JP2017166087A - 異形状炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アミン変性されたポリアクリロニトリル系耐炎ポリマーからなる繊維が焼成されてなる炭素繊維であって、繊維断面における外接円直径/内接円直径で表される異形度Rが1.1〜10である異形繊維断面形状を有し、かつ表面平滑度Sが1.00〜1.10である異形状炭素繊維,およびその製造方法。
【選択図】図1
Description
異形度R=外接円直径/内接円直径
外接円直径:繊維断面すべてを含む最も小さな円の直径
内接円直径:繊維断面の中に入る最も大きな円の直径。
A.PANがアミン系化合物で変性され、ニトロ化合物で酸化されたポリマーの溶液である。
B.ニトロ化合物を含まない溶液である。
ここで、ニトロ化合物としては、例えば、ニトロベンゼンが挙げられる。
異形度R=外接円直径/内接円直径
外接円直径:繊維断面すべてを含む最も小さな円の直径
内接円直径:繊維断面の中に入る最も大きな円の直径
a.分光学的方法、NMRスペクトルや赤外吸収(IR)スペクトル等を用い、変性されてないポリマーの構造との差を解析する方法。
b.後述する方法により耐炎ポリマー作製前後のポリマーの質量を測定し、耐炎ポリマーの質量が原料のPANに対して質量増加しているか否かによって確認する方法。
内容量が充分にある三口フラスコに温度計、冷却器、攪拌機、窒素導入管をつけ、この中にアクリロニトリル8.7重量部を水90.0重量部と混合した。
アクリロニトリル100重量部、DMSO371重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、オクチルメルカプタン1重量部を反応容器に仕込み、窒素置換後に65℃で5時間、75℃で7時間加熱して重合し、DMSOを溶媒とするアクリロニトリル92モル%を重合してなるPANを含む溶液を調製した。系全体をポンプで排気して30hPaまで減圧することで脱モノマーした。溶液中のPANの濃度は20重量%であった。
下記に記載の方法でPAN中の全硫黄の定量分析を行った(S量の測定)。
硫酸イオン標準液(1003μg/mL、和光純薬工業社製)を別途調整したリン酸内部標準液で順次希釈し、標準溶液を調製した。これらのうち、試料中の濃度の分析に適切な標準溶液の分析データを用いて検量線を作製した。
・システム:AQF−100、GA−100(三菱化学社製)
・電気炉温度:Inlet900℃、Outlet1000℃
・ガス:Ar/O2;200mL/min. O2;400mL/min
・吸収液:H2O2;90μg/mL、内標P;1μg/mL
・吸収液量:10mL
・システム:ICS1500(DIONEX社製)
・移動相:2.7mmol/L Na2CO3/0.3mmol/L NaHCO3
・流速:1.5mL/min.
・検出器:電気伝導度検出器
・注入量:100μL
10Lの反応容器に温度計、冷却器、攪拌翼、窒素導入管をつけ、懸濁重合で得られたPANを1.1kg、モノエタノールアミンを0.5kg、ニトロベンゼンを0.2kg、さらにDMSOを8.2kg加えて全体を溶解し、300rpmにて撹拌翼で撹拌しながら、オイル熱媒で容器内の温度が150℃となるように昇温し、150℃に達してから6時間反応を行なった。これを20℃まで冷却し、耐炎ポリマーの溶液とした。ポリマー濃度は13.5%であった。
10Lの反応容器に温度計、冷却器、攪拌翼、窒素導入管をつけ、溶液重合で得られたPAN20wt%溶液を5.5kg、モノエタノールアミンを0.5kg、ニトロベンゼンを0.2kg、さらにDMSOを3.8kg加えて全体を溶解し、300rpmにて撹拌翼で撹拌しながら、オイル熱媒で容器内の温度が150℃となるように昇温し、150℃に達してから6時間反応を行なった。これを20℃まで冷却し、耐炎ポリマーの溶液とした。ポリマー濃度は懸濁重合PANを用いた場合と同様13.5%であった。
まずは、添加したニトロ化合物の検量線を作製する。サンプルの測定方法については下記の通りである。エタノールで抽出したポリマー抽出液をGC−MS(Gas Chromatography-Mass Spectroscopy)で測定し、自動解析により抽出液内にある化合物を同定した。n=1で測定した。
・システム:GCMS−QP2010 Ultra(株式会社島津製作所製)
・注入量:1μL
・カラムオーブン温度:500℃
・カラム流量:1mL/min
・カラム:PtxR−5 Amine、膜厚1μm、長さ30cm、内径0.25mm
GC測定プログラム:
・昇温速度:10℃/min
・測定範囲:50℃(1min保持)→280℃(1min保持)
M/Z(Mは分子の質量、Zは電荷数)測定プログラム:
・スキャン速度:1250
・開始時間:8min
・終了時間:25min
・スキャン速度:1250
・開始m/z:50
・終了m/z:400
上記方法によって得られた耐炎ポリマーの溶液のまま湿式紡糸装置で凝固した後、水洗・乾燥・延伸を行い繊維化した。乾燥した繊維は0.9デニールであった。
空気下、熱風循環乾燥機の中で280℃×6分間定長処理した後、窒素雰囲気下で引張ながら1炉目は700℃で処理し、2炉目は1900℃で処理した。昇温速度は50〜200℃/minである。
JIS R7606(2000)に準拠し、下記条件にて、単糸強度および伸度測定をおこなった。また、S−S曲線における最大荷重を密度と目付から算出した単糸断面で割ることにより、強度を算出した。また、変位から伸度を算出した。n数は30以上とした。
・システム:小型卓上試験機EZ−S(株式会社島津製作所製)
・ロードセル:20N(PEG50NA)
・制御動作:負荷
・試験制御:ストローク
・試験速度:1mm/min
・サンプリング:50msec
・つかみ具間隔:25mm
炭素繊維の異形度Rを求めるためには、炭素繊維を鋭利な刃物で切断し、その断面をSEM(走査型電子顕微鏡)装置で観察し、5箇所の像の平均から前述の外接円直径と内接円直径を求め、その比の計算から異形度Rを決定した。なお、SEM測定は下記の条件でおこなった。
・システム:VK−9800(キーエンス社製)
・加速電圧:10kV
炭素繊維の横断面をSEMで観察して求める。SEM装置による7500倍での観察像をさらに4倍に拡大(トータル30000倍)し、それをイメージアナライザーで求められる横断面の周長Lと外接周長L0との比の平方にて定義される、S=(L/L0)2として求めた。ここで、横断面の外接周長L0とは、横断面の外周における隣接凸部の頂点同士を線分で結んで形成される多角形の周長を指す。
20℃の懸濁重合PANを用いた耐炎ポリマーの溶液を短辺30μm、長辺60μmの長方形(スリット)の吐出孔を12000ホール有する紡糸口金から湿式紡糸した。凝固浴はDMSO/水=55/45、温度15℃で凝固した後、引き続き洗浄し、さらに90℃以上の熱水で水洗し繊維の中から溶媒であるDMSOとその他化合物を除去した。
口金の吐出孔の長辺が90μmの長方形である以外は実施例1と同様に行った。結果は表1にまとめた。
口金の吐出孔の長辺が120μmの長方形である以外は実施例1と同様に行った。結果は表1にまとめた。
口金の吐出孔の横が150μmの長方形である以外は実施例1と同様に行った。結果は表1にまとめた。
口金の吐出孔が幅30μm、長さ50μmの3本が120℃ずれた角度のY字形である以外は実施例1と同様に行った。結果は表1にまとめた。
溶液重合PANを用いた耐炎ポリマーの溶液を用いた以外は実施例1と同様に製糸、焼成したが、焼成時耐炎性が低いため糸切れし炭素繊維が得られなかった。
懸濁重合PANの耐炎ポリマーの溶液を用い、凝固温度が30℃であること以外は実施例1と同様に製糸、焼成して異形度R=1.6、表面平滑度1.20の炭素繊維を得た。引張強度3GPa、弾性率210GPaで、伸度は1.4%と低物性であった。
洗浄法によって硫黄含有量を多くした懸濁重合PANを用いた耐炎ポリマーの溶液を用いた以外は実施例1と同様に製糸したが、製糸性が悪く繊維は得られなかった。
11、21 内接円
12、22 外接円
Claims (7)
- アミン変性されたポリアクリロニトリル(以下PANという)系耐炎ポリマーからなる繊維が焼成されてなる炭素繊維であって、下記式で定義される異形度Rが1.1〜10である異形繊維断面形状を有し、かつ表面平滑度Sが1.00〜1.10である異形状炭素繊維。
異形度R=外接円直径/内接円直径
外接円直径:繊維断面すべてを含む最も小さな円の直径
内接円直径:繊維断面の中に入る最も大きな円の直径 - 前記PAN系耐炎ポリマーからなる繊維は、該PAN系耐炎ポリマーの溶液が異形口金から溶液紡糸されたものである、請求項1に記載の炭素繊維。
- 前記PAN系耐炎ポリマーの溶液は、水系懸濁重合法で得られた、硫黄(S)成分を0〜3000μg/g含有するPANを原料とするものである、請求項2に記載の炭素繊維。
- 前記PAN系耐炎ポリマーの溶液は 次のA、Bのいずれも満たすポリマー溶液である、請求項2または3に記載の炭素繊維。
A.PANがアミン系化合物で変性され、ニトロ化合物で酸化されたポリマーの溶液である。
B.ニトロ化合物を含まない溶液である。 - 前記ニトロ化合物がニトロベンゼンである、請求項4に記載の炭素繊維。
- 前記Aのポリマーは、PAN全量に対して10質量%以上のニトロ化合物により酸化されたPANを含有するポリマーである、請求項4または5に記載の炭素繊維。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維の製造方法であって、アミン変性されたPAN系耐炎ポリマーの溶液を紡糸し、異形状のPAN系耐炎ポリマーからなる繊維を得た後に、該PAN系耐炎ポリマーからなる繊維を焼成する、炭素繊維の製造方法。
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JP2016052121A JP2017166087A (ja) | 2016-03-16 | 2016-03-16 | 異形状炭素繊維およびその製造方法 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08296124A (ja) * | 1995-04-24 | 1996-11-12 | Toray Ind Inc | 非円形断面炭素繊維および炭素繊維強化複合材料 |
JP2015017204A (ja) * | 2013-07-12 | 2015-01-29 | 国立大学法人 東京大学 | 耐炎性ポリマー、ポリマー溶液、耐炎繊維、炭素繊維およびそれらの製造方法 |
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2016
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JP2015017204A (ja) * | 2013-07-12 | 2015-01-29 | 国立大学法人 東京大学 | 耐炎性ポリマー、ポリマー溶液、耐炎繊維、炭素繊維およびそれらの製造方法 |
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