以下、実施の形態に係るピッキングシステムを、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明される実施の形態は、包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ(工程)、並びにステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、以下の実施の形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
[実施の形態]
まず、図1及び図2を参照して、実施の形態に係るピッキングシステム100の構成を説明する。なお、図1は、実施の形態に係るピッキングシステム100を備える物流倉庫1の内部の模式的な平面図である。図2は、実施の形態に係るピッキングシステム100の機能的な構成を示すブロック図である。本実施の形態では、ピッキングシステム100は、物流倉庫1に配置されるとして説明する。しかしながら、これに限定されるものでなく、ピッキングシステム100は、配送センター、工場等の物品を仕向先に仕分けするいかなる用途にも適用され得る。
物流倉庫1は、物品を在庫又は保管し、設定された仕向先に物品を分配して出荷するために用いられる。ピッキングシステム100は、在庫又は保管されている物品から、要求された物品を抽出し、仕向先に分配して出荷するために用いられるシステムである。
物流倉庫1内では、安全柵7で囲まれた格納領域2内に、物品を在庫するための複数の在庫ラック3が配置されている。本実施の形態では、3列の在庫ラック3が、互いに間隔をあけて配置されている。これらの在庫ラック3は、在庫エリア3Aを形成している。各在庫ラック3は、水平方向及び鉛直方向に並ぶ複数の棚4を含む。棚4は、各在庫ラック3が水平方向に延びる方向である長手方向に沿って、2つの列を形成するように配置されている。各在庫ラック3では、その長手方向に対する両側方の2つの側面からの物品の出し入れが可能である。格納領域2内では、物品は、段ボール箱又はその他のケースに入れられた状態で、取り扱われる。その他のケースの一例として、プラスチック等で構成される折り畳み式のケース、所謂、折り畳みコンテナが挙げられる。また、物品は、物流倉庫1で取り扱われる種々の物品を意味する。
3つの在庫ラック3の間及び周囲に沿って、スタッカクレーン5の軌道6が配置されている。限定するものではないが、本実施の形態では、軌道6は、物流倉庫1の図示しない天井又は梁等から吊り下げられたレールである。軌道6には、複数のスタッカクレーン5が配置されている。限定するものではないが、本実施の形態では、スタッカクレーン5は、軌道6から垂下した状態で、軌道6に沿って移動する懸垂型のスタッカクレーンである。懸垂型のスタッカクレーンの荷台は、上下方向に延びるマストに沿って上下移動する。各スタッカクレーン5は、軌道6に沿って移動することによって、各在庫ラック3の周囲を周回することができる。このような軌道6は、3つの在庫ラック3を囲む3つの周を形成するように配置されている。スタッカクレーン5は、その移動方向の左右両側から物品を受け取ることができ、左右両側へ物品を送りだすことができる。例えば、スタッカクレーン5は、各在庫ラック3の各棚4への物品の出し入れを行うことができる。スタッカクレーン5は、懸垂型に限定されず、天井等から吊り下げられる天井クレーン型であってもよく、床上の軌道を走行する床上型であってもよい。また、物品を移動する装置は、スタッカクレーン5に限定されず、物品を上下方向及び水平方向に移動することができる構成を有するいかなる積卸装置又は搬送装置であってもよい。ここで、スタッカクレーン5は、入出庫台車の一例である。
周を形成する軌道6の外側の位置に、2つの仮置ラック10が配置されている。2つの仮置ラック10は、3つの在庫ラック3の並び方向で、3つの在庫ラック3の両隣に配置され、軌道6に沿って水平方向DAに延びる。具体的には、2つの仮置ラック10は、安全柵7の位置に配置されている。各仮置ラック10は、水平方向に延び且つ鉛直方向に並ぶ複数の棚段11を含む。棚段11は、各仮置ラック10の長手方向でもある方向DAに沿って、1つの列を形成するように配置されている。スタッカクレーン5は、各仮置ラック10の各棚段11に対する物品の受け取り及び送りだしを行うことができる。ここで、仮置ラック10は、ラックの一例である。
また、物流倉庫1には、在庫などの物品の管理、仮置ラック10でのピッキング作業管理、及びスタッカクレーン5の運転管理等を行うために、制御装置30が配置されている。制御装置30は、各スタッカクレーン5が備えるコントローラ5aと、有線又は無線で通信し、コントローラ5aに指令を出力する。コントローラ5aは、受け取った指令に基づき、スタッカクレーン5の動作、例えば、軌道6上での移動、並びに、物品の受け取り及び送り出し動作等を制御する。本実施の形態では、制御装置30は、無線通信を介して各コントローラ5aと通信する。また、制御装置30は、仮置ラック10の報知部13〜15の制御等も行う。また、制御装置30は、格納領域2の外で運用されるカート50に搭載された端末装置52に、物品の仕向先情報等の種々の情報を出力する。制御装置30と仮置ラック10との通信、及び、制御装置30と端末装置52との通信は、有線通信であってもよく無線通信であってもよい。
制御装置30は、コンピュータ装置であってもよく、MPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、プロセッサ、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)などの回路であってもよく、ICカード(Integrated Circuit Card)又は単体のモジュール等であってもよい。制御装置30は、単独でコンピュータ装置又はモジュールを構成してもよく、コンピュータ装置等の他の装置に組み込まれてもよい。上記有線通信には、既存のいかなる有線通信が適用されてもよい。上記無線通信には、既存のいかなる無線通信が適用されてもよい。例えば、上記無線通信には、Wi−Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)などの無線LAN(Local Area Network)が適用されてもよく、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の近距離無線通信が適用されてもよい。
さらに、図3〜図5を参照して、仮置ラック10の詳細な構成を説明する。なお、図3は、図1の物流倉庫1の仮置ラック10の構成を示す模式的な斜視図である。図4は、図3の仮置ラック10を、格納領域2の外側から見た正面図である。図5は、棚段11の並び方向の側方から見た図3の仮置ラック10の模式的な側面図である。仮置ラック10は、上下方向に並ぶ複数段の棚段11と、棚段11を支持する枠12とを有している。
最下段の棚段11aは、物品を仕向先に送るための仕向先ケース22が置かれるように構成されている。ここで、棚段11aは、第2の棚段の一例である。仕向先ケース22は、例えば、上部が開放された段ボール箱である。棚段11aの棚板は、複数の棚板11aaで構成されている。各棚板11aaには、1つの仕向先ケース22が載置されるように構成されている。棚板11aaは、仮置ラック10の長手方向DAに沿って並べられている。各棚板11aaは、長手方向DAに垂直な水平方向である仮置ラック10の短手方向DB(図1参照)において、枠12の幅よりも長く形成されている。格納領域2の外側において、各棚板11aaの端部11aa1は、枠12から突出し、端部11aa1の先端は、下方に向かって湾曲している。これにより、仕向先ケース22は、枠12から部分的に突出した状態で、棚板11aa上に載置され得る。
最下段から上方へ2段目の棚段11bは、在庫ラック3から取り出された在庫ケース21が置かれるように構成されている。ここで、棚段11bは、第1の棚段の一例である。在庫ケース21は、例えば、物品を含む段ボール箱又は折り畳みコンテナである。棚段11bの棚板は、複数の棚板11baで構成されている。各棚板11baには、1つ以上の在庫ケース21が載置されるように構成されている。本実施の形態では、1つの棚板11baに3つの在庫ケース21が載置され得る。棚板11baは、仮置ラック10の長手方向DAに沿って並べられている。各棚板11baは、仮置ラック10の短手方向DBにおいて、枠12の幅と同等以下の長さで形成されている。
最下段から上方へ3段目以上の棚段11cは、仕向先ケース22への物品の投入後の在庫ケース21が置かれるように構成されている。ここで、棚段11cは、第3の棚段の一例である。棚段11cの棚板は、複数の棚板11caで構成されている。各棚板11caには、1つ以上の在庫ケース21が載置されるように構成されている。本実施の形態では、1つの棚板11caに3つの在庫ケース21が載置され得る。棚板11caは、仮置ラック10の長手方向DAに沿って並べられている。各棚板11caは、仮置ラック10の短手方向DBにおいて、枠12の幅と同等以下の長さで形成されている。
また、仮置ラック10の枠12には、第一報知部13、第二報知部14及び第三報知部15が設けられている。第一報知部13、第二報知部14及び第三報知部15は、枠12における格納領域2の外側の部材に配置され、格納領域2の外側に向けられている。具体的には、第一報知部13は、枠12における最下段の棚段11aと2段目の棚段11bとの間の横架部材に配置されている。第二報知部14は、枠12における2段目の棚段11bと3段目の棚段11cとの間の横架部材に配置されている。第三報知部15は、枠12における棚段11cの上方の横架部材に配置され、例えば、3段目の棚段と4段目の棚段との間の横架部材に配置されている。これに限定されるものではないが、本実施の形態では、第一報知部13、第二報知部14及び第三報知部15は、有線通信を介して制御装置30と接続されているが、無線通信を介してもよい。
図2にも示されるように、第一報知部13は、第一表示装置13a及び第一入力装置13bを有し、第二報知部14は、第二表示装置14a及び第二入力装置14bを有し、第三報知部15は、第三入力装置15bを有している。第一表示装置13a及び第二表示装置14aは、例えば、表示ランプであるが、液晶パネル等のディスプレイであってもよい。第一入力装置13b、第二入力装置14b及び第三入力装置15bは、例えば、押しボタンであるが、スイッチ、レバー、キー又はタッチパネル等であってもよい。第一表示装置13a及び第二表示装置14aの表示動作は、制御装置30によって制御される。第一入力装置13b、第二入力装置14b及び第三入力装置15bへの入力結果は、制御装置30に送られる。
また、カート50は、複数の車輪を備え、車輪を介して人力によって自在に移動可能である。しかしながら、カート50は、カート50が備える原動機、電動機等の動力装置によって移動する構成であってもよく、他の車両によって牽引されて移動する構成であってもよい。カート50は、その天板上に、在庫ケース21等のケースを置くことができるように構成され、さらに、天板上に、端末装置52を備えている。また、カート50は、天板の下に、複数の折り畳んだ仕向先ケース22、つまり、ダンボ−ル箱と、複数の折り畳んだ在庫ケース21、つまり、折り畳みコンテナとを収容するように構成されている。
端末装置52は、コンピュータ装置であってもよく、例えば、パーソナルコンピュータ又はタブレット等であってよい。端末装置52は、キー、タッチパネルなどの入力装置、及び、ディスプレイなどの表示装置を備える。端末装置52は、有線通信又は無線通信を介して、制御装置30と通信する。有線通信は、いかなる有線通信でもよく、例えば、有線LANであってもよい。無線通信は、制御装置30に関して上述したような無線通信であってよく、例えば、無線LANであってもよい。端末装置52は、在庫ケース21及び仕向先ケース22等に付与された情報を読み取るリーダ装置53を備え、例えば、リーダ装置53は、バーコードリーダである。端末装置52は、物品の投入完了後の仕向先ケース22に貼り付ける出荷伝票、及び、在庫ケース21の物品情報を示すバーコードなどを出力するプリンタ等を備えてもよい。制御装置30は、各仕向先に対応する物品及びその数量のようなオーダー情報、在庫ラック3における物品の在庫情報、在庫ラック3から仮置ラック10に移された物品の情報等の種々の情報を端末装置52に送る。端末装置52は、リーダ装置53で読み込んだ在庫ケース21、仕向先ケース22及び出荷伝票の情報等を制御装置30に送る。出荷伝票の情報には、仕向先、物品の種類及び数量等が含まれる。
本実施の形態に係るピッキングシステム100は、制御装置30と、スタッカクレーン5と、仮置ラック10と、カート50と、端末装置52とを備える。
次に、図1、図2及び図6を参照して、実施の形態に係るピッキングシステム100の動作を説明する。図6は、実施の形態に係るピッキングシステム100の動作の流れを示すシーケンス図である。
まず、ステップS101において、物流倉庫1のオペレータが、複数の仕向先と、各仕向先に納入する物品とを対応付けた一連のオーダー情報を、制御装置30に入力する。つまり、各仕向先及び各物品が対応付けられて、制御装置30に入力される。例えば、図7に示すテーブルのように、番号B1〜Bjの仕向先のそれぞれに、当該仕向先に納入される番号A1〜Aiの物品の数量が対応付けられた情報が、制御装置30に入力され、制御装置30は、この情報を保持する。図7は、実施の形態に係るピッキングシステム100におけるオーダー情報の一例を示す図である。
ステップS102において、制御装置30は、図7に示すテーブルに基づき、カート50の端末装置52へ、各仕向先と各仕向先に納入すべき物品とを対応付けた情報を送信する。カート50とカート50を操作する作業者とは、仮置ラック10を挟んで格納領域2と反対側に位置する。制御装置30は、仮置ラック10の最下段の複数の棚板11aaに対して、番号B1〜Bjの仕向先を指定する情報を送信してもよい。例えば、図4に示すように、最下段の棚段11aには、n個の棚板11aaがあり、これらの棚板11aaには、D1〜Dnの番号が付与されている。本実施の形態では、nは15個である。制御装置30は、例えば、図8に示すテーブルのように、数量jの仕向先それぞれを、n個の棚板11aaに割り当てる。なお、図8は、実施の形態に係るピッキングシステム100による仮置ラック10への在庫ケース21及び仕向先ケース22の配置例を示す図である。jは、nよりも大きくてもよい。この場合、制御装置30は、数量jの仕向先から数量nの仕向先を選び、選んだ仕向先それぞれを、n個の棚板11aaに割り当てる。制御装置30は、この割り当て情報も端末装置52へ送信する。残りの数量j−nの仕向先については、選んだ仕向先への物品の梱包後に処理される。
次いで、ステップS103において、端末装置52は、制御装置30から情報を受信し、受信した情報を、端末装置52のディスプレイに表示する。表示される情報は、各仕向先と各仕向先に納入すべき物品とを対応付けた情報と、番号D1〜Dnの棚板11aaに割り当てられた番号B1〜Bjの仕向先の情報とであってもよい。
ステップS103に続くステップS104において、格納領域2の外に位置する作業者は、カート50に積まれている折り畳み状態の段ボール箱を、箱形状に組み立てて仕向先ケース22を形成し、仮置ラック10の最下段の棚段11aの棚板11aaそれぞれに載置する。図3に示すように、仕向先ケース22は、上部が開放した状態の段ボール箱である。このとき、作業者は、端末装置52のプリンタから、仕向先の情報を含むバーコード等の情報シートを印刷し、仕向先ケース22に貼り付ける。情報シートには、図8のテーブルで設定された仕向先と棚板11aaとの関係に基づき、情報シートが貼り付けられた仕向先ケース22が配置されるべき棚板11aaの番号が表示されていてもよい。これにより、作業者は、表示番号に従って、仕向先ケース22を所定の番号の棚板11aaに配置することができる。又は、作業者が、仕向先ケース22の情報シートのバーコートをリーダ装置53で読み取ると、端末装置52が、そのディスプレイに、バーコードの仕向先に対応する棚板11aaの番号を表示する。作業者は、ディスプレイに表示される番号に従って、仕向先ケース22を当該番号の棚板11aaに配置してもよい。また、作業者は、図5に示すように、棚板11aaの端部11aa1の近傍に、仕向先ケース22を配置する。これにより、仕向先ケース22の上部の開口が、仮置ラック10よりも突出し、開口を通じた仕向先ケース22内への物品の投入が容易になる。
ステップS102に並行して、ステップS105において、制御装置30は、各スタッカクレーン5へ、複数の仕向先に納入する物品を含む在庫ケース21を、在庫ラック3から仮置ラック10へ移動する指令を送信する。このとき、制御装置30は、仮置ラック10の2段目の棚段11bの複数の配置位置のうちで、各在庫ケース21を載置する配置位置を指定する。例えば、図4に示すように、棚段11bには、m個の配置位置があり、これらの配置位置には、C1〜Cmの番号が付与されている。本実施の形態では、mは15である。制御装置30は、棚段11bの各番号の配置位置に載置すべき番号A1〜Aiの物品の情報を、各スタッカクレーン5及び端末装置52へ送信する。なお、iは、mよりも大きくてもよい。この場合、制御装置30は、i個の物品からm個の物品を選び、選んだ物品の情報を各スタッカクレーン5等へ送信する。残りのi−m個の物品については、選んだ物品の仕分け後に、処理される。
さらに、制御装置30は、仕向先が設定された最下段の棚段11aの棚板11aaのそれぞれの上方の棚段11bの配置位置又はその近傍に、当該仕向先への納入物品の在庫ケース21が載置されるように、棚板11aaの仕向先と棚段11bの配置位置の物品とを組み合わせてもよい。これにより、仕向先が設定された棚板11aaと、当該仕向先に納入する物品の棚段11bの配置位置とが近くなるように配置することができ、後述する物品の分配作業が効率的になる。この場合、制御装置30は、図8に示すテーブルのような組み合わせを決定し得る。図8のテーブルでは、番号D1〜Dnの棚板11aaそれぞれに設定される番号B1〜Bjの仕向先と、番号C1〜Cmの棚段11bの配置位置それぞれに設定される番号A1〜Aiの物品との関係が、各仕向先に納入する物品の数量と共に示されている。
ステップS106において、各スタッカクレーン5は、在庫ラック3から、制御装置30が指定した物品を含む在庫ケース21を取り出し、仮置ラック10に運搬する。さらに、各スタッカクレーン5は、運搬する在庫ケース21を、当該在庫ケース21内の物品に対して指定された棚段11bの配置位置に載置する。具体的には、図8のテーブルに示すように、番号C1〜Cmの棚段11bの配置位置それぞれに、番号A1〜Aiの物品のいずれかを含む在庫ケース21が配置される。在庫ケース21は、1種類の物品のみを含み、開封前の段ボール箱又は折り畳みコンテナで構成される。
ステップS104及びS106の後のステップS107において、作業者は、2段目の棚段11bの在庫ケース21のうちから1つを選択して取り出し、カート50の上に載置する。そして、ステップS109において、作業者は、在庫ケース21内の物品20(図3参照)を、当該物品の仕向先に対応する仕向先ケース22内に分配する。在庫ケース21が段ボール箱の場合、作業者は段ボール箱を開封して、上記作業を行い、在庫ケース21が折り畳みコンテナの場合、作業者はそのまま上記作業を行う。なお、制御装置30は、効率的なピッキングが実現されるように、棚段11bから在庫ケース21を取り出す順序を決定してもよい。制御装置30は、取り出すべき在庫ケース21の配置位置の番号を、端末装置52に送信し表示させてもよく、第二報知部14に送信し、第二表示装置14aに表示させてもよい。
ステップS107の取出作業において、作業者は、仮置ラック10において取り出した在庫ケース21の上方にある第二報知部14の第二入力装置14bに入力を与えてもよい。この入力情報は、当該在庫ケース21の取出情報として、制御装置30に送信される。図3及び図4に示されるように、第二報知部14は、番号C1〜Cmの棚段11bの配置位置それぞれの上方に配置されている。
その後のステップS108において、制御装置30は、第二入力装置14bへの入力結果から、当該第二入力装置14bに対応する配置位置を特定し、当該配置位置の在庫ケース21内の物品を特定する。そして、制御装置30は、特定した物品の仕向先に対応する棚板11aaの番号を特定する。ここで、図3及び図4に示されるように、第一報知部13は、番号D1〜Dnの棚板11aaそれぞれの上方に配置されている。なお、在庫ケース21内の物品を特定する情報は、作業者が、リーダ装置53で在庫ケース21の情報シートのバーコードを読み込むことによって、端末装置52から制御装置30に送られてもよい。
さらに、制御装置30は、特定した番号の棚板11aaに対応する第一報知部13に信号を送信し、当該第一報知部13の第一表示装置13aに点灯表示させる。なお、第一表示装置13aは、第一報知部13の下方の棚板11aa上の仕向先ケース22内に入れるべき物品の数量を表示してもよい。又は、端末装置52が、ディスプレイに物品の数量を表示してもよい。これにより、作業者は、ステップS109において、カート50上の在庫ケース21内の物品を分配すべき棚板11aaの位置を視認することができ、当該棚板11aa上の仕向先ケース22に物品を容易に分配することができる。
又は、作業者は、カート50上の在庫ケース21に貼り付けられた情報シートのバーコードをリーダ装置53で読み取ってもよい。端末装置52は、リーダ装置53の読み取り結果から在庫ケース21を特定し、これにより、在庫ケース21内の物品を特定する。そして、端末装置52は、図8のテーブルに基づき、特定した物品の仕向先に対応する仮置ラック10の棚板11aaの番号及び物品の数量を、ディスプレイに表示する。作業者は、ステップS109において、ディスプレイの表示を確認することによって、カート50上の在庫ケース21内の物品を、棚板11aa上の仕向先ケース22に分配する。
また、ステップS108と並行して、ステップS110において、制御装置30は、第二報知部14又は端末装置52から情報を受け取ることによって、在庫ケース21が取り出された棚段11bの配置位置を特定する。制御装置30は、特定した配置位置に、新たな在庫ケース21を配置するように、スタッカクレーン5に指令を与える。このとき、制御装置30は、仕向先ケース22への分配がまだ完了していない物品の在庫ケース21を選定し、選定した在庫ケース21に対して、ステップS102〜S109の処理を繰り返す。
ステップS110に続くステップS111において、スタッカクレーン5は、制御装置30によって特定された棚段11bの配置位置、つまり、在庫ケース21が取り出された配置位置に、在庫エリア3A内の在庫ケース21を移載する。
ステップS112において、作業者は、仕向先ケース22内への物品の投入が完了していなければ(ステップS112でNO)、ステップS115に進む。仕向先ケース22内への物品の投入が完了すれば(ステップS112でYES)、作業者は、仕向先ケース22を、上部開口を塞いで梱包する。さらに、作業者は、端末装置52を用いて、そのプリンタから、当該仕向先ケース22の仕向先の情報を含む出荷伝票を印刷し、仕向先ケース22に貼り付ける。さらにまた、作業者は、図5に示すように、出荷伝票貼り付け後の仕向先ケース22を、棚板11aa上で、格納領域2に向かって方向DB(図1参照)に沿って移動させる。このように、棚板11aaは、方向DBに沿う棚段11bの奥行き方向で、1つの仕向先ケース22よりも長く形成されている。なお、棚板11aaがスライド可能である場合、作業者は、棚板11aaをスライドさせてもよい。これにより、格納領域2からスタッカクレーン5による仕向先ケース22の取り出しが可能になる。そして、作業者は、仕向先ケース22の移動後、当該棚板11aaの上方の第一報知部13の第一入力装置13bに入力を与える。この入力情報は、制御装置30に送信される。
次のステップS113において、制御装置30は、当該情報を発信した第一報知部13に対応する棚板11aaの位置を特定し、当該棚板11aaの仕向先ケース22を、出荷する指令を、スタッカクレーン5に送る。次のステップS114において、指令を受け取ったスタッカクレーン5は、最下段の棚段11aの梱包済みの仕向先ケース22を図示しない出荷場所に移動する。出荷場所は、図1に示す安全柵7の近傍の仮置ラック10以外の場所に設定されてもよく、仮置ラック10の4段目以上の棚段に設定されてもよい。仕向先ケース22が載置されていない棚板11aaが生じると、制御装置30は、ステップS102と同様に、未処理の仕向先を当該棚板11aaに割り当て、この割り当て情報を端末装置52へ送信する。そして、未処理の仕向先についても、上述のように、納入すべき物品の投入が行われる。
ステップS112及びS114に続くステップS115において、作業者は、在庫ケース21内の物品の仕向先ケース22への分配が完了し、棚段11bに在庫ケース21が残っていれば(ステップS112でYES)、棚段11bから別の在庫ケース21を取り出すために、ステップS107の処理に進む。これにより、ステップS108〜S114の処理が繰り返される。上述のように、作業者は、棚段11bの在庫ケース21を順に取り出し、各在庫ケース21内の物品を棚段11a上の各仕向先ケース22に分配する。そして、順に梱包される仕向先ケース22は、最下段の棚段11aから出荷される。また、分配完了後、棚段11bに在庫ケース21がなければ(ステップS112でNO)、ステップS116の処理に進む。
ステップS115において、作業者は、カート50上の在庫ケース21内の物品の分配完了後、物品がまだ残っており、在庫ケース21が折り畳みコンテナであれば、3段目以上の棚段11cの複数の配置位置のうちの1つに、在庫ケース21を載置する。物品がまだ残っており、在庫ケース21が段ボール箱であれば、作業者は、カート50に積んでいる折り畳みコンテナを箱状に組み立て、段ボール箱内の物品を、より丈夫な折り畳みコンテナに移し替え、さらに当該折り畳みコンテナに物品等に関する情報シートを貼り付けて、当該折り畳みコンテナを在庫ケース21として、棚段11cの配置位置に載置する。図4に示すように、棚段11cには、k個の配置位置があり、これらの配置位置には、E1〜Ekの番号が付与されている。第三報知部15は、番号E1〜Ekの棚段11cの配置位置それぞれの上方に配置されている。作業者は、在庫ケース21を棚段11cの配置位置に載置すると、当該配置位置の上方の第三報知部15の第三入力装置15bに入力を与えてもよい。これにより、制御装置30は、物品の分配が完了した在庫ケース21が当該配置位置に配置されたことを認識する。又は、作業者、端末装置52に、物品の分配が完了した在庫ケース21及びその棚段11cの配置位置の情報を入力して、制御装置30に送信してもよい。
制御装置30は、受信した棚段11cにおける在庫ケース21及びその配置位置の情報に基づき、スタッカクレーン5を動作させ、当該在庫ケース21を在庫エリア3Aの在庫ラック3に運搬させる。つまり、余剰な物品が、在庫ラック3に返却される。
また、在庫ケース21内の物品の全てを仕向先ケース22に分配した場合、作業者は、端末装置52への入力を介して、この情報を制御装置30に送信してもよい。例えば、上記情報は、在庫ケース21内の物品の分配完了後、分配すべき当該物品がさらに必要である否かの情報を含んでもよい。これにより、制御装置30は、ステップS110において、不足する物品を、在庫ラック3から仮置ラック10へ運搬させる指令を、スタッカクレーン5に送信する。
なお、物品の分配が完了した在庫ケース21は、棚段11bに置かれていてもよい。この場合、制御装置30は、棚段11bの当該在庫ケース21を、スタッカクレーン5に取り出させ、在庫ラック3に運搬させてもよい。例えば、ステップS107及びS109において、作業者は、棚段11bの在庫ケース21を、カート50上に載せずに、棚段11bに置いた状態で、在庫ケース21内の物品を棚段11aの仕向先ケース22内に分配してもよい。このような場合、物品の分配完了後の在庫ケース21が、棚段11bに置かれた状態となる。そして、当該在庫ケース21は、スタッカクレーン5によって、棚段11bから在庫ラック3に返却される。棚段11bに置かれており且つ物品の分配が完了した在庫ケース21の制御装置30への報知は、第二報知部14又は端末装置52への入力を介して行われてもよい。
ステップS115の後、ステップS116において、仮置ラック10の棚段11bの全ての在庫ケースの分配が完了し、ステップS101で作成した図7に示すテーブルの全ての物品の分配が完了したことになる。よって、制御装置30は、ステップS101〜S115の一連の処理、つまり、在庫エリア3Aから仕向先ケース22へ物品を分配するピッキング処理を終了する。
上述したように、本発明の実施の形態に係るピッキングシステム100は、要求された物品を在庫エリア3Aから取り出して出荷する。ピッキングシステム100は、ラックとしての仮置ラック10と、仮置ラック10に沿って移動する入出庫台車としてのスタッカクレーン5と、要求のあった物品を管理する制御装置30とを備える。仮置ラック10は、第1の棚段11bと第2の棚段11aとを有する。第1の棚段11bは、一方の側面でスタッカクレーン5から移載可能であり且つ反対側の側面で取り出し可能であり、在庫エリア3Aから出庫された在庫ケース21が載置される。第2の棚段11aは、第1の棚段11bと隣接する棚段であり、一方の側面でスタッカクレーン5から移載可能であり且つ反対側の側面で投入可能であり、在庫ケース21からピッキングした物品が投入される仕向先ケース22が載置される。制御装置30は、第1の棚段11bでの取り出しの指示及び第2の棚段11aでの投入の指示を行う。
上記構成によると、在庫エリア3Aから出庫された在庫ケース21が載置される第1の棚段11bと、在庫ケース21からピッキングした物品が投入される仕向先ケース22が載置される第2の棚段11aとが隣接して配置されている。このため、ピッキング作業を狭い範囲で完了させることができ、ピッキング作業効率が向上する。また、制御装置30が、第1の棚段11bでの取り出し、及び、第2の棚段11aでの投入を管理する。制御装置30は、ピッキング作業を効率的にするように上記取り出し及び投入を設定し、円滑且つ効率的なピッキング作業を可能にする。
また、実施の形態に係るピッキングシステム100において、第2の棚段11aは、第1の棚段11bの下方に位置し且つ仕向先ケース22の1つ分よりも奥行きが長い棚である。さらに、第2の棚段11aは、スタッカクレーン5側とは反対側での第1の棚段11bよりも突出した位置で、仕向先ケース22の載置が可能となっている。
上記構成によると、例えば、作業者が、スタッカクレーン5側とは反対側でピッキング作業を行う場合、仕向先ケース22は、在庫ケース21及び第1の棚段11bよりも、手前側に引き出された状態で配置される。これにより、作業者は、仕向先ケース22への物品の投入を容易に行うことができる。
また、実施の形態に係るピッキングシステム100において、制御装置30は、仕向先ケース22の載置位置の近くに、仕向先ケース22に投入する物品の在庫ケース21を載置させる。
上記構成によると、例えば、作業者が、第1の棚段11bの在庫ケース21を取り出してカート50の上に載置し、載置した在庫ケース21の物品を仕向先ケース22に投入する場合、作業者及びカート50の移動距離が低減する。よって、ピッキング作業の効率の向上が可能になる。
また、実施の形態に係るピッキングシステム100において、仮置ラック10は、第1の棚段11bの近傍に、第3の棚段11cを有する。第3の棚段11cは、一方の側面でスタッカクレーン5から移載可能であり且つ反対側の側面で投入可能であり、第1の棚段11bから取り出した在庫ケース21が投入される。さらに、制御装置30は、第1の棚段11bから在庫ケース21が取り出されたことを把握すると、別の在庫ケース21を在庫エリア3Aから出庫させ、第1の棚段11bに載置させる。
上記構成によると、第1の棚段11bには、一旦取り出された在庫ケース21が戻されない。このため、第1の棚段11bにおいて、在庫エリア3A内の新たな在庫ケース21の載置場所を確保することが可能になり、在庫エリア3Aから仮置ラック10への在庫ケース21の円滑且つ連続的な移載が可能になる。これにより、スタッカクレーン5を連続して動作させることができ、ピッキング作業全体の効率の向上が可能になる。
[他の実施の形態]
以上、本発明に係るピッキングシステム100について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、実施の形態に係るピッキングシステム100の仮置ラック10において、下方から上方に向かって、仕向先ケース22の棚段11a、分配前の在庫ケース21の棚段11b、及び、分配後の在庫ケース21の棚段11cが、この順序で配置されていたが、これに限定されない。棚段11a、棚段11b及び棚段11cの上下方向の順序は、いかなる順序であってもよい。棚板11aaの端部11aa1が突出する棚段11aが下方にあることが好ましい。
実施の形態に係るピッキングシステム100の仮置ラック10において、棚段11cは、棚段11a及び11bに対して、上下方向の位置に配置されていたが、これに限定されない。例えば、棚段11cは、棚段11a及び11bの少なくとも一方の水平方向側方に配置されてもよい。具体的には、棚段11cは、仮置ラック10の長手方向DAに沿った棚段11a及び11bの少なくとも一方の端部に隣り合って配置されてもよい。この場合、作業者は、カート50を方向DAに沿って移動させつつ、カート50上の在庫ケース21の物品を分配し、上記端部の位置で当該物品の分配を完了する。そして、作業者は、上記端部の隣の棚段11cに、物品の分配完了後の在庫ケース21を置くことができる。これにより、作業が一方向に流れ、円滑になる。
実施の形態に係るピッキングシステム100において、2つの仮置ラック10と、3つの在庫ラック3と、5つのスタッカクレーン5とが配置されていたが、これらの数量は、格納領域2の広さ、及び物品の取り扱い数量等に応じて、任意に設定されてもよい。
実施の形態に係るピッキングシステム100において、入出庫台車として、スタッカクレーン5が用いられていたが、これに限定されない。入出庫台車は、例えば、床面に配置されたレール上を走行する有軌道台車、又は、天井に配置されたレールに沿って走行し且つ物品を保持するチャック機構部を昇降させることで物品の受け渡しを行う天井走行車等であってもよい。また、入出庫台車は、軌道に沿って走行せず、任意に移動可能な構成であってもよい。
実施の形態に係るピッキングシステム100において、在庫ケース21は、複数の同一物品が収容された段ボール箱又は折り畳みコンテナであるとしたが、これに限定されない。在庫ケース21は、物品が箱に収容されていない場合には、物品自体であってもよく、物品が強固な囲いが覆われている場合には、その囲いであってもよく、パレット等であってもよい。