払日の為替レートよりも円安人民元高の時期に人民元で前払給与を受け取ってしまうと、一か月間に受け取る月額給与総額(人民元価値に換算)が目減りするといったケースである。
さらに従来の給与支払サービス(前払給与サービスを含む)では、(6)日々の労働の対価が月額給与の支払日前(月次の給与支払日前)において資産運用されることはなかった。すなわち従来の給与支払サービス会社は月額給与を月額給与支払日(月次の給与支払日)に支払うか、支払日前に前払いしていただけであり、月額給与支払日前の日々の労働の対価を従業員が働いたその時点から従業員の所有する資産とみなして従業員の代わりに資産運用し、その運用益を従業員に月額給与支払日に還元するということがなかった。このように、月額給与を月次の給与支払日前の運用益によって本来の月額給与以上に最大化させるという発想はなかった。
よって本発明の目的は、上記(1)〜(6)の諸問題を解決した前払給与方法、前払給与装置および前払給与システムを提供することである。すなわち、(1)専用ATMカードを使用せず、(2)前払許容金額の把握や前払許容金額以下の前払指示を容易とし、(3)前払給与サービス会社と導入企業との間のデータ連携を容易とし、(4)外国人労働者を含む従業員の利便性を向上させ、(5)外貨価値で見た場合の月額給与を最大化する前払給与方法、前払給与装置および前払給与システムを提供することにある。そしてさらに、(6)月額給与支払日に月額給与以上の給与支払いを可能とする、前払給与方法(給与支払方法)、前払給与装置(給与支払装置)および前払給与システム(給与支払システム)を提供することにある。
本願出願人は、上記課題に関して鋭意検討した結果、(1)スマートフォン等の従業員端末に対して前払許容金額の情報を出力し、従業員端末に表示された前払許容金額に基づいて、従業員により従業員端末を介して前払許容金額以下の前払指示がなされると、預託金額内であるときに払出可能であると判定する態様とすることで、専用ATMカードを使用する必要がなくなることを見出し、(2)前払許容金額の把握も容易となり、前払許容金額以上の前払指示をする可能性がなくなることを見出した。また、(3)前払給与サービス会社と導入企業との間で、パスワード発行してデータ連携するか、および/またはAPI連携することで、前払給与サービス会社と導入企業との間のデータ連携が容易となることを見出した。そして(4)複数の通貨の中から前払給与を選択できるようにすることで、例えば外国人労働者が自国の通貨を受け取ることが可能となり、従業員の利便性が向上することを見出した。また(5)従業員に為替レートや為替レート変動を示すことで、外貨価値で見た場合の月額給与を最大化できることを見出した。そして(6)月額給与支払日前に従業員の日々の労働の対価を資産運用することで、月額給与支払日に月額給与以上の給与支払いを可能であることを見出した。
本発明の前払給与方法は、前払給与サービスを導入企業および前記導入企業の従業員に提供するための前払給与方法において、前記従業員の従業員端末に対して前払許容金額の情報を出力する前払許容金額出力ステップと、前記従業員端末に表示された前記前払許容金額に基づいて、前記従業員により前記従業員端末を介して前記前払許容金額以下の前払指示がなされると、前払指示金額が、前記導入企業の預託金額内であるときに、前記前払指示金額を払出可能であると判定し、前記前払指示金額を払出金額として前記預託金額から払出指示をする払出判定指示ステップとを備えることを特徴とする。
また本発明の前払給与装置は、前払給与サービスを導入企業および前記導入企業の従業員に提供するための前払給与装置において、前記従業員の従業員端末に対して前払許容金額の情報を出力する前払許容金額出力部と、前記従業員端末に表示された前記前払許容金額に基づいて、前記従業員により前記従業員端末を介して前記前払許容金額以下の前払指示がなされると、前払指示金額が、前記導入企業の預託金額内であるときに、前記前払指示金額を払出可能であると判定し、前記前払指示金額を払出金額として前記預託金額から払出指示をする払出判定指示部とを備えることを特徴とする。
「前払許容金額」とは、従業員が既に労働した量に応じた前払いが可能な金額のことを意味する。前払許容金額は、導入企業が管理する従業員の勤怠情報に基づいて算定する。前払許容金額は、例えば就業分の80%を前払許容金額の上限として算定する。
本発明によれば、専用ATMカードを使用する必要がなくなり、前払許容金額の把握も容易となるため、前払許容金額以上の前払指示をする可能性がなくなる。
本発明の前払給与方法は、前記前払許容金額を就労国の通貨で算定した就労国通貨前払許容金額の情報と、前記前払許容金額を外貨で算定した外貨前払許容金額の情報とを前記従業員端末に表示する前払許容金額表示ステップを備えることを特徴とする。
また本発明の前払給与装置は、前記前払許容金額を外貨で算定する外貨前払許容金額算定部を備え、前記外貨前払許容金額算定部によって外貨で算定された外貨前払許容金額の情報を前記従業員端末に出力する外貨前払許容金額出力部を備えることを特徴とする。
本発明において「就労国」とは、従業員が就労する国を指す。「就労国の通貨(就労国通貨)」とは、従業員が就労する国が発行する通貨を指す。「外貨」とは、就労国からみて外国となる国が発行する通貨を指す。例えば米国人が日本国に就労している場合、就労国は日本であり、就労国の通貨は日本円となり、外貨は日本円以外の通貨(例えば米ドルなど)となる。
本発明によれば、給与として受け取ることの可能な通貨を選択可能となり、従業員の利便性が向上する。例えば外国人労働者が自国の通貨を給与として受け取ることが可能となるので、外貨両替が不要となったり、使用や口座管理が容易となったりする。
本発明の前払給与方法は、前払給与として払出可能な通貨の為替レートの情報を表示する為替レート表示ステップか、前記為替レートの履歴情報に基づき算定された為替レート変動の情報を表示する為替レート変動表示ステップかの少なくともいずれか一つのステップを備えることを特徴とする。
また、本発明の前払給与装置は、前払給与により運用益を得るための運用管理部を備え、前記運用管理部は、前払給与として払出可能な通貨の為替レートの情報を出力する為替レート出力部か、前記為替レートの履歴情報に基づき算定された為替レート変動の情報を出力する為替レート変動出力部か、為替レートの情報に基づき算定された前払推奨時期を判断するための情報を出力する前払推奨時期出力部か、就労国の通貨と外貨の為替レートの情報に基づき算定された前払推奨通貨を判断するための情報を出力する前払推奨通貨出力部かの少なくともいずれか一つの出力部を備えることを特徴とする。
「前払給与として払出可能な通貨」は、従業員が前払指示して払出しを受けた際に、給与として受け取ることが可能な通貨のことである。通貨は特に限定はされないが、各国の通貨、例えばドル(アメリカ合衆国ドル、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドル、香港ドル、シンガポールドルなど)、ユーロ、日本円、ポンド(イギリスポンド、レバノンポンド)、スイスフラン、メキシコペソ、人民元、スウェーデンクローナ、ロシアルーブル、ノルウェークローネ、トルコリラ、韓国ウォン、南アフリカランド、ブラジルレアル、インドルピー、タイバーツ、ルピア、ソル、ディルハム、リンギットおよびその他各国の通貨を含む。また各国の現在または将来における給与支払制度によっては、通貨として仮想通貨(例えばビットコイン、イーサリアム、ライトコインなど)や電子マネー等を含む場合も考えられる。
「為替レートの履歴情報」は、過去から現在の為替レートの経時的な記録(ログ)である。「為替レート変動」とは、所定の時点と、別の所定の時点とを為替レートで比較した際の変化(上昇や下降の他、変化がない場合を含んでいてもよい)である。
「前払推奨時期」とは、従業員が前払いを受けると運用益が出る可能性の高い時期を指す。前払推奨時期は、為替レートに基づき算定できる。また資産を運用する場合に広く利用されるもの(各国債権金利状況、株価変動状況、先物取引変動状況、外国為替証拠金取引状況、金価値変動、各国預金金利状況、投資信託取引状況、その他資産運用会社による運用状況など)に基づき算定されてもよい。
「前払推奨通貨」とは、従業員が前払いを受けると運用益が出る可能性の高い通貨を指す。前払推奨通貨は、為替レートに基づき算定できる。例えば、本来の月額給与支払日の為替レートよりも円高人民元安の時期に人民元で前払給与を受け取ると、月額給与支払日時点において、一か月間に受け取る月額給与総額(人民元価値に換算)が増えるが、この場合であれば、円高人民元安の時期における人民元が前払推奨通貨となる。
本発明によれば、従業員に為替レートや為替レートの変動を示すことで、外貨価値で見た場合の月額給与を最大化できる。従業員は月額給与支払日前に日々の労働の対価を運用できるので、月額給与支払日に月額給与以上の給与を受け取ることができる。
本発明の前払給与装置は、前記導入企業の預託金情報を管理するための預託金管理部と、前記導入企業が管理する導入企業管理装置から、前記従業員の勤怠情報を取得し、前記勤怠情報に基づいて前記従業員の前払許容金額を算定する前払許容金額算定部と、前記払出指示の実行履歴および前払済みの払出合計金額を、前払履歴として管理する前払履歴管理部を有し、前記前払許容金額算定部は、前記払出指示がされて前記払出合計金額が更新されると、前記前払許容金額から、更新された払出合計金額を差し引いて、前払許容金額を新たに算定することを特徴とする。
本発明によれば、払出指示が行われた後に、従業員は新たな前払許容金額を確認することができ、再び前払許容金額以下の適切な払出指示ができる。
本発明の前払給与システムは、請求項8に記載の前払給与装置と請求項8に記載の導入企業管理装置とがネットワークを介して接続され、前記導入企業管理装置は、前記導入企業の従業員の勤怠情報を前記前払給与装置に送信する勤怠情報処理部を有し、前記前払給与装置は、前記従業員ごとに固有のパスワードを発行して送信するパスワード発行部を有し、前記ネットワークに接続された前記従業員端末に対して前記従業員が前記固有のパスワードを入力すると、前記従業員端末には、前記前払許容金額が表示され、前記ネットワークには、前記払出判定指示部の前記払出指示に基づき払出処理を行う金融機関管理装置がさらに接続され、前記金融機関管理装置は、前記導入企業からの資金が預託される口座の入出金情報を管理する口座管理部と、前記払出判定指示部の前記払出指示に基づいて前記口座管理部で管理する前記口座の預託金から払出処理を行う払出処理部とを有し、前記預託金管理部は、前記払出処理部で払出処理が実行されたときに、これに基づいて前記企業の前記預託金情報を更新することを特徴とする。
本発明によれば、前払給与サービス会社と導入企業との間の勤怠情報等のデータ連携が容易となる。また本発明によれば、パスワードを発行するのでセキュリティが向上する。また本発明によれば、預託金の情報が更新されるので前払給与システムや企業の管理者が、預託金の状況を逐次正確に把握することができる。
本発明の前払給与装置は、前記払出判定指示部が、前記前払許容金額を超過する前記前払指示金額が入力されると払出不可と判定し、再び前記従業員による前払指示を可能とすることを特徴とする。
本発明によれば、従業員が誤って前払許容金額を超過する前払指示を行った場合であっても、従業員は再び前払指示が可能となる。
本発明によれば、専用ATMカードが不要である。また前払許容金額の把握も容易で前払許容金額以上の前払指示をする可能性が減少する。また前払給与サービス会社と導入企業との間のデータ連携が容易となる。そして複数の通貨を選択できることで従業員の利便性が向上する。また外貨価値で見た場合の月額給与を最大化できる。そして月額給与支払日に月額給与以上の給与支払いが可能となる。
本発明の第1の実施形態の前払給与システムを示す概略図である。 上記実施形態の前払給与システムの機能を示すブロック図である。 上記実施形態の運用管理部の機能を示すブロック図である。 上記実施形態の前払給与システムの動作を示すシーケンス図である。
本発明の実施形態について、図面を引用しながら説明する。
(本発明の第1の実施形態)
図1は、本実施の形態の前払給与システム100を示す概略図である。本実施の形態において、導入企業は従業員に月次で所定の月額給与支払日に給与を支払う。本実施の形態の前払給与システム100および前払給与装置10は、導入企業にて労働を行う従業員が、前払給与サービスにより導入企業から前払給与を受けるために使用される。導入企業は、前払給与サービスを受けるにあたり、所定の金融機関の口座に予め資金を預託しておく。なお預託金用の口座は企業が開設するか、または企業が既に有している口座を利用する。
<前払給与システム100の構成>
本実施の形態の前払給与システム100は、サービス提供会社が管理する前払給与装置10と、導入企業が管理する導入企業管理装置20と、金融機関が管理する金融機関管理装置30とがネットワークNを介して接続される(図1)。また導入企業の従業員が使用する従業員端末40が有線又は無線の方法によりネットワークNを介してこれらに接続される。
図2は、本実施の形態の前払給与システム100の各装置が備える機能について説明するブロック図である。
前払給与装置10は前払給与サービス提供会社が使用する。前払給与サービス提供会社は、月額給与支払日以前に導入企業の従業員の前払指示に応じて給与を支払う前払給与サービスを提供する。
前払給与装置10は、このような前払給与サービスを導入企業および導入企業の従業員に提供するためのものであり、預託金管理部11と、前払許容金額算定部12と、前払許容金額出力部13と、払出判定指示部14と、前払履歴管理部15と、パスワード発行部16と、運用管理部17と、勤怠管理部18とを備える(図2)。
預託金管理部11は、導入企業の預託金情報を管理するために使用される。サービス提供会社には、サービス提供会社が開設した預託金用の口座に関する入出金情報が金融機関管理装置30から通知される。預託金管理部11では、この通知情報に基づいて、導入企業の預託金情報を管理する。
例えば、預託金管理部11は、金融機関管理装置30の払出処理部31で払出処理が実行されたときに、該払出処理に基づいて企業の預託金の情報を更新する。
前払許容金額算定部12は、導入企業が管理する導入企業管理装置12から、従業員の勤怠情報を取得し、勤怠情報に基づいて従業員の前払許容金額を算定するために使用される。この時、従業員情報を先に導入企業から取得し、その後勤怠情報を取得して、従業員が存在しない勤怠情報は除外する。
勤怠情報は導入企業管理装置20の勤怠情報処理部21から直接取得できる。また導入企業管理装置12の勤怠情報処理部21と、前払給与装置10の勤怠管理部18とは勤怠情報がデータ連携されているため、導入企業管理装置12は勤怠管理部18から勤怠情報を取得してもよい。前払許容金額算定部12は、勤怠管理部18で管理されている勤怠情報と、前払履歴管理部15で管理されている前払履歴とに基づいて、従業員の前払許容金額を算定する。前払許容金額算定部12は、払出指示がされて払出合計金額が更新されると、前払許容金額から、更新された払出合計金額を差し引いて、前払許容金額を新たに算定する。
勤怠管理部18と勤怠情報処理部21とにおける、このような従業員情報および従業員勤怠情報に関するデータ連携は、API接続により自動連携されてもよい。このことにより、従業員データ、勤怠データの連携の手間が解消される。すなわち、たとえば従来の前払給与システムで生じていた、勤怠管理システムから勤怠データをcsvダウンロードしたり、手作業で列を入れ替えたり、削除したり、項目名を変更したりした上で、前払給与システムに勤怠データをアップロードするといったような手間が解消され、工数を減らすことが可能となる。
また、前払許容金額算定部12は、前払許容金額を外貨(就労国からみて外国となる国が発行する通貨)で算定する外貨前払許容金額算定部121を備える。外貨前払許容金額算定部121による前払許容金額の算定は、就労国の通貨と各国通貨の為替レートに基づき行われる。また前払許容金額算定部12は、各国の現在または将来における給与支払制度によっては、外貨の他に、仮想通貨(例えばビットコイン、イーサリアム、ライトコインなど)や電子マネー等で、前払い可能金額を算定する態様としてもよい。
前払許容金額出力部13は、従業員の従業員端末40に対して、前払許容金額算定部12によって算定された前払許容金額の情報を出力し、従業員端末40の画面上に表示するために使用される。
また前払許容金額出力部13は、外貨前払許容金額算定部121によって外貨で算定された外貨前払許容金額の情報を従業員端末40に出力し、従業員端末40の画面上に表示する外貨前払許容金額出力部131を備える。
払出判定指示部14は、従業員端末40に表示された前払許容金額に基づいて、従業員によって従業員端末40の前払指示部41を介して、前払許容金額以下の前払指示がなされると、預託金管理部11に記憶された預託金情報と、前払許容金額算定部12で算定された前払許容金額とに基づいて、払出指示に関する払出処理が可能であるか否かを判定する。具体的には、前払指示金額が、導入企業の預託金額内であるときに、前払指示金額を払出可能であると判定する。そして、前払指示金額を払出金額として、預託金額内の払出指示を金融機関管理装置30へ送信する。払出指示を受信した金融機関管理装置30では、払出処理部31により、口座管理部32から従業員の口座へ払出処理が行われる。なお、従業員により前払許容金額を超える前払指示がなされた場合か、または前払指示金額が、導入企業の預託金額外である場合には、払出判定指示部14は払出不可能であると判定して、導入企業管理装置20と従業員端末40に判定結果を送信する。
前払履歴管理部15は、従業員の前払給与に関する払出指示の実行履歴、実際に払出された払出処理の実行履歴、および前払済みの払出合計金額を、前払履歴として管理するために使用される。
パスワード発行部16は、登録している従業員ごとに固有のパスワードを発行して、導入企業管理装置20及び/又は従業員端末40に送信するために使用される。ネットワークNに接続された従業員端末40に対して従業員が固有のパスワードを入力すると、従業員端末40には、前払許容金額と所定の入力手段が表示され、金額が入力されると前払指示部41から払出判定指示部14へと情報が送信される。なお払出判定指示部14は、従業員端末40の入力手段を介して前払許容金額を超過する前払指示金額が従業員によって入力されると、払出不可と判定し、再び入力手段を介した従業員による前払指示を可能とする。
図3は運用管理部17の機能を説明するためのブロック図である。
運用管理部17は、為替レート出力部171か、為替レート変動出力部172か、前払推奨時期出力部173か、前払推奨通貨出力部174の少なくともいずれか一つの出力部を備える。図3に示した運用管理部17は、それら全ての出力部を備えている。
為替レート出力部171は、前払給与として払出可能な通貨(従業員が前払指示して払出しを受ける際に、給与として受け取ることが可能な通貨)の為替レートの情報を従業員端末40に対して出力し、従業員端末40の画面上に表示するために使用される。為替レートの情報は、就労国の通貨と外貨との為替レートで表示する。例えば、前払い給与として払出可能な通貨が、日本円(就労国の通貨)と、アメリカ合衆国ドル(外貨)と、ユーロ(外貨)と、人民元(外貨)であるとすれば、日本円とアメリカ合衆国ドルの為替レートと、日本円とユーロの為替レートと、日本円と人民元の為替レートとを表示する。なお為替レートの情報は、リアルタイムの為替レート情報であることが好ましい。
為替レート変動出力部172は、為替レートの履歴情報に基づき算定された為替レート変動の情報を出力するために使用される。運用管理部17において為替レートの履歴情報は逐次蓄積され、記憶されており、所定日(例えば前回の月額給与日、あるいは一日前や一週間前)の為替レートに対する現在の為替レート変動をパーセントまたは割合で出力する。
このようにすることで、従業員が外貨で前払給与を受ける場合、自分自身で最適な前払給与日を検討し選択することができる。従業員は月額給与支払日前に日々の労働の対価を運用できるので、月額給与支払日に月額給与以上の給与を受け取ることができる。
同様にして、所定期間の為替レートの変動推移を5分足、日足、週足、月足などのチャート表(縦軸を時間、横軸を為替レート)として出力してもよい。より具体的には、横軸は、前回の月額給与日の為替レートを基準として現在の為替レートを正規化することで、為替レートの上昇や下落の割合をパーセントで表示してもよい。これにより最適な前払給与日の検討や選択が容易となる。
一般に就労国における外国為替レート表や外国為替チャート表では、「為替レート=就労国の通貨/外貨」とし、該為替レートを用いて表示するが、本発明では「外貨前払用為替レート=外貨/就労国の通貨」(すなわち該為替レートの逆数)と定義して、外貨前払用為替レートを用いて表示してもよい。例えば、就労国の通貨が日本円であり、外貨がアメリカ合衆国ドルである場合、一般には、日本円とアメリカ合衆国の為替レートである、日本円/アメリカ合衆国ドル(1ドル何円)を表示する。本発明では、外貨前払用為替レートとして、アメリカ合衆国ドル/日本円(1円何ドル)を用いて表示する。
このように就労国において「外貨前払用為替レート=外貨/就労国の通貨」を使用して表示すると、外貨前払用為替レートの数値が大きくなるほど、外貨で前払いを受けたときの月額給与額が増加する。すなわち、外貨前払用為替レートを用いて表示することで、数値やグラフから直感的・視覚的に前払に最適な時期を把握することができる。
前払推奨時期出力部173は、為替レートの情報に基づき算定された前払推奨時期を判断するための情報を従業員端末40に出力するために使用される。前払推奨時期は、為替レート及び/または為替レート変動から算定可能であり、例えば就労国と外貨との為替レートに基づき前払金額を外貨で算定し、過去の為替レート変動や市況の状況から、従業員が前払いを受けると運用益が出る可能性の高い時期を算定する。
前払推奨通貨出力部174は、就労国の通貨と外貨の為替レートの情報に基づき算定された前払推奨通貨を判断するための情報を出力するために使用される。前払推奨通貨は、複数の為替レート及び/または複数の為替レート変動から算定可能である。例えば就労国と外貨との為替レートを複数比較(例えば日本円とアメリカ合衆国ドルの為替レートと、日本円とユーロの為替レートとを比較)し、前払金額を各々の外貨で算定し、併せて過去の為替レート変動や市況の状況を考慮して、従業員が前払いを受けると運用益が出る可能性の高い通貨を算定する。
なお運用部17による運用方法は、上記のような為替による運用方法の他、資産を運用する場合に広く利用されるもの(各国債権金利状況、株価変動状況、先物取引変動状況、外国為替証拠金取引状況、金価値変動、各国預金金利状況、投資信託取引状況)による運用方法や、その他、証券会社などの資産運用会社により利用されている運用方法などであってもよい。
勤怠管理部18は、導入企業管理装置20から送信された従業員の勤怠情報を取得し、従業員ごとに管理する(図2)。
次に図2を用いて、導入企業管理装置20の機能を説明する。導入企業管理装置20は、導入企業が管理するためのものであって、勤怠情報処理部21と、預託金処理部22と、パスワード管理部23と、月次給与算定部24とを有する。
勤怠情報処理部21は、導入企業の従業員の勤怠情報を前払給与装置10に送信するためのものである。
従業員が、勤怠情報処理部21に勤怠情報を入力すると、導入企業の管理者が承認作業を行う。勤怠情報処理部21は前払給与装置10の勤怠管理部18にデータを送信する。このようにして導入企業の勤怠情報処理部21と前払給与サービス提供会社の勤怠管理部18とは勤怠情報をデータ連携する。
なお、従業員は従業員端末40の勤怠情報入出力部42から勤怠情報を入力してもよい。この場合、勤怠情報入出力部42は、前払給与装置10の勤怠管理部18又は勤怠情報処理部21から勤怠情報を取得する。従業員が従業員端末40の所定画面(例えば従業員によってインストールされた前払給与アプリケーションの画面や、所定のブラウザにより表示された前払給与サービスの画面など)にパスワードを入力すると、導入企業管理装置20のパスワード管理部23でパスワードの照会が行われる。パスワードが照合すると従業員端末40のウェブ画面上には、勤怠情報が表示される。従業員が、従業員端末40に新たな勤怠情報を入力すると、勤怠情報入出力部42によって導入企業管理装置20の勤怠情報処理部21に勤怠情報が送信され、勤怠情報処理部21で勤怠情報の確認が行われる。導入企業の管理者によって新たな勤怠情報が正しいものであると判断された場合には勤怠情報の承認処理が行われ、前払給与装置10に勤怠情報が送信される。このようにして勤怠情報処理部21と勤怠管理部18との間でデータ連携が行われ、勤怠情報が共有される。
預託金処理部22は、従業員が給与の前払サービスを利用可能とするため、導入企業の担当者により、予め金融機関の口座に所定の金額の預託金を送金する預託依頼処理を行うためのものである。
パスワード管理部23は、前払給与装置10から送信される従業員のパスワードを受信して出力する。
月次給与算定部24は、勤怠情報処理部21で管理されている情報、および前払履歴管理部15で管理されている情報に基づいて、従業員ごとの月次給与額を算定する。
次に図2を用いて、金融機関管理装置30の機能を説明する。金融機関管理装置30は、払出処理部31と口座管理部32とを備える。
払出処理部31は、払出判定指示部14の払出指示に基づいて口座管理部32で管理する口座の預託金から払出処理を行う。払出処理部31では、従業員端末40の前払指示部41から前払指示が送信されると、前払指示に対して払出が可能かどうかを前払給与装置10に確認する。前払給与装置10の払出判定指示部14が払出可能であると判断して、払出処理部31がその通知を受けると、払出処理部31は口座管理部32で管理する口座から払出処理を実行する。また、払出処理が不可能であることが通知されたときは、従業員端末40に対しその旨を通知する情報を出力する。
なお払出処理部31への払出指示は、導入企業の振込担当者、または前払給与サービス会社の振込担当者によって行われてもよい。その場合、まず払出判定指示部14から導入企業の振込担当者または前払給与サービス会社の振込担当者に対して払出指示の通知がなされ、払出指示を受けた該振込担当者が払出処理部31に対して所定の振込手段により払出指示し、払出処理部31が口座管理部32で管理する口座から払出処理を実行する。
振込業務委託を受けた前払給与サービス会社の振込担当者が、導入企業の振込担当者の代わりに振込作業を行う場合、専用口座への振込業務手続きをAPI連携により自動で行ってもよい。これにより企業との間で共有されたインターネットバンキングのIDにて手動で銀行振込を実施する手間が解消され、振込業務が自動化される。
口座管理部32は、導入企業からの資金が預託される口座の入出金情報を管理する。口座管理部32では、該口座に関して、導入企業からの預託依頼処理によって発生した入出金処理を行う。また従業員の前払給与サービスの利用により発生した払出処理の情報をサービス提供会社に通知する。
従業員端末40は、例えばスマートフォン、PC、ガラパゴス携帯等であり、特に限定はされない。従業員端末40は、前払指示部41と、勤怠情報入出力部42とを有する。従業員端末40は、従業員によってパスワードが入力され、正規のパスワードとして適合すると、従業員に関する前払情報を従業員端末40の画面上に表示する。画面上には前払許容金額が表示されるので、従業員が前払許容金額を超える入力をする可能性が低減する。導入企業での従業員の労働の対価として、前払指示部41を介して、従業員によって所定金額の前払指示が入力されると、前払給与装置10の払出判定指示部14が払出可能か判断し、払出可能であれば金融機関管理装置30に払出指示を送信する。払出判定指示部14の払出指示に対し金融機関管理装置30の払出処理部31では払出処理の実行指示がされて口座管理部32から現金の払出を行う。
前払指示部41は、従業員が前払指示を行い、その前払指示を前払給与装置10の払出判定指示部14に送信するためのものである。
勤怠情報入出力部42は、従業員が従業員端末40を介して勤怠情報を入力できるようにしたものである。すなわち従業員は導入企業管理装置20からも勤怠情報を入力でき、従業員端末40からも勤怠情報を入力できる。
<前払給与システム100の動作ステップ>
図4は、本実施の形態の前払給与システム100の動作を説明するシーケンス図である。前払給与サービスを実施するにあたり、サービス提供会社、導入企業、金融機関、導入企業に就労する従業員との間では予め所定の契約手続が行われる。例えば前払給与サービスを利用する導入企業と、前払給与サービス提供会社との間では、前払給与業務委託契約が行われる(S1)。
本実施の形態の前払給与方法は、前払給与サービスを導入企業および導入企業の従業員に提供するためのものであって、預託金管理ステップ(S9)と、前払許容金額算定ステップ(S13)と、前払許容金額出力ステップと(S16)、払出判定指示ステップ(S19、S21)とを備える。
導入企業は、前払給与システム100で前払決済するための、導入企業用の専用口座を金融機関に申請する(S2)。申請を受けた金融機関は専用口座を開設する(S3)。
前払給与サービス提供会社は、前払給与システム100に関するサービス利用案内を従業員に送る(S4)。前払給与サービスを利用する従業員は、サービス提供会社に対して、前払給与サービスを利用するための申し込みを行う(S5)。
前払給与サービス提供会社は、導入企業に対し、前払給与サービスを利用開始するために必要な預託金情報を通知する(S6)。
通知を受けた導入企業では、導入企業の管理者によって、導入企業管理装置20の預託金処理部22を介して、預託金情報を取得する。預託金処理部22では、所定のパソコン画面上に、必要な預託金情報と、既に専用口座に預託された資金(預託金)とが表示される。
必要な預託金情報は、預託金処理部22のパソコン画面上から確認できる。例えば所定の就労期間における従業員の就労予定情報がパソコン画面上に表示され、各就労予定日の就労予定従業員数や、従業員の日割り給与予定額(月額給与を日割り計算した予定額)の総計が表示されている。必要な前払資金の合計金額から、既に預託した資金の残高(預託金残高)が差し引かれることで、必要な預託資金が算定されて表示されている。なお預託金処理部22では必要に応じて、所定日に就労予定の従業員名や、その各従業員の日割り給与予定額等を表示してもよい。
預託金管理部11と預託金処理部22とは以上のようにしてデータを共有し、導入企業の管理者は必要な預託金を把握する。
導入企業の管理者は、金融機関に開設された専用口座に資金を送金することで預託する(S7)。
その後、金融機関の金融機関管理装置30は口座預託金情報を更新して、更新された預託金情報を前払給与サービス提供会社の前払給与装置10と導入企業の導入企業管理装置20とに通知する(S8)。
以上のようにして前払給与装置10の預託金管理部11と、導入企業管理装置20の預託金処理部22と、金融機関管理装置30とは、預託金に関するデータ情報を共有することで、前払給与システム100では、導入企業の預託金情報を管理する(預託金管理ステップS9)。このようにして資金の預託が行われ、従業員は導入企業で預託された資金内で、前払給与サービスを利用することができるようになる。
サービス提供会社のパスワード発行部16は、従業員ごとに固有のパスワードを発行して送信するパスワード発行ステップS10を有しており、このパスワード発行は、導入企業の従業員が金融機関から給与の前払を受け取るために行われる(S10)。前払給与装置10のパスワード発行部16では従業員ごとにパスワードが管理・発行されているほか、導入企業管理装置20でもパスワードが共有されている。
前払給与装置10と導入企業管理装置30とはネットワークNを介して接続されており、導入企業管理装置30は、導入企業の従業員の勤怠情報を前払給与装置10に送信する(勤怠情報処理ステップS11)。
まず従業員が導入企業で就労すると、従業員又は導入企業の管理者は、導入企業管理装置20の所定のパソコン画面上に、勤怠情報処理部21にて管理されている従業員の勤怠情報を出力する。従業員は画面に表示された勤怠情報に、新たな勤怠情報を入力して更新する。その後、導入企業の管理者が、更新された勤怠情報を承認することで、勤怠情報処理部21から勤怠情報管理部18へ勤怠情報が送信される(S11)。
なお、勤怠情報処理部21への勤怠情報の入力時には、発行されたパスワードの入力が必要とされてもよい。この場合、画面上に入力されたパスワードは導入企業管理装置のパスワード管理部23や前払給与装置10に送信され、パスワードの照会が行われ、パスワードの承認処理が行われる。その後、勤怠情報が入力されると、勤怠情報処理部21において入力された勤怠情報を正規のものと判断し、自動承認処理が行われる。そして勤怠情報処理部21から勤怠管理部18へ勤怠情報が送信される(S11)。
勤怠情報処理部21から通知された勤怠情報を、サービス提供会社の勤怠管理部18が受信することで、サービス提供会社と導入企業との間で勤怠情報が共有される(S12)。勤怠情報は勤怠情報処理部21と勤怠管理部18とがAPI接続されることでデータ連携の手間が解消される。
前払給与装置10の勤怠管理部18にて勤怠情報が共有されると、前払許容金額算定部12において、勤怠管理部18の更新された勤怠管理情報に基づいて、従業員の労働に対する前払許容金額が算定される(前払許容金額算定ステップS13)。前払許容金額算定ステップS13では、導入企業が管理する導入企業管理装置20から、従業員の勤怠情報を取得し、勤怠情報に基づいて従業員の前払許容金額を算定する。前払許容金額は、特に限定はされないが、例えば就業分の80%を前払許容金額の上限として算定する。
なお前払許容金額算定ステップS13は、前払許容金額を外貨で算定する外貨前払許容金額算定ステップS13を備える。
算定された所定日(所定期間)の前払許容金額は、従業員の以前の勤怠情報入力によって既に算定された前払許容金額に加算され、前払許容金額の総計が算定される(S13)。前払給与装置10では、前払許容金額算定部12から前払許容金額出力部13へと前払許容金額が通知される。
従業員は、月額給与支払日(月次の給与日)よりも前に、既に導入企業において当該月中に労働した分の給与の範囲内で前払給与を受ける。従業員は、予め本発明の前払給与サービスに関するアプリケーションを従業員端末40にインストールしており、従業員端末40に前払給与サービス画面を表示できるものとする。なおインストールすることなく、WEBブラウザによって前払給与サービスを利用し、画面表示をしてもよい。
本実施の形態の前払給与方法では、ネットワークに接続された従業員端末40に対して従業員が固有のパスワードを入力すると(S14)、従業員の従業員端末40に対して前払許容金額の情報を出力し(前払許容金額出力ステップS16)、従業員端末40には、前払許容金額と所定の入力手段が画面表示される(S17)。
従業員が、従業員端末40の前払給与サービス画面上において、発行されたパスワードを入力すると(S14)、前払給与装置10のパスワード発行部16および/または導入企業管理装置20のパスワード管理部23にパスワードが送信されて照会が行われ、正規のものと判断されるとパスワードの承認処理が行われる(S15)。
パスワード承認処理の後、前払許容金額出力ステップS16において、前払許容金額出力部13が従業員の従業員端末40に対して、前払許容金額の情報を出力し、前払画面表示指示と前払許容金額表示指示が行われる(S16)。
なお、前払許容金額出力ステップS16は、外貨前払許容金額出力ステップを有しており、外貨前払許容金額算定ステップS13によって外貨で算定された外貨前払許容金額の情報を従業員端末40に出力する。
従業員端末40が前払画面表示指示を受信すると、従業員端末40には、前払指示を行うための所定の入力手段(例えば前払金額を入力するための欄や、金額を入力するためのテンキー)が画面上に表示される。従業員端末40が前払許容金額表示指示を受信すると、従業員端末40の画面上には前払給与装置10の前払許容金額出力部13から取得した前払許容金額が表示される(前払許容金額表示ステップS17)。
また前払許容金額表示ステップS17では、前払許容金額を就労国の通貨で算定した就労国通貨前払許容金額の情報と、前記前払許容金額を外貨で算定した外貨前払許容金額の情報とを従業員端末40に表示する。
なお、ステップS16およびステップS17は、運用管理ステップを備える。運用管理ステップS16、S17では、前払給与として払出可能な通貨の為替レートの情報を出力して(S16)、従業員端末40に表示する為替レート表示ステップ(S17)か、為替レートの履歴情報に基づき算定された為替レート変動の情報を出力して(S16)、従業員端末40に表示する為替レート変動表示ステップ(S17)か、為替レートの情報に基づき算定された前払推奨時期を判断するための情報を出力して(S16)、従業員端末40に表示する前払推奨時期表示ステップ(S17)か、就労国の通貨と外貨の為替レートの情報に基づき算定された前払推奨通貨を判断するための情報を出力して(S16)、従業員端末40に表示する前払推奨通貨表示ステップ(S17)かの少なくともいずれか一つの表示ステップが行われる。
本発明の前払給与サービスでは、ステップS16およびステップS17が、運用管理ステップを備えることで、従業員は外貨で前払給与を受け取ることができるとともに、最適な前払時期や前払通貨の選択が容易となり、自ら外貨を運用して利益を得ることが可能となる。
なお月額給与の支払日以前に、前払給与サービス会社が導入企業の従業員の代わりに、既に労働した量に応じて従業員の労働の対価を運用してもよい。これにより、従業員自らが運用を行わずとも、従業員は月額給与支払日に、運用益によって当初の月額給与額より多くの給与を得ることができる。
また、導入企業と、その従業員と、前払給与サービス会社とは予め合意の上で預託金(導入企業と従業員との間で約束された労働の対価)を運用してもよい。すなわち従業員の将来の勤怠情報に応じて、導入企業は前払給与サービス会社に対して給与を預託するが、導入企業が預託金を前払給与サービス会社に預託した段階で、いわば、その預託金は既に導入企業の従業員に属するものとみなすことで、従業員の資産として従業員の代わりに前払給与サービス会社がその運用を開始する。これにより、既に労働した量に応じて給与を運用する場合と比較して、運用期間を長期化することが可能となり運用益を向上させることが可能となる。
従業員が導入企業の前払給与を受ける場合、従業員端末40に出力された導入企業の前払許容金額に基づき、従業員が従業員端末40を操作し、前払指示金額を入力して前払指示をする。操作により前払指示された内容は、従業員端末40から前払給与装置10に送信され、記憶される(S18)。
前払給与装置10では、前払指示が受信されると払出判定指示部14において、導入企業や従業員に関する情報や、前払指示金額に関する情報が認識される。そして、預託金管理ステップS9によって預託金管理部11に記憶された導入企業の預託金情報と、前払許容金額算定ステップS13で算定された導入企業における従業員の労働に対する前払許容金額累計とから、前払指示に関する払出が可能であるか否かが判定される(払出判定指示ステップS19,S21)。
払出判定指示ステップS19,S21では、従業員端末40に表示された前払許容金額に基づいて、従業員により、従業員端末40の前払指示部41を介して、前払許容金額以下の前払指示がなされると、前払指示により入力された前払指示金額が、導入企業の預託金額内であり、かつ導入企業における従業員の労働に対する前払許容金額累計内であるときに、前払指示金額を払出可能であると判定する(S19)。一方、前払指示金額が、預託金の金額、または前払許容金額累計の少なくともいずれか一つを超えるときには払出が不可であると判定される(S19)。
判定の結果は、前払給与装置10から従業員端末40に出力される(S20)。従業員端末40の画面上では、前払指示金額が払出可能である場合にはその旨通知される(S20)。
一方で、払出判定指示ステップS19において、入力手段を介して企業の預託金額または前払許容金額を超過する前払指示金額が従業員によって入力されると、払出判定指示部14では払出不可と判定し(S19)、判定の結果が、前払給与装置10から従業員端末40に出力され(S20)、従業員端末40の画面上では、従業員に対してその旨を通知する(S20)。
そして従業員端末40では、再び前払画面および前払許容金額が表示され(S17)、画面上から前払指示金額の入力操作をすることが可能となり、再び入力手段を介した従業員による前払指示の送信が可能となる(S18)。
前払給与装置10では、払出判定指示部14によって、従業員による前払指示に対する払出が可能との判定がなされたときには、前払指示金額を払出金額として、預託金額から前払指示金額の払出指示を金融機関に対して行う(S21)。
ネットワークで接続された金融機関管理装置30の払出処理部31では、払出判定指示部14の払出指示に基づいて、口座管理部で管理する口座の預託金から払出処理を行う(払出処理ステップS22)。これにより従業員が前払給与を受け取ることができる。
なお金融機関の払出処理部31への払出指示は、上記のように払出判定指示部14から直接なされてもよいし、導入企業または前払給与サービス会社の振込担当者によってなされてもよい。振込担当者が払出指示を行う場合、まず払出判定指示部14から導入企業の振込担当者または前払給与サービス会社の振込担当者に対して払出指示の通知がなされる。払出指示を受けた該振込担当者は払出処理部31に対して所定の手段により払出指示をし、該指示を受信した払出処理部31が、口座管理部32で管理する口座から払出処理を実行する。前払給与サービス会社の振込担当者が振込作業を行う場合、該口座への振込業務に必要なデータがAPI連携されていれば、振込業務を自動化できる。
金融機関管理装置30で払出処理の実行が行われると、金融機関管理装置30から前払給与装置10と従業員端末40に対して払出処理情報が送信される(S23)。このようにして金融機関管理装置30では、導入企業から資金が預託される、預託金用口座の入出金情報を管理する(口座管理ステップS24)。
払出処理情報として、払出指示の実行履歴および前払済みの払出合計金額を受信した前払給与装置10では、前払履歴管理部15が、その払出処理情報を新たな前払履歴情報として蓄積し、更新することで前払履歴として管理する(前払履歴ステップS25)。
なお従業員が前払を受け取ると、前払給与サービス会社の手数料として、予め設定されたサービス利用料金が、払い出された前払金額に加算され、前払履歴として記憶される。
また前払許容金額算定ステップS13では、払出指示がされて払出合計金額が更新されると、ステップS13で算定された前払許容金額の累計から、更新された払出合計金額(ステップS22で通知された払出処理済みの金額)を差し引いて、前払許容金額を新たに算定する。これにより、導入企業の従業員に関する前払許容金額累計が更新される(S26)。
また預託金管理ステップS9では、払出処理ステップS22で払出処理が実行されたときに、この払出処理情報に基づいて企業の預託金の情報を更新する(S27)。すなわち、預託金管理部11において、導入企業の預託金情報から、ステップS23で通知された払出処理済みの金額が差し引かれることで、新たな導入企業の預託金情報が生成され、更新される(S27)。
同様にして、月次の給与日よりも前の期間に、再び従業員が前払指示を行った場合には、更新された前払許容金額および更新された預託金情報に基づいて前払指示に対する払出の可否を判定する。
月額給与日に、従業員に対して月次の給与が支払われる場合、月次給与算定部24において前払履歴を参照し、前回の月次の給与日から今回の月次の給与日までの期間に既に前払いされた前払済金額が集計される。そして、今回の月額給与から前払済金額の集計を差し引いた金額が月次の給与日に支払われる。月次の給与の支払処理が行われると、次の月の給与期間に移行し、前払履歴管理部15では、以後の前払履歴を新たな月次の前払履歴として記憶蓄積していく。このような、前払済金額や、月次の給与日に支払われる金額等の前払履歴データは、従業員端末40に表示されてもよい。
100 前払給与システム、
10 前払給与装置、
11 預託金管理部、
12 前払許容金額算定部、
121 外貨前払許容金額算定部、
13 前払許容金額出力部、
131 外貨前払許容金額出力部、
14 払出判定指示部、
15 前払履歴管理部、
16 パスワード発行部、
17 運用管理部、
171 為替レート出力部、
172 為替レート変動出力部、
173 前払推奨時期出力部、
174 前払推奨通貨出力部、
18 勤怠管理部、
20 導入企業管理装置、
21 勤怠情報処理部、
22 預託金処理部、
23 パスワード管理部、
24 月次給与算定部、
30 金融機関管理装置、
31 払出処理部、
32 口座管理部、
40 従業員端末、
41 前払指示部、
42 勤怠情報入出力部、
N ネットワーク

Claims (9)

  1. 前払給与サービスを導入企業および前記導入企業の従業員に提供するための前払給与方法において、
    前記従業員の従業員端末に対して前払許容金額の情報を出力する前払許容金額出力ステップと、
    前記従業員端末に表示された前記前払許容金額に基づいて、前記従業員により前記従業員端末を介して前記前払許容金額以下の前払指示がなされると、前払指示金額が、前記導入企業の預託金額内であるときに、前記前払指示金額を払出可能であると判定し、前記前払指示金額を払出金額として前記預託金額から払出指示をする払出判定指示ステップと、
    を備えることを特徴とする前払給与方法。
  2. 前記前払許容金額を就労国の通貨で算定した就労国通貨前払許容金額の情報と、前記前払許容金額を外貨で算定した外貨前払許容金額の情報とを前記従業員端末に表示する前払許容金額表示ステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の前払給与方法。
  3. 前払給与として払出可能な通貨の為替レートの情報を表示する為替レート表示ステップか、
    前記為替レートの履歴情報に基づき算定された為替レート変動の情報を表示する為替レート変動表示ステップか、
    の少なくともいずれか一つのステップを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の前払給与方法。
  4. 前払給与サービスを導入企業および前記導入企業の従業員に提供するための前払給与装置において、
    前記従業員の従業員端末に対して前払許容金額の情報を出力する前払許容金額出力部と、
    前記従業員端末に表示された前記前払許容金額に基づいて、前記従業員により前記従業員端末を介して前記前払許容金額以下の前払指示がなされると、前払指示金額が、前記導入企業の預託金額内であるときに、前記前払指示金額を払出可能であると判定し、前記前払指示金額を払出金額として前記預託金額から払出指示をする払出判定指示部と、
    を備えることを特徴とする前払給与装置。
  5. 前記払出判定指示部は、前記前払許容金額を超過する前記前払指示金額が従業員によって入力されると払出不可と判定し、再び前記従業員による前払指示を可能とすることを特徴とする請求項4に記載の前払給与装置。
  6. 前記前払許容金額を外貨で算定する外貨前払許容金額算定部を備え、
    前記外貨前払許容金額算定部によって外貨で算定された外貨前払許容金額の情報を前記従業員端末に出力する外貨前払許容金額出力部を備えることを特徴とする請求項4または5に記載の前払給与装置。
  7. 前払給与により運用益を得るための運用管理部を備え、前記運用管理部は、
    前払給与として払出可能な通貨の為替レートの情報を出力する為替レート出力部か、
    前記為替レートの履歴情報に基づき算定された為替レート変動の情報を出力する為替レート変動出力部か、
    為替レートの情報に基づき算定された前払推奨時期を判断するための情報を出力する前払推奨時期出力部か、
    就労国の通貨と外貨の為替レートの情報に基づき算定された前払推奨通貨を判断するための情報を出力する前払推奨通貨出力部か、
    の少なくともいずれか一つの出力部を備えることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の前払給与装置。
  8. 前記導入企業の預託金情報を管理するための預託金管理部と、
    前記導入企業が管理する導入企業管理装置から、前記従業員の勤怠情報を取得し、前記勤怠情報に基づいて前記従業員の前払許容金額を算定する前払許容金額算定部と、
    前記払出指示の実行履歴および前払済みの払出合計金額を、前払履歴として管理する前払履歴管理部とを有し、
    前記前払許容金額算定部は、前記払出指示がされて前記払出合計金額が更新されると、前記前払許容金額から、更新された払出合計金額を差し引いて、前払許容金額を新たに算定することを特徴とする請求項5に記載の前払給与装置。
  9. 請求項8に記載の前払給与装置と請求項8に記載の導入企業管理装置とがネットワークを介して接続され、
    前記導入企業管理装置は、前記導入企業の従業員の勤怠情報を前記前払給与装置に送信する勤怠情報処理部を有し、
    前記前払給与装置は、前記従業員ごとに固有のパスワードを発行して送信するパスワード発行部を有し、
    前記ネットワークに接続された前記従業員端末に対して前記従業員が前記固有のパスワードを入力すると、前記従業員端末には、前記前払許容金額が表示され、
    前記ネットワークには、前記払出判定指示部の前記払出指示に基づき払出処理を行う金融機関管理装置がさらに接続され、
    前記金融機関管理装置は、
    前記導入企業からの資金が預託される口座の入出金情報を管理する口座管理部と、
    前記払出判定指示部の前記払出指示に基づいて前記口座管理部で管理する前記口座の預託金から払出処理を行う払出処理部と、を有し、
    前記預託金管理部は、前記払出処理部で払出処理が実行されたときに、これに基づいて前記企業の前記預託金情報を更新することを特徴とする前払給与システム。



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