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JP2006274111A - 耐炎ポリマー前駆体、耐炎ポリマーの製造方法、耐炎成形品、その製造方法および炭素成形品の製造方法 - Google Patents

耐炎ポリマー前駆体、耐炎ポリマーの製造方法、耐炎成形品、その製造方法および炭素成形品の製造方法 Download PDF

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JP2006274111A JP2005097276A JP2005097276A JP2006274111A JP 2006274111 A JP2006274111 A JP 2006274111A JP 2005097276 A JP2005097276 A JP 2005097276A JP 2005097276 A JP2005097276 A JP 2005097276A JP 2006274111 A JP2006274111 A JP 2006274111A
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Takayuki Imaoka
孝之 今岡
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Abstract

【課題】
本発明は、従来にない複雑な形状の耐炎成形品を得ることができる成形加工性の優れた耐炎ポリマー前駆体、耐炎ポリマー、およびそれからなる耐炎成形品やその製造方法を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の耐炎ポリマー前駆体は、アミン系共重合成分およびヘテロ環系共重合成分から選ばれた少なくとも1種によって変性されてなるポリマーで構成されていることを特徴とするものである。また、本発明の耐炎ポリマー前駆体分散液は、かかる耐炎ポリマー前駆体および極性有機溶媒で構成されている分散体であることを特徴とするものであり、さらに、本発明の耐炎ポリマーは、かかる耐炎ポリマー前駆体分散液を、酸化剤によって酸化してなることを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐炎ポリマー前駆体、耐炎ポリマーおよびそれからなる耐炎成形品やその製造方法に関する。
耐炎繊維は耐熱性・難撚性に優れていることから、例えば溶接作業等で飛散する高熱の鉄粉や溶接火花等から人体を保護するスパッタシート、さらには航空機等の防炎断熱材などで幅広く利用され、その分野における需要は増している。
また耐炎繊維は炭素繊維を得るための中間原料としても重要であり、該炭素繊維は力学的、化学的諸特性及び軽量性などにより、各種の用途、例えば航空機やロケットなどの航空・宇宙用航空材料、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣竿などのスポーツ用品に広く使用され、さらに船舶、自動車などの運輸機械用途分野などにも使用されようとしている。また、近年は炭素繊維の高い導電性や放熱性から、携帯電話やパソコンの筐体等の電子機器部品や、燃料電池の電極用途への応用が強く求められている。
該炭素繊維は、一般に耐炎繊維を窒素等の不活性ガス中で高温加熱することにより炭化処理する方法によって得られる。また、耐炎繊維は、例えばポリアクリロニトリル(PAN)系耐炎繊維であればPAN系前駆体繊維を空気中200〜300℃の高温で耐炎化(PANの環化反応+酸化反応)することによって得られている。
しかし、この耐炎化反応は、発熱反応で繊維形態、すなわち固相のままの反応であり温度制御のためには長時間処理する必要があり、耐炎化をある時間内に終了させるには、PAN系前駆体繊維の繊度を特定の値以下の細繊度に限定する必要がある等、現行の耐炎化プロセスは十分効率的なプロセスとは言いにくい。
また、耐炎製品として、繊維以外の形態、例えばシート、フィルムといった平面形状、各種立体形状等の耐炎成形品を得ることは、先に述べたように耐炎化反応が発熱反応であるため、除熱が難しく実質的に困難であった。従って、耐炎成形品は繊維状物に限られ、平面シートなどは、かかる耐炎化された繊維状物を織物等にして製造しているのが現状である。
任意の繊度の耐炎化繊維や、繊維状物以外の耐炎化製品(耐炎成形品)、例えばシート状物、立体成形品等が得られるようになれば、耐炎成形品の用途が格段に拡がるだけでなく、それらの製造条件や炭化条件を適正化することによって、任意の繊度の炭素繊維や、繊維状物以外の炭素製品(炭素成形品)、例えばシート状炭素、立体炭素成形品といった炭素製品群を得ることができ、その使用用途を拡大させることができる。
以上の技術的課題を解決する一つの方法として、溶媒による溶液化が検討されてきた。
例えば、ポリアクリロニトリル粉末を不活性雰囲気中で密度が1.20g/cm以上となるまで加熱処理した後、溶剤に溶解して繊維化せしめた繊維状物を熱処理するという技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、耐炎化の進行していないポリアクリロニトリル粉末を使用しているため、溶液の経時的粘度変化が大きく、糸切れが多発しやすいという課題があった。また溶剤として、硫酸、硝酸等の一般の有機ポリマーを分解させやすい強酸性溶媒を使用しているため、耐腐食性のある特殊な材質の装置を用いる必要があるなど、コスト的にも現実的ではなかった。
また、加熱処理したポリアクリロニトリル粉末と、加熱処理しないポリアクリロニトリル粉末を混合して同様に酸性溶媒中に溶解する方法が提案されているが(例えば、特許文献2参照)、前述した装置の課題は残されたままだし、さらに溶液の不安定さも課題が残されたままであった。
さらに、ポリアクリロニトリルのジメチルホルムアミド溶液を加熱処理して、ポリアクリロニトリルが環化構造を伴うポリマーへ転換することが開示されているが(例えば、非特許文献1参照)、ポリマー濃度が0.5%と希薄溶液であり、粘性が低すぎるため、実質的に繊維等への賦形・成形は困難であるし、その濃度を高めるようとすると、ポリマーが析出し、溶液として使用することができなかった。
ポリアクリロニトリルを第1級アミンで変性した溶液が開示されているが(例えば、非特許文献2参照)、この溶液はポリアクリロニトリルに親水性を与えたものであって、耐炎化を目的としたものでない。
特公昭63−14093号公報 特公昭62−57723号公報 「ポリマー・サイエンス(USSR)」(Polym.Sci.USSR),1968年、第10巻,p.1537 「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス,パートA:ポリマー・ケミストリー」(J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.),1990年,第28巻,p.1623
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、従来にない複雑な形状の耐炎成形品を得ることができる成形加工性の優れた耐炎ポリマー前駆体、耐炎ポリマー、およびそれからなる耐炎成形品やその製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の耐炎ポリマー前駆体は、アミン系共重合成分およびヘテロ環系共重合成分から選ばれた少なくとも1種によって変性されてなるポリマーで構成されていることを特徴とするものである。また、本発明の耐炎ポリマー前駆体分散液は、かかる耐炎ポリマー前駆体および極性有機溶媒で構成されている分散体であることを特徴とするものであり、さらに、本発明の耐炎ポリマーは、かかる耐炎ポリマー前駆体分散液を、酸化剤によって酸化してなることを特徴とするものである。
また、本発明の耐炎成形品の製造方法は、前記耐炎ポリマー分散液を賦形する賦形工程と、溶媒を除去する除去工程とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の炭素成形品の製造方法は、かかる耐炎成形品を炭化することを特徴とするものである。

本発明によれば、種々の形状に成形加工可能な耐炎ポリマー分散液を得ることができ、また、この耐炎ポリマーを用いることによって従来にない形状の耐炎成形品も得ることができる。またこの耐炎成形品をそのまま炭化することも可能であり、種々の形状の炭素成形品を効率よく製造することができる。
本発明の耐炎前駆体ポリマーとは耐炎性のあるポリマーの前駆体であり、酸化剤で酸化されることによって耐炎ポリマーを製造することができるポリマーである。また耐炎ポリマー前駆体分散液とは耐炎ポリマー前駆体が極性有機溶媒に分散されている分散液である。
本発明の耐炎ポリマーとは耐炎性のあるポリマーであり、また、耐炎ポリマー分散液とは、耐炎ポリマー前駆体が極性有機溶媒に分散されている分散液である。ここで分散液とは粘性流体であり、賦形、成形する際に流動性を有するものであればよく、室温で流動性を有するのはもちろんのこと、ある温度で流動性のない固体やゲル状であっても、加熱により加工温度付近で流動性を有するものすべてを含む。
また本発明において耐炎とは、「防炎」という用語と実質的に同義であり、「難燃」という用語の意味を含んで使用する。具体的に耐炎とは燃焼が継続しにくい(燃えにくい)性質を示す総称である。耐炎性能の具体的手段として、例えばJIS Z2150(1966)には薄い材料の防炎試験方法について記載されているが、評価すべき試料をバーナーで特定時間加熱し、着火後の残炎時間や炭化長等を評価することで判定できる残炎時間は短い方がよく、炭化長も短い方が耐炎(防炎)性能が優秀である。
本発明における耐炎ポリマーとは、通常の耐炎繊維と呼称されるものの化学構造と同一または類似するものであり、ポリアクリロニトリル系ポリマーを前駆体とし、空気中で加熱したもの、石油や石炭等をベースとするピッチ原料を酸化させたものやフェノール樹脂系の前駆体等が例示されるが、溶液化が容易な点からアクリロニトリル系ポリマーが好ましく採用される。
アクリロニトリル系ポリマーを前駆体とする場合であれば、耐炎ポリマーの構造は完全には明確となっていないが、アクリロニトリル系耐炎繊維を解析した文献(ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス,パートA:ポリマー・ケミストリーエディション)(J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.Ed.),1986年,第24巻,p.3101)ではニトリル基の環化反応あるいは酸化反応によって生じるナフチリジン環やアクリドン環、水素化ナフチリジン環を有すると考えられており、一般的にラダーポリマーと呼ばれている。未反応のニトリル基が残存しても耐炎性を損なわない限りよいし、分子間に架橋結合があっても溶解性を損なわない限りはよい。
耐炎ポリマーについて、核磁気共鳴装置により13−Cを測定した場合、耐炎ポリマーに起因して150〜200ppmにシグナルを有する構造であることが好ましい。また、高分子組成物の赤外分光測定(IR)によって1600cm−1付近に最大の吸収ピークを有することが好ましい。両測定法で該範囲にピークを有する場合、特に高い耐熱性を有する耐炎ポリマーを得ることができる。
耐炎ポリマーの分子量は特に限定されず、成形方法に応じた粘性を有する分子量とすればよい。
また、本発明の耐炎ポリマー前駆体は、共重合されたアミン系成分、あるいはヘテロ環系成分によって変性されていることが重要であり、耐炎ポリマーは、該耐炎ポリマー前駆体が酸化剤で酸化されていることが重要である。ここでいう「共重合されたアミン系成分、あるいはヘテロ環系成分によって変性された」とは共重合成分であるアミン系共重合成分、あるいはヘテロ環系成分のヘテロ原子が、ポリマー中の他の官能基と化学反応または水素結合またはファンデルワールス力等により相互作用をしていることをいう。
「アミン系共重合成分、あるいはヘテロ環系成分」のアミン系成分は特に限定されないが、1級〜4級のアミン構造を有する化合物であれば特に限定されない。
またこのアミン系成分は、窒素が酸化された基である、ニトロ基、ニトロソ基等であってもよい。
さらにこのアミン系成分は窒素原子に保護基を有する基であってもよい。この場合の窒素原子の保護基の種類、及びその導入方法は、例えば、グリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)」、(米国)、第3版、ワイリー・インターサイエンス(Wiley Interscience)、1999年5月15日に記載されている。
アミン系成分の保護基としては、好ましくはカルバマート基、イミド基、アミド基、ベンジル基、アリル基、ウレア基、シンナミル基が挙げられ、より好ましくはカルバマート基、イミド基、ベンジル基である。
「アミン系共重合成分、あるいはヘテロ環系共重合成分」のヘテロ環系成分とはO、S及びNから選択されるヘテロ原子を1〜4個含有する4〜10員の単環〜三環式ヘテロ環基であり、飽和環、芳香環、及びその部分的に水素化された環基を包含する。例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピロリジニル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ピペリジル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、モルホリニル、インダゾリニル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル(2,3−ジヒドロ−2−オキソベンゾイミダゾリル)が挙げられる。
また、「アミン系共重合成分、あるいはヘテロ環系共重合成分」のアミン、ヘテロ環は、ポリマー鎖との間に炭素数1〜6の直鎖のアルキル基(炭素数1〜3のアルキル基、水酸基等の置換基を有していても良い)、炭素数1〜6のアルケニル基(炭素数1〜3のアルキル基、水酸基等の置換基を有していても良い)、炭素数1〜6のアルキニル基(炭素数1〜3のアルキル基、水酸基等の置換基を有していても良い)、水酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、カルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、ウレア基、カルバマート基等の官能基を有していてもよい。
「アミン系共重合成分、あるいはヘテロ環系共重合成分」の具体的な例としては例えば表1に示す化合物が挙げられる。
Figure 2006274111
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「アミン系共重合成分」のアミン系の基がニトロ基、ニトロソ基である場合は、還元反応によってアミンに還元することができる。還元する方法としては例えば鉄、亜鉛粉末と混合する方法や、あるいは、還元触媒(例えば、パラジウム炭素、ラネーニッケル等)を用いて、水素雰囲気下あるいはギ酸存在下で反応させる方法を用いることができる。
また「アミン系共重合成分」のアミンが保護基を有する基である場合は、保護基を除去することが可能である。保護基の除去の方法は、前記の「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版)」に記載されている。これらの反応条件に準じて適宜行うことができる。例えば、窒素の保護基が9−フルオレニルカルバマートである場合は モルホリン、ピペリジン、テトラブチルアンモニウムフルオリド、ジメチルアミノピリジン等を反応させることによって除去することができる。また窒素の保護基がtert−ブチルカルバマートである場合はポリマー溶液に塩酸、トリフルオロ酢酸等を加えることによって除去することができる。また加熱することによっても除去することができる。
耐炎ポリマー前駆体を酸化する酸化剤としては有機若しくは無機の酸化剤を用いることができる。中でも安全性や反応性からニトロ系化合物、あるいはキノン系化合物が好ましく、ニトロ化合物がより好ましい。ニトロ系化合物としては、反応時の熱安定性から芳香族環をもつモノニトロ化合物がより好ましく、ニトロベンゼン、o,m,p−ニトロトルエン、o,m,p−ニトロフェノール、ニトロキシレン、ニトロナフタレンがより好ましく、ニトロベンゼン、o,m,p−ニトロトルエンが特に好ましい。
本発明の耐炎ポリマー前駆体分散液および耐炎ポリマー分散液を構成する溶媒は得られたポリマーの分散性が高いことから極性有機溶媒であることが望ましい。極性有機溶媒は具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、スルホラン、ジメチルイミダゾリジオン、ジオキサン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好ましい。これらの溶媒は1種だけで用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本発明の耐炎ポリマー前駆体分散液の粘度は特に限定されない。また耐炎ポリマー分散液の粘度は、用いる賦形方法、成形方法、成形温度、口金、金型等の種類によってそれぞれ好ましい範囲とすることができる。一般的には50℃での測定において1〜100000Pa・sの範囲で用いることができる。さらに好ましくは10〜10000Pa・s、さらに好ましくは20〜1000Pa・sである。この粘度は各種粘度測定器、例えば回転式粘度計、レオメータやB型粘度計等により測定することができる。いずれか1つの測定方法により上記範囲に入ればよい。また範囲外であっても成形時に加熱あるいは冷却することにより適当な粘度として用いることもできる。
次に本発明の耐炎ポリマー前駆体分散液および耐炎ポリマー分散液を製造する方法の例を説明する。原料となるポリマーとしては、例えばポリアクリロニトリル系ポリマー、ピッチを原料とするポリマー、フェノール樹脂などを用いることができるが、中でもポリアクリロニトリル系ポリマーが好ましい。
ポリアクリロニトリル系ポリマーとしてはアミン系共重合成分のみを共重合してもよいし、他の共重合体成分を共重合してもよい。
アミン系、あるいはヘテロ環系共重合体の共重合比率は好ましくは0.01〜30モル%、より好ましくは0.1〜20モル%更に好ましくは0.2〜10モル%である。
また、共重合の形態はランダム、交互、ブロックなど種類を問わない。
ポリアクリロニトリル系ポリマーとしてはアミン系共重合成分のみを共重合してもよいし、他の共重合体成分を共重合してもよい。
この共重合体を重合する方法としては特に限定されないが溶液重合法、懸濁重合法、スラリー重合法、乳化重合法等が適用できる。
アクリロニトリル系ポリマーの数平均分子量は1000〜1000000程度のものを任意に選択できる。
原料となるポリマーを極性有機溶媒に溶解する場合には、原料となるポリマーの形状・形態は粉末、フレーク、繊維状いずれでもよく、重合中や紡糸時に発生するポリマー屑や糸屑等もリサイクル原料として用いることもできる。好ましくは粉末状、とりわけ100μm以下の微粒子となっていることが、溶媒への溶解性の観点から特に好ましい。また予めモノマーの段階から溶媒に溶解しておき、適当な重合方法によりポリマー化したポリマー溶液をそのまま用いることもできる。
原料となるポリマーを極性有機溶媒に溶解させる場合、溶解は常圧下に行ってもよいし、場合によっては加圧下あるいは減圧下に行ってもよい。溶解に用いる装置としては通常の攪拌機付き反応容器以外にエクストルーダーやニーダー等のミキサー類を単独もしくは組み合わせて用いてもよい。
この場合アクリロニトリル系ポリマー100重量部に対して、極性有機溶媒の量を100〜2000重量部、より好ましくは150〜1600重量部用いて溶解することがよい。
耐炎ポリマー前駆体を酸化させる酸化剤の添加量は特に限定されないが、原料となるポリマー100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、1〜50重量部がより好ましく、2〜40重量部がさらに好ましい。この配合比とすることで最終的に得られる耐炎ポリマー分散液の濃度を前記した好ましい範囲に制御することが容易となる。これらは1種だけで用いてもよいし、2種以上混合してもよい。
酸化剤は原料となるポリマーを極性有機溶媒に加える前に混合していてもよく、原料となるポリマーと同時に極性有機溶媒に添加してもよく、原料となるポリマーの後に極性有機溶媒に添加してもよい。
原料となるポリマーと酸化剤および極性有機溶媒等の混合液を適当な温度で加熱することにより原料となるポリマーの変性および耐炎化を進行させる。この場合、温度は使用する溶媒や酸化剤によって異なるが、80〜350℃が好ましく。100〜250℃がより好ましく、120〜200℃がさらに好ましい。
なお、本発明の耐炎ポリマー前駆体分散液および耐炎ポリマー分散液中にはシリカ、アルミナ、ゼオライト等の無機粒子、カーボンブラック等の顔料、シリコーン等の消泡剤、リン化合物等の安定剤・難燃剤、各種界面活性剤、その他添加剤を含ませても構わない。また耐炎ポリマーの分散性を向上させる目的で塩化リチウム、塩化カルシウム等の無機化合物を含有させることもできる。これらは耐炎化を進行させる前に添加してもよいし、耐炎化を進行させた後に添加してもよい。
次に本発明の耐炎成形品について説明する。本発明の耐炎成形品は共重合されたアミン系、あるいはヘテロ環系化合物で変性された耐炎ポリマー前駆体を、さらに酸化剤で酸化することによって得られた耐炎ポリマーにより一部または全部が構成されてなる耐炎成形品である。また、前記本発明の耐炎ポリマー分散液がその他のポリマーや化合物に配合されてなるものによって構成されてもよい。
本発明の耐炎成形品は前記本発明の耐炎ポリマー分散液を賦形する賦形工程と、溶媒を除去する工程を経て得ることができる。
耐炎成形品は繊維状(耐炎繊維)であってもよく、シート状であってもよく、その他の立体あるいは平面形状であってもよい。すなわち、賦形工程において繊維状に賦形することで繊維状の繊維状の耐炎成形品が、シート状に賦形することでシート状の耐炎成形品が、その他立体形状に賦形することで立体耐炎成形品を得ることができる。
本発明の繊維状の耐炎成形品は長繊維状であっても、短繊維状であってもよい。長繊維状の場合には引き揃えてそのまま炭素繊維の原料として用いる場合などに好適であり、短繊維状の場合には例えば捲縮糸として織物、編物、不織布等の布帛として用いる場合などに好適である。
また本発明の耐炎成形品は、単繊維であっても、複数の単繊維からなる束状の繊維であってもよい。束状の繊維とする場合は1束中の単繊維本数は使用目的によって適宜決められるが、高次加工性の点では、50〜100000本/束が好ましく、100〜80000本/束がより好ましく、200〜60000本/束が更に好ましい。
また各単繊維の繊度は炭素繊維の原料とする場合には0.00001〜100dtexが好ましく、0.01〜100がより好ましい。また単繊維の直径は、炭素繊維の原料とする場合は1nm〜100μmが好ましく、10nmから50μmがより好ましい。一方布帛に加工する場合は5〜100μmが好ましく、7〜50μmがより好ましい。
また、本発明の繊維状耐炎成形品の各単繊維の断面形状は、真円、楕円、まゆ型、場合によっては不定形であってもよい。
また、本発明の繊維状耐炎成形品の比重は1.1〜1.6が好ましく、1.15〜1.55がより好ましく、1.2〜1.5がさらに好ましい。この比重が1.1未満であると空孔が多く強度が低下する場合があり、1.6を超えると緻密性が高まりすぎ伸度が低下する場合がある。
また本発明の繊維状耐炎成形品の単繊維引張強度は0.1〜10g/dtexが好ましく、0.2〜9g/dtexがより好ましく、0.3〜8g/dtexがさらに好ましい。この引張強度は万能引張試験器(例えばインストロン社製 モデル1125)を用いて、JIS L1015(1981)に準拠して測定できる。
また本発明の繊維状耐炎成形品に含まれる溶媒成分の残存量は10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下が更に好ましい。この溶媒残存率が10重量%を超えると耐炎性が損なわれる場合がある。
次に本発明の耐炎成形品の製造方法について説明する。本発明の耐炎成形品は前述の本発明の耐炎ポリマー分散液をそのまま繊維状、シート状、その他の平面または立体形状の耐炎成形品に加工できる。場合によっては本発明の他のポリマーや化合物へ配合して、賦形、成形し、耐炎成形品とすることもできる。具体的には本発明の耐炎ポリマー分散液をアクリロニトリル系ポリマーへ配合せしめた後に紡糸し、繊維状の耐炎成形品を得ることもできるし、エポキシ樹脂に耐炎ポリマー分散液を配合した後、成形し、硬化せしめ耐炎成形品とすることもできる。
次に繊維状、シート状、その他の形状の耐炎成形品についてそれぞれ具体的な製造方法について以下に記す。
耐炎ポリマーを繊維状に成形するいわゆる耐炎繊維を得る方法としては、特に限定されないが湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法、フラッシュ紡糸法、エレクトロスピニング紡糸法、スパンボンド法、メルトブロー法、遠心力紡糸法等そのままあるいは改良して使用することができる。
プロセスの生産性を上げるために好ましいのは湿式紡糸や乾湿式であり、耐炎ポリマーとして水不溶性のものを選択すれば、水を凝固浴として用いることができる。具体的には10〜60℃程度の水浴で凝固させ凝固糸を水洗・延伸して糸中の溶媒を除去した後に50〜450℃程度の範囲で乾燥する。乾燥の方法としては乾式紡糸法と同様の方法を選択できる。
耐炎繊維としては長繊維、短繊維いずれも得ることができるので、紡糸法を含め適宜選択する。さらなる延伸は冷延伸、加熱延伸いずれの方法をとることもできる。加熱は熱風、スチーム等を適宜選択する。
また、高次加工の必要性に応じて油剤を適宜付与することができる。油剤の種類としては特に限定はされず、ポリエーテル系、ポリエステルの界面活性剤、シリコーン、アミノシリコーン等を付与できるし、従来公知の油剤を付与してもよい。
繊維状成形品は複数本の短繊維からなる束状であってもよく、1束に含まれる短繊維の数は使用目的に合わせて適宜選択できるが、前記した好ましい本数とするには、口金孔数によって調製することもできるし、複数本の繊維状耐炎成形品を合糸してもよい。
また短繊維の繊度を前記した好ましい範囲とするには口金孔径を選択したり、口金からの吐出量を適宜定めることにより制御することができる。
また単繊維繊度を大きくする場合には、乾燥時間を長くする、あるいは乾燥温度を上げることが溶媒残存量の低減の点で好ましい。より単繊維繊度が小さい繊維状耐炎成形品を得る場合には電子紡糸法等を用いることが好ましい。この方法により、好ましくは直径100nm以下、より好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは5〜50nmといったナノファイバーレベルの繊度とすることもできる。
また、繊維状耐炎成形品(耐炎繊維)の断面形状は丸孔、楕円孔、スリット等の口金吐出孔の形状と溶媒除去する際の条件によって制御することができる。
本発明の耐炎繊維の比重は例えば乾燥条件によって制御することができる。乾燥条件として、乾燥温度を50〜450℃とすることで前記した好ましい範囲の比重とすることができる。
また乾燥条件として乾燥温度を溶媒の沸点より高い温度とすることで、耐炎繊維中の溶媒・揮発成分の残存量を10%以下にすることができる。
次に本発明のシート状の耐炎成形品を説明する。ここでいうシート状とはフィルムも含む概念である。その厚みは特に限定されないが5mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1mm以下である。この厚みが5mmを超えると脆くなる傾向にある。またこの厚みは用途によって適宜好ましい厚みを選ぶことができるが、一般工業用品として使用する場合には0.5mm程度に薄ければ十分な場合が多い。
またシート状の耐炎成形品の比重の好ましい範囲は1.1〜1.6である。比重が1.1未満であるとクラックが発生しやすい場合があり、1.6を超えると低伸度の場合がある。
またシート状耐炎成形品の揮発成分含有量の好ましい範囲は10重量%以下である。この揮発成分含有量が10重量%を超えると耐炎性を損なう場合がある。揮発成分含有量は少なければ少ないほど好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下がさらに好ましく、理想的には0であるが、1重量%程度含まれていても実用上問題ない場合が多い。
次に、本発明のシート状の耐炎成形品の製造方法の例を説明する。例えば前記した本発明の耐炎ポリマー分散液をキャスト製膜法にてシート化する方法が挙げられる。均一にキャストした後、恒温乾燥機中で乾燥し、場合によって水浴等の浴中でゲル化させることもできる。また、直接凝固浴中で形態を固定することも可能である。
本発明の耐炎成形品は上記した繊維状、シート状の他に様々な平面または立体形状することができる。例えば球に代表される粒子状、薄板に代表される板状、棒に代表される円柱状、その他不定形等である。
これらの成形品の製造方法の例を説明する。熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の成形で用いられる成形方法、例えば射出成形、押出成形、圧縮成形などを用いることができる。またキャスト成形法を応用することも可能である。キャスト成形は多様な形状を付与できる点で好ましい。具体的には前記した本発明の耐炎ポリマー分散液を好みの形状の型に入れ、例えば恒温乾燥機中である程度乾燥させる。さらに、流動しなくなる直前に押さえ型を用いて最終的な形状に固定する。
この場合、用いる耐炎ポリマー分散液は前記したものであれば特に限定されないが、耐炎ポリマー濃度が5〜50重量%のものが流動性の点で好ましい。また50℃における粘度が10〜150Pa・sのものが流動性の点で好ましい。
上記した各種耐炎成形品をさらに炭化することで炭素成形品を得ることができる。本発明の炭素成形品は、繊維状の炭素成形品(炭素繊維)、シート状の炭素成形品(炭素シート)、その他の形状の炭素成形品を挙げることができる。ここでいう炭素成形品とは炭素含有量が80重量%以上のものをいい、より好ましくは90重量%以上のものをいう。
本発明の繊維状の炭素成形品は、強度として100〜10000MPaが好ましく、200〜8000MPaがより好ましく、300〜6000MPaがさらに好ましい。この強度が100MPa未満では補強繊維として使用できない場合がある。
また、本発明の繊維状の炭素成形品は繊維直径が1nm〜7×10nmが好ましく、10nm〜5×10nmがより好ましく、50nm〜10nmがさらに好ましい。この繊維直径が1nm未満では繊維が折れやすい場合があり、7×10nmを超えると欠陥が発生しやすい傾向がある。また、本発明の繊維状炭素成形品は、比重が1.5〜2.4が好ましく、1.6〜2.1がより好ましい。1.5未満だと繊維が折れやすい場合があり、2.4を超えると欠陥が発生しやすい傾向がある。
繊維状の炭素成形品を得る具体的な方法としては、前記本発明の繊維状耐炎成形品(耐炎繊維)を不活性雰囲気中300℃以上2000℃未満で処理することによって得られる。より好ましくは800〜2000℃、更に好ましくは1200〜1800℃で炭化処理することによって得ることができる。
またこの炭素繊維をさらに不活性雰囲気中、2000〜3000℃で加熱することによって黒鉛繊維とすることもできる。
得られた炭素繊維、黒鉛繊維はその表面改質のため、電解処理することができる。電解処理に用いる電解液には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸性溶媒や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドといったアルカリ又はそれらの塩を水溶液として使用することができる。電解処理に要する電気量は、適用する炭素繊維、黒鉛繊維により適宜選択することができる。
この電解処理により得られる複合材料において炭素繊維材料、黒鉛繊維材料とマトリックスとの接着性が適正化でき、得られる複合材料において炭素繊維材料、黒鉛繊維材料とマトリックスの接着性が適正化でき、接着性が強すぎることによる複合材料のブリトルな破壊や、繊維方向の引張強度が低下する問題や、繊維方向における引張強度は高いものの、樹脂との接着性に劣り、非繊維方向における強度特性が発現しないといった問題が解消され、得られる複合材料において、繊維方向と非繊維方向の両方向にバランスの取れた強度特性が発現されるようになる。
この後得られる炭素繊維材料に集束性を付与するため、サイジング処理をすることもできる。サイジング剤は、使用する樹脂の種類に応じて、樹脂との相溶性のよいサイジング剤を適宜選択することができる。
本発明のシート状の炭素成形品は炭素含有量が80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上がより好ましい。また、厚みは好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1mm以下のものである。シート厚みは用途によって適宜選択できる。
また、シート状の炭素成形品は、前記した本発明のシート状の耐炎成形品を炭化することによって得ることができる。具体的には不活性雰囲気中、300℃以上、2000℃未満で処理することによって得られる。より好ましくは800〜2000℃、更に好ましくは1200〜1800℃で炭化処理することによって得ることができる。
またこのシート状の炭素成形品をさらに不活性雰囲気中2000〜3000℃で加熱することによってシート状の黒鉛成形品とすることもできる。
また、本発明の耐炎ポリマー分散液は、基板に対するコーティング等にも応用できる。ガラス基板や金属基板の表面にコーティングすることによって耐炎性の付与や前記した耐炎繊維と同様に炭化することによって炭素特性を付与することもできる。
以上のように本発明の耐炎ポリマーから耐炎成形品を経由して炭素成形品に転換する製造法について記載したが、耐炎成形品を得る工程と炭素成形品を得る工程はそれぞれ独立して行うこともできるし、連続的に直結して一つの工程として製造することもできる。
具体的に耐炎ポリマーから耐炎繊維を経由して炭素繊維を得る場合には、耐炎ポリマー分散液を紡糸し耐炎繊維とした後に炭化まで巻き取り工程を入れることなく連続的に行い、さらに表面処理およびサイジング剤付与工程を含め連続した一つのプロセスとして製造することができる。
低コストの観点から、耐炎ポリマーから炭素成形品まで一つのプロセスで連続的に製造する方が好ましい。
次に実施例により本発明を具体的に説明する。なお実施例では各物性値または特性は以下の方法により測定した。
<耐炎ポリマー分散液の粘度>
ソリキッドメータ(レオロジ社製)のプレート−プレート型レオメータを用いて、周波数0.1Hz、振幅1゜で測定した。測定温度は25℃〜150℃まで測定し、50℃の値を代表値とした。
<耐炎ポリマーのNMR測定>
耐炎ポリマーのNMRスペクトルを、測定核周波数67.9MHz、スペクトル幅15015kHz、室温で既知である溶媒のスペクトルを内部標準として測定した。なお装置は日本電子株式会社製GX−270を用いた。
<耐炎性の評価法>
JIS Z2150(1966)薄い材料の防炎試験方法(45°メッケルバーナー法)に準拠した方法条件を選定し各試料の耐炎性を評価した。耐炎ポリマーの場合は粉砕して20μm程度の粒子とし、加圧成形機(圧力10MPa)を用いて直径20mm、厚さ1mmの円盤状ディスクを作成した。このディスクを燃焼試験箱に設置した45°に傾斜した試験片支持わく内にセットし、高さ160mm、内径20mmのメッケルバーナーの火で10秒加熱し、残炎時間と燃焼後炭化物として残存するかどうか評価した。残炎時間、すなわち加熱終了から試料が炎を上げて燃え続ける時間が短い方が優秀であるが、試料の形状を保持したまま炭化物を含む部分の全面積を測定し測定前の40%以上残存すれば耐炎性が○と評価した。40%未満の場合は×と判定した。
耐炎繊維の場合は合糸による1500本のフィラメントで試料長を30cmとし、耐炎ポリマー同様メッケルバーナーの炎で残炎時間および炭化長を求めその値から耐炎性を評価した。残炎時間10秒以下、炭化長10cm以下の場合の耐炎性を○、残炎時間10秒以下、炭化長15cm以下の場合の耐炎性を△、残炎時間10秒以上、炭化長15cm以上の場合の耐炎性を×と判定した。測定数はn=5とし、もっとも該当数が多かった状態をその試料の耐炎性とした(もっとも該当数が多い状態が複数あった場合は、n数を追加した)。
(参考例1)
アクリロニトリル98モル%、メタクリル酸2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)エチルエステル2モル%の混合物100重量部、ジメチルスルホキシド380重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、オクチルメルカプタン1重量部を反応容器に仕込み、窒素置換後に65℃で5時間、75℃で7時間加熱し重合し、脱モノマーすることによって、ジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒とするアクリロニトリル98モル%とメタクリル酸2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)エチルエステル2モル%からなるポリアクリロニトリル(PAN)共重合体を得た。
(実施例1)
参考例1のポリマー溶液を温水中に投入し、凝固したポリマーを濾過によって分離し、120℃で乾燥させ耐炎ポリマーを単離した。このポリマー15重量部にDMF72重量部、ピペリジン5重量部を加え、100℃に加温し60分間、さらに反応温度を145℃に上昇させ60分反応させた。その後ニトロベンゼン5重量部を加え145℃で120分反応させ、黒色の耐炎ポリマー分散液を得た。冷却して得た耐炎ポリマー分散液を温水中に投入し、凝固したポリマーを濾過によって分離し、120℃で乾燥させ耐炎ポリマーを単離した。13C−NMRで解析したところ、160〜180ppmに、PANや溶媒、ニトロベンゼンには認められない耐炎ポリマーに由来するピークが存在した。またIRで解析したところ、1600cm−1に明確なピークが存在した。得られたポリマーの耐炎性を評価したところ、○の判定であった。
(実施例2)
溶媒にN−メチル−2−ピロリドンを用いる以外は、実施例1と同様の方法で行い、黒色の耐炎ポリマー分散液を得た。冷却して得た耐炎ポリマー分散液を温水中に投入し、凝固したポリマーを濾過によって分離し、120℃で乾燥させ耐炎ポリマーを単離した。13C−NMRで解析したところ、160〜180ppmに、PANや溶媒、ニトロベンゼンには認められない耐炎ポリマーに由来するピークが存在した。またIRで解析したところ、1600cm−1に明確なピークが存在した。得られたポリマーの耐炎性を評価したところ、○の判定であった。
(実施例3)
アクロリニトリル98モル%とアリルシクロペンチルアミン2モル%からなるポリアクリロニトリル系共重合体の粒子12重量部、DMSO82重量部、ニトロベンゼン6重量部を秤量し、180℃で240分攪拌し、黒色の耐炎ポリマー分散液を得た。冷却して得た耐炎ポリマー分散液を温水中に投入し、凝固したポリマーを濾過によって分離し、120℃で乾燥させ耐炎ポリマーを単離した。13C−NMRで解析したところ、160〜180ppmに、PANや溶媒、ニトロベンゼンには認められない耐炎ポリマーに由来するピークが存在した。またIRで解析したところ、1600cm−1に明確なピークが存在した。得られたポリマーの耐炎性を評価したところ、○の判定であった。
(実施例4)
アクリロニトリル97モル%と、メタクリル酸−3−tertブトキシカルボニルアミノプロピルエステル3モル%からなるポリアクリロニトリル系共重合体の微粒子14重量部、N−メチル−2−ピロリドン80重量部、ニトロトルエン6重量部を秤量し、フラスコ中185℃で300分時間攪拌することによって黒色の耐炎ポリマー分散液を得た。冷却して得た耐炎ポリマー分散液を温水中に投入し、凝固したポリマーを濾過によって分離し、120℃で乾燥させ耐炎ポリマーを単離した。13C−NMRで解析したところ、160〜180ppmに、PANや溶媒、ニトロトルエンには認められない耐炎ポリマーに由来するピークが存在した。またIRで解析したところ、1600cm−1に明確なピークが存在した。得られたポリマーの耐炎性を評価したところ、○の判定であった。
(実施例5)
アクリロニトリル98モル%とN−[2−(3H−イミダゾール−4−イル)エチル]メタクリルアミド2モル%からなるポリアクリロニトリル系を用いた以外は実施例4と同様の方法で行い、黒色の耐炎ポリマー分散液を得た。冷却して得た耐炎ポリマー分散液を温水中に投入し、凝固したポリマーを濾過によって分離し、120℃で乾燥させ耐炎ポリマーを単離した。13C−NMRで解析したところ、160〜180ppmに、PANや溶媒、ニトロトルエンには認められない耐炎ポリマーに由来するピークが存在した。またIRで解析したところ、1600cm−1に明確なピークが存在した。得られたポリマーの耐炎性を評価したところ、○の判定であった。
(実施例6)
実施例1の耐炎ポリマー分散液を湿式紡糸装置で繊維化した。0.08mmの孔径を100ホール有する口金から20℃の水浴中に吐出し、溶媒類を水に置換した後に10m/分のローラー速度でローラーを通しさらに洗浄し、180℃のホットロールを用いて加熱乾燥し、さらに300℃で熱処理して耐炎繊維を得た。得られた繊維の耐炎性を評価したところ、○の判定であった。

Claims (12)

  1. アミン系共重合成分およびヘテロ環系共重合成分から選ばれた少なくとも1種によって変性されてなるポリマーで構成されていることを特徴とする耐炎ポリマー前駆体。
  2. 該ポリマーが、アクリロニトリル系ポリマーである請求項1に記載の耐炎ポリマー前駆体。
  3. 請求項1または2に記載の耐炎ポリマー前駆体および極性有機溶媒で構成されている分散体であることを特徴とする耐炎ポリマー前駆体分散液。
  4. 請求項1または2に記載の耐炎ポリマー前駆体が酸化剤によって酸化されてなることを特徴とする耐炎ポリマー。
  5. 請求項3に記載の耐炎ポリマー前駆体分散液が酸化剤によって酸化されてなることを特徴とする耐炎ポリマー分散液。
  6. 請求項3に記載の耐炎ポリマー前駆体の該極性有機溶媒分散液を、酸化剤で耐炎化することを特徴とする耐炎ポリマーの製造方法。
  7. 請求項4に記載の耐炎ポリマーで構成されていることを特徴とする耐炎成形品。
  8. 該成形品が、繊維状またはシート状である請求項7記載の耐炎成形品。
  9. 該シート状成形品が、5mm以下の厚みを有するものである請求項8に記載の耐炎成形品。
  10. 請求項5に記載の耐炎ポリマー分散液を賦形する賦形工程と、溶媒を除去する除去工程とを含む、耐炎成形品の製造方法。
  11. 前記賦形工程が、繊維状またはシート状に賦形する工程である、請求項10に記載の耐炎成形品の製造方法。
  12. 請求項7〜9のいずれかに記載の耐炎成形品を炭化することを特徴とする炭素成形品の製造方法。
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