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JPH09121770A - ペースト茶および粉末茶の製造方法 - Google Patents

ペースト茶および粉末茶の製造方法

Info

Publication number
JPH09121770A
JPH09121770A JP28571195A JP28571195A JPH09121770A JP H09121770 A JPH09121770 A JP H09121770A JP 28571195 A JP28571195 A JP 28571195A JP 28571195 A JP28571195 A JP 28571195A JP H09121770 A JPH09121770 A JP H09121770A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tea
freeze
paste
powdered
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28571195A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshito Saito
義人 斉藤
Tomoyuki Shobu
智之 菖蒲
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Freund Corp
Original Assignee
Freund Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Freund Corp filed Critical Freund Corp
Priority to JP28571195A priority Critical patent/JPH09121770A/ja
Publication of JPH09121770A publication Critical patent/JPH09121770A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 茶飲料における苦味や渋みをなくし、甘味を
も有し、分散性に優れたペースト茶および粉末茶を製造
し得るようにする。 【解決手段】 茶葉原料を粒径が1mm以下となるよう
に予備粉砕し、予備粉砕により得られた粉末茶を液体に
懸濁させた状態で高圧ホモジナイザーにより平均粒径が
10μm以下程度の超微粉末茶に湿式粉砕し、粉砕して
得られた粉末茶を含む懸濁液を凍結脱水することにより
ペースト茶を製造し、凍結脱水に代えて凍結乾燥するこ
とにより粉末茶を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は湯水に対する分散性
にすぐれ、ざらつきや苦味が少なく、甘味のある茶飲料
を得ることができ、食品にも添加することができるペー
スト茶および粉末茶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】茶はその製法により緑茶などの不発酵
茶、ウーロン茶などの半発酵茶および紅茶のような発酵
茶に大別され、緑茶には、煎茶、玉露、抹茶、かまいり
茶、ほうじ茶などのように茶葉原料や製法によって各種
のものがある。これらの茶では、通常、製品茶葉を温水
または熱水中に所定時間浸漬することにより得られた抽
出液が飲用として供されている。抹茶の場合には、茶葉
の微粉末に所定の温度の湯を加え、茶せんでかき回して
泡立てて飲用される。
【0003】煎茶や紅茶を飲用する場合には、湯で茶を
抽出するために、茶こしなどの器具が必要であり、抽出
作業が煩わしい。抽出作業を簡素化するためのティーバ
ッグでも、その準備の手間と抽出後には使用済みのティ
ーバッグを捨てる手間がかかるので、味や香りの点で長
所を有するが、缶入り茶などにおける味、香り、レトル
ト臭の低減などの味についての品質の向上がみられるこ
とも相まって、最近では缶入り緑茶や紅茶などが需要者
に好まれている。
【0004】近年の研究により、茶葉中にはカテキン
(タンニン)類、キサンチン類、フラボノイド、テアニ
ン、ビタミン、アミノ酸などが含まれており、抗ガン作
用、細胞内の脂肪の酸化を抑制する抗酸化作用、血圧降
下作用、抗菌作用、虫歯予防作用などの効能を持つこと
が明らかにされつつあり、茶葉を丸ごと摂取するタイプ
の茶として、粉末茶やペースト茶が見直されるようにな
った。
【0005】茶葉を丸ごと摂取するタイプの茶として
は、茶葉を蒸して乾燥しこれを粉末にした抹茶がある。
しかし、抹茶は、その「渋み」故に、飲料として広く受
入れられていないのみならず、粉砕中における前記各種
成分の酸化を防止することが難しいという欠点がある。
また、抹茶はてん茶を石臼で挽いて粒径が20μm以下
の微粉末としたものであって、微粉粒子間に多量の空気
が包含されているため、注湯しただけでは微粉末が湯に
分散しないので、湯を十分に攪拌することが必要であっ
た。粒径を20μm以下にすると、さらに分散性が悪く
なるので、分散性を良好にするには、粒径を20μm以
上にすることが必要であると知見されていた。
【0006】石臼を用いて微粉末茶を製造するには、微
粉化に時間がかかり、製品は高価なものとなってしま
う。低コストの粉末茶を製造するために、たとえば、特
開昭60-160844 号公報に記載されるように、煎茶などの
荒茶材を乾燥した後にミキサーで粉砕するようにした技
術が開発されている。
【0007】荒茶材をミキサーで粉砕すると、粉砕時に
生じる摩擦熱により茶が劣化するおそれがあることか
ら、特開平6-78674 号公報には、緑茶を冷却した状態で
粉砕機にかけて、150〜200メッシュ程度の粉末茶
を製造する技術が記載されている。特開昭53-62897号公
報は、荒茶を0℃以下に冷却し、低温粉砕機により50
メッシュ以下の粉末茶を製造し、これを造粒機により顆
粒状にするようにした技術が開示されている。
【0008】これらの公報に記載されている程度のメッ
シュの粉末茶では、メッシュが粗いためテクスチャーが
好ましくなく、苦味が強いという欠点がある。
【0009】特開平6-62737 号公報は、原料茶を5〜7
℃に保ち、これをハンマーを用いた衝撃粉砕により粒子
の大きさが3〜100μm程度で、粒形が丸みを帯びな
い粉茶を製造するようにした技術を開示している。この
方法により得られた粉茶は、粒径が20μm以下では、
ティーバッグ用として時間をかけて抽出するのには向い
ているが、湯の中に直接この粉茶を入れる方法で飲用す
ることは、粉茶が「だま」になり、実用的ではなく、ま
た他の乾式粉砕茶と同様に苦味が強かった。
【0010】特開平1-269451号公報は、茶葉を低温で長
時間かけてゆっくりと焙煎した後、これを粉砕機にかけ
て粒径が30〜40μmの微粉茶を製造する方法を開示
している。粉砕法は茶葉を焙煎した後に粉砕することか
ら、乾式粉砕であると考えられる。
【0011】特開平7-67532 号公報は、乾燥した緑茶葉
を200メッシュ以上に微粉砕し、実質的に水を含まな
い溶媒と混合するようにした緑茶ペーストの製造方法を
開示する。この公報には、150メッシュ以下の粗い粉
末では緑茶ペーストの舌触りが悪く、200メッシュ以
上に粉砕するとなめらかな感触のペーストが得られ、3
00メッシュ以上の超微粉末にする粉末特有のざらつき
や異物感は全く感じられず、きめの細かいテクスチャー
を持つ粉末が得られると記載されている。
【0012】この製造方法における粉砕機は、ピンミル
型などの乾式粉砕機であると思料され、茶葉を超微粉砕
化すると、水への分散性が悪いため、水以外の溶媒と混
合させるようにしている。
【0013】しかしながら、緑茶にエタノール、プロピ
レンゴリコール、グリセンリなどの溶媒を混合させてい
るので、緑茶以外の他の味、香りを呈する物質が入り込
み、緑茶本来の味、香り、こく、苦味などのテクスチャ
ーが変化することになる。したがって、このペースト茶
は、緑茶の味を変化させてしまうという点で好ましくな
い場合がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように、これまで
は茶葉を粉末化して微粉末茶を製造する技術は、全て乾
式であり、乾式では茶葉を微粉化しても、それを飲用に
供する際には、粉末茶の微粒子間に多量の空気が包含さ
れており、湯水に分散しにくいという問題点があった。
【0015】本発明は湿式粉砕によって茶葉を超微粉末
茶にし、湿式粉砕する際に使用した水分を利用して、そ
の懸濁液を凍結乾燥ないし凍結脱水すると、分散性のみ
ならず、従来の茶にあっては不可避となっている苦味や
渋みをなくし、甘味を有する茶飲料を得ることができる
との知見に基づいてなされたものである。
【0016】本発明の目的は、茶飲料における苦味や渋
みをなくし、甘味をも有する茶飲料を製造し得るように
することにある。
【0017】本発明の他の目的は、湯水に対する分散性
に優れたペースト茶および粉末茶を製造し得るようにす
ることにある。
【0018】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかに
なるであろう。
【0019】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
以下のとおりである。
【0020】すなわち、本発明は従来では殆ど顧みられ
なかった湿式粉砕により茶葉原料を粉砕し、粉砕して得
られた粉末茶を含む懸濁液を凍結脱水してペースト茶を
製造する。また、本発明は茶葉原料を粒径が1mm以
下、好ましくは300μm以下となるように乾式粉砕に
より予備粉砕し、予備粉砕により得られた粉末茶を液体
に懸濁させた状態で高圧ホモジナイザーにより平均粒径
が10μm以下程度の粉末茶つまり超微粉末茶に粉砕
し、この湿式粉砕により得られ微粉末茶を含む懸濁液を
凍結脱水し、ペースト茶を製造する。さらに、本発明は
湿式粉砕により得られ粉末茶を含む懸濁液を凍結乾燥し
て水分を除去することにより粉末茶を製造する。微粉末
茶を製造する際にも、高圧ホモジナイザーを用いて湿式
粉砕を行うことができる。
【0021】本発明に用いられる茶葉原料としては、煎
茶、番茶などの緑茶が好適であるが、ウーロン茶、紅茶
などの緑茶以外の茶葉にも適用することができる。茶葉
原料としては、乾燥前の生茶、自然乾燥あるいは機械的
に乾燥した後の荒茶および商品として販売される仕上げ
茶を使用することができる。
【0022】この乾燥された茶葉原料は、予備粉砕され
た後に、湿式粉砕機により超微粉末に粉砕される。この
湿式粉砕機としては、高圧ホモジナイザーを用いること
ができる。高圧ホモジナイザーとは、たとえば、高圧下
が液体を細孔から噴出して相互に衝突させることによ
り、乳濁液滴や懸濁粒子を微細化する装置を言い、たと
えば、高圧にした液体を細孔から噴出して相互に衝突さ
せた際の急激な圧力低下によるキャビテーションの発
生、超音速に達する細孔通過時の剪断力、衝突による衝
撃などの併合作用を利用して乳濁液や懸濁粒子を微細化
する一種のライン式乳化、分散、粉砕装置であり、ナイ
マイザー株式会社製、商品名「ナノマイザーLA33」
や、みづほ工業株式会社製、商品名「マイクロフルイタ
イザーM110−E/E」などを使用することができ
る。他には、懸濁液を壁の上下2方向に分け、細い間隙
に通過させ、引き裂き力を用いてキャビテーションを発
生させるタイプであるゴーリン・ホモジナイザー(商品
名)も用いることができる。これまでは、これを茶葉の
粉砕に利用した例は知られておらず、この湿式粉砕機に
よって、茶葉原料は、粒子が10μm以下の超微粉末茶
に粉砕される。
【0023】湿式粉砕機としては、高圧ホモジナイザー
以外に、湿式で粒子を10μm以下に粉砕し得るもので
あれば特に限定されず、たとえば、遊星型ボールミル、
振動ボールミル、超音波ボールミル、コロイドミルなど
を使用することができる。
【0024】高圧ホモジナイザーで茶葉を処理する前に
おける予備粉砕にあっては、予め茶葉を粒径1mm以
下、好ましくは、0.2mm以下に粉砕する。この予備
粉砕の方法は特に限定されず、たとえば、従来使用され
ている乾式粉砕装置を使用することができる。高圧ホモ
ジナイザーに対しては、予備粉砕された茶葉を、水また
は水を主成分とする液中に懸濁して導入される。懸濁液
の茶葉濃度は、0.1〜50重量%、好ましくは0.5
〜10重量%とする。高圧ホモジナイザーの運転条件は
機種によっても相違があるので一慨には言えないが、圧
力300kg/cm2以上で処理するのが良く、また1回の処
理で十分な効果が得られないときは、繰り返して数回な
いし十数回処理する。
【0025】湿式粉砕により粒子が10μm以下の超微
粉末茶となった粉末茶を含む懸濁液を凍結乾燥すること
により粉末茶が得られ、凍結脱水することによりペース
茶が得られる。
【0026】凍結乾燥は0℃の氷を水蒸気圧4.5mmHg
以下の減圧状態に保つことにより、氷となった凝縮液の
水分を昇華して脱水するものであり、理論的には4.5
mmHg(5.9×10-3気圧)以下であれば、凍結状態の
凝縮液中の水分を除去して、粉末茶を製造することが可
能である。
【0027】粉末茶となるまで凍結乾燥することなく、
凍結乾燥の途中でその処理を停止すると、所定の含水分
量を有し、ペースト状の茶を得ることができる。このよ
うに、凍結乾燥処理を処理の途中で停止する操作をこの
明細書においては、「凍結脱水」と呼ぶ。
【0028】粉末茶を含む懸濁液を凍結乾燥するには、
たとえば、この懸濁液を容器に注入し、この容器を凍結
乾燥装置に付属して設けられた予備凍結槽内に搬入して
予備凍結する。予備凍結槽内には、たとえば−50℃程
度に冷却された不凍液メタノールが収納されており、こ
れにより容器内の懸濁液は予備凍結される。
【0029】予備凍結処理により凍結状態となった凝縮
液を凍結乾燥装置と接続すると、容器内の指示圧力は
0.12mmHg(1.6×10-4気圧)まで下がって落ち
着く。このときには、水の昇華が始まり、昇華した水分
が装置内に滞留して圧力が上昇する一方、昇華した水分
がコールドトラップにより氷結して圧力が低下し、0.
12mmHgで平衡状態を保つ。
【0030】しかし、脱水が進むにつれて、昇華した水
分量が減少してくることにより、平衡状態が崩れるた
め、装置内はさらに真空に近づき、ほぼ平衡が終了する
頃には指示圧力が0.04mmHg付近まで低下すると考え
られる。
【0031】脱水が終了したか否は、容器内の圧力が最
低到達真空度となったか否かで判断することができる
が、容器内の温度が室温になったか否かで脱水完了を判
断するようにしても良く、後者の判断方式の方が、最低
到達真空度で判断するよりも短時間で判断できるという
利点がある。
【0032】凍結乾燥の処理を行うと、水分含有率が1
0重量%以下のレベルまで乾燥された超微粉末茶が得ら
れるが、1〜5重量%まで乾燥することが好ましい。た
とえば、3重量%程度まで乾燥すると、乾燥物のかたま
りをほくずだけで、粉末茶となる。
【0033】凍結乾燥処理を行う過程の途中で凍結乾燥
を停止すると、上述のように、凍結脱水することができ
るが、凍結乾燥が完了する前の所定の時間で凍結乾燥を
停止することにより、任意の含水率を有するペースト茶
を得ることができる。このようにして得られたペースト
茶を再度凍結乾燥することによっても、粉末茶を得るこ
とができる。
【0034】ペースト茶は、凍結脱水した後にチューブ
などに詰められるので、チューブに詰めることが可能な
含水分量としては、超微粉砕された粉末茶の粒度にもよ
るが、60〜79重量%程度の含水分量とすることが好
ましい。含水分量79重量%の場合には、25℃のと
き、B型粘度計ではペースト茶の粘度は26Pa ・Sで
あり、チューブに詰めることが可能であった。
【0035】チューブ詰めに最適な範囲としては、含水
分量が65〜77重量%の範囲であり、粘度は53Pa
・S以上である。たとえば、含水分量が85重量%にな
ると、粘度は5Pa ・Sとなり、やっとペースト状態を
維持し得る程度になる。これらの数値は、湿式粉砕機の
種類や使用条件そして茶葉の粒度などによって異なる
が、ペースト状態を維持し得る含水量であれば、制限さ
れるものではない。
【0036】本発明のペースト茶および粉末茶は、湿式
で超微粉末茶に粉砕するので、従来のように乾式により
微粉砕する場合に比べて、ざらつき、苦味および渋みが
少なく、甘味が多いという予想しない効果が得られた。
【0037】従来の常識では、超微粉末化すると溶解し
にくいと考えられていたが、水や湯に対する分散性つま
り易溶性に優れ、攪拌しないでも茶飲料にできるという
効果がある。
【0038】ペースト茶および粉末茶のいずれも茶葉の
抽出液のみならず、茶殻をも含有するので、茶葉に含有
する有効成分を摂取では、カテキン類やビタミン類など
の効果が期待できる。
【0039】さらに、茶葉を微粉砕するので抽出量が多
くなり、ペースト茶や粉末茶の量は、同一有効成分量を
摂取するのに少ない量で済み、経済的である。
【0040】
【実施例】
(実施例1)やぶたき茶(静岡県産)の製茶を乾燥させ
た後、遠心粉砕機で粒径が125μm以下、中位径が6
5μmに予備粉砕して遠心粉砕茶を製造し、これを水に
対して5%の割合で懸濁させた。この懸濁液を湿式の超
微粉砕機である高圧ホモジナイザー(ナノマイザー株式
会社製の商品名ナノマイザーLA33)で、1000kg
/cm2の圧力により10回繰り返して処理し、超微粉末茶
の懸濁液つまり高圧ホモジナイザー処理の懸濁液を得
た。
【0041】このようにして得られた超微粉末茶と市販
の抹茶の粒度分布をレーザー粒度分布測定器(東日コン
ピュータアプリケーションズ株式会社製)で測定したと
ころ、図1および図2の通りとなった。それぞれの中位
径(D50)は、超微粉末茶が3.6μmで、市販抹茶が
5.9μmであった。
【0042】超微粉末茶を含む懸濁液を真空凍結乾燥機
(池田理化株式会社製)を用いて、10-4気圧、コール
ドトラップ−50℃の条件で凍結脱水し、含水分量が7
5重量%になるまで乾燥させて、脱水しペースト茶を得
た。このペースト茶の粘度はB型粘度計で25℃におい
て58Pa ・Sであった。このペースト茶2gに80℃
の湯水250mlを加えて攪拌したところ、ペースト茶
の中の超微粉末茶はほぼ分散されて良好な分散状態とな
った。これを試飲したところ、その風味は、表1に示さ
れるように、ざらつきや苦味および渋みが抑えられ、甘
味が感じられるという良好な結果であった。表1はパネ
リスト10人(男5人、女5人)に同時に試飲させて評
価した風味テストの結果であり、表中の数字は人数を示
す。
【0043】このようにしたペースト茶の製造工程を示
すと、図3(a)の通りである。
【0044】(実施例2)実施例1のペースト茶をさら
に凍結乾燥して、粉末茶のかたまりを得た。このかたま
りをほぐすと、粉末茶が得られた。この粉末茶を105
℃乾燥器を用いて加熱減量により含水分量を測定したと
ころ、2重量%であった。ただし、高圧ホモジナイザー
により超微粉末化された粉末茶の懸濁液を、凍結乾燥す
ることによって、直接的に粉末茶を製造するようにして
も良い。この場合の粉末茶の製造工程を示すと、図3
(b)の通りである。ペースト茶を用いて粉末茶を製造
する際には、凍結脱水して得られているペースト茶を再
度凍結乾燥装置に搬入することになる。
【0045】この粉末茶0.5gに80℃の湯水250
mlを加えたところ、粉末茶は湯水のすぐに分散し良好
な分散状態であった。それを試飲したところ、表1に示
すように、その風味はざらつき、苦味および渋みが抑え
られ、甘味が感じられるという結果であった。
【0046】(実施例3)実施例2の粉末茶を80℃の
湯水に代えて25℃の水を用いて同様の試験をしたとこ
ろ、粉末茶は水にほぼ分散し、1〜2mmの大きさの
「だま」が1つだけ水面に浮かんだが、ガラス棒で攪拌
するだけで完全に分散し、試飲したところ、表1に示す
ように、その風味はざらつき、苦味および渋みを抑え、
甘味が感じられるという良好な結果であった。
【0047】(分散性の試験結果)実施例1で予備粉砕
された遠心粉砕茶を水に対して5%の割合で懸濁させ
た。この懸濁液を凍結乾燥して得られた凍結乾燥粉末茶
をビーカーに入れ、これに25℃の水を注いだところ、
1〜2mmの大きさの「だま」がビーカーの底面に3,
4個沈殿し、水面にも同様の「だま」が1つ浮いた。攪
拌しても「だま」は分散しなかった。同様の凍結乾燥粉
末茶に80℃の湯水を注いだところ、ほぼ分散した。
【0048】また、遠心粉砕茶を凍結脱水して含水分量
75重量%の凍結脱水ペースト茶をを製造し、これをビ
ーカーに入れて、25℃の水を注いだところ、1cmの
大きさの「だま」がビーカーの底面に3,4個沈殿し、
3〜4mmの大きさの「だま」が多数みられた。これら
は攪拌しても分散しなかった。同様の凍結脱水ペースト
茶に80℃の湯水を注いでも、4〜5mmの大きさの
「だま」が多数ビーカーの底面に残り、攪拌しただけで
は、「だま」は分散しなかった。
【0049】このように、平均粒径が10μm以下の超
微粉末茶を含む懸濁液を凍結乾燥した場合と、平均粒径
が65μm程度の粉末茶を含む懸濁液を凍結乾燥ないし
凍結脱水した場合とを比較すると、超微粉末茶を凍結乾
燥した方が、これよりも粒径の大きな粉末茶に比して分
散性が良好であり、ペースト茶と粉末茶とを比較する
と、粉末茶の方が分散性が良いと言える。
【0050】(比較例1)実施例1の予備粉砕により得
られた遠心粉末茶に、水分が75重量%となるまで水を
混合してペースト茶を得た。このペースト茶2gに80
℃の湯水250mlを加えて攪拌したところほぼ分散さ
れ、良好な分散結果となった。しかしながら、これを試
飲したところ、表1に示すように、ざらつきや苦味およ
び渋みが目立ち、甘味が感じられなかった。
【0051】(比較例2)実施例1の予備粉砕により得
られた遠心粉末茶0.25gに80℃の湯水500ml
を加えたところ、すぐに分散したが、粒径の大きな茶葉
粉末が5分以内に沈殿した。これを試飲したところ、そ
の風味は、表1に示すように、ざらつき、苦味および渋
みが目立ち、甘味は感じられなかった。
【0052】(比較例3)80℃の湯水に代えて25℃
の水を用いたほかは比較例2と同様に試験したところ、
茶葉は水底に残り、攪拌すると水面に直径1mmの「だ
ま」が浮いた。これを試飲したところ、その風味は、表
1の結果からわかるように、ざらつき、苦味および渋み
が目立ち、甘味が感じられないという悪い結果となっ
た。
【0053】(比較例4)遠心粉砕茶に代えて抹茶を用
いたほかは、比較例2と同様に試験したところ、湯水の
底に3〜4mmの大きさの「だま」が残った。攪拌して
も「だま」が残り、分散性が悪かった。
【0054】(比較例5)比較例4と同様に抹茶を用
い、80℃の湯水に代えて25℃の水を用いたほかは、
比較例4と同様の試験をしたところ、水底に1〜2mm
の大きさの「だま」が残り、水面に3〜4mmの大きさ
の「だま」が残った。これを攪拌しても、「だま」が残
り、分散性が悪かった。
【0055】(比較例6)実施例1で得られた高圧ホモ
ジナイザー処理懸濁液を真空乾燥機を用いて、25℃の
条件で真空乾燥して水分が75重量%になるまで脱水し
て、ペースト茶を得た。このペースト茶2gに80℃の
湯水を250ml加えて攪拌したところ、分散が悪く、
茶葉の微粉末がすぐに沈殿してしまった。色相は薄い麦
茶の色調であり、褐変が進んでいることがわかった。こ
れを試飲したところ、味も香りもなく、ざらつき感だけ
であった。
【0056】(比較例7)比較例6で得られたペースト
茶をさらに常温で真空乾燥して粉末茶を得た。この粉末
茶0.5gに80℃の湯水250mlを加えて攪拌した
ところ、結果はいずれも、比較例6と同様であった。
【0057】(比較例8)遠心粉砕茶0.5gに80℃
の湯水を250ml入れ、実施例1の条件で凍結脱水
し、水分が75重量%になるまで脱水してペースト茶を
得た。このペースト茶2gに80℃の湯水250ml加
えて攪拌したところ、分散性が悪く、4〜5mmの大き
さの「だま」が多数底に沈殿していまい、攪拌しても
「だま」は分散しなかった。試飲したところ、比較例1
と同様にざらつき感があり、苦味および渋みが目立ち、
甘味が感じられないという悪い結果になった。
【0058】(比較例9)比較例8のペースト茶をさら
に凍結乾燥して粉末茶を得た。この粉末茶0.5gに8
0℃の湯水250mlを加えたところ、攪拌しなくても
分散した。しかし、試飲したところ、比較例8と同様の
結果であった。
【0059】
【表1】
【0060】以上、本発明者によってなされた発明を実
施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例
に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲
で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえ
ば、実施例では乾燥後の荒茶を茶葉原料として使用して
いるが、乾燥前の生茶や製品として販売されている仕上
げ茶を茶葉原料とすることも可能である。
【0061】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代
表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、
以下のとおりである。
【0062】(1).ざらつき、苦味および渋みが少なく、
甘味が多いペースト茶や粉末茶が得られた。
【0063】(2).湯や水に対する分散性が良好であり、
攪拌しないでも、茶飲料とすることができるペースト茶
および粉末茶が得られた。
【0064】(3).茶殻に含有する有効成分をも摂取する
ことができる。
【0065】(4).抽出量が多くなるので、ペースト茶お
よび粉末茶は、同一有効成分を少ない量で済み、経済的
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】湿式粉砕により得られた超微粉末の粉末茶の粒
度分布を示すグラフである。
【図2】市販抹茶の粒度分布を示すグラフである。
【図3】(a)は本発明のペースト茶の製造工程を示す
フローチャートであり、(b)は本発明の粉末茶の製造
工程を示すフローチャートである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 茶葉原料を粉砕し、粉砕して得られた粉
    末茶を含む懸濁液を凍結脱水することを特徴とするペー
    スト茶の製造方法。
  2. 【請求項2】 茶葉原料を粒径が1mm以下となるよう
    に予備粉砕し、予備粉砕により得られた粉末茶を液体に
    懸濁させた状態で高圧ホモジナイザーにより平均粒径が
    10μm以下程度の超微粉末茶に湿式粉砕し、粉砕して
    得られた粉末茶を含む懸濁液を凍結脱水することを特徴
    とするペースト茶の製造方法。
  3. 【請求項3】 茶葉原料を粉砕し、粉砕して得られた粉
    末茶を含む懸濁液を凍結乾燥することを特徴とする粉末
    茶の製造方法。
  4. 【請求項4】 茶葉原料を粒径が1mm以下となるよう
    に予備粉砕し、予備粉砕により得られた粉末茶を液体に
    懸濁させた状態で高圧ホモジナイザーにより平均粒径が
    10μm以下程度の超微粉末茶に湿式粉砕し、粉砕して
    得られた粉末茶を含む懸濁液を凍結乾燥することを特徴
    とする粉末茶の製造方法。
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