以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る電子部品装置ED1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品装置を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る電子部品装置の断面構成を説明するための図である。
電子部品装置ED1は、図1及び図2に示されるように、積層コンデンサ1と、一対の金属端子20と、接合部30とを備えている。電子部品装置ED1は、電子部品として、積層コンデンサ1を備えている。
積層コンデンサ1は、直方体形状を呈している素体3と、素体3の外表面に配置されている一対の外部電極5と、を有している。一対の外部電極5は、互いに離間している。直方体形状には、角部及び稜部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜部が丸められている直方体の形状が含まれる。
素体3は、その外表面として、互いに対向している一対の端面3aと、互いに対向している長方形状の一対の側面3bと、互いに対向している長方形状の一対の側面3cと、を有している。一対の端面3aが対向している方向が第一方向D1であり、一対の側面3bが対向している方向が第二方向D2であり、一対の側面3cが対向している方向が第三方向D3である。第一方向D1は、第二方向D2と直交している。第三方向D3は、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。第一方向D1が、素体3の長手方向である。
一対の側面3bは、一対の端面3aの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面3bは、第三方向D3にも延在している。一対の側面3cは、一対の端面3aの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面3cは、第二方向D2にも延在している。
素体3は、一対の側面3bが対向している方向(第二方向D2)に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2と一致する。各誘電体層は、たとえば誘電体材料(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成されている。実際の素体3では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第三方向D3と一致していてもよい。
積層コンデンサ1は、図2に示されるように、それぞれ複数の内部電極7,9を備えている。内部電極7,9は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料からなる。導電性材料として、卑金属(たとえば、Ni又はCuなど)が用いられる。内部電極7,9は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、内部電極7,9は、Niからなる。
内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されている。すなわち、内部電極7と内部電極9とは、素体3内において、第二方向D2に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、互いに極性が異なる。複数の誘電体層の積層方向が第三方向D3である場合、内部電極7と内部電極9とは、第三方向D3において異なる位置(層)に配置される。
外部電極5は、素体3における端面3a側に、すなわち素体3の端部にそれぞれ配置されている。外部電極5は、端面3aに配置されている電極部分、一対の側面3bに配置されている電極部分、及び、一対の側面3cに配置されている電極部分を有している。すなわち、外部電極5は、一方の端面3a、一対の側面3b、及び一対の側面3cの五つの面に形成されている。互いに隣り合う電極部分同士は、素体3の稜部において接続されており、電気的に接続されている。
端面3aに配置されている電極部分は、対応する内部電極7,9の端面3aに露出した部分をすべて覆うように配置されており、内部電極7,9は、端面3aに配置されている電極部分に直接的に接続されている。これにより、内部電極7,9は、対応する外部電極5に電気的に接続される。
外部電極5は、図2に示されるように、第一電極層11と第二電極層13とをそれぞれ有している。すなわち、外部電極5の各電極部分が、第一電極層11と第二電極層13とを含んでいる。第二電極層13は、外部電極5の最外層を構成している。
第一電極層11は、導電性ペーストを素体3の表面に付与して焼き付けることにより形成されている。第一電極層11は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結して形成された焼結金属層である。すなわち、第一電極層11は、素体3に形成された焼結金属層である。本実施形態では、第一電極層11は、Cuからなる焼結金属層である。第一電極層11は、Niからなる焼結金属層であってもよい。このように、第一電極層11は、Cu又はNiを含んでいる。導電性ペーストには、Cu又はNiからなる粉末に、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。
第二電極層13は、第一電極層11を形成するための導電性ペーストの表面に第二電極層13を形成するための導電性ペーストを付与して、これらを同時に焼き付けることにより形成されている。第二電極層13も、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結して形成された焼結金属層である。すなわち、第二電極層13は、第一電極層11と同時に、素体3に形成された焼結金属層である。
本実施形態では、第二電極層13は、AgPdCu合金からなる焼結金属層である。したがって、第二電極層13は、貴金属を含有している。本実施形態では、第二電極層13は、Agを含有している。また、第二電極層13は、Pdを含有している。第二電極層13は、Ag又はPd以外の貴金属を含んでいてもよい。
本実施形態では、第二電極層13を形成するための導電性ペーストには、AgPdCu合金からなる粉末に、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。
金属端子20は、積層コンデンサ1(素体3)の端面3aに対向するように配置されている。金属端子20は、外部電極5と電気的に接続されている。金属端子20は、外部電極5を通して、対応する内部電極7,9と電気的に接続されている。
金属端子20は、接続部21と、脚部23とを備えている。接続部21は、端面3aに対向して位置している。接続部21には、外部電極5における端面3aに配置されている電極部分が電気的に接続されている。接続部21は、第二方向D2に延びており、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。
脚部23は、接続部21の一端から延びている。脚部23は、第一部分23aと第二部分23bとを有している。第一部分23aは、接続部21の一端から第二方向D2に延在している。すなわち、第一部分23aは、接続部21と同じ方向(第二方向D2)に延在しており、接続部21と第一部分23aとは同一平面上に位置している。
第二部分23bは、第一部分23aの一端から第一方向D1に延在しており、第二方向D2から見て、矩形状を呈している。第一部分23aと第二部分23bとは、互いに交差する方向(本実施形態では、互いに直交する方向)に延びている。第二部分23bは、他の電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品など)に接続される。
第一部分23aは、接続部21と第二部分23bとを連結している。すなわち、第一部分23aは、接続部21の一端と第二部分23bの一端との間を連結するように、第二方向D2に延在している。接続部21と第二部分23bとは、第二方向D2に見て、第一部分23aの長さ分離れて位置している。接続部21と脚部23(第一部分23a及び第二部分23b)とは、一体的に形成されている。
金属端子20は、図2に示されるように、基材25と金属層27とをそれぞれ有している。すなわち、金属端子20の接続部21及び脚部23が、基材25と金属層27とを含んでいる。金属層27は、金属端子20の最外層を構成している。
基材25は、金属材料からなる。本実施形態では、基材25は、Fe−Ni合金からなる。
金属層27は、基材25上にめっき法により形成されている。金属層27は、基材25上にAgめっきにより形成されためっき層(Agからなるめっき層)である。したがって、金属層27は、貴金属を含有している。本実施形態では、金属層27は、Agを含有している。金属層27は、Ag以外の貴金属を含有していてもよい。
接合部30は、外部電極5と金属端子20とを接合している。本実施形態では、外部電極5における端面3aに配置されている電極部分が含んでいる第二電極層13と、金属端子20の接続部21とが、接合部30により接合されている。接合部30は、導電性を有し、外部電極5と金属端子20とは、接合部30を通して電気的に接続されている。
接合部30は、導電性フィラーがAgからなる導電性接着剤により形成されている。したがって、接合部30は、貴金属を主成分として含有している。本実施形態では、接合部30は、Agを主成分として含有している。接合部30は、主成分としてAg以外の貴金属を含有していてもよい。
本実施形態では、接合部30は、樹脂(たとえば、熱硬化性樹脂など)と、Agからなる導電性フィラーとにより構成されている。熱硬化性樹脂としては、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂などが用いられる。接合部30は、導電性樹脂層でもある。
接合部30は、次のように形成できる。外部電極5における端面3aに配置されている電極部分が含んでいる第二電極層13、及び、金属端子20の接続部21の少なくとも一方に、非硬化状態の上記導電性接着剤を付与し、導電性接着剤に外部電極5(第二電極層13)と接続部21(金属層27)を接触させる。導電性接着剤を介して、外部電極5と接続部21とが対向した状態で、導電性接着剤を硬化させる。これにより、接合部30が形成されると共に、外部電極5と接続部21とが接合部30を介して物理的かつ電気的に接続される。
以上のように、本実施形態では、接合部30が、貴金属(Ag)を主成分として含有していると共に、外部電極5及び金属端子20の各最外層(第二電極層13、金属層27)が貴金属(Ag)を含有している。貴金属は、合金反応が比較的生じ難く、合金化の観点では、たとえばCuなどよりも安定した金属である。したがって、電子部品装置ED1では、高温環境下での連続使用においても、外部電極5と金属端子20との接合部30を介した接合強度の低下が抑制される。
外部電極5の第二電極層13、金属端子20の金属層27、及び接合部30は、不可避的な微量の不純物を含有してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
第二電極層13は、焼結金属層に限られることなく、第一電極層11上に形成されためっき層であってもよい。すなわち、第二電極層13は、第一電極層11上にめっき法により形成されていてもよい。この場合、第二電極層13は、第一電極層11上に貴金属めっきにより形成された貴金属めっき層(貴金属からなるめっき層)である。貴金属めっき層には、Agめっき層、Auめっき層、Ptめっき層、又はPdめっき層がある。
第二電極層13は、第一電極層11上に形成された導電性樹脂層であってもよい。すなわち、第二電極層13は、第一電極層11上に付与された導電性樹脂を硬化させることにより形成されていてもよい。この場合、第二電極層13は、第一電極層11全体を覆うように形成されている。第一電極層11は、第二電極層13を形成するための下地金属層である。導電性樹脂には、熱硬化性樹脂(たとえば、上述したエポキシ樹脂など)に導電性フィラー及び有機溶媒などを混合したものが用いられる。導電性フィラーとしては、Ag粉末、Au粉末、Pt粉末、又はPd粉末などが用いられる。
第二電極層13が焼結金属層又はめっき層である場合、接合部は、導電性接着剤に限られることなく、焼結された貴金属(たとえば、焼結Ag、焼結Au、焼結Pt、又は焼結Pdなど)により形成されていてもよい。この場合、接合部30は、次のように形成できる。外部電極5における端面3aに配置されている電極部分が含んでいる第二電極層13、及び、金属端子20の接続部21の少なくとも一方に、導電性ペーストを付与し、導電性ペーストに外部電極5(第二電極層13)と接続部21(金属層27)を接触させる。外部電極5と接続部21とが導電性ペーストを介して対向した状態で、導電性ペーストを焼き付ける。これにより、接合部30を介して、外部電極5と接続部21とが物理的かつ電気的に接続される。
接合部30を形成するための導電性ペーストは、貴金属からなる粉末(たとえば、Agからなる粉末、Auからなる粉末、Ptからなる粉末、又はPdからなる粉末など)に、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。すなわち、接合部30は、導電性ペーストに含まれる貴金属が焼結して形成された焼結金属層でもある。
金属層27は、基材25全体を覆っている必要はない。たとえば、金属層27は、接続部21における外部電極5に対向する領域のみに形成されていてもよい。
本実施形態では、電子部品として積層コンデンサ1を例に説明したが、適用可能な電子部品は、積層コンデンサ1に限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品である。