JP2018088797A - モータ制御装置、モータ制御方法、プログラム及び位相調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータ軸位置のずれを適切に補償して、電流歪み、過電流異常、脱調等の不具合を抑制可能なモータ制御装置を提供する。【解決手段】インバータ2を通じてモータMを制御するモータ制御装置1は、回転数の指令値と、モータ電流の検出値とを入力して、ベクトル制御に基づくインバータ出力電圧の指令値を出力するベクトル制御部10と、モータ電流の検出値、及び、インバータ出力電圧の指令値に基づいてモータの検出電力を算出する検出電力演算部12と、回転数の指令値、モータ電流の検出値、及び、予め規定されたモータ定数に基づいてモータの推定電力を算出する推定電力演算部11と、推定電力に対する検出電力の比に基づいて、インバータ出力電圧の位相を調整する出力電圧補償部15と、を備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、モータ制御装置、モータ制御方法、プログラム及び位相調整方法に関する。
一般に、インバータを用いたモータのベクトル制御においては、予め求められたモータ定数を用いてインバータの出力電圧を演算し、電流ベクトル(磁束電流成分及びトルク電流成分)を制御する(例えば、特許文献1参照)。
また、モータ軸位置、モータ軸回転数(ロータの回転位置、回転速度)等を検出するためのセンサを搭載しないセンサレスベクトル制御の分野においては、インバータ出力電圧の指令値に対応するモータ電流の検出値から、ロータの回転速度及び回転位置を推定する技術が知られている。
また、モータ軸位置、モータ軸回転数(ロータの回転位置、回転速度)等を検出するためのセンサを搭載しないセンサレスベクトル制御の分野においては、インバータ出力電圧の指令値に対応するモータ電流の検出値から、ロータの回転速度及び回転位置を推定する技術が知られている。
上述のセンサレスベクトル制御の場合、CPU(マイコン)が推定するモータ軸位置と実際のモータ軸位置との間にずれが生じ得る。この現象の要因の一つには、モータが磁束飽和する高負荷運転時にて、モータ定数の一つであるモータインダクタンスが低減し、CPU(マイコン)に予め記録されているモータインダクタンスとの間にずれが生じることが挙げられる。
具体的には、磁束飽和により実際のモータインダクタンスが、ベクトル制御演算に用いているモータインダクタンス(CPUに記録されたモータインダクタンス)よりも小さくなるために、モータから実際に出力されるトルクが、CPUが想定するトルクよりも小さくなる。そのため、モータ軸位置が、CPUが推定するモータ軸位置よりも遅れ気味になる。
他方、CPUは、あくまで自己の推定結果に基づいてインバータ出力電圧の指令を行う。そのため、CPUが推定するモータ軸位置と実際のモータ軸位置との間のずれが大きくなると、電流歪み、過電流異常、脱調等の不具合が生じ得る。
この課題に対しては、実際のモータ軸位置の遅れの度合いを把握して、当該遅れの度合いに応じてインバータ出力電圧の位相を遅らせる、という対策が考えられる。しかしながら、そもそもモータ軸位置を検出可能なセンサを搭載しない前提では、モータ軸位置が遅れていること、及び、どれだけ遅れているかを認識することができない。
加えて、モータ軸位置の遅れの度合いは、モータの負荷条件や環境条件、特性のバラつきなどで変化する。そのため、インバータ出力電圧の位相を一定量だけずらす、という制御でモータ軸位置のずれを補償するのは難しい。
他方、CPUは、あくまで自己の推定結果に基づいてインバータ出力電圧の指令を行う。そのため、CPUが推定するモータ軸位置と実際のモータ軸位置との間のずれが大きくなると、電流歪み、過電流異常、脱調等の不具合が生じ得る。
この課題に対しては、実際のモータ軸位置の遅れの度合いを把握して、当該遅れの度合いに応じてインバータ出力電圧の位相を遅らせる、という対策が考えられる。しかしながら、そもそもモータ軸位置を検出可能なセンサを搭載しない前提では、モータ軸位置が遅れていること、及び、どれだけ遅れているかを認識することができない。
加えて、モータ軸位置の遅れの度合いは、モータの負荷条件や環境条件、特性のバラつきなどで変化する。そのため、インバータ出力電圧の位相を一定量だけずらす、という制御でモータ軸位置のずれを補償するのは難しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、モータ軸位置のずれを適切に補償して、電流歪み、過電流異常、脱調等の不具合を抑制可能なモータ制御装置、モータ制御方法、プログラム及び位相調整方法を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、モータ制御装置は、インバータを通じてモータを制御するモータ制御装置であって、回転数の指令値と、モータ電流の検出値とを入力して、ベクトル制御に基づくインバータ出力電圧の指令値を出力するベクトル制御部と、前記モータ電流の検出値、及び、前記インバータ出力電圧の指令値に基づいてモータの検出電力を算出する検出電力演算部と、前記回転数の指令値、前記モータ電流の検出値、及び、予め規定されたモータ定数に基づいてモータの推定電力を算出する推定電力演算部と、前記推定電力に対する前記検出電力の比に基づいて、前記インバータ出力電圧の位相を調整する出力電圧補償部と、を備える。
また、本発明の第2の態様によれば、前記出力電圧補償部は、前記推定電力に対する前記検出電力の比が予め規定された目標値に一致するように、前記インバータ出力電圧の位相を調整する。
また、本発明の第3の態様によれば、前記出力電圧補償部は、前記インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を加算し、前記インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に前記補償量を減算することで位相を遅らせる。
また、本発明の第4の態様によれば、モータ制御方法は、インバータを通じてモータを制御するモータ制御方法であって、回転数の指令値と、モータ電流の検出値とを入力して、ベクトル制御に基づくインバータ出力電圧の指令値を出力するベクトル制御ステップと、前記モータ電流の検出値、及び、前記インバータ出力電圧の指令値に基づいてモータの検出電力を算出する検出電力演算ステップと、前記回転数の指令値、前記モータ電流の検出値、及び、予め規定されたモータ定数に基づいてモータの推定電力を算出する推定電力演算ステップと、前記推定電力に対する前記検出電力の比に基づいて、前記インバータ出力電圧の位相を調整する出力電圧補償ステップと、を有する。
また、本発明の第5の態様によれば、プログラムは、インバータを通じてモータを制御するモータ制御装置のコンピュータを、回転数の指令値と、モータ電流の検出値とを入力して、ベクトル制御に基づくインバータ出力電圧の指令値を出力するベクトル制御部、前記モータ電流の検出値、及び、前記インバータ出力電圧の指令値に基づいてモータの検出電力を算出する検出電力演算部、前記回転数の指令値、前記モータ電流の検出値、及び、予め規定されたモータ定数に基づいてモータの推定電力を算出する推定電力演算部、前記推定電力に対する前記検出電力の比に基づいて、前記インバータ出力電圧の位相を調整する出力電圧補償部、として機能させる。
また、本発明の第6の態様によれば、位相調整方法は、インバータ出力電圧の位相を調整する位相調整方法であって、前記インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を加算し、前記インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に前記補償量を減算することで位相を遅らせるステップ、及び、前記インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を減算し、前記インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に前記補償量を加算することで位相を早めるステップのうち少なくとも何れか一方を有する。
上述のモータ制御装置、モータ制御方法、プログラム及び位相調整方法によれば、モータ軸位置のずれを適切に補償して、電流歪み、過電流異常、脱調等の不具合を抑制できる。
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係るモータ制御装置について、図1〜図6を参照しながら説明する。
以下、第1の実施形態に係るモータ制御装置について、図1〜図6を参照しながら説明する。
(モータ制御装置の全体構成)
図1は、第1の実施形態に係るモータ制御装置の全体構成を示す図である。
図1は、第1の実施形態に係るモータ制御装置の全体構成を示す図である。
図1に示すように、モータ制御装置1は、インバータ2を通じてモータMを制御するモータ制御装置である。第1の実施形態においては、モータ制御装置1は、例えばCPU(マイコン)等であって、予め記録されたプログラムに従って動作することで、以下に説明する各種機能を発揮する。
また、インバータ2は、一般に知られているインバータ回路であって、モータ制御装置1から、PWM制御に基づくデューティ指令値を受け付けて、当該デューティ指令値に応じた交流電圧(インバータ出力電圧)をモータMに出力する。
また、インバータ2は、一般に知られているインバータ回路であって、モータ制御装置1から、PWM制御に基づくデューティ指令値を受け付けて、当該デューティ指令値に応じた交流電圧(インバータ出力電圧)をモータMに出力する。
モータ制御装置1は、ベクトル制御部10と、推定電力演算部11と、検出電力演算部12と、Duty出力部13と、直流電圧検出回路14と、出力電圧補償部15と、モータ電流検出回路16と、A/D変換器17とを備えている。
ベクトル制御部10は、回転数の指令値(以下、「回転数指令値ω_cmd」と表記する。)と、モータ電流の検出値(iu、iv、iw)とを入力して、ベクトル制御に基づくインバータ出力電圧の指令値(vu、vv、vw)を出力する。回転数指令値ω_cmdは、上位のコントローラから入力される指令値であって、モータMの単位時間当たりの回転数(回転速度)を示す指令値である。
推定電力演算部11は、モータMで消費される電力の推定値である推定電力Power_refを演算する。推定電力演算部11は、回転数指令値ω_cmd、モータ電流の検出値(id、iq)、及び、予め規定されたモータ定数に基づいてモータの推定電力Power_refを算出する。
より具体的には、推定電力演算部11は、以下の式(1)に基づいて推定電力Power_refを算出する。
より具体的には、推定電力演算部11は、以下の式(1)に基づいて推定電力Power_refを算出する。
式(1)において、“α”はトルク定数、“β”は銅損係数であり、いずれもモータ定数である。また、“id”はモータ電流のうちd軸電流成分(磁束電流成分)であり、“iq”はモータ電流のうちq軸電流成分(トルク電流成分)である。d軸電流成分Id及びq軸電流成分Iqは、ベクトル制御部10の処理(ベクトル制御)の過程で算出される二相のモータ電流の検出値であって、モータ電流検出回路16から直接検出される三相のモータ電流の検出値(iu、iv、iw)に基づいて算出される(詳細は後述する)。
検出電力演算部12は、モータMで消費される電力の検出値である検出電力Power_slを演算する。検出電力演算部12は、モータ電流の検出値(iu、iv、iw)、及び、インバータ出力電圧の指令値(vu、vv、vw)に基づいてモータMの検出電力を算出する。
より具体的には、検出電力演算部12は、以下の式(2)に基づいて検出電力Power_slを算出する。
より具体的には、検出電力演算部12は、以下の式(2)に基づいて検出電力Power_slを算出する。
式(2)において、“vd”はモータMに印加すべき電圧のうちd軸電圧成分の指令値であり、“vq”はモータMに印加すべき電圧のうちq軸電圧成分の指令値である。d軸電圧成分の指令値vd及びq軸電圧成分の指令値vqは、ベクトル制御部10の処理の過程で算出される二相のインバータ出力電圧の指令値であって、モータMに直接出力すべき三相のインバータ出力電圧の指令値(vu、vv、vw)の基となる電圧の指令値である。
Duty出力部13は、直流電圧検出回路14が検出した直流電圧Vdcに基づいて、ベクトル制御部10が算出したインバータ出力電圧の指令値(vu、vv、vw)を、PWM制御に基づくDuty指令値(duty_u、duty_v、duty_w)に変換する。
直流電圧検出回路14は、図示しない直流電源(コンバータ)が出力する直流電圧Vdcを検出し、検出結果をDuty出力部13に出力する。
直流電圧検出回路14は、図示しない直流電源(コンバータ)が出力する直流電圧Vdcを検出し、検出結果をDuty出力部13に出力する。
出力電圧補償部15は、推定電力Power_refに対する検出電力Power_slの比である位相調整率γ(γ=Power_sl/Power_ref)[%]に基づいて、インバータ出力電圧の位相を調整する。出力電圧補償部15の機能の詳細については後述する。
モータ電流検出回路16は、モータMに流れる三相の交流電流(モータ電流)を検出する。モータ電流検出回路16によって検出されたモータ電流は、A/D変換器17を通じて、モータ電流の検出値(iu、iv、iw)としてベクトル制御部10に入力される。
(ベクトル制御部の機能構成)
図2は、第1の実施形態に係るベクトル制御部の機能構成を示す図である。
第1の実施形態に係るベクトル制御部10は、モデル規範適応システム(Model Reference Adaptive System)理論に基づくベクトル制御(以下、「MRASフルベクトル制御」とも記載する。)を行う。
図2は、第1の実施形態に係るベクトル制御部の機能構成を示す図である。
第1の実施形態に係るベクトル制御部10は、モデル規範適応システム(Model Reference Adaptive System)理論に基づくベクトル制御(以下、「MRASフルベクトル制御」とも記載する。)を行う。
図2に示すように、ベクトル制御部10は、速度PI制御部100と、トルク/電流変換部101と、電流PI制御部102と、電流推定部103と、速度推定部104と、ローパスフィルタ105と、軸位置推定部106と、二相/三相変換部107と、三相/二相変換部108と、を備えている。
速度PI制御部100は、速度推定部104によって推定された回転数(回転数推定値ωes)を、上位から入力された回転数指令値ω_cmdに一致させるように比例積分制御を行う。具体的には、速度PI制御部100は、回転数指令値ω_cmdと回転数推定値ωesとの偏差に応じたトルク指令値t_cmdを出力する。
トルク/電流変換部101は、速度PI制御部100から入力したトルク指令値t_cmdをモータ電流指令値(id*、iq*)に変換する。ここで、モータ電流指令値(id*、iq*)は、トルク指令値t_cmdに示されるトルクを達成するためにモータMに流すべきモータ電流の各成分である。
電流PI制御部102は、モータ電流の検出値(id、iq)を、モータ電流指令値(id*、iq*)に一致させるように比例積分制御を行う。具体的には、電流PI制御部102は、回転数指令値ω_cmdと回転数推定値ωesとの偏差に応じたインバータ出力電圧の指令値(vd、vq)を出力する。
電流推定部103は、インバータ出力電圧の指令値(vd、vq)を入力して、ルンゲクッタ法に基づく電流推定を行い、モータ電流の推定値(id_est、iq_est)を出力する。
速度推定部104は、電流推定部103が推定したモータ電流の推定値(id_est、iq_est)と、モータ電流の検出値(id、iq)とを入力し、これらの偏差に基づいて、回転数推定値ωesを出力する(MRASフルベクトル制御に基づく電流推定部103、速度推定部104の機能の詳細については、特許第5422435号を参照)。
ローパスフィルタ105は、フィードバック制御(PI制御)の安定性を確保するため、回転数推定値ωesの高周波成分を除去する。
軸位置推定部106は、速度推定部104が算出した回転数推定値ωesを積分して、モータ軸位置の推定値である位相θを出力する。
二相/三相変換部107は、軸位置推定部106によって推定されたモータ軸位置(位相θ)に基づいて、二相のインバータ出力電圧の指令値(vd、vq)を三相のインバータ出力電圧の指令値(vu、vv、vw)に変換する。
三相/二相変換部108は、軸位置推定部106によって推定されたモータ軸位置(位相θ)に基づいて、三相のモータ電流の検出値(iu、iv、iw)を二相のモータ電流の検出値(id、iq)に変換する。
なお、ベクトル制御部10が実行するベクトル制御は、上述の「MRASフルベクトル制御」に限定されることはない。他の実施形態においては、その他、一般的に知られているセンサレスベクトル制御であってもよい。
(出力電圧補償部の機能)
図3、図4は、それぞれ、第1の実施形態に係る出力電圧補償部の機能を説明する第1の図、第2の図である。
図3、図4は、それぞれ、第1の実施形態に係る出力電圧補償部の機能を説明する第1の図、第2の図である。
推定電力演算部11、検出電力演算部12は、それぞれ、式(1)、式(2)に基づいて推定電力Power_ref及び検出電力Power_slを算出することを説明した。ここで、実際のモータ軸位置が、CPU(モータ制御装置1)が推定するモータ軸位置(位相θ)からずれると、当該軸位置のずれ量の変化に応じて、推定電力Power_ref及び検出電力Power_slは、それぞれ異なった変化を示す。
具体的に説明すると、推定電力Power_ref及び検出電力Power_slはCPU(モータ制御装置1)上での計算結果であり、特に、推定電力Power_refは、トルク係数α、銅損係数βというモータ定数(固定値)に基づく演算値である。また、トルクに寄与する電流は主にq軸電流成分Iqであることから、推定電力Power_refは、q軸電流成分Iqが支配的に寄与するものとして算出される(式(1)参照)。
ところで、q軸電流成分の検出値iqは、三相/二相変換部108(図2)にて、CPU(モータ制御装置1)が認識するq軸の位置(即ち、軸位置推定部106が推定するモータ軸位置の推定値(位相θ))に基づいて算出される。そうすると、実際のモータ軸位置がその推定値(位相θ)からずれていると、CPU(モータ制御装置1)上ではq軸電流成分Iqと認識されているものの、当該q軸電流成分Iqの位相は、実際のq軸からずれていることになる。
そのため、軸ずれが生じると、q軸電流成分Iqのみが支配的に寄与する推定電力Power_refと、そうでない検出電力Power_slとの間には差が生じる(一致しなくなる)ことが想定される。
そのため、軸ずれが生じると、q軸電流成分Iqのみが支配的に寄与する推定電力Power_refと、そうでない検出電力Power_slとの間には差が生じる(一致しなくなる)ことが想定される。
ここで、軸ずれ(特に、モータ軸位置の遅れ)が生じた場合に、推定電力Power_refと検出電力Power_slとの関係(位相調整率γ)がどのように変化するかを詳細に分析する。
図3に示す電流ベクトル座標には、一般的な定トルク線を示している。また、図3には、定トルク線に基づき、一定のトルクを出すために必要な電流の位相と大きさを示している。
図3において、電流ベクトルA1は、d軸電流成分Idがゼロ(Id=0)となっている場合のモータ電流である。この電流ベクトルA1で動作していた状態を基準に、モータ軸位置の遅れが生じた場合、モータ電流の位相は、電流ベクトルA2のようにモータ軸位置の遅れに合わせて遅れる(+Id軸側に傾く)。そうすると、図3に示すように、一定のトルクを得るために必要なモータ電流は大きくなる。
他方、電流ベクトルA1で動作していたときからモータ軸位置が進むと、モータ電流の位相は、電流ベクトルA3のようにモータ軸位置の進みに合わせて進む(−Id軸側に傾く)。ここで、電流ベクトルA3は、一定のトルクを得るために必要なモータ電流が最小となる最小電流制御の状態を示している。
図3において、電流ベクトルA1は、d軸電流成分Idがゼロ(Id=0)となっている場合のモータ電流である。この電流ベクトルA1で動作していた状態を基準に、モータ軸位置の遅れが生じた場合、モータ電流の位相は、電流ベクトルA2のようにモータ軸位置の遅れに合わせて遅れる(+Id軸側に傾く)。そうすると、図3に示すように、一定のトルクを得るために必要なモータ電流は大きくなる。
他方、電流ベクトルA1で動作していたときからモータ軸位置が進むと、モータ電流の位相は、電流ベクトルA3のようにモータ軸位置の進みに合わせて進む(−Id軸側に傾く)。ここで、電流ベクトルA3は、一定のトルクを得るために必要なモータ電流が最小となる最小電流制御の状態を示している。
このように、モータ軸位置のずれに合わせてモータ電流が増減した場合、インバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の大きさもそれに合わせて増減する。そうすると、最小電流制御となるモータ電流の位相(電流ベクトルA3)から位相が遅れるほどモータ電流及びインバータ出力電圧が増加する。このようにモータ電流及びインバータ出力電圧が変化した場合、推定電力Power_refは、q軸電流成分Iqのみが支配的に変動に寄与するのに対し、検出電力Power_slは、d軸電流成分Id、q軸電流成分Iqに加え、更に、d軸電圧成分の指令値vd及びq軸電圧成分の指令値vqも増減に寄与する。そのため、モータ軸位置(電流位相のずれ)に対する変化量は、検出電力Power_slの方が推定電力Power_refよりも大きい。換言すると、検出電力Power_slの方が、モータ軸位置(電流位相のずれ)に対しての感度が高い。
この特性を利用することで、推定電力Power_refに対する検出電力Power_slの比(位相調整率γ)の変化を通じて、モータの軸位置(電流位相)の変動をつかむことができる。具体的には、最小電流制御に近い状態からモータ軸位置(電流位相)が遅れるほど、推定電力Power_refよりも検出電力Power_slの方が大きく増加するため、位相調整率γは大きくなる。
この特性を利用することで、推定電力Power_refに対する検出電力Power_slの比(位相調整率γ)の変化を通じて、モータの軸位置(電流位相)の変動をつかむことができる。具体的には、最小電流制御に近い状態からモータ軸位置(電流位相)が遅れるほど、推定電力Power_refよりも検出電力Power_slの方が大きく増加するため、位相調整率γは大きくなる。
なお、推定電力Power_refの演算に用いるトルク係数αや銅損係数βが実際と理想的に合っている場合には、位相調整率γは、最小電流制御において100%となる。しかしながら、実際のモータ軸位置が推定位置からずれていると、CPU(モータ制御装置1)が認識(推定)するq軸と実際のモータMのq軸とがずれているため、CPUが検出しているq軸電流成分Iqは、実際にはトルクに寄与する成分以外の成分(d軸電流成分Id)が含まれている。そのため、(CPUが認識しない)d軸電流成分による励磁の影響で、見かけ上のトルク係数αが変動し、トルク計算が実際と合わなくなる。
そうすると、位相調整率γは、理想的には100%で最小電流制御に近い状態であるものの、軸ずれしている場合に最小電流制御に近い状態が何%となるかわからない。同様に、位相調整率γが100%であった場合であっても、絶対的なモータ軸位置を特定することはできない。できるのは、位相調整率γの増減で、モータ軸位置が、不定の位置から相対的に進んでいるか遅れているかを把握することだけである。
図4は、インバータ出力電圧の位相に対する補償量の度合いと、位相調整率γとの関係を示している。ここで、「補償量」とは、出力電圧補償部15がインバータ出力電圧の位相を遅らせる程度を示すパラメータである。
上述した通り、実際のモータ軸位置がその推定値(位相θ)からずれることにより、推定電力と検出電力との比率である位相調整率γが100%となる箇所は条件によって変化し、絶対的なモータ電流の位相(モータ軸位置)を把握することはできない。
ここで、例えば、位相調整率γが100%のとき、図4の電流ベクトルB1の位置(即ち、モータ軸位置が想定よりも遅れている状態)にあったと仮定する。この状態において、出力電圧補償部15が、インバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の位相を意図的に遅らせると、インバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の位相が、遅れているモータ電流の位相に近づく。即ち、電流ベクトルは、モータ電流の位相の遅れが解消される方向に移動する。
例えば、モータ電流が電流ベクトルB1となっている状態(位相調整率γ=100%の状態)から、出力電圧補償部15がインバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の位相をある所定の補償量だけ遅らせると、電流ベクトルB1は相対的に位相が進み、電流ベクトルB2に移動する。この場合、位相調整率γは、100%から減少し、例えば80%となる。
また、モータ電流が電流ベクトルB2となっている状態(位相調整率γ=80%の状態)から、出力電圧補償部15がインバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の位相を更に所定の補償量だけ遅らせると、電流ベクトルB2は相対的に更に位相が進み、最小電流制御の状態にある電流ベクトルB3に移動する。この場合、位相調整率γは更に減少し、例えば50%(最小値)となる。
上述した通り、実際のモータ軸位置がその推定値(位相θ)からずれることにより、推定電力と検出電力との比率である位相調整率γが100%となる箇所は条件によって変化し、絶対的なモータ電流の位相(モータ軸位置)を把握することはできない。
ここで、例えば、位相調整率γが100%のとき、図4の電流ベクトルB1の位置(即ち、モータ軸位置が想定よりも遅れている状態)にあったと仮定する。この状態において、出力電圧補償部15が、インバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の位相を意図的に遅らせると、インバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の位相が、遅れているモータ電流の位相に近づく。即ち、電流ベクトルは、モータ電流の位相の遅れが解消される方向に移動する。
例えば、モータ電流が電流ベクトルB1となっている状態(位相調整率γ=100%の状態)から、出力電圧補償部15がインバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の位相をある所定の補償量だけ遅らせると、電流ベクトルB1は相対的に位相が進み、電流ベクトルB2に移動する。この場合、位相調整率γは、100%から減少し、例えば80%となる。
また、モータ電流が電流ベクトルB2となっている状態(位相調整率γ=80%の状態)から、出力電圧補償部15がインバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の位相を更に所定の補償量だけ遅らせると、電流ベクトルB2は相対的に更に位相が進み、最小電流制御の状態にある電流ベクトルB3に移動する。この場合、位相調整率γは更に減少し、例えば50%(最小値)となる。
上述した通り、位相調整率γが何パーセントにあったとしても、軸ずれが起こっているか否か、また、どの程度の軸ずれが起こっているか否かは不明である。しかし、その軸ずれの程度が、電流歪み、過電流異常、脱調等の不具合が発生する程度に至っていないものであれば、モータMの駆動中、常に、その軸ずれの程度が維持されるように制御すれば、軸ずれが一層大きくなることによって引き起こされる上記不具合は回避できるはずである。
そこで、モータM及びモータ制御装置1ごとに、事前の試験運転、シミュレーション等を経て、位相調整率γが100%(若しくは、他の特定の値)となるモータ軸位置を判別する。そして、当該判別したモータ軸位置が電流歪み、過電流異常、脱調等の不具合が発生しない範囲に収まっていることを前提として、当該モータ軸位置に対応する位相調整率γを“目標値γ_t”として定める。このようにして定めた目標値γ_tをCPU(モータ制御装置1)に記録しておき、モータMの実駆動中においては、逐次算出される位相調整率γが当該目標値γ_tに一致するように、インバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の位相に対する補償量を設定する。
そこで、モータM及びモータ制御装置1ごとに、事前の試験運転、シミュレーション等を経て、位相調整率γが100%(若しくは、他の特定の値)となるモータ軸位置を判別する。そして、当該判別したモータ軸位置が電流歪み、過電流異常、脱調等の不具合が発生しない範囲に収まっていることを前提として、当該モータ軸位置に対応する位相調整率γを“目標値γ_t”として定める。このようにして定めた目標値γ_tをCPU(モータ制御装置1)に記録しておき、モータMの実駆動中においては、逐次算出される位相調整率γが当該目標値γ_tに一致するように、インバータ出力電圧の指令値(vd、vq)の位相に対する補償量を設定する。
(出力電圧補償部の処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係る出力電圧補償部の処理フローを示す図である。
以下、図5を参照しながら、出力電圧補償部15の具体的な処理フローについて説明する。
図5に示す処理フローは、モータMの駆動中、出力電圧補償部15において繰り返し実行される。
出力電圧補償部15は、推定電力演算部11によって算出された推定電力Power_refと、検出電力演算部12によって算出された検出電力Power_slと、を受け付けて、位相調整率γを演算する。そして、出力電圧補償部15は、算出した位相調整率γが、予め規定された目標値γ_tよりも大きいか否かを判定する(ステップS01)。
位相調整率γが目標値γ_tよりも大きい場合(ステップS01:YES)、出力電圧補償部15は、インバータ出力電圧の指令値(vu、vv、vw)の位相を所定の補償量hだけ遅らせる処理を行う(ステップS02)。
位相調整率γが目標値γ_tよりも大きくない場合(ステップS01:NO)、出力電圧補償部15は、算出した位相調整率γが、目標値γ_tよりも小さいか否かを判定する(ステップS03)。
位相調整率γが目標値γ_tよりも小さい場合(ステップS03:YES)、出力電圧補償部15は、インバータ出力電圧の指令値(vu、vv、vw)の位相を所定の補償量hだけ早める処理を行う(ステップS04)。
位相調整率γが目標値γ_tよりも小さくない場合(ステップS03:NO)、位相調整率γは目標値γ_tに一致しているものと判断し、位相の調整を行わない。
図5は、第1の実施形態に係る出力電圧補償部の処理フローを示す図である。
以下、図5を参照しながら、出力電圧補償部15の具体的な処理フローについて説明する。
図5に示す処理フローは、モータMの駆動中、出力電圧補償部15において繰り返し実行される。
出力電圧補償部15は、推定電力演算部11によって算出された推定電力Power_refと、検出電力演算部12によって算出された検出電力Power_slと、を受け付けて、位相調整率γを演算する。そして、出力電圧補償部15は、算出した位相調整率γが、予め規定された目標値γ_tよりも大きいか否かを判定する(ステップS01)。
位相調整率γが目標値γ_tよりも大きい場合(ステップS01:YES)、出力電圧補償部15は、インバータ出力電圧の指令値(vu、vv、vw)の位相を所定の補償量hだけ遅らせる処理を行う(ステップS02)。
位相調整率γが目標値γ_tよりも大きくない場合(ステップS01:NO)、出力電圧補償部15は、算出した位相調整率γが、目標値γ_tよりも小さいか否かを判定する(ステップS03)。
位相調整率γが目標値γ_tよりも小さい場合(ステップS03:YES)、出力電圧補償部15は、インバータ出力電圧の指令値(vu、vv、vw)の位相を所定の補償量hだけ早める処理を行う(ステップS04)。
位相調整率γが目標値γ_tよりも小さくない場合(ステップS03:NO)、位相調整率γは目標値γ_tに一致しているものと判断し、位相の調整を行わない。
(位相調整の機能)
図6は、第1の実施形態に係る出力電圧補償部による位相調整処理を説明する図である。
図6に示す波形C1は、出力電圧補償部15による補償が行われる前のインバータ出力電圧とモータ電流とを示している。即ち、波形C1は、ベクトル制御部10が算出するインバータ出力電圧の指令値、及び、モータ電流の指令値である。なお、モータMはインダクタンス成分が支配的であることから、図6では、モータ電流の位相がインバータ出力電圧に対して位相が90°遅れるものとしている。ただし、実際のモータには若干の抵抗成分、キャパシタンス成分も含まれ得るため、これに限られない。
図6に示す波形C2は、Duty出力部13が、インバータ出力電圧の指令値(補償前)に応じて出力する補償前のDuty比である。出力電圧補償部15は、Duty出力部13から、波形C2に示す補償前のDuty比の入力を受け付ける。
図6に示す波形C3は、補償前のDuty比に応じて出力電圧補償部15が出力する補償後のDuty比の波形である。波形C3に示すように、出力電圧補償部15は、補償前のDuty比に対して、半周期ごとに所定の補償量h(h>0)の加算又は減算を行う。出力電圧補償部15は、補償前のDuty比に対し、補償量hが加算、減算された補償後のDuty比(duty_u±h、duty_v±h、duty_w±h)を出力する。
図6に示す波形C4は、インバータ2がモータMに出力する実際の電圧(即ち、補償後のインバータ出力電圧)の波形である。インバータ2は、補償後のDuty比(duty_u±h、duty_v±h、duty_w±h)に基づいて、半周期ごとに所定の補償量だけ加算又は減算された、補償後のインバータ出力電圧を出力する。
補償後のインバータ出力電圧は、波形C4に示すように、見かけ上、補償前のインバータ出力電圧に比べ位相が遅れている。
このように、出力電圧補償部15は、インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量(>0)を加算し、インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量(>0)を減算することでインバータ出力電圧の位相を遅らせる。
反対に、出力電圧補償部15は、インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を減算し、インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を加算することでインバータ出力電圧の位相を早めることもできる。
図6は、第1の実施形態に係る出力電圧補償部による位相調整処理を説明する図である。
図6に示す波形C1は、出力電圧補償部15による補償が行われる前のインバータ出力電圧とモータ電流とを示している。即ち、波形C1は、ベクトル制御部10が算出するインバータ出力電圧の指令値、及び、モータ電流の指令値である。なお、モータMはインダクタンス成分が支配的であることから、図6では、モータ電流の位相がインバータ出力電圧に対して位相が90°遅れるものとしている。ただし、実際のモータには若干の抵抗成分、キャパシタンス成分も含まれ得るため、これに限られない。
図6に示す波形C2は、Duty出力部13が、インバータ出力電圧の指令値(補償前)に応じて出力する補償前のDuty比である。出力電圧補償部15は、Duty出力部13から、波形C2に示す補償前のDuty比の入力を受け付ける。
図6に示す波形C3は、補償前のDuty比に応じて出力電圧補償部15が出力する補償後のDuty比の波形である。波形C3に示すように、出力電圧補償部15は、補償前のDuty比に対して、半周期ごとに所定の補償量h(h>0)の加算又は減算を行う。出力電圧補償部15は、補償前のDuty比に対し、補償量hが加算、減算された補償後のDuty比(duty_u±h、duty_v±h、duty_w±h)を出力する。
図6に示す波形C4は、インバータ2がモータMに出力する実際の電圧(即ち、補償後のインバータ出力電圧)の波形である。インバータ2は、補償後のDuty比(duty_u±h、duty_v±h、duty_w±h)に基づいて、半周期ごとに所定の補償量だけ加算又は減算された、補償後のインバータ出力電圧を出力する。
補償後のインバータ出力電圧は、波形C4に示すように、見かけ上、補償前のインバータ出力電圧に比べ位相が遅れている。
このように、出力電圧補償部15は、インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量(>0)を加算し、インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量(>0)を減算することでインバータ出力電圧の位相を遅らせる。
反対に、出力電圧補償部15は、インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を減算し、インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を加算することでインバータ出力電圧の位相を早めることもできる。
(作用・効果)
以上の通り、第1の実施形態に係るモータ制御装置1は、回転数の指令値(回転数指令値ω_cmd)と、モータ電流の検出値とを入力して、ベクトル制御に基づくインバータ出力電圧の指令値を出力するベクトル制御部10を備えている。また、モータ制御装置1は、モータ電流の検出値(id、iq)、及び、インバータ出力電圧の指令値(vd、vq)に基づいてモータMの検出電力Power_slを算出する検出電力演算部12を備えている。更に、モータ制御装置1は、回転数の指令値、モータ電流の検出値、及び、予め規定されたモータ定数(α、β)に基づいてモータMの推定電力Power_refを算出する推定電力演算部11を備えている。更に、モータ制御装置1は、推定電力Power_refに対する検出電力Power_slの比(位相調整率γ)に基づいて、インバータ出力電圧の位相を調整する出力電圧補償部15を備えている。
ここで、位相調整率γは、モータ軸位置のずれ量(実際のモータ軸位置とその推定値とのずれ量)の変化に応じて変動するという特性を有している。そこで、上記構成とすることで、出力電圧補償部15は、位相調整率γに基づいてモータ軸位置のずれ量の変化を把握することができる。これにより、出力電圧補償部15は、当該モータ軸位置のずれ量に合わせるようにインバータ出力電圧の位相を調整し、モータ軸位置のずれを適切に補償できる。これにより、電流歪み、過電流異常、脱調等の不具合を抑制することができる。
以上の通り、第1の実施形態に係るモータ制御装置1は、回転数の指令値(回転数指令値ω_cmd)と、モータ電流の検出値とを入力して、ベクトル制御に基づくインバータ出力電圧の指令値を出力するベクトル制御部10を備えている。また、モータ制御装置1は、モータ電流の検出値(id、iq)、及び、インバータ出力電圧の指令値(vd、vq)に基づいてモータMの検出電力Power_slを算出する検出電力演算部12を備えている。更に、モータ制御装置1は、回転数の指令値、モータ電流の検出値、及び、予め規定されたモータ定数(α、β)に基づいてモータMの推定電力Power_refを算出する推定電力演算部11を備えている。更に、モータ制御装置1は、推定電力Power_refに対する検出電力Power_slの比(位相調整率γ)に基づいて、インバータ出力電圧の位相を調整する出力電圧補償部15を備えている。
ここで、位相調整率γは、モータ軸位置のずれ量(実際のモータ軸位置とその推定値とのずれ量)の変化に応じて変動するという特性を有している。そこで、上記構成とすることで、出力電圧補償部15は、位相調整率γに基づいてモータ軸位置のずれ量の変化を把握することができる。これにより、出力電圧補償部15は、当該モータ軸位置のずれ量に合わせるようにインバータ出力電圧の位相を調整し、モータ軸位置のずれを適切に補償できる。これにより、電流歪み、過電流異常、脱調等の不具合を抑制することができる。
また、第1の実施形態に係る出力電圧補償部15は、位相調整率γが予め規定された目標値γ_tに一致するように、インバータ出力電圧の位相を調整する。
このようにすることで、位相調整率γが目標値γ_tで一定に保たれるので、モータ軸位置を変動させないようにすることができる。
このようにすることで、位相調整率γが目標値γ_tで一定に保たれるので、モータ軸位置を変動させないようにすることができる。
なお、他の実施形態においては、位相調整率γを目標値γ_tに一致させる態様に限定されない。例えば、他の実施形態に係る出力電圧補償部15は、過電流や脱調などの不具合が起こらない位相調整率γの目標範囲(例えば、40%〜100%等)を事前の試験、シミュレーション等で把握するとともに、位相調整率γが当該目標範囲内となるようにインバータ出力電圧の位相を調整する態様であってもよい。
また、出力電圧補償部15は、インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を加算し、インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、インバータ出力電圧の指令値に補償量を減算することで位相を遅らせる。
このようにすることで、インバータ出力電圧の指令値に、補償量を加算又は減算する処理のみで、簡易的に位相を遅らせることができる。
このようにすることで、インバータ出力電圧の指令値に、補償量を加算又は減算する処理のみで、簡易的に位相を遅らせることができる。
なお、他の実施形態においては、出力電圧補償部15の態様は上記に限定されない。例えば、他の実施形態に係る出力電圧補償部15は、ベクトル制御部10が位相調整率γを入力するとともに、当該入力した位相調整率γに基づいて、インバータ出力電圧の指令値(vu、vv、vw)の位相を直接調整するようにしてもよい。
また、上述の各実施形態においては、上述したモータ制御装置1の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。更に、モータ制御装置1は、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 モータ制御装置
10 ベクトル制御部
11 推定電力演算部
12 検出電力演算部
13 Duty出力部
14 直流電圧検出回路
15 出力電圧補償部
16 モータ電流検出回路
17 A/D変換器
100 速度PI制御部
101 トルク/電流変換部
102 電流PI制御部
103 電流推定部
104 速度推定部
105 ローパスフィルタ
106 軸位置推定部
107 二相/三相変換部
108 三相/二相変換部
10 ベクトル制御部
11 推定電力演算部
12 検出電力演算部
13 Duty出力部
14 直流電圧検出回路
15 出力電圧補償部
16 モータ電流検出回路
17 A/D変換器
100 速度PI制御部
101 トルク/電流変換部
102 電流PI制御部
103 電流推定部
104 速度推定部
105 ローパスフィルタ
106 軸位置推定部
107 二相/三相変換部
108 三相/二相変換部
Claims (6)
- インバータを通じてモータを制御するモータ制御装置であって、
回転数の指令値と、モータ電流の検出値とを入力して、ベクトル制御に基づくインバータ出力電圧の指令値を出力するベクトル制御部と、
前記モータ電流の検出値、及び、前記インバータ出力電圧の指令値に基づいてモータの検出電力を算出する検出電力演算部と、
前記回転数の指令値、前記モータ電流の検出値、及び、予め規定されたモータ定数に基づいてモータの推定電力を算出する推定電力演算部と、
前記推定電力に対する前記検出電力の比に基づいて、前記インバータ出力電圧の位相を調整する出力電圧補償部と、
を備えるモータ制御装置。 - 前記出力電圧補償部は、
前記推定電力に対する前記検出電力の比が予め規定された目標値に一致するように、前記インバータ出力電圧の位相を調整する
請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記出力電圧補償部は、
前記インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を加算し、前記インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に前記補償量を減算することで位相を遅らせる
請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置。 - インバータを通じてモータを制御するモータ制御方法であって、
回転数の指令値と、モータ電流の検出値とを入力して、ベクトル制御に基づくインバータ出力電圧の指令値を出力するベクトル制御ステップと、
前記モータ電流の検出値、及び、前記インバータ出力電圧の指令値に基づいてモータの検出電力を算出する検出電力演算ステップと、
前記回転数の指令値、前記モータ電流の検出値、及び、予め規定されたモータ定数に基づいてモータの推定電力を算出する推定電力演算ステップと、
前記推定電力に対する前記検出電力の比に基づいて、前記インバータ出力電圧の位相を調整する出力電圧補償ステップと、
を有するモータ制御方法。 - インバータを通じてモータを制御するモータ制御装置のコンピュータを、
回転数の指令値と、モータ電流の検出値とを入力して、ベクトル制御に基づくインバータ出力電圧の指令値を出力するベクトル制御部、
前記モータ電流の検出値、及び、前記インバータ出力電圧の指令値に基づいてモータの検出電力を算出する検出電力演算部、
前記回転数の指令値、前記モータ電流の検出値、及び、予め規定されたモータ定数に基づいてモータの推定電力を算出する推定電力演算部、
前記推定電力に対する前記検出電力の比に基づいて、前記インバータ出力電圧の位相を調整する出力電圧補償部、
として機能させるプログラム。 - インバータ出力電圧の位相を調整する位相調整方法であって、
前記インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を加算し、前記インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に前記補償量を減算することで位相を遅らせるステップ、及び、
前記インバータ出力電圧が増加する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に所定の補償量を減算し、前記インバータ出力電圧が減少する半周期の期間において、前記インバータ出力電圧の指令値に前記補償量を加算することで位相を早めるステップのうち少なくとも何れか一方を有する
位相調整方法。
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