JP2017165834A - 銀色光沢を有する有機着色剤及び着色組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
コートする方法としては、光輝性を有する顔料を含む印刷インキを用いて各種印刷方式で印刷する方法や、接着剤や熱融着により転写箔する方法が用いられてきた。
金属光沢の中でも、とりわけ金色は富の象徴であり、太古の昔から人々に好まれてきており、正月などのおめでたい行事には欠かせない色である。一方、銀色も落ち着いた風合いで人気が高く、様々な場面で見かけることが多い。また、銀色は金色と異なり、その他の色の着色組成物と混合することにより、金色を含む様々な金属光沢色を表現することが出来るため、金色よりも汎用性が高く、産業上利用価値が高い。
また、環境負荷の低減のため、印刷インキなどの着色組成物は、有機溶剤を極力使用しない水系のものに次々と置き換わっているが、アルミニウム微粒子は、水と反応して水素ガスを発生する上に、アルミニウムからアルミナに変化してしまうため、金属光沢も失われてしまうという課題があった。
しかし、金属光沢を有する有機色素材料は少しずつ開発されてきているものの、最も汎用性が高いキーカラーである銀色光沢を有する有機色素材料は、未だ開発されていない。
一般に金属光沢とは、金属特有のツヤ感や光沢感等のことをいい、例えば光輝性の低いツヤ消しの金属光沢も含む。具体的には、正反射率を測定して金属光沢の有無を判断し、正反射率が10%以上であれば金属光沢があると判断する。正反射率が10%未満では、マットな色調の方が強くなり、金属光沢とは言いがたくなる場合がある。
一方、本発明における銀色光沢とは、正反射率が10%以上で且つ色彩値(L,a,b)におけるa値、b値がいずれも−3.5以上、3.5以下である場合を指す。この範囲を外れると、黄味がかったり、青みがかったりするため銀色とは言いがたくなる。なお、銀色の折り紙の正反射率は38%である。
1) 下記一般式(1)で表されるスチルベン系化合物からなる銀色光沢を有する有機着色剤。
一般式(1)
2) 前記置換基が、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、シアノ基、シアノアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする1)記載の銀色光沢を有する有機着色剤。
3) 前記R1〜R2が、−(CH2)2−OHであることを特徴とする1)記載の銀色光沢を有する有機着色剤。
4) 1)〜3)のいずれかに記載の銀色光沢を有する有機着色剤、水及び溶剤を含有することを特徴とする銀色光沢を有する着色組成物。
また、銀色光沢の発現のためにはトランス体であることが重要であり、純粋なシス体は銀色光沢を発現しない。したがって、一般式(1)としてトランス体を示したが、シス体が多少混入しても銀色光沢に大きな影響は及ぼさないから、銀色光沢に影響を与えない限りシス体が混入しても構わない。しかし、実施例として示したような一般的な方法で合成するとほぼトランス体が得られる。
前記一般式(1)のR5の炭素数が1〜20のアルケニル基としては、前述したR1〜R2がアルケニル基である場合と同様のものが挙げられ、炭素数の上限も同様の理由から20である。
この着色組成物の用途としては、塗料、印刷インキ、プラスチック用着色剤、カラートナー、インクジェット用インク等が挙げられる。
上記本発明の着色組成物は、分散媒等と共に公知の分散機で分散させることができる。ここでいう分散媒とは、分散機で分散処理している最中の水や溶媒のことである。即ち、混合時と同じ水や溶媒でも、分散処理時には、便宜上「分散媒」と呼ぶことにした。
また、必要に応じて、分散湿潤剤、皮張り防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種助材や安定剤を用いても構わない。
また、溶媒としては、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、アルコール等から選ばれる1種以上の溶媒が挙げられる。具体的には、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルブチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコ−ル、メタノ−ル、エタノ−ル等が挙げられる。
また、溶媒としては、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、アルコール等から選ばれる1種以上の溶媒が挙げられる。具体的には、水、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルブチルケトン、メチルエチルケトン、イソブチルアルコ−ル、ノルマルブタノール、シクロヘキサノン等が挙げられる。
分散条件は分散媒及び分散機によって異なるため、分散温度や分散時間は特定できないが、分散温度は室温〜240℃が好ましく、より好ましくは室温〜150℃であり、分散時間は120時間以内が好ましく、より好ましくは5時間以内である。
上記着色組成物は、必要に応じて他の添加剤、顔料、染料等と混合し、最終的な塗料、印刷インキ、インクジェット用インク、プラスチック、カラートナー、記録剤等として使用する。
顔料分散体を製造する際に顔料を分散する分散機としては、ディスパー、ホモミキサー、ビーズミル、ボールミル、二本ロール、三本ロール、加圧ニーダー、超音波分散機等の公知の分散機が挙げられるが、これらに限定されるものではない
(反応式)
f1のNMRの測定値及び元素分析の結果は次のとおりである。
1H NMR(400MHz;ジメチルスルホキシド−d6(DMSO−d6)):δ 3.71(triplet(t),4H),3.99(t,4H),4.87(singlet(s),2H),6.92(doublet(d),4H),7.02(s,2H),7.48(d,4H);13C NMR(100MHz;DMSO−d6):δ 59.6,69.5,114.7,125.8,127.4,130.0,158.1
元素分析値 C:71.98、H:6.71、O:21.31
(反応式)
次に、還流管を取り付けた100mLナスフラスコに、チタノセンジクロライド3.9g(15.7mmol)と亜鉛粉末2.0g(31.5mmol)を入れ、窒素雰囲気下で脱水THF(安定剤無添加)を65mL加えて、室温で溶液の色が赤から緑になるまで撹拌した。次いで、溶液を還流させ始め、前記中間体を2.0g(11.6mmol)加えた。反応混合物を8時間還流させ、室温まで冷却した後、tert−ブチルメチルエーテルで反応を停止し、得られた溶液をろ過した。溶媒を減圧留去した後、残渣をクロロホルムで溶解させた。得られたクロロホルム溶液を1N塩酸と飽和食塩水で分液洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧留去した。得られた白色固体をエタノールで2回再結晶し、析出した結晶を吸引濾過して円形のろ紙上(直径21mm)に積層させ、スチルベン系化合物(a1)の銀色光沢結晶薄膜体を得た。実施例1と同様に、元素分析とNMRにより同定した。
(反応式)
(反応式)
(反応式)
次に、還流管を取り付けた100mLナスフラスコに、チタノセンジクロライド3.9g(15.7mmol)と亜鉛粉末2.0g(31.5mmol)を入れ、窒素雰囲気にした後、脱水THFを65mL加え、室温で溶液の色が赤から緑になるまで撹拌した。次いで溶液を還流させ始め、前記中間体を2.0g(11.6mmol)加えた。反応混合物を8時間還流させ、室温まで冷却した後、tert−ブチルメチルエーテルで反応を停止させ、混合溶液をろ過した。ろ液の溶媒を減圧留去した後、残渣をクロロホルムで溶解させ、1N塩酸と飽和食塩水で分液洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ減圧留去した。得られた白色固体をエタノールで2回再結晶し、析出した結晶を吸引濾過して円形のろ紙上(直径21mm)に積層させ、スチルベン系化合物(f5)の銀色光沢結晶薄膜体を得た。実施例1と同様に、元素分析とNMRにより同定した。
(反応式)
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(反応式)
次に、窒素雰囲気下、二口ナスフラスコにチタノセンジクロリド(3.00g、12.0mmol)と亜鉛粉末(1.57g、24.0mmol)を入れ、脱水THFを50mL加えて、室温で溶液の色が赤から緑になるまで撹拌した。更に溶液を70℃で30分間還流させ、前記中間体1(2.10g、10.0mmol)を加えた。薄層クロマトグラフィーで確認しつつ中間体1が消費されるまで反応混合物を還流させ、tert−ブチルメチルエーテルで反応を停止させた。吸引ろ過して反応液から亜鉛粉末を除去し、ろ液を1N塩酸及び飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで脱水した。更に溶媒を減圧除去し、残渣をヘキサンで洗浄した後、エタノールで再結晶してg1の中間体2を得た。
次に、前記中間体2(1.00g、2.60mmol)と脱水THF(30mL)を二口ナスフラスコに入れ、70℃で還流させ始めたところで、0.5wt%水酸化ナトリウム水溶液を50mL加えた。反応系を2時間還流させた後、減圧留去により溶媒を除去し、残渣に水を100mL加えた。吸引ろ過により水不要物を除去した後、ろ液が酸性になるまで希塩酸を滴下し粗生成物を析出させた。粗生成物をアセトン30mLで洗浄しg1の中間体3を得た。
次に、窒素雰囲気下、前記中間体3(0.50g、1.52mmol)を入れた二口ナスフラスコに塩化チオニルを8mL加えた。反応系を80℃で5時間還流させた後、未反応の塩化チオニルを減圧除去し、g1の中間体4を得た。
次に、前記中間体4にクロロホルムを10mL加え、氷浴で0℃まで冷却した後、0℃の2.4wt%水酸化ナトリウム水溶液5mLとイソプロピルアミン(0.89g、15.1mmol)を加えた。得られた溶液を90分間撹拌した後、吸引ろ過して円形のろ紙上(直径21mm)に積層させ、最後にメタノール30mLで洗浄し、スチルベン系化合物(g1)の銀色光沢結晶薄膜体を得た。実施例1と同様に、元素分析とNMRにより同定した。
(反応式)
(反応式)
(反応式)
(反応式)
(反応式)
(反応式)
(反応式)
(反応式)
(反応式)
(反応式)
上記各スチルベン系化合物について、正反射率及び色彩値を測定し、銀色光沢度を評価した。
即ち、紫外可視分光光度計(JASCO V−570 UV/VIS/NIR Spectrophotometer)に、大型積分球装置(JASCO ILN−472型の大型積分球装置カラー診断プログラム)を取り付け、光トラップ反射板を外した状態で、試料用ホルダにセットした各スチルベン系化合物の結晶について拡散反射率を測定した。次に光トラップ反射板を挿入して全反射率を測定し、「正反射率=全反射率−拡散反射率」の式により正反射率を算出した。また、全反射率の測定結果から各色彩値を算出した。得られた正反射率と色彩値について、下記の基準で判定した結果を表1に示す。
なお、正反射率と色彩値(a値、b値)がいずれもランク1以上であれば、実用可能な銀色光沢を有する有機着色剤と言える。
<正反射率>
ランク3:20%≦正反射率
ランク2:15%≦正反射率<20%
ランク1:10%≦正反射率<15%
<色彩値(a値)>
ランク3:−1.5≦a≦1.5
ランク2:−2.5≦a<−1.5 又は 1.5<a≦2.5
ランク1:−3.5≦a<−2.5 又は 2.5<a≦3.5
<色彩値(b値)>
ランク3:−1.5≦b≦1.5
ランク2:−2.5≦b<−1.5 又は 1.5<b≦2.5
ランク1:−3.5≦b<−2.5 又は 2.5<b≦3.5
バイアル瓶を用いて、下記処方の材料を均一になるように混合し、常温で1時間超音波を照射(600W)した後、5.0μmのフィルタで濾過して着色組成物1を得た。
・スチルベン系化合物f1の銀色光沢結晶薄膜体 5.0重量部
・イオン交換水 5.0重量部
・脱水THF 88.8重量部
・分散剤(DISPERBYK−190、ビックケミー社製) 0.2重量部
実施例41におけるf1を、表1の実施例2〜34の各欄に示すスチルベン系化合物に変えた点以外は、実施例41と同様にして、着色組成物2〜34を得た。
(ガラス媒体の場合)
各着色組成物を、バーコーター(第一理化社製:NO.22)を用いて、板厚1.0mmの25mm×75mmサイズのガラス基板に厚さ50μmになるように塗工し印刷物を得た。次いで印刷物の銀色光沢度を、前述した<スチルベン系化合物の銀色光沢度評価>の場合と同様にして評価した。
(カラーペーパーの場合)
各着色組成物を、バーコーター(第一理化社製:NO.22)を用いて、カラーペーパー(長門屋商店、カラーペーパーA4 中厚口)に、厚さ50μmになるように塗工し印刷物を得た。次いで印刷物の銀色光沢度を、前述した<スチルベン系化合物の銀色光沢度評価>の場合と同様にして評価した。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表されるスチルベン系化合物からなる銀色光沢を有する有機着色剤。
一般式(1)
- 前記置換基が、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、シアノ基、シアノアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の銀色光沢を有する有機着色剤。
- 前記R1〜R2が、−(CH2)2−OHであることを特徴とする請求項1記載の銀色光沢を有する有機着色剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の銀色光沢を有する有機着色剤、水及び溶剤を含有することを特徴とする銀色光沢を有する着色組成物。
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