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JP2019032365A - トナー - Google Patents

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JP2019032365A JP2017151621A JP2017151621A JP2019032365A JP 2019032365 A JP2019032365 A JP 2019032365A JP 2017151621 A JP2017151621 A JP 2017151621A JP 2017151621 A JP2017151621 A JP 2017151621A JP 2019032365 A JP2019032365 A JP 2019032365A
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Daisuke Yoshiba
大輔 吉羽
祥平 津田
Shohei Tsuda
祥平 津田
麻理子 山下
Mariko Yamashita
麻理子 山下
梢 浦谷
Kozue Uratani
梢 浦谷
諒 永田
Ryo Nagata
諒 永田
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Abstract

【課題】クリーナーレスシステムのような、トナーにより負荷がかかるシステムにおいて、10℃以下の低温環境下で長期に渡り使用しても、トナーの割れやつぶれが起こりにくく、カブリを抑制できるトナー。【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、外添剤とを含有するトナーであって、(1)該トナーの平均円形度が、0.960以上であり、(2)該外添剤の固着率が75%以上100%以下であり、(3)ナノインデンテーション法による該トナーの強度の測定において、横軸を荷重(mN)、縦軸を変位量(μm)とした荷重—変位曲線を荷重で微分した微分曲線を得たときに、0.20mN以上2.30mN以下の荷重領域で微分曲線の最大値となる荷重Aが、1.15mN以上1.50mN以下であることを特徴とするトナー。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法等の記録方法に使用されるトナーに関する。
近年、複写機やプリンタ等の電子写真装置は、世界的な普及が進み、屋内外を問わず様々な環境で使用されている。特に、デスクトップ型のプリンタでは、複数人で一台使用する環境から一人一台へと変化してきている。そのため、長寿命、高画質であると同時にさらなる小型化が求められている。
小型化には、現像剤が収容されるプロセスカートリッジの小型化が有効である。プロセスカートリッジの小型化の有効な手段の一つとして、クリーナーレスシステムの採用が挙げられる。
プリンタの多くはクリーナーシステムを採用しており、転写工程において、静電潜像担持体上に残存したトナー(以下、転写残トナー)は、クリーニングブレードによって静電潜像担持体上から掻き取られ、廃トナーボックスに回収される。その一方で、クリーナーレスシステムは、このクリーニングブレードや廃トナーボックスがないため、本体の小型化に大きく貢献することができる。
しかしながら、プリンタにクリーナーレスシステムを採用するためには、トナーに求められる性能も多い。例えば、クリーニングブレードがないため、転写残トナーは帯電工程を通過した上で、トナー容器内に回収され、再度現像工程へと送られる。したがって、クリーニングブレードがある系に比べると、トナーにかかるストレスは大きくなり、トナー粒子の割れやつぶれ等に伴う問題が生じやすくなる。
このトナー粒子の割れやつぶれは、特に低温低湿環境下などトナー担持体や規制ブレード等の部材が硬くなる条件や、接触現像システムにおいて顕著に起きる。その結果、粒度分布がブロードになり、トナー担持体とブレード間での摺擦による帯電が十分に行われにくくなり、静電潜像担持体上の非画像領域に低い帯電量を持つトナーが現像される現象、所謂カブリが起きやすくなる。こうしたカブリ現象を抑制するためには、これまで以上にトナーの機械的強度を強める必要がある。
従来も様々な使用環境を想定し、例えば低温低湿環境(温度15℃/相対湿度10%RH)等で耐久性を改善させる提案が数多くなされている。しかしながら、小型化されたプリンタは、その持ち運びのし易さから、従来以上に厳しい環境で使用されることが想定され、例えば10℃以下のより低温環境で使用される機会が増えてきており、より一層トナーの強度を高める必要がある。
これまでも、トナーの脆性を改良するために、様々な提案がなされている。
例えば特許文献1では、トナー粒子の機械的安定性、帯電特性、転写特性、定着特性を改善したトナーが提案されている。
また、特許文献2では、ナノインデンター(登録商標)を用いて、トナーの弾性率を規定し、高い画質の画像を長期間にわたって安定して得ることができるトナーが提案されている。
特開2005−300937号公報 特開2008−164771号公報
しかしながら、特許文献1においては、より低温環境における機械的安定性の改善の余地がある。また、特許文献2においては、定着性や濃度ムラ、カブリなどは良好な結果が得られているが、トナーの機械的強度に関しては改良の余地がある。
本発明の目的は、クリーナーレスシステムのような、トナーにより負荷がかかるシステムにおいて、10℃以下の低温環境下で長期に渡り使用しても、トナーの割れやつぶれが起こりにくく、カブリを抑制できるトナーを提供することである。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、外添剤とを含有するトナーであって、
(1)該トナーの平均円形度が、0.960以上であり、
(2)該外添剤の固着率が75%以上100%以下であり、
(3)ナノインデンテーション法による該トナーの強度の測定において、横軸を荷重(mN)、縦軸を変位量(μm)とした荷重―変位曲線を荷重で微分した微分曲線を得たときに、0.20mN以上2.30mN以下の荷重領域で微分曲線の最大値となる荷重Aが、1.15mN以上1.50mN以下であることを特徴とするトナーに関する。
本発明によれば、クリーナーレスシステムのように、トナーにより負荷がかかるシステムにおいて、10℃以下の低温環境下で長期に渡り使用しても、トナー粒子の割れやつぶれが起こりにくく、カブリを抑制できるトナーを提供することができる。
拡散指数の境界線を示す図 無機微粒子の外添に用いる混合処理装置の一例を示す模式図 混合処理装置に使用される攪拌部材の構成の一例を示す模式図
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
前述の通り、近年プリンタに求められている小型化のためには、クリーナーレスシステムが有効である。
クリーナーレスシステムでは、転写残トナーが帯電工程を通過しトナー容器内へと回収され、再度現像工程へと送られる。そのため、トナーと規制ブレード間での摺擦回数が多くなり、トナー粒子の割れやつぶれが起き、帯電分布がブロードになる恐れがあり、その結果カブリが起きやすくなる。本発明者等は、プリンタの小型化や多種多様な使用環境を想定し、特に低温環境下における、トナー粒子の割れやつぶれに起因する、カブリの改善を主目的とし鋭意検討を行った。
この、トナー粒子の割れやつぶれに関しては、低温環境ほど不利となる。その理由は、帯電ローラや規制ブレード等の部材硬度が高くなることでトナーにかかる機械的な力が高くなると共に、トナー自体の脆性も発現しやすくなるからである。
一方で、トナー粒子の割れやつぶれは、トナー粒子表面に存在する、無機微粒子や有機微粒子、あるいは無機物と有機物の複合微粒子等の所謂「外添剤」の存在状態にも影響を受ける。すなわち、トナーが機械的ストレスを受ける際に、トナー粒子表面に外添剤が存在していると、接触面積が減少し、機械的ストレスを分散することが可能となる。しかしながら、トナー粒子表面の外添剤は、カートリッジ内での長期の使用によって、トナー粒子表面から他のカートリッジ部材へ移行する場合がある。その結果、機械的ストレスを分散させる為のトナー粒子表面の外添剤の粒子数が減少する為、トナー粒子の割れやつぶれ
が発生しやすい。
そこで、本発明者らは、クリーナーレスシステムにおいて、特に低温環境下における、トナー粒子の割れやつぶれを抑制するために、トナーの強度や外添剤の存在状態について鋭意検討を行った。その結果、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、外添剤とを含有するトナーにおいて、以下の構成とすることで、上記課題を解決し得ることを見出した。即ち、本発明のトナーは、
(1)トナーの平均円形度が、0.960以上であり、
(2)外添剤の固着率が75%以上100%以下であり、
(3)ナノインデンテーション法によるトナーの強度の測定により、横軸を荷重(mN)、縦軸を変位量(μm)とした荷重―変位曲線を荷重で微分した微分曲線を得たときに、0.20mN以上2.30mN以下の荷重領域で微分曲線の最大値となる荷重Aが、1.15mN以上1.50mN以下であることを特徴とする。
本発明者らは、まず低温環境でも維持できるトナーの強度について検討した。本発明では、トナー強度の指標としてナノインデンテーション法を採用した。ナノインデンテーション法は、ステージの上に置かれた試料にダイヤモンド圧子を押し込み、荷重(押し込む強さ)と変位(押し込む深さ)を測定し、得られた荷重−変位曲線から力学物性を解析する評価法である。
トナーの機械特性を評価する方法としては、従来、微小圧縮試験機が用いられているが、微小圧縮試験に用いる圧子はトナー一粒子のサイズよりも大きいため、トナーのマクロな機械特性を評価するのに適している。
しかしながら、本発明で着目しているトナー粒子の割れやつぶれ、特に割れに対しては、トナー粒子表面のミクロな機械特性が影響している為、より微細な領域での特性評価が求められる。ナノインデンテーション法による測定では、圧子が三角錐の形状をしており、圧子先端はトナー一粒子のサイズよりも圧倒的に小さい。その為、トナー粒子表面のミクロな機械的特性を評価するのに適している。
本発明者らは、鋭意検討した結果、トナーの機械的特性として、ナノインデンテーション法による測定で、特定の範囲に制御することが重要であることを見出した。
すなわち、本発明では、ナノインデンテーション法によるトナーの強度の測定において、横軸を荷重(mN)、縦軸を変位量(μm)とした荷重―変位曲線を荷重で微分した微分曲線を得たときに、0.20mN以上2.30mN以下の荷重領域で微分曲線の最大値となる荷重Aが、1.15mN以上1.50mN以下であることを特徴とする。
ナノインデンテーション法の測定では、トナーに極微小荷重を連続的に加えて圧子を試料に押し込み、その時の変位を測定し、横軸を荷重(mN)とし、縦軸を変位量(μm)とした、荷重―変位曲線を作成する。
荷重−変位曲線において、荷重に対する変位が最大になる荷重において、トナー粒子は大きく変形する、すなわち割れに相当している現象が生じていると考えられる。そこで、本発明においては、この荷重―変位曲線上の最大傾きとなる荷重をトナー粒子の割れが生じる荷重とした。すなわち、最大傾きとなる荷重が大きいほど、トナー粒子が割れるのに必要な荷重が大きいことを示しており、よりトナー粒子が割れにくいことを示す。
本発明において、最大傾きとなる荷重を算出する方法として、荷重―変位曲線を荷重で微分した微分曲線において、微分値が最大値となる荷重を採用した。
具体的には、荷重―変位曲線を荷重で微分した微分曲線において、0.20mN以上2.30mN以下の荷重領域における微分曲線の最大値となる荷重Aが、1.15mN以上1.50mN以下であることを特徴とする。好ましくは1.20mN以上1.50mN以下であり、より好ましくは1.25mN以上1.50mN以下である。
荷重Aを、上記範囲に制御することで、クリーナーレスシステムにおいて、特に低温環境下における、トナー粒子の割れやつぶれを抑制するために一定の効果が得られる。
荷重Aに関しては、値が高いほどトナー強度は高まり、トナー粒子の割れは抑制しやすくなるが、1.50mNより高くなると、後述する、外添剤の固着性を制御しにくくなると共に、定着性も低下する方向であり、1.50mN以下が必要である。
微分曲線を求める際の、荷重範囲を0.20mN以上2.30mN以下とした理由としては、サンプル間の振れや、測定条件による振れを極力減らす為である。荷重Aは、トナーの分子量制御や、後述するトナー製造工程における加温条件により制御できる。
また、ナノインデンテーション法によるトナーの測定はトナーの形状の影響を強く受ける。その為、トナーの平均円形度が重要であり、平均円形度が0.960以上であれば再現性良く評価できることを見出した。従って、本発明においては、前提条件としてトナーの平均円形度を0.960以上と規定する。好ましくは0.970以上であり、上限は特に制限されないが、好ましくは1.000以下である。
本発明では、トナー強度を高めるために、トナー粒子表面の外添剤の存在状態にも着目し検討を行った。
前述した通り、トナー粒子表面の外添剤による、トナー粒子の割れ抑制の為には、トナー粒子表面において機械的ストレスを分散させる効果を発揮しうる外添剤の粒子数を維持することが重要である。その為には、外添剤の固着率を高める必要がある。トナー粒子に対する、外添剤の固着率が75%以上100%以下である必要があり、好ましくは80%以上100%以下である。
しかしながら、トナーの機械的強度の維持と外添剤の高固着率との両立は技術的にハードルが高く、これまで達成することが困難であった。
すなわち、外添剤の固着率を高めようとすると、トナー粒子表面へより強い力で外添剤を打ち付ける必要がある。そのような条件下でトナーを製造すると、トナーは機械的負荷を受ける為、残留応力(歪み)を内部に蓄積し易くなる。トナーがカートリッジ内で機械的シェアを受けると、この内部に蓄積した残留応力を起点に、トナー粒子の割れが促進され易くなる。
一方、トナーの機械的強度を高める為に、歪を生じさせないように、弱い力で外添剤を打ち付けると、トナー強度は維持できるが、高い固着率を達成することが困難である。また、トナーの機械的強度を上げるために有効な、トナーの分子量(例えばTHF可溶分のピーク分子量)を上げる手段を用いても、同様に外添剤は固着しにくく、また定着性も低下しやすい。
そのため、従来のトナー設計においては、トナー強度の維持と外添剤の強固着を両立させようとする発想自体が、ほとんど見られなかった。
本発明の特徴としては、従来発想の無かった、トナー強度の維持と外添剤の高固着率とを両立させたことである。これにより、クリーナーレスシステムのように、よりトナーに負荷がかかるシステムにおいて、さらに極低温環境下における、トナー粒子の割れやつぶれを高いレベルで抑制することができ、カブリの無い鮮明な画像を得ることが可能となった。
次に本発明のトナーの好ましい製造方法について説明する。
トナーの機械的強度の向上と外添剤の強固着状態の両立のためには、外添剤をトナー粒子表面に固着させる外添工程以降に加温工程を設けることが好ましい。
機械的強度を上げる為には、例えばトナーの分子量を上げることが有効であるが、分子量を上げ過ぎると、定着性が低下する場合もある。
分子量を上げすぎることなく、トナーの機械的強度を向上させるためには、外添工程以
降に、加温工程を設けることが好ましい。これにより、トナーの外添工程で生じた残留応力を緩和させられると共に、熱により外添剤の固着を促進することが可能となる。
この残留応力を緩和させるためには、外添工程によって生まれるトナー中の分子鎖ひずみを除去し、安定化させることが有効であることが分かった。この分子鎖ひずみの除去方法として有効な手段は、外添工程以降(外添工程中又は外添工程の後)における、分子鎖が動くトナー粒子のガラス転移温度Tg近傍での加温工程である。さらに、Tg近傍で加温することで、トナー粒子が僅かに熱変形し、外添剤のトナー粒子への固着もより効率的に進む為好ましい。
加温工程の温度Tは、トナー粒子のガラス転移温度をTgとした場合、Tg−10℃≦T≦Tg+5℃の条件が好ましく、さらにはTg−5℃≦T≦Tg+5℃が好ましい。加温時間は特に限定されないが、好ましくは、3分以上30分以下であり、より好ましくは、3分以上10分以下である。
また、トナー粒子のガラス転移温度Tgは保存性の観点から、40℃以上70℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上65℃以下である。
加温工程に用いる装置としては、混合機能を有している装置が好ましく、公知の混合処理装置を用いることができるが、応力緩和の効率性と外添剤の固着の効率性の観点から、図2に示すような装置が特に好ましい。
図2は、加温工程で用いることができる混合処理装置の一例を示す模式図である。
一方、図3は、該混合処理装置に使用される攪拌部材の構成の一例を示す模式図である。該混合処理装置は、少なくとも複数の攪拌部材33が表面に設置された回転体32と、回転体を回転駆動する駆動部38と、攪拌部材33と間隙を有して設けられた本体ケーシング31とを有する。
本体ケーシング31の内周部と、撹拌部材33との間隙(クリアランス)では、トナーに効率的に熱を加えると共に、トナーに均一にシェアを与え、外添剤を二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、トナー粒子の表面に固着させることができる。
さらに、後述するように、回転体の軸方向において、トナー粒子と外添剤が循環しやすく、固着が進む前に十分に均一混合されやすい点で、後述する被覆率X1及び、拡散指数を本発明において好ましい範囲に制御しやすい。
また、本装置は、本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径の2倍以下である。図2において、本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径(回転体32から攪拌部材33を除いた胴体部の径)の1.7倍である例を示す。本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径の2倍以下であると、トナー粒子に力が作用する処理空間が適度に限定されるため、二次粒子となっている外添剤を十分に分散することが可能となる。
また、上記クリアランスは、本体ケーシングの大きさに応じて、調整することが重要である。本体ケーシング31の内周部の径の、1%以上5%以下程度とすることが、トナーに効率的に熱を加えるという点で重要である。具体的には、本体ケーシング31の内周部の径が130mm程度の場合は、クリアランスを2mm以上5mm以下程度とし、本体ケーシング31の内周部の径が800mm程度の場合は、10mm以上30mm以下程度とすればよい。
図3に示すように、複数の攪拌部材33の少なくとも一部が、回転体32の回転に伴って、トナーを回転体の軸方向の一方向に送る送り用攪拌部材33aとして形成される。また、複数の攪拌部材33の少なくとも一部が、トナーを回転体32の回転に伴って、回転体の軸方向の他方向に戻す戻し用攪拌部材33bとして形成されている。ここで、図2のように、原料投入口35と製品排出口36が本体ケーシング31の両端部に設けられている場合には、原料投入口35から製品排出口36へ向かう方向(図2で右方向)を「送り
方向」という。
すなわち、図3に示すように、送り用攪拌部材33aの板面は送り方向43にトナーを送るように傾斜している。一方、攪拌部材33bの板面は戻り方向42にトナーを送るように傾斜している。
これにより、「送り方向」43への送りと、「戻り方向」42への送りとを繰り返し行いながら、加温処理を行う。また、攪拌部材33aと33bは、回転体32の円周方向に間隔を置いて配置した複数枚の部材が一組となっている。図3に示す例では、攪拌部材33a、33bが回転体32に互いに180度の間隔で2枚の部材が一組をなしているが、120度の間隔で3枚、あるいは90度の間隔で4枚、というように多数の部材を一組としてもよい。
図3に示す例では、攪拌部材33aと33bは等間隔で、計12枚形成されている。
さらに、図3において、Dは攪拌部材の幅、dは攪拌部材の重なり部分を示す間隔を示す。トナーを、送り方向と戻り方向に効率よく送る観点から、図3における回転体32の長さに対して、Dは20%以上30%以下程度の幅であることが好ましい。図3においては、23%である例を示す。さらに攪拌部材33aと33bは攪拌部材33aの端部位置から垂直方向に延長線を引いた場合、攪拌部材33bと攪拌部材33aの重なり部分dをある程度有することが好ましい。
これにより、トナー粒子表面の外添剤を効率的に分散させることができる。Dに対するdは、10%以上30%以下であることがシェアをかける点で好ましい。
なお、羽根の形状に関しては、図3に示すような形状以外にも、送り方向及び戻り方向にトナー粒子を送ることができ、クリアランスを維持することができれば、曲面を有する形状や先端羽根部分が棒状アームで回転体32に結合されたパドル構造であってもよい。
以下、図2及び図3に示す装置の模式図に従って、さらに詳細に説明する。
図2に示す装置は、少なくとも複数の攪拌部材33が表面に設置された回転体32と、回転体32を回転駆動する駆動部38と、攪拌部材33と間隙を有して設けられた本体ケーシング31を有する。さらに、本体ケーシング31の内側にあり、回転体端部側面310に隣接している、冷熱媒体を流すことのできるジャケット34を有している。
さらに、図2に示す装置は、本体ケーシング31の上部に形成された原料投入口35と、本体ケーシング31の下部に形成された製品排出口36とを有している。原料投入口35は、トナーを導入するために使用され、製品排出口36は外添混合処理されたトナーを本体ケーシング31から外に排出するために使用される。
さらに、図2に示す装置は、原料投入口35内に、原料投入口用インナーピース316が挿入されており、製品排出口36内に、製品排出口用インナーピース317が挿入されている。
まず、原料投入口35から原料投入口用インナーピース316を取り出し、トナーを原料投入口35より処理空間39に投入し、原料投入口用インナーピース316を挿入する。次に、駆動部38により回転体32を回転させ(41は回転方向を示す)、上記で投入した処理物を、回転体32の表面に複数設けられた攪拌部材33により攪拌、混合しながら加温混合処理する。
ジャケット34に所望の温度の温水を通水することで、加温を行うことができる。温度は、原料投入口用インナーピース316内部に設置した熱電対でモニターする。本発明のトナーを安定的に得る為には、原料投入口用インナーピース316内部の温度T(熱電対温度)は、トナー粒子のガラス転移温度をTgとして、Tg−10℃≦T≦Tg+5℃の条件が好ましく、さらにはTg−5℃≦T≦Tg+5℃が好ましい。
加温混合処理条件としては、駆動部38の動力を、好ましくは1.0×10−3W/g以上1.0×10−1W/g以下、より好ましくは5.0×10−3W/g以上5.0×
10−2W/g以下に制御する。トナーの内部応力を緩和させてトナーの機械的強度を高めるためには、極力トナーに外的エネルギーを与えない方が好ましい。一方で外添剤の固着状態や被覆状態を均一にする為には、最低限の動力は必要であり、上記範囲に制御することが好ましい。
駆動部38の動力は、トナー投入時の動力(W)から、トナーを投入していない時に運転した空動力(W)を差し引き、トナー投入量(g)で割った値を示す。
処理時間は、加温する温度にもよるため、特に限定されないが、好ましくは、3分以上30分以下であり、より好ましくは、3分以上10分以下である。上記範囲に制御することで、トナー強度と固着を両立し易くなる。
攪拌部材の回転数については上記動力と連動する為、特に限定されない。図2に示す装置の処理空間39の容積が2.0×10−3の装置において、攪拌部材33の形状を図3ものとしたときの攪拌部材の回転数としては、50rpm以上500rpm以下であることが好ましく、より好ましくは、100rpm以上300rpm以下である。
混合処理終了後、製品排出口36内の、製品排出口用インナーピース317を取り出し、駆動部38により回転体32を回転させ、製品排出口36からトナーを排出する。必要に応じて円形振動篩機などの篩機でトナーの粗粒などを分離してもよい。
トナーの製造においては、外添工程以降(外添工程中又は外添工程の後)に加温工程を設けることが好ましい。上記混合処理条件を用いて、外添と加温処理を同時に実施してもよいし、外添工程を終了したトナーに対して、上記装置で加温処理してもよい。
トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような公知の混合機により混合外添した後に、上記混合処理装置で加温することがより好ましい。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株));スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
本発明のトナーは上記特性を有していれば、その他の制限は無いが、以降に示す構成であることがより好ましい。
X線光電子分光装置(ESCA)で測定される外添剤によるトナー粒子表面の被覆率X1が、好ましくは40.0面積%以上80.0面積%以下であり、より好ましくは45.0面積%以上60.0面積%以下である。
トナー粒子表面へ強固に外添剤が固着している本発明のトナーにおいて、その被覆率を上記範囲に制御することで、適正な帯電分布を維持することができ、現像時に生じる所謂、現像ゴーストをより良好なレベルにすることができる。
また、外添剤によるトナー粒子表面の理論被覆率をX2としたとき、下記式(1)で示される拡散指数が下記式(2)を満たすことが好ましい。
(1) 拡散指数=X1/X2
(2) 拡散指数≧−0.0042×X1+0.62
上記被覆率X1は、下記の通り算出する。
(i)外添剤単体をESCAで測定したときの外添剤を構成する特徴的な原子の検出強度Xaを求める。
(ii)次にトナー検体をESCAで測定し、外添剤に由来する原子((i)と同じ原子)の検出強度Xbを求める。
上記XbとXaの比(Xb/Xa)から被覆率X1を求める。
例えば、外添剤としてシリカ微粒子を用いる場合、シリカ微粒子単体をESCAで測定したときのSi原子の検出強度に対する、トナーを測定したときのSi原子の検出強度の比から、算出することができる。
また、外添剤を複数種用いる場合は、それぞれの外添剤について上記被覆率X1を求め、それらを足し合わせた値をX1とする。
この被覆率X1は、トナー粒子の表面のうち、外添剤が実際に被覆している面積の割合を示す。
一方、外添剤による理論被覆率X2は、トナー粒子100質量部あたりの外添剤の質量部数、及び外添剤の粒径などを用い、下記式(3)より算出される。これはトナー粒子の表面を理論的に被覆できる面積の割合を示す。
(3)理論被覆率X2(面積%)=
1/2/(2π)×(dt/da)×(ρt/ρa)×C×100
外添剤を複数種用いる場合は、各外添剤に関して理論被覆率X2を算出し、それらを足し合わせた値をX2とする。
da:外添剤の個数平均粒径(D1)
dt:トナーの重量平均粒径(D4)
ρa:外添剤の真密度
ρt:トナーの真密度
C:外添剤の質量/トナーの質量(=トナー粒子100質量部に対する外添剤の添加部数(質量部)/(トナー粒子100質量部に対する外添剤の添加部数(質量部)+100(質量部)))
(なお、外添剤の添加量が不明な場合には、後述する「トナー中の外添剤の含有量」の測定方法に基づいて、外添剤の添加量を算出し“C”として用いる。また、外添剤の個数平均粒径(D1)は、後述するトナー粒子の表面観察に基づく外添剤の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法に基づき得られた値を用いる。ただし、複数種の外添剤を用いる場合等、表面観察法による算出が困難な場合は、あらかじめ測定したそれぞれの外添剤の個数平均粒径を採用してもよい。)
上記式(1)で示される拡散指数の物理的な意味合いを以下に示す。
拡散指数は、実測の被覆率X1と理論的な被覆率X2の乖離を示す。この乖離の程度は、トナー粒子の表面から垂直方向に二層、三層と積層した外添剤の多さを示すと考えている。理想的には拡散指数は1になるが、これは、被覆率X1が理論被覆率X2と一致した場合であり、二層以上積層した外添剤が全く存在しない状態である。
一方、外添剤が、凝集体としてトナーの表面に存在すると、実測の被覆率と理論的な被覆率の乖離が生じ、拡散指数が低くなる。つまり、拡散指数は、凝集体として存在する外添剤の量を示すと言い換えることもできる。
拡散指数は、上記式(2)で示される範囲であることが好ましい。これは即ち、拡散指数がある一定の値以上を取ることが好ましいことを示す。
拡散指数が大きいということは、トナー粒子の表面の外添剤のうち、凝集体として存在している量が少なく、一次粒子として存在する量が多いことを示す。外添剤が、一次粒子で存在すると、より均一な状態でトナー粒子表面に外添剤を固着することができる。その為、高い現像効率を維持し、カブリを抑制できると共に良好な画像濃度を得ることができる。
拡散指数の境界線は、被覆率X1が40.0面積%以上80.0面積%以下の範囲において、被覆率X1を変数とした関数である。
この関数の算出は、3種の外添混合条件を用いて、添加する外添剤の量を変えて被覆率X1を任意に変化させたトナーを製造し、被覆率X1と拡散指数の関係をプロットしたグラフ(図1)を作成して行った。このグラフにプロットしたトナーに対して、耐久使用後の画像濃度を評価した結果、式(2)を満足する領域にプロットされるトナーは、十分な画像濃度が得られることが分かった。
ここで、拡散指数が被覆率X1に依存する理由に関して、本発明者らは次のように推測している。高い現像効率を達成するためには二次粒子として存在している外添剤の量が少ない方が良いが、被覆率X1の影響も少なからず受ける。被覆率X1が増加するにつれて、現像効率が徐々に良好になるため、二次粒子として存在する外添剤の量の許容量が増えることになる。このように、拡散指数の境界線は、被覆率X1を変数とした関数になると考えている。
すなわち、被覆率X1と拡散指数の間には相関関係があり、被覆率X1に応じて拡散指数を制御することが好ましい。
また、粉体流動性測定装置において、測定容器内で0.88kPaの垂直荷重を加えて作製したトナーの粉体層の表面に、プロペラ型ブレードを該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速を10mm/secで回転させながら、侵入させたときのTotal Energyが、好ましくは200mJ以上400mJ以下であり、より好ましくは250mJ以上350mJ以下である。
粉体流動性測定装置は、圧密した粉体層に対してプロペラ型ブレードを回転させながら侵入させ、その時に掛るシェアをTotal Energy(mJ)として算出することができる装置である。例えばカートリッジ内でのシェアを受けたトナーの流動状態を表すのに適している。外添剤のトナー粒子への固着強度を上げると、トナーの流動性は低下し易くなる傾向にある。これは即ち、Total Energyが高くなる傾向にある。本発明では加温工程を実施することで、Total Energyを上昇させることなく、外添剤の固着率を上げることが可能となる。
またTotal Energyが低すぎても、カートリッジ内での搬送性とのバランス取りが必要である。Total Energyを、200mJ以上400mJ以下に制御することで、耐久後半においても画像に帯状の抜けが発生するフェーディングが起こりにくいトナーを得ることができる。
Total Energyは、外添工程や加温工程の条件にてコントロール可能である。
また、外添剤は、トナー粒子に対する固着率が75%以上100%以下であれば、特に制限はない。個数平均粒径(D1)が、好ましくは40nm以上200nm以下であり、より好ましくは80nm以上150nm以下の外添剤を含有することが好ましい。
粒径が上記範囲の外添剤を用いて、上記強固着状態を達成することで、高温高湿環境においても外添剤の過剰の埋め込みが生じることなく、長期に渡り安定的な画像濃度を得ることが可能となる。
また、個数平均粒径(D1)が、40nm以上200nm以下の外添剤とは、別により粒径の小さい別の外添剤と併用することがより好ましい。大小粒径の異なる外添剤を用いることで、帯電性と流動性を制御し易くなる。
外添剤を併用する際には、個数平均粒径40nm以上200nm以下の外添剤Aと、個数平均粒径(D1)5nm以上40nm未満の外添剤Bを用いることが好ましい。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.3質量部以上3.5質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上2.5質量部以下がより好ましい。
また、外添剤Aの含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.5質量部以上2.5質量部以下であることが好ましい。
外添剤Bの含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.3質量部以上1.0質量部以下であることが好ましい。
本発明で用いられる、外添剤としては、特に制限は無いが、無機微粒子、有機微粒子、
あるいは無機物と有機物で構成された有機無機複合微粒子等が用いられる。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、及びそれらの複合酸化物微粒子等の微粒子が挙げられる。これらの中でも、シリカ微粒子であることが好ましい。
シリカ微粒子の製造方法としては、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法(すなわちヒュームドシリカの製造方法)、金属ケイ素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法、ケイ酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式法、ヒドロカルビルオキシシランなどのアルコキシシランの加水分解によって得られるゾルゲル法(いわゆるStoeber法)が挙げられる。
無機微粒子は、疎水化処理によって疎水化度を制御して用いることが好ましい。疎水化度を制御することにより、液滴と疎水性の分散媒体との界面に無機微粒子が偏在しやすくなり、液滴の分散安定性を向上させやすくなる。無機微粒子を疎水化処理する方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができるが、無機微粒子を疎水化処理剤で処理する方法が好ましい。
疎水化処理剤としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどのクロロシラン類;
テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン類;
ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザンなどのシラザン類;
ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル;
ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンなどのシロキサン類;
脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸、前記脂肪酸と亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシシラン類、シラザン類、シリコーンオイルは、疎水化処理を実施しやすいため、好ましく用いられる。これらの疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
有機微粒子としては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂のような樹脂粒子が挙げられる。
無機物と有機物の複合微粒子としては、無機物と有機物で構成された有機無機複合微粒子が挙げられる。
有機無機複合微粒子であれば、無機材料としての良好な耐久性及び帯電性を維持しつつ、定着時においては、熱容量の低い有機材料の成分により、トナー粒子の合一を阻害しにくく、定着阻害を生じにくい。その為、耐久性と定着性の両立を図りやすい。
有機無機複合微粒子の好ましい構成としては、有機成分である樹脂微粒子(好ましくはビニル系樹脂微粒子)の表面に埋め込まれた無機微粒子で構成された複合微粒子である。より好ましくは、ビニル系樹脂粒子の表面に無機微粒子が露出している構造を有することが好ましい。さらに好ましくは、該ビニル系樹脂粒子の表面に、該無機微粒子に由来する凸部を有する構造が好ましい。外添剤は、シリカ微粒子及び有機無機複合微粒子からなる群から選択される少なくとも一種を有することが好ましい。
また、その他の外添剤として、例えば、フッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末のような滑剤;酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤等を用いてもよい。
また、トナーのメタノール/水混合溶媒に対する濡れ性測定において、波長780nmの光の透過率で測定した場合、透過率が40%のときのメタノール濃度が、好ましくは40体積%以上62体積%以下であり、より好ましくは50体積%以上60体積%以下である。
メタノール濡れ性は、トナーの疎水化度を示すものであるが、上記範囲に制御することで、高湿環境下での帯電不足や低湿環境下での過剰帯電を抑制することができ、帯電不良に伴う、現像スリーブのコート不良を抑制できる。
メタノール濡れ性は、外添工程における温度や時間によって、例えば、離型剤を用いる場合、トナー中の離型剤の存在状態を変化させることで制御可能である。
また、外添工程以降に設ける加温工程の温度条件によっても制御可能である。
以降、本発明の好ましい態様についてより詳細に説明する。
トナーに使用される結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。
好ましくは、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、又は両者が一部反応したハイブリッド樹脂である。
トナーは、離型剤を含有してもよい。
離型剤としては、カルナウバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナウバワックスなどのような脂肪酸エステル類から酸成分の一部又は全部を脱酸したもの;植物性油脂の水素添加などによって得られる、ヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物;ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニルなどの飽和脂肪酸モノエステル類;セバシン酸ジベヘニル、ドデカン二酸ジステ
アリル、オクタデカン二酸ジステアリルなどの飽和脂肪族ジカルボン酸と飽和脂肪族アルコールとのジエステル化物;ノナンジオールジベヘネート、ドデカンジオールジステアレートなどの飽和脂肪族ジオールと飽和脂肪酸とのジエステル化物、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);炭素数12以上の長鎖アルキルアルコール又は長鎖アルキルカルボン酸;などが挙げられる。
これらの離型剤の中では、飽和脂肪酸モノエステル類やジエステル化物などの1官能又は2官能のエステルワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素ワックスが好ましい。
また、離型剤の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピークのピーク温度で規定される融点は、60〜140℃であることが好ましい。より好ましくは60〜90℃である。融点が60℃以上であると、トナーの保存性が向上する。一方、融点が140℃以下であると、低温定着性が向上しやすくなる。
上記離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、3〜30質量部が好ましい。離型剤の含有量が3質量部以上であると、定着性が良化しやすくなる。一方、離型剤の含有量が30質量部以下であると、長期使用時にトナーの劣化が起こりにくくなり、画像安定性が向上しやすくなる。
本発明のトナーは、荷電制御剤を含有することが好ましい。
負帯電用の荷電制御剤としては、有機金属錯化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯化合物;アセチルアセトン金属錯化合物;芳香族ハイドロキシカルボン酸又は芳香族ダイカルボン酸の金属錯化合物などが例示される。
市販品の具体例として、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89(オリエント化学工業(株))が挙げられる。
これらの荷電制御剤は単独、又は二種以上組み合わせて用いることが可能である。これらの荷電制御剤の使用量は、トナーの帯電量の点から、結着樹脂100質量部当たり0.1〜10.0質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0質量部である。
本発明のトナーは、磁性一成分トナー、非磁性一成分トナー、非磁性二成分トナーのいずれのトナーとしても使用できる。
磁性一成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性体が好ましく用いられる。磁性一成分トナーに含まれる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような
金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、並びにこれらの混合物が挙げられる。
これらの中でも、マグネタイトが好ましく用いられ、その形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形などの異方性の少ないものが、画像濃度を高めるうえで好ましい。
磁性体は、体積平均粒径が0.10μm以上0.40μm以下であることが好ましい。体積平均粒径が0.10μm以上であると、磁性体が凝集しにくくなり、トナー中での磁性体の均一分散性が向上する。また体積平均粒径が0.40μm以下ではトナーの着色力が向上するため好ましい。
なお、磁性体の体積平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍〜4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性体粒子径を測定する。そして、磁性体の投影面積に等しい円の相当径を基に、体積平均粒径の算出を行う。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
トナーに用いられる磁性体は、例えば以下の方法で製造することができる。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウムなどのアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性体の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5〜10に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。このとき、任意のpHおよび反応温度、攪拌条件を選択することにより、磁性体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性酸化鉄粒子を定法により濾過、洗浄、乾燥することにより磁性体を得ることができる。
また、重合法にてトナーを製造する場合、磁性体表面を疎水化処理することが好ましい。乾式にて表面処理をする場合、洗浄・濾過・乾燥した磁性体表面にカップリング剤処理を行うことができる。湿式にて表面処理を行う場合、酸化反応終了後、乾燥させたものを再分散させる、又は酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄体を乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させ、カップリング処理を行うことができる。
具体的には、再分散液を十分攪拌しながらシランカップリング剤を添加し、加水分解後温度を上げる、あるいは、加水分解後に分散液のpHをアルカリ域に調整することでカップリング処理を行うことができる。この中でも、均一な表面処理を行うという観点から、酸化反応終了後、濾過、洗浄後に乾燥させずそのままリスラリー化し、表面処理を行うことが好ましい。
磁性体の表面処理を湿式で、すなわち水系媒体中においてカップリング剤で処理するには、まず水系媒体中で磁性体を一次粒径となるよう十分に分散させ、沈降、凝集しないように攪拌羽根などで攪拌する。次いで上記分散液に任意量のカップリング剤を投入し、カップリング剤を加水分解しながら表面処理するが、このときも攪拌を行いつつピンミル、ラインミルなどの装置を使いながら凝集しないように十分に分散させつつ表面処理を行うことがより好ましい。
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調製剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールなどのノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水系媒体中0.1〜5.0質量%添加することが好ましい。pH調製剤としては、塩酸などの無機酸が挙げられる。有機溶剤としてはアルコール類などが挙げられる。
磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(4)で示されるものである。
SiY (4)
[式中、Rは(好ましくは炭素数1〜3の)アルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yは(好ましくは炭素数2〜20の)アルキル基、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基などの官能基を示し、nは1〜3の整数を示す。ただし、m+n=4である。]
一般式(I)で示されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
この中で、高い疎水性を磁性体に付与するという観点では、下記一般式(5)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を用いることが好ましい。
2p+1−Si−(OC2q+1 (5)
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
上記式におけるpが2以上であると、磁性体に疎水性を十分に付与することができる。pが20以下であると、疎水性が十分であり、さらに磁性体同士の合一が抑制できる。さらに、qが3以下であると、シランカップリング剤の反応性が良好で疎水化が十分に行われやすい。
このため、式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用することが好ましい。
上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、又は複数を併用して処理することが可能である。複数を併用する場合、それぞれのカップリング剤で個別に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
用いるカップリング剤の総処理量は磁性体100質量部に対して0.9〜3.0質量部であることが好ましく、磁性体の表面積、カップリング剤の反応性などに応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
トナーには磁性体以外に他の着色剤を併用してもよい。
非磁性一成分トナー及び非磁性二成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独で又は2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これらのものを単独で又は2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。
マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独で又は2以上のものを併用して用いる。
トナーの機械的強度の点では、着色剤として磁性体を用いる磁性トナーの方が結着樹脂と磁性酸化鉄粒子の界面で、結合力が弱くなる場合がある。
磁性トナー、及び非磁性トナー、どちらにおいても本発明の効果は得られるが、特に機械強度の観点から磁性トナーにおいて、大きな効果を得やすい。
すなわち、着色剤が磁性体を有することが好ましい。磁性体の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、30質量部以上120質量部以下が好ましく、40質量部以上110質量部以下がより好ましい。また、磁性体以外に着色剤を用いてもよく、磁性体以外の着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが
好ましい。
以下に、トナーの製造方法について例示するが、本発明はこれに限定されない。本発明のトナーは、ナノインデンテーション法によるトナー強度を再現性高く測定するために、平均円形度0.960以上が必要である。この円形度を満足していれば、特に製造方法に限定は無く、粉砕法によって製造することも可能であるが、分散重合法、会合凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法、乳化凝集法など、水系媒体中でトナーを製造することが好ましい。懸濁重合法は本発明の好適な物性を満たしたトナーが得られやすくより好ましい。
懸濁重合法では、まず、結着樹脂を形成しうる重合性単量体中に、着色剤(さらに必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に、適当な攪拌器を用いて、得られた重合性単量体組成物を分散・造粒し、重合開始剤を用いて重合反応を行い、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、本発明に好適な物性要件を満たすトナーが得られ易く、ナノインデンテーション法によるトナー強度測定も再現性高く測定可能である。
重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で、又は混合して使用し得る。
上述の単量体の中でも、スチレン系単量体を単独で、又はアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類など他の単量体と混合して使用することがトナー構造を制御し、トナーの現像特性および耐久性を向上し易い点から好ましい。特に、スチレンとアクリル酸アルキルエステル又は、スチレンとメタクリル酸アルキルエステルを主成分として使用することがより好ましい。すなわち、結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂であることが好ましい。
重合法によるトナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30時間以下であるものが好ましい。また、重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下の添加量で用いることが好ましい。そうすると、分子量5,000以上50,000以下の間に極大を有する重合体を得ることができ、トナーに好ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。
定着性と機械的強度の観点から、トナーのピーク分子量(Mp(T))が、好ましくは10,000以上35,000以下、より好ましくは15,000以上30,000以下である。
具体的な重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイル
パーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(セカンダリーブチル)パーオキシジカーボネートなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
この中でも、t−ブチルパーオキシピバレートが好ましい。
トナーを重合法により製造する際は、架橋剤を添加してもよく、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部以上15質量部以下である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
重合性単量体組成物には、極性樹脂を含有させることが好ましい。懸濁重合法では、水系媒体中で磁性トナー粒子を製造するため、極性樹脂を含有させることによって、トナー粒子の表面に極性樹脂の層を形成させることができ、コア/シェル構造を有するトナー粒子を得ることができる。
コア/シェル構造を有していることで、コア及びシェル設計の自由度が増す。例えば、シェルのガラス転移温度を高くすることで、外添剤の埋め込みなどの耐久劣化(長期使用時の劣化)を抑制できるようになる。またシェルに遮蔽効果を付与することで、シェルの組成が均一化させやすいため、均一帯電できるようになる。
シェル層用の極性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ポリエステル共重合体、ポリアクリレート−ポリエステル共重合体、ポリメタクリレート−ポリエステル共重合体、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
これらを単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、これらポリマー中にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基などの官能基を導入してもよい。これらの樹脂の中でも、ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、又は式(A)で表されるビスフェノール誘導体;式(A)で表される化合物の水添物、式(B)で示されるジオール又は、式(B)の化合物の水添物のジオールが挙げられる。
Figure 2019032365

[式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、x+yの平均値は2〜10である。]
Figure 2019032365
2価のアルコール成分としては、帯電特性、環境安定性が優れておりその他の電子写真特性においてバランスのとれた前記のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が特に好ましい。この化合物の場合には、定着性やトナーの耐久性の点においてアルキレンオキサイドの平均付加モル数は2以上10以下が好ましい。
2価の酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル又はアルケニル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。
さらに、3価以上のアルコール成分としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを例示することができ、3価以上の酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物などを例示することができる。
ポリエステル樹脂は、炭素数6以上12以下の直鎖脂肪族ジカルボン酸を全カルボン酸成分に対して10mol%以上50mol%以下含有したカルボン酸成分と、アルコール成分との重縮合体であることが好ましい。
該ポリエステル樹脂が、炭素数6以上12以下の直鎖脂肪族ジカルボン酸を全カルボン酸成分に対して10mol%以上50mol%以下含有したカルボン酸成分を有することで、ポリエステル樹脂のピーク分子量を高くした状態で、ポリエステル樹脂の軟化点を低
下させやすくなる。そのために、定着性を維持した状態でトナー強度を高められる。
ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分との合計を100モル%としたとき、45モル%以上55モル%以下がアルコール成分であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、スズ系触媒、アンチモン系触媒、チタン系触媒などいずれの触媒を用いて製造することができるが、チタン系触媒を用いることが好ましい。
また、シェル用の極性樹脂は、現像性、耐ブロッキング性、耐久性の観点から、数平均分子量が2500以上25000以下であることが好ましい。なお、数平均分子量はGPCにより測定できる。
シェル用の極性樹脂は、酸価が1.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは酸価が2.0mgKOH/g以上10.0mgKOH/g以下である。酸価を上記範囲に制御することで、均一なシェルを形成しやすい。
シェル層用の極性樹脂は、シェル層による効果を十分に得るという観点から、結着樹脂100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下含有されることが好ましい。
重合性単量体組成物が分散される水系媒体には分散安定剤が含有されるが、分散安定剤としては、公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れにくく、洗浄も容易でトナーに悪影響を与えにくいため、好ましく使用できる。
こうした無機分散剤の例としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、ヒドロキシアパタイトなどのリン酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下使用することが好ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。さらに、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用してもよい。これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用してもよいが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることができる。
例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速攪拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性のリン酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。このとき、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生しにくくなるので好ましい。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムなどが挙げられる。
上記重合性単量体を重合する工程において、重合温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上90℃以下の温度に設定される。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤が相分離により析出して内包化がより完全となる。
その後、50℃以上90℃以下程度の反応温度から冷却し、重合反応工程を終了させる冷却工程がある。その際に、離型剤と結着樹脂の相溶状態を保つように徐々に冷却することが好ましい。
上記重合性単量体の重合終了後、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、外添剤を前述のごとく混合して該トナー粒子の表面に付着させることで、トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉をカットすることも可能で
ある。
次に、本発明に関わる各物性の測定方法に関して記載する。
<ナノインデンテーション法によるトナー強度の測定方法>
ナノインデンテーション法によるトナー強度の測定は、株式会社フィッシャー・インストルメント製ピコデンターHM500を使用する。ソフトはWIN−HCUを使用する。圧子は、ビッカース圧子(角度:130°)を用いる。
測定は上記圧子を所定の速度により所定の荷重になるまで押し込む工程(以下、「押し込み工程」と称す)からなる。この押し込み工程によって得られる図5に示すような荷重変位曲線と荷重で微分した微分曲線からトナー強度を算出する。
まず、ソフト上に表示される顕微鏡につながれたビデオカメラ画面で顕微鏡の焦点あわせを行う。なお、焦点合わせを行う対象物は、後述のZ軸合わせを行うガラス板(硬度;3600N/mm)を使用する。このとき、対物レンズを5倍から20倍、50倍と順次焦点合わせを行う。これ以降は、50倍の対物レンズで調整を行う。
次に、上述のように焦点合わせを行った上記ガラス板を用いて「アプローチパラメータ設定」操作を行い、圧子のZ軸合わせを行う。その後、ガラス板からアクリル板へ置き換えて、「圧子のクリーニング」操作を行う。「圧子のクリーニング」操作とは、圧子先端をエタノールで湿らせた綿棒で清掃すると同時に、ソフト上で指定した圧子位置とハード上での圧子位置を一致させる、すなわち圧子のXY軸合わせを行う操作のことである。
その後、トナーを付着させたスライドガラスに変えて、測定対象となるトナーに顕微鏡の焦点を合わせる。なお、スライドガラスへのトナーの付着方法は、以下の通りである。
まず、綿棒の先端に測定対象となるトナーを付着させ、ビンの淵等で余分なトナーを篩い落とす。その後、スライドガラスの淵に綿棒の軸を押し当てながら、綿棒に付着したトナーをスライドガラス上にトナーが一層になるようにたたき落とす。
その後、上記のようにトナーを一層付着させたスライドガラスを顕微鏡にセットし、50倍の対物レンズでトナーに焦点を合わせ、ソフト上で圧子先端がトナー粒子の中心に来るようにセットする。なお選択するトナー粒子は、長径短径ともにトナーのD4(μm)±1.0μm程度の粒子に限定する。
以下の条件で押し込み工程を実施することで測定する。
(押し込み工程)
・最大押し込み荷重=2.5mN
・押し込み時間=100秒
上記測定により、横軸を荷重(mN)とし、縦軸を変位量(μm)とした、荷重―変位曲線を作成する。
本発明におけるトナー強度と定義する「最大傾きとなる荷重」を算出する方法として、荷重―変位曲線を荷重で微分した微分曲線において、微分値が最大値となる荷重を採用する。なお、微分曲線を求める際の、荷重範囲はデータの精度を考慮し0.20mN以上2.30mN以下とする。
上記測定をトナー30粒について実施し、相加平均値を採用する。
なお、測定は、1粒子測定ごとに必ず上述した「圧子のクリーニング」操作(圧子のXY軸合わせも含む)を行う。
<外添剤の固着率の測定方法>
50mL容量のバイアルに「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液20gを秤量し、トナー1gと混合する。
いわき産業(株)製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、speedを50に設定して30秒間振とうする。これにより、外添剤の固着状態に依っては、外添剤がトナー粒子表面から、分散液側へ移行する。
その後、磁性トナーの場合は、ネオジム磁石を用いてトナー粒子を拘束した状態で、上
澄み液に移行した外添剤を分離させ、沈殿しているトナーを真空乾燥(40℃/24時間)することで乾固させて、サンプルとする。
なお、非磁性トナーの場合は、遠心分離機(H−9R;株式会社コクサン社製)(1000rpmにて5分間)にて、トナーと上澄み液に移行した外添剤を分離する。
トナーを下記プレス成型によりペレット化してサンプルとする。上記処理を施す前後のトナーのサンプルに関して、下記に示す波長分散型蛍光X線分析(XRF)により、分析対象の外添剤固有の元素の定量を行う。そして、上記処理によって上澄み側へ移行せずにトナー粒子表面に残る外添剤の量を下記式から求め、固着率とする。サンプル100個の相加平均値を採用する。
(i)使用装置の例
蛍光X線分析装置3080(理学電気(株))
(ii)サンプル調製
サンプルの調製は、試料プレス成型機MAEKAWA Testing Machine(MFG Co,LTD製)を使用する。アルミリング(型番:3481E1)にトナー0.5gを入れて5.0トンの荷重に設定し1minプレスし、ペレット化させる。
(iii)測定条件
測定径:10φ
測定電位、電圧 50kV、50〜70mA
2θ角度 25.12°
結晶板 LiF
測定時間 60秒
(iv)外添剤の固着率の算出方法について
[式]外添剤の固着率(%)=(処理後トナーの外添剤由来元素強度/処理前トナーの外添剤由来元素強度)×100
なお、複数の外添剤を有するトナーにおいては、まず各外添剤単独の固着率を求め、それらの平均%値を固着率とする。
<外添剤の被覆率X1の測定方法>
トナー粒子の表面の外添剤による被覆率X1は、以下のようにして算出する。
下記装置を下記条件にて使用し、トナー表面の元素分析を行う。
・測定装置:Quantum2000(商品名、アルバックファイ(株)製)
・X線源:モノクロAl Kα
・Xray Setting:100μmφ(25W(15KV))
・光電子取りだし角:45度
・中和条件:中和銃とイオン銃の併用
・分析領域:300μm×200μm
・Pass Energy:58.70eV
・ステップサイズ:1.25eV
・解析ソフト:Multipak(PHI社)
例えばシリカ微粒子の被覆率を求める場合は、C 1c(B.E.280〜295eV)、O1s(B.E.525〜540eV)及びSi 2p(B.E.95〜113eV)のピークを使用してSi原子の定量値を算出する。
ここで得られたSi原子の定量値をY1とする。
次いで、上述のトナーの表面の元素分析と同様にして、シリカ微粒子単体の元素分析を行い、ここで得られたSi原子の定量値をY2とする。
トナー表面のシリカ微粒子による被覆率X1は、上記Y1及びY2を用いて下式のように定義される。
X1(面積%)=(Y1/Y2)×100
測定は同一のサンプルで100回測定し、それらの相加平均値を採用する。
また、外添剤を複数種用いる場合は、それぞれの外添剤について上記被覆率X1を求め
、それらを足し合わせた値をX1とする。
定量値Y2を求めるに際して、外添に使用された外添剤を入手できれば、それを用いて測定を行えばよい。
また、トナー粒子の表面から分離した外添剤を測定試料とする場合、外添剤のトナー粒子からの分離は以下の手順で行う。
1)磁性トナーの場合
まず、イオン交換水100mLに、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)を6mL入れ分散媒を作製する。この分散媒に、トナー5gを添加し、超音波分散機(アズワン(株)VS−150)で5分間分散させる。その後、いわき産業(株)製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、1分当たり350往復の条件で20分間振盪する。
その後、ネオジム磁石を用いてトナー粒子を拘束し、上澄みを採取する。この上澄みを乾燥させることにより、外添剤を採集する。十分な量の外添剤を採集することができない場合には、この作業を繰り返して行う。
複数種の外添剤を用いる場合、採集された外添剤から、遠心分離法などを利用して、外添剤を選別すればよい。
2)非磁性トナーの場合
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに該ショ糖濃厚液31gと、6mLのコンタミノンNを入れ、分散液を作製する。この分散液にトナー1gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブを上記シェイカーにて1分当たり350往復の条件で20分間振盪する。振盪後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H−9R;株式会社コクサン社製)にて、3500rpm、30分間の条件で遠心分離を行う。遠心分離後のガラスチューブ内においては、最上層にはトナーが存在し、下層の水溶液側には外添剤が存在する。下層の水溶液を採取して、遠心分離を行い、ショ糖と外添剤とを分離し、外添剤を採集する。必要に応じて、遠心分離を繰り返し行い、分離を十分に行った後、分散液を乾燥し、外添剤を採集する。
磁性トナーの場合と同様に、複数種の外添剤を用いる場合、採集された外添剤から、遠心分離法などを利用して、外添剤を選別する。
<外添剤の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーから外添剤の一次粒子の個数平均粒径を求める方法としては、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されるトナー粒子の表面の外添剤画像から算出される。S−4800の画像撮影条件は以下のとおりである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
外添剤の一次粒子の個数平均粒径の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は二次電子像と比べて外添剤のチャージアップが少ないため、外添剤の粒径を精度良く測定することができる。
S−4800の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PC−SEM」を起動し、フラ
ッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。
フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。
同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)外添剤の個数平均粒径(D1)(理論被覆率を算出する際に用いる“da”)の算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を100000(100k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。
次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を1つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作をさらに2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、トナー粒子の表面上の少なくとも300個の外添剤について粒径を測定して、平均粒径を求める。ここで、外添剤は凝集塊として存在するものもあるため、一次粒子と確認できるものの最大径を求め、得られた最大径を算術平均することによって、外添剤の一次粒子の個数平均粒径(D1)を得る。
なお、複数種の外添剤を用いる場合は、予めエネルギー分散型X線分析装置(EDAX)による元素分析を行い、トナー表面における外添剤の種類を特定した上で、各々の外添剤の一次粒子の個数平均粒径を求める。
表面観察法による個数平均粒子径の算出が困難な場合は、あらかじめ測定したそれぞれの外添剤の個数平均粒径を採用してもよい。その場合は、外添剤単独を透過電子顕微鏡で観察し、100個の粒子の長径を測定して個数平均粒子径を求める。
<トナーの流動性(Total Energy)測定方法>
(A)Total Energyの測定
Total Energyは、「粉体流動性分析装置パウダーレオメーターFT4」(Freeman Technology社製、以下、FT4と省略する場合がある)を用いることによって測定する。
具体的には、以下の操作により測定を行う。
すべての操作において、プロペラ型ブレードはFT4専用の48mm径ブレード(型番:C210、材質:SUS、以下、ブレードと省略する場合がある)を用いる。このプロペラ型ブレードは、48mm×10mmのブレード板の中心に法線方向に回転軸が存在し、ブレード板は両最外縁部分(回転軸から24mm部分)が70°、回転軸から12mmの部分が35°というように、反時計回りになめらかにねじられたものである。
測定容器は、FT4専用の円筒状のスプリット容器(型番:C203、材質:ガラス、直径50mm、容積160mL、底面からスプリット部分までの高さ82mm、以下、容器と省略する場合がある)を用いる。
(1)圧縮操作
(a)予備実験:本体に圧縮試験用ピストンを装着する。測定容器におよそ50mLのトナー(あらかじめ質量を測定)を入れ、ピストンを0.5mm/秒で下降させてトナーを圧縮する。ピストンへの負荷が0.88kPaになったら下降を停止しそのまま20秒ホールドする。圧縮されたトナーの体積を容器の目盛りから読む。
(b)予備実験より算出される、圧縮されたトナーの体積が180mLに相当する量の1/4のトナー(予備実験で用いたものは使用せず、未使用のトナーを使用する)を測定容器に入れ、予備実験と同様の操作をする。
(c)上記(b)の操作をさらに3回(合計4回)行う(トナーを追加していく)。
(d)測定容器のスプリット部分で圧縮されたトナー層をすり切り、粉体層上部を取り除く。
(2)Total Energy測定操作
(a)本体にプロペラ型ブレードを装着する。プロペラ型ブレードを、ブレードの最外縁部の周速が10mm/秒となるように、粉体層表面に対して反時計回り(ブレードの回転により粉体層が押し込まれる方向)に回転する。このブレードを、なす角が5°となる進入速度で、粉体層表面から、粉体層の底面から10mmの位置まで垂直方向に進入させる。その後、ブレードの最外縁部の周速が60mm/秒となるように、粉体層表面に対して時計回りに回転し、粉体層への垂直方向の進入速度をなす角が2°となる進入速度で、粉体層の底面から1mmの位置まで進入させる。
さらに、なす角が5°の速度で、粉体層の底面から100mmの位置までブレードを移動させ、抜き取りを行う。抜き取りが完了したら、ブレードを時計回り、反時計回りに交互に小さく回転させることでブレードに付着したトナーを払い落とす。
(b)(2)−(a)の操作をさらに6回繰り返し(合計7回)、最終回における、粉体層の底面から100mmの位置から10mmの位置までブレードを進入させたときに得られる回転トルクと垂直荷重の総和をTotal Energyとする。
<トナーのメタノール濡れ性の測定方法>
トナーのメタノール濡れ性は、メタノール滴下透過率曲線を用いて測定を行った。測定装置として、例えば(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機WET−100Pが挙げられ、具体的な測定操作としては、以下に例示する方法が挙げられる。
まず、メタノール30体積%と水70体積%とからなる含水メタノール液70mlをフラスコに入れ、その測定用サンプル中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。この中に検体であるトナーを0.50g精秤して添加し、トナーの疎水特性を測定するためのサンプル液を調製する。
次に、この測定用サンプル液を6.67m/sの速度で撹拌しながら、メタノールを1.3ml/min.の滴下速度で連続的に添加し、780nmの波長の光で透過率を測定し、メタノール滴下透過率曲線を作製し、透過率が40%となるメタノール濃度を測定する。
なお、この測定において、フラスコとしては、直径5cmの円形で、1.75mmのガラス製のものを用い、マグネティックスターラーとしては、長さ25mm、最大径8mmの紡錘形でありフッ素樹脂コーティングを施されたものを用いる。
<トナー平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下のとおりである。まず、ガラス製の容器中にあらかじめ不純固形物などを除去したイオン交換水20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミ
ノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.2mL加える。
さらに測定試料を0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となるように適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」((株)ヴェルヴォクリーア製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを2mL添加する。
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex
Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間ごとに焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本発明においては、シスメックス(株)による校正作業が行われた、シスメックス(株)が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像測定装置を使用する。解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けたときの測定及び解析条件で測定を行う。
フロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。
フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長Lなどが計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形のときに円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer
3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3
Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)ultisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「算術径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナーのピーク分子量Mp(T)及び非晶性ポリエステルのピーク分子量Mp(P)の測定方法>
トナー及び非晶性ポリエステルのTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用い
て、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<非晶性ポリエステルの酸価Avの測定方法>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。非晶性ポリエステルの酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した非晶性ポリエステルの試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<非晶性ポリエステルの水酸基価OHvの測定方法>
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。非晶性ポリエステルの水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100
mlにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.5モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。(2)操作
(A)本試験
粉砕した非晶性ポリエステルの試料1.0gを200ml丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mlをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
非晶性ポリエステルの試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:非晶性ポリエステルの酸価(mgKOH/g)である。
<トナー粒子のTgの測定>
トナー粒子のTgは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ガラス転移温度Tgとする。
<トナー及び外添剤の真密度の測定方法>
トナー及び外添剤の真密度は、島津製作所製の乾式自動密度計「アキュピック1330」を用い、当該機器の操作マニュアルに従い測定する。
<トナー中の外添剤の含有量の測定>
トナー中の外添剤の含有量に関して、外添剤としてシリカ微粒子を例に取って説明する。
(1)トナー中のシリカ微粒子の含有量の定量(標準添加法)
まずトナー3gを直径30mmのアルミリングに入れ、10トンの圧力でペレットを作製する。そして、波長分散型蛍光X線分析(XRF)により、ケイ素(Si)の強度を求める(Si強度−1)。なお、測定条件は使用するXRF装置で最適化されたものであればよいが、一連の強度測定はすべて同一条件で行うこととする。次にトナー粒子に、一次粒子の数平均粒径が12nmのシリカ微粒子を、トナー粒子100質量部に対して1.0質量部添加して、コーヒーミルにより混合する。混合後、上記と同様にペレット化したのちに、上記同様にSiの強度を求める(Si強度−2)。同様の操作を、シリカ微粒子を、トナー粒子100質量部に対して2.0質量部、3.0質量部添加混合したサンプルにおいても、Siの強度を求める(Si強度−3,Si強度−4)。Si強度−1〜4を用いて、標準添加法によりトナー中のシリカ含有量(質量%)を計算する。
(2)トナーからシリカ微粒子の分離
さらに次の工程を経て、トナー粒子中のシリカ微粒子の含有量の定量を行う。
トナー5gを、精密天秤を用いて200mLの蓋付きポリカップに秤量し、メタノールを100mL加え、超音波分散機で5分間分散させる。ネオジム磁石によりトナーを引き付け、上澄み液を捨てる。メタノールによる分散と上澄みを捨てる操作を3回繰り返したのち、以下の材料を加え、軽く混合したのち、24時間静置する。
・10%NaOH 100mL
・「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)数滴
その後、再びネオジム磁石を用いて分離する。なお、この際にNaOHが残留しないように繰り返し蒸留水ですすぐ。回収された粒子を真空乾燥機により十分に乾燥させ、粒子Aを得る。上記操作により、外添されたシリカ微粒子は溶解、除去される。
(3)粒子A中のSi強度測定
3gの粒子Aを直径30mmのアルミリングに入れ、10トンの圧力でペレットを作製し、波長分散型蛍光X線分析(XRF)により、Siの強度を求める(Si強度−5)。Si強度−5とトナー中のシリカ含有量の定量で使用したSi強度−1〜4を利用して、粒子A中のシリカ含有量(質量%)を計算する。各定量値を以下の式に代入することにより、外添されたシリカ微粒子量(トナー中の外添剤の含有量)を算出する。
外添されたシリカ微粒子量(質量%)=トナー中のシリカ含有量(質量%)−粒子A中のシリカ含有量(質量%)
外添剤を複数種用いる場合は、各外添剤に関して上記手法で算出し、それらを足し合わせ、トータルの外添剤の含有量を求める。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は、特に断りのない限り質量基準である。
<非晶性ポリエステル(APES1)の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、原料モノマーとして、カルボン酸成分とアルコール成分を表1に示すように調整し、入れた後、エステル化触媒(オクチル酸スズ)をモノマー総量100部に対して1.5部添加した。
次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。
210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、非晶性ポリエステル(APES1)を得た。
なお、非晶性ポリエステル(APES1)のピーク分子量が表1の値となるように重合
時間を調整した。物性を表1に示す。
<非晶性ポリエステル(APES2)の製造例>
原料モノマー及び使用量を表1の記載に変更した以外は、非晶性ポリエステル(APES1)と同様にして非晶性ポリエステルAPES2を得た。物性を表1に示す。
<処理磁性体の製造例>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.00から1.10当量の水酸化ナトリウム溶液、鉄元素に対しリン元素換算で0.15質量%となる量のP、鉄元素に対して珪素元素換算で0.50質量%となる量のSiOを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。該水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(水酸化ナトリウムのナトリウム成分)に対し0.90から1.20当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。
得られたスラリー液を濾過、洗浄した後、この含水スラリーを一旦取り出した。この時、含水スラリーを少量採取し、含水量を計っておいた。
次に、この含水スラリーを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを約4.8に調整した。
そして、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100部に対し1.6部(磁性酸化鉄の量は含水スラリーから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、撹拌を十分行い、分散液のpHを8.6にして表面処理を行った。生成した疎水性磁性体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径が0.21μmの処理磁性体を得た。
<外添剤S−1の製造例>
攪拌機、滴下ろうと及び温度計を備えた3Lのガラス製反応器に、メタノール687.9部、純水42.0部及び28質量%アンモニア水47.1部を入れて混合した。得られた溶液を35℃となるように調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン1100.0部(7.23mol)及び5.4質量%アンモニア水395.2部を同時に添加し始めた。テトラメトキシシランは5時間かけて、アンモニア水は4時間かけて、それぞれを滴下した。
滴下が終了した後も、さらに0.2時間攪拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール−水分散液を得た。次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前記分散液を65℃に加熱してメタノールを留去した。その後、留去したメタノールと同量の純水を添加した。この分散液を80℃、減圧下で十分乾燥させた。得られた微粒子を、恒温槽にて400℃で10分間加熱した。上記工程を20回実施し、得られた微粒子を、パルベライザー(ホソカワミクロン(株)製)にて解砕処理を行った。
その後、微粒子500部を内容積1000mLのポリテトラフルオロエチレン内筒式ステンレスオートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、オートクレーブ付属の攪拌羽を400rpmで回転させながら、0.5部のHMDS(ヘキサメチルジシラザン)及び0.1部の水を、二流体ノズルにて霧状にして微粒子に均一に吹き付けた。30分間攪拌した後、オートクレーブを密閉し、200℃で2時間加熱した。続いて、加熱したまま系中を減圧して脱アンモニアを行い、シリカ微粒子である外添剤S−1を得た。外添剤S−1の各物性を表2に示す。
<外添剤S−2〜S−6の製造例>
外添剤S−1の製造例において、使用するシリカ微粒子の粒径を変更し、解砕処理強度を適宜調整した以外は同様にして、外添剤S−2〜S−6を得た。物性を表2に示す。
<外添剤S−7の製造例>
攪拌機付きオートクレーブに、シリカ原体(一次粒子の個数平均粒径=12nmのヒュームドシリカ)を投入し、攪拌による流動化状態において、200℃に加熱した。
反応器内部を窒素ガスで置換して反応器を密閉し、シリカ原体100部に対し、25部のヘキサメチルジシラザンを内部に噴霧し、シリカの流動化状態でシラン化合物処理を行った。この反応を60分間継続した後、反応を終了した。反応終了後、オートクレーブを脱圧し、窒素ガス気流による洗浄を行い、疎水性シリカから過剰のヘキサメチルジシラザン及び副生物を除去した。
さらに、反応槽内の疎水性シリカを攪拌しながら、シリカ原体100部に対し、10部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm/秒)を噴霧し、30分間攪拌を続けた。その後、攪拌しながら300℃まで昇温させてさらに2時間攪拌した。その後、取り出し解砕処理を実施し、シリカ微粒子である外添剤S−7を得た。物性を表2に示す。
<外添剤S−8の製造例>
外添剤S−7の製造例において、使用するシリカ微粒子の粒径を変更し、解砕処理強度を適宜調整した以外は同様にして、外添剤S−8を得た。外添剤S−8の物性を表2に示す。
<外添剤S−9の製造例>
国際公開第2013/063291号の実施例1に従って、有機無機複合微粒子である外添剤S−9を製造した。物性を表2に示す。
<トナー粒子T−1の製造例>
イオン交換水720部に0.1モル/L−NaPO水溶液450部を投入して60℃に加温した後、1.0モル/L−CaCl水溶液67.7部を添加して、分散剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 75.0部
・n−ブチルアクリレート 25.0部
・非晶性ポリエステルAPES1 10.0部
・ジビニルベンゼン 0.6部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学社製) 1.5部
・処理磁性体 65.0部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して単量体組成物を得た。この単量体組成物を63℃に加温し、そこにパラフィンワックス(融点78℃)15.0部を添加混合し、溶解した。その後、重合開始剤tert−ブチルパーオキシピバレート6.0部を溶解した。
上記水系媒体中に上記単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。
その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で4時間反応させた。反応終了後、ここで得られた水系媒体中には、着色樹脂粒子が分散しており、該着色樹脂粒子表面には無機分散剤として、リン酸カルシウムが付着していることを確認した。
続いて、着色樹脂粒子が分散された水系媒体を100℃まで昇温させ、120分間保持した。その後、毎分3℃で室温まで冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径(D4)8.0μmのトナー粒子T−1を得た。トナー粒子T−1のTgは、54℃であった。
<トナー粒子T−2〜T−6の製造例>
トナー粒子1の製造において、非晶性ポリエステル、重合開始剤添加量を変更すること以外はトナー粒子T−1の製造例と同様にして、トナー粒子T−2〜T−6の製造を行った。得られたトナー粒子の製造条件を表3に示す。
<トナー粒子T−7の製造例>
トナー粒子1の製造において、非晶性ポリエステル、重合開始剤添加量を表1の量に変更し、造粒回転数を15000rpmに変更した以外は、トナー粒子T−1の製造例と同様にして、トナー粒子T−7の製造を行った。得られたトナー粒子の製造条件を表3に示す。
<トナー粒子T−8の製造例>
(各分散液の調製)
〔樹脂粒子分散液(1)〕
・スチレン(和光純薬社製): 325部
・n−ブチルアクリレート(和光純薬社製): 100部
・アクリル酸(ローディア日華社製): 13部
・1,10−デカンジオールジアクリレート(新中村化学社製): 1.5部
・ドデカンチオール(和光純薬社製): 3部
上記成分を予め混合し、溶解して溶液を調製しておき、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックスA211)9部をイオン交換水580部に溶解した界面活性剤溶液をフラスコに収容し、上記の溶液のうち400部を投入して分散し、乳化して10分間ゆっくりと撹拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム6部を溶解したイオン交換水50部を投入した。
次いで、フラスコ内を窒素で十分に置換した後、フラスコを撹拌しながらオイルバスでフラスコ内が75℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して樹脂粒子分散液(1)を得た。
樹脂粒子分散液(1)から樹脂粒子を分離して物性を調べたところ、個数平均粒径は195nm、分散液中の固形分量は42%、ガラス転移温度は51.5℃、重量平均分子量(Mw)は32000であった。
〔樹脂粒子分散液(2)〕
前記非晶性ポリエステル(APES2)を、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した分散機を用いて分散した。具体的には、イオン交換水79質量%、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)が1質量%(有効成分として)、非晶性ポリエステル(APES2)が20質量%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm、熱交換器により140℃に加熱する、の条件でキャビトロンを運転し、個数平均粒径が200nmの樹脂微粒子分散液(2)を得た。
〔着色剤分散液〕
・カーボンブラック: 20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR): 2部
・イオン交換水: 78部
上記成分をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、3000rpmで2分間、顔料を水になじませ、さらに5000回転で10分間分散後、通常の撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで約1時間分散させて着色剤分散液を得た。さらに分散液のpHを6.5に調節した。
〔離型剤分散液〕
・炭化水素系ワックス: 45部
(フィッシャートロプシュワックス、最大吸熱ピークのピーク温度が78℃、重量平均分子量が750)
・カチオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬): 5部
・イオン交換水: 200部
上記成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA製、ウルトラタラックスT50)にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、個数平均径190nm、固形分量25%の離型剤分散液を得た。
〔トナー粒子の製造例〕
・イオン交換水: 400部
・樹脂粒子分散液(1): 620部(樹脂粒子濃度:42%)
・樹脂粒子分散液(2): 279部(樹脂粒子濃度:20%)
・アニオン性界面活性剤: 1.5部(有効成分として0.9部)
(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK、有効成分量:60%)
以上の成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した3リットルの反応容器に入れ、外部からマントルヒーターで温度制御しながら、温度30℃、撹拌回転数150rpmにて、30分間保持した。
その後、着色剤分散液88部、離型剤分散液60部を投入し、5分間保持した。そのまま、1.0%硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した。
次いで、撹拌機、マントルヒーターをはずし、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて、3000rpmで分散しながら、ポリ塩化アルミニウム0.33部、0.1%硝酸水溶液37.5部の混合溶液を、そのうちの1/2を添加した後、分散回転数を5000rpmにして、残りの1/2を1分間かけて添加し、分散回転数を6500rpmにして、6分間分散した。
反応容器に、撹拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌するように撹拌機の回転数を適宜調整しながら、42℃まで、0.5℃/分で昇温し、42℃で15分保持した後、0.05℃/分で昇温しながら、10分ごとに、コールターマルチサイザーにて粒径を測定し、重量平均粒径が7.8μmとなったところで、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。
その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で96℃まで昇温し、96℃で3時間保持した。その後1℃/分で20℃まで降温して粒子を固化させた。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で通水洗浄し、ろ液の伝導度が50mS以下となったところで、ケーキ状になった粒子を取り出し、粒子質量の10倍量のイオン交換水中に投入し、スリーワンモータで撹拌し充分に粒子がほぐれたところで、1.0%硝酸水溶液でpHを3.8に調整して10分間保持した。
その後、再度ろ過、通水洗浄し、ろ液の伝導度が10mS以下となったところで、通水を停止し、固液分離した。
得られたケーキ状になった粒子をサンプルミルで解砕して、40℃のオーブン中で24時間乾燥した。さらに得られた粉体をサンプルミルで解砕した後、40℃のオーブン中で5時間追加真空乾燥して、トナー粒子T−8を得た。
<トナー1の製造例>
トナー粒子T−1:100部、外添剤S−1:0.3部、外添剤S−7:0.6部を、三井ヘンシェルミキサー(FM)(三井三池化工機(株))を用い、3600回転で5分間混合した。その後、図2に示す装置を用いて、加温処理を行った。
図2に示す装置の構成は、本体ケーシング31の内周部の径が130mmであり、処理空間39の容積が2.0×10−3の装置を用い、駆動部38の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材33の形状を図3のものとした。そして、図3における攪拌部材33aと攪拌部材33bの重なり幅dを攪拌部材33の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌
部材33と本体ケーシング31内周とのクリアランスを3.0mmとした。原料投入口用インナーピース316内部の温度が55℃となるように、ジャケット内に温水を通水した。
上記構成とした図2に示す装置に、上記外添トナーを投入後、駆動部38の動力を1.5×10−2W/g(駆動部38の回転数:約150rpm)で一定となるように、攪拌部材33の最外端部周速を調整しながら、5分間加温処理した。
加温処理終了後、目開き75μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。処方及び諸物性を表4に示す。
<トナー2〜16の製造例>
トナー1の製造例において、表4に示す処方、及び製造条件にすること以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2〜15を得た。諸物性を表4に示す。
<トナー17の製造例>
トナー1の製造例において、表4に示す処方に変更し、加熱処理装置として、三井ヘンシェルミキサー(FM)(三井三池化工機(株))に変更し、槽内温度50℃、回転数:150rpm、回転時間:5分間の条件で加熱混合した以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー17を得た。諸物性を表4に示す。
<トナー18の製造例>
トナー1の製造例において、表4に示す処方に変更し、加熱処理装置として、三井ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))に変更し、槽内温度45℃、回転数:150rpm、回転時間:5分間の条件で加熱混合した以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー18を得た。諸物性を表4に示す。
<トナー19の製造例>
トナー粒子T−3:100部、外添剤S−1:0.3部、外添剤S−7:0.6部を、三井ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い、3600回転で5分間混合した。その後、温度:50℃、湿度:55%RHの恒温槽に40時間静置した。その後、目開き75μmのメッシュで篩い、トナー19を得た。諸物性を表4に示す。
<トナー20の製造例>
トナー1の製造例において、表4に示す処方に変更し、図2に示す装置の温度を22℃に設定し、駆動部38の動力を1.7×10−1W/g(駆動部38の回転数:約1000rpm)で一定となるように、攪拌部材33の最外端部周速を調整し、5分間混合処理した。その後、目開き75μmのメッシュで篩い、トナー20を得た。諸物性を表4に示す。
<トナー21〜23の製造例>
トナー1の製造例において、表4に示す処方、及び製造条件に変更し、図2に示す装置を用いなかった以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー21〜23を得た。諸物性を表4に示す。
<実施例1>
クリーナーレスシステムを採用するHP製プリンタ(LaserJet Pro m203dw)用カートリッジ(CF230X)にトナー1を充填し、下記評価を実施した。
<黒後ドラム上カブリ>
黒後カブリの評価は、上記評価機を用い極低温環境を想定し、5℃、30%RHの環境下で実施した。
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定する。フィルターは、グリーンフィルターを用いる。黒後ドラム上カブリはベタ黒画像を出力した直後の白画像について、ドラム(静電潜像担持体)上をマイラーテープでテーピングし、紙上にマイラーテープを貼ったものの反射率を、直接紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度から差し引いて算出し、以下のような判断基準で評価した。
カブリ(%)=直接紙に貼ったテープの反射率(%)−ドラム上をテーピングしたテープの反射率(%)
なお、評価タイミングは、カートリッジの公称印字可能枚数3500枚画出し時点と、より厳しい使用環境を想定し、その約1.5倍の5000枚通紙後のドラム上カブリを評価する。耐久試験の画像は、印字率が1%となるような横線を2枚通紙毎に一旦停止させる、間欠モードで出力した。C以上を良好と判断した。結果を表5に示す。
A:5%未満
B:5%以上10%未満
C:10%以上20%未満
D:20%以上
<現像ゴースト>
現像ゴーストの評価は、以下のように行った。低温低湿環境(温度15℃/相対湿度10%RH)において、10mm×10mmのベタ画像複数個を転写紙の前半分に形成し、後ろ半分には2ドット3スペースのハーフトーン画像を形成した。ハーフトーン画像上に前記ベタ画像の痕跡がどの程度出るかを下記の基準で目視判断した。評価タイミングは、黒後ドラム上カブリの評価法と同様の条件で3500枚通紙後に実施した。C以上を良好と判断した。結果を表5に示す。
A:ゴースト未発生。
B:ゴーストがごく軽微に発生。
C:ゴーストが軽微に発生。
D:ゴーストが顕著に発生。
<フェーディング>
画像に帯状の抜けが発生するフェーディングの評価は、高温高湿環境(32.5℃ 80%RH)で評価した。
判断基準は、ベタ黒画像をプリントアウトして、画像上で帯状に発生した濃度薄の部分の濃度と正常画像部の濃度との差を下記基準で目視評価した。評価タイミングは、黒後ドラム上カブリの評価法と同様の条件で5000枚通紙後に実施した。C以上を良好と判断した。結果を表5に示す。
A:濃度薄発生部分が全く見られない
B:軽微な濃度薄発生部分が見られる
C:濃度薄発生部分が見られる
D:顕著な濃度差が見られる
<画像濃度>
画像濃度は、高温高湿環境(32.5℃ 80%RH)において全面ベタ黒画像を形成し、このベタ画像の濃度をマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定した。評価タイミングは、1枚目と黒後ドラム上カブリの評価法と同様の条件で3500枚通紙後と5000枚通紙後に実施した。結果を表5に示す。
<現像スリーブコート不良>
現像スリーブのコート性の評価は、低温低湿環境(温度15℃/相対湿度10%RH)において、黒後ドラム上カブリの評価法と同様の条件で5000枚通紙後に実施した。
評価は、現像スリーブ表面のトナーコートの状態観察を行い、トナーへの余剰帯電に起因するコート不良(規制不良)の有無を下記基準で目視観察した。C以上を良好と判断した。結果を表5に示す。
A:現像スリーブ上にコート不良が観察されない
B:現像スリーブ上に僅かにコート不良が存在するが画像には出ていない
C:現像スリーブ上に明らかなコート不良が存在するが画像に出ていない
D:現像スリーブ上にはコート不良が存在し、コート不良に起因する画像欠陥が表れる
<実施例2〜18、比較例1〜4>
表5に示すトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2019032365

表中、原料モノマーの数値はモル部である。カルボン酸成分/アルコール成分の値はモル比である。また、POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシドを示す。
Figure 2019032365
Figure 2019032365
Figure 2019032365
Figure 2019032365
31:本体ケーシング、32:回転体、33、33a、33b:攪拌部材、34:ジャケット、35:原料投入口、36:製品排出口、37:中心軸、38:駆動部、39:処理空間、310:回転体端部側面、41:回転方向、42:戻り方向、43:送り方向、316:原料投入口用インナーピース、317:製品排出口用インナーピース、d:攪拌部材の重なり部分を示す間隔、D:攪拌部材の幅

Claims (7)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、外添剤とを含有するトナーであって、
    (1)該トナーの平均円形度が、0.960以上であり、
    (2)該外添剤の固着率が75%以上100%以下であり、
    (3)ナノインデンテーション法による該トナーの強度の測定において、横軸を荷重(mN)、縦軸を変位量(μm)とした荷重―変位曲線を荷重で微分した微分曲線を得たときに、0.20mN以上2.30mN以下の荷重領域で微分曲線の最大値となる荷重Aが、1.15mN以上1.50mN以下であることを特徴とするトナー。
  2. X線光電子分光装置で測定される前記外添剤による前記トナー粒子表面の被覆率X1が40.0面積%以上80.0面積%以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記外添剤による前記トナー粒子表面の理論被覆率をX2としたとき、下記式(1)で示される拡散指数が下記式(2)を満たす請求項2に記載のトナー。
    (1) 拡散指数=X1/X2
    (2) 拡散指数≧−0.0042×X1+0.62
  4. 粉体流動性測定装置において、測定容器内で0.88kPaの垂直荷重を加えて作製した前記トナーの粉体層の表面に、プロペラ型ブレードを該プロペラ型ブレードの最外縁部の周速を10mm/secで回転させながら、侵入させたときのTotal Energyが、200mJ以上400mJ以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記外添剤は、個数平均粒径(D1)40nm以上200nm以下の外添剤を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記トナーのメタノール/水混合溶媒に対する濡れ性測定において、波長780nmの光の透過率で測定した場合、透過率が40%のときのメタノール濃度が、40体積%以上62体積%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記外添剤が、シリカ微粒子及び有機無機複合微粒子からなる群から選択される少なくとも一種を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナー。
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