JP2019014100A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク増粘用の反応液とインクによる画像からの液体分の吸収に多孔質体を繰り返し用いた場合においても、多孔質体の状態の変化を判断し、多孔質体の状態に応じて適切な処理を行うことが可能なインクジェット記録方法及び装置を提供すること。【解決手段】画像に液吸収部材の多孔質体を繰り返し当接させて、画像からの液吸収処理を行う場合に、画質検査用のテストパターンを形成し、液体吸収工程を経たテストパターンの画質を画質検出装置によって検出し、検出結果から多孔質体の状態を判断するチェック工程を行い、多孔質体の状態の判断に応じて適切な多孔質体の処理を行う。【選択図】図1
Description
本発明は、画像から液体成分を吸収する液吸収処理を用いるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式では、色材を含む液体組成物(インク)を紙等の記録媒体上に直接または間接的に付与することで画像を形成している。この時、記録媒体がインク中の液体成分を過剰に吸収することによるカールや、コックリングが生じることがある。
そこで、インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥する方法や、転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を熱エネルギー等により乾燥した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法がある。
さらに、転写体上の画像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、ローラ状の多孔質体をインク画像と接触させてインク画像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献1)。
そこで、インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥する方法や、転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を熱エネルギー等により乾燥した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法がある。
さらに、転写体上の画像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、ローラ状の多孔質体をインク画像と接触させてインク画像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献1)。
液体成分除去前のインクにより形成されたインク画像には比較的多くの液体分が含まれるため柔らかく、外力によって変形しやすい。また、液体除去時にはインク画像中の液体分が減少して硬くなり、外力による変形が起こりにくくなる。
特許文献1に開示されるようにインク画像からの液体除去を行う際に、繰り返して液吸収部材の有する多孔質体を使用していると、液体除去時の当接圧により多孔質体が徐々に圧縮、変形し、液体の吸収特性が劣化する場合がある。インク画像から良好に液体分を除去するためには、インク画像の変形を抑えつつ多孔質体によって液体を吸収することが重要である。多孔質体の液体吸収特性が劣化すると多孔質体へ流れ込む液体分の流抵抗が増加し、液吸収部材による押圧によってインク画像中の液体分がインク画像後端側に押し流される現象(以下、「画像流れ」と称する)が生じることが分かった。
本発明はこのような背景技術を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、インク増粘用の反応液とインクによる画像からの液体分の吸収に多孔質体を繰り返し用いた場合においても、多孔質体の状態の変化を判断し、多孔質体の状態に応じて適切な処理を行うことが可能なインクジェット記録方法及び装置を提供することにある。
特許文献1に開示されるようにインク画像からの液体除去を行う際に、繰り返して液吸収部材の有する多孔質体を使用していると、液体除去時の当接圧により多孔質体が徐々に圧縮、変形し、液体の吸収特性が劣化する場合がある。インク画像から良好に液体分を除去するためには、インク画像の変形を抑えつつ多孔質体によって液体を吸収することが重要である。多孔質体の液体吸収特性が劣化すると多孔質体へ流れ込む液体分の流抵抗が増加し、液吸収部材による押圧によってインク画像中の液体分がインク画像後端側に押し流される現象(以下、「画像流れ」と称する)が生じることが分かった。
本発明はこのような背景技術を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、インク増粘用の反応液とインクによる画像からの液体分の吸収に多孔質体を繰り返し用いた場合においても、多孔質体の状態の変化を判断し、多孔質体の状態に応じて適切な処理を行うことが可能なインクジェット記録方法及び装置を提供することにある。
本発明にかかるインクジェット記録方法は、
被吐出媒体に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と該色材を含むインク像を形成するインク像形成工程と、
液吸収部材の有する多孔質体の液吸収用の面を前記インク像に当接させて、前記インク像から前記水性液体成分の少なくとも一部を該多孔質体により吸収する液吸収処理を液吸収処理領域において行う液吸収工程と、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収領域に再送する搬送工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
画質検査用のテストパターンを形成し、前記液体吸収工程を経たテストパターンの画質を画質検出装置によって検出し、得られた検出結果により前記多孔質体の状態を判断する多孔質体チェック工程
を有することを特徴とする。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、
被吐出媒体に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と該色材を含むインク像を形成するインク像形成ユニットと、
前記インク像に当接される液吸収用の面を介して該インク像から前記水性液体成分の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材を液吸収処理領域に備える液吸収装置と、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収領域に再送する搬送装置と、
前記インク像形成ユニット、液吸収装置及び搬送装置の動作を制御する装置動作制御部と
を有するインクジェット記録装置であって、
前記液吸収装置での液吸収処理を経たインク像の画質を検出する画質検出装置と、前記装置動作制御部に画質チェック用のテストパターンの形成と、前記液吸収装置での液吸収処理を経たテストパターンの画質の前記画質検出装置での検出を指示し、該画質検出装置において得られた検出結果により前記多孔質体の状態を判断する多孔質体状態判断部を
有することを特徴とする。
被吐出媒体に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と該色材を含むインク像を形成するインク像形成工程と、
液吸収部材の有する多孔質体の液吸収用の面を前記インク像に当接させて、前記インク像から前記水性液体成分の少なくとも一部を該多孔質体により吸収する液吸収処理を液吸収処理領域において行う液吸収工程と、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収領域に再送する搬送工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
画質検査用のテストパターンを形成し、前記液体吸収工程を経たテストパターンの画質を画質検出装置によって検出し、得られた検出結果により前記多孔質体の状態を判断する多孔質体チェック工程
を有することを特徴とする。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、
被吐出媒体に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と該色材を含むインク像を形成するインク像形成ユニットと、
前記インク像に当接される液吸収用の面を介して該インク像から前記水性液体成分の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材を液吸収処理領域に備える液吸収装置と、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収領域に再送する搬送装置と、
前記インク像形成ユニット、液吸収装置及び搬送装置の動作を制御する装置動作制御部と
を有するインクジェット記録装置であって、
前記液吸収装置での液吸収処理を経たインク像の画質を検出する画質検出装置と、前記装置動作制御部に画質チェック用のテストパターンの形成と、前記液吸収装置での液吸収処理を経たテストパターンの画質の前記画質検出装置での検出を指示し、該画質検出装置において得られた検出結果により前記多孔質体の状態を判断する多孔質体状態判断部を
有することを特徴とする。
本発明によれば、インク増粘用の反応液とインクによる画像からの液体分の吸収に多孔質体を繰り返し用いた場合においても、多孔質体の状態の変化を判断し、多孔質体の状態に応じて適切な処理を行うことが可能なインクジェット記録方法及び装置を提供することができる。
本発明にかかるインクジェット記録方法は、以下の工程を有する。
(A)被吐出媒体(被記録体)に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と該色材を含む画像を形成する画像形成工程。
(B)液吸収部材の有する多孔質体の液吸収用の面を画像に当接させて、画像から水性液体成分の少なくとも一部を多孔質体により吸収する液吸収処理を液吸収処理領域において行う液吸収工程。
(C)液吸収処理領域から搬出された多孔質体を液吸収領域に再送する搬送工程。
(D)画像として画質検査用のテストパターンを形成し、液体吸収工程を経たテストパターンの画質を画質検出装置によって検出し、得られた検出結果により多孔質体の状態を判断する多孔質体チェック工程。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、以下の各装置及び各部を有する。
(1)被吐出媒体に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と色材を含む画像を形成するインク像形成ユニット。
(2)画像に当接される液吸収用の面を介して画像から水性液体成分の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材を液吸収処理領域に備える液吸収装置。
(3)液吸収処理領域から搬出された多孔質体を液吸収領域に再送する搬送装置。
(4)画像形成ユニット、液吸収装置及び搬送装置の動作を制御する装置動作制御部。
(5)液吸収装置での液吸収処理を経た画像の画質を検出する画質検出装置と、装置動作制御部に画質チェック用のテストパターンの形成と、液吸収装置での液吸収処理を経たテストパターンの画質の画質検出装置での検出を指示し、画質検出装置において得られた検出結果により多孔質体の状態を判断する多孔質体状態判断部。
なお、インクの被吐出媒体への付与は、インクジェット法により行われる。
本発明によれば、多孔質体の状態を、画像と同様にして形成した画質チェック用のテストパターンから画質検出装置により得られる画質の検出結果に基づいて判断することができる。この判断に基づいて、更に適切な多孔質体に関する処理を行うことができ、信頼性の高いインクジェット記録方法及び記録装置を提供することができる。画像からの液体分の吸収除去に多孔質体を繰り返し使用すると、液吸収機能が低下して画像流れが発生する場合がある。本発明においては、多孔質体の状態を判断し、画像流れの発生のタイミングを予測して、画像流れの発生前に、多孔質体に関する処理を適切なタイミングで行うことも可能となる。
(A)被吐出媒体(被記録体)に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と該色材を含む画像を形成する画像形成工程。
(B)液吸収部材の有する多孔質体の液吸収用の面を画像に当接させて、画像から水性液体成分の少なくとも一部を多孔質体により吸収する液吸収処理を液吸収処理領域において行う液吸収工程。
(C)液吸収処理領域から搬出された多孔質体を液吸収領域に再送する搬送工程。
(D)画像として画質検査用のテストパターンを形成し、液体吸収工程を経たテストパターンの画質を画質検出装置によって検出し、得られた検出結果により多孔質体の状態を判断する多孔質体チェック工程。
本発明にかかるインクジェット記録装置は、以下の各装置及び各部を有する。
(1)被吐出媒体に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と色材を含む画像を形成するインク像形成ユニット。
(2)画像に当接される液吸収用の面を介して画像から水性液体成分の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材を液吸収処理領域に備える液吸収装置。
(3)液吸収処理領域から搬出された多孔質体を液吸収領域に再送する搬送装置。
(4)画像形成ユニット、液吸収装置及び搬送装置の動作を制御する装置動作制御部。
(5)液吸収装置での液吸収処理を経た画像の画質を検出する画質検出装置と、装置動作制御部に画質チェック用のテストパターンの形成と、液吸収装置での液吸収処理を経たテストパターンの画質の画質検出装置での検出を指示し、画質検出装置において得られた検出結果により多孔質体の状態を判断する多孔質体状態判断部。
なお、インクの被吐出媒体への付与は、インクジェット法により行われる。
本発明によれば、多孔質体の状態を、画像と同様にして形成した画質チェック用のテストパターンから画質検出装置により得られる画質の検出結果に基づいて判断することができる。この判断に基づいて、更に適切な多孔質体に関する処理を行うことができ、信頼性の高いインクジェット記録方法及び記録装置を提供することができる。画像からの液体分の吸収除去に多孔質体を繰り返し使用すると、液吸収機能が低下して画像流れが発生する場合がある。本発明においては、多孔質体の状態を判断し、画像流れの発生のタイミングを予測して、画像流れの発生前に、多孔質体に関する処理を適切なタイミングで行うことも可能となる。
本発明にかかるインクジェット記録装置において、インク像形成ユニット(画像形成ユニット)としては、被吐出媒体上に水性液体成分と色材とを含む画像(インク像)を形成できるものであれば、特に限定されるものではない。なお、画像形成ユニットにより形成され、液吸収部材による液吸収処理に供される前の画像を「液除去前インク像」ともいう。また、液吸収処理を行って水性液体成分の含有量が低減された画像を「液除去後インク像」ともいう。
液吸収処理対象としての画像は、反応液とインクを、これらが少なくとも重複する領域を有するように被吐出媒体に付与することによって形成される。反応液により被吐出媒体上にインクとともに付与された色材の定着性が促進され、向上する。この色材の定着性の促進、向上は、被吐出媒体に付与されたインクが流動性を有している初期状態から、反応液の作用によってインク自体のあるいはインク中の色材の流動性が低下して、初期状態と比較して増粘して流動し難い固定化された状態となることをいう。そのメカニズムについては後述する。
画像形成ユニットにより形成される画像は、反応液とインクの混合物を含んで形成される。インクには水を含む水性液媒体が含まれており、また、必要に応じて反応液にも水を含む水性液媒体が含まれている。従って、画像には、これらの水性液媒体から供給される水を含む水性液体成分が色材とともに含まれる。
インクを被吐出媒体上に付与するインク付与装置としては、インクジェット記録デバイスが用いられる。
また、反応液は、インクと化学的または物理的に作用して、反応液及びインクの混合物を反応液及びインクのそれぞれよりも粘稠して色材の定着性を向上させる成分を含むことができる。反応液は、水性液媒体を含むことができる。水性液媒体は、少なくとも水を含み、必要に応じて水溶性有機溶媒や各種の添加剤を含む。
反応液及びインクの少なくとも一方には、水を第一の液体とした場合に、それ以外の第二の液体を含むことができる。第二の液体の揮発性の高低は問わないが、第一の液体よりも揮発性の高い液体であることが好ましい。
液吸収処理対象としての画像は、反応液とインクを、これらが少なくとも重複する領域を有するように被吐出媒体に付与することによって形成される。反応液により被吐出媒体上にインクとともに付与された色材の定着性が促進され、向上する。この色材の定着性の促進、向上は、被吐出媒体に付与されたインクが流動性を有している初期状態から、反応液の作用によってインク自体のあるいはインク中の色材の流動性が低下して、初期状態と比較して増粘して流動し難い固定化された状態となることをいう。そのメカニズムについては後述する。
画像形成ユニットにより形成される画像は、反応液とインクの混合物を含んで形成される。インクには水を含む水性液媒体が含まれており、また、必要に応じて反応液にも水を含む水性液媒体が含まれている。従って、画像には、これらの水性液媒体から供給される水を含む水性液体成分が色材とともに含まれる。
インクを被吐出媒体上に付与するインク付与装置としては、インクジェット記録デバイスが用いられる。
また、反応液は、インクと化学的または物理的に作用して、反応液及びインクの混合物を反応液及びインクのそれぞれよりも粘稠して色材の定着性を向上させる成分を含むことができる。反応液は、水性液媒体を含むことができる。水性液媒体は、少なくとも水を含み、必要に応じて水溶性有機溶媒や各種の添加剤を含む。
反応液及びインクの少なくとも一方には、水を第一の液体とした場合に、それ以外の第二の液体を含むことができる。第二の液体の揮発性の高低は問わないが、第一の液体よりも揮発性の高い液体であることが好ましい。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
<反応液付与装置>
反応液付与装置は、反応液を被吐出媒体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被吐出媒体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
反応液付与装置は、反応液を被吐出媒体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被吐出媒体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
反応液は、インクを高粘度化する成分(インク高粘度化成分)を含有する。インクの高粘度化とは、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク全体の粘度の上昇が認められる場合や、色材などインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇が生じる場合をも含む。このインク高粘度化成分は被吐出媒体上でのインク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、インクによる画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。このようなインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、特に多価の金属イオン及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。尚、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は水や低揮発性の有機溶剤を適量含有することができる。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また本発明に適用される反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、反応液は界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(製品名:「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル株式会社製商品名)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(製品名:「メガファックF444」、DIC株式会社製商品名)等が挙げられる。
反応液は、インクを高粘度化する成分(インク高粘度化成分)を含有する。インクの高粘度化とは、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク全体の粘度の上昇が認められる場合や、色材などインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇が生じる場合をも含む。このインク高粘度化成分は被吐出媒体上でのインク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、インクによる画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。このようなインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、特に多価の金属イオン及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。尚、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は水や低揮発性の有機溶剤を適量含有することができる。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また本発明に適用される反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、反応液は界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(製品名:「アセチレノールE100」、川研ファインケミカル株式会社製商品名)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(製品名:「メガファックF444」、DIC株式会社製商品名)等が挙げられる。
<インク付与装置>
本実施形態ではインクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本実施形態では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与することにより行われる。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本実施形態では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m2)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体成分を除去する観点より、被吐出媒体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm2以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インク付与装置は、被吐出媒体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを被吐出媒体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することになり、これらはX方向に並ぶように配置される。
また、インク付与装置は、色材を含有しない、あるいは含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクを吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。そしてこのクリアインクを反応液、カラーインクとともにインク像を形成するために利用することができる。例えば、画像の光沢性を向上させるためにこのクリアインクを用いることができる。画像が光沢感を醸すように、配合する樹脂成分を適宜調整し、さらには、クリアインクの吐出位置を制御するとよい。
このクリアインクは、最終記録物ではカラーインクよりも表層側にある方が望ましいので、転写体型の記録装置では、カラーインクよりも先に転写体上に付与するようにする。そのためにインク付与装置と対面する転写体101の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置することができる。
また、光沢用とは別に、転写体から記録媒体への画像の転写性を向上させるためにクリアインクを利用することができる。例えば、カラーインクよりも粘着性を発現する成分を多く含ませ、これをカラーインクに付与することで転写体上に付与する転写性向上液としてクリアインクを利用することができる。例えば、インク付与装置と対面する転写体101の移動方向において、転写性向上用のクリアインクのためのインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置しておく。そしてカラーインクを転写体に付与した後、カラーインク付与後の転写体上にクリアインクを付与することで、インク像の最表面にはクリアインクが存在することになる。転写部での記録媒体へのインク像の転写において、インク像の表面のクリアインクはある程度の粘着力で記録媒体に粘着し、これによって、液除去後のインク像が記録媒体へ移動しやすくなる。
本実施形態ではインクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本実施形態では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与することにより行われる。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本実施形態では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m2)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体成分を除去する観点より、被吐出媒体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm2以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インク付与装置は、被吐出媒体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを被吐出媒体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することになり、これらはX方向に並ぶように配置される。
また、インク付与装置は、色材を含有しない、あるいは含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクを吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。そしてこのクリアインクを反応液、カラーインクとともにインク像を形成するために利用することができる。例えば、画像の光沢性を向上させるためにこのクリアインクを用いることができる。画像が光沢感を醸すように、配合する樹脂成分を適宜調整し、さらには、クリアインクの吐出位置を制御するとよい。
このクリアインクは、最終記録物ではカラーインクよりも表層側にある方が望ましいので、転写体型の記録装置では、カラーインクよりも先に転写体上に付与するようにする。そのためにインク付与装置と対面する転写体101の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置することができる。
また、光沢用とは別に、転写体から記録媒体への画像の転写性を向上させるためにクリアインクを利用することができる。例えば、カラーインクよりも粘着性を発現する成分を多く含ませ、これをカラーインクに付与することで転写体上に付与する転写性向上液としてクリアインクを利用することができる。例えば、インク付与装置と対面する転写体101の移動方向において、転写性向上用のクリアインクのためのインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置しておく。そしてカラーインクを転写体に付与した後、カラーインク付与後の転写体上にクリアインクを付与することで、インク像の最表面にはクリアインクが存在することになる。転写部での記録媒体へのインク像の転写において、インク像の表面のクリアインクはある程度の粘着力で記録媒体に粘着し、これによって、液除去後のインク像が記録媒体へ移動しやすくなる。
本実施形態に適用されるインクの各成分について説明する。
<インク>
(色材)
本実施形態に適用されるインクに含有される色材として、顔料又は染料と顔料との混合物を用いることができる。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(色材)
本発明に適用されるインクに含有される色材として、顔料、又は染料と顔料との混合物を用いることができる。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
<インク>
(色材)
本実施形態に適用されるインクに含有される色材として、顔料又は染料と顔料との混合物を用いることができる。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(色材)
本発明に適用されるインクに含有される色材として、顔料、又は染料と顔料との混合物を用いることができる。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(分散剤)
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用インクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも本実施形態の態様においては構造中に親水性部と疎水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、疎水性モノマーとしては、スチレン及びその他のスチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
該分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、該分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本実施形態において好適である。
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用インクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも本実施形態の態様においては構造中に親水性部と疎水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、疎水性モノマーとしては、スチレン及びその他のスチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
該分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、該分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本実施形態において好適である。
(樹脂微粒子)
本実施形態に適用されるインクは、色材を有しない各種微粒子を含有させて用いることができる。中でも樹脂微粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
本実施形態に用いることのできる樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合物が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。またインク中における樹脂微粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
さらに本実施形態の態様においては、該樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を用いて分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に本実施形態に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ界面活性剤が好ましい。
本実施形態の態様に用いる樹脂微粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、さらに100nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましい。
また本実施形態の態様に用いる樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料(ブルーイング剤)、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
本実施形態に適用されるインクは、色材を有しない各種微粒子を含有させて用いることができる。中でも樹脂微粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
本実施形態に用いることのできる樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合物が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。またインク中における樹脂微粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
さらに本実施形態の態様においては、該樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を用いて分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体は好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に本実施形態に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ界面活性剤が好ましい。
本実施形態の態様に用いる樹脂微粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、さらに100nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましい。
また本実施形態の態様に用いる樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料(ブルーイング剤)、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
(界面活性剤)
本実施形態に用いることのできるインクは界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(アセチレノ−ルE100、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
本実施形態に用いるインクは溶剤として水及び/または水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましい。
また用いる水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、等が挙げられる。もちろん、これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることも出来る。
また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に用いることのできるインクは界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(アセチレノ−ルE100、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
(水及び水溶性有機溶剤)
本実施形態に用いるインクは溶剤として水及び/または水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましい。
また用いる水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、等が挙げられる。もちろん、これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることも出来る。
また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
本実施形態に用いることのできるインクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
本実施形態に用いることのできるインクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
<液吸収部材>
本実施形態では、液除去前のインク像から液体成分の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させて吸収することで除去し、インク像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材のインク像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、被吐出媒体の移動に連動して移動し、インク像と接触した後、所定の周期で別の液除去前のインク像に再接触する循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
本実施形態では、液除去前のインク像から液体成分の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させて吸収することで除去し、インク像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材のインク像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、被吐出媒体の移動に連動して移動し、インク像と接触した後、所定の周期で別の液除去前のインク像に再接触する循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状やドラム状などの形状が挙げられる。
(多孔質体)
本実施形態に係る液吸収部材の多孔質体は、第一の面側の平均孔径が、第一の面と対向する第ニの面側の平均孔径よりも小さい物を使用することが好ましい。インク中の色材が多孔質体へ付着することを抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、少なくとも画像と接触する第一の面側の多孔質体の平均孔径は、10μm以下であることが好ましい。なお、本実施形態において平均孔径とは第一の面または第二の面の表面での平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
また、均一に高い通気性とするために多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。
但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。また、液吸収部材は、インク像と接触する層が多孔質体であればよく、インク像と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここではインク像に接触する側の第一の層、第一の層のインク像との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。
[第一の層]
本実施形態において、第一の層の材料は特に限定されることはなく、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性の材料のいずれも使用することができる。
親水性材料としては、セルロースやポリアクリルアミドなどの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、下記の撥水性材料の表面を親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、スパッタエッチング法、放射線やH2Oイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射などの方法が挙げられる。
親水性材料の場合、水に対する接触角が60°以下であることがより好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体、特に水を吸い上げる効果がある。
一方、色材の付着を抑制するため及びクリーニング性を高くするため、第一の層の材料は、表面自由エネルギーの低い撥水性材料、特にフッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の膜が積層された構成でもよい。撥水性材料の場合、毛管力により液体を吸い上げる効果が殆どなく、初めて画像と接触する際に液体の吸い上げに時間を要することがある。このため、第一の層中に第一の層との接触角が90°未満である液体をしみ込ませておくことが好ましい。この液体は、液吸収部材の第一面から塗布することで第一の層中にしみ込ませておくことができる。この液体は、水に界面活性剤や第一の層との接触角の低い液体を混合して調製することが好ましい。
本実施形態において、第一の層の膜厚は、50μm以下であることが好ましい。膜厚は、30μm以下がより好ましい。本実施形態において、膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得た。
第一の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、樹脂材料を押出成形などの方法でシート状物を得た後、所定の厚みに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
本実施形態に係る液吸収部材の多孔質体は、第一の面側の平均孔径が、第一の面と対向する第ニの面側の平均孔径よりも小さい物を使用することが好ましい。インク中の色材が多孔質体へ付着することを抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、少なくとも画像と接触する第一の面側の多孔質体の平均孔径は、10μm以下であることが好ましい。なお、本実施形態において平均孔径とは第一の面または第二の面の表面での平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。
また、均一に高い通気性とするために多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。
但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。また、液吸収部材は、インク像と接触する層が多孔質体であればよく、インク像と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここではインク像に接触する側の第一の層、第一の層のインク像との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。
[第一の層]
本実施形態において、第一の層の材料は特に限定されることはなく、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、接触角が90°以上の撥水性の材料のいずれも使用することができる。
親水性材料としては、セルロースやポリアクリルアミドなどの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、下記の撥水性材料の表面を親水化処理して用いることもできる。親水化処理としては、スパッタエッチング法、放射線やH2Oイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー光照射などの方法が挙げられる。
親水性材料の場合、水に対する接触角が60°以下であることがより好ましい。親水性材料の場合、毛管力により液体、特に水を吸い上げる効果がある。
一方、色材の付着を抑制するため及びクリーニング性を高くするため、第一の層の材料は、表面自由エネルギーの低い撥水性材料、特にフッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の膜が積層された構成でもよい。撥水性材料の場合、毛管力により液体を吸い上げる効果が殆どなく、初めて画像と接触する際に液体の吸い上げに時間を要することがある。このため、第一の層中に第一の層との接触角が90°未満である液体をしみ込ませておくことが好ましい。この液体は、液吸収部材の第一面から塗布することで第一の層中にしみ込ませておくことができる。この液体は、水に界面活性剤や第一の層との接触角の低い液体を混合して調製することが好ましい。
本実施形態において、第一の層の膜厚は、50μm以下であることが好ましい。膜厚は、30μm以下がより好ましい。本実施形態において、膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得た。
第一の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、樹脂材料を押出成形などの方法でシート状物を得た後、所定の厚みに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
[第二の層]
本実施形態において、第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては、特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体が逆流しないように、第一の層に対して第一の液体との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
[第三の層]
本実施形態において、多層構造の多孔質体は3層以上の構成であってもよく、限定されない。三層目(第三の層ともいう)以降の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
[その他の材料]
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特に限定されることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、本実施形態においては熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層の間に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
本実施形態において、第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては、特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体が逆流しないように、第一の層に対して第一の液体との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
[第三の層]
本実施形態において、多層構造の多孔質体は3層以上の構成であってもよく、限定されない。三層目(第三の層ともいう)以降の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
[その他の材料]
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
[多孔質体の製造方法]
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特に限定されることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、本実施形態においては熱ラミネートが好ましい。また、例えば、加熱により、第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層の間に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
次に、本発明にかかるインクジェット記録装置の具体的な実施形態例について説明する。
本発明のインクジェット記録装置としては以下の方式の装置を挙げることができる。
(A)被吐出媒体としての転写体上に画像(液除去前インク像)を形成し、液吸収部材による液体成分吸収後の画像(液除去後インク像)を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置。
(B)被吐出媒体としての記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置。
なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
転写型インクジェット記録装置では、転写体はその画像形成面に画像を一時的に保持し、転写体に一時的に保持された画像が記録媒体に転写され、記録媒体上に最終画像が形成される。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
本発明のインクジェット記録装置としては以下の方式の装置を挙げることができる。
(A)被吐出媒体としての転写体上に画像(液除去前インク像)を形成し、液吸収部材による液体成分吸収後の画像(液除去後インク像)を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置。
(B)被吐出媒体としての記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置。
なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
転写型インクジェット記録装置では、転写体はその画像形成面に画像を一時的に保持し、転写体に一時的に保持された画像が記録媒体に転写され、記録媒体上に最終画像が形成される。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
(転写型インクジェット記録装置)
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。この記録装置は、転写体101を介して記録媒体108にインク像を転写することで記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
本発明の転写型インクジェット記録装置100は、図1に示すように、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上にカラーインクと反応する反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上に有色のインクを付与し、転写体上に、インクによる画像であるインク像を形成するインクジェットヘッドを備えたインク付与装置104と、転写体上のインク像から液体成分を吸収する液吸収装置105と、液体成分を除去した転写体上のインク像を紙などの記録媒体108上に転写するための転写用の押圧部材106とを有する。本実施形態では、転写用の押圧部材106と転写体101の支持部材102、記録媒体搬送装置107により転写ユニットが形成されている。
また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。さらに、液吸収装置105は、液吸収部材105aの表面をクリーニングする液吸収部材クリーニング装置110と、前処理液収容部111a、前処理付与部材111bを有し、液吸収部材105aに前処理液を付与する前処理部材111を有してもよい。更に、液吸収装置105は、保持液量調整部材112b及び保持液収容部112aを有し、液吸収部材105aの液保持量を適切な量に調整する保持液量調整装置112を有してもよい。
当然のことではあるが、転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104のインクジェットヘッド、液吸収装置105および転写体クリーニング部材109、液吸収部材クリーニング装置110、前処理部材111および保持液量調整部材112は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有している。
転写体101は支持部材102の回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動する。移動する転写体101上に、反応液付与装置103によって反応液、および、インク付与装置104によってインクが順次付与され、転写体101上にインク像が形成される。転写体101上に形成されたインク像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。この記録装置は、転写体101を介して記録媒体108にインク像を転写することで記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。
本発明の転写型インクジェット記録装置100は、図1に示すように、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上にカラーインクと反応する反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上に有色のインクを付与し、転写体上に、インクによる画像であるインク像を形成するインクジェットヘッドを備えたインク付与装置104と、転写体上のインク像から液体成分を吸収する液吸収装置105と、液体成分を除去した転写体上のインク像を紙などの記録媒体108上に転写するための転写用の押圧部材106とを有する。本実施形態では、転写用の押圧部材106と転写体101の支持部材102、記録媒体搬送装置107により転写ユニットが形成されている。
また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。さらに、液吸収装置105は、液吸収部材105aの表面をクリーニングする液吸収部材クリーニング装置110と、前処理液収容部111a、前処理付与部材111bを有し、液吸収部材105aに前処理液を付与する前処理部材111を有してもよい。更に、液吸収装置105は、保持液量調整部材112b及び保持液収容部112aを有し、液吸収部材105aの液保持量を適切な量に調整する保持液量調整装置112を有してもよい。
当然のことではあるが、転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104のインクジェットヘッド、液吸収装置105および転写体クリーニング部材109、液吸収部材クリーニング装置110、前処理部材111および保持液量調整部材112は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有している。
転写体101は支持部材102の回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動する。移動する転写体101上に、反応液付与装置103によって反応液、および、インク付与装置104によってインクが順次付与され、転写体101上にインク像が形成される。転写体101上に形成されたインク像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。
転写体101と液吸収装置105は、転写体101の回転に同期して移動し、液吸収装置は図1の矢印Bの方向に回転する。転写体101上に形成されたインク像はこの移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは転写体上のインク像から液体成分を除去する。この接触した状態において、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって転写体101に押圧されることが液吸収部材105aを効果的に機能させる点で特に好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された液除去後のインク像は、液除去前のインク像と比べてインクが濃縮された状態となり、さらに転写体101により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部へ移動される。液除去後のインク像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。記録媒体108上に転写された転写後インク像は液除去前のインク像、および液除去後のインク像の反転画像である。
なお、本実施形態では転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、インクによる画像が形成されない非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは画像からのみならず、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去している。
したがって、以上では、画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された液除去後のインク像は、液除去前のインク像と比べてインクが濃縮された状態となり、さらに転写体101により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部へ移動される。液除去後のインク像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。記録媒体108上に転写された転写後インク像は液除去前のインク像、および液除去後のインク像の反転画像である。
なお、本実施形態では転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、インクによる画像が形成されない非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは画像からのみならず、未反応の反応液とも接触し、反応液の液体成分も併せて除去している。
したがって、以上では、画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
<インク付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。転写体上では反応液とインクとが混合され、反応液とインクとによってインク像が形成され、さらに、液吸収装置105にてインク像から液体成分が吸収される。
本実施形態ではインクジェットヘッドはY方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。インクジェットヘッドはその下面(転写体101側)にノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
インク付与装置104は、被吐出媒体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを被吐出媒体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することになり、これらはX方向に並ぶように配置される。
また、インク付与装置は、色材を含有しない、あるいは含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクを吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。そしてこのクリアインクを反応液、カラーインクとともにインク像を形成するために利用することができる。例えば、画像の光沢性を向上させるためにこのクリアインクを用いることができる。転写後の画像が光沢感を醸すように、配合する樹脂成分を適宜調整し、さらには、クリアインクの吐出位置を制御するとよい。このクリアインクは、最終記録物ではカラーインクよりも表層側にある方が望ましいので、転写体型の記録装置では、カラーインクよりも先に転写体101上に付与するようにする。そのためにインク付与装置104と対面する転写体101の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置することができる。
また、光沢用とは別に、転写体101から記録媒体への画像の転写性を向上させるために利用することができる。例えば、カラーインクよりも粘着性を発現する成分を多く含ませ、これをカラーインクに付与することで転写体101上に付与する転写性向上液としてクリアインクを利用することができる。例えば、インク付与装置104と対面する転写体101の移動方向において、転写性向上用のクリアインクのためのインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置しておく。そしてカラーインクを転写体101に付与した後、カラーインク付与後の転写体上にクリアインクを付与することで、インク像の最表面にはクリアインクが存在することになる。転写部での記録媒体へのインク像の転写において、インク像の表面のクリアインクはある程度の粘着力で記録媒体108に粘着し、これによって、液除去後のインク像が記録媒体108へ移動しやすくなる。
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。転写体上では反応液とインクとが混合され、反応液とインクとによってインク像が形成され、さらに、液吸収装置105にてインク像から液体成分が吸収される。
本実施形態ではインクジェットヘッドはY方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。インクジェットヘッドはその下面(転写体101側)にノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
インク付与装置104は、被吐出媒体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを被吐出媒体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することになり、これらはX方向に並ぶように配置される。
また、インク付与装置は、色材を含有しない、あるいは含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクを吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。そしてこのクリアインクを反応液、カラーインクとともにインク像を形成するために利用することができる。例えば、画像の光沢性を向上させるためにこのクリアインクを用いることができる。転写後の画像が光沢感を醸すように、配合する樹脂成分を適宜調整し、さらには、クリアインクの吐出位置を制御するとよい。このクリアインクは、最終記録物ではカラーインクよりも表層側にある方が望ましいので、転写体型の記録装置では、カラーインクよりも先に転写体101上に付与するようにする。そのためにインク付与装置104と対面する転写体101の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置することができる。
また、光沢用とは別に、転写体101から記録媒体への画像の転写性を向上させるために利用することができる。例えば、カラーインクよりも粘着性を発現する成分を多く含ませ、これをカラーインクに付与することで転写体101上に付与する転写性向上液としてクリアインクを利用することができる。例えば、インク付与装置104と対面する転写体101の移動方向において、転写性向上用のクリアインクのためのインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置しておく。そしてカラーインクを転写体101に付与した後、カラーインク付与後の転写体上にクリアインクを付与することで、インク像の最表面にはクリアインクが存在することになる。転写部での記録媒体へのインク像の転写において、インク像の表面のクリアインクはある程度の粘着力で記録媒体108に粘着し、これによって、液除去後のインク像が記録媒体108へ移動しやすくなる。
<液吸収装置>
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および液吸収部材105aを転写体101上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。液吸収部材105aは、液吸収部材搬送装置(不図示)によって搬送され、転写体101に当接して画像からの液吸収処理を行う液吸収処理領域に再送され、繰り返して利用できるようになっている。
押圧部材105bの転写体101に対する位置は、位置制御機構(不図示)によって調整でき、例えば、図1に示す矢印D方向に往復移動可能としておき、液体吸収処理が必要とされるタイミングで液吸収部材105aを転写体101の外周面に接触させ、また、この外周面から離間させることができる。
なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
本実施形態において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105cは張架部材としての張架ローラである。本実施形態では、張架ローラ105cの少なくとも一つを液吸収部材105aの搬送用の駆動ローラとすることにより、液吸収部材搬送装置を構成している。なお、液吸収部材搬送装置の形態はこれに限定されず、各種の搬送装置の構成を利用することができる。
図1において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。液吸収装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによってインク像に押し当てて接触させることで、インク像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、液体成分を減少させる。インク像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を接触させる本方式に加え、その他従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。また、液体成分を減少させた液除去後のインク像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および液吸収部材105aを転写体101上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。液吸収部材105aは、液吸収部材搬送装置(不図示)によって搬送され、転写体101に当接して画像からの液吸収処理を行う液吸収処理領域に再送され、繰り返して利用できるようになっている。
押圧部材105bの転写体101に対する位置は、位置制御機構(不図示)によって調整でき、例えば、図1に示す矢印D方向に往復移動可能としておき、液体吸収処理が必要とされるタイミングで液吸収部材105aを転写体101の外周面に接触させ、また、この外周面から離間させることができる。
なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
本実施形態において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105cは張架部材としての張架ローラである。本実施形態では、張架ローラ105cの少なくとも一つを液吸収部材105aの搬送用の駆動ローラとすることにより、液吸収部材搬送装置を構成している。なお、液吸収部材搬送装置の形態はこれに限定されず、各種の搬送装置の構成を利用することができる。
図1において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。液吸収装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによってインク像に押し当てて接触させることで、インク像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、液体成分を減少させる。インク像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を接触させる本方式に加え、その他従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。また、液体成分を減少させた液除去後のインク像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。
以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。
(クリーニング処理)
本実施形態において、液吸収装置105では、液吸収部材105a表面への付着物を除去する液吸収部材クリーニング装置110を有する。液吸収部材クリーニング部材110aは、当接しながら液吸収部材105aの動作に同期して回転し、予期せず液吸収部材105aへ付着した紙粉やインクなどを除去する。液吸収部材クリーニング部材110aは、ある程度のニップ幅と付着力を発揮できるよう弾性がある方が好ましく、ゴムなどの弾性ローラであることが好ましい。液吸収部材クリーニング部材110aへの付着物は、クリーニングブレード110bにより掻きとられる。液吸収部材クリーニング部材110aの当接圧は、特に限定されることはないが、0.01MPa以上であれば付着物の安定的な除去が可能であるため好ましい。また、当接圧力は1.0MPa以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。
また、液吸収部材105aに対してクリーニングを実施する位置への移動と、液吸収部材105aから離間する動作、例えば図示する矢印E方向の往復移動が、必要とされるタイミングで可能となるように、液吸収部材クリーニング装置を設置することができる。例えば、昇降用エアーシリンダ(不図示)により昇降可能とした昇降ステージ(不図示)に液吸収部材クリーニング装置を配置した構成により、上述する往復移動を行うことができる。
(クリーニング処理)
本実施形態において、液吸収装置105では、液吸収部材105a表面への付着物を除去する液吸収部材クリーニング装置110を有する。液吸収部材クリーニング部材110aは、当接しながら液吸収部材105aの動作に同期して回転し、予期せず液吸収部材105aへ付着した紙粉やインクなどを除去する。液吸収部材クリーニング部材110aは、ある程度のニップ幅と付着力を発揮できるよう弾性がある方が好ましく、ゴムなどの弾性ローラであることが好ましい。液吸収部材クリーニング部材110aへの付着物は、クリーニングブレード110bにより掻きとられる。液吸収部材クリーニング部材110aの当接圧は、特に限定されることはないが、0.01MPa以上であれば付着物の安定的な除去が可能であるため好ましい。また、当接圧力は1.0MPa以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。
また、液吸収部材105aに対してクリーニングを実施する位置への移動と、液吸収部材105aから離間する動作、例えば図示する矢印E方向の往復移動が、必要とされるタイミングで可能となるように、液吸収部材クリーニング装置を設置することができる。例えば、昇降用エアーシリンダ(不図示)により昇降可能とした昇降ステージ(不図示)に液吸収部材クリーニング装置を配置した構成により、上述する往復移動を行うことができる。
(前処理)
本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aをインク像に接触させる前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理手段によって前処理を施すことが好ましい。本実施形態に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。
本発明に用いる多孔質体の処理液の付与方法は浸漬、塗布、液滴下など、特に限定されないが、処理液の安定的な付与や装置内での高速付与等のため、ローラ加圧方式の塗布法であることが好ましい。
図1では、処理液付与部材103a、103bとしての前処理液が入ったチャンバーとオフセットローラとの組み合わせによる処理液付与装置10が図示されている。
本発明において、処理液の付与のタイミングは特に限定されることはない。ドラム状や無端ウエブ状の液吸収部材を順次周回搬送して前処理を行う場合には、1周毎に処理液を付与しても良いし、数周に一度処理液を付与する等、適宜処理液の付与タイミングを制御するようにしても良い。
また、液吸収部材105aに対して処理液を付与する位置への移動と液吸収部材105aから離間する動作、例えば図示する矢印F方向の往復移動が、必要とされるタイミングで可能となるように、前処理液付与装置を設置することができる。例えば、昇降用エアーシリンダ(不図示)により昇降可能とした昇降ステージ(不図示)に前処理液付与装置を配置した構成により、上述する往復移動を行うことができる。
図1に示す実施形態においては、液吸収部材105aを第一の画像に接触させる前に、液吸収部材の多孔質体に処理液を付与する前処理液付与装置110によって前処理としての処理液を施すことができる。
処理液の付与圧は、特に限定されることはないが、0.1MPa以上であれば処理液の安定的な付与や装置内で高速に付与することができるため好ましい。また、圧力は1.0MPa以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。
本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aをインク像に接触させる前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理手段によって前処理を施すことが好ましい。本実施形態に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。
本発明に用いる多孔質体の処理液の付与方法は浸漬、塗布、液滴下など、特に限定されないが、処理液の安定的な付与や装置内での高速付与等のため、ローラ加圧方式の塗布法であることが好ましい。
図1では、処理液付与部材103a、103bとしての前処理液が入ったチャンバーとオフセットローラとの組み合わせによる処理液付与装置10が図示されている。
本発明において、処理液の付与のタイミングは特に限定されることはない。ドラム状や無端ウエブ状の液吸収部材を順次周回搬送して前処理を行う場合には、1周毎に処理液を付与しても良いし、数周に一度処理液を付与する等、適宜処理液の付与タイミングを制御するようにしても良い。
また、液吸収部材105aに対して処理液を付与する位置への移動と液吸収部材105aから離間する動作、例えば図示する矢印F方向の往復移動が、必要とされるタイミングで可能となるように、前処理液付与装置を設置することができる。例えば、昇降用エアーシリンダ(不図示)により昇降可能とした昇降ステージ(不図示)に前処理液付与装置を配置した構成により、上述する往復移動を行うことができる。
図1に示す実施形態においては、液吸収部材105aを第一の画像に接触させる前に、液吸収部材の多孔質体に処理液を付与する前処理液付与装置110によって前処理としての処理液を施すことができる。
処理液の付与圧は、特に限定されることはないが、0.1MPa以上であれば処理液の安定的な付与や装置内で高速に付与することができるため好ましい。また、圧力は1.0MPa以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。
(保持液量調整処理)
また液吸収装置105は、液吸収部材105aの保持する液量を適切な量に維持するための保持液量調整部材112を有する。保持液量調整部材112bは、当接しながら液吸収部材105aの動作に同期して回転し、液吸収部材105aから液体を搾り取る。搾り取られた液体は保持液収容部112aへと収容され、図示されない排出路を通って処理される。保持液量調整部材は、ある程度のニップ幅を確保滴るよう弾性がある方が好ましく、ゴムなどの弾性ローラであることが好ましい。
保持液量調整部材112bの当接圧は、特に限定されることはないが、0.01MPa以上であれば液吸収部材105aに不要に保持された液体の安定的な除去が可能であるため好ましい。また、当接圧力は1.0MPa以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。
また、液吸収部材105aに対して保持液量を調整する位置への移動と、液吸収部材105aから離間する動作、例えば図示する矢印G方向の往復移動が、必要とされるタイミングで可能となるように、保持液量調整装置を設置することができる。例えば、昇降用エアーシリンダ(不図示)により昇降可能とした昇降ステージ(不図示)に保持液量調整装置を配置した構成により、上述する往復移動を行うことができる。
(加圧条件)
転写体上のインク像に対して接触するときの液吸収部材の圧力が0.29MPa(3kgf/cm2)以上であれば、インク像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、インク像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被吐出媒体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(商品名:「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
また液吸収装置105は、液吸収部材105aの保持する液量を適切な量に維持するための保持液量調整部材112を有する。保持液量調整部材112bは、当接しながら液吸収部材105aの動作に同期して回転し、液吸収部材105aから液体を搾り取る。搾り取られた液体は保持液収容部112aへと収容され、図示されない排出路を通って処理される。保持液量調整部材は、ある程度のニップ幅を確保滴るよう弾性がある方が好ましく、ゴムなどの弾性ローラであることが好ましい。
保持液量調整部材112bの当接圧は、特に限定されることはないが、0.01MPa以上であれば液吸収部材105aに不要に保持された液体の安定的な除去が可能であるため好ましい。また、当接圧力は1.0MPa以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。
また、液吸収部材105aに対して保持液量を調整する位置への移動と、液吸収部材105aから離間する動作、例えば図示する矢印G方向の往復移動が、必要とされるタイミングで可能となるように、保持液量調整装置を設置することができる。例えば、昇降用エアーシリンダ(不図示)により昇降可能とした昇降ステージ(不図示)に保持液量調整装置を配置した構成により、上述する往復移動を行うことができる。
(加圧条件)
転写体上のインク像に対して接触するときの液吸収部材の圧力が0.29MPa(3kgf/cm2)以上であれば、インク像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、インク像中から液体成分を除去できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被吐出媒体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(商品名:「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
(作用時間)
インク像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、インク像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被吐出媒体の移動方向における圧力感知幅を、被吐出媒体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
このようにして、転写体101上には、液体成分が吸収され、液体成分の減少したインク像が形成される。この液除去後のインク像は次に転写部において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
インク像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、インク像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被吐出媒体の移動方向における圧力感知幅を、被吐出媒体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
このようにして、転写体101上には、液体成分が吸収され、液体成分の減少したインク像が形成される。この液除去後のインク像は次に転写部において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、記録媒体搬送手段107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の液除去後のインク像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。転写体101上のインク像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体を押圧する押圧時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が0.1MPa以上3.0MPa以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上の第二の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備える態様が好ましい。
転写手段106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
本実施形態では、記録媒体搬送手段107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の液除去後のインク像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。転写体101上のインク像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体を押圧する押圧時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(「I−SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が0.1MPa以上3.0MPa以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体101を押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上の第二の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備える態様が好ましい。
転写手段106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、装置動作制御部として、各装置を制御する制御システムを有する。図3は図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図3において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図4は図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402はCPU401の制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。410はクリーニング部の制御部であり、液吸収部材クリーニング装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための液吸収部材クリーニング装置の昇降制御部、すなわち液吸収部材クリーニング制御部として利用することができる。クリーニング部の制御部410はASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。411は液付与部の制御部であり、回復液付与装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための回復液付与装置の昇降制御部、すなわち回復液付与制御部として利用することができる。液付与部の制御部411はASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。412は保持液量調整部の制御部であり、保持液量調整装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための保持液量調整装置の昇降制御部、すなわち保持液量調整制御部として利用することができる。保持液量調整部の制御部412はASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、装置動作制御部として、各装置を制御する制御システムを有する。図3は図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図3において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図4は図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402はCPU401の制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。410はクリーニング部の制御部であり、液吸収部材クリーニング装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための液吸収部材クリーニング装置の昇降制御部、すなわち液吸収部材クリーニング制御部として利用することができる。クリーニング部の制御部410はASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。411は液付与部の制御部であり、回復液付与装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための回復液付与装置の昇降制御部、すなわち回復液付与制御部として利用することができる。液付与部の制御部411はASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。412は保持液量調整部の制御部であり、保持液量調整装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための保持液量調整装置の昇降制御部、すなわち保持液量調整制御部として利用することができる。保持液量調整部の制御部412はASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。
<多孔質体の状態の判断と多孔質体に関する処理>
本実施形態にかかるインクジェット記録装置は、液吸収部材搬送装置により液吸収処理領域に繰り返し再送される多孔質体の状態を判断するシステムを有する。
この多孔質体の状態の判断システムでは、液吸収装置での液吸収処理を経た画像の画質を検出する画質検出装置と、多孔質体の状態を判断する多孔質体状態判断部を有する。多孔質体状態判断部は、図4に示すCPU401、ROM402、RAM403によって構成することができる。この多孔質状態判断部おいて、装置動作制御部に画質チェック用のテストパターンの形成と、液吸収装置での液吸収処理を経たテストパターンの画質の画質検出装置での検出を指示し、画質検出装置において得られた検出結果により多孔質体の状態が判断される。
画質検出装置はテストパターンを光学的に読み取るセンサSを備えた読み取り部を備える。図1に示すように、センサSを液吸収装置と転写部との間に設けられ、転写体101上のテストパターンを読み取るようにすることができる。読み取ったパターンの画像データはRAM403に送られ、多孔質状態判断部に情報として利用される。転写部を経て記録媒体にテストパターンが印刷され、転写部の後の記録媒体の搬送経路でパターンを読み取るようにセンサSが設けられていてもよい(図1)。また、ユーザーが印刷されたパターンを見て、多孔質状態判断部が利用する情報を、操作制御部302を介して入力するようにしてもよい。
すなわち、この多孔質体の状態の判断システムにおいて、画像として画質検査用のテストパターンを形成し、液体吸収工程を経たテストパターンの画質を画質検出装置によって検出し、得られた検出結果により多孔質体の状態を判断する多孔質体チェック工程が行われる。
テストパターンとしては、多孔質体の状態、すなわち、液吸収機能が良好な状態、液吸収機能の低下が予測できる状態、あるいは液吸収機能が低下した状態のいずれかの状態であることを検出できる画像パターンを有するものを用いることが好ましい。
例えば、画像流れの発生を多孔質体の状態の判断材料とする場合には、以下のプロセスにより多孔質体の状態を判断できる。まず、インク付与量を段階的に変えて形成した複数の画像を有するテストパターンを用いて、画像流れが生じる多孔質体の状態を予め検討しておく。このようなテストパターンを用いる検討では、全てのインク付与量において画像流れが発生していない場合を多孔質体が良好な状態にあると判断できるようにしておく。更に、画像流れが発生した場合には、画像流れが発生したインク付与量と画像流れが発生しなかったインク付与量を予め把握できるようにしておく。このようにして把握したインク付与量によるテストパターンを用いて、多孔質体の繰り返し使用時の適当なタイミングで多孔質体の状態のチェックを行うことができる。
更に、多孔質体状態判断部において判断された多孔質体の状態に応じて、画像形成ユニットにおける画像の形成条件を変更することが可能である。
また、多孔質体処理制御部を設け、多孔質体状態判断部によって判断された多孔質体の状態に応じて、多孔質体に関する処理を選択して、対応する装置(図1、4では不図示)に選択した処理を指示することができる。
この多孔質体に関する処理としては、以下の処理を挙げることができる。
(I)多孔質体の交換タイミングを報知する報知処理。
(II)画像形成動作(インク像形成動作)を停止する処理。
(I)の処理は、公知のシステムを用いて行うことができる。
また、(II)の処理は、図3に示す装置動作制御部によって実行することができる。
更に、液吸収部材の有する多孔質体の液吸収用の面の画像への当接情報と、多孔質体に関する固有パラメータから多孔質体の通気性の状態を判断する通気性チェック工程をおこなってもよい。この通気性チェック工程における多孔質体の通気性の状態の判断に基づいて、形成可能な画像量(インク像量)を判断することができる。先に記載したテストパターンを用いた多孔質体の状態の判断に加えて、形成可能な画像量の判断を追加することで、より信頼性の高い画像形成が可能となる。
この形成可能な画像量の判断は、以下の各部を有するシステムにより行うことができる。
(i)搬送装置により前記液吸収処理領域に繰り返し再送される多孔質体の液吸収用の面の画像への当接回数と各当接において多孔質体の液吸収用の面に付与される当接圧を含む当接情報を格納する当接情報記憶部。
(ii)当接情報と多孔質体に関する固有パラメータから多孔質体の通気性の状態を判断する通気性状態判断部。
(iii)多孔質体の通気性の状態から新たに形成可能な画像量を判断する画像量判断部(インク像量判断部)。
この判断に利用される当接情報は、液吸収処理領域に繰り返し再送される多孔質体の画像への当接回数(同一多孔質体における使用開始時からの累積当接回数)と、多孔質体の液吸収用の面に付与される各当接時における当接圧に関する情報を含む。
多孔質体に付与される当接圧は、多孔質体に当接する各部材の当接圧を使用する。例えば、液吸収部材用の押し圧部材105aに設定された当接圧を用いることができる。これらは事前に測定しておいて把握しておいてもよいし、インクジェット記録装置が各部材の多孔質体への当接圧を調整する場合にはその調整された当接圧をCPU401が認識できるようにしておき、ROM402に記憶して利用することが可能となる。また、当接回数とは液吸収装置に設けたカウンターにより計測した値を利用することができる。当接回数カウンターは、多孔質体の同一箇所が液吸収処理領域を通過する回数をカウントできるものであればよく、特に限定されないが、例えば液吸収部材105aを搬送するローラの回転を検知するエンコーダを利用することができる。また、ASIC404にカウント機能を設け、ASIC内に設けたレジスタのカウント値を更新していくようにしてもよいし、CPU401とROM402の機能により実現してもよい。
多孔質体を繰り返し使用した際の当接圧及び当接回数を含む当接情報は当接情報記憶部に格納され、多孔質体の通気性の状態の判断に利用される。当接情報記憶部は、例えば図4に示すRAM402内に設けることができる。
ここで、インクジェット記録装置は、立ち上げシーケンス、立ち下げシーケンス、通常印刷、メンテナンスなど、様々なモードを実行する。各モードでは同じ組み合わせのものが多孔質体と当接するわけではない。例えば、インクジェット記録装置の立ち上げシーケンスでは転写体101と液吸収部材105aとは当接せずに、転写体101側、液吸収装置105側で各々必要な立ち上げを行った後に、転写体101と液吸収部材105aを当接させる。液吸収装置105側の立ち上げにおいても、処理液付与部材103a、103b、保持液量調整部材112、液吸収部材クリーニング部材110aが順に当接する。これらのうち、いくつかは転写体101と液吸収部材105aが当接した後に液吸収部材と当接することもあり得る。通常印刷では転写体101と液吸収部材105aが当接しているが、インクジェット記録装置の立ち下げシーケンスでは転写体101と液吸収部材105aとを離間させたのち、転写体101側、液吸収装置105側で各々必要な立ち下げを行う。
これらを鑑み、当接情報記憶部は、インクジェット記録装置におけるモードを認識し、そのモード、さらにはモードの中のフェーズにおいて液吸収部材105aと当接する一または複数の部材について、当接圧及び当接回数を含む当接情報を当接情報記憶部に格納する。
当接情報と多孔質体に関する固有パラメータを用いた通気性の指標としてのガーレー値の計算と、それを用いた多孔質体の通気性の状態の判断は、通気性状態判断部により行うことができる。図4に示す装置動作制御部では、ROM402に搭載した判断プログラムを用いてCPU401において通気性状態判断部の機能を実行することができる。通気性状態判断部は当接情報記憶部に記憶されたモード毎、あるいはフェーズ毎の当接情報を用いて、通気性の状態の判断を行う。
多孔質体に関する固有パラメータは、あらかじめ多孔質体に繰り返し当接圧を付与して評価した通気性zに対し、当接回数をx、当接圧をyとして、x、yを変数としたときの多項式によるフィッティング係数を利用することが好ましい。
なお、形成可能な画像量は、記録媒体の形態やサイズにより規定して提示することができる。例えば、A4、B5等の定型の画像を形成する場合には、形成可能な画像の枚数として提示することができる。
本実施形態にかかるインクジェット記録装置は、液吸収部材搬送装置により液吸収処理領域に繰り返し再送される多孔質体の状態を判断するシステムを有する。
この多孔質体の状態の判断システムでは、液吸収装置での液吸収処理を経た画像の画質を検出する画質検出装置と、多孔質体の状態を判断する多孔質体状態判断部を有する。多孔質体状態判断部は、図4に示すCPU401、ROM402、RAM403によって構成することができる。この多孔質状態判断部おいて、装置動作制御部に画質チェック用のテストパターンの形成と、液吸収装置での液吸収処理を経たテストパターンの画質の画質検出装置での検出を指示し、画質検出装置において得られた検出結果により多孔質体の状態が判断される。
画質検出装置はテストパターンを光学的に読み取るセンサSを備えた読み取り部を備える。図1に示すように、センサSを液吸収装置と転写部との間に設けられ、転写体101上のテストパターンを読み取るようにすることができる。読み取ったパターンの画像データはRAM403に送られ、多孔質状態判断部に情報として利用される。転写部を経て記録媒体にテストパターンが印刷され、転写部の後の記録媒体の搬送経路でパターンを読み取るようにセンサSが設けられていてもよい(図1)。また、ユーザーが印刷されたパターンを見て、多孔質状態判断部が利用する情報を、操作制御部302を介して入力するようにしてもよい。
すなわち、この多孔質体の状態の判断システムにおいて、画像として画質検査用のテストパターンを形成し、液体吸収工程を経たテストパターンの画質を画質検出装置によって検出し、得られた検出結果により多孔質体の状態を判断する多孔質体チェック工程が行われる。
テストパターンとしては、多孔質体の状態、すなわち、液吸収機能が良好な状態、液吸収機能の低下が予測できる状態、あるいは液吸収機能が低下した状態のいずれかの状態であることを検出できる画像パターンを有するものを用いることが好ましい。
例えば、画像流れの発生を多孔質体の状態の判断材料とする場合には、以下のプロセスにより多孔質体の状態を判断できる。まず、インク付与量を段階的に変えて形成した複数の画像を有するテストパターンを用いて、画像流れが生じる多孔質体の状態を予め検討しておく。このようなテストパターンを用いる検討では、全てのインク付与量において画像流れが発生していない場合を多孔質体が良好な状態にあると判断できるようにしておく。更に、画像流れが発生した場合には、画像流れが発生したインク付与量と画像流れが発生しなかったインク付与量を予め把握できるようにしておく。このようにして把握したインク付与量によるテストパターンを用いて、多孔質体の繰り返し使用時の適当なタイミングで多孔質体の状態のチェックを行うことができる。
更に、多孔質体状態判断部において判断された多孔質体の状態に応じて、画像形成ユニットにおける画像の形成条件を変更することが可能である。
また、多孔質体処理制御部を設け、多孔質体状態判断部によって判断された多孔質体の状態に応じて、多孔質体に関する処理を選択して、対応する装置(図1、4では不図示)に選択した処理を指示することができる。
この多孔質体に関する処理としては、以下の処理を挙げることができる。
(I)多孔質体の交換タイミングを報知する報知処理。
(II)画像形成動作(インク像形成動作)を停止する処理。
(I)の処理は、公知のシステムを用いて行うことができる。
また、(II)の処理は、図3に示す装置動作制御部によって実行することができる。
更に、液吸収部材の有する多孔質体の液吸収用の面の画像への当接情報と、多孔質体に関する固有パラメータから多孔質体の通気性の状態を判断する通気性チェック工程をおこなってもよい。この通気性チェック工程における多孔質体の通気性の状態の判断に基づいて、形成可能な画像量(インク像量)を判断することができる。先に記載したテストパターンを用いた多孔質体の状態の判断に加えて、形成可能な画像量の判断を追加することで、より信頼性の高い画像形成が可能となる。
この形成可能な画像量の判断は、以下の各部を有するシステムにより行うことができる。
(i)搬送装置により前記液吸収処理領域に繰り返し再送される多孔質体の液吸収用の面の画像への当接回数と各当接において多孔質体の液吸収用の面に付与される当接圧を含む当接情報を格納する当接情報記憶部。
(ii)当接情報と多孔質体に関する固有パラメータから多孔質体の通気性の状態を判断する通気性状態判断部。
(iii)多孔質体の通気性の状態から新たに形成可能な画像量を判断する画像量判断部(インク像量判断部)。
この判断に利用される当接情報は、液吸収処理領域に繰り返し再送される多孔質体の画像への当接回数(同一多孔質体における使用開始時からの累積当接回数)と、多孔質体の液吸収用の面に付与される各当接時における当接圧に関する情報を含む。
多孔質体に付与される当接圧は、多孔質体に当接する各部材の当接圧を使用する。例えば、液吸収部材用の押し圧部材105aに設定された当接圧を用いることができる。これらは事前に測定しておいて把握しておいてもよいし、インクジェット記録装置が各部材の多孔質体への当接圧を調整する場合にはその調整された当接圧をCPU401が認識できるようにしておき、ROM402に記憶して利用することが可能となる。また、当接回数とは液吸収装置に設けたカウンターにより計測した値を利用することができる。当接回数カウンターは、多孔質体の同一箇所が液吸収処理領域を通過する回数をカウントできるものであればよく、特に限定されないが、例えば液吸収部材105aを搬送するローラの回転を検知するエンコーダを利用することができる。また、ASIC404にカウント機能を設け、ASIC内に設けたレジスタのカウント値を更新していくようにしてもよいし、CPU401とROM402の機能により実現してもよい。
多孔質体を繰り返し使用した際の当接圧及び当接回数を含む当接情報は当接情報記憶部に格納され、多孔質体の通気性の状態の判断に利用される。当接情報記憶部は、例えば図4に示すRAM402内に設けることができる。
ここで、インクジェット記録装置は、立ち上げシーケンス、立ち下げシーケンス、通常印刷、メンテナンスなど、様々なモードを実行する。各モードでは同じ組み合わせのものが多孔質体と当接するわけではない。例えば、インクジェット記録装置の立ち上げシーケンスでは転写体101と液吸収部材105aとは当接せずに、転写体101側、液吸収装置105側で各々必要な立ち上げを行った後に、転写体101と液吸収部材105aを当接させる。液吸収装置105側の立ち上げにおいても、処理液付与部材103a、103b、保持液量調整部材112、液吸収部材クリーニング部材110aが順に当接する。これらのうち、いくつかは転写体101と液吸収部材105aが当接した後に液吸収部材と当接することもあり得る。通常印刷では転写体101と液吸収部材105aが当接しているが、インクジェット記録装置の立ち下げシーケンスでは転写体101と液吸収部材105aとを離間させたのち、転写体101側、液吸収装置105側で各々必要な立ち下げを行う。
これらを鑑み、当接情報記憶部は、インクジェット記録装置におけるモードを認識し、そのモード、さらにはモードの中のフェーズにおいて液吸収部材105aと当接する一または複数の部材について、当接圧及び当接回数を含む当接情報を当接情報記憶部に格納する。
当接情報と多孔質体に関する固有パラメータを用いた通気性の指標としてのガーレー値の計算と、それを用いた多孔質体の通気性の状態の判断は、通気性状態判断部により行うことができる。図4に示す装置動作制御部では、ROM402に搭載した判断プログラムを用いてCPU401において通気性状態判断部の機能を実行することができる。通気性状態判断部は当接情報記憶部に記憶されたモード毎、あるいはフェーズ毎の当接情報を用いて、通気性の状態の判断を行う。
多孔質体に関する固有パラメータは、あらかじめ多孔質体に繰り返し当接圧を付与して評価した通気性zに対し、当接回数をx、当接圧をyとして、x、yを変数としたときの多項式によるフィッティング係数を利用することが好ましい。
なお、形成可能な画像量は、記録媒体の形態やサイズにより規定して提示することができる。例えば、A4、B5等の定型の画像を形成する場合には、形成可能な画像の枚数として提示することができる。
一方、多孔質体を交換式として、交換用の多孔質体ごとに多孔質体の固有のパラメータ情報が添付しておき、当接情報記憶部に格納された多孔質体に固有のパラメータ情報を入力部から入力し、多孔質体の交換ごとに更新してもよい。このパラメータの入力は、手動あるいは自動で行うことができるように装置を構成してもよい。自動入力における読み取り方式、すなわち読み取り用の情報と読み取り部の形態は特に限定されず、公知のシステムを利用することができる。
(直接描画型のインクジェット記録装置)
本実施形態における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被吐出媒体は画像を形成すべき記録媒体である。
図2は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の手段を有する。
したがって、反応液収容部203a、反応液付与部材203b、203cを有する反応液付与装置203、インク付与装置204は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。更に、記録媒体208上のインク像に接触する液吸収部材205aにより、インク像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205についても同様に説明を省略する。液吸収部材205aから付着物を除去するための吸収部材クリーニング部材210a、クリーニングブレード210bを有する液吸収部材クリーニング装置210についても同様に説明を省略する。前処理液収容部211a、前処理液付与部材211bを有し、液吸収部材205aへ前処理液を付与する前処理液付与装置211、保持液量調整部材212b及び保持液収容部212aを有し、液吸収部材105aから不要な液体を除去し保持液量を調整する保持液量調整装置212も同様に説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図2において、205cは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図4の5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与するインク付与部、および、液吸収部材205aを記録媒体上のインク像に接触し、液体成分を除去する液体成分除去部には、記録媒体を下方から支持する不図示の記録媒体支持部材が設けられていてもよい。
また、上述したテストパターンを読み取るためのセンサSを備えている。
本実施形態における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被吐出媒体は画像を形成すべき記録媒体である。
図2は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の手段を有する。
したがって、反応液収容部203a、反応液付与部材203b、203cを有する反応液付与装置203、インク付与装置204は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。更に、記録媒体208上のインク像に接触する液吸収部材205aにより、インク像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205についても同様に説明を省略する。液吸収部材205aから付着物を除去するための吸収部材クリーニング部材210a、クリーニングブレード210bを有する液吸収部材クリーニング装置210についても同様に説明を省略する。前処理液収容部211a、前処理液付与部材211bを有し、液吸収部材205aへ前処理液を付与する前処理液付与装置211、保持液量調整部材212b及び保持液収容部212aを有し、液吸収部材105aから不要な液体を除去し保持液量を調整する保持液量調整装置212も同様に説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上のインク像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図2において、205cは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図4の5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与するインク付与部、および、液吸収部材205aを記録媒体上のインク像に接触し、液体成分を除去する液体成分除去部には、記録媒体を下方から支持する不図示の記録媒体支持部材が設けられていてもよい。
また、上述したテストパターンを読み取るためのセンサSを備えている。
<記録媒体搬送装置>
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置における搬送手段を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図3に示す通りである。
図5は図2の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図4における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
510はクリーニング部の制御部であり、液吸収部材クリーニング装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための液吸収部材クリーニング装置の昇降制御部、すなわち液吸収部材クリーニング制御部として利用することができる。制御部510はASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。
511は液付与部の制御部であり、回復液付与装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための回復液付与装置の昇降制御部、すなわち回復液付与制御部として利用することができる。制御部511はASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。512は保持液量調整部の制御部であり、保持液量調整装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための保持液量調整装置の昇降制御部、すなわち保持液量調整制御部として利用することができる。制御部512はASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置における搬送手段を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
<制御システム>
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図3に示す通りである。
図5は図2の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図4における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
510はクリーニング部の制御部であり、液吸収部材クリーニング装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための液吸収部材クリーニング装置の昇降制御部、すなわち液吸収部材クリーニング制御部として利用することができる。制御部510はASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。
511は液付与部の制御部であり、回復液付与装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための回復液付与装置の昇降制御部、すなわち回復液付与制御部として利用することができる。制御部511はASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。512は保持液量調整部の制御部であり、保持液量調整装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための保持液量調整装置の昇降制御部、すなわち保持液量調整制御部として利用することができる。制御部512はASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。
<当接圧による液吸収部材の特性変化>
先に、形成可能な画像量の判断に好適に利用するころができるフィッティング係数について以下に説明する。
多孔質体で構成される液吸収部材に当接圧を与えると、当接圧に応じた圧縮変形を示す。当接圧を解除すると当接前の状態に向かって変形が回復するが、繰り返し当接圧を加え続けることで永久ひずみが残り、多孔質体が目潰れを起こして通気性が低下する。
図6は、多孔質体に当接圧を繰り返し与えた場合の、当接圧と当接回数、通気性の指標となる多孔質体のガーレ値の関係図である。当接回数の対数に対しガーレ値の変化は線形の関係を示し、また当接圧が高いほど、ガーレ値の上昇率が大きいことが分かった(P1<P2<P3)。
当接回数をx、当接圧をy、多孔質体のガーレ値をzとすると、以下の関係式により当接圧、当接回数、ガーレ値を表すことができる。
z=a・log(x)+b・y+clog(x)・y+d:式(1)
ここでa、b、c、dは係数であり、多孔質体ごとの固有パラメータである。固有パラメータは、あらかじめ多孔質体に当接圧の異なる繰り返し当接を付与した際のガーレ値変化に対し、式(1)でフィッティングすることで決定することができる。
以上の固有パラメータと、液吸収部材105aが一回転する間に付与される当接圧がわかれば、当接によるガーレ値の上昇量を算出することができる。ある時点tでの液吸収部材105aの多孔質体のガーレ値をz(t)とする。液吸収部材へと付与される、液吸収部材用の押圧部材105bによる当接圧をPA、処理液付与装置10による当接圧をPBとすると、液吸収部材105aの一回転後のガーレ値z(t+1)は、
z(t+1)=z(t)
+a・log(xA(t+1))+b・PA+clog(xA(t+1))・PA+d
―(a・log(xA(t))+b・PA+clog(xA(t))・PA+d)
+a・log(xB(t+1))+b・PB+clog(xB(t+1))・PB+d
―(a・log(xB(t))+b・PA+clog(xB(t))・PB+d)
=z(t)
+(a+c・PA)・log(xA(t+1)/xA(t))
+(a+c・PB)・log(xB(t+1)/xB(t))
=z(t)
+(a+c・PA)・log((xA(t)+1)/xA(t))
+(a+c・PB)・log((xB(t)+1)/xB(t)) 式(2)
となる。
ここでxA(t)、xB(t)は式(1)より、
xA(t)=10^{(z(t)―b・PA―d)/(a+c・PA)} 式(3A)
xB(t)=10^{(z(t)―b・PB―d)/(a+c・PB)} 式(3B)
である。
以上の関係を使い、液吸収部材105aが受ける当接圧と当接回数とをカウントし、式(2)によって多孔質体のガーレ値を予測することが可能となり、これを多孔質体の通気性指標として液吸収部材の処理に利用する。なおここでは当接部分が二か所の構成で説明したが、当接部材によるクリーニング機構や保持液量調整機構などをさらに付与した場合においても、上述の関係式を同様に用いることで、多孔質体のガーレ値を予測することが可能である。
なお、本発明ではガーレ値を式(1)で表したが、ガーレ値変化の特徴をうまく表現できるものであれば、他の式に基づくものでもよい。
先に、形成可能な画像量の判断に好適に利用するころができるフィッティング係数について以下に説明する。
多孔質体で構成される液吸収部材に当接圧を与えると、当接圧に応じた圧縮変形を示す。当接圧を解除すると当接前の状態に向かって変形が回復するが、繰り返し当接圧を加え続けることで永久ひずみが残り、多孔質体が目潰れを起こして通気性が低下する。
図6は、多孔質体に当接圧を繰り返し与えた場合の、当接圧と当接回数、通気性の指標となる多孔質体のガーレ値の関係図である。当接回数の対数に対しガーレ値の変化は線形の関係を示し、また当接圧が高いほど、ガーレ値の上昇率が大きいことが分かった(P1<P2<P3)。
当接回数をx、当接圧をy、多孔質体のガーレ値をzとすると、以下の関係式により当接圧、当接回数、ガーレ値を表すことができる。
z=a・log(x)+b・y+clog(x)・y+d:式(1)
ここでa、b、c、dは係数であり、多孔質体ごとの固有パラメータである。固有パラメータは、あらかじめ多孔質体に当接圧の異なる繰り返し当接を付与した際のガーレ値変化に対し、式(1)でフィッティングすることで決定することができる。
以上の固有パラメータと、液吸収部材105aが一回転する間に付与される当接圧がわかれば、当接によるガーレ値の上昇量を算出することができる。ある時点tでの液吸収部材105aの多孔質体のガーレ値をz(t)とする。液吸収部材へと付与される、液吸収部材用の押圧部材105bによる当接圧をPA、処理液付与装置10による当接圧をPBとすると、液吸収部材105aの一回転後のガーレ値z(t+1)は、
z(t+1)=z(t)
+a・log(xA(t+1))+b・PA+clog(xA(t+1))・PA+d
―(a・log(xA(t))+b・PA+clog(xA(t))・PA+d)
+a・log(xB(t+1))+b・PB+clog(xB(t+1))・PB+d
―(a・log(xB(t))+b・PA+clog(xB(t))・PB+d)
=z(t)
+(a+c・PA)・log(xA(t+1)/xA(t))
+(a+c・PB)・log(xB(t+1)/xB(t))
=z(t)
+(a+c・PA)・log((xA(t)+1)/xA(t))
+(a+c・PB)・log((xB(t)+1)/xB(t)) 式(2)
となる。
ここでxA(t)、xB(t)は式(1)より、
xA(t)=10^{(z(t)―b・PA―d)/(a+c・PA)} 式(3A)
xB(t)=10^{(z(t)―b・PB―d)/(a+c・PB)} 式(3B)
である。
以上の関係を使い、液吸収部材105aが受ける当接圧と当接回数とをカウントし、式(2)によって多孔質体のガーレ値を予測することが可能となり、これを多孔質体の通気性指標として液吸収部材の処理に利用する。なおここでは当接部分が二か所の構成で説明したが、当接部材によるクリーニング機構や保持液量調整機構などをさらに付与した場合においても、上述の関係式を同様に用いることで、多孔質体のガーレ値を予測することが可能である。
なお、本発明ではガーレ値を式(1)で表したが、ガーレ値変化の特徴をうまく表現できるものであれば、他の式に基づくものでもよい。
<画像流れの評価およびテストパターン>
図7は、画像流れにおけるイク付与量と多孔質体の通気性の関係を示している。液吸収部材でインク画像から液体除去を行う際に、多孔質体の通気性が低いほど画像流れが生じやすい。また、画像のインク付与量が多いほど画像流れが生じやすくなる。液吸収工程は液吸収部材での当接圧によるインク画像を押し流す作用と、液体を吸収してインクの粘度を上げて画像の変形を起こしにくくするバランスの上に成り立っている。よって多孔質体の通気性と画像のインク付与量とに関係して、画像流れが生じることになる。
図8は画像流れの様子及び液吸収部材105aの状態を検知するためのテストパターンの模式図であり、転写体101上に形成された様子を示している。
図8(b)に示すテストパターンでは、上側に打込量少とされたパターンTがX方向に2つ並び、上側に打込量多とされたパターンTがX方向に2つ並んでいる。打込量少は面積辺りのインク付与量が少ないパターンであり、打込量多はそれよりも面積辺りのインク付与量が多いパターンである。このほかにも、インク付与量を多段階に異ならせてパターンをY方向に配置するようにしてもよい。
図8(a)は画像流れの現象を示す模式図である。液吸収部材105aでの液体の吸収速度が遅い、あるいはインクの付与量が多いと、転写体101搬送方向の上流側に向けて転写体101上のインク画像(黒塗り部)が押し流さる傾向にあり、画像の乱れにつながる。画像流れはベタ画像の端部で確認しやすいが、端部以外の画像内部でも同様に移動が起きており、画像流れによる移動量が人間の視認限界である約20μm以上発生すると、視認されやすくなってくる。上述した打込量大のテストパターンには、このような画像流れが生じていていることを確認できる。
図中の線Aは液吸収部材105aの接触前のインク画像の左端の位置である。画像流れの程度に応じてこの位置から液吸収部材105aに接触後のインク画像の左端までの長さ(矢印で図示)が異なる。よって液吸収部材105aでの接触前後でのテストパターンの液吸収部材105aの移動方向の上流側端部の位置の変化を認識することができれば、テストパターンを用いて画像流れを評価できる。
例えば、打込量毎のパターンTの画像流れの程度を比較することで、現在の状態を把握することが容易になる。閾となる打込量を設定しておき、その打込量で画像流れが認識された場合を交換のタイミングとして、ユーザーが知ることができるようにするとよい。
また、テストパターンにおいて液吸収部材105aの移動方向の上流側端部の位置を認識し、認識した位置と基準との距離を計測し、ガーレー値を求めることも可能である。このとき基準となるのは液吸収部材105aに接触する前、あるいはした後のインク画像の右端(液吸収部材105aの移動方向の下流側端部の位置)でもよいし、図中のAの位置でもよい。インク画像を画質検出装置で読み取る場合には、得られた画像データを解析することで、基準のAの位置の認識が容易である。
その他に、図8(c)に示すような2色のテストパターンを用いても画像流れを評価できる。図8のテストパターンTは、イエローインクによる一様なべたパターン(符号Y)と、その上に付与されたシアンインクによるラインパターン(符号C)の組み合わせで形成されている。シアンインクの単位面積当りの付与量は少な目に設定されているため、イエローインクの領域外のテストパターンには画像流れは見られず、この位置が基準位置Aとなる。CのラインがX方向上流側へ振れた幅(図中矢印)が画像流れの量を反映していて、この幅の大きさで画像流れの程度を評価することができる。下側のベタパターンを形成するインクより明度が低い色のインクで上側のラインパターンを形成すると、ユーザーによる視認、光学装置の検出両方において、ラインパターンの移動量を認識しやすく好適である。画像流れの生じる原因は、多孔質体の液吸収特性と、インク画像の凝集力によって決まる外力への抵抗力とのバランスであるが、画像流れが生じるか否かの閾値は様々な条件で変化する。たとえば、転写体101の搬送速度が速い場合、液吸収部材105aと転写体とのニップ部の圧力プロファイルの時間的な変化が大きくなり、液体を十分吸収する前に画像が押し流されてしまう。また、転写体に対する液吸収部の押圧部材105bの押圧力が大きいと同様に圧力プロファイルの時間的な変化が大きくなり、画像流れを生じやすい。その他、インクや反応液を構成する材料塑性や、液吸収時のインク温度などによってもインクの凝集力が変わるため、画像流れの生じる程度が変化する。
以上の状態を鑑み、装置を運転する条件の元で、あらかじめ画像流れの生じる閾値を把握しておくことで、本発明において予測する多孔質体の通気性と画像流れの生じる閾値とを比較することで、画像流れが生じる前に適切に対処することができる。
図7は、画像流れにおけるイク付与量と多孔質体の通気性の関係を示している。液吸収部材でインク画像から液体除去を行う際に、多孔質体の通気性が低いほど画像流れが生じやすい。また、画像のインク付与量が多いほど画像流れが生じやすくなる。液吸収工程は液吸収部材での当接圧によるインク画像を押し流す作用と、液体を吸収してインクの粘度を上げて画像の変形を起こしにくくするバランスの上に成り立っている。よって多孔質体の通気性と画像のインク付与量とに関係して、画像流れが生じることになる。
図8は画像流れの様子及び液吸収部材105aの状態を検知するためのテストパターンの模式図であり、転写体101上に形成された様子を示している。
図8(b)に示すテストパターンでは、上側に打込量少とされたパターンTがX方向に2つ並び、上側に打込量多とされたパターンTがX方向に2つ並んでいる。打込量少は面積辺りのインク付与量が少ないパターンであり、打込量多はそれよりも面積辺りのインク付与量が多いパターンである。このほかにも、インク付与量を多段階に異ならせてパターンをY方向に配置するようにしてもよい。
図8(a)は画像流れの現象を示す模式図である。液吸収部材105aでの液体の吸収速度が遅い、あるいはインクの付与量が多いと、転写体101搬送方向の上流側に向けて転写体101上のインク画像(黒塗り部)が押し流さる傾向にあり、画像の乱れにつながる。画像流れはベタ画像の端部で確認しやすいが、端部以外の画像内部でも同様に移動が起きており、画像流れによる移動量が人間の視認限界である約20μm以上発生すると、視認されやすくなってくる。上述した打込量大のテストパターンには、このような画像流れが生じていていることを確認できる。
図中の線Aは液吸収部材105aの接触前のインク画像の左端の位置である。画像流れの程度に応じてこの位置から液吸収部材105aに接触後のインク画像の左端までの長さ(矢印で図示)が異なる。よって液吸収部材105aでの接触前後でのテストパターンの液吸収部材105aの移動方向の上流側端部の位置の変化を認識することができれば、テストパターンを用いて画像流れを評価できる。
例えば、打込量毎のパターンTの画像流れの程度を比較することで、現在の状態を把握することが容易になる。閾となる打込量を設定しておき、その打込量で画像流れが認識された場合を交換のタイミングとして、ユーザーが知ることができるようにするとよい。
また、テストパターンにおいて液吸収部材105aの移動方向の上流側端部の位置を認識し、認識した位置と基準との距離を計測し、ガーレー値を求めることも可能である。このとき基準となるのは液吸収部材105aに接触する前、あるいはした後のインク画像の右端(液吸収部材105aの移動方向の下流側端部の位置)でもよいし、図中のAの位置でもよい。インク画像を画質検出装置で読み取る場合には、得られた画像データを解析することで、基準のAの位置の認識が容易である。
その他に、図8(c)に示すような2色のテストパターンを用いても画像流れを評価できる。図8のテストパターンTは、イエローインクによる一様なべたパターン(符号Y)と、その上に付与されたシアンインクによるラインパターン(符号C)の組み合わせで形成されている。シアンインクの単位面積当りの付与量は少な目に設定されているため、イエローインクの領域外のテストパターンには画像流れは見られず、この位置が基準位置Aとなる。CのラインがX方向上流側へ振れた幅(図中矢印)が画像流れの量を反映していて、この幅の大きさで画像流れの程度を評価することができる。下側のベタパターンを形成するインクより明度が低い色のインクで上側のラインパターンを形成すると、ユーザーによる視認、光学装置の検出両方において、ラインパターンの移動量を認識しやすく好適である。画像流れの生じる原因は、多孔質体の液吸収特性と、インク画像の凝集力によって決まる外力への抵抗力とのバランスであるが、画像流れが生じるか否かの閾値は様々な条件で変化する。たとえば、転写体101の搬送速度が速い場合、液吸収部材105aと転写体とのニップ部の圧力プロファイルの時間的な変化が大きくなり、液体を十分吸収する前に画像が押し流されてしまう。また、転写体に対する液吸収部の押圧部材105bの押圧力が大きいと同様に圧力プロファイルの時間的な変化が大きくなり、画像流れを生じやすい。その他、インクや反応液を構成する材料塑性や、液吸収時のインク温度などによってもインクの凝集力が変わるため、画像流れの生じる程度が変化する。
以上の状態を鑑み、装置を運転する条件の元で、あらかじめ画像流れの生じる閾値を把握しておくことで、本発明において予測する多孔質体の通気性と画像流れの生じる閾値とを比較することで、画像流れが生じる前に適切に対処することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本実施形態を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
以下、実施例及び比較例を用いて本実施形態を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
本実施例は図1に示す転写型インクジェット記録装置を用いた。
本実施例における転写体101は接着剤により支持部材102に固定されている。
本実施例では、厚さ0.5mmのPETシートにシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、商品名:KE12)を0.3mmの厚さにコーティングしたシートを転写体の弾性層として用いた。また、支持部材102と該弾性体との断熱層として、弾性層の下層に気泡を含む厚さ0.5mmの発泡性のシリコーンゴムを用いた。さらにグリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流により得られる縮合物と光カチオン重合開始剤(ADEKA製、商品名:SP150)の混合物を作製した。弾性層表面の水の接触角を10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行い、前記混合物を弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量5000mJ/cm2)、熱硬化(150℃2時間)により成膜し、弾性体上に厚さ0.5μmの表面層を形成した転写体101を作製した。
本構成においては、なお説明の簡略のため図示を省略しているが、転写体101と支持部材102の間に転写体101を保持するために両面テープを用いた。また転写体101の弾性層と断熱層の間にも、弾性層を保持するために両面テープを用いた。
反応液付与装置103により付与される反応液は、以下組成のものを用い、付与量は1g/m2とした。
・レブリン酸:40.0部
・グリセリン:5.0部
・メガファックF444(商品名):1.0部(界面活性剤、DIC製)
・イオン交換水:54.0部
インクは以下のように調製した。
<インクの調製>
<樹脂粒子の調製>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ブチルメタクリレート18.0部、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れ、反応系に窒素ガスを導入し、0.5時間撹拌した。このフラスコに、乳化剤(商品名:NIKKOL BC15、日光ケミカルズ製)の6.0%水溶液78.0部を滴下して、0.5時間撹拌した。次いで、超音波照射機で超音波を3時間照射することで、混合物を乳化させた。その後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行った。反応系を25℃まで冷却した後、成分をろ過し、適量の純水を添加して、樹脂粒子1(固形分)の含有量が20.0%である樹脂粒子1の水分散液を調製した。
<樹脂水溶液の調製>
酸価が150mgKOH/gで、重量平均分子量が8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂1)を準備した。20.0部の樹脂1を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和し、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂1の水溶液を調製した。
(顔料分散液の調製)
顔料(カーボンブラック)10.0部、樹脂1の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合した。この混合物と、0.3mm径のジルコニアビーズ200部を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れて、水冷しながら5時間分散させた。その後、遠心分離して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液Kを調製した。
(インクの調製)
下記に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。アセチレノールE100は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。
(インクの組成)
・顔料分散液K:20.0質量%
・樹脂粒子1の水分散液:50.0質量%
・樹脂1の水溶液:5.0質量%
・グリセリン:5.0質量%
・ジエチレングリコール:7.0質量%
・アセチレノールE100:0.5質量%
・純粋:12.5質量%
インク付与装置104として、電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェットヘッドを有するインクジェットデバイスを使用し、インク付与量は20g/m2とした。
<液吸収部材>
液吸収部材は、多孔質体を3層積層したものを用いた。インク画像に接触する側の第一層には、平均孔径0.3μmの多孔質PTFEを用いた。第一の支持層として、ポリオレフィン製の多孔質膜を用いた。また第二の支持層としてポリフェニルサルファイド製の多孔質膜を用いた。これらを熱ラミネートにより積層し、液吸収部材として用いた。この液吸収部材をエタノール95部、水5部からなる処理液に浸漬させ、浸透させた後、水100部からなる液に置換し、その後液体除去に使用した。また、液吸収手段における押圧部材3105bはローラ直径φ200mmのものを用いた。
液吸収部材105aは液吸収部材を張架しつつ搬送する搬送ローラ105c、105d、105eによって、転写体101の移動速度と同等の速度になるよう調節されている。また、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108は記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送される。本実施例において、搬送速度は0.6m/sとし、記録媒体108としてオーロラコート紙(商品名、日本製紙株式会社製・坪量104g/m2)を用いた。
インクの付与量の異なる領域を含む画質チェック用のテストパターンを印字することで、画像流れによる画質劣化を未然に防止することができる。本実施例の構成においては、インクの付与量が20g/m2の条件で、多孔質体のガーレ値が8secを超えると画像流れが生じた。またインクの付与量が25g/m2の条件で、多孔質体のガーレ値が7.5secを超えると画像流れが生じることがわかった。なお、このテストパターンは、画像流れの発生をチェックできる画像パターンを有する。
画像流れの評価は画像センサにて行い、入力された画像データと実際に印字されたインク画像とを比較することで画像流れの有無を判断する。転写体に画像を形成し、その後液体除去工程と記録媒体への転写工程を経る転写型インクジェット記録装置においては、液体除去工程後の転写体上で行ってもよいし、記録媒体への転写後の画像上で行ってもよい。また転写体を用いない直接描画型のインクジェット記録装置においては、画像を形成した記録媒体所で行えばよい。さらにまた、画像センサを用いる代わりに、オペレータの視認による評価でも可能である。
以上の関係より、インク付与量が25g/m2の画像を含む画質チェック用のテストパターンにおいて画像流れが生じていない状態においては、インク最大付与量が25g/m2までの任意の画像を印字する。液吸収部材の劣化により、インク付与量が25g/m2の領域に画像流れが生じ始めた場合には、インク最大付与量が25g/m2未満の画像に制限して印刷を行う。印刷画像の制限は、メモリーに格納された印刷待ちの画像データのインク最大付与量に基づいて自動で行ってもよいし、画像流れの発生の危険性をユーザーに報知し、画像流れの生じないインク付与量の画像を選択するよう促してもよい。また、画像流れが生じればユーザーに液吸収部材の交換を促すサインを出すとなおよい。ユーザーへのサインはインクジェット記録装置に搭載した報知用のランプ(不図示)を点灯させることにより行う。
(実施例1)
本実施例は図1に示す転写型インクジェット記録装置を用いた。
本実施例における転写体101は接着剤により支持部材102に固定されている。
本実施例では、厚さ0.5mmのPETシートにシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、商品名:KE12)を0.3mmの厚さにコーティングしたシートを転写体の弾性層として用いた。また、支持部材102と該弾性体との断熱層として、弾性層の下層に気泡を含む厚さ0.5mmの発泡性のシリコーンゴムを用いた。さらにグリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流により得られる縮合物と光カチオン重合開始剤(ADEKA製、商品名:SP150)の混合物を作製した。弾性層表面の水の接触角を10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行い、前記混合物を弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量5000mJ/cm2)、熱硬化(150℃2時間)により成膜し、弾性体上に厚さ0.5μmの表面層を形成した転写体101を作製した。
本構成においては、なお説明の簡略のため図示を省略しているが、転写体101と支持部材102の間に転写体101を保持するために両面テープを用いた。また転写体101の弾性層と断熱層の間にも、弾性層を保持するために両面テープを用いた。
反応液付与装置103により付与される反応液は、以下組成のものを用い、付与量は1g/m2とした。
・レブリン酸:40.0部
・グリセリン:5.0部
・メガファックF444(商品名):1.0部(界面活性剤、DIC製)
・イオン交換水:54.0部
インクは以下のように調製した。
<インクの調製>
<樹脂粒子の調製>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ブチルメタクリレート18.0部、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))2.0部、及びn−ヘキサデカン2.0部を入れ、反応系に窒素ガスを導入し、0.5時間撹拌した。このフラスコに、乳化剤(商品名:NIKKOL BC15、日光ケミカルズ製)の6.0%水溶液78.0部を滴下して、0.5時間撹拌した。次いで、超音波照射機で超音波を3時間照射することで、混合物を乳化させた。その後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行った。反応系を25℃まで冷却した後、成分をろ過し、適量の純水を添加して、樹脂粒子1(固形分)の含有量が20.0%である樹脂粒子1の水分散液を調製した。
<樹脂水溶液の調製>
酸価が150mgKOH/gで、重量平均分子量が8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(樹脂1)を準備した。20.0部の樹脂1を、その酸価と等モルの水酸化カリウムで中和し、適量の純水を加え、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂1の水溶液を調製した。
(顔料分散液の調製)
顔料(カーボンブラック)10.0部、樹脂1の水溶液15.0部、及び純水75.0部を混合した。この混合物と、0.3mm径のジルコニアビーズ200部を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れて、水冷しながら5時間分散させた。その後、遠心分離して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤(樹脂1)の含有量が3.0%の顔料分散液Kを調製した。
(インクの調製)
下記に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。アセチレノールE100は川研ファインケミカル製の界面活性剤である。
(インクの組成)
・顔料分散液K:20.0質量%
・樹脂粒子1の水分散液:50.0質量%
・樹脂1の水溶液:5.0質量%
・グリセリン:5.0質量%
・ジエチレングリコール:7.0質量%
・アセチレノールE100:0.5質量%
・純粋:12.5質量%
インク付与装置104として、電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェットヘッドを有するインクジェットデバイスを使用し、インク付与量は20g/m2とした。
<液吸収部材>
液吸収部材は、多孔質体を3層積層したものを用いた。インク画像に接触する側の第一層には、平均孔径0.3μmの多孔質PTFEを用いた。第一の支持層として、ポリオレフィン製の多孔質膜を用いた。また第二の支持層としてポリフェニルサルファイド製の多孔質膜を用いた。これらを熱ラミネートにより積層し、液吸収部材として用いた。この液吸収部材をエタノール95部、水5部からなる処理液に浸漬させ、浸透させた後、水100部からなる液に置換し、その後液体除去に使用した。また、液吸収手段における押圧部材3105bはローラ直径φ200mmのものを用いた。
液吸収部材105aは液吸収部材を張架しつつ搬送する搬送ローラ105c、105d、105eによって、転写体101の移動速度と同等の速度になるよう調節されている。また、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108は記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送される。本実施例において、搬送速度は0.6m/sとし、記録媒体108としてオーロラコート紙(商品名、日本製紙株式会社製・坪量104g/m2)を用いた。
インクの付与量の異なる領域を含む画質チェック用のテストパターンを印字することで、画像流れによる画質劣化を未然に防止することができる。本実施例の構成においては、インクの付与量が20g/m2の条件で、多孔質体のガーレ値が8secを超えると画像流れが生じた。またインクの付与量が25g/m2の条件で、多孔質体のガーレ値が7.5secを超えると画像流れが生じることがわかった。なお、このテストパターンは、画像流れの発生をチェックできる画像パターンを有する。
画像流れの評価は画像センサにて行い、入力された画像データと実際に印字されたインク画像とを比較することで画像流れの有無を判断する。転写体に画像を形成し、その後液体除去工程と記録媒体への転写工程を経る転写型インクジェット記録装置においては、液体除去工程後の転写体上で行ってもよいし、記録媒体への転写後の画像上で行ってもよい。また転写体を用いない直接描画型のインクジェット記録装置においては、画像を形成した記録媒体所で行えばよい。さらにまた、画像センサを用いる代わりに、オペレータの視認による評価でも可能である。
以上の関係より、インク付与量が25g/m2の画像を含む画質チェック用のテストパターンにおいて画像流れが生じていない状態においては、インク最大付与量が25g/m2までの任意の画像を印字する。液吸収部材の劣化により、インク付与量が25g/m2の領域に画像流れが生じ始めた場合には、インク最大付与量が25g/m2未満の画像に制限して印刷を行う。印刷画像の制限は、メモリーに格納された印刷待ちの画像データのインク最大付与量に基づいて自動で行ってもよいし、画像流れの発生の危険性をユーザーに報知し、画像流れの生じないインク付与量の画像を選択するよう促してもよい。また、画像流れが生じればユーザーに液吸収部材の交換を促すサインを出すとなおよい。ユーザーへのサインはインクジェット記録装置に搭載した報知用のランプ(不図示)を点灯させることにより行う。
(実施例2)
本実施例の基本構成、動作は実施例1と同じである。
図9は、本実施例で用いる吸収部材105aの多孔質体に対し、繰り返し圧力を与えたときのガーレ値の測定結果(各シンボル■、▲、●の位置で示された測定値)および、式(1)によるフィッティング曲線(破線)である。当接圧(最大ピーク圧)は、0.5MPa、0.8MPa、1.5MPaの3水準であり、当接回数10000回までのガーレ値の変化の様子を示している。式(1)でのフィッティングにより決定した多孔質体の固有パラメータは、a=0.060、b=0.512、c=0.575、d=5.35であった。
転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ当接圧(最大ピーク圧)は0.75MPaである。液吸収部材クリーニング部材110aと液吸収部材105aとの間のニップ当接圧(最大ピーク圧)は0.15MPaである。処理液付与装置111において、オフセットローラ111bと液吸収部材105aとの間には、0.15MPaの当接圧(最大ピーク圧)が印加されている。保持液量調整部材112bと液吸収部材105aとの間のニップ当接圧(最大ピーク圧)は0.45MPaである。
多孔質体の固有パラメータa,b,c,dと、当接圧、当接回数を考慮し算出したガーレ値変化について図10に示す。横軸は液吸収部材105aが回転した回数である。液吸収部材105aの初期のガーレ値は5.2secであるが、液吸収部材105bと液吸収部材クリーニング部材110a、オフセットローラ111bおよび保持液量調整部材112bとの当接により、10万回転後にはガーレ値が約8.1secまで上昇することが分かった。
また一方で別の事前検討より、本実施例で用いた液吸収部材やインクなどの組み合わせの構成においては、液吸収部材105aのガーレ値が8secを上回ったあたりから、画像不良として視認できる程度に画像流れが顕著に表れ始めることが分かった。
以上のことより、画像流れによる画像不良を防止するために液吸収部材105aのガーレ値が8sec以下である必要がある。本実施形態においてはガーレ予測値7.5secを閾値とし、この閾値を超えた時点で液吸収部材用の報知ランプを点灯し、ユーザーに液吸収部材105aの交換を促すサインを出すことで、画像流れの発生を未然に防ぐことが可能となる。
また報知の方法は報知ランプ以外にも、報知用の液晶モニターを備え、そこに表示する方法でも良い。ガーレ値予測から7秒を超えるまでの予測枚数を表示し、画像流れが発生する前にユーザーに液吸収部材の交換を促す。
その他、画質不良の画像を印刷してしまうのを防止するために印刷動作を停止し、操作制御部などを利用して交換時期であることを報知してもよい。
また、本発明においては液吸収部材に付与される当接情報から通気性を予測するので、装置の立ち上げシーケンスや立ち下げシーケンスなど、通常印刷時とは異なる圧力付与条件下においても正確に通気性を予測することができる。立ち上げ、立ち下げシーケンスでは転写体101と液吸収部材105aのニップは解除した状態になるため、この間の当接情報にはカウントされない。また、メンテナンス時の他のモードにおいても、圧力付与条件を加味した当接情報をカウントすることで、正確な通気性予測が可能となる。
本実施例の基本構成、動作は実施例1と同じである。
図9は、本実施例で用いる吸収部材105aの多孔質体に対し、繰り返し圧力を与えたときのガーレ値の測定結果(各シンボル■、▲、●の位置で示された測定値)および、式(1)によるフィッティング曲線(破線)である。当接圧(最大ピーク圧)は、0.5MPa、0.8MPa、1.5MPaの3水準であり、当接回数10000回までのガーレ値の変化の様子を示している。式(1)でのフィッティングにより決定した多孔質体の固有パラメータは、a=0.060、b=0.512、c=0.575、d=5.35であった。
転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ当接圧(最大ピーク圧)は0.75MPaである。液吸収部材クリーニング部材110aと液吸収部材105aとの間のニップ当接圧(最大ピーク圧)は0.15MPaである。処理液付与装置111において、オフセットローラ111bと液吸収部材105aとの間には、0.15MPaの当接圧(最大ピーク圧)が印加されている。保持液量調整部材112bと液吸収部材105aとの間のニップ当接圧(最大ピーク圧)は0.45MPaである。
多孔質体の固有パラメータa,b,c,dと、当接圧、当接回数を考慮し算出したガーレ値変化について図10に示す。横軸は液吸収部材105aが回転した回数である。液吸収部材105aの初期のガーレ値は5.2secであるが、液吸収部材105bと液吸収部材クリーニング部材110a、オフセットローラ111bおよび保持液量調整部材112bとの当接により、10万回転後にはガーレ値が約8.1secまで上昇することが分かった。
また一方で別の事前検討より、本実施例で用いた液吸収部材やインクなどの組み合わせの構成においては、液吸収部材105aのガーレ値が8secを上回ったあたりから、画像不良として視認できる程度に画像流れが顕著に表れ始めることが分かった。
以上のことより、画像流れによる画像不良を防止するために液吸収部材105aのガーレ値が8sec以下である必要がある。本実施形態においてはガーレ予測値7.5secを閾値とし、この閾値を超えた時点で液吸収部材用の報知ランプを点灯し、ユーザーに液吸収部材105aの交換を促すサインを出すことで、画像流れの発生を未然に防ぐことが可能となる。
また報知の方法は報知ランプ以外にも、報知用の液晶モニターを備え、そこに表示する方法でも良い。ガーレ値予測から7秒を超えるまでの予測枚数を表示し、画像流れが発生する前にユーザーに液吸収部材の交換を促す。
その他、画質不良の画像を印刷してしまうのを防止するために印刷動作を停止し、操作制御部などを利用して交換時期であることを報知してもよい。
また、本発明においては液吸収部材に付与される当接情報から通気性を予測するので、装置の立ち上げシーケンスや立ち下げシーケンスなど、通常印刷時とは異なる圧力付与条件下においても正確に通気性を予測することができる。立ち上げ、立ち下げシーケンスでは転写体101と液吸収部材105aのニップは解除した状態になるため、この間の当接情報にはカウントされない。また、メンテナンス時の他のモードにおいても、圧力付与条件を加味した当接情報をカウントすることで、正確な通気性予測が可能となる。
(実施例3)
本実施例の基本構成、動作は実施例1と同じである。
液吸収部材105aは交換式であり、ガーレ値を予測するための固有パラメータが液吸収部材に添付されている。添付の方法は液吸収部材を収納する保管容器に記載してもよいし、液吸収部材に直接記載してもよい。
液吸収部材を新たに交換した際には、装置本体に固有パラメータを入力し、それまでの当接情報をリセットする。
これらにより、画像流れの発生を未然に防ぎ、また画像流れの生じた不良画像の印刷を未然に防ぐことが可能となる。
本実施例の基本構成、動作は実施例1と同じである。
液吸収部材105aは交換式であり、ガーレ値を予測するための固有パラメータが液吸収部材に添付されている。添付の方法は液吸収部材を収納する保管容器に記載してもよいし、液吸収部材に直接記載してもよい。
液吸収部材を新たに交換した際には、装置本体に固有パラメータを入力し、それまでの当接情報をリセットする。
これらにより、画像流れの発生を未然に防ぎ、また画像流れの生じた不良画像の印刷を未然に防ぐことが可能となる。
100 転写型インクジェット記録装置
101 転写体
102 支持部材
103 反応液付与装置
103a 反応液収容部
103b、c 反応液付与部材
104 インク付与装置
105 液吸収装置
105a 液吸収部材
105b 液吸収用の押圧部材
105c 張架ローラ
106 転写用の押圧部材
107 記録媒体搬送装置
108 記録媒体
101 転写体
102 支持部材
103 反応液付与装置
103a 反応液収容部
103b、c 反応液付与部材
104 インク付与装置
105 液吸収装置
105a 液吸収部材
105b 液吸収用の押圧部材
105c 張架ローラ
106 転写用の押圧部材
107 記録媒体搬送装置
108 記録媒体
Claims (21)
- 被吐出媒体に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と該色材を含むインク像を形成するインク像形成工程と、
液吸収部材の有する多孔質体の液吸収用の面を前記インク像に当接させて、前記インク像から前記水性液体成分の少なくとも一部を該多孔質体により吸収する液吸収処理を液吸収処理領域において行う液吸収工程と、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収領域に再送する搬送工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
画質検査用のテストパターンを形成し、前記液体吸収工程を経たテストパターンの画質を画質検出装置によって検出し、得られた検出結果により前記多孔質体の状態を判断する多孔質体チェック工程
を有することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記画質に関する検出結果から判断した前記多孔質体の状態に応じて前記インク像の形成条件を変更する工程を有する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記通気性チェック工程によって判断された前記多孔質体の状態に応じて前記多孔質体に関する処理を行う多孔質体処理工程を有する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記搬送工程により前記液体吸工程に繰り返し再送される前記多孔質体の液吸収用の面の前記インク像への当接回数と各当接において該多孔質体の液吸収用の面に付与される当接圧を含む当接情報を当接情報記憶部に格納する当接情報記憶工程と、
前記当接情報と前記多孔質体に関する固有パラメータから前記多孔質体の通気性の状態を判断する通気性チェック工程と、
前記多孔質体の通気性の状態から新たに形成可能なインク像量を判断するインク像量判断工程と、
を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。 - 前記多孔質体に関する固有パラメータは、あらかじめ前記多孔質体に繰り返し当接圧を付与して評価した通気性zに対し、当接回数をx、当接圧をyとして、x、yを変数としたときの多項式によるフィッティング係数である請求項4に記載のインクジェット記録方法。
- 前記多孔質体は交換式であり、前記交換用の多孔質体ごとに前記多孔質体の固有のパラメータ情報が添付されており、当接情報記憶部に格納された多孔質体に固有のパラメータ情報を前記多孔質体の交換ごとに更新する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記多孔質体に関する処理は、該多孔質体の交換タイミングを報知する報知処理である請求項2乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記多孔質体に関する処理は、画像形成動作を停止する処理である請求項2乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記被吐出媒体は、インク像を一時的に保持する転写体であり、該転写体から最終画像を形成するための記録媒体にインク像が転写される、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。 - 前記被吐出媒体は、最終画像を形成するための記録媒体であり、該記録媒体上で前記インク像が形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。 - 被吐出媒体に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と該色材を含むインク像を形成するインク像形成ユニットと、
前記インク像に当接される液吸収用の面を介して該インク像から前記水性液体成分の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材を液吸収処理領域に備える液吸収装置と、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収領域に再送する搬送装置と、
前記インク像形成ユニット、液吸収装置及び搬送装置の動作を制御する装置動作制御部と
を有するインクジェット記録装置であって、
前記液吸収装置での液吸収処理を経たインク像の画質を検出する画質検出装置と、前記装置動作制御部に画質チェック用のテストパターンの形成と、前記液吸収装置での液吸収処理を経たテストパターンの画質の前記画質検出装置での検出を指示し、該画質検出装置において得られた検出結果により前記多孔質体の状態を判断する多孔質体状態判断部を
有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記装置動作制御部において、前記画質に関する検出結果から判断した前記多孔質体の状態に応じて前記インク像の形成条件の変更が可能である請求項11に記載のインクジェット記録装置。
- 前記通気性状態判断部によって判断された前記多孔質体の状態に応じて前記多孔質体に関する処理を選択して指示する多孔質体処理制御部を有する請求項11または12に記載のインクジェット記録装置。
- 前記搬送装置により前記液吸収処理領域に繰り返し再送される前記多孔質体の液吸収用の面の前記インク像への当接回数と各当接において該多孔質体の液吸収用の面に付与される当接圧を含む当接情報を格納する当接情報記憶部と、
前記当接情報と前記多孔質体に関する固有パラメータから前記多孔質体の通気性の状態を判断する通気性状態判断部と、
前記多孔質体の通気性の状態から新たに形成可能なインク像量を判断するインク像量判断部と、
を有する請求項11乃至13のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記多孔質体に関する固有パラメータは、あらかじめ前記多孔質体に繰り返し当接圧を付与して評価した通気性zに対し、当接回数をx、当接圧をyとして、x、yを変数としたときの多項式によるフィッティング係数である請求項14に記載のインクジェット記録装置。
- 前記多孔質体は交換式であり、前記交換用の多孔質体ごとに前記多孔質体の固有のパラメータ情報が添付されており、当接情報記憶部に格納された多孔質体に固有のパラメータ情報を前記多孔質体の交換ごとに更新するための該パラメータの入力部を有する請求項14または15に記載のインクジェット記録装置。
- 前記多孔質体に関する処理は、該多孔質体の交換タイミングを報知する報知処理である請求項13乃至16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記多孔質体に関する処理は、インク像形成動作を停止する処理である請求項13乃至17のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記被吐出媒体は、インク像を一時的に保持する転写体であり、前記液吸収装置での液吸収処理を経たインク像を、最終画像を形成するために記録媒体に転写する転写ユニットを有する請求項11乃至18のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記被吐出媒体は、最終画像を形成するための記録媒体であり、該記録媒体上に前記インク像が形成される請求項11乃至18のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 被吐出媒体に、インク増粘用の反応液と、水性液媒体と色材を含むインクとを付与して、水性液体成分と該色材を含むインク像を形成するインク像形成ユニットと、
前記インク像に当接される液吸収用の面を介して該インク像から前記水性液体成分の少なくとも一部を吸収し、インク像を形成するインクを濃縮するための多孔質体を有する液吸収部材を液吸収処理領域に備える液吸収装置と、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収領域に再送する搬送装置と、
前記インク像形成ユニット、液吸収装置及び搬送装置の動作を制御する装置動作制御部と
を有するインクジェット記録装置であって、
前記液吸収装置での液吸収処理を経たインク像の画質を検出する画質検出装置と、前記装置動作制御部に画質チェック用のテストパターンの形成と、前記液吸収装置での液吸収処理を経たテストパターンの画質の前記画質検出装置での検出を指示し、該画質検出装置において得られた検出結果により前記多孔質体の状態を判断する多孔質体状態判断部を
有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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