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JP2017004910A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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JP2017004910A JP2015121039A JP2015121039A JP2017004910A JP 2017004910 A JP2017004910 A JP 2017004910A JP 2015121039 A JP2015121039 A JP 2015121039A JP 2015121039 A JP2015121039 A JP 2015121039A JP 2017004910 A JP2017004910 A JP 2017004910A
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Shohei Suzuki
渉平 鈴木
純 川治
Jun Kawaji
純 川治
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Koji Yoshida
浩二 吉田
篤 宇根本
Atsushi UNEMOTO
篤 宇根本
慎一 折茂
Shinichi Orimo
慎一 折茂
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Abstract

【課題】正極合材層と固体電解質層との接合性を高めるとともに、内部抵抗を低減したリチウムイオン二次電池を得る。【解決手段】負極合材層と、正極合材層と、これらの間に配置された固体電解質層と、を備えたリチウムイオン二次電池であって、負極合材層は、負極活物質と、水素化物系固体電解質と、を含み、正極合材層は、正極活物質と、正極リチウム伝導性結着材と、を含み、固体電解質層は、水素化物系固体電解質を含み、正極合材層と固体電解質層との間には、イオン結合性化合物を含む接合材で構成された接着部が設けられ、接合材は、正極合材層及び固体電解質層を構成する粒子の間に浸透している。【選択図】図4

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
固体電解質を用いたリチウムイオン二次電池は、高耐熱性を向上することが可能である。また、電解質が漏液せず、揮発もしないため、安全性も向上できる。よって、モジュールコストを低減できるとともに、エネルギー密度を高めることが可能である。
この固体電解質の一つとして水素化物系固体電解質があげられる。水素化物系固体電解質は、耐還元性に優れており、一般に、リチウムイオン二次電池の負極に使用される還元性の高い材料と高抵抗層を形成せずに使用することができる。
特許文献1には、固体電解質として水素化物系固体電解質を用いた全固体電池であって、正極層の活物質として固体電解質の表面と接触しても還元されない化合物を用いたものが開示されている。
特許文献2には、LiBH等の水素化物を含有する負極材料と、イオン液体を含有する電解液を用いた電解質層と、を有する電池が開示されている。
特開2012−209106号公報 特開2013−73839号公報
特許文献1に記載の全固体電池は、正極活物質と固体電解質との接触による電池容量の低下を抑制することを目的として、水素化物系固体電解質と正極活物質との間に酸化物からなる固体電解質を設けることにより、正極活物質と水素化物系固体電解質が直接接することを防ぐことができることが示されている。しかしながら、この場合、水素化物固体電解質と固体電解質との接触抵抗が大きく、電池性能が低いという課題がある。
特許文献2においては、イオン液体を用いることにより、電池抵抗の増加による容量の低下の抑制が推測されているが、具体的な効果は開示されていない。
本発明は、正極合材層と固体電解質層との接合性を高めるとともに、内部抵抗を低減したリチウムイオン二次電池を得ることを目的とする。
本発明は、負極合材層と、正極合材層と、これらの間に配置された固体電解質層と、を備えたリチウムイオン二次電池であって、負極合材層は、負極活物質と、水素化物系固体電解質と、を含み、正極合材層は、正極活物質と、正極リチウム伝導性結着材と、を含み、固体電解質層は、水素化物系固体電解質を含み、正極合材層と固体電解質層との間には、イオン結合性化合物を含む接合材で構成された接着部が設けられ、接合材は、正極合材層及び固体電解質層を構成する粒子の間に浸透している。
本発明によれば、正極合材層及び固体電解質層を構成する粒子の間にイオン結合性化合物を含む接合材が浸透しているため、正極合材層と固体電解質層との間の空隙が減少し、リチウムイオン二次電池の内部抵抗を小さくすることができる。
公知例である全固体二次電池を示す概略断面図である。 図1の一部を部分的に拡大して示す模式断面図である。 本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池における接合材の加熱溶融処理前の状態を示す模式断面図である。 図3のリチウムイオン二次電池における接合材の加熱溶融処理後の状態を示す模式断面図である。 図3のリチウムイオン二次電池の変形例における接合材の加熱溶融処理前の状態を示す模式断面図である。
本発明の特徴は、例えば次のとおりである。
負極合材に水素化物系固体電解質と負極活物質を含み、隣接した固体電解質層が水素化物系固体電解質であり、正極合材が正極活物質と正極Li伝導性結着材を含む電池構成において、水素化物系固体電解質と正極合材との間に水素化物系固体電解質よりも低融点である接合材を挿入した電池構成を有する。このような構成により、接合材が融解または軟化し、負極合材と酸化物固体電解質との間隙を埋めることができ、接触を改善し、電池抵抗を小さくすることができる。また、接合材については、融点は限定されるが、正極合材層及び固体電解質層を構成する粒子の間隙に、溶融により浸透させることができるため、正極合材層と固体電解質層との接合性を向上した構成を有する電池を作製することができる。
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
図1は、公知例である全固体二次電池(全固体リチウムイオン二次電池)を示す断面図である。また、図2は、図1を拡大したもので、積層された正極層、固体電解質層及び負極層を模式的に示したものである。
図1において、全固体二次電池100は、負極70と、正極80と、これらの間に配置された固体電解質層50と、負極70、正極80及び固体電解質層50を収納する電池ケース30と、を備えている。負極70は、負極集電体10および負極合材層40を有する。正極80は、正極集電体20および正極合材層60を有する。
負極集電体10は、負極合材層40に電気的に接続されている。負極集電体10としては、厚さが10〜100μmの銅箔、厚さが10〜100μmで孔径0.1〜10mmの銅製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等が用いられる。銅の他に、ステンレス鋼、チタン、ニッケル等で形成されたものも適用可能である。本発明では、材質、形状、製造方法等に制限されることなく、任意の集電体を使用することができる。
正極集電体20は、正極合材層60に電気的に接続されている。正極集電体10には、厚さが10〜100μmのアルミニウム箔、厚さが10〜100μmで孔径が0.1〜10mmのアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等が用いられる。アルミニウムの他に、ステンレス鋼やチタン等で形成されたものも適用可能である。本発明では、材質、形状、製造方法等に制限されることなく、任意の集電体を使用することができる。
電池ケース30の形状は、正極80、固体電解質層50及び負極70で構成される電極群の形状に合わせ、円筒形、偏平長円形状、扁平楕円形状、角形等の形状を選択してもよい。電池ケース30の材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼製等、非水電解質に対し耐食性のある材料から選択される。
図2は、電池の内部の一部を模式的に示す部分断面図であり、負極合材層40、固体電解質層50及び正極合材層60を示している。
本図において、固体電解質層50は、負極合材層40と正極合材層60との間に挟み込まれた状態となっている。固体電解質層50は、固体電解質粒子63を含む。
負極合材層40には、負極活物質54および水素化物系固体電解質67が分散されている。このほか、本図においては、負極合材層40は、負極導電助材又は負極バインダ69を含む。なお、負極導電助材又は負極バインダ69については必須ではないが、含まれていてもよい。
一方、正極合材層60には、正極活物質62及び正極Li伝導性結着材66(正極リチウム伝導性結着材)が分散されている。このほか、本図においては、正極合材層60は、正極導電助材又は正極バインダ68を含む。なお、正極導電助材又は正極バインダ68については必須ではないが、含まれていてもよい。
正極合材層60には酸化物材料が含まれ、固体電解質層50には錯体水素化物材料が含まれ、両者を機械的に加圧し接触させた場合、その接触性が不十分であり、Li伝導抵抗が高く、また、電池充放電に伴う体積変化により接触界面が剥離しやすくなる。
図3は、本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池における接合材の加熱溶融処理前の状態を示す断面図である。
本図においては、固体電解質層50と正極合材層60との間には、両者の接合性を高めるために接合材層90が配置されている。接合材層90は、接合材粒子91で構成されている。
図4は、図3のリチウムイオン二次電池における接合材の加熱溶融処理後の状態を示す模式断面図である。
本図においては、粒子であった接合材が溶融し、その一部が固体電解質層50及び正極合材層60に浸透し、接着部92を形成している。接着部92は、固体電解質層50及び正極合材層60を構成する粒子の間の一部に浸透している。接着部92は、固体電解質層50及び正極合材層60を構成する粒子の間の全部に浸透した状態であってもよい。すなわち、固体電解質層50及び正極合材層60のすべての領域にわたって、接合材が浸透した構成であってもよい。
なお、加熱の際におけるリチウムイオン二次電池の温度は、リチウムイオン二次電池の耐熱温度未満である。
これにより、正極と固体電解質との間のLi伝導性が高まり、かつ、充放電に伴う体積変化によっても界面が剥離せず安定した電池作動が可能となる。
図3の接合材層90を構成する接合材としては、固体電解質層50の融点よりも低い温度で軟化し、正極層と固体電解質層との間の物理的空隙を埋める材料であることが望まれる。具体的には、融点が−40〜280℃であるイオン結合性化合物であると、接合性向上の効果が発揮される。具体的には、接合材は、少なくともリチウムアミド(LiNH)と水素化ホウ素リチウム(LiBH)の固溶体であり、より具体的にはLi(BH)(NH)、Li(BH)(NH、Li(BH)(NHである。それぞれの融点は、78℃、179℃、218℃であり、LiBHの融点である280℃よりも低い。また、これらにLiIが添加された、Li(NHIも効果を発揮する。
固体電解質層50に形成される接合材の量は、固体電解質層50の見かけの表面の面積を基準として0.1〜1mg/cmであることが望ましい。ここで、「見かけの表面」とは、隣り合う層が接触する面であって、層を構成する粒子により形成される凹凸を無視して当該面を平面とみなしたものをいう。接合材の量がこれよりも少ないと接合の効果は発揮されない。また、これよりも多いと、電池反応内に悪影響を及ぼし、クーロン効率を下げる結果となるので望ましくない。
正極合材層60と負極層40との間には、固体電解質層50が設けられる。固体電解質層50に使用する固体電解質粒子63としては、水素化物系固体電解質を用いることができる。例えば、LiBHとリチウムハライド化合物(LiI、LiBr、LiCl)およびリチウムアミド(LiNH)との固溶体を挙げることができる。Li水素化物は耐還元性に優れるほか、常温においても加圧に対し変形しやすいため、負極活物質粒子間に容易に充填することができる。そのイオン伝導度は、1×10−5S/cm以上であることが好ましい。なお、このイオン伝導度は、25℃における値である。
正極合材層60は、少なくとも正極活物質62と正極充填材66とを含む構成とする。
正極活物質62としては、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnO、LiMn、LiMnO、LiMn12、LiMn2−x(ただし、Mは、Co、Ni、Fe、Cr、Zn及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、x=0.01〜0.2である。)、LiMnMO(ただし、Mは、Fe、Co、Ni、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種である。)、Li1−xMn(ただし、Aは、Mg、B、Al、Fe、Co、Ni、Cr、Zn及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、x=0.01〜0.1である。)、LiNi1−x(ただし、M=Co、Fe及びGaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、x=0.01〜0.2である。)、LiFeO、Fe(SO、LiCo1−x(ただし、Mは、Ni、Fe及びMnからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、x=0.01〜0.2である。)、LiNi1−x(ただし、Mは、Mn、Fe、Co、Al、Ga、Ca及びMgからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、x=0.01〜0.2である。)、Fe(MoO、FeF、LiFePO、LiMnPO等が挙げられる。正極活物質として上記の材料が一種単独または二種以上含まれていてもよい。正極活物質は、充電過程においてリチウムイオンが脱離し、放電過程において負極合材層40中の負極活物質から脱離したリチウムイオンが挿入される。
正極活物質の粒径は、正極合材層60の厚さ以下になるように通常は規定される。正極活物質の粉末中に合材層厚さ以上のサイズを有する粗粒がある場合、予めふるい分級や風流分級等により粗粒を除去し、合材層厚さ以下の粒子を作製することが好ましい。
正極Li伝導性結着材66としては、Liイオン伝導性(リチウムイオン伝導性)が高く、正極活物質の電位に対して良好な耐酸化性を示し、正極活物質62間の空隙に入り込むことができる材料を用いることができる。耐酸化性としては、正極活物質の電位を考慮すると3.5V以上、高エネルギー密度の観点から4V以上における耐酸化性を有することが望ましい。正極活物質62間の空隙に入り込むことができる材料としては、熱により溶融する熱溶融性材料または、潮解により溶融する潮解性材料を用いることができる。
正極Li伝導性結着材66として用いることができる熱溶融性材料は、例えばLiBOやLi1−x1−x(0<x<1)があげられる。熱溶融性材料は、加熱により流動することで、正極活物質62間の空隙に効率的に入り込むことができる。正極合材を正極集電体に塗布した後、加熱してLi伝導性結着材66を溶融させ、正極活物質62の粒子間に浸み込ませることができる。Li伝導性結着材66の融点は、溶解に必要なエネルギー量削減の観点、及び正極活物質との副反応抑制の観点から、低温であることが望ましく、具体的には700℃以下が望ましい。更に望ましい融点は、650℃以下である。これは、有機電解液を用いたリチウム電池の正極集電体として用いられるアルミニウムの融点(660℃)よりも低いためである。
融点が650℃よりも低い熱溶融性材料の例としては、LiBO−Li共晶構造を挙げることができる。この共晶構造の作製法としては、上述のLiBOとLiとをそれぞれ合成した後、混合する方法、LiとBの前駆体をそれぞれの物質量比がLi/B=2〜3となるようにして反応させる方法、あるいは、LiBOにリチウム吸蔵能のある酸化物ナノ粒子(チタン酸化物、シリコン酸化物、錫酸化物)などを混合し、加熱して、LiBOの一部からリチウムと酸素を脱離させ、Liとする方法が挙げられる。いずれの場合も融点は630〜650℃となり、アルミニウムの融点よりも低くなる。
また、正極Li伝導性結着材66は、結晶性であることが好ましい。前記のLiBOやLi1−x1−x(0<x<1)についても、冷却条件によって非晶質材料となることもあるが、次に示す観点から、結晶性であることが望ましい。
非晶質のガラス材料を、そのガラス転移点以上で加熱しながら圧縮することにより、あるいは、その軟化点以上で軟化流動させることにより、正極活物質粒子間へ浸入させる場合、ガラス材料はその酸化物骨格が不安定であり、活物質中のLiを取り込み結晶化しやすい。結果として、Liが欠乏した活物質が加熱により分解し、活物質表面に副反応層を形成する要因となってしまう。
これに対して、結晶性酸化物を用いる場合、この副反応層の形成を抑制することができる。さらに、正極Li伝導性結着材の結晶化度を高めることで、結着材内のLi伝導度を高めることができる。以上の観点から、正極Li伝導性結着材を結晶性とすることで結着材と正極活物質間の界面抵抗を低く抑えることができ、望ましい電極を得ることができる。
正極Li伝導性結着材66が結晶性であるか、非結晶性であるかは、その組成や、合成条件によって制御可能である。上述のリチウム−ホウ素−酸化物については、Bに対するLi量を高くすることで結晶性になりやすい。具体的には、Bに対するLiの物質量比を1、より望ましくは2以上とすれば結晶性の結着材が得られやすい。また、合成のための加熱処理後の冷却速度によって結晶性、非結晶性を作り分けることもできる。非結晶性材料を作製するには、加熱後の冷却速度を高めることが効果的である。具体的には、加熱し熱融解させた結着材を低温の金属プレート上に流し、急冷させることで非結晶性材料を得ることができる。
Li伝導性結着材66として用いることができる潮解性材料は、メタバナジン酸リチウム(LiVO)あるいはこれを含んだリチウム−バナジウム酸化物として、例えばLiVO−LiVO、LiVO−LiVOがあげられる。
潮解性を有する正極Li伝導性結着材は、電池反応を担うキャリアであるイオンのイオン伝導性を示し、かつ、潮解性を有する固体電解質である。なお、本発明において、潮解性を有するとは、大気中において常温域(5℃以上35℃以下)で潮解する性質を有していることを意味する。潮解性を有するLi含有酸化物をリチウムイオン二次電池における電極層の製造に用いることによって、電極層を構成する活物質の粒子間の間隙に、Li含有酸化物が高密度で充満したマトリックス状の構造を形成することが可能となる。そして、電極層を構成する活物質の粒子間の間隙に固体電解質を高密度で充填させることによって、Li伝導経路を増大し、電池内の抵抗を低減させることができる。
正極Li伝導性結着材66のイオン伝導度は、1×10−9S/cm以上であることが好ましく、1×10−7S/cm以上であることがより好ましい。活物質の粒子間に充填された正極Li伝導性結着材6によって、活物質の粒子間や、活物質と固体電解質との間のイオン伝導性を有意に向上させることができるため、リチウムイオン二次電池における内部抵抗を良好に低減し、より高い放電容量を確保することが可能である。なお、上記イオン伝導度は、25℃における値である。
また、正極活物質は、一般に酸化物系であるために電気抵抗が高いので、電気伝導性を補うための導電材を利用してもよい。正極合材層60に正極導電材や正極バインダが含まれる場合、正極導電材として、アセチレンブラック、カーボンブラック、及び黒鉛又は非晶質炭素等の炭素材料等が挙げられる。あるいは、インジウム−錫−酸化物(ITO)やアンチモン−錫−酸化物(ATO)などの電子伝導性を示す酸化物粒子を用いることもできる。
正極活物質及び正極導電材はともに、通常は粉末であるので、粉末に結着能力のあるバインダを混合して、粉末同士を結合させると同時に正極集電体20へ接着させることができる。正極バインダとして、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)、これらの混合物等が挙げられる。
図5に示すように、正極合材層60は、酸化物固体電解質の粒子で構成された酸化物固体電解質層81を含むものとしてもよい。言い換えると、正極合材層60と接合材層90とが接する部分に酸化物固体電解質層81を設けてもよい。なお、本図は、接合材層90を構成する接合材粒子91に加熱溶融処理を施す前の状態を示している。加熱溶融処理を施した後は図示していないが、溶融した接合材粒子91は、隣接する固体電解質層50、酸化物固体電解質層81等に浸透し、接着部を形成する。
酸化物固体電解質層81を設けることにより、電池使用時の活物質粒子の劣化速度を抑制することができ、長寿命となるため望ましい。
用いることのできる酸化物固体電解質としては、例えば、ペロブスカイト型酸化物、NASICON型酸化物、LISICON型酸化物、ガーネット型酸化物等の酸化物系固体電解質や、βアルミナ等が挙げられる。ペロブスカイト型酸化物としては、例えば、LiLa1−aTiO等のように表されるLi−La−Ti系ペロブスカイト型酸化物、LiLa1−bTaO等のように表されるLi−La−Ta系ペロブスカイト型酸化物、LiLa1−cNbO等のように表されるLi−La−Nb系ペロブスカイト型酸化物等が挙げられる(前記式中、0<a<1、0<b<1、0<c<1である。)。NASICON型酸化物としては、例えば、Li1+lAlTi2−l(PO等に代表される結晶を主晶とするLi(前記式中、Xは、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、Sb及びSeからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、Ti、Zr、Ge、In、Ga、Sn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、0≦l≦1、m、n、o、p及びqは、任意の正数である。)で表される酸化物等が挙げられる。LISICON型酸化物としては、例えば、LiXO−LiYO(前記式中、Xは、Si、Ge及びTiからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、P、As及びVからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。)で表される酸化物等が挙げられる。ガーネット型酸化物としては、例えば、LiLaZr12等に代表されるLi−La−Zr系酸化物、およびその誘導体等が挙げられる。固体電解質粒子63のイオン伝導度は、1×10−6S/cm以上であることが好ましく、1×10−4S/cm以上であることがより好ましい。なお、このイオン伝導度は、25℃における値である。
酸化物固体電解質層81の厚さとしては、1μm〜10μm、望ましくは、5μm〜10μmがよい。厚さが上記よりも薄いと酸化物固体電解質層による正極活物質の保護効果が発揮されない、厚さが上記範囲よりも厚いと、膜厚に比例して抵抗が高まり、電池特性が下がるため望ましくない。
負極合材層40は、負極活物質54、水素化物系固体電解質67を有しており、負極導電助材、負極バインダを含んでいてもよい。水素化物系固体電解質67は負極活物質54の粒子間の空隙に入り込むように分散している。水素化物系固体電解質67が空隙に入り込むことで、負極活物質間のリチウムイオンの伝導性が高くなる。また、負極活物質54が膨張収縮した場合であっても、水素化物系固体電解質67により負極活物質54同士のリチウムイオンの経路を保つことができる。
水素化物系固体電解質67としては、負極電位に対して耐久性のある電解質材料であり、さらに負極活物質54の間に形成される空隙に侵入できるものを用いることができる。水素化物系固体電解質67として、例えばLiBHとリチウムハライド化合物(LiI、LiBr、LiCl)およびリチウムアミド(LiNH)との固溶体を挙げることができる。Li水素化物は耐還元性に優れるほか、常温においても加圧に対し変形しやすいため、負極活物質粒子間に容易に充填することができる。そのイオン伝導度は、1×10−5S/cm以上であることが好ましい。イオン伝導度が1×10−7S/cm以上であれば、活物質の粒子間に充填された負極Li伝導性結着材によって、活物質の粒子間や、活物質と固体電解質との間のイオン伝導性を有意に向上させることができるため、リチウムイオン二次電池における内部抵抗を良好に低減し、より高い放電容量を確保することが可能である。なお、このイオン伝導度は、25℃における値である。
負極活物質54の粒径は、負極合材層40の厚さ以下になるように通常は規定される。負極活物質54の粉末中に合材層厚さ以上のサイズを有する粗粒がある場合、予めふるい分級や風流分級等により粗粒を除去し、負極合材層40の厚さ以下の粒子を作製することが好ましい。負極活物質54の粒径は、0.1μm〜5μmである。活物質粒径は、小さいほど活物質中のLi拡散距離が短くなるため、電池抵抗が低下するが、凝集が起こりやすくなるため、活物質利用率の低下が引き起こされる。負極合材層40に導電助材やバインダが含まれる場合、導電助材として、アセチレンブラック、カーボンブラック、及び黒鉛又は非晶質炭素等の炭素材料等が挙げられる。バインダとして、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)、これらの混合物等が挙げられる。
以下、正極集電体20の表面に正極合材層60および酸化物固体電解質層81を設ける方法を例示する。以下は正極Li伝導性結着材として熱溶融性材料を用いた場合の例である。
正極集電体20の表面に正極合材層60および酸化物固体電解質層81を設けるには、(i)正極活物質、正極Li伝導性結着材粉末等の各粒子を混合し、正極合材とする工程、(ii)正極集電体上に正極合材スラリーを塗布し、加圧成型する工程、(iii)正極合材を乾燥する工程、(iv)正極合材を加熱する工程、(v)酸化物固体電解質層を塗布する工程、(vi)酸化物固体電解質層を加熱し、加圧成型する工程、(vii)酸化物固体電解質層を加熱する工程を経る。ただし、図3、4のように酸化物固体電解質層81を含まない電池構成の場合には(v)〜(vii)は省略できる。
(i)では、活物質粒子、Li伝導性結着材粒子及び酸化物ナノ粒子を所定の割合で配合し、これをメノウ乳鉢やボールミルを用いて混合する。必要に応じて、酸化物固体電解質粒子や、電子伝導性の導電材料を加えてもよい。さらに、樹脂バインダとしてのエチルセルロース溶液(溶媒、ブチルカルビトールアセテート)に代表される非導電性樹脂と混合し、電極ペーストを得ることができる。
(ii)では、正極活物質、正極導電材、正極バインダ及び有機溶媒を混合した正極スラリーを、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等によって正極集電体10へ付着させる。正極集電体10にPETフィルムなどの樹脂基材を用いた場合でも同様に、ブレードコーター法、スクリーン印刷法、ダイコーター法、スプレー塗布法などを用いて薄膜上に形成することができる。
(iii)では、有機溶媒を乾燥させ、ロールプレスによって加圧成形する。また、塗布から乾燥までを複数回行うことにより、複数の正極合材層60を正極集電体20に積層化させることも可能である。
(iv)では、塗布物を加熱し、(i)で用いた樹脂バインダを分解除去した後、正極Li伝導性結着材の融点以上(630〜700℃程度)で保持することで、粒子間へ融解した結着材を進入させることができる。
(v)では、正極Li伝導性結着材、酸化物固体電解質粒子を樹脂バインダに混合した酸化物固体電解質ペーストを正極合材層の上に塗布する。
(vi)では、150℃前後の温度で乾燥する。
(vii)では、630〜700℃程度の熱処理により正極Li伝導性結着材を融解させることができる。この工程により正極合材層と酸化物固体電解質層との界面でも正極Li伝導性結着材が融解し、両層の界面に生じやすい空隙に効率的にLi伝導性結着材が浸入する。これにより、正極合材層と、酸化物固体電解質にかけて正極Li伝導性結着材が連続的に存在することとなり、抵抗が低く寿命に優れた電極となる。
上記製造方法では、例えば(iv)の工程を省くことができる。すなわち、正極合材に含まれる熱溶融性材料を溶融させる工程と、正極Li伝導性結着材に含まれる熱溶融性材料を溶融させる工程を同時に行うことができる。正極合材と酸化物固体電解質の加熱工程を同時行うことで、製造工程の簡略化が望める。
また、(ii)において、加圧形成プロセスを省き、(iv)にて酸化物固体電解質層と正極層とを一括して加圧することもできる。正極層を加圧する前に酸化物固体電解質層を塗布し、酸化物固体電解質層と正極層の加圧を同時に行うことで、界面の親和性が高くなる。
正極Li伝導性結着材としてLiVO等の潮解性材料を用いる場合は、(iv)、(vii)の加熱工程を省くことができる。潮解性材料を潮解させるためには、正極合材スラリーおよび酸化物固体電解質ペーストに溶媒として水を含んだ極性溶媒を用いることが好ましい(工程(ii)、(v))。
次に、負極集電体10の表面に負極合材層40、固体電解質層50、および接合材90を設ける方法を例示する。以下は接合材としてLiBNを用いた場合の例である。
負極集電体10の表面に負極合材層40、固体電解質層50、および接合材90を設けるには、(i)負極活物質、水素化物系固体電解質粉末等の各粒子を混合し、負極合材とする工程、(ii)負極集電体上に負極合材スラリーを塗布し、加圧する工程、(iii)固体電解質層を塗布し、加圧する工程、(iv)接合材を塗布し、加圧成型する工程を経る。
(i)では、活物質粒子、水素化物系固体電解質、及び負極導電材を所定の割合で配合し、これをメノウ乳鉢やボールミルを用いて混合する。さらに、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル類を溶媒として加え混合し、電極ペーストを得ることができる。
(ii)では、負極活物質、正極導電材、正極バインダ及び有機溶媒を混合した正極スラリーを、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等によって正極集電体10へ付着させる。有機溶媒を乾燥させ、ロールプレスによって加圧することにより、負極合材層40を作製することができる。また、塗布から乾燥までを複数回行うことにより、複数の負極合材層40を負極集電体10に積層化させることも可能である。
(iii)では、固体電解質粒子を有機溶媒に分散した固体電解質ペーストを、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等によって負極合材層40の上に塗布し、乾燥する。その後、ロールプレスによって加圧することにより、負極合材層40上に固体電解質層50を作製することができる。
(iv)では、LiBN粒子を有機溶媒に分散した接合材ペーストを、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等によって固体電解質層50の上に塗布し、乾燥する。その後、ロールプレスによって加圧成型することにより、固体電解質層50上に接合材90を作製することができる。
また、(ii)、(iii)において、加圧形成プロセスを省き、(iv)にて負極層と固体電解質層と接合材を一括して加圧することもできる。負極層、固体電解質層を加圧する前に接合材を塗布し、負極層と固体電解質層と接合材の加圧を同時に行うことで、界面の親和性が高くなる。
次に、負極70と固体電解質層50と接合材90、および正極80とを組み合わせて全固体二次電池100を製造する方法を例示する。負極70と固体電解質層50と接合材90の接合材側と正極80の正極合材層側を接触させるように重ね、電池ケース30に入れる。その後、加熱により接合材を溶融し、接着部を形成することでリチウムイオン二次電池を製造する。LiBNを接合材に使用した場合にはこの溶融に必要な加熱温度は150℃である。 本発明のリチウムイオン二次電池であるかどうかは、当該リチウムイオン二次電池を解体し、その断面像をSEMあるいはTEMで観察し、さらにその組成をエネルギー分散型X線分析(EDX)、電子エネルギー損失分光法(EELS)で分析することで判別可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(接合材の接合方法)
[負極Li伝導性結着材(Li(BHI)の合成]
はじめに、1.64gの水素化ホウ素リチウム(LiBH)と1.70gのヨウ化リチウム(LiI)を秤量して乳鉢に投入し、均一になるまで混合した。次いで、得られた混合物をジルコニアボールを用いた遊星ボールミルで混合した。
得られた粉体の結晶構造をX線回折(XRD)で分析した結果、LiBHの高温相と一致することがわかった。また、室温導電率は2×10−5S・cm−1であった。
[負極Li伝導性結着材(LiBN)の合成]
はじめに、1.61gの水素化ホウ素リチウム(LiBH)と3.39gのリチウムアミド(LiNH)を秤量して乳鉢に投入し、均一になるまで混合した。次いで、得られた混合物をジルコニアボールを用いた遊星ボールミルで混合した。
得られた粉体の結晶構造をXRDで分析した結果、LiBN10とLiBHの混相の生成を確認した。また、室温導電率は1×10−6S・cm−1であった。
[正極Li伝導性結着材(LiBO)の合成]
炭酸リチウムLiCO3.92gと酸化ホウ素B11.08gを配合し、ジルコニアボールを用いた遊星ボールミルで混合した。混合後、アルミナるつぼに混合粉を加え、600℃で24時間加熱処理した。得られた粉体の結晶構造をXRDで分析した結果、LiBOであることを確認した。これをLiBO結着材とした。示差走査熱量測定(DSC)により融点を測定したところ、690℃であった。
[正極Li伝導性結着材(LiVO)の合成]
はじめに、1.85gの炭酸リチウム(LiCO)と4.55gの五酸化二バナジウム(V)を秤量して乳鉢に投入し、均一になるまで混合した。次いで、得られた混合物を、外径60mmのアルミナ製るつぼに入れ替え、ボックス型の電気炉で熱処理した。なお、この熱処理は、大気雰囲気において、10℃/分の昇温速度で580℃まで昇温した後、580℃で10時間保持する処理とした。そして、熱処理の後、混合物を100℃まで冷却し、潮解性固体電解質としてメタバナジン酸リチウム(LiVO)を得た。
[正極層の作製]
平均粒径が10μmのLiCoO粉末1.5gに対し、LiBOまたはLiVOの粉末を0.3g添加し、乳鉢に取り分け、混合したのち、5質量%のエチルセルロース溶液を1.5g加え、混練した。混練した正極ペーストを10mm径のAl箔上にスクリーン塗布した。150℃で乾燥し溶媒を蒸発させた後、ハンドプレスで冷間プレスした。試料をアルミナ板の上に載せ、700℃で加熱し、エチルセルロースを分解、除去し、LiBOを溶解させた。冷却後、質量を測定した結果、塗布量は、電極1cmあたりのLiCoOの質量で3mg/cmであった。
[負極の作製]
負極活物質であるLiTi12(以下、「LTO」という。)、Si、ハードカーボン又はグラファイトと、導電助材アセチレンブラック(AB)と、水素化物系固体電解質と、に溶媒としてジエチルエーテル(DME)を添加し、メノウ乳鉢内で混合した。ここで、ハードカーボンとは難黒鉛化性炭素のことであり、熱硬化性樹脂を焼成し炭化することで得ることができる。
厚さ20μmのステンレス鋼箔上にスラリーを塗工した。塗工後の電極を、温度を80℃に保った乾燥機内に静置してDMEを留去したのちに、直径15mmの円形に打ち抜き、負極を得た。
[固体電解質の作製]
錯体水素化物Li(BHIをDMEに分散して得たスラリーを負極層上に塗布し、乾燥した後、一軸加圧することで、厚さ50〜200μmの固体電解質層を得た。
この、負極層の上に固体電解質層が形成された試料を負極−電解質接合体とした。
[接合材の形成]
LiBNからなる錯体水素化物をDMEに分散して得たスラリーを作製し、これを負極−電解質接合体の上からスクリーン印刷することで、接合材を形成した。この試料を接合材付きの負極−電解質接合体とした。
以下、融点及び電池抵抗の測定方法並びに電池の充放電特性の評価方法について説明する。
(融点測定方法)
接合材の融点を示差走査熱量測定(DSC)により測定した。
試料は、体積が2μLとなるように秤量した。秤量した試料をSUS鋼製の高圧パンに入れ、かしめることにより密閉した。測定は、リガク製Thermo plus Evo 2/DSC 8230を用いた。試料雰囲気はArとし、5℃・min−1で昇温した。昇温時に得られる吸熱ピークのピーク温度を融点とした。
(電池抵抗測定方法)
電池抵抗は、抵抗測定装置(HIOKI CHEMICAL IMPEDANCE METER 3532−80)を用いて交流インピーダンス法により150℃で測定した。
(電池の充放電特性の評価方法)
電池の充放電特性は、充放電試験機(Sorlartron製、1470型)を用いて評価した。充放電試験時のマントルヒーターの設定温度は150℃である。充放電時の印加電流は満充電した電池が10時間で放電終了となる電流(0.1C)とした。
20サイクル後の放電容量(Ah)を測定し、これを1サイクル放電容量(Ah)で割って算出した百分率を「20サイクル後の容量維持率」(%)と定義した。
また、初回充電容量(Ah)を初回放電容量(Ah)で割って算出した百分率を「初回クーロン効率」(%)と定義した。
本発明においては、接合材としてイオン液体を用いてもよい。
イオン液体の具体例は、次のとおりである。
カチオン部が四級アンモニウムカチオン、四級ホスホニウムカチオン、ピリジニウムカチオンまたはピロリジニウムカチオンであり、アニオン部がアミドアニオン、イミドアニオン、四フッ化ホウ素アニオンまたは六フッ化リンアニオンである。支持電解質としてリチウム塩を含む。
(比較例1)
負極活物質にLTOを用い、かつ、Li(BHIからなる固体電解質層を50μmとした負極−電解質接合体の電解質層側に、Li伝導性結着材(ホウ酸リチウムLiBO:LBO)および活物質(層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物:NMC)からなる正極層を加圧により接触させた試料を比較例1とした。
負極活物質にLTOを用い、かつ、Li(BHIからなる固体電解質層を50μmとした負極−電解質接合体の電解質層側に、LiBNからなる接合材を0.7mg/cm配置し、Li伝導性結着材LBOおよび活物質NMCからなる正極層を加圧により接触させ、SUSセル内にセットした。試料膜厚方向に圧力がかかる状態でSUSセルを150℃に加熱することで、接合材を軟化させ、正極と固体電解質層を接合した。この試料を実施例1とした。
負極活物質にSiを用いた以外は全て実施例1と同様にして、実施例2を得た。
負極活物質にハードカーボンを用いた以外は全て実施例1と同様にして、実施例3を得た。
負極活物質にグラファイトを用いた以外は全て実施例1と同様にして、実施例4を得た。
負極活物質にLi金属を用いた以外は全て実施例1と同様にして、実施例5を得た。
正極の充填材(Li伝導性結着材)をLBOからLiVO(LVO)に変更した以外は全て実施例1と同様にして、実施例6を得た。
固体電解質に用いる錯体水素化物の組成をLi(BHIからLiBH−LiBNH混合物(LiBHとLiBNHとの混合物)に変更した以外は全て実施例1と同様にして、実施例7を得た。
固体電解質に用いる錯体水素化物の組成をLi(BHIからLi(BH)Iに変更した以外は全て実施例1と同様にして、実施例8を得た。
固体電解質層Li(BHIの厚さを50μmから500μmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、実施例9を得た。
固体電解質層Li(BHIの厚さを50μmから5μmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、実施例10を得た。
接合材をLiBNからLi(BHI−LiBN混合物(Li(BHIとLiBNとの混合物)に変更した以外は全て実施例1と同様にして、実施例11を得た。
接合材をLiBNからLiBH−LiBN混合物(LiBHとLiBNとの混合物)に変更した以外は全て実施例1と同様にして、実施例12を得た。
接合材をLiBNからリチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(LiTFSI塩)を含むイオン液体であるブチルトリメチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(ブチルトリメチルアンモニウムTFSI、融点−10℃)に変更した以外は全て実施例1と同様にして、実施例13を得た。
固体電解質層上への接合材LiBNの量を0.7mg/cmから0.1mg/cmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、実施例14を得た。
固体電解質層上への接合材LiBNの量を0.7mg/cmから1.0mg/cmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、実施例15を得た。
(比較例2)
固体電解質層と正極との間に接合材としてLiTFSI塩を含むポリエチレンオキシド系の固体高分子フィルム(50μm)を挟み込んだ以外は全て比較例1と同様にして、比較例2を得た。
(比較例3)
接合材をLiBNからPVdF樹脂に置き換えた以外は全て実施例1と同様にして、比較例3を得た。
(比較例4)
固体電解質層上への接合材LiBNの塗布量を0.7mg/cmから0.09mg/cmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、比較例4を得た。
(比較例5)
固体電解質層上への接合材LiBNの量を0.7mg/cmから2.0mg/cmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、比較例5を得た。
(比較例6)
固体電解質層Li(BHIの厚さを50μmから3μmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、比較例6を得た。
(比較例7)
固体電解質層Li(BHIの厚さを50かμmら1000μmに変更した以外は全て実施例1と同様にして、比較例7を得た。
表1は、実施例及び比較例における負極合材層、固体電解質、接合材及び正極合材層の各構成材料をまとめて示したものである。
Figure 2017004910
表2は、実施例及び比較例の20サイクル充放電後の容量維持率、クーロン効率(初回クーロン効率)、電池抵抗及び判定結果をまとめて示したものである。
Figure 2017004910
表2に示すように、接合層のない比較例1に比べ、接合材を付与した実施例1においては、サイクル特性、クーロン効率及び電池抵抗についていずれも改善しており、接合層の効果が実証された。同様の傾向は、接合材の種類を変更した実施例11〜13でも確認されており、融点が280℃以下のイオン性材料を用いることが有効であることが分かる。
一方、接合材としてポリエチレンオキシドを用いた比較例2、PVdFを用いた比較例3では効果は見られず、接合材の種類が電池性能に重要な影響を与えることが分かる。
実施例1〜5は、負極活物質材料がそれぞれ異なっているが、いずれも高性能であり、接合材の効果はこれら負極活物質を用いた電池で有効であることが分かる。
実施例1と6は正極のLi伝導性充填材の種類が異なっているが、いずれも高性能であり、接合材の効果はいずれの正極のLi伝導性充填材を用いた電池で有効であることが分かる。
実施例1、7及び8は、固体電解質層の種類が異なっているが、いずれも高性能であり、接合材の効果はいずれの固体電解質層を用いた電池で有効であることが分かる。
実施例1、9及び10並びに比較例6及び7は、固体電解質層の厚さが異なる試料であり、いずれも接合性の効果はあるが、特に実施例19及び10での電池性能が高い。これは、比較例6では電解質層が薄すぎるため、接合材が負極に浸透したため、また、比較例7では電解質層が厚すぎるため、電池抵抗が高まったためと考えられる。このように適用する固体電解質層の厚さは5〜500μmが適正であることが分かった。
実施例1、14及び15並びに比較例4及び5は、接合材の適用量が異なる試料である。いずれも、比較例1に比べると高性能であるが、特に実施例1、14及び15の性能が高い。比較例4では適用量が少なく接合機能が不十分であること、比較例5では適用量が過剰で正極及び負極への浸透が起こり高抵抗となることが考えられる。
以上より、接合材の適用量として0.1〜1.0mg/cmが適正であることが分かった。
以上で、本発明の望ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施するのが可能であり、これもまた本発明の範囲に属するのは当然のことである。
10:負極集電体、20:正極集電体、30:電池ケース、40:負極合材層、50:固体電解質層、54:負極活物質、60:正極合材層、62:正極活物質、63:固体電解質粒子、66:正極Li伝導性結着材、67:水素化物系固体電解質、68:正極導電助材又は正極バインダ、69:負極導電助材又は負極バインダ、70:負極、80:正極、81:酸化物固体電解質層、90:接合材層、91:接合材粒子、92:接着部、100:全固体二次電池。

Claims (15)

  1. 負極合材層と、正極合材層と、これらの間に配置された固体電解質層と、を備え、
    前記負極合材層は、負極活物質と、水素化物系固体電解質と、を含み、
    前記正極合材層は、正極活物質と、正極リチウム伝導性結着材と、を含み、
    前記固体電解質層は、水素化物系固体電解質を含み、
    前記正極合材層と前記固体電解質層との間には、イオン結合性化合物を含む接合材で構成された接着部が設けられ、
    前記接合材は、前記正極合材層及び前記固体電解質層を構成する粒子の間に浸透している、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記接合材の融点は、−40〜280℃である、請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記正極合材層は、前記接着部に接する酸化物固体電解質層を含む、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記接合材は、リチウムアミド(LiNH)と水素化ホウ素リチウム(LiBH)との固溶体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記接合材は、リチウムアミド(LiNH)と水素化ホウ素リチウム(LiBH)とを含む固溶体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記接合材は、Li(BH)(NH)、Li(BH)(NH、Li(BH)(NH及びLi(NHIのうちいずれかを含む、請求項5記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記接合材の量は、前記固体電解質層の見かけの表面の面積を基準として0.1〜1.0mg/cmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  8. 前記負極活物質は、LiTi12、金属Li、Si、グラファイト及びハードカーボンのうちいずれかを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 前記固体電解質層の厚さは、5〜500μmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  10. 前記酸化物固体電解質層は、ガーネット結晶構造のLiLaZr12、NASICON構造のLiTi(PO、LiGe(PO及びペロブスカイト構造のLiLaTiO並びにこれらの誘導体からなる群から選択されるいずれか1つの酸化物電解質の粒子を含む、請求項2記載のリチウムイオン二次電池。
  11. 前記酸化物固体電解質層の厚さは、1〜10μmである、請求項2記載のリチウムイオン二次電池。
  12. 前記正極リチウム伝導性結着材は、LiBO、LiVO、Li1−x1−x(0<x<1)若しくはLiVO又はLiVOを含むリチウム−バナジウム酸化物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  13. 前記接合材は、イオン液体を含む、請求項1又は3に記載のリチウムイオン二次電池。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記正極合材層と前記固体電解質層との間に前記接合材を配置する工程と、
    加熱により前記接合材を溶融し、前記接着部を形成する工程と、を含む、リチウムイオン二次電池の製造方法。
  15. 前記加熱の際における前記リチウムイオン二次電池の温度は、前記リチウムイオン二次電池の耐熱温度未満である、請求項14記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
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