JP2019058957A - 研磨フィルム、及び該研磨フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このメカニカルポリッシングでは、まず苛性ソーダ、アンモニア、エタノールアミン等のアルカリ溶液に、5〜300nmの粒子径を有する研磨材粒子を懸濁させてpH9〜12のコロイダル液からなる研磨液を作製し、次いで、この研磨液をポリウレタン等の樹脂シートからなる研磨布上に供給しながら、研磨布上で光コネクタフェルールや半導体ウエハ等の精密部品を研磨している。
光コネクタフェルールおよび半導体ウエハ等はこの研磨フィルム上で研磨されるが、研磨フィルムを作製する際、粒子径1μm以下の研磨材粒子をバインダー用樹脂液中に均一に分散させることはむずかしく、最終仕上げ用の研磨フィルムとしては使用することができないという欠点があった。
磨フィルムの製造方法は、塗布方法で研磨層を形成する場合でも、分散された研磨材粒子を含有する塗工剤を用い、安定して均一な研磨層が形成できる製造方法が求められている。
1.基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を有する研磨フィルムであって、
前記研磨層は、無機ナノ粒子と、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂とを含有し、
前記無機ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上、100nm以下であり、
前記無機ナノ粒子の、前記研磨層中の含有率は、80質量%以上、99.7質量%以下であり、
前記プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものである、
研磨フィルム。
2.前記プライマー層の厚みは、10nm以上、200nm以下である、上記1に記載の研磨フィルム。
3.前記プライマー有機樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含むものである、上記1または2に記載の研磨フィルム。
4.前記ポリエステル樹脂が、官能基を有するポリエステル樹脂である、上記3に記載の研磨フィルム。
5.前記官能基が、水酸基とカルボキシル基である、上記4に記載の研磨フィルム。
6.前記プライマー有機樹脂組成物が、熱硬化性有機樹脂組成物である、上記1〜5の何れかに記載の研磨フィルム。
7.前記プライマー有機樹脂組成物が、水酸基とカルボキシル基とを有するポリエステル系樹脂と、イソシアネート化合物とを含有する、熱硬化性有機樹脂組成物である、上記1〜6の何れかに記載の研磨フィルム。
前記アルコキシ基の全アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの中の含有量は10〜30質量%であり、
SiO2分の全アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの中の含有量は30〜50質量%である、
上記1〜7の何れかに記載の研磨フィルム。
9.前記無機ナノ粒子が、真球状または楕円球状である、上記1〜8の何れかに記載の研磨フィルム。
10.前記無機ナノ粒子の修正モース硬度が、7以上、12以下である、上記1〜9の何れかに記載の研磨フィルム。
11.前記無機ナノ粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、なる群から選ばれる、1種または2種以上である、上記1〜10の何れかに記載の研磨フィルム。
12.前記研磨層の厚みが、0.5μm以上、100μm以下である、上記1〜11の何れかに記載の研磨フィルム。
13.上記1〜12の何れかに記載の研磨フィルムの製造方法であって、下記の工程a〜工程dの工程を有する、研磨フィルムの製造方法。
工程a:20〜50℃において、プライマー有機樹脂組成物である、溶液Aを調製する工程、
工程b:前記基材層に溶液Aを塗布して、50〜120℃に加熱して、塗布物Bを得る工程、
工程c:20〜40℃において、研磨層樹脂組成物である、溶液Cを調製する工程、
工程d:塗布物Bの、溶液Aが塗布乾燥された面に、溶液Cを塗布して、100〜150℃に加熱して、研磨フィルムDを得る工程、
14.前記工程dの溶液Cの塗布方法が、グラビアリバース法である、上記13に記載の研磨フィルムの製造方法。
図1は、本発明の研磨フィルムの層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明の研磨フィルムは、図1に示すように、基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を基本構造とするものである。更に、必要に応じて、図2に示すように、基材層中に、印刷層等の機能材層を含むことも可能である。
基材層としては、化学的ないし物理的強度に優れ、プライマー層や研磨層を形成する条件等に耐え、それらプライマー層や研磨層等の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができ、寸法変化が少なく、研磨時の力学的負荷や温度に耐える強度・耐熱性を有した、金属、金属酸化物等の無機材料や樹脂等の有機材料を、例えばフィルムやシートとして使用することができる。また、基材層中に、印刷層等の機能材層を含むことも可能である。
基材層としては、単層フィルムまたは多層積層フィルムが用いられるが、特に限定されず、各種包装材料に用いられる任意のフィルムを使用することができる。これらの中から、プライマー層や研磨層の作製条件や研磨条件に応じて、適するものを自由に選択して使用する。
し出し製膜化法により製造することができる。さらに、フィルムの強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸することができる。
プライマー層は、研磨層と基材層との間に介在して、両層を接着するものである。プライマー層の存在によって、研磨層は研磨中に基材から剥離することが無く、繰り返し安定した研磨作業が可能になる。
プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものであることによって、通常の非有機樹脂系のプライマーの場合よりも、研磨層と基材層とを強固に接着する。
プライマー有機樹脂組成物は、有機樹脂と溶剤とを含むものであり、必要に応じて、更に硬化剤を含んでもよい。また更に、必要に応じて、硬化促進剤や架橋剤やレベリング剤等を含んでもよい。
有機樹脂の分子量や軟化点に特に制限は無いが、塗膜形成が可能で、30℃で固形であるものが好ましい。
ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体、ビュレット体、アロファネート体等が挙げられる。また、これらの硬化剤は、2種以上を併用することも出来る。
硬化促進剤は、用いる樹脂や硬化剤の種類に適した、公知の化合物が選ばれ、2種以上を併用することも出来る。
具体的な溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、石油系溶剤及び、これらの混合系が挙げられるが、中でも、ケトン系溶剤やトルエンは溶解性や揮発性の点で扱い易く、コスト面でも好ましく、例えば、質量比1/1のトルエン/メチルエチルケトン混合物が特に好ましい。
硬化反応を進行させる場合は、通常は加熱により硬化反応を進行させるが、用いられた有機樹脂の種類に応じて、UV照射や電子線照射によって硬化反応を進行させてもよい。加熱によって硬化反応を進行させる際の温度は、有機樹脂の官能基の種類に応じて、100〜150℃が好ましい。
エージング処理を行う場合のエージング条件は、50〜80℃で、1〜7日間が好ましい。
本発明において、研磨層は、研磨粒子としての無機ナノ粒子と、バインダーとしてのアルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂とを含有する層であり、研磨層樹脂組成物をプライマー層に塗布し、乾燥することで縮合反応を進行させて、得られる層である。
研磨層は、研磨層中に砥粒となる無機ナノ粒子とバインダーであるアルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂とが適切な割合で均一に分散していることによって、適度な硬度を有するものであり、更には、化学的または物理的性質を修飾するために、他の非珪素系樹脂を含むこともできる。
研磨層樹脂組成物を調整する際は、化学反応や蒸発を抑えるために、配合原料を、好ましくは20℃〜50℃で適宜混合及び溶解させて、研磨層樹脂組成物を得ることができる。
ナノシリカ粒子以外の無機ナノ粒子の場合でも、無機であるという共通の組成を有することによって、同様な理由で、一次粒子の状態を保持し易く単分散状となり得ると考えられる。
また、研磨層表面は、バインダーのシリコーン系樹脂が常に研磨されて、無機ナノ粒子
も常に水中に放出されて、常に最新表面が露出していることによって、初回使用時から多数回使用後まで、安定したスラリー濃度と安定した研磨層表面状態とを呈することになり、常に安定した研磨性能を発揮することが可能である。
本発明における研磨層に含有される、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂は、縮合前の研磨層樹脂組成物中においては、シロキサン結合(Si−O結合)と、アルコキシ基と、メチル基及び/またはフェニル基とを有する、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーが、加水分解された状態で含まれている。
アルコキシ基としては、メトキシ基やエトキシ基が挙げられる。
メチル基が多い場合は、加水分解反応性に優れており、フェニル基が多い場合には、アクリル、エポキシ、ポリエステルなどの有機樹脂との相溶性が良好になり、両者を有することで加水分解反応性と相溶性のバランスに優れたアルコキシ基含有シリコーンオリゴマーとすることができる。
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの分子量は300〜2000が好ましく、500〜1500がより好ましい。平均重合度は20〜200が好ましく、50〜150がより好ましい。
本発明において、無機ナノ粒子の平均粒径は、きれいな研磨表面状態を安定して得る為には、特に仕上げ研磨用には、1nm以上、100nm以下が好ましく、5〜50nmが更に好ましく、10〜30nmが特に好ましい。上記範囲よりも小さいと研磨効率が低下する傾向にあり、上記範囲よりも大きいと薄い研磨層での均一な分散が困難になり、更に、研磨表面状態も安定せず、研磨傷等を発生させ易くなる傾向にある。しかし、粗研磨用途では、上記範囲に限定せず、目的とする研磨に応じた、大きな平均粒径の無機ナノ粒子を適用することが可能である。
尚、本発明における楕円球状とは、真球状でない球状や、角が丸くなった形状全般を指す。
これらの中でも、上記の、平均粒径、形状、修正モース硬度を備え、入手し易く、ハンドリングが比較的容易な、シリカ(修正モース硬度7〜8)、アルミナ(同12)、セリア(同9)、ジルコニア(同11)が更に好ましく、特にシリカが好ましい。これらの無機ナノ粒子は、1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記範囲よりも少ないと、シリコーン系樹脂が研磨される速度が遅くなり過ぎ、無機ナノ粒子の放出速度が遅くなり、スラリーからシリコーン系樹脂へ吸着される無機ナノ粒子が多くなり、スラリーの粘度は低下して、研磨効率が低下する傾向になる。
上記範囲よりも多いと、研磨層が脆くなり、研磨層を安定して形成することが困難になり、研磨層が研磨中に凝集破壊を生じ易く、研磨が不安定に成り易い。
シリコーン系樹脂を溶解し、無機ナノ粒子を均一に分散可能で、本発明の研磨フィルム
の製造工程上の適切な沸点や揮発性を有するものならば、特に制限は無い。取扱いが容易なことから、特にアルコールがよい。
本発明の研磨フィルムは、図1に示すように、基材と、プライマー層と、研磨層を有し、通常は広幅の巻取で製造されるが、所望の幅にカットしたテープ状の巻取としたりする他に、帯状、円形状、その他所望の形状にしたり、任意の形態に構成してもよい。
PETフィルム1:S−10(東レ(株)社製、未処理PETフィルム。厚み75μm)PETフィルム2:E5100(東洋紡(株)社製、片面コロナ処理済みPETフィルム。厚み50μm)
PETフィルム3:A4100(東洋紡(株)社製、片面易接着処理済みPETフィルム。厚み100μm)
プライマー有機樹脂1:エリーテルUE−3500(ユニチカ(株)社製。分子鎖末端に水酸基とカルボキシル基含有の飽和共重合ポリエステル。水酸基価4、酸価1。)
イソシアネート化合物1:D−110N(三井武田ケミカル(株)社製。メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体。固形分:75質量%、NCO:11.5質量%。)
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー1:KR−9218(信越化学工業(株)社製。シリコーン樹脂ワニス、固形分100質量%。メトキシ基含有率15質量%、SiO2分含有率40質量%。)
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー2:KR−213(信越化学工業(株)社製。シリコーン樹脂ワニス、固形分100質量%。メトキシ基含有率20質量%、SiO2分含有率38質量%。)
無機ナノ粒子分散液1:IPA−ST(日産化学工業(株)社製。ナノシリカシリカ分散液、固形分30質量%、イソプロピルアルコール溶媒。ナノシリカの平均粒子径12.5nm。)
無機ナノ粒子分散液2:IPA−ST−L(日産化学工業(株)社製。ナノシリカシリカ分散液、固形分30質量%、イソプロピルアルコール溶媒。ナノシリカの平均粒子径45nm。)
無機ナノ粒子分散液3:YC100C−SM1/MEK(アドマテックス(株)社製。ナノシリカシリカ分散液、固形分30質量%、MEK溶媒。ナノシリカの平均粒子径100nm。)
酸化アルミニウムパウダー:(シグマアルドリッチ(株)社製、平均粒径13nm。)
室温25℃の環境下で、下記質量部のトルエンとメチルエチルケトンを混合し、次いで、プライマー有機樹脂1を加えて撹拌して溶解させ、プライマー有機樹脂組成物1を調製した。
トルエン 49.5質量部
メチルエチルケトン 49.5質量部
プライマー有機樹脂1 1.0質量部
室温25℃の環境下で、下記質量部のトルエンとメチルエチルケトンを混合し、次いで、プライマー有機樹脂1とイソシアネート化合物1を加えて撹拌して溶解させ、プライマー有機樹脂組成物2を調製した。
トルエン 49.5質量部
メチルエチルケトン 49.5質量部
プライマー有機樹脂1 1.0質量部
イソシアネート化合物1 0.4質量部
下記質量部のアルコキシ基含有シリコーンオリゴマー1と無機ナノ粒子分散液1とを混合し、撹拌して均一化し、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー1を加水分解して、研磨層樹脂組成物1を調製した。
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー1 10質量部
無機ナノ粒子分散液1: 200質量部
PETフィルム1の表面に、プライマー有機樹脂組成物1をバーコートにより塗布し、次いで、乾燥機により100℃で1分間乾燥して溶剤を除去して、PETフィルム1上に、プライマー層(乾燥後塗布量:0.05g/m2)を形成した。
そして、プライマー層上に、研磨層樹脂組成物1をバーコートにより塗布した。次いで、乾燥機により120℃で1分間乾燥し、溶剤を除去して、研磨層(乾燥後塗布量:6g/m2)を形成して、研磨フィルムを得た。
縮合前後の研磨層中の無機ナノ粒子の含有率は、下記のように算出した。
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー加水分解物量:
10×0.85+10×0.15×17/31=8.50+0.82=9.32質量部
無機ナノ粒子量:200×0.3=60質量部
よって、無機ナノ粒子の含有率=60/(60+9.32)×100=86.56質量%
縮合後
アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー加水分解物量:
10×0.85+10×0.15×(16/2)/31=8.5+0.39=8.89質量部
無機ナノ粒子量:200×0.3=60質量部
よって、無機ナノ粒子の含有率=60/(60+8.89)×100=87.10質量%
表1の配合組成に従って、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマー1をアルコキシ基含有シリコーンオリゴマー2に変えた以外は、実施例1と同様に操作して、各研磨フィルムを得て、同様に評価した。
表1に従って、実施例1と同様に研磨層樹脂組成物を調整し、プライマー有機樹脂組成物1またはプライマー有機樹脂組成物2を、バーコートをグラビアリバースコートに換えて塗布し、研磨層樹脂組成物を、バーコートからグラビアコートに換えて塗布した以外は、実施例1と同様に操作して、各研磨フィルムを得て、同様に評価した。
表1の記載に従って、下記のように、基材に表面処理を施したり、プライマー層を形成しなかったりした以外は、実施例1と同様に操作して研磨フィルムを得た。
比較例1:基材塗布側表面はそのままで、プライマー層を形成せず、研磨層を形成。
比較例2:基材塗布側表面をコロナ処理し、プライマー層を形成せず、研磨層を形成。
比較例3:基材塗布側表面をウレタン系アンカーコート剤処理し、プライマー層を形成せず、研磨層を形成。
JIS K 5600−5−4に従って、研磨フィルムの研磨層の引っかき硬度(鉛筆法)を測定し、鉛筆硬度とした。H以上を合格とした。
光ファイバーの研磨は、光ファイバー研磨機ACP−8000((株)扇港産業製)を用いて行った。作製した研磨フィルムを直径127mmの円形に切り出し、同サイズの硬度60duroのゴムパッド上に固定した。
次いで、平均粒子径1μmのダイヤモンド粒子を固定化したダイヤモンドフィルムにより粗研磨を実施した光ファイバーを、光ファイバー冶具に12本セットして、研磨時にそれぞれ均等に荷重がかかるように調整した。荷重はひとつのコネクターあたり、300g,350g,400gの3種の条件で、研磨を実施した。
研磨1セット終了後に、倍率400倍の顕微鏡により、研磨された光ファイバー端面のスクラッチと付着異物の程度を観察した。スクラッチ、付着異物の評価結果基準は下記の通り。
◎:無し
○:ほぼ無し
△:多少あり
×:多い
研磨1セット終了毎に、研磨フィルムに破れ等の異常が無いかを観察した。異常が無ければ使用可能と判断し、再度、研磨1セットと異常有無観察を繰り返した。最大で10セットまで研磨を実施した。研磨フィルムの耐久性の評価結果基準は下記の通り。
◎:研磨10回後も破れ無し
○:研磨8〜9回後に破れ有り
△:研磨4〜10回後に破れ有り
×:研磨1〜3回後に破れ有り
プライマー層を有する全実施例は、プライマー層を有さない比較例よりも高い鉛筆硬度を示した。
プライマー層を有する全実施例は、研磨層が良好な密着性を示したが、プライマー層を有さない比較例は、研磨性及び耐久性評価において、荷重300gの1セット目の開始直後に研磨層が剥離した為、研磨性及び耐久性評価を中止した。
プライマー層に硬化剤を含有しない実施例1、2と類似して且つ硬化剤を含有する実施例3、4は、実施例1、2よりも良好な鉛筆硬度と研磨性及び耐久性を示した。
無機ナノ粒子としてナノ酸化アルミニウムを用いた実施例7も良好な鉛筆硬度と研磨性及び耐久性を示した。
実施例1、2と比較してシリカ粒子の含有量が多い実施例8、9は、耐久性が劣るものの、より低い荷重でも良好な研磨性を示した。
2:研磨層
3:プライマー層
4:基材層
4a:基材層1
4b:印刷層
4c:基材層2
5:半導体ウエハ
6:光コネクタフェルール
7:光ファイバー
8:被覆部
9:端面
Claims (14)
- 基材層と、研磨層とが、プライマー層を介して積層された構成を有する研磨フィルムであって、
前記研磨層は、無機ナノ粒子と、アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの縮合物からなるシリコーン系樹脂とを含有し、
前記無機ナノ粒子の平均粒径は、1nm以上、100nm以下であり、
前記無機ナノ粒子の、前記研磨層中の含有率は、80質量%以上、99.7質量%以下であり、
前記プライマー層は、プライマー有機樹脂組成物から形成されたものである、
研磨フィルム。 - 前記プライマー層の厚みは、10nm以上、200nm以下である、請求項1に記載の研磨フィルム。
- 前記プライマー有機樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含むものである、請求項1または2に記載の研磨フィルム。
- 前記ポリエステル樹脂が、官能基を有するポリエステル樹脂である、請求項3に記載の研磨フィルム。
- 前記官能基が、水酸基とカルボキシル基である、請求項4に記載の研磨フィルム。
- 前記プライマー有機樹脂組成物が、熱硬化性有機樹脂組成物である、請求項1〜5の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記プライマー有機樹脂組成物が、水酸基とカルボキシル基とを有するポリエステル系樹脂と、イソシアネート化合物とを含有する、熱硬化性有機樹脂組成物である、請求項1〜6の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーは、メチル基とフェニル基とアルコキシ基とを有し、
前記アルコキシ基の全アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの中の含有量は10〜30質量%であり、
SiO2分の全アルコキシ基含有シリコーンオリゴマーの中の含有量は30〜50質量%である、
請求項1〜7の何れか1項に記載の研磨フィルム。 - 前記無機ナノ粒子が、真球状または楕円球状である、請求項1〜8の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記無機ナノ粒子の修正モース硬度が、7以上、12以下である、請求項1〜9の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記無機ナノ粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、なる群から選ばれる、1種または2種以上である、請求項1〜10の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 前記研磨層の厚みが、0.5μm以上、100μm以下である、請求項1〜11の何れか1項に記載の研磨フィルム。
- 請求項1〜12の何れか1項に記載の研磨フィルムの製造方法であって、下記の工程a〜工程dの工程を有する、研磨フィルムの製造方法。
工程a:20〜50℃において、プライマー有機樹脂組成物である、溶液Aを調製する工程、
工程b:前記基材層に溶液Aを塗布して、50〜120℃に加熱して、塗布物Bを得る工程、
工程c:20〜40℃において、研磨層樹脂組成物である、溶液Cを調製する工程、
工程d:塗布物Bの、溶液Aが塗布乾燥された面に、溶液Cを塗布して、100〜150℃に加熱して、研磨フィルムDを得る工程、 - 前記工程dの溶液Cの塗布方法が、グラビアリバース法である、請求項13に記載の研磨フィルムの製造方法。
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