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JP2018029562A - 粉末茶添加物、混合粉末茶及び混合粉末茶含有食品の製造方法 - Google Patents

粉末茶添加物、混合粉末茶及び混合粉末茶含有食品の製造方法 Download PDF

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JP2018029562A JP2016165612A JP2016165612A JP2018029562A JP 2018029562 A JP2018029562 A JP 2018029562A JP 2016165612 A JP2016165612 A JP 2016165612A JP 2016165612 A JP2016165612 A JP 2016165612A JP 2018029562 A JP2018029562 A JP 2018029562A
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Abstract

【課題】色に優れた粉末茶添加物を高い生産性で製造する方法を提供する。【解決手段】実施形態に係る製造方法は、生の茶葉を、凍結させることなしに蒸熱することと、前記蒸熱に続いて前記茶葉を凍結乾燥に供することと、凍結乾燥後の前記茶葉を粉砕することと含む。【選択図】なし

Description

本発明は、粉末茶添加物、混合粉末茶及び混合粉末茶含有食品の製造方法に関する。
茶は、古来より世界中で親しまれている飲料であって、我国においても、最もポピュラーな嗜好性飲料の一つである。
茶は、その製法によって、発酵茶、半発酵茶、及び不発酵茶等に分類される。茶葉には、例えば、団茶や餅茶といった茶葉を固めた緊圧茶、ばらばらの状態の所謂散茶、及び、更にこれを粉末にしたもの等の形態が存在する。
茶葉から茶を抽出する方法も様々に変遷してきた。例えば、昔の中国や日本では粉末茶を茶碗で立てる「抹茶」が一般的であって、この形態は現在も茶道として残っている。現在の急須を使用する形態は古くから広まっているが、更に昨今ではペットボトル緑茶飲料が広く流通し、緑茶飲料の飲用人口は大幅に増大した。
近年、抹茶の風味や健康性が注目され、抹茶を含有した食品が数多く上市されている。上記ペットボトル緑茶飲料についても、抹茶を含有しているものが広く流通している。
抹茶は、原料となる被覆栽培された茶葉をその酸化酵素の働きを失活させた碾茶荒茶へと加工する工程と、碾茶荒茶を整形・分別・乾燥に供して、碾茶に加工する工程と、更には、碾茶を石臼等で粉砕する工程とを含む複雑な方法により製造される。
なお、特許文献1には、生のあしたばを水洗し、汚損物を除去し、−20〜−30℃で3〜7時間凍結処理し、凍結処理した生のあしたばを2〜5Torr程度で2〜6時間程度減圧処理し、この減圧処理した生のあしたばを30〜50℃で10〜22時間乾燥処理して水分を5重量%以下にすることが記載されている。
また、特許文献2には、摘み取った茶葉を、蒸熱、粗揉、及び揉捻に順次供し、続いて、これを約−10℃以下で凍結させ、その後、真空雰囲気中で約40℃まで温度を上昇させ、含有水分が約2%の製品を製造することが記載されている。
特開平7−123945号公報 特開昭59−203446号公報
抹茶は、製造が複雑であり時間がかかるため、生産性が低い。従って、コスト面を考慮すると、現状では食品に抹茶を多量に添加できない。また、抹茶の製造過程では、茶葉は熱や酸素にさらされる。そのため、生茶葉が本来有している鮮やかな緑色を、抹茶において維持することは難しい。
そこで、本発明の目的は、色に優れた粉末状の緑茶を高い生産性で製造可能とすることにある。
本発明の第1側面によると、生の茶葉を、凍結させることなしに蒸熱することと、前記蒸熱に続いて前記茶葉を凍結乾燥に供することと、凍結乾燥後の前記茶葉を粉砕することとを含んだ粉末茶添加物の製造方法が提供される。
本発明の第2側面によると、第1側面に係る方法によって製造された前記粉末茶添加物と粉末茶とを混合することを含んだ混合粉末茶の製造方法が提供される。
本発明の第3側面によると、第2側面に係る方法によって製造された前記混合粉末茶と食品素材とを混合することを含んだ粉末茶添加物含有食品の製造方法が提供される。
本発明によると、色に優れた粉末状の緑茶を高い生産性で製造することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
<粉末茶添加物>
本発明の実施形態に係る粉末茶添加物の製造方法では、生の茶葉を凍結させることなしに蒸熱し、蒸熱に続いて茶葉を凍結乾燥に供し、凍結乾燥後の茶葉を粉砕することを含んだ方法によって粉末茶添加物を得る。
なお、粉末茶添加物は、例えば、通常の方法により製造した粉末茶と混合するものである。このようにして得られる混合粉末茶は、粉末状の緑茶である。この混合粉末茶と食品素材と混合することにより、粉末茶添加物含有食品が得られる。
以下に、本発明の実施形態に係る粉末茶添加物の製造方法について、更に詳しく説明する。
先ず、生茶葉を準備する。
生茶葉は、ツバキ科の多年生植物のCamellia sinensisを摘採したものである。生茶葉の原産地、茶期、品種及び栽培条件は、特に限定されない。
摘採後の生茶葉には、湿度の高い空気を送風してもよい。湿度の高い空気を送風することで、生茶葉により多くの水分が保持され、生茶葉の呼吸熱が低下するため、生茶葉の鮮度をより長く維持できる。
なお、湿度の高い空気を送風した茶葉は、生の茶葉である。これに対し、蒸熱及び凍結の少なくとも一方に供した茶葉は、生の茶葉でない。
送風する空気の温度は、5℃乃至35℃の範囲内にあることが好ましく、10℃乃至30℃の範囲内にあることが特に好ましい。この温度が低すぎる場合、空気中の水分量を十分に高くすることが難しい。この温度が高すぎる場合、生茶葉の呼吸熱を十分に低下させることが難しい。
送風する空気の相対湿度は、10%RH乃至90%RHの範囲内にあることが好ましく、20%RH乃至80%RHの範囲内にあることが特に好ましい。相対湿度が高すぎる場合、茶葉の上で結露を生じる可能性がある。相対湿度が低すぎる場合、生茶葉の鮮度を維持することが難しい。
生茶葉の水分量は、69.1質量%乃至81.4質量%の範囲内にあることが好ましく、69.3質量%乃至78.1質量%の範囲内にあることがより好ましい。生茶葉の水分量が少ない場合、粉末茶添加物によって、これを含んだ食品に、生茶葉本来の呈味を与えることが難しい。生茶葉の水分量が多い場合、粉末茶添加物によって、これを含んだ食品に、鮮やかな色と生茶葉本来の呈味を与えることが難しい。
なお、色の鮮やかさは、例えば、彩度を用いて評価することができる。彩度は、例えば、分光色彩計を用いて得ることができる。
次に、生茶葉を蒸熱する。
蒸熱は、高温水蒸気によって生茶葉を加熱する方法である。生茶葉を蒸熱すると、生茶葉に含まれる酸化酵素が失活する。酸化酵素が失活すると、茶葉の酸化が抑制されるため、酸化に伴う茶葉の変色等が抑えられる。また、蒸熱による加熱には、茶葉にこげを生じさせ難いという利点がある。
なお、生茶葉を凍結させると、生茶葉の組織が破壊され、生茶葉の細胞内に含まれる酸化酵素が細胞外へ漏出し、生茶葉が酸化される。茶葉が酸化されると、その茶葉を含んだ食品において鮮やかな色を実現することが難しくなる。従って、この方法では、蒸熱工程の前に茶葉の凍結は行わない。
蒸熱温度は、90℃乃至120℃の範囲内にあることが好ましく、95℃乃至110℃の範囲内にあることが特に好ましい。蒸熱温度が低すぎる場合、酸化酵素を十分に失活させることが難しくなる可能性がある。蒸熱温度が高すぎる場合、茶葉に不所望な変質を生じる可能性がある。
蒸熱時間は、20秒乃至150秒の範囲内にあることが好ましく、40秒乃至150秒の範囲内にあることが特に好ましい。蒸熱時間が短すぎる場合、茶葉の酸化酵素が十分に失活せず、茶葉の変色等を十分には抑制できない可能性がある。蒸熱時間が長すぎる場合、茶葉の変色や、生茶葉本来の呈味の損失を生じる可能性がある。
蒸熱直後の茶葉の水分量は、69.5%乃至79.5質量%の範囲内にあることが好ましく、69.8質量%乃至79.0質量%の範囲内にあることが特に好ましい。蒸熱後の茶葉の水分量が少ない場合、粉末茶添加物によって、これを含んだ食品に、鮮やかな色と生茶葉本来の呈味を与えることが難しい。蒸熱直後の茶葉の水分量が多い場合、粉末茶添加物によって、これを含んだ食品に、生茶葉本来の呈味を与えることが難しい。
なお、蒸熱直後の茶葉の水分量は、生茶葉の水分量に応じて変化し得る。また、蒸熱直後の茶葉の水分量は、蒸熱の条件に応じて変化させることもできる。具体的には、蒸熱温度を低くすると、蒸熱直後の茶葉の水分量が小さくなる。また、蒸熱温度を高くすると、蒸熱直後の茶葉の水分量が大きくなる。
この蒸熱に続いて、茶葉を凍結乾燥に供する。
凍結乾燥では、先ず、例えば以下の方法により茶葉を凍結させる。即ち、凍結容器に蒸熱した茶葉を入れて凍結させる。この工程では、蒸熱した茶葉を、例えば0℃乃至−50℃の範囲内で凍結させる。
次に、凍結容器内の圧力を、例えば13Pa乃至100Paの範囲内まで減圧する。凍結容器内を減圧すると、水の沸点が低下するため、茶葉の水分が昇華する。これにより、茶葉を乾燥させる。
凍結乾燥直後の茶葉の水分量は2.5質量%乃至5.0質量%の範囲内にあることが好ましく、3.5質量%乃至4.8質量%の範囲内にあることが特に好ましい。凍結乾燥直後の茶葉の水分量が少ない場合、粉末茶添加物によって、これを含んだ食品との水分差から水分移行が生じることから好ましくない。凍結乾燥直後の茶葉の水分量が多い場合、粉末茶添加物によって、これを含んだ食品に、鮮やかな色と生茶葉本来の呈味を与えることが難しい。
凍結乾燥直後の茶葉の水分量は、例えば、凍結容器内の圧力や減圧の持続時間に応じて変化させることができる。具体的には、凍結容器内の圧力が低いか又は減圧の持続時間が長いと、凍結乾燥直後の茶葉の水分量は少なくなる。また、凍結容器内の圧力が高いか又は減圧の持続時間が短いと、凍結乾燥直後の茶葉の水分量は多くなる。
茶葉を凍結乾燥に供すると、茶葉の水分が凍結することによって膨張し、茶葉の組織を破壊することなどに起因して、後工程において、茶葉を細かく粉砕することが容易になる。
なお、蒸熱後であって乾燥前の茶葉は、微生物の生育に最適である。従って、蒸熱後の茶葉に付着した微生物の増殖を抑制するには、蒸熱後の茶葉は、その温度が80℃以下になる前に、凍結容器へ投入することが好ましい。
次に、凍結乾燥後の茶葉を粉砕する。
凍結乾燥後の茶葉は、既存の粉砕方法により粉砕することができる。そのような粉砕方法は、例えば、石臼、ボールミル又は気流式粉砕機を用いた方法である。凍結乾燥した茶葉は、粉砕すると微細な粒子になる。なお、茶葉を粉砕する際に生じた粗大粒子は、篩によって除去してもよい。
このようにして、粉末茶添加物を得る。
上述した方法によると、色及び呈味に優れた粉末茶添加物が得られる。例えば、この粉末茶添加物を水に分散させてなる粉末茶添加物分散液は、鮮やかな色及び生茶葉本来の呈味を有している。
また、上述した方法によると、高い歩留まりで粉末茶添加物が得られる。即ち、上述した方法によると、粉末茶添加物を高い効率で製造することができる。
本発明者らは、上述した方法が上記の効果を奏するのは、以下の理由によると考えている。
生茶葉を蒸熱する前に凍結させると、茶葉の組織が破壊される。その結果、酸化酵素が細胞外へ漏出して、茶葉を酸化させる。また、蒸熱の代わりに予備凍結を行うと、茶葉の酸化酵素を十分に失活できない。
上述した方法では、生茶葉を凍結させることなしに蒸熱する。それ故、この方法によると、生茶葉を蒸熱前に凍結させることや蒸熱の代わりに凍結させることに起因した上記問題は生じない。
また、この方法では、蒸熱後の乾燥を凍結乾燥によって行う。即ち、この方法では、蒸熱後に、茶葉を高温条件下での処理に供さない。そのため、茶葉が有している生茶葉本来の香りが経時的に損失するのを抑制することができる。
更に、上述した方法では、茶葉の凍結乾燥の際に、茶葉の水分が凍結によって膨張して、組織が破壊される。そのため、この方法では、茶葉を細かく粉砕することができる。従って、粉末茶添加物を高い効率で製造することができる。
なお、上述した方法では、凍結乾燥と粉砕とは連続して行ってもよい。或いは、この方法は、凍結乾燥と粉砕との間に追加の工程を含んでいてもよい。そのような工程とは、例えば、粉砕しづらい茎や葉脈などの除去工程である。但し、この追加工程には、好ましくは、茶葉を105℃以上で60秒以上加熱することは含まない。凍結乾燥後に茶葉を加熱すると、粉末茶添加物によって、これを含んだ食品に、鮮やかな色と生茶葉本来の呈味を与えることが難しくなる可能性がある。従って、上述した方法では、好ましくは、蒸熱においてのみ茶葉を高温で加熱する。
<混合粉末茶>
次に、本発明の実施形態に係る混合粉末茶の製造方法について説明する。
混合粉末茶の製造方法は、粉末茶添加物と粉末茶とを混合することを含む。
具体的には、先ず、粉末茶添加物と粉末茶とを準備する。
粉末茶添加物は、上述した方法によって製造したものである。
粉末茶は、既存の方法によって製造することができる。具体的には、粉末茶は、摘採後に発酵を止めることと、茶葉を高温で乾燥させることと、茶葉を粉砕することとを含む方法で製造したものである。粉末茶は、例えば、碾茶を粉砕したものであってもよく、煎茶を粉砕したものであってもよく、それらの混合物であってもよい。
以下に、碾茶の製造方法の一例を示す。
先ず、生茶葉を摘採する。生茶葉は、例えば摘採する20日以上前から茶園全体を寒冷紗などで被覆されているものを摘採する。
次に、摘採した生茶葉に湿度の高い空気を送風する。湿度の高い空気を送風することで、生茶葉の水分は保持され、生茶葉の呼吸熱が低下するため、生茶葉の鮮度を長く維持できる。
送風する空気の温度は、5℃乃至35℃の範囲内にあることが好ましく、10℃乃至30℃の範囲内にあることが特に好ましい。この温度が低すぎる場合、空気中の水分量を十分に高くすることが難しい。この温度が高すぎる場合、生茶葉の呼吸熱を十分に低下させることが難しい。
送風する空気の相対湿度は、10%RH乃至90%RHの範囲内にあることが好ましく、20%RH乃至80%RHの範囲内にあることが特に好ましい。相対湿度が高すぎる場合、茶葉の上で結露を生じる可能性がある。相対湿度が低すぎる場合、生茶葉の鮮度を維持することが難しい。
次に、生茶葉を蒸熱する。生茶葉を蒸熱すると、生茶葉に含まれる酸化酵素が失活する。酸化酵素が失活すると、茶葉の酸化が抑制される。
蒸熱温度は、90℃乃至120℃の範囲内にあることが好ましく、95℃乃至110℃の範囲内にあることが特に好ましい。蒸熱温度が低すぎる場合、酸化酵素を十分に失活させることが難しくなる可能性がある。蒸熱温度が高すぎる場合、茶葉に不所望な変質を生じる可能性がある。
蒸熱時間は、20秒乃至150秒の範囲内にあることが好ましく、30秒乃至60秒の範囲内にあることが特に好ましい。茶葉の酸化酵素が十分に失活せず、茶葉の変色等を十分には抑制できない可能性がある。蒸熱時間が長すぎる場合、茶葉の変色や、生茶葉本来の呈味の損失を生じる可能性がある。
次に、蒸熱した茶葉を冷却する。茶葉を冷却することで、高温による茶葉の色及び呈味の劣化を防ぐ。この工程では、茶葉の温度が、例えば20℃乃至40℃の範囲内になるまで冷却する。
次に、冷却した茶葉を高温で乾燥させる。冷却した茶葉を高温で乾燥させると、粉末茶を含んだ食品の色の経時安定性が高くなる。
乾燥温度は、例えば、170℃乃至200℃の範囲内とする。また、乾燥時間は、例えば、30分乃至60分の範囲内とする。
次に、乾燥後の茶葉を、葉部と茎部とを分け、更に乾燥させる。
以上のようにして碾茶を得る。
また、煎茶は、適切な生茶葉を使用し、粗揉、揉捻、中揉及び精揉までの揉み工程を更に行うこと以外は、碾茶とほぼ同様の方法で製造することができる。
粉末茶は、このようにして得られた茶葉を、例えば石臼を用いて粉砕することにより得られる。
次に、粉末茶添加物と粉末茶とを混合して、混合粉末茶を得る。この混合は、例えば、粉体を混合する場合に用いられる既存の方法で行う。
粉末茶添加物は、粉末茶添加物と粉末茶との合計100質量部に対して、0質量部より大きく100質量部未満の範囲内の任意の割合で、粉末茶と混合することができる。この割合は、10乃至90質量部の範囲内にあることが好ましく、10乃至60質量部の範囲内にあることがより好ましく、10乃至30質量部の範囲内にあることが更に好ましく、10乃至20質量部の範囲内にあることが特に好ましい。そのような割合は、この混合粉末茶を含んだ食品において、特に鮮やかな色と、色の特に優れた経時安定性とを達成するうえで有利である。
上述した方法によって得られる混合粉末茶と食品素材とを混合すると、鮮やかな色を有しており、色の経時安定性に優れた粉末茶添加物含有食品が得られる。例えば、この混合粉末茶を水に分散させると、鮮やかな色を有しており、色の経時安定性に優れた混合粉末茶分散液が得られる。
本発明者らは、この粉末混合茶が上記の効果を奏するのは、以下の理由によると考えている。
混合粉末茶は、粉末茶添加物と粉末茶とを含んでいる。粉末茶添加物は、上述した方法により製造されるため、これを含んだ食品に、鮮やかな色を与える。他方、粉末茶の製造においては、茶葉を高温で乾燥させるため、粉末茶は、色の経時安定性に優れている。従って、これらを含んだ食品は、鮮やかな色を有し、色の経時安定性に優れている。
<混合粉末茶含有食品>
次に、混合粉末茶含有食品の製造方法について説明する。
混合粉末茶を含有する食品は、混合粉末茶と食品素材とを混合し、必要に応じて後処理を行うことで得られる。
具体的には、先ず、混合粉末茶と食品素材とを準備する。
混合粉末茶は、上述した方法によって製造する。
食品素材は、例えば、牛乳、山羊乳、羊乳、特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、豆乳、乳製品、マーガリン、果物の搾汁液、野菜の搾汁液、清涼飲料、飲料水、食用油脂、調味料及び加工飲料からなる群より選ばれる1以上の食品である。乳製品は、例えば、クリーム、バター、チーズ又は乳飲料である。固形状の食品素材は、加熱して液体にして用いてもよい。固形状の食品素材は、例えば、バター、マーガリン及びチーズである。
次に、混合粉末茶と食品素材とを混合する。混合粉末茶は、混合粉末茶と食品素材との合計100質量部に対して、0質量部より大きく100質量部未満の範囲内の任意の割合で、食品素材と混合することができる。混合粉末茶と食品素材とは、それらの合計100質量部に対して、混合粉末茶の割合が0.1質量部乃至10質量部の範囲内になるように混合することが好ましい。0.1質量部未満の場合、粉末茶添加物本来の鮮やかな緑色、呈味が得られず、10質量部を超えると、苦味が強く黒色になるため好ましくない。
この混合粉末茶含有食品は、上記の通り、鮮やかな色を有しており、色の経時安定性に優れている。
また、この混合粉末茶含有食品において、食品素材の少なくとも一部として、牛乳、山羊乳、羊乳、特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、又は乳製品を使用した場合、混合粉末茶は、そのミルク臭を低減する役割を果たす。従って、そのような食品素材を使用した場合には、ミルク臭が少ない混合粉末茶含有食品を得ることができる。
以下に、試験例について説明する。
<粉末茶添加物A乃至Hの製造>
先ず、静岡県産のCamellia sinensisの一番茶の生茶葉を、100℃で、20秒、30秒、40秒、60秒、80秒、150秒、160秒又は170秒間にわたって蒸熱した。
次に、蒸熱した茶葉を、共和式凍結乾燥装置(共和真空技術株式会社製)を用いて、−20℃で凍結させ、凍結容器を13Paまで減圧した。減圧の持続時間は1500分間とした。
次いで、凍結乾燥後の茶葉をブレンダーDBL247−WH(デロンギ・ジャパン株式会社製)で2分間にわたって粉砕した。粉砕後の茶葉を、目開き106μmの篩により篩分け、篩を通過した粉体を粉末茶添加物とした。
以下、蒸熱を20秒、30秒、40秒、60秒、80秒、150秒、160秒及び170秒間行った粉末茶添加物を、それぞれ、粉末茶添加物A、B、C、D、E、F、G及びHと呼ぶ。
<生茶葉凍結乾燥品の製造>
生茶葉を蒸熱しなかったこと以外は、粉末茶添加物A乃至Hの製造において説明したのと同様の方法により、生茶葉凍結乾燥品を得た。
<粉末茶添加物K1の製造>
先ず、粉末茶添加物A乃至Hの製造において使用したのと同様の生茶葉を、100℃で60秒間にわたって蒸熱した。
次に、蒸熱した茶葉を、共和式凍結乾燥装置(共和真空技術株式会社製)を用いて−20℃で凍結させ、凍結容器を13Paまで減圧した。減圧の持続時間は1500分間とした。
次いで、凍結乾燥後の茶葉をブレンダーDBL247−WH(デロンギ・ジャパン株式会社製)で2分間にわたって粉砕した。粉砕後の茶葉を、目開き106μmの篩で篩分け、篩を通過した粉体として粉末茶添加物K1を得た。
<粉末茶添加物K2の製造>
凍結乾燥後に茶葉を105℃で60秒間にわたって加熱したこと以外は、粉末茶添加物K1について説明したのと同様の方法により、粉末茶添加物K2を得た。
<粉末茶添加物K3の製造>
生茶葉を蒸熱する代わりに、予備凍結に供したこと以外は、粉末茶添加物K1について説明したのと同様の方法により粉末茶添加物K3を得た。予備凍結は、生茶葉を凍結容器に入れて−20℃で凍結させ、凍結容器を13Paまで減圧することにより行った。この減圧の持続時間は1500分間とした。
<粉末茶添加物K4の製造>
生茶葉を蒸熱せず、凍結乾燥後の茶葉を105℃で60秒間にわたって加熱したこと以外は、粉末茶添加物K3について説明したのと同様の方法により粉末茶添加物K4を得た。
<粉末茶添加物K5の製造>
生茶葉を蒸熱する前に、粉末茶添加物K3の製造において行ったのと同様の予備凍結を行ったこと以外は、粉末茶添加物K1について説明したのと同様の方法により粉末茶添加物K5を得た。
<粉末茶添加物K6の製造>
凍結乾燥後に茶葉を105℃で60秒間にわたって加熱したこと以外は、粉末茶添加物K5について説明したのと同様の方法により粉末茶添加物K6を得た。
粉末茶として市販品の粉末茶RS20(株式会社伊藤園製)を使用した。
<混合粉末茶分散液A1乃至A11の製造>
先ず、粉末茶添加物Aと粉末茶RS20とを、それらの合計100質量部に対して、粉末茶添加物の割合が1質量部、5質量部、10質量部、20質量部、30質量部、40質量部、50質量部、60質量部、70質量部、80質量部及び90質量部になるように混合して、それぞれ、混合粉末茶A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10及びA11を得た。
次に、混合粉末茶A1を、純水中に、それらの合計100質量部に対して、混合粉末茶の割合が1質量部となるように分散させ、混合粉末茶分散液A1を得た。
次に、混合粉末茶A1の代わりに混合粉末茶A2乃至A11を用いたこと以外は、混合粉末茶分散液A1について説明したのと同様の方法により、それぞれ、混合粉末茶分散液A2乃至A11を得た。
<混合粉末茶分散液B1乃至B11、C1乃至C11、D1乃至D11、E1乃至E11及びF1乃至F11の製造>
粉末茶添加物Aの代わりに粉末茶添加物B乃至Fを用いたこと以外は、混合粉末茶A1乃至A11の製造と同様の方法により、混合粉末茶B1乃至B11、C1乃至C11、D1乃至D11、E1乃至E11及びF1乃至F11をそれぞれ得た。
次に、混合粉末茶A1乃至A11の代わりに混合粉末茶B1乃至B11、C1乃至C11、D1乃至D11、E1乃至E11及びF1乃至F11を用いたこと以外は、混合粉末茶分散液A1乃至A11を得たのと同様の方法により、混合粉末茶分散液B1乃至B11、C1乃至C11、D1乃至D11、E1乃至E11及びF1乃至F11をそれぞれ得た。
<粉末茶添加物分散液A乃至H及びK1乃至K6の製造>
粉末茶添加物Aを、純水中に、それらの合計100質量部に対して1質量部となるように分散させ、粉末茶添加物分散液Aを得た。
粉末茶添加物Aの代わりに粉末茶添加物B乃至H及びK1乃至K6を用いたこと以外は、粉末茶添加物分散液Aについて説明したのと同様の方法により、粉末茶添加物分散液B乃至H及びK1乃至K6を得た。
<生茶葉粉末分散液の製造>
生茶葉凍結乾燥品を、純水中に、それらの合計100質量部に対して1質量部となるように分散させ、生茶葉粉末分散液を得た。
<粉末茶分散液の製造>
粉末茶RS20を、純水中に、それらの合計100質量部に対して1質量部となるように分散させ、粉末茶分散液を得た。
<試験例1:粉末茶添加物分散液Aの呈味の評価>
5人のパネラーにより、粉末茶添加物分散液Aが、生茶葉粉末分散液と同様の生茶葉本来の呈味を有しているか評価した。
<試験例2:粉末茶添加物分散液B乃至Hの呈味の評価>
試験例1と同様の方法により、粉末茶添加物分散液B乃至Hの呈味を評価した。
試験例1及び2の結果を、表1に纏める。
表1において、「○」は5名のパネラー全員が生茶葉本来の呈味を有していると評価したことを示し、「△」は5名のパネラーのうち2乃至4名が生茶葉本来の呈味を有していると評価したことを示し、「×」は5名のパネラーのうち1名以下が生茶葉本来の呈味を有していると評価したことを示している。
なお、表1の評価は「○」及び「×」のみであり、「△」の評価は無かった。
表1に示すように、茶葉を20秒乃至150秒間にわたって蒸熱することで得られた粉末茶添加物は、生茶葉本来の呈味を有していた。
<試験例3:粉末茶添加物分散液Aの色の鮮やかさの評価>
以下の方法により、粉末茶添加物を水に分散させてなる粉末茶添加物分散液の色について調べた。
先ず、粉末茶添加物分散液Aに対して、分光色彩計(SE2000 日本電色工業株式会社製)を用いてハンターのLab法におけるL、a、及びbを測定した。そして、以下の式1から、粉末茶添加物分散液Aの彩度を算出した。
彩度=(a+b1/2 …(式1)
また、粉末茶添加物分散液Aについて説明したのと同様の方法により、粉末茶分散液の彩度を算出した。
そして、粉末茶添加物分散液Aの彩度と粉末茶分散液の彩度とを比較することで、粉末茶添加物分散液Aの色を評価した。
<試験例4:粉末茶添加物分散液B乃至Hの色の鮮やかさの評価>
試験例3と同様の方法により、粉末茶分散液B乃至Fの色を評価した。
試験例3及び4の結果を、表2に纏める。
表2において、「○」は、粉末茶分散液の彩度に対して粉末茶添加物分散液の彩度が大きかったことを示している。「×」は、粉末茶分散液の彩度に対して粉末茶添加物分散液の彩度が小さかったか又はそれらが同等であったことを示している。
表2に示すように、茶葉を20秒乃至150秒間蒸熱することで得られた粉末茶添加物を水に分散させてなる粉末茶添加物分散液は、色が鮮やかであった。
<試験例5:粉末茶添加物分散液Aの色の経時安定性の評価>
以下に記載する方法により、混合粉末茶分散液の色の経時安定性について調べた。
先ず、粉末茶添加物分散液Aに対して、ハンターのLab法におけるL、a、及びbの測定を、試験例3で説明した方法により行った。ここで得られた色座標(L,a,b)を(L,a,b)とする。
次に、粉末茶添加物分散液Aを、25℃の暗所で3時間にわたって保管した。その後、この粉末茶添加物分散液Aに対して、上記と同様の方法により、ハンターのLab法におけるL、a、及びbを測定した。ここで得られた色座標(L,a,b)を(L,a,b)とする。
そして、以下の式2を用いて色彩変化ΔEを算出した。
ΔE={(L−L+(a−a+(b−b}1/2 …(式2)
また、粉末茶添加物分散液Aの代わりに、粉末茶分散液を用いたこと以外は、上記と同様の方法により、色彩変化ΔEを算出した。
そして、粉末茶添加物分散液Aの色の経時安定性を、表3の基準に従って評価した。
<試験例6:粉末茶添加物分散液B乃至Fの色の経時安定性の評価>
試験例5と同様の方法により、粉末茶添加物分散液B乃至Fの色彩変化ΔEの算出及びその経時安定性の評価を行った。
試験例5及び6の結果を、表4に纏める。
<試験例7:混合粉末茶の色の鮮やかさの評価>
試験例3と同様の方法により、混合粉末茶分散液A1乃至A11、B1乃至B11、C1乃至C11、D1乃至D11、E1乃至E11及びF1乃至F11の色を評価した。
試験例7の結果を、上記表2に纏める。
表2に示すように、茶葉を20秒乃至150秒間にわたって蒸熱することで得られる粉末茶添加物と粉末茶RS20とをそれらの合計100質量部に対して、粉末茶添加物の割合が5質量部乃至90質量部になるように混合して得られた混合粉末茶の分散液は、色が鮮やかであった。
<試験例8:混合粉末茶分散液の色の経時安定性の評価>
試験例5と同様の方法により、混合粉末茶分散液A3乃至A11、B4乃至B11、C4乃至C11、D4乃至D11、E4乃至E11及びF4乃至F11の色の経時安定性について調べた。
試験例8の結果を、上記表4に纏める。
表4に示すように、混合粉末茶分散液C3乃至C6、D3乃至D6、E3乃至E7及びF3乃至F11は、色の経時安定性に優れていた。分散液C3及びC4、D3及びD4、E3乃至E5並びにF3乃至F8は、色の経時安定性に特に優れていた。
<試験例9:大量生産設備の使用が混合粉末茶分散液の色の経時安定性へ及ぼす影響の評価>
碾茶及び抹茶の大量生産に使用する機械を用いて粉末茶添加物Iを製造した。そして、粉末茶添加物Iを用いて得られた混合粉末茶分散液I1乃至I3の色の経時安定性について調べた。
具体的には、先ず、鹿児島県産のCamellia sinensisの生茶葉を、回転胴蒸し器(株式会社寺田製作所製)を用いて100℃で40秒間にわたって蒸熱した。
次に、蒸熱した茶葉を、共和式凍結乾燥装置(共和真空技術株式会社製)を用いて−20℃で凍結させ、凍結容器を13Paまで減圧した。減圧の持続時間は1500分間とした。
次いで、凍結乾燥後の茶葉をボールミル(株式会社 宮村鐵工所)により60分間にわたって粉砕した。粉砕後の茶葉を、目開き106μmの篩により篩分け、篩を通過した粉体を粉末茶添加物Iとした。
次に、粉末茶添加物Iと粉末茶RS20とを、それらの合計100質量部に対して、粉末茶添加物Iの割合が、10質量部、20質量部及び30質量部になるように混合して、それぞれ、混合粉末茶I1、I2及びI3を得た。
その後、混合粉末茶I1乃至I3を、混合粉末茶と純水との合計100質量部に対して、混合粉末茶の割合が1質量部になるように純水に分散させて、それぞれ、混合粉末茶分散液I1乃至I3を得た。
次に、25℃の暗所で3時間にわたる保管を行う代わりに、25℃の暗所で2時間にわたる保管を行ったこと以外は、試験例5と同様の方法により、粉末茶分散液及び混合粉末茶分散液I1乃至I3の色彩変化ΔEを算出した。
試験例8の結果を、表5に纏める。
表5に示すように、碾茶及び抹茶の大量生産に使用する機械を用いた場合であっても、色の経時安定性に優れた混合粉末茶分散液を得ることができた。
<試験例10:凍結乾燥が歩留まりへ及ぼす影響の評価>
以下の方法により、粉末茶添加物の歩留まりについて調べた。
先ず、粉砕を2分間にわたって行う代わりに3分間にわたって行い、篩分けを行わなかったこと以外は、粉末茶添加物Cと同様の方法により、粉末茶添加物J1を得た。
また、凍結乾燥をせずに、送風定温恒温器(ヤマト科学株式会社製)を用いた熱風乾燥を行ったこと以外は、粉末茶添加物J1について説明したのと同様の方法により、粉末茶添加物J2を得た。
そして、粉末茶添加物J1及びJ2の各々について、篩分けにおける歩留まり(%)を算出した。なお、「歩留まり(%)」は、篩を通過した粉体の質量を、篩に投入した粉体の質量で除した値を百分率で表したものである。
試験例10の結果を、表6に纏める。
表6に示すように、茶葉を凍結乾燥させた場合、熱風乾燥させた場合と比較して、粉末茶添加物を高い歩留まりで得ることができた。
<試験例11:混合粉末茶含有牛乳のミルク臭の評価>
以下の方法により、混合粉末茶含有牛乳のミルク臭について調べた。
先ず、粉末茶添加物Cと粉末茶RS20とを、それらの合計100質量部に対して粉末茶添加物Cの割合が、10質量部、20質量部及び40質量部になるように混合して、それぞれ、混合粉末茶a、b及びcを得た。また、粉末茶添加物Dと粉末茶RS20とを、それらの合計100質量部に対して粉末茶添加物Dの割合が10質量部になるように混合して、混合粉末茶dを得た。
次に、粉末茶RS20を用いて、表7に示す配合の抹茶ミルクを調製した。なお、表7における「牛乳」は、株式会社明治製の牛乳である。また、「グラニュー糖」は、フジ日本精糖株式会社製である。
次に、混合粉末茶a乃至dを用いて、それぞれ、表7に示す配合の混合粉末茶含有牛乳1乃至4を調製した。なお、表7に示す「%」は、「質量%」を意味している。
次に、47名のパネラーが、抹茶ミルクに対する混合粉末茶含有牛乳1乃至4のミルク臭について評価した。
試験例11の結果を、表8に纏める。
表8に示すように、混合粉末茶含有牛乳は、抹茶ミルクよりもミルク臭が少なかった。
<試験例12:粉末茶添加物分散液K1乃至K6の呈味の評価>
試験例1と同様の方法により、粉末茶添加物分散液K1乃至K6の呈味を評価した。
試験例12の結果を表9に纏める。
表9の「呈味」の列において、「○」は5名のパネラー全員が生茶葉本来の呈味を有していると評価したことを示し、「△」は5名のパネラーのうち2乃至4名が生茶葉本来の呈味を有していると評価したことを示し、「×」は5名のパネラーのうち1名以下が生茶葉本来の呈味を有していると評価したことを示している。
表9に示すように、茶葉を蒸熱するとともに、凍結乾燥後に茶葉を加熱せずに製造した粉末茶添加物の分散液は、生茶葉本来の呈味を有していた。
<試験例13:粉末茶添加物分散液の色の鮮やかさの評価>
以下の方法により、粉末茶添加物を水に分散させてなる粉末茶添加物分散液の色について調べた。
先ず、粉末茶添加物分散液K1乃至K6に対して、分光色彩計(SE2000 日本電色工業株式会社製)を用いてハンターのLab法におけるL、a、及びbを測定した。そして、以下の式3から、粉末茶添加物分散液K1乃至K6の彩度を算出した。
彩度=(a+b1/2 …(式3)
試験例13の結果を、上記表9に纏める。
表9に示すように、凍結乾燥後の加熱及び予備凍結の何れも行わなかった粉末茶添加物分散液は、色が鮮やかであった。
<試験例14:茶葉L乃至Z及びAA乃至ADの水分量の測定並びに粉末茶添加物L乃至Z及びAA乃至ADの製造>
静岡県産のCamellia sinensisの二番茶の生の茶葉Lを、100℃で60秒間にわたって蒸熱した。蒸熱した茶葉の一部に対しては、赤外線水分計(GEキャピタルリーシング株式会社製)を用いて水分量を測定した。
次に、蒸熱した残りの茶葉を、共和式凍結乾燥装置(共和真空技術株式会社製)を用いて、−20℃で凍結させ、凍結容器を13Paまで減圧した。減圧の持続時間は1500分間とした。凍結乾燥させた茶葉の一部に対しては、赤外線水分計(GEキャピタルリーシング株式会社製)を用いて水分量を測定した。
次いで、凍結乾燥させた残りの茶葉をブレンダーDBL247−WH(デロンギ・ジャパン株式会社製)で2分間にわたって粉砕した。粉砕後の茶葉を、目開き106μmの篩で篩分け、篩を通過した粉体を粉末茶添加物Lとした。
また、茶葉Lの代わりに茶葉M乃至Z及びAA乃至ADを用いたこと以外は、粉末茶添加物Lについて説明したのと同様の方法により、茶葉M乃至Z及びAA乃至ADの水分量の測定と、粉末茶添加物M乃至Z及びAA乃至ADの製造とを行った。
<粉末茶添加物分散液L乃至Z及びAA乃至ADの製造>
粉末茶添加物Lを、純水中に、それらの合計100質量部に対して1質量部となるように分散させ、粉末茶添加物分散液Lを得た。
粉末茶添加物Lの代わりに粉末茶添加物M乃至Z及びAA乃至ADを用いたこと以外は、粉末茶添加物分散液Lについて説明したのと同様の方法により、粉末茶添加物分散液M乃至Z及びAA乃至ADを得た。
<混合粉末茶L乃至Tの製造>
粉末茶添加物Lと粉末茶RS20とを、それらの合計100質量部に対して、粉末茶添加物の割合が10質量部、40質量部、60質量部及び80質量部になるように混合してそれぞれ、混合粉末茶L1、L2、L3及びL4を得た。
粉末茶添加物Lの代わりに粉末茶添加物M乃至Tを用いたこと以外は、混合粉末茶L1、L2、L3及びL4について説明したのと同様の方法により、それぞれ、混合粉末茶M1乃至M4、N1乃至N4、O1乃至O4、P1乃至P4、Q1乃至Q4、R1乃至R4、S1乃至S4及びT1乃至T4を得た。
<混合粉末茶分散液L乃至Tの製造>
混合粉末茶L1と純水とを、それらの合計100質量部に対して、混合粉末茶の割合が1質量部となるように混合して、混合粉末茶分散液L1を得た。
混合粉末茶L1の代わりに、混合粉末茶L2乃至L4、M1乃至M4、N1乃至N4、O1乃至O4、P1乃至P4、Q1乃至Q4、R1乃至R4、S1乃至S4及びT1乃至T4を用いたこと以外は、混合粉末茶分散液L1について説明したのと同様の方法により、それぞれ、混合粉末茶分散液L2乃至L4、M1乃至M4、N1乃至N4、O1乃至O4、P1乃至P4、Q1乃至Q4、R1乃至R4、S1乃至S4及びT1乃至T4を得た。
<試験例15:粉末茶添加物分散液L乃至Z及びAA乃至ADの呈味の評価>
試験例1と同様の方法により、粉末茶添加物分散液L乃至Z及びAA乃至ADの呈味を評価した。
<試験例16:粉末茶添加物分散液L乃至Z及びAA乃至ADの色の鮮やかさの評価>
以下の方法により、粉末茶添加物を水に分散させてなる粉末茶添加物分散液の色について調べた。
先ず、粉末茶添加物分散液L乃至Z及びAA乃至ADに対して、分光色彩計(SE2000 日本電色工業株式会社製)を用いてハンターのLab法におけるL、a、及びbを測定した。そして、以下の式4から、粉末茶添加物分散液L乃至Z及びAA乃至ADの彩度を算出した。
彩度=(a+b1/2 …(式4)
試験例14における測定結果並びに試験例15及び16の評価結果を、表10に纏める。なお、表10の「色」の列において、「○」は粉末茶分散液の彩度に対して粉末茶添加物分散液の彩度が大きかったことを示し、「×」は粉末茶分散液の彩度に対して粉末茶添加物分散液の彩度が小さかったか又はそれらが同等であったことを示している。また、「総合」の列において、「○」は色及び呈味の双方が「○」であったことを示し、「×」は色及び呈味の少なくとも一方が「×」であったことを示している。
表10に示すように、粉末茶添加物分散液L乃至Tは、生茶葉本来の呈味を有しており、色の鮮やかさに優れていた。
<試験例17:分散液とした混合粉末茶L乃至Tの呈味の評価>
試験例1と同様の方法により、混合粉末茶分散液L1乃至L4、M1乃至M4、N1乃至N4、O1乃至O4、P1乃至P4、Q1乃至Q4、R1乃至R4、S1乃至S4及びT1乃至T4の呈味を評価した。
<試験例18:分散液とした混合粉末茶L乃至Tの色の鮮やかさの評価>
試験例3と同様の方法により、混合粉末茶分散液L1乃至L4、M1乃至M4、N1乃至N4、O1乃至O4、P1乃至P4、Q1乃至Q4、R1乃至R4、S1乃至S4及びT1乃至T4の色を評価した。
試験例17及び18の結果を、表11に纏める。なお、表11の「色」の列において、「○」は粉末茶分散液の彩度に対して混合粉末茶分散液の彩度が大きかったことを示し、「×」は粉末茶分散液の彩度に対して混合粉末茶分散液の彩度が小さかったか又はそれらが同等であったことを示している。「呈味」の列において、「○」は、5名のパネラー全員が粉末茶添加物を混合した際の混合粉末茶分散液の呈味が良いと評価したことを示し、「△」は、5名のパネラーのうち2乃至4名が粉末茶添加物を混合した際の混合粉末茶分散液の呈味が良いと評価したことを示し、「×」は、5名のパネラーのうち1名以下が粉末茶添加物を混合した混合粉末茶分散液の呈味が良いと評価したことを示している。そして、「総合」の列において、「○」は色及び呈味の双方が「○」であったことを示し、「△」は色及び呈味の一方が「△」であり且つ他方が「○」又は「△」であったことを示し、「×」は色及び呈味の少なくとも一方が「×」であったことを示している。
表11に示すように、混合粉末茶分散液L1乃至L3、M1乃至M3、N1乃至N3、O1乃至O3、P1乃至P3、Q1乃至Q3、R1乃至R3、S1乃至S3及びT1乃至T3は、色及び呈味に優れていた。

Claims (5)

  1. 生の茶葉を、凍結させることなしに蒸熱することと、前記蒸熱に続いて前記茶葉を凍結乾燥に供することと、凍結乾燥後の前記茶葉を粉砕することとを含んだ粉末茶添加物の製造方法。
  2. 前記生の茶葉は、水分量が69.1質量%乃至81.4質量%の範囲内にあるものを使用することと、前記蒸熱は、蒸熱直後の前記茶葉の水分量が69.5%乃至79.5質量%の範囲内になるように行うことと、前記凍結乾燥は、凍結乾燥後の前記茶葉の水分量が2.5質量%乃至5.0質量%になるように行うこととを更に含んだ請求項1に記載の粉末茶添加物の製造方法。
  3. 請求項1又は2の何れか1項に記載の方法によって製造された前記粉末茶添加物と粉末茶とを混合することを含んだ混合粉末茶の製造方法。
  4. 前記粉末茶添加物と前記粉末茶とを、それらの合計100質量部に対して前記粉末茶添加物の割合が10乃至90質量部の範囲内になるように混合する請求項3に記載の混合粉末茶の製造方法。
  5. 請求項3又は4の何れか1項に記載の方法によって製造された前記混合粉末茶と食品素材とを混合することを含んだ混合粉末茶含有食品の製造方法。
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