JP2019151062A - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
水、有機溶剤、及び色材を含有するインクを、前記処理液A及びBを付与した前記記録媒体上に付与するインク付与工程と、を含む。
本発明の画像形成方法は、水、有機溶剤、樹脂粒子、及び無機粒子を含有する処理液Aと、該処理液Aより表面張力が低い処理液Bを、それぞれ記録媒体上の異なる領域に付与する処理液付与工程と、
水、有機溶剤、及び色材を含有するインクを、前記処理液A及びBを付与した前記記録媒体上に付与するインク付与工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明において、「記録媒体上の異なる領域に付与する」には、「異なるパターンで付与する」場合も含まれる。例えば、一方の処理液をローラ塗工等で全面に付着させ、他方の処理液をインクジェット法で部分的に付着させる態様とすることもできる。
水、有機溶剤、及び色材を含有するインクを、前記処理液A及びBを付与した前記記録媒体上に付与するインク付与手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
したがって、本発明においては、水、有機溶剤、樹脂粒子、及び無機粒子を含有する処理液Aと、該処理液Aより表面張力が低い処理液Bを、それぞれ記録媒体上の異なる領域に付与する処理液付与工程と、水、有機溶剤、及び色材を含有するインクを、前記処理液A及びBを付与した前記記録媒体上に付与するインク付与工程と、を含むことにより、
基材にダメージを与えることなく、インクのドット径を制御することにより、中間階調の粒状度の向上を図れる。
処理液付与工程は、水、有機溶剤、樹脂粒子、及び無機粒子を含有する処理液Aと、該処理液Aより表面張力が低い処理液Bを、それぞれ記録媒体上の異なる領域に付与する工程であり、処理液付与手段により実施される。
処理液Aは、水、有機溶剤、樹脂粒子、及び無機粒子を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
無機粒子としては、例えば、チタン化合物、クロム化合物、銅化合物、コバルト化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ニッケル化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルシウム化合物、マグネシウム化合物が好ましい。
前記マグネシウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、又はこれらの水和物などが挙げられる。
前記バリウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫酸バリウム又はその水和物などが挙げられる。
前記亜鉛化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫化亜鉛、炭酸亜鉛などが挙げられる。
前記アルミニウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、珪酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
これらの中でも、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムが好ましい。
処理液A中に含有する樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、酢酸ビニル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ブタジエン系樹脂リュシ、スチレン−ブタジエン系樹脂粒子、塩化ビニル系樹脂粒子、アクリルスチレン系樹脂粒子、アクリルシリコーン系樹脂粒子、エチレン−酢酸ビニル樹脂粒子、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合樹脂粒子、酢酸ビニル−アクリル樹脂粒子などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、有機溶剤などの材料と混合して処理液Aを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、処理液A全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水;超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水の含有量としては、処理液A全量に対して、60質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましい。前記含有量が60質量%以下であると、水が蒸発した際の処理液の粘度上昇、ゲル化、不溶物の析出などの発生を抑制することができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、抑泡剤、pH調整剤、抗菌剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
表面張力は、例えば、測定器として協和界面科学株式会社製、AUTOMATIC SUPERFACE TENSIONMETER CBVP−Zを用い、Wilhelmy法にて測定した。Wilhelmy法とは、測定子(白金プレート)が液体の表面に触れた際に発生する測定子を液中に引き込もうとする力を読み取ることにより測定することができる。
処理液Bは、前記処理液Aより表面張力が低く、水、有機溶剤、樹脂粒子、及び界面活性剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387、333、345、347、348(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
前記シロキサン界面活性剤の前記処理液B中の含有量は、0.05質量%以上が好ましく、0.8質量%以上5質量%以下がより好ましい。
処理液Bの表面張力としては、25℃で、10mN/m以上40mN/m以下が好ましく、15mN/m以上35mN/m以下がより好ましい。
処理液Aと処理液Bは、いずれを先に付与してもよく、同時に付与しても構わないが、処理液Aより表面張力が低い処理液Bとを、それぞれ記録媒体上の異なる領域に付与することが、インクのドット径の制御の点から必要である。
処理液A及び処理液Bをそれぞれ記録媒体上の異なる領域に付与する方法としては、例えば、インクジェット方式などが挙げられる。
なお、処理液付与工程を施した記録媒体に対して、必要に応じて乾燥工程を設けることができる。この場合、ロールヒーター、ドラムヒーター、温風により記録媒体を乾燥することができる。乾燥温度としては、60℃以上が好ましい。
インク付与工程は、水、有機溶剤、及び色材を含有するインクを、前記処理液A及びBを付与した前記記録媒体上に付与する工程であり、インク付与手段により実施される。
以下、本発明のインクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、界面活性剤、添加剤等について説明する。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、25℃、1気圧下で液体のものを用いる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤・相溶化剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が240℃以下のアルコールを用いることが好ましく、沸点が180℃以下のアルコールが特に好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いるとよい。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いてもよい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えてもよい。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCnF2n+1でnは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−CnF2n+1でnは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。
この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有してもよい。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
赤外線ヒーターを用いた場合、少なくとも近赤外線照射装置を備えている。
近赤外線照射装置は、ハロゲンランプと反射ミラーから成る装置が知られている。反射ミラーにハロゲンヒーターを組み込み、加熱ユニット化することにより効率のよい加熱を実現しようとしたものが製品化されており、例えば、UH−USC−CL300、UHUSC−CL700、UH−USC−CL1000、UH−USD−CL300、UHUSD−CL700、UH−USD−CL1000、UH−MA1−CL300、UHMA1−CL700、UH−MA1−CL1000(全てウシオ電機製)などが挙げられる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
<ブラック顔料分散液の調製例1>
以下の原材料をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散してブラック顔料分散液を得た。
・カーボンブラック顔料(商品名:Monarch800、キャボット社製):15質量部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製):2質量部
・イオン交換水:83質量部
ブラック顔料分散液の調製例1において、以下の原材料を用いた以外は、ブラック顔料分散液の調製例1と同様にして、シアン顔料分散液を調製した。
・ピグメントブルー15:3(商品名:LIONOL BLUE FG−7351、東洋インキ株式会社製):15質量部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製):2質量部
・イオン交換水:83質量部
下記の処方を、全量で100質量部になるようにイオン交換水を加え、調合後、混合攪拌し、平均孔径5μmのフィルター(ザルトリウス社製、ミニザルト)で濾過して、インクa1を作製した。
[インク処方]
・ブラック顔料分散液(不揮発分20質量%):20質量部
・スーパーフレックス300(第一工業製薬株式会社製、ポリウレタン樹脂、固形分濃度:30質量%):15質量部
・BYK−348(BYK社製、シリコーン系界面活性剤):1質量部
・1,2−プロパンジオール:3質量部
・1,3−ブタンジオール:3質量部
・エクアミドM100(3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、出光興産株式会社製):10質量部
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル:10質量部
・3−メトキシ−3−メチルブタノール:4質量部
・プロキセルLV(アビシア社製、防腐剤):0.1質量部
・イオン交換水:残量
インクa1の調製例において、表1及び表2に記載のインク処方に変えた以外は、インクa1の調製例1と同様にして、インクa2〜インクf2を調製した。
次に、調製したインクa1〜インクf2を、表1及び表2に組み合わせて、インクセットa〜fを用意した。
窒素吹き込み口、温度計、及び撹拌機を備えた耐圧50リットルのオートクレーブにPVA−1(重合度1,700、けん化度88モル%、株式会社クラレ製、PVA−217)を1061g、イオン交換水19,440g、L(+)酒石酸ナトリウム12.7g、酢酸ナトリウム10.6g、及び塩化第一鉄0.4gを仕込み、95℃で完全に溶解し、その後、60℃に冷却し、窒素置換を行った。
次に、酢酸ビニル22,360gを仕込んだ後、エチレンを45kg/cm2まで加圧して導入し、0.4質量%過酸化水素水溶液1,000gを5時間かけて圧入し、60℃で乳化重合を行った。重合初期のpHを確認したところ、pH=5.2であった。
エマルション中の残存酢酸ビニルモノマー量が1.5質量%になった段階でエチレンを放出し冷却した。冷却後、pHを確認したところ、pH=4.8であった。
次いで、亜硫酸水素ナトリウム20gを添加し、30℃、100mmHgの減圧下で、1時間脱エチレン化した。
系を窒素で大気圧に戻した後、t−ブチルヒドロパーオキサイド10gを添加し2時間攪拌した。重合終了時のpHを確認したところ、pH=4.7であった。
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルションAのガラス転移点(Tg)をDSC(リガク社製、Thermo plus EVO2/DSC)にて測定したところ、0℃であった。
1,6−ヘキサンジオール1モルに対して、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1.4モル、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体1モルに対して分子量1,000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルを1/3モル反応させたジイソシアネート化合物0.1モル、全質量の15質量%のN−メチル−2−ピロリドンを反応フラスコに仕込み、窒素気流下で、90℃で2時間反応させてプレポリマーを得た。
[構造式1]
下記処方を調合した後、混合攪拌し、平均孔径5μmのフィルター(ザルトリウス社製、ミニザルト)で濾過して、処理液A1を調製した。
[処理液の処方]
・1,2−プロパンジオール:10質量部
・エマルゲンLS−106(花王株式会社製、界面活性剤):0.3質量部
・酢酸カルシウム1水和物:1.76質量部
・エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルションA(固形分として):10質量部
・プロキセルLV(アビシア社製、防腐剤):0.1質量部
・イオン交換水:残量
合計:100質量部
処理液A1の調製例において、表3に示す処方に変えた以外は、処理液A1の調製例と同様にして、処理液A2〜A5を調製した。
測定器として協和界面科学株式会社製、AUTOMATIC SUPERFACE TENSIONMETER CBVP−Zを用い、Wilhelmy法にて測定した。Wilhelmy法とは、測定子(白金プレート)が液体の表面に触れた際に発生する測定子を液中に引き込もうとする力を読み取ることによって、表面張力を測定する方法である。温度25℃にて測定した。
・エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂B:住化ケムテックス株式会社製スミカフレックス951HQ(Tg:−25℃)
・エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合樹脂A:住化ケムテックス株式会社製スミカフレックス808HQ(Tg:25℃)
・酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂A:日信化学株式会社製ビニブラン1225(Tg:9℃)
下記処方を調合した後、混合攪拌し、平均孔径5μmのフィルター(ザルトリウス社製、ミニザルト)で濾過して、処理液B1を調製した。
[処理液の処方]
・1,2−プロパンジオール:10質量部
・BYK−345(BYK社製、界面活性剤):2質量部
・エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合樹脂A(固形分として):9質量部
・プロキセルLV(アビシア社製、防腐剤):0.1質量部
・イオン交換水:残量
合計:100質量部
処理液B1の調製例において、表4に示す処方に変えた以外は、処理液B1の調製例と同様にして、処理液B2〜B7を調製した。
・エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂B:住化ケムテックス株式会社製、スミカフレックス951HQ(Tg:−25℃)
・エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合樹脂A:住化ケムテックス株式会社製、スミカフレックス808HQ(Tg:25℃)
・酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂A:日信化学株式会社製、ビニブラン1225(Tg:9℃)
・BYK−333(BYK社製、シリコーン系界面活性剤)
・BYK−345(BYK社製、シリコーン系界面活性剤)
・BYK−347(BYK社製、シリコーン系界面活性剤)
・FS300(デュポン社製、フッ素系界面活性剤)
次に、表5に示すようにインクセット、処理液A、及び処理液Bを組み合わせ、以下のようにして画像形成を行い、得られた各画像について「粒状度」を評価した。結果を表5に示した。
インクジェットプリンタ(IPSiO GX5000、株式会社リコー製)に、表5に示すインクセットa〜f、処理液A、及び処理液Bの組み合わせで、図1の410k、410cに各インクを充填し、処理液Aを図1の410m、処理液Bを図1の410yにそれぞれ充填して、ポリ塩化ビニルフィルム(CPPVWP1300、桜井株式会社製、以下、「PVCフィルム」とも称することがある)に、図3に示すような、10%階調と60%階調のブラックベタ画像を解像度600dpiで形成した。10%階調画像には処理液A、60%階調画像には処理液Bを付与し、その上にブラックインクを付与し、画像形成を行った。ブラックベタ画像を形成した後、70℃の熱風乾燥ユニットに印刷物を通過させ、乾燥、定着を行った。
次に、ブラックインクの代わりにシアンインクを用いた以外は、ブラックベタ画像の形成と同様にしてシアンベタ画像を形成し、乾燥、定着を行った。
得られたPVCフィルム記録媒体に形成されたブラックの階調ベタ画像及びシアンの階調ベタ画像を目視で観察し、下記の基準で粒状度を評価した。なお、B以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
A:5cm未満の距離から見てもインクドットの粒が見られない
B:5cm以上30cm未満の距離から見てもインクドットの粒が見られない
C:30cm以上100cm未満の距離から見てもインクドットの粒が見られない
D:100cm以上の距離から見てもインクドットの粒が見られる
実施例3は、インクに樹脂粒子を含有していない例であり、実施例1、2に比べて処理液上のインクドット径が大きくなり10%階調画像の粒状度がやや劣る結果となった。
実施例4は、処理液B中の界面活性剤量が少ない例であり、実施例1、2に比べて処理液B上のインクドット径が小さくなり、60%階調画像の粒状度がやや劣る結果となった。
実施例5は、処理液B中の界面活性剤がシロキサン系でない例であり、実施例1、2に比べて処理液B上のインクドット径が小さくなり、60%階調画像の粒状度がやや劣る結果となった。
実施例6は、処理液Bが界面活性剤を含有していない例であり、実施例1、2に比べて処理液B上のインクドット径が小さくなり、60%階調画像の粒状度がやや劣る結果となった。
比較例2は、処理液Bの表面張力が処理液Aより大きい例であり、実施例に比べて処理液B上のインクドット径が小さくなり、60%階調画像での粒状度が劣る結果となった。
比較例3は、処理液Aに無機粒子を含有していないのに加え、インクに樹脂粒子を含有していない例であり、比較例1に比べてインクドット径が大きくなり、10%階調画像での粒状度が劣る結果となった。
比較例4は、処理液Aに無機粒子を含有していないのに加え、処理液B中の界面活性剤がシロキサン系でない例であり、実施例1に比べて10%階調及び60%階調画像の粒状度が劣る結果となった。
比較例5は、10%階調画像に処理液Bを付与した例であり、実施例に比べて10%階調画像中のインクドット径が大きくなり、10%階調画像での粒状性が劣る結果となった。
<1> 水、有機溶剤、樹脂粒子、及び無機粒子を含有する処理液Aと、該処理液Aより表面張力が低い処理液Bを、それぞれ記録媒体上の異なる領域に付与する処理液付与工程と、
水、有機溶剤、及び色材を含有するインクを、前記処理液A及びBを付与した前記記録媒体上に付与するインク付与工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法である。
<2> 前記処理液Bが、水、有機溶剤、樹脂粒子、及び界面活性剤を含有する前記<1>に記載の画像形成方法である。
<3> 前記処理液Bに含まれる界面活性剤がシロキサン界面活性剤である前記<2>に記載の画像形成方法である。
<4> 前記シロキサン界面活性剤の前記処理液B中の含有量が0.05質量%以上である前記<3>に記載の画像形成方法である。
<5> 前記インクが、更に樹脂粒子を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<6> 水、有機溶剤、樹脂粒子、及び無機粒子を含有する処理液Aと、該処理液Aより表面張力が低い処理液Bを、それぞれ記録媒体上の異なる領域に付与する処理液付与手段と、
水、有機溶剤、及び色材を含有するインクを、前記処理液A及びBを付与した前記記録媒体上に付与するインク付与手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置である。
<7> 前記処理液Bが、水、有機溶剤、樹脂粒子、及び界面活性剤を含有する前記<6>に記載の画像形成装置である。
<8> 前記処理液Bに含まれる界面活性剤がシロキサン界面活性剤である前記<7>に記載の画像形成装置である。
<9> 前記シロキサン界面活性剤の前記処理液B中の含有量が0.05質量%以上である前記<8>に記載の画像形成装置である。
<10> 前記インクが、更に樹脂粒子を含有する前記<6>から<9>のいずれかに記載の画像形成装置である。
401 外装
401c カバー
404 カートリッジホルダ
410、410k、410c、410m、410y メインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
L インク収容容器
Claims (6)
- 水、有機溶剤、樹脂粒子、及び無機粒子を含有する処理液Aと、該処理液Aより表面張力が低い処理液Bを、それぞれ記録媒体上の異なる領域に付与する処理液付与工程と、
水、有機溶剤、及び色材を含有するインクを、前記処理液A及びBを付与した前記記録媒体上に付与するインク付与工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。 - 前記処理液Bが、水、有機溶剤、樹脂粒子、及び界面活性剤を含有する請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記処理液Bに含まれる界面活性剤が、シロキサン界面活性剤である請求項2に記載の画像形成方法。
- 前記シロキサン界面活性剤の前記処理液B中の含有量が0.05質量%以上である請求項3に記載の画像形成方法。
- 前記インクが、更に樹脂粒子を含有する請求項1から4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 水、有機溶剤、樹脂粒子、及び無機粒子を含有する処理液Aと、該処理液Aより表面張力が低い処理液Bを、それぞれ記録媒体上の異なる領域に付与する処理液付与手段と、
水、有機溶剤、及び色材を含有するインクを、前記処理液A及びBを付与した前記記録媒体上に付与するインク付与手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
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