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JP2018531958A - RORγT阻害薬としてのヘテロアリール置換安息香酸及びその使用 - Google Patents

RORγT阻害薬としてのヘテロアリール置換安息香酸及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I)【化1】に係る化合物及びその薬学的に許容可能な塩に関する。かかる化合物は、RORγT媒介性疾患又は病態の治療に使用され得る。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2015年10月27日に出願された米国仮特許出願第62/246,915号明細書の利益及びそれに対する優先権を主張し、この仮特許出願の内容は、参照により本明細書に援用される。
ナイーブTヘルパー細胞は、抗原提示細胞によって活性化されるとクローン性増殖を起こし、最終的に分化してTh1及びTh2サブタイプなどのサイトカイン分泌エフェクターT細胞になる。第3の特徴的なエフェクターサブセットが同定されており、これは、粘膜表面での細菌及び真菌に対する免疫の付与において主要な役割を果たす(Kastelein et al.,Annu.Rev.Immunol.25:221−242,2007)。このエフェクターTヘルパー細胞サブセットは、多量のIL−17/F、IL−21及びIL−22を産生するその能力に基づいて区別することができ、Th17と称される(Miossec et al.,New Eng.J.Med.2361:888−898,2009)。
種々のTヘルパーサブセットは、系統特異的主要転写因子の発現によって特徴付けられる。Th1及びTh2エフェクター細胞は、それぞれT−bet及びGATA3を発現する。レチノイン酸受容体関連オーファン受容体(ROR)の胸腺細胞/T細胞特異的変異体であるRORγTは、Th17細胞に高度に発現する(He et al.,Immunity 9:797−806,1998)。RORγTは、核ホルモン受容体スーパーファミリーに属する(Hirose et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.205:1976−1983,1994)。RORγTは、トランケート型のRORγであって、N末端の最初の21アミノ酸を欠き、複数の組織(心臓、脳、腎臓、肺、肝臓、及び筋肉)に発現するRORγと対照的に、リンパ球系列の細胞及び胚性リンパ組織インデューサーにのみ発現する(Sun et al.,Science 288:2369−2372,2000;Eberl et al.,Nat.Immunol.5:64−73,2004)。
RORγTオープンリーディングフレームをGFP(緑色蛍光タンパク質)に置き換えたヘテロ接合ノックインマウスを使用した研究から、Th17サイトカインIL−17/F及びIL−22を共発現する小腸粘膜固有層(LP)にあるCD4+ T細胞の約10%がGFPを構成的に発現することが明らかになった(Ivanov et al.,Cell 126:1121−1133,2006)。RORγT欠損マウスでは、LPにおけるTh17細胞の数が著しく減少し、及びTh17極性化条件下でCD4+ T細胞をインビトロ刺激すると、IL−17発現の劇的な低下がもたらされた。これらの結果は、ナイーブCD4+ T細胞におけるRORγTの強制発現がIL−17/F及びIL−22の誘導をもたらしたことによって更に裏付けられた(Ivanov et al.,Cell 126:1121−1133,2006)。前述の研究は、Th17系統の分化及び安定化におけるRORγTの重要性を実証している。加えて、RORファミリーメンバーであるRORαがTh17の分化及び安定化に関与することが実証されている(Yang et al.,Immunity 28:29−39,2008)。
近年、RORγTが非Th17リンパ系細胞において決定的な役割を果たすことが示された。これらの研究では、RORγTは、Thy1、SCA−1、及びIL−23Rタンパク質を発現する自然リンパ系細胞において極めて重要であった。これらの自然リンパ系細胞に依存するマウス大腸炎モデルにおいてRORγを遺伝子破壊すると、大腸炎の発生が予防された(Buonocore et al.,Nature 464:1371−1375,2010)。加えて、RORγTは、マスト細胞など、他の非Th17細胞において決定的な役割を果たすことが示された(Hueber et al.,J.Immunol.184:3336−3340,2010)。最後に、リンパ系組織インデューサー細胞、NK T細胞、NK細胞(Eberl et al.,Nat.Immunol.5:64−73,2004)、及びγδT細胞(Sutton et al.,Nat.Immunol.31:331−341,2009;Louten et al.,J.Allergy Clin.Immunol.123:1004−1011,2009)についてTh17型のサイトカインのRORγT発現及び分泌が報告されたことから、これらの細胞サブタイプにおけるRORγTの重要な機能が示唆される。
IL−17産生細胞(Th17又は非Th17細胞のいずれも)の役割に基づき、RORγTは、幾つかの疾患の病因における主要なメディエーターとして同定されている(Louten et al.,J.Allergy Clin.Immunol.123:1004−1011,2009;Annuziato et al.,Nat.Rev.Rheumatol.5:325−331,2009)。これは、自己免疫疾患を代表する幾つかの疾患モデルを用いて確認された。マウスにおいてRORγ遺伝子を遺伝子除去すると、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)及び大腸炎などの実験的自己免疫疾患の発生が予防された(Ivanov et al.,Cell 126:1121−33,2006;Buonocore et al.,Nature 464:1371−1375,2010)。
RORγTがTh17細胞及び非Th17細胞における決定的なメディエーターであることに伴い、RORγTの転写活性の拮抗作用は、限定はされないが、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、炎症性腸疾患、クローン病、及び喘息などの自己免疫疾患に有益な効果があるものと予想される(Annunziato et al.,Nat.Rev.Immunol.5:325−331,2009;Louten et al.,J.Allergy Clin.Immunol.123:1004−1011,2009)。RORγTの拮抗作用はまた、Th17細胞レベルの増加及び/又はIL−17、IL−22及びIL−23などのTh17ホールマークサイトカインレベルの上昇によって特徴付けられる他の疾患でも有益であり得る。かかる疾患の例は、川崎病(Jia et al.,Clin.Exp.Immunol.162:131−137,2010)及び橋本甲状腺炎(Figueroa−Vega et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.95:953−962,2010)である。他の例としては、限定はされないが、粘膜リーシュマニア症などの種々の感染症が挙げられる(Boaventura et al.,Eur.J.Immunol.40:2830−2836,2010)。上記の例の各々において、RORαの同時阻害によって阻害が増進され得る。
RORγTを調節する化合物が報告されている。アゴニストの例としては、T0901317及びSR1078が挙げられる(Wang et al.,ACS Chem.Biol.5:1029−1034,2010)。加えて、7−酸化ステロール(Wang et al.,J.Biol.Chem.285:5013−5025,2009)及び欧州特許出願公開第2181710 A1号明細書に記載される化合物などのアンタゴニストが報告されている。
世界中で何百万人もの患者が多くの免疫障害及び炎症性障害に罹患し続けている。これらの障害の治療は大幅に進歩してきたが、現行の治療法は、例えば有害な副作用又は不十分な有効性に起因して、あらゆる患者に満足のいく結果をもたらすものではない。より優れた治療法が必要な1つの例示的免疫障害は、乾癬である。乾癬を治療しようと様々な療法薬が開発されている。しかしながら、従来の乾癬治療法には毒性有害作用があることが多い。より優れた治療が必要な例示的炎症性障害は、関節リウマチである。この障害を治療しようと多くの療法薬が開発されている。しかしながら、一部の患者は、現行の治療法に抵抗性を生じる。より優れた治療法が必要な別の例示的障害は癌である。
従って、免疫障害及び炎症性障害に対する改良された治療が必要とされている。本発明は、この必要に対処し、他の関連する利点を提供する。
本発明は、RORγTとの共調節タンパク質の相互作用を変化させる(及びそれにより、核ホルモン受容体に一般に見られるとおり、RORγT媒介転写活性をアンタゴナイズする。例えば、“Differential Biochemical and Cellular Actions of Premarin Estrogens:Distinct Pharmacology of Bazedoxifene−Conjugate Estrogens Combination”.Berrodin,T.J.,Chang,K.C.N.,Komm,B.S.,Freedman,L.P.,Nagpal,S.Molecular Endrocrinology,January 2009,23(1):74−85を参照)、且つRORγT媒介性疾患又は病態、詳細には自己免疫疾患及び炎症性疾患の治療に有用な化合物、並びにかかる化合物と医薬担体とを含む医薬組成物を提供する。
定義
本明細書において使用される用語は、その通常の意味を有し、かかる用語の意味はその出現毎に独立している。それにも関わらず、及び別途定められる場合を除き、以下の定義が本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて適用される。同じ構造の記述に化学名、一般名、及び化学構造が同義的に用いられ得る。
本明細書で使用されるとき、及び本開示全体を通じて、以下の用語は、特に指示されない限り、以下の意味を有するものと理解されなければならない。
用語「アルキル」は、本明細書で使用されるとき、その水素原子の1つが特定の数の炭素原子を有する結合に置き換えられている脂肪族炭化水素基を指す。ある実施形態において、アルキル基は、例えば1〜4個の炭素原子(C1〜4)のアルキルを含有する。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル及びtert−ブチルが挙げられる。一実施形態において、アルキル基は線状である。別の実施形態において、アルキル基は分枝状である。
用語「ハロゲン」(又は「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素(或いはフルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、及びヨード(I)と称される)を指す。一実施形態において、ハロゲンはF又はClである。別の実施形態において、ハロゲンはFである。
本発明の化合物を記述及び説明する任意の構成物又は任意の式に任意の可変基が2回以上出現するとき、その定義は出現毎に他のあらゆる出現におけるその定義から独立している。また、置換基及び/又は可変基の組み合わせは、かかる組み合わせが安定化合物をもたらす場合に限り許容される。
任意の構成物又は式(I〜III)の化合物に任意の置換基又は可変基が2回以上出現するとき、特に指示されない限り、その定義は、出現毎に他のあらゆる出現におけるその定義から独立している。
用語「精製されている」は、本明細書で使用されるとき、合成プロセスを通じて(例えば、反応混合物から)、天然の供給源から、又はこれらの組み合わせで化合物を分離した後の化合物の物理的状態を指す。用語「精製されている」はまた、本明細書に記載される又は当業者に周知の1つ又は複数の精製プロセス(例えば、クロマトグラフィー、再結晶など)から、本明細書に記載される又は当業者に周知の標準的な分析技法によって特徴付けることが可能な十分な純度で化合物を得た後の化合物の物理的状態も指す。
用語「量」又は「有効量」は、本明細書で使用されるとき、式(I〜III)の化合物及び/又は追加の治療剤、又はその組成物が、RORγT媒介性疾患又は障害に罹患している対象に投与したときに所望の治療的な、改善につながる、阻害性の又は予防的な効果を生じさせるのに有効である量を指す。本発明の併用療法において、有効量とは、各個別の薬剤又は全体としての組み合わせを指すことができ、ここで、投与される全ての薬剤の量は一緒になって有効であるが、その組み合わせ中の構成薬剤は、個別には有効量で存在しないこともある。
「対象」はヒト又は非ヒト哺乳類である。一実施形態において、対象はヒトである。
本明細書における本文、スキーム、例及び表中の不十分な原子価の任意の炭素並びにヘテロ原子は、その原子価を満たすのに十分な数の水素原子を有するものと仮定されることに留意しなければならない。
本発明の化合物
本発明は、式I:
Figure 2018531958
(式中:
Xは、CH又はNであり;
nは、0、1又は2であり;
は、独立に、OH、ハロ又は(C1〜4)アルキルであり;
は、独立に、OH、ハロ、(C1〜4)アルキル、CHF、CHF又はCFであり;及び
は、CHF、CHF又はCFである)に係る化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
より具体的な化合物コレクションは、式Iの特定の可変基について以下の定義に従って記載され得る。特定の実施形態において、nは、1である。特定の実施形態において、Rは、クロロ又はフルオロである。特定の実施形態において、Rは、フルオロである。特定の実施形態において、Rは、クロロ又はフルオロである。特定の実施形態において、Rは、クロロである。特定の実施形態において、Xは、Nである。特定の実施形態において、Xは、CHである。特定の実施形態において、Rは、CFである。特定の実施形態において、本化合物は、遊離酸の形態である。本発明は、式中、nが1であり、Rがフルオロであり、Rがクロロであり、及びXがNであるなど、かかる実施形態のあらゆる組み合わせを包含する。
別の実施形態において、本発明は、式II:
Figure 2018531958
(式中:
Xは、CH又はNであり;
nは、1又は2であり;
は、独立に、OH、ハロ、(C1〜4)アルキル、CHF、CHF又はCFであり;及び
は、CHF、CHF又はCFである)に係る化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
より具体的な化合物コレクションは、式IIの特定の可変基について以下の定義に従って記載され得る。特定の実施形態において、nは、1である。特定の実施形態において、Rは、クロロ又はフルオロである。特定の実施形態において、Rは、クロロである。特定の実施形態において、Xは、Nである。特定の実施形態において、Xは、CHである。特定の実施形態において、Rは、CFである。特定の実施形態において、本化合物は、遊離酸の形態である。本発明は、式中、nが1であり、Rがクロロであり、及びXがNであるなど、かかる実施形態のあらゆる組み合わせを包含する。
別の実施形態において、本発明は、式III:
Figure 2018531958
(式中:
Xは、CH又はNであり;
は、独立に、H、Cl、F、CH又はCHFであり;及び
は、CHF、CHF又はCFである)に係る化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
より具体的な化合物コレクションは、式IIIの特定の可変基について以下の定義に従って記載され得る。特定の実施形態において、Rは、H又はクロロである。特定の実施形態において、一方のRは、クロロであり、且つ他方のRは、水素である。特定の実施形態において、Rは、クロロ又はフルオロである。特定の実施形態において、Rは、クロロである。特定の実施形態において、Xは、Nである。特定の実施形態において、Xは、CHである。特定の実施形態において、Rは、CFである。特定の実施形態において、本化合物は、遊離酸の形態である。本発明は、式中、一方のRがクロロであり、且つ他方のRが水素であり、Rがクロロであり、及びXがNであるなど、かかる実施形態のあらゆる組み合わせを包含する。
本発明に係る例示的な具体的化合物としては、例えば、
3−フルオロ−4−(1−(2−メチル−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)安息香酸;
4−(1−(2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸;
4−(1−(2−クロロ−6−(1−(フルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸;
4−(1−(2−クロロ−3−フルオロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸;
4−(1−(2−(ジフルオロメチル)−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸;
4−(1−(2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−3−フルオロベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸;
3−フルオロ−4−(1−(3−フルオロ−2−メチル−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)安息香酸;及び
4−(1−(2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸、
又はその薬学的に許容可能な塩が挙げられる。
式I、II、及びIIIによって定義される化合物のコレクションは、より具体的には、可変基X、n、R、及びRについて(存在する場合)特定の定義を定める以下の実施形態に従って記載され得る。ある実施形態において、Xは、Nである。ある実施形態において、Xは、CHである。ある実施形態において、nは、1又は2である。ある実施形態において、Rは、独立に、F及びCHである。ある実施形態において、Rは、Fである。ある実施形態において、各Rは、独立に、H、Cl、F、CH、CHF、CHF又はCFである。ある実施形態において、各Rは、独立に、H、Cl、F、CH又はCHFである。
本発明はまた、式I〜IIIの化合物又は精製形態のその薬学的に許容可能な塩も提供する。
特定の実施形態において、式I、II、又はIIIの化合物は、遊離塩基又は遊離酸の形態で提供される(即ち塩形態でない)。
本発明は、本明細書に記載される化合物のプロドラッグ、水和物又は溶媒和物を含む。用語「プロドラッグ」、「水和物」、「塩」、「溶媒和物」、「エステル」などの使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ化合物、又はプロドラッグの塩、溶媒和物、エステル、及びプロドラッグにも同様に適用されることが意図される。
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式(I〜III)の化合物は、不斉中心又はキラル中心を含むことができ、従って異なる立体異性体形態で存在し得る。式(I〜III)の化合物のあらゆる立体異性体形態並びにそれらの混合物が、ラセミ混合物を含め、本発明の一部を成すことが意図される。加えて、本発明は、あらゆる幾何異性体及び位置異性体を包含する。例えば、式(I〜III)の化合物が二重結合又は縮合環を組み込む場合、シス型及びトランス型の両方並びに混合物が本発明の範囲内に包含される。
本明細書に記載される化合物は、不斉中心を含むことができ、従って鏡像異性体として存在し得る。本発明に係る化合物が2つ以上の不斉中心を有する場合、それらは、ジアステレオマーとして更に存在し得る。本発明は、実質的に純粋な分割された鏡像異性体、それらのラセミ混合物、並びにジアステレオマーの混合物としてかかる可能な立体異性体の全てを含む。上記の式(I〜III)は、特定の位置における確定的な立体化学なしに示される。本発明は、式(I〜III)の全ての立体異性体及びその薬学的に許容可能な塩を含む。
鏡像異性体のジアステレオマー対は、例えば好適な溶媒からの分別晶出によって分離することができ、及びこのように得られた鏡像異性体の対は、従来の手段により、例えば分割剤としての光学活性酸又は塩基の使用によるか、又はキラルHPLCカラム上で個々の立体異性体に分離することができる。更に、既知の配置の光学的に純粋な出発物質又は試薬を使用した立体特異的合成により、一般式(I〜III)の化合物の任意の鏡像異性体又はジアステレオマーを得ることができる。
式(I〜III)の化合物の一部は、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってもよく、本発明の一部と見なされる。
本明細書に記載される化合物がオレフィン二重結合を含むとき、特に指定のない限り、かかる二重結合にはE型及びZ型の両方の幾何異性体が含まれることが意図される。
本明細書に記載される化合物の一部は、異なる水素結合点を有して存在し得る。かかる化合物は互変異性体と称される。例えば、カルボニル−CHC(O)−基(ケト型)を含む化合物は互変異性を起こしてヒドロキシル−CH=C(OH)−基(エノール型)を形成し得る。個々にケト型及びエノール型の両方並びにこれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。式I〜IIIの化合物は、異なる互変異性型で存在することができ、かかる形態の全てが本発明の範囲内に包含される。また、例えば、イミン−エナミン型の化合物も本発明に含まれる。
本化合物(本化合物の塩、溶媒和物、エステル、及びプロドラッグ並びにプロドラッグの塩、溶媒和物、及びエステルを含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)、例えば、鏡像異性体型(これは、不斉炭素が存在しない場合であっても存在し得る)、回転異性体型、アトロプ異性体、及びジアステレオマー型を含めた、様々な置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るものなどが、位置異性体と同様に本発明の範囲内で企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば実質的に他の異性体を含まないものであってよく、又は例えばラセミ化合物として、又は他の全ての若しくは他の特定の立体異性体と共に混合されてもよい。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974年勧告により定義されるとおりのS又はR配置を有し得る。

用語「薬学的に許容可能な塩」は、薬学的に許容可能な非毒性の塩基又は酸から調製される塩を指す。本発明の化合物が酸性である場合、その対応する塩は、好都合には、無機塩基及び有機塩基を含め、薬学的に許容可能な非毒性塩基から調製され得る。かかる無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅塩(II及びI)、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III及びII)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が挙げられる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が好ましい。薬学的に許容可能な有機非毒性塩基から調製される塩としては、天然に存在する供給源及び合成供給源の両方から誘導される第一級、第二級、及び第三級アミンの塩が挙げられる。塩を形成し得る薬学的に許容可能な有機非毒性塩基としては、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジル−エチレン−ジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチル−アミノ−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。
本発明の化合物が塩基性である場合、その対応する塩は、好都合には、薬学的に許容可能な非毒性無機酸及び有機酸から調製され得る。かかる酸としては、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、及び酒石酸が好ましい。
式I〜IIIの化合物は、同様に本発明の範囲内にある塩を形成することができる。本明細書における式I〜IIIの化合物への言及は、特に指示されない限りその塩への言及を含むものと理解される。
用語の薬学的に許容可能な塩とは、医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応などなしにヒト及び下等動物の組織への接触に用いるのに好適であり、且つ妥当なリスク対効果比に見合う塩を表す。薬学的に許容可能な塩は当該技術分野において周知である。塩は、本発明の化合物の最終的な分離及び精製中、又は別途、遊離塩基官能基を好適な鉱酸、例えば塩酸、リン酸、又は硫酸など、又は有機酸、例えばアスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、グリコール酸、コハク酸、プロピオン酸、酢酸、メタンスルホン酸などと反応させることにより得ることができる。酸性官能基を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アンモニウム(例えば、ジエチルアミン)又はリチウムなどの有機塩基又は鉱塩基と反応させてもよい。
溶媒和物
本発明は、その範囲内に式(I〜III)の化合物の溶媒和物を含む。本明細書で使用されるとき、用語「溶媒和物」は、溶質(即ち式(I〜III)の化合物)又はその薬学的に許容可能な塩と、溶質の生物学的活性を妨げない溶媒とによって形成される可変化学量論の複合体を指す。溶媒の例としては、限定はされないが、水、エタノール、及び酢酸が挙げられる。溶媒が水であるとき、溶媒和物は水和物として知られる。水和物には、限定はされないが、半水和物、一水和物、セスキ水和物、二水和物及び三水和物が含まれる。
本発明の化合物は、水和物又は溶媒和物を形成し得る。当業者には、荷電化合物が水と共に凍結乾燥されると水和種を形成し、又は適切な有機溶媒と共に溶液中で濃縮されると溶媒和種を形成することが公知である。本発明の1つ以上の化合物は、非溶媒和形態、及び水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒による溶媒和形態で存在してもよく、本発明は、溶媒和形態及び非溶媒和形態の両方を包含することが意図される。「溶媒和物」はまた、本発明の化合物と1つ以上の溶媒分子との物理的会合も意味し得る。この物理的会合は、様々な程度のイオン結合及び水素結合を含めた共有結合を伴う。特定の例では、溶媒和物は、例えば結晶性固体の結晶格子に1つ以上の溶媒分子が取り込まれたときに分離する能力を有し得る。「溶媒和物」は、溶液相の溶媒和物及び分離可能な溶媒和物の両方を包含する。好適な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール付加物、メタノール付加物などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
プロドラッグ
本発明は、その範囲内に本発明の化合物のプロドラッグの使用を含む。一般に、かかるプロドラッグは、生体内で所要化合物に容易に変換可能な本発明の化合物の機能性誘導体であり得る。従って、本発明の治療方法において、用語「投与する」は、式I〜IIIの化合物、又は式I〜IIIの化合物ではないこともあるが、患者への投与後に生体内で式I〜IIIの化合物に変換される化合物による、記載される様々な病態の治療を包含するものとする。好適なプロドラッグ誘導体を選択及び調製する従来の手順は、例えば、“Design of Prodrugs”,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
用語「プロドラッグ」は、生体内で転換して式I〜IIIの化合物又はこの化合物の薬学的に許容可能な塩、水和物又は溶媒和物を生じる化合物(例えば、薬物前駆体)を意味する。転換は、例えば血中での加水分解によるなど、様々な機構によって(例えば、代謝的又は化学的プロセスによって)起こり得る。プロドラッグ及びプロドラッグの使用に関する考察は、T.Higuchi and W.Stella,“Pro−drugs as Novel Delivery Systems”,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series,1987;及びBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987によって提供される。
同位体
一般式(I〜III)の化合物において、原子はその天然同位体存在度を呈してもよく、又は原子の1つ以上について、同じ原子番号を有するが原子質量又は質量数が天然に優勢に見られる原子質量又は質量数と異なる特定の同位体が人工的に濃縮されてもよい。本発明は、一般式I〜IIIの化合物のあらゆる好適な同位体変種を含むことが意図される。例えば、水素(H)の異なる同位体形態には、プロチウム(H)と重水素(H)とが含まれる。プロチウムは、天然に見られる優勢な水素同位体である。重水素の濃縮により、生体内半減期の増加又は必要投薬量の低減など、ある種の治療上の利点がもたらされ得るか、又は生体試料を特徴付ける際の標準として有用な化合物が提供され得る。本開示を踏まえて、一般式(I〜III)の範囲内の同位体濃縮化合物は、当業者に周知の従来技術によるか、又は適切な同位体濃縮試薬及び/又は中間体を用いる本明細書におけるスキーム及び実施例に記載されるものと同様のプロセスにより、過度の実験を行うことなく調製することができる。
有用性
本発明の化合物はレチノイン酸受容体関連オーファン受容体γt(RORγT)との共調節タンパク質の相互作用を変化させて、それによりRORγT媒介転写活性をアンタゴナイズするものであり、従って、自己免疫性及び炎症性疾患及び障害など、RORγTの阻害が望ましい疾患及び病態の治療において有用である。
従って、本発明の別の実施形態は、対象におけるRORγTによって媒介される疾患又は病態を治療する方法であって、対象におけるRORγTによって媒介される疾患又は病態を治療するのに有効な量の式I〜IIIを有する化合物又はその薬学的に許容可能な塩を対象に投与することを含む方法を提供する。
本発明に係る化合物は、治療法に使用することができる。
本発明の更なる態様は、RORγT媒介性疾患又はRORγT媒介性病態の治療への、本発明に係る化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用にある。
本発明の別の態様は、自己免疫疾患、詳細にはTh17ホールマークサイトカインを発現するTh17細胞及び非Th17細胞が顕著な役割を果たす疾患の治療への、一般式(I〜III)を有する化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用にある。これらとしては、限定はされないが、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、強直性脊椎炎及び多発性硬化症の治療が挙げられる。
別の態様において、一般式(I〜III)を有する化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、限定はされないが、呼吸器疾患、骨関節炎及び喘息など、Th17ホールマークサイトカインを発現するTh17細胞及び/又は非Th17細胞が顕著な役割を果たす炎症性疾患の治療に使用することができる。また、一般式(I〜III)を有する化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、限定はされないが、粘膜リーシュマニア症など、Th17ホールマークサイトカインを発現するTh17細胞及び/又は非Th17細胞が顕著な役割を果たす感染症の治療にも使用することができる。
従って、特定の実施形態において、本発明は、自己免疫障害及び炎症性障害からなる群から選択される障害を治療する方法を提供し、この方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される化合物(例えば、式I、II又はIIIの化合物)の治療有効量を投与してその障害を治療することを含む。特定の実施形態において、障害は自己免疫障害である。特定の実施形態において、自己免疫障害は、関節リウマチ、乾癬、クローン病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、慢性移植片対宿主病、急性移植片対宿主病、セリアックスプルー、特発性血栓性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、シェーグレン症候群、強皮症、潰瘍性大腸炎、又は表皮過形成である。特定の他の実施形態において、自己免疫障害は、関節リウマチ、乾癬、クローン病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、又は乾癬である。特定の実施形態において、障害は炎症性障害である。特定の実施形態において、炎症性障害は呼吸器疾患又は骨関節炎である。特定の他の実施形態において、炎症性障害は骨関節炎又は喘息である。
一般式(I〜III)を有する化合物又はその薬学的に許容可能な塩はまた、限定はされないが、川崎病及び橋本甲状腺炎など、Th17ホールマークサイトカインを発現するTh17細胞及び/又は非Th17細胞が顕著な役割を果たす他の疾患の治療にも使用することができる。
一態様において、疾患又は病態は自己免疫疾患又は炎症性疾患である。疾患又は病態には、限定はされないが、多発性硬化症、炎症性腸疾患、クローン病、強直性脊椎炎、乾癬、関節リウマチ、喘息、骨関節炎、川崎病、橋本甲状腺炎又は粘膜リーシュマニア症が含まれる。
別の態様において、本発明に係る化合物は、多発性硬化症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、関節リウマチ、喘息、骨関節炎、川崎病、橋本甲状腺炎及び粘膜リーシュマニア症を治療又は予防する治療法に使用することができる。
別の態様において、本発明に係る化合物は、乾癬の治療又は予防に使用することができる。
更に別の態様において、本発明に係る化合物は、炎症性腸疾患の治療に使用することができる。
更に別の態様において、本発明に係る化合物は、癌の治療に使用することができる。用語の癌には、限定はされないが、結腸直腸癌、肺癌、及び膵癌が含まれる。治療が企図される更なる例示的癌としては、例えば、卵巣癌、黒色腫、乳癌、前立腺癌、腎細胞癌、精巣癌、子宮癌、脳癌、膀胱癌、白血病、B細胞リンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫が挙げられる。
別の態様において、本発明に係る化合物は、結腸直腸癌の治療に使用することができる。
別の態様において、本発明に係る化合物は、肺癌の治療に使用することができる。
別の態様において、本発明に係る化合物は、膵癌の治療に使用することができる。
本発明の別の態様は、RORγの活性を阻害する方法を提供する。本方法は、本明細書に記載される化合物(例えば、式I、II又はIIIの化合物)の有効量にRORγを曝露して前記RORγの活性を阻害することを含む。
本発明の別の態様は、RORγTによって媒介される疾患又は病態の治療用医薬の製造における式I〜IIIの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用を更に含む。
投与経路/投薬量
本発明の化合物は、本発明に係る苦痛、疾患及び病気の治療又は予防のため、温血動物の生体における作用部位との活性成分化合物の接触を生じさせる任意の手段によって投与することができる。例えば、投与は、経口、局所、例えば、経皮、眼内、頬側、鼻腔内、吸入、腟内、直腸、大槽内及び非経口であってもよい。用語「非経口」は、本明細書で使用されるとき、皮下、静脈内、筋肉内、関節内注射又は注入、胸骨内及び腹腔内を含む投与様式を指す。本開示の目的上、温血動物とは、恒常性維持機構を持っている動物界のメンバーであり、哺乳類及び鳥類が含まれる。
化合物は、個々の治療剤としても又は治療剤の組み合わせでも、医薬品と併せて用いられる利用可能な任意の従来手段によって投与することができる。化合物は、単独で投与され得るが、概して、選択の投与経路及び標準的な医薬実践に基づいて選択される医薬担体と共に投与される。
投与される投薬量は、被投与者の年齢、健康及び体重、疾患の程度、存在する場合に併用治療の種類、治療頻度及び所望の効果の性質に依存することになる。通常、活性成分化合物の1日投薬量は1日約1.0〜2000ミリグラムであり得る。通常、所望の結果を達成するのに1つ以上の適用において1日10〜500ミリグラムが有効である。これらの投薬量は、上記に記載される苦痛、疾患及び病気、例えば自己免疫性及び炎症性疾患及び障害の治療及び予防に有効な量である。
組成物には、いずれも投与用の単位剤形の、例えば経口、舌下、皮下、静脈内、筋肉内、経鼻、局所、又は直腸投与などに好適なものが含まれる。
経口投与のために、活性成分は、錠剤、カプセル、散剤、顆粒、溶液、懸濁液など、個別の単位として提供され得る。非経口投与のために、本発明の医薬組成物は、例えば密封されたバイアル及びアンプル内にある例えば所定量の注射液で単位用量又は複数回用量容器に提供されてもよく、また、使用前に滅菌液体担体、例えば水を添加するのみでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。
活性薬剤は、例えば標準的な文献、Gennaro,A.R.et al.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th Edition.,Lippincott Williams&Wilkins,2000、特にPart 5:Pharmaceutical Manufacturingを参照)に記載されるとおり、かかる薬学的に許容可能な助剤と混合されると、圧縮されて丸薬、錠剤などの固形投薬量単位にされ得るか、又はカプセル若しくは坐薬に加工され得る。活性薬剤は、薬学的に許容可能な液体を用いることにより、溶液、懸濁液、エマルションの形態の液体組成物、例えば注射製剤として、又はスプレー、例えば鼻腔内スプレーとして適用することができる。
固形投薬量単位の作製には、充填剤、着色料、ポリマー結合剤などの従来の添加剤の使用が企図される。一般に、活性化合物の機能を妨げない任意の薬学的に許容可能な添加剤を使用することができる。本発明の活性薬剤を固形組成物として共に投与し得る好適な担体としては、好適な量で使用されるラクトース、デンプン、セルロース誘導体など、又はこれらの混合物が挙げられる。非経口投与には、プロピレングリコール又はブチレングリコールなどの薬学的に許容可能な分散剤及び/又は湿潤剤を含有する水性懸濁液、等張生理食塩水及び滅菌注射用溶液を使用し得る。
医薬組成物
本発明の別の態様は、式(I〜III)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤又は担体とを含む医薬組成物を提供する。用語「賦形剤」及び「担体」は同義的に用いられ得る。医薬組成物にあるような用語「組成物」は、1つ又は複数の活性成分と、担体を構成する1つ又は複数の不活性成分(薬学的に許容可能な賦形剤)とを含む生成物、並びに成分の任意の2つ以上の組み合わせ、複合体形成又は凝集から、又は成分の1つ以上の解離から、又は成分の1つ以上の他のタイプの反応又は相互作用から直接又は間接的に生じる生成物を包含することが意図される。従って、本発明の医薬組成物は、式I〜IIIの化合物、追加の1つ又は複数の活性成分、及び薬学的に許容可能な賦形剤を混合することにより作製される任意の組成物を包含する。
本発明の医薬組成物は、活性成分としての式I〜IIIによって表される化合物(又はその薬学的に許容可能な塩)と、薬学的に許容可能な担体と、任意選択で他の治療成分又は補助剤とを含む。本組成物は、経口、直腸、局所、及び非経口(皮下、筋肉内、及び静脈内を含む)投与に好適な組成物を含むが、いかなる場合にも最も好適な経路は、詳細な宿主、並びに活性成分が投与される目的の病態の性質及び重症度に依存することになる。本医薬組成物は、好都合には単位剤形で提供され、製薬技術分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。
活性成分は、カプセル、錠剤、トローチ、糖衣錠、顆粒剤及び散剤などの固形剤形、又はエリキシル剤、シロップ剤、乳剤、分散液、及び懸濁液などの液体剤形で経口投与することができる。活性成分はまた、分散液、懸濁液又は溶液などの滅菌液体剤形で非経口投与することもできる。局所投与用の軟膏、クリーム、滴剤、経皮パッチ又は散剤として、眼球投与用の眼科用液剤又は懸濁液形態、即ち点眼薬として、吸入又は鼻腔内投与用のエアロゾルスプレー又は粉末組成物として、又は直腸又は腟内投与用のクリーム、軟膏、スプレー又は坐薬として活性成分の投与に用いることのできる他の剤形である。
ゼラチンカプセルは、活性成分と、粉末状担体、例えばラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などとを含有する。同様の希釈剤を用いて圧縮錠剤を作製することができる。錠剤及びカプセルは両方とも、数時間にわたる薬物の連続的放出をもたらす徐放製剤として製造することができる。圧縮錠剤は、任意の不快な味をマスクし、且つ錠剤を大気から保護するための糖衣コーティング又はフィルムコーティング、又は胃腸管内で選択的に崩壊させるための腸溶コーティングで覆うことができる。
経口投与用の液体剤形は、患者の受容度を高めるため着色料及び香味料を含有し得る。
一般に、水、好適な油、生理食塩水、デキストロース(グルコース)水溶液、並びに関連する糖液及びプロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどのグリコールは、非経口溶液に好適な担体である。非経口投与用の溶液は、好ましくは活性成分の水溶性塩と、好適な安定化剤と、必要に応じて緩衝物質とを含有する。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸などの抗酸化剤は、単独又は組み合わせのいずれでも好適な安定化剤である。また、クエン酸及びその塩並びにEDTAナトリウムも使用される。加えて、非経口溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチル−又はプロピルパラベン、及びクロロブタノールなどの保存剤を含有し得る。
好適な医薬担体は、この分野の標準的な参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolに記載されている。
吸入による投与には、本発明の化合物は、好都合には、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレーの体裁の形態で送達され得る。本化合物はまた、製剤化されていてもよい粉末として送達されてもよく、この粉末組成物はインサフレーション粉末吸入装置を用いて吸入され得る。吸入に好ましい送達システムは定量吸入(MDI)エアロゾルであり、これはフルオロカーボン又は炭化水素などの好適な噴射剤中にある式I〜IIIの化合物の懸濁液又は溶液として製剤化され得る。
眼球投与には、本化合物が化合物を眼の角膜及び内部領域に浸透させるのに十分な時間にわたって眼表面と接触して保たれるように、適切な眼科用媒体中に式I〜IIIの化合物の適切な重量パーセント溶液又は懸濁液で眼科用製剤を製剤化し得る。
本発明の化合物の投与に有用な医薬剤形としては、限定はされないが、ハード及びソフトゼラチンカプセル、錠剤、非経口注射剤、及び経口懸濁液が挙げられる。
標準的な2ピースハードゼラチンカプセルに各々100ミリグラムの粉末状活性成分、150ミリグラムのラクトース、50ミリグラムのセルロース、及び6ミリグラムのステアリン酸マグネシウムを充填することにより、多数の単位カプセルを調製し得る。
ダイズ油、綿実油又はオリーブ油などの可消化油中の活性成分の混合物を調製して容積式ポンプでゼラチンに注入することにより、100ミリグラムの活性成分を含有するソフトゼラチンカプセルを形成し得る。カプセルは洗浄して乾燥させてもよい。
従来手順により、投薬量単位が100ミリグラムの活性成分、0.2ミリグラムのコロイド状二酸化ケイ素、5ミリグラムのステアリン酸マグネシウム、275ミリグラムの微結晶性セルロース、11ミリグラムのデンプン及び98.8ミリグラムのラクトースとなるように多数の錠剤を調製し得る。適切なコーティングを適用して美味性を高め、又は吸収を遅延させ得る。
注射による投与に好適な非経口組成物は、10重量%のプロピレングリコール中に1.5重量%の活性成分を撹拌することにより調製し得る。この溶液は、注射用水で所定容積にして滅菌し得る。
各5ミリリットルが100ミリグラムの微粉活性成分、100ミリグラムのカルボキシメチルセルロースナトリウム、5ミリグラムの安息香酸ナトリウム、1.0グラムのソルビトール溶液、U.S.P.、及び0.025ミリリットルのバニリンを含有するように水性懸濁液を経口投与用に調製し得る。
本発明の化合物が段階的に又は別の治療剤と併せて投与されるとき、概して同じ剤形が用いられ得る。薬物が物理的な組み合わせで投与されるとき、剤形及び投与経路は、組み合わせる薬物の適合性に応じて選択されなければならない。従って、用語の共投与は、2つの薬剤の同時の又は逐次的な投与、或いは2つの活性成分の多剤混合薬としての投与を含むものと理解される。
本発明はまた、一般式I〜IIIを有する化合物又はその薬学的に許容可能な塩を薬学的に許容可能な助剤及び任意選択で他の治療剤との混合で含む医薬組成物にも関する。助剤は、組成物の他の成分と適合性があり、且つその被投与者に有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。
本発明は、以上に記載したとおりの医薬組成物を前記組成物に好適な包装材料との組み合わせで更に含み、前記包装材料は、以上に記載したとおりの使用に関する組成物の使用説明書を含む。
活性成分又はその医薬組成物の投与の正確な用量及びレジメンは、詳細な化合物、投与経路、及び医薬が投与される個々の対象の年齢及び状態に応じて変わり得る。
一般に非経口投与は、吸収への依存がより大きい他の投与方法よりも低い投薬量で済む。しかしながら、ヒトに対する投薬量は、好ましくは0.0001〜100mg/kg体重を含有する。所望の用量は、1用量として、又は1日を通じて適切な間隔で投与される複数のサブ用量として提供され得る。投薬量並びに投与レジメンは、女性被投与者と男性被投与者との間で異なり得る。
併用療法
本発明の化合物、及びその塩及び溶媒和物、及びその生理学的に機能性の誘導体は、単独で又は不適切なIL−17経路活性に関連する疾患及び病態の治療用の他の治療剤と併用して用いられ得る。従って、本発明に係る併用療法は、式(I〜III)の少なくとも1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、又はその生理学的に機能性の誘導体の投与、及び少なくとも1つの他の薬学的に活性な薬剤の使用を含む。式(I〜III)の1つ又は複数の化合物及び1つ又は複数の他の薬学的に活性な薬剤は、一緒に投与されても又は別個に投与されてもよく、及び別個に投与されるとき、これは同時に又は任意の順序で逐次的に行われ得る。式(I〜III)の1つ又は複数の化合物及び1つ又は複数の他の薬学的に活性な薬剤の量及び投与の相対的なタイミングは、所望の併用治療効果が実現するように選択されることになる。炎症性疾患及び自己免疫疾患、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎、SLE、ブドウ膜炎、アトピー性皮膚炎、COPD、喘息及びアレルギー性鼻炎の治療には、式(I〜III)の化合物が、(1)TNF−a阻害薬;(2)非選択的COX−I/COX−2阻害薬;(3)COX−2阻害薬;(4)グルココルチコイド類、メトトレキサート、レフルノミド、スルファサラジン、アザチオプリン、シクロスポリン、タクロリムス、ペニシラミン、ブシラミン、アクタリット、ミゾリビン、ロベンザリット、シクレソニド、ヒドロキシクロロキン、d−ペニシラミン、金チオリンゴ酸、オーラノフィン又は非経口若しくは経口金、シクロホスファミド、Lymphostat−B、BAFF/APRIL阻害薬及びCTLA−4−Ig又はその模倣体を含めた、炎症性疾患及び自己免疫疾患の治療用の他の薬剤;(5)ロイコトリエン生合成阻害薬、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害薬又は5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト;(6)LTD4受容体拮抗薬;(7)PDE4阻害薬;(8)抗ヒスタミン薬HI受容体拮抗薬;(9)a1−及びa2−アドレナリン受容体作動薬;(10)抗コリン剤;(11)β−アドレナリン受容体作動薬;(12)インスリン様成長因子I型(IGF−1)模倣体;(13)糖質コルチコステロイド;(14)キナーゼ阻害薬、例えば、ヤヌスキナーゼ(JAK 1及び/又はJAK2及び/又はJAK 3及び/又はTYK2)、p38MAPK及びIKK2の阻害薬;(15)リツキシマブなどのB細胞ターゲティング生物学的製剤;(16)アバタセプトなどの選択的共刺激調節因子;(17)IL−1阻害薬アナキンラ、IL−6阻害薬トシリズマブ、及びIL12/IL−23阻害薬ウステキヌマブなどのインターロイキン阻害薬などの1つ以上の他の活性薬剤と併用され得る。また、本発明の化合物は、炎症性疾患及び自己免疫疾患の治療に対する相加的/相乗的応答を得るため抗IL17抗体と併用することもできる。
本発明の化合物、及びその塩及び溶媒和物、及びその生理学的に機能性の誘導体は、単独で又は癌の治療用の他の抗癌剤と併用して用いられ得る。
当業者には、適切な場合、1つ又は複数の他の治療成分を塩の形態で、例えばアルカリ金属塩若しくはアミン塩として、又は酸付加塩、又はプロドラッグとして、又はエステル、例えば低級アルキルエステルとして、又は溶媒和物、例えば水和物として使用してもよく、それによりその治療成分の活性及び/又は安定性及び/又は物理的特徴、例えば溶解度などを最適化し得ることが明らかであろう。また、適切な場合、治療成分は光学的に純粋な形態で使用し得ることも明らかであろう。
上記で言及する併用は、好都合には医薬組成物の形態で用いられるように提供されてもよく、従って上記に定義するとおりの組み合わせを薬学的に許容可能な希釈剤又は担体と一緒に含む医薬組成物が、本発明の更なる態様に相当する。これらの組み合わせは呼吸器疾患において特に興味深く、好都合には吸入又は鼻腔内送達に適合される。
合成方法
本発明の化合物の調製方法を以下のスキーム及び例に示す。当業者には、他の合成プロトコルが容易に明らかであろう。これらの例は、式Iの化合物の調製を例示するものであり、従って本明細書に添付される特許請求の範囲に示される本発明を限定するものと解釈されてはならない。特に指示されない限り、全ての可変基は以上に定義したとおりである。
式Iの最終生成物は、全てNMR及び/又はLCMSによって分析した。中間体はNMR及び/又はTLC及び/又はLCMSによって分析した。ほとんどの化合物は、逆相HPLC、シリカゲルによるMPLC、再結晶化及び/又はスウィッシュ(swish)(溶媒中への懸濁と、続く固形物のろ過)によって精製した。反応過程に続き、薄層クロマトグラフィー(TLC)及び/又はLCMS及び/又はNMRが行われ、及び反応時間はあくまでも例示として提供されるに過ぎない。
本明細書で用いられる略語は以下のとおりである:EtOAc:酢酸エチル;PE:石油エーテル;;DCM:ジクロロメタン;dppf:1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン;AcOH:酢酸;DMAC:N,N−ジメチルアセトアミド;Pd(PPh:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0);Pd(dppf)Cl:[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II);AcO:無水酢酸;LiHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド;PhNTf:N−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド);CPME:シクロペンチルメチルエーテル;DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;TEA:トリエチルアミン;THF:テトラヒドロフラン;DMP:デス−マーチンペルヨージナン;DDQ:2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン;BPD:ビス(ピナコラート)ジボロン;BINAP:1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン;DIBAL−H:水素化ジイソブチルアルミニウム;DAST:三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄。
スキーム1は、式Iの化合物の調製に向けた一般的方法を例示する。THP又はBoc保護3−ハロ−4−アザ−インダゾール又はインドールAから出発し、鈴木カップリングと、続く酸性条件下での脱保護により、遊離4−アザ−インダゾール又はインドール中間体Bが得られた。様々なフルオロメチルシクロプロピル置換塩化ベンゾイル(対応する安息香酸から誘導される)との中間体Bのカップリングと、続くエステル加水分解により、所望の最終生成物Iが提供される。
Figure 2018531958
中間体:
中間体i−1
Figure 2018531958
ステップ1:3−ヨード−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン(i−1a)の調製
THF(136mL)中の3−ヨード−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン(10g、40.8mmol)の混合物に3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(11.7mL、122mmol)及び4−メチルベンゼンスルホン酸(0.70g、4.1mmol)を加えた。この反応混合物を70℃で14時間撹拌し、冷却し、飽和NaHCOが入った分離漏斗に注ぎ入れ、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をHO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(10〜60%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、所望の生成物が得られた。LCMS:330(M+1).
ステップ2:メチル3−フルオロ−4−(1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)ベンゾエート(i−1b)の調製
ジオキサン(3.0mL)及び水(0.5mL)中の3−ヨード−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジンi−1a(300mg、0.91mmol)、(2−フルオロ−4−(メトキシカルボニル)フェニル)ボロン酸(217mg、1.09mmol)、KCO(252mg、1.82mmol)及びPdCl(dppf)(70mg、0.10mmol)の混合物を窒素雰囲気下において70℃で16時間撹拌した。この反応混合物をHOで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗残渣をカラムクロマトグラフィー(5〜20%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、表題化合物を固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.69(d,J=3.6Hz,1H),8.39(t,J=7.4Hz,1H),8.05(d,J=8.4Hz,1H),7.97(d,J=8.0Hz,1H),7.89(d,J=10.8Hz,1H),7.37−7.34(m,1H),5.85(dd,J=8.8Hz,2.2Hz,1H),4.03(d,J=12.0Hz,1H),3.96(s,3H),3.81−3.76(m,1H),2.58−2.54(m,1H),2.19−2.16(m,2H),1.83−1.72(m,3H).LCMS:356(M+1).
ステップ3:メチル3−フルオロ−4−(1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)ベンゾエート(i−1)の調製
HCl/EtOAc(約4M、4.0mL)中のメチル3−フルオロ−4−(1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)ベンゾエートi−1b(313mg、0.881mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。この混合物を飽和NaHCOで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して減圧濃縮して、表題化合物を固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 13.78(s,1H),8.62−8.55(m,2H),8.10(d,J=8.4Hz,1H),7.93(d,J=7.2Hz,1H),7.82(d,J=10.8Hz,1H),7.46−7.43(m,1H),3.87(s,3H).
中間体i−2
Figure 2018531958
ステップ1:tert−ブチル3−ブロモ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート(i−2a)の調製
室温のジオキサン(25mL)中の3−ブロモ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン(0.99g、5.0mmol)の溶液にBOCO(1.28mL、5.5mmol)及びDMAP(0.061g、0.50mmol)を加えた。得られた混合物を室温で14時間撹拌し、HOで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過して濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜25%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、所望の生成物が固体として得られた。LCMS:299(M+1).
ステップ2:tert−ブチル3−(2−フルオロ−4−(メトキシカルボニル)フェニル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート(i−2b)の調製
マイクロ波反応バイアルにtert−ブチル3−ブロモ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレートi−2a(500mg、1.68mmol)、2−フルオロ−4−メトキシカルボニルフェニルボロン酸(666mg、3.37mmol)、KPO(1.07g、5.05mmol)、及びジオキサン(8.4mL)を加えた。この混合物をアルゴンバブリングによって5分間脱気し、続いてPdCl(dppf)(123mg、0.168mmol)を加えた。このバイアルを密封し、80℃で3時間加熱した。この反応混合物を冷却し、セライトでろ過し、THFでリンスした。ろ液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(0〜50%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、所望の生成物が得られた。LCMS:371(M+1).
ステップ3:メチル3−フルオロ−4−(1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)ベンゾエート(i−2)の調製
DCM(2mL)中のtert−ブチル3−(2−フルオロ−4−(メトキシカルボニル)フェニル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレートi−2b(300mg、0.81mmol)の溶液にTFA(0.5mL)を加えた。この反応混合物を室温で3時間撹拌し、飽和NaHCOで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥して濃縮した。この残渣を更なる精製なしに直接使用した。LCMS:271(M+1).
中間体i−3
Figure 2018531958
ステップ1.メチル2−クロロ−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエート(i−3a)の調製
ジオキサン(65mL)中のメチル2−ブロモ−6−クロロベンゾエート(7.50g、30.1mmol)の溶液にビス(ピナコラート)ジボロン(15.3g、60.3mmol)、AcOK(3.54g、36.1mmol)、及びPdCl(dppf)(0.66g、0.90mmol)を加えた。得られた混合物を100℃で18時間撹拌し、冷却し、セライトでろ過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(石油エーテル中0〜3%EtOAc)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.67(d,J=7.4Hz,1H),7.46(d,J=7.8Hz,1H),7.29−7.39(m,1H),3.92(s,3H),1.32(s,12H).LCMS:297(M+1).
ステップ2.メチル2−クロロ−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエート(i−3b)の調製
THF(25mL)及びHO(2mL)中のメチル2−クロロ−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエートi−3a(2.00g、6.74mmol)の溶液に2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン(3.54g、20.2mmol)、KCO(1.86g、13.5mmol)、及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(ii)ジクロリド(120mg、0.17mmol)を加えた。得られた混合物を70℃で5時間撹拌し、冷却し、濃縮した。粗残渣をクロマトグラフィー(0〜5%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.43−7.49(m,1H),7.37(t,J=7.8Hz,1H),7.27−7.32(m,1H),6.08(s,1H),5.66(s,1H),3.86(s,3H).
ステップ3.メチル2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエート(i−3c)の調製
方法A:EtO(約0.25M、300mL)中のジアゾメタンの溶液をDCM(10mL)中のメチル2−クロロ−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエートi−3b(1.03g、3.89mmol)の溶液に加えた。得られた混合物を0℃で24時間撹拌した。この反応物をAcOH(1mL)でクエンチし、濃縮し、シリカによるカラムクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、結果として生じた付加環化中間体2−クロロ−6−(3−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イル)ベンゾエートが得られた。この中間体をキシレン(5.0mL)に取り、130℃で6時間加熱した。この反応混合物を冷却し、フラッシュクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。
方法B:−78℃のTHF(3mL)中のメチル2−クロロ−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエートi−3b(0.21g、0.79mmol)及びジフェニル(メチル)スルホニウムテトラフルオロボレート(0.34g、1.19mmol)の混合物にLiHMDS(2.38mL、THF中1.0M、2.38mmol)を滴下して加えた。この反応混合物を、固体材料が全て消失するまで撹拌し続けた。次に、この反応混合物を徐々に加温して室温にし、NHCl水溶液(15mL)でクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥して濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜8%/EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、所望の生成物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.45(d,J=7.8Hz,1H),7.38−7.43(m,1H),7.35(d,J=7.8Hz,1H),3.95(s,3H),1.33−1.40(m,2H),1.11−1.19(m,2H).
ステップ4.2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)安息香酸(i−3)の調製
ジオキサン(8.0mL)中のメチル2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエート(0.9g、1.6mmol)i−3cの溶液にカリウムトリメチルシラノレート(1.24g、9.7mmol)を加えた。得られた混合物を90℃で4時間加熱した。この混合物を冷却し、HOで希釈し、EtOで抽出した(それにより非極性不純物を除去した)。得られた水層を回収し、2N HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥して濃縮すると、所望の生成物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.36−7.48(m,2H),7.28−7.36(m,1H),1.32−1.41(m,2H),1.15−1.19(m,2H).
中間体i−4
Figure 2018531958
ステップ1:メチル2−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエート(i−4a)の調製
ジオキサン(50mL)中のメチル2−ブロモ−6−安息香酸メチル(4.00g、17.46mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(4.88g、19.21mmol)、酢酸カリウム(5.14g、52.4mmol)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(ii)(0.77g、1.05mmol)の混合物を100℃で18時間撹拌した。この混合物を冷却し、EtOAcで希釈し、ろ過し、EtOAcでリンスした。ろ液を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.52(d,J=7.0Hz,1H),7.27−7.32(m,1H),7.22−7.26(m,1H),3.87(s,3H),2.37(s,3H),1.31(s,12H).
ステップ2:メチル2−メチル−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエート(i−4b)の調製
ジオキサン(15mL)及び水(5mL)中のメチル2−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエートi−4a(1.80g、6.52mmol)、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン(2.28g、13.03mmol)、KCO(2.70g、19.56mmol)、及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(ii)(0.47g、0.64mmol)の混合物を95℃で16時間撹拌した。この混合物を冷却し、EtOAcで希釈し、ろ過し、EtOAcでリンスした。ろ液を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.29−7.35(m,1H),7.24−7.27(m,1H),7.20(d,J=7.4Hz,1H),6.01(s,1H),5.56(s,1H),3.82(s,3H),2.38(s,3H).
ステップ3:メチル2−メチル−6−(3−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3H−ピラゾル−3−イル)ベンゾエート(i−4c)の調製
KOH水溶液(5.50g、10mLの水中98mmol)を0℃のEtO(10mL)中の1−メチル−1−ニトロソウレア(2.00g、19.40mmol)の混合物に慎重に振盪しながら少量ずつ加えた。得られた黄色のEtO相を0℃のDCM(5mL)中のメチル2−メチル−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエートi−4b(1.20g、4.91mmol)の撹拌溶液に慎重に注ぎ入れた。2時間撹拌した後、この反応混合物を加温し、室温で16時間撹拌した。AcOH(0.2mL)を加え、この混合物を10分間撹拌し、次に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜40%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.46(d,J=7.8Hz,1H),7.36(t,J=7.8Hz,1H),7.27(d,J=5.9Hz,1H),4.79−4.87(m,1H),4.55−4.65(m,1H),3.90(s,3H),2.40−2.47(m,1H),2.31(s,3H),1.94−2.07(m,1H).
ステップ4:メチル2−メチル−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエート(i−4d)の調製
キシレン(10mL)中のメチル2−メチル−6−(3−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イル)ベンゾエートi−4c(386mg、1.35mmol)の混合物を150℃で2時間撹拌した。この混合物を冷却し、濃縮すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.34−7.40(m,1H),7.26−7.31(m,1H),7.20(d,J=7.4Hz,1H),3.87−3.96(m,3H),2.31(s,3H),1.31−1.37(m,2H),1.12(brs,2H).
ステップ5:2−メチル−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)安息香酸(i−4)の調製
DMF(5mL)中のメチル2−メチル−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエートi−4d(350mg、1.36mmol)、チオ酢酸カリウム(464mg、4.07mmol)及びトリトン(Triton)(登録商標)X−114(68μL、0.135mmol)の混合物を130℃で2時間撹拌した。この混合物を濃縮し、逆相HPLC(CHCN/HO、0.1%TFA)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.36−7.42(m,1H),7.32(t,J=7.8Hz,1H),7.20−7.25(m,1H),2.43(s,3H),1.34−1.43(m,2H),1.20(brs,2H).
中間体i−5
Figure 2018531958
ステップ1:1−(3−クロロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)フェニル)シクロプロパンカルボニトリル(i−5a)の調製
BINAP(1.09g、1.75mmol)及びPd(dba)(670mg、0.73mmol)をTHF(40mL)中に溶解した。この混合物をN下において室温で10分間撹拌した。得られた混合物に1−ブロモ−3−クロロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)−ベンゼン(5g、14.6mmol)及びシクロプロパンカルボニトリル(1.47g、21.9mmol)、続いてLiHMDS(22mL、22mmol)(THF中1.0M)を加えた。この混合物をN下において80℃で18時間撹拌し、冷却し、飽和NHClでクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(5〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.46(d,J=7.2Hz,2H),7.33−7.42(m,4H),7.18−7.28(m,3H),6.92(d,J=8.4Hz,2H),4.86(s,2H),4.64(s,2H),3.78−3.88(m,3H),1.37−1.46(m,2H),1.21−1.27(m,2H).
ステップ2:1−(3−クロロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)フェニル)シクロプロパンカルバルデヒド(i−5b)の調製
トルエン(30mL)中の1−(3−クロロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)フェニル)シクロプロパンカルボニトリルi−5a(2.0g、6.10mmol)の溶液に−78℃でDIBAL−H(12.2mL、12.2mmol)(1.0M)を加えた。この混合物を0℃に5時間加温させて、次に再び−78℃に冷却した。イソプロピルアルコール(0.5mL)を慎重に滴下して加えた。30分間撹拌した後、この反応混合物を0℃に加温した。この反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜20%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.17(s,1H),7.37−7.44(m,1H),7.30(d,J=8.4Hz,2H),7.17−7.27(m,2H),6.89(d,J=8.6Hz,2H),4.61(s,2H),4.52(s,2H),3.71−3.89(m,3H),1.53−1.58(m,2H),1.39−1.46(m,2H).
ステップ3:1−クロロ−3−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンゼン(i−5c)の調製
DCM(8mL)中の1−(3−クロロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)フェニル)シクロプロパンカルバルデヒド(1g、3.02mmol)i−5bの溶液に0℃でDAST(0.80mL、6.1mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間、次に室温で3時間撹拌した。この混合物を飽和NaHCOでクエンチし、DCMで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(3〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、表題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.29−7.39(m,4H),7.19−7.24(m,1H),6.85−6.95(m,2H),5.60−5.89(m,1H),4.76(s,2H),4.61(s,2H),3.82(s,3H),1.17(s,2H),1.04(brs,2H).
ステップ4:(2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)フェニル)メタノール(i−5d)の調製
DCM(3mL)及びHO(0.5mL)中の1−クロロ−3−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンゼンi−5c(100mg、0.283mmol)の溶液にDDQ(129mg、0.57mmol)を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌し、DCMで希釈し、セライトでろ過した。ろ液をHO及びブラインで洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、濃縮した。MeOH(4mL)中に残渣を取り、続いて0℃でNaBH(21mg、0.567mmol)を加えた。この混合物を1時間撹拌した後、HO(0.5mL)を加えた。この混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜5%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、表題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.38(dd,J=14.2Hz,7.7Hz,2H),7.22−7.26(m,1H),5.51−5.89(m,1H),5.00(s,2H),2.16(d,J=14.7Hz,1H),1.30(s,2H),1.09(brs,2H).
ステップ5:2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)ベンズアルデヒド(i−5e)の調製
DCM(3mL)中の2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)フェニル)メタノールi−5d(70mg、0.30mmol)の溶液に0℃でDMP(255mg、0.60mmol)を加えた。この反応物を0℃で2時間撹拌した。この混合物をDCMで希釈し、ろ過して濃縮した。残渣を分取TLC(10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 10.61(s,1H),7.36−7.57(m,3H),5.97−6.28(m,1H),1.35−1.39(m,2H),0.80(brs,2H).
ステップ6:2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)安息香酸(i−5)の調製
2−メチルブタ−2−エン(182mg、2.60mmol)を0℃のt−BuOH(4mL)中の2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)ベンズアルデヒドi−5e(60mg、0.260mmol)の撹拌混合物に加えた。次に、水(1mL)中の亜塩素酸ナトリウム(31mg、0.343mmol)の溶液を加え、続いてHO(1mL)中のリン酸二水素ナトリウム(62mg、0.52mmol)の溶液を加えた。この反応物を0℃で2時間、次に室温で17時間撹拌した。この混合物をHCl(1.0M)で酸性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.46−7.34(m,3H),6.32−5.96(m,1H),1.30−1.27(m,2H),1.02−0.98(m,2H).
中間体i−6
Figure 2018531958
ステップ1:メチル−2−クロロ−6−(3−(トリメチルシリル)プロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエート(i−6a)の調製
トルエン(150mL)中のメチル−2−ブロモ−6−クロロベンゾエート(4.60g、18.4mmol)、TEA(7.7mL、55mmol)及びアリルトリメチルシラン(2.74g、24.0mmol)の混合物にPd(OAc)(0.21g、0.92mmol)及びdppf(1.02g、1.84mmol)を加えた。この混合物をN雰囲気下において130℃で18時間撹拌した。アリルトリメチルシラン(2.74g、24.0mmol)、TEA(7.7mL、55mmol)、Pd(OAc)(0.21g、0.92mmol)及びdppf(1.02g、1.84mmol)を含めた追加の試薬を加え、この混合物を更に18時間撹拌した。この操作を更にもう1回繰り返した。この混合物を冷却し、HOで希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.30(brs,1H),7.22(s,1H),7.13(d,J=3.5Hz,1H),4.97(d,J=7.8Hz,2H),3.89(s,3H),1.90(s,2H),−0.07(s,9H).
ステップ2:メチル−2−クロロ−6−(3−フルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエート(i−6b)の調製
MeCN(100mL)中のメチル−2−クロロ−6−(3−(トリメチルシリル)プロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエートi−6a(4.50g、15.9mmol)の溶液にセレクトフルオル(14.1g、39.8mmol)を加えた。この混合物を室温で24時間撹拌し、真空濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。LCMS 229(M+1)。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.31−7.43(m,2H),7.20(d,J=7.4Hz,1H),5.52(s,1H),5.29(s,1H),5.09(s,1H),4.98(s,1H),3.81−3.92(m,3H).
ステップ3:メチル−2−クロロ−6−(3−(フルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イル)ベンゾエート(i−6c)の調製
EtO(10mL)中のメチル−2−クロロ−6−(3−フルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエートi−6b(1.00g、4.37mmol)の溶液に0℃でジアゾメタン(43.7mL、21.9mmol、EtO中約0.5M)を加えた。この混合物を室温で18時間撹拌した。次に、この反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(0〜20%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。LCMS:271(M+1).
ステップ4:メチル−2−クロロ−6−(1−(フルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエート(i−6d)の調製
キシレン(50mL)中のメチル−2−クロロ−6−(3−(フルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イル)ベンゾエートi−6c(700mg、2.59mmol)の溶液を150℃で18時間撹拌した。この混合物を冷却し、真空濃縮した。残渣を分取TLC(5%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.39(d,J=6.6Hz,1H),7.29−7.36(m,2H),4.45(s,1H),4.33(s,1H),3.95(s,3H),0.95(s,4H).LCMS:243(M+1)
ステップ5:2−クロロ−6−(1−(フルオロメチル)シクロプロピル)安息香酸(i−6)の調製
DMF(15mL)中のメチル−2−クロロ−6−(1−(フルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエートi−6d(600mg、2.47mmol)の溶液にチオ酢酸カリウム(847mg、7.42mmol)を加え、続いてポリエチレングリコールtert−オクチルフェニルエーテル(トリトン)(127mg、0.247mmol)を加えた。得られた混合物を130℃で1時間加熱した。この混合物を冷却し、HOで希釈し、1M HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を濃縮し、分取HPLCによって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.75−9.98(m,1H),7.41−7.48(m,1H),7.31−7.40(m,2H),4.50(s,1H),4.38(s,1H),0.98−1.10(m,4H).
中間体i−7
Figure 2018531958
ステップ1:6−ブロモ−2−クロロ−3−フルオロベンズアルデヒド(i−7a)の調製
THF(150mL)中の4−ブロモ−2−クロロ−1−フルオロベンゼン(20g、95mmol)の溶液に−78℃でリチウムジイソプロピルアミド(55mL、THF中2.0M、110mmol)を滴下して加えた。得られた混合物を−78℃で2時間撹拌した。次に、DMF(11mL、142mmol)を加え、この反応混合物を−78℃で更に2時間撹拌した。この反応物を飽和NHClでクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 10.71(s,1H),8.36(dd,J=8.6Hz,4.7Hz,1H),8.18(t,J=8.8Hz,1H).
ステップ2:6−ブロモ−2−クロロ−3−フルオロ安息香酸(i−7b)の調製
t−BuOH(100mL)中の6−ブロモ−2−クロロ−3−フルオロベンズアルデヒドi−7a(7g、29.5mmol)及び2−メチルブタ−2−エン(10.3g、147mmol)の溶液に0℃でHO(20mL)中のリン酸二水素ナトリウム(7.07g、59.0mmol)の溶液を加え、続いてHO(20mL)中の亜塩素酸ナトリウム(3.47g、38.3mmol)を滴下して加えた。この反応混合物を室温で18時間撹拌した。次に、HCl水溶液(1M)でpHを慎重に約5〜6に調整した。この混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機分をNaSOで乾燥させて濃縮すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.34(dd,J=8.8Hz,4.1Hz,1H),6.93(t,J=8.6Hz,1H).
ステップ3:6−ブロモ−2−クロロ−3−フルオロベンゾイルクロリド(i−7c)の調製
DCM(60mL)中の6−ブロモ−2−クロロ−3−フルオロ安息香酸i−7b(5g、19.7mmol)の溶液に(COCl)(6mL、68.5mmol)を加え、続いて触媒DMF(0.3mL、3.87mmol)を加えた。この反応混合物を室温で4時間撹拌して濃縮し、次のステップに直接使用した。
ステップ4:メチル6−ブロモ−2−クロロ−3−フルオロベンゾエート(i−7d)の調製
MeOH(50mL)中の6−ブロモ−2−クロロ−3−フルオロベンゾイルクロリドi−7c(5.36g、19.71mmol)の混合物を85℃で18時間撹拌した。この混合物を冷却し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.48(dd,J=8.6Hz,4.3Hz,1H),7.11(t,J=8.6Hz,1H),4.01(s,3H).
ステップ5:メチル2−クロロ−3−フルオロ−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエート(i−7e)の調製
下においてジオキサン(50mL)中のメチル6−ブロモ−2−クロロ−3−フルオロベンゾエートi−7d(2.7g、10.1mmol)の溶液にKOAc(1.29g、13.1mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(5.13g、20.2mmol)、及びPdCl(dppf)(0.37g、0.51mmol)を加えた。この反応混合物を80℃で18時間撹拌した。この混合物をろ過し、EtOAcでリンスした。ろ液を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物が固体として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.69(dd,J=8.0Hz,5.2Hz,1H),7.19(t,J=8.4Hz,1H),3.94(s,3H),1.29−1.39(m,12H).
ステップ6:メチル2−クロロ−3−フルオロ−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエート(i−7f)の調製
下においてジオキサン(20mL)及びHO(4mL)中のメチル2−クロロ−3−フルオロ−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエートi−7e(4g、6.4mmol)の溶液にKCO(2g、14.5mmol)、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン(8g、45.7mmol)及びPdCl(dppf)(0.23g、0.32mmol)を加えた。この反応混合物を80℃で18時間撹拌した。この混合物をセライトでろ過し、EtOAcでリンスした。ろ液をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過して濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 7.66(t,J=8.9Hz,1H),7.48(dd,J=8.6Hz,4.6Hz,1H),6.28(s,1H),5.81(s,1H),3.83(s,3H).
ステップ7:メチル2−クロロ−3−フルオロ−6−(3−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イル)ベンゾエート(i−7g)の調製
EtO(15mL)中のメチル2−クロロ−3−フルオロ−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエート(800mg、2.55mmol)i−7fの溶液に0℃でジアゾメタン(60mL、30.0mmol、EtO中0.5M)の溶液を滴下して加えた。この反応混合物を0℃で2時間、次に室温で18時間撹拌した。この混合物をAcOH(2mL)でクエンチし、減圧濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.64(dd,J=8.7Hz,4.5Hz,1H),7.30(d,J=8.7Hz,1H),4.86−5.01(m,1H),4.57−4.71(m,1H),3.88−4.00(m,3H),2.45(m,1H),1.92−2.02(m,1H).
ステップ8:メチル2−クロロ−3−フルオロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエート(i−7h)の調製
キシレン(20mL)中のメチル2−クロロ−3−フルオロ−6−(3−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−イル)ベンゾエートi−7g(650mg、2.02mmol)の溶液を130℃で3時間撹拌した。この混合物を冷却し、濃縮すると、表題化合物が得られた。
ステップ9:2−クロロ−3−フルオロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)安息香酸(i−7)の調製
DMF(8mL)中のメチル2−クロロ−3−フルオロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエートi−7h(590mg、1.989mmol)の混合物にカリウムエタンチオエート(681mg、5.97mmol)及びTRITON(登録商標)X−405(102mg、0.199mmol)を加えた。この混合物を130℃で2時間撹拌し、冷却し、濃縮した。残渣をHO(20mL)中に溶解し、1M HClでPH=5〜6に酸性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.49(dd,J=8.5Hz,4.7Hz,1H),7.21−7.26(m,1H),1.43(t,J=6.0Hz,2H),1.22(brs,2H).
中間体i−8
Figure 2018531958
ステップ1:(2,6−ジブロモフェニル)メタノール(i−8a)の調製
MeOH(120mL)中の2,6−ジブロモベンズアルデヒド(12g、45.5mmol)の溶液にNaBH(1.89g、50.0mmol)を少量ずつ加えた。この混合物を室温で1時間撹拌し、飽和NHClで徐々にクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.55(d,J=7.9Hz,1H),7.02(t,J=7.9Hz,1H),5.00(d,J=6.6Hz,2H).
ステップ2:1,3−ジブロモ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンゼン(i−8b)の調製
0℃のDMF(100mL)中の(2,6−ジブロモフェニル)メタノールi−8a(9.6g、36.1mmol)の溶液にNaH(60%、2.2g、54mmol)を少量ずつ加えた。この混合物を室温で更に30分間撹拌し続け、続いてPMBCl(8.8g、54mmol)を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌し、飽和NHClでクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.54(d,J=7.9Hz,1H),7.35(d,J=8.4Hz,1H),7.01(t,J=7.9Hz,1H),6.89(d,J=8.4Hz,2H),4.81(s,2H),4.58(s,2H),3.81(s,3H).
ステップ3:3−ブロモ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンズアルデヒド(i−8c)の調製
−78℃のトルエン(5mL)中の1,3−ジブロモ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンゼンi−8b(210mg、0.544mmol)の溶液にn−BuLi(0.26mL、0.65mmol)を滴下して加えた。得られた混合物を−78℃で1.5時間撹拌し、続いてDMF(0.063mL、0.82mmol)を加えた。この反応混合物を−78℃で更に5時間撹拌し続け、NHCl水溶液で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜3%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 10.24−10.36(m,1H),7.73−7.91(m,2H),7.21−7.38(m,3H),6.88(d,J=8.6Hz,2H),5.02(s,2H),4.52−4.61(m,2H),3.73−3.87(m,3H).
ステップ4:1−ブロモ−3−(ジフルオロメチル)−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンゼン(i−8d)の調製
DCM(15mL)中の3−ブロモ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンズアルデヒドi−8c(960mg、2.86mmol)の溶液にDAST(1.135mL、8.59mmol)を加えた。得られた混合物を40℃で3時間撹拌した。この混合物を冷却し、続いてMeOH(2mL)を加えた。この混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(0〜1%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.67(d,J=7.9Hz,1H),7.60(d,J=7.7Hz,1H),7.22−7.25(m,3H),6.85−7.12(m,1H),6.88(d,J=8.4Hz,2H),4.78(s,2H),4.51(s,2H),3.79(s,3H).
ステップ5:(2−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)フェニル)メタノール(i−8e)の調製
室温のDCM(20mL)中の1−ブロモ−3−(ジフルオロメチル)−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンゼンi−8d(1.60g、4.48mmol)の溶液にDDQ(1.22g、5.38mmol)を加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌し続け、飽和NaSOでクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、表題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.71(d,J=7.9Hz,1H),7.56(d,J=7.7Hz,1H),7.25−7.30(m,1H),4.93(d,J=5.1Hz,2H),2.01(d,J=5.5Hz,1H).
ステップ6:2−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)ベンズアルデヒド(i−8f)の調製
DCM(15mL)中の(2−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)フェニル)メタノールi−8e(780mg、3.29mmol)の溶液にDMP(1.68g、3.95mmol)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、飽和NaHCOで希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 10.50(s,1H),7.82(t,J=7.6Hz,2H),7.27−7.58(m,2H).
ステップ7:2−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)安息香酸(i−8g)の調製
O(6.0mL)中のリン酸二水素ナトリウム(1.48g、12.3mmol)及び亜塩素酸ナトリウム(446mg、4.94mmol)の溶液をt−BuOH(15mL)中の2−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)ベンズアルデヒドi−8f(580mg、2.47mmol)及び2−メチルブタ−2−エン(3.46g、49.4mmol)の溶液に加えた。得られた混合物を室温で2.5時間撹拌し、飽和NaSOでクエンチし、ヘキサンで抽出した。水層を分離し、HCl水溶液で酸性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.77(d,J=7.9Hz,1H),7.65(d,J=7.9Hz,1H),7.39−7.49(m,1H),6.75−7.11(m,1H).
ステップ8:メチル2−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)ベンゾエート(i−8h)の調製
二塩化オキサリル(1.03mL、11.8mmol)をDCM(15mL)中の2−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)安息香酸i−8g(590mg、2.35mmol)及びDMF(9.1μL、0.118mmol)の溶液に加えた。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮した。酸塩化物を含有する得られた残渣にMeOH(20.0mL)を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮すると、表題化合物が得られた。
ステップ9:メチル2−(ジフルオロメチル)−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエート(i−8i)の調製
PdCl(dppf)(84mg、0.12mmol)をジオキサン(15mL)中の2−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)ベンゾエート(i−8h)(609mg、2.3mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.169g、4.60mmol)及びKOAc(271mg、2.76mmol)の混合物に加えた。得られた混合物を80℃で16時間撹拌し、冷却し、HO及びEtOAcで希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜4%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.76(dd,J=10.9Hz,7.8Hz,1H),7.49−7.60(m,1H),6.92−7.23(m,1H),3.90(s,3H),1.34(s,12H).
ステップ10:メチル2−(ジフルオロメチル)−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエート(i−8j)の調製
ジオキサン(10mL)及びHO(1.0mL)中のメチル2−(ジフルオロメチル)−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエートi−8i(395mg、0.861mmol)の溶液に2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン(602mg、3.44mmol)、KCO(238mg、1.72mmol)、及びPdCl(dppf)(63mg、0.086mmol)を加えた。得られた混合物を70℃で20時間撹拌した。この混合物を冷却し、EtOAc、ブラインで希釈し、NaSOで乾燥して濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜3%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.75(d,J=7.7Hz,1H),7.58(t,J=7.7Hz,1H),7.45−7.52(m,1H),6.78−7.14(m,1H),6.08(s,1H),5.59(s,1H),3.85(s,3H).
ステップ11:メチル2−(ジフルオロメチル)−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエート(i−8k)の調製
−78℃のTHF(3mL)中のメチル2−(ジフルオロメチル)−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエートi−8j(50mg、0.178mmol)、ジフェニル(メチル)スルホニウムテトラフルオロボレート(77mg、0.268mmol)の混合物にLiHMDS(0.625mL、0.625mmol)を徐々に加えた。加える間、反応温度は−60℃未満に保った。この反応物を固形物全てが溶液に溶けるまでN雰囲気下で撹拌させた。次に、この反応混合物を室温に徐々に加温し、12時間撹拌した。この反応混合物を飽和NHClで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.67(d,J=7.7Hz,2H),7.51−7.57(m,1H),6.67−7.04(m,1H),3.95(s,3H),3.85(s,1H),1.39−1.47(m,2H),1.15(brs,2H).
ステップ12:2−(ジフルオロメチル)−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)安息香酸(i−8)の調製
カリウムトリメチルシラノレート(65mg、0.507mmol)を1,4−ジオキサン(1mL)中のメチル2−(ジフルオロメチル)−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエート(50mg、0.17mmol)の撹拌混合物に加えた。この混合物を90℃で18時間撹拌した。この混合物を冷却し、HOで希釈し、ヘキサンで抽出した。得られた水層を2M HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥して濃縮すると、表題化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.72(d,J=7.7Hz,2H),7.55−7.62(m,1H),6.83−7.17(m,1H),1.48(s,2H),1.26(brs,2H).
中間体i−9
Figure 2018531958
ステップ1:1−ブロモ−3−クロロ−4−フルオロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンゼン(i−9a)の調製
0℃のDMF(40mL)中の(6−ブロモ−2−クロロ−3−フルオロフェニル)メタノール(3.5g、14.6mmol)の溶液にNaH(0.95g、23.75mmol、鉱油中60%)を加え、この反応混合物を0℃で30分間撹拌した。次に、1−(クロロメチル)−4−メトキシベンゼン(2.75g、17.5mmol)を加えた。この混合物を室温に加温し、18時間撹拌した。この混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(0〜5%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が固体として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.48(dd,J=8.8Hz,5.1Hz,1H),7.34(d,J=8.4Hz,2H),7.02(t,J=8.5Hz,1H),6.89(d,J=8.4Hz,2H),4.73−4.85(m,1H),4.58(s,1H),3.74−3.90(m,1H).
ステップ2:1−(3−クロロ−4−フルオロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)フェニル)シクロプロパンカルボニトリル(i−9b)の調製
4,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)−10H−フェノキサジン(0.48g、0.87mmol)及びPd(dba)(0.363g、0.396mmol)をTHF(30mL)が入ったフラスコに加えた。この混合物をN下において室温で10分間撹拌した。次に、1−ブロモ−3−クロロ−4−フルオロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンゼンi−9a(2.85g、7.93mmol)及びシクロプロパンカルボニトリル(0.74g、11.0mmol)を加え、続いてリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(13mL、13.00mmol)を直ちに加えた。この混合物をN下において80℃で18時間撹拌した。この混合物を室温に冷却し、NHCl水溶液で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過して濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜20%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が油として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.46(d,J=7.5Hz,2H),7.29−7.33(m,1H),7.10(t,J=8.5Hz,1H),6.92(d,J=8.4Hz,2H),4.81−4.91(m,2H),4.60−4.71(m,2H),3.83(s,3H),1.57−1.64(m,2H),1.37−1.46(m,2H).
ステップ3:1−(3−クロロ−4−フルオロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)フェニル)シクロプロパンカルバルデヒド(i−9c)の調製
トルエン(15mL)中の1−(3−クロロ−4−フルオロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)フェニル)シクロプロパンカルボニトリルi−9b(1.20g、3.47mmol)の溶液に室温でDIBAL−H(7.3mL、7.3mmol)を加え、この混合物を室温で2時間撹拌した。この混合物を0℃に冷却し、i−PrOH(8mL)を加えた。0℃で30分間撹拌した後、反応混合物に2M HCl(2mL)を加えた。得られた混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、ろ過し、EtOAcでリンスした。ろ液を濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜20%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が油として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 9.08(s,1H),7.30(d,J=8.8Hz,2H),7.15−7.18(m,1H),7.07−7.13(m,1H),6.90(d,J=8.6Hz,2H),4.59(s,2H),4.52(s,2H),3.82(s,3H),1.57−1.59(m,2H),1.39−1.46(m,2H).
ステップ4:2−クロロ−4−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−1−フルオロ−3−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンゼン(i−9d)の調製
DCM(10mL)中の1−(3−クロロ−4−フルオロ−2−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)フェニル)シクロプロパンカルバルデヒドi−9c(650mg、1.864mmol)の混合物に室温でDAST(0.8mL、6.1mmol)を加え、この混合物を室温で18時間撹拌した。この混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が油として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.28−7.41(m,3H),7.09(t,J=8.5Hz,1H),6.91(d,J=7.9Hz,2H),5.51−5.81(m,1H),4.76(brs,2H),4.61(brs,2H),3.82(s,3H),1.16(brs,2H),1.03(brs,2H).
ステップ5:(2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−3−フルオロフェニル)メタノール(i−9e)の調製
DDQ(294mg、1.30mmol)を室温でDCM(3mL)及び水(0.5mL)中の2−クロロ−4−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−1−フルオロ−3−(((4−メトキシベンジル)オキシ)メチル)ベンゼンi−9d(240mg、0.647mmol)の混合物に加えた。この混合物を室温で1時間撹拌し、NaSO水溶液(飽和、20mL)でクエンチし、DCMで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過して濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜20%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物がゴムとして得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.34(dd,J=8.4Hz,5.3Hz,1H),7.11(t,J=8.4Hz,1H),5.45−5.79(m,1H),5.01(brs,2H),2.05−2.23(m,1H),1.25−1.36(m,2H),1.01−1.17(m,2H).
ステップ6:2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−3−フルオロベンズアルデヒド(i−9f)の調製
DMP(508mg、1.197mmol)を0℃のDCM(4mL)中の(2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−3−フルオロフェニル)メタノールi−9e(150mg、0.60mmol)の溶液に加え、この混合物を室温で3時間撹拌した。この混合物をDCMで希釈し、ろ過し、DCM(20mL)でリンスした。ろ液を濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜10%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が固体として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 10.58(s,1H),7.48(dd,J=8.4Hz,5.1Hz,1H),7.32(t,J=8.4Hz,1H),5.83−6.22(m,1H),1.32−1.40(m,2H),0.80(brs,2H).
ステップ7:2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−3−フルオロ安息香酸(i−9)の調製
2−メチルブタ−2−エン(367mg、5.23mmol)を室温でtert−ブタノール(4mL)中の2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−3−フルオロベンズアルデヒドi−9f(130mg、0.52mmol)の溶液に加えた。次に、それぞれ水(1mL)中のリン酸二水素ナトリウム(113mg、0.94mmol)及び水(1mL)中の亜塩素酸ナトリウム(60mg、0.66mmol)の溶液を加えた。この混合物を室温で18時間撹拌した。この混合物を2M HCl(1mL)でクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過して濃縮すると、表題化合物が固体として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.43(dd,J=8.5Hz,4.8Hz,1H),7.22(t,J=8.5Hz,1H),5.92−6.22(m,1H),1.27−1.30(m,2H),0.97−1.02(m,2H).
中間体i−10
Figure 2018531958
ステップ1:3−フルオロ−6−ヨード−2−メチル安息香酸(i−10a)の調製
DMF(30mL)中の3−フルオロ−2−メチル安息香酸(3g、19.5mmol)の溶液にNIS(4.82g、21.4mmol)及びPd(OAc)(437mg、1.95mmol)を加えた。この混合物を100℃で2時間撹拌した。この反応混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が固体として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.65(dd,J=8.6Hz,4.8Hz,1H),6.87(t,J=8.8Hz,1H),2.36(d,J=1.8Hz,3H).
ステップ2:メチル3−フルオロ−6−ヨード−2−安息香酸メチル(i−10b)の調製
DCM(30mL)中の3−フルオロ−6−ヨード−2−メチル安息香酸i−10a(3.7g、13.2mmol)の溶液に二塩化オキサリル(5.0g、39.6mmol)及びDMF(48mg、0.66mmol)を加えた。この混合物を室温で0.5時間撹拌し、次に濃縮した。残渣をメタノール(40mL)中に溶解し、混合物を室温で18時間撹拌した。この混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(1:20EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が固体として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.60(dd,J=8.2Hz,5.1Hz,1H),6.82(t,J=8.8Hz,1H),3.96(s,3H),2.24(s,3H).
ステップ3:メチル3−フルオロ−2−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエート(i−10c)の調製
ジオキサン(5mL)中のメチル3−フルオロ−6−ヨード−2−安息香酸メチルi−10b(0.5g、1.7mmol)の溶液に4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(0.77g、3.1mmol)、酢酸カリウム(217mg、2.21mmol)及びPdCl(dppf)(62mg、85umol)を加えた。この混合物をN下において100℃で18時間撹拌した。この混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(1:100〜1:20EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が固体として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.54−7.62(m,1H),7.06(t,J=8.8Hz,1H),3.89(s,3H),2.26(d,J=1.5Hz,3H),1.32(s,12H).
ステップ4:メチル3−フルオロ−2−メチル−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエート(i−10d)の調製
水(1mL)及びジオキサン(7mL)中のメチル3−フルオロ−2−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾエートi−10c(680mg、2.31mmol)、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン(2.02g、11.6mmol)の溶液に炭酸カリウム(639mg、4.62mmol)及びPdCl(dppf)(84mg、116umol)を加えた。この混合物をN下において100℃で18時間撹拌した。この混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(1:100〜1:20EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物(210mg)が油として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.15−7.22(m,1H),7.06−7.13(m,1H),6.02(s,1H),5.56(s,1H),3.83(s,3H),2.27(d,J=1.98Hz,3H).
ステップ5:メチル3−フルオロ−2−メチル−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエート(i−10e)の調製
メチル3−フルオロ−2−メチル−6−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−エン−2−イル)ベンゾエートi−10d(0.5g、1.9mmol)及びメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート(1.10g、3.81mmol)をTHF(5mL)中に溶解し、この混合物を−78℃に冷却した。リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(7.63mL、7.63mmol)を滴下して加え、加える間、温度は−60℃未満に保った。この混合物を−78℃で1時間撹拌し、次に室温に加温し、18時間撹拌した。この反応混合物をNHCl水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過して濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜5%EtOAc/ヘキサン)によって精製すると、表題化合物が油として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.35(dd,J=8.5Hz,5.2Hz,1H),7.01−7.10(m,1H),3.88−3.97(m,3H),2.21(d,J=2.2Hz,3H),1.30−1.38(m,2H),1.10(brs,2H).
ステップ6:3−フルオロ−2−メチル−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)安息香酸(i−10)の調製
カリウムトリメチルシラノレート(195mg、1.52mmol)をジオキサン(1.5mL)中のメチル3−フルオロ−2−メチル−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾエートi−10e(140mg、0.51mmol)の溶液に加えた。この混合物を90℃で18時間撹拌した。この混合物を冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。水層を収集し、2M HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過して濃縮すると、表題化合物が固体として得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.38(dd,J=8.2Hz,5.3Hz,1H),7.03−7.15(m,1H),2.32(d,J=1.8Hz,3H),1.35−1.43(m,2H),1.18(brs,2H).
実施例1A
Figure 2018531958
ステップ1:メチル4−(1−(2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロベンゾエート(1A−1)の調製
0℃のDCM(30mL)中の2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)安息香酸i−3(20g、76mmol)の溶液にDMF(0.28g、3.8mmol)を加え、続いて塩化オキサリル(19g、151mmol)を滴下して加えた。加えた後、この反応混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮した。得られた粗製酸塩化物をTHF(210mL)中に溶解し、続いて0℃でメチル3−フルオロ−4−(1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)ベンゾエートi−1(HCl塩、21g、68mmol)、DMAP(16.7g、136mmol)、及びTEA(20.7g、205mmol)を加えた。加えた後、冷却浴を取り除き、反応混合物を80℃で12時間撹拌した。この反応混合物を冷却し、HOで希釈し、DCMで抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥して濃縮した。粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜50%ヘキサン/EtOAc)によって精製して、所望の生成物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.92−8.99(m,1H),8.83−8.91(m,1H),8.23(t,J=7.4Hz,1H),7.90−7.99(m,1H),7.82(d,J=10.6Hz,1H),7.55−7.66(m,2H),7.43−7.51(m,2H),3.94(s,3H),1.33−1.44(m,1H),1.17−1.31(m,2H),0.83−0.96(m,1H).
ステップ2:4−(1−(2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸(1A)の調製
THF(300mL)中のメチル4−(1−(2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロベンゾエート1A−1(32.9g、64mmol)の溶液に1M LiOH(142ml、142mmol)を加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌し、LCMS完全な変換を示した。次に、1M HCl(100ml、100mmol)を滴下して加えた。次に、500mgの最終生成物(フロントランから)をシードとして加え、続いて更なる1N HCl(42ml、42mmol)を加えた。次に、350mlのHOを加えた。得られた懸濁液を室温で30分間撹拌した。所望の最終生成物が白色の固体として得られ、ろ過して真空下で乾燥させた。H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.98(d,J=8.6Hz,1H),8.88(dd,J=3.7Hz,1.0Hz,1H),8.16(t,J=7.4Hz,1H),7.91−7.99(m,1H),7.83(d,J=10.2Hz,1H),7.55−7.70(m,2H),7.43−7.52(m,2H),1.18−1.43(m,4H),0.92(s,1H).LCMS:504(M+1).
実施例1B
Figure 2018531958
ステップ1:メチル4−(1−(2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロベンゾエート(1B−1)の調製
室温のTHF(1.0mL)中のメチル3−フルオロ−4−(1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)ベンゾエートi−2(60mg、0.222mmol)の溶液にNaH(27mg、0.67mmol、鉱油中60%)を加えた。この混合物を20分間撹拌し、続いて2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイルクロリド(約0.55mmol、1.0mL THF中に溶解)を加えた(実施例1Aの合成に記載した同じ手順に従うことにより調製した)。この反応混合物を室温で20分間撹拌し、飽和NHClで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機分をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥して濃縮した。この粗残渣を更なる精製なしに次のステップで使用した。LCMS:517(M+1).
ステップ2:4−(1−(2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸(1B)の調製
室温のTHF(1.0mL)/MeOH(1.0mL)中のメチル4−(1−(2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロベンゾエート1B−1(前のステップからの粗製アリコート、30mg、0.058mmol)の溶液に2M LiOH(0.29ml、0.58mmol)を加えた。この混合物を室温で3時間撹拌した。この混合物を2N HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機分を濃縮した。残渣を逆相HPLC(HO/CHCN、0.1%TFA含有)によって精製すると、最終生成物が固体として得られた。H NMR(DMSO−d6,600MHz)δ 13.29(brs,1H),8.73−8.88(m,2H),7.57−7.89(m,5H),1.24−1.42(m,3H),0.92−1.00(m,1H).MS:503(M+1).
以下の表1に示す例は、1A又は1Bの合成について記載される同様の手順に従って調製したものであり、有機合成の技術分野の当業者によって実現され得る。
Figure 2018531958
Figure 2018531958
Figure 2018531958
ラットPKを収集するための実験手順:
絶食雄ウィスターハノーバーラットにおいて、それぞれ1mg/kg及び0.5mg/kg又は0.05mg/kgのPO及びIV投与後の薬物動態パラメータを決定した。化合物はPO投与及びIV投与の両方について、20/60/20のDMSO/PEG400/HOで製剤化した。投与した動物から採取した血漿試料は、100μLの血漿に30μLの2%ギ酸を加えることにより酸性化して、潜在的なアシル−グルクロニド代謝産物を安定化させた。試料のクリーンアップは、200μLのアセトニトリルを個々の対象試料の50μLアリコートに加えることによる一段階タンパク質沈殿技法によって行った。試料をボルテックスすることにより均一に混合し、次に3500rpmで10分間遠心にかけた。上清(200μL)を回収し、アリコートをLC−MS/MSに注入して分析した。薬物動態パラメータは、確立されたノンコンパートメント方法を用いて計算した。血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)をWatsonソフトウェア(バージョン7.3)又はPhoenix Professional(バージョン6.2.1)を用いて、上りの傾きは線形台形補間法及び下りの傾きは対数台形補間法で決定した。最終計測可能濃度から無限大までのAUCの部分は式Ct/kel(式中、Ctは最終計測可能濃度を表し、kelは排出速度定数である)から推定した。後者は濃度対時間曲線から、片対数プロットの終末相における線形回帰によって決定した。
Figure 2018531958
生物学的アッセイ
本発明の化合物はRORγT活性を阻害する。RORγT活性の活性化は、例えば生化学的TR−FRETアッセイを用いて計測することができる。かかるアッセイでは、補因子由来ペプチドとヒトRORγTリガンド結合ドメイン(LBD)との相互作用を計測することができる。TR−FRET技法は、補因子由来ペプチドの存在下におけるリガンドとLBDとの相互作用に関する情報を与える高感度の生化学的近接性アッセイである(Zhou et al.,Methods 25:54−61,2001)。
RORγTの新規アンタゴニストを同定するため、RORγTとそのコアクチベーターペプチドSRC1_2との相互作用を用いるアッセイを開発した。このペプチドは、コアクチベーターのそのLXXLL(例えば、NRボックス)モチーフとの相互作用を介したRORγTへの動員を模倣する(Xie et al.,J.Immunol.175:3800−09,2005;Kurebayashi et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.315:919−27,2004;Jin et al.,Mol.Endocrinology 24:923−29,2010)。RORγリガンド結合ドメインTR−FRETアッセイは以下のプロトコルに従って行った。
HISタグ付加RORγ−LBDタンパク質を大腸菌(Escherichia coli)で組換え発現させた。RORγ−LBDタンパク質をNi2+アフィニティ樹脂によって精製した。次に、精製タンパク質をアッセイ緩衝液(50mMトリス pH7.0、50mM KCl、1mM EDTA、0.1mM DTT、100mg/mlウシ血清アルブミン、脱脂済み)に3nMのRORγ−LBD最終濃度となるように希釈した。ユウロピウムタグ付加抗HIS抗体もこの溶液に加えた(1.25nM)。別途、いかなる組換えタンパク質も発現しないSF9細胞を溶解し(25mMトリス、50mM NaCl中32,000細胞/ml)、予め凍結したライセートを希釈RORγ−LBD溶液に15mlの希釈RORγ−LBD当たり0.75ml SF9ライセートの比率で加えた。
試験する化合物を、Echo 550液体ハンドラー(Labcyte,CA)による音響的液滴吐出(Acoustic Droplet Ejection)技術を用いて384ウェルアッセイプレートに注入した。
コアクチベーターSRC1からのビオチン化LXXLLペプチド(ビオチン−SPSSHSSLTERHKILHRLLQEGSP)(配列番号1)のストック及びAPCコンジュゲートストレプトアビジン(最終濃度それぞれ100nM及び8nM)も各ウェルに加えた。
最終的アッセイ混合物を4℃で一晩インキュベートし、室温に加温し、Envisionプレートリーダーで蛍光シグナルを計測した:(励起フィルタ=340nm;APC発光=665nm;ユウロピウム発光=615nm;ダイクロイックミラー=D400/D630;遅延時間=100μs、積分時間=200μs)。665nmの蛍光シグナルを615nmの蛍光シグナルで除した商から試験化合物のIC50値を計算した。
本発明の代表的な化合物のIC50値を以下に記載する。
Figure 2018531958
参照による援用
本明細書において参照される特許文献及び科学論文の各々の開示全体は、あらゆる目的のために参照によって援用される。
均等物
本発明は、その趣旨又は本質的特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具体化され得る。従って、前述の実施形態は、あらゆる点で本明細書に記載される本発明を限定するよりむしろ例示するものと見なされなければならない。従って、本発明の範囲は、前述の説明によるのではなく、添付の特許請求の範囲によって指示され、及び範囲内のあるあらゆる変更形態である。

Claims (25)

  1. 式I:
    Figure 2018531958
    (式中:
    Xは、CH又はNであり;
    nは、0、1又は2であり;
    は、独立に、OH、ハロ又は(C1〜4)アルキルであり;
    は、独立に、OH、ハロ、(C1〜4)アルキル、CHF、CHF又はCFであり;及び
    は、CHF、CHF又はCFである)に係る化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  2. 式II:
    Figure 2018531958
    (式中:
    Xは、CH又はNであり;
    nは、1又は2であり;
    は、独立に、OH、ハロ、(C1〜4)アルキル、CHF、CHF又はCFであり;及び
    は、CHF、CHF又はCFである)によって表される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  3. 式III:
    Figure 2018531958
    (式中:
    Xは、CH又はNであり;
    は、独立に、H、Cl、F、CH又はCHFであり;及び
    は、CHF、CHF又はCFである)によって表される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  4. は、クロロ又はフルオロである、請求項1に記載の化合物。
  5. は、フルオロである、請求項1に記載の化合物。
  6. nは、1である、請求項1、2、4、又は5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. は、クロロ又はフルオロである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. は、クロロである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  9. Xは、Nである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. Xは、CHである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
  11. は、CFである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  12. 遊離酸の形態である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
  13. 3−フルオロ−4−(1−(2−メチル−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)安息香酸;
    4−(1−(2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸;
    4−(1−(2−クロロ−6−(1−(フルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸;
    4−(1−(2−クロロ−3−フルオロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸;
    4−(1−(2−(ジフルオロメチル)−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸;
    4−(1−(2−クロロ−6−(1−(ジフルオロメチル)シクロプロピル)−3−フルオロベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸;
    3−フルオロ−4−(1−(3−フルオロ−2−メチル−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−3−イル)安息香酸;及び
    4−(1−(2−クロロ−6−(1−(トリフルオロメチル)シクロプロピル)ベンゾイル)−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)−3−フルオロ安息香酸
    から選択される化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、1つ以上の薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
  15. 請求項13に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、1つ以上の薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
  16. 療法に用いられる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
  17. 療法に用いられる、請求項13に記載の化合物。
  18. 自己免疫障害及び炎症性障害からなる群から選択される障害を治療する方法であって、それを必要としている対象に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量を投与して前記障害を治療することを含む方法。
  19. 前記障害は、自己免疫障害である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記自己免疫障害は、関節リウマチ、乾癬、クローン病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、慢性移植片対宿主病、急性移植片対宿主病、セリアックスプルー、特発性血栓性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、シェーグレン症候群、強皮症、潰瘍性大腸炎、又は表皮過形成である、請求項18又は19に記載の方法。
  21. 前記自己免疫障害は、関節リウマチ、乾癬、クローン病、炎症性腸疾患、又は多発性硬化症である、請求項18又は19に記載の方法。
  22. 前記障害は、炎症性障害である、請求項18に記載の方法。
  23. 前記炎症性障害は、呼吸器疾患又は骨関節炎である、請求項18又は22に記載の方法。
  24. 前記炎症性障害は、骨関節炎又は喘息である、請求項18又は22に記載の方法。
  25. RORγの活性を阻害する方法であって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物の有効量にRORγを曝露させて前記RORγの活性を阻害することを含む方法。
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