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JP2017002112A - 硬化性組成物及びその硬化物並びにハードコート材及びハードコート膜 - Google Patents

硬化性組成物及びその硬化物並びにハードコート材及びハードコート膜 Download PDF

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JP2017002112A
JP2017002112A JP2015114065A JP2015114065A JP2017002112A JP 2017002112 A JP2017002112 A JP 2017002112A JP 2015114065 A JP2015114065 A JP 2015114065A JP 2015114065 A JP2015114065 A JP 2015114065A JP 2017002112 A JP2017002112 A JP 2017002112A
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陽太郎 服部
Yotaro Hattori
陽太郎 服部
郁恵 吉田
Ikue Yoshida
郁恵 吉田
松海 邵
Songhai Shao
松海 邵
功 大竹
Isao Otake
功 大竹
浩文 井上
Hirofumi Inoue
浩文 井上
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Abstract

【課題】高屈折率、基材密着性、耐光性、耐アルカリ性を同時に有するハードコート膜を形成することができる硬化性組成物を提供する。【解決手段】硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤と第一の無機酸化物微粒子とが結合している有機無機複合体(A)と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、重合開始剤(C)と、第一の無機酸化物微粒子とは異なる種類の無機酸化物微粒子である第二の無機酸化物微粒子(D)と、を所定の比率で含有する。有機無機複合体(A)のゼータ電位をV1(mV)、第二の無機酸化物微粒子(D)のゼータ電位をV2(mV)としたときに、V1とV2の比V1/V2が0.7<V1/V2<1.5なる式を満たし、且つ、V1及びV2がいずれも−50(mV)以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化可能な硬化性組成物、及び、前記硬化性組成物を硬化させた硬化物に関する。また、本発明は、前記硬化性組成物のハードコート材としての適用、及び、前記ハードコート材を用いて形成されるハードコート膜に関する。
プラスチックシートやプラスチックフィルムなどの表面は比較的柔軟であり、耐擦傷性が乏しく鉛筆硬度が低いことから、これらの物品の表面にハードコート膜を設けて表面硬度を高めることで、前記性能の改善が図られている。
また、これらの物品にハードコート膜を設けることによって、耐擦傷性、鉛筆硬度以外にも種々の性能を付与することができる。例えば、ハードコート膜を設けることによって屈折率を向上させることができる。
近年開発が進んでいるタッチパネルの分野では、透明導電極としてのITO(Indium Tin Oxide)層をハードコート処理フィルム上に形成するが、ITO層とハードコート処理フィルムとの屈折率差が大きいために反射率が高くなってしまい、全光線透過率が低下して視認性が低下するので、ITO層とハードコート処理フィルムの屈折率差は小さいほど好ましい。
ハードコート膜の屈折率を向上させる方法としては、チタン、ジルコニウム、亜鉛、インジウム錫、アンチモン錫、アルミニウムなどの金属の酸化物粒子をハードコート膜に配合する方法がある。金属酸化物微粒子を配合する方法は、高硬度と耐擦傷性を維持しつつ高屈折率を有するハードコート膜を得ることができる。例えば、チタニア等の金属酸化物微粒子を配合したコーティング用組成物が、特許文献1及び2に記載されている。
特許文献1に開示の技術では、チタニア微粒子と有機ケイ素化合物とを含有するコーティング用組成物塗液を浸漬法で基材にコーティングした後に加熱して熱硬化することにより、透明な高屈折率の塗膜を得ている。
また、特許文献2に開示の技術では、チタニア微粒子の表面を不飽和基を有するポリシロキサン化合物で処理することにより、鉛筆硬度と耐擦傷性に優れるコーティング被膜を得ている。
特開2002−129102号公報 特開2012−220556号公報
しかしながら、チタニア微粒子は紫外線吸収性が高いので、組成物を紫外線で硬化させようとした際に、深部にまで紫外線が行き渡らないおそれがあった。そのため、密着強度が不十分となったり、アルカリ溶液に浸漬した際の耐性が不十分となったりするおそれがあった。
特許文献1に開示の技術は、基材であるプラスチック成形体にアルカリ処理等を施すことによって密着性を補っているものの、コーティング用組成物自体の密着性向上については開示がない。また、特許文献2に開示の技術は、基材がガラスであり、プラスチック製基材に対する密着性を向上させることについては開示がない。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高屈折率、基材密着性、耐光性、耐アルカリ性を同時に有するハードコート膜を形成することができる硬化性組成物及びハードコート材を提供することを課題とする。また、本発明は、高屈折率、基材密着性、耐光性、耐アルカリ性を同時に有するハードコート膜及び硬化物を提供することを併せて課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の一態様は以下の[1]〜[5]の通りである。
[1] (メタ)アクリロイル基及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤と第一の無機酸化物微粒子とが結合している有機無機複合体(A)と、
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、
重合開始剤(C)と、
前記第一の無機酸化物微粒子とは異なる種類の無機酸化物微粒子である第二の無機酸化物微粒子(D)と、
を含有し、
前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量を100質量部とした場合の前記有機無機複合体(A)と前記第二の無機酸化物微粒子(D)との合計の含有量が100質量部以上700質量部以下、且つ、前記重合開始剤(C)の含有量が5質量部以上40質量部以下であり、
前記有機無機複合体(A)のゼータ電位をV1(mV)、前記第二の無機酸化物微粒子(D)のゼータ電位をV2(mV)としたときに、V1とV2の比V1/V2が0.7<V1/V2<1.5なる式を満たし、且つ、V1及びV2がいずれも−50(mV)以下である硬化性組成物。
[2] 前記第一の無機酸化物微粒子がチタニア、前記第二の無機酸化物微粒子(D)がジルコニアをそれぞれ主成分とする[1]に記載の硬化性組成物。
[3] [1]又は[2]に記載の硬化性組成物を硬化させたものである硬化物。
[4] [1]又は[2]に記載の硬化性組成物からなるハードコート材。
[5] [4]に記載のハードコート材を基材の表面に膜状に配し硬化させて形成されるハードコート膜。
本発明の硬化性組成物及びハードコート材は、高屈折率、基材密着性、耐光性、耐アルカリ性を同時に有するハードコート膜を形成することができる。
また、本発明のハードコート膜及び硬化物は、高屈折率、基材密着性、耐光性、耐アルカリ性を同時に有する。
本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明においては、「(メタ)アクリレート」はメタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」はメタクリロイル及び/又はアクリロイルを意味し、「(メタ)アクリル」はメタクリル及び/又はアクリルを意味する。
本発明者らは、前述の従来技術が有する種々の問題点を解決するために鋭意検討した結果、(メタ)アクリロイル基及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤と無機酸化物微粒子とが結合している有機無機複合体と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーと、有機無機複合体を構成する無機酸化物微粒子とは異なる種類の無機酸化物微粒子と、を組み合わせることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤と第一の無機酸化物微粒子とが結合している有機無機複合体(A)と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、重合開始剤(C)と、第一の無機酸化物微粒子とは異なる種類の無機酸化物微粒子である第二の無機酸化物微粒子(D)と、を含有し、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量を100質量部とした場合の有機無機複合体(A)と第二の無機酸化物微粒子(D)との合計の含有量が100質量部以上700質量部以下、且つ、重合開始剤(C)の含有量が5質量部以上40質量部以下であることを特徴とする。
前記有機無機複合体(A)は、例えば、(メタ)アクリロイル基及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤で第一の無機酸化物微粒子を表面処理して第一の無機酸化物微粒子に前記シランカップリング剤を共有結合で結合させることによって得ることができる。このような有機無機複合体(A)と多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)とを共重合して硬化(例えば紫外線硬化)させた硬化性組成物の硬化物及びハードコート膜は、有機無機複合体(A)の表面の架橋度が高いことに加えて、均一な架橋系の構築により弾性率が高いので、高い鉛筆硬度を備えている。また、表面摩耗により起こる第一の無機酸化物微粒子の脱落が架橋により防止されるため、硬化性組成物の硬化物及びハードコート膜は高い耐擦傷性も備えている。
さらに、硬化性組成物には第二の無機酸化物微粒子(D)が含有されている。第二の無機酸化物微粒子(D)は、主に硬化性組成物の硬化物及びハードコート膜の耐光性、硬度などの特性を損なうことなく屈折率を向上させる。さらに、硬化性の良好な無機酸化物微粒子を選択することにより、耐光性、耐アルカリ性と硬化性とのバランスのプロセス適合性を高めることができる。
しかしながら、2種の異なる無機酸化物微粒子を同一系内に共存させる場合は、無機酸化物微粒子のゼータ電位が低い、乃至は、絶対値の差が大きい、あるいは、正負が異なる表面電位を有する無機酸化物微粒子の存在などの理由により、無機酸化物微粒子の凝集を引き起こすことがあるので、無機酸化物微粒子のゼータ電位は適切に選択しなければならない。
以下に、本実施形態の硬化性組成物の各成分及び該成分を製造するための材料について説明する。
<(1)有機無機複合体(A)>
有機無機複合体(A)は、(メタ)アクリロイル基及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤(以下「(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)」と記す)と第一の無機酸化物微粒子(A−2)との脱水縮合反応又は脱アルコール縮合反応によって得ることができる。
第一の無機酸化物微粒子(A−2)は、その表面に多数のヒドロキシ基(OH基)を有しているので、このヒドロキシ基と(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)のアルコキシシリル基とが縮合反応することにより、(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)と第一の無機酸化物微粒子(A−2)とが共有結合で結合することができる。
<(1−1)(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)>
(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)は、(メタ)アクリロイル基とアルコキシシリル基とを有していれば特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、下記化学式(II)で表される化合物などがあげられる。
Figure 2017002112
ただし、化学式(I)中のMは、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基と少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物のヒドロキシル基残基を示す。また、Xは酸素原子又は硫黄原子を示す。さらに、R及びRは炭素数1以上10以下の直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基又はフェニル基(炭素数が1以上3以下のアルキル基を有していてもよい)を示し、RとRは同一であってもよいし異なっていてもよい。さらに、Rは炭素数1以上10以下の直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキレン基又はフェニレン基(炭素数が1以上3以下のアルキル基を有していてもよい)を示し、このアルキレン基は鎖中に酸素原子を含んでいてもよい。さらに、lは0以上2以下の整数を示し、mは1以上3以下の整数を示し、lとmの和は3であり、kは1以上3以下の整数を示す。
そして、化学式(I)で表される化合物は、アルコキシシリル基及びイソシアナト基を有する化合物と、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化合物との縮合反応によって得ることができる。この縮合反応は、イソシアナト基とヒドロキシ基とが反応してウレタン結合が生じる縮合反応である。
以下に、(メタ)アクリル型シランカップリング剤について、さらに詳細に説明する。
(メタ)アクリル型シランカップリング剤は、例えば、アルコキシシリル基及びイソシアナト基を有する化合物(a−1)と、イソシアナト基と縮合可能な有機基(ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基等)及び少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a−2)との縮合反応によって合成することができる。
化合物(a−1)の例としては、例えば、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。また、これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
また、化合物(a−2)の例としては、例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
さらに、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、及びカルボキシル基のごとき活性水素基と(メタ)アクリロイル基とを側鎖に有する(メタ)アクリル共重合体や、ヒドロキシ基を有する多官能アクリレートによって環状酸無水物を開環させてなる化合物等を挙げることができる。
ただし、化合物(a−2)はこれらに限られるものではなく、これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
さらに、化合物(a−2)としては、不飽和基との反応性が無く反応制御が容易である点と、イソシアナト基との反応性が適度である点とから、ヒドロキシ基を有する化合物が好ましい。特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。
化合物(a−1)と化合物(a−2)との縮合反応において、反応の触媒には以下のものを使用することができる。例えば、スズ系、ジルコニア系、チタニア系、亜鉛系、鉄系、ニッケル系、ビスマス系、クロム系、コバルト系、アミン系、リン系等の触媒が挙げられる。反応温度は20℃以上60℃以下が好ましく、30℃以上55℃以下がより好ましい。
反応溶媒は特に限定されるものではないが、縮合反応を促進させるためには、溶剤和の少ない溶剤を用いることが好ましい。例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン等の非極性溶剤が挙げられ、中でも有機物との相溶性、低吸水性、留去が比較的容易等の観点から、トルエンが最も好ましい。
<(1−2)第一の無機酸化物微粒子(A−2)>
次に、第一の無機酸化物微粒子(A−2)に関しては、以下の物質を用いることができる。例えば、シリカ、中空シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、アンチモンスズ酸化物(ATO)、酸化セリウム、酸化カリウム、これらのうち2種以上を複合化した複合酸化物等を挙げることができる。特に高屈折率の硬化物を得たい場合には、粒子屈折率、ハンドリング、透明性の観点からジルコニア、チタニア、アンチモンスズ酸化物が好ましく、チタニアが最も好ましい。
また、第一の無機酸化物微粒子(A−2)は、有機溶剤に分散させた有機溶剤分散ゾルとして用いることが好ましい。分散媒として用いる有機溶剤は特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコールや、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトンや、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステルや、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルや、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドを挙げることができる。そして、これらの中でも、第一の無機酸化物微粒子(A−2)の分散安定性が良好であるためメタノール、イソプロパノールが好ましい。
さらに、第一の無機酸化物微粒子(A−2)の平均1次粒子径としては、ハンドリング、透明性の観点から、1nm以上200nm以下が好ましく、5nm以上100nm以下が特に好ましい。平均1次粒子径が1nm以上であれば、粒子表面が低活性であるため分散状態を保持することが容易であり、凝集、ゲル化が生じにくい。一方、平均1次粒子径が200nm以下であれば、レイリー散乱によるヘイズが観測されにくい。レイリー散乱は粒子体積の2乗、すなわち粒子径の6乗に比例するので、可視光の波長の1/4以下の平均1次粒子径を有する粒子においては散乱は小さく、透明材料に対して好適に用いることができる。
平均1次粒子径は、例えば高分解能透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製 H−9000型)で第一の無機酸化物微粒子を観察し、観察される微粒子像から任意に100個の無機酸化物粒子像を選び、公知の画像データ統計処理手法により数平均粒子径として求めることができる。
シリカ微粒子の有機溶剤分散ゾルとして市販されている商品としては、例えばコロイダルシリカとしては、日揮触媒化成株式会社製OSCAL−1132、OSCAL−1432M、OSCAL−1432、OSCAL−1632や、日産化学工業株式会社製メタノールシリカゾル、MA−ST−L、IPA−ST、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、PGM−ST、MEK−ST、MEK−ST−L、MEK−ST−ZL、MIBK−ST、PMA−ST、EAC−STや、扶桑化学株式会社製PL−1−IPA、PL−2L−PGME、PL−2L−MEK等を挙げることができる。
また、ジルコニア微粒子の有機溶媒分散ゾルとして市販されている商品としては、例えば日産化学工業株式会社製ナノユース(商標)OZ−30M、ナノユース(商標)OZ−S30Kを挙げることができる。さらに、チタニア微粒子の有機溶媒分散ゾルとして市販されている商品としては、例えば日揮触媒化成工業株式会社製OPTOLAKE1130Z、OPTPLAKE6320Z等を挙げることができる。
第一の無機酸化物微粒子(A−2)の形状は球状、中空球状、数珠状、平板状、繊維状等が挙げられるが、ハンドリング性、分散性が良好である点で、球状、中空状、数珠状が好ましく、球状が特に好ましい。数珠状シリカの例としては、日産化学工業株式会社製のIPA−ST−UP(商品名)などが挙げられ、中空状シリカの例としては日揮触媒化成株式会社製のスルーリア(商品名)などが挙げられる。
<(1−3)有機無機複合体(A)の合成>
<表面修飾(表面処理)>
有機無機複合体(A)は、第一の無機酸化物微粒子(A−2)を分散させた溶媒中に、(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)と少量の水分を加え混合撹拌することで、脱水縮合反応又は脱アルコール縮合反応を進行させることによって得られる。
さらに、必要に応じて酸又は塩基性化合物を触媒として添加してもよく、例えば、酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、アンモニア水などが挙げられる。
前記縮合反応の温度としては10℃以上80℃以下が好ましく、20℃以上60℃以下がより好ましく、35℃以上55℃以下がさらに好ましい。反応温度が10℃以上であれば、第一の無機酸化物微粒子(A−2)と(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)の縮合反応が進行しやすく、目的の化合物が十分に得られやすい。一方、80℃以下であれば、熱によるラジカル発生が起きにくいので、系内の不飽和基の重合によるゲル化が生じにくい。
縮合反応溶媒としては、前述の第一の無機酸化物微粒子(A−2)の分散媒を利用できるが、第一の無機酸化物微粒子(A−2)の表面との相溶性の観点から、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロトン性溶剤が好ましく、さらに溶媒和の強さと第一の無機酸化物微粒子(A−2)の表面の反応性との双方を鑑みると、メタノール、イソプロパノールが最も好ましい。
第一の無機酸化物微粒子(A−2)を表面処理する際の(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)の使用量は、表面処理されていない第一の無機酸化物微粒子(A−2)100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下が好ましく、15質量部以上95質量部以下がより好ましく、20質量部以上90質量部以下がさらに好ましい。(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)の使用量が10質量部以上であれば、第一の無機酸化物微粒子(A−2)の表面で十分な縮合反応がなされるため、第一の無機酸化物微粒子(A−2)の分散性を低下させるおそれがない。一方、100質量部以下であれば、架橋密度が高くなり過ぎることがないので、ハードコート膜に反りやクラックが生じにくい。
また、第一の無機酸化物微粒子(A−2)の表面処理には、(メタ)アクリル型シランカップリング剤(A−1)とともに、これ以外のシランカップリング剤(A−4)を併用することもできる。併用できるシランカップリング剤の例は特に限定されるものではないが、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどの不飽和基含有品や、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、トリフルオロトリメトキシシラン、分子内に繰り返し単位を有するパーフルポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物などが挙げられる。
次に、前記脱水縮合反応又は前記脱アルコール縮合反応によって生成した水又はアルコールと前記縮合反応溶媒とを縮合反応液から除去しつつ、置換溶剤を添加して溶剤置換を行い、前記置換溶剤に前記有機無機複合体(A)が分散している溶剤分散液を得てもよい(溶剤置換工程)。
置換溶剤の種類は特に限定されるものではないが、ケトン系、エステル系、芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系、アルコール系、アミド系、エーテル系等の溶剤を用いることができる。重合禁止剤の添加は、この溶剤置換工程において行うことが好ましい。
そして、前記溶剤分散液に、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、重合開始剤(C)と、第二の無機酸化物微粒子(D)と、を混合すれば、前記硬化性組成物(ハードコート材)を製造することができる。
第一の無機酸化物微粒子(A−2)とシランカップリング剤との脱水縮合反応又は脱アルコール縮合反応は平衡反応であるので、逆反応(分解反応)も起こり得る。逆反応が起こると、硬化性組成物(ハードコート材)を硬化させた硬化物(ハードコート膜)の前記諸性能が不十分となるおそれがある。
本実施形態の硬化性組成物(ハードコート材)は、前記溶剤置換工程によって、前記脱水縮合反応又は前記脱アルコール縮合反応によって生成した水又はアルコールと、縮合反応溶媒とが除去され、水又はアルコールの含有量、又は、縮合反応溶媒の含有量が低減されているので、脱水縮合反応又は脱アルコール縮合反応が生じる方向に平衡が移動し、前記逆反応が起こりにくい。よって、硬化性組成物(ハードコート材)を硬化させた硬化物(ハードコート膜)の前記諸性能、すなわち、鉛筆硬度、耐擦傷性が優れている。
なお、第一の無機酸化物微粒子(A−2)の表面処理で得られた有機無機複合体(A)の分散液に、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と置換溶剤と重合禁止剤とを添加して、溶剤置換工程に供し、溶剤置換を行ってもよい。これにより、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)、有機無機複合体(A)、及び置換溶剤を含有する分散液が得られるので、ここに重合開始剤(C)と第二の無機酸化物微粒子(D)を混合すれば、前記硬化性組成物(ハードコート材)を製造することができる。
<(2)少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)>
少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)(本明細書においては「多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)」と記すこともある)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(B−1)、エポキシ(メタ)アクリレート(B−2)、ウレタン(メタ)アクリレート(B−3)が挙げられる。
<(2−1)(メタ)アクリル酸エステル(B−1)>
(メタ)アクリル酸エステル(B−1)としては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどのジアクリレートや、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどの多官能(メタ)アクリレート、並びにそれらのエチレンオキサイド変性体及びプロピレンオキサイド変性体が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらの中でも、硬化物の硬度、耐擦傷性が良好となる観点から、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物が最も好ましい。また、これらの化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
<(2−2)エポキシ(メタ)アクリレート(B−2)>
エポキシ(メタ)アクリレート(B−2)は、エポキシ化合物に対して(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応させて得ることができる。エポキシ化合物としては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、炭素数1〜12の直鎖アルコールの両末端グリシジルエーテル体、ジエチレングリオールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。
<(2−3)ウレタン(メタ)アクリレート(B−3)>
ウレタン(メタ)アクリレート(B−3)は、アルコール化合物(B−3−1)、多官能チオール化合物(B−3−2)、又は多官能アミン化合物(B−3−3)に対して、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(B−3−4)を反応させることによって得られる。あるいは、アルコール化合物(B−3−1)とイソシアネート化合物(B−3−5)をイソシアナト基過剰の条件下で縮合反応を行い、末端にイソシアナト基を有するポリウレタン化合物を合成した後、末端イソシアナト基に対して(メタ)アクリロイル基を有するアルコール化合物(B−3−6)を縮合反応させることによって得られる。ウレタン(メタ)アクリレート(B−3)が有する(メタ)アクリロイル基の数は、4以上10以下が好ましい。
アルコール化合物(B−3−1)としては、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリロイルオキシ基含有アルコール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリヒドロキシペンタン、1,4−ジチアン−2,5−ジメタノールトリシクロデカンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ノルボルナンジメタノール、ポリカーボネートジオール、ポリシロキサンジオール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、パーフルオロアルコール、パーフルオロポリエーテルアルコール、及びこれらのEO(エチレンオキシド)変性体、PO(プロピレンオキシド)変性体、カプロラクトン変性体が挙げられる。
また、多官能チオール化合物(B−3−2)としては、炭素数2〜20の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキルチオール(分子内にチオエーテル構造を有していてもよい)や、該アルキルチオールのチイラン付加物があげられる。あるいは、前記アルコール化合物(B−3−1)のうち、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する化合物と、下記化学式(II)の化合物とを反応させたエステル化合物が挙げられる。
Figure 2017002112
なお、上記化学式(III)中のR及びRは各々独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基若しくは芳香族基であり、中でもメチル基又はエチル基が好ましい。また、R及びRの一方が水素原子で、他方が炭素数1〜10のアルキル基(特にメチル基又はエチル基)であることがさらに好ましい。pは0以上2以下の整数であり、好ましくは0又は1である。qは0又は1であり、好ましくは0である。
化学式(II)の化合物の具体例としては、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトブタン酸、3−メルカプトブタン酸、4−メルカプトブタン酸、2−メルカプトイソブタン酸、2−メルカプトイソペンタン酸、3−メルカプトイソペンタン酸、3−メルカプトイソヘキサン酸が挙げられ、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトブタン酸が好ましい。
多官能アミン化合物(B−3−3)としては、イソホロンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ヘキサメチレンジアミン、メラミン、メラミン誘導体等が挙げられる。硬化物の耐光性、硬度の観点から、イソホロンジアミン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、メラミンが好ましい。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(B−3−4)としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルイソシアネート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)オキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2−メチル−2−イソシアネート、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル−2−イソシアネート等が挙げられる。
イソシアネート化合物(B−3−5)としては、前述の(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物(B−3−4)のほか、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びその水添物、キシリレンジイソシアネート及びその水添物、ノルボルナンジイソシアネート、さらにそれらのアロファネート体、2量体(ウレトジオン)、3量体(イソシアヌレート)が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するアルコール化合物(B−3−6)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、前述のエポキシ(メタ)アクリレート(B−2)等が挙げられる。
<(3)重合開始剤(C)>
本発明で用いられる重合開始剤(C)は、有機無機複合体(A)の(メタ)アクリロイル基と多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の(メタ)アクリロイル基とを反応させ、有機無機複合体(A)と多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)との共重合体を得ることができるものであり、以下の重合開始剤を例示することができる。
例えば、光(紫外線、可視光等)によりラジカルを発生する光重合開始剤や、熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤が挙げられる。また、イオン重合により硬化反応を行う場合には、イオン重合開始剤(例えば、光酸発生剤や光塩基発生剤)を用いることができる。これらの重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−フェニルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製品;商品名イルガキュア184など)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF社製品;商品名イルガキュア651など)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(BASF社製品;商品名イルガキュア1173など)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(BASF社製品;商品名イルガキュア2959など)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(BASF社製品;商品名イルガキュア127など)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(BASF社製品;商品名イルガキュアMBFなど)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製品;商品名イルガキュア907など)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン(BASF社製品;商品名イルガキュア369など)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(BASF社製品;商品名イルガキュア379など)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(BASF社製品;商品名イルガキュア819など)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF社製品;商品名イルガキュアTPOなど)、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(BASF社製品;商品名イルガキュア784など)、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASF社製品;商品名イルガキュアOXE01など)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1,1−(0−アセチルオキシム)(BASF社製品;商品名イルガキュアOXE02など)が挙げられる。
これらの光重合開始剤の中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド又はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドを用いることが好ましく、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンと2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドの併用が最も好ましい。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
本実施形態の硬化性組成物中における光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物を適度に硬化させる量であれば特に限定されるものではなく、有機無機複合体(A)と少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と第二の無機酸化物微粒子(D)とを合計したもの100質量部に対して、5質量部以上40質量部以下を配合することが好ましく、8質量部以上35質量部以下を配合することがより好ましい。
光重合開始剤の配合量が5質量部以上であれば、硬化性組成物の硬化が十分となる。一方、40質量部以下であれば、硬化性組成物の保存安定性の低下や着色が生じにくい。また、架橋して硬化物を得る際の急激な架橋の進行や、硬化時の割れ等の問題が発生しにくいほか、高温処理時のアウトガス成分が少なく、装置を汚染するおそれがない。
また、熱重合開始剤としては、過酸化物系、アゾ系等の熱重合開始剤が挙げられる。例えば、ベンゾイルオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2−ビスアゾイソブチロニトリル、ジメチル−2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられるが、これらに限られるものではない。また、これらの熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
本実施形態の硬化性組成物中における熱重合開始剤の含有量は、前述の光重合開始剤の場合と同様である。また、光重合開始剤と熱重合開始剤は併用してもよい。
<(4)第二の無機酸化物微粒子(D)>
本実施形態の硬化性組成物において用いられる第二の無機酸化物微粒子(D)は、硬化性組成物の硬化性を損なわずに屈折率を向上させる目的で用いられる。第二の無機酸化物微粒子(D)としては、例えば、シリカ、中空シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、アンチモンスズ酸化物(ATO)、酸化セリウム、酸化カリウム、これらのうち2種以上を複合化した複合酸化物等を挙げることができる。これらの中では、硬化性が良好であることや、粒子屈折率、ハンドリング、透明性の観点を考慮すると、ジルコニアが好ましい。そして、第一の無機酸化物微粒子(A−2)の主成分としてチタニアを選んだ場合には、第二の無機酸化物微粒子(D)の主成分としてジルコニアを選ぶことが好ましい。ここで、「主成分」とは、当該成分のうち50質量%超を占めることを意味する。
ここで、本実施形態の硬化性組成物の調製に用いる有機無機複合体(A)及び第二の無機酸化物微粒子(D)のゼータ電位の測定方法について説明する。ゼータ電位は、マルバーン社製の商品名ゼータサイザーナノシリーズZSPを用いて測定した。測定を行う際は、メチルエチルケトン(20℃における誘電率は15.45、20℃における粘度は0.405mPa・s、屈折率は1.380とした)を用いて1質量%まで希釈を行った分散液をサンプルとして使用した。
さらに、ゼータ電位の好ましい条件について説明する。ゼータ電位は、その絶対値が大きいほど微粒子同士の斥力が強まり分散が安定化することが知られている。本実施形態の硬化性組成物の調整に用いる有機無機複合体(A)及び第二の無機酸化物微粒子(D)のゼータ電位を前述の方法で測定した場合、有機無機複合体(A)のゼータ電位をV1(mV)、第二の無機酸化物微粒子(D)のゼータ電位をV2(mV)としたときに、V1とV2の比V1/V2が0.7<V1/V2<1.5なる式を満たす。さらに、0.75<V1/V2<1.35なる式を満たすことがより好ましく、0.8<V1/V2<1.2なる式を満たすことが最も好ましい。また、V1及びV2がいずれも−50(mV)以下となることが好ましく、−55(mV)以下となることがより好ましい。上記のゼータ電位を示す有機無機複合体(A)及び第二の無機酸化物微粒子(D)を使用することによって、それぞれの粒子を共に安定的に分散させることができる。
以上のように、本実施形態の硬化性組成物は、有機無機複合体(A)と多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と重合開始剤(C)と第二の無機酸化物微粒子(D)を含有するが、これらの成分の質量比は以下のようにすることが好ましい。すなわち、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)100質量部に対して、有機無機複合体(A)と第二の無機酸化物微粒子(D)との合計の含有量は100質量部以上700質量部以下とする必要があり、150質量部以上500質量部以下とすることが好ましく、180質量部以上350質量部以下とすることがさらに好ましい。
これら4成分の混合物において、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)100質量部に対して有機無機複合体(A)と第二の無機酸化物微粒子(D)との合計の含有量が100質量部以上であれば、無機分の含量が十分であるため所定の鉛筆硬度、屈折率の硬化物が得られ、また硬化収縮が小さく、膜状の硬化物(「硬化膜」又は「ハードコート膜」と記すこともある)の場合でも反りが増大しにくい。一方、700質量部以下であれば、無機酸化物微粒子の性質の影響が強く出ることがないので、膜状の硬化物の耐屈曲性が優れ、自立膜の形成が可能である。
また、重合開始剤(C)の含有量は、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)100質量部に対して、5質量部以上40質量部以下とする必要があり、8質量部以上35質量部以下とすることが好ましく、11質量部以上32質量部以下とすることがさらに好ましい。
多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)100質量部に対して重合開始剤(C)の含有量が5質量部以上であれば、十分な硬化により鉛筆硬度、耐擦傷性などの性能が十分となる。一方、40質量部以下であれば、適度な架橋の進行によって硬化膜に反りが生じにくいとともに、未反応の重合開始剤(C)がほとんど残存しないので、ブリードアウトしたり加熱時にアウトガスが生じたりするおそれがない。
本実施形態の硬化性組成物には有機溶剤(E)を配合することができる。有機溶剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトンや、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステルや、トルエン、キシレン等の芳香族化合物があげられる。また、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素や、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルや、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールが挙げられる。これらの有機溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
硬化性組成物における有機溶剤(E)の割合は特に限定されるものではなく、有機溶剤の種類、硬化性組成物の性状、硬化性組成物を使用する対象の基材の種類、形状などに応じて、適宜設定すればよい。
本発明においては、樹脂やガラス等の種々の材質からなる物品(基材)の表面にコーティングして、耐擦傷性や密着性等の表面性能を向上させる材料をハードコート材という。有機溶剤を配合した本実施形態の硬化性組成物はハードコート材として用いることができる。
また、本実施形態の硬化性組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、硬化性組成物や硬化物に所望の特性を付与する添加剤(F)を配合してもよい。添加剤(F)としては、例えば、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、消泡剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料、スリップ剤、連鎖移動剤、密着性付与剤があげられる。
光増感剤としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ミフィラーケトンなどが挙げられる。
密着性付与材としては、スチレンブタジエン樹脂(株式会社クラレ製の商品名セプトン)、ポリカーボネート骨格とウレタン結合を有するビニル重合体(大成ファインケミカル株式会社製の商品名アクリット8UA−347A)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製の商品名カレンズMOI)、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製の商品名カレンズAOI)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(昭和電工株式会社製の商品名カレンズMT PE1)などが挙げられる。
本発明の液状のハードコート材を塗布、噴霧、浸漬等の慣用の方法によって種々の材質(樹脂、ガラス等)の基材の表面に膜状に配した上、該ハードコート材を熱又は光によって硬化させるとともに有機溶剤を乾燥等により除去すれば、基材の表面にハードコート膜を被覆することができる。
慣用の方法によって、本実施形態の硬化性組成物をフィルム状に加工するとともに硬化性組成物の硬化及び有機溶剤の除去を行えば、硬化性組成物のフィルム状の硬化物を得ることができる。該硬化性組成物がハードコート材である場合は、該フィルム状の硬化物はハードコート膜となる。
例えば、基材の表面にハードコート膜を形成する場合であれば、基材の表面にハードコート材を塗布し、10℃以上150℃以下で有機溶剤(E)等の揮発成分を乾燥させた後、光、放射線、熱等によりハードコート材を硬化させれば、ハードコート膜を被覆した成形体を得ることができる。
熱による重合を行う場合には、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。熱により重合を行う場合の好ましい硬化条件は、温度が40℃以上150℃以下、時間が10秒以上24時間以下である。
放射線(光)による重合を行う場合には、ハードコート材をコーティングした後に短時間でハードコート材を硬化させることができるものであるならば、その放射線(光)の種類は特に限定されるものではないが、例えば、可視光線、紫外線、電子線等をあげることができる。
可視光線の線源としては、日光、可視光ランプ、蛍光灯、レーザー等をあげることができる。さらに、紫外線の線源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、レーザー等をあげることができる。さらに、電子線の線源としては、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式、及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。
次に、本実施形態の硬化性組成物、ハードコート材、及びハードコート膜の用途について説明する。
本実施形態の硬化性組成物は、ハードコート材として、表面保護のための被覆材(ハードコート、クリアハードコート)や反射防止膜などのハードコート膜の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン樹脂)、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP樹脂)等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。
これらの中でもポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が好ましく、PETフィルムのハードコート膜を形成する面の屈折率は1.60以上1.70以下が好ましく、1.62以上、1.68以下がさらに好ましく、1.635以上1.665以下が最も好ましい。屈折率が1.60以上1.70以下となることで、本発明のコーティング材との屈折率差が少なくなるため、良好な外観を与えるPETフィルムを得ることができる。
これら基材の形状は特に限定されるものではなく、例えば板状、フィルム状、3次元成形体があげられる。ハードコート材のコーティング方法としては、通常のコーティング方法、例えばグラビア印刷、マイクログラビア印刷、インクジェットコート、ディッピングコート、スプレーコ−ト、フローコ−ト、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらコーティングにおける塗膜の厚さは、乾燥及び硬化の後の厚さで、通常は0.1μm以上400μm以下であり、好ましくは1μm以上200μm以下である。
本実施形態のハードコート膜を基材表面に形成して得られたハードコート基材は、ハードコート膜と基材表面との密着性が優れているとともに、高い表面屈折率を有し、耐光性、耐アルカリ性に優れ、且つ耐擦傷性も優れている。よって、インデックスマッチングフィルム、反射防止フィルム、光ディスク、発光ダイオード(LED)照明装置、自動車ヘッドランプ、自動車等の車体、携帯電話端末本体、太陽電池、タッチパネル、テレビ受像機、フレキシブルディスプレイ装置、パーソナルコンピュータ等に適用することができる。また、ディスプレイパネルの屈折率調整層、輝度向上フィルム、光抽出層等の用途に適用することができる。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。
(1)有機無機複合体の合成
[製造例1]:有機無機複合体分散液(L−1)の調製
メタノール分散型チタニア微粒子(チタニア含量30質量%、チタニアの平均粒子径13nm、商品名オプトレイク1130Z;日揮触媒化成工業株式会社製)200.0gをセパラブルフラスコに入れ、さらに、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−5103;信越化学工業株式会社製)18.0gを加え、撹拌混合して均一溶液とした。
さらに、この混合液に、反応触媒として0.18質量%のHCl水溶液3.1gを加え、内温40℃の条件で6時間加熱撹拌することにより、チタニア微粒子の表面処理を行った。
次に、得られた反応液を、ガス吹き込み口が具備されたフラスコに移し、さらに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名SARTOMER DPHA;SARTOMER社製)7.8g、メチルイソブチルケトン286.3g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.034gを投入して均一な溶液とした。
次に、フラスコ内温を40℃に加熱し、酸素が5%含まれた窒素ガスを100mL/minの速度で溶液内にバブリングしながら系内を減圧し、溶媒の留去操作を行った。不揮発分が30質量%となるように溶媒を留去することで、有機無機複合体分散液(L−1)286.1gを得た。得られた有機無機複合体分散液(L−1)のゼータ電位は−57.0mVであった。
[製造例2]:有機無機複合体分散液(L−2)の調製
製造例1の3−アクロイルオキシプロピルトリメトキシシランを3−メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−503;信越化学工業株式会社製)に変更した以外は、製造例1と同様の操作を行って(各原料の量については表1を参照)、有機無機複合体分散液(L−2)286.1gを得た。得られた有機無機複合体分散液(L−2)のゼータ電位は−56.9mVであった。
Figure 2017002112
(2)硬化性組成物の調製
[調製例1]:硬化性組成物(M−1)の調製
製造例1で得られた有機無機複合体分散液(L−1)185.9質量部、多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名SARTOMER DPHA;SARTOMER社製)25.5質量部、重合開始剤(C)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名イルガキュア184(IRG184);BASF社製)4.0質量部、第二の無機酸化物微粒子(D)としてジルコニア分散液(商品名ナノユースOZ−S40K−AC;日産化学工業株式会社製、不揮発分40.0質量%、ゼータ電位−56.4mV)46.8質量部を混合し、不揮発分すなわち溶剤以外の成分が20質量%となるようにメチルイソブチルケトン257.8質量部を加えることで、硬化性組成物(M−1)を得た。
[調製例2〜12]:硬化性組成物(M−2)〜(M−12)の調製
各原料の種類及び使用量を表2に示すように変更した点以外は、調製例1と同様の操作を行った。硬化性組成物(M−2)〜(M−10)については良好な組成液が得られたが、M−11、M−12については凝集物が発生し、良好な組成液を得ることができなかった。
なお、表2中の「PETA」は、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(商品名アロニックスM−306;東亞合成株式会社製)であり、「UN−3320HA」は、6官能ウレタンアクリレート(商品名UN−3320HA;根上工業株式会社製)である。
また、表2中の「IRG1173」は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名イルガキュア1173;BASF社製)であり、「IRG TPO」は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名イルガキュアTPO;BASF社製)である。
さらに、表2中の「OPTOLAKE」は、日揮触媒化成株式会社製のジルコニア分散液(商品名OPTOLAKE 256Z1)であり、その不揮発分は21.5質量%、ゼータ電位は−57.0mVである。
さらに、表2中の「ジルコニアA」は、不揮発分が13.0質量%、ゼータ電位が−22.2mVのジルコニア分散液であり、「ジルコニアB」は、不揮発分が32.7質量%、ゼータ電位が−36.1mVのジルコニア分散液である。
Figure 2017002112
(3)コーティングフィルムの作製と評価
[実施例1]
硬化性組成物(M−1)を、乾燥塗膜の厚さが1μmとなるように、厚さ125μmのPETフィルム(商品名ルミラーUH−13;東レ株式会社製)の易接着面上に塗布し、100℃で1分間乾燥させた。次に、コンベア露光機を用いて、窒素雰囲気下、UVランプ(高圧水銀)により積算露光量で200mJ/cmの紫外線を照射し、硬化性組成物(M−1)を硬化させ、硬化性組成物(M−1)の硬化物(ハードコート膜)がコーティング処理されたPETフィルム(以下「コーティングフィルム」と記す)を得た。得られたコーティングフィルムは、後述の評価方法に則った密着性、耐光性、耐アルカリ性の試験へ供した。結果を表3に示す。
また、硬化性組成物(M−1)を、乾燥塗膜の厚さが30μmとなるように、厚さ125μmのPETフィルム(商品名コスモシャイン(商標)A−4100;東洋紡株式会社製)の易接着面上に塗布し、100℃で1分間乾燥させた。次に、コンベア露光機を用いて、窒素雰囲気下、UVランプ(高圧水銀)により積算露光量で200mJ/cmの紫外線を照射し、硬化性組成物(M−1)を硬化させ、硬化性組成物(M−1)の硬化物(ハードコート膜)がコーティング処理されたコーティングフィルムを得た。得られたコーティングフィルムは、後述の評価方法に則った屈折率の試験へ供した。結果を表3に示す。
[実施例2〜9及び比較例1〜3]
硬化性組成物(M−1)をそれぞれ硬化性組成物(M−2)〜(M−12)に変更した点以外は、実施例1と同様の方法にてコーティングフィルムを取得し、実施例1と同様に各種試験へ供した。結果を表3に示す。
(4)コーティングフィルムの評価方法
[密着性の評価]
コーティングフィルム上にクロスカットガイド(コーテック株式会社製)を載置し、カッターナイフ等を用いてコーティングフィルムのハードコート膜をマス目状に切断した。1つのマスは縦横2mm四方をなし、縦10マス、横10マスで合計100マスが形成されるように切断した。
切断したハードコート膜に粘着テープ(ニチバン株式会社製のセロテープ(登録商標))を貼り付け、十分に密着させた後に粘着テープをハードコート膜から引き剥がした。そして、ハードコート膜の基材(PETフィルム)からの剥離状況を目視により観察し、下記の基準で評価を行った。
A:基材からの剥離無し
B:全剥離ではないが、一部に剥離が見られる。
C:基材から全面が剥離した
[屈折率の評価]
アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製 DR−M4)を用いてコーティングフィルムのハードコート膜の屈折率を測定した。
[耐光性の評価]
コンパクト型ブラックライトブルー蛍光ランプ(三共電気株式会社製 FPL27BLB)を用いて、コーティングフィルムに対して紫外線を200時間にわたって照射した。そして、照射後のコーティングフィルムに対して、前記と同様の方法により密着性の評価を行った。
[耐アルカリ性の評価]
温度を40℃に保った濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液に、コーティングフィルムを10分間浸漬し、浸漬後のハードコート膜の外観の変化を目視により確認した。そして、浸漬後のコーティングフィルムに対して、前記と同様の方法により密着性の評価を行った。
これら各種試験の結果を表3に示す。比較例2及び3では、無機酸化物微粒子間の凝集のため分散液を取得することができなかった。実施例1〜9は初期の密着性(耐光性試験や耐アルカリ性試験に供する前の密着性)が優れているとともに、耐光性試験後や耐アルカリ性試験後においても、比較例1では得られなかった優れた密着性が得られた。これらの結果から、使用する第一及び第二無機酸化物微粒子のゼータ電位を適切に選択し、また、2種の無機酸化物微粒子を併用することによって、良好な密着性が得られていることが分かる。また、実施例1〜9は、耐光性及び耐アルカリ性が優れていることが分かる。
Figure 2017002112

Claims (5)

  1. (メタ)アクリロイル基及びアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤と第一の無機酸化物微粒子とが結合している有機無機複合体(A)と、
    少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、
    重合開始剤(C)と、
    前記第一の無機酸化物微粒子とは異なる種類の無機酸化物微粒子である第二の無機酸化物微粒子(D)と、
    を含有し、
    前記少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(B)の含有量を100質量部とした場合の前記有機無機複合体(A)と前記第二の無機酸化物微粒子(D)との合計の含有量が100質量部以上700質量部以下、且つ、前記重合開始剤(C)の含有量が5質量部以上40質量部以下であり、
    前記有機無機複合体(A)のゼータ電位をV1(mV)、前記第二の無機酸化物微粒子(D)のゼータ電位をV2(mV)としたときに、V1とV2の比V1/V2が0.7<V1/V2<1.5なる式を満たし、且つ、V1及びV2がいずれも−50(mV)以下である硬化性組成物。
  2. 前記第一の無機酸化物微粒子がチタニア、前記第二の無機酸化物微粒子(D)がジルコニアをそれぞれ主成分とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物を硬化させたものである硬化物。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物からなるハードコート材。
  5. 請求項4に記載のハードコート材を基材の表面に膜状に配し硬化させて形成されるハードコート膜。
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