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JP2018150970A - 自動変速機及び自動変速機の制御方法 - Google Patents

自動変速機及び自動変速機の制御方法 Download PDF

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JP2018150970A
JP2018150970A JP2017046318A JP2017046318A JP2018150970A JP 2018150970 A JP2018150970 A JP 2018150970A JP 2017046318 A JP2017046318 A JP 2017046318A JP 2017046318 A JP2017046318 A JP 2017046318A JP 2018150970 A JP2018150970 A JP 2018150970A
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Keiichi Tatewaki
敬一 立脇
雄平 渡邊
Yuhei Watanabe
雄平 渡邊
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JATCO Ltd
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JATCO Ltd
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Abstract

【課題】締結要素への油圧供給の許可、禁止を切り替える切替弁を主油圧制御系の上方に設けた場合に、車両発進性が悪化する事態が発生することを改善可能な自動変速機及び自動変速機の制御方法を提供する。【解決手段】自動変速機15は、前進クラッチ3aと、マニュアルバルブ51と、セレクトソレノイド521を有して構成される主油圧制御系52と、を有する。マニュアルバルブ51は、主油圧制御系52よりも上方に設けられる。自動変速機15は、マニュアルバルブ51と主油圧制御系52とを連通する油路Rに設けられ、下流側の油圧を保持する保持弁53を備える。また、自動変速機15は、エンジン1の始動時に、制御圧PSを保持弁53に作用させ、保持弁53を開弁するように、セレクトソレノイド521を制御することで、油路Rに油を充填する油充填制御を行う変速機コントローラ11を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、自動変速機及び自動変速機の制御方法に関する。
特許文献1には、変速機底部のオイルパン内に主油圧制御系を設け、マニュアルバルブを主油圧制御系から上方に大きく離間した位置に設けたベルト式無段変速機が開示されている。
特開平7−174198号公報
特許文献1が開示するベルト式無段変速機のように油圧系統を構成した場合、車両を使用していない間に、マニュアルバルブ等の切替弁と主油圧制御系とを結ぶ油路内の作動油が下方に抜け落ちる虞がある。結果、駆動源の始動後、車両発進時に締結される締結要素への作動油の供給が遅れ、車両発進性の悪化を招く虞がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、締結要素への油圧供給の許可、禁止を切り替える切替弁を主油圧制御系の上方に設けた場合に、車両発進性が悪化する事態が発生することを改善可能な自動変速機及び自動変速機の制御方法を提供することを目的とする。
本発明のある態様の自動変速機は、車両の駆動源及び駆動輪を結ぶ動力伝達経路に設けられる締結要素と、前記締結要素への油圧供給の許可、禁止を切り替える切替弁であって、選択レンジが駆動レンジの場合に前記締結要素への油圧供給を許可し、選択レンジが非駆動レンジの場合に前記締結要素への油圧供給を禁止する切替弁と、前記切替弁よりも上流に設けられ、制御圧として前記切替弁への供給油圧を制御する制御弁を有して構成される油圧制御系である主油圧制御系と、を有し、前記切替弁が前記主油圧制御系よりも上方に設けられる自動変速機であって、前記切替弁と前記主油圧制御系とを連通する油路に設けられ、下流側の油圧を保持する保持弁と、前記駆動源の始動時に、前記制御圧を前記保持弁に作用させ、前記保持弁を開弁するように前記制御弁を制御することで、前記油路に油を充填する油充填制御を行う制御部と、を備える。
本発明の別の態様によれば、車両の駆動源及び駆動輪を結ぶ動力伝達経路に設けられる締結要素と、前記締結要素への油圧供給の許可、禁止を切り替える切替弁であって、選択レンジが駆動レンジの場合に前記締結要素への油圧供給を許可し、選択レンジが非駆動レンジの場合に前記締結要素への油圧供給を禁止する切替弁と、前記切替弁よりも上流に設けられ、制御圧として前記切替弁への供給油圧を制御する制御弁を有して構成される油圧制御系である主油圧制御系と、前記切替弁と前記主油圧制御系とを連通する油路に設けられ、下流側の油圧を保持する保持弁と、を有し、前記切替弁が前記主油圧制御系よりも上方に設けられる自動変速機の制御方法であって、前記駆動源の始動時に、前記制御圧を前記保持弁に作用させ、前記保持弁を開弁するように前記制御弁を制御することで、前記油路に油を充填する油充填制御を行うこと、を含む自動変速機の制御方法が提供される。
これらの態様によれば、車両を使用していない間は保持弁によって油圧を極力保持することができ、さらに駆動源の始動時には保持弁を開弁して油を充填するので、締結要素への油圧の供給遅れが発生しないようにすることができる。このため、締結要素への油圧供給の許可、禁止を切り替える切替弁を主油圧制御系の上方に設けた場合に、車両発進性が悪化する事態が発生することを改善できる。
車両の概略構成図である。 油圧制御回路の要部を示す図である。 油圧制御回路の要部の具体的配置を示す図である。 実施形態の制御の一例をフローチャートで示す図である。 実施形態の制御に対応するタイミングチャートの第1の例を示す図である。 実施形態の制御に対応するタイミングチャートの第2の例を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、車両の概略構成図である。車両は、エンジン1と、トルクコンバータ2と、前後進切替機構3と、無段変速機4と、油圧制御回路5と、オイルポンプ6と、エンジンコントローラ10と、変速機コントローラ11とを備える。車両においては、駆動源であるエンジン1で発生した回転が、トルクコンバータ2、前後進切替機構3、無段変速機4、歯車組8、ディファレンシャルギヤ装置9を経て図示しない車輪に伝達される。
トルクコンバータ2は、ロックアップクラッチ2aを有しており、ロックアップクラッチ2aが締結されると、トルクコンバータ2の入力軸と出力軸とが直結し、入力軸と出力軸とが同速回転する。以下では、ロックアップクラッチ2aをLUクラッチ2aと称す。
前後進切替機構3は、ダブルピニオン遊星歯車組を主たる構成要素とし、そのサンギヤをトルクコンバータ2を介してエンジン1に結合し、キャリアをプライマリプーリ4aに結合する。前後進切替機構3は更に、ダブルピニオン遊星歯車組のサンギヤおよびキャリア間を直結する前進クラッチ3aと、リングギヤを固定する後進ブレーキ3bを備える。
前後進切替機構3は、前進クラッチ3aの締結時にエンジン1からトルクコンバータ2を経由した入力回転をそのままプライマリプーリ4aに伝達する。また、前後進切替機構3は、後進ブレーキ3bの締結時にエンジン1からトルクコンバータ2を経由した入力回転を逆転減速下にプライマリプーリ4aへ伝達する。前進クラッチ3aと後進ブレーキ3bとが解放されると、前後進切替機構3はニュートラル状態、つまり動力遮断状態になる。前進クラッチ3aと後進ブレーキ3bとはともに、エンジン1及び駆動輪を結ぶ動力伝達経路に設けられる締結要素を構成する。
無段変速機4は、プライマリプーリ4aと、セカンダリプーリ4bと、ベルト4cとを備える。無段変速機4では、プライマリプーリ4aに供給される油圧と、セカンダリプーリ4bに供給される油圧とが制御されることで、各プーリ4a、4bとベルト4cとの接触半径が変更され、変速比が変更される。
無段変速機4は、バリエータであり、トルクコンバータ2及び前後進切替機構3とともに、エンジン1に接続される自動変速機15を構成する。自動変速機15は、他の構成を介してエンジン1に間接的に接続されてもよい。前後進切替機構3は例えば、無段変速機4及び歯車組8間に設けられてもよい。
油圧制御回路5は、複数の流路、複数の油圧制御弁で構成される。油圧制御回路5は、変速機コントローラ11からの変速制御信号に基づき、複数の油圧制御弁を制御して油圧の供給経路を切り換えるとともにオイルポンプ6から吐出された油によって発生した油圧から必要な油圧を調製し、これを無段変速機4、前後進切替機構3、トルクコンバータ2の各部位に供給する。
変速制御信号は、LUクラッチ2aへの供給油圧の指示圧や、自動変速機15への供給油圧の元圧を構成するライン圧PLの指示圧や、プライマリプーリ圧Ppriの指示圧や、セカンダリプーリ圧Psecの指示圧や、後述するセレクトソレノイド521が制御する制御圧PSの指示圧PS_Dを含む。
オイルポンプ6は、エンジン1の回転が入力されエンジン1の動力の一部を利用して駆動される機械式のオイルポンプであり、自動変速機15への供給油圧の油圧源を構成する。オイルポンプ6の駆動により、オイルポンプ6から吐出された油は、油圧制御回路5に供給される。エンジン1が停止している場合、オイルポンプ6は駆動されず、油は吐出されない。油圧制御回路5には例えば、オイルポンプ6に加えて、或いはオイルポンプ6の代わりに電動オイルポンプから油を供給することもできる。
変速機コントローラ11は、CPU、ROM、RAMなどから構成される。変速機コントローラ11では、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することで、変速機コントローラ11の機能が発揮される。
変速機コントローラ11には、エンジン回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ20からの信号、プライマリプーリ圧Ppriを検出するプライマリプーリ圧センサ21からの信号、セカンダリプーリ圧Psecを検出するセカンダリプーリ圧センサ22からの信号、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ23からの信号、ブレーキペダルの踏み込み量BRPに基づくブレーキ踏力を検出するブレーキセンサ24からの信号、エンジン1の始動要求を行うためのイグニッションスイッチ25からの信号、エンジン1の制御を司るエンジンコントローラ10からのエンジントルクTeに関した信号などが入力される。
変速機コントローラ11にはこのほか、変速レバーSLの操作位置を検出するインヒビタスイッチ26からの信号や、プライマリプーリ4aの回転速度Npriを検出するPRI回転速度センサ27からの信号や、セカンダリプーリ4bの回転速度Nsecを検出するSEC回転速度センサ28からの信号などが入力される。変速レバーSLの操作位置は具体的には、運転者が変速レバーSLの操作によって選択する選択レンジである。変速機コントローラ11は、SEC回転速度センサ28からの信号に基づき、車速Vspを検出することができる。変速機コントローラ11には、エンジンコントローラ10など、他のコントローラを介して信号が入力されてもよい。
変速機コントローラ11は、これらの信号に基づき油圧制御回路5を制御することで、前後進切替機構3を含む自動変速機15を制御する。本実施形態では、油圧制御回路5は具体的には、次のように構成される。
図2は、油圧制御回路5の要部を示す図である。図3は、油圧制御回路5の要部の具体的配置を示す図である。図2、図3に示す矢印Fは、油の流通方向を示す。油圧制御回路5は具体的には、マニュアルバルブ51と、主油圧制御系52と、保持弁53とを有して構成される。以下では、説明の便宜上、締結要素である前進クラッチ3a及び後進ブレーキ3bに共通の内容については、主に前進クラッチ3aを例にして説明する。
マニュアルバルブ51は、マニュアルシャフトMSを含むリンク機構を介して変速レバーSLに連結され、変速レバーSLを操作する運転者の操作力によって駆動される。マニュアルバルブ51は、前進クラッチ3aへの油圧供給の許可、禁止を切り替える切替弁を構成する。
具体的にはマニュアルバルブ51は、選択レンジがDレンジの場合には前進クラッチ3aへの油圧供給を許可する。マニュアルバルブ51は、選択レンジがPレンジ又はNレンジの場合には、前進クラッチ3aへの油圧供給を禁止する。この場合、マニュアルバルブ51は、前進クラッチ3aから油をドレンさせる。
選択レンジがRレンジの場合、マニュアルバルブ51は、後進ブレーキ3bへの油圧供給を許可する。選択レンジがPレンジ又はNレンジの場合は、前進クラッチ3aと同様である。DレンジとRレンジとは駆動レンジを構成し、NレンジとPレンジとは非駆動レンジを構成する。
主油圧制御系52は、マニュアルバルブ51よりも上流に設けられる。主油圧制御系52は、セレクトソレノイド521を有して構成される。セレクトソレノイド521は、油圧制御弁であり、マニュアルバルブ51への供給油圧を制御圧PSとして制御する制御弁を構成する。セレクトソレノイド521は、変速機コントローラ11によって指示圧PS_Dに応じて制御される。指示圧PS_Dは、制御圧PSの指示圧である。
セレクトソレノイド521は具体的には、ソレノイドバルブであり、ソレノイド部とバルブ部とを有して構成される。ソレノイド部は、指示圧PS_Dに基づき、パイロット圧を生成する。バルブ部は、ソレノイド部が生成したパイロット圧によって動作し制御圧PSが指示圧PS_Dになるように調整する。この際に不要になった油は、ドレン油路Dからドレンされる。このようなセレクトソレノイド521は、リニアソレノイドバルブによって構成することができる。
保持弁53は、マニュアルバルブ51と主油圧制御系52とを連通する油路Rに設けられる。保持弁53は例えばチェック弁であり、閉弁状態で下流側の油圧を保持する。保持弁53は、前進クラッチ3aがトルク容量を持つ油圧である所定油圧PSTよりも低く設定された開弁圧PVOを有する。
前進クラッチ3aがトルク容量を持つとは、換言すれば前進クラッチ3aが動力を伝達する状態になることである。前進クラッチ3aは具体的には、スリップ時及び締結時に動力を伝達する状態になり、トルク容量を持つ。その一方で、前進クラッチ3aは、待機時、解放時にはトルク容量を持たない。解放とは、前進クラッチ3aへの油圧供給がなく、前進クラッチ3aがトルク容量を持たない状態を指す。待機とは、前進クラッチ3aへの油圧供給はあるが、前進クラッチ3aがトルク容量を持たない状態を指す。
所定油圧PSTは具体的には、前進クラッチ3aを解放方向に付勢する付勢部材であるリターンスプリングが解放方向へのストロークを完了させる油圧とされる。リターンスプリングが解放方向へのストロークを完了させた状態では、前進クラッチ3aはトルク容量を持たない。このため、開弁圧PVO以上、且つ所定油圧PSTよりも低い制御圧PSが作用して保持弁53が開弁した場合には、前進クラッチ3aはトルク容量を持たない。
マニュアルバルブ51は、主油圧制御系52よりも上方に設けられる。具体的には、マニュアルバルブ51は、自動変速機15のケーシング151の上部に設けられ、主油圧制御系52は、ケーシング151内の底部、つまりオイルパン内に設けられる。
マニュアルバルブ51をケーシング151の上部に設け、主油圧制御系52から離間させた配置とすることで、マニュアルシャフトMSの短縮を図ることができる。結果、マニュアルシャフトMSの短縮によって増加したスペースを有効利用することが可能になる。
その一方で、このように油圧制御回路5を構成した場合、車両を使用していない間に、マニュアルバルブ51と主油圧制御系52とを結ぶ油路R内の作動油が下方に抜け落ちることが懸念される。結果、エンジン1の始動後、車両発進時に締結される前進クラッチ3aへの作動油の供給が遅れ、車両発進性の悪化を招くことが懸念される。
このような事情に鑑み、本実施形態では、変速機コントローラ11が以下で説明する制御を行う。
図4は、変速機コントローラ11が行う制御の一例をフローチャートで示す図である。変速機コントローラ11は、本フローチャートの処理を実行することで制御部を有した構成とされる。
ステップS1で、変速機コントローラ11は、エンジン1の始動要求があるか否かを判定する。このような判定は例えば、イグニッションスイッチ25からの信号に基づき行うことができる。ステップS1で否定判定であれば、本フローチャートの処理は一旦終了する。ステップS1で肯定判定であれば、処理はステップS2に進む。
ステップS2で、変速機コントローラ11は、エンジン1が始動したか否かを判定する。ステップS2では具体的には、エンジン1のクランキングが完了したか否かが判定される。エンジン1のクランキングが完了したか否かは例えば、エンジン回転速度センサ20からの信号に基づき、エンジン回転速度Neが所定回転速度Ne1を上回った否かを判定することで判定できる。所定回転速度Ne1は、クランキング時に得られる最高回転速度よりも高い回転速度であり、予め設定することができる。ステップS2で否定判定であれば、処理はステップS2に戻り、ステップS2で肯定判定であれば、処理はステップS3に進む。
ステップS3で、変速機コントローラ11は、インヒビタスイッチ26からの信号に基づき、選択レンジが駆動レンジであるか否かを判定する。ここでは、選択レンジが駆動レンジであった場合に、駆動レンジがDレンジであった場合を例にして説明する。ステップS3で肯定判定であれば、処理はステップS4に進む。
ステップS4で、変速機コントローラ11は、油充填制御として第1油充填制御を実行する。第1油充填制御は、セレクトソレノイド521の制御圧PSを保持弁53に作用させ、保持弁53を開弁するようにセレクトソレノイド521を制御することで、油路Rに油を充填する油充填制御であって、次のように指示圧PS_Dを設定する制御とされる。
すなわち、第1油充填制御では、指示圧PS_Dは開弁圧PVO以上、且つ所定油圧PSTよりも低く設定される。これにより、保持弁53を開弁して油路Rに油を充填しても、前進クラッチ3aがトルク容量を持たないようにすることができる。したがって、選択レンジがDレンジであっても、油の充填によって急締結によるショックが発生しないようにすることができる。
ステップS3で否定判定であった場合には、処理はステップS5に進む。ステップS5で、変速機コントローラ11は、油充填制御として第2油充填制御を行う。第2油充填制御は、第1油充填制御と比較して、指示圧PS_Dの設定が次のように異なる。
すなわち、第2油充填制御では、指示圧PS_Dが所定油圧PST以上に設定される。これは、選択レンジが非駆動レンジであれば、油の充填を行っても前進クラッチ3aには油が供給されず、油の充填によって急締結によるショックは発生しないためである。ステップS5の後には、処理はステップS6に進む。ステップS4の後も同様である。
ステップS6で、変速機コントローラ11は、エンジン1が始動してから、具体的にはエンジン1のクランキングが完了してから、所定時間TAが経過したか否かを判定する。所定時間TAは、油充填制御の終了タイミングを規定するための値であり、予め設定される。所定時間TAは例えば、選択レンジがDレンジの場合に前進クラッチ3aの締結制御を開始する時間とすることができ、本実施形態では具体的にはこのような時間に設定されている。ステップS6で否定判定であれば、処理はステップS3に戻る。ステップS6で肯定判定であれば、処理はステップS7に進む。
ステップS7で、変速機コントローラ11は、油充填制御を終了する。これにより、Dレンジが選択されていた場合には、前進クラッチ3aの締結が開始されるまでの間、油充填制御によって油路Rへの油の充填を図ることができる。また、油充填制御に妨げられることなく、前進クラッチ3aの締結制御を行うことができる。ステップS7の後には、本フローチャートの処理は終了する。
ところで、エンジン1のクランキング中には、エンジン1を駆動するスタータで電力が消費され、エンジン1の動力で駆動する発電機の回転速度も安定しない。このため、クランキング中には、セレクトソレノイド521の電圧が安定しないことがある。
この場合、油充填制御により、セレクトソレノイド521を制御して油を充填しようとすると、セレクトソレノイド521の制御圧PSが過大になり、油が過剰に供給される結果、前進クラッチ3aが急締結する事態が発生する懸念がある。
上述したステップS2におけるエンジン1の始動判定は、このような懸念に対処すべく、エンジン1の始動時に油充填制御を行うにあたり、エンジン1のクランキングが完了した場合に油充填制御を行うために行われる。
図5は、図4に示すフローチャートに対応するタイミングチャートの第1の例を示す図である。図5において、制御圧PS´、指示圧PS´_Dは、比較例の場合の制御圧PS、指示圧PS_Dを示す。比較例は、本実施形態と比較して、保持弁53が設けられず、且つ油充填制御が行われない構成の場合を示す。KEY操作は、イグニッションスイッチ25の操作位置を示す。
タイミングT1では、イグニッションスイッチ25はOFFになっており、選択レンジはPレンジとなっている。また、エンジン回転速度Neはゼロであり、エンジン1は停止している。また、ライン圧PL及び制御圧PSは、大気圧になっている。
タイミングT2では、イグニッションスイッチ25がSTART位置に操作され、エンジン1の始動要求が行われる。結果、エンジン1のクランキングが開始され、エンジン回転速度Neがクランキングによって変動し始める。
この例では、クランキング中におけるタイミングT3、タイミングT4間で、選択レンジがPレンジからDレンジに変更される。但し、タイミングT4で選択レンジがDレンジになっても、クランキングが完了していないので、指示圧PS_Dは変化しない。
タイミングT5では、エンジン回転速度Neが所定回転速度Ne1を上回り、クランキングが完了したと判定される。このため、タイミングT5からは、第1油充填制御によって指示圧PS_Dが開弁圧PVO以上、且つ所定油圧PSTよりも低く設定される。
ライン圧PLは、クランキングが完了したタイミングT5から上昇し始める。このため、タイミングT5で上記のように指示圧PS_Dを設定しても、制御圧PSは直ちには高まらないが、その後、ライン圧PLが十分高まると、これに応じて制御圧PSが指示圧PS_Dになるように上昇する。第1油充填制御では、指示圧PS_Dが所定油圧PSTよりも低く設定されるので、選択レンジがDレンジの状態で制御圧PSが指示圧PS_Dに到達しても、急締結によるショックは発生しない。
タイミングT11では、タイミングT5から所定時間TAが経過する。このため、タイミングT11では、第1油充填制御が終了する。また、タイミングT11からは、前進クラッチ3aの締結制御が開始され、これによって指示圧PS_Dが上昇する。所定時間TAは、エンジン1の始動に応じて高まるライン圧PLが安定する時間に設定される。
比較例の場合、油充填制御が行われないので、タイミングT11で前進クラッチ3aの締結制御によって指示圧PS_Dが上昇しても、まず油路Rから抜けた油の分だけ、油の充填が行われる。このため、制御圧PS´はタイミングT11で直ちには上昇し始めず、その後のタイミングT12で上昇し始める。つまり、前進クラッチ3aの締結に遅れが生じる。
本実施形態の場合、タイミングT5からタイミングT11まで、第1油充填制御によって油路Rへの油の充填が図られる。このため、タイミングT11で前進クラッチ3aの締結制御によって指示圧PS_Dが上昇すると、これに応じて制御圧PSも直ちに上昇し始める。つまり、前進クラッチ3aの締結に遅れが生じない。
図5の例では、タイミングT2からタイミングT11までの期間、つまりエンジン1の始動要求が開始されてから前進クラッチ3aの締結制御が開始されるまでの期間が、エンジン1の始動時とされ、この期間内に油充填制御が行われる。
図6は、図4に示すフローチャートに対応するタイミングチャートの第2の例を示す図である。図6では、エンジン1のクランキング完了後に、選択レンジがPレンジからDレンジに変更される場合を示す。
この例では、タイミングT5で、選択レンジがPレンジの状態でクランキングが完了する。このため、タイミングT5では、第2油充填制御によって指示圧PS_Dが所定油圧PST以上に設定される。
タイミングT6では、選択レンジがPレンジからRレンジに変更され、Pレンジでなくなる。このため、タイミングT6では、第1油充填制御によって指示圧PS_Dが開弁圧PVO以上、且つ所定油圧PSTよりも低く設定される。
タイミングT7では、選択レンジがRレンジからNレンジに変更される。このため、タイミングT7では、第2油充填制御によって指示圧PS_Dが再び所定油圧PST以上に設定される。さらにタイミングT8で、選択レンジがNレンジからDレンジに変更され、Nレンジでなくなると、指示圧PS_Dは、第1油充填制御によって再び開弁圧PVO以上、且つ所定油圧PSTよりも低く設定される。
この例では、ライン圧PLが十分高まっていない間に、第2油充填制御が行われる。このため、制御圧PSは、タイミングT11で、図5に示す第1の例と同等になっている。但し、第2油充填制御によれば、指示圧PS_Dが所定油圧PST以上に設定されるので、第2油充填制御が実行されるタイミング次第で、第1油充填制御よりも油の充填促進を図ることができる。
次に、本実施形態の主な作用効果について説明する。
自動変速機15は、前進クラッチ3aと、マニュアルバルブ51と、セレクトソレノイド521を有して構成される主油圧制御系52と、を有し、マニュアルバルブ51が主油圧制御系52よりも上方に設けられる自動変速機を構成する。自動変速機15は、マニュアルバルブ51と主油圧制御系52とを連通する油路Rに設けられ、下流側の油圧を保持する保持弁53を備える。また、自動変速機15は、駆動源としてのエンジン1の始動時に、制御圧PSを保持弁53に作用させ、保持弁53を開弁するように、制御弁としてのセレクトソレノイド521を制御することで、油路Rに油を充填する油充填制御を行う変速機コントローラ11を備える。
このような構成によれば、車両を使用していない間は保持弁53によって油圧を極力保持することができ、さらに駆動源としてのエンジン1の始動時には保持弁53を開弁して油を充填するので、前進クラッチ3aへの油圧の供給遅れが発生しないようにすることができる。このため、マニュアルバルブ51を主油圧制御系52の上方に設けた場合に、車両発進性が悪化する事態が発生する事態を改善できる(請求項1、7に対応する効果)。
自動変速機15では、保持弁53は、所定油圧PSTよりも低く設定された開弁圧PVOを有し、変速機コントローラ11は、油充填制御を行うにあたり、制御圧PSの指示圧PS_Dを開弁圧PVO以上、且つ所定油圧PSTよりも低く設定する第1油充填制御を行う。
このような構成によれば、選択レンジがDレンンジ等の駆動レンジであった場合でも、油の充填によって急締結によるショックが発生しないようにすることができる(請求項2に対応する効果)。
自動変速機15では、変速機コントローラ11は、選択レンジがPレンジ、Nレンジでなくなった際に、又は選択レンジがDレンジ等の駆動レンジの場合に、第1油充填制御を行う。
このような構成によれば、選択レンジの状態に照らして第1油充填制御による油の充填を適切に行うことができる(請求項3に対応する効果)。
自動変速機15では、変速機コントローラ11は、油充填制御を行うにあたり、選択レンジがPレンジ、Rレンジの場合には、指示圧PS_Dを所定油圧PST以上に設定する第2油充填制御を行う。
このような構成によれば、油の充填によって急締結によるショックが発生しない非駆動レンジが選択されている場合に、油の充填促進を図ることができる(請求項4に対応する効果)。
自動変速機15では、エンジン1が、自動変速機15を搭載する車両の駆動源を構成し、セレクトソレノイド521が、マニュアルバルブ51への供給油圧を制御圧PSとして制御する制御弁を構成する。また、変速機コントローラ11は、エンジン1のクランキングが完了した場合に、油充填制御を行う。
このような構成によれば、エンジン1のクランキング中にセレクトソレノイド521の電圧が安定しないことに起因して、油の充填により前進クラッチ3aの急締結が発生する事態を回避することができる(請求項5に対応する効果)。
自動変速機15では、マニュアルバルブ51が、前進クラッチ3aへの油圧供給の許可、禁止を切り替える切替弁を構成する。
自動変速機15はこのような構成である場合に、マニュアルシャフトMSの短縮化によるスペースの増加を図りつつ、車両発進性が悪化する事態が発生しないようにすることができる(請求項6に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上述した実施形態では、主に締結要素として前進クラッチ3aを例にして説明した。しかしながら、締結要素は例えば、後進ブレーキ3bであってもよい。この場合、所定油圧PSTは、後進ブレーキ3bがトルク容量を持つ油圧よりも低く設定することができる。所定油圧PSTは例えば、前進クラッチ3a及び後進ブレーキ3bのうちトルク容量を持つ油圧が低いほうの締結要素がトルク容量を持つ油圧よりも低く設定されてもよい。
上述した実施形態では、エンジン1が車両の駆動源を構成する場合について説明した。しかしながら、車両の駆動源は例えば、エンジン1及びモータのうち少なくともいずれかで構成することも可能である。
上述した実施形態では、マニュアルバルブ51が切替弁を構成する場合について説明した。しかしながら、切替弁は例えば、パイロット圧で作動する切替弁で構成することも可能である。この場合、パイロット圧を生成するパイロット圧制御弁を選択レンジに応じて制御することで、選択レンジに応じて締結要素への油圧供給の許可、禁止を切り替えるようにすることができる。
上述した実施形態では、自動変速機15が無段変速式の自動変速機である場合について説明した。しかしながら、自動変速機15は例えば、変速比をステップ的に制御するステップ式の自動変速機であってもよい。
上述した実施形態では、変速機コントローラ11が制御部を有した構成とされる場合について説明した。しかしながら、制御部は例えば、変速機コントローラ11及びエンジンコントローラ10など、複数のコントローラによって処理を分散させるようにして実現されてもよい。
1 エンジン(駆動源)
3 前後進切替機構
3a 前進クラッチ(締結要素)
3b 後進ブレーキ(締結要素)
4 無段変速機
5 油圧制御回路
51 マニュアルバルブ(切替弁)
52 主油圧制御系
521 セレクトソレノイド(制御弁)
53 保持弁
11 変速機コントローラ(制御部)
15 自動変速機
R 油路
SL 変速レバー

Claims (7)

  1. 車両の駆動源及び駆動輪を結ぶ動力伝達経路に設けられる締結要素と、
    前記締結要素への油圧供給の許可、禁止を切り替える切替弁であって、選択レンジが駆動レンジの場合に前記締結要素への油圧供給を許可し、選択レンジが非駆動レンジの場合に前記締結要素への油圧供給を禁止する切替弁と、
    前記切替弁よりも上流に設けられ、制御圧として前記切替弁への供給油圧を制御する制御弁を有して構成される油圧制御系である主油圧制御系と、
    を有し、前記切替弁が前記主油圧制御系よりも上方に設けられる自動変速機であって、
    前記切替弁と前記主油圧制御系とを連通する油路に設けられ、下流側の油圧を保持する保持弁と、
    前記駆動源の始動時に、前記制御圧を前記保持弁に作用させ、前記保持弁を開弁するように前記制御弁を制御することで、前記油路に油を充填する油充填制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする自動変速機。
  2. 請求項1に記載の自動変速機であって、
    前記保持弁は、前記締結要素がトルク容量を持つ油圧である所定油圧よりも低く設定された開弁圧を有し、
    前記制御部は、前記油充填制御を行うにあたり、前記制御圧の指示圧を前記開弁圧以上、且つ前記所定油圧よりも低く設定する第1油充填制御を行う、
    ことを特徴とする自動変速機。
  3. 請求項2に記載の自動変速機であって、
    前記制御部は、選択レンジが前記非駆動レンジでなくなった際に、又は選択レンジが前記駆動レンジの場合に、前記第1油充填制御を行う、
    ことを特徴とする自動変速機。
  4. 請求項1から3いずれか1項に記載に自動変速機であって、
    前記制御部は、前記油充填制御を行うにあたり、選択レンジが前記非駆動レンジの場合には、前記制御圧の指示圧を前記締結要素がトルク容量を持つ油圧である所定油圧以上に設定する第2油充填制御を行う、
    ことを特徴とする自動変速機。
  5. 請求項1から4いずれか1項に記載の自動変速機であって、
    前記駆動源は、エンジンであり、
    前記制御弁は、リニアソレノイドバルブであり、
    前記制御部は、前記エンジンのクランキングが完了した場合に、前記油充填制御を行う、
    ことを特徴とする自動変速機。
  6. 請求項1から5いずれか1項に記載の自動変速機であって、
    前記切替弁は、変速レバーの操作力によって駆動されるマニュアルバルブである、
    ことを特徴とする自動変速機。
  7. 車両の駆動源及び駆動輪を結ぶ動力伝達経路に設けられる締結要素と、前記締結要素への油圧供給の許可、禁止を切り替える切替弁であって、選択レンジが駆動レンジの場合に前記締結要素への油圧供給を許可し、選択レンジが非駆動レンジの場合に前記締結要素への油圧供給を禁止する切替弁と、前記切替弁よりも上流に設けられ、制御圧として前記切替弁への供給油圧を制御する制御弁を有して構成される油圧制御系である主油圧制御系と、前記切替弁と前記主油圧制御系とを連通する油路に設けられ、下流側の油圧を保持する保持弁と、を有し、前記切替弁が前記主油圧制御系よりも上方に設けられる自動変速機の制御方法であって、
    前記駆動源の始動時に、前記制御圧を前記保持弁に作用させ、前記保持弁を開弁するように前記制御弁を制御することで、前記油路に油を充填する油充填制御を行うこと、
    を含むことを特徴とする自動変速機の制御方法。
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