JP2017002147A - ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】色調、透明性に優れており、経時安定性にも優れた(黄味の発生のない)ポリエステル樹脂組成物及び、その樹脂組成物からなる成形品の提供。【解決手段】エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として18〜40モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ゲルマニウム化合物をポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し、5.0×10−5〜3.0×10−4モル含有し、かつアントラキノン系青色染料とアントラキノン系紫色染料の少なくとも一方を0.1〜10ppmを含有する樹脂組成物であって、ガラス転移温度が60℃以上、極限粘度(IV)が0.5以上であるポリエステル樹脂組成物。20℃×65%RH環境下での酸素透過度が250ml/(m2・day・MPa)以下であるポリエステル樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリエステル樹脂中に特定の化合物と染料とを含有するポリエステル樹脂組成物であって、色調、透明性、経時安定性に優れた成形体を得ることができるポリエステル樹脂組成物に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性、化学的安定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種のシート、フィルム、容器等として幅広く用いられており、特に昨今では、炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用油、酒、ワイン用等の中空容器(ボトル)用途の伸びが著しい。
しかも、塩化ビニル樹脂製中空成形品に見られるような残留モノマーや有害添加剤の心配が少なく、衛生性及び安全性が高い点から、従来の塩化ビニル樹脂などからなるボトルからの置き換えも進んでいる。
しかしながら、既存のPETからなる容器は、色調の調整のためにコバルト化合物を添加することが多い。コバルト化合物は、ポリエステル樹脂の色相(b値)は改善できるものの、金属異物が析出し、得られるポリエステル樹脂の溶融熱安定性を低下させるため、黄味の抑制が十分に行われないという問題があった。
このような問題を解決するものとして、特許文献1においては、コバルト化合物とともにリン化合物とアンチモン化合物を特定量用いることにより、色調が良好で、異物が少なく、耐熱性に優れたポリエステル樹脂組成物が提案されている。しかしながら、特許文献1記載の樹脂組成物は、コバルト化合物を用いることによる欠点が十分に解消できておらず、黄味の抑制は十分に満足できるレベルのものではなかった。
本発明は、上記の問題点を解決し、色調、透明性に優れており、経時安定性にも優れた(黄味の発生のない)ポリエステル樹脂組成物を提供しようとするものである。また、本発明の樹脂組成物からなる成形品を提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)を要旨とするものである。
(1)エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として18〜40モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ゲルマニウム化合物をポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し、5.0×10−5モル〜3.0×10−4モル含有し、かつアントラキノン系青色染料とアントラキノン系紫色染料の少なくとも一方を0.1〜10ppmを含有する樹脂組成物であって、ガラス転移温度が60℃以上、極限粘度(IV)が0.5以上であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
(2)20℃×65%RH環境下での酸素透過度が250ml/(m2・day・MPa)以下である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
(3)(1)に記載のポリエステル樹脂組成物からなる成形体。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)を要旨とするものである。
(1)エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として18〜40モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ゲルマニウム化合物をポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し、5.0×10−5モル〜3.0×10−4モル含有し、かつアントラキノン系青色染料とアントラキノン系紫色染料の少なくとも一方を0.1〜10ppmを含有する樹脂組成物であって、ガラス転移温度が60℃以上、極限粘度(IV)が0.5以上であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
(2)20℃×65%RH環境下での酸素透過度が250ml/(m2・day・MPa)以下である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
(3)(1)に記載のポリエステル樹脂組成物からなる成形体。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、イソフタル酸を特定量共重合したポリエステル樹脂を主成分とし、ガラス転移温度が特定の温度以上を満足するものであるため、成形性に優れるとともに、特定の化合物と染料とを適量用いることにより、色調、透明性にも優れている。さらには、経時安定性にも優れ、黄味の発生を抑えることができる。また、酸素透過度が低く、ガスバリア性にも優れている。
そして、本発明の成形体は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなるものであるため、成形性よく得ることができ、透明性、色調、経時安定性、ガスバリア性に優れており、各種用途に好適に使用することができる。
そして、本発明の成形体は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなるものであるため、成形性よく得ることができ、透明性、色調、経時安定性、ガスバリア性に優れており、各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物の主成分となるポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として18〜40モル%含有するものである。イソフタル酸の共重合量は中でも20〜38モル%にすることが好ましい。イソフタル酸を比較的多く共重合させることにより、非晶性のポリエステル樹脂となり、得られる成形体の透明性を向上させることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の主成分となるポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として18〜40モル%含有するものである。イソフタル酸の共重合量は中でも20〜38モル%にすることが好ましい。イソフタル酸を比較的多く共重合させることにより、非晶性のポリエステル樹脂となり、得られる成形体の透明性を向上させることができる。
イソフタル酸の共重合量が18モル%未満であると、ポリエステル樹脂中のテレフタル酸の量が多くなり、樹脂が結晶性を有するようになるため透明性に劣るものとなる。
一方、イソフタル酸の共重合量が40モル%を超えると、成形時に樹脂組成物を冷却固化させるために時間を要したり、金型からの離形性が悪くなるなど成形性が悪化する。
一方、イソフタル酸の共重合量が40モル%を超えると、成形時に樹脂組成物を冷却固化させるために時間を要したり、金型からの離形性が悪くなるなど成形性が悪化する。
また、テレフタル酸に加えて、イソフタル酸を多く含むことにより、ポリエステル樹脂の分子構造が平面構造に近いものとなるためと想定されるが、酸素透過度の低いものとすることができる。このため、得られる成形体は、ガスバリア性に優れたものとなる。
イソフタル酸の共重合量が18モル%未満であると、ポリエステル樹脂中のテレフタル酸の量が多くなり、ポリエステル樹脂の分子構造を平面構造に近いものにすることが困難となるため、酸素透過度が高いものとなる。
本発明におけるポリエステル樹脂はエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするものであるが、テレフタル酸の割合は60モル%以上であることが好ましく、またエチレングリコールの割合は85モル%以上であることが好ましい。
テレフタル酸とイソフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
エチレングリコール以外のグリコール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールA又はビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等を用いることができる。
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物中には、ゲルマニウム化合物が、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5×10−5モル〜3.0×10−4モル含有されており、中でも6×10−5モル〜2.0×10−4モル含有されていることが好ましい。
ゲルマニウム化合物はポリエステル樹脂を得る際に重合触媒として使用されるものであり、ゲルマニウム化合物の含有量が5×10−5モル未満であると、目標の重合度のポリエステル樹脂が得られない、あるいは、重合反応において重合時間が長くなり、その結果、得られるポリエステル樹脂の色調が悪くなる。一方、3.0×10−4モルを超えても、重合触媒としての効果は飽和し、コスト的に不利となる。
ゲルマニウム化合物はポリエステル樹脂を得る際に重合触媒として使用されるものであり、ゲルマニウム化合物の含有量が5×10−5モル未満であると、目標の重合度のポリエステル樹脂が得られない、あるいは、重合反応において重合時間が長くなり、その結果、得られるポリエステル樹脂の色調が悪くなる。一方、3.0×10−4モルを超えても、重合触媒としての効果は飽和し、コスト的に不利となる。
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド等が挙げられ、重合触媒活性、得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、二酸化ゲルマニウムが好ましい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、アントラキノン系青色染料とアントラキノン系紫色染料の少なくとも一方を0.1〜10ppm含有しており、中でも0.3〜3ppm含有していることが好ましい。アントラキノン系青色染料やアントラキノン系紫色染料を含有することによって、より色調に優れた樹脂組成物とすることができ、より色調に優れた成形品を得ることが可能となる。
色調が優れていることを示す指標としては、ポリエステル樹脂組成物の色相(b値)が1.0以下であることが好ましく、中でも−0.1以下であることが好ましい。
アントラキノン系青色染料やアントラキノン系紫色染料の含有量が0.5ppm未満であると、ポリエステル樹脂組成物の色調改良効果が小さく、一方、5ppmを超えると、ポリエステル樹脂組成物の透明性が悪くなるため、好ましくない。
色調が優れていることを示す指標としては、ポリエステル樹脂組成物の色相(b値)が1.0以下であることが好ましく、中でも−0.1以下であることが好ましい。
アントラキノン系青色染料やアントラキノン系紫色染料の含有量が0.5ppm未満であると、ポリエステル樹脂組成物の色調改良効果が小さく、一方、5ppmを超えると、ポリエステル樹脂組成物の透明性が悪くなるため、好ましくない。
アントラキノン系青色染料としては、SOLVENT BLUE 11、SOLVENT BLUE 25、SOLVENT BLUE 35、SOLVENT BLUE 36、SOLVENT BLUE 45、SOLVENT BLUE 55、SOLVENT BLUE 63、SOLVENT BLUE 78、SOLVENT BLUE 83、SOLVENT BLUE 87、SOLVENT BLUE 94、SOLVENT BLUE 104等のカラーインデックス名のものが挙げられ、得られるポリエステルの色調や透明性の点で、SOLVENT BLUE 104が好ましい。
アントラキノン系紫色染料としては、SOLVENT VIOLET 8、SOLVENT VIOLET 13、SOLVENT VIOLET 14、SOLVENT VIOLET 21、SOLVENT VIOLET 27、SOLVENT VIOLET 28、SOLVENT VIOLET 36等のカラーインデックス名のものが挙げられ、得られるポリエステルの色調や透明性の点で、SOLVENT VIOLET 13または、SOLVENT VIOLET 36が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、さらなる色調改良やポリエステルの熱安定化の目的で、リン化合物を含有していてもよい。コストや得られるポリエステル樹脂組成物の色調の点から、中でもリン化合物としてはリン酸、あるいはリン酸エステルが好ましい。さらには酸化防止剤を入れてもいい。
そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、ガラス転移温度が60℃以上であり、中でも63℃以上であることが好ましく、さらには65℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が60℃未満であると、チップにした際の乾燥工程において融着が生じやすく、また成形性が悪化する(冷却に時間がかかり、金型からの離形性が悪くなるなど)。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物の極限粘度は、0.5以上であり、中でも0.55以上であることが好ましく、さらには0.6以上であることが好ましい。極限粘度が0.5未満の場合は、成形が困難となりやすく、特にブロー成形が困難になり、均一な厚さの成形品を得ることが困難となりやすい。また、たとえ成形できたとしても、得られる成形体は強度や耐衝撃性が低下したものとなりやすい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、20℃×65%RH環境下での酸素透過度が250ml/(m2・day・MPa)以下であることが好ましく、中でも240ml/(m2・day・MPa)以下であることが好ましい。酸素透過度が250ml/(m2・day・MPa)を超えると、ガスバリア性に乏しいものとなり、本発明のポリエステル樹脂組成物より得られる成形体もガスバリア性に乏しいものとなる。
なお、上記のポリエステル樹脂組成物の酸素透過度は、Optical Control Systems社製のフィッシュアイカウンター(ゲルカウンター)にて厚み80μmの未延伸フィルムを作製し、該未延伸フィルムをモコン社製酸素透過率測定装置 OX−TRAN2/21MHを用い、JIS K7126−2法(20℃×65%RH環境下)に従って酸素透過度を測定するものである。
上記したように、本発明のポリエステル樹脂組成物は透明性に優れるものであるが、透明性に優れることを示す指標として、ヘーズ値が5.0以下であることが好ましく、中でも3.8以下であることが好ましく、さらには3.0以下であることが好ましい。
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について説明する。
酸成分としてテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、加圧下、160〜280℃の温度でエステル化反応またはエステル交換反応を行った後、ポリエステルオリゴマーを重合反応器に移し、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液、またはイソフタル酸とエチレングリコールの分散液、重合触媒としてゲルマニウム化合物、アントラキノン系染料、必要に応じて酸化防止剤を添加し、通常1hPa以下の減圧下で240〜290℃、好ましくは250〜280℃の温度で溶融重縮合反応を行う。
酸成分としてテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、加圧下、160〜280℃の温度でエステル化反応またはエステル交換反応を行った後、ポリエステルオリゴマーを重合反応器に移し、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液、またはイソフタル酸とエチレングリコールの分散液、重合触媒としてゲルマニウム化合物、アントラキノン系染料、必要に応じて酸化防止剤を添加し、通常1hPa以下の減圧下で240〜290℃、好ましくは250〜280℃の温度で溶融重縮合反応を行う。
本発明のポリエステル樹脂組成物を用いて、押出成形、ブロー成形、射出成形、プレス成形、発泡成形などの成形方法によって成形体を製造することができる。中でも成形体としては、射出成形体、ブロー成形体が好ましい。
射出成形法としては、一般的な射出成形法を用いることができ、さらにはガス射出成形法、射出成形プレス成形法等も採用できる。射出成形時のシリンダー温度は、ポリエステル樹脂組成物の(Tm)又は流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは(Tm+10)℃〜(Tm+60)℃、更に好ましくは(Tm+15)℃〜(Tm+40)℃の範囲である。成形温度が低すぎると、成形にショートが発生して成形が不安定になったり、過負荷に陥ったりしりやすい。逆に成形温度が高すぎると、ポリエステル樹脂が分解し、得られる押し出し成形体の強度が低下したり、着色する等の問題が発生しやすくなる。一方、金型温度は、(Tm−20℃)以下にすることが好ましい。
ブロー成形の方法としては、射出成形あるいは押出成形により一段で製品を成形する方法、あるいは、射出成形あるいは押出成形により得られたパリソンを延伸ブロー成形する方法などが挙げられる。
延伸ブロー法としては、ポリエステル樹脂組成物を乾燥した後、シリンダー各部およびノズル温度を240〜270℃とした射出成型機を用いてプリフォームを作製し、このプリフォームが射出成形又は押出成形の予熱を維持し、そのままブロー成形工程に移るホットパリソン法、あるいは、プリフォームの射出成形機又は押出成形機とブロー成形機が離れ、プリフォームが一度冷却された後再加熱されてブロー成形されるコールドパリソン法を適用することができる。
本発明の射出成形体、ブロー成形体の形態は、特に限定されないが、透明性、経時安定性に優れることから、液体を充填する容器とすることが好ましい。このような容器の具体例としては、乳製品や清涼飲料水や酒類等のための飲料用コップ及び飲料用ボトル、醤油、ソース、食用油等の調味料の保存容器、シャンプー・リンス等の容器、化粧料用容器、薬品や薬剤用容器等が挙げられる。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)ガラス転移温度
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、窒素気流中、温度範囲25℃〜280℃、昇温(降温)速度20℃/分、試料量8mgで測定した。
(b)極限粘度(IV)
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。
(a)ガラス転移温度
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、窒素気流中、温度範囲25℃〜280℃、昇温(降温)速度20℃/分、試料量8mgで測定した。
(b)極限粘度(IV)
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。
(c)イソフタル酸の共重合量、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量
ポリエステル樹脂組成物を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量と含有量を求めた。
(d)ゲルマニウム化合物の含有量
リガク社製蛍光X線分析装置3270を用いて測定した。
(e)ポリエステル樹脂組成物の酸素透過度(20℃×65%RH環境下)
前記の方法で測定した。
ポリエステル樹脂組成物を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量と含有量を求めた。
(d)ゲルマニウム化合物の含有量
リガク社製蛍光X線分析装置3270を用いて測定した。
(e)ポリエステル樹脂組成物の酸素透過度(20℃×65%RH環境下)
前記の方法で測定した。
(e)樹脂組成物の色調
日本電色工業社製の色差計ND-Σ80型を用いて測定した。色調の判定は、ハンターのLab表色計で行った。L値は明度(値が大きい程明るい)、a値は赤−緑系の色相(+は赤味、−は緑味)、b値は黄−青系(+は黄味、−は青味)を表す。ポリエステルの色調としてはL値が大きいほど、a値が0に近いほど、また極端に小さくならない限りb値が小さいほど良好である。
日本電色工業社製の色差計ND-Σ80型を用いて測定した。色調の判定は、ハンターのLab表色計で行った。L値は明度(値が大きい程明るい)、a値は赤−緑系の色相(+は赤味、−は緑味)、b値は黄−青系(+は黄味、−は青味)を表す。ポリエステルの色調としてはL値が大きいほど、a値が0に近いほど、また極端に小さくならない限りb値が小さいほど良好である。
(f)成形性
得られた成形体(サンプル数20個)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.10mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数が18個以上である場合は○、合格のサンプル数が17個以下である場合は×とした。なお、最厚部と最薄部の厚さの差が0.10mmを満足していても、成形容器に結晶化が起こり、容器に白化が見られたものや容器表面が荒れたものの場合は、不合格とした。
得られた成形体(サンプル数20個)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.10mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数が18個以上である場合は○、合格のサンプル数が17個以下である場合は×とした。なお、最厚部と最薄部の厚さの差が0.10mmを満足していても、成形容器に結晶化が起こり、容器に白化が見られたものや容器表面が荒れたものの場合は、不合格とした。
(g)成形体の色調(b1)
得られた成形体から切り出してサンプル片(20個)を作成し、日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用いて、サンプル片の色調を測定した。色調の判定はハンターのLab表色計で行い、b値を測定し、n数20の平均値とした。なお、b値が2.0以下を色調良好であると判定した。
(h)ヘーズ
得られた成形体から切り出してサンプル片(20個)を作成し、濁度を日本電色工業社製の濁度計 MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数20の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
得られた成形体から切り出してサンプル片(20個)を作成し、日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用いて、サンプル片の色調を測定した。色調の判定はハンターのLab表色計で行い、b値を測定し、n数20の平均値とした。なお、b値が2.0以下を色調良好であると判定した。
(h)ヘーズ
得られた成形体から切り出してサンプル片(20個)を作成し、濁度を日本電色工業社製の濁度計 MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数20の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
(i)経時促進試験
(g)で色調(b1)を測定したサンプル片を、乾燥機内にて70℃の常圧空気雰囲気下で120時間静置させた後、色調(b2)を測定した。処理前後のサンプルのb値の差(b2−b1)が0.3以下を合格とした。
(j)経時安定性試験
(g)で色調(b1)を測定したサンプル片を、50℃の蒸留水内で120時間静置させた後、色調(b3)を測定した。処理前後のb値の差(b3−b1)が0.3以下を合格とした。
(g)で色調(b1)を測定したサンプル片を、乾燥機内にて70℃の常圧空気雰囲気下で120時間静置させた後、色調(b2)を測定した。処理前後のサンプルのb値の差(b2−b1)が0.3以下を合格とした。
(j)経時安定性試験
(g)で色調(b1)を測定したサンプル片を、50℃の蒸留水内で120時間静置させた後、色調(b3)を測定した。処理前後のb値の差(b3−b1)が0.3以下を合格とした。
実施例1
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
TPAとEGの反応生成物55.5質量部を重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液33.2質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.011質量部、アントラキノン系紫色染料として、SOLVENT VIOLET 36(有本化学工業社製FS Violet 1803)0.5×10−4質量部、アントラキノン系青色染料として、SOLVENT BLUE 104(有本化学工業社製FS blue 1547)0.5×10−4質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の極限粘度は、0.63であった。
得られたポリエステル樹脂組成物を乾燥した後、シリンダー各部およびノズル温度を220〜250℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した小型射出成型機(日精樹脂工業社製、PS−20)を用いて射出成形体(50×50×1mm平板)を作製した。
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
TPAとEGの反応生成物55.5質量部を重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液33.2質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.011質量部、アントラキノン系紫色染料として、SOLVENT VIOLET 36(有本化学工業社製FS Violet 1803)0.5×10−4質量部、アントラキノン系青色染料として、SOLVENT BLUE 104(有本化学工業社製FS blue 1547)0.5×10−4質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の極限粘度は、0.63であった。
得られたポリエステル樹脂組成物を乾燥した後、シリンダー各部およびノズル温度を220〜250℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した小型射出成型機(日精樹脂工業社製、PS−20)を用いて射出成形体(50×50×1mm平板)を作製した。
実施例2〜10、比較例1〜6
イソフタル酸の共重合量、ゲルマニウム化合物、アントラキノン系染料の種類及び含有量が表1の値となるように組成を変更し、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂組成物を得た。
なお、表1中のSOLVENT VIOLET 13は、アントラキノン系紫色染料であり、有本化学工業社製のFS Violet 1805である。また、表1中のSOLVENT BLUE 104は、アントラキノン系青色染料であり、有本化学工業社製のFS Blue 1547である。
そして、得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして成形体を得た。
イソフタル酸の共重合量、ゲルマニウム化合物、アントラキノン系染料の種類及び含有量が表1の値となるように組成を変更し、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂組成物を得た。
なお、表1中のSOLVENT VIOLET 13は、アントラキノン系紫色染料であり、有本化学工業社製のFS Violet 1805である。また、表1中のSOLVENT BLUE 104は、アントラキノン系青色染料であり、有本化学工業社製のFS Blue 1547である。
そして、得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして成形体を得た。
比較例7
重合触媒としてアンチモン化合物を用い、三酸化アンチモンを0.018質量部投入した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。
そして、得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして成形体を得た。
重合触媒としてアンチモン化合物を用い、三酸化アンチモンを0.018質量部投入した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。
そして、得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして成形体を得た。
実施例1〜10及び比較例1〜7で得られたポリエステル樹脂組成物の組成、極限粘度、色調、成形性の評価及び成形体の色調、ヘーズ、酸素透過度の値を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜10で得られたポリエステル樹脂組成物は、成形性に優れており、得られた成形体は、色調、透明性に優れており、経時安定性にも優れ、黄味の発生を抑えることができるものであった。また、酸素透過度が低く、ガスバリア性にも優れていた。
一方、比較例1〜3で得られたポリエステル樹脂組成物は、染料を含有しないものであったため、得られた成形体は色調の経時安定性に劣るものとなり、黄味の発生したものとなった。比較例4で得られたポリエステル樹脂組成物は、染料の含有量が多すぎため、透明性が低下し、得られた成形体は透明性に劣るものとなった。比較例5で得られたポリエステル樹脂組成物は、染料の含有量が少なかったため、得られた成形体は色調に劣るものとなった。比較例6で得られたポリエステル樹脂組成物は、イソフタル酸の共重合量が少なかったため、成形した際に、成形品が結晶化して白化し、透明性に劣るものとなった。また、ガスバリア性にも劣るものとなった。比較例7で得られたポリエステル樹脂組成物は、ゲルマニウム化合物を含有せず、アンチモン化合物を含有するものであったため、得られた成形体は色調に劣るものとなり、透明性にも劣るものであった。
Claims (3)
- エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として18〜40モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ゲルマニウム化合物をポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し、5.0×10−5モル〜3.0×10−4モル含有し、かつアントラキノン系青色染料とアントラキノン系紫色染料の少なくとも一方を0.1〜10ppmを含有する樹脂組成物であって、ガラス転移温度が60℃以上、極限粘度(IV)が0.5以上であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
- 20℃×65%RH環境下での酸素透過度が250ml/(m2・day・MPa)以下である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物からなる成形体。
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JP2015115802A JP2017002147A (ja) | 2015-06-08 | 2015-06-08 | ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる成形体 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018131603A1 (ja) | 2017-01-10 | 2018-07-19 | 富士フイルム株式会社 | ロータリージョイント及び遠心分離装置 |
JP2022010939A (ja) * | 2020-06-29 | 2022-01-17 | キリンホールディングス株式会社 | プラスチック容器及び飲料製品 |
-
2015
- 2015-06-08 JP JP2015115802A patent/JP2017002147A/ja active Pending
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