1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として、説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、当該パチンコ遊技機1の外郭を構成する遊技機枠50を備えている。遊技機枠50は、外枠51と内枠52と前枠(ガラス扉枠)53とを備えている。外枠51は、遊技機枠50の外郭を構成する縦長方形状の枠体である。内枠52は、外枠51の内側に配置されていて、縦長方形状の枠体である。前枠53は、内枠52の前方側に配置されていて、縦長方形状のものである。
前枠53の下方部は、図1に示すように、右側の下部に回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60を備え、後部に遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61を備え、ハンドル60よりも左方に打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62を備えている。また上皿61よりも前方には、遊技の進行に伴って実行される演出時等に遊技者が操作し得る演出ボタン63やセレクトボタン68が設けられている。
なお外枠51の下端の前面側には、左右方向に長い長方形状の幕板51aが配されている。本形態では、外枠51及び内枠52が遊技機枠50の「基枠部」に相当し、前枠53が遊技機枠50の「前枠部又は開閉枠部」に相当する。
遊技機枠50は、左端側にヒンジ部54を備えている。図2に示すように、ヒンジ部54により、前枠53は外枠51及び内枠52に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠52は外枠51及び前枠53に対してそれぞれ回動自在になっている。前枠53の中央には開口部分53aが形成されていて、この開口部分53aに透明のガラス板55が取付けられる。これにより遊技者は、ガラス板55を通して、ガラス板55の後方を視認できるようになっている。前枠53は、図2に示すように、後方側にベース枠56を備えている。
また前枠53は、図3に示すように、前方側に上側装飾部200と左側装飾部210と右側装飾部220と操作機構部230とを備えている。これら上側装飾部200と左側装飾部210と右側装飾部220と操作機構部230とは、ベース枠56に対して着脱可能に取付けられている。
上側装飾部(上部装飾部)200は、遊技機枠50(前枠53)の上部を装飾するものである。上側装飾部200は、図3に示すように、左右方向の中央に可動体ユニット201を備え、左側に左側発光体ユニット202Lを備え、右側に右側発光体ユニット202Rを備えている。左側発光体ユニット202Lと右側発光体ユニット202Rとを総称する場合、発光体ユニット202と言う。可動体ユニット201は、パチンコ遊技機1のモチーフとなっている作品の主人公キャラに変形可能なものである。発光体ユニット202は、内部に枠ドラム320を備えたユニットであり、前方に向かって斜め上方に傾斜した状態でベース枠56に取付けられている。
左側装飾部210は、遊技機枠50(前枠53)の左側を装飾するものである。右側装飾部220は、遊技機枠50の右側を装飾するものである。右側装飾部220は、後述する枠剣可動体221(可動部材)と、枠剣可動体221の下側を収容可能な鞘部材222とを備えている。
操作機構部230(遊技媒体貯留部)は、遊技や演出を進行するための操作機構を備えるものである。操作機構部230は、上述したハンドル60と上皿61と下皿62と演出ボタン63とセレクトボタン68とを備えている。
ところで図3に示すように、遊技場の島設備において鉛直方向に起立した垂直壁面SHのうちパチンコ遊技機1の上方には、データカウンタ160が配されている。データカウンタ160は、垂直壁面SHに固定されている固定部材161と、この固定部材161に対して前傾姿勢になるように傾動可能に取付けられているデータ表示装置162とを備えている。
データ表示装置162は、後述する大当たり遊技状態の発生回数や高確率状態の発生回数等を表示する略直方体形状のものである。またデータ表示装置162は、遊技者がホールの従業員を呼ぶための呼び出しボタン等を有している。このデータカウンタ160では、垂直壁面SHに対するデータ表示装置162の前傾角度を15度から25度まで可変できるようになっている。なお上側装飾部200の後部は、データ表示装置162が最大の25度の角度で前傾している場合であっても、データ表示装置162に当接しない形状になっている。
また上側装飾部200、左側装飾部210、右側装飾部220、及び操作機構部230には、様々な発光色で発光可能な枠ランプ66が多数設けられている。
次に、図4を参照して遊技盤2について説明する。遊技盤2は、遊技機枠50の内部に配されていて、内枠52に取付けられている。遊技盤2の前面側は、前枠53に保護されている。図4に示すように、遊技盤2の前面側には、鉛直方向に起立した遊技面2aが形成されている。この遊技面2aの前方に、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、様々な発光色で発光可能な盤ランプ5が多数設けられている。なお遊技盤2は、前側に配されている板状部材と、後側に配されている裏ユニット(後述する各種制御基板、第1画像表示装置6、第2画像表示装置7、ハーネス等を取付けるユニット)とが一体化されたものである。
遊技盤2の遊技面2aには、遊技球を誘導する複数の遊技釘(図示省略)が突設されている。また遊技面2aよりも後方には、液晶表示装置である第1画像表示装置(第1表示手段)6が配されている。第1画像表示装置6は、鉛直方向に起立した状態で固定されている。
第1画像表示装置6の表示画面6aには、装飾図柄(演出図柄)8L,8C,8Rの変動表示を行う装飾図柄表示領域がある。装飾図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。装飾図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の装飾図柄の組み合わせによって、大当たり抽選の結果を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で装飾図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「263」などのバラケ目で装飾図柄を停止表示する。これにより、遊技者にとっては遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1画像表示装置6にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、装飾図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。また、各抽選結果に応じてどのような装飾図柄の組み合わせを停止表示するかは任意に変更可能である。
第1画像表示装置6は、上記のような装飾図柄を用いた装飾図柄変動演出(「演出図柄変動演出」や単に「変動演出」ともいう)のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面6aに表示する。なお装飾図柄変動演出では、数字等の装飾図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの装飾図柄以外の演出画像も表示される。
図4に示すように、遊技領域3の中央付近であって第1画像表示装置6の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左下方には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。
遊技領域3における第1画像表示装置6の下方には、第1始動口(第1始動入賞口、第1入球口、固定始動口)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20は、遊技球の入球し易さが常に変わらない入賞口である。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また第1始動口20の下方には、第2始動口(第2始動入賞口、第2入球口、可変始動口)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)22が設けられている。第2始動口21は、遊技球の入球し易さが変化可能な入賞口である。なお本形態の第2始動口21は、上下方向且つ前後方向に延びる平面で形成される開口部分である。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選の契機となっている。
電チュー22は、前後方向に進退可能な可動部材(入球口開閉部材)23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、第2始動口21は、可動部材23が前方に進出しているとき(つまり開状態であるとき)だけ遊技球が入球可能となる。つまり、可動部材23が前方に進出しているときには、流下する遊技球が可動部材23の上側に当接すると、左方へ誘導される。これにより、遊技球が第2始動口21に入球可能となる。
一方、第2始動口21は、後方に退避しているとき(つまり閉状態であるとき)には遊技球が入球不可能となる。つまり、可動部材23が後方に退避しているときには、流下する遊技球が可動部材23に当接しない。これにより、遊技球は第2始動口21に入球することなく、後述するアウト口16へ向かう。なお、第2始動口21は、可動部材23が閉状態にあるときには開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉状態であるときに完全に入球不可能となるものでなくても良い。
また第1画像表示装置6の表示画面6aには、第1特図保留の数に応じて演出保留画像9Aを表示する第1演出保留表示エリア9aと、第2特図保留の数に応じて演出保留画像9Bを表示する第2演出保留表示エリア9bとがある。第1特図保留とは、第1始動口20への入球に基づく大当たり抽選が保留されていることを意味する。第2特図保留とは、第2始動口21への入球に基づく大当たり抽選が保留されていることを意味する。演出保留画像9A,9Bの表示により、第1特図保留の数および第2特図保留の数を、遊技者にわかりやすく示すことが可能となっている。
また第1始動口20の右斜め上方には、第1大入賞口(第1特別入賞口)30を備えた第1大入賞装置(第1特別可変入賞装置)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているとき(つまり開状態であるとき)だけ遊技球が入球可能となる。
また第1大入賞口30の上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過領域)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
また、ゲート28の右斜め上方には、第2大入賞口(第2特別入賞口)35を備えた第2大入賞装置(第2特別可変入賞装置)36が設けられている。第2大入賞装置36は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第2特別入賞口開閉部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているときだけ(つまり開状態であるとき)だけ遊技球が入球可能となる。
また図4に示すように、遊技盤2の左下部には表示器類40が配置されている。また遊技領域3の左下部や右下部には、普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下し得る流路を、第1流路W1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路W2という。
第1流路W1上には、普通入賞口27と、第1始動口20と、第2始動口21と、アウト口16とが設けられている。遊技者は左打ちをすることで、第1始動口20への入賞を狙う。なお、第1流路W1を流下した遊技球が第2始動口21へ入賞することは、ほとんどないように構成されている。
一方、第2流路W2上には、第2大入賞装置36と、第1大入賞装置31と、普通入賞口27と、第2始動口21と、アウト口16とが設けられている。遊技者は右打ちをすることで、第2大入賞口35への入賞(特定領域39への通過)、ゲート28への通過、又は第1大入賞口30への入賞、又は第2始動口21への入賞を狙う。
また本形態のパチンコ遊技機1には、図4及び図5に示すように、第1画像表示装置6よりも上方に第2画像表示装置(第2表示手段)7が設けられている。第2画像表示装置7の表示画面7aでは、第1画像表示装置6の表示画面6aで実行される装飾図柄変動演出、大当たり演出、客待ち用のデモ演出などに合わせて、背景画像やキャラクタ画像など様々な演出画像が表示されるようになっている。なお本形態では、第1画像表示装置6の表示画面6aと第2画像表示装置7の表示画面7aとが連係してシームレスな画像を表示することができるし、互いに独立して別々な画像を表示することもできる。
第2画像表示装置7は、図5に示すように、前方に向かって斜め上方に傾斜した状態で固定されている。そして、第2画像表示装置7の表示画面7aの上部7bは、遊技盤2の遊技面2aよりも前方に飛び出ている。これにより遊技者には、より近い位置で表示画面7aの上部7bを見せることが可能である。更に、第2画像表示装置7の表示画面7aの上部7bは、図4に示すように、遊技領域3の上端よりも上方に飛び出ている。これにより遊技者には、遊技領域3の外側でも表示画面7aの上部7bを見せることが可能である。こうして本形態では、第1画像表示装置6の表示画面6aと第2画像表示装置7の表示画面7aとにより、斬新な表示画面が形成されていて、遊技者には広範囲且つ近い距離で演出画像を見せることが可能である。その結果、表示画面6a,7aで表示される演出画像のインパクトを高めることが可能である。
また図5に示すように、遊技盤2の遊技面2aよりも後方には、盤可動体(装飾可動体)15が設けられている。盤可動体15は、第1画像表示装置6の表示画面6aよりも前方で変位可能なものである。盤可動体15は、前方からほとんど視認不可能な原点位置から、第1画像表示装置6の表示画面6aの中央の前方に現われる駆動位置に移動可能である。
図6(A)に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。振分部材71は、左右方向に進退するものであり、右方に退避した退避状態(第1状態)又は左方に進出した進出状態(第2状態)をとる。
図6(A)は、振分部材ソレノイド73の通電時を示している。図6(A)に示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を許容する第1状態にある。振分部材71が第1状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
図6(B)は、振分部材ソレノイド73の非通電時を示している。図6(B)に示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を妨げる第2状態にある。振分部材71が第2状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと振分部材71の上面を転動して非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域70は、確変作動口ではない。また、第1大入賞装置31には、確変作動口としての特定領域は設けられていない。すなわち非特定領域しか設けられていない。
図7に示すように、表示器類40には、第1特別図柄(第1識別図柄)を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄(第2識別図柄)を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄(識別図柄)ということがある。また第1特図保留および第2特図保留を総称して特図保留ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄を可変表示したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当たり遊技)が行われる。
特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。なお本形態では、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示及び停止表示に同期して、第1画像表示装置6の表示画面6aにて演出図柄8L,8C,8Rの変動表示及び停止表示が行われる。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(入賞情報に相当)は、一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として記憶される。記憶可能な第1特図保留の数又は第2特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ4個となっている。
記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には第1特図保留表示器43aと第2特図保留表示器43bは、それぞれ4個のLEDで構成されており、それぞれ第1特図保留又は第2特図保留の数だけLEDを点灯させることにより、第1特図保留又は第2特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。
普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留として一旦記憶される。記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
2.枠可動部材の構成
次に図8〜図19に基づいて、枠可動部材の構成について説明する。本形態では、枠可動部材が、遊技機枠50(前枠53)に複数取付けられていて、それぞれ駆動手段(モータ)の駆動力によって移動可能になっている。
可動体ユニット201は、図8に示すように、前枠53のベース枠56の上端に設けられている水平状の上壁部57に図示しないビスを用いて着脱可能になっている。この可動体ユニット201は、図9に示すように、3分割できるものであり、上側蓋部材240と、上側蓋部材240の下方に配されるユニット本体250と、ユニット本体250の前側に組付けられる前側カバー260と、を備えている。ユニット本体250は、枠顔可動体400を備えている。
前側カバー260は、図9に示すように、起立していて、枠顔可動体400の前面側を隠すことができるように、左右方向に長く形成されている。また前側カバー260の上端には、左右方向に沿ってタッチセンサ(タッチ電極)261が取付けられている。タッチセンサ261は、人体が接触又は接近したことを検出するものである。そのため本形態では、タッチセンサ261による検出に基づいて、枠顔可動体400を移動させないことが可能である。また図9に示すように、枠顔可動体400の下側には、下側カバー510が取付けられていて、枠顔可動体400の前側には、枠顎可動体600が取付けられている。
ユニット本体250には、枠顔可動体400の他、図10に示すように、連結板301と、枠顔可動体400を回転させるための左側リンクユニット302L及び右側リンクユニット302Rが設けられている。連結板301には、枠顔可動体400の移動を制御する枠上中継基板310が取付けられている。
左側リンクユニット302Lの構成と右側リンクユニット302Rの構成とは、左右対称で同様である。以下では、左側リンクユニット302Lの構成を代表して説明する。左側リンクユニット302Lは、枠顔可動体400を待機位置又は動作位置に移動可能にするものである。本形態では枠顔可動体400が待機位置にあるときには、枠顔可動体400を略水平状態にしていて、枠顔可動体400が示す主人公キャラの顔が見えないようになっている。一方、枠顔可動体400が動作位置にあるときには、枠顔可動体400を前方に向かって斜め上方に延びる傾斜状態にしていて、枠顔可動体400が示す主人公キャラの顔が見えるようになっている。
左側リンクユニット302Lには、図10に示すように、左側枠顔移動モータ311Lが取付けられている。左側枠顔移動モータ311Lは、枠顔可動体400を待機位置と動作位置との間で回転させるための回転駆動力を付与するものである。なお右側リンクユニット302Rには、右側枠顔移動モータが取付けられている。右側枠顔移動モータも、枠顔可動体400を待機位置と動作位置との間で回転させるための回転駆動力を付与するものである。
左側リンクユニット302Lには、左側リンク部材340Lが取付けられている。また右側リンクユニット302Rには、右側リンク部材340Rが取付けられている。これらリンク部材340L,340Rに、枠顔可動体400が取付けられている。そして各リンク部材340L,340Rは、それぞれ左側枠顔移動モータ311L及び右側枠顔移動モータの駆動によって、軸中心O1及び軸中心O2周りに回転可能である。これにより、枠顔可動体400は、待機位置から動作位置へ移動する際に、図11(A)(B)に示すように、前方に向かって主人公キャラの顔が起き上がるように移動(回転)可能である。
なお枠顔可動体400の内部には、多数の顔用LED401が配されている。各顔用LED401の発光制御は、上述した枠上中継基板310によって実行される。具体的に枠上中継基板310は、枠顔可動体400が動作位置にあるときに、顔用LED401が発光するように制御する。これにより、動作位置にある枠顔可動体400を光って目立たせることが可能である。
本形態では、遊技者等が待機位置(図1参照)にある枠顔可動体400の下側(下側カバー510)を上方へ向かって押し上げると、枠顔可動体400を動作位置へ移動させることが可能である。一方、遊技者等が動作位置にある枠顔可動体400を下方へ向かって押し下げると、枠顔可動体400を待機位置へ移動させることが可能である。要するに枠顔可動体400は、人体による操作によっても待機位置と動作位置との間で移動可能になるように構成されている。
図12(A)(B)に示すように、下側カバー510には、左側枠耳可動体500L及び右側枠耳可動体500Rが直動可能に組付けられている。本形態では左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rが図12(A)に示す退避位置と、図12(B)に示す露出位置との間で直動可能(直線状に移動可能)である。左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rが待機位置にあるときには(図1参照)、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは退避位置にある。このとき左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、枠顔可動体400の中に隠れるようになっている。一方、枠顔可動体400が動作位置にあるときには、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは露出位置にある。このとき左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、枠顔可動体400よりも上方に突出して露出するようになっている。
図12(B)に示すように、下側カバー510の左側には、左側枠耳移動モータ520Lが取付けられている。左側枠耳移動モータ520Lは、左側枠耳可動体500Lを退避位置と露出位置との間で直動させるための直動駆動力を付与するものである。また下側カバー510の右側には、右側枠耳移動モータ520Rが取付けられている。右側枠耳移動モータ520Rは、右側枠耳可動体500Rを退避位置と露出位置との間で直動させるための直動駆動力を付与するものである。
図13(A)(B)に示すように、枠顎可動体600は、枠顔可動体400に対して傾動(回転)可能に組付けられている。本形態では枠顎可動体600が図13(A)に示す閉鎖位置と、図13(B)に示す開放位置との間で傾動(回転)可能である。図13(A)に示すように、枠顎可動体600が閉鎖位置にあるときには、枠顔可動体400が示す主人公キャラの口が閉じている印象を与えることが可能である。一方図13(B)に示すように、枠顎可動体600が開放位置にあるときには、枠顔可動体400が示す主人公キャラの口が開いている印象を与えることが可能である。
図13(A)(B)に示すように、動作位置にあるときの枠顔可動体400の下側に、枠顎移動モータ610が取付けられている。枠顎移動モータ610は、枠顎可動体600を閉鎖位置と開放位置との間で回転(傾動)させるための回転駆動力を付与するものである。
図14は、枠顔可動体400が動作位置にあるときの本パチンコ遊技機1の斜視図であり、図15は、枠顔可動体400が動作位置にあるときの本パチンコ遊技機1の正面図である。枠顎可動体600は、図15に示すように、枠顔可動体400が動作位置にあるときに限り、閉鎖位置と動作位置との間で傾動するようになっている。
図16に示すように右側装飾部220には、枠剣可動体221及び鞘部材222が設けられている。枠剣可動体221は、固定されている鞘部材222に対して、上下方向に直動可能に組付けられている。枠剣可動体221は、下側に剣先部分221aを有している。本形態では枠剣可動体221が図16(A)に示す収納位置(第1位置)と、図16(B)に示す押込位置(第2位置)との間で直動可能である。図16(A)に示すように、枠剣可動体221が収納位置にあるときには、剣先部分221aが鞘部材222の中に収納されている。一方、枠剣可動体221が押込位置にあるときには、剣先部分221aが鞘部材222から上方に移動して露出している。
鞘部材222の内部には、枠剣移動モータ223(図16(A)(B)の破線参照)が取付けけられている。枠剣移動モータ223(駆動手段)は、枠剣可動体221を収納位置と押込位置との間で直動させるための直動駆動力を付与するものである。本形態では、枠剣移動モータ223の直動駆動力によって枠剣可動体221が収納位置から押込位置へ移動させると共に、遊技者に枠剣可動体221を下方へ押込操作するように促す枠剣操作促進演出(図42参照)を実行するようになっている。これにより遊技者は、枠剣可動体221を押込位置から収納位置へ押込むことが可能であり、演出に積極的に関与することが可能である。
本形態では、遊技者等が収納位置(図16(A)参照)にある枠剣可動体221を上方へ向かって引き抜くと、枠剣可動体221を押込位置(図16(B)参照)へ移動させることが可能である。また上述したように、遊技者等が押込位置にある枠剣可動体221を下方へ向かって押込むと、枠剣可動体221を収納位置へ移動させることが可能である。要するに枠剣可動体221は、人体による操作によっても収納位置と押込位置との間で移動可能になるように構成されている。
また枠剣可動体221の上側には、円盤状の枠剣円盤部材232が回転可能に取付けられている。また枠剣可動体221の上側の内部には、枠剣円盤部材232を回転させるための回転駆動力を付与する枠剣円盤部材回転モータ231(図16(A)(B)の破線参照)が接続されている。そのため図16(B)に示すように、枠剣円盤部材232は、枠剣円盤部材回転モータ231が回転駆動することで、枠剣可動体221に対して回転可能になっている。
次に発光体ユニット202について、図17に基づいて説明する。ここでは右側発光体ユニット202Rについて説明するが、左側発光体ユニット202Lも同様の構成を備えている。右側発光体ユニット202Rは、図17に示すように、固定部204と、固定部204の前方に取付けられた演出用本体部206とを有している。固定部204は、前枠53のベース枠56に固定されている。演出用本体部206は、上部が下部よりも前方に位置する前傾姿勢と、鉛直方向に沿う起立姿勢(不図示)とをとることが可能である。演出用本体部206は外装体309を備えていて、図18では演出用本体部206から外装体309が取外された状態が示されている。
図18に示すように、演出用本体部206は、下側に下側部材312を有し、下側部材312に対して右側枠ドラム320Rを回転可能に取付けている。右側枠ドラム320R(可動部材)は、略円筒状であり、内部に多数のドラム用LED331(図18の破線参照)を配している。右側枠ドラム320Rの上側部分320Uは、周方向に沿って4つの面を有し、図18の矢印aで示す方向に回転可能である。一方、右側枠ドラム320Rの下側部分320Dは、周方向に沿って4つの面を有し、図18の矢印bで示す方向に回転可能である。
右側枠ドラム320Rの上側部分320Uが有する4つの面と、右側枠ドラム320Rの下側部分320Dが有する4つの面とは、1対1に対応付けられていて、対応関係にある組合せによって、特定のモチーフを形成することが可能である。本形態では、モチーフとして「V」の文字、「激アツ」の文字、7セグを示すことが可能である。そして右側枠ドラム320Rの内部に配されているドラム用LED331が発光することで、各モチーフを強調して示すことが可能である。
図19に示すように、右側枠ドラム320Rの下側部材312には、右側枠ドラム回転モータ321Rが取付けられている。右側枠ドラム回転モータ321R(駆動手段)は、右側枠ドラム320Rの上側部分320Uと下側部分320Dとを回転させるための回転駆動力を付与するものである。右側枠ドラム回転モータ321Rが回転駆動すると、上側部分320Uが図示しないギヤ機構を介して図19の矢印aで示す方向に回転すると共に、下側部分320Dが図示しないギヤ機構を介して図19の矢印bで示す方向に回転する。
右側発光体ユニット202Rと同様、左側発光体ユニット202Lの外装体309の内部にも、左側枠ドラム(可動部材)が設けられている。そして右側枠ドラム回転モータ321Rと同様、左側枠ドラムの下側部材に、左側枠ドラム回転モータ(駆動手段)が取付けられている。
3.遊技機の電気的構成
次に図20〜図22に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図20に示すように、パチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110、電源を供給する電源基板150等を備えている。主制御基板80は、払出制御基板110と共に、メイン制御部を構成する。
図20に示すように、主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)83、ワークメモリとして使用されるRAM(Random access memory)84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。なお、ROM83は外付けであってもよい。
RAM84には、特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)が設けられている。第1特図保留記憶部85aは、記憶可能な第1特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。また第2特図保留記憶部85bは、記憶可能な第2特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。各記憶領域は4つの記憶領域に分かれている。これらの4つの記憶領域とは、後述の大当たり乱数を記憶する領域、当たり種別乱数を記憶する領域、リーチ乱数を記憶する領域、及び変動パターン乱数を記憶する領域である。
またRAM84には、普図保留記憶部86が設けられている。普図保留記憶部86は、記憶可能な普図保留の数に対応した記憶領域からなる。各記憶領域は、普通図柄乱数を記憶する領域である。
また主制御基板80には、図20に示すように、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内にそれぞれ設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。また払い出される貸球は、その計数のため球貸センサ132により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また主制御基板80は、図21に示すサブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
パチンコ遊技機1は、図21に示すように、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90と、画像制御を行う画像制御基板100と、音声制御を行う音声制御基板106とを備える。サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、サブ駆動基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に第1画像表示装置6の表示制御及び第2画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、第1画像表示装置6及び第2画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(装飾図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
またサブ制御基板90には、演出ボタン検出スイッチ(SW)63a及びセレクトボタン検出スイッチ68aが接続されている。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63が押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン63が押されると演出ボタン検出スイッチ63aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。また、セレクトボタン検出スイッチ68aは、セレクトボタン68が押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタンが押されるとセレクトボタン検出スイッチ68aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。
演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
電源基板150(電源供給手段)は、主制御基板80、サブ制御基板90、及び払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板150には、バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151は、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に対して電力を供給する。従って、主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板150には、電源スイッチ155が接続されている。電源スイッチ155のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切替えられる。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしてもよい。
またパチンコ遊技機1は、図22に示すように、サブ駆動基板107を備えている。上述した演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、図22に示すサブ駆動基板107を介して枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの点灯制御を行うと共に、サブ駆動基板107と枠上中継基板310とを介して顔用LED401やドラム用LED331の点灯制御を行う。演出制御用マイコン91は、枠ランプ66、盤ランプ5、顔用LED401、ドラム用LED331等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ66、盤ランプ5、顔用LED401、ドラム用LED331等のランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板107に接続された盤可動体移動モータ15aの駆動制御を行う。つまり演出制御用マイコン91は、盤可動体15の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データ)を作成し、動作パターンデータに従って盤可動体移動モータ15aの駆動を制御する。盤可動体移動モータ15aは、盤可動体15に駆動力(回転力)を付与して、盤可動体15を移動可能にするものである。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。なお動作パターンデータの中には、枠顔可動体400の動作態様を決める駆動データ、枠ドラム320の動作態様を決める駆動データ、枠耳可動体500の動作態様を決める駆動データ、枠顎可動体600のデータを決める駆動データ、枠剣可動体221の動作態様を決める駆動データ、枠剣円盤部材232の動作態様を決める駆動データもある。
サブ駆動基板107には、上述した枠上中継基板310が接続されていると共に、枠右中継基板224が接続されている。枠上中継基板310は、上述したように、上側装飾部200の連結板301に取付けられている中継基板である。枠右中継基板224は、右側装飾部220に設けられている中継基板である。
枠上中継基板310には、枠顔可動体400を回転させるための枠顔移動モータ311が接続されている。枠顔移動モータ311は、左側枠顔移動モータ311Lと右側枠顔移動モータとの総称である。サブ駆動基板107は、サブ制御基板90からの駆動信号(シリアル信号やクロック信号等)に基づいて、枠上中継基板310を介して枠顔移動モータ311の駆動制御を行う。また枠上中継基板310には、枠ドラム320を回転させるための枠ドラム回転モータ321が接続されている。枠ドラム320(可動部材)は、右側枠ドラム320Rと左側枠ドラムとの総称である。枠ドラム回転モータ321(駆動手段)は、右側枠ドラム回転モータ321Rと左側枠ドラム回転モータ321Lとの総称である。サブ駆動基板107は、サブ制御基板90からの駆動信号に基づいて、枠上中継基板310を介して枠ドラム回転モータ321の駆動制御を行う。
また枠上中継基板310には、枠耳可動体500を直動させるための枠耳移動モータ520が接続されている。枠耳可動体500は、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rとの総称である。枠耳移動モータ520は、左側枠耳移動モータ520Lと右側枠耳移動モータ520Rとの総称である。サブ駆動基板107は、サブ制御基板90からの駆動信号に基づいて、枠上中継基板310を介して枠耳移動モータ520の駆動制御を行う。また枠上中継基板310には、枠顎可動体600を回転させるための枠顎移動モータ610が接続されている。そのため、サブ駆動基板107は、サブ制御基板90からの駆動信号に基づいて、枠上中継基板310を介して枠顎移動モータ610の駆動制御を行う。
枠上中継基板310には、タッチセンサ261が接続されている。そのため、タッチセンサ261に接触すると、タッチセンサ261から枠上中継基板310とサブ駆動基板107とを介してサブ制御基板90に対して検出信号が出力される。また枠上中継基板310には、上述したように点灯制御される顔用LED401及びドラム用LED331が接続されている。
枠右中継基板224には、枠剣可動体221を直動させるための枠剣移動モータ223が接続されている。そのため、サブ駆動基板107は、サブ制御基板90からの駆動信号に基づいて、枠右中継基板224を介して枠剣移動モータ223の駆動制御を行う。また枠右中継基板224には、枠剣円盤部材232を回転させるための枠剣円盤部材回転モータ231が接続されている。そのため、サブ駆動基板107は、サブ制御基板90からの駆動信号に基づいて、枠右中継基板224を介して枠剣円盤部材回転モータ231の駆動制御を行う。
なお、サブ駆動基板107、枠上中継基板310、枠右中継基板224にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに各モータの駆動制御や各ランプの点灯制御を実行させてもよい。さらにこの場合、サブ駆動基板107、枠上中継基板310、枠右中継基板224にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
本形態においてサブ制御基板90は、画像制御基板100と音声制御基板106とサブ駆動基板107とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(第1画像表示装置6、第2画像表示装置7、盤ランプ5、枠ランプ66、スピーカ67、枠顔可動体400等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。なお本形態のパチンコ遊技機1では、音声や楽曲、効果音等を出力するスピーカ67が、上側装飾部200の後方側の下側に設けられている。
本形態では、枠可動部材として、枠顔可動体400と、枠耳可動体500と、枠顎可動体600と、枠剣可動体221と、枠剣円盤部材232と、枠ドラム320とが設けられている。こうして枠可動部材が多く設けられているため、電源基板150での消費電力が大きくなっている。
ここで図20〜図22は、あくまで本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、図20〜図22に示す基板だけが設けられているわけではない。主制御基板80を除いて、図20〜図22に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、図20〜図22に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
ここで本形態の枠剣移動モータ223の構造について、図23(A)に基づいて説明する。図23(A)に示すように、本形態の枠剣移動モータ223は、バイポーラ型のステッピングモータである。なお本形態では、枠剣移動モータ223の他、枠顔移動モータ311、枠ドラム回転モータ321、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610、枠剣円盤部材回転モータ231、盤可動体移動モータ15aも、バイポーラ型のステッピングモータである。
バイポーラ型のステッピングモータでは、機能を概略的に説明すると、図23(A)に示すように、2組のコイルA及びコイルBが設けられている。そしてコイルAには、φ1端子とφ2端子とが設けられている。またコイルBには、φ3端子とφ4端子とが設けられている。このバイポーラ型のステッピングモータを駆動させる場合、図23(A)の(1)⇒(2)⇒(3)⇒(4)に示すように、コイルAとコイルBに流す電流の向きを交互に切替えるようになっている。
即ち、先ず図23(A)の(1)に示すように、コイルAのφ1端子からφ2端子へ電流を流す。次に図23(A)の(2)に示すように、コイルBのφ3端子からφ4端子へ電流を流す。続いて図23(A)の(3)に示すように、コイルAのφ2端子からφ1端子へ電流を流す。最後に図23(A)の(4)に示すように、コイルBのφ4端子からφ3端子へ電流を流す。以後、上記(1)(2)(3)(4)を繰り返すことにより、回転軸を、発生した磁力で引き付けるように回転させる。こうしてバイポーラ型のステッピングモータでは、各端子に流れる電流の向きが切替わることが特徴になる。
次に、従来から演出用のモータとして一般的に用いられているユニポーラ型のステッピングモータについて、図23(B)に基づいて説明する。ユニポーラ型のステッピングモータでも、機能を概略的に説明すると、図23(B)に示すように、2組のコイルA及びコイルBが設けられている。そしてコイルAには、φ1端子とφ2端子とが設けられていて、コイルAの中間にタップTPが設けられている。またコイルBには、φ3端子とφ4端子とが設けられていて、コイルBの中間にタップTPが設けられている。タップTPには、常に+電源(DC)が接続されている。このユニポーラ型のステッピングモータを駆動させる場合、図23(B)の(1)⇒(2)⇒(3)⇒(4)に示すように、タップTPから各端子へ電流を一方向へ流すようになっている。
即ち、先ず図23(B)の(1)に示すように、コイルAのタップTPからφ1端子へ電流を流す。次に図23(B)の(2)に示すように、コイルBのタップTPからφ3端子へ電流を流す。続いて図23(B)の(3)に示すように、コイルAのタップTPからφ2端子へ電流を流す。最後に図23(B)の(4)に示すように、コイルBのタップTPからφ4端子へ電流を流す。以後、上記(1)(2)(3)(4)を繰り返すことにより、回転軸を、発生した磁力で引き付けるように回転させる。こうしてユニポーラ型のステッピングモータでは、各端子に流れる電流の向きが常に一定であることが特徴になる。
以上、図23(B)に示すユニポーラ型のステッピングモータでは、回転時の各フェーズ((1)(2)(3)(4)の何れかの時点)のコイルA,Bにおいて、半分のコイル(巻線)でしか電流が流れていない状態になる。これに対して、図23(A)に示すバイポーラ型のステッピングモータでは、回転時の各フェーズのコイルA,Bにおいて、電流の向きが切替わるものの、コイル全体に電流が流れている状態になる。即ち常にコイルが機能することになる。従って、本形態のようにバイポーラ型のステッピングモータを用いる場合には、従来のようにユニポーラ型のステッピングモータを用いる場合に比べて、同じ巻き数のコイルであれば、コイルの利用効率が高くなる。その結果、モータを効率良く回転させることが可能であり、低速回転時の出力トルクを高くすることが可能である。
なお本形態では、ステッピングモータの励磁方式として、2相励磁を用いている。2相励磁は、パルスを付与する次の相に対して1パルス分だけずらしながら、2相ずつ同時に励磁する方式である。2相励磁であれば、1相ずつ励磁する1相励磁に比べて、回転を安定させることが可能であり、出力トルクを大きくできるというメリットがある。但し、1相励磁に比べて、消費電力が大きくなるというデメリットがある。
4.枠右中継基板及び枠上中継基板の電気回路
次に図24〜図28に基づいて、枠右中継基板224及び枠上中継基板310の電気回路について説明する。先ず枠右中継基板224の電気回路について説明する。図24に示すように、枠右中継基板224には、枠剣移動モータドライバIC1が実装されている。枠剣移動モータドライバIC1(駆動回路部)は、枠剣移動モータ223の駆動を制御するステッピングモータドライバである。
枠剣移動モータドライバIC1は、図24に示すように、Vcc端子、VREFA端子、VREFB端子、PHASEA端子、PHASEB端子、INA1端子、INA2端子、INB1端子、INB2端子、STANDBY端子、6ビット分のGND端子、2ビット分のOUTA+端子、2ビット分のOUTA−端子、2ビット分のOUTB+端子、2ビット分のOUTB−端子、2ビット分のRSA端子、2ビット分のRSB端子、18ビット分のNC(未接続)端子、及びその他の端子(OSCM端子、VM端子)を備えている。枠剣移動モータドライバIC1には、例えばテキサスインスツルメンツ製「TB67S101AFTG」などの汎用ドライバを好適に使用できる。
Vcc端子は、5Vの電源が供給される端子である。VREFA端子は、枠剣移動モータ223に対するA相モータ出力設定端子である。またVREFB端子は、枠剣移動モータ223に対するB相モータ出力設定端子である。ここで、VREFA端子に作用する電圧によって、後述するOUTA+端子及びOUTA−端子から出力する電流が切替えられる。即ち、VREFA端子に作用する電圧が大きければ、後述するOUTA+端子及びOUTA−端子から出力する電流を大きくすることが可能である。同様に、VREFB端子に作用する電圧によって、後述するOUTB+端子及びOUTB−端子から出力する電流が切替えられる。即ち、VREFB端子に作用する電圧が大きければ、後述するOUTB+端子及びOUTB−端子から出力する電流を大きくすることが可能である。
PHASEA端子は、枠剣移動モータ223(図23(A)参照)に対するA相極性設定端子である。PHASEB端子は、枠剣移動モータ223に対するB相極性設定端子である。INA1端子及びINA2端子は、枠剣移動モータ223に対するA相出力制御端子である。INB1端子及びINB2端子は、枠剣移動モータ223に対するB相出力制御端子である。STANDBY端子は、省電力モード設定端子である。GND端子は、グランドに接続するための端子である。
OUTA+端子は、枠剣移動モータ223のA相φ1端子(コイルAのφ1端子,図23(A)参照)に対する電流出力端子である。OUTA−端子は、枠剣移動モータ223のA相φ2端子(コイルAのφ2端子)に対する電流出力端子である。OUTB+端子は、枠剣移動モータ223のB相φ3端子(コイルBのφ3端子)に対する電流出力端子である。OUTB−端子は、枠剣移動モータ223のB相φ4端子(コイルBのφ4端子)に対する電流出力端子である。RSA端子は、枠剣移動モータ223のA相(コイルA)に出力した電流を検出するための端子である。RSB端子は、枠剣移動モータ223のB相(コイルB)に出力した電流を検出するための端子である。
ところで、図24に示す枠剣移動モータドライバIC1は、枠剣移動モータ223のコイルAの各端子φ1,φ2、及びコイルBの各端子φ3,φ4に所定の一定電流を供給することが可能な定電流駆動方式のものである。定電流駆動方式では、各コイルA,Bに流れる電流が一定電流になるように常に監視して、規定電流以上の電流が流れようとすると高速で電圧のONとOFFとを繰り返して、一定電流を保つ方式である。この定電流駆動方式に対して、定電圧駆動方式がある。定電圧駆動方式では、各コイルA,Bに作用する電圧を一定電圧に保つ方式である。
ここでモータが回転するときには、各コイルA,Bに、誘導起電力(逆起電力)が発生して、逆起電圧が作用することになる。そのため、定電圧駆動方式の場合、各コイルA,Bに作用する有効な電圧(定電圧駆動方式による一定電圧)が、逆起電圧によって減少してしまう。特にモータが高速回転するほど、各コイルA,Bに大きな逆起電圧が作用するため、電流が流れ難くなる。その結果、定電圧駆動方式では、モータの出力トルクを大きくし難い。これに対して、定電流駆動方式であれば、逆起電圧が発生しても、各コイルA,Bに流れる電流を一定電流にて安定するように制御する。その結果、定電圧駆動方式よりも、モータの高速回転時における出力特性を向上させることが可能である。本形態の枠剣移動モータドライバIC1では、定電流駆動方式によって供給する一定電流が230mAになるように設定されている。
枠剣移動モータドライバIC1のOUTA+端子は、制御ラインL1を介してコネクタCN1の1番端子に接続されている。コネクタCN1の1番端子は、図示しないハーネスを介して、枠剣移動モータ223のコイルAの端子φ1(図23(A)参照)に接続されている。従って、枠剣移動モータドライバIC1のOUTA+端子から出力される電流を、制御ラインL1を通して、枠剣移動モータ223のコイルAの端子φ1へ流すことが可能である。ここで本形態では、制御ラインL1に電流遮断回路224Aが設けられていることに特徴があるが、電流遮断回路224Aについては後述する。
また枠剣移動モータドライバIC1のOUTA−端子は、制御ラインL2を介してコネクタCN1の2番端子に接続されている。コネクタCN1の2番端子は、図示しないハーネスを介して、枠剣移動モータ223のコイルAの端子φ2(図23(A)参照)に接続されている。従って、枠剣移動モータドライバIC1のOUTA−端子から出力される電流を、制御ラインL2を通して、枠剣移動モータ223のコイルAの端子φ2へ流すことが可能である。
また枠剣移動モータドライバIC1のOUTB+端子は、制御ラインL3を介してコネクタCN1の3番端子に接続されている。コネクタCN1の3番端子は、図示しないハーネスを介して、枠剣移動モータ223のコイルBの端子φ3(図23(A)参照)に接続されている。従って、枠剣移動モータドライバIC1のOUTB+端子から出力される電流を、制御ラインL3を通して、枠剣移動モータ223のコイルBの端子φ3へ流すことが可能である。ここで本形態では、制御ラインL3に電流遮断回路224Aが設けられていることに特徴があるが、電流遮断回路224Aについては後述する。
また枠剣移動モータドライバIC1のOUTB−端子は、制御ラインL4を介してコネクタCN1の4番端子に接続されている。コネクタCN1の4番端子は、図示しないハーネスを介して、枠剣移動モータ223のコイルBの端子φ4(図23(A)参照)に接続されている。従って、枠剣移動モータドライバIC1のOUTB−端子から出力される電流を、制御ラインL4を通して、枠剣移動モータ223のコイルBの端子φ4へ流すことが可能である。
図24に示すように、枠剣移動モータドライバIC1のVREFA端子から延びる制御ラインと、VREFBラインから延びる制御ラインとが結合して、1つの制御ラインL5が形成されている。制御ラインL5は、分岐点BTから図24の上側へ延びる制御ラインL5aと、分岐点BTから図24の下側へ延びる制御ラインL5bとに分かれている。制御ラインL5aには抵抗R1が接続されていて、制御ラインL5bには抵抗R2が接続されている。本形態では、制御ラインL5aに検査用外付回路224Bが組み込まれていることに特徴があるが、検査用外付回路224Bについては後述する。
また図24に示すように、制御ラインL1とグランドとの間にアバランシェダイオードZD1が設けられ、制御ラインL2とグランドとの間にアバランシェダイオードZD2が設けられ、制御ラインL3とグラインドとの間にアバランシェダイオードZD3が設けられ、制御ラインL4とグランドとの間にアバランシェダイオードZD4が設けられている。これらアバランシェダイオードZD1,ZD2,ZD3,ZD4は、各制御ラインL1,L2,L3,L4に対して過電圧(例えば数千V)が作用したときに、各制御ラインL1,L2,L3,L4を保護するものである。
なお図24に示すように、枠剣移動モータドライバIC1の2つのOUTA+端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL1になっている。また枠剣移動モータドライバIC1の2つのOUTA−端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL2になっている。また枠剣移動モータドライバIC1の2つのOUTB+端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL3になっている。また枠剣移動モータドライバIC1の2つのOUTB−端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL4になっている。これは、枠剣移動モータドライバIC1の1つ(1ビット分)の端子から出力できる電流は限られているため、2つの端子から延びる制御ラインを結合することで、より大きな電流を供給可能にするためである。
また図25に示すように、枠右中継基板224には、入出力IC2が実装されている。入出力IC2は、デジタル信号を入出力するためのものである。入出力IC2には、シリアルデータ入出力端子(SDA端子)、シリアルクロック入力端子(SCL端子)、Vcc端子、3ビット分のアドレス設定端子(A0〜A2端子)、5ビット分の入力端子P11〜P15、11ビット分の出力端子P00〜P10、その他の端子(GND端子、INT端子)を備えている。入出力IC2は、例えばテキサスインスツルメンツ製「SNB6006PWR」などのGPIO(General Purpose Input Output)を好適に使用できる。
入出力IC2と演出制御用マイコン91とは、I2C(Inter Integrated Circuit)通信方式によって通信可能に接続されている。即ち、演出制御用マイコン91のシリアルポート98が接続されているデータ信号ラインに、入出力IC2のSDA端子が接続されている。また演出制御用マイコン91のシリアルポート98が接続されているクロック信号ラインに、入出力IC2のSCL端子が接続されている。
演出制御用マイコン91は、I2C通信方式によって入出力IC2と通信する場合、先ず入出力IC2のアドレス情報をシリアルデータとして送信する。そして、そのアドレス情報と一致するアドレスが割り付けられた入出力IC2から、返答信号を受信すると、入出力IC2に対して、枠剣可動体221を駆動させるための駆動データをシリアルデータとして送信する。入出力IC2は、演出制御用マイコン91から入力される駆動データに基づいて、出力端子P00〜P10から制御信号を出力する。これにより、枠剣可動体221が駆動データに基づく動作態様で動作するように、枠剣移動モータ223を駆動させることが可能である。
図25に示すように、Vcc端子は、5Vの電源が供給される端子である。A0端子(アドレス設定端子)は、5Vの電源に接続されている一方、A1端子及びA2端子は、グランドに接続されている。5ビット分の入力端子P11〜P15は、枠剣可動体221の位置を検出するセンサ(図示省略)等から検出信号を入力する端子である。11ビット分の出力端子P00〜P10のうち、6ビット分の出力端子P02〜P07は、図24に示す枠剣移動モータドライバIC1のPHASEB端子、PHASEA端子、INB2端子、INB1端子、INA2端子、INA1端子に制御信号を出力する端子である。出力端子P00と出力端子P01と出力端子P10の機能については、後述する。
次に、枠上中継基板310の電気回路について説明する。図26に示すように、枠上中継基板310には、左側枠ドラムモータドライバIC11が実装されている。左側枠ドラムモータドライバIC11(駆動回路部)は、左側枠ドラム回転モータ321Lの駆動を制御するステッピングモータドライバである。また枠上中継基板310には、右側枠ドラムモータドライバIC21が実装されている。右側枠ドラムモータドライバIC21(駆動回路部)は、右側枠ドラム回転モータ321Rの駆動を制御するステッピングモータドライバである。これら左側枠ドラムモータドライバIC11と右側枠ドラムモータドライバIC21は、図24に示す枠剣移動モータドライバIC1と同じ構成であるため、詳細な構成の説明を省略する。
また図26に示すように、枠上中継基板310には、入出力IC12が実装されている。入出力IC12は、図25に示す入出力IC2と同じ構成であるため、詳細な構成の説明を省略する。入出力IC12の6ビット分の出力端子P02〜P07は、それぞれ制御ラインを介して右側枠ドラムモータドライバIC21のPHASEB端子、PHASEA端子、INB2端子、INB1端子、INA2端子、INA1端子に接続されている。また入出力IC12の6ビット分の出力端子P10〜P15は、それぞれ制御ラインを介して左側枠ドラムモータドライバIC11のPHASEB端子、PHASEA端子、INB2端子、INB1端子、INA2端子、INA1端子に接続されている。
そして図27に示すように、演出制御用マイコン91と入出力IC12とは、上述した演出制御用マイコン91と入出力IC2(図25参照)のように、I2C(Inter Integrated Circuit)通信方式によって通信可能に接続されている。以上、図26から分かるように、左側枠ドラムモータドライバIC11に関わる電気回路と、右側枠ドラムモータドライバIC21に関わる電気回路とは同様である。そのため、以下では図28に基づいて、左側枠ドラムモータドライバIC11に関わる電気回路を代表して説明する。
図28に示すように、左側枠ドラムモータドライバIC11のOUTA+端子は、制御ラインL11を介してコネクタCN11の1番端子に接続されている。コネクタCN11の1番端子は、図示しないハーネスを介して、左側枠ドラム回転モータ321LのコイルAの端子φ1(図23(A)参照)に接続されている。また左側枠ドラムモータドライバIC11のOUTA−端子は、制御ラインL12を介してコネクタCN11の2番端子に接続されている。コネクタCN11の2番端子は、図示しないハーネスを介して、左側枠ドラム回転モータ321LのコイルAの端子φ2(図23(A)参照)に接続されている。
また左側枠ドラムモータドライバIC11のOUTB+端子は、制御ラインL13を介してコネクタCN11の3番端子に接続されている。コネクタCN11の3番端子は、図示しないハーネスを介して、左側枠ドラム回転モータ321LのコイルBの端子φ3(図23(A)参照)に接続されている。また左側枠ドラムモータドライバIC11のOUTB−端子は、制御ラインL14を介してコネクタCN11の4番端子に接続されている。コネクタCN11の4番端子は、図示しないハーネスを介して、左側枠ドラム回転モータ321LのコイルBの端子φ4(図23(A)参照)に接続されている。
各制御ラインL11,L12,L13,L14とグランドとの間には、それぞれツェナーダイオードD11,D12,D13,D14が配されていて、各制御ラインL11,L12,L13,L14と24Vの電源との間には、それぞれツェナーダイオードD15,D16,D17,D18が配されている。このようにグランド側と電源側の両方にツェナーダイオードが設けられているのは、以下の理由に基づく。
本形態の左側枠ドラム回転モータ321Lは、上述したように、バイポーラ型のステッピングモータである。そのため、左側枠ドラム回転モータ321Lの回転時の各フェーズのコイルA,Bでは、電流の向きが切替わるため、各制御ラインL11,L12,L13,L14(図28参照)でも電流の向きが切替わる。よって、意図しない超過電流が生じた場合、その超過電流をグランド側又は電源側の何れかに確実に逃がすことができるように、グランド側と電源側の両方にツェナーダイオードを設けている。
図28に示すように、左側枠ドラムモータドライバIC11のVREFA端子から延びる制御ラインと、VREFBラインから延びる制御ラインとが結合して、1つの制御ラインL15が形成されている。制御ラインL15は、分岐点BTから図28の上側へ延びる制御ラインL15aと、分岐点BTから図28の下側へ延びる制御ラインL15bとに分かれている。制御ラインL15aには抵抗R11が接続されていて、制御ラインL15bには抵抗R12が接続されている。制御ラインL15aに検査用外付回路310Aが組み込まれている。この検査用外付回路310Aは、図24に示す検査用外付回路224Bと同様の機能を果たすものである。
以上、左側枠ドラムモータドライバIC11の周りの電気回路の構成について説明したが、右側枠ドラムモータドライバIC21の周りの電気回路の構成も実質的に同様である。そのため図26において、右側枠ドラムモータドライバIC21の周りの電気回路の構成については、図28に示す各構成の10番台を20番台に換えることとして、その詳細な説明を省略する。
次に、図24に示す枠右中継基板224において、電流遮断回路224Aが設けられていない場合の問題点について説明する。本形態では、前枠53の右側装飾部220に設けられている枠剣可動体221は、遊技者が触れて操作できるものである。特に遊技者は、悪戯で枠剣可動体221を図16(A)に示す収納位置と図16(B)に示す押込位置との間で何度も直動させるおそれがある。そうなると枠剣移動モータ223では逆起電力が生じて、意図しない逆起電力が図24に示す各制御ラインL1,L2,L3,L4を介して枠剣移動モータドライバIC1に作用し得る。
特に本形態では、枠剣可動体221が上下方向に直動できるものであるため、遊技者が悪戯で枠剣可動体221を高速に何度も直動させるおそれがある。その場合には、枠剣移動モータ223に非常に大きな逆起電力が生じて、枠剣移動モータドライバIC1に耐電圧(本形態では絶対最大定格としての50V)を超える超過電圧が作用しかねない。その結果、枠剣移動モータドライバIC1が故障し得るという問題点があった。
そこで本形態では、上記した問題点を解決すべく、図24に示すように、制御ラインL1,L3に電流遮断回路224Aが組み込まれている。電流遮断回路224A(導通切替手段)は、制御ラインL1に設けられているフォトモスリレーPM1と、制御ラインL3に設けられているフォトモスリレーPM2とを備えている。
フォトモスリレーPM1は、制御ラインL1において、電流が流れる導通状態、又は電流が流れない非導通状態に切替えるものである。なお制御ラインL1は、枠剣移動モータ223のコイルA(図23(A)参照)を介して制御ラインL2に接続されている。そのため、制御ラインL1が非導通状態に切替えられれば、制御ラインL2も非導通状態に切替えられる。つまり、フォトモスリレーPM1は、両方の制御ラインL1,L2の導通状態と非導通状態を切替えるものともいえる。
フォトモスリレーPM2は、制御ラインL3において、電流が流れる導通状態、又は電流が流れない非導通状態に切替えるものである。なお制御ラインL3は、枠剣移動モータ223のコイルB(図23(A)参照)を介して制御ラインL4に接続されている。そのため、制御ラインL3が非導通状態に切替えられれば、制御ラインL4も非導通状態に切替えられる。つまり、フォトモスリレーPM2は、両方の制御ラインL3,L4の導通状態と非導通状態を切替えるものともいえる。
フォトモスリレーPM1とフォトモスリレーPM2は、入力側として、アノード端子としての1番端子と、カソード端子としての2番端子と、未接続の3番端子とを備える。そして出力側として、ドレイン端子としての4番端子と、ソース端子としての5番端子と、ドレイン端子としての6番端子とを備えている。フォトモスリレーPM1とフォトモスリレーPM2は、例えばテキサスインスツルメンツ製「TLP3107」などのフォトモスリレーを好適に使用できる。
図24において、K−FC制御信号として「L」レベルの信号が入力される場合には、フォトモスリレーPM1,PM2の1番端子(アノード端子)から2番端子(カソード端子)へ電流が流れる。これにより、フォトモスリレーPM1,PM2の入力側のLEDが発光して、出力側のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect)ゲートが充電される。その結果、MOSFETが導通状態になる。即ち、フォトモスリレーPM1,PM2の4番端子(ドレイン端子)と6番端子(ドレイン端子)との間が導通状態になる。この状態であれば、枠剣移動モータドライバIC1は、枠剣移動モータ223の各コイルA,Bに電流を流すことが可能である。
ここで図25に示す入出力IC2の出力端子P10から「H」レベルの制御信号が出力される場合、その制御信号のレベルは、インバータ素子INV1によって「L」レベルに変換される。従って、この場合には、図24に示すK−FC制御信号として「L」レベルの信号が出力される。よって演出制御用マイコン91は、入出力IC2の出力端子P10から「H」レベルの制御信号が出力されるように制御することで、枠剣移動モータ223の駆動を制御可能な状態にすることができる。
一方、図24において、K−FC制御信号として「H」レベルの信号が入力される場合には、フォトモスリレーPM1,PM2の1番端子(アノード端子)から2番端子(カソード端子)へ電流が流れない。これにより、フォトモスリレーPM1,PM2の入力側のLEDが発光しないため、出力側のMOSFETゲートが充電されない。その結果、MOSFETが非導通状態になる。即ち、フォトモスリレーPM1,PM2の4番端子(ドレイン端子)と6番端子(ドレイン端子)との間が非導通状態になる。この状態であれば、枠剣移動モータドライバIC1は、枠剣移動モータ223の各コイルA,Bに電流を流すことが不可能である。そして、枠剣移動モータ223に逆起電力が生じても、その逆起電力を枠剣移動モータドライバIC1に作用させないことが可能である。
ここで図25に示す入出力IC2の出力端子P10から「L」レベルの制御信号が出力される場合、その制御信号のレベルは、インバータ素子INV1によって「H」レベルに変換される。従って、この場合には、図24に示すK−FC制御信号として「H」レベルの信号が出力される。よって演出制御用マイコン91は、入出力IC2の出力端子P10から「L」レベルの制御信号が出力されるように制御することで、枠剣移動モータドライバIC1に逆起電力に基づく超過電圧が作用しない状態にすることが可能である。
本形態では、パチンコ遊技機1に電源が投入されていない状態、又は電源が投入された直後の初期状態(デフォルト状態)では、図24に示すK−FC制御信号のレベルは「L」レベルになっている。従ってほとんどの期間においては、制御ラインL1,L2、及び制御ラインL3,L4が非導通状態になっている。よって、遊技者が遊技しないで悪戯で枠剣可動体221を高速に直動させても、枠剣移動モータ223で生じる逆起電力が枠剣移動モータドライバIC1に作用することがない。その結果、枠剣移動モータドライバIC1が故障するのを防ぐことが可能である。
また本形態では、大当たりへの当選期待度が高いことを示す場合、遊技者が枠剣可動体221を下方へ押込操作するのを促す枠剣操作促進演出を実行する。この枠剣操作促進演出では、図42に示すように、枠剣可動体221と「剣を押し込め」とを示す画像KOが表示画面7aに表示される。こうして枠剣操作促進演出を開始する際には、枠剣可動体221を図16(A)に示す収納位置から図16(B)に示す押込位置へ自動で上昇させるようにしている。また枠剣操作促進演出が開始された後、遊技者が操作有効期間(例えば10秒)の間に枠剣可動体221を押込位置から収納位置へ押込操作しなかった場合、枠剣可動体221を押込位置から収納位置へ自動で下降させるようにしている。このように、枠剣可動体221(枠剣移動モータ223)を駆動させなければならない期間がある。
そこで本形態では、演出制御用マイコン91が、枠剣移動モータ223を駆動させることが可能な枠剣可動体駆動期間(駆動期間)を設定する。そして、この枠剣可動体駆動期間に限って、入出力IC2の出力端子P10(図25参照)から「H」レベルの制御信号が出力されるように制御する。これにより、制御ラインL1,L2、及び制御ラインL3,L4が導通状態に切替わって、枠剣移動モータ223のコイルA,Bに駆動電流を供給することが可能である。その結果、枠剣可動体221を移動させるタイミングにおいて、枠剣可動体221を適切に動作させることが可能である。
次に、図24に示す枠右中継基板224において、検査用外付回路224Bが設けられていない場合の問題点について説明する。枠剣移動モータドライバIC1は、上述したように、定電流駆動方式のものである。この定電流駆動方式のドライバ(枠剣移動モータドライバIC1)においては、OUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力する一定電流(本形態では230mA)は、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさに依存する。そして、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、制御ラインL5aに接続されている抵抗R1の抵抗値と、制御ラインL5bに接続されている抵抗R2の抵抗値との合成抵抗値に依存する。
ここでモータ(枠剣移動モータ223)の出力トルクの大きさは、供給される電流(制御ラインL1,L2,L3,L4を流れる電流)の大きさに比例する。従って、所望の出力トルクを得ることができるように、定電流駆動方式のドライバによる一定電流の大きさ(本形態では230mA)が決定されている。そして、その一定電流が供給できるように、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値とを設定している。以上要するに、定電流駆動方式のドライバでは、枠剣移動モータ223で所望の出力トルクを得ることができるように、抵抗R1及び抵抗R2を適宜選択している。
ところで遊技機の分野においては、パチンコ遊技機1全体を組み上げる前に、部品製造業者等が可動部材(例えば枠剣可動体221)を備えるユニット(例えば右側装飾部220)に対して、動作確認の検査を行う。この動作確認の検査では、モータで本来得るべき出力トルクに対して、所定割合(例えば15%)だけ出力トルクを減少させた状態で、可動部材が適切に動作するか否かをチェックする。つまり、所定割合だけモータの出力トルクを減少させた状態でも可動部材が適切に動作すれば、本来の100%の出力トルクを発生させる場合(最終製品の場合)に確実に可動部材を動作できるという考えで、動作確認の検査を実行している。近年の遊技機では、ユニットの構造が複雑化しているため、組付け誤差等の影響により、可動部材が適切に動作しない事態が生じかねない。そこで動作確認の検査により、組付け誤差等によって生じる不良品を見つけることが可能である。
従来の遊技機において、モータとして、ユニポーラ型のステッピングモータ(以下「ユニポーラモータ」ともいう,図23(B)参照)を用いるのが一般的であり、ユニポーラモータを駆動させるためのドライバとして、定電流駆動方式以外(定電圧駆動方式等)のドライバを用いるのが一般的である。ユニポーラモータの場合、モータ自体が備える抵抗によって出力トルクが変わる。そのため、ユニポーラモータを用いる場合の動作確認の検査では、本来の100%の出力トルクを発生させるユニポーラモータではなく、所定割合(例えば10%)だけ出力トルクが減少するユニポーラモータに換えて検査を行うようになっていた。或いは、本来の100%の出力トルクを発生させるユニポーラモータを用いつつ、そのユニポーラモータに作用させる駆動電圧を外部から強制的に可変させることで、所定割合(例えば10%)だけ出力トルクを減少させて検査を行うようになっていた。
これに対して本形態では、上述したように、低速回転時の出力トルクを高くすることができるバイポーラ型のステッピングモータ(以下「バイポーラモータ」ともいう,図23(A)参照)を用いている。そして、バイポーラモータに適したドライバとして、定電流駆動方式のドライバ(枠剣移動モータドライバIC1)を用いている。しかしながら、定電流駆動方式のドライバを用いる場合、モータ(枠剣移動モータ223)で100%の出力トルクを得ることができるように、予め一定電流の値(230mA)を設定(固定)している。従って、モータに供給する一定電流の値を可変することができない。
仮に抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値とを変えてしまうと、所望の出力トルクを得るために設定したはずの電流の大きさが変わるため、本来の100%の出力トルクを発生できなくなってしまう。また駆動電圧を外部から強制的に可変させるようにしても、定電流駆動方式である以上、モータに供給する電流の大きさは変わらず、出力トルクを所定割合だけ減少させることができない。なお上記した問題点は、図24に示す枠剣移動モータドライバIC1を用いる場合を例として説明したが、図26に示す左側枠ドラムモータドライバIC11を用いる場合や、図26に示す右側枠ドラムモータドライバIC21を用いる場合も同様である。
そこで本形態では、上記した問題点を解決すべく、図24に示すように、制御ラインL5aに検査用外付回路224Bが組み込まれている。検査用外付回路224B(状態切替手段)は主に、NPN型のトランジスタTR1と、トランジスタTR1のコレクタに接続されている制御ラインL6と、NPN型のトランジスタTR2と、トランジスタTR2のコレクタに接続されている制御ラインL7とを備えている。
トランジスタTR1のベースには、K−CHECK1制御信号として「L」レベルの信号又は「H」レベルの信号が入力される。K−CHECK1制御信号は、図25に示す入出力IC2の出力端子P01から出力される信号である。またトランジスタTR1のエミッタは、グランドに接続されている。そして、制御ラインL6には抵抗R3が接続されている。この制御ラインL6は、制御ラインL7と1つに結合した状態で、制御ラインL5aに接続されている。
トランジスタTR2のベースには、K−CHECK2制御信号として「L」レベルの信号又は「H」レベルの信号が入力される。K−CHECK2制御信号は、図25に示す入出力IC2の出力端子P00から出力される信号である。またトランジスタTR2のエミッタは、グランドに接続されている。そして、制御ラインL7には抵抗R4が接続されている。この制御ラインL7は、制御ラインL6と1つに結合した状態で、制御ラインL5aに接続されている。
ここで、図25に示す入出力IC2の出力端子P01から、K−CHECK1制御信号として「L」レベルの信号を出力し、且つ出力端子P00から、K−CHECK2制御信号として「L」レベルの信号を出力した場合について説明する。この場合には、図24に示すように、トランジスタTR1のベースとエミッタの間に電圧が印加されず、且つトランジスタTR2のベースとエミッタの間にも電圧が印加されない。そのため、それぞれのトランジスタTR1,TR2では、コレクタからエミッタに電流が流れない。従って、制御ラインL6に接続されている抵抗R3が機能しないと共に、制御ラインL7に接続されている抵抗R4も機能しないことになる。よって、この場合には、枠剣移動モータドライバIC1のVREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値とだけに依存する。その結果、予め設定している一定電流(本形態では230mA)をOUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力させることができ、枠剣移動モータ223で所望(100%)の出力トルクを発生させることが可能である。上述したように、枠剣移動モータドライバIC1から予め設定している一定電流を供給可能な状態が、「通常状態」に相当する。
次に、図25に示す入出力IC2の出力端子P01から、K−CHECK1制御信号として「L」レベルの信号を出力し、且つ出力端子P00から、K−CHECK2制御信号として「H」レベルの信号を出力した場合について説明する。この場合には、図24に示すように、トランジスタTR1のベースとエミッタの間に電圧が印加されない一方、トランジスタTR2のベースとエミッタの間に電圧が印加される。そのため、トランジスタTR1ではコレクタからエミッタに電流が流れない一方、トランジスタTR2ではコレクタからエミッタに電流が流れる。従って、制御ラインL6に接続されている抵抗R3が機能しない一方、制御ラインL7に接続されている抵抗R4が機能する。よって、この場合には、枠剣移動モータドライバIC1のVREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値だけでなく、抵抗R4の抵抗値にも依存する。本形態では、抵抗R1と抵抗R2と抵抗R4との合成抵抗値により、OUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力される電流が、上記した一定電流よりも15%減少するように(本形態では約196mAになるように)、抵抗R4を設けている。その結果、この場合には、枠剣移動モータ223にて所望の出力トルクよりも15%減少した出力トルクを発生させることが可能である。上述したように、枠剣移動モータドライバIC1から一定電流に対して15%減少した電流(第1の低下電流)を供給可能な状態が、「第1の低下状態」に相当する。
続いて、図25に示す入出力IC2の出力端子P01から、K−CHECK1制御信号として「H」レベルの信号を出力し、且つ出力端子P00から、K−CHECK2制御信号として「L」レベルの信号を出力した場合について説明する。この場合には、図24に示すように、トランジスタTR1のベースとエミッタの間に電圧が印加される一方、トランジスタTR2のベースとエミッタの間に電圧が印加されない。そのため、トランジスタTR1ではコレクタからエミッタに電流が流れる一方、トランジスタTR2ではコレクタからエミッタに電流が流れない。従って、制御ラインL6に接続されている抵抗R3が機能する一方、制御ラインL7に接続されている抵抗R4が機能しない。よって、この場合には、枠剣移動モータドライバIC1のVREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値だけでなく、抵抗R3の抵抗値にも依存する。本形態では、抵抗R1と抵抗R2と抵抗R3との合成抵抗値により、OUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力される電流が、上記した一定電流よりも20%減少するように(本形態では184mAになるように)、抵抗R3を設けている。その結果、この場合には、枠剣移動モータ223にて所望の出力トルクよりも20%減少した出力トルクを発生させることが可能である。上述したように、枠剣移動モータドライバIC1から一定電流に対して20%減少した電流(第2の低下電流)を供給可能な状態が、「第2の低下状態」に相当する。
次に、部品製造業者等が枠剣可動体221を備えるユニット(右側装飾部220)に対する動作確認の検査を行う場合について、図29に基づいて説明する。この場合には、図29に示すように、単独のユニットである右側装飾部220に対して、専用治具である検査用コントローラKCを接続する。そして、検査用コントローラKCのシリアルポートから、入出力IC2のSDA端子にシリアルデータを送信できるように設定すると共に、入出力IC2のSCL端子にクロック信号を送信できるように設定する。
その後、枠剣移動モータ223にて所望の出力トルクよりも15%減少した出力トルクを発生させる場合、図29に示す入出力IC2の出力端子P01から、K−CHECK1制御信号として「L」レベルの信号が出力され、且つ出力端子P00から、K−CHECK2制御信号として「H」レベルの信号が出力されるように、検査用コントローラKCでの設定を行う。これにより、枠剣移動モータ223にて所望の出力トルクよりも15%減少した出力トルクを発生させた状態で、枠剣可動体221が適切に動作するか否かを確認することが可能である。
また、枠剣移動モータ223にて所望の出力トルクよりも20%減少した出力トルクを発生させる場合、図29に示す入出力IC2の出力端子P01から、K−CHECK1制御信号として「H」レベルの信号が出力され、且つ出力端子P00から、K−CHECK2制御信号として「L」レベルの信号が出力されるように、検査用コントローラKCでの設定を行う。これにより、枠剣移動モータ223にて所望の出力トルクよりも20%減少した出力トルクを発生させた状態で、枠剣可動体221が適切に動作するか否かを確認することが可能である。
こうして本形態では、図24に示すように、定電流駆動方式の枠剣移動モータドライバIC1を用いても、枠右中継基板224に検査用外付回路224Bを組み込むことで、枠剣移動モータ223に対して、予め設定する一定電流よりも少ない電流を供給することが可能である。そのため、枠剣可動体221を備えるユニットに対する動作確認の検査を容易に行うことが可能である。
そして本形態では、検査用外付回路224Bが、トランジスタTR1及び抵抗R3と、トランジスタTR2及び抵抗R4の2組を備えている。そのため、枠剣移動モータ223にて発生させる出力トルクを、15%又は20%という2種類の割合にて選択して減少させることが可能である。よって、どのくらいの割合まで出力トルクを減少させても、枠剣可動体221が適切に動作するのかをより正確に判断することが可能である。
なお図1に示すように、パチンコ遊技機1が全体として組み上がっている場合(遊技場に設置されている場合等)では、演出制御用マイコン91は、図25に示す入出力IC2の出力端子P01から、K−CHECK1制御信号として「L」レベルの信号が出力され、且つ出力端子P00から、K−CHECK2制御信号として「L」レベルの信号が出力されるように制御する。そのため、この場合には、図24に示すように、制御ラインL6に接続されている抵抗R3が常に機能しないと共に、制御ラインL7に接続されている抵抗R4も常に機能しない。従って、枠剣移動モータ223には予め設定している一定電流(本形態では230mA)を供給することが可能であり、枠剣移動モータ223で常に所望(100%)の出力トルクを発生させることが可能である。
上記では、枠右中継基板224に検査用外付回路224B(図24参照)が設けられている場合の作用効果について説明したが、枠上中継基板310に検査用外付回路310A,320A(状態切替手段,図26参照)が設けられている場合の作用効果も同様である。即ち、左側枠ドラム及び右側枠ドラム320Rを備えるユニット(可動体ユニット201)に対して動作確認を行う場合、可動体ユニット201に対して専用治具である検査用コントローラを接続する。そして、検査用コントローラにて、左側枠ドラム回転モータ321Lに供給する電流が15%又は20%減少するように設定すると共に、右側枠ドラム回転モータ321Rに供給する電流が15%又は20%減少するように設定する。これにより、左側枠ドラム又は右側枠ドラム320Rを、所望の出力トルクよりも15%又は20%減少させた状態で駆動させることが可能であり、動作確認の検査を容易に行うことが可能である。
なお本形態では、枠剣移動モータ223で発生させる所望(100%)の出力トルクを、約108mN・mに設定している。そしてこの出力トルクを発生させるために枠剣移動モータドライバIC1が供給する一定電流を、上述したように230mAに設定している。また、左側枠ドラム回転モータ321L及び右側枠ドラム回転モータ321Rで発生させる所望(100%)の出力トルクを、約1200gf・cmに設定している。そしてこの出力トルクを発生させるために左側枠ドラムモータドライバIC11及び右側枠ドラムモータドライバIC21が供給する一定電流を、200mAに設定している。但し上記した出力トルクの値及び一定電流の値は、あくまで本形態の一例として示すものであって、可動部材の大きさや移動速度等に応じて適宜変更可能である。
なお上記では、枠右中継基板224に設けられている検査用外付回路224B、枠上中継基板310に設けられている検査用外付回路310A,320Aについて説明した。しかしながら本形態では、枠顔移動モータ311、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610、枠剣円盤部材回転モータ231、盤可動体移動モータ15aの駆動を制御する制御基板にも、上記した検査用外付回路224B,310A,320Aと同様に、検査用外付回路が組み込まれている。従って、枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600、枠剣円盤部材232、盤可動体15を備えるユニットの動作確認の検査を行う場合、上記した各モータの出力トルクを15%又は20%減少させることが可能である。よって、動作確認の検査を容易に行うことが可能である。
5.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技は、特別遊技の一例である。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別については図30に示す通りである。図30に示すように、本形態では大当たりの種別としては、大きく分けて2つ(Vロング大当たりとVショート大当たり)ある。「Vロング大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が可能な第1開放パターン(Vロング開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が不可能な第2開放パターン(Vショート開放パターン)で開閉部材32及び開閉部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には、「Vロング大当たり」は、総ラウンド数が16Rである。1Rから13Rまでと15Rは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。14Rと16Rは第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。この14R及び16Rでは、第2大入賞口35内の特定領域39への通過が容易に可能である。
これに対して、「Vショート大当たり」は、総ラウンド数は16Rであるものの、実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり、1Rから13Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放するが、15Rでは第1大入賞口30を1R当たり0.1秒しか開放せず、また、14Rと16Rでも第2大入賞口35を1R当たり0.1秒しか開放しない。従って、このVショート大当たりでは14Rから16Rまでは、大入賞口の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。つまり、Vショート大当たりは実質13Rの大当たりとなっている。
また、Vショート大当たりにおける14Rと16Rでは第2大入賞口35が開放されるものの、その開放時間が極めて短く、第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。なお、Vショート大当たりにおける14R及び16Rでは、第2大入賞口35の開放時間が短いことだけでなく、第2大入賞口35の開放タイミングと振分部材71の作動タイミング(第2状態(図6(B)参照)から第1状態(図6(A)参照)に制御されるタイミング)との関係からも、特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のVロング大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、Vショート大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
なお、図30に示すように、第1特別図柄(特図1)の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たりが50%、Vショート大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の抽選において当選した大当たりは、全てVロング大当たりとなっている。すなわち、後述の電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口21への入賞に基づく抽選により大当たりに当選した場合には、必ずVロング大当たりとなる。このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第1特別図柄の抽選)よりも、第2始動口21に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第2特別図柄の抽選)の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図31(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄(装飾図柄)のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていてもよい。このリーチ乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図31(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
6.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図32(A)参照)。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図33参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図32(C)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図32(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図34参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図34参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。
高ベース状態(電サポ制御状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態(電サポ制御状態)は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態(非電サポ制御状態)である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特定遊技状態」という。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図4参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
7.パチンコ遊技機1の動作
次に、図35に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明し、図36〜図41に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。まず、遊技制御用マイコン81の動作について説明する。
[メイン側タイマ割り込み処理]遊技制御用マイコン81は、図35に示すメイン側タイマ割り込み処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、遊技制御用マイコン81は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種類を決めるための当たり種別乱数、変動演出においてリーチ状態とするか否かを決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S101)。なお各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成されるハードウェア乱数であっても良い。また乱数生成回路は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていても良い。
次に、遊技制御用マイコン81は、入力処理を行う(S102)。入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図20参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータをRAM84の出力バッファにセットする。
続いて、遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検出処理(S103)、特別動作処理(S104)、および普通動作処理(S105)を実行する。始動口センサ検出処理(S103)では、第1始動口センサ20aがONであれば、第1特図保留の記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の各種乱数(大当たり乱数、大当たり図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(図31(A)参照))を取得する。また第2始動口センサ21aがONであれば、第2特図保留の記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の各種乱数を取得する。また、ゲートセンサ28aがONであれば、普図保留の記憶が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図31(B)参照)を取得する。
特別動作処理(S104)では、始動口センサ検出処理(S103)にて取得した大当たり乱数等の乱数を判定し、その判定結果を報知するための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。この特別図柄の表示に際しては、特別図柄の変動表示の開始時に変動パターンの情報を含む変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットし、特別図柄の停止表示の開始時に変動停止コマンドをRAM84の出力バッファにセットする。なお変動パターンは、大当たり乱数等の各種乱数の判定に基づき、図33に示す変動パターン判定テーブルを用いて決定される。そして、大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、所定の開放パターン(開放時間や開放回数)に従って第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。ここで図33に示すように、変動パターンが決まれば、特別図柄の変動表示が実行される変動時間も決まる。図33の備考欄に示すSPリーチ(スーパーリーチ)とは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチである。SPリーチの方がノーマルリーチよりも、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)が高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。本形態では、スーパーリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理にて取得した普通図柄乱数を判定し、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通図柄当たりに当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図34参照)に従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
次に、遊技制御用マイコン81は、上述の各処理においてセットしたコマンド等をサブ制御基板90等に出力する出力処理を行う(S106)。以上の遊技制御用マイコン81における処理と並行して、演出制御用マイコン91は図36〜図41に示す処理を行う。以下、演出制御用マイコン91の動作について説明する。
[サブ側1msタイマ割り込み処理]演出制御用マイコン91は、図36に示すサブ側1msタイマ割り込み処理を1msecといった短時間毎に繰り返す。なお演出制御用マイコン91は、サブ側1msタイマ割り込み処理を実行すると共に、後述するようにサブ側10msタイマ割り込み処理(図38参照)を実行するようになっている。図36に示すように、サブ側1msタイマ割り込み処理ではまず、入力処理を行う(S201)。入力処理(S201)では、演出ボタン検出スイッチ63aやセレクトボタン検出スイッチ68a(図21参照)からの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理を行う(S202)。ランプデータ出力処理(S202)では、演出に合うタイミングで枠ランプ66、盤ランプ5、顔用LED401、ドラム用LED331を発光させるべく、後述のサブ側10msタイマ割り込み処理におけるその他の処理(S406)で作成したランプデータをサブ駆動基板107に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ5、枠ランプ66、顔用LED401、ドラム用LED331を所定の発光態様で発光させる。
次いで、後述する駆動制御処理を行う(S203)。駆動制御処理(S203)は、枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600、枠ドラム320、枠剣可動体221、枠剣円盤部材232、盤可動体15の駆動を制御するための処理である。そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理(S204)を行って、本処理を終える。
[駆動制御処理]図37に示すように、駆動制御処理(S203)ではまず、枠顔可動体駆動データがRAM94の所定の記憶領域にセットされているか否かを判定する(S301)。枠顔可動体駆動データは、枠顔可動体400を待機位置から動作位置へ移動させて、その後の所定期間が経過すると枠顔可動体400を動作位置から待機位置へ移動させるための動作パターンデータである。本形態では、SPリーチを伴う特定の変動演出パターンが選択された場合に、所定の演出タイミングで枠顔可動体駆動データがセットされるようになっている。枠顔可動体駆動データがセットされていれば(S301でYES)、枠顔可動体駆動データに従って枠顔移動モータ311を駆動させるための制御処理(シリアルポート98からシリアルデータやクロック信号を出力する処理)を行う(S302)。一方、枠顔可動体駆動データがセットされていなければ(S301でNO)、ステップS303に進む。
ステップS303では、枠耳可動体駆動データがRAM94の所定の記憶領域にセットされているか否かを判定する。枠耳可動体駆動データは、枠耳可動体500を退避位置から露出位置へ移動させて、その後の所定期間が経過すると枠耳可動体500を露出位置から退避位置へ移動させるための動作パターンデータである。本形態では、枠顔可動体駆動データがセットされる際に、枠耳可動体駆動データもセットされるようになっている。枠耳可動体駆動データがセットされていれば(S303でYES)、枠耳可動体駆動データに従って枠耳移動モータ520を駆動させるための制御処理(シリアルポート98からシリアルデータやクロック信号を出力する処理)を行う(S304)。一方、枠耳可動体駆動データがセットされていなければ(S303でNO)、ステップS305に進む。
ステップS305では、枠顎可動体駆動データがRAM94の所定の記憶領域にセットされているか否かを判定する。枠顎可動体駆動データは、枠顎可動体600を閉鎖位置から開放位置へ移動させて、その後の所定期間が経過すると枠顎可動体600を開放位置から閉鎖位置へ移動させるための動作パターンデータである。本形態では、枠顔可動体駆動データがセットされる際に、枠顎可動体駆動データもセットされるようになっている。枠顎可動体駆動データがセットされていれば(S305でYES)、枠顎可動体駆動データに従って枠顎移動モータ610を駆動させるための制御処理(シリアルポート98からシリアルデータやクロック信号を出力する処理)を行う(S306)。一方、枠顎可動体駆動データがセットされていなければ(S305でNO)、ステップS307に進む。
ステップS307では、枠ドラム駆動データがRAM94の所定の記憶領域にセットされているか否かを判定する。枠ドラム駆動データは、枠ドラム320の上側部分320Uと下側部分320Dとを回転させて、その後に所定の表示態様が形成されるように停止させるための動作パターンデータである。本形態では、SPリーチを伴う特定の変動演出パターンが選択された場合に、所定の演出タイミングで枠ドラム駆動データがセットされるようになっている。枠ドラム駆動データがセットされていれば(S307でYES)、枠ドラム駆動データに従って枠ドラム回転モータ321を駆動させるための制御処理(シリアルポート98からシリアルデータやクロック信号を出力する処理)を行う(S308)。一方、枠ドラム駆動データがセットされていなければ(S307でNO)、ステップS309に進む。
ステップS309では、枠剣可動体駆動データがRAM94の所定の記憶領域にセットされているか否かを判定する。枠剣可動体駆動データは、枠剣可動体221を収納位置から押込位置へ移動させて、その後に遊技者が操作有効期間の間に枠剣可動体221を押込位置から収納位置へ押込操作しなかった場合に枠剣可動体221を押込位置から収納位置へ移動させるための動作パターンデータである。本形態では、SPリーチを伴う特定の変動演出パターン(枠剣操作促進演出を実行する変動演出パターン)が選択された場合に、所定の演出タイミングで枠剣可動体駆動データがセットされるようになっている。枠剣可動体駆動データがセットされていれば(S309でYES)、枠剣可動体駆動データに従って枠剣移動モータ223を駆動させるための制御処理(シリアルポート98からシリアルデータやクロック信号を出力する処理)を行う(S310)。一方、枠剣可動体駆動データがセットされていなければ(S309でNO)、ステップS311に進む。
ステップS311では、盤可動体駆動データがRAM94の所定の記憶領域にセットされているか否かを判定する。盤可動体駆動データは、盤可動体15を原点位置から駆動位置へ移動させて、その後の所定期間が経過すると盤可動体15を駆動位置から原点位置へ移動させるための動作パターンデータである。本形態では、SPリーチを伴う特定の変動演出パターンが選択された場合に、所定の演出タイミングで盤可動体駆動データがセットされるようになっている。盤可動体駆動データがセットされていれば(S311でYES)、盤可動体駆動データに従って盤可動体移動モータ15aを駆動させるための制御処理(シリアルポート98からシリアルデータやクロック信号を出力する処理)を行う(S312)。一方、盤可動体駆動データがセットされていなければ(S311でNO)、ステップS313に進む。
ステップS313では、その他の処理として例えば、枠剣円盤部材回転モータ231の駆動を制御するための処理を実行したり、各可動部材(枠顔可動体400、枠耳可動体500、枠顎可動体600、枠ドラム320、枠剣可動体221、盤可動体15)の駆動が終了した後にRAM94にセットされている駆動データをクリアする。そして駆動制御処理(S203)を終える。
[サブ側10msタイマ割り込み処理]演出制御用マイコン91は、図38に示すサブ側10msタイマ割り込み処理を10msecといった短時間毎に繰り返す。図38に示すように、サブ側10msタイマ割り込み処理ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S401)。次いで、サブ側1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとしてRAM94に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S402)。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて第1画像表示装置6の表示画面6a及び第2画像表示装置7の表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S403)。
続いて、演出制御用マイコン91は、音声制御処理を行う(S404)。音声制御処理(S404)では、音声データ(スピーカ67から音声を出力するためのデータ)の作成、音声制御基板106への音声データの出力、及び音声演出の時間管理等を行う。これにより、実行する演出に合った音声がスピーカ67から出力される。
続いて、演出制御用マイコン91は、後述するシリアル信号出力処理を行う(S405)。その後、ランプデータ(枠ランプ66、盤ランプ5、顔用LED401、ドラム用LED331の発光を制御するデータ)を作成したり、各種の演出決定用乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行して(S406)、本処理を終える。
[受信コマンド解析処理]図39に示すように、受信コマンド解析処理(S401)ではまず、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S501)、受信していれば後述する変動演出開始処理を行う(S502)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S503)、受信していれば変動演出終了処理を行う(S504)。変動演出終了処理(S504)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から大当たり遊技のオープニングの実行開始を示すオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S505)、受信していればオープニング演出選択処理を行う(S506)。オープニング演出選択処理(S506)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から大当たり遊技のラウンド遊技の実行開始を示すラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S507)、受信していればラウンド演出選択処理を行う(S508)。ラウンド演出選択処理(S508)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から大当たり遊技のエンディングの実行開始を示すエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S509)、受信していればエンディング演出選択処理を行う(S510)。エンディング演出選択処理(S510)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
ステップS511では、その他の処理として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、特定領域39への通過を示すV通過コマンドに基づいてV通過報知を行う処理等)を行う。そして、受信コマンド解析処理(S401)を終える。
[変動演出開始処理]図40に示すように、変動演出開始処理(S502)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドを解析する(S601)。変動開始コマンドには、変動パターン(図33参照)の情報や、大当たりの判定等に基づく特図停止図柄データの情報が含まれている。次に演出制御用マイコン91は、変動演出において最終的に停止表示する演出図柄8L,8C,8Rの選択を行う(S602)。続いて演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドの解析結果に基づいて、変動演出の内容である変動演出パターンを選択する(S603)。変動演出パターンが決まれば、変動演出の時間、演出図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、SW演出(演出ボタン演出)の有無、SW演出の内容、演出展開構成、演出図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。この変動演出パターンの中には、枠剣操作促進演出(図42参照)を実行する変動演出パターンが含まれていることになる。
続いて演出制御用マイコン91は、予告演出の選択を行う(S604)。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容が決定される。そして、ステップS603で選択した変動演出パターンが枠剣操作促進演出を実行する変動演出パターンか否かを判定する(S605)。枠剣操作促進演出を実行する変動演出パターンであれば(S605でYES)、枠剣可動体駆動期間設定処理を行う(S606)。枠剣可動体駆動期間は、図24に示す制御ラインL1〜L4を導通状態にして、枠剣移動モータ223を駆動させることが可能な期間のことである。この枠剣可動体駆動期間設定処理(S606)により、枠剣操作促進演出の開始時点から枠剣操作促進演出の終了時点までの間(本形態では約15秒間)、枠剣可動体駆動期間が設定される。ステップS605でNOであれば、ステップS606をパスして、ステップS607に進む。
ステップS607では、演出制御用マイコン91、選択した演出図柄、変動演出パターン、及び予告演出にて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットして、変動演出開始処理(S502)を終了する。ステップS607でセットされた変動演出開始コマンドが、画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROM103から読み出して、第1画像表示装置6の表示画面6a及び第2画像表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。
[シリアル信号出力処理]図41に示すように、シリアル信号出力処理(S405)ではまず、演出制御用マイコン91は、上述した枠剣可動体駆動期間内であるか否かを判定する(S701)。枠剣可動体駆動期間内であれば(S701でYES)、図24に示すフォトモスリレーPM1,PM2を導通状態にすべく、入出力IC2の出力端子P10から「H」レベルの信号が出力されるようにシリアルポート97からシリアル信号及びクロック信号を出力する。これにより、制御ラインL1〜L4が導通状態になるため、枠剣移動モータ223を駆動させることが可能である。つまり、枠剣可動体221を枠剣移動モータ223の駆動力によって移動させることが可能になる。
一方、ステップS701での判定結果がNOであれば、ステップS703にて、枠剣可動体駆動期間の終了タイミングであるか否かを判定する(S703)。終了タイミングであれば(S703でYES)、図24に示すフォトモスリレーPM1,PM2を非導通状態にすべく、入出力IC2の出力端子P10から「L」レベルの信号が出力されるようにシリアルポート97からシリアル信号及びクロック信号を出力する。これにより、制御ラインL1〜L4を非導通状態にすることが可能である。そのため、その後に遊技者が悪戯で枠剣可動体221を高速で直動させても、枠剣移動モータ223で生じる逆起電力を枠剣移動モータドライバIC1に作用させないことが可能である。
ステップS703の判定結果がNOであれば、シリアル信号を出力するためのその他の処理を実行して(S705)、本処理を終える。ここで本形態では、パチンコ遊技機1に電源が投入されていない状態、又は電源が投入された直後の初期状態においては、図24に示すK−FC制御信号のレベルは「L」レベルになっている。従って、枠剣可動体駆動期間以外では、フォトモスリレーPM1,PM2が非導通状態になっている。そのため、枠剣移動モータ223で逆起電力が生じても、逆起電力に基づく超過電圧が枠剣移動モータドライバIC1に作用するのを防ぐことが可能である。
8.本形態の効果
以上詳細に説明したように、本形態のパチンコ遊技機1によれば、枠剣移動モータドライバIC1が、枠剣移動モータ223に対して所定の一定電流(本形態では230msA)を供給可能な定電流駆動方式のものになっている。そのため、枠剣移動モータ223の高速回転に伴って逆起電圧(逆起電力に基づく電圧)が発生しても、枠剣移動モータ223に対して安定して一定電流を供給することが可能である。よって、逆起電圧に基づく出力トルクの減少を抑えることができて、枠剣可動体221の高速移動を実現することが可能である。なお本形態では、枠ドラム回転モータ321の駆動を制御する左側枠ドラムモータドライバIC11及び右側枠ドラムモータドライバIC21も定電流駆動方式のものであるため、枠ドラム320の高速回転を実現することが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、図23に示すように、枠右中継基板224に、検査用外付回路224Bが組み込まれている。そのため、図29に示すように、枠剣可動体221の動作に対する検査を行う場合、検査用コントローラKCによって、入出力IC2の出力端子P00,P01の何れか一方から、「H」レベルの信号を出力するように設定する。これにより、枠剣移動モータドライバIC1が枠剣移動モータ223に供給する一定電流(本形態では230mA)を低下させることが可能である。その結果、枠剣移動モータ223が発生する出力トルクを下げた状態で、枠剣可動体221が適切に動作するか否かを検査することが可能である。また本形態では、図25に示すように、枠上中継基板310に、検査用外付回路310A,310Bが組み込まれている。従って、左側枠ドラムモータドライバIC11及び右側枠ドラムモータドライバIC21が、枠ドラム回転モータ321に供給する一定電流(本形態では200mA)を低下させることが可能である。その結果、枠ドラム回転モータ321が発生する出力トルクを下げた状態で、枠ドラム320が適切に動作するか否かを検査することが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、枠剣可動体221の動作に対する検査を行う場合、検査用コントローラKCによって、入出力IC2の出力端子P00から「L」レベルの信号を出力すると共に、出力端子P01から「H」レベルの信号を出力するように設定する。これにより、枠剣移動モータドライバIC1が枠剣移動モータ223に供給する一定電流(本形態では230mA)を15%だけ低下させて、枠剣移動モータ223が発生させる出力トルクを15%だけ減少させることが可能である。また、検査用コントローラKCによって、入出力IC2の出力端子P00から「H」レベルの信号を出力すると共に、出力端子P01から「L」レベルの信号を出力するように設定する。これにより、枠剣移動モータドライバIC1が枠剣移動モータ223に供給する一定電流(本形態では230mA)を20%だけ低下させて、枠剣移動モータ223が発生させる出力トルクを20%だけ減少させることが可能である。こうして、枠剣移動モータ223が発生させる出力トルクを2段階で減少させることができるため、どのくらい枠剣移動モータ223が発生する出力トルクを下げても、枠剣可動体221が適切に動作するのかを見極めることが可能である。なお、枠ドラム回転モータ321が発生する出力トルクも同様に、15%又は20%を選択して減少させることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、枠剣移動モータ223及び枠ドラム回転モータ321等は、図28(A)に示すように、コイルA,Bに対して双方向に電流を流すバイポーラ型のステッピングモータになっている。従って、図28(B)に示すユニポーラ型のステッピングモータに比べて、コイルA,Bの利用効率を高くすることが可能である。その結果、低速回転時の出力トルクを高めることが可能である。そして、バイポーラ型のステッピングモータに適した定電流駆動方式のドライバ(枠剣移動モータドライバIC1、左側枠ドラムモータドライバIC11、右側枠ドラムモータドライバIC21等)を用いることで、低速回転時及び高速回転時の両方において出力トルクを高めることが可能である。
ここで本形態のように、定電流駆動方式のドライバを用いる場合には、以下のメリットがある。即ち、例えば図23に示す枠剣移動モータドライバIC1においては、上述したように、OUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力する一定電流は、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさに依存し、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、抵抗R1及び抵抗R2の合成抵抗値に依存する。従って、枠剣移動モータ223としては1種類だけを用意して、抵抗R1及び抵抗R2を変えるだけで、枠剣移動モータ223から異なる出力トルクを発生させることが可能になる。これに対して、従来のように定電流駆動方式以外のドライバを用いる場合には、モータ(バイポーラ型のステッピングモータ)ごと変えることによって、異なる出力トルクを発生させるようにしていた。以上により、定電流駆動方式のドライバを用いることで、開発途中において出力トルクを変更したい場合に対処し易い(設計し易い)というメリットがある。
なお本形態では、大きな逆起電力が生じ易いという観点、更にはコストの観点により、枠剣移動モータ223の駆動を制御する枠右中継基板224にのみ、電流遮断回路224Aを設けている。しかしながら、ドライバ(駆動回路部)の安全性をより高めるという観点により、枠ドラム回転モータ321の駆動を制御する枠上中継基板310や、その他のモータ(枠顔移動モータ311、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610、枠剣円盤部材回転モータ231、盤可動体移動モータ15a)の駆動を制御する制御基板にも、電流遮断回路224Aのような電流遮断回路を設けても良い。この場合には、電流遮断回路により、逆起電力に基づく超過電圧が左側枠ドラムモータドライバIC11及び右側枠ドラムモータドライバIC21に作用するのを防ぐと共に、上記したその他のモータを制御するドライバに作用するのを防ぐことが可能である。更に、枠ドラム回転モータ321や上記したその他のモータ(枠顔移動モータ311、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610、枠剣円盤部材回転モータ231、盤可動体移動モータ15a)に、静電気に基づくサージが作用した場合でも、サージに基づく超過電圧(又はサージに基づく超過電流)が、モータ側からドライバ側に作用するのを防ぐことが可能である。
9.変形例
以下、変形例について説明する。なお、変形例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変形例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記形態および下記変形例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記形態では、図23に示すように、制御ラインL1〜L4を導通状態又は非導通状態に切替える電流遮断回路224A(導通切替手段)において、フォトモスリレーPM1,PM2を備えるように構成した。しかしながら導通切替手段を、フォトモスリレーPM1,PM2以外のリレー(メカニカルリレー、フォトカプラ、電磁リレー等)を備えるように構成しても良い。また導通切替手段を、リレーで構成しなくても良く、例えば物理的なアナログスイッチ等を備えるように構成しても良い。
また上記形態では、演出制御用マイコン91が、I2C通信によって電流遮断回路224Aを制御するようにした。しかしながら、I2C通信以外のシリアル通信や、パラレル通信によって電流遮断回路224Aを制御するようにしても良い。
また上記形態では、演出制御用マイコン91が、枠剣操作促進演出を実行する変動演出パターンが選択されたこと(演出駆動条件の成立)に基づいて、枠剣可動体駆動期間を設定し、その枠剣可動体駆動期間において制御ラインL1〜L4が導通状態になるように制御した。しかしながら、枠剣可動体駆動期間は、その他の条件に基づいて設定されるようにしても良い。例えば予め定められた特定期間(例えば営業時間内(午前9時から午後11時までの間)や遊技場に設置されてから1年以内)だけ、枠剣可動体駆動期間を設定しても良い。またパチンコ遊技機1に電源が投入されている間だけ、枠剣可動体駆動期間を設定しても良い。
また上記形態では、枠剣可動体221の駆動を制御する枠右中継基板224に、電流遮断回路224Aを設けた。しかしながら、水平方向に直動可能な演出可動体、移動可能なボタンやレバー等のその他の可動部材の駆動を制御する制御基板に、電流遮断回路224Aのような電流遮断回路(導通切替手段)を設けても良い。
また上記形態では、定電流駆動方式のドライバ(枠剣移動モータドライバIC1,左側枠ドラムモータドライバIC11,右側枠ドラムモータドライバIC21)が供給する一定電流を小さくするための検査用外付回路224B,310A,320A(状態切替手段)において、NPN型のトランジスタTR1,TR2を備えるように構成した。しかしながら状態切替手段を、NPN型のトランジスタTR1,TR2以外のトランジスタ(PNP型のトランジスタ、FET(ユニポーラトランジスタ)等)で構成しても良い。また状態切替手段を、トランジスタで構成しなくても良く、例えばバリスタ(可変抵抗器)等を備えるように構成しても良い。
また上記形態では、枠顔移動モータ311,枠ドラム回転モータ321,枠耳移動モータ520,枠顎移動モータ610,枠剣移動モータ223,枠剣円盤部材回転モータ231の駆動を制御するドライバ(枠剣移動モータドライバIC1,左側枠ドラムモータドライバIC11,右側枠ドラムモータドライバIC21等)が、定電流駆動方式のものであった。しかしながら、ドライバは定電流駆動方式のものに限られず、例えば定電圧駆動方式のものであっても良い。
また上記形態では、枠顔移動モータ311,枠ドラム回転モータ321,枠耳移動モータ520,枠顎移動モータ610,枠剣移動モータ223,枠剣円盤部材回転モータ231が、図28(A)に示すバイポーラ型のステッピングモータであった。しかしながらその他の種類のモータであっても良く、例えば、図28(B)に示すユニポーラ型のステッピングモータであっても良い。
また上記形態では、検査用外付回路224B,310A,310B(状態切替手段)により、ドライバ(枠剣移動モータドライバIC1,左側枠ドラムモータドライバIC11,右側枠ドラムモータドライバIC1)が供給する一定電流を、15%又は20%の2種類の割合にて小さくできるようにした。しかしながら、15%又は20%の何れか一方の割合にだけ小さくできるようにしても良い。或いは、15%又は20%の他の割合でも小さくできるようにして、3種類以上の割合にて小さくできるようにしても良い。なお、ドライバが供給する一定電流を小さくする割合は、15%又は20%に限られるものではなく、例えば10%や30%であっても良く、適宜変更可能である。
また上記形態では、検査用コントローラKC(図29参照)が、検査用外付回路224B,310A,320AのトランジスタTR1,TR2を制御するようにした。しかしながら、演出制御用マイコン91が、入出力IC12,IC21からK−CHECK1制御信号として「H」レベル又は「L」レベルの信号を出力すると共に、K−CHECK2制御信号として「H」レベル又は「L」レベルの信号を出力するように制御する。これにより演出制御用マイコン91が、検査用外付回路224B,310A,320AのトランジスタTR1,TR2を制御するようにしても良い。この場合には、更に以下のようにしても良い。
電源が投入されたときにRAM94の初期化(ラムクリア)が実行されると、図43(A)に示すように、表示画面7aにラムクリア報知画像RKが表示される。そして、ラムクリアの実行後の所定時間(例えば30秒)以内に、所定操作(例えば演出ボタン63を5回連続押下操作)を行うと、図43(B)に示すように、表示画面7aに初期機能設定画像SGが表示される。この初期機能設定画像SGの表示中に、出力トルク設定として、「100%」又は「15%減」或いは「20%減」の何れかを設定できると共に、電流遮断設定として、「自動」又は「常に遮断」の何れかを設定できるように構成されている。
即ち、図43(B)に示す初期機能設定画像SGの表示中に、セレクトボタン68を操作して、カーソルを出力トルク設定の「100%」に合わせる。そして演出ボタン63を押下操作する。この場合には、演出制御用マイコン91が、入出力IC12,IC21からK−CHECK1制御信号として「L」レベルの信号を出力すると共に、K−CHECK2制御信号として「L」レベルの信号を出力するように制御する。これにより、枠剣移動モータドライバIC1から所望(100%)の一定電流を流すことが可能であり、所望の出力トルクで枠剣移動モータ223を駆動させることが可能である。
また図43(B)に示す初期機能設定画像SGの表示中に、セレクトボタン68を操作して、カーソルを出力トルク設定の「15%減」に合わせる。そして演出ボタン63を押下操作する。この場合には、演出制御用マイコン91が、入出力IC12,IC21からK−CHECK1制御信号として「L」レベルの信号を出力すると共に、K−CHECK2制御信号として「H」レベルの信号を出力するように制御する。これにより、枠剣移動モータドライバIC1から、所望の一定電流に対して15%減少した電流を流すことが可能であり、15%減少した出力トルクで枠剣移動モータ223を駆動させることが可能である。このように設定することで、例えば遊技機メーカ等は、図1に示すパチンコ遊技機1の全体が組み上がった状態で、枠剣移動モータ223が15%減少した出力トルクでも適切に動作するか否かの最終チェックを行うことが可能である。
また図43(B)に示す初期機能設定画像SGの表示中に、セレクトボタン68を操作して、カーソルを出力トルク設定の「20%減」に合わせる。そして演出ボタン63を押下操作する。この場合には、演出制御用マイコン91が、入出力IC12,IC21からK−CHECK1制御信号として「H」レベルの信号を出力すると共に、K−CHECK2制御信号として「L」レベルの信号を出力するように制御する。これにより、枠剣移動モータドライバIC1から、所望の一定電流に対して20%減少した電流を流すことが可能であり、20%減少した出力トルクで枠剣移動モータ223を駆動させることが可能である。このように設定することで、例えば遊技機メーカ等は、図1に示すパチンコ遊技機1の全体が組み上がった状態で、枠剣移動モータ223が20%減少した出力トルクでも適切に動作するか否かの最終チェックを行うことが可能である。
また図43(B)に示す初期機能設定画像SGの表示中に、セレクトボタン68を操作して、カーソルを電流遮断設定の「自動」に合わせる。そして演出ボタン63を押下操作する。この場合には、本形態で説明したように、演出制御用マイコン91が、枠剣可動体駆動期間内に限り、入出力IC12からK−FC制御信号として「H」レベルの信号を出力する。これにより、枠剣操作促進演出の際に、枠剣可動体221を枠剣移動モータ223の駆動力によって移動させることが可能である。
また図43(B)に示す初期機能設定画像SGの表示中に、セレクトボタン68を操作して、カーソルを電流遮断設定の「常に遮断」に合わせる。そして演出ボタン63を押下操作する。この場合には、演出制御用マイコン91が、入出力IC12からK−FC制御信号として「H」レベルの信号を出力することがなくて、制御ラインL1〜L4が常に非導通状態になる。このように設定することで、枠剣可動体221を常に動作しないようにして、電流の消費を抑えることが可能である。そして枠剣可動体221に不具合が生じている場合には、不具合の程度が更に悪化するのを防止することが可能である。
なお上記した変更例においては、遊技場(ホール)の従業員が、出力トルク設定及び電流遮断設定を行うことができるようになっている。しかしながら、隠しコマンド等を設定することで、遊技機メーカ又は部品製造業者のみが、出力トルク設定及び電流遮断設定を行うことができるようにしても良い。
また上記形態では、定電流駆動方式である枠剣移動モータドライバが、一定電流として230mAを供給するように設定した。しかしながら、この一定電流とはあくまで、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧が所定範囲の電圧である場合に、ほとんど一定範囲内の電流(230±αmA)になるという意味である。要するに「一定電流」とは、厳密に230mAだけを供給する電流という意味ではなく、当業者がほとんど一定だと考える範囲での電流である。
また上記形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、大当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、いわゆるV確機(特定領域39の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成したが、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成してもよい。また上記形態では、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成したが、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成してもよい。また上記形態では、特図2の変動を特図1の変動に優先して実行するように構成した。これに対して、特図2の変動と特図1の変動を始動口への入賞順序に従って実行するように構成してもよい。この場合、第1特図保留と第2特図保留とを合算して記憶可能な記憶領域をRAM84に設け、その記憶領域に入賞順序に従って判定用情報を記憶し、記憶順の古いものから消化するように構成すればよい。また、特図2の変動中であっても特図1の変動を実行でき、且つ、特図1の変動中であっても特図2の変動を実行できるように構成してもよい。つまり、所謂同時変動を行う遊技機として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。この場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。
本明細書における「予め定められた制御条件の成立」とは、上記形態では、第1特別図柄の抽選又は第2特別図柄の抽選において大当たりに当選し、その当選を示す大当たり図柄が停止表示されることである。
10.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には、以下の各手段の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
<手段A>
手段A1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて有利な特別遊技状態に制御する遊技機(パチンコ遊技機1)において、
移動可能な可動部材(枠剣可動体221)と、
前記可動部材を移動させる駆動力を付与可能な駆動手段(枠剣移動モータ223)と、
前記駆動手段の駆動を制御可能な駆動回路部(枠剣移動モータドライバIC1)と、
前記駆動手段と前記駆動回路部との間の制御ライン(L1,L2,L3,L4)と、
前記制御ラインを導通状態又は非導通状態に切替可能な導通切替手段(電流遮断回路224A)と、を備えることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、導通切替手段により、駆動手段と駆動回路部との間の制御ラインを非導通状態にすることが可能である。これにより、可動部材を移動させない場合には、駆動手段側から駆動回路部側へ意図しない超過電圧等が作用するのを回避して、駆動回路部の故障を防ぐことが可能である。
手段A2に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機において、
枠状の基枠部(外枠51及び内枠52)と前記基枠部の前面側に位置する前枠部(前枠53)とを含む遊技機枠(50)を備え、
前記可動部材は、前記遊技機枠に取付けられていて、人体(遊技者等)によって移動させることが可能なものであること(図1参照)を特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、遊技者が悪戯により、遊技機枠に取付けられている可動部材を移動させる場合がある。この場合、駆動手段にて逆起電力が生じ得る。そこで導通切替手段により、駆動手段と駆動回路部との間の制御ラインを非導通状態にしておくことで、駆動回路部の耐電圧を超えるような超過電圧が作用するのを防ぐことが可能である。よって、逆起電力によって駆動回路部が故障するのを防ぐことが可能である。
手段A3に係る発明は、
手段A2に記載の遊技機において、
前記可動部材は、所定の第1位置(図16(A)に示す収納位置)と第2位置(図16(B)に示す押込位置)との間で直線状に移動可能なものであることを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、遊技者が悪戯により、可動部材を直線状に高速で移動させると、駆動手段に大きな逆起電力が生じ得る。この場合でも、駆動手段と駆動回路部との間の制御ラインを非導通状態にしておくことで、駆動回路部に大きな逆起電力が作用するのを防ぐことが可能である。
手段A4に係る発明は、
手段A1乃至手段A3の何れかに記載の遊技機において、
所定の演出駆動条件の成立(枠剣操作促進演出を実行する変動演出パターンが選択されたこと)に基づいて、前記駆動回路部を制御することにより前記駆動手段を駆動させることが可能な演出制御手段(ステップS310を実行する演出制御用マイコン91)と、
前記演出駆動条件の成立に基づいて、前記駆動手段を駆動させることが可能な駆動期間(枠剣可動体駆動期間)を設定する駆動期間設定手段(ステップS606を実行する演出制御用マイコン91)と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記導通切替手段を制御可能なものであり、
前記駆動期間が設定されているときには、前記制御ラインが導通状態になるように前記導通切替手段を切替えている(ステップS702を実行する)一方、
前記駆動期間が設定されていないときには、前記制御ラインが非導通状態になるように前記導通切替手段を切替えている(ステップS704を実行する)ものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、演出駆動条件の成立に基づいて駆動期間が設定されている間は、演出制御手段により制御ラインが導通状態に切替えられる。よって、駆動回路部が駆動手段の駆動を制御して、可動部材を移動させることが可能である。一方、駆動期間が設定されていない間は、演出制御手段により制御ラインが非導通状態に切替えられる。従って、駆動手段側から駆動回路部側へ、駆動回路部の耐電圧を超えるような超過電圧が作用するのを回避することが可能である。こうして、自動で制御ラインの導通状態又は非導通状態を切替えて、駆動回路部に超過電圧が作用するのを防ぐことが可能である。
手段A5に係る発明は、
手段A1乃至手段A4の何れかに記載の遊技機において、
当該遊技機に電源を供給可能な電源供給手段(電源基板150)を備え、
前記導通切替手段は、前記電源供給手段により当該遊技機に電源が投入されていないときに、前記制御ラインを非導通状態に切替えているものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、当該遊技機に電源が投入されていないときに、制御ラインが非導通状態に切替えられている。従って、遊技されていないときにでも、駆動手段側から駆動回路部側へ超過電圧が作用するのを防ぐことができて、駆動回路部の安全性をより高めることが可能である。
<手段B>
手段B1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて有利な特別遊技状態に制御する遊技機(パチンコ遊技機1)において、
移動可能な可動部材(枠剣可動体221,枠ドラム320)と、
前記可動部材を移動させる駆動力を付与可能な駆動手段(枠剣移動モータ223,枠ドラム回転モータ321)と、
前記駆動手段の駆動を制御可能な駆動回路部(枠剣移動モータドライバIC1,左側枠ドラムモータドライバIC11,右側枠ドラムモータドライバIC21)と、を備え、
前記駆動回路部は、前記駆動手段に対して所定の一定電流(本形態では230mA,200mA)を供給可能な定電流駆動方式のものであることを特徴とする遊技機である。
駆動手段(モータ)においては、駆動中において、逆起電圧(逆起電力に基づく電圧)が発生するため、有効な電圧が少なからず減少してしまう。そのため、駆動手段による駆動が高速になるほど、駆動手段に対して電流が流れ難くなって、駆動手段で所望のトルクを発生させ難くなる。そこでこの構成の遊技機によれば、駆動回路部が、駆動手段に対して所定の一定電流を供給可能な定電流駆動方式のものになっている。そのため、逆起電圧が発生しても、駆動手段に対して一定電流を供給することができて、トルクの減少を抑えることが可能である。よって、可動部材の高速移動を実現することが可能である。
手段B2に係る発明は、
手段B1に記載の遊技機において、
前記駆動回路部が前記駆動手段に対して前記一定電流を供給可能な通常状態、又は、前記駆動回路部が前記駆動手段に対して前記一定電流よりも小さい低下電流を供給可能な低下状態に切替可能な状態切替手段(検査用外付回路224B,310A,320A)を備えていることを特徴とする遊技機である。
可動部材の動作に対する検査を行う場合、駆動手段が発生するトルクを下げた状態でも、可動部材が適切に動作できるか否かを検査する。ここで駆動回路部が、定電流駆動方式のものである場合、仮に駆動回路部に作用する電圧を下げても、駆動回路部が駆動手段に対して一定電流を供給してしまう。従って、駆動手段に供給する電流を低下させることができず、駆動手段が発生するトルクを下げることができない。そこでこの構成の遊技機によれば、状態切替手段を設けて、低下状態に切替えることで、駆動回路部が駆動手段に対して一定電流よりも小さい低下電流を供給することが可能である。その結果、駆動手段が発生するトルクを下げた状態で、可動部材が適切に動作するか否かを検査することが可能である。
手段B3に係る発明は、
手段B2に記載の遊技機において、
前記状態切替手段は、入力する制御信号(K−CHECK1制御信号,K−CHECK2制御信号,入出力IC12の出力端子P08,09から出力される信号,入出力IC12の出力端子P00,01から出力される信号)に基づいて前記通常状態又は前記低下状態に切替可能なものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、ソフト的に通常状態又は低下状態に切替えることができるため、手動スイッチ等のハード的に通常状態又は低下状態に切替える場合に比べて、可動部材が適切に動作するか否かの検査を簡易に行うことが可能である。
手段B4に係る発明は、
手段B2又は手段B3に記載の遊技機において、
前記状態切替手段は、
前記通常状態、又は前記駆動回路部が前記駆動手段に対して前記一定電流よりも小さい第1の低下電流(15%減少した電流)を供給可能な第1の低下状態、或いは前記駆動回路部が前記駆動手段に対して前記第1の低下電流よりも小さい第2の低下電流(20%減少した電流)を供給可能な第2の低下状態に切替可能なものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動回路部が駆動手段に対して第1の低下電流を供給している状態で、可動部材が適切に動作するか否かを検査できる。更に、駆動回路部が駆動手段に対して第2の低下電流を供給している状態でも、可動部材が適切に動作するか否かを検査できる。よって、どのくらい駆動手段が発生するトルクを下げても、可動部材が適切に動作するのかを見極めることが可能である。
手段B5に係る発明は、
手段B1乃至手段B4の何れかに記載の遊技機において、
前記駆動手段は、コイル(図28(A)に示すコイルA,B)に対して双方向に電流を流すバイポーラ型のステッピングモータであることを特徴とする遊技機である。
1つのコイルのうち半分の巻線に対して一方向に電流を流すユニポーラ型のステッピングモータの場合、或る瞬間で見ると、コイルの半分は機能していない。従って、コイルの利用効率が悪い。そこでこの構成の遊技機によれば、コイル全体に対して電流を双方向に流すバイパーラ型のステッピングモータを用いることで、ユニポーラ型のステッピングモータに比べて、コイルの利用効率を高くすることが可能である。その結果、低速回転時のトルクを高めることが可能である。