1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として、説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機PY1は、当該パチンコ遊技機PY1の外郭を構成する遊技機枠2を備えている。遊技機枠2は、外枠22と内枠21と前枠(ガラス扉枠)23とを備えている。外枠22は、遊技機枠2の外郭を構成する縦長方形状の枠体である。内枠21は、外枠22の内側に配置されていて、縦長方形状の枠体である。前枠23は、内枠21の前方側に配置されていて、縦長方形状のものである。
前枠23の下方部は、図1に示すように、右側の下部に回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル72kを備え、後部に遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)34を備え、ハンドル72kよりも左方に上皿34に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)35を備えている。また上皿34よりも前方には、遊技の進行に伴って実行される演出時等に遊技者が操作し得る入力部(演出ボタン)40kやセレクトボタン42kが設けられている。この演出ボタン40kは、振動可能に構成されている。
遊技機枠2は、左端側にヒンジ部24を備えている。図2に示すように、ヒンジ部24により、前枠23は外枠22及び内枠21に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠21は外枠22及び前枠23に対してそれぞれ回動自在になっている。前枠23の中央には開口部分23aが形成されていて、この開口部分23aに透明のガラス板23tが取付けられる。これにより遊技者は、ガラス板23tを通して、ガラス板23tの後方を視認できるようになっている。前枠23は、図2に示すように、後方側にベース枠23wを備えている。
また前枠23は、図3に示すように、前方側に上側装飾部200と左側装飾部210と右側装飾部220と操作機構部230とを備えている。これら上側装飾部200と左側装飾部210と右側装飾部220と操作機構部230とは、ベース枠23wに対して着脱可能に取付けられている。
上側装飾部(上部装飾部)200は、遊技機枠2(前枠23)の上部を装飾するものである。上側装飾部200は、図3に示すように、左右方向の中央に可動体ユニット201を備え、左側に左側発光体ユニット202Lを備え、右側に右側発光体ユニット202Rを備えている。左側発光体ユニット202Lと右側発光体ユニット202Rとを総称する場合、発光体ユニット202と言う。可動体ユニット201は、パチンコ遊技機PY1のモチーフとなっている作品の主人公キャラに変形可能なものである。発光体ユニット202は、内部に回転ドラム320を備えたユニットであり、前方に向かって斜め上方に傾斜した状態でベース枠23wに取付けられている。
左側装飾部210は、遊技機枠2(前枠23)の左側を装飾するものである。右側装飾部220は、遊技機枠2の右側を装飾するものである。右側装飾部220は、後述する枠剣可動体221と、枠剣可動体221の下側を収容可能な鞘部材222とを備えている。
操作機構部230(遊技媒体貯留部)は、遊技や演出を進行するための操作機構を備えるものである。操作機構部230は、上述したハンドル72kと上皿34と下皿35と演出ボタン40kとセレクトボタン42kとを備えている。
ところで図3に示すように、遊技場の島設備において鉛直方向に起立した垂直壁面SHのうちパチンコ遊技機PY1の上方には、データカウンタ160が配されている。データカウンタ160は、垂直壁面SHに固定されている固定部材161と、この固定部材161に対して前傾姿勢になるように傾動可能に取付けられているデータ表示装置163とを備えている。
また上側装飾部200、左側装飾部210、右側装飾部220、及び操作機構部230には、様々な発光色で発光可能な枠ランプ212が多数設けられている。
次に、図4を参照して遊技盤1について説明する。遊技盤1は、遊技機枠2の内部に配されていて、内枠21に取付けられている。遊技盤1の前面側は、前枠23に保護されている。図4に示すように、遊技盤1の前面側には、鉛直方向に起立した遊技面1aが形成されている。この遊技面1aの前方に、ハンドル72kの操作により発射された遊技球が流下する遊技領域6が、レール部材62で囲まれて形成されている。また遊技盤1には、様々な発光色で発光(点灯)可能な盤ランプ54が多数設けられている。なお遊技盤1は、前側に配されている板状部材と、後側に配されている裏ユニット(後述する各種制御基板、第1画像表示装置50、第2画像表示装置51、ハーネス等を取付けるユニット)とが一体化されたものである。
遊技盤1の遊技面1aには、遊技球を誘導する複数の遊技釘(図示省略)が突設されている。また遊技面1aよりも後方には、液晶表示装置である第1画像表示装置(第1表示手段)50が配されている。第1画像表示装置50は、鉛直方向に起立した状態で固定されている。
第1画像表示装置50の表示画面50aには、装飾図柄(演出図柄)EZ1,EZ2,EZ3の変動表示を行う装飾図柄表示領域がある。装飾図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄EZ1が表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄EZ2が表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄EZ3が表示される。装飾図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。第1画像表示装置50は、左、中、右の装飾図柄の組み合わせによって、大当たり抽選の結果を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で装飾図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「263」などのバラケ目で装飾図柄を停止表示する。これにより、遊技者にとっては遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1画像表示装置50にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、装飾図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。また、各抽選結果に応じてどのような装飾図柄の組み合わせを停止表示するかは任意に変更可能である。
第1画像表示装置50は、上記のような装飾図柄を用いた装飾図柄変動演出(「演出図柄変動演出」や単に「変動演出」ともいう)のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面50aに表示する。なお装飾図柄変動演出では、数字等の装飾図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの装飾図柄以外の演出画像も表示される。
図4に示すように、遊技領域6の中央付近であって第1画像表示装置50の前方には、センター装飾体61が配されている。センター装飾体61の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口11へと誘導可能なステージ部61sが形成されている。またセンター装飾体61の左下方には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部61sへ遊技球を流出させるワープ部61wが設けられている。
遊技領域6における第1画像表示装置50の下方には、第1始動口(第1始動入賞口、第1入球口、固定始動口)11を備える固定入賞装置11Dが設けられている。第1始動口11は、遊技球の入球し易さが常に変わらない入賞口である。第1始動口11への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また第1始動口11の下方には、第2始動口(第2始動入賞口、第2入球口、可変始動口)12を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)12Dが設けられている。第2始動口12は、遊技球の入球し易さが変化可能な入賞口である。なお本形態の第2始動口12は、上下方向且つ前後方向に延びる平面で形成される開口部分である。第2始動口12への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選の契機となっている。
電チュー12Dは、前後方向に進退可能な可動部材(入球口開閉部材)12kを備え、可動部材12kの作動によって第2始動口12を開閉するものである。第2始動口12は、可動部材12kが前方に進出しているとき(つまり開状態であるとき)だけ遊技球が入球可能となる。つまり、可動部材12kが前方に進出しているときに、流下する遊技球が可動部材12kの上側に当接すると、左方へ誘導される。これにより、遊技球が第2始動口12に入球可能となる。
一方、第2始動口12は、後方に退避しているとき(つまり閉状態であるとき)には遊技球が入球不可能となる。つまり、可動部材12kが後方に退避しているときには、流下する遊技球が可動部材12kに当接しない。これにより、遊技球は第2始動口12に入球することなく、後述するアウト口19へ向かう。なお、第2始動口12は、可動部材12kが閉状態にあるときには開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材12kが閉状態であるときに完全に入球不可能となるものでなくても良い。
また第1画像表示装置50の表示画面50aには、第1特図保留の数に応じて演出保留画像HAを表示する第1演出保留表示エリアQAと、第2特図保留の数に応じて演出保留画像HBを表示する第2演出保留表示エリアQBとがある。第1特図保留とは、第1始動口11への入球に基づく大当たり抽選が保留されていることを意味する。第2特図保留とは、第2始動口12への入球に基づく大当たり抽選が保留されていることを意味する。演出保留画像HA,HBの表示により、第1特図保留の数および第2特図保留の数を、遊技者にわかりやすく示すことが可能となっている。
また第1始動口11の右斜め上方には、第1大入賞口(第1特別入賞口)14を備えた第1大入賞装置(第1特別可変入賞装置)14Dが設けられている。第1大入賞装置14Dは、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)14kを備え、開閉部材14kの作動により第1大入賞口14を開閉するものである。第1大入賞口14は、開閉部材14kが開いているとき(つまり開状態であるとき)だけ遊技球が入球可能となる。
また第1大入賞口14の上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過領域)13が設けられている。ゲート13への遊技球の通過は、電チュー12Dを開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
また、ゲート13の右斜め上方には、第2大入賞口(第2特別入賞口)15を備えた第2大入賞装置(第2特別可変入賞装置)15Dが設けられている。第2大入賞装置15Dは、開状態と閉状態とをとる開閉部材(第2特別入賞口開閉部材)15kを備え、開閉部材15kの作動により第2大入賞口15を開閉するものである。第2大入賞口15は、開閉部材15kが開いているときだけ(つまり開状態であるとき)だけ遊技球が入球可能となる。
また図4に示すように、遊技盤1の左下部には表示器類8配置されている。また遊技領域6の左下部や右下部には、普通入賞口10が設けられている。また遊技領域6の最下部には、遊技領域6へ打込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域6外へ排出するアウト口19が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域6には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)6Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)6Bとがある。左遊技領域6Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域6Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機PY1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下し得る流路を、第1流路W1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路W2という。
第1流路W1上には、普通入賞口10と、第1始動口11と、第2始動口12と、アウト口19とが設けられている。遊技者は左打ちをすることで、第1始動口11への入賞を狙う。なお、第1流路W1を流下した遊技球が第2始動口12へ入賞することは、ほとんどないように構成されている。
一方、第2流路W2上には、第2大入賞装置15Dと、第1大入賞装置14Dと、普通入賞口10と、第2始動口12と、アウト口19とが設けられている。遊技者は右打ちをすることで、第2大入賞口15への入賞(特定領域16への通過)、ゲート13の通過、又は第1大入賞口14への入賞、又は第2始動口12への入賞を狙う。
また本形態のパチンコ遊技機PY1には、図4及び図5に示すように、第1画像表示装置50よりも上方に第2画像表示装置(第2表示手段)51が設けられている。第2画像表示装置51の表示画面51aでは、第1画像表示装置50の表示画面50aで実行される装飾図柄変動演出、大当たり演出、客待ち用のデモ演出などに合わせて、背景画像やキャラクタ画像など様々な演出画像が表示されるようになっている。なお本形態では、第1画像表示装置50の表示画面50aと第2画像表示装置51の表示画面51aとが連係してシームレスな画像を表示することができるし、互いに独立して別々な画像を表示することもできる。
第2画像表示装置51は、図5に示すように、前方に向かって斜め上方に傾斜した状態で固定されている。そして、第2画像表示装置51の表示画面51aの上部51bは、遊技盤1の遊技面1aよりも前方に飛び出ている。これにより遊技者には、より近い位置で表示画面51aの上部51bを見せることが可能である。更に、第2画像表示装置51の表示画面51aの上部51bは、図4に示すように、遊技領域6の上端よりも上方に飛び出ている。これにより遊技者には、遊技領域6の外側でも表示画面51aの上部51bを見せることが可能である。こうして本形態では、第1画像表示装置50の表示画面50aと第2画像表示装置51の表示画面51aとにより、斬新な表示画面が形成されていて、遊技者には広範囲且つ近い距離で演出画像を見せることが可能である。その結果、表示画面50a,51aで表示される演出画像のインパクトを高めることが可能である。
また図5に示すように、遊技盤1の遊技面1aよりも後方には、盤可動体55kが設けられている。盤可動体55kは、第1画像表示装置50の表示画面50aよりも前方で変位可能な装飾可動体である。盤可動体55kは、前方からほとんど視認不可能な原点位置から、第1画像表示装置50の表示画面50aの中央の前方に現われる駆動位置に移動可能である。
図6(A)に示すように、第2大入賞装置15Dの内部には、第2大入賞口15を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)16および非特定領域17が形成されている。なお、第2大入賞装置15Dにおいて、特定領域16および非特定領域17の上流には、第2大入賞口15への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ15aが配されている。また、特定領域16には、特定領域16への遊技球の通過を検知する特定領域センサ16aが配されている。また、非特定領域17には、非特定領域17への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ17aが配されている。また、第2大入賞装置15Dは、第2大入賞口15を通過した遊技球を特定領域16または非特定領域17のいずれかに振り分ける振分部材16kと、振分部材16kを駆動する振分部材ソレノイド16sとを備えている。振分部材16kは、左右方向に進退するものであり、右方に退避した退避状態(第1状態)又は左方に進出した進出状態(第2状態)をとる。
図6(A)は、振分部材ソレノイド16sの通電時を示している。図6(A)に示すように、振分部材ソレノイド16sの通電時には、振分部材16kは特定領域16への遊技球の通過を許容する第1状態にある。振分部材16kが第1状態にあるときは、第2大入賞口15に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ15aを通過したあと特定領域16を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
図6(B)は、振分部材ソレノイド16sの非通電時を示している。図6(B)に示すように、振分部材ソレノイド16sの非通電時には、振分部材16kは特定領域16への遊技球の通過を妨げる第2状態にある。振分部材16kが第2状態にあるときは、第2大入賞口15に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ15aを通過したあと振分部材16kの上面を転動して非特定領域17を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機PY1では、特定領域16への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域16は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域17は、確変作動口ではない。また、第1大入賞装置14Dには、確変作動口としての特定領域は設けられていない。すなわち非特定領域しか設けられていない。
図7に示すように、表示器類8には、第1特別図柄(第1識別図柄)を可変表示する第1特別図柄表示器81a、第2特別図柄(第2識別図柄)を可変表示する第2特別図柄表示器81b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器82が含まれている。また表示器類8には、第1特別図柄表示器81aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器83a、第2特別図柄表示器81bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器83b、および普通図柄表示器82の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器84が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口11への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口12への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄(識別図柄)ということがある。また第1特図保留および第2特図保留を総称して特図保留ということがある。また、第1特別図柄表示器81aおよび第2特別図柄表示器81bを総称して特別図柄表示器(特図表示器)81ということがある。また、第1特図保留表示器83aおよび第2特図保留表示器83bを総称して特図保留表示器83ということがある。
特別図柄表示器81では、特別図柄を可変表示したあと停止表示することにより、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口14又は第2大入賞口15を開放させる特別遊技(大当たり遊技)が行われる。
特別図柄表示器81は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。なお本形態では、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示及び停止表示に同期して、第1画像表示装置50の表示画面50aにて演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の変動表示及び停止表示が行われる。
本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(入賞情報に相当)は、一旦記憶される。詳細には、第1始動口11への入賞であれば第1特図保留として記憶され、第2始動口12への入賞であれば第2特図保留として記憶される。記憶可能な第1特図保留の数又は第2特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ4個となっている。
記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器83に表示される。具体的には第1特図保留表示器83aと第2特図保留表示器83bは、それぞれ4個のLEDで構成されており、それぞれ第1特図保留又は第2特図保留の数だけLEDを点灯させることにより、第1特図保留又は第2特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート13への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器82では、普通図柄を可変表示したあと停止表示することにより、ゲート13への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口12を開放させる補助遊技が行われる。
普通図柄表示器82は、例えば2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機PY1では、ゲート13への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留として一旦記憶される。記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機PY1では、ゲート13への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器84に表示される。具体的には普図保留表示器84は、4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
2.枠可動部材の構成
次に図8〜図16に基づいて、枠可動部材の構成について説明する。本形態では、枠可動部材が、遊技機枠2(前枠23)に複数取付けられていて、それぞれモータの駆動力によって移動可能になっている。なお枠可動部材とは、遊技盤1側ではなく、遊技機枠2側に取付けられている可動部材を意味する。
可動体ユニット201は、図8に示すように、前枠23のベース枠23wの上端に設けられている水平状の上壁部25に図示しないビスを用いて着脱可能になっている。この可動体ユニット201は、図9に示すように、3分割できるものであり、上側蓋部材240と、上側蓋部材240の下方に配されるユニット本体250と、ユニット本体250の前側に組付けられる前側カバー260と、を備えている。ユニット本体250は、枠顔可動体400(可動体)を備えている。
前側カバー260は、図9に示すように、起立していて、枠顔可動体400の前面側を隠すことができるように、左右方向に長く形成されている。また前側カバー260の上端には、左右方向に沿ってタッチセンサ(タッチ電極)261が取付けられている。タッチセンサ261は、人体が接触又は接近したことを検出するものである。そのため本形態では、タッチセンサ261による検出に基づいて、枠顔可動体400を移動させないことが可能である。また図9に示すように、枠顔可動体400の下側には、下側カバー510が取付けられていて、枠顔可動体400の前側には、枠顎可動体600が取付けられている。
ユニット本体250には、枠顔可動体400の他、図10に示すように、連結板301と、枠顔可動体400を回転させるための左側リンクユニット302L及び右側リンクユニット302Rが設けられている。連結板301には、枠顔可動体400の移動を制御する枠上中継基板310が取付けられている。
左側リンクユニット302Lの構成と右側リンクユニット302Rの構成とは、左右対称で同様である。以下では、左側リンクユニット302Lの構成を代表して説明する。左側リンクユニット302Lは、枠顔可動体400を格納位置又は出現位置に移動可能にするものである。本形態では枠顔可動体400が格納位置にあるときには、図9に示すように、枠顔可動体400を略水平状態にしていて、枠顔可動体400が示す主人公キャラの顔が見えないようになっている。一方、枠顔可動体400が出現位置にあるときには、枠顔可動体400を前方に向かって斜め上方に延びる傾斜状態にしていて、枠顔可動体400が示す主人公キャラの顔が見えるようになっている(図15参照)。
左側リンクユニット302Lには、図10に示すように、左側枠顔移動モータ311Lが取付けられている。左側枠顔移動モータ311Lは、枠顔可動体400を格納位置と出現位置との間で回転させるための回転駆動力を付与するものである。なお右側リンクユニット302Rには、右側枠顔移動モータが取付けられている。右側枠顔移動モータも、枠顔可動体400を格納位置と出現位置との間で回転させるための回転駆動力を付与するものである。左側枠顔移動モータ311Lと右側枠顔移動モータは、供給されるパルスに同期して駆動するステッピングモータである。なお以下では、左側枠顔移動モータ311Lと右側枠顔移動モータとをまとめて、「枠顔移動モータ311」と呼ぶことがある。
左側リンクユニット302Lには、左側リンク部材340Lが取付けられている。また右側リンクユニット302Rには、右側リンク部材340Rが取付けられている。これらリンク部材340L,340Rに、枠顔可動体400が取付けられている。そして各リンク部材340L,340Rは、それぞれ左側枠顔移動モータ311L及び右側枠顔移動モータの駆動によって、軸中心O1及び軸中心O2周りに回転可能である。これにより、枠顔可動体400は、格納位置から出現位置へ移動する際に、図11(A)(B)に示すように、前方に向かって主人公キャラの顔が起き上がるように移動(回転)可能である。
本形態では、枠顔可動体400は、左側リンク部材340L及び右側リンク部材340Rにより、図12に示すように、格納位置と出現位置との間で移動可能である。ここで図12(A)に示す枠顔可動体400の位置が、格納位置である。また図12(H)に示す枠顔可動体400の位置が、出現位置である。よって、枠顔可動体400が格納位置から出現位置へ移動する出現時には、枠顔移動モータ311が所定の正方向に回転駆動して、図12(A)⇒図12(B)⇒図12(C)⇒12(D)⇒図12(E)⇒図12(F)⇒図12(G)⇒図12(H)に示すように、枠顔可動体400が移動する。一方、枠顔可動体400が出現位置から格納位置へ移動する格納時には、枠顔移動モータ311が上記正方向と逆方向に回転駆動して、図12(H)⇒図12(G)⇒図12(F)⇒12(E)⇒図12(D)⇒図12(C)⇒図12(B)⇒図12(A)に示すように、枠顔可動体400が移動する。
ここで、枠顔可動体400の出現時に、枠顔可動体400を出現位置で停止させる方法について説明する。本形態では、枠顔可動体400が図12(G)に示す位置にあることを検出可能な出現検出センサ331(図10,図19参照)が設けられている。出現検出センサ331(検出手段)は、投光部から受光部へ照射される光が遮られることによって、枠顔可動体400の位置を検出するフォトセンサである。図12(G)に示す枠顔可動体400の位置を、「出現直前位置(特定位置)」と呼ぶ。
こうして枠顔可動体400の出現時には、枠顔移動モータ311が正方向に回転駆動して、枠顔可動体400が図12(A)に示す格納位置から図12(G)に示す出現直前位置まで移動すると、出現検出センサ331により検出がなされる。この出現検出センサ331の検出に基づいて、枠顔移動モータ311は所定数のステップ数(本形態では55ステップ、図23参照)だけ回転駆動するように制御される。これにより、枠顔可動体400は、図12(G)に示す出現直前位置から僅かに回転駆動して、図12(H)に示す出現位置で停止するようになっている。なお枠顔可動体400を出現直前位置から出現位置まで移動させる動作を、「押し込み動作(図23参照)」と呼ぶ。このように押し込み動作を行うのは、出現検出センサ331により検出された時点で、移動中の枠顔可動体400(枠顔移動モータの回転駆動)を急に停止させることは現実的に不可能であるためである。
同様に、枠顔可動体400の格納時に、枠顔可動体400を格納位置で停止させる方法について説明する。本形態では、枠顔可動体400が図12(B)に示す位置にあることを検出可能な格納検出センサ315(図19参照)が設けられている。格納検出センサ315(検出手段)は、投光部から受光部へ照射される光が遮られることによって、枠顔可動体400の位置を検出するフォトセンサである。図12(B)に示す枠顔可動体400の位置を、「格納直前位置」と呼ぶ。
こうして枠顔可動体400の格納時には、枠顔移動モータ311が逆方向に回転駆動して、枠顔可動体400が図12(G)に示す出現位置から図12(B)に示す格納直前位置まで移動すると、格納検出センサ315により検出がなされる。この格納検出センサ315の検出に基づいて、枠顔移動モータ311は所定数のステップ数(本形態では55ステップ、図23参照)だけ回転駆動するように制御される。これにより、枠顔可動体400は、図12(B)に示す格納直前位置から僅かに回転駆動して、図12(A)に示す格納位置で停止するようになっている。なお枠顔可動体400を格納直前位置から格納位置まで移動させる動作を、「押し込み動作(図23参照)」と呼ぶ。このように押し込み動作を行うのは、格納検出センサ315により検出された時点で、移動中の枠顔可動体400(枠顔移動モータの回転駆動)を急に停止させることは現実的に不可能であるためである。
次に、左側枠耳可動体500L及び右側枠耳可動体500Rを図13に基づいて説明する。図13(A)(B)に示すように、下側カバー510には、左側枠耳可動体500L及び右側枠耳可動体500Rが揺動可能且つ直動可能に組付けられている。左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、図13(A)に示す退避位置と、図13(B)に示す露出可能位置との間で左右方向に揺動可能であり、図13(B)に示す露出可能位置と図13(C)に示す露出位置との間で直動可能(直線状に移動可能)である。
図13(C)に示すように、下側カバー510の左側には、左側枠耳移動モータ520Lが取付けられている。また下側カバー510の右側には、右側枠耳移動モータ520Rが取付けられている。左側枠耳移動モータ520Lと右側枠耳移動モータ520Rは、それぞれ左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rを、退避位置と露出可能位置との間で揺動させるための揺動力を付与すると共に、露出可能位置と露出位置との間で直動させるための直動駆動力を付与するものである。
枠顔可動体400が格納位置にあるときには(図1参照)、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、それぞれ退避位置にある。このとき左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、枠顔可動体400の中に隠れていて、枠顔可動体400の中から露出できないようになっている。その後、枠顔可動体400が格納位置から出現位置へ移動し終えると、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、先ず退避位置から露出可能位置へ揺動する。これにより、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rが枠顔可動体400の内部から上方へ突出可能な状態になる。そして、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rは、露出可能位置から露出位置へ直動する。こうして左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rが、枠顔可動体400よりも上方に突出して露出するようになっている(図15参照)。
次に、枠顎可動体600を図14に基づいて説明する。図14(A)(B)に示すように、枠顎可動体600は、枠顔可動体400に対して傾動(回転)可能に組付けられている。この枠顎可動体600は、図14(A)に示す閉鎖位置と、図14(B)に示す開放位置との間で傾動(回転)可能である。図14(A)に示すように、枠顎可動体600が閉鎖位置にあるときには、枠顔可動体400が示す主人公キャラの口が閉じている印象を与えることが可能である。一方図14(B)に示すように、枠顎可動体600が開放位置にあるときには、枠顔可動体400が示す主人公キャラの口が開いている印象を与えることが可能である。
図14(A)(B)に示すように、出現位置にあるときの枠顔可動体400の下側に、枠顎移動モータ610が取付けられている。枠顎移動モータ610は、枠顎可動体600を閉鎖位置と開放位置との間で回転(傾動)させるための回転駆動力を付与するものである。
図15は、枠顔可動体400が出現位置にあるときの本パチンコ遊技機PY1の斜視図であり、図16は、枠顔可動体400が出現位置にあるときの本パチンコ遊技機PY1の正面図である。枠顎可動体600は、図16に示すように、枠顔可動体400が出現位置にあるときに限り、閉鎖位置から開放位置へ傾動した後に開放位置から閉鎖位置へ戻る往復動作を1回だけ行うようになっている。
図15に示すように、右側装飾部220には、枠剣可動体221及び鞘部材222が設けられている。枠剣可動体221は、固定されている鞘部材222に対して、上下方向に直動可能に組付けられている。枠剣可動体221は図1に示す収納位置と、図15に示す押込位置との間で直動可能である。鞘部材222の内部には、枠剣移動モータ223(図19参照)が取付けられている。枠剣移動モータ223は、枠剣可動体221を収納位置と押込位置との間で直動させるための直動駆動力を付与するものである。
図16に示すように、左側発光体ユニット202L及び右側発光体ユニット202Rには、それぞれ内部に回転ドラム320が設けられている。各回転ドラム320は、その姿勢を保ちながら回転可能なものであり、回転後に特定のモチーフ(意匠)を視認できるように停止可能である。左側発光体ユニット202L及び右側発光体ユニット202Rの内部には、それぞれ枠ドラム回転モータ321(図19参照)が設けられている。枠ドラム回転モータ321は、回転ドラム320を回転させるための回転駆動力を付与するものである。
3.遊技機の電気的構成
次に図17〜図19に基づいて、本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明する。図17に示すように、パチンコ遊技機PY1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う遊技制御基板(主制御基板)100、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板170、電源を供給する電源基板190等を備えている。遊技制御基板100及び払出制御基板170は、メイン制御部を構成し、遊技の結果に影響を及ぼすおそれがある制御処理を実行可能な主基板に相当する。
図17に示すように、遊技制御基板100には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)101が実装されている。遊技制御用マイコン101には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶した遊技用ROM(Read Only Memory)103、ワークメモリとして使用される遊技用RAM(Random access memory)104、遊技用ROM103に記憶されたプログラムを実行する遊技用CPU(Central Processing Unit)102、データや信号の入出力を行うための遊技用I/Oポート部(入出力回路)118が含まれている。なお、遊技用ROM103は外付けであってもよい。
遊技用RAM104には、特図保留記憶部105(第1特図保留記憶部105aおよび第2特図保留記憶部105b)が設けられている。第1特図保留記憶部105aは、記憶可能な第1特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。また第2特図保留記憶部105bは、記憶可能な第2特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。各記憶領域は4つの記憶領域に分かれている。これらの4つの記憶領域とは、後述の大当たり乱数を記憶する領域、当たり種別乱数を記憶する領域、リーチ乱数を記憶する領域、及び変動パターン乱数を記憶する領域である。
また遊技用RAM104には、普図保留記憶部106が設けられている。普図保留記憶部106は、記憶可能な普図保留の数に対応した記憶領域からなる。各記憶領域は、普通図柄乱数を記憶する領域である。
また遊技制御基板100には、図17に示すように、中継基板110を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、遊技制御基板100には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには遊技制御基板100から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、ゲートセンサ13a、第1大入賞口センサ14a、第2大入賞口センサ15a、特定領域センサ16a、非特定領域センサ17a、および普通入賞口センサ10aが接続されている。
第1始動口センサ11aは、第1始動口11内に設けられて第1始動口11に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ12aは、第2始動口12内に設けられて第2始動口12に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ13aは、ゲート13内に設けられてゲート13を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ14aは、第1大入賞口14内に設けられて第1大入賞口14に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ15aは、第2大入賞口15内に設けられて第2大入賞口15に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ16aは、第2大入賞口15内の特定領域16に設けられて特定領域16を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ17aは、第2大入賞口15内の非特定領域17に設けられて非特定領域17を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ10aは、各普通入賞口10内にそれぞれ設けられて普通入賞口10に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド12s、第1大入賞口ソレノイド14s、第2大入賞口ソレノイド15s、および振分部材ソレノイド16sが接続されている。電チューソレノイド12sは、電チュー12Dの可動部材12kを駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド14sは、第1大入賞装置14Dの開閉部材14kを駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド15sは、第2大入賞装置15Dの開閉部材15kを駆動するものである。振分部材ソレノイド16sは、第2大入賞装置16Dの振分部材16kを駆動するものである。
さらに遊技制御基板100には、第1特別図柄表示器81a、第2特別図柄表示器81b、普通図柄表示器82、第1特図保留表示器83a、第2特図保留表示器83b、および普図保留表示器84が接続されている。すなわち、これらの表示器類8の表示制御は、遊技制御用マイコン101によりなされる。
また遊技制御基板100は、払出制御基板170に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板170から信号を受信する。払出制御基板170には、カードユニットCU(パチンコ遊技機PY1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)、および賞球払出装置73が接続されているとともに、発射制御回路175を介して発射装置72が接続されている。発射装置72には、ハンドル72k(図1参照)が含まれる。
払出制御基板170は、遊技制御用マイコン101からの信号や、パチンコ遊技機PY1に接続されたカードユニットCUからの信号に基づいて、賞球払出装置73の賞球モータ73mを駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ73aにより検知されて、賞球センサ73aによる検出信号が払出制御基板170に出力される。
なお遊技者による発射装置72のハンドル72k(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ72aがハンドル72kへの接触を検知し、発射ボリューム72bがハンドル72kの回転量を検知する。そして、発射ボリューム72bの検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射ソレノイド72sが駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機PY1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また遊技制御基板100は、図18に示す演出制御基板120に対し各種コマンドを送信する。遊技制御基板100と演出制御基板120との接続は、遊技制御基板100から演出制御基板120への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、遊技制御基板100と演出制御基板120との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
パチンコ遊技機PY1は、図18に示すように、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う演出制御基板(サブ制御基板)120と、画像制御を行う画像制御基板140とを備える。演出制御基板120には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)121が実装されている。演出制御用マイコン121(演出制御手段)には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶した演出用ROM123、ワークメモリとして使用される演出用RAM124、演出用ROM123に記憶されたプログラムを実行する演出用CPU122、データや信号の入出力を行うための演出用I/Oポート部(入出力回路)138が含まれている。なお、演出用ROM123は外付けであってもよい。
演出制御基板120には、画像制御基板140が接続されていると共に、図19に示すサブドライブ基板162が接続されている。演出制御基板120の演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の画像用CPU141に第1画像表示装置50の表示制御及び第2画像表示装置51の表示制御を行わせる。なお演出制御用マイコン121は、画像制御基板140の画像用入力回路147を介して制御信号を送信する。そして画像用CPU141は、画像制御基板140の画像用出力回路148を介して第1画像表示装置50及び第2画像表示装置51に制御信号を送信する。
画像制御基板140の画像用RAM143は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板140の画像用ROM142には、第1画像表示装置50及び第2画像表示装置51に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(装飾図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板140の画像用CPU141は、演出制御用マイコン121からの指令に基づいて画像用ROM142から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
画像制御基板140には、スピーカ620が接続されている。演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の音声用CPU149を介してスピーカ620から音声、楽曲、効果音等を出力する。なお音声用CPU149は、画像用CPU141からの指令に基づいて、音声制御回路150を介してスピーカ620の音声制御を行う。スピーカ620から出力する音声等の音響データは、演出制御基板120の演出用ROM123に格納されている。但し、音響データを画像制御基板140の画像用ROM142に格納しても良い。
なお画像制御基板140にスピーカ620の音声制御を行わせたが、画像制御基板140とは別に音声制御基板を設けて、この音声制御基板にスピーカ620の音声制御を行わせても良い。この場合、音声制御基板は演出制御基板120に接続されていても良いし、画像制御基板140を介して演出制御基板120に接続されていても良い。また音声制御基板にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。
また演出制御基板120には、演出ボタン検知センサ40a及びセレクトボタン検知センサ42aが接続されている。演出ボタン検知センサ40aは、演出ボタン40kが押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン40kが押下操作されると、演出ボタン検知センサ40aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。また、セレクトボタン検知センサ42aは、セレクトボタン42kが押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタン42kが押下操作されるとセレクトボタン検知センサ42aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。
電源基板190(電力供給手段)は、図17及び図18に示すように、遊技制御基板100、演出制御基板120、及び払出制御基板170に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器(駆動部材等)に対して必要な電力を供給する。電源基板190には、バックアップ電源回路192が設けられている。バックアップ電源回路192は、本パチンコ遊技機PY1に対して電力(電源)が供給されていない場合に、遊技制御基板100の遊技用RAM104や演出制御基板120の演出用RAM124に対して電力を供給する。従って、遊技制御基板100の遊技用RAM104や演出制御基板120の演出用RAM124に記憶されている情報は、パチンコ遊技機PY1の電断時であっても保持される。また、電源基板190には、電源スイッチ191が接続されている。電源スイッチ191のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切替えられる。なお、遊技制御基板100の遊技用RAM104に対するバックアップ電源回路を遊技制御基板100に設けたり、演出制御基板120の演出用RAM124に対するバックアップ電源回路を演出制御基板120に設けたりしてもよい。
またパチンコ遊技機PY1は、図19に示すように、サブドライブ基板162を備えている。上述した演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、図19に示すサブドライブ基板162を介して枠ランプ212や盤ランプ54等の点灯(発光)制御を行う。演出制御用マイコン121は、枠ランプ212や盤ランプ54の発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ212や盤ランプ54の発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
また演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板162に接続された盤可動体移動モータ55mの駆動制御を行う。つまり演出制御用マイコン121は、盤可動体55の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データ)を作成し、動作パターンデータに従って盤可動体移動モータ55mの駆動を制御する。盤可動体移動モータ55mは、盤可動体55に駆動力(回転力)を付与して、盤可動体55を移動可能にするものである。動作パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。なお動作パターンデータの中には、枠顔可動体400の動作態様を決める枠顔可動体駆動データ、回転ドラム320の動作態様を決める回転ドラム駆動データ、枠耳可動体500の動作態様を決める枠耳可動体駆動データ、枠顎可動体600の動作態様を決める枠顎可動体駆動データ、枠剣可動体221の動作態様を決める枠剣可動体駆動データ、盤可動体55の動作態様を決める盤可動体駆動データがある。
またサブドライブ基板162には、上述した枠上中継基板310が接続されていると共に、枠右中継基板224が接続されている。枠上中継基板310は、上述したように、上側装飾部200の連結板301(図10参照)に取付けられている中継基板である。枠右中継基板224は、右側装飾部220に設けられている中継基板である。
枠上中継基板310には、枠顔可動体400を回転させるための枠顔移動モータ311が接続されている。サブドライブ基板162は、演出制御基板120からの駆動信号(シリアル信号やクロック信号等)に基づいて、枠上中継基板310を介して枠顔移動モータ311の駆動制御を行う。また枠上中継基板310には、回転ドラム320を回転させるための枠ドラム回転モータ321が接続されている。サブドライブ基板162は、演出制御基板120からの駆動信号に基づいて、枠上中継基板310を介して枠ドラム回転モータ321の駆動制御を行う。
また枠上中継基板310には、枠耳可動体500を揺動及び直動させるための枠耳移動モータ520が接続されている。枠耳可動体500は、左側枠耳可動体500Lと右側枠耳可動体500Rとの総称である。枠耳移動モータ520は、左側枠耳移動モータ520Lと右側枠耳移動モータ520Rとの総称である。サブドライブ基板162は、演出制御基板120からの駆動信号に基づいて、枠上中継基板310を介して枠耳移動モータ520の駆動制御を行う。また枠上中継基板310には、枠顎可動体600を回転させるための枠顎移動モータ610が接続されている。そのため、サブドライブ基板162は、演出制御基板120からの駆動信号に基づいて、枠上中継基板310を介して枠顎移動モータ610の駆動制御を行う。
また枠上中継基板310には、タッチセンサ261が接続されている。そのため、タッチセンサ261に接触すると、タッチセンサ261から枠上中継基板310とサブドライブ基板162とを介して演出制御基板120に対して検出信号が出力される。
また枠上中継基板310には、格納検出センサ315が接続されている。そのため、移動中の枠顔可動体400が格納直前位置(図12(B)参照)を通ると、格納検出センサ315による検出がなされる。これにより、格納検出センサ315による検出信号が、枠上中継基板310とサブドライブ基板162を介して演出制御基板120に出力される。また枠上中継基板310には、出現検出センサ331が接続されている。そのため、移動中の枠顔可動体400が出現直前位置(図12(G)参照)を通ると、出現検出センサ331による検出がなされる。これにより、出現検出センサ331による検出信号が、枠上中継基板310とサブドライブ基板162を介して演出制御基板120に出力される。
枠右中継基板224には、枠剣可動体221を直動させるための枠剣移動モータ223が接続されている。そのため、サブドライブ基板162は、演出制御基板120からの駆動信号に基づいて、枠右中継基板224を介して枠剣移動モータ223の駆動制御を行う。
なお、サブドライブ基板162、枠上中継基板310、枠右中継基板224にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに各モータの駆動制御や各ランプの点灯制御を実行させてもよい。さらにこの場合、サブドライブ基板162、枠上中継基板310、枠右中継基板224にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
本形態において演出制御基板120は、画像制御基板140とサブドライブ基板162とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくとも演出制御基板120を備え、演出手段(第1画像表示装置50、第2画像表示装置51、盤ランプ54、枠ランプ212、スピーカ620、枠顔可動体400等の枠可動部材や盤可動体55)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。なお本形態のパチンコ遊技機PY1では、音声や楽曲、効果音等を出力するスピーカ620が、上側装飾部200の後方側の下側に設けられている。
図17〜図19は、あくまで本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、図17〜図19に示す基板だけが設けられているわけではない。遊技制御基板100を除いて、図17〜図19に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、図17〜図19に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
ところで本形態において、枠顔移動モータ311(駆動手段)、枠ドラム回転モータ321、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610、枠剣移動モータ223、盤可動体移動モータ55mは、従来から演出用モータとして一般的に用いられているユニポーラ型のステッピングモータではなく、図20(A)に示すように、バイポーラ型のステッピングモータになっている。
ここでバイポーラ型のステッピングモータの機能を、図20(A)に基づいて概略的に説明する。図20(A)に示すように、バイポーラ型のステッピングモータでは、2組のコイルA及びコイルBが設けられている。そしてコイルAには、φ1端子とφ2端子とが設けられている。またコイルBには、φ3端子とφ4端子とが設けられている。このバイポーラ型のステッピングモータを駆動させる場合、図20(A)の(1)⇒(2)⇒(3)⇒(4)に示すように、コイルAとコイルBに流す電流の向きを交互に切替えるようになっている。
即ち、先ず図20(A)の(1)に示すように、コイルAのφ1端子からφ2端子へ電流を流す。次に図20(A)の(2)に示すように、コイルBのφ3端子からφ4端子へ電流を流す。続いて図20(A)の(3)に示すように、コイルAのφ2端子からφ1端子へ電流を流す。最後に図20(A)の(4)に示すように、コイルBのφ4端子からφ3端子へ電流を流す。以後、上記(1)(2)(3)(4)を繰り返すことにより、回転軸を、発生した磁力で引き付けるように回転させる。こうしてバイポーラ型のステッピングモータでは、各端子に流れる電流の向きが切替わることが特徴になる。
これに対して、従来から演出用モータとして一般的に用いられているユニポーラ型のステッピングモータの機能を、図20(B)に基づいて概略的に説明する。図20(B)に示すように、ユニポーラ型のステッピングモータでも、2組のコイルA及びコイルBが設けられている。そしてコイルAには、φ1端子とφ2端子とが設けられていて、コイルAの中間にタップTPが設けられている。またコイルBには、φ3端子とφ4端子とが設けられていて、コイルBの中間にタップTPが設けられている。タップTPには、常に+電源(DC)が接続されている。このユニポーラ型のステッピングモータを駆動させる場合、図20(B)の(1)⇒(2)⇒(3)⇒(4)に示すように、タップTPから各端子へ電流を一方向へ流すようになっている。
即ち、先ず図20(B)の(1)に示すように、コイルAのタップTPからφ1端子へ電流を流す。次に図20(B)の(2)に示すように、コイルBのタップTPからφ3端子へ電流を流す。続いて図20(B)の(3)に示すように、コイルAのタップTPからφ2端子へ電流を流す。最後に図20(B)の(4)に示すように、コイルBのタップTPからφ4端子へ電流を流す。以後、上記(1)(2)(3)(4)を繰り返すことにより、回転軸を、発生した磁力で引き付けるように回転させる。こうしてユニポーラ型のステッピングモータでは、各端子に流れる電流の向きが常に一定であることが特徴になる。
以上、図20(B)に示すユニポーラ型のステッピングモータでは、回転時の各フェーズ((1)(2)(3)(4)の何れかの時点)のコイルA,Bにおいて、半分のコイル(巻線)でしか電流が流れていない状態になる。これに対して、図20(A)に示すバイポーラ型のステッピングモータでは、回転時の各フェーズのコイルA,Bにおいて、電流の向きが切替わるものの、コイル全体に電流が流れている状態になる。即ち常にコイルが機能することになる。従って、本形態のようにバイポーラ型のステッピングモータを用いる場合には、従来のようにユニポーラ型のステッピングモータを用いる場合に比べて、同じ巻き数のコイルであれば、コイルの利用効率が高くなる。その結果、モータを効率良く回転させることが可能であり、低速回転時の出力トルクを高くすることが可能である。
こうして本形態では、バイポーラ型のステッピングモータである枠顔移動モータ311、枠ドラム回転モータ321、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610、枠剣移動モータ223、盤可動体移動モータ55mを用いることで、ユニポーラ型のステッピングモータを用いる場合に比べて、低速回転時の出力トルクを高くすることが可能である。具体的には、枠顔可動体400や枠剣可動体221のように大きくて重い可動体であっても、移動開始時に素早く移動させることが可能である。但し、低速回転時の出力トルクが高くなる反面、ユニポーラ型のステッピングモータに比べて、消費電流(電力)が大きくなるというデメリットはある。
4.枠上中継基板310の電気回路
次に図21及び図22に基づいて、枠上中継基板310の電気回路について説明する。図21に示すように、枠上中継基板310には、枠顔移動モータドライバIC1が実装されている。枠顔移動モータドライバIC1(駆動回路部)は、枠顔移動モータ311の駆動を制御するステッピングモータドライバである。
枠顔移動モータドライバIC1は、図21に示すように、Vcc端子、VREFA端子、VREFB端子、PHASEA端子、PHASEB端子、INA1端子、INA2端子、INB1端子、INB2端子、STANDBY端子、6ビット分のGND端子、2ビット分のOUTA+端子、2ビット分のOUTA−端子、2ビット分のOUTB+端子、2ビット分のOUTB−端子、2ビット分のRSA端子、2ビット分のRSB端子、18ビット分のNC(未接続)端子、及びその他の端子(OSCM端子、VM端子)を備えている。枠顔移動モータドライバIC1には、例えばテキサスインスツルメンツ製「TB67S101AFTG」などの汎用ドライバを好適に使用できる。
Vcc端子は、5Vの電源が供給される端子である。VREFA端子は、枠顔移動モータ311に対するA相モータ出力設定端子である。またVREFB端子は、枠顔移動モータ311に対するB相モータ出力設定端子である。ここで、VREFA端子に作用する電圧によって、後述するOUTA+端子及びOUTA−端子から出力する電流が切替えられる。即ち、VREFA端子に作用する電圧が大きければ、後述するOUTA+端子及びOUTA−端子から出力する電流を大きくすることが可能である。同様に、VREFB端子に作用する電圧によって、後述するOUTB+端子及びOUTB−端子から出力する電流が切替えられる。即ち、VREFB端子に作用する電圧が大きければ、後述するOUTB+端子及びOUTB−端子から出力する電流を大きくすることが可能である。
PHASEA端子は、枠顔移動モータ311(図20(A)参照)に対するA相極性設定端子である。PHASEB端子は、枠顔移動モータ311に対するB相極性設定端子である。INA1端子及びINA2端子は、枠顔移動モータ311に対するA相出力制御端子である。INB1端子及びINB2端子は、枠顔移動モータ311に対するB相出力制御端子である。STANDBY端子は、省電力モード設定端子である。GND端子は、グランドに接続するための端子である。
OUTA+端子は、枠顔移動モータ311のφ1端子(コイルAのφ1端子,図20(A)参照)に対する電流出力端子である。OUTA−端子は、枠顔移動モータ311のφ2端子(コイルAのφ2端子)に対する電流出力端子である。OUTB+端子は、枠顔移動モータ311のφ3端子(コイルBのφ3端子)に対する電流出力端子である。OUTB−端子は、枠顔移動モータ311のφ4端子(コイルBのφ4端子)に対する電流出力端子である。RSA端子は、枠顔移動モータ311のコイルA(端子φ1,φ2からなるA相)に出力した電流を検出するための端子である。RSB端子は、枠顔移動モータ311のコイルB(端子φ3,φ4からなるB相)に出力した電流を検出するための端子である。
ところで、図21に示す枠顔移動モータドライバIC1は、枠顔移動モータ311のコイルAの各端子φ1,φ2、及びコイルBの各端子φ3,φ4に所定の一定電流(電流値が一定である電流)を供給することが可能な定電流駆動方式のものである。定電流駆動方式は、各コイルA,Bに流れる電流が一定電流になるように常に監視して、規定電流以上の電流が流れようとすると高速で電圧のONとOFFとを繰り返して、一定電流を保つ方式である。この定電流駆動方式に対して、定電圧駆動方式がある。定電圧駆動方式は、各コイルA,Bに作用する電圧を一定電圧に保つ方式である。
ここでモータが回転するときには、各コイルA,Bに、誘導起電力(逆起電力)が発生して、逆起電圧が作用することになる。そのため、定電圧駆動方式の場合、各コイルA,Bに作用する有効な電圧(定電圧駆動方式による一定電圧)が、逆起電圧によって減少してしまう。特にモータが高速回転するほど、各コイルA,Bに大きな逆起電圧が作用するため、電流が流れ難くなる。その結果、定電圧駆動方式では、モータの出力トルクを大きくし難い。これに対して、定電流駆動方式であれば、逆起電圧が発生しても、各コイルA,Bに流れる電流を一定電流にて安定するように制御する。その結果、定電圧駆動方式よりも、モータの高速回転時における出力特性を向上させることが可能である。本形態の枠顔移動モータドライバIC1では、定電流駆動方式によって供給する一定電流が400mAになるように設定されている。
枠顔移動モータドライバIC1のOUTA+端子は、制御ラインL1を介してコネクタCN1の1番端子に接続されている。コネクタCN1の1番端子は、図示しないハーネスを介して、枠顔移動モータ311のコイルAの端子φ1(図20(A)参照)に接続されている。従って、枠顔移動モータドライバIC1のOUTA+端子から出力される電流を、制御ラインL1を通して、枠顔移動モータ311のコイルAの端子φ1へ流すことが可能である。
また枠顔移動モータドライバIC1のOUTA−端子は、制御ラインL2を介してコネクタCN1の2番端子に接続されている。コネクタCN1の2番端子は、図示しないハーネスを介して、枠顔移動モータ311のコイルAの端子φ2(図20(A)参照)に接続されている。従って、枠顔移動モータドライバIC1のOUTA−端子から出力される電流を、制御ラインL2を通して、枠顔移動モータ311のコイルAの端子φ2へ流すことが可能である。
また枠顔移動モータドライバIC1のOUTB+端子は、制御ラインL3を介してコネクタCN1の3番端子に接続されている。コネクタCN1の3番端子は、図示しないハーネスを介して、枠顔移動モータ311のコイルBの端子φ3(図20(A)参照)に接続されている。従って、枠顔移動モータドライバIC1のOUTB+端子から出力される電流を、制御ラインL3を通して、枠顔移動モータ311のコイルBの端子φ3へ流すことが可能である。
また枠顔移動モータドライバIC1のOUTB−端子は、制御ラインL4を介してコネクタCN1の4番端子に接続されている。コネクタCN1の4番端子は、図示しないハーネスを介して、枠顔移動モータ311のコイルBの端子φ4(図20(A)参照)に接続されている。従って、枠顔移動モータドライバIC1のOUTB−端子から出力される電流を、制御ラインL4を通して、枠顔移動モータ311のコイルBの端子φ4へ流すことが可能である。
図21に示すように、枠顔移動モータドライバIC1のVREFA端子から延びる制御ラインと、VREFBラインから延びる制御ラインとが結合して、1つの制御ラインL5が形成されている。制御ラインL5は、分岐点BTから図21の上側へ延びる制御ラインL5aと、分岐点BTから図21の下側へ延びる制御ラインL5bとに分かれている。制御ラインL5aには抵抗R1が接続されていて、制御ラインL5bには抵抗R2が接続されている。
また図21に示すように、制御ラインL1とグランドとの間にアバランシェダイオードZD1が設けられ、制御ラインL2とグランドとの間にアバランシェダイオードZD2が設けられ、制御ラインL3とグランドとの間にアバランシェダイオードZD3が設けられ、制御ラインL4とグランドとの間にアバランシェダイオードZD4が設けられている。これらアバランシェダイオードZD1,ZD2,ZD3,ZD4は、各制御ラインL1,L2,L3,L4に対して過電圧(例えば数千V)が作用したときに、各制御ラインL1,L2,L3,L4を保護するものである。
なお図21に示すように、枠顔移動モータドライバIC1の2つのOUTA+端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL1になっている。また枠顔移動モータドライバIC1の2つのOUTA−端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL2になっている。また枠顔移動モータドライバIC1の2つのOUTB+端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL3になっている。また枠顔移動モータドライバIC1の2つのOUTB−端子から延びる制御ラインは結合されて、1つの制御ラインL4になっている。これは、枠顔移動モータドライバIC1の1つ(1ビット分)の端子から出力できる電流は限られているため、2つの端子から延びる制御ラインを結合することで、より大きな電流を供給可能にするためである。
なお枠顔移動モータドライバIC1は、チョッピング基準周波数に基づいて、パルス幅変調(PWM(Pulse width modulation))を行って、一定電流を供給できるようにしている。チョッピング基準周波数は、半導体素子のONとOFFとを切替える速さを意味するものであり、図21に示す抵抗R6及びコンデンサC8に応じて適宜設定される。また図21に示すコンデンサC9は、電源ラインとグランドとの間に接続されるバイパスコンデンサ(パスコン)であり、枠顔移動モータドライバIC1での制御回路を安定させるものである。
また図22に示すように、枠上中継基板310には、入出力IC2が実装されている。入出力IC2は、デジタル信号を入出力するためのものである。入出力IC2には、シリアルデータ入出力端子(SDA端子)、シリアルクロック入力端子(SCL端子)、Vcc端子、3ビット分のアドレス設定端子(A0〜A2端子)、5ビット分の入力端子P11〜P15、11ビット分の出力端子P00〜P10、その他の端子(GND端子、INT端子)を備えている。入出力IC2は、例えばテキサスインスツルメンツ製「SNB6006PWR」などのGPIO(General Purpose Input Output)を好適に使用できる。
入出力IC2と演出制御用マイコン121とは、I2C(Inter Integrated Circuit)通信方式によって通信可能に接続されている。即ち、演出制御用マイコン121のシリアルポート139が接続されているデータ信号ラインに、入出力IC2のSDA端子が接続されている。また演出制御用マイコン121のシリアルポート139が接続されているクロック信号ラインに、入出力IC2のSCL端子が接続されている。
演出制御用マイコン121は、I2C通信方式によって入出力IC2と通信する場合、先ず入出力IC2のアドレス情報をシリアルデータとして送信する。そして、そのアドレス情報と一致するアドレスが割り付けられた入出力IC2から、返答信号を受信すると、入出力IC2に対して、枠顔可動体400を駆動させるための駆動データをシリアルデータとして送信する。入出力IC2は、演出制御用マイコン121から入力される駆動データに基づいて、出力端子P00〜P10から制御信号を出力する。これにより、枠顔可動体400が駆動データに基づく動作態様で動作するように、枠顔移動モータ311を駆動させることが可能である。
図22に示すように、Vcc端子は、5Vの電源が供給される端子である。A0端子(アドレス設定端子)は、5Vの電源に接続されている一方、A1端子及びA2端子は、グランドに接続されている。5ビット分の入力端子P11〜P15は、格納検出センサ315からの検出信号、出現検出センサ331からの検出信号、その他のセンサからの検出信号を入力する端子である。11ビット分の出力端子P00〜P10のうち、6ビット分の出力端子P02〜P07は、図21に示す枠顔移動モータドライバIC1のPHASEB端子、PHASEA端子、INB2端子、INB1端子、INA2端子、INA1端子に制御信号を出力する端子である。出力端子P00と出力端子P01と出力端子P08と出力端子P09と出力端子P10の機能については、枠顔移動モータドライバIC1と無関係であるため、説明を省略する。
ここで、定電流駆動方式の枠顔移動モータドライバIC1において、OUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力する一定電流(本形態では400mA)は、図21に示すように、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさに依存する。そして、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、制御ラインL5aに接続されている抵抗R1の抵抗値と、制御ラインL5bに接続されている抵抗R2の抵抗値との合成抵抗値に依存する。
また、枠顔移動モータ311の出力トルクの大きさは、供給される電流(制御ラインL1,L2,L3,L4を流れる電流)の大きさに比例する。従って、所望の出力トルクを得ることができるように、定電流駆動方式のドライバによる一定電流の大きさ(本形態では400mA)が決定されている。そして、その一定電流が供給できるように、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値とを設定している。以上要するに、定電流駆動方式のドライバでは、枠顔移動モータ311で所望の出力トルクを得ることができるように、抵抗R1及び抵抗R2を適宜選択していることになる。
ここで本形態のように、定電流駆動方式のドライバを用いる場合には、以下のメリットがある。即ち、図21に示す枠顔移動モータドライバIC1においては、上述したように、OUTA+端子,OUTA−端子,OUTB+端子,OUTB−端子から出力する一定電流は、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさに依存し、VREFA端子及びVREFB端子に作用する電圧の大きさは、抵抗R1及び抵抗R2の合成抵抗値に依存する。従って、枠顔移動モータ311としては1種類だけを用意して、抵抗R1及び抵抗R2を変えるだけで、枠顔移動モータ311から異なる出力トルクを発生させることが可能になる。これに対して、従来のように定電流駆動方式以外のドライバを用いる場合には、モータ(バイポーラ型のステッピングモータ)ごと変えることによって、異なる出力トルクを発生させるようにしていた。以上により、定電流駆動方式のドライバを用いることで、開発途中において出力トルクを変更したい場合に対処し易い(設計し易い)というメリットがある。
また本形態の定電流駆動方式のドライバ(例えば枠顔移動モータドライバIC1)は、一定電流を供給可能に構成されていると共に、一定電流よりも小さい低下電流を供給可能に構成されている。具体的に、図21に示す枠顔移動モータドライバIC1を例にすると、PHASEA端子に「H」レベルの信号を入力し、PHASEB端子に「H」レベルの信号を入力し、INA1端子に「H」レベルの信号を入力し、INA2端子に「H」レベルの信号を入力し、INB1端子に「H」レベルの信号を入力し、INB2端子に「H」レベルの信号を入力する場合には、予め設定している一定電流(本形態では400mA)を供給可能に構成されている。言い換えれば、演出制御用マイコン121が、図22に示す入出力IC2から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「H」レベルのINA1制御信号と、「H」レベルのINA2制御信号と、「H」レベルのINB1制御信号と、「H」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御すると、100%の電流としての一定電流(本形態では400mA)を供給することが可能である。
これに対して、枠顔移動モータドライバIC1は、PHASEA端子に「H」レベルの信号を入力し、PHASEB端子に「H」レベルの信号を入力し、INA1端子に「H」レベルの信号を入力し、INA2端子に「L」レベルの信号を入力し、INB1端子に「H」レベルの信号を入力し、INB2端子に「L」レベルの信号を入力する場合には、上記した一定電流に対する71%の大きさの電流(本形態では284mA)を供給可能に構成されている。言い換えれば、演出制御用マイコン121が、図22に示す入出力IC2から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「H」レベルのINA1制御信号と、「L」レベルのINA2制御信号と、「H」レベルのINB1制御信号と、「L」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御すると、一定電流よりも29%(所定割合)だけ小さい低下電流を供給することが可能である。
また、枠顔移動モータドライバIC1は、PHASEA端子に「H」レベルの信号を入力し、PHASEB端子に「H」レベルの信号を入力し、INA1端子に「L」レベルの信号を入力し、INA2端子に「H」レベルの信号を入力し、INB1端子に「L」レベルの信号を入力し、INB2端子に「H」レベルの信号を入力する場合には、上記した一定電流に対する38%の大きさの電流(本形態では152mA)を供給可能に構成されている。言い換えれば、演出制御用マイコン121が、図22に示す入出力IC2から、「H」レベルのPHASEA制御信号と、「H」レベルのPHASEB制御信号と、「L」レベルのINA1制御信号と、「H」レベルのINA2制御信号と、「L」レベルのINB1制御信号と、「H」レベルのINB2制御信号とを出力するように制御すると、一定電流よりも62%(所定割合)だけ小さい低下電流を供給することが可能である。
なお、枠顔移動モータドライバIC1は、PHASEA端子又はPHASEB端子に入力する信号のレベルに拘わらず、INA1端子に「L」レベルの信号を入力し、INA2端子に「L」レベルの信号を入力し、INB1端子に「L」レベルの信号を入力し、INB2端子に「L」レベルの信号を入力する場合には、電流を供給しないように構成されている。
5.枠顔可動体400の制御
次に、本形態の枠顔可動体400の制御を、図23に基づいて説明する。先ず、枠顔可動体400の出現時について説明する。なお枠顔移動モータ311は、ステッピングモータであるため、パルスの管理によってその駆動が制御されている。
図23に示すように、出現時には、枠顔移動モータ311を回転駆動させて、格納位置にある枠顔可動体400を出現位置(停止位置)に向けて移動させる。このとき(枠顔可動体400が格納位置から格納収納位置へ移動するまでの間)、枠顔移動モータ311の速度(パルスレート)は、200ppsである。その後、枠顔可動体400が格納直前位置まで移動すると、格納検出センサ315により枠顔可動体400が格納検出位置まで移動したことが検出される。この検出によって、枠顔移動モータ311の速度を、200ppsから333ppsに切替える。その後、枠顔可動体400が出現直前位置へ移動して、出現検出センサ331により検出されるまで、枠顔移動モータ311の速度を333pps(特定速度)にする。
こうして本形態では、枠顔可動体400の移動を格納位置から開始する際には、枠顔移動モータ311の速度を200ppsという比較的遅い速度にしている。これにより、枠顔可動体400が急に移動し始めるのを抑えて、枠顔可動体400に急な負荷が作用するのを抑えることが可能である。言い換えると、仮に枠顔移動モータ311の速度を200ppsよりも大きくすると、自起動領域(モータが回転し始めることが可能なパルスレート(パルス速度)の領域)を超えて、脱調するおそれがある。そのため、自起動領域の範囲を超えないようにしつつ、できるだけ速い速度として200ppsに設定している。その上で、枠顔移動モータ311が回転し始めた後に、枠顔移動モータ311の速度を333ppsという速い速度に切替える。これにより、枠顔可動体400を速く移動させることが可能である。こうして、スローアップすることで、枠顔移動モータ311の脱調を防ぎつつ、枠顔可動体400をできるだけ速く移動させることが可能である。
また図24に示すように、枠顔可動体400が出現直前位置へ移動して、出現検出センサ331により検出されると、枠顔移動モータ311の速度を300ppsから200ppsに切替える。そして、出現検出センサ331により検出された時点から枠顔移動モータ311にパルスを55ステップ分だけ供給して、枠顔可動体400を出現位置で停止させるようにしている。即ち、出現検出センサ331により検出された時点から55ステップ分だけ、枠顔可動体400の押し込み動作を行うように制御する。
こうして本形態では、枠顔可動体400を出現位置で停止させる前には、枠顔移動モータ311の速度(駆動速度)を200ppsという比較的遅い速度にしている。これにより、枠顔可動体400が速い速度から急に停止するのを抑えて、枠顔可動体400に急な負荷が作用するのを抑えることが可能である。こうして、スローダウンすることで、枠顔可動体400をできるだけスムーズに停止させることが可能である。なお枠顔移動モータ311の速度が333ppsである状態が「特定状態」であり、枠顔移動モータ311の速度が200ppsである状態が「低速状態」に相当する。
本形態では、図23に示すように、ステップ数の管理に基づいて枠顔移動モータ311の速度を200ppsから333ppsに切替えているわけではないが、枠顔可動体400による格納位置から格納直前位置への移動の間に、枠顔移動モータ311にパルスが55ステップ分だけ供給されるようになっている。また、ステップ数の管理に基づいて枠顔移動モータ311の速度を333psから200ppsに切替えているわけではないが、枠顔可動体400による格納直前位置から出現直前位置への移動の間に、枠顔移動モータ311にパルスが940ステップ分だけ供給されるようになっている。
また図23に示すように、枠顔可動体400が出現位置から格納位置まで移動する格納時でも、上述したように枠顔移動モータ311に対して、スローアップ及びスローダウンを実行している。スローアップ及びスローダウンする効果については上記した効果と同様であるため、説明を省略する。なお格納時においては、枠顔可動体400が出現直前位置から格納直前位置に移動するまで、枠顔移動モータ311の速度を、出現時よりも遅い250ppsにしている。これは格納時においては、遊技者が枠顔可動体400の移動にあまり注目していないため、出現時よりも枠顔可動体400を遅く移動させても、遊技者に与える違和感がほとんどないためである。そして格納時のように演出に大きく関係ないのであれば、枠顔可動体400を遅く移動させた方が、枠顔可動体400に作用する振動(衝撃)を小さくできるからである。
次に、演出用モータが演出可動体(枠顔移動モータ311、枠ドラム回転モータ321、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610、枠剣移動モータ223、盤可動体移動モータ55m)を移動させる又は停止保持する際の励磁方法(励磁状態,励磁モード)について説明する。なお上述した枠顔移動モータ311を例にして説明する。本形態では枠顔移動モータ311での基本的な励磁方法として、2相励磁(多相励磁)を用いている。
ここで図24及び図25に基づいて、2相励磁について説明する。2相励磁は、図24に示すように、パルスを付与する次の相(端子φ1⇒端子φ3⇒端子φ2⇒端子φ4)に対して1パルス分だけずらしながら、2相ずつ同時に励磁する方式である。なお端子φ1と端子φ2とにより1つの相が形成され、端子φ3と端子φ4とにより1つの相が形成される。
即ち、図24の(A)時点では、端子φ1(A相)にパルスが付与(通電)されると共に、端子φ4(B/相)にパルスが付与される。これにより、図25(A)に示すように、端子φ1(A相)と端子φ4(B/相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸,回転子)のS極側が端子φ1,φ4に引き寄せられる。続いて、図24(B)の時点では、端子φ3(B相)にパルスが付与されると共に、端子φ1(A相)にパルスが付与される。これにより、図25(B)に示すように、端子φ3(B相)と端子φ1(A相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ3,φ1に引き寄せられる。こうして、図24(A)⇒(B)に示すようにパルスをずらすと、図25(A)⇒(B)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが90度回転する。
続いて、図24(C)の時点では、端子φ2(A/相)にパルスが付与されると共に、端子φ3(B相)にパルスが付与される。これにより、図25(C)に示すように、端子φ2(A/相)と端子φ3(B相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ2,φ3に引き寄せられる。こうして、図24(B)⇒(C)に示すようにパルスをずらすと、図25(B)⇒(C)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが90度回転する。
続いて、図24(D)の時点では、端子φ4(B/相)にパルスが付与されると共に、端子φ2(A/相)にパルスが付与される。これにより、図25(D)に示すように、端子φ4(B/相)と端子φ2(A/相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ4,φ2に引き寄せられる。こうして、図24(C)⇒(D)に示すようにパルスをずらすと、図25(C)⇒(D)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが90度回転する。以後同様に、図24(A)⇒(B)⇒(C)⇒(D)に示すようにパルスをずらしていくことで、図25(A)⇒(B)⇒(C)⇒(D)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが90度ずつ回転していく。
次に、2相励磁の比較対象として、図26及び図27に基づいて、1−2相励磁について説明する。1−2相励磁は、図26に示すように、パルスを付与する次の相(端子φ1⇒端子φ3⇒端子φ2⇒端子φ4)に対して1パルス分と2パルス分を交互にずらすことで、1相だけ励磁する状態と2相ずつ同時に励磁する状態とを交互に作り出す方式である。
即ち、図26の(A)の時点では、端子φ1(A相)にパルスが付与(通電)される。これにより、図27(A)に示すように、端子φ1(A相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ1だけに引き寄せられる。続いて、図26(B)の時点では、端子φ3(B相)にパルスが付与されると共に、端子φ1(A相)にパルスが付与される。これにより、図27(B)に示すように、端子φ3(B相)と端子φ1(A相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ3,φ1に引き寄せられる。こうして、図26(A)⇒(B)に示すようにパルスをずらすと、図27(A)⇒(B)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが45度回転する。
続いて、図26(C)の時点では、端子φ3(B相)にパルスが付与される。これにより、図27(C)に示すように、端子φ3(B相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ3だけに引き寄せられる。こうして、図26(B)⇒(C)に示すようにパルスをずらすと、図27(B)⇒(C)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが45度回転する。続いて、図26(D)の時点では、端子φ2(A/相)にパルスが付与されると共に、端子φ3(B相)にパルスが付与される。これにより、図27(D)に示すように、端子φ2(A/相)と端子φ3(B相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ2,φ3に引き寄せられる。こうして、図26(C)⇒(D)に示すようにパルスをずらすと、図27(C)⇒(D)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが45度回転する。
続いて、図26(E)の時点では、端子φ2(A/相)にパルスが付与される。これにより、図27(E)に示すように、端子φ2(A/相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ2だけに引き寄せられる。こうして、図26(D)⇒(E)に示すようにパルスをずらすと、図27(D)⇒(E)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが45度回転する。続いて、図26(F)の時点では、端子φ4(B/相)にパルスが付与されると共に、端子φ2(A/相)にパルスが付与される。これにより、図27(F)に示すように、端子φ4(B/相)と端子φ2(A/相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ4,φ2に引き寄せられる。こうして、図26(E)⇒(F)に示すようにパルスをずらすと、図27(E)⇒(F)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが45度回転する。
続いて、図26(G)の時点では、端子φ4(B/相)にパルスが付与される。これにより、図27(G)に示すように、端子φ4(B/相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ4だけに引き寄せられる。こうして、図26(F)⇒(G)に示すようにパルスをずらすと、図27(F)⇒(G)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが45度回転する。続いて、図26(H)の時点では、端子φ1(A相)にパルスが付与(通電)されると共に、端子φ4(B/相)にパルスが付与される。これにより、図27(H)に示すように、端子φ1(A相)と端子φ4(B/相)の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ1,φ4に引き寄せられる。こうして、図26(G)⇒(H)に示すようにパルスをずらすと、図27(G)⇒(H)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが45度回転する。以後同様に、図26(A)⇒(B)⇒(C)⇒(D)⇒(E)⇒(F)⇒(G)⇒(H)に示すようにパルスをずらしていくことで、図27(A)⇒(B)⇒(C)⇒(D)⇒(E)⇒(F)⇒(G)⇒(H)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが45度ずつ回転していく。
以上、2相励磁と1−2相励磁を比較すると、2相励磁では図25に示すように、枠顔移動モータ311のロータの両極がそれぞれ常に2つの端子(相)に引き寄せられながら回転する。これに対して、1−2相励磁では図27に示すように、枠顔移動モータ311のロータの両極は、それぞれ1つの端子に引き寄せられた状態と2つの端子に引き寄せられた状態とが切替わりながら、回転する。よって2相励磁では、1相励磁よりも、枠顔移動モータ311のロータを回転させる(引き寄せる)力が強くなって、大きな出力(高トルク)を発生させることが可能である。しかしながら、2相励磁では、常に2つの端子(相)を励磁させるための電流を流しているため、1−2相励磁よりも消費電流が大きくなる。
また1−2相励磁では図27に示すように、1つのパルスが付与される度に45度ずつ回転する。つまりステップ角が45度である。これに対して、2相励磁では図25に示すように、1つのパルスが付与される度に90度ずつ回転する。よって、1−2相励磁では、2相励磁の半分のステップ角で、枠顔移動モータ311のロータを回転させることができるため、振動を少なくすることが可能である。即ち、枠顔可動体400に作用する振動を少なくしながら、枠顔可動体400を滑らかに移動させることが可能である。しかしながら、1−2相励磁では、2相励磁の半分のステップ角になるため(45度ずつロータを回転させるため)、2相励磁の2倍のパルス(制御信号)を送信する必要がある。即ち2相励磁よりも、細かな制御が必要になって、制御処理が煩雑になる(制御プログラムの作成負担が大きい)。
なお2相励磁では、枠顔移動モータ311が所定数のパルス(信号)を入力した場合に励磁される相(励磁相)が常に2つになるのに対して、1−2相励磁では、枠顔移動モータ311が所定数のパルス(信号)を入力した場合に励磁される相(励磁相)が1つ又は2つの何れかになる。従って、2相励磁と1−2相励磁との関係において、2相励磁は1−2相励磁よりも励磁相の数が相対的に多いため「多相励磁」ということができ、1−2相励磁は2相励磁よりも励磁相の数が相対的に少ないため「少相励磁」ということができる。
ところで本形態では、枠顔移動モータ311の励磁方式を基本的には2相励磁にして、枠顔可動体400を移動させているが、この場合に以下の問題点があった。即ち、枠顔可動体400のように、近年の演出可動体は機構が複雑になっている。そのため大量生産された枠顔可動体400の中には、組付け誤差が大きくなっている枠顔可動体400が僅かに生じてしまう。このような枠顔可動体400においては、出現時において、仮に2相励磁のまま枠顔可動体400を出現位置で停止させようとすると、枠顔可動体400の停止時の挙動が安定しない場合があった。
具体的には、枠顔可動体400は、図12(H)に示す出現位置を超えて移動してしまい、左側リンク部材340L及び右側リンク部材340R(図10参照)がその他の部材(ストッパ部材や長孔の端)と干渉することで、枠顔可動体400が強制的に停止し得る。そうなると、枠顔可動体400に強制的な停止による衝撃が作用する。これにより枠顔可動体400が、衝撃によって、図12(H)に示す出現位置で停止させる状況にも拘わらず、図12(H)⇒図12(G)⇒図12(F)に示すように、逆方向に移動(逆回転)する場合があった。
ここで、枠顔可動体400の停止時に、枠顔可動体400が逆方向に移動してしまう理由について説明する。2相励磁の場合、通常であれば図25(A)⇒(B)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが、所定方向(図25に示す時計方向)に90度だけ回転する。しかしながら、上述したように、枠顔可動体400に強制的な停止による衝撃が作用した場合、図28(A)に示すように、枠顔移動モータ311のロータに、外力F1が作用することがある。この外力F1により、図28(A)⇒(B)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが、上記した所定方向と反対の逆方向(図28に示す反時計方向)に270度だけ回転して(反発し合う励磁点を乗り越えて)、ロータのS極が、N極に励磁された端子φ1、φ3に引き寄せられる。こうして、枠顔移動モータ311のロータには逆方向に回転する慣性が働く。そして、図28(B)⇒(C)に示すように、枠顔移動モータ311のロータは慣性によって再び逆方向に270度回転して、ロータのS極が、N極に励磁された端子φ2、φ3に引き寄せられる。以上により、枠顔可動体400の停止時の衝撃に基づいて、枠顔移動モータ311のロータが逆方向に回転して、枠顔可動体400が逆方向に移動(回転)する場合があった。
そこで本形態では、枠顔可動体400の停止時の挙動を安定させて、枠顔可動体400が逆方向に移動しないように、以下のように対処している。即ち、枠顔可動体400が出現位置で停止する前に、枠顔移動モータ311の励磁方法を2相励磁から1−2相励磁に切替えるようにしている。具体的には、図30(A)に示すように、枠顔可動体400が出現直前位置まで移動して、出現検出センサ331による検出があったタイミングで、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁に切替えている。
これにより、枠顔可動体400は出現直前位置から出現位置に移動するまでの間、枠顔移動モータ311の励磁方法が2相励磁のままである場合に比べて、振動を少なくした状態で滑らかに移動することが可能である。更に1−2相励磁に切替えたことで、2相励磁に比べて、枠顔移動モータ311で発生させるトルクを抑えることが可能である。その結果、枠顔可動体400が仮に組付け誤差の影響によって、出現位置を超えて強制的に停止しても、枠顔可動体400に作用する衝撃を小さくすることが可能である。こうして1−2相励磁に切替えることで、枠顔可動体400の停止時の挙動を安定させて、枠顔可動体400が逆方向に移動しないようにすることが可能である。
また本形態では、枠顔可動体400が出現位置で停止する前に、枠顔移動モータ311に供給する電流を低下させるようにしている。具体的には、図30(A)に示すように、枠顔可動体400が出現直前位置まで移動して、出現検出センサ331による検出があったタイミングで、枠顔移動モータ311に供給する電流を、上記した一定電流(本形態では400mA)から、一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)に切替えている。
これにより、枠顔可動体400は出現直前位置から出現位置に移動するまでの間、枠顔移動モータ311に一定電流が供給されたままである場合に比べて、枠顔移動モータ311で発生させるトルクを抑えることが可能である。その結果、枠顔可動体400の停止時に、枠顔可動体400に作用する衝撃を小さくすることができて、枠顔可動体400が逆方向に移動しないようにすることが可能である。なお枠顔移動モータ311に一定電流である400mA(所定電流)が供給されている状態が「所定状態」に相当し、枠顔移動モータ311に一定電流の71%の大きさの電流である284mA(低電流)が供給されている状態が「低電流状態」に相当する。
更に本形態では、上述したように、枠顔可動体400は出現直前位置から出現位置に移動するまでの間、図30(A)に示すように、枠顔移動モータ311の速度を200ppsにスローダウンしている。このスローダウンによっても、枠顔可動体400の停止時に、枠顔可動体400に作用する衝撃を小さくすることができて、停止時に枠顔可動体400の挙動を安定させることが可能である。
以上、枠顔可動体400の出現時において、出現位置で停止させる場合の制御方法について説明したが、枠顔可動体400の格納時において、格納位置で停止させる場合の制御方法についても同様である。即ち、枠顔可動体400の格納時において、図30(B)に示すように、枠顔可動体400が格納直前位置まで移動して、格納検出センサ315による検出があったタイミングで、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁に切替える。またこのタイミングで、枠顔移動モータ311に供給する電流を、上記した一定電流(本形態では400mA)から、一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)に切替える。更にこのタイミングで、枠顔移動モータ311の速度を、250ppsから200ppsに切替える。
これらにより、枠顔可動体400を格納直前位置から格納位置に移動するまでの間、枠顔可動体400の振動を少なくした状態で滑らかに移動させると共に、トルクを抑えつつ移動させることが可能である。その結果、枠顔可動体400が仮に組付け誤差の影響によって、格納位置を超えて強制的に停止しても、枠顔可動体400に作用する衝撃を小さくすることができる。よって、停止時に枠顔可動体400の挙動を安定させることができて、枠顔可動体400が逆方向に移動しないようにすることが可能である。
ところで本形態では、枠顔移動モータ311の励磁方式を基本的には2相励磁にして、枠顔可動体400を移動させているが、枠顔可動体400の移動を開始する際に以下の問題点があった。即ち、本形態では上述したように、枠顔可動体400の移動を開始する際に、枠顔移動モータ311の速度を200ppsという低速度に設定して、スローアップをさせている。この速度は、自起動領域(モータが回転し始めることが可能なパルスレートの領域)を超えない範囲で、枠顔可動体400をできるだけ速く移動させるために設定したものである。
しかしながら、モータには固有の乱調領域(共振領域)がある。パチンコ遊技機PY1で用いられるステッピングモータの乱調領域は、供給される電流や、移動させる可動体の重量、及び重心等によって変わるものであるが、おおよそ200pps以下の範囲であることが知られている。そのため、枠顔可動体400の移動を開始する際に、枠顔移動モータ311の速度が200ppsに設定されていると、枠顔移動モータ311が共振してしまい、枠顔可動体400の挙動が不安定になるおそれがあった。特に、枠顔移動モータ311の励磁方式が2相励磁である場合には、トルクが大きい反面、振動が大きくなる傾向があるため、枠顔移動モータ311の共振をより助長してしまい、枠顔可動体400の挙動がより不安定になるおそれがあった。
ここで枠顔移動モータ311の速度を、乱調領域から外れるように、200ppsから僅かにずらして設定することが考えられる。しかしながら、パチンコ遊技機PY1においては、モータの速度を自由に設定できない事情がある。即ち、パチンコ遊技機PY1においては、後述するように、枠顔移動モータ311の駆動制御(駆動制御処理(S403))は、1mタイマ割り込み処理(S209)という1ms毎の割り込み処理で行われる。現状のパチンコ遊技機においては、1msよりも短い周期で、モータの駆動制御を行うことはない。これは仮に、1msよりも短い周期にすると、モータの駆動制御に係る処理が、次の割り込み処理がなされるまでに間に合わなくなるためである。従って、近年のパチンコ遊技機においては、1ms毎の割り込み処理でモータの駆動制御を行うことが限界になっていて、従来のパチンコ遊技機においては、より安全に2ms毎の割り込み処理でモータの駆動制御が行われるものもあった。
こうして本形態のように、1ms毎の割り込み処理で枠顔移動モータ311の駆動制御を行う場合、パルスレート(モータの速度,pps)は、或る一定の値でしか設定することはできない。即ち、パルスレートは、1秒間に送信するパルス数(ステップ数)であるため、1ms毎の割り込み処理では、パルスレートは最高で1000ppsになる。そして、次に大きなパルスレートは500ppsになる。そして、次に大きなパルスレートは333ppsになる。こうして1ms毎の割り込み処理で枠顔移動モータ311の駆動制御を行う以上、パルスレートは、1000ppsを整数で割った値として、1000pps、500pps、333pps、250pps、200pps、167pps…のように或る一定の値しか設定できない。
従って、枠顔移動モータ311の速度を、乱調領域から外れるように、200ppsからずらす場合、1000pps、500pps、333pps、250pps、200pps、167pps…しか設定できないことになる。しかしながら枠顔移動モータ311の速度を、仮に200ppsよりも速い速度(333pps、250pps等)に設定する場合、自起動領域(モータが回転し始めることが可能なパルスレートの領域)を超えて、脱調する可能性が非常に高くなる。一方、仮に200ppsよりも遅い速度(167pps等)に設定する場合、乱調領域に未だ該当している可能性があると共に、枠顔可動体400の移動の開始が遅くなるという点で好ましくない。以上により、枠顔移動モータ311の速度を、乱調領域から外れるように、200ppsからずらす方法は難しい。
そこで本形態では、枠顔可動体400の移動開始時の挙動を安定させるため、以下のように対処している。即ち、出現時において、枠顔可動体400の移動を格納位置から開始するときに、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁にする。その後、図30(A)に示すように、枠顔可動体400が格納直前位置まで移動して、格納検出センサ315による検出があったタイミングで、枠顔移動モータ311の励磁方法を2相励磁に切替えている。
これにより、枠顔可動体400は格納位置から格納出現位置に移動するまでの間、枠顔移動モータ311の励磁方法が2相励磁のままである場合に比べて、滑らかに移動することが可能である。更に1−2相励磁であるため、2相励磁に比べて、枠顔移動モータ311で発生させるトルクを抑えて、枠顔可動体400での振動を抑えることが可能である。その結果、枠顔移動モータ311の速度(本形態では200pps)が乱調領域に該当していても、枠顔移動モータ311の共振をできるだけ抑えて、枠顔可動体400の移動開始時の挙動を安定させることが可能である。
また本形態では、枠顔可動体400が格納位置から格納出現位置に移動するまでの間、枠顔移動モータ311に供給する電流を低下させるようにしている。具体的には、図30(A)に示すように、枠顔可動体400が格納直前位置まで移動して、格納検出センサ315による検出があるまで、枠顔移動モータ311に供給する電流を、上記した一定電流(本形態では400mA)から、一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)にしている。
これにより、枠顔可動体400は格納位置から格納直前位置に移動するまでの間、枠顔移動モータ311に一定電流が供給される場合に比べて、枠顔移動モータ311で発生させるトルクを抑えることが可能である。その結果、枠顔可動体400での振動を抑えて、枠顔移動モータ311の共振を助長しないようにすることが可能である。よって、枠顔可動体400の移動開始時の挙動を安定させることが可能である。なお上述したように、枠顔可動体400は格納位置から格納直前位置に移動するまでの間、枠顔移動モータ311の速度を比較的遅い200ppsにしてスローアップさせている。そのため、このスローアップによっても枠顔可動体400をスムーズに(振動を抑えつつ)移動させることが可能である。
そして本形態では、図30(A)に示すように、枠顔可動体400が格納出現位置から出現直前位置に移動するまでの間、枠顔移動モータ311の励磁方法が2相励磁である。そのため、枠顔可動体400を高出力(高トルク)で移動させることが可能である。また枠顔可動体400が格納出現位置から出現直前位置に移動するまでの間、枠顔移動モータ311に供給する電流を100%の一定電流(本形態では400mA)に戻している。従って、枠顔移動モータ311で発生させるトルクの抑制を解除して、枠顔可動体400を通常通りのトルクで移動させることが可能である。更に、枠顔可動体400が格納出現位置から出現直前位置に移動するまでの間は、枠顔可動体400の速度を333ppsに上げている。よって、枠顔可動体400を素早く移動させることが可能である。なお枠顔移動モータ311の速度が200ppsである状態が「低速状態」に相当し、枠顔移動モータ311の速度が333ppsである状態が「特定状態」に相当する。
以上、出現時において、枠顔可動体400の移動を格納位置から開始する場合の制御方法について説明したが、格納時において、枠顔可動体400の移動を出現位置から開始する場合の制御方法についても同様である。即ち、格納時において、図30(B)に示すように、枠顔可動体400が出現位置から出現直前位置に移動するまで、即ち出現検出センサ331による検出があるまで、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁にしておく。また出現検出センサ331による検出があるまで、枠顔移動モータ311に供給する電流を一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)にしておく。更に出現検出センサ331による検出があるまで、枠顔移動モータ311の速度を200ppsにしておく。
これらにより、枠顔可動体400を出現位置から出現直前位置に移動するまでの間、枠顔可動体400の振動を少なくした状態で滑らかに移動させると共に、トルクを抑えつつ移動させることが可能である。その結果、枠顔移動モータ311の速度(本形態では200pps)が乱調領域に該当していても、枠顔移動モータ311の共振をできるだけ抑えて、枠顔可動体400の移動開始時の挙動を安定させることが可能である。
また本形態では、枠顔可動体400が出現位置にあるときには、枠顔移動モータ311に電流を供給して、枠顔移動モータ311に停止励磁(保持励磁)を生じさせるようにしている。つまり、枠顔移動モータ311は、供給される電流に基づいて、出現位置にある枠顔可動体400の停止を保持させるための磁界(停止励磁)を発生させる。その結果、枠顔可動体400は、出現位置にて停止保持力が付与されることにより、停止した状態を維持することが可能である。
そして本形態では、図30(A)(B)に示すように、枠顔可動体400が出現位置にあるときに、停止励磁による枠顔移動モータ311の励磁方式を、2相励磁にしている。2相励磁であれば、2つの端子(相)で枠顔移動モータ311のロータを引き寄せるため(図25参照)、1つの端子(相)でロータを引き付ける1相励磁に比べて(図49参照)、停止保持力を大きくすることが可能であり、停止した状態をより安定させることが可能である。
ここで、停止励磁の際に枠顔移動モータ311に供給する電流の大きさが問題になる。上述したように2相励磁の場合、2つの端子(相)に電流を供給するため、消費電流が大きくなる。そして本パチンコ遊技機PY1のように、多くの演出用モータが搭載されている場合、電源基板190の負担を減らすべく、消費電流をできるだけ抑えるという課題がある。実際、本パチンコ遊技機PY1において、仮に電源基板190が供給する電力で駆動する駆動物を全て駆動させた場合には、電源基板190が供給できる電流の約2倍の消費電流になっていた。よって、演出にあまり関与しない部分については、少しでも電流を抑えることが望ましい。
そこで本形態では、枠顔可動体400が出現位置にあるときには、枠顔移動モータ311の駆動を制御する枠顔移動モータドライバIC1が、枠顔移動モータ311に対して、予め設定される一定電流(本形態では400mA)の38%の大きさの電流(本形態では152mA)を供給するようにしている。これにより、一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)よりも更に消費電流を抑えながら、出現位置にある枠顔可動体400の停止を保持することが可能である。その結果、電源基板190での負担を減らすことが可能である。
また本形態では、枠顔可動体400が格納位置にあるときには、図30(A)(B)に示すように、枠顔移動モータ311に電流を供給しないで、枠顔移動モータ311に停止励磁(保持励磁)を生じさせないようにしている。これは、格納位置にある枠顔可動体400については、図9に示すように、その姿勢が安定しているため、停止を維持するための停止保持力が必要ないためである。こうして、枠顔可動体400が格納位置にある場合には、枠顔移動モータドライバIC1が枠顔移動モータ311に電流を供給しないことで、無駄な消費電流を無くすことが可能である。その結果、電源基板190での負担を減らすことが可能である。
ところで従来において、パチンコ遊技機の分野では、演出モータの励磁方法として1−2相励磁はあまり使用されなかった。これは、従来のパチンコ遊技機における演出可動体では、その他の精密機械(例えばプリンタ、ロボット)に比べて、滑らかな動作(滑らかな回転)がそれほど求められていなかったためである。そして、1−2相励磁ではステップ角が45度(図27参照)であるのに対して、2相励磁ではステップ角が90度(図25参照)である。そのため、1−2相励磁では2相励磁の2倍の制御処理(データ量)が必要になり、制御処理の作成負担(変更負担)が大きいという観点から1−2相励磁があまり使用されなかった。そこで本形態では、近年の演出可動体の構造が複雑になった事情に鑑み、部分的に1−2相励磁を用いることで、制御処理の作成負担(変更負担)をそれほど大きくすることなく、移動開始時と移動終了時の演出可動体(枠顔可動体400)の挙動を安定させるという技術的思想がある。
6.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機PY1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器81に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器81に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口14および第2大入賞口15)を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技は、特別遊技の一例である。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別については図31に示す通りである。図31に示すように、本形態では大当たりの種別としては、大きく分けて2つ(Vロング大当たりとVショート大当たり)ある。「Vロング大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域16への遊技球の通過が可能な第1開放パターン(Vロング開放パターン)で開閉部材14k及び開閉部材15kを作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域16への遊技球の通過が不可能な第2開放パターン(Vショート開放パターン)で開閉部材14k及び開閉部材15kを作動させる大当たりである。
より具体的には、「Vロング大当たり」は、総ラウンド数が16Rである。1Rから13Rまでと15Rは第1大入賞口14を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。14Rと16Rは第2大入賞口15を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。この14R及び16Rでは、第2大入賞口15内の特定領域16への通過が容易に可能である。
これに対して、「Vショート大当たり」は、総ラウンド数は16Rであるものの、実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり、1Rから13Rまでは第1大入賞口14を1R当たり最大29.5秒にわたって開放するが、15Rでは第1大入賞口14を1R当たり0.1秒しか開放せず、また、14Rと16Rでも第2大入賞口15を1R当たり0.1秒しか開放しない。従って、このVショート大当たりでは14Rから16Rまでは、大入賞口の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。つまり、Vショート大当たりは実質13Rの大当たりとなっている。
また、Vショート大当たりにおける14Rと16Rでは第2大入賞口15が開放されるものの、その開放時間が極めて短く、第2大入賞口15内の特定領域16に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。なお、Vショート大当たりにおける14R及び16Rでは、第2大入賞口15の開放時間が短いことだけでなく、第2大入賞口15の開放タイミングと振分部材16kの作動タイミング(第2状態(図6(B)参照)から第1状態(図6(A)参照)に制御されるタイミング)との関係からも、特定領域16に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。
本形態のパチンコ遊技機PY1では、大当たり遊技中の特定領域16への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のVロング大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域16へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、Vショート大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域16へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
なお、図31に示すように、第1特別図柄(特図1)の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たりが50%、Vショート大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の抽選において当選した大当たりは、全てVロング大当たりとなっている。すなわち、後述の電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口12への入賞に基づく抽選により大当たりに当選した場合には、必ずVロング大当たりとなる。このように本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第1特別図柄の抽選)よりも、第2始動口12に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第2特別図柄の抽選)の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機PY1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図32(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄(装飾図柄)のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面50a内で多少揺れているように表示されていてもよい。このリーチ乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。また、ゲート13の通過に基づいて取得される乱数には、図32(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー12Dを開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
7.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機PY1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機PY1の特別図柄表示器81および普通図柄表示器82には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器81の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図33(A)参照)。つまり、特別図柄表示器81の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器81による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器81の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図34参照)。つまり、特別図柄表示器81の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特別図柄表示器81の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器81の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図33(C)参照)。つまり、普通図柄表示器82の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器82による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図33(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図35参照)。すなわち、電チュー12Dの開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図35参照)。すなわち、電チュー12Dの開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器82の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー12Dの開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー12Dが頻繁に開放され、第2始動口12へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー12Dにより第2始動口12への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。
高ベース状態(電サポ制御状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器82の確率変動機能、普通図柄表示器82の変動時間短縮機能、電チュー12Dの開放時間延長機能、および電チュー12Dの開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー12Dが開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態(電サポ制御状態)は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機PY1では、Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域16への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域16の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機PY1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態(非電サポ制御状態)である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特定遊技状態」という。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域6Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されやすくなっており、第1始動口11への入賞よりも第2始動口12への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート13へ遊技球を通過させつつ、第2始動口12へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機PY1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域6A(図4参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されにくくなっており、第2始動口12への入賞よりも第1始動口11への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口11へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
8.パチンコ遊技機PY1の動作
次に、図36に基づいて遊技制御用マイコン101の動作について説明し、図37〜図47に基づいて演出制御用マイコン121の動作について説明する。まず、遊技制御用マイコン101の動作について説明する。
[メイン側タイマ割り込み処理]遊技制御用マイコン101は、図36に示すメイン側タイマ割り込み処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、遊技制御用マイコン101は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種類を決めるための当たり種別乱数、変動演出においてリーチ状態とするか否かを決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S101)。なお各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成されるハードウェア乱数であっても良い。また乱数生成回路は、遊技制御用マイコン101に内蔵されていても良い。
次に、遊技制御用マイコン101は、入力処理を行う(S102)。入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機PY1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a,第2始動口センサ12a、第1大入賞口センサ14a、ゲートセンサ13a、第2大入賞口センサ15a、普通入賞口センサ10a等(図17参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。
続いて、遊技制御用マイコン101は、始動口センサ検出処理(S103)、特別動作処理(S104)、および普通動作処理(S105)を実行する。始動口センサ検出処理(S103)では、第1始動口センサ11aがONであれば、第1特図保留の記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の各種乱数(大当たり乱数、大当たり図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(図32(A)参照))を取得する。また第2始動口センサ12aがONであれば、第2特図保留の記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の各種乱数を取得する。また、ゲートセンサ13aがONであれば、普図保留の記憶が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図32(B)参照)を取得する。
特別動作処理(S104)では、始動口センサ検出処理(S103)にて取得した大当たり乱数等の乱数を判定し、その判定結果を報知するための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。この特別図柄の表示に際しては、特別図柄の変動表示の開始時に変動パターンの情報を含む変動開始コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットし、特別図柄の停止表示の開始時に変動停止コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。なお変動パターンは、大当たり乱数等の各種乱数の判定に基づき、図34に示す変動パターン判定テーブルを用いて決定される。そして、大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、所定の開放パターン(開放時間や開放回数)に従って第1大入賞口14又は第2大入賞口15を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。ここで図34に示すように、変動パターンが決まれば、特別図柄の変動表示が実行される変動時間も決まる。図34の備考欄に示すSPリーチ(スーパーリーチ)とは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチである。SPリーチの方がノーマルリーチよりも、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)が高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。本形態では、スーパーリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理にて取得した普通図柄乱数を判定し、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通図柄当たりに当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図35参照)に従って電チュー12Dを開放させる補助遊技を行う。
[サブ制御メイン処理]次に図37〜図47に基づいて演出制御用マイコン121の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン121の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、演出用RAM124に設けられている。演出制御基板120に備えられた演出制御用マイコン121は、パチンコ遊技機PY1の電源がオンされると、演出用ROM123から図37に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S201)。CPU初期化処理(S201)では、スタックの設定、定数設定、演出用CPU122の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
続いて、電源断信号がONで且つ演出用RAM124の内容が正常であるか否かを判定する(S202)。そしてこの判定結果がNOであれば、演出用RAM124の初期化をして(S203)、ステップS204に進む。一方、判定結果がYESであれば(S202でYES)、演出用RAM124の初期化をせずにステップS204に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであっても演出用RAM124内容が正常でない場合には(S202でNO)、演出用RAM124を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったが演出用RAM124の内容が正常に保たれている場合には(S202でYES)、演出用RAM124を初期化しない。なお、演出用RAM124を初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等の値はリセットされる。また、このステップS201〜S203は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
ステップS204では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S205)。乱数シード更新処理(S205)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお、演出決定用乱数には、演出図柄を決定するための演出図柄決定用乱数、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御基板100が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の遊技制御基板100が行う乱数更新処理においても同様である。
乱数シード更新処理(S205)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S206)。コマンド送信処理(S206)では、演出制御基板120の演出用RAM124内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板140に送信する。コマンドを受信した画像制御基板140は、コマンドに従い第1画像表示装置50及び第2画像表示装置51を用いて各種の演出(演出図柄変動演出や、大当たり遊技に伴うオープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出等)を実行する。なお、画像制御基板140による各種の演出の実行に伴って演出制御基板120は、画像制御基板140を介してスピーカ620から音声を出力したり、サブドライブ基板162を介して盤ランプ54や枠ランプ212を発光させたり、盤可動体移動モータ55m(盤可動体55k)を駆動させたりする。演出制御用マイコン121は続いて、割り込みを許可する(S207)。以降、ステップS204〜S207をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S208)、1msタイマ割り込み処理(S209)、および10msタイマ割り込み処理(S210)の実行が可能となる。
[受信割り込み処理]受信割り込み処理(S208)は、ストローブ信号(STB信号)がONになると、すなわち遊技制御基板100から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン121の外部INT入力部に入力されると、他の割り込み処理(S209、S210)に優先して実行される処理である。図38に示すように、受信割り込み処理(S208)では、遊技制御基板100から送信されてきた各種のコマンドを演出用RAM124の受信バッファに格納する(S301)。
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S209)は、演出制御基板120に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図39に示すように、1msタイマ割り込み処理(S209)ではまず、入力処理を行う(S401)。入力処理(S401)では、演出ボタン検知センサ40a(図18参照)やセレクトボタン検知センサ42a(図18参照)からの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理を行う(S402)。ランプデータ出力処理(S402)では、演出に合うタイミングで盤ランプ54や枠ランプ212を発光させるべく、後述の10msタイマ割り込み処理におけるその他の処理(S706)で作成したランプデータをサブドライブ基板162に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ54や枠ランプ212を所定の発光態様で発光させる。
次いで、後述する駆動制御処理を行う(S403)。そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理を行って(S404)、本処理を終える。
[駆動制御処理]駆動制御処理(S403)は、演出可動体(枠顔可動体400、回転ドラム320、枠耳可動体500、枠顎可動体600、枠剣可動体221、盤可動体55k)を移動させるための制御処理である。言い換えれば、演出モータ(枠顔移動モータ311、枠ドラム回転モータ321、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610、枠剣移動モータ223、盤可動体移動モータ55m)の駆動を制御するための処理である。
図40に示すように、駆動制御処理(S403)ではまず、演出制御用マイコン121は、枠顔可動体400を移動させるための枠顔可動体駆動データが演出用RAM124にセットされているか否かを判定する(S501)。セットされていなければ(S501でNO)、ステップS503に進む。一方、セットされていれば(S501でYES)、後述する枠顔可動体駆動制御処理を実行して(S502)、ステップS503に進む。なお枠顔可動体駆動データは、後述する駆動データ設定処理(図45のステップS905参照)でセットされ得るようになっている。
ステップS503では、枠顔可動体駆動データ以外のその他の駆動データが演出用RAM124にセットされているか否かを判定する。セットされていなければ(S503でNO)、本処理を終える。一方、セットされていれば(S503でYES)、枠顔可動体400以外の演出可動体(回転ドラム320、枠耳可動体500、枠顎可動体600、枠剣可動体221、盤可動体55k)を移動させるための駆動制御処理を実行して(S504)、本処理を終える。
[枠顔可動体駆動制御処理]図41に示すように、枠顔可動体駆動制御処理(S502)ではまず、演出制御用マイコン121は、枠顔可動体駆動データに基づいて、枠顔可動体400の出現位置への移動開始タイミングであるか否かを判定する(S601)。出現位置への移動開始タイミングであれば(S601でYES)、スローアップ出現駆動設定処理を実行して(S602)、ステップS603に進む。スローアップ出現駆動設定処理(S602)では、枠顔移動モータ311の速度が200ppsであり、枠顔移動モータ311の励磁方法が1−2相励磁であり、枠顔移動モータ311に一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)が供給されるように(図30(A)参照)、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。
ステップS603では、出現時ステータスの値を「1」に設定して、本処理を終える。出現時ステータスの値は、初期設定では「0」に設定されていて、出現時における枠顔可動体400の位置に応じて、「1」又は「2」或いは「3」に設定されるようになっている。
ステップS601で、出現位置への移動開始タイミングではないと判定した場合(S601でNO)、続いて、出現時ステータスの値が「1」であるか否かを判定する(S604)。「1」であれば(S604でYES)、枠顔可動体400の格納位置からの移動を開始していることになり、スローアップ出現駆動制御処理を実行して(S605)、ステップS606に進む。スローアップ出現駆動制御処理(S605)では、上記したスローアップ出現駆動設定処理(S602)で設定した内容(200pps,1−2相励磁、一定電流の71%の大きさの電流)で枠顔移動モータ311を駆動させるべく、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。これにより、格納位置から移動し始める枠顔可動体400を、トルクを抑えた状態で、滑らかに且つ低速で移動させることが可能である。その結果、枠顔移動モータ311の速度(本形態では200pps)が乱調領域に該当していても、枠顔可動体400の移動開始時の挙動を安定させることが可能である。
ステップS606では、格納検出センサ315がONであるか否かを判定する。即ち、格納位置から移動を開始した枠顔可動体400が、格納直前位置に到達したか否かを判定する。格納検出センサ315がONでなければ(S606でNO)、本処理を終える。一方、格納検出センサ315がONであれば(S606でYES)、高速出現駆動設定処理を実行する(S607)。高速出現駆動設定処理(S607)では、枠顔移動モータ311の速度が333ppsであり、枠顔移動モータ311の励磁方法が2相励磁であり、枠顔移動モータ311に一定電流(本形態では400mA)が供給されるように(図30(A)参照)、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。ステップS607の後、出現時ステータスの値を「2」に設定して(S608)、本処理を終える。
ステップS604で、出現時ステータスの値が「1」ではないと判定した場合(S604でNO)、続いて、出現時ステータスの値が「2」であるか否かを判定する(S609)。「2」であれば(S609でYES)、枠顔可動体400が格納直前位置に到達した後であり、高速出現駆動制御処理を実行して(S610)、ステップS611に進む。高速出現駆動制御処理(S610)では、上記した高速出現駆動設定処理(S607)で設定した内容(333pps,2相励磁、一定電流)で枠顔移動モータ311を駆動させるべく、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。これにより、格納直前位置に到達した後の枠顔可動体400を、高出力(高トルク)且つ高速で移動させることが可能である。従って、枠顔可動体400のような大きくて重い演出可動体であっても、スムーズに移動させることが可能である。
ステップS611では、出現検出センサ331がONであるか否かを判定する。即ち、枠顔可動体400が出現直前位置に到達したか否かを判定する。出現検出センサ331がONでなければ(S611でNO)、本処理を終える。一方、出現検出センサ331がONであれば(S611でYES)、スローダウン出現駆動設定処理を実行する(S612)。スローダウン出現駆動設定処理(S612)では、枠顔移動モータ311の速度が200ppsであり、枠顔移動モータ311の励磁方法が1−2相励磁であり、枠顔移動モータ311に一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)が供給されるように(図30(A)参照)、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。ステップS612の後、出現時ステータスの値を「3」に設定して(S613)、本処理を終える。
ステップS609で、出現時ステータスの値が「2」ではないと判定した場合(S609でNO)、続いて、出現時ステータスの値が「3」であるか否かを判定する(S614)。「3」であれば(S614でYES)、枠顔可動体400が出現直前位置に到達した後であり、スローダウン出現駆動制御処理を実行して(S615)、ステップS616に進む。スローダウン出現駆動制御処理(S615)では、上記したスローダウン出現駆動設定処理(S612)で設定した内容(200pps,1−2相励磁、一定電流の71%の大きさの電流)で枠顔移動モータ311を駆動させるべく、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。これにより、出現直前位置に到達した後の枠顔可動体400を、トルクを抑えた状態で、滑らかに且つ低速で移動させることが可能である。そのため、枠顔可動体400が仮に組付け誤差の影響によって、出現位置を超えて強制的に停止しても、枠顔可動体400に作用する衝撃を小さくすることが可能である。その結果、枠顔可動体400が停止した後に逆方向に移動するのを防ぐことが可能である。
ステップS616では、枠顔可動体400の出現動作が完了したか否かを判定する。具体的には、出現検出センサ331による検出がなされたタイミングから、枠顔移動モータ311に供給したパルスの数(ステップ数)が55(図23参照)になったか否かを判定する。出現動作が完了していなければ(S616でNO)、本処理を終える。一方、出現動作が完了していれば(S616でYES)、出現位置フラグをONにする(S617)。出現位置フラグは、枠顔可動体400が出現位置にあることを示すものである。そして、出現時ステータスの値を「0」に設定して(S618)、本処理を終える。
ステップS614で、出現時ステータスの値が「3」ではないと判定した場合(S614でNO)、図42に示すステップS619に進む。図42に示すように、ステップS619では、枠顔可動体駆動データに基づいて、枠顔可動体400の格納位置への移動開始タイミングであるか否かを判定する。格納位置への移動開始タイミングであれば(S619でYES)、出現位置フラグをOFFにする(S620)。続いて、スローアップ格納駆動設定処理を実行して(S621)、ステップS622に進む。スローアップ格納駆動設定処理(S621)では、枠顔移動モータ311の速度が200ppsであり、枠顔移動モータ311の励磁方法が1−2相励磁であり、枠顔移動モータ311に一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)が供給されるように(図30(B)参照)、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。
ステップS622では、格納時ステータスの値を「1」に設定して、本処理を終える。格納時ステータスの値は、初期設定では「0」に設定されていて、格納時における枠顔可動体400の位置に応じて、「1」又は「2」或いは「3」に設定されるようになっている。
ステップS619で、格納位置への移動開始タイミングではないと判定した場合(S619でNO)、続いて、格納時ステータスの値が「1」であるか否かを判定する(S623)。「1」であれば(S623でYES)、枠顔可動体400の出現位置からの移動を開始していることになり、スローアップ格納駆動制御処理を実行して(S624)、ステップS625に進む。スローアップ格納駆動制御処理(S624)では、上記したスローアップ格納駆動設定処理(S621)で設定した内容(200pps,1−2相励磁、一定電流の71%の大きさの電流)で枠顔移動モータ311を駆動させるべく、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。これにより、出現位置から移動し始める枠顔可動体400を、トルクを抑えた状態で、滑らかに且つ低速で移動させることが可能である。その結果、枠顔移動モータ311の速度(本形態では200pps)が乱調領域に該当していても、枠顔可動体400の移動開始時の挙動を安定させることが可能である。
ステップS625では、出現検出センサ331がONであるか否かを判定する。即ち、出現位置から移動を開始した枠顔可動体400が、出現直前位置に到達したか否かを判定する。出現検出センサ331がONでなければ(S625でNO)、本処理を終える。一方、出現検出センサ331がONであれば(S625でYES)、高速格納駆動設定処理を実行する(S626)。高速格納駆動設定処理(S626)では、枠顔移動モータ311の速度が250ppsであり、枠顔移動モータ311の励磁方法が2相励磁であり、枠顔移動モータ311に一定電流(本形態では400mA)が供給されるように(図30(B)参照)、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。ステップS626の後、格納時ステータスの値を「2」に設定して(S627)、本処理を終える。
ステップS623で、格納時ステータスの値が「1」ではないと判定した場合(S623でNO)、続いて、格納時ステータスの値が「2」であるか否かを判定する(S628)。「2」であれば(S628でYES)、枠顔可動体400が出現直前位置に到達した後であり、高速格納駆動制御処理を実行して(S629)、ステップS630に進む。高速格納駆動制御処理(S629)では、上記した高速格納駆動設定処理(S626)で設定した内容(250pps,2相励磁、一定電流)で枠顔移動モータ311を駆動させるべく、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。これにより、出現直前位置に到達した後の枠顔可動体400を、高出力(高トルク)且つ高速で移動させることが可能である。従って、枠顔可動体400のような大きくて重い演出可動体であっても、スムーズに移動させることが可能である。
ステップS630では、格納検出センサ315がONであるか否かを判定する。即ち、枠顔可動体400が格納直前位置に到達したか否かを判定する。格納検出センサ315がONでなければ(S630でNO)、本処理を終える。一方、格納検出センサ315がONであれば(S630でYES)、スローダウン格納駆動設定処理を実行する(S631)。スローダウン格納駆動設定処理(S631)では、枠顔移動モータ311の速度が200ppsであり、枠顔移動モータ311の励磁方法が1−2相励磁であり、枠顔移動モータ311に一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)が供給されるように(図30(B)参照)、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。ステップS631の後、格納時ステータスの値を「3」に設定して(S632)、本処理を終える。
ステップS628で、格納時ステータスの値が「2」ではないと判定した場合(S628でNO)、続いて、格納時ステータスの値が「3」であるか否かを判定する(S633)。「3」であれば(S633でYES)、枠顔可動体400が格納直前位置に到達した後であり、スローダウン格納駆動制御処理を実行して(S634)、ステップS635に進む。スローダウン出現駆動制御処理(S634)では、上記したスローダウン格納駆動設定処理(S631)で設定した内容(200pps,1−2相励磁、一定電流の71%の大きさの電流)で枠顔移動モータ311を駆動させるべく、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御する。これにより、格納直前位置に到達した後の枠顔可動体400を、トルクを抑えた状態で、滑らかに且つ低速で移動させることが可能である。そのため、枠顔可動体400が仮に組付け誤差の影響によって、格納位置を超えて強制的に停止しても、枠顔可動体400に作用する衝撃を小さくすることが可能である。その結果、枠顔可動体400が停止した後に逆方向に移動するのを防ぐことが可能である。
ステップS635では、枠顔可動体400の格納動作が完了したか否かを判定する。具体的には、格納検出センサ315による検出がなされたタイミングから、枠顔移動モータ311に供給したパルスの数(ステップ数)が55(図23参照)になったか否かを判定する。格納動作が完了していなければ(S635でNO)、本処理を終える。一方、格納動作が完了していれば(S635でYES)、演出用RAM124にセットされている枠顔可動体駆動データをクリアする(S636)。そして、格納時ステータスの値を「0」に設定する(S637)。
続いて、ステップS638では、枠顔移動モータ311に停止励磁のための電流を供給しないように、無電流制御状態設定処理を行って、本処理を終える。ここで本形態では、枠顔可動体400が格納位置にあるときには、消費電流を抑えるため、図30に示すように、枠顔可動体400に停止励磁による停止保持力を付与しない。従って、無電流制御状態設定処理(S638)では、枠顔移動モータ311に電流が供給されないように、演出制御用マイコン121が入出力IC2(図22参照)を介して枠顔移動モータドライバIC1(図21参照)を制御することになる。
またステップS633において、格納時ステータスの値が「3」でなければ(S633でNO)、枠顔移動モータ311の駆動制御を行うタイミングでないため、本処理を終える。
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S210)は、演出制御基板120に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図43に示すように、10msタイマ割り込み処理(S210)ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S701)。
続いて、1msタイマ割り込み処理(S209)の入力処理(S401)で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして演出用RAM124に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S702)。そして、スイッチ状態取得処理(S702)にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面50a,51aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S703)。
続いて、音声制御処理(S704)を行う。音声制御処理(S704)では、音声データ(スピーカ620からの音声の出力を制御するデータ)の作成及び画像制御基板140への出力や、音声演出の時間管理等を行う。これにより、実行する演出に合った音声がスピーカ620から出力される。そして、後述する停止励磁設定処理を実行する(S705)。その後、各種の演出用の乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行して(S706)、本処理を終える。
[受信コマンド解析処理]図44に示すように、受信コマンド解析処理(S701)ではまず、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から変動開始コマンド(特図1変動開始コマンド又は特図2変動開始コマンド)を受信したか否か判定し(S801)、受信していれば後述する変動演出開始処理を行う(S802)。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から変動停止コマンド(特図1変動停止コマンド又は特図2変動停止コマンド)を受信したか否か判定し(S803)、受信していれば変動演出終了処理を行う(S804)。変動演出終了処理(S804)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S805)、受信していればオープニング演出選択処理を行う(S806)。オープニング演出選択処理(S806)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S807)、受信していればラウンド演出選択処理を行う(S808)。ラウンド演出選択処理(S808)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S809)、受信していればエンディング演出選択処理を行う(S810)。エンディング演出選択処理(S810)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン121は、その他の処理(S811)として上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば客待ちコマンドの受信に基づいて客待ち演出を行うための処理や、普通図柄変動開始コマンドの受信に基づいて普図変動演出を行うための処理)を行って、受信コマンド解析処理(S701)を終える。
[変動演出開始処理]図45に示すように、変動演出開始処理(S802)ではまず、演出制御用マイコン121は、変動開始コマンドを解析する(S901)。変動開始コマンドには、遊技制御用マイコン101による大当たり判定処理に基づいてセットされた特図停止図柄データの情報や、変動パターン(図34参照)の情報、現在の遊技状態を指定する情報等が含まれている。なお、ここで演出制御用マイコン121が取得した情報は、これ以降に実行する処理においても適宜利用可能なものとする。
次に演出制御用マイコン121は、変動演出において最終的に停止表示する演出図柄8L,8C,8Rの選択を行う(S902)。具体的には、演出図柄決定用乱数を取得するとともに、リーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択する。そして、選択したテーブルを用いて、取得した演出図柄決定用乱数を判定することにより、演出図柄を選択する。これにより、最終的に停止表示される演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせ(例えば「777」等)が決定される。
続いて演出制御用マイコン121は、変動演出パターン選択処理を実行する(S903)。具体的には、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動パターンの種類に応じて分類されているテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択する。そして、選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン抽選乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。こうして変動演出パターンが決まれば、変動演出の時間、演出図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、演出ボタン演出(SW演出)の有無、演出ボタン演出の内容、演出展開構成、演出図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。
続いて演出制御用マイコン121は、予告演出選択処理を実行する(S904)。予告演出選択処理(S904)では、予告演出決定用乱数を取得するとともに、リーチの有無に応じて分類されている複数のテーブルの中から、変動開始コマンドの解析結果に基づいて一つのテーブルを選択する。そして、その選択したテーブルを用いて、取得した予告演出決定用乱数を判定することにより、予告演出を選択する。これにより、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などの予告演出の内容が決定される。
続いて演出制御用マイコン121は、選択した変動演出パターンに応じて駆動データを設定するための駆動データ設定処理を実行する(S905)。この駆動データ設定処理(S905)により、当選期待度が高い演出(SPリーチ等)を実行する変動演出パターンが選択された場合に、枠顔可動体駆動データや、枠顔可動体駆動データ以外のその他の駆動データ(回転ドラム駆動データ、枠耳可動体駆動データ、枠顎可動体駆動データ、枠剣可動体駆動データ、盤可動体駆動データ)が演出用RAM124にセットされるようになっている。
その後、選択した演出図柄と変動演出パターンと予告演出とを開始するための変動演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットして(S906)、本処理を終える。ステップS906でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S206)により画像制御基板140に送信されると、表示画面50aにて特別図柄の変動表示に同期した変動演出が開始される。
[停止励磁設定処理]停止励磁設定処理(S705)は、演出可動体に対して停止励磁の設定を行うための処理である。図46に示すように、停止励磁設定処理(S705)ではまず、演出制御用マイコン121は、後述する枠顔可動体停止励磁設定処理を実行する(S1001)。そして、枠顔可動体400以外のその他の演出可動体(回転ドラム320、枠耳可動体500、枠顎可動体600、枠剣可動体221、盤可動体55k)に対して停止励磁の設定を行うための停止励磁設定処理を実行して(S1002)、本処理を終える。
[枠顔可動体停止励磁設定処理]図47に示すように、枠顔可動体停止励磁設定処理(S1101)では、演出制御用マイコン121は、出現位置フラグがONであるか否かを判定する(S1101)。即ち、枠顔可動体400が出現位置にあるか否かを判定する。出現位置フラグがONでなければ(S1101でNO)、枠顔可動体400に停止保持力を付与しないため、本処理を終える。一方、出現位置フラグがONであれば(S1101でYES)、出現位置にある枠顔可動体400に対して停止保持力を付与する。そのため、枠顔移動モータ311の励磁方法が2相励磁で、且つ枠顔移動モータ311に供給される電流が一定電流の38%の大きさの電流(本形態では152mA)になるように、シリアルポート139(図22参照)からシリアル信号及びクロック信号を出力して(S1102)、本処理を終える。こうして、枠顔移動モータ311で停止励磁を行うための電流を低下させることで、枠顔移動モータ311での消費電流を抑えることが可能である。その結果、電源基板190による負担を軽減することが可能である。
9.本形態の効果
以上詳細に説明したように本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、出現時において、枠顔移動モータ311の励磁方式を1−2相励磁にして、移動中の枠顔可動体400を出現位置で停止させることが可能である(図30(A)参照)。また格納時において、枠顔移動モータ311の励磁方式を1−2相励磁にして、移動中の枠顔可動体400を格納位置で停止させることが可能である(図30(B)参照)。そのため仮に、枠顔移動モータ311の励磁方式を2相励磁にして、移動中の枠顔可動体400を出現位置や格納位置で停止させる場合に比べて、停止時に枠顔可動体400に作用する衝撃を小さくすることが可能である。よって、枠顔可動体400が停止するときの挙動を安定させることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、枠顔可動体400を出現位置又は格納位置へ向かって移動させる際に、枠顔移動モータ311の励磁方式を2相励磁にすることで、枠顔移動モータ311で高出力(高トルク)を発生させることが可能である。その上で、枠顔可動体400を出現位置又は格納位置で停止させる前に、枠顔移動モータ311の励磁方法を2相励磁から1−2相励磁に切替える(図30(A)(B)参照)。これにより、高出力で枠顔可動体400を移動させつつ、枠顔可動体400が停止するときには挙動を安定させることが可能である。
ここで仮に、演出制御用マイコン121が、枠顔移動モータ311へのステップ数の管理だけに基づいて2相励磁から1−2相励磁に切替える場合、万一外乱(例えば静電気によるノイズ)等によってステップ数の管理が狂うと、2相励磁から1−2相励磁への切替えを適切なタイミングで行うことができなくなる。そこで本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、演出制御用マイコン121が、出現検出センサ331による検出又は格納検出センサ315による検出を利用して、枠顔移動モータ311の励磁方法を2相励磁から1−2相励磁に切替える。これにより、2相励磁から1−2相励磁への切替えが適切にできなくなる不具合を生じ難くすることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、枠顔移動モータ311がバイポーラ型のステッピングモータ(図20(A)参照)であるため、仮にユニポーラ型のステッピングモータ(図20(B)参照)である場合に比べて、高出力(高トルク)を発生させることが可能である。しかしながら、高出力を発生させることで、停止時の枠顔可動体400に作用する衝撃が大きくなるおそれがある。そこで上述したように、移動中の枠顔可動体400を出現位置又は格納位置に停止させる際には、枠顔移動モータ311の励磁方式を予め1−2相励磁にしていることで、停止時に枠顔可動体400に作用する衝撃を抑えることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、枠顔可動体400を出現位置で停止させる前に、枠顔可動体400に供給される電流を一定電流(本形態では400mA)から、一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)に切替える(図30(A)参照)。また枠顔可動体400を格納位置で停止させる前に、枠顔可動体400に供給される電流を一定電流(本形態では400mA)から、一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)に切替える(図30(B)参照)。これらにより、枠顔移動モータ311で発生させる出力(トルク)を抑えた状態で、枠顔可動体400を出現位置又は格納位置で停止させることが可能である。よって、停止時に枠顔可動体400に作用する衝撃を小さくすることができて、枠顔可動体400が停止するときの挙動を安定させることが可能である。
特に本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、枠顔可動体400を出現位置又は格納位置で停止させる前に、枠顔移動モータ311の励磁方式を2相励磁から1−2相励磁に切替えると共に、枠顔可動体400に供給される電流を一定電流(本形態では400mA)から一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)に切替える(図30(A)(B)参照)。こうして枠顔可動体400を停止させる前に、励磁方法と電流の両方を切替えることで、枠顔可動体400が停止するときの挙動をより安定させることが可能である。
更に本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、枠顔可動体400を出現位置で停止させる前に、枠顔移動モータ311の速度(パルスレート)を333ppsから200ppsに低下させる(図30(A)参照)。また枠顔可動体400を格納位置で停止させる前に、枠顔移動モータ311の速度を250ppsから200ppsに低下させる(図30(B)参照)。こうして枠顔可動体400を停止させる前に、励磁方法と電流の切替えに加えて、更に枠顔移動モータ311の速度の切替えも行うことで、枠顔可動体400が停止するときの挙動をより安定させることが可能である。
ここで仮に、演出制御用マイコン121が、枠顔移動モータ311へのステップ数の管理だけに基づいて、枠顔可動体400に供給される電流の切替えを行う場合、万一外乱(例えば静電気によるノイズ)等によってステップ数の管理が狂うと、電流の切替えを適切なタイミングで行うことができなくなる。そこで本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、演出制御用マイコン121が、出現検出センサ331による検出又は格納検出センサ315による検出を利用して、枠顔可動体400に供給される電流の切替えを行う。これにより、枠顔可動体400が停止する前に枠顔可動体400に供給される電流の切替えが適切にできなくなる不具合を生じ難くすることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、枠顔移動モータ311がバイポーラ型のステッピングモータ(図20(A)参照)であるため、仮にユニポーラ型のステッピングモータ(図20(B)参照)である場合に比べて、高出力(高トルク)を発生させることが可能である。しかしながら、高出力を発生させることで、停止時の枠顔可動体400に作用する衝撃が大きくなるおそれがある。そこで上述したように、移動中の枠顔可動体400を出現位置又は格納位置に停止させる際には、枠顔移動モータ311に供給される電流を一定電流の71%の大きさの電流(本形態では284mA)に予め低下させている。これにより、停止時に枠顔可動体400に作用する衝撃を抑えることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、出現時に、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁にして、枠顔可動体400の移動を格納位置から開始する(図30(A)参照)。また格納時に、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁にして、枠顔可動体400の移動を出現位置から開始する(図30(B)参照)。そのため仮に、枠顔移動モータ311の励磁方法を2相励磁にして、枠顔可動体400の移動を格納位置又は出現位置から開始する場合に比べて、枠顔移動モータ311で発生させる出力(トルク)を抑えることが可能である。よって、枠顔可動体400が移動し始めるときの挙動を安定させることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、出現時に、枠顔可動体400が格納位置から移動した後に、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁から2相励磁に切替える(図30(A)参照)。これにより、枠顔移動モータ311で高出力(高トルク)を発生させることが可能である。また格納時に、枠顔可動体400が出現位置から移動した後に、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁から2相励磁に切替える(図30(B)参照)。これにより、枠顔移動モータ311で高出力(高トルク)を発生させることが可能である。こうして、枠顔可動体400が移動し始めるときには1−2相励磁により挙動を安定させて、その後には2相励磁により枠顔可動体400を高出力で移動させることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、枠顔可動体400の移動を格納位置から開始するときには、枠顔移動モータ311の速度を200ppsにしておき、その後に枠顔移動モータ311の速度を333ppsに切替える。また枠顔可動体400の移動を出現位置から開始するときには、枠顔移動モータ311の速度を200ppsにしておき、その後に枠顔移動モータ311の速度を250ppsに切替える。これらのようにスローアップさせることで、よりスムーズな枠顔可動体400の移動開始を実現することが可能である。しかしながら枠顔可動体400の移動開始時に、枠顔移動モータ311の速度が200ppsであるときには、枠顔移動モータ311の乱調領域(共振領域)に該当し易くなって、枠顔可動体400の挙動が不安定になるおそれがある。そこで枠顔移動モータ311の速度が200ppsであるときには、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁にすることで、枠顔移動モータ311の速度が乱調領域に該当しても、枠顔可動体400の挙動をできるだけ安定させることが可能である。
ここで仮に、演出制御用マイコン121が、枠顔移動モータ311へのステップ数の管理だけに基づいて1−2相励磁から2相励磁に切替える場合、万一外乱(例えば静電気によるノイズ)等によってステップ数の管理が狂うと、1−2相励磁から2相励磁への切替えを適切なタイミングで行うことができなくなる。そこで本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、演出制御用マイコン121が、格納検出センサ315による検出又は出現検出センサ331による検出を利用して、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁から2相励磁に切替える。これにより、1−2相励磁から2相励磁への切替えが適切にできなくなる不具合を生じ難くすることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機PY1によれば、枠顔移動モータ311がバイポーラ型のステッピングモータ(図20(A)参照)であるため、仮にユニポーラ型のステッピングモータ(図20(B)参照)である場合に比べて、高出力(高トルク)を発生させることが可能である。しかしながら、高出力を発生させることで、枠顔可動体400が移動し始めるときの振動が大きくなるおそれがある。そこで上述したように、枠顔可動体400の移動を開始するときには、枠顔移動モータ311の励磁方式を1−2相励磁にしていることで、振動を抑えて挙動を安定させることが可能である。
10.変形例
以下、変形例について説明する。なお、変形例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機PY1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変形例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記形態および下記変形例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記形態では、枠顔可動体400の移動を格納位置から開始するときには、枠顔移動モータ311の速度を200ppsにしておき、その後に枠顔移動モータ311の速度を333ppsに切替えた(図30(A)参照)。しかしながら上述したようにスローアップさせる際の枠顔移動モータ311の速度は、200ppsから333ppsに切替える場合に限られず、例えば167ppsから500ppsに切替えても良く、適宜変更可能である。また枠顔可動体400の移動を出現位置から開始するときには、枠顔移動モータ311の速度を200ppsにしておき、その後に枠顔移動モータ311の速度を250ppsに切替えた(図30(B)参照)。しかしながら上述したようにスローアップさせる際の枠顔移動モータ311の速度は、200ppsから250ppsに切替える場合に限られず、例えば167ppsから333ppsに切替えても良く、適宜変更可能である。なお枠顔可動体400の移動を開始する際に、スローアップを行わずに、枠顔移動モータ311の速度が一定であっても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400の出現時に、格納検出センサ315の検出がなされたタイミングで、枠顔移動モータ311の速度を増加させた。また枠顔可動体400の格納時に、出現検出センサ331の検出がなされたタイミングで、枠顔移動モータ311の速度を増加させた。しかしながら、格納検出センサ315の検出がなされたタイミング、又は出現検出センサ331の検出がなされたタイミングから、枠顔移動モータ311に所定数のパルスを供給した時点で、枠顔移動モータ311の速度を増加させても良い。又は、格納検出センサ315や出現検出センサ331の検出を利用しないで、枠顔移動モータ311に対するステップ数の管理だけで(枠顔可動体400の移動を開始したタイミングから枠顔移動モータ311に特定数のパルスを供給した時点で)、枠顔移動モータ311の速度を増加させても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400を出現位置で停止させる前に、枠顔移動モータ311の速度を333ppsから250ppsに切替えた(図30(A)参照)。しかしながら上述したようにスローダウンさせる際の枠顔移動モータ311の速度は、333ppsから250ppsに切替える場合に限られず、例えば500ppsから167ppsに切替えても良く、適宜変更可能である。また枠顔可動体400を格納位置で停止させる前に、枠顔移動モータ311の速度を250ppsから200ppsに切替えた(図30(B)参照)。しかしながら上述したようにスローダウンさせる際の枠顔移動モータ311の速度は、250ppsから167ppsに切替える場合に限られず、例えば333ppsから167ppsに切替えても良く、適宜変更可能である。なお枠顔可動体400を停止させる前に、スローダウンを行わずに、枠顔移動モータ311の速度が一定であっても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400の出現時に、出現検出センサ331の検出がなされたタイミングで、枠顔移動モータ311の速度を減少させた。また枠顔可動体400の格納時に、格納検出センサ315の検出がなされたタイミングで、枠顔移動モータ311の速度を減少させた。しかしながら、出現検出センサ331の検出がなされたタイミング、又は格納検出センサ315の検出がなされたタイミングから、枠顔移動モータ311に所定数のパルスを供給した時点で、枠顔移動モータ311の速度を減少させても良い。又は、出現検出センサ331や格納検出センサ315の検出を利用しないで、枠顔移動モータ311に対するステップ数の管理だけで(枠顔可動体400の移動を開始したタイミングから枠顔移動モータ311に特定数のパルスを供給した時点で)、枠顔移動モータ311の速度を減少させても良い。
また上記形態では、スローアップ及びスローダウンさせる可動体が、枠顔可動体400であった。しかしながら、枠顔可動体400以外の可動体に対して、スローアップ及びスローダウンを実行しても良い。例えば、姿勢を保ったまま回転可能な可動体(例えば回転ドラム320)、遊技盤1側に設けられている可動体(例えば盤可動体55k)、移動可能な操作手段(例えば演出ボタン40k)等に対して、スローアップ及びスローダウンを実行しても良い。また、スローアップ又はスローダウンの何れか一方のみを実行しても良い。なおスローアップ及びスローダウンの何れも実行しないようにしても良い。
また上記形態では、枠顔移動モータ311(駆動手段)の励磁方法は、2相励磁又は1−2相励磁だけであった。しかしながら、1相励磁にすることがあり得るようにしても良い。ここで1相励磁について、図48及び図49に基づいて説明する。1相励磁は、図48に示すように、各端子φ1,φ2,φ3,φ4に対して順番にパルスを付与して、1相ずつ励磁する方式である。
即ち、図48の(A)時点では、端子φ1(A相)にパルスが付与(通電)される。これにより、図49(A)に示すように、端子φ1の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータ(回転軸)のS極側が端子φ1に引き寄せられる。続いて、図48(B)の時点では、端子φ3(B相)にパルスが付与される。これにより、図49(B)に示すように、端子φ3の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータのS極側が端子φ3に引き寄せられる。続いて、図48(C)の時点では、端子φ2(A/相)にパルスが付与される。これにより、図49(C)に示すように、端子φ2の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータのS極側が端子φ2に引き寄せられる。続いて、図48(D)の時点では、端子φ4(B/相)にパルスが付与される。これにより、図49(D)に示すように、端子φ4の磁極がN極になって、枠顔移動モータ311のロータのS極側が端子φ4に引き寄せられる。以後同様に、図48(A)⇒(B)⇒(C)⇒(D)に示すようにパルスを付与していくことで、図49(A)⇒(B)⇒(C)⇒(D)に示すように、枠顔移動モータ311のロータが90度ずつ回転していく。
こうして、1相励磁では、枠顔移動モータ311のロータが1つの端子(相)だけに引き寄せられながら回転する。つまり、2相励磁や1−2相励磁のように、枠顔移動モータ311のロータが2つの端子に引き寄せられることがない。よって、1相励磁では、2相励磁や1−2相励磁よりも、小さな出力(低トルク)になる。その一方で、1相励磁では、常に1つの端子(相)にしか電流を流さないため、2相励磁や1−2相励磁よりも消費電流が少なくなる。
以上、同じ条件(コイル数,電流,ステップ数等)で比較する場合、基本的に、2相励磁⇒1−2相励磁⇒1相励磁の順番に、モータ(枠顔移動モータ311)での出力(トルク)を小さくすることができると共に、消費電流を抑えることが可能である。但し、1相励磁では、ステップ角が90度であり、ステップ角が45度である1−2相励磁よりもステップ角が大きい。従って、演出可動体を滑らかに移動させるという点では、ステップ角が小さい1−2相励磁の方が、ステップ角が大きい1相励磁又は2相励磁よりも好ましい。
なお、「2相励磁」と「1相励磁」との関係においては、「2相励磁」が所定数のパルス(信号)を入力した場合に励磁される励磁相が相対的に多い「多相励磁」に相当し、「1相励磁」が所定数のパルスを入力した場合に励磁される励磁相が相対的に少ない「少相励磁」に相当する。また「1−2相励磁」と「1相励磁」との関係においては、「1−2相励磁」が所定数のパルスを入力した場合に励磁される励磁相が相対的に多い「多相励磁」に相当し、「1相励磁」が所定数のパルスを入力した場合に励磁される励磁相が相対的に少ない「少相励磁」に相当する。
また上記形態では、枠顔可動体400の移動を格納位置から開始するときに、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁(低相励磁)にしておき、その後に2相励磁(高相励磁)に切替えた。しかしながら、枠顔可動体400の移動を格納位置から開始するときに、枠顔移動モータ311の励磁方法を1相励磁(低相励磁)にしておき、その後に2相励磁(高相励磁)に切替えても良い。或いは、枠顔移動モータ311の励磁方法を1相励磁(低相励磁)にしておき、その後に1−2相励磁(高相励磁)に切替えても良い。また上記形態では、枠顔可動体400の移動を出現位置から開始するときに、枠顔移動モータ311の励磁方法を1−2相励磁にしておき、その後に2相励磁に切替えた。しかしながら、枠顔可動体400の移動を出現位置から開始するときに、枠顔移動モータ311の励磁方法を1相励磁にしておき、その後に2相励磁に切替えても良い。或いは、枠顔移動モータ311の励磁方法を1相励磁にしておき、その後に1−2相励磁に切替えても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400の出現時に、格納検出センサ315の検出がなされたタイミングで、1−2相励磁から2相励磁に切替えた。また枠顔可動体400の格納時に、出現検出センサ331の検出がなされたタイミングで、1−2相励磁から2相励磁に切替えた。しかしながら、格納検出センサ315の検出がなされたタイミング、又は出現検出センサ331の検出がなされたタイミングから、枠顔移動モータ311に所定数のパルスを供給した時点で、1−2相励磁から2相励磁に切替えても良い。又は、格納検出センサ315や出現検出センサ331の検出を利用しないで、枠顔移動モータ311に対するステップ数の管理だけで(枠顔可動体400の移動を開始したタイミングから枠顔移動モータ311に特定数のパルスを供給した時点で)、1−2相励磁から2相励磁に切替えても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400(可動体)の移動を開始した後に、枠顔移動モータ311(駆動手段)の励磁方法を1−2相励磁から2相励磁に切替えた。しかしながら、枠顔可動体400以外の可動体の移動を開始した後に、その可動体に対応する駆動手段の励磁方法を1−2相励磁から2相励磁に切替えても良い。例えば、姿勢を保ったまま回転可能な可動部材(例えば回転ドラム320)、遊技盤1側に設けられている可動部材(例えば盤可動体55k)、移動可能な操作手段(例えば演出ボタン40k)等の移動を開始した後に、それらの可動体に対応する駆動手段の励磁方法を、1−2相励磁から2相励磁に切替えても良い。
上記形態では、出現時において枠顔可動体400が出現位置で停止する前に、枠顔移動モータ311の励磁方法(励磁状態)を、2相励磁(多相励磁)から1−2相励磁(少相励磁)に切替えた。しかしながら、出現時において枠顔可動体400が出現位置で停止する前に、枠顔移動モータ311の励磁方法を、2相励磁(多相励磁)から1相励磁(少相励磁)に切替えたり、1−2相励磁(多相励磁)から1相励磁(少相励磁)に切替えても良い。また格納時において枠顔可動体400が格納位置で停止する前に、枠顔移動モータ311の励磁方法を、2相励磁から1−2相励磁に切替えた。しかしながら、格納時において枠顔可動体400が格納位置で停止する前に、枠顔移動モータ311の励磁方法を、2相励磁から1相励磁に切替えたり、1−2相励磁から1相励磁に切替えても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400の出現時に、出現検出センサ331の検出がなされたタイミングで、2相励磁から1−2相励磁に切替えた。また枠顔可動体400の格納時に、格納検出センサ315の検出がなされたタイミングで、2相励磁から1−2相励磁に切替えた。しかしながら、出現検出センサ331の検出がなされたタイミング、又は格納検出センサ315の検出がなされたタイミングから、枠顔移動モータ311に所定数のパルスを供給した時点で、2相励磁から1−2相励磁に切替えても良い。又は、出現検出センサ331や格納検出センサ315の検出を利用しないで、枠顔移動モータ311に対するステップ数の管理だけで(枠顔可動体400の移動を開始したタイミングから枠顔移動モータ311に特定数のパルスを供給した時点で)、2相励磁から1−2相励磁に切替えても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400(可動体)を停止させる前に、枠顔移動モータ311(駆動手段)の励磁方法を2相励磁から1−2相励磁に切替えた。しかしながら、枠顔可動体400以外の可動体を停止させる前に、その可動体に対応する駆動手段の励磁方法を2相励磁から1−2相励磁に切替えても良い。例えば、姿勢を保ったまま回転可能な可動部材(例えば回転ドラム320)、遊技盤1側に設けられている可動部材(例えば盤可動体55k)、移動可能な操作手段(例えば演出ボタン40k)等が停止する前に、それらの可動体に対応する駆動手段の励磁方法を、2相励磁から1−2相励磁に切替えても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400(可動体)の移動を開始した後、又は枠顔可動体400が停止する前に、枠顔移動モータ311の励磁方法を切替えた(図30(A)(B)参照)。しかしながら、枠顔可動体400の移動を開始した後や、枠顔可動体400が停止する前に、枠顔移動モータ311の励磁方法を切替えないようにしても良い。そして、枠顔可動体400の移動中は、枠顔移動モータ311の励磁方法が常に、2相励磁、又は1−2相励磁、或いは1相励磁に固定されていても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400の移動を格納位置又は出現位置から開始する際に、枠顔移動モータ311に供給する電流を一定電流の71%の大きさの電流(284mA)とし、その後に枠顔移動モータ311に供給する電流を一定電流(400mA)にした(図30(A)(B)参照)。しかしながら、上記した電流の値は、あくまで一例であって、適宜変更可能である。また上記形態では、枠顔可動体400の移動を開始した後に、枠顔移動モータ311に供給する電流を1段階で増加させたが、2段階以上に分けて増加させても良い。なお枠顔可動体400の移動を開始した後に、枠顔移動モータ311に供給する電流を増加させなくても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400の出現時に、格納検出センサ315の検出がなされたタイミングで、枠顔移動モータ311に供給する電流を増加させた。また枠顔可動体400の格納時に、出現検出センサ331の検出がなされたタイミングで、枠顔移動モータ311に供給する電流を増加させた。しかしながら、格納検出センサ315の検出がなされたタイミング、又は出現検出センサ331の検出がなされたタイミングから、枠顔移動モータ311に所定数のパルスを供給した時点で、枠顔移動モータ311に供給する電流を増加させても良い。又は、格納検出センサ315や出現検出センサ331の検出を利用しないで、枠顔移動モータ311に対するステップ数の管理だけで(枠顔可動体400の移動を開始したタイミングから枠顔移動モータ311に特定数のパルスを供給した時点で)、枠顔移動モータ311に供給する電流を増加させても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400(可動体)の移動を開始した後に、枠顔移動モータ311に供給する電流を増加させた。しかしながら、枠顔可動体400以外の可動体の移動を開始した後に、その可動体に対応する駆動手段に供給する電流を増加させても良い。例えば、姿勢を保ったまま回転可能な可動部材(例えば回転ドラム320)、遊技盤1側に設けられている可動部材(例えば盤可動体55k)、移動可能な操作手段(例えば演出ボタン40k)等の移動(回転、振動も含む)を開始した後に、それらの可動体に対応する駆動手段に供給する電流を増加させても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400を出現位置又は格納位置で停止させる前に、枠顔移動モータ311に供給する電流を一定電流(400mA)から、一定電流の71%の大きさの電流(284mA)に切替えた(図30(A)(B)参照)。しかしながら、上記した電流の値は、あくまで一例であって、適宜変更可能である。また上記形態では、枠顔可動体400を停止させる前に、枠顔移動モータ311に供給する電流を1段階で減少させたが、2段階以上に分けて減少させても良い。なお枠顔可動体400を停止させる前に、枠顔移動モータ311に供給する電流を減少させなくても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400の出現時に、出現検出センサ331の検出がなされたタイミングで、枠顔移動モータ311に供給する電流を低下させた。また枠顔可動体400の格納時に、格納検出センサ315の検出がなされたタイミングで、枠顔移動モータ311に供給する電流を低下させた。しかしながら、出現検出センサ331の検出がなされたタイミング、又は格納検出センサ315の検出がなされたタイミングから、枠顔移動モータ311に所定数のパルスを供給した時点で、枠顔移動モータ311に供給する電流を低下させても良い。又は、出現検出センサ331や格納検出センサ315の検出を利用しないで、枠顔移動モータ311に対するステップ数の管理だけで(枠顔可動体400の移動を開始したタイミングから枠顔移動モータ311に特定数のパルスを供給した時点で)、枠顔移動モータ311に供給する電流を低下させても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400(可動体)を停止させる前に、枠顔移動モータ311に供給する電流を減少させた。しかしながら、枠顔可動体400以外の可動体を停止させる前に、その可動体に対応する駆動手段に供給する電流を減少させても良い。例えば、姿勢を保ったまま回転可能な可動部材(例えば回転ドラム320)、遊技盤1側に設けられている可動部材(例えば盤可動体55k)、移動可能な操作手段(例えば演出ボタン40k)等を停止させる前に、それらの可動体に対応する駆動手段に供給する電流を減少させても良い。
また上記形態では、演出制御用マイコン121(演出制御手段)が、枠顔移動モータ311の励磁方法の切替え、枠顔移動モータ311に供給される電流の切替え、枠顔移動モータ311の速度の切替えを行った。しかしながら例えば、サブドライブ基板162に実装されているCPU(マイコン)や、画像制御基板140に実装されているCPU(マイコン)等、その他の演出制御手段によって、枠顔移動モータ311の励磁方法の切替え、枠顔移動モータ311に供給される電流の切替え、枠顔移動モータ311の速度の切替えを行っても良い。
また上記形態では、出現時において、格納検出センサ315による検出がなされたタイミングで、枠顔移動モータ311の1−2相励磁から2相励磁への切替え、枠顔移動モータ311に供給される電流の増加、枠顔移動モータ311の速度の増加とを同時に行った。しかしながら、枠顔移動モータ311の1−2相励磁から2相励磁への切替え、枠顔移動モータ311に供給される電流の増加、枠顔移動モータ311の速度の増加とを、例えばステップ数の管理を利用して、それぞれ異なるタイミングで実行しても良い。
また上記形態では、出現時において、出現検出センサ331による検出されたタイミングで、枠顔移動モータ311の2相励磁から1−2相励磁への切替え、枠顔移動モータ311に供給される電流の減少、枠顔移動モータ311の速度の減少とを同時に行った。しかしながら、枠顔移動モータ311の2相励磁から1−2相励磁への切替え、枠顔移動モータ311に供給される電流の減少、枠顔移動モータ311の速度の減少とを、例えばステップ数の管理を利用して、それぞれ異なるタイミングで実行しても良い。
また上記形態では、格納時において、出現検出センサ331による検出がなされたタイミングで、枠顔移動モータ311の1−2相励磁から2相励磁への切替え、枠顔移動モータ311に供給される電流の増加、枠顔移動モータ311の速度の増加とを同時に行った。しかしながら、枠顔移動モータ311の1−2相励磁から2相励磁への切替え、枠顔移動モータ311に供給される電流の増加、枠顔移動モータ311の速度の増加とを、例えばステップ数の管理を利用して、それぞれ異なるタイミングで実行しても良い。
また上記形態では、格納時において、格納検出センサ315による検出されたタイミングで、枠顔移動モータ311の2相励磁から1−2相励磁への切替え、枠顔移動モータ311に供給される電流の減少、枠顔移動モータ311の速度の減少とを同時に行った。しかしながら、枠顔移動モータ311の2相励磁から1−2相励磁への切替え、枠顔移動モータ311に供給される電流の減少、枠顔移動モータ311の速度の減少とを、例えばステップ数の管理を利用して、それぞれ異なるタイミングで実行しても良い。
また上記形態では、枠顔移動モータ311(駆動手段)、枠ドラム回転モータ321、枠耳移動モータ520、枠顎移動モータ610、枠剣移動モータ223、盤可動体移動モータ55mとして、バイポーラ型のステッピングモータ(図20(A)参照)を用いた。しかしながら、モータの種類は適宜変更可能であり、例えばユニポーラ型のステッピングモータ(図20(B)参照)を用いても良い。
また上記形態では、枠顔移動モータ311(駆動手段)のステッピングモータとして、2相ステッピングモータを用いた。なお2相ステッピングモータとは、図20(A)に示すように、端子φ1(A相)と端子φ3(A/相)と、端子φ2(B相)と端子φ4(B/相)の2相からなるステッピングモータのことである。これに対して、例えば5相からなる5相ステッピングモータを用いても良く、その他の相からなるステッピングモータを用いても良い。
また上記形態では、枠顔移動モータ311の駆動を制御する枠顔移動モータドライバIC1として、定電流駆動方式のドライバを用いた。しかしながら、ドライバの種類は適宜変更可能であり、例えば定電圧駆動方式のドライバを用いても良い。
また上記形態では、枠顔移動モータ311(駆動手段)の励磁方法として、2相励磁又は1−2相励磁を用いたが、マイクロステップ駆動を用いるようにしても良い。
また上記形態では、枠顔可動体400が原点にあるときの格納位置(始動位置)と、枠顔可動体400が格納検出センサ315により検出されるときの格納直前位置(所定位置)と、枠顔可動体400が出現検出センサ331により検出されるときの出現直前位置(特定位置)と、枠顔可動体400が原点から移動した後である出現位置(停止位置)との位置関係を、図23に示すものとしたが、これらの位置関係はあくまで一例であって、適宜変更可能である。
また上記形態では、格納検出センサ315(検出手段)と出現検出センサ331(検出手段)は、フォトセンサで構成されていた。しかしながら、枠顔可動体400(可動体)の位置を検出できるものであれば、センサ(検出手段)は適宜変更可能であり、例えば赤外線センサで構成されていても良い。
また上記形態では、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、大当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、いわゆるV確機(特定領域16の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成したが、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成してもよい。また上記形態では、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成したが、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成してもよい。また上記形態では、特図2の変動を特図1の変動に優先して実行するように構成した。これに対して、特図2の変動と特図1の変動を始動口への入賞順序に従って実行するように構成してもよい。この場合、第1特図保留と第2特図保留とを合算して記憶可能な記憶領域を遊技用RAM104に設け、その記憶領域に入賞順序に従って判定用情報を記憶し、記憶順の古いものから消化するように構成すればよい。また、特図2の変動中であっても特図1の変動を実行でき、且つ、特図1の変動中であっても特図2の変動を実行できるように構成してもよい。つまり、所謂同時変動を行う遊技機として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。この場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。
本明細書における「所定の制御条件の成立」とは、上記形態では、第1特別図柄の抽選又は第2特別図柄の抽選において大当たりに当選し、その当選を示す大当たり図柄が停止表示されることである。
11.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には、以下の各手段の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
<手段A>
手段A1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
移動可能な可動体(枠顔可動体400)と、
前記可動体に駆動力を付与可能な駆動手段(枠顔移動モータ311)と、
演出を制御可能な演出制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記駆動手段の励磁方法には、当該駆動手段が所定数の信号を入力した場合に、励磁される励磁相の数が相対的に多い多相励磁(2相励磁)又は励磁される励磁相の数が相対的に少ない少相励磁(1−2相励磁)があり、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を前記少相励磁にして(ステップS615の処理を実行して)、移動中の前記可動体を所定の停止位置(出現位置,図12(H)参照)で停止させることが可能である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段の励磁方法を少相励磁にして、移動中の可動体を停止位置で停止させる。そのため仮に、駆動手段の励磁方法を多相励磁にして、移動中の可動体を停止位置で停止させる場合に比べて、停止時に可動体に作用する衝撃を小さくすることが可能である。よって、可動体が停止するときの挙動を安定させることが可能である。
手段A2に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の励磁方法を前記多相励磁にしつつ、前記可動体を前記停止位置へ向かって移動させることが可能であり(図12参照)、
前記可動体を前記停止位置で停止させる前に、前記駆動手段の励磁方法を前記多相励磁から前記少相励磁に切替可能(ステップS612の処理を実行可能)である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体を停止位置へ向かって移動させる際に、駆動手段の励磁方法を多相励磁にすることで、駆動手段で高出力(高トルク)を発生させることが可能である。その上で、可動体を停止位置で停止させる前に、駆動手段の励磁方法を多相励磁から少相励磁に切替える。これにより、高出力で可動体を移動させつつ、可動体が停止するときには挙動を安定させることが可能である。
手段A3に係る発明は、
手段A2に記載の遊技機において、
前記可動体が前記停止位置に停止する前の特定位置(出現直前位置,図12(G)参照)にあることを検出可能な検出手段(出現検出センサ331)を備え、
前記演出制御手段は、前記検出手段による検出(ステップS611でONと判定されること)に基づいて前記駆動手段の励磁方法を前記多相励磁から前記少相励磁に切替可能(ステップS612の処理を実行可能)である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
仮に演出制御手段が、ステップ数の管理だけに基づいて多相励磁から少相励磁に切替える場合、万一外乱の影響等によってステップ数の管理が狂うと、多相励磁から少相励磁への切替えを適切なタイミングで行うことができなくなる。そこでこの構成の遊技機によれば、演出制御手段が検出手段による検出を利用して多相励磁から少相励磁に切替えることで、多相励磁から少相励磁への切替えが適切にできなくなる不具合を生じ難くすることが可能である。
手段A4に係る発明は、
手段A1乃至手段A3の何れかに記載の遊技機において、
前記多相励磁は、励磁される励磁相の数が2つである2相励磁であり、
前記少相励磁は、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、移動中の可動体を停止位置で停止させる際には、駆動手段の励磁方法が1−2相励磁になっている。そのため仮に、駆動手段の励磁方法が2相励磁になっている場合に比べて、可動体を小出力で且つ滑らかに停止位置で停止させることが可能である。よって、可動体が停止するときの挙動をより安定させることが可能である。
手段A5に係る発明は、
手段A4に記載の遊技機において、
前記駆動手段は、コイルに対して双方向に電流を流すバイポーラ型のステッピングモータである(図20(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段がバイポーラ型のステッピングモータであるため、仮にユニポーラ型のステッピングモータである場合に比べて、高出力(高トルク)を発生させることが可能である。しかしながら、高出力を発生させることで、停止時の可動体に作用する衝撃が大きくなるおそれがある。そこで上述したように、移動中の可動体を停止位置で停止させる際には、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にしていることで、停止時の可動体に作用する衝撃を抑えることが可能である。
ところで、特開2010−207433号公報に記載の遊技機では、駆動手段を駆動させる際の励磁方法を、励磁される励磁相の数が2つである2相励磁(多相励磁)にしている。2相励磁は、駆動手段で高出力(高トルク)を発生させることができるという点で有利である。しかしながら、駆動手段の励磁方法を例えば2相励磁のような高相励磁にして、移動中の可動体を所定の停止位置で停止させようとする場合、以下の問題点がある。即ち、駆動手段が高出力を発生させた状態のまま可動体を急に停止させるため、停止時に可動体に作用する衝撃が大きくなり易い。従って、可動体が停止するときの挙動が安定しないおそれがあった。そこで上記したA1〜A5に係る発明は、特開2010−207433号公報に記載の遊技機に対して、演出制御手段は、駆動手段の励磁方法を少相励磁にして、移動中の可動体を所定の停止位置で停止させることが可能である点で相違している。これにより、可動体が停止するときの挙動を安定させることが可能な遊技機を提供するという課題を解決(作用効果を奏する)ことが可能である。
<手段B>
手段B1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
移動可能な可動体(枠顔可動体400)と、
前記可動体に駆動力を付与可能な駆動手段(枠顔移動モータ311)と、
演出を制御可能な演出制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段に供給される電流が所定電流(本形態では一定電流である400mA)である所定状態、又は前記駆動手段に供給される電流が前記所定電流よりも低い低電流(本形態では一定電流の71%の大きさである284mA)である低電流状態に切替可能であり、
前記可動体を所定の停止位置で停止させる前に、前記所定状態から前記低電流状態に切替可能(ステップS612の処理を実行可能)である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体を停止位置で停止させる前に、所定状態から低電流状態に切替える。これにより、駆動手段で発生させる出力(トルク)を抑えた状態で、可動体を停止位置で停止させることができて、停止時に可動体に作用する衝撃を小さくすることが可能である。よって、可動体が停止するときの挙動を安定させることが可能である。
手段B2に係る発明は、
手段B1に記載の遊技機において、
前記駆動手段の励磁方法には、当該駆動手段が所定数の信号を入力した場合に励磁される励磁相の数が相対的に多い多相励磁(2相励磁)、又は励磁される励磁相の数が相対的に少ない少相励磁(1−2相励磁)があり、
前記演出制御手段は、
前記可動体を前記停止位置で停止させる前に、前記駆動手段の励磁方法を前記多相励磁から前記少相励磁に切替可能(ステップS612の処理を実行可能)である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体を停止位置で停止させる前に、駆動手段の励磁方法を多相励磁から少相励磁に切替える。これにより、少相励磁で可動体を停止位置で停止させることができて、多相励磁で可動体を停止させる場合に比べて、停止時に可動体に作用する衝撃を小さくすることが可能である。こうして可動体を停止させる前に、多相励磁から少相励磁への切替えと、所定状態から低電流状態への切替えとを行うことで、可動体が停止するときの挙動をより安定させることが可能である。
手段B3に係る発明は、
手段B2に記載の遊技機において、
前記多相励磁は、励磁される励磁相の数が2つである2相励磁であり、
前記少相励磁は、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体を停止位置で停止させる際に、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にしている。そのため仮に、駆動手段の励磁方法を2相励磁にしている場合に比べて、可動体を小出力で且つ滑らかに停止位置で停止させることが可能である。よって、可動体が停止するときの挙動をより安定させることが可能である。
手段B4に係る発明は、
手段B1乃至手段B3の何れかに記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の駆動速度(パルスレート)が特定速度(本形態では333pps)である特定状態、又は前記駆動手段の駆動速度が前記特定速度よりも遅い低速度(本形態では200pps)である低速状態に切替可能であり、
前記可動体を前記停止位置で停止させる前に、前記特定状態から前記低速状態に切替可能(ステップS612の処理を実行可能)である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体を停止位置で停止させる前に、特定状態から低速状態に切替える。これにより、停止時に可動体に作用する衝撃を小さくすることが可能である。こうして可動体を停止させる前に、所定状態から低電流状態への切替えと、特定状態から低速状態への切替えとを行うことで、可動体が停止するときの挙動をより安定させることが可能である。
手段B5に係る発明は、
手段B1乃至手段B4の何れかに記載の遊技機において、
前記可動体が前記停止位置に停止する前の特定位置(出現直前位置,図12(G)参照)にあることを検出可能な検出手段(出現検出センサ331)を備え、
前記演出制御手段は、前記検出手段による検出(ステップS611でONと判定されること)に基づいて前記所定状態から前記低電流状態に切替可能(ステップS612の処理を実行可能)である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
仮に演出制御手段が、ステップ数の管理だけに基づいて所定状態から低電流状態に切替える場合、万一外乱等によってステップ数の管理が狂うと、所定状態から低電流状態への切替えを適切なタイミングで行うことができなくなる。そこでこの構成の遊技機によれば、演出制御手段が検出手段による検出を利用して所定状態から低電流状態に切替えることで、可動体が停止する前に所定状態から低電流状態への切替えが適切にできなくなる不具合を生じ難くすることが可能である。
手段B6に係る発明は、
手段B1乃至手段B5の何れかに記載の遊技機において、
前記駆動手段は、コイルに対して双方向に電流を流すバイポーラ型のステッピングモータ(図20(A)参照)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段がバイポーラ型のステッピングモータであるため、仮にユニポーラ型のステッピングモータである場合に比べて、高出力(高トルク)を発生させることが可能である。しかしながら、高出力を発生させることで、停止時の可動体に作用する衝撃が大きくなるおそれがある。そこで上述したように、移動中の可動体を停止位置で停止させる際には、駆動手段に供給される電流を低電流状態にしていることで、停止時の可動体に作用する衝撃を抑えることが可能である。
ここで、特開2010−207433号公報に記載の遊技機では、駆動手段に供給する電流を一定である所定電流に制御して、可動体を移動させるようになっている。しかしながら、移動中の可動体を所定の停止位置で停止させようとする場合、駆動手段で発生させた出力が大きいことにより、停止時に可動体に作用する衝撃が大きくなるおそれがあった。つまり、可動体が停止するときの挙動が安定しないおそれがあった。そこで上記したB1〜B6に係る発明は、特開2010−207433号公報に記載の遊技機に対して、演出制御手段は、駆動手段に供給される電流が所定電流である所定状態、又は駆動手段に供給される電流が所定電流よりも低い低電流である低電流状態に切替可能であり、可動体を所定の停止位置で停止させる前に、所定状態から低電流状態に切替可能である点で相違している。これにより、可動体が停止するときの挙動を安定させることが可能な遊技機を提供するという課題を解決(作用効果を奏する)ことが可能である。
<手段C>
手段C1に係る発明は、
所定の制御条件の成立に基づいて遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり遊技状態)に制御する遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
移動可能な可動体(枠顔可動体400)と、
前記可動体に駆動力を付与可能な駆動手段(枠顔移動モータ311)と、
演出を制御可能な演出制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備え、
前記駆動手段の励磁方法には、当該駆動手段が所定数の信号を入力した場合に、励磁される励磁相の数が相対的に多い多相励磁(2相励磁)又は励磁される励磁相の数が相対的に少ない少相励磁(1−2相励磁)があり、
前記演出制御手段は、
前記可動体の移動を所定の始動位置(格納位置,図12(A)参照)から開始するときには、前記駆動手段の励磁方法を前記少相励磁にすることが可能(ステップS602,S605の処理を実行可能)である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段の励磁方法を少相励磁にして、可動体の移動を始動位置から開始する。そのため仮に、駆動手段の励磁方法を多相励磁にして、可動体の移動を始動位置から開始する場合に比べて、駆動手段で発生させる出力(トルク)を抑えることが可能である。よって、可動体が移動し始めるときの挙動を安定させることが可能である。
手段C2に係る発明は、
手段C1に記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記可動体が前記始動位置から移動した後に、前記駆動手段の励磁方法を前記少相励磁から前記多相励磁に切替可能(ステップS607の処理を実行可能)である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体が始動位置から移動した後に、駆動手段の励磁方法を少相励磁から多相励磁に切替える。これにより、駆動手段で高出力(高トルク)を発生させることが可能である。こうして、可動体が移動し始めるときには少相励磁により挙動を安定させて、その後には多相励磁により可動体を高出力で移動させることが可能である。
手段C3に係る発明は、
手段C2に記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
前記駆動手段の駆動速度が低速度(本形態では200pps)である低速状態、又は前記駆動手段の駆動速度が前記低速度よりも速い特定速度(本形態では333pps)である特定状態に切替可能であり、
前記可動体の移動を前記始動位置から開始するときには、前記駆動手段の励磁方法を前記少相励磁すると共に、前記低速状態にすることが可能(ステップS602,S605の処理を実行可能)であり(図30(A)参照)、
前記可動体が前記始動位置から移動した後に、前記駆動手段の駆動状態を前記少相励磁から前記多相励磁に切替えると共に、前記低速状態から前記特定状態に切替可能(ステップS607の処理を実行可能)である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、低速状態から特定状態に切替えることで、よりスムーズな可動体の移動開始を実現することが可能である。しかしながら、低速状態であるときには、駆動手段の乱調領域(共振領域)に該当し易くなって、可動体の挙動が不安定になるおそれがある。そこで低速状態であるときには、駆動手段の励磁方法を少相励磁にすることで、駆動手段の乱調領域(共振領域)に該当しても、可動体の挙動をできるだけ安定させることが可能である。
手段C4に係る発明は、
手段C2又は手段C3に記載の遊技機において、
前記可動体が前記始動位置から移動した後の所定位置(格納直前位置,図12(B)参照)にあることを検出可能な検出手段(格納検出センサ315)を備え、
前記演出制御手段は、前記検出手段による検出(ステップS606でONと判定されること)に基づいて前記駆動手段の励磁方法を前記少相励磁から前記多相励磁に切替可能(ステップS607の処理を実行可能)である(図30(A)参照)ことを特徴とする遊技機である。
仮に演出制御手段が、ステップ数の管理だけに基づいて少相励磁から多相励磁に切替える場合、万一外乱等によってステップ数の管理が狂うと、少相励磁から多相励磁への切替えを適切なタイミングで行うことができなくなる。そこでこの構成の遊技機によれば、演出制御手段が検出手段による検出を利用して少相励磁から多相励磁に切替えることで、少相励磁から多相励磁への切替えが適切にできなくなる不具合を生じ難くすることが可能である。
手段C5に係る発明は、
手段C1乃至手段C4の何れかに記載の遊技機において、
前記多相励磁は、励磁される励磁相の数が2つである2相励磁であり、
前記少相励磁は、励磁される励磁相の数が1つ又は2つに交互に切替わる1−2相励磁であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、可動体の移動を開始するときに、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にしている。そのため仮に、駆動手段の励磁方法を2相励磁にしている場合に比べて、可動体の移動を小出力で且つ滑らかに開始することが可能である。よって、可動体が移動し始めるときの挙動をより安定させることが可能である。
手段C6に係る発明は、
手段C5に記載の遊技機において、
前記駆動手段は、コイルに対して双方向に電流を流すバイポーラ型のステッピングモータ(図20(A)参照)であることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、駆動手段がバイポーラ型のステッピングモータであるため、仮にユニポーラ型のステッピングモータである場合に比べて、高出力(高トルク)を発生させることが可能である。しかしながら、高出力を発生させることで、可動体が移動し始めるときの振動が大きくなるおそれがある。そこで上述したように、可動体の移動を開始するときには、駆動手段の励磁方法を1−2相励磁にしていることで、振動を抑えて挙動を安定させることが可能である。
ところで、特開2010−207433号公報に記載の遊技機では、駆動手段を駆動させる際の励磁方法を、励磁される励磁相の数が2つである2相励磁(多相励磁)にしている。2相励磁は、駆動手段で高出力(高トルク)を発生させることができるという点で有利である。しかしながら、駆動手段の励磁方法を例えば2相励磁のような高相励磁にして、可動体の移動を所定の始動位置から開始する場合、以下の問題点がある。即ち、駆動手段が高出力を発生させる状態で可動体の移動を急に開始するため、可動体に作用する衝撃(振動)が大きくなり易い。従って、可動体が移動し始めるときの挙動が安定しないおそれがあった。そこで上記したC1〜C6に係る発明は、特開2010−207433号公報に記載の遊技機に対して、演出制御手段は、可動体の移動を所定の始動位置から開始するときには、駆動手段の励磁方法を少相励磁にすることが可能である点で相違している。これにより、可動体が移動し始めるときの挙動を安定させることが可能な遊技機を提供するという課題を解決(作用効果を奏する)ことが可能である。