JP6849450B2 - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
そこで、インク中の液体成分を速やかに除去するため、記録媒体を温風や赤外線等の手段を用いて乾燥する方法や、転写体上で画像を形成し、その後転写体上の画像に含まれる液体成分を熱エネルギー等により乾燥した後、紙等の記録媒体に画像を転写する方法がある。
さらに、転写体上の画像に含まれる液体成分を除去する手段として、熱エネルギーを用いずに、ローラ状の多孔質体をインク画像と接触させてインク画像から液体成分を吸収して除去する方法が提案されている(特許文献1)。
また、多孔質体を吸収体として用い、インク画像から液体を除去した後に、多孔質体からポンプ等により液体を吸引し回収する工程において、液体回収前に別の液体を吸収体へ付与することで、空気抜けの発生を防止する構成が提案されている(特許文献2)。
特許文献2には、空抜け防止用の液体の付与により多孔質体からの液体の回収効率を向上させる点について開示されているが、多孔質体内部の液体分の増粘により上述した問題が発生する場合がある点に関する記載や示唆はない。
本発明はこのような背景技術を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、形成された画像からの液体分の吸収に多孔質体を繰り返し用いた場合においても、画像流れを抑制し、高画質な画像形成を可能とするインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することである。
被記録体に、水性液媒体と色材を含むインクと、前記インクと反応し前記インクを増粘させるための反応液とを付与し、水性液体成分と該色材を含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、
を備えるインクジェット記録装置であって、
前記液吸収部材による前記第一の画像からの液吸収処理を行う液吸収処理領域への前記液吸収部材の搬入および搬出を繰り返し行う搬送ユニットと、
前記液吸収処理領域から搬出される前記液吸収部材に前記インク及び前記反応液よりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与部と、
前記液吸収部材に対して前記回復液付与部による前記回復液の付与を間欠的に行う回復液付与制御部と、
を備えることを特徴とする。
本発明にかかるインクジェット記録装置の他の態様は、
被記録体に、水性液媒体と色材を含むインクと、前記インクと反応し前記インクを増粘させるための反応液とを付与し、水性液体成分と該色材を含むインク像を形成する画像形成ユニットと、
前記インク像から前記水性液体成分の少なくとも一部を吸収することによって前記インク像を構成するインクを濃縮する多孔質体を有する液吸収部材と、
を備えるインクジェット記録装置であって、
前記液吸収部材による前記インク像からの液吸収処理を行う液吸収処理領域への前記液吸収部材の搬入および搬出を繰り返し行う搬送ユニットと、
前記液吸収処理領域から搬出される前記液吸収部材に前記インク及び前記反応液よりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与部と、
前記液吸収部材に対して前記回復液付与部による前記回復液の付与を間欠的に行う回復液付与制御部と、
を備えることを特徴とする。
本発明にかかるインクジェット記録装置の他の態様は、
被記録体に、水性液媒体と色材を含むインクと、前記インクと反応し前記インクを増粘させるための反応液とを付与し、水性液体成分と該色材を含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、
を備え、
前記被記録体は、前記第一の画像と、前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部が除去された第二の画像とを一時的に保持する転写体であり、該転写体上の前記第二の画像が最終画像を形成するための記録媒体に転写される、インクジェット記録装置であって、
前記液吸収部材による前記第一の画像からの液吸収処理を行う液吸収処理領域への前記液吸収部材の搬入および搬出を繰り返し行う搬送ユニットと、
前記液吸収処理領域から搬出される前記液吸収部材に前記インク及び前記反応液よりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与部と、
前記液吸収部材に対して前記回復液付与部による前記回復液の付与の有無を制御する回復液付与制御部と、
を備えることを特徴とする。
被記録体に、水性液媒体と色材を含むインクと、前記インクと反応し前記インクを増粘させるための反応液とを付与して、水性液体成分と該色材を含む第一の画像を形成する画像形成工程と、
液吸収部材の有する多孔質体の第一の面を、前記第一の画像に接触させて、前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部を該多孔質体により吸収する液吸収処理を液吸収処理領域において行う液吸収工程と、
を有するインクジェット記録方法であって、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収処理領域に再送する搬送工程と、
回復液付与部において、前記再送前の多孔質体の第一の面に、前記インク及び前記反応液よりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与工程と、
を有し、
前記液吸収工程における前記液吸収処理に前記多孔質体を繰り返し使用し、前記回復液付与工程は、前記多孔質体の繰り返し使用に対して間欠的に行うことを特徴とする。
本発明にかかるインクジェット記録方法の他の態様は、
被記録体に、水性液媒体と色材を含むインクと、前記インクと反応し前記インクを増粘させるための反応液とを付与して、水性液体成分と該色材を含む第一の画像を形成する画像形成工程と、
液吸収部材の有する多孔質体の第一の面を、前記第一の画像に接触させて、前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部を該多孔質体により吸収する液吸収処理を液吸収処理領域において行う液吸収工程と、
を有し、
前記被記録体は、前記第一の画像と、前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部が除去された第二の画像とを一時的に保持する転写体であり、該転写体上の前記第二の画像が最終画像を形成するための記録媒体に転写される、インクジェット記録方法であって、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収処理領域に再送する搬送工程と、
回復液付与部において、前記再送前の多孔質体の第一の面に、前記インク及び前記反応液よりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与工程と、
前記回復液付与部における前記多孔質体への回復液の付与の有無を制御する回復液付与制御工程と、
を有することを特徴とする。
液吸収部材は、水性液体成分の吸収性を有する多孔質体を有し、この多孔質体は第一の画像に接触する接触面としての第一の面を有する。この多孔質体の第一の面を介して第一の画像に含まれる水性液体成分の少なくとも一部が多孔質体に吸収される。
液吸収処理は、液吸収部材の有する多孔質体と第一の画像との接触を可能とする液体吸収処理領域において行われる。
本実施形態にかかるインクジェット記録方法は、液吸収処理領域から搬出された多孔質体を液吸収領域に再送する搬送工程と、回復液付与部において、再送前の多孔質体の第一の面に、反応液及びインクよりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与工程を更に有する。
画像形成ユニットは、色材定着促進用のインク増粘用の反応液を付与する反応液付与部と、水性液媒体と色材を含むインクを付与するインクジェット記録部とを有する。
液吸収部材による第一の画像からの液吸収処理は液吸収処理領域において行われ、液吸収処理領域において、液吸収部材と第一の画像との接触が可能となるように配置される。液吸収部材の液吸収処理領域への搬入、搬出及び再送は搬送ユニットにより行われ、再送前の液吸収部材の有する多孔質体に回復液を付与する回復液付与部が更に設けられている。
(1)湿潤液を収容部に収容し、収容部から湿潤液を多孔質体の第一の面に供給付与して湿潤処理を行う方法。
(2)被処理画像に含まれる水性液体成分に湿潤液としての機能を持たせることによって、第一の画像への多孔質体の第一の面の接触により湿潤処理を行う方法。
回復液付与工程は、湿潤液付与工程を兼ねる、すなわちこれらを同一工程とすることができる。
湿潤処理部の構成としては、以下の構成の少なくとも一方を用いることができる。
(A)湿潤液を収容する収容部と収容部から湿潤液を多孔質体の第一の面に供給付与する湿潤液付与部とを有する構成。
(B)第一の画像に含まれる水性液体成分に湿潤液としての機能を持たせ、第一の画像に接触した多孔質体の第一の面に対する第一の液体による湿潤処理が行われるように、被記録体の第一の画像が形成された領域が湿潤処理部を兼ねる構成。
更に、反応液とインクを用いて形成した第一の画像からの液体分の吸収処理に多孔質体を繰り返し利用した場合においても、インク及び反応液よりも粘度の低い回復液を再使用前の多孔質体に付与することで、多孔質体内に吸収された液体の増粘を抑制することができる。その結果、画像流れを防止して高画質での画像形成が可能となる。
画像形成ユニットは、好ましくは、1)反応液を被記録体上に付与する反応液付与部を構成する装置と、2)水性液媒体と色材を含むインクを被記録体上に付与するインクジェット記録部を構成する装置と、を有する。
液吸収処理対象としての第一の画像は、反応液とインクを、これらが少なくとも重複する領域を有するように被記録体に付与することによって形成される。反応液により被記録体上にインクとともに付与された色材の定着性が促進され、向上する。この色材の定着性の促進、向上は、被記録体に付与されたインクが流動性を有している初期状態から、反応液の作用によってインク自体のあるいはインク中の色材の流動性が低下して、初期状態と比較して増粘して流動し難い固定化された状態となることをいう。そのメカニズムについては後述する。
第一の画像は、反応液とインクの混合物を含んで形成される。インクには水を含む水性液媒体が含まれており、また、必要に応じて反応液にも水を含む水性液媒体が含まれている。第一の画像には、これらの水性液媒体から供給される水を含む水性液体成分が色材とともに含まれる。
インクを被記録体上に付与する装置としては、インクジェット記録デバイスが用いられる。
また、反応液は、インクと化学的または物理的に作用して、反応液及びインクの混合物を反応液及びインクのそれぞれよりも粘稠して色材の定着性を向上させる成分を含むことができる。反応液は、水性液媒体を含むことができる。水性液媒体は、少なくとも水を含み、必要に応じて水溶性有機溶媒や各種の添加剤を含む。
反応液及びインクの少なくとも一方には、水を第一の液体とした場合に、それ以外の第二の液体を含むことができる。第二の液体の揮発性の高低は問わないが、第一の液体よりも揮発性の高い液体であることが好ましい。
反応液付与装置は、反応液を被記録体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置による反応液の付与は、被記録体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することができる。
反応液は、インクを高粘度化する成分(インク高粘度化成分)を含有する。インクの高粘度化とは、インクを構成している成分の一部である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク粘度の上昇が認められることである。このインクの高粘度化には、インク粘度の上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂などのインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇を生じる場合も含まれる。インクを構成する成分の一部を凝集する方法として、水性インク中の顔料の分散安定性を低下させる反応液を用いることができる。このインク高粘度化成分は、被記録体上でのインク及び/又はインクを構成している成分の一部の流動性を低下せしめて、第一の画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制する効果がある。インクを高粘度化することを“インクを粘稠する”とも称する。このようなインク高粘度化成分として、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子などの公知のものを用いることができる。中でも、特に多価の金属イオン及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。尚、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は、水性液媒体として水や低揮発性の有機溶剤を適量含有することができる。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また本発明に適用される反応液に用いることのできる有機溶剤としては、特に限定されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、反応液は、界面活性剤や粘度調整剤を加えてその表面張力や粘度を適宜調整して用いることができる。用いられる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としては、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(製品名:アセチレノールE100、川研ファインケミカル株式会社製)、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(製品名:メガファックF444、DIC株式会社製、製品名:CapstoneFS−3100、The Chemours CompanyLLC製、製品名:ZonylFS3100、デュポン社製 等)のフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン付加物(製品名:BYK349、BYK社製)のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
なお、インクに反応液を作用させて得られる水性液体成分を湿潤液として利用することができる。この場合には、この混合物の撥水性の多孔質体の第一の面に対する接触角が90°未満となるように、インク及び/または反応液の組成を調整する。この混合物の接触角の調整は、インク及び/または反応液に添加する界面活性剤の種類や添加量の選択によって行うことができる。
インクを付与するインク付与装置としてインクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本発明では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は、画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与することにより行われる。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本実施形態では各インクドットの質量に付与個数(吐出数)を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m2)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体分を除去する観点より、被記録体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm2以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
本発明のインクジェット記録装置は、被記録体上に各色のインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インクジェット記録装置は上記4種類のインクを被記録体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有する。
また、インク付与装置は、色材を含有しないインク(クリアインク)を吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。
(色材)
本発明に適用されるインクに含有される色材として、顔料、又は染料と顔料との混合物を用いることができる。色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料の具体例としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、食用染料などを挙げることができ、アニオン性基を有する染料を用いることができる。染料骨格の具体例としては、アゾ骨格、トリフェニルメタン骨格、フタロシアニン骨格、アザフタロシアニン骨格、キサンテン骨格、アントラピリドン骨格などが挙げられる。
インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
顔料を分散させる分散剤としては、インクジェット用インクに用いられる公知の分散剤を使用することができる。中でも本発明の態様においては構造中に親水性部と撥水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと撥水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、公知のものが好適に用いられる。具体的には、撥水性モノマーとしては、スチレン及びその他のスチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。
該分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、該分散剤の重量平均分子量は1000以上50000以下であることが好ましい。尚、顔料と分散剤との質量比(顔料:分散剤)としては1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも好適である。
本発明に適用されるインクは、色材を有しない各種微粒子を含有させて用いることができる。中でも樹脂微粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり好適である。
本発明に用いることのできる樹脂微粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、または、これらの単独重合物を生成するためのモノマーを複数組み合わせて重合した共重合物が挙げられる。該樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。またインク中における樹脂微粒子の量は、インク全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上40質量%以下である。
さらに本発明の態様においては、該樹脂微粒子が液中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定されないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種共重合させた樹脂を用いて分散させた、いわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体が好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させた、いわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に本発明に好適に用いることができる。ここでいう乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好ましい。該界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ界面活性剤が好ましい。
本発明の態様に用いる樹脂微粒子分散体は、10nm以上1000nm以下の分散粒径を有することが好ましく、50nm以上500nm以下の分散粒径を有することがより好ましく、100nm以上500nm以下の分散粒径を有することが更に好ましい。
また本発明の態様に用いる樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。該添加剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、青色染料(ブルーイング剤)、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
本発明に用いることのできるインクは界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物(製品名:アセチレノ−ルE100、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の量は、インク全質量に対して0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
なお、先に反応液の項で述べた通り、インクに反応液を作用させて得られる水性液体成分の多孔質体の第一の面に対する接触角が90°未満となるように、インク及び/または反応液の組成を調整することができる。この混合物の接触角の調整は、インク及び/または反応液に添加する界面活性剤の種類や添加量の選択によって行うことができる。
インクとしては、液媒体として少なくとも水を含む水性インクが用いられる。水性インクとしては、色材として少なくとも顔料を含む水性顔料インクを用いることができる。
液媒体は更に、必要に応じて水溶性有機溶剤を含むことができる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含有量は、インク全質量に対して30質量%以上97質量%以下であることが好ましい。
また用いる水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、エタノール、メタノール、等が挙げられる。もちろん、これらの中から選択した2種類以上のものを混合して用いることもできる。
また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、インク全質量に対して3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
本発明に用いることのできるインクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
本発明では、第一の画像から水性液体成分の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させることで吸収し、第一の画像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材の第一の画像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。
多孔質体は、インクの色材の付着を抑制するため、孔径は小さいことが好ましく、少なくとも第一の画像と接触する側(第一の面)の多孔質体の孔径は、1μm以下であることが好ましい。なお、本発明において孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等により測定可能である。
また、均一に高い通気性とするために多孔質体の厚みを薄くすることが好ましい。通気性はJIS P8117で規定されるガーレ値で示すことができ、ガーレ値は10秒以下であることが好ましい。多孔質体の形状としては、特に制限されないが、ローラ形状、ベルト形状等が挙げられる。
但し、多孔質体を薄くすると、液体成分を吸収するために必要な容量を十分に確保できない場合があるため、多孔質体を多層構成とすることが可能である。また、液吸収部材は、被記録体上の画像と接触する層が多孔質体であればよく、被記録体上の画像と接触しない層は多孔質体でなくてもよい。
また、多孔質体の製法については特に制限は無く、従来から広く用いられている製法が適用できる。一例として特許第1114482号明細書に記載のポリテトラフルオロエチレンを含有する樹脂を2軸延伸する事により得られる多孔質体の製法が挙げられる。
本発明において、多孔質体形成用の材料は特に限定されることはなく、水に対する接触角が90°未満の親水性材料と、水に対する接触角が90°以上の撥水性材料のいずれも使用することができる。
親水性材料の場合、水に対する接触角が40°以下であることがより好ましい。第一の層が親水性材料で構成されている場合、毛管力により水性液体成分、特に水を吸い上げる効果がある。
親水性材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)など)、ポリウレタン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)等が挙げられる。
多孔質体は第一の画像に含まれる色材との親和性を低くするため、撥水性を有することが好ましい。撥水性の多孔質体は、純水との接触角は90°以上であることが好ましい。本発明者らの鋭意検討の結果、純水との接触角が90°以上である多孔質体を用いることで、多孔質体へのインクの色材の付着を抑制できることが分かった。本明細書における接触角とは、測定液体を対象物に滴下し、その液滴が対象物に接している部分での対象物表面と液滴の接線とがなす角度のことである。測定の技法にはいくつか種類があるが、本発明者はJIS R3257の「6.静滴法」に記載の技法に準拠して撥水性の測定を行った。
また、撥水性の多孔質体の材質については、純水との接触角は90°以上であれば特に限定されることはないが、撥水性樹脂からなるものが好ましい。更に、撥水性樹脂は、フッ素樹脂であることが好ましい。フッ素樹脂としては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、複数の膜が積層された構成でもよい。これらの中では、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
次に、多孔質体を多層構成とする場合の実施形態について説明する。ここでは第一の画像に接触する側の第一の層、第一の層の第一の画像との接触面と反対の面に積層される層を第二の層として説明する。さらに多層の構成についても順次第一の層からの積層順で表記する。なお、本明細書において、第一の層を「吸収層」、第二の層以降を「支持層」ということがある。
色材の付着を抑制するため、及び、クリーニング性を高くするために、第一の層には上述した撥水性の多孔質体を用いることが好ましい。これらの樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、第一の層の中に複数の膜が積層された構成でもよい。
第一の層が撥水性材料で構成されている場合、毛管力により水性液体成分を吸い上げる効果が殆どなく、初めて画像と接触する際に水性液体成分の吸い上げに時間を要することがある。このため、第一の層中に第一の層との接触角が90°未満である湿潤液をしみ込ませることが好ましい。
湿潤液は、液吸収部材の第一の面に塗布法等により付与することで第一の層中にしみ込ませておくことができる。湿潤液は、水を含む液媒体に界面活性剤や第一の層との接触角が低い液体を混合して調製することが好ましい。多孔質中に含浸した湿潤液は、第一の画像から吸収された水性液体成分で徐々に置換されるため、徐々に第一の層の吸収効率が低下していく場合がある。このため、所定の回数毎に湿潤液の付与により湿潤液を液吸収部材の有する多孔質体の第一の面に塗布することが好ましい。
また、反応液及び/またはインクの組成を調整して、第一の画像に含まれる水性液体成分の第一の層の第一の面に対する接触角を90°未満としておくことによって、この混合物を湿潤液として利用することができる。この場合には、反応液及び/またはインクに、界面活性剤や撥水性多孔質体の第一の面に対する接触角の低い液体を混合することで、これらの混合物の接触角を調整することができる。
本発明において、第一の層の膜厚は、50μm以下であることが好ましい。膜厚は、30μm以下がより好ましい。本発明の実施例において、膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(ミツトヨ製)で任意の10点の膜厚を測定し、その平均値を算出することで得た。
第一の層は、公知の薄膜多孔質膜の製造方法により製造することができる。例えば、押出成形などの方法で樹脂材料のシート状物を得た後、所定の厚みに延伸することで得ることができる。また、押出成形時の材料にパラフィン等の可塑剤を添加し、延伸時に加熱などにより可塑剤を除去することで多孔質膜として得ることができる。孔径は添加する可塑剤の添加量、延伸倍率などを適宜調整することで調節することができる。
本発明において、第二の層は通気性をもつ層であることが好ましい。このような層は樹脂繊維の不織布でもよいし、織布でも良い。第二の層の材料としては、特に限定されないが、第一の層側へ吸収した液体が逆流しないように、第一の層に対して画像から吸収される水性液体成分との接触角が同等かそれよりも低い材料であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)などの単一素材、またはこれらの複合材料などから好ましく選択される。また、第二の層は第一の層よりも孔径の大きな層であることが好ましい。
本発明において、多層構造の多孔質体は3層以上の構成であってもよい。三層目(第三の層ともいう)以降の層としては剛性の観点から不織布が好ましい。材料としては第二の層と同様なものが用いられる。
液吸収部材には、上記の積層構造の多孔質体以外に、液吸収部材の側面を補強する補強部材を有してもよい。また、長尺のシート形状の多孔質体の長手方向端部を繋いでベルト状の部材とする際の接合部材を有してもよい。このような材料としては非孔質のテープ材などを用いることができ、画像と接触しない位置あるいは周期に配置すればよい。
第一の層と第二の層を積層して多孔質体を形成する方法は、特に限定されることはない。重ね合わせるだけでもよいし、接着剤ラミネートまたは熱ラミネートなどの方法を用いて互いに接着してもよい。通気性の観点から、本発明においては熱ラミネートが好ましい。また例えば、加熱により第一の層または第二の層の一部を溶融させて接着積層してもよい。また、ホットメルトパウダーのような融着材を第一の層と第二の層の間に介在させて加熱により互いに接着積層してもよい。第三の層以上を積層する場合は、一度に積層させてもよいし、順次積層させてもよく、積層順に関しては適宜選択される。
加熱工程では、加熱されたローラで多孔質体を挟み込んで加圧しながら、多孔質体を加熱するラミネート法が好ましい。
本発明のインクジェット記録装置としては、被記録体としての転写体上に第一の画像を形成し、液吸収部材による水性液体成分の吸収後の第二の画像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置と、被記録体としての記録媒体上に第一の画像を形成するインクジェット記録装置とが挙げられる。なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。
以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。
図1〜図3はそれぞれ、本実施形態の転写型インクジェット記録装置1〜3の概略構成の一例を示す模式図である。
転写型インクジェット記録装置1〜3は、第一の画像と、第一の画像から水性液体成分の少なくとも一部を吸収除去した第二の画像とを一時的に保持する転写体101を備えている。また、転写型インクジェット記録装置1〜3は、第二の画像を、画像を形成すべき紙などの記録媒体、すなわち目的とする用途に応じた最終画像を形成するための記録媒体上に転写する転写用の押圧部材106を備えている。
転写型インクジェット記録装置1〜3は、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上に反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上にインクを付与し転写体上で第一の画像を形成するインク付与装置104と、転写体上の第一の画像から液体成分を吸収する液吸収装置105と、記録媒体108を押圧することによって液体成分を除去した転写体上の第二の画像を紙などの記録媒体108上に転写する転写用の押圧部材106と、を有する。また、転写型インクジェット記録装置1〜3は、第二の画像を記録媒体108に転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。
支持部材102は、回転軸102aを中心として図1の矢印の方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動される。移動される転写体101上には、反応液付与装置103による反応液およびインク付与装置104によるインクが順次付与され、転写体101上に第一の画像が形成される。転写体101上に形成された第一の画像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。液吸収装置105の液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成された第一の画像はこの移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは、第一の画像から少なくとも水性液体成分を含む液体成分を除去する。この液吸収部材105aと接触した状態を経ることで、第一の画像に含まれる液体成分が除かれる。この接触した状態において、液吸収部材105aは所定の押圧力をもって第一の画像に押圧されることが、液吸収部材105aを効果的に機能させる点で好ましい。
液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、第一の画像から液体成分が除去された後の第二の画像は、転写体101の移動により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体と接触する転写部に移動される。液体成分が除去された後の第二の画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が記録媒体108を押圧することによって、記録媒体上に画像(インク像)が転写される。記録媒体108上に転写された転写後インク像は第二の画像の反転画像である。以降の説明では、上述した第一の画像(液除去前インク像)、第二の画像(液除去後インク像)とは別に、この転写後インク像を第三の画像ということがある。
なお、転写体上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、非画像領域(非インク像形成領域)には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは画像からのみならず、未反応の反応液とも接触(圧接)し、反応液の液体成分も併せて転写体101の表面上から除去している。したがって、以上では、画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。例えば、第一の画像とともに第一の画像の外側領域に付与された反応液中の液体成分を除去することも可能である。なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
また、上述したクリアインクが第一の画像に含まれている場合においても、液吸収処理によるインクの濃縮を行うことができる。例えば、転写体101上に付与された色材を含有するカラーインクの上にクリアインクが付与された場合、第一の画像の表面には全面的にクリアインクが存在する、若しくは、第一の画像の表面の一箇所または複数箇所にクリアインクが部分的に存在し、他の箇所はカラーインクが存在する。第一の画像において、カラーインク上にクリアインクが存在している箇所では、多孔質体が第一の画像の表面のクリアインクの液体成分を吸収し、クリアインクの液体成分が移動する。それに伴ってカラーインク中の液体成分が多孔質体側へ移動することで、カラーインク中の液体成分が吸収される。一方、第一の画像の表面にクリアインクの領域とカラーインクの領域が存在している箇所では、カラーインク及びクリアインクのそれぞれの液体成分が多孔質体側へ移動することで液体成分が吸収される。なお、このクリアインクには、転写体101から記録媒体への画像の転写性を向上させるための成分を多く含ませておいてもよい。例えばカラーインクよりも加熱により記録媒体への粘着性が高くなる成分の含有率を高くしておくことが挙げられる。
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は上記の材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
本実施形態の各インクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cとを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
本実施形態の各インクジェット記録装置は、反応液を付与された転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。反応液とインクとが混合されることで第一の画像が形成され、次の液吸収装置105により第一の画像から液体成分が吸収される。
本実施形態において、液吸収装置105は、液吸収部材105a、および、液吸収部材105aを転写体101上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。
押圧部材105bが作動して液吸収部材105aの第二の面を押圧することでその第一の面を転写体101の外周表面に接触させることにより形成されるニップ部を第一の画像を通過させることにより、第一の画像からの液吸収処理を行うことができる。転写体101の外周表面に対して液吸収部材105aの押圧接触を可能とする領域を液吸収処理領域として用いる。
押圧部材105の転写体101に対する位置は、位置制御機構(不図示)によって調整でき、例えば、図1〜図3に示す矢印A方向に往復移動可能に構成し、液吸収処理が必要とされるタイミングで液吸収部材105aを転写体101の外周面に接触させ、また、この外周面から離間させることができる。
なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図1に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。
本発明において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。
また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有していてもよい。図1において、105c、105d、105eは張架部材としての張架ローラである。これらのローラ及びこれらのローラに張架されたベルト形状の液吸収部材105aにより、第一の画像からの液吸収処理を行う多孔質体を搬送する搬送ユニットが構成されている。この搬送ユニットにより、多孔質体の液吸収処理領域への搬入、搬出及び再送を行うことができる。
図1〜図3において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。
液吸収装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによって第一の画像に押圧することで、第一の画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、第一の画像から液体成分を除去する。第一の画像中の液体成分を除去する方法として、液吸収部材を押圧する本方式に加え、その他従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。
湿潤液中の界面活性剤の曇点未満とする場合における多孔質体の第一の面と第一の画像の接触時における温度としては、5℃〜60℃の範囲から選択することが好ましい。
多孔質体の第一の面と第一の画像の接触時の温度制御は、加熱装置、及び必要に応じて設置する冷却装置等を含む温度制御装置を有する温度制御部を、インクジェット記録装置の構成に応じて配置することによって行うことができる。例えば、図2及び図3に示す押圧部材105bの内部、あるいはその外部の近傍に温度制御装置を配置して、これらの接触時の温度制御を行うことができる。なお、温度制御部に組み込む加熱装置及び冷却装置は、特に限定されず、公知の加熱装置や冷却装置を用いることができる。
(前処理)
液吸収装置105には、必要に応じて、液吸収処理領域への搬入前の液吸収部材の有する多孔質体に湿潤液を付与する湿潤液付与部を構成する湿潤液付与装置を設けることができる。
撥水性を有する多孔質体を用いた場合には、多孔質体が第一の画像に接触する前に、多孔質体との接触角が90°未満である湿潤液を付与する湿潤液付与装置によって前処理を施すことができる。
湿潤液は、多孔質体の第一の面との接触角が90°未満であり、多孔質体に目的とする液体吸収性を得ることができるものであれば特に限定されることはない。水性液媒体、例えば、水、あるいは水と水溶性有機溶媒との混合物を含有し、界面活性剤を加えてその表面張力を適宜調整して用いることができる。この湿潤液の調製に用いられる材料としては特に制限はないが、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくとも1種を用いることが好ましい。
具体的に用いられる界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤のF―444(製品名、DIC社製)、ZonylFS3100(製品名、デュポン社製)、CapstoneFS-3100(製品名、The Chemours CompanyLLC)やシリコーン系界面活性剤のBYK349(製品名、BYK社製)等が挙げられる。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いる事ができる。
また、多孔質体への湿潤液の付与方法は浸漬、塗布、液滴下など、特に限定されないが、湿潤液の安定的な付与や装置内での高速付与等のため、ローラ加圧方式の塗布法であることが好ましい。
図2では、湿潤液付与部材10a、10bとしての湿潤液が入ったチャンバー(湿潤液収容部)とオフセットローラ(湿潤液付与用の部材)との組み合わせによる湿潤液付与装置10が図示されている。
また、本発明において、湿潤液の付与のタイミングは特に限定されることはない。ドラム状や無端ウェブ状の液吸収部材を順次周回搬送して前処理を行う場合には、1周毎に湿潤液を付与しても良いし、数周に一度湿潤液を付与する等、適宜湿潤液の付与タイミングを制御するようにしても良い。湿潤液付与部材はモータやカム機構、エアーシリンダを用いて昇降する構成とし、液吸収部材に対して接離できるようにしても良い。
図2及び図3に示す実施形態においては、液吸収部材105aを第一の画像に接触させる前に、液吸収部材の多孔質体に湿潤液を付与する湿潤液付与装置10、11によって前処理としての湿潤液を施すことができる。
液吸収部材105aに対して湿潤液を付与する位置への移動と液吸収部材105aから離間する動作、例えば図示する矢印C方向の往復移動が、必要とされるタイミングで可能となるように、湿潤液付与装置を設置することができる。例えば、昇降用エアーシリンダ(不図示)により昇降可能とした昇降ステージ(不図示)に湿潤液付与装置を配置した構成により、上述する往復移動を行うことができる。
湿潤液の付与圧は、特に限定されることはないが、0.981N/cm2(0.1kgf/cm2)以上であれば湿潤液の安定的な付与や装置内で高速に付与することができるため好ましい。また、圧力は98.07N/cm2(10kgf/cm2)以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。
本発明では、液吸収部材105aの有する多孔質体を繰り返し第一の画像に接触する間に、液吸収部材105aに対しインク、反応液より粘度の低い回復液を多孔質体に付与する回復液付与装置110が設けられる。
本発明者の検討によれば、多孔質体を繰り返し液吸収処理に使用している間に、吸収された液体分が液吸収部材105a内部で乾燥、増粘することで、液吸収部材105a内部での流抵抗が高くなり、画像流れが発生する場合があるという課題が見出された。
本発明は、上記課題に対し、繰り返し使用の間に回復液を液吸収部材105aに付与することにより、多孔質体内部の液体分の増粘を抑制し、画像流れを抑制するものである。
本発明に適用される回復液の付与方法としては、従来から知られている各種手法を適宜用いる事ができる。例としてはインクジェット方式を用いたものや、ダイコーティング、ブレードコーティング、グラビアローラ、またこれらにオフセットローラを組み合わせたものなどが挙げられる。
図1及び図2では、回復液付与部材110a、110bとして回復液が入ったチャンバー(回復液収容部)とオフセットローラ(回復液付与用の部材)との組み合わせによる回復液付与部を構成する回復液付与装置110が図示されている。
回復液は、水を主成分として調製することができ、更に水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いる事ができる。また、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレノ−ルE100(川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
回復液は、インクの成分から色材を除いた成分を用い、その粘度を所定の値に調整する方法により調製することもできる。この場合には、先にインクに関する「(水及び水溶性有機溶剤)」及び「(その他添加剤)」の項において説明した各種材料を用いることができる。
回復液はインク、反応液に対し、低い粘度を有する。低い粘度であることにより、回復液付与後の液体が低粘度化しやすくなり、液吸収時の流抵抗が低くなることで、画像流れの発生を効率的に抑制することが可能となる。ここで、インク、反応液、回復液の粘度とは乾燥前の粘度である。インク、反応液に対し回復液の粘度は0.3mPa・s以上低いことが好ましく、0.6mPa・s以上低いことがより好ましい。
さらに、回復液はインク、反応液に対し、水分濃度が高いことが好ましい。水分濃度が高いことにより、回復液を付与した際の、吸収体内部の残存溶剤と、付与した回復液との置換速度が高まる。従って、より低粘度化され、液体吸収時の流抵抗が低くなることで、画像流れの発生を効率的に抑制することが可能となる。
また、回復液は、反応液、インクと比較し、蒸気圧が低いことも好ましい。吸収体内部に付与された回復液が蒸発しにくいことにより、増粘されにくくなり、回復液の使用量を抑制することが可能となる。蒸気圧を低くする有機溶媒としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等があげられる。
また、より効率良い回復処理を行うための液吸収部材105aへの回復液付与のタイミングの制御は、回復液付与装置における多孔質体への回復液の付与の有無を制御する回復液付与制御部により指示される回復液付与制御工程により行うことができる。
回復液の付与の有無を制御するための情報としては、以下の各情報の少なくとも1種を用い、必要最低限の回復液付与量とすることが好ましい。
(A)試運転において得られる、効果的な回復処理が可能である回復液付与のタイミング、例えば前回回復液を付与した時間から次回の回復液を付与する時間までの経過時間。
(B)多孔質体中の液体分の粘度かつ/または液体量の予測値。
(C)環境情報取得装置により得られる温度かつ/または湿度を含む環境情報。
(D)経過時間取得装置により得られる回復液付与工程が完了した後の液吸収工程までの経過時間。
情報(A)を利用することにより、ある一定時間毎に回復液を付与する制御を行うことができる。
情報(B)は、付与したインク、反応液、回復液の初期粘度と付与量、および経過時間等の情報より得ることができる。
温度及び/または湿度を検知し、その情報の取り出しが可能な、公知の検出装置を用いて取得した情報(C)の利用により、多孔質体内部の液体分の粘度増加の予測を、装置内部の温度かつ/または湿度を把握しつつ行うことが、より好ましい。このように温湿度を把握することで、粘度増加をより正確に予測することが可能となり、より必要最低限の回復液付与量とすることが可能となる。
また、一定時間以上回復液を付与しなかった場合は、回復液を付与せずに液吸収処理を行うと画像流れが発生し易くなる場合がある。このような状態の多孔質体については、情報(D)を利用することで、押圧部材105aにより押圧せずに液吸収処理領域をそのまま、すなわち未使用の状態で通過させ、一度回復液を付与してから再使用することが好ましい。この未使用状態としての液吸収部材の液吸収処理領域の通過は、例えば、液吸収部材の搬送装置による通過搬送により行うことができる。
このような液吸収処理領域での空運転は、押圧部材105aの位置及び液吸収部材105aの搬送タイミングを制御する制御部により指示することができる。
また、回復液は液吸収部材105aの前処理に用いられるものと同じ液体を用いることも、装置が簡易化されるため好ましい。
さらに、液吸収装置105は、画像だけでなく非画像部からも液体成分である反応液を除去することができる。また、本発明で使用される回復液付与部で使用される回復液は、転写体上の非画像部に残る反応液の除去を促進する効果も有する。転写体上の反応液は、反応液付与工程から、反応液の使用溶剤の乾燥により粘度が増加していき、反応液によっては転写体上に反応液が多量に残存する。詳しい原理は不明であるが、液吸収部材に含まれる液体分が、液吸収部材の押圧工程入口付近で多孔質体から絞りだされ、転写体上の反応液に付与される場合がある。回復液は、反応液より低粘度のため、回復液が付与された多孔質体内の液体分は低粘度化しており、この多孔質内の低粘度化された液体分が転写体上に滲み出して付与される。その結果、転写体上の反応液を低粘度化しながら、液吸収部材の有する多孔質体の押圧時の液吸収流抵抗が小さくなるために、非画像部の反応液除去をも促進しているものと推察される。
また、回復液付与装置は、図3に示すインクジェット記録装置3のように、前述した湿潤液付与装置と兼ねることも好ましい。その際、回復液と湿潤液の要件を同時に満たす液体を用いる必要があり、インク、反応液に対し、低い粘度であり、かつ液吸収部材との接触角が90°未満である。本構成とすることにより、装置を単純化でき、低コスト化が可能となる。
転写体上の画像に対して押圧する多孔質体の圧力が2.94N/cm2(0.3kgf/cm2)以上であれば、第一の画像中の液体成分をより短時間に固液分離でき、第一の画像中から液体成分を除去できるため好ましい。また、圧力は98.07N/cm2(10kgf/cm2)以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。尚、本発明における多孔質体の第一の画像に対する接触圧力とは、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(製品名:I−SCAN、新田株式会社製)により面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割って、値を算出した。
第一の画像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、第一の画像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms(ミリ秒)以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被記録体の移動方向における圧力感知幅を、被記録体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。
このようにして、転写体101上には、第一の画像から液体成分が吸収され、液体分の減少した第二の画像が形成される。第二の画像は次に転写部において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
本実施形態では、第二の画像と記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108とが接触している間に、転写用の押圧部材106が記録媒体108を押圧することによって、記録媒体108上に画像(インク像)が転写される。転写体101上の第一の画像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は、記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧する時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms以上100ms以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧する時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(製品名:I−SCAN、新田株式会社製)により面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割って、値を算出したものである。
また、転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が9.8N/cm2(1kgf/cm2)以上294.2N/cm2(30kgf/cm2)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器により面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割って、値を算出したものである。
転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクが樹脂成分を含む場合には、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上の第二の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱装置を備える態様が好ましい。
押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図5は、図1〜図3に示す転写型インクジェット記録装置1〜3における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。
図5において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図6は、図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。
401はプリンタ全体を制御するCPU、402はCPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。410は液付与部の制御部であり、回復液付与装置の昇降用エアーシリンダ(不図示)を駆動するための回復液付与装置の昇降制御部、すなわち回復液付与制御部として利用することができる。制御部410はASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。
なお、図2及び図3に示す回復液付与装置及び湿潤液付与装置についても制御部410により制御することができる。
本発明における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被記録体は画像を形成すべき記録媒体である。
図4は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較して、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の手段を有する。
したがって、記録媒体208に反応液を付与する、反応液収容部203a、反応液付与部材203b、203cを有する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。記録媒体208上の第一の画像に接触する液吸収部材205aにより、第一の画像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205についても同様に、説明を省略する。
なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は、液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収部材205aおよび押圧部材205bの形状については特に制限がなく、転写型インクジェット記録装置で使用可能な液吸収部材および押圧部材と同様の形状のものを用いることができる。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図4において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は図4の5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与するインク付与部、および、液吸収部材205aを記録媒体上の第一の画像と接触させて液体成分を除去する液体成分除去部と対向する位置に、記録媒体を下方より支持する不図示の記録媒体支持部材が設けられていてもよい。
図4では、回復液付与部材210a、210bとして、チャンバーとオフセットローラとの組み合わせによる回復液付与装置210を図示する。
また、図示はしないが、図2の転写型インクジェット記録装置2において示したように、先に説明した湿潤液付与装置を別途有することも好ましい。さらに図3の転写型インクジェット記録装置4において示したように、湿潤液付与装置が回復液付与装置を兼ねることも好ましい。
本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置における搬送装置を用いることができる。例として、図2に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。
本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図4に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図1に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図5に示す通りである。
図7は、図4の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図6における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。
すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502はCPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。また、510は液付与部における付与量を制御する制御部である。制御部510はASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。この制御部510により、図4に示す回復液付与装置、及び必要に応じて追加で設けられる湿潤液付与装置の制御を、転写型インクジェット記録装置1〜3と同様に行うことができる。従って、制御部510を、回復液付与制御部または湿潤液付与制御部として利用することができる。
また、回復液を液吸収部材に付与するタイミングの制御に利用する情報としては、先に述べた情報(A)〜(D)に加えて、以下の情報を用いることができる。
(E)紙情報取得装置(記録媒体情報取得装置)により得られる紙(記録媒体)の種類に関する情報。
紙の種類に関する情報は、表面粗さ、坪量(重量)等のデータと予め有するライブラリデータとの比較、もしくはユーザインタフェースから入力された情報により取得することができる。
本実施例では図1に示す転写型インクジェット記録装置1を用いた。
本実施例における転写体101は接着剤により支持部材102に固定されている。
本実施例では、厚さ0.5mmのPETシートにシリコーンゴム(製品名:KE12、信越化学工業株式会社製)を0.3mmの厚さにコーティングしたシートを転写体の弾性層として用いた。さらにグリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流により得られる縮合物と光カチオン重合開始剤(製品名:SP150、ADEKA製)の混合物を作製した。弾性層表面の水の接触角を10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行い、上記の混合物を弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量5000mJ/cm2)、熱硬化(150℃、2時間)により成膜し、弾性体上に厚さ0.5μmの表面層を形成した転写体101を作製した。
本構成においては、なお説明の簡略のため図示を省略しているが、転写体101と支持部材102の間に転写体101を保持するために両面テープを用いた。
また、本構成においては、転写体101の表面は図示しない加熱装置により60℃としている。
反応液付与装置103により付与される反応液は、以下の組成のものを用い、付与量は1g/m2とした。
・クエン酸: 30.0部
・水酸化カリウム: 3.5部
・グリセリン: 5.0部
・界面活性剤(製品名:メガファックF444、DIC株式会社製):1.0部
・イオン交換水: 残部
上記反応液の粘度は3.5mPa・sであった。
インクは以下のように調製した。
カーボンブラック(製品名:モナク1100、キャボット製)10部、樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価150、重量平均分子量(Mw)8,000、樹脂の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの)15部、純水75部を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去した後、顔料の含有量が10.0質量%のブラック顔料分散体を得た。
エチルメタクリレート20部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、n−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8%水溶液75部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂粒子分散体を調製した。
上記で得られた樹脂粒子分散体、及び、顔料分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・顔料分散体(色材の含有量は10.0質量%): 40.0質量%
・樹脂粒子分散体: 20.0質量%
・グリセリン: 7.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000): 3.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製):0.5質量%
・イオン交換水: 残部
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)により加圧ろ過を行い、ブラックインクを調製した。
上記インクの粘度は2.1mPa・sであった。
インク付与装置104は電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式によりインク吐出を行うタイプのインクジェットヘッドを使用し、インク付与量は20g/m2とした。
液吸収部材105aは液吸収部材を張架しつつ搬送する搬送ローラ105c、105d、105eによって、転写体101の移動速度と同等の速度になるよう調節されている。また、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108は記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送される。本実施例において、搬送速度は0.2m/sとし、記録媒体108としてオーロラコート紙(日本製紙株式会社製・坪量104g/m2)を用いた。
また、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧は、平均圧力が39.23N/cm2(4kg/cm2)となるよう液吸収部材105bに圧力が印加されている。また、液吸収装置における押圧部材105bはローラ直径φ200mmのものを用いた。
液吸収部材105aは、平均孔径0.2μmの多孔質親水PTFEと不織布からなる支持材を積層したものを用いた。この液吸収部材Iのガーレは8秒であった。
本実施例では、オフセットローラを有する回復液付与装置110により、液吸収部材105aに対し回復液が付与される。実施例1では、回復液として以下組成の回復液Aを用いた。
・グリセリン: 21.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000): 1.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製):0.5質量%
・イオン交換水: 残部
回復液Aはインクに対し、ほぼ同等の水分濃度、ほぼ同等の蒸気圧であったが、粘度はインクより低く1.6mPa・sであった。また、反応液付与、インク付与、液吸収処理工程は10秒に1回のサイクルで、1000回繰り返し行い、回復液は上記のサイクルに対し、毎回付与した。
また、インクジェット装置内の温度は40℃、湿度は40%であった。
実施例1に対し、回復液の組成のみを変更した。
回復液はインク、反応液に対し高い水分濃度である、以下の組成の回復液Bを用いた。
・イオン交換水: 100部
回復液Bの粘度は1mPa・sであった。
実施例1に対し、回復液の組成のみを変更した。
回復液はインク、反応液に対し低い蒸気圧である、以下の組成の回復液Cを用いた。
・非水溶剤:エチレングリコールモノエチルエーテル: 80.0部
・界面活性剤:アセチレノールE100(製品名): 0.5部
・イオン交換水: 19.5部
回復液の粘度は1.7mPa・sであった。
実施例1に対し、回復液の付与タイミングのみを変更した。
反応液付与、インク付与、液吸収処理工程のサイクルに対し、3回の1回の割合で付与した。
実施例1に対し、反応液付与、インク付与、液吸収処理工程間のサイクルを変更した。反応液付与、インク付与、液吸収処理工程は実施例1と同じく10秒に1回のサイクルで、1000回繰り返し行ったが、100回に1回の割合で20分間、回復液付与装置、及び画像形成の双方とも、装置を停止した。
また、回復液は上記のサイクルに対し、毎回付与した。
実施例5に対し、回復液の付与シーケンスを変更した。
実施例5における回復液付与工程の条件に加えて、更に回復液付与工程の10回に1回の割合で、液吸収部材105aを転写体101から離間させた状態で押圧部105aを通過させ、回復液を付与する、メンテナンス動作を行った。
実施例1に対し、インクジェット装置内の温度、湿度が異なる条件とした。
インクジェット装置内の温度は60℃、湿度は30%であった。
また、回復液の付与は反応液付与、インク付与、液吸収処理工程のサイクルに対し、3回に1回の割合で行った。
実施例7に対し、回復液の付与有無を、装置内の温度、湿度を検知して、その情報より制御した。
制御により、回復液の付与は反応液付与、インク付与、液吸収処理のサイクルに対し、毎回行った。
実施例1に対し、図4に示す直接描画型のインクジェット記録装置を用いてOKプリンス上質紙(製品名、王子製紙株式会社製、127.9g/m2)を用いた。
回復液は反応液付与、インク付与、液吸収処理のサイクルに対し、3回に1回の割合で付与した。
実施例9に対し、回復液の付与有無を、記録媒体の種類を検知して、その情報より制御した。
制御により、回復液の付与は反応液付与、インク付与、液吸収処理のサイクルに対し、毎回行った。
実施例1に対し、液吸収部材に対する湿潤液付与装置を有する転写型インクジェット記録装置2を用いた。また、液吸収部材105aは、平均孔径0.2μmの多孔質PTFEと不織布からなる支持材を積層したものを用いた。この吸収部材のガーレは8秒であった。
また、湿潤液として、以下組成のものを10g/m2塗布した。湿潤液を付与した後は、実施例1と同様に使用し、他の条件は実施例1と同様とした。本湿潤液の液吸収部材との接触角は85°であった。
・グリセリン: 10.0質量%
・界面活性剤(製品名:メガファックF444、DIC株式会社製):2.0質量%
・イオン交換水: 残質量%
上記組成のものの粘度は1.4mPa・sであった。
実施例11に対し、湿潤液兼回復液付与装置を有する転写型インクジェット記録装置3を用いた。
湿潤液兼回復液Dとして、以下の組成のものを用いた。付与するサイクルは実施例1と同じとした。本湿潤液兼回復液は、インク、反応液に対し高い水分濃度であり、かつ低粘度である。また、本湿潤液兼回復液の液吸収部材との接触角は85°であった。
・グリセリン: 10.0質量%
・界面活性剤(製品名:メガファックF444、DIC株式会社製):2.0質量%
・イオン交換水: 残質量%
回復液Dの粘度は1.4mPa・sであった。
実施例1に対し、回復液を付与しないで液吸収を繰り返し行った。
実施例1に対し、回復液の組成のみを変更した。
回復液はインク、反応液に対し高い粘度である、以下の組成の回復液Eを用いた。
・グリセリン: 50.0質量%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000): 1.0質量%
・界面活性剤:アセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製):0.5質量%
・イオン交換水: 残部
回復液Eの粘度は6.5mPa・sであった。
各実施例、比較例における、画像流れ発生の有無、回復液使用量について評価した。評価結果を表1−1及び表1−2に示す。本発明においては、下記の各評価項目の評価基準のAA〜Bを好ましいレベルとし、Cを許容できないレベルとした。
液吸収した後の、画像端部における色材の移動量を示し、移動量が少ないほど、画像品位が高く好ましい。評価基準は以下の通りである。
AA:前述した条件で10000回繰り返し使用してもほぼ画像流れがみられなかった。
A:前述した条件で10000回繰り返し使用した際にわずかに画像流れがみられたが、気にならないレベルであった。
B:前述した条件で5000回繰り返し使用した際にわずかに画像流れがみられたが、気にならないレベルであった。
C:画像流れが大きくみられた。
回復液の使用量を示し、評価基準は以下の通りである。
A:最低限の回復液使用量であった。
B:コストの問題が発生しない程度の回復液使用量であった。
10 湿潤液付与装置
10a、b 湿潤液付与部材
11 湿潤液兼回復液付与装置
11a、b 湿潤液兼回復液付与部材
101 転写体
102 支持部材
102a 支持部材の回転軸
103 反応液付与装置
103a 反応液収容部
103b、c 反応液付与部材
104 インク付与装置
105 液吸収装置
105a 液吸収部材
105b 液吸収用の押圧部材
105c、d、e 張架ローラ
106 転写用の押圧部材
107 記録媒体搬送装置
107a 記録媒体繰り出しローラ
107b 記録媒体巻き取りローラ
108 記録媒体
109 転写体クリーニング部材
110 回復液付与装置
110a、b 回復液付与部材
Claims (41)
- 被記録体に、水性液媒体と色材を含むインクと、前記インクと反応し前記インクを増粘させるための反応液とを付与し、水性液体成分と該色材を含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、
を備えるインクジェット記録装置であって、
前記液吸収部材による前記第一の画像からの液吸収処理を行う液吸収処理領域への前記液吸収部材の搬入および搬出を繰り返し行う搬送ユニットと、
前記液吸収処理領域から搬出される前記液吸収部材に前記インク及び前記反応液よりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与部と、
前記液吸収部材に対して前記回復液付与部による前記回復液の付与を間欠的に行う回復液付与制御部と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記多孔質体の第一の面との接触角が90°未満である湿潤液を、前記液吸収処理領域への搬入前の前記多孔質体の第一の面に付与する湿潤液付与部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液付与部は、前記湿潤液付与部を兼ねていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液は、前記反応液及びインクより水の濃度が高いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液は、前記反応液及びインクより蒸気圧が低いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記液吸収処理領域に搬入した前記液吸収部材を該液吸収処理領域を通過させて前記回復液付与部に搬送する搬送制御部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記被記録体は、前記第一の画像と、前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部が除去された第二の画像とを一時的に保持する転写体であり、該転写体上の前記第二の画像が最終画像を形成するための記録媒体に転写されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記液吸収部材に対して前記回復液付与部による前記回復液の付与の有無を制御する回復液付与制御部をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、前記多孔質体中の液体の粘度かつ/または液体量の予測値に関する情報を含むことを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、環境情報取得装置により得られる温度かつ/または湿度を含む環境に関する情報を含むことを特徴とする請求項8または9に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、経過時間取得装置により得られる前記回復液の付与が完了してから前記液吸収処理までの経過時間に関する情報を含むことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記被記録体は、最終画像を形成するための記録媒体であり、該記録媒体上で前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部が前記液吸収部材により除去された第二の画像が形成される請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記液吸収部材に対して前記回復液付与部による前記回復液の付与の有無を制御する回復液付与制御部をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、前記多孔質体中の液体の粘度かつ/または液体量の予測値に関する情報を含むことを特徴とする請求項13に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、環境情報取得装置により得られる温度かつ/または湿度を含む環境に関する情報を含むことを特徴とする請求項13または14に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、経過時間取得装置により得られる前記回復液の付与が完了してからの前記液吸収処理までの経過時間に関する情報を含むことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、記録媒体情報取得装置により得られる記録媒体の種類に関する情報を含むことを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 被記録体に、水性液媒体と色材を含むインクと、前記インクと反応し前記インクを増粘させるための反応液とを付与し、水性液体成分と該色材を含むインク像を形成する画像形成ユニットと、
前記インク像から前記水性液体成分の少なくとも一部を吸収することによって前記インク像を構成するインクを濃縮する多孔質体を有する液吸収部材と、
を備えるインクジェット記録装置であって、
前記液吸収部材による前記インク像からの液吸収処理を行う液吸収処理領域への前記液吸収部材の搬入および搬出を繰り返し行う搬送ユニットと、
前記液吸収処理領域から搬出される前記液吸収部材に前記インク及び前記反応液よりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与部と、
前記液吸収部材に対して前記回復液付与部による前記回復液の付与を間欠的に行う回復液付与制御部と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 被記録体に、水性液媒体と色材を含むインクと、前記インクと反応し前記インクを増粘させるための反応液とを付与し、水性液体成分と該色材を含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、
前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、
を備え、
前記被記録体は、前記第一の画像と、前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部が除去された第二の画像とを一時的に保持する転写体であり、該転写体上の前記第二の画像が最終画像を形成するための記録媒体に転写される、インクジェット記録装置であって、
前記液吸収部材による前記第一の画像からの液吸収処理を行う液吸収処理領域への前記液吸収部材の搬入および搬出を繰り返し行う搬送ユニットと、
前記液吸収処理領域から搬出される前記液吸収部材に前記インク及び前記反応液よりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与部と、
前記液吸収部材に対して前記回復液付与部による前記回復液の付与の有無を制御する回復液付与制御部と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記回復液は、前記反応液及びインクより水の濃度が高いことを特徴とする請求項19に記載のインクジェット記録装置。
- 前記回復液は、前記反応液及びインクより蒸気圧が低いことを特徴とする請求項19または20に記載のインクジェット記録装置。
- 被記録体に、水性液媒体と色材を含むインクと、前記インクと反応し前記インクを増粘させるための反応液とを付与して、水性液体成分と該色材を含む第一の画像を形成する画像形成工程と、
液吸収部材の有する多孔質体の第一の面を、前記第一の画像に接触させて、前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部を該多孔質体により吸収する液吸収処理を液吸収処理領域において行う液吸収工程と、を有するインクジェット記録方法であって、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収処理領域に再送する搬送工程と、
回復液付与部において、前記再送前の多孔質体の第一の面に、前記インク及び前記反応液よりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与工程と、
を有し、
前記液吸収工程における前記液吸収処理に前記多孔質体を繰り返し使用し、前記回復液付与工程は、前記多孔質体の繰り返し使用に対して間欠的に行うことを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記多孔質体の第一の面との接触角が90°未満である湿潤液を、前記再送前の多孔質体の第一の面に付与する湿潤液付与工程をさらに有することを特徴とする請求項22に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液付与工程は、前記湿潤液付与工程と同一工程であることを特徴とする請求項23に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液は、前記反応液及びインクより水の濃度が高いことを特徴とする請求項22乃至24のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液は、前記反応液及び前記インクより蒸気圧が低いことを特徴とする請求項22乃至25のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記液吸収処理領域に再送した多孔質体を該液吸収処理領域を通過させて前記回復液付与部へ搬送する通過搬送工程をさらに有することを特徴とする請求項22乃至26のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記被記録体は、前記第一の画像と、前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部が除去された第二の画像とを一時的に保持する転写体であり、該転写体上の前記第二の画像が最終画像を形成するための記録媒体に転写されること特徴とする請求項22乃至27のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液付与部における前記多孔質体への回復液の付与の有無を制御する回復液付与制御工程をさらに有することを特徴とする請求項28に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、前記多孔質体中の液体の粘度かつ/または液体量の予測値に関する情報を含むことを特徴とする請求項29に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、環境情報取得装置により得られる温度かつ/または湿度を含む環境に関する情報を含むことを特徴とする請求項29または30に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、経過時間取得装置により得られる前記回復液付与工程が完了した後の前記液吸収工程までの経過時間に関する情報を含むことを特徴とする請求項29乃至31のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記被記録体は、最終画像を形成するための記録媒体であり、該記録媒体上で前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部が除去された第二の画像が形成される請求項22乃至27のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液付与部における前記多孔質体への回復液の付与の有無を制御する回復液付与制御工程をさらに有することを特徴とする請求項33に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、前記多孔質体中の液体の粘度かつ/または液体量の予測値に関する情報を含むことを特徴とする請求項34に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、環境情報取得装置により得られる温度かつ/または湿度を含む環境に関する情報を含むことを特徴とする請求項34または35に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、経過時間取得装置により得られる前記回復液付与工程が完了してからの前記液吸収工程までの経過時間に関する情報を含むことを特徴とする請求項34乃至36のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液の付与の有無を制御するための情報は、記録媒体情報取得装置により得られる記録媒体の種類に関する情報を含むことを特徴とする請求項34乃至37のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 被記録体に、水性液媒体と色材を含むインクと、前記インクと反応し前記インクを増粘させるための反応液とを付与して、水性液体成分と該色材を含む第一の画像を形成する画像形成工程と、
液吸収部材の有する多孔質体の第一の面を、前記第一の画像に接触させて、前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部を該多孔質体により吸収する液吸収処理を液吸収処理領域において行う液吸収工程と、
を有し、
前記被記録体は、前記第一の画像と、前記第一の画像から前記水性液体成分の少なくとも一部が除去された第二の画像とを一時的に保持する転写体であり、該転写体上の前記第二の画像が最終画像を形成するための記録媒体に転写される、インクジェット記録方法であって、
前記液吸収処理領域から搬出された多孔質体を前記液吸収処理領域に再送する搬送工程と、
回復液付与部において、前記再送前の多孔質体の第一の面に、前記インク及び前記反応液よりも粘度の低い回復液を付与する回復液付与工程と、
前記回復液付与部における前記多孔質体への回復液の付与の有無を制御する回復液付与制御工程と、
を有することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記回復液は、前記反応液及びインクより水の濃度が高いことを特徴とする請求項39に記載のインクジェット記録方法。
- 前記回復液は、前記反応液及び前記インクより蒸気圧が低いことを特徴とする請求項39または40に記載のインクジェット記録方法。
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